JP2017158835A - マイクロ波マンモグラフィ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】測定時間が短く精度の高い実用的なマイクロ波マンモ装置を提供する。【解決手段】本発明は、被検体である乳房を配置する被検体容器、被検体容器を配置するアンテナ容器、被検体容器の周囲に配置された複数のマイクロ波照射器、および複数の受信器を含むマイクロ波マンモグラフィ装置であって、被検体に対して、前記複数のマイクロ波照射器から周波数を変えながら順次マイクロ波を照射し、被検体からの散乱波を複数の受信器で同時受信して、当該散乱波の強度および位相から被検体の異物(の位置および大きさ)を検出することを特徴とするマイクロ波マンモグラフィ装置であり、受信器はクロストークが小さい誘電体積層ダイポールアンテナを用い、直方体形状の被検体容器に密着して誘電体積層ダイポールアンテナの照射器および受信器が垂直に配置される。【選択図】図1

Description

本発明は、乳房内の異物を検出するマイクロ波を用いたマンモグラフィ装置に関する。
乳癌は、西洋女性の8人に1人、日本女性の16人に1人がかかる癌であり、患者の20%が死亡すると言われる恐ろしい疾病である。癌細胞はたとえば3ヶ月で2倍になり、癌組織の直径は10ヶ月で2倍となる。2年に一度癌検診を受けるとして、直径5mmで発見できれば初期段階(直径2cm以内)で発見できる。従来、X線マンモグラフィ装置が乳癌検診で用いられてきたが、検査時に痛みがあること、X線写真のコントラストが低いのでかなりのベテランで無いと癌組織の見分けがつかないという欠点があった。一方、脂肪組織の比誘電率は10程度、癌組織の比誘電率は50程度であり、電気抵抗率についても大きく異なることから、電気定数(比誘電率、電気抵抗率)分布を求めることで、誰にでも癌を見分けることができるという期待がある。マイクロ波CTは乳房を囲むように弱いマイクロ波を照射しその散乱・屈折から電気定数(比誘電率、電気抵抗率)分布を求めるものである。マイクロ波の周波数が高いほど分解能は良いが、人体の透過率が著しく低下するため、周波数として1〜10 GHzを使用する。
マイクロ波マンモグラフィの研究は数多くあるが、大別してレーダ方式(特許文献1、3)、CT方式(特許文献1、非特許文献1)の二種類である。どちらも、理論研究は充実しており、計算機上のシミュレーションでは癌組織の画像診断が可能とのことである。これらの文献で示された装置は、典型的なマイクロ波マンモグラフィ装置である。特許文献1では、マイクロ波パルスを照射し癌組織からの散乱波の位相を直交検波(位相θについてcosθとsinθを検出)することで、アンテナから癌組織までの距離を測定し、癌組織の外形を同定する、いわゆるレーダ方式のマイクロ波マンモグラフィ装置が示されている。アンテナとしては導波管を用いており、乳房の周囲に置ける程度の小さな導波管でも周波数10GHz以下のマイクロ波が放射できるように、導波管に誘電体の詰め物をして波長短縮を図っている。
特許文献2は、CT方式のマイクロ波マンモグラフィ装置であり、パルスに相当するマイクロ波(パルス波、チャープ波、周波数変調連続波など)を照射し、散乱波の波形(あるいは強度と位相)を測定する。ここで示されているマイクロ波マンモグラフィ装置は、測定データが電磁波計算により再現できるように、乳房の電気定数(誘電率と電気抵抗率)の三次元分布を画像化し、癌組織と類似の電気定数領域を癌と推定する、いわゆるCT方式を用いているが、アンテナについては言及されていない。非特許文献1は特許文献2の理論的基礎となるものであり、マイクロ波トモグラフィのアルゴリズムを示している。特許文献3 に示されているマイクロ波マンモグラフィ装置はCT方式であり、棒状のアンテナを乳房側面に多数置き、マイクロ波を照射し受信するものである。マイクロ波マンモグラフィ装置では乳房表面での反射は問題となるが、特許文献1および特許文献3では、誘電率を乳房組織と同じであるマッチング液をアンテナと乳房に浸して、反射を防止している。
特許文献4では、乳房の大きさに合わせた半球状のくぼみを持ち、減圧吸引することで乳房を容器壁に密着することで、マッチング液を使用せずに反射防止を図っている。特許文献3,4では、マイクロ波の強度と位相検出器としてベクトルネットワークアナライザを用い、スイッチを用いることで送受信アンテナを切り替える。
United States Patent, Patent Number: 5,829,437, 日本国特許 登録番号:4803529, “マイクロ波を用いたマンモグラフィの方法、およびマンモグラフィ装置”, 発明者:竹中隆、田中俊幸(長崎大学) United States Patent, Patent Number: US 8,724,864 B2 日本国特許 登録番号:5605783, “診断装置”, 発明者:桑原義彦(静岡大学)
J. E. Johnson, T. Takenaka, K. A. H. Ping, S. Honda, T. Tanaka, "Advances in the 3-D Forward-Backward Time-Stepping (FBTS) Inverse Scattering Technique", IEEE Transaction of Biomedical Engineering, 56, No. 9, pp.2232−2243 (2009).
