JP2017143459A - 伝搬遅延特性の測定方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 所望の周波数に対する伝搬遅延特性を高精度に測定することができる伝搬遅延特性の測定方法を提供する。【解決手段】 マルチパス伝搬環境に設置された送信手段と受信手段との間で伝搬遅延特性を測定する方法であって、予め設定された周波数の情報信号を含む測定用信号を前記送信手段から送信する送信ステップと、複数の伝搬経路を経た前記測定用信号を前記受信手段において受信する受信ステップと、受信した前記測定用信号に含まれる前記情報信号に対してウェーブレット変換を行いウェーブレット変換信号を算出する演算ステップと、前記ウェーブレット変換信号の振幅値の時間変化に基づき前記情報信号の周波数に対応する伝搬遅延特性を出力する出力ステップとを備える。【選択図】 図1
Description
本発明は、伝搬遅延特性の測定方法および装置に関する。
マルチパス(multipath propagation)あるいは多重波伝搬は、音・振動・電磁波が空間を伝搬する際、反射・屈折、振動モードの違いなどにより2つ以上の伝搬経路が生じた状態を指す。例えば、携帯電話やテレビにおいて、基地局から送信された電磁波を端末で受信する場合や、コンサートホールのステージ上でバイオリンを鳴らしたときに客席で聴く場合などは、マルチパス伝搬が生じていると考えられる。
マルチパス伝搬環境では、マルチパス干渉と呼ばれる異なるパス同士の位相干渉が生じ、受信(応答)信号はひずむ。無線通信の場合、ひずみが大きければ大きいほど、データが正しく届かない可能性が高くなる。
通信におけるマルチパス干渉対策としては、直交周波数分割多重方式(OFDM)などのマルチパスに強い変調方式を用いる、複数のアンテナで送受信する(ダイバーシティ技術)などがあるが、伝播経路の遅延特性に基づいて信号処理を加えることもその一つである。
マルチパス伝搬環境において、伝播経路の遅延特性を表現する従来技術として、第1にインパルス応答(例えば非特許文献1)、第2に遅延プロファイル(例えば特許文献1)が用いられている。これらは、マルチパス伝播システムにインパルスと呼ばれる非常に短い信号を入力したときの応答のそれぞれ瞬時的および時間平均的構造を表している。線形時不変システムにおいては、インパルス応答によってその伝達特性は完全に特徴づけられる。
マルチパス伝搬環境において、回折など周波数に依存して経路に変化が生じるようなパスが含まれる場合、その遅延特性は周波数に依存して変化する。伝搬遅延特性の周波数依存性を知る技術として、第3に短時間フーリエ変換(STFT)の繰り返しによって得られるスペクトログラムの算出(例えば非特許文献2)、第4に正弦波応答の瞬時周波数解析の利用(例えば特許文献2)がある。
唐沢好男、"広帯域移動通信の多重波伝搬理論とモデリング-等価伝送路モデルによる「伝搬」と「システム」の橋渡し"、電気情報通信学会論文誌B J83-B、 12、 pp.1651-1660 (2000)
ソフトウエア「ARTA」、インターネット<http://www.artalabs.hr/download.htm>
ところが、上述した第1および第2の従来技術はいずれも、インパルス応答あるいは遅延プロファイル算出に用いた広帯域信号に対する遅延特性を表すため、特定の周波数に対する遅延特性や遅延特性の周波数依存性については不明であるという問題点がある。また、上記第3の従来技術では、周波数分解能および時間分解能はフーリエ変換の窓関数の時間幅に依存するため、周波数ごとの正確な遅延特性を得ることが難しいという問題がある。
一方、上記第4の従来技術は、任意の周波数に対して伝搬遅延特性を正確に測定することができる。但し、瞬時周波数はノイズによる影響を受け易いこと、また、伝搬遅延特性の強度(振幅)を定量的に表現できないことから、これらの点において更に改良の余地があった。
そこで、本発明は、所望の周波数に対する伝搬遅延特性を高精度に測定することができる伝搬遅延特性の測定方法および装置の提供を目的とする。
