JP2017141990A - グランドフレア、ガス化設備およびガス化複合発電設備ならびにグランドフレアの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】煙筒3の鉛直方向下方に設けられ、焼却する可燃性ガスの流速が第1流速とされた少なくとも1つのAバーナ5aと、煙筒3の鉛直方向下方に設けられ、焼却する可燃性ガスの流速が第1流速よりも小さい第2流速とされた複数のBバーナ5b及びCバーナ5cと、Aバーナ5a、Bバーナ5b及びCバーナ5cを制御する制御部とを備え、制御部は、可燃性ガスを発生する石炭ガス化炉の起動時に、Aバーナ5aを着火した後に、可燃性ガスの流量の変化情報を得て、Bバーナ5b及びCバーナ5cを着火する。
【選択図】図6
Description
また、グランドフレアにより焼却処理される可燃性ガスとしては、たとえばIGCCの起動時に石炭をガス化して生成された生成ガスが挙げられる。IGCCの起動時直後から起動初期には、ガス化炉にて生成ガスが発生するものの、ガスタービン燃焼器に生成ガスを受け入れてガスタービン設備が安定して運転できる準備が整うまでは、生成ガスをグランドフレアで焼却処理する必要がある。
また、バーナ流速を低減することによって低周波騒音レベルを低減することも考えられるが、バーナ流速を低下させすぎると着火安定性や保炎性が損なわれてしまう。特に、上流側設備(例えば石炭ガス化炉)の起動時直後から起動初期には、可燃性ガスの単位流量当たりの発熱量(以下、単に「発熱量」という。)が小さいため、グランドフレアで焼却するには、着火安定性や保炎性を維持しながらバーナ流速を大きく低下させることが難しい。
すなわち、本発明にかかるグランドフレアは、煙筒の鉛直方向下方に設けられ、焼却する可燃性ガスの流速が第1流速とされた少なくとも1つの第1バーナと、前記煙筒の鉛直方向下方に設けられ、焼却する可燃性ガスの流速が前記第1流速よりも小さい第2流速とされた複数の第2バーナと、前記第1バーナ及び前記第2バーナを制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記可燃性ガスを発生する上流側設備の起動時に、前記第1バーナを着火した後に、前記可燃性ガスの流量の変化情報を得て、前記第2バーナを着火することを特徴とする。
第1バーナを着火させた後は、時間が経過して可燃性ガスの発熱量が大きくなるので、第1流速よりも小さい第2流速とされた第2バーナであっても安定した着火が可能である。また、第2バーナは、第1バーナよりも流速が小さいので騒音レベルが第1バーナよりも小さい。したがって、全体としての騒音レベルを可及的に小さくすることができる。
これにより、騒音レベルを小さくすることができる。
第1バーナを着火させた後は、時間が経過して可燃性ガスの発熱量が大きくなるので、第1流速よりも遅い第2流速とされた第2バーナであっても安定した着火が可能である。また、第2バーナは、第1バーナよりも流速が小さいので騒音レベルが第1バーナよりも小さい。したがって、騒音レベルを可及的に小さくすることができる。
図1には、ガス化設備を含むガス化複合発電設備の一例として石炭ガス化複合発電設備(以下「IGCC」という。IGCCはIntegrated Coal Gasification Combined Cycleの省略形。)1が示されている。IGCC1の石炭ガス化炉(上流側設備、ガス化炉)10は、図示しないミルによって粉砕された石炭(微粉炭)を石炭ガス化炉内に投入して可燃性ガスを生成する。なお、以下の説明では、微粉炭から可燃性ガスを生成する石炭ガス化炉10を例示する。本発明のガス化炉は、炭素含有固体燃料が好適に用いられるが、石炭以外では例えば間伐材、廃材木、流木、草類、廃棄物、汚泥、タイヤ等のバイオマス燃料など、他の炭素含有固体燃料をガス化するものにも適用可能である。また、本発明のガス化炉は、IGCCとして生成した生成ガスを、ガス精製設備で精製して燃料ガスとした後、ガスタービン設備に供給して発電を行っているが、発電用に限らず、所望の化学物質を得る化学プラント用ガス化炉にも適用可能である。
ここで使用する酸化剤としては、空気、酸素富化空気、酸素、水蒸気等を例示でき、例えばガスタービン設備50から導入した圧縮空気に酸素分離装置(ASU)80から供給される酸素を混合して使用されてもよい。
