JP2017165991A - プリプレグ、その製造方法、及び複合材料の製造方法 - Google Patents

プリプレグ、その製造方法、及び複合材料の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐高速衝撃性に優れた炭素繊維複合材料製造用のプリプレグを提供すること。
【解決手段】 熱可塑性樹脂26を含浸している複数の強化繊維24からなるシート間に熱可塑性樹脂26からなる中間樹脂層30aを有する強化繊維樹脂層32と、前記強化繊維樹脂層32の少なくとも一面に形成される表面樹脂層30bとからなるプリプレグであって、前記プリプレグは強化繊維樹脂層32に含有する熱可塑性樹脂の目付[A]と、表面樹脂層30bの樹脂目付[B]との割合が
0.15 < [B]/[A] < 0.50
であるプリプレグ。
【選択図】 図2

Description

本発明は、強化繊維からなるシートとこれに含浸した熱可塑性樹脂とからなるプリプレグ、その製造方法、及び、そのプリプレグを用いて得られる、耐高速衝撃性に優れた複合材料の製造方法に関する。
近年、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の強化繊維材料と、各種のマトリックス樹脂とを複合化して得られる強化繊維複合材料は、種々の分野・用途に広く利用されている。そして、高度の機械的特性や耐熱性等を要求される航空・宇宙分野や、一般産業分野などの分野・用途では、従来、マトリックス樹脂として、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が使用されている。
しかし、これらのマトリックス樹脂は、脆く、耐衝撃性に劣るという欠点を有する。そのため、特に航空・宇宙分野では、プリプレグを積層して複合材料にした時に耐衝撃性に優れ、プリプレグの保存管理が容易で、且つ成形時間が短く、成形コスト低減の可能性もある熱可塑性樹脂が、マトリックス樹脂として採用されてきている(特許文献1参照)。
航空機用途で強化繊維複合材料が使用される場合、鳥などの物体が高速で衝突して航空機部品を破壊するバードストライクが問題となる。即ち、上記で示したプリプレグを積層して作製した複合材料は、高速衝突時に発生する衝撃に耐え切れず、強化繊維樹脂層、層間樹脂層などの各層間の剥離破壊が発生し易いという問題がある。そのため、航空機用途においては、安全上、高い耐高速衝撃性が求められている。
本発明者が属する研究グループは、シート状の強化繊維材料に熱可塑性樹脂を含浸させてプリプレグを製造するに当たり、熱可塑性樹脂粉末を、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化炭素類から選ばれた1種若しくは2種以上の有機溶媒又はかかる有機溶媒と水との混合溶媒に分散させたサスペンジョンを用いて、特定の加工条件を採用することにより、均一性と表面平滑性に優れたプリプレグを製造する方法を提案した(特許文献2〜4参照)。しかしながら、かかる提案の方法では、得られたプリプレグの性能は優れたものであるが、上述の耐高速衝撃性が必ずしも高くないという問題があった。
特公平4−12894号公報 特開2005−238596号公報 特開2005−239843号公報 特開2008−44165号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決するプリプレグであって、これを積層して作製した複合材料について高速衝突時の層間の剥離挙動を抑制するためのプリプレグ、その製造方法、及び、そのプリプレグを用いた複合材料の製造方法を提供することにある。
本発明者は、所定の製造方法により、熱可塑性樹脂を含浸している複数の強化繊維シート間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を有する強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に形成される表面樹脂層とからなるプリプレグであって、熱可塑性樹脂の目付[A]と、表面樹脂層の目付[B]との割合が
0.15 < [B]/[A] < 0.50
であるプリプレグを得た。このプリプレグを用いて作製した複合材料は、複合材料の強化繊維樹脂層間に層間樹脂層が形成され、高速衝突時における強化繊維樹脂層、層間樹脂層などの各層間の剥離挙動を抑制することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記目的を達成する本発明は、以下に記載のものである。
〔1〕 熱可塑性樹脂を含浸している複数の強化繊維シート間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を有する強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に形成される表面樹脂層とからなるプリプレグであって、前記プリプレグは強化繊維樹脂層に含有する熱可塑性樹脂の目付[A]と、表面樹脂層の樹脂目付[B]との割合が
0.15 < [B]/[A] < 0.50
であるプリプレグ。
〔2〕 熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度が、150℃以上の結晶性又は非晶性の熱可塑性樹脂である〔1〕に記載のプリプレグ。
〔3〕 熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドなる群から選ばれた1種若しくは2種以上の樹脂である〔1〕又は〔2〕に記載のプリプレグ。