本発明の前記目的は、マルチパス伝搬環境に設置された送信手段と受信手段との間で伝搬遅延特性を測定する方法であって、予め設定された周波数の情報信号を含む測定用信号を前記送信手段から送信する送信ステップと、複数の伝搬経路を経た前記測定用信号を前記受信手段において受信する受信ステップと、受信した前記測定用信号に含まれる前記情報信号に対してウェーブレット変換を行いウェーブレット変換信号を算出する演算ステップと、前記ウェーブレット変換信号の振幅値の時間変化に基づき前記情報信号の周波数に対応する伝搬遅延特性を出力する出力ステップとを備える、マルチパス伝搬環境における伝搬遅延特性の測定方法により達成される。
このマルチパス伝搬環境における伝搬遅延特性の測定方法において、前記演算ステップは、設定された解析周波数範囲で前記ウェーブレット変換信号の算出を行い、前記出力ステップは、前記解析周波数範囲から選択した特定の検出用周波数についての振幅値の時間変化を出力することが好ましい。
また、前記演算ステップは、複素ガボールウェーブレットを基底ウェーブレットとすることが好ましい。
また、本発明の前記目的は、マルチパス伝搬環境に設置された送信手段と受信手段との間で伝搬遅延特性を測定する装置であって、前記送信手段は、予め設定された周波数の情報信号を含む測定用信号を送信し、前記受信手段は、複数の伝搬経路を経た前記測定用信号を受信するように構成されており、前記受信手段で受信した前記測定用信号に含まれる前記情報信号に対してウェーブレット変換を行いウェーブレット変換信号を算出する演算部と、前記ウェーブレット変換信号の振幅値の時間変化に基づき前記情報信号の周波数に対応する伝搬遅延特性を出力する出力部とを備える、マルチパス伝搬環境における伝搬遅延特性の測定装置により達成される。
本発明によれば、所望の周波数に対する伝搬遅延特性を高精度に測定することができる伝搬遅延特性の測定方法および装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る伝搬遅延特性の測定装置(以下、単に「測定装置」という)のブロック図である。図1に示すように、本実施形態の測定装置1は、互いに離隔して配置される送信装置10および受信装置20を備えている。送信装置10および受信装置20は、両者の間に複数の伝搬経路が生じるマルチパス伝搬環境下に設置される。送信装置10および受信装置20は、それぞれ専用の測定装置として構成することが可能であり、あるいは、ラジオ、テレビ、パソコン、携帯端末機、無線LANなどの端末装置に組み込むことが可能である。
送信装置10は、入力部11、信号生成部12および送信部13を備えている。入力部11は、受信装置20に向けて送信する測定用信号について、周波数範囲、周波数間隔(周波数分解能に相当)、最大遅延時間などの設定情報を利用者が入力可能とされており、測定したい周波数範囲等を予め設定することができる。入力部11は、利用者が周波数範囲などを入力する代わりに、予めメモリ等に格納された周波数範囲などの設定情報を自動的に取り込むように構成してもよい。信号生成部12は、入力部11から入力された設定情報に基づいて正弦波からなる情報信号を生成し、図2に示すように同期信号を付加して、測定用信号を発生する。送信部13は、生成された測定用信号を、無線信号としてアンテナ14を介して送信する。
また、受信装置20は、送信装置10から送信された測定用信号を、アンテナ21を介して受信する受信部23と、受信した測定用信号に含まれる同期信号の検出に基づき情報信号の受信タイミングを取得する同期検出部23と、受信した情報信号に対してウェーブレット変換を行いウェーブレット変換信号を算出する演算部24と、ウェーブレット変換信号の振幅値の時間変化に基づき情報信号の周波数に対応する伝搬遅延特性を出力する出力部25とを備えている。
次に、上記の構成を備える測定装置1の作動を説明する。まず、送信装置10の入力部11において、周波数範囲、周波数間隔、最大遅延時間等の設定情報を入力する。設定情報は、例えば、伝搬遅延特性の測定対象となる通信機器において使用される周波数に応じた周波数範囲を設定する。具体例を挙げると、ラジオ放送の場合は、2MHzから26MHzの範囲、テレビ放送の場合は90MHzから770MHzの範囲、無線LANの場合は、2000MHz程度から6000MHz程度の範囲において、各チャンネルのキャリア周波数の帯域に基づいて必要な範囲を設定することができる。また、周波数間隔の設定は、例えば伝搬遅延特性を取得する周波数の分解能に基づいて行うことができる。最大遅延時間は、マルチパス伝搬環境において想定される値であり、この最大遅延時間に基づいて、情報信号の時間長さが設定される。