レーダ方式のマイクロ波マンモグラフィについては臨床試験が行われたが、散乱物体の外形だけでは癌組織と正常組織との判別が困難という問題がある。そこでCT方式のマイクロ波マンモグラフィの実現が期待されているが、現時点では実用的な装置が実現していない。従来のCT方式の実験研究では同時に1対の送信アンテナと受信アンテナを使用し、スイッチで切り替えながら多方向からのデータを取得する。特許文献3では、さらに、棒状のアンテナを上下に動かすことで空間スキャンを行なっている。いずれにしても従来のCT方式では測定時間が長くなるという問題がある。たとえば、典型的な実験例では32本のアンテナを用いているので、空間測定回数は、32×31=992回である。このとき周波数変調をするが、仮に32周波数を用いると、全測定点回数は、32×31×32=31744回となり、スイッチング時間を1msecとすると32秒かかる。被験者が息を止めて居られる時間は10秒程度であるから、時間がかかり過ぎるので実用的ではない。また、送信アンテナは切り替える必要があるが、受信は全アンテナ同時に行って良いはずである。しかし、その場合、受信アンテナ間のクロストークが問題となる。例えば、アンテナ1が受信する際アンテナ1に電流が流れる。このとき、アンテナ1から二次放射が発生し、アンテナ1に隣接するアンテナが受信することになる。特に、特許文献2、3のような棒状のアンテナや特許文献4のような平面アンテナではクロストークについては考慮されておらず全く無防備である。
本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置は、健康診断での乳癌スクリーニング検査等に用いるものであり、具体的には以下の特徴を有する。
(1)本発明は、被検体である乳房を配置する被検体容器、被検体容器を配置するアンテナ容器、被検体容器の周囲に配置された複数のマイクロ波照射器、および複数の受信器を含むマイクロ波マンモグラフィ装置であって、被検体に対して、前記複数のマイクロ波照射器から周波数を変えながら順次マイクロ波を照射し、被検体からの散乱波を複数の受信器で同時受信して、当該散乱波の強度および位相から被検体の異物(の位置および大きさ)を検出することを特徴とするマイクロ波マンモグラフィ装置である。
(2)本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置は、さらに、マイクロ波発生器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、コンピュータを含み、
マイクロ波発生器では、三種類の高周波{照射波(周波数:ωRF)、局部発振波(周波数:ωLO)および参照波(周波数:ωR)}を発生し、ここでωR=|ωLO−ωRF|の関係を有し、
照射波は、被検体容器(乳房配置容器)の周囲に配置された複数の照射器に供給され、照射器から照射されたマイクロ波は、被検体容器に配置された被検体に照射され、
受信器において受信した被検体からの散乱波は局部発振波(周波数:ωLO)と周波数混合して中間周波数波(周波数:ωR)が生成され、
パワー検出器は中間周波数波の振幅(強度)を検出し、
位相検出器は、中間周波数波と参照波の位相差(位相信号)を検出し、
強度と位相信号はデジタイザによりコンピュータに取り込まれて、被検体の異物を検出することを特徴とする。
(3)本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置は、上記(1)に加えて、さらに、n個の中間波発振器、参照発振器、局部発振器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、コンピュータを含み、
n個の中間波発振器から発生させたn個の固定周波数の中間波(周波数:ωj, j=1,…, n)に参照発振器から発生させた参照波(周波数:ωR)をアップコンバートし、バンドパスフィルタで差周波数を除去した和周波数波を、さらに局部発振器で発生した局部発振波とアップコンバートし、パワーコンバイナで一本にまとめることでn個の周波数を同時に含む照射波を生成し、前記照射波は照射器から照射され、
被写体からの散乱波は受像器で同時に受信され、前記中間波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数にされ(散乱波中間周波数波)、
パワー検出器は前記散乱波中間周波数波の振幅(強度)を検出し、
位相検出器125は、前記散乱波中間周波数波と参照波の位相差(位相信号)を検出し、
強度と位相信号はデジタイザによりコンピュータに取り込まれて、被検体の異物を検出することを特徴とする。
(4)本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置は、上記(1)に加えて、さらに、基準信号発生器、参照発振器、局部発振器、n個のマイクロ波発振器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、コンピュータを含み、
基準信号発生器から生成した固定周波数の基準信号波により、参照発振器から生成した参照波、局部発振器から生成した局部発振波およびn個のマイクロ波発振器から生成したn個の固定周波数のマイクロ波の同期をとり、n個の固定周波数のマイクロ波をパワーコンバイナで一本にまとめることで照射波を生成し、前記照射波は照射器から照射され、
局部発振波とn個の固定周波数のマイクロ波をダウンコンバータにより中間波(周波数:ωj, j=1,…, n)を生成し、バンドパスフィルタで和周波数を除去し差周波数の中間波(差周波数中間波)が取り出され、
被写体からの散乱波は受像器で同時に受信され、前記差周波数中間波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数にされ(散乱波中間周波数波)、
パワー検出器は前記散乱波中間周波数波の振幅(強度)を検出し、
位相検出器125は、前記散乱波中間周波数波と参照波の位相差(位相信号)を検出し、
強度と位相信号はデジタイザによりコンピュータに取り込まれて、被検体の異物を検出することを特徴とする。
