JP2017146417A - 対策別改善率推定装置、対策別改善率推定方法及び対策別改善率推定プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、ビルに設置されている昇降機などの機器の保守点検を業務とする企業等では、所属する保守作業員に対して、保守技術の向上や、安全意識の向上を図る研修が一般に行われる。それぞれの研修での教育効果を把握することは、教育計画の立案支援に繋がり、全体としての技術水準の向上をもたらすものとなる。
この場合、保守作業員が被対策対象、保守作業員が有している保守技術や安全意識が、被対策対象が有している能力、研修が対策に対応する。
この実施の形態1では、対策を施すことで能力を高める被対策対象として、例えば、機器の保守点検を業務とする企業等に所属する保守作業員や、事業を海外に展開している企業等に所属する営業部員などを想定する。
例えば、被対策対象が保守作業員である場合、被対策対象に施される対策としては、保守作業員が有している保守技術や安全意識などの能力を高める目的で開催される研修や、実際の現場や研修所での実習などを想定する。
また、被対策対象が営業部員である場合、被対策対象に施される対策としては、営業部員が有している外語学の会話能力や筆記能力などの能力を高める目的で開催される語学研修などを想定する。
また、被対策対象は人間に限るものではなく、人間以外の動物でもよいし、機械でもよい。
例えば、被対策対象となる機械としては、物体の重量や長さなどを測定する計量装置や、学習能力を有するロボットなどが考えられる。計量装置の場合、対策として校正を行えば、測定誤差が小さくなるため、計量装置の測定能力が高められる。また、ロボットの場合、対策として、或る事象に対する適正な関節の動きを教えれば、次回から、或る事象に対する動きが適正なものになるため、ロボットの動作能力が高められる。
図1及び図2において、データベース1は例えばRAM(Random Access Memory)やハードディスクなどの記憶装置21で実現されるものであり、被対策対象データベース(以下、「被対策対象DB」と称する)2、対策履歴データベース(以下、「対策履歴DB」と称する)3及び改善評価データベース(以下、「改善評価DB」と称する)4を備えている。
図3は被対策対象DB2の記録項目を示す説明図である。
対象IDは被対策対象を識別することができれば、どのようなIDでもよいが、例えば、被対策対象が5つ存在していれば、各々の被対策対象に対して、T001,T002,T003,T004,T005などのIDが用いられる。基準日時の詳細については後述する。
図4は対策履歴DB3の記録項目を示す説明図である。
能力改善度Lvは、図1の対策別改善率推定装置により推定される能力改善率と同様に、被対策対象の能力が改善している割合を示すものであるが、外部装置により評価されたものであり、図1の対策別改善率推定装置により推定される能力改善率と区別するため、能力改善度という表現を用いている。
図5は改善評価DB4の記録項目を示す説明図である。
対策別時期別能力改善率データベース(以下、「対策別時期別能力改善率DB」と称する)6は例えば記憶装置21で実現されるものであり、改善率集計部5により対策別に集計された能力改善率などを記録するデータベースである。
図6は対策別時期別能力改善率DB6の記録項目を示す説明図である。
図6の例では、対策ID、対策前期間及び対策後期間が同じ対策事例の数であるサンプル数も対策別時期別能力改善率DB6に記録されている。詳細は後述するが、改善率集計部5によって、そのサンプル数と、それらの対策事例の中で能力改善度Lvが改善している事例の数との比率から能力改善率が算出されて、その能力改善率が対策別時期別能力改善率DB6に記録されている。
少サンプル事例バッファ8は例えば記憶装置21で実現されるものであり、少サンプル事例抽出部7により抽出された少サンプル事例の対策ID、対策前期間、対策後期間、能力改善率及びサンプル数を記憶する。
図7は少サンプル事例バッファ8の記録項目を示す説明図である。
少サンプル事例バッファ8の記録項目は、対策別時期別能力改善率DB6の記録項目と同じである。
対策分類バッファ10は例えば記憶装置21で実現されるものであり、対策分類部9により分類されたグループを識別する分類IDと、当該グループに分類された対策を識別する対策IDと、その対策に対応している対策前期間とを記憶する。
図8は対策分類バッファ10の記録項目を示す説明図である。
