JP2017148894A - 穿孔方法及び穿孔装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ドリルを用いた被削材の穴開け加工においてマージン部に形成される送りマークの深さをより小さくすることが可能な穿孔方法及び穿孔装置を提供する。【解決手段】穿孔方法は、側面にマージン部が設けられたドリル2を用いて被削材10に穴開け加工を行う方法である。この穿孔方法は、被削材10を準備するステップと、軸周りに回転するドリル2を被削材10に向かって軸方向に進行させて被削材10を切削することにより、被削材10に穴10Aを形成する穿孔ステップと、を備えている。穿孔ステップにおいて、進行方向D1のドリル2の送り速度を正の値に維持し且つ連続的又は断続的に変化させながら被削材10に穴10Aを形成する。【選択図】図1

Description

本発明は、穿孔方法及び穿孔装置に関し、より特定的には、ドリルを用いた穿孔方法及び穿孔装置に関する。
従来、ドリル、エンドミル、旋削用インサート又はフライス用チップなどの多くの切削工具において、TiNやTiAlNなどの硬質膜をコーティングして耐摩耗性を向上させることにより、工具寿命を長くする改良がなされている。これらの切削工具では、逃げ面摩耗やすくい面摩耗など、被削材との摺動面において各工具に特徴的な摩耗が生じるが、下記特許文献1〜3に開示されるドリルでは、側面のマージン部において送りマークと呼ばれる摩耗が生じる。この送りマークは、マージン部に形成される線状の摩耗痕であり、ドリルの送り方向に対して垂直に且つマージン部の幅に対応する形で発生するが、その発生原因は必ずしも明らかにされていない。下記特許文献1及び2では、マージン部を硬質膜によって被覆することにより、当該マージン部の摩耗を抑制することが提案されている。また下記特許文献3では、切削中にドリルを振動させることで、送り速度を一旦0あるいは負の値にして、切削しない時間を作ることで、切り粉を断片化し、且つドリルの冷却を行うことが提案されている。
特開昭62−84911号公報 特開平8−174341号公報 特開2012−187656号公報
上記特許文献1及び2では、硬質膜の被覆によりマージン部の摩耗をある程度抑制することができるが、切削中に送りマークの深さが硬質膜の膜厚を超えてドリルの母材に達してしまう場合がある。この場合、メンテナンスの際にドリルを再研磨する長さを大きく取る必要があるため、ドリルを繰り返し使用できる回数が少なくなり、結果としてドリルの工具寿命が短くなってしまう。従って、ドリルの工具寿命を改善するため、マージン部に形成される送りマークの深さをより小さくすることが必要である。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドリルを用いた被削材の穴開け加工においてマージン部に形成される送りマークの深さをより小さくすることが可能な穿孔方法及び穿孔装置を提供することである。
本発明の一局面に係る穿孔方法は、側面にマージン部が設けられたドリルを用いて被削材に穴開け加工を行う穿孔方法である。上記穿孔方法は、前記被削材を準備するステップと、軸周りに回転する前記ドリルを前記被削材に向かって軸方向に進行させて前記被削材を切削することにより、前記被削材に穴を形成する穿孔ステップと、を備えている。前記穿孔ステップにおいて、進行方向の前記ドリルの送り速度を正の値に維持し且つ連続的又は断続的に変化させながら前記被削材に穴を形成する。
本発明者は、ドリルによる穴開け加工において側面のマージン部に形成される送りマーク(摩耗痕)の深さを小さくするため、まず、送りマークが形成されるメカニズムについて鋭意検討を行った。その結果、ドリルによる切削時に刃先付近の穴内面において硬質な突起が形成され、マージン部が当該突起に対して摺動して摩耗することにより送りマークが形成されることを見出した。そして、本発明者は、このような形成メカニズムを考慮し、切削時のドリルの送り速度が一定である場合にはマージン部における同じ箇所が当該突起に対して常に摺動し、それによって送りマークの深さが大きくなることに着目し、本発明に想到した。