(5)本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置のアンテナ容器には、被検体容器を配置する直方体形状の凹部が備わり、被検体容器はその凹部に嵌合する直方体形状をなし、被検体容器をアンテナ容器の凹部に配置したときに、外側にくる面において、乳房に合わせた形状の窪みが形成されており、被検体容器は、乳房の形状に合わせて交換可能であり、さらに被検体容器の乳房に合わせた窪み部に、乳房と被検体容器の窪み部とを密着させる減圧用の吸引穴が備わっていることを特徴とする。
(6)本発明は、前記複数の照射器および受信器が、アンテナ容器の凹部に配置された被検体容器の周囲である4側面および底面に密着するようにして、アンテナ容器の凹部に面して配置されており、さらに照射器からのマイクロ波の照射方向は被検体容器の各面と垂直になるように配置されることを特徴とする、マイクロ波マンモグラフィ装置である。
(7)本発明の受信器は、ダイポールアンテナが形成された基板の両側を誘電体板で挟み、その四方周囲を導体シールドで囲んだ(直方体体形状の)受信器(誘電体積層ダイポールアンテナ)であり、導体シールドのない面の側にダイポールアンテナが当該面と平行に形成されており、さらに前記導体シールドのない面が前記被検体容器の各面に面しているとともに、ダイポールアンテナの方向は被検体容器の各面と平行になるように、前記受信器がアンテナ容器の凹部に配置されていることを特徴とする。
(8)本発明は、マイクロマンモグラフィの強度および位相を決定する電磁波計算のアルゴリズムにおいて、FDTD法(Finite-difference time-domain method)を使用することを特徴とするマイクロ波マンモグラフィ装置である。
(10)本発明の被検体容器の誘電率は乳房の誘電率と同じか近似した誘電率を持つ固体誘電体であり、本発明のアンテナ容器は高周波損失が大きい材料で構成されていることを特徴する。
本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置は、被検体の周囲に複数の受信器を配置して、全受信器による同時受信を行うので、測定時間が大幅に短縮される。受信器数に制限がないので、受信点を増やすことにより精度を上げることができる。また、多周波数の照射波および多周波数散乱波を同時送受信して処理することができるので、高速および高精度測定が可能となる。本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置は、四方周囲が導体シールドで覆われた誘電体積層ダイポールアンテナを用いるので、多数のアンテナユニットを並べて配置しても隣接アンテナ間の相互誘導・干渉を低減できる。すなわち、クロストークの少ない受信が可能であり、特に多周波数照射波および多周波散乱波の送受信が可能となる。本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置を用いれば、検査時に痛みもないし放射線被曝もないので、年齢に関係なく健康診断の際に気軽に受診してもらえる。手遅れになりやすい若年女性の乳癌の発見において特に有用である。
図1は、本発明のマイクロ波マンモグラフィの構成を示す図である。 図2は、本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置に使用する受信器である誘電体積層ダイポールアンテナを示す図である。 図3は本発明の誘電体積層ダイポールアンテナによるシールド深さと減衰量の関係を示す図である。 図4は、本発明のアンテナ容器を示す図である。 図5は、和周波数方式発振器の一例を示す図である。 図6は、差周波数方式発振器の一例を示す図である。 図7は、和周波数方式の多周波数発生器および多周波数信号処理の一例を示す図である。 図8は、差周波数方式の多周波数発生器および多周波数信号処理の一例を示す図である。 図9は、ダイポールアンテナが形成されたアンテナ基板(プリント基板)を示す図である。 図10は、誘電体積層ダイポールアンテナのプローブ電極形状の種々の例を示す図である。
本発明は、マイクロ波を被検体に照射し、被検体から散乱・屈折・透過するマイクロ波の波動をクロストークの少ない誘電体積層ダイポールアンテナにより同時受信する装置である。この受信信号が計算した受信アンテナにおける波動と一致するように被検体の電気定数分布を求めるのがマイクロ波CTである。被検体が乳房の場合、癌組織と脂肪組織の電気定数が大きく異なることから、癌検査が可能となる。本出願では、周波数が300MHzから300GHz(波長が1mから1mm)の電磁波をマイクロ波と呼び、ミリ波もマイクロ波に含む。図1は、本発明のマイクロ波マンモグラフィの構成を示す図である。マイクロ波発生器111では三種類の高周波{(A)照射波(周波数:ωRF)、(B)LO(局部発振)波(周波数:ωLO)および(C)参照波(周波数:ωR)}を発生する。これらの周波数の関係は、ωR=|ωLO−ωRF|となっている。照射波はスイッチ114で切り替えて被検体である乳房120を配置する被検体容器(乳房配置容器)115において被検体配置場所の周囲に配置された複数の照射器116に供給する。照射器116から照射された照射波(マイクロ波)118は、被検体容器115に配置された乳房120に照射され、乳房120内の脂肪組織により散乱・屈折・透過する。以後、これらの二次波を散乱波119と総称する。散乱波(周波数:ωRF)119は被検体容器115において被検体配置場所の周囲に配置された複数の受信器117で受信されるが、この散乱波119は、マイクロ波発生器から分配器112により複数の受信器117に送られたLO波と周波数混合して中間周波数波(周波数:ωR)を生成する。中間周波数波は狭帯域のIFアンプ123で増幅され、パワー検出器124と位相検出器125に分配される。パワー検出器124ではパワー(強度:振幅A)を検出し、位相検出器125では、中間周波数波と参照波の位相差(位相信号:同相のI信号およびI信号と直交するQ信号)を検出する。パワーと位相信号はデジタイザ126によりコンピュータ127に取り込まれ、乳房120内の異物121を検出する。