設定情報の入力が完了すると、信号生成部12は、図2(a)に示すように、入力された周波数範囲の範囲外である既知の周波数の正弦波信号を、同期信号として時間幅t1で設定すると共に、入力された周波数範囲の下限値に相当する周波数の正弦波信号を、情報信号として時間幅t2で設定することにより、測定用信号を生成する。このような情報信号は、パルス波ではなく継続波であり、情報信号の時間幅t2は、入力された最大遅延時間に相当する。正弦波信号からなる情報信号は、遅延時間が0に相当する部分において位相が不連続であればよい。すなわち、その遅延時間が、図2(b)に示すようにオンセットとなってもよいし、図2(c)に示すように位相が反転してもよい。位相反転の場合、最も位相差が大きくなる。
得られた測定用信号は、送信部13によりアンテナ14を介して送信され、複数の伝搬経路(例えば、直接波W1および反射波W2の伝搬経路)を経て、受信装置20のアンテナ21を介して受信部22により受信される。同期検出部23は、受信した測定用信号のうち、同期信号に基づいて情報信号の受信タイミングを検出し、情報信号を抽出する。
演算部24は、抽出した情報信号に対してウェーブレット変換を行い、ウェーブレット変換信号を算出する。例えば、基底ウェーブレットに複素ガボールウェーブレットを用いる場合、ウェーブレット関数Ψ(t)は、下記の数式1で表される。
ここで、k,θ,f0およびaは、フィルタパラメータであり、特に、f0はフィルタ応答のピーク周波数、aはフィルタのバンド幅のおおよそ半分に相当する。受信した情報信号(応答信号)をx(t)とすると、ウェーブレット変換信号WT(t,f)は、x(t)とΨ(t)の畳み込みを、フィルタ応答のピーク周波数fの関数として表現できるため、下記の数式2で表される。
こうして得られたウェーブレット変換信号WT(t,f)について、情報信号の周波数(キャリア周波数)、ノイズの影響および時間分解能を考慮して、最適なfの値(検出用周波数)を決定し、ウェーブレット変換信号WT’(t)を抽出する。検出用周波数は、キャリア周波数を含まない範囲でなるべく高い値に設定することで、時間分解能が良好なデータが得られるが、高周波になり過ぎると振幅が小さくなってノイズの影響を受け易くなることから、これらを考慮して最適な検出用周波数fの値を決定することが好ましい。例えば、ウェーブレット変換信号WT’(t)の最小振幅値に対するノイズ信号の大きさに対して閾値を設置することにより、この閾値を超えない最大のfの値を自動的に決定することができる。
fの値の自動決定方法として、より好適な一例を挙げると、まず、時間分解能の悪いチャンネルを排除するため、情報信号の周波数(キャリア周波数)以上のチャンネルを選択する(条件1)。ついで、情報信号の影響が大きいチャンネルを排除するため、信号がない区間の強度の平均値(バックグラウンドノイズの平均レベル)と比較して、情報信号の直接波到達から十分に時間が経った定常状態の区間の強度の平均値が、基準値以下(例えば、+20dB以内)であるチャンネルを選択する(条件2)。次に、SN比の悪いチャンネルを排除するため、信号がない区間の強度の最大値(バックグラウンドノイズの最大レベル)と比較して、伝搬遅延が0以降の区間の強度の最大値の差が基準値以上(例えば+20dB以上)であるチャンネルを選択する(条件3)。こうして、上記の条件1〜3の全てを満たすチャンネルの振幅を加算したものを、WT’(t)とすることができる。
こうして得られたウェーブレット変換信号WT’(t)の振幅値の時間変化は、後述する実施例1に示すように、キャリア周波数に対応する伝搬遅延特性を的確に表している。したがって、出力部25が、ウェーブレット変換信号WT’(t)に基づく伝搬遅延特性を、キャリア周波数と共に出力することで、当該周波数に対応した伝搬遅延特性を高精度に得ることができる。