〔4〕 熱可塑性樹脂を含浸している複数の強化繊維シート間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を有する強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に形成される表面樹脂層とからなるプリプレグの製造方法であって、
熱可塑性樹脂粉末を液体に分散させたサスペンジョンに、複数の強化繊維シートを、前記サスペンジョンに含まれる熱可塑性樹脂粉末の濃度(質量%)と強化繊維シートの浸漬時間が下式(1)
10 ≦ 熱可塑性樹脂粉末の濃度(質量%) × 浸漬時間(秒) ≦ 250 (1)
を満足する条件で浸漬することにより、複数の強化繊維シートの上面に前記熱可塑性樹脂粉末を沈着させて沈着シートを得る沈着工程と、
沈着シートをサスペンジョンから取り出すと共にこれらシートを積重して積重シートを得る積重工程と、
積重シートを、熱加圧することにより、積重シートを一体化する熱圧着工程と、
を有するプリプレグの製造方法。
〔5〕 熱可塑性樹脂を含浸している複数の強化繊維シート間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を有する強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に形成される表面樹脂層とからなるプリプレグの製造方法であって、
熱可塑性樹脂粉末を液体に分散させたサスペンジョンに、複数の強化繊維シートを、前記サスペンジョンに含まれる熱可塑性樹脂粉末の濃度(質量%)と強化繊維シートの浸漬時間が下式(1)
10 ≦ 熱可塑性樹脂粉末の濃度(質量%) × 浸漬時間(秒) ≦ 250 (1)
を満足する条件で浸漬することにより、複数の強化繊維シートの上面に前記熱可塑性樹脂粉末を沈着させて沈着シートを得る沈着工程と、
沈着シートをサスペンジョンから取り出すと共にこれらシートを積重して積重シートを得る積重工程と、
積重シートの前記熱可塑性樹脂粉末の沈着面に同一材質からなる樹脂シートを重層して、重層シートを得る重層工程と、
重層シートを、熱加圧することにより、積重シートを一体化する熱圧着工程と、
を有するプリプレグの製造方法。
〔6〕 〔1〕乃至〔3〕の何れかに記載のプリプレグを、複数枚積層して成形されてなる複合材料の製造方法。
本発明のプリプレグは、熱可塑性樹脂を含浸している複数の強化繊維シート間に、熱可塑性樹脂を多く含んだ中間樹脂層を有するプリプレグであるので、このプリプレグを積層、熱加圧することにより、複合材料の強化繊維樹脂層間に適度な厚みを有する層間樹脂層が形成された複合材料が得られる。この複合材料は、高速衝突時における強化繊維樹脂層、層間樹脂層などの各層間の剥離挙動を抑制することができる。
本発明プリプレグの製造工程の一例(積重シートの製造工程)を示す概略図である。 図2は、本発明プリプレグの一例(積重シート)を示す概略断面図である。 図3は、本発明プリプレグの製造工程の他の例(重層シートの製造工程)を示す概略図である。 図4は、本発明プリプレグの他の例の製造過程において積重シートに熱可塑性樹脂シートを重層する状況の概略断面図である。 図5は、本発明プリプレグの他の例(重層シート)を示す概略断面図である。
以下、本発明の詳細について、記載する。
本発明のプリプレグは、強化繊維と熱可塑性樹脂とからなるプリプレグであって、熱可塑性樹脂を含浸している複数の強化繊維シート(樹脂含浸繊維層)間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を有する強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に表面樹脂層が形成されている。本発明において、強化繊維樹脂層の厚さは100〜300μmであることが好ましく、表面樹脂層の厚さは好ましくは15〜40μmである。更に、本発明のプリプレグは、強化繊維樹脂層に含有する熱可塑性樹脂の目付[A]と、表面樹脂層の目付[B]との割合が
0.15 < [B]/[A] < 0.50
である。本発明において、プリプレグ中の熱可塑性樹脂の含有量は10〜70質量%であることが好ましく、20〜50質量%がより好ましい。
本発明において表面樹脂層は、プリプレグの少なくとも一面に形成されていればよく、プリプレグの両面に形成されていてもよい。本発明において、プリプレグの両面に表面樹脂層が形成されている場合、表面樹脂層の厚さ及び表面樹脂層の目付[B]は、プリプレグ両面の表面樹脂層を合わせた厚さ及び目付を言う。表面樹脂層がプリプレグの一面のみに形成されている場合、表面樹脂層の厚さや目付[B]のバラツキを低減させやすい。
このプリプレグを積層、熱加圧することにより、複合材料の強化繊維樹脂層間に層間樹脂層が形成された複合材料が得られる。層間樹脂層の厚さは強化繊維樹脂層に含有する熱可塑性樹脂の目付[A]により適宜調節することができ、10〜20μmであることが好ましい。この複合材料は、高速衝突時における強化繊維樹脂層、層間樹脂層などの各層間の剥離挙動を抑制することができる。
本発明のプリプレグは、例えば、熱可塑性樹脂粉末を液体に分散させたサスペンジョンに、複数の強化繊維シートを、前記サスペンジョンに含まれる熱可塑性樹脂粉末の濃度(質量%)と強化繊維シートの浸漬時間が下式(1)
10 ≦ 熱可塑性樹脂粉末の濃度(質量%) × 浸漬時間(秒) ≦ 250 (1)