本発明において、マイクロ波トモグラフィ計算アルゴリズムとして、例えば文献[3]に示された、Forward-Backward Time-Stepping(FBTS)法を用いる。このFBTS法では、電磁波計算として、Finite-difference time-domain method (FDTD法)を用いる。これは、電磁波の時間変化を計算するものであり、マイクロ波パルスを想定する。本発明では高精度の位相計測を行うために連続波測定とするが、周波数スキャンを行うことで、周波数空間でのフーリエ成分を求め、逆フーリエ変換によって時間変化を求める。
マイクロ波などの高周波を受信すると受信アンテナに高周波電流が流れ、高周波を二次的に放射する。受像器の各受信チャンネルは隣接しており、この二次的放射を受信する。すなわち従来の受信器においては、受像器のチャンネル間のクロストークは大きいのが普通である。特に受信器の数が増大するとそれらの二次的放射によるクロストークは甚大となり測定結果に大きな影響を与える。本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置に使用する受信器は、本発明者等が発明した特願2013-266721に記載のクロストークが小さい誘電体積層ダイポールアンテナを用いる。
図2は、本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置に使用する受信器である誘電体積層ダイポールアンテナを示す図である。図2(a)はアンテナユニット(受信器)130に組立てた状態を示す図で、図2(b)は部品ごとに分解した状態を示す図である。この誘電体積層ダイポールアンテナは、薄いプリント基板の両面を使って作ったダイポールアンテナ基板131の両側を直方体形状の誘電体板132ではさみ(積層し)、さらに誘電体板132の外側(四方周囲)を導体壁(シールド板)133で覆って(囲んで)電磁シールドしたものであり、アンテナユニット130は直方体形状である。この結果、ダイポールアンテナ基板131の両側を直方体形状の誘電体板132ではさんだ(積層した)誘電体積層体の四方周囲を導体シールドで覆うことにより、隣接アンテナ間の相互誘導・干渉を低減することができる。従って、多数の受信器を並べてもクロストークの少ない受信が可能となる。誘電体積層ダイポールアンテナを並べたときにも、隣接するアンテナとの干渉を十分に低減でき、十分な受信感度を確保できる。ダイポールアンテナ135およびダイポールアンテナ135に給電するマイクロトリップライン(配線層)137はダイポールアンテナ基板(プリント基板)131に形成されている。ダイポールアンテナ135とマイクロトリップライン(配線層)137の交点をO1としたとき、ダイポールアンテナ135はX方向に延伸する直線状の配線(銅電線)パターンである。
アンテナユニット130の前方側面130−S1は導電体シールドで覆われていない面で、アンテナ基板131の側面(端面と言った方が良い)および誘電体板132の側面が露出する面であり、さらにダイポールアンテナ基板(プリント基板)131に形成されたダイポールアンテナ135に近い側にあるダイボールアンテナ135に平行な面である。従って、アンテナユニット130の前方側面130−S1からマイクロ波が放射・受信され得る。ダイポールアンテナ135はアンテナ基板131の端面に平行に配置されている。従って、アンテナ基板131および誘電体板132の側面130−S1の長辺方向がX方向となる。またアンテナ基板131および誘電体板132の側面130−S1の短辺方向(Y方向)はダイポールアンテナ135の延伸方向(X方向)に対して垂直である。すなわち、Y方向は、ダイポールアンテナ基板131および誘電体板132の厚み方向であり、アンテナユニット130の幅方向となる。ダイポールアンテナ基板131の縦(図の後)方向はZ方向となり、X方向およびY方向に垂直である。誘電体基板132の後方には、受信回路や照射回路を備える枠体181およびベース部182が配置される。枠体181およびベース部182は少なくとも表面部分が金属等の導電体で形成された直方体形状をしている。
アンテナユニット130の側面130−S1の両側の側面130−S2および130−S4はシールド板133で被われている。アンテナユニット130の側面(アンテナ面と言っても良い)130−S1の対面130−S3側は、枠体181およびベース部182が配置されており、またアンテナ135から離れているので、シールド板133で被われていなくても良い。また、アンテナユニット130の上面130−Uおよび底面130−Bもシールド板133で被われている。シールド板は導電体で形成されている。このように本発明で使用するアンテナユニット130はアンテナ135が面している面以外の5面が電磁シールド板133等で被われているので、多数のアンテナユニットを並べて配置しても隣接アンテナ間の相互誘導・干渉を低減できる。また、誘電体板132やアンテナ基板131の誘電率は乳房容器の誘電率と同様に乳房の脂肪組織と同じ誘電率であることが望ましい。たとえば、誘電体として、FRP(ガラス繊維強化プラスチック,比誘電率:約4.5)を使用することも可能である。さらに全く同じ誘電率にするためには、二酸化チタンなどの高誘電体を練り込んだ樹脂を用いる方法もある。
図9は、ダイポールアンテナが形成されたアンテナ基板(プリント基板)を示す図である。図2ではアンテナ基板131の片側(片面)M1に形成されたダイポールアンテナ135およびマイクロストリップライン137だけを示しているが、図3ではその裏面M2に形成されたダイポールアンテナ136および地導体139も示す。M2面に形成された地導体139とダイポールアンテナ136はO2で接続しており、ダイポールアンテナ136はO2でX方向に延伸し直線状であり、M1面に形成されたダイポールアンテナ135と延伸方向が逆であるが、ほぼ等しい長さqで形成されている。ダイポールアンテナ136と地導体139との間にはテーパ形バラン138が設けられて、ダイポール136は地導体139に対してテーパ形バラン138を介して電気的に接続されている。前記テーパ形バラン138は、図9に示すように、直線状にZ方向に延びるマイクロストリップライン137を基準として線対称状に形成されている。また、M1面側のO1とM2面側のO2はほぼ同じ位置に配置されており、O1とO2の中心位置(アンテナ基板131の厚みの1/2の所)がダイポールアンテナ135および136の中心となる。ダイポールアンテナ135および136から誘電体基板131の前端面までの距離をpもほぼ等しい。このpは、ダイポールアンテナが導体シールド50に潜る深さを表している。