この後、予め設定された解析周波数範囲において、キャリア周波数を予め設定された周波数間隔で増加させ、各周波数の情報信号を含む測定用信号を用いて上記の手順を繰り返し、それぞれウェーブレット変換信号WT’(t)を算出することで、任意の周波数に対する伝搬遅延特性を容易且つ正確に取得することができる。これにより、例えば、ラジオ・テレビや無線LANの通信経路など、伝搬環境が時間的に不変あるいは時間変動の影響が小さい通信機器全般に対して、電磁波の伝搬遅延特性の周波数依存性を測定することができ、マルチパス干渉を軽減するために有用な情報を取得できる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態には限定されない。例えば、測定用信号に含まれる情報信号の設定情報は、本実施形態においては送信装置10に設けた入力部11を介して行っているが、この入力部11を受信装置20に設置してもよく、受信装置20で入力された設定情報を送信装置10に送信することで、信号生成部12が測定用信号を生成するように構成してもよい。図3は、このような構成において、受信装置20が備える表示画面Dの一例を示しており、タッチパネル等により設定情報を入力可能な入力部11が表示画面Dの上部に形成され、演算部で演算を行ったウェーブレット変換信号WT’(t)を表示する出力部25が表示画面Dの下部に形成されている。
また、本実施形態においては、基底ウェーブレットとして複素ガボールウェーブレットを用いることで、ウェーブレット変換信号WT’(t)の振幅情報の抽出を容易にしているが、基底ウェーブレットは必ずしも複素ガボールウェーブレットに限定されるものではなく、他のウェーブレット関数(例えば、メキシカンハットやメイヤー等)を使用することも可能である。
また、本実施形態においては、送信する測定用信号に含まれる情報信号を正弦波信号としているが、必ずしも正弦波信号のみに限定されない。例えば、送信装置10からTSP(Time Stretched Pulse)信号を送信して受信装置20でTSP応答を受信し、このインパルス応答を算出した後に、本実施形態の信号生成部12で得られる正弦波信号と同様の正弦波信号を畳み込むことにより、上記の段落[0023]に記載の情報信号と同等の信号が得られ、これから本実施形態と同様の方法でウェーブレット変換信号を得ることができる。このように、情報信号としてTSP信号を用いる場合には、複数の周波数に対応する伝搬遅延特性を同時に得ることが可能である。
また、本実施形態においては、解析周波数範囲から選択した特定の検出用周波数に基づいて、ウェーブレット変換信号WT’(t)を算出しているが、後述する実施例に示すように、一定の幅を有する解析周波数範囲のウェーブレット変換信号WT(t,f)自体も大まかな伝搬遅延特性を示すことから、出力部25は、ウェーブレット変換信号WT’(t)に代えて、あるいは、ウェーブレット変換信号WT’(t)と共に、ウェーブレット変換信号WT(t,f)を出力するようにしてもよい。ウェーブレット変換信号WT(t,f)は、例えば、2次元のグレースケールマップ、カラーマップ、コンターマップなどにより表示することができる。加えて、WT’(t)を複数のキャリア周波数fcに対して表示できるようにすると、WT’(t,fc)は、後述する実施例2に示すように、伝搬遅延特性の周波数依存性を2次元で表現することができる。
また、送信装置10および受信装置20の間で送受信される測定用信号は、必ずしも電磁波に限定されるものではなく、音波などであってもよい。この場合は、本実施形態の測定装置1において、送信部13およびアンテナ14の代わりに、スピーカ、振動子、ハイドロホン等を使用することができ、受信部22およびアンテナ21の代わりに、マイクロホン、加速度センサ、ハイドロホン等を使用することができる。
音波を測定用信号とする測定装置1は、コンサートホールや講義室を伝搬する音声信号、頭部内を伝搬する可聴骨導音や骨導超音波、生体内を伝搬する超音波診断装置からの医用超音波、魚群探知機からの水中超音波等についての伝搬遅延特性を取得することができる。設定される周波数範囲の具体例を挙げると、スピーカ等から提示される音声の場合は20Hzから20kHzの範囲、骨導可聴音や骨導超音波の場合は20Hzから100kHzの範囲、超音波検査で用いられる医用超音波の場合は1Hzから20MHz、魚群探知機の水中超音波の場合は15kHzから200kHzの範囲において、必要な周波数範囲を抽出することができる。これにより、スピーカや振動子等からの音波伝播経路の周波数依存性を測定することができ、マルチパス干渉の軽減、伝播経路の詳細な解析、伝搬システムの同定、さらには精度のよい可視化のために有用な情報を取得できる。