を満足する条件で浸漬することにより、複数の強化繊維シートの上面に前記熱可塑性樹脂粉末を沈着させて沈着シートを得る沈着工程と、
沈着シートをサスペンジョンから取り出すと共にこれらシートを積重して積重シートを得る積重工程と、
積重シートを、熱加圧することにより、積重シートを一体化する熱圧着工程と、
を有するプリプレグの製造方法によって得ることができる。
熱可塑性樹脂粉末を分散させる液体としては、水、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化炭素類から選ばれた1種若しくは2種以上の溶媒又は混合溶媒などを用いることができる。熱可塑性樹脂粉末の平均粒子径は好ましくは5〜50μmである。
熱圧着工程においては、積重シートを、前記熱可塑性樹脂粉末の融点+50〜200℃、500〜1000kPaで熱加圧することが好ましい。
本発明のプリプレグ製造方法の一例について、図1を用いて説明する。
図1において、2はサスペンジョン、4a、4bは共に強化繊維からなるシート、6a、6bは共に強化繊維シートの導入ローラー、8は積重シートの引取ローラー、10a〜10dはガイドローラー、12は積重シートである。
強化繊維シート4a、4bは、それぞれ導入ローラー6aと6bを経て、サスペンジョン2に導入・浸漬される。これにより、サスペンジョン2中に浮遊している熱可塑性樹脂粉末14は、重力沈降により(重力方向をXで示す)各シート6a、6bの上面に沈着する。
本発明では、かかる沈着工程において、サスペンジョンに含まれる熱可塑性樹脂粉末の濃度[T](質量%)と強化繊維シートの浸漬時間[M](秒)が下式(1)
10 ≦ [T]×[M] ≦ 250 (1)
を満足する条件で強化繊維シートを浸漬する。
熱可塑性樹脂粉末の濃度と浸漬時間をかかる範囲に調節することで、強化繊維シートに適度な量の熱可塑性樹脂粉末が沈降し、プリプレグの繊維層樹脂目付[A]と表層樹脂目付[B]を、所望の0.15 < [B]/[A] < 0.50の範囲とすることができる。
[T]×[M]が10より少ないと、強化繊維シートに沈着する熱可塑性樹脂粉末の量が少なく、[B]/[A]が0.15より小さくなってしまう。他方、[T]×[M]が250より多いと、強化繊維シートに沈着する熱可塑性樹脂粉末の量が多すぎ、[B]/[A]が0.50より大きくなり、プリプレグの取扱性が低下する。[T]×[M]は50〜100であることが好ましく、50〜90であることがより好ましい。
サスペンジョン中の熱可塑性樹脂の濃度[T](質量%)は、[熱可塑性樹脂重量/(液体重量+熱可塑性樹脂重量)×100]として求められ、1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
沈着工程において熱可塑性樹脂粉末14が上面に沈着したシート4a、4bは、積重工程においてサスペンジョン2から取り出されると共に積重されて、1枚の積重シート12として引取ローラー8を経て次工程の熱圧着工程に導出される。
なお、図1の積重シート12においては、強化繊維からなる2枚のシート4a、4bを用いる例を示したが、導入ローラーを増やすことによって、3枚、4枚あるいはそれ以上のシートを用いて1枚の積重シートを作製することもできる。また、ガイドローラー10a〜10dは、それぞれのシートをサスペンジョン2に充分に浸漬できる配置になっている限り、その数や配置位置に制限はない。
これに対し、強化繊維からなる1枚のシートを用いる場合、即ち、積重シートではない場合は、得られるプリプレグ製品が反り返るので好ましくない。
上述の沈着工程、積重工程を経て得られる積重シート12は、次工程の熱圧着工程、即ち、サスペンジョン2から取り出された積重シート12を、好ましくは熱可塑性樹脂粉末の融点+50〜200℃、500〜1000kPaで熱加圧することにより、積重シートを一体化する熱圧着工程を通すことにより、熱可塑性樹脂が強化繊維シート内に高い均一性で含浸される。
これに対し、熱可塑性樹脂シートを強化繊維シートに積重して溶融・含浸させる場合は、(1)含浸される樹脂の均一性が低く、(2)含浸中における空気抜きが困難であるので好ましくない。
乾式で熱可塑性樹脂を強化繊維シートに載置して溶融・含浸させる場合は、強化繊維シート内への含浸性が極めて悪いので好ましくない。
強化繊維からなるシート4a、4bとしては、繊維基材を一方向にシート状に引き揃えたもの、これらを例えば直交に積層したもの、繊維材料を織物や編物や不織布等の布帛に成形したもの、編組等のストランド状のものを全て含むが、ストランド状の繊維材料を一方向にシート状に引き揃えたものが好ましい。
シート4a、4bを構成する強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、炭化ケイ素繊維、ポリエステル繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維、金属繊維、鉱物繊維、岩石繊維及びスラッグ繊維などを使用できる。これらの強化繊維の中でも、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維が好ましく、比強度、比弾性率が良好で軽量かつ高強度の繊維強化複合材料が得られる炭素繊維がより好ましく、引張強度に優れるポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維が特に好ましい。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂は、特に制限されないが、融点又はガラス転移温度が、150℃以上の結晶性又は非晶性の熱可塑性樹脂が好ましい。好ましい樹脂の具体例としては、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族又は脂肪族ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドが挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種以上併用しても良い。また、これらの共重合体を用いることもできる。航空機用のプリプレグのためには、特にポリエーテルイミド(PEI)又はポリイミド(PI)が好ましい。