導体壁133で覆うことで、ダイポールアンテナ135は導波管134の中に入ることになる。したがって、誘電体の比誘電率(ε)と導体内径(ダイポールと平行な方向の長さ:a)で決まるカットオフ波長(λ=2ε1/2a)より長い波長の電磁波はカットオフされる。しかし、実際はエヴァネッセント波となってある程度の深さまでは浸透する。図3に実測例を示す。図3は本発明の誘電体積層ダイポールアンテナによるシールド深さと減衰量の関係を示す図である。Lはシールド先端からダイポールアンテナまでの距離である。ダイポールがシールドの奥に入るほど感度は下がる。しかし、二次放射も同様に下がるので、本発明の誘電体積層ダイポールアンテナはクロストークの少ない測定が可能になる。
従来のマイクロ波CTでは、照射アンテナと受信アンテナを対にしてスキャンするのでクロストーク問題は発生しないが、測定時間が長くなる。仮に32周波数を用いると、全測定点回数は、32×31×32=31744回となる。スイッチング時間を1msecとすると32秒もかかる。被験者が息を止めて居られる時間はせいぜい10秒程度であるから、時間がかかり過ぎる。これに対して、本発明では、被検体の周囲に多数の受信アンテナを配置して、全受信アンテナによる同時受信を行うので、測定時間が大幅に短縮される。前述の例であれば、1秒で測定可能である。また、受信アンテナ数に制限がないので、受信点を増やすことにより精度を上げることができる。さらに、同じスイッチング時間ならば、周波数点を増やすことにより精度を上げることもできる。
照射器のアンテナは電磁波が放射されなくてはいけないのでシールドの外にある。しかし、不要な放射を防止したり、送信器内蔵の電子回路を保護したりするために、ある程度のシールドがあることが望ましい。マイクロ波発生器とスイッチで切り離されているとき、反射がおきないように、適正なインピーダンスで終端処理する。アンプあるいはサーキュレータにより常に適正なインピーダンスで終端処理することも可能である。
図4は、本発明のアンテナ容器を示す図である。本発明のアンテナ容器128は直方体形状をしており、その中に直方体形状の被検体容器である乳房を入れる乳房容器115が配置される。乳房容器115は乳房120が入る半球状または凹曲面状の窪み129が形成されている。乳房容器115を構成する材料は乳房120と同程度の誘電率(ε)と導電率(σ)を有する材料(誘電体)が良い。液体誘電体は高周波損失が大きいので、固体誘電体が望ましい。乳房の誘電率や導電率は周波数によって異なるので、使用する周波数を有するマイクロ波に対して適切な材料を選定する。乳房120と乳房容器115の凹曲面状の容器壁に隙間ができると反射が大きくなるので、乳房120は乳房容器115の凹曲面状の容器壁に密着しているのが良い。乳房120の大きさや形状は人により千差万別であるから、5〜30種類の乳房容器115を用意して、その乳房の大きさや形状に合わせて交換することもできる。さらに、乳房の誘電率や導電率と同程度の布や弾力性のある(乳房と同じ特性を有する)脂肪状の物体を乳房にあてて隙間を調整するのも良い。あるいは、凹曲面状の窪み部129に減圧用の吸引穴を設けて隙間部分を吸引することによって乳房120と乳房容器115の窪み部の容器壁を密着させても良い。
乳房容器115の形状は底面および4側面が平面状の直方体形状が良く、(上面は乳房が入る半球状または凹曲面状の窪み120が形成されている)それら5面の平面に対して照射器116および受信器117を複数(多数)並べて配置する。照射器116のマイクロ波照射方向は5面の平面に対して垂直になるように配置する。また、受信器117の受信方向も5面の平面に対して垂直になるように配置する。このように配置することにより、不要な反射を減少させることができるとともに乳房容器115および乳房129への照射や受信を効率的に行なうことができる。
本発明のマンモグラフィ装置に使用する受信器は図2および図8に示したアンテナユニット(誘電体積層ダイポールアンテナ)130である。このアンテナユニット130のシールド板がなく誘電体132の側面およびアンテナ基板の側面が露出したアンテナ側面(アンテナ面)130−S1を直方体形状の乳房容器115の各側面および底面に接する(密着する)ように配置する。すなわち、アンテナ側面130−S1は乳房容器115の各側面および底面と平行になる。従ってアンテナ基板に形成されたダイポールアンテナ135および136(の延伸方向)も乳房容器115の各側面および底面と平行になる。これにより、ダイポールアンテナ135および136のマイクロ波の送受信方向は乳房容器115の各側面および底面に対して(略)垂直になる。このように配置することにより、不要な反射波の送受信を減少させることができるとともに、乳房容器115および乳房120からの散乱波の受信を精度良く効率的に行なうことができる。
照射器116や受信器117の構成材料も反射を乳房と同程度とするために、乳房と同程度の特性(特に誘電率および導電率)を持つ材料が良い。アンテナ容器については、高周波損失が大きい方が不要な反射が減るので望ましい。アンテナ容器の誘電率は、乳房容器やアンテナと同一である必要は無いが、不要な反射をできるだけ防止する観点から誘電率が近い方が望ましい。本発明のマイクロ波マンモグラフィの電磁波計算において、マイクロ波トモグラフィ計算、たとえば、FDTD法(Finite-difference time-domain method)などの数値計算によってマイクロ波電磁界を計算し、受信信号の計算と実測が一致するように物体内の誘電率や、導電率(電気抵抗率)、透磁率などの電気的パラメータの空間分布を決定する。異物があればそれらの電気的パラメーター(電気定数)の相違から癌組織を判別できる。この場合、検出部の受信アンテナも前記数値計算時の長方形状メッシュ122(図1)に組み込まれるが、本発明では、双極子(ダイポール)アンテナ及びシールド部材、誘電体も線状及び面状で構成されており、3次元断面マイクロ波マンモグラフィの電磁波計算にとって好都合である。従って、FDTD法を使用する場合は、乳房容器やアンテナ容器の形状は直方体形状が良い。