上記穿孔方法では、ドリルにより被削材を切削して穴を形成する際に、ドリルの進行方向における送り速度が正の値に維持され(つまり、ドリルの送り速度が穴開け加工中において必ず0超の値となるように維持され)、且つドリルの送り速度が連続的又は断続的に変化する。これにより、穴内面に形成された突起がマージン部における同じ箇所に対して常に摺動するのを防ぐことができる。つまり、切削中にドリルの送り速度を継続的に変化させることにより、一つの突起に対して摺動した箇所が次の突起に対して摺動するのを回避することができる。これにより、マージン部の同じ箇所において送りマークが集中的に形成されるのを防止することができ、その結果送りマークの深さをより小さくすることができる。
ここで、「送り速度が連続的に変化する」とは、穿孔ステップ中において送り速度が常時変化することである。また「送り速度が断続的に変化する」とは、穿孔ステップ中において送り速度が一定になる時間を含みつつ継続的に変化することであり、送り速度が同じ値で一定になる時間が穿孔ステップ全体の時間に対して十分に小さいことである。また「進行方向のドリルの送り速度が正の値に維持される」とは、穿孔ステップ中においてドリルが被削材から離れる方向に移動したり停止したりせず、被削材に近づく方向に常時移動することを意味する。
上記穿孔方法では、前記穿孔ステップにおいて、前記送り速度は、平均送り速度の±50%の範囲内において変化してもよい。
送り速度が平均送り速度の−50%の値を下回ると、切削速度が低下し、穴開け加工の効率が低下する。一方で送り速度が平均送り速度の+50%の値を上回ると、切り粉が厚くなり過ぎるため、ドリルに巻き付くなどの問題が生じる。このため、送り速度は、平均送り速度の±50%の範囲内において変化することが好ましく、±25%の範囲内において変化することがより好ましい。
上記穿孔方法では、前記穿孔ステップにおいて、前記被削材に一つの穴が形成される間に、前記送り速度が一周期変化してもよい。これにより、ドリルの送り速度を変化させる機械的制御を容易に行うことができる。
上記穿孔方法では、穿孔ステップにおいて、硬質膜により前記マージン部が被覆された前記ドリルが用いられてもよい。
これにより、マージン部の摩耗を硬質膜の被覆により効果的に抑制することができる。また上述のように、ドリルの送り速度を変化させて送りマークをより浅くすることにより、送りマークの深さが硬質膜の膜厚を超えて母材に達するのを抑制することができる。
本発明の他局面に係る穿孔装置は、ドリルを用いて被削材に穴開け加工を行う穿孔装置である。上記穿孔装置は、側面にマージン部が設けられ、軸周りに回転可能に構成されたドリルと、前記ドリルを軸周りに回転させつつ前記被削材に向かって軸方向に進行させる制御部と、を備えている。前記制御部は、進行方向の送り速度が正の値に維持され且つ連続的又は断続的に変化するように前記ドリルを進行させる。
上記穿孔装置では、ドリルにより被削材を切削して穴を形成する際に、制御部によりドリルの送り速度を連続的又は断続的に変化させることができる。これにより、切削中に穴内面に形成された突起がマージン部における同じ箇所に対して常に摺動するのを防ぐことができる。つまり、切削中にドリルの送り速度を継続的に変化させることにより、マージン部における同じ箇所に送りマークが集中して形成されるのを防止することができ、その結果送りマークの深さをより小さくすることができる。
上記穿孔装置において、前記制御部は、前記送り速度が平均送り速度の±50%の範囲内において変化するように前記ドリルを進行させてもよい。
送り速度が平均送り速度の−50%の値を下回ると、切削速度が低下し、穴開け加工の効率が低下する。一方で送り速度が平均送り速度の+50%の値を上回ると、切り粉が厚くなり過ぎるため、ドリルに巻き付くなどの問題が生じる。このため、制御部は、ドリルの送り速度を平均送り速度の±50%の範囲内において変化させることが好ましく、±25%の範囲内において変化させることがより好ましい。