本発明において樹脂粉末は、強化繊維材料への良好な沈着(繊維間あるいは繊維表面に樹脂粉末が保持された状態)を考慮すると、樹脂粉末の粒子径は50μm以下で、取扱性の点からは1μmを下回らないのが良く、平均粒子径が5〜20μmの範囲のものが好ましい。上記粒度範囲の熱可塑性樹脂粉末は、下述の液体に分散させたとき、その分散性(サスペンジョン中の樹脂粉末の分散性)が安定しており、長時間生産においても、強化繊維材料に樹脂粉末を安定的に沈着できるという特徴がある。
なお、本発明において平均粒子径は、レーザー回折・散乱法を用いて測定される粒度分布の累積50体積%粒子径(D50)の値を言う。
本発明において用いられる熱可塑性樹脂を分散させるための液体は、水、アルコール類、ケトン類、ハロゲン化炭素水素類から選ばれた1種若しくは2種以上の溶媒又は混合溶媒が好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、メチルセルソルブ等が、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン等が、ハロゲン化炭化水素類としては、塩化メチレン、ジクロロエタン等が挙げられる。中でも好ましいのは、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトンあるいはそれらと水との混合溶媒、又は水である。かかる液体は、シート状の強化繊維材料を浸漬させたとき繊維材料を適度に開繊させるという作用もあるので、サスペンジョン中の樹脂粉末が繊維材料に均一に沈着するのに効果的である。
熱可塑性樹脂とそれを分散させるための液体(溶媒)との組合わせは、樹脂が溶媒に溶解するものであってはならず、樹脂が溶媒に膨潤するかあるいは溶解しないものである必要がある。
サスペンジョン中の熱可塑性樹脂の濃度[熱可塑性樹脂重量/(液体重量+熱可塑性樹脂重量)×100]は、1〜15質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
シート状の強化繊維材料を浸漬させるときのサスペンジョンの温度は、樹脂の分散状態が良好に保たれる限り特に制限はなく、また、用いられる熱可塑性樹脂や液体の種類、濃度によって異なるが、通常は5〜50℃、好ましくは5〜30℃、更に好ましくは15〜30℃である。
以上の条件下で、通常、シート状の強化繊維には好ましくは10〜70質量%(強化繊維と熱可塑性樹脂との合計量に対して)の熱可塑性樹脂粉末が沈着するが、プリプレグの製造上は20〜50質量%がより好ましい。
図1において、サスペンジョン2から引取ローラー8を経て導出された強化繊維からなる積重シート12は、通常は、乾燥機(図示せず)に導入され液体を除去することによって乾燥される。乾燥条件・方法等は特に限定されるものではないが、通常、熱可塑性樹脂が分解又は反応しない温度下で乾燥される。一般的には、80〜200℃で1〜20分間乾燥される。
次いで、積層された積重シート12は、シート4a、4bの表面に沈着した熱可塑性樹脂粉末14が溶融する程度に、好ましくは前記熱可塑性樹脂粉末の融点+50〜200℃、500〜1000kPaで熱加圧され、積重シート12が一体化される。
プリプレグ作製時の表面樹脂層が15μm未満の場合、複合材料にした時に層間の樹脂層が10μm未満となり剥離挙動抑制のために十分な樹脂層厚さが得られない場合がある。プリプレグ作製時の表面樹脂層が40μmを超えると、プリプレグ作製時に樹脂と繊維の熱収縮率の差からプリプレグに反りが発生して取扱性が悪くなる傾向がある。
プリプレグ表面に形成される表面樹脂層の目付[B]と強化繊維樹脂層に含有する熱可塑性樹脂の目付[A]との割合[B]/[A]が0.15未満の場合は、強化繊維樹脂層の樹脂目付[A]に対して表面樹脂層の目付[B]が小さいので、このプリプレグを用いて得られる複合材料において十分な緩衝効果をもつ層間樹脂層を形成することができない。[B]/[A]が0.5を超える場合は、表面樹脂層の目付[B]に対して強化繊維樹脂層の樹脂目付[A]が小さく、強化繊維樹脂層の補強効果が不足するため、このプリプレグを用いて得られる複合材料に反りが発生して取扱性が悪くなる。
図2は、強化繊維と熱可塑性樹脂とが一体化された積重シートであって、充分な厚さの表面樹脂層が形成された積重シートの一例を示す概略断面図である。
図2に示すように、積重シート22において、強化繊維24からなるシート4a、4b(図1参照)は熱可塑性樹脂26が含浸され、それぞれ樹脂含浸繊維層28a、28bが形成される。樹脂含浸繊維層28a、28bの層間には中間樹脂層30aが形成され、積重シート22の表面近傍には表面樹脂層30bが形成され、表面樹脂層30b以外の層として、樹脂含浸繊維層28a、28bと中間樹脂層30aとからなる強化繊維樹脂層32が形成される。