マイクロ波マンモグラフィでは、照射波の位相と比較することで受信波の位相を測定する。周波数が低ければ、受像器の信号を照射波の周波数と同じ受信波とし、直接照射波の位相と比較することも可能である。周波数が高ければ、受像器ではヘテロダイン検波を行い、出力信号は中間周波数波となる。この場合、位相を中間周波数波と参照周波数波との比較で得る。そのため、照射波、局部発振波、参照周波数の位相が合っていることが重要である。位相は、差周波数との位相差を検出するため、照射波の位相のゆらぎは測定精度を大きく損なうので、それらの生成を行う発振器が重要である。具体的には以下に(図5および図6に)示す二つの方式(和周波数方式、差周波数方式)が考えられる。
図5は、和周波数方式発振器の一例を示す図である。この和周波数方式は、固定周波数の参照波発振器と可変周波数の局部発振器を組み合わせて、照射波を生成する方式である。水晶発振器などの周波数固定発振器142で差周波数を発生することで、位相ゆらぎを無くすことができるなどの特徴がある。和周波数生成器143内では局部発振器141で発生させた局部発振波(周波数:ωLO)と参照波発振器142で発生させた参照波(周波数:ωR)をアップコンバータ144で和周波数(周波数:ω)を生成する。アップコンバータでは差周波数成分も当然発生し、それが誤差となる。そこで、周波数フィルタの中心周波数を周波数フィルタ145で取り除く。固定周波数であれば周波数スキャン範囲は限られる。周波数を広範囲にスキャンする場合は、周波数フィルタ145の中心周波数を局部発振周波数と連動させるなどの照射波の周波数の純度を上げる工夫が必要となる。局部発振器を周波数掃引することで照射波の周波数掃引を行うことができる。
図6は、差周波数方式発振器の一例を示す図である。この差周波数方式は、両方可変周波数の局部発振器152と照射波発振器151とを組み合わせて、差周波数生成器153で参照波(周波数:ωR)を生成する方式である。周波数掃引する時には、照射波発振器151と局部発振器152とを同時に周波数掃引する。位相を固定するために、局部発振器151と照射波発振器152のベース周波数を共通にし、帰還制御で位相と周波数とを安定化する。
上述したように周波数掃引する方法もあるが、多周波数を同時に送受信することも可能であり、より高速な測定が可能となる。多周波数発生器および多周波数信号処理可能な多周波数同時送受信型の具体例として、たとえば以下に示す二つの方式を挙げることができる。
図7は、和周波数方式の多周波数発生器および多周波数信号処理の一例を示す図である。和周波数方式の多周波数発生器154ではn個の中間波発振器152から発生させた固定周波数の中間波(周波数:ωj, j=1,…, n)に参照発振器153から発生させた参照波(周波数:ωR)をアップコンバートする。アップコンバータ内ではバンドパスフィルタで差周波数を除去し和周波数のみを取り出す。それをさらにLO波とアップコンバートする。最後に、パワーコンバイナで一本にまとめることでn個の周波数を同時に含む照射波を生成する。照射波は照射アンテナに送る。被写体からの散乱波は受像器で同時に受信する。受信信号は周波数分離器155内で中間波152と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数にして、参照波との位相比較により位相検出を行う。
図8は、差周波数方式の多周波数発生器および多周波数信号処理の一例を示す図である。固定周波数の基準信号発生器164で基準信号を生成する。これをLO波発振器161、n個のRF波発振器162、参照波発振器(周波数:ωR)163に入力し、基準信号発生器164により全ての発振器の同期をとる。n個の固定周波数のRF波をパワーコンバイナで一本にまとめることで照射波を生成し、照射アンテナに送る。LO波と各RF波をダウンコンバータにより中間波(周波数:ωj, j=1,…, n)を生成する。バンドパスフィルタで和周波数を除去し差周波数のみを取り出す。被写体からの散乱波は受像器で同時に受信する。受信信号は周波数分離器165内で中間波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数にして、参照波との位相比較により位相検出を行う。
図10は、誘電体積層ダイポールアンテナのプローブ電極形状の種々の例を示す図である。図10において、プリント基板の表面側電極を黒塗りパターンで、プリント基板の裏面側電極を斜線パターンで示す。プリント基板の表面のダイポールアンテナ(のプローブ電極)204はマイクロストリップライン203につながり、裏面のダイポールアンテナ(のプローブ電極)205は(裏面)バラン202によって幅広になって接地面につながる。ダイポールアンテナはプローブ電極の長さが波長の半整数倍の電波に強い感度がある。すなわち飛び飛びの周波数毎に、狭い範囲の周波数に感度がある。これでは、広い周波数帯域を要求するようなマイクロ波マンモグラフィの場合には使えない。そこで、図10に示すように、プローブ電極形状を変えることで周波数帯域を広げることができる。プローブ電極形状は、標準形では長方形状の細い幅である(図10(a))が、幅広にすると感度幅が広がる(図10(b))。プローブ電極をジグザグにして長くすると感度が低周波数側に移動する(図10(c))。プローブ電極を外側にV字形に広げると感度のピークは下がるが、低周波数側および高周波数側に感度が広がる(図10(d)〜図10(h))。また、切り込みを入れるとさらに低周波数側に感度が広げることができる(図10(g)、図10(h))。