また、本実施形態の石炭ガス化炉10は、タワー型でもクロスオーバー型ガス化炉でも、同様に実施が可能である。
また、酸素供給流路83は、酸素分離装置80で得られた酸素ガスをコンバスタ部へ供給する配管流路であり、流路途中には酸素流量調整弁84が設けられている。
チャー回収装置30では、集塵して可燃性ガスから分離されたチャーが、図示しない供給ホッパで一時的に貯留される。そして、供給ホッパからイナートガス供給流路81より供給されるイナートガスによりチャー戻しラインを介してガス化炉に供給される。
ガス精製設備40で生成された可燃性ガス(燃料ガス)は、可燃性ガス供給系統41を介してガスタービン設備50の燃焼器51に供給され、圧縮機52から導入した圧縮空気を用いて燃焼させられる。
なお、圧縮機52から供給される圧縮空気は、可燃性ガス燃焼用として燃焼器51へ供給されるだけでなく、一部が抽気されて抽気空気昇圧器54で昇圧された後、空気供給流路55を通って石炭ガス化炉10の酸化剤としても使用される。
こうして駆動されたガスタービン53及び蒸気タービン70は、例えば同軸の発電機71を回転駆動して発電する駆動源となる。なお、ガスタービン53及び蒸気タービン70は、各々専用の発電機71を回転駆動するようにしてもよく、特に限定されることはない。
ガス精製設備40の下流側には分岐点Aが設けられており、可燃性ガス供給系統41から分岐してグランドフレア90と接続されるグランドフレア用流路91が設けられている。グランドフレア用流路91及び可燃性ガス供給系統41には、それぞれ、流路切替用の開閉弁92,13が設けられている。また、グランドフレア用流路91には、グランドフレア90の入口側に入口弁97が設けられている。
これにより、ガスタービン燃焼器51入口上流でのA点にて、グランドフレア90に至るグランドフレア用流路91へ流通していた生成ガスが、A点からガスタービン燃焼器51入口へと切り替えられる。
煙筒3の鉛直方向下方は開放されており、この位置に複数のバーナ5が配置されている。バーナ5は、石炭ガス化炉10(図1参照)から導かれた可燃性ガスを焼却処理する。各バーナ5の着火および消火等の制御は、図示しない制御部によって行われる。
バーナベーン8の上端には開口部8aが形成されており、図5(図3の切断線V−Vの断面図)に示すように、バーナベーン8の対向する壁部間の間隔Wを調整することによって、流路断面積を変更し、所望の可燃性ガスの流速(バーナ流速)が得られるようになっている。
バーナベーン8の開口部8aの鉛直方向上方には、図5に示すように、断面がV字形状とされた保炎器9が設けられている。この保炎器9によって、火炎が安定化される。
図6に示すように、本実施形態では煙筒3の中心位置には、1つのAバーナ(第1バーナ)5aが配置されている。
Aバーナ5aの周囲には、Aバーナ5aに隣接して、6つのBバーナ(第2バーナ)5bが設けられている。これらBバーナ5bの中心は、Aバーナ5aの中心から略同一の半径とされた位置に略等角度間隔で配置されている。
さらに、Bバーナ5bの周囲には、Bバーナ5bに隣接して、6つのCバーナ(第3バーナ)5cが設けられている。これらCバーナ5cの中心は、中央のAバーナ5aの中心から略同一の半径とされ、かつAバーナ5aからBバーナ5bよりも遠い半径位置にて略等角度間隔で配置されている。各バーナ5a,5b,5c間は、火移りが可能な程度に隣接している。
このように、Aバーナ5a、Bバーナ5b及びCバーナ5cは、Aバーナ5aを中心として同心円状に設けられている。なお、Aバーナ5a、Bバーナ5b及びCバーナ5cのそれぞれの数は、本実施形態の数に限定されるものではなく、任意である。
また、図6のCバーナ5cのように、煙筒3の中心側ではなく外周側に位置するものは、煙筒3の中心に対する半径を大きくすれば、Cバーナ5cの設置数量を増加することが可能となる。例えば、図6では、Cバーナ5cは6台設置されているが、12台を設置することが可能となり、煙筒3の径をもう少し大きなものに変更しCバーナ5cの煙筒3の中心半径を大きくする。もしくは、煙筒3の径を現状のままとして、Cバーナ5cの煙筒3の中心半径を現状のものと、現状より少し大きなものとして隣接するCバーナ5cが互い違いに2種類の半径に並ぶことで密に配置されるようにしても良い。
したがって、バーナ流速の関係は以下の通りである。
(1)バーナ流速の関係:Aバーナ5a > Bバーナ5b > Cバーナ5c
