JP2017157014A - 画像処理装置、画像処理方法、画像処理システムおよびプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像を生成する画像分解部13と、見本となる画像である見本画像に照明成分を反映させ、照明成分を反映後の見本画像を原画像に対し合成する画像合成部15と、を備える画像処理装置10。
【選択図】図2
Description
本発明は、原画像の照明(陰影)成分を用いた制御を行うことで、これを用いない場合に比べて、より高度な質感の制御を行なうことができる画像処理装置等を提供することを目的とする。
請求項2に記載の発明は、前記画像合成部は、前記見本画像の画素値に前記照明成分を乗ずることで当該見本画像に当該照明成分を反映させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項3に記載の発明は、前記照明成分の反映の程度を定める制御因子によりさらに当該照明成分を調整する画像処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置である。
請求項4に記載の発明は、前記見本画像は、ランダムノイズを基に生成された画像であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置である。
請求項5に記載の発明は、原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像と反射率成分画像とを生成する画像分解部と、前記照明成分画像の陰影を制御する画像処理を行なう画像処理部と、前記画像処理部により画像処理後の画像を合成する画像合成部と、を備える画像処理装置である。
請求項6に記載の発明は、前記画像処理部は、ランダムノイズを基に生成された画像を使用して前記照明成分画像の陰影を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置である。
請求項7に記載の発明は、前記画像処理部は、ランダムノイズの周波数と方位とを制御した画像を使用して前記照明成分画像の陰影を制御することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置である。
請求項8に記載の発明は、前記画像処理部は、予め定められた範囲外の画像の前記照明成分画像を使用して当該予め定められた範囲内の画像の当該照明成分画像の陰影を制御する画像処理を行なうことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置である。
請求項9に記載の発明は、前記画像処理部は、前記照明成分画像または前記反射率成分画像から鏡面を表す鏡面成分を生成し、前記画像合成部は、鏡面成分をさらに付加して画像を合成することを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の画像処理装置である。
請求項10に記載の発明は、前記画像合成部は、周囲の環境光を表す環境光成分をさらに付加して画像を合成することを特徴とする請求項5乃至9の何れか1項に記載の画像処理装置である。
請求項11に記載の発明は、前記画像分解部は、見本となる画像である見本画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、当該見本画像に対する照明成分画像と反射率成分画像とを生成し、前記画像処理部は、前記見本画像の照明成分を前記原画像の照明成分に反映させる処理、および前記見本画像の反射率成分を前記原画像の反射率成分に反映させる処理の少なくとも一方を行なうことを特徴とする請求項5乃至10の何れか1項に記載の画像処理装置である。
請求項12に記載の発明は、前記画像処理部は、前記照明成分、前記反射率成分、前記鏡面成分および前記環境光成分の少なくとも1つに対し、画像上での位置をずらす処理を行なうことを特徴とする請求項10または11の何れか1項に記載の画像処理装置である。
請求項13に記載の発明は、原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像を生成し、見本となる画像である見本画像に前記照明成分を反映させ、当該照明成分を反映後の当該見本画像を原画像に対し合成する画像処理方法である。
請求項14に記載の発明は、画像を表示する表示装置と、前記表示装置に表示される前記画像の画像情報に対し画像処理を行なう画像処理装置と、を備え、前記画像処理装置は、原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像を生成する画像分解部と、見本となる画像である見本画像に前記照明成分を反映させ、当該照明成分を反映後の当該見本画像を原画像に対し合成する画像合成部と、を備える画像処理システムである。