プローブ電極203および204の形状は、図10(a)では細長い長方形状(標準形という)であり、図10(b)ではプローブ電極中心交点O(表面・裏面プローブ電極とマイクロストリップライン・バランとの交点(接続部))がくびれた(細くなった)幅広の長方形状(幅広形という)、図10(c)ではジグザク状(またはS字状または渦巻き状)の矩形状パターン(ジグザク形という)、図10(d)ではプローブ電極中心交点Oに対して外側が幅広で上方にV字形状の(外側に幅が広がった)三角形パターン(外V形という)、図10(e)ではプローブ電極中心交点Oに対して外側が幅広で上方に曲線的にV字形状の(外側に幅が広がった)パターン(外開き曲線形という)、図10(f)ではプローブ電極中心交点(接続部)Oに対して外側が幅広で上下方ともV字形状の(外側に幅が広がった)三角形パターン(リボン形という)、図10(f)では外V形に切り込みを入れた三角形パターン(切り込み付きV形という)、図10(h)ではリボン形に切り込みまたはS字形状パターン(切り込み付きリボン形という)など種々の形状を取ることができる。
図10に示す種々のプローブ電極形状を用いて周波数帯域幅を調査した。マンモグラフィで使用する周波数は1〜6GHzである。使用したダイポールアンテナの大きさは、縦25mm、アンテナプローブ電極長さ21mmである。図10(a)の標準電極形状では、感度領域の下限が2.6GHz、上限が6.2GHz(3.5, 4.3, 5, 6GHzを中心に幅0.4GHz)で周波数的に狭く(ほとんど線)、感度は1.3GHzであった。図10(b)のように、電極幅を広げると、1.3GHzの感度が上がり、各ピークの帯域がやや広がる。図10(c)のように、ジグザグにすると、下限が2GHzに下がるなど、全体的に低周波側に移動する。図10(d)のように、前方にV字形に開くと、各ピークの帯域が大きく広がり、フラットな特性に近づく。低周波数側は2.4GHzに下がり、それ以下の周波数でも感度ピーク(幅0.1GHz)が0.8, 1.3, 1.8, 2.1GHzに現れ、さらに、前方V字形を深くすると高周波の感度が(2-3dB)上昇するだけでなく、フラットな低周波数側も2GHzに広がる。図10(e)のように、V字形状を曲線とすることで低周波数側の帯域が1.2GHzまで広がり、深いV字形では残っていた3〜7GHzでのディップが浅くなり、よりフラットな特性となる。また、切れ込みをいれてジグザグにすると低周波数側が1.9GHzに下がり、さらにそれより低周波数のピークの幅が広がり、1.3GHzからほぼフラットとなる(図10(h))。以上のように、乳房の周りに受信器(誘電体積層ダイポールアンテナ)を配置するので、余りアンテナを大きくできないことから、特に低周波数(1GHz程度)側を測定するには図10に示すような電極形状の工夫が必要である。
以上詳細に説明した様に、本発明は被検体である乳房を配置する被検体容器、被検体容器を配置するアンテナ容器、被検体容器の周囲に配置された複数のマイクロ波照射器、および複数の受信器を含むマイクロ波マンモグラフィ装置であって、被検体に対して、前記複数のマイクロ波照射器から周波数を変えながら順次マイクロ波を照射し、被検体からの散乱波を複数の受信器で同時受信して、当該散乱波の強度および位相から被検体の異物(の位置および大きさ)を検出することを特徴とするマイクロ波マンモグラフィ装置であり、高速で精度の良い測定を実現できる。尚、本明細書において、明細書のある部分に記載し説明した内容について記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることは言うまでもない。さらに、前記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が前記実施形態に限定されないことも言うまでもない。
本発明のマイクロ波マンモグラフィ装置は、乳房だけでなく同一組織内の異物検査にも適用できる。
111・・・マイクロ波発生器、112・・・分配器、113・・・分配器、
114・・・スイッチ、115・・・被検体容器(乳房配置容器)、
116・・・照射器、117・・・受信器、118・・・照射波、
119・・・散乱波、120・・・乳房、121・・・異物、122・・・メッシュ、
123・・・IFアンプ、124・・・パワー検出器、125・・・位相検出器、
126・・・デジタイザ、127・・・コンピュータ、

Claims (15)

  1. 被検体である乳房を配置する被検体容器、被検体容器を配置するアンテナ容器、被検体容器の周囲に配置された複数のマイクロ波照射器、および複数の受信器を含むマイクロ波マンモグラフィ装置であって、被検体に対して、前記複数のマイクロ波照射器から周波数を変えながら順次マイクロ波を照射し、被検体からの散乱波を複数の受信器で同時受信して、当該散乱波の強度および位相から被検体の異物(の位置および大きさ)を検出することを特徴とするマイクロ波マンモグラフィ装置。
  2. 前記マイクロ波マンモグラフィ装置は、さらに、マイクロ波発生器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、コンピュータを含み、
    マイクロ波発生器では、三種類の高周波{照射波(周波数:ωRF)、局部発振波(周波数:ωLO)および参照波(周波数:ωR)}を発生し、ここでωR=|ωLO−ωRF|の関係を有し、
    照射波は、被検体容器(乳房配置容器)の周囲に配置された複数の照射器に供給され、照射器から照射されたマイクロ波は、被検体容器に配置された被検体に照射され、
    受信器において受信した被検体からの散乱波は局部発振波(周波数:ωLO)と周波数混合して中間周波数波(周波数:ωR)が生成され、
    パワー検出器は中間周波数波の振幅(強度)を検出し、
    位相検出器は、中間周波数波と参照波の位相差(位相信号)を検出し、
    強度と位相信号はデジタイザによりコンピュータに取り込まれて、被検体の異物を検出することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  3. 前記マイクロ波マンモグラフィ装置は、さらに、n個の中間波発振器、参照発振器、局部発振器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、コンピュータを含み、