本発明によれば、ドリルを用いた被削材の穴開け加工においてマージン部に形成される送りマークの深さをより小さくすることが可能な穿孔方法及び穿孔装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係る穿孔装置の構成を示す図である。 ドリルの先端部を拡大した図である。 ドリルの断面構造を示す図である。 ドリルの送り速度の変化パターンを示す図である。 ドリルによる切削中に穴内面に形成された突起を示す図である。 比較例におけるドリルの断面構造を示す図である。
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
(穿孔装置)
まず、本発明の実施形態に係る穿孔装置1の構成について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、穿孔装置1の全体構成を模式的に示している。図2は、穿孔装置1に備えられたドリル2の先端部21を拡大して示している。図3は、図2の領域IIIにおけるドリル2の断面構造を示している。図1に示すように、穿孔装置1は、ドリル2を用いて被削材10に穴開け加工を行う装置であって、ドリル2と、ドリル2が取り付けられる回転軸5と、被削材10が設置されるステージ4と、ドリル2及びステージ4の駆動を制御する制御部3と、を主に有している。
図2に示すように、ドリル2は、軸方向Pを有する丸棒状の切削工具であり、制御部3によって軸周りに回転可能に構成されている。ドリル2は、ツイストドリルであって、円錐状に尖った先端部21に切れ刃22が形成されている。ドリル2では、被削材10の穴内面との摩擦を低減するための二番取り面がランド部に形成されており、当該ランド部において残された部分がマージン部23となっている。ドリル2は、軸周りに回転しつつ切れ刃22によって被削材10を切削することにより、図1に示すように被削材10に穴10Aを形成する。そして、切削時に生じた切り屑は、図2に示すようにドリル2の軸方向Pに沿って螺旋状に形成された溝部24により排出される。
本発明におけるドリルは、図2に示した構造のものに限定されず、種々の構造のものを採用することができる。例えば、図2に示した右ねじれドリルに限定されず、左ねじれドリルでもよいし、溝がねじれていない直刃ドリルでもよい。またボディ(先端部21を含む部分)とシャンク(回転軸5に取り付けられる部分)とが一体の材料からなるソリッドドリルでもよいし、先端部21から所定の長さにある部分が別の材料からなる先むくドリルでもよいし、先端部21に切れ刃となるチップを取り付けた付け刃ドリルでもよい。またランド部に一つのマージン部が設けられたシングルマージンドリルでもよいし、2つのマージン部が設けられたダブルマージンドリルでもよい。またドリルの全長、ボディ及びシャンクの各長さ、先端角なども特に限定されない。
図3は、マージン部23を含む部分におけるドリル2の断面構造を示している。図3に示すように、ドリル2は、母材であるドリル本体25と、ドリル本体25の表面を被覆するように形成された硬質膜26と、を有している。
ドリル本体25は、各種工具鋼、超硬合金、サーメット、セラミック、CBN又はダイヤモンドなどの硬質な材料からなる。工具鋼としては、炭素工具鋼、合金工具鋼、高速度工具鋼などが挙げられる。サーメットとしては、TiC、NbCなどが挙げられる。セラミックとしては、SiN、Alなどが挙げられる。
硬質膜26は、TiNやTiAlNなどの硬質のセラミック材料からなるものであり、ドリル本体25の摩耗を抑制するための耐摩耗層としてコーティングされている。硬質膜26は、例えばアークイオンプレーティング法などの物理蒸着(PVD)法や化学気相蒸着(CVD)法により成膜することができる。このようにドリル2は、マージン部23においてドリル本体25上に硬質膜26が形成されることにより、切削時におけるマージン部23の摩耗が抑制されている。
図1に示すように、ステージ4は、被削材10が設置される水平な設置面4Aを有している。ステージ4は、XYステージであり、制御部3により水平面内において移動するように構成されている。これにより、被削材10が設置された状態でステージ4を水平移動させることで、図1に示すように穴10Aが形成される部位をドリル2の先端部21の真下に位置させることができる。