一方、バーナの燃焼による騒音レベルは、バーナ流速とは正の関係になることが発明者らの試験結果の知見として得られている。この知見が、本実施形態の作用効果を得るに重要な内容となる。各バーナの流速の関係(1)から、各バーナの騒音レベルの関係(2)は以下の通りである。
(2)バーナ騒音レベルの関係:Aバーナ5a > Bバーナ5b > Cバーナ5c
また、騒音レベルは、騒音計で測定された音圧レベルを、デシベル(dB)で示したもので、その値は、基準音圧値P0(20μPa)に対する音圧P(μPa)の比を対数で表したものである。
同図に示されているように、各バーナ5a,5bに対して、それぞれ可燃性ガス供給枝管93が設けられている。各可燃性ガス供給枝管93は、可燃性ガスをガス精製設備40から供給するグランドフレア用流路91(図1参照)から分岐されている。グランドフレア用流路91には、各可燃性ガス供給枝管93に分岐する前の上流側に、圧力センサPTが設けられている。圧力センサPTにて計測された圧力値は、図示しない制御部に送られるようになっていて、可燃性ガスの流量が変化することの変化情報を出すものとなる。
各可燃性ガス供給枝管93には、それぞれ、枝管用制御弁94が設けられている。枝管用制御弁94の開度は、圧力センサPTの圧力値に基づいて、図示しない制御部によって制御されるようになっている。
また、グランドフレア用流路91の圧力センサPTが設けられた付近に可燃性ガスのガス流量計FIを設けても良い。Aバーナ5aの着火後、ガス流量計FIの計測値が所定の閾値を超えた変化情報から、可燃性ガスの発熱量と可燃性ガス流量が増大したと判断して、制御部(図示せず)の指令により、Bバーナ5bの着火、さらにその後のCバーナ5cの着火が行われてもよい。
なお、図7において、Aバーナ5aの流速を大きくして、保炎特性を安定化させるようにするために、Aバーナ5aには2本の可燃性ガス供給枝管93が接続されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1本であっても良いし、3本以上であっても良く、各バーナ5に接続される可燃性ガス供給枝管93の本数は任意であり、グランドフレア用流路91から分岐された配管が接続されていれば良い。また、図示を省略したCバーナ5cのそれぞれに対しても、図7に示したように枝管用制御弁94が設けられた可燃性ガス供給枝管93が接続される。
f=St×V/L
ここで、f:カルマン振動数、St:ストローハル数、V:バーナ流速(m/s)、L:保炎器9の代表長さである。
Lとしては、具体的には、保炎器9の幅Ws(図5参照)が用いられる。
IGCC1(図1参照)の起動時直後から起動初期には、石炭ガス化炉10にて可燃性ガスが生成されるが、通常運転に到るまでは石炭のガス化が十分に行われないため、石炭ガス化炉10から供給される可燃性ガスの発熱量が小さい。発熱量が小さい可燃性ガスをグランドフレア90のバーナ5での保炎を安定的に燃焼させるのは困難を伴う。図8には、燃焼の安定性について、可燃性ガスの発熱量とバーナ流速との関係が示されている。同図から分かるように、可燃性ガスの発熱量が大きいほど、またバーナ流速が大きいほど、着火と保炎が安定的に行われて燃焼の安定性は良い。一方、可燃性ガスの発熱量が小さいほど、またバーナ流速が小さいほど不着火となり燃焼の安定性が悪くなる。したがって、図8の紙面の右側(可燃性ガスの発熱量が大きい領域)では安定着火の領域となり、図8の紙面の左下側(可燃性ガスの発熱量が小さい領域)では不着火の領域となる。そして、安定着火の領域と不着火の領域との間に挟まれた領域が遷移域となる。そして、図8に「通常時」として示した領域のように、IGCC1の起動が終わり通常運転に入ると、石炭ガス化炉10から導かれる可燃性ガスの発熱量は大きくなるので、バーナ流速を小さくして安定着火を行うことができる。しかし、図8に「起動時」として示した領域のように、IGCC1の起動時には、可燃性ガスの発熱量が比較的小さいため、安定着火の領域から外れてしまい、バーナ流速を大きくして遷移域での燃焼を行わざるを得ないことがある。
本実施形態のグランドフレア90は、IGCC1の起動時直後から起動初期の場合のように、安定着火を行うことができない程度に可燃性ガスの発熱量が小さい場合にでも、安定的にバーナ燃焼を行うことができるものである。