請求項15に記載の発明は、コンピュータに、原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像を生成する画像分解機能と、見本となる画像である見本画像に前記照明成分を反映させ、当該照明成分を反映後の当該見本画像を原画像に対し合成する画像合成機能と、を実現させるプログラムである。
請求項2の発明によれば、原画像の質感をより保持しやすくなる。
請求項3の発明によれば、ユーザが仕上げたいと思っている質感になるように制御することができる。
請求項4の発明によれば、見本画像の選択の自由度がより向上する。
請求項5の発明によれば、原画像の照明(陰影)成分を用いた制御を行わない場合に比べて、より高度な質感の制御を行なうことができる画像処理装置を提供できる。
請求項6の発明によれば、陰影テクスチャをより簡単な方法で作成することができる。
請求項7の発明によれば、周波数と方位を反映した陰影テクスチャを作成することができる。
請求項8の発明によれば、予め定められた範囲内の画像の質感を予め定められた範囲外の画像の質感にすることができる。
請求項9の発明によれば、質感の制御として鏡面を生成することができる。
請求項10の発明によれば、質感の制御として環境光を反映させることができる。
請求項11の発明によれば、ユーザが指定した質感の制御を行なった見本画像を反映させることができる。
請求項12の発明によれば、質感の制御として奥行きを表現することができる。
請求項13の発明によれば、より高度な質感の制御を行なうことができる画像処理方法を提供できる。
請求項14の発明によれば、より高度な画像処理が行える画像処理システムが提供できる。
請求項15の発明によれば、より高度な質感の制御を行なうことができる機能をコンピュータにより実現できる。
図1は、本実施の形態における画像処理システム1の構成例を示す図である。
図示するように本実施の形態の画像処理システム1は、表示装置20に表示される画像の画像情報に対し画像処理を行なう画像処理装置10と、画像処理装置10により作成された画像情報が入力され、この画像情報に基づき画像を表示する表示装置20と、画像処理装置10に対しユーザが種々の情報を入力するための入力装置30とを備える。
また画像処理装置10と入力装置30とは、例えば、USB(Universal Serial Bus)を介して接続されている。なお、USBに代えて、IEEE1394やRS−232C等を介して接続されていてもよい。
[第1の実施形態]
次に画像処理装置10の第1の実施形態について説明を行なう。
第1の実施形態では、被写体表面の陰影の制御を行なう場合について説明を行なう。また被写体表面の色度を制御する場合について説明を行なう。
図示するように本実施の形態の画像処理装置10は、画像情報取得部11と、ユーザ指示受付部12と、画像分解部13と、画像処理部14と、画像合成部15と、画像情報出力部16とを備える。
具体的には、ユーザ指示受付部12は、表示装置20で表示している画像に対してユーザが行なう画像処理の指示をユーザ指示情報として受け付ける。
また反射率成分は、照明に依存しない被写体表面の画像成分であり、色度により定義することができる。よって反射率成分は、色度の情報として表され、ベクトル量である。
照明成分の推定は、例えば、Retinexモデルの考え方を適用することができる。人の視覚系では、シーンの絶対な輝度値よりも周囲との対比によって各領域の明るさを知覚することが知られている。このことは、下記文献に記載されている。
そこで本実施の形態では、原画像の各画素の画素値をI、照明成分をS、反射率成分をRとし、以下の数1式により画素値Iを照明成分Sと反射率成分Rに分解する。
この場合数3式は、例えば、下記数4式となる。数4式のWnは加重を表す。Wnの最も簡易な表し方としては、1/Nとすればよい。
例えば、照明光は、空間的に滑らかであるという仮説が下記文献に記載されている。
また図4(a)〜(b)は、以上のような方法により求めた照明成分Sを表す図である。
ただし、画像から照明成分Sと反射率成分Rを推定することは、不良設定問題となり、厳密な正解を算出することは困難である。またアルゴリズム内での照明成分Sの定義にもよる。
しかし被写体の照明成分Sは、大体は、図4の(a)または(b)のような画像(照明成分画像)として算出される。つまり図4の(a)と(b)とでは、輪郭部において差異が生じるものの被写体の陰影についての情報が抽出される。または、輪郭などの情報を強めに残すために、この図4(a)および図4(b)の画像の積で表されるような画像を照明成分Sとしてもよい。
反射率成分Rは、RGBベクトルであり、被写体の色度を表すものとなる。本実施の形態では、反射率成分Rを下記数6式で表す。