制御部3は、ドリル2及びステージ4の駆動を制御するコントローラである。制御部3は、ドリル2及びステージ4の駆動を制御するためのCPUの一機能である駆動制御部31を有し、当該駆動制御部31によりドリル2を所定の回転数(rpm)で軸周りに回転させつつ所定の送り速度(mm/回転)で被削材10に向かって下降させ、またステージ4を水平面内において移動させる。ここで、制御部3は、ドリル2の進行方向D1(ドリル2が被削材10に向かって下降する方向)における送り速度が正の値に維持され、且つ連続的又は断続的に変化するようにドリル2を被削材10に向かって下降させる。ここで、「進行方向D1の送り速度が正の値に維持される」とは、ドリル2の送り速度が穴開け加工中において必ず0超の値となるように維持されることであり、ドリル2が被削材10から離れるように上昇し又は停止せず、被削材10に向かって常時下降することを意味する。
図4のグラフは、制御部3の記憶部33にプログラムされた送り速度の変化パターンを示している。図4のグラフにおいて、横軸は時間を示し、縦軸はドリル2の送り速度を示している。記憶部33には、送り速度が正弦波状に連続変化するパターン(図4(1))、送り速度が三角波状に連続変化するパターン(図4(2))、及び送り速度が階段状(ステップ状)に断続的に変化するパターン(図4(3))のうち一種又は複数種のパターンがプログラムされている。ユーザは、制御部3の操作部32においてこれらの変化パターンを適宜選択することができる。
図4に示すように、(1)〜(3)の変化パターンは、全て平均送り速度から開始し、上限送り速度と下限送り速度との間の範囲内において変化するようにプログラムされている。より具体的には、送り速度は、平均送り速度から上限送り速度に向かって増加し、上限送り速度から平均送り速度に戻り、平均送り速度から下限送り速度に向かって減少し、下限送り速度から平均送り速度に戻る。つまり、各変化パターンは、送り速度を増加させる領域と減少させる領域とを含み、送り速度を増加させた後に減少させるようにプログラムされている。平均送り速度に対して、送り速度を減少させた後に、増加させることも可能である。このサイクルが送り速度の変化の一周期となる。ドリルにて深さL(mm)の穴を開ける時間T(分)は、送り速度をf(mm/回転)、回転数R(rpm)とした場合、下式にて示される。
Figure 2017148894
上限送り速度は、平均送り速度よりも大きく、且つ、平均送り速度の+50%(好ましくは+25%)の値以下に設定されている。また下限送り速度は、平均送り速度よりも小さく、且つ、平均送り速度の−50%(好ましくは−25%)の値以上に設定されている。つまり、制御部3は、送り速度が平均送り速度の±50%(好ましくは±25%)の範囲内において変化するようにドリル2を下降させる。なお、本実施形態ように、上限送り速度及び平均送り速度の差と下限送り速度及び平均送り速度の差とが同じであり、各変化パターンが平均送り速度を中心に対称であってもよいがこれに限定されず、上限送り速度及び平均送り速度の差と下限送り速度及び平均送り速度の差とが互いに異なり、各変化パターンが平均送り速度を中心に非対称であってもよい。
(穿孔方法)
次に、上記穿孔装置1を用いて実施される本実施形態に係る穿孔方法について説明する。本実施形態に係る穿孔方法では、側面にマージン部23が設けられたドリル2を用いて被削材10に穴開け加工が行われる。
まず、被削材10を準備するステップが行われる。このステップでは、鉄鋼材料からなり、所定の形状及び大きさに加工された被削材10が準備される。被削材10は、クロム−モリブデン鋼、冷間工具鋼、熱間工具鋼又は炭素鋼などからなる。クロム−モリブデン鋼としては、JIS規格SCM430やSCM435などが挙げられる。冷間工具鋼としては、JIS規格SKD11などが挙げられる。熱間工具鋼としては、JIS規格SKD61などが挙げられる。炭素鋼としては、JIS規格S50CやS55Cなどが挙げられる。そして、準備された被削材10は、図1に示すようにステージ4の設置面4A上にセットされる。