    n個の中間波発振器から発生させたn個の固定周波数の中間波(周波数:ωj, j=1,…, n)に参照発振器から発生させた参照波(周波数:ωR)をアップコンバートし、バンドパスフィルタで差周波数を除去した和周波数波を、さらに局部発振器で発生した局部発振波とアップコンバートし、パワーコンバイナで一本にまとめることでn個の周波数を同時に含む照射波を生成し、前記照射波は照射器から照射され、
    被写体からの散乱波は受像器で同時に受信され、前記中間波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数にされ(散乱波中間周波数波)、
    パワー検出器は前記散乱波中間周波数波の振幅(強度)を検出し、
    位相検出器125は、前記散乱波中間周波数波と参照波の位相差(位相信号)を検出し、
    強度と位相信号はデジタイザによりコンピュータに取り込まれて、被検体の異物を検出することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  4. 前記マイクロ波マンモグラフィ装置は、さらに、基準信号発生器、参照発振器、局部発振器、n個のマイクロ波発振器、パワー検出器、位相検出器、デジタイザ、コンピュータを含み、
    基準信号発生器から生成した固定周波数の基準信号波により、参照発振器から生成した参照波、局部発振器から生成した局部発振波およびn個のマイクロ波発振器から生成したn個の固定周波数のマイクロ波の同期をとり、n個の固定周波数のマイクロ波をパワーコンバイナで一本にまとめることで照射波を生成し、前記照射波は照射器から照射され、
    局部発振波とn個の固定周波数のマイクロ波をダウンコンバータにより中間波(周波数:ωj, j=1,…, n)を生成し、バンドパスフィルタで和周波数を除去し差周波数の中間波(差周波数中間波)が取り出され、
    被写体からの散乱波は受像器で同時に受信され、前記差周波数中間波と周波数混合することで、参照波(周波数:ωR)と同じ周波数の中間周波数にされ(散乱波中間周波数波)、
    パワー検出器は前記散乱波中間周波数波の振幅(強度)を検出し、
    位相検出器125は、前記散乱波中間周波数波と参照波の位相差(位相信号)を検出し、
    強度と位相信号はデジタイザによりコンピュータに取り込まれて、被検体の異物を検出することを特徴とする、請求項1に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  5. アンテナ容器には被検体容器を配置する直方体形状の凹部が備わり、被検体容器はその凹部に嵌合する直方体形状をなし、被検体容器をアンテナ容器の凹部に配置したときに、外側にくる面において、乳房に合わせた形状の窪みが形成されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  6. 被検体容器は、乳房の形状に合わせて交換可能であることを特徴とする、請求項5に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  7. 被検体容器の乳房に合わせた窪み部に、乳房と被検体容器の窪み部とを密着させる減圧用の吸引穴が備わっていることを特徴とする、請求項5または6に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  8. 前記複数の照射器および受信器は、アンテナ容器の凹部に配置された被検体容器の周囲である4側面および底面に密着するようにして、アンテナ容器の凹部に面して配置されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  9. 照射器からのマイクロ波の照射方向は被検体容器の各面と垂直になるように配置することを特徴とする、請求項8に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  10. 受信器は、ダイポールアンテナが形成された基板の両側を誘電体板で挟み、その四方周囲を導体シールドで囲んだ(直方体体形状の)受信器(誘電体積層ダイポールアンテナ)であり、導体シールドのない面の側にダイポールアンテナが当該面と平行に形成されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  11. 前記導体シールドのない面が前記被検体容器の各面に面しているとともに、ダイポールアンテナの方向は被検体容器の各面と平行になるように、前記受信器がアンテナ容器の凹部に配置されていることを特徴とする、請求項10に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  12. ダイポールアンテナの形状は、基板表裏に形成されたダイポールアンテナの接続部から外側に幅広に広がる形状および/またはS字形状パターンであることを特徴とする、請求項10または11に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  13. マイクロマンモグラフィの強度および位相を決定する電磁波計算のアルゴリズムにおいて、FDTD法(Finite-difference time-domain method)を使用することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  14. 被検体容器の誘電率は乳房の誘電率と同じか近似した誘電率を持つ固体誘電体であることを特徴する、請求項1〜13のいずれか1項に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
  15. アンテナ容器は高周波損失が大きい材料で構成されていることを特徴する、請求項1〜14のいずれか1項に記載のマイクロ波マンモグラフィ装置。
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