図示するように陰影による立体の情報は照明成分Sによるものなので除去されていることがわかる。RGBは、階調値であり、8bitで表す場合、通常0〜255の整数値であるが、本実施の形態のように、照明成分Sや反射率成分Rを算出する場合は、計算上は0〜1の範囲で統一する方が容易である場合もある。または、原画像の画素値Iと照明成分(陰影成分)Sとは、0から255の範囲で表し、反射率成分Rのみを0〜1の範囲で表してもよい。
ここでは、照明成分画像に対し画像処理を行なう場合についてまず説明を行なう。
本実施の形態では、画像処理部14は、照明成分画像の陰影を制御する。即ち、画像処理部14は、被写体に照射された照明光の成分である照明光成分を制御し、被写体の表面に対応する部分に、照明により生じる明るい部分と暗い部分とを新たに作り出す。その結果、被写体表面の凹凸感や形状などの質感を変化させる。また本実施の形態では、質感の要因となる成分を生み出すことが特徴点として挙げられる。この成分は、例えば、ランダムノイズを基に生成された画像である。画像処理部14は、ランダムノイズを基に生成された画像を使用して照明成分画像の陰影を制御し、被写体表面の質感を変化させる。なお照明成分画像に対し陰影の制御を行ない、画像処理を行なった後の画像を以後、「陰影制御画像」と言うことがある。
DOGフィルタは、特定の周波数帯域に反応する人間の脳内における視覚特性の数学的モデルとしても知られており、以下の数8式で表される。DOGフィルタは、DOG関数をベースにしたフィルタである。
さらに図7(c)〜(f)は、方位として回転角φを0°、45°、90°、135°としたときのそれぞれの方位選択性DOGフィルタである。
図8は、ランダムノイズを画像化し、ランダムノイズ画像とした図である。
また図9は、図8のランダムノイズ画像に数10式を適用した結果、生成された陰影テクスチャ画像を示した図である。
なお図9では、ランダムノイズ画像に図7(e)で示した回転角φが90°の方位選択性DOGフィルタを適用している。
図10(a)〜(b)の陰影テクスチャ画像は、図9に示したものに対し、数9式で示したσx、e、σx、i、σyの各パラメータを変更したものである。DOGフィルタは任意の周波数帯域への反応に優れ、同様のランダムノイズ画像を用いても、数9式で示したσx、e、σx、i、σyの各パラメータの組み合わせによって、ノイズのぼかしや引き延ばしが可能である。その結果、多彩な陰影テクスチャ表現が可能となる。つまり画像処理部14は、ランダムノイズの周波数と方位とを制御した画像を使用して照明成分画像の陰影を制御する。
ここで図11−1(a)は、図9と同様の陰影テクスチャ画像を示した図である。また図11−1(b)は、数13式を用いて、この陰影テクスチャ画像を歪ませた場合を示した図である。
図11−1(b)の陰影テクスチャ画像は、図11−1(a)の陰影テクスチャ画像を歪ませたものとなる。
このように陰影テクスチャ画像を変形させることで、新たに生成した陰影の質感は、よりリアルなものとなる。
図示するように被写体(オブジェクト)の表面の陰影が制御され、被写体(オブジェクト)の質感が変化する。
図12は、図4(b)で示した照明成分画像のトーンカーブを変化させ、陰影制御画像を作成した場合を示した図である。
図示するように凹凸感が強調された画像が作成される。
図示するように図11の画像に対し、凹凸感や陰影が強調された画像が作成される。
上述したように本実施の形態では、反射率成分Rは、被写体の色度を表す。本実施の形態では、色度に関する特性を制御し、その結果、反射率成分画像に対し色度を追加または除去する。なお反射率成分画像に対し色度の制御を行ない、画像処理を行なった後の画像を以後、「色度制御画像」と言うことがある。
図15(a)に示した反射率成分画像は、図5と同様の図であり、色情報が消去される前の画像である。そしてユーザが図14に示した操作を行なうと、図15(a)に示した反射率成分画像の色情報が一部消去され、図15(b)で示した色度制御画像になる。
図17は、ユーザが図14に示した操作を行なった後に、図16の操作を行なった場合を示している。図15(b)の色度制御画像に対し、図17に示した色度制御画像は、模様の色情報が埋め込まれているのがわかる。
画像上で、余分な色情報を消したり、追加したい色情報の描画を行った場合は、実シーンで被写体に塗装したような結果を得ることができる。
図18(a)〜(b)は、画像合成部15により画像処理後の画像を合成した場合の例を示した図である。
このうち図18(a)は、図3で示した原画像と同様の図である。
また図18(b)は、図11の陰影を制御後の陰影制御画像と、図5に示す反射率成分画像を、数1式により合成した場合を示している。図示するように被写体表面の質感、即ち、陰影の凹凸に関わる特性を制御した画像を得ることができる。
このうち図19−1(a)は、図3で示した原画像と同様の図である。
また図19−1(b)は、ユーザが図14で示した操作を行なった後の画像である。つまり図18(b)の画像に対し、陰影制御画像の色情報が一部消去された画像となる。
このうち図19−2(a)は、図3で示した原画像と同様の図である。