分類別能力改善率分布バッファ12は例えば記憶装置21で実現されるものであり、対策分類部9により分類されたグループ別に、当該グループを識別する分類IDを記憶するとともに、分布推定部11により推定された能力改善率の分布を示すデータ項目として、能力改善率の分布に対応している対策前期間及び対策後期間と、能力改善率の区間である能力改善率の下限及び上限と、その区間に属する能力改善率である確率密度とを記憶する。
図9は分類別能力改善率分布バッファ12の記録項目を示す説明図である。
改善率推定部14は例えばCPUを実装している半導体集積回路あるいはワンチップマイコンなどから構成されている改善率推定処理回路27で実現されるものである。改善率推定部14は分布補正部13により補正された能力改善率の分布を用いて、各対策の各対策前期間及び対策後期間における能力改善率を推定する処理を実施する。
対策別改善率情報15は改善率推定部14により推定された対策別の対策前期間及び対策後期間における能力改善率を示す情報である。
図10は対策別改善率情報15に含まれる情報の項目を示す説明図である。
図11は対策別改善率推定装置がコンピュータで構成される場合のハードウェア構成図である。
図12はこの発明の実施の形態1による対策別改善率推定方法を示すフローチャートである。
図13は評価対象モデルの一例を示す説明図である。
図13の例では、対象IDがT001,T002,T003,T004,T005である5種類の被対策対象の各期間における能力改善度Lvを示している。
即ち、図13の評価対象モデルでは、5種類の被対策対象[T001]〜[T005]に対して、第1〜第6期間までの能力改善度Lvの履歴が存在している。
能力改善度Lvは、外部装置によって任意の日時に評価されるものであるが、ここでは、説明の簡単化のために、期間毎にまとめて表記している。
この実施の形態1では、能力改善度Lvが1(=LV.1)から2(=LV.2)に向上している被対策対象[T001]〜[T005]に着目し、被対策対象[T001]〜[T005]の能力改善度Lvを3に高める目的で、対策ID=[M01]の対策aが施された場合の能力改善率の推定について説明する。
例えば、被対策対象[T001]の場合、第1期間から第2期間へ移行する時点で能力改善度Lvが1(=LV.1)から2(=LV.2)に向上しているため、第2期間の開始日時を基準日時としている。
同様に、被対策対象[T002]の場合、第2期間から第3期間へ移行する時点で能力改善度Lvが1(=LV.1)から2(=LV.2)に向上しているため、第3期間の開始日時を基準日時としている。
被対策対象[T003]〜[T005]での基準日時も同様である。
被対策対象DB2には、例えば、被対策対象[T001]の基準日時として、第2期間の開始日時が記録され、被対策対象[T002]の基準日時として、第3期間の開始日時が記録されている。
図13の評価対象モデルでは、被対策対象[T001]〜[T005]に対して、対策ID=[M01]の対策aが実施されている。例えば、被対策対象[T001]には第2期間で対策aが実施され、被対策対象[T002]には第4期間で対策aが実施されている。
このため、対策履歴DB3には、対策aを識別する対策ID=[M01]と、対策aが実施された被対策対象を識別する対象IDと、対策aが実施された日時である期間とが、対策が実施された事例を識別する対策事例IDと一緒に記録されている。
被対策対象[T001]〜[T005]における第1〜第6期間での能力改善度Lvを記録している。
図16では、図面の簡単化のため、被対策対象[T001]における第1〜第6期間での能力改善度Lvと、被対策対象[T002]における第1〜第4期間での能力改善度Lvを代表的に記述している。
以下、改善率集計部5の処理内容を具体的に説明する。
図17は改善率集計部5の処理内容を示すフローチャートである。
改善率集計部5は、被対策対象[T001]〜[T005]の基準日時と対策実施日時を確認すると、基準日時から対策実施日時までの期間を対策前期間として、対策IDと対策前期間が同じ対策事例の数をサンプル数として集計する(ステップST12)。
被対策対象[T002]は、基準日時が第3期間の開始日時で、対策ID=[M01]の対策aの実施日時が第4期間であるため、対策前期間が“2”である。
被対策対象[T003]は、基準日時が第2期間の開始日時で、対策ID=[M01]の対策aの実施日時が第4期間であるため、対策前期間が“3”である。
被対策対象[T004]は、基準日時が第3期間の開始日時で、対策ID=[M01]の対策aの実施日時が第3期間であるため、対策前期間が“1”である。