時間が経過すると、可燃性ガスの発熱量が増大するとともにガス流量も増大することは、事前試験やシミュレーションで状況を把握しておいてもよい。このとき、可燃性ガスのガス流量の計測値もしくは圧力センサPTの計測値が所定の閾値を超えた変化情報から、制御部の指令により、Bバーナ5bの着火(図9のII参照)が行われてもよい。
IGCC1の起動時には、可燃性ガスの発熱量が小さいので、バーナ流速が大きいAバーナ5aのみを先に着火させて、着火の安定性を図ることができる。
Aバーナ5aを着火させた後は、時間が経過して可燃性ガスの発熱量が大きくなるので、Aバーナ5aよりもバーナ流速が小さいBバーナ5bやCバーナ5cであっても安定した着火が可能である。また、Bバーナ5b及びCバーナ5cは、Aバーナ5aよりも流速が小さいので騒音レベルが小さい。Aバーナ5aは、バーナ流速が大きいが、流量が少なく発熱量も小さいので、騒音レベルはそれほど大きくならない。
したがって、全体としての騒音レベルを可及的に小さくすることができる。
3 煙筒
5 バーナ
5a Aバーナ(第1バーナ)
5b Bバーナ(第2バーナ)
5c Cバーナ(第2バーナ)
6 風防
7 スタンドパイプ
7a 上端
7b 導入部
8 バーナベーン
8a 開口部
9 保炎器
10 石炭ガス化炉(上流側設備、ガス化炉)
90 グランドフレア
91 グランドフレア用流路
93 可燃性ガス供給枝管
94 枝管用制御弁
Claims (7)
- 煙筒の鉛直方向下方に設けられ、焼却する可燃性ガスの流速が第1流速とされた少なくとも1つの第1バーナと、
前記煙筒の鉛直方向下方に設けられ、焼却する可燃性ガスの流速が前記第1流速よりも小さい第2流速とされた複数の第2バーナと、
前記第1バーナ及び前記第2バーナを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記可燃性ガスを発生する上流側設備の起動時に、前記第1バーナを着火した後に、前記可燃性ガスの流量の変化情報を得て、前記第2バーナを着火することを特徴とするグランドフレア。 - 前記第1バーナの数は、前記第2バーナの数よりも少なく、
前記第1バーナが配置された水平面方向の周囲に、前記第2バーナが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のグランドフレア。 - 前記第2バーナを消火した後に、前記第1バーナを消火することを特徴とする請求項1又は2に記載のグランドフレア。
- 前記第1バーナ及び前記第2バーナは、
前記第1バーナおよび前記第2バーナの形状から決定されるフレア固有振動数と、
前記第1バーナおよび前記第2バーナの形状とバーナ流速とストローハル数から決定されるカルマン振動数と、
が一致しないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のグランドフレア。 - 炭素含有固体燃料をガス化するガス化炉と、
該ガス化炉から導かれた生成ガスを焼却処理する請求項1から4のいずれかに記載のグランドフレアと、
を備えていることを特徴とするガス化設備。 - 炭素含有固体燃料を燃焼・ガス化することで生成ガスを生成するガス化炉と、
請求項1から4のいずれかに記載のグランドフレアと、
前記ガス化炉で生成した前記生成ガスの少なくとも一部を燃焼させることで回転駆動するガスタービンと、
該ガスタービンによって駆動される発電機と、
を備えていることを特徴とするガス化複合発電設備。 - 煙筒の鉛直方向下方に設けられ、焼却する可燃性ガスの流速が第1流速とされた少なくとも1つの第1バーナと、
前記煙筒の鉛直方向下方に設けられ、焼却する可燃性ガスの流速が前記第1流速よりも小さい第2流速とされた複数の第2バーナと、
を備えたグランドフレアの制御方法であって、
前記可燃性ガスを発生する上流側設備の起動時に、前記第1バーナを着火した後に、前記可燃性ガスの流量または前記可燃性ガスの圧力が所定の閾値より増加した場合に、前記第2バーナを着火することを特徴とするグランドフレアの制御方法。
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JP2016022094A JP6656942B2 (ja) | 2016-02-08 | 2016-02-08 | グランドフレア、ガス化設備およびガス化複合発電設備ならびにグランドフレアの制御方法 |
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