次に、ドリル2により被削材10を切削して穴10Aを開ける穿孔ステップが行われる。このステップでは、まず、制御部3(駆動制御部31)によってステージ4を移動させることにより、穴10Aを形成する予定の部位がドリル2の先端部21の真下に位置するようにステージ4の位置を調整する。
次に、ユーザは、制御部3(操作部32)において、図4に示した送り速度の変化パターン(1)〜(3)のうちいずれかを選択し、その後、平均送り速度(mm/回転)、回転数(rpm)及び穴深さ(mm)などの各種切削条件を入力する。そして、ユーザが開始スイッチを押すことにより、ドリル2が設定された回転数で軸周りに回転しつつ被削材10に向かって下降し、先端部21に設けられた切れ刃22によって被削材10を切削する。これにより、ドリル2による被削材10の穴開け加工が開始される。このとき、ドリル2が被削材10に向かって下降する方向が進行方向D1となる。また切削中には、任意の潤滑材が被削材10上に供給されてもよい。
穴開け加工中において、ドリル2の進行方向D1における送り速度は、正の値に維持される。つまり、ドリル2は被削材10から離れるように上昇したり停止したりせず、被削材10に向かって常に下降し続ける。また送り速度は、予め選択された変化パターン(図4(1)〜(3))に従い、正弦波状若しくは三角波状に連続的に変化し、又は階段波状に断続的に変化する。このとき、送り速度は、予め入力された平均送り速度の±50%の範囲内(好ましくは±25%の範囲内)において変化する。そして、送り速度が図4に示す一周期変化する間、つまり送り速度が平均送り速度から上限送り速度を経て平均送り速度に戻り、その後下限送り速度を経て再び平均送り速度に戻る間に、被削材10に1つの穴10Aが形成される。なお、平均送り速度を決定する際には、穴10Aの深さも考慮に入れる。
このようにして、被削材10に1つの穴10Aのみを形成してもよいが、2つ目以降の穴をさらに形成してもよい。この場合、1つ目の穴10Aの形成が完了した後、制御部3によりドリル2を一旦上昇させ、次の穴が形成される部位がドリル2の真下に位置するようにステージ4の位置が調整される。そして、上記のような手順で次の穴が形成される。2つ目以降の穴を形成する際、ドリル2の送り速度の変化パターン(図4(1)〜(3))を選択し直してもよいし、平均送り速度、回転数及び穴深さなどの切削条件を入力し直してもよい。また2つ目以降の穴においても1つ目の穴と同様にドリル2の送り速度を一周期変化させてもよいがこれに限定されず、2周期以上変化させてもよい。
図5は、上記穿孔方法においてドリル2により被削材10に穴10Aが形成される様子を示している。上述のように、ドリル2には先端部21に切れ刃22が形成されているが、側面部には切れ刃がない。このため、図5に示すように、穴10Aの内面には被削材10が完全に切削されずに残存した突起10Bがドリル2の進行方向において等間隔に形成される。ここで、被削材10は、上述のように炭素濃度が一定以上の鉄鋼材料からなるため、突起10Bは非常に硬度が高くなる。このため、切削時に突起10Bがドリル2のマージン部23に対して摺動することにより、当該マージン部23を被覆する硬質膜26が摩耗する。これにより、図3に示すように、所定の深さD2及び幅W2を有する摩耗痕である送りマークS2がマージン部23に形成される。
ここで、本実施形態の穿孔方法と異なりドリル2を一定の送り速度で下降させた場合には、マージン部23における同じ箇所が常に突起10Bに対して摺動する。このため、マージン部23における同じ箇所において局所的に摩耗が進行する。その結果、図6に示すように、幅W1は狭いが深さD1が大きい送りマークS1が形成されてしまい、ドリル本体25(母材)が容易に露出してしまう。
これに対して、本実施形態に係る穿孔方法では、図4の変化パターンに示すように、切削中においてドリル2の送り速度が連続的又は断続的に変化する。これにより、マージン部23において一つの突起10Bに対して摺動した部位が、その下の突起10Bに対して摺動することを回避できる。このため、マージン部23において同じ箇所に集中して送りマークが形成されるのを防止することができる。その結果、図6に示す送りマークS1に比べて幅は大きくなるが(W2>W1)、送りマークS2の深さをより小さくすることができる(D2<D1)。