被対策対象[T005]は、基準日時が第2期間の開始日時で、対策ID=[M01]の対策aの実施日時が第4期間であるため、対策前期間が“3”である。
したがって、対策IDが[M01]で、かつ、対策前期間が“1”のサンプル数は2つ、対策IDが[M01]で、かつ、対策前期間が“2”のサンプル数は1つ、対策IDが[M01]で、かつ、対策前期間が“3”のサンプル数は2つである。
次に、改善率集計部5は、対策IDと対策前期間が同じ対策事例のサンプル数に対して、能力改善度Lvが2から3に向上している対策事例の数の割合を、能力改善率として算出する(図17のステップST14)。
この場合、対策事例の数であるサンプル数は“2”である。対策後期間が“1”の場合、被対策対象[T001]と被対策対象[T004]のいずれも能力改善度Lvが2のままであるため、能力改善度Lvが3に向上している対策事例の数が0である。したがって、この場合、サンプル数“2”に対して、能力改善度Lvが向上している対策事例の数“0”の割合が0.00であるため、能力改善率は0.00となる。
対策後期間が“2”の場合も、能力改善度Lvが3に向上している対策事例の数が0であるため、能力改善率は0.00となる。
対策後期間が“4”の場合、被対策対象[T004]については対策後期間“4”での能力改善度Lvの評価が行われておらず、サンプル数は“1”である。また、被対策対象[T001]の能力改善度Lvは2のままであるため、サンプル数“1”に対して、能力改善度Lvが向上している対策事例の数“0”の割合が0.00であるため、能力改善率は0.00となる。
この場合、対策事例の数であるサンプル数は“1”である。対策後期間が“1”の場合、被対策対象[T002]の能力改善度Lvが2のままであるため、能力改善度Lvが3に向上している対策事例の数が0である。したがって、この場合、サンプル数“1”に対して、能力改善度Lvが向上している対策事例の数“0”の割合が0.00であるため、能力改善率は0.00となる。
対策後期間が“2”の場合も、能力改善度Lvが3に向上している対策事例の数が0であるため、能力改善率は0.00となる。
この場合、対策事例の数であるサンプル数は“2”である。対策後期間が“1”の場合、被対策対象[T003]の能力改善度Lvは2のままであるが、被対策対象[T005]の能力改善度Lvが3に向上しているので、能力改善度Lvが3に向上している対策事例の数が1である。したがって、この場合、サンプル数“2”に対して、能力改善度Lvが向上している対策事例の数“1”の割合が0.50であるため、能力改善率は0.50となる。
対策後期間が“2”の場合、被対策対象[T005]の能力改善度Lvが既に対策後期間“1”で3に向上しているため、被対策対象[T005]は対象事例から除外され、サンプル数は“1”である。被対策対象[T003]の能力改善度Lvは3に向上しているので、能力改善度Lvが3に向上している対策事例の数が1である。したがって、この場合、サンプル数“1”に対して、能力改善度Lvが向上している対策事例の数“1”の割合が1.00であるため、能力改善率は1.00となる。
即ち、改善率集計部5は、対策ID、対策前期間及び対策後期間が同じ対策事例の能力改善率とサンプル数を対策別時期別能力改善率DB6に記録している。
ここまでは、説明の簡単化のために、対策の種類が、対策ID=[M01]の対策aだけである例を示しているが、実際には、数多くの対策が被対策対象に実施される。
少サンプル事例抽出部7には、事前に閾値が設定されている。この閾値は、サンプル数が少数であるか否かを判定するために用いられるものであり、閾値として例えば“10”の値が設定される。
少サンプル事例抽出部7は、図18の対策別時期別能力改善率DB6に記録されているサンプル数を確認し、図18の対策別時期別能力改善率DB6の中から、サンプル数が閾値未満の事例、即ち、サンプル数が閾値未満の対策ID、対策前期間、対策後期間、能力改善率及びサンプル数の組を少サンプル事例として抽出する(図12のステップST2、図19のステップST21)。
少サンプル事例抽出部7は、対策別時期別能力改善率DB6の中から少サンプル事例を抽出すると、図20に示すように、その抽出した少サンプル事例を少サンプル事例バッファ8に記録する(図12のステップST2、図19のステップST22)。
少サンプル事例バッファ8に記録する項目は、対策別時期別能力改善率DB6に記録されている項目と同じである。ただし、図20では、対策前期間及び対策後期間の列で昇順ソートされた結果の冒頭部のみを例示している。
以下、対策分類部9の処理内容を具体的に説明する。