図2に示す積重シート22は、本発明のプリプレグとして用いられる。このプリプレグは、複数枚積層された後、オートクレーブ等を用いて熱加圧され、複合材料の強化繊維樹脂層間に層間樹脂層が形成されてなる本発明の複合材料が得られる。この際、500〜2000kPaの圧力、前記熱可塑性樹脂粉末の融点+50〜200℃の温度で熱加圧されることが好ましい。複合材料の強化繊維樹脂層間の層間樹脂層の厚さは10〜20μmであることが好ましい。
上述の本発明のプリプレグ、
即ち、熱可塑性樹脂を含浸している複数の強化繊維シート(樹脂含浸繊維層)間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を有するの強化繊維樹脂層と、
前記強化繊維樹脂層の一面に形成される表面樹脂層と、
からなるプリプレグであって、前記プリプレグは強化繊維樹脂層に含有する熱可塑性樹脂の目付[A]と、表面樹脂層の樹脂目付[B]との割合が
0.15 < [B]/[A] < 0.50
であるプリプレグは、上述の沈着工程と積重工程と熱圧着工程とを有するプリプレグの製造方法により容易に得られる。
強化繊維の目付は、150d(g/m2)[dは強化繊維の密度(g/cm3)]以下であることが好ましく、より好ましくは30〜80d(g/m2)である。
なお、強化繊維が炭素繊維の場合は、炭素繊維の密度dが1.8(g/cm3)なので、強化繊維の目付150d(g/m2)は225(g/m2)であり、80d(g/m2)は144(g/m2)となる。
シートの強化繊維の目付が80d(g/m2)を超える場合、この積重シートは充分な厚さの表面樹脂層が形成されていないこともある。そのため、上述の本発明のプリプレグが容易に得られない場合もある。この場合には、上述の沈着工程と積重工程と熱圧着工程に、積層シートの表面に熱可塑性樹脂フィルムを積層する重層工程を加えることにより、上述の本発明のプリプレグは容易に得られる。
即ち、シートの強化繊維の目付が80d(g/m2)を超える場合でも、重層工程を加えた製造方法により、積重シートの表面に熱可塑性樹脂シートが積重、加熱、押圧されて、積重シートと熱可塑性樹脂シートとが一体化された重層シートからなる、優れた耐高速衝撃性を有する複合材料製造用の本発明のプリプレグが容易に得られる。かかる重層工程は、熱圧着工程の前に行っても良く、熱圧着工程の後に行っても良い。重層工程を熱圧着工程の前に行うことが、より好ましい。
図3は、本発明プリプレグの製造工程における重層シートの製造過程の一例を示す概略図である。
図3中、42は積重シートであり、矢印Y方向に走行している。この積重シート42の前記熱可塑性樹脂粉末の沈着面に、シートロール68から供給される、前記熱可塑性樹脂粉末と同一材質からなる熱可塑性樹脂シート56と重層される。この重層されたシートは、離型紙を介してカレンダーローラー66a、66bにより加熱加圧され一体化し、図5に示される表面樹脂層64と強化繊維樹脂層52とを有する本発明のプリプレグ(重層シート)62が製造される。
上記積重シート42と熱可塑性樹脂シート56とを重層する過程の一例を概略断面図として図4に示す。
図4に示すように、積重シート42において、強化繊維44からなるシート4a、4b(図1参照)は熱可塑性樹脂46が含浸され、それぞれ樹脂含浸繊維層48a、48bが形成される。樹脂含浸繊維層48a、48bの層間には中間樹脂層50aが形成され、積重シート42の表面近傍には表面樹脂層50bが形成され、表面樹脂層50b以外の層として、樹脂含浸繊維層48a、48bと中間樹脂層50aとからなる強化繊維樹脂層52が形成される。
上述のように、積重シート42は充分な厚さの表面樹脂層が形成されていない。そこで、図3に示すように積重シート42の表面54に熱可塑性樹脂シート56を積重、加熱、押圧して積重シート42の表面54に熱可塑性樹脂シート56が熱圧着、一体化される。これにより、図5に示すように、充分な厚さの表面樹脂層64が形成された重層シート62が得られる。
図2に示す積重シート22と同様に、図4に示す重層シート62も、本発明のプリプレグとして用いられる。この重層シート62のプリプレグも、積重シート22のプリプレグと同様に、複数枚積層された後、オートクレーブ等を用いて、好ましくは500〜2000kPaの圧力、前記熱可塑性樹脂粉末の融点+50〜200℃の温度で熱加圧され、複合材料の強化繊維樹脂層間に好ましくは10〜20μmの層間樹脂層が形成されてなる本発明の複合材料が得られる。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。本実施例、比較例において使用した粒子径測定方法、樹脂層厚さの測定方法は以下の通りである。
〔平均粒子径〕
平均粒子径は、日機装(株)製 レーザー回折・散乱式の粒度分析計マイクロトラックを用いて、粒度分布[累積10体積%粒径(D10)、累積50体積%粒径(D50)、累積90体積%粒径(D90)]の測定を実施し、累積50体積%粒径(D50)を平均粒子径とした。
〔プリプレグ表面樹脂層の厚さ〕
プリプレグ表面樹脂層の厚さは、共焦点顕微鏡を用いて、断面観察により測定を実施した。
〔積層時の層間樹脂層の厚さ〕
積層時の層間樹脂層の厚さは、共焦点顕微鏡を用いて、断面観察により測定を実施した。
〔損傷面積の測定方法〕
得られた炭素繊維強化複合材料を幅101.6mm×長さ152.4mmの寸法に切断して試験片を得た。得られた試験片を用いて30.5kJ衝撃後の損傷面積を超音波探傷により測定する。損傷面積は4.5cm2以下となるのが良く、4.0cm2以下になるのが望ましい。