また図19−2(b)は、ユーザが図16で示した操作を行なった後の画像である。つまり図19−1(b)の画像に対し、色情報を埋め込む処理がされた画像となる。
このとき数15式は、下記数16式となる。この場合、画像処理部14が、反射率成分Rに対し、画像上での位置をずらす処理を行なう。そして画像合成部15が、画像処理部14により画像処理後の画像を合成する。これにより反射率成分Rを利用しても歪みを表現できる。
従来は、照明成分S0を考慮していなかったため、陰影についての情報が反映されず、質感を表現することが難しかった。本実施の形態では、陰影についての情報を有する照明成分S0の概念を導入し、これを操作することにより質感の表現をより容易かつ多彩とすることができる。また本実施の形態では、陰影テクスチャ画像を原画像に反映させることができ、原画像中で陰影テクスチャ画像を再現することができる。
そしてΔx、Δyを利用して陰影テクスチャ画像の成分Sdや反射率成分Rdに対し、画像上での位置をずらす処理を行なうことで3次元の表現についてもより容易かつ多彩とすることができる。
このうち図20(a)は、被写体(オブジェクト)が、ある質感をもつ台の上に置かれている場合を示している。そしてこの被写体(オブジェクト)を切り抜き、この被写体(オブジェクト)に対する新たなテクスチャとして、被写体(オブジェクト)の背景に相当する部分(周辺領域)の陰影テクスチャ画像の成分Sdを生成し、これを切り抜いた被写体(オブジェクト)の部分に反映させることができる。
この例では、画像処理部14は、予め定められた範囲外(この場合、被写体(オブジェクト)の背景である周辺領域)の画像の照明成分画像を使用して予め定められた範囲(この場合、被写体(オブジェクト)の領域)内の画像の照明成分画像の陰影を制御する画像処理を行なう、と捉えることができる。
次に画像処理装置10の第2の実施形態について説明を行なう。
第2の実施形態では、被写体表面に鏡面を生成する場合について説明を行なう。また被写体表面に環境光の色等の追加を行なう場合について説明を行なう。
照明成分画像は、物体の陰影成分を抽出したものであるから、光の強度を強調することで正反射成分を生み出すことができる。その1つの方法としては、照明成分画像に対し数8式で示したDOGフィルタを使用し、高周波側を抽出する処理を行なう。
そして図22は、この成分をさらに強調し、検出した結果を示した図である。
そしてこの成分を鏡面成分とすることができる。また図22のような鏡面成分を検出した画像を以後、「鏡面成分画像」と言うことがある。なお鏡面成分画像は、画像処理部14で生成する。
なお鏡面成分画像は、ここでは照明成分画像から生成したが、反射率制御画像に対し同様の処理を行なうことで生成することもできる。
このうち図23(a)は、図3で示した原画像と同様の図である。
また図23(b)は、鏡面成分画像を合成した図であり、被写体表面に鏡面が生成されていることがわかる。
図24で横軸は、画素値を表し、縦軸は、変換値を表す。
この場合、2つの画素値について突出させる処理を行なっている。この処理は、特定階調付近を抽出し、それ以外はすべて0にしてしまう変換に近いが、このようにすることで、輪郭以外の表面上のどこかを鏡面にできる可能性が高まる。またこの場合、波打つような面を得ることもできる。または、図12の画像を生成できるようなトーンカーブなどを用いて、陰影を変換し、変換前後の陰影で差分をとって、それを鏡面成分としてもよい。
図示するように形状の輪郭に沿わない領域で鏡面が生み出されている。さらに本実施の形態では、鏡面成分に対し数12式〜数13式で説明した処理を行なうことで鏡面成分の画像上における位置を変更し、歪ませてもよい。この場合、画像処理部14が、鏡面成分に対し、画像上での位置をずらす処理を行なう。そして画像合成部15が、画像処理部14により画像処理後の画像を合成する。これにより鏡面成分を利用しても歪みを表現できる。
このうち図26(a)は、図3で示した原画像と同様の図である。
また図26(b)は、鏡面成分画像を合成した図であり、被写体表面に鏡面が生成されていることがわかる。
ここではまず環境光の色を表すカラーベクトルを指定する。このカラーベクトルは、被写体周囲の環境光を表す環境光成分である。このカラーベクトルをC2とすると、画像合成部15は、カラーベクトルC2をさらに付加して画像を合成する。合成された画像の各画素の画素値をI′は、数19式を基にすると、下記数20式で表すことができる。
このうち図27(a)は、図26(b)で示した画像と同様の図である。
また図27(b)は、カラーベクトルC2を合成した図であり、環境光を反映した画像となっている。なおここでは、被写体全体に対し環境光を反映させたが、特定領域に限定して反映させてもよい。さらに本実施の形態では、環境光成分に対し数12式〜数13式で説明した処理を行なうことで環境光成分の画像上における位置を変更し、歪ませてもよい。この場合、画像処理部14が、環境光成分に対し、画像上での位置をずらす処理を行なう。そして画像合成部15が、画像処理部14により画像処理後の画像を合成する。これにより環境光成分を利用しても歪みを表現できる。