図21は対策分類部9の処理内容をフローチャートである。
対策分類部9は、2つの少サンプル事例を選択すると、母集団比率の区間推定などの指標を用いて、一方の少サンプル事例における対策及び対策前期間の組み合わせと、他方の少サンプル事例における対策及び対策前期間の組み合わせとの間の距離Dを算出する(図21のステップST32)。
即ち、対策分類部9は、例えば、以下の非特許文献1に開示されている「母集団比率の区間推定方式」を用いて、一方の少サンプル事例の能力改善率から、本来の能力改善率が想定される範囲を示す信頼区間を算出する。
[非特許文献1] 武藤眞介著「統計解析ハンドブック」朝倉書店、P170〜171
図20に示している少サンプル事例バッファ8の例では、対策ID=[M01]の少サンプル事例と、対策ID=[M02]の少サンプル事例とは、対策後期間が“1”である少サンプル事例であるため、対策後期間“1”の信頼区間が算出されるが、対策後期間“1”以外の対策後期間の信頼区間を算出する場合、例えば、対策後期間“2”の信頼区間を算出する場合、少サンプル事例バッファ8に記録されている少サンプル事例の中から、対策後期間が“2”である対策ID=[M01]の少サンプル事例と、対策ID=[M02]の少サンプル事例とを選択すればよい。図20では、対策後期間が“2”である少サンプル事例の記載は省略されている。
図22では、2つの対策a,bについて例示しており、図中、○印は、少サンプル事例バッファ8に記録されている少サンプル事例の能力改善率であり、この能力改善率を標本比率としている。○印に付されている2つの矢印の範囲は信頼区間を表している。
図23は2つの対策a,bの各対策後期間における信頼区間及び重複範囲幅を示す説明図である。
各対策後期間において、左側の矢印が対策aの信頼区間、右側の矢印が対策bの信頼区間、矢印に掛けられているグレーの部分が重複範囲幅を示している。
式(1)において、Πi(Xi)はi=1,2,・・・に対するXiを全て掛け合わせる数学記号である。
対策分類部9による距離Dの算出処理は、少サンプル事例バッファ8に記録されている少サンプル事例の中から、2つの少サンプル事例の全ての組み合わせを選択して、全ての組み合わせについての距離Dの算出が終了するまで繰り返し実施される。
距離Dに基づいて複数の対策を分類する技術自体は公知の技術であるため詳細な説明を省略するが、距離Dに基づいて複数の対策を分類する手法として、例えば、以下の非特許文献2に開示されている「クラスタリング分析法」を用いることができる。
[非特許文献2] 中村永友著「多次元データ解析法」共立出版、P192〜238
図24では、例えば、分類IDが[G001]のグループには、対策前期間が“1”で、対策IDが[M01]の対策と、対策前期間が“2”で、対策IDが[M01]の対策と、対策前期間が“1”で、対策IDが[M02]の対策と、対策前期間が“2”で、対策IDが[M02]の対策と、対策前期間が“1”で、対策IDが[M06]の対策とが分類されている。
以下、分布推定部11の処理内容を具体的に説明する。
図25は分布推定部11の処理内容をフローチャートである。
分布推定部11は、同一のグループに属する複数の対策と対策前期間の組み合わせを抽出すると、サンプル数が少ない場合でも、高精度に能力改善率の分布を推定することが可能なブートストラップ法を使用して、グループ別に、各対策前期間及び対策後期間における能力改善率の分布を推定する。
ブートストラップ法は、例えば、以下の非特許文献3に開示されており、複数のサンプルの中から、同じサンプルを重複して抽出することを許す条件の下で、複数のサンプルをランダムに抽出する操作を数百〜数千回の規模で反復して実施することで、その抽出操作毎に得られるサンプルを分析する手法である。ブートストラップ法は、サンプル数が少ない場合でも高精度で分析可能な方法として知られているが、サンプル数が極端に少ない場合には、その有効性が乏しいと考えられる。
この実施の形態1では、対策分類部9によって、能力改善率の推移が類似している対策が同一のグループに分類されることで、各グループには、異なる対策も含まれるようになっているため、評価対象となるサンプルの数が増加しており、サンプル数が極端に少ないという状況の可能性が低下している。
[非特許文献3] 小西貞則 ・越智義道 ・大森裕浩著「計算統計学の方法 ―ブートストラップ,EMアルゴリズム,MCMC―」朝倉書店、2008年3月25日発行、p.1〜68
図26はブートストラップ法を用いる能力改善率の分布推定処理を示す説明図である。