[作用効果]
次に、上記本実施形態に係る穿孔方法及び穿孔装置1の特徴及びその作用効果について説明する。
上記穿孔方法は、側面にマージン部23が設けられたドリル2を用いて被削材10に穴開け加工を行う方法である。上記穿孔方法は、被削材10を準備するステップと、軸周りに回転するドリル2を被削材10に向かって軸方向Pに進行させて被削材10を切削することにより、被削材10に穴10Aを開ける穿孔ステップと、を備えている。穿孔ステップにおいて、進行方向D1のドリル2の送り速度を正の値に維持し且つ連続的又は断続的に変化させながら被削材10に穴10Aを形成する。
上記穿孔装置1は、ドリル2を用いて被削材10に穴開け加工を行う装置である。上記穿孔装置1は、側面にマージン部23が設けられ、軸周りに回転可能に構成されたドリル2と、ドリル2を軸周りに回転させつつ被削材10に向かって軸方向Pに進行させる制御部3と、を備えている。制御部3は、進行方向D1の送り速度が正の値に維持され且つ連続的又は断続的に変化するようにドリル2を進行させる。
上記穿孔方法及び穿孔装置1では、ドリル2により被削材10を切削して穴10Aを形成する際に、ドリル2の送り速度を連続的又は断続的に変化させることができる。これにより、切削中に穴10Aの内面に形成された突起10Bがマージン部23の同じ箇所に対して常に摺動することを防ぐことができる。つまり、切削中にドリル2の送り速度を継続的に変化させることにより、送りマークS2がマージン部23の同じ箇所において集中して形成されるのを防止することができ、その結果送りマークS2の深さD2をより小さくすることができる。このため、母材であるドリル本体25が露出するまでの時間を長くすることが可能となり、ドリル2の再研磨が必要になるまでの時間をより長くすることができる。
上記穿孔方法では、穿孔ステップにおいて、送り速度は平均送り速度の±50%の範囲内において変化する。また上記穿孔装置1において、制御部3は、送り速度が平均送り速度の±50%の範囲内において変化するようにドリル2を進行させる。送り速度が平均送り速度の−50%の値を下回ると、切削速度が低下し、穴開け加工の効率が低下する。一方で、送り速度が平均送り速度の+50%の値を上回ると、切り粉が厚くなり過ぎるため、ドリル2に巻き付くなどの問題が生じる。このため、送り速度は、平均送り速度の±50%の範囲内において変化することが好ましく、±25%の範囲内において変化することがより好ましい。
上記穿孔方法では、穿孔ステップにおいて、被削材10に一つの穴10Aが形成される間に、送り速度が一周期変化する。これにより、制御部3においてドリル2の送り速度を変化させる機械的制御をより容易に行うことができる。
上記穿孔方法では、穿孔ステップにおいて、硬質膜26によりマージン部23が被覆されたドリル2が用いられる。これにより、マージン部23の摩耗を硬質膜26の被覆によってより効果的に抑制することができる。また、上述のように切削中にドリル2の送り速度を変化させて送りマークS2を浅く形成することにより、送りマークS2の深さD2が硬質膜26の膜厚を超えて母材に達するのを抑制することができる。
(その他実施形態)
次に、本発明のその他実施形態について説明する。
上記穿孔方法及び穿孔装置1において、送り速度は、平均送り速度の±50%を超える範囲で変化してもよい。
上記穿孔方法において、1つの穴10Aを形成する間に送り速度が一周期変化する場合に限定されず、半周期変化してもよいし、2周期以上変化してもよい。また複数の穴を形成する場合には、送り速度を変化させる周期が各穴の形成においてそれぞれ異なっていてもよい。また送り速度は、平均送り速度から開始する場合に限定されず、平均送り速度よりも大きい速度から開始してもよいし、平均送り速度よりも小さい速度から開始してもよい。またこの周期は整数である必要はない。