次に画像処理装置10の第3の実施形態について説明を行なう。
第3の実施形態では、ユーザが見本テクスチャ画像(見本画像)を与えると、被写体表面のテクスチャが見本テクスチャと同様となる処理について説明を行なう。
第3の実施形態では、画像分解部13は、見本テクスチャ画像を構成する各画素についても照明成分と反射率成分とに分け、それぞれの画像である照明成分画像と反射率成分画像とを生成する。
このうち図28−2(a)は、照明成分画像であり、見本テクスチャ画像の陰影が抽出され、凹凸感が表現されているのがわかる。また図28−2(b)は、反射率成分画像であり、見本テクスチャ画像の色度が抽出されている。
そして画像合成部15は、画像処理部14により画像処理後の画像を合成する。
ここでSdRdはカラーの原画像のテクスチャと等価な意味を持つので、本実施形態では、見本テクスチャの画素ベクトルをITとして、数15式を下記数21式のように表すことができる。
関数Fsは、S0を変換する関数であり、図示する例では、横軸が変換前のS0を表し、縦軸が変換後のS0を表す。
関数Fsが、図29(a)に示すような傾きが1の比例関数である場合は、数21式と等価となる。また関数Fsが、図29(c)に示すような変換後の値が定数1となる定数関数である場合は、見本テクスチャの画素ベクトルITそのものとなる。また関数Fsが、図29(b)に示すような切片を有する一次関数である場合は、図29(a)と図29(c)の間の特徴を有する関数となる。Fsとして、図29(b)に示すような関数を導入することで、質感の表現の幅を広げることができる。
関数fcは、S0を変換する関数であり、図示する例では、横軸が変換前のS0を表し、縦軸が変換後のS0を表す。
また、図30(b)は、図30(a)と類似の関数fcであるが、変曲点や歪みの度合いを変えた様子を表す。
また、図30(d)は、図30(c)と類似の関数fcであるが、変曲点や歪みの度合いを変えた様子を表す。
図30(a)〜(d)で示した関数fcは、形状からわかるように、シグモイド関数、ロジスティック関数、ガンマ関数、べき乗の関数といった非線形な曲線に基づいた式によって実現することができる。
図31は、画像処理装置10の動作について説明したフローチャートである。
以下、図2および図31を主に使用して、画像処理装置10の動作について説明を行なう。
なお第3の実施形態では、ここでさらに見本テクスチャ画像についても照明成分と反射率成分とに分け、それぞれの画像である照明成分画像と反射率成分画像とを生成する。
具体的には、画像処理部14は、照明成分画像の陰影を制御して陰影制御画像を生成する。これは上述したように例えば、ランダムノイズ画像とDOGフィルタを組み合わせることで行なう。また画像処理部14は、反射率成分画像の色度を制御して色度制御画像を生成する。
また第2の実施形態では、画像処理部14は、鏡面成分画像を作成する。さらに第3の実施形態では、画像処理部14は、見本画像の照明成分を原画像の照明成分に反映させる処理、および見本画像の反射率成分を原画像の反射率成分に反映させる処理の少なくとも一方を行なう。また第4の実施形態では、制御因子として、k1、k2や関数Fsや関数fcを使用して照明成分S0を制御する。
具体的には、画像合成部15は、画像処理部14により生成された陰影制御画像や色度制御画像を使用して画像処理後の画像を生成する。
また第2の実施形態では、さらに鏡面成分画像や環境光の色を表すカラーベクトルを使用して画像を合成する。また第4の実施形態では、照明成分S0を反映させた見本画像を原画像に貼り付け、合成する。
このうち図32(a)は、ユーザが、前景である被写体および被写体の背景を指定する場合を示している。
そしてこの領域を陰影の制御等を行なう特性制御対象領域とすればよい。
次に、画像処理装置10のハードウェア構成について説明する。
図33は、画像処理装置10のハードウェア構成を示した図である。
画像処理装置10は、上述したようにパーソナルコンピュータ等により実現される。そして図示するように、画像処理装置10は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92、およびHDD(Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア等の各種プログラムを実行する。また、メインメモリ92は、各種プログラムやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、HDD93は、各種プログラムに対する入力データや各種プログラムからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