分布推定部11は、同一のグループに属する複数の対策と対策前期間の組み合わせを抽出すると、図20の少サンプル事例バッファ8を参照して、その抽出した対策と対策前期間の組み合わせに対応する能力改善率とサンプル数を取得する。
例えば、対策ID=[M01]の対策と対策前期間“1”の組み合わせであれば、能力改善率として“0.00”、サンプル数として“2”を取得する。
また、対策ID=[M02]の対策と対策前期間“1”の組み合わせであれば、能力改善率として“0.33”、サンプル数として“3”を取得する。
図26の左側の表は、10個の組み合わせが同一のグループに属している例を示しており、IDXは、10個の組み合わせを識別するインデックスである。各々の組み合わせには1〜10のIDXが割り当てられている。
図26の左側の表において、改善数は、サンプル数と改善率の乗算結果を小数点第1位で四捨五入した値である。
反復回数として、例えば、2000回が事前に指定されている場合、10個の組み合わせをランダムに抽出する処理を2000回繰り返し実施する。図26において、例えば、第1回と記述されている部分は、第1回目の抽出処理を示しており、IDXが1,2,2,3,4,4,5,5,6,7の組み合わせを抽出している。
また、第2000回と記述されている部分は、第2000回目の抽出処理を示しており、IDXが1,2,3,4,4,6,7,8,10,10の組み合わせを抽出している。
例えば、第1回目の抽出処理では、サンプル数の総和が69(=7+6+6+7+9+9+7+7+4+7)、改善数の総和が24(=2+3+3+3+0+0+4+4+3+2)である。
分布推定部11は、10個の組み合わせにおけるサンプル数の総和と、改善数の総和とを算出すると、その改善数の総和をサンプル数の総和で除算することで、10個の組み合わせにおける能力改善率を算出する(図25のステップST43)。以下、この能力改善率をブートストラップ標本改善率と称する。
例えば、第1回目の抽出処理では、サンプル数の総和が69で、改善数の総和が24であるため、ブートストラップ標本改善率は0.35(=24/69)となる。
第2回目の抽出処理では、サンプル数の総和が67で、改善数の総和が27であるため、ブートストラップ標本改善率は0.40(=27/67)となる。
例えば、各区間の幅Δを0.1として、0.0〜1.0の範囲がある能力改善率を分割する場合、その能力改善率の各区間は、0.1〜0.2、0.2〜0.3、0.3〜0.4、・・・、0.9〜1.0のようになる。
図26の例では、第1回目の抽出処理におけるブートストラップ標本改善率は0.35であるため、0.3〜0.4の区間に振り分けられる。
第2回目の抽出処理におけるブートストラップ標本改善率は0.40であるため、0.3〜0.4の区間に振り分けられる。ここでは、区間の境界にある0.40を下側の区間である0.3〜0.4の区間に振り分けているが、上側の区間である0.4〜0.5の区間に振り分けるようにしてもよい。
各区間に属するブートストラップ標本改善率の件数は、ブートストラップ法における能力改善率の分布に相当する。
ここでは、説明の簡単化のために、各区間の幅Δが0.1である例を示しているが、実際の計算では、Δ=0.001などの小さい値が用いられることが想定される。
分布推定部11は、各区間に属するブートストラップ標本改善率の件数を計数すると、その件数を抽出処理の反復回数で除算することで、各区間の確率密度を算出する(図25のステップST45)。
例えば、0.3〜0.4の区間に振り分けられているブートストラップ標本改善率の件数が400個で、反復回数が2000である場合には、0.3〜0.4の区間の確率密度は、0.2(=400/2000)となる。
例えば、分類IDが[G001]、対策前期間が“1”、対策後期間が“1”についての各区間の確率密度が算出されている場合、分類別能力改善率分布バッファ12には、分類IDが[G001]、対策前期間が“1”、対策後期間が“1”、ブートストラップ標本改善率の各区間の範囲を示す能力改善率下限及び能力改善率上限に対応する確率密度が記録される。例えば、0.3〜0.4の区間の確率密度が“0.2”であれば、能力改善率の下限が“0.3”、能力改善率の上限が“0.4”に対応する確率密度として“0.2”が記録される。
図27の右側に示しているグラフは、分類IDが[G001]、対策前期間が“1”、対策後期間が“1”における能力改善率の分布を示している。
図27の例では、能力改善率が0.00〜0.70の間に分布しており、能力改善率が中間の0.50よりも、やや0.00寄りの分布であることを示している。
以下、分布補正部13の処理内容を具体的に説明する。