測定装置1は、音声や環境音などの外部音を機械的振動により知覚することができる外部音知覚装置に組み込むことができる。図4は、本発明の一実施形態に係る外部音知覚装置のブロック図である。図4に示す外部音知覚装置100は、外部音が入力される指向性マイクロホン35と、指向性マイクロホン35に入力された音信号に基づいて振動信号を生成する振動信号生成部30と、振動信号を処理して出力信号を生成する信号処理部37とを備えており、更に、送信装置110および受信装置120を備えて構成されている。
送信装置110および受信装置120のそれぞれの構成については、図1に示す測定装置1が備える送信装置10および受信装置20の構成と同様であるため、図4においては、図1と同様の構成部分に同一の符号を付している。送信装置10の送信部は、信号処理部37で処理された出力信号に基づいて生体に機械的振動を伝達する振動子113となっている。送信装置110の信号生成部12で生成された測定用信号は、振動子113から機械的振動として送信され、可聴骨導または超音波骨導により人体の複数の伝搬経路を伝搬して、受信装置120が備える骨導マイクロホン122により受信される。
上述した外部音知覚装置100の詳細は、上記特許文献2に開示された公知のものであるため、詳細な説明を省略する。この外部音知覚装置100によれば、外部音の入力に基づいて生成された振動信号が、平滑化フィルタ部34においてフィルタリングされた後に、振動子113から伝達されるように構成されているので、伝達する機械的振動の周波数特性を、呈示する周波数帯域で平滑化することが可能になる。この結果、音声や環境音などの外部音の歪みを抑制することができ、使用者が外部音を明瞭に知覚することが可能になる。また、送信装置110と受信装置120との間で測定した伝搬遅延特性に基づいて信号処理部37が振動信号に対する信号処理を行うことにより、使用者が外部音の知覚をより明瞭に行うことができる。伝搬遅延特性に基づく信号処理の内容は、特に限定されないが、例えば、同側耳へ届く信号の周波数特性の平坦化や、対側耳へ届く信号のキャンセリングなどを行うことができる。
また、本発明の測定装置は、任意の周波数について伝搬遅延特性を測定することにより、直接波と反射波とを高精度に分離することができるので、音波を利用した2点間の距離計測に用いることもできる。すなわち、音波の伝搬経路の近傍に障害物等が存在する場合において、音波の周波数に拘わらず反射波を確実に分離して直接波を検出することができるので、周波数が低い可聴音波を用いることができ、近距離から長距離まで広範囲の距離計測を精度良く行うことができる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施形態の測定装置を用いた測定方法の効果を確認するため、下記のシミュレーションを行った。送信する情報信号は周波数30kHzの正弦波信号として、図5に示す擬似的な伝搬遅延構造を与えたところ、受信した情報信号(応答信号)は図6に示す結果になった(サンプリング周波数:800kHz)。この応答信号に対して複素ガボールウェーブレットによるウェーブレット変換を行い、ウェーブレット変換信号WT(t,f)を算出した結果を、図7に示す。上記の数式1における各パラメータは、k=1.0,θ=0.0,a=0.35とし、ピーク周波数fの範囲は、10kHz〜400kHzで200点(log間隔)とした。
本実施形態の測定装置を用いた測定方法の効果を確認するため、下記のシミュレーションを行った。送信する情報信号は周波数30kHzの正弦波信号として、図5に示す擬似的な伝搬遅延構造を与えたところ、受信した情報信号(応答信号)は図6に示す結果になった(サンプリング周波数:800kHz)。この応答信号に対して複素ガボールウェーブレットによるウェーブレット変換を行い、ウェーブレット変換信号WT(t,f)を算出した結果を、図7に示す。上記の数式1における各パラメータは、k=1.0,θ=0.0,a=0.35とし、ピーク周波数fの範囲は、10kHz〜400kHzで200点(log間隔)とした。