〔実施例1〕
ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に5.5質量%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が190g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション中に導入し、15秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積重シートとしてサスペンション浴槽から導出した。得られた積重シートを150℃で5分間乾燥させた。樹脂の沈着量は10.4質量%であった。引き続いて、積重シートを表面温度が330℃のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さ、目付、強化繊維樹脂層の樹脂目付は表1に示した通りであった。プリプレグの強化繊維樹脂層の厚さは168μmであった。こうして得られたプリプレグを積層し、340℃(ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移温度+120℃)、1000kPaでオートクレープ成形をして積層構成[+45/0/−45/90]4Sの積層体を得た。積層体の層間樹脂層の厚さは表1に示すように16μmであった。このようにして得られた炭素繊維強化複合材料の損傷面積は表1に示すように小さいものであった。
〔実施例2〕
ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に4.5質量%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が150g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション中に導入し、15秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積重シートとしてサスペンション浴槽から導出した。得られた積重シートを150℃で2分間乾燥させた。樹脂の沈着量は6.0質量%であった。引き続いて、積重シートを表面温度が330℃のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さ、目付、強化繊維樹脂層の樹脂目付は表1に示した通りであった。プリプレグの強化繊維樹脂層の厚さは123μmであった。こうして得られたプリプレグを積層し、340℃(ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移温度+120℃)、1000kPaでオートクレープ成形をして積層構成[+45/0/−45/90]4Sの積層体を得た。積層体の層間樹脂層の厚さは表1に示すように11μmであった。このようにして得られた炭素繊維強化複合材料の損傷面積は表1に示すように小さいものであった。
〔実施例3〕
ポリエーテルサルフォン樹脂(住友化学社製、商品名スミカエクセル)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に4.5質量%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が145g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション中に導入し、15秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積重シートとしてサスペンション浴槽から導出した。得られた積重シートを150℃で2分間乾燥させた。樹脂の沈着量は8.0質量%であった。引き続いて、積重シートを表面温度が330℃のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さ、目付、強化繊維樹脂層の樹脂目付は表1に示した通りであった。プリプレグの強化繊維樹脂層の厚さは122μmであった。こうして得られたプリプレグを積層し、340℃(ポリエーテルサルフォン樹脂のガラス転移温度+120℃)、1000kPaでオートクレープ成形をして積層構成[+45/0/−45/90]4Sの積層体を得た。積層体の層間樹脂層の厚さは表1に示すように10μmであった。このようにして得られた炭素繊維強化複合材料の損傷面積は表1に示すように小さいものであった。
〔実施例4〕
ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に5質量%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が198g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション中に導入し、15秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積重シートとしてサスペンション浴槽から導出した。得られた積重シートを150℃で2分間乾燥させた。樹脂の沈着量は5.5質量%であった。引き続いて、積重シートを表面温度が330℃のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さ、目付、強化繊維樹脂層の樹脂目付は表1に示した通りであった。プリプレグの強化繊維樹脂層の厚さは163μmであった。こうして得られたプリプレグを積層し、340℃(ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移温度+120℃)、1000kPaでオートクレープ成形をして積層構成[+45/0/−45/90]3Sの積層体を得た。積層体の層間樹脂層の厚さは表1に示すように11μmであった。このようにして得られた炭素繊維強化複合材料の損傷面積は表1に示すように小さいものであった。