図28は分布補正部13の処理内容をフローチャートである。
具体的には、以下のようにして、本来の能力改善率が示す確率密度の分布を求める。
Δは能力改善率を一定区間毎に分割する際の各区間の幅であって、1より小さい値である。mは0≦m<(1/Δ)を満足する整数である。
ここで、i番目の対策事例におけるSi個のサンプルのうち、能力が改善されたサンプルの数である改善数がQiであるとして、能力改善率がQi/Siで与えられている場合、本来の能力改善率が示す確率密度の分布は、第1パラメータをQi+1、第2パラメータをSi−Qi+1とする場合のベータ分布に従うものとする。
[非特許文献4] 箕谷千凰彦著「統計分布ハンドブック」朝倉書店、P625〜642
pを第1パラメータ、qを第2パラメータとする式(2)に示すベータ分布の確率密度関数Be(x;p,q)を用いると、mΔ〜(m+1)Δの区間に存在する確率Fi(m)は、下記の式(3)のように定義される。
確率G(m)は、図27の分類別能力改善率分布バッファ12に記録されている確率密度と同じ値である。
この補正は、グループにおける能力改善率がmΔ〜(m+1)Δの区間に存在し、かつ、i番目の対策事例における対策ID及び対策前期間の組み合わせがmΔ〜(m+1)Δの区間に存在することが同時に発生する確率G(m)・Fi(m)に基づくものである。
能力改善率の分布補正処理は、少サンプル事例バッファ8に存在している全ての対策事例を選択して、その選択した対策事例についての能力改善率の分布の補正が終了するまで繰り返し実施される。
式(5)による補正は、個々の補正後の能力改善率の分布Hi(m)の全てのiに対する和をiで割ったものと、G(m)との誤差Errが最小となるように、個々のHi(m)を求めるものである。
即ち、式(5)による補正は、グループに属する各対策の各期間における能力改善率の分布の和が、分布推定部11により推定された当該グループの各期間における能力改善率の分布となるように、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率の分布を補正するものである。
図29は、Si=2、Qi=1の場合の確率密度の分布を示し、図30は、Si=3、Qi=1の場合の確率密度の分布を示している。
式(5)の誤差Errが最小になるdiの値を求めることで、所望のHi(m)を得ることができる。
誤差Errが最小になるdiの値を導出する方式として、diの取り得る値を例えば0.01などの一定幅で変えながら、式(5)の誤差Errを総当たりで求めて、誤差Errが最小となるdiの近似値を求める方式のほか、diの変化に対する誤差Errの変化率の傾きから、誤差Errの最小値を探索する共役方向法などを用いることができる。共役方向法は、例えば、以下の非特許文献5に開示されている。
[非特許文献5] 伊理正夫ら監訳「最適化ハンドブック」朝倉書店、P52〜55
以下、改善率推定部14の処理内容を具体的に説明する。
図31は改善率推定部14の処理内容をフローチャートである。
改善率推定部14は、同じ対策ID及び対策前期間が少サンプル事例バッファ8に存在していれば(ステップST62:Yesの場合)、下記の式(7)に示すように、分布補正部13から出力された補正後の能力改善率の分布Hi(m)を用いて、改善率期待値Riを算出する(ステップST63)。
改善率推定部14は、同じ対策ID及び対策前期間が少サンプル事例バッファ8に存在していない場合(ステップST62:Noの場合)、その選択した対策事例におけるサンプル数の項目を除去した項目である対策ID、対策前期間、対策後期間及び能力改善率を含む対策別改善率情報15を出力する(ステップST65)。
改善率推定部14による対策別改善率情報15の出力処理は、対策別時期別能力改善率DB6に存在している全ての対策事例を選択して、その選択した対策事例についての対策別改善率情報15を出力するまで繰り返し実施される。
Claims (6)
- 被対策対象が有している能力を改善する対策別に、被対策対象に対策が実施される前の各期間及び対策が実施された後の各期間における前記能力の改善率を集計する改善率集計部と、
前記改善率集計部により対策別に集計された能力改善率を用いて、各々の対策間の各期間における能力改善率の推移の類似度を評価して、前記能力改善率の推移が類似している対策を同一のグループに分類する対策分類部と、
1つ以上の対策を含んでいるグループ別に、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率から、当該グループの各期間における能力改善率の分布を推定する分布推定部と、