上記穿孔方法及び穿孔装置1において、ドリル本体25の表面上に硬質膜26が形成されていないドリルが用いられてもよい。
ドリルのマージン部に形成される送りマークの深さ低減について、本発明の効果を確認する実験を行った。
まず、炭素鋼(JIS規格S55C)からなる被削材を準備し、超硬合金製のドリル(2枚刃)を用いて以下の切削条件で穴開け試験を行った。ドリルは、TiAlN膜(厚み5μm)により母材表面を被覆したものを用いた。そして、切削中にドリルの送り速度(mm/回)を一定にした場合と、図4に示す変化パターンのように送り速度を変化させた場合について、マージン部における送りマークの発生状況について調査した。
<切削条件>
工具:超硬合金製ドリル(オイルホール付き)、直径8.5mm
被削材:JIS規格S55C(ブリネル硬さHB:200)
切削速度:100m/分(回転数:3745rpm)
穴深さ:20mm
送り速度(一定の場合):0.2mm/回転(749mm/分)
送り速度(変化させる場合):0.2±0.1mm/回転、0.2±0.05mm/回転
周期の変化:1つの穴を加工する時間が1.6秒
潤滑:水溶性エマルジョン潤滑
<評価方法>
500穴目及び1000穴目において、マージン部に形成された送りマークの深さを触針式の表面粗さ計を用いて測定した。下記の表1に結果を示す。
Figure 2017148894
<考察>
表1に示される通り、切削中にドリルの送り速度を変化させた場合(No.2〜4)には、送り速度が一定の場合(No.1)に比べて送りマークの深さが大幅に減少した。この結果より、切削中にドリルの送り速度を変化させることがマージン部における送りマークの深さ低減において有効であることが分かった。またNo.4,5のように、送りの変化率が±50%を超える場合には、ドリルの折損が生じることから、±50%の範囲内において送り速度を変化させることが好ましいことが分かった。
今回開示された実施形態及び実施例は、全ての点で例示であって制限的なものではないと解されるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1 穿孔装置
2 ドリル
3 制御部
10 被削材
10A 穴
23 マージン部
26 硬質膜
D1 進行方向
P 軸方向
S1,S2 送りマーク

Claims (6)

  1. 側面にマージン部が設けられたドリルを用いて被削材に穴開け加工を行う穿孔方法であって、
    前記被削材を準備するステップと、
    軸周りに回転する前記ドリルを前記被削材に向かって軸方向に進行させて前記被削材を切削することにより、前記被削材に穴を形成する穿孔ステップと、を備え、
    前記穿孔ステップにおいて、進行方向の前記ドリルの送り速度を正の値に維持し且つ連続的又は断続的に変化させながら前記被削材に穴を形成することを特徴とする、穿孔方法。
  2. 前記穿孔ステップにおいて、前記送り速度は、平均送り速度の±50%の範囲内において変化することを特徴とする、請求項1に記載の穿孔方法。
  3. 前記穿孔ステップにおいて、前記被削材に一つの穴が形成される間に、前記送り速度が一周期以上変化することを特徴とする、請求項1又は2に記載の穿孔方法。
  4. 前記穿孔ステップにおいて、硬質膜により前記マージン部が被覆された前記ドリルが用いられる、請求項1〜3の何れか1項に記載の穿孔方法。
  5. ドリルを用いて被削材に穴開け加工を行う穿孔装置であって、
    側面にマージン部が設けられ、軸周りに回転可能に構成されたドリルと、
    前記ドリルを軸周りに回転させつつ前記被削材に向かって軸方向に進行させる制御部と、を備え、
    前記制御部は、進行方向の送り速度が正の値に維持され且つ連続的又は断続的に変化するように前記ドリルを進行させることを特徴とする、穿孔装置。
  6. 前記制御部は、前記送り速度が平均送り速度の±50%の範囲内において変化するように前記ドリルを進行させることを特徴とする、請求項5に記載の穿孔装置。
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