〔実施例5〕
ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に6.5質量%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が196g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション中に導入し、15秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積重シートとしてサスペンション浴槽から導出した。得られた積重シートを150℃で2分間乾燥させた。樹脂の沈着量は8.0質量%であった。引き続いて、積重シートを表面温度が330℃のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さ、目付、強化繊維樹脂層の樹脂目付は表1に示した通りであった。プリプレグの強化繊維樹脂層の厚さは199μmであった。こうして得られたプリプレグを積層し、340℃(ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移温度+120℃)、1000kPaでオートクレープ成形をして積層構成[+45/0/−45/90]3Sの積層体を得た。積層体の層間樹脂層の厚さは表1に示すように20μmであった。このようにして得られた炭素繊維強化複合材料の損傷面積は表1に示すように小さいものであった。
〔実施例6〕
ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に3.5%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が145g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション中に導入し、10秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積重シートとしてサスペンション浴槽から導出した。得られた積重シートを150℃で5分間乾燥させた。樹脂の沈着量は1.0質量%であった。引き続いて、積重シートを表面温度が330℃のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さ、目付、強化繊維樹脂層の樹脂目付は表1に示した通りであった。プリプレグの強化繊維樹脂層の厚さは116μmであった。こうして得られたプリプレグを積層し、340℃(ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移温度+120℃)、1000kPaでオートクレープ成形をして積層構成[+45/0/−45/90]4Sの積層体を得た。積層体の層間樹脂層の厚さは表1に示すように4μmと実施例1に比べ小さくなったが、得られた炭素繊維強化複合材料の損傷面積は表1に示すように小さいものであった。
〔実施例7〕
ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に5.5質量%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が190g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション浴槽中に導入し、15秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積重シートとしてサスペンション浴槽から導出した。得られた積重シートを150℃で5分間乾燥させた。樹脂の沈着量は8.0質量%であった。引き続いて、積重シートを表面温度が250℃(ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移温度+50℃)のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
このプリプレグは、強化繊維シート内への樹脂の含浸が実施例1に比べ少なく、プリプレグの表面樹脂層の厚さが30μmと大きくなったため取扱性はやや低下したものの、得られた複合材料の損傷面積は表1に示すように小さいものであった。
〔実施例8〕
ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に5.5質量%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が190g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション中に導入し、15秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積層シートとしてサスペンション浴槽から導出した。さらに積層シートの上面にポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)からなるフィルム(目付:10g/m2)を積層して1枚の重層シートを得た。得られた積重シートを150℃で5分間乾燥させた。樹脂粉末の沈着量は10.4質量%であった(フィルムの樹脂量を除いた積層シート中の樹脂量)。引き続いて、積重シートを表面温度が330℃のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さ、目付、強化繊維樹脂層の樹脂目付は表1に示した通りであった。プリプレグの強化繊維樹脂層の厚さは167μmであった。こうして得られたプリプレグを積層し、340℃(ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移温度+120℃)、1000kPaでオートクレープ成形をして積層構成[+45/0/−45/90]4Sの積層体を得た。積層体の層間樹脂層の厚さは表1に示すように16μmであった。このようにして得られた炭素繊維強化複合材料の損傷面積は表1に示すように小さいものであった。
〔比較例1〕
ポリエーテルイミド樹脂(サビック社製)粉末(粒度分布:累積50体積%粒径15μm)をエタノールに分散させ、サスペンション浴槽に3.5質量%濃度のサスペンションを調製した。炭素繊維A(東邦テナックス社製テナックス IMS60、24,000本)を平行に55本引き揃えてシート状にし、炭素繊維の目付が190g/m2になるよう炭素繊維Aシートを調製した。
そして、シート2枚を上記サスペンション浴槽中に導入し、10秒間浸漬した後、2枚のシートを重ねて1枚の積重シートとしてサスペンションから導出した。得られた積重シートを150℃で5分間乾燥させた。樹脂の沈着量は1.4質量%であった。引き続いて、積重シートを表面温度が330℃のローラーに通し樹脂を溶融させ含浸させた。
得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さ、目付、強化繊維樹脂層の樹脂目付は表1に示した通りであった。プリプレグの強化繊維樹脂層の厚さは115μmであった。こうして得られたプリプレグを積層し、340℃(ポリエーテルイミド樹脂のガラス転移温度+120℃)、1000kPaでオートクレープ成形をして積層構成[+45/0/−45/90]3Sの積層体を得た。積層体の層間樹脂層の厚さは表1に示すように1μmと小さいものであった。このようにして得られた炭素繊維強化複合材料の損傷面積は表1に示すように大きいものであった。
〔比較例2〕
サスペンション中のポリエーテルイミド樹脂濃度を10.0質量%とし、炭素繊維Aシート2枚のサスペンション浸漬時間を30秒間とした以外は、実施例1と同様の条件でプリプレグを作製した。得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さは70μmであった。しかし、このプリプレグは、反りの大きいプリプレグであり、取扱性に不具合があった。
〔比較例3〕
炭素繊維Aシート2枚を予め積層し、1枚のシートとしてサスペンション中に導入した以外は、実施例2と同様の条件でプリプレグを作製した。得られたプリプレグの表面樹脂層の厚さは42μmであった。しかし、このプリプレグは、反りの大きいプリプレグであり、取扱性に不具合があった。
Figure 2017165991
2 サスペンジョン
4a、4b 強化繊維からなるシート
6a、6b シートの導入ローラー
8 積重シートの引取ローラー
10a〜10d ガイドローラー
12、22 積重シート
14 サスペンジョン中に浮遊している熱可塑性樹脂粉末
24、44 強化繊維
26、46 熱可塑性樹脂
28a、28b、48a、48b 樹脂含浸繊維層
30a、50a 中間樹脂層
30b、50b、64 表面樹脂層
32、52 樹脂含浸繊維層と層間樹脂層とからなる強化繊維樹脂層
42 積重シート
62 重層シート
66a、66b カレンダーローラー
68 シートロール
X 熱可塑性樹脂粉末の重力沈降方向を示す矢印
Y 積重シートの走行方向を示す矢印

Claims (4)

  1. 強化繊維からなるシートに熱可塑性樹脂が含浸している複数の樹脂含浸繊維層の層間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を有する強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に形成される表面樹脂層とからなるプリプレグであって、前記プリプレグは強化繊維樹脂層に含有する熱可塑性樹脂の目付[A]と、表面樹脂層の樹脂目付[B]との割合が
    0.15 < [B]/[A] < 0.50
    であり、
    前記表面樹脂層の厚さが15〜40μmであるプリプレグ。
  2. 熱可塑性樹脂の融点又はガラス転移温度が、150℃以上の結晶性又は非晶性の熱可塑性樹脂である請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、芳香族ポリカーボネート、ポリエーテルイミド、ポリアリーレンオキシド、熱可塑性ポリイミド、ポリアミドイミドなる群から選ばれた1種若しくは2種以上の樹脂である請求項1又は2に記載のプリプレグ。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載のプリプレグを、複数枚積層して成形されてなる複合材料の製造方法。
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