図7において、横軸は時間t、縦軸はピーク周波数fであり、ウェーブレット変換信号WT(t,f)の振幅値の大きさが濃淡で表されている(振幅値が小さいほど濃くなる)。図7に示すように、ピーク周波数が高くなるほど、振幅値が小さくなるものの、分解能は向上しており、図5に示す伝搬遅延特性が高精度に表されていることがわかる。実際の測定においては、ノイズの影響も考慮して、fの最適値を決定する。
図8は、図7に示すウェーブレット変換信号WT(t,f)において、白枠で囲まれた100kHz〜150kHzの周波数範囲に含まれる複数のピーク周波数fを抽出し、それぞれのfについてウェーブレット変換信号WT’(t)を算出した結果を示している。図8に示すように、fが高周波になるほど(150kHzに近づくほど)振幅が小さくなる一方、分解能が良くなり、図5に示す伝搬遅延特性が高精度に表されていることがわかる。
(実施例2)
骨導超音波の頭部内伝搬に関して、25kHzから35kHzまで50Hz刻みのキャリア周波数fcに対して解析したWT’(t, fc)の大きさを、図9に濃淡で示す。WT(t,f)を算出する際のピーク周波数fは、間隔が密であるほどWT’(t, fc)を滑らかに表示できることから、10kHz〜400kHzで500点(log間隔)とした。図9に示すように、直接到達波および500μsまでの初期到達成分は伝搬遅延特性に周波数依存性がないものの、それ以降で周波数依存性の強い成分が到達していることがわかる。
骨導超音波の頭部内伝搬に関して、25kHzから35kHzまで50Hz刻みのキャリア周波数fcに対して解析したWT’(t, fc)の大きさを、図9に濃淡で示す。WT(t,f)を算出する際のピーク周波数fは、間隔が密であるほどWT’(t, fc)を滑らかに表示できることから、10kHz〜400kHzで500点(log間隔)とした。図9に示すように、直接到達波および500μsまでの初期到達成分は伝搬遅延特性に周波数依存性がないものの、それ以降で周波数依存性の強い成分が到達していることがわかる。
1 (伝搬遅延特性の)測定装置
10 送信装置
11 入力部
12 信号生成部
20 受信装置
23 同期検出部
24 演算部
10 送信装置
11 入力部
12 信号生成部
20 受信装置
23 同期検出部
24 演算部
Claims (4)
- マルチパス伝搬環境に設置された送信手段と受信手段との間で伝搬遅延特性を測定する方法であって、
予め設定された周波数の情報信号を含む測定用信号を前記送信手段から送信する送信ステップと、
複数の伝搬経路を経た前記測定用信号を前記受信手段において受信する受信ステップと、
受信した前記測定用信号に含まれる前記情報信号に対してウェーブレット変換を行いウェーブレット変換信号を算出する演算ステップと、
前記ウェーブレット変換信号の振幅値の時間変化に基づき前記情報信号の周波数に対応する伝搬遅延特性を出力する出力ステップとを備える、伝搬遅延特性の測定方法。 - 前記演算ステップは、設定された解析周波数範囲で前記ウェーブレット変換信号の算出を行い、
前記出力ステップは、前記解析周波数範囲から選択した特定の検出用周波数についての振幅値の時間変化を出力する請求項1に記載の伝搬遅延特性の測定方法。 - 前記演算ステップは、複素ガボールウェーブレットを基底ウェーブレットとする請求項1または2に記載の伝搬遅延特性の測定方法。
- マルチパス伝搬環境に設置された送信手段と受信手段との間で伝搬遅延特性を測定する装置であって、
前記送信手段は、予め設定された周波数の情報信号を含む測定用信号を送信し、前記受信手段は、複数の伝搬経路を経た前記測定用信号を受信するように構成されており、
前記受信手段で受信した前記測定用信号に含まれる前記情報信号に対してウェーブレット変換を行いウェーブレット変換信号を算出する演算部と、
前記ウェーブレット変換信号の振幅値の時間変化に基づき前記情報信号の周波数に対応する伝搬遅延特性を出力する出力部とを備える、伝搬遅延特性の測定装置。
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