さらに、画像処理装置10は、外部との通信を行なうための通信インターフェース(以下、「通信I/F」と表記する)94を備える。
ここで以上説明を行った本実施の形態における画像処理装置10が行なう処理は、例えば、アプリケーションソフトウェア等のプログラムとして用意される。
Claims (15)
- 原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像を生成する画像分解部と、
見本となる画像である見本画像に前記照明成分を反映させ、当該照明成分を反映後の当該見本画像を原画像に対し合成する画像合成部と、
を備える画像処理装置。 - 前記画像合成部は、前記見本画像の画素値に前記照明成分を乗ずることで当該見本画像に当該照明成分を反映させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記照明成分の反映の程度を定める制御因子によりさらに当該照明成分を調整する画像処理部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
- 前記見本画像は、ランダムノイズを基に生成された画像であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像と反射率成分画像とを生成する画像分解部と、
前記照明成分画像の陰影を制御する画像処理を行なう画像処理部と、
前記画像処理部により画像処理後の画像を合成する画像合成部と、
を備える画像処理装置。 - 前記画像処理部は、ランダムノイズを基に生成された画像を使用して前記照明成分画像の陰影を制御することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
- 前記画像処理部は、ランダムノイズの周波数と方位とを制御した画像を使用して前記照明成分画像の陰影を制御することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
- 前記画像処理部は、予め定められた範囲外の画像の前記照明成分画像を使用して当該予め定められた範囲内の画像の当該照明成分画像の陰影を制御する画像処理を行なうことを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
- 前記画像処理部は、前記照明成分画像または前記反射率成分画像から鏡面を表す鏡面成分を生成し、
前記画像合成部は、鏡面成分をさらに付加して画像を合成することを特徴とする請求項5乃至8の何れか1項に記載の画像処理装置。 - 前記画像合成部は、周囲の環境光を表す環境光成分をさらに付加して画像を合成することを特徴とする請求項5乃至9の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 前記画像分解部は、見本となる画像である見本画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、当該見本画像に対する照明成分画像と反射率成分画像とを生成し、
前記画像処理部は、前記見本画像の照明成分を前記原画像の照明成分に反映させる処理、および前記見本画像の反射率成分を前記原画像の反射率成分に反映させる処理の少なくとも一方を行なうことを特徴とする請求項5乃至10の何れか1項に記載の画像処理装置。 - 前記画像処理部は、前記照明成分、前記反射率成分、前記鏡面成分および前記環境光成分の少なくとも1つに対し、画像上での位置をずらす処理を行なうことを特徴とする請求項10または11の何れか1項に記載の画像処理装置。
- 原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像を生成し、
見本となる画像である見本画像に前記照明成分を反映させ、当該照明成分を反映後の当該見本画像を原画像に対し合成する画像処理方法。 - 画像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示される前記画像の画像情報に対し画像処理を行なう画像処理装置と、
を備え、
前記画像処理装置は、
原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像を生成する画像分解部と、
見本となる画像である見本画像に前記照明成分を反映させ、当該照明成分を反映後の当該見本画像を原画像に対し合成する画像合成部と、
を備える画像処理システム。 - コンピュータに、
原画像を構成する各画素の画素値を照明成分と反射率成分とに分け、照明成分画像を生成する画像分解機能と、
見本となる画像である見本画像に前記照明成分を反映させ、当該照明成分を反映後の当該見本画像を原画像に対し合成する画像合成機能と、
を実現させるプログラム。
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