前記分布推定部によりグループ別に推定された各期間における能力改善率の分布を用いて、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率の分布を補正する分布補正部と、
前記分布補正部により補正された能力改善率の分布を用いて、各対策の各期間における能力改善率を推定する改善率推定部と
を備えた対策別改善率推定装置。 - 前記対策分類部は、前記改善率集計部により対策別に集計された各期間における能力改善率から、本来の能力改善率の範囲を示す信頼区間を期間毎に算出し、各々の対策間の各期間における信頼区間の重複範囲幅から、各々の対策間の各期間における能力改善率の推移の類似度を評価することを特徴とする請求項1記載の対策別改善率推定装置。
- 前記分布推定部は、被対策対象に対策が実施された後の期間毎に、当該グループに属している複数の対策の中から、同じ対策を重複して抽出することを許す条件の下で、複数の対策をランダムに抽出し、ランダムに抽出した複数の対策の能力改善率から、当該グループにおける標本の改善率を算出する処理を繰り返し実施し、繰り返しの処理でそれぞれ算出した標本の改善率から、当該グループの当該期間における能力改善率の分布を推定することを特徴とする請求項1記載の対策別改善率推定装置。
- 前記分布補正部は、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率の分布の和が、前記分布推定部により推定された当該グループの各期間における能力改善率の分布となるように、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率の分布を補正することを特徴とする請求項1記載の対策別改善率推定装置。
- 改善率集計部が、被対策対象が有している能力を改善する対策別に、被対策対象に対策が実施される前の各期間及び対策が実施された後の各期間における前記能力の改善率を集計し、
対策分類部が、前記改善率集計部により対策別に集計された能力改善率を用いて、各々の対策間の各期間における能力改善率の推移の類似度を評価して、前記能力改善率の推移が類似している対策を同一のグループに分類し、
分布推定部が、1つ以上の対策を含んでいるグループ別に、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率から、当該グループの各期間における能力改善率の分布を推定し、
分布補正部が、前記分布推定部によりグループ別に推定された各期間における能力改善率の分布を用いて、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率の分布を補正し、
改善率推定部が、前記分布補正部により補正された能力改善率の分布を用いて、各対策の各期間における能力改善率を推定する
対策別改善率推定方法。 - 被対策対象が有している能力を改善する対策別に、被対策対象に対策が実施される前の各期間及び対策が実施された後の各期間における前記能力の改善率を集計する改善率集計処理手順と、
前記改善率集計処理手順により対策別に集計された能力改善率を用いて、各々の対策間の各期間における能力改善率の推移の類似度を評価して、前記能力改善率の推移が類似している対策を同一のグループに分類する対策分類処理手順と、
1つ以上の対策を含んでいるグループ別に、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率から、当該グループの各期間における能力改善率の分布を推定する分布推定処理手順と、
前記分布推定処理手順によりグループ別に推定された各期間における能力改善率の分布を用いて、当該グループに属する各対策の各期間における能力改善率の分布を補正する分布補正処理手順と、
前記分布補正処理手順により補正された能力改善率の分布を用いて、各対策の各期間における能力改善率を推定する改善率推定処理手順と
をコンピュータに実行させるための対策別改善率推定プログラム。
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藤野 友也,他: ""受講者の少ない研修に対する教育効果推定方式のシミュレーション評価"", 第15回情報科学技術フォーラム講演論文集, JPN6018025835, 23 August 2016 (2016-08-23), pages 515 - 516, ISSN: 0003832741 * |
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