[実施形態の概要]
第1実施形態及び第2実施形態に係る通信制御方法は、ユーザ端末とセルラ基地局との間で送受信されるトラフィックを無線LANシステムに移行させるオフロードを行うための方法である。前記通信制御方法は、前記ユーザ端末が、前記無線LANシステムにおける前記ユーザ端末の識別子である無線LAN端末識別子を前記セルラ基地局に送信するステップAと、前記セルラ基地局が、前記オフロードを行う前において、前記ユーザ端末から受信した前記無線LAN端末識別子を前記無線LANシステムのアクセスポイントに送信するステップBと、を有する。前記無線LAN端末識別子は、前記アクセスポイントにおいて前記ユーザ端末の無線認証に使用される。
第1実施形態及び第2実施形態では、前記ユーザ端末は、セルラ送受信機及び無線LAN送受信機を有している。前記無線LAN端末識別子は、前記無線LAN送受信機に割り振られているMACアドレスである。
第1実施形態及び第2実施形態では、前記ステップAにおいて、前記ユーザ端末は、前記セルラ基地局への接続要求に前記無線LAN端末識別子を含めて送信する。
第1実施形態及び第2実施形態では、前記通信制御方法は、前記セルラ基地局が、前記オフロードを行う場合に、前記アクセスポイントへの接続を要求する第1の接続要求を前記ユーザ端末に送信するステップCと、前記ユーザ端末が、前記第1の接続要求の受信に応じて、前記無線LAN端末識別子を含んだ第2の接続要求を前記アクセスポイントに送信するステップDと、前記アクセスポイントが、前記セルラ基地局から受信した前記無線LAN端末識別子と、前記第2の接続要求に含まれる前記無線LAN端末識別子と、が一致する場合に、前記無線認証を完了するとともに、前記ユーザ端末のネットワーク認証手順を開始するステップEと、をさらに有する。
第1実施形態では、前記ネットワーク認証手順において、前記アクセスポイントは、前記ユーザ端末を代理して、WLAN認証サーバへの認証要求を行う。
第1実施形態では、前記ステップAにおいて、前記ユーザ端末は、前記WLAN認証サーバにより前記ユーザ端末の認証に使用されるネットワーク認証情報を前記セルラ基地局にさらに送信する。前記ステップBにおいて、前記セルラ基地局は、前記ユーザ端末から受信した前記ネットワーク認証情報を前記アクセスポイントにさらに送信する。前記ネットワーク認証手順において、前記アクセスポイントは、前記ネットワーク認証情報を前記認証要求に含める。
第1実施形態では、前記ネットワーク認証手順において、前記アクセスポイントは、前記セルラ基地局及びセルラ認証サーバ経由で前記WLAN認証サーバに前記認証要求を行う。
第2実施形態では、前記ネットワーク認証手順において、前記アクセスポイントは、前記ユーザ端末を代理して、セルラ認証サーバへの認証要求を行う。
第2実施形態では、前記ステップBにおいて、前記セルラ基地局は、セルラ通信システムにおける前記ユーザ端末の識別子であるセルラ端末識別子を前記アクセスポイントにさらに送信する。前記ネットワーク認証手順において、前記アクセスポイントは、前記セルラ端末識別子を前記認証要求に含める。
第2実施形態では、前記ネットワーク認証手順において、前記アクセスポイントは、WLAN認証サーバ経由で前記セルラ認証サーバに前記認証要求を行う。
第1実施形態及び第2実施形態に係るユーザ端末は、セルラ送受信機及び無線LAN送受信機を有しており、前記セルラ送受信機によりセルラ基地局と接続する。前記ユーザ端末は、無線LANシステムにおける前記ユーザ端末の識別子である無線LAN端末識別子を前記セルラ基地局に送信するよう前記セルラ送受信機を制御する制御部を備える。前記制御部は、前記無線LANシステムのアクセスポイントへの接続を要求する第1の接続要求を前記セルラ基地局から前記セルラ送受信機が受信すると、前記無線LAN端末識別子を含んだ第2の接続要求を前記アクセスポイントに送信するよう前記無線LAN送受信機を制御する。
第1実施形態及び第2実施形態に係るセルラ基地局は、セルラ送受信機及び無線LAN送受信機を有するユーザ端末と接続する。前記セルラ基地局は、無線LANシステムにおける前記ユーザ端末の識別子である無線LAN端末識別子を前記ユーザ端末から受信する受信部と、前記ユーザ端末と前記セルラ基地局との間で送受信されるトラフィックを前記無線LANシステムに移行させるオフロードを行う前において、前記無線LAN端末識別子を前記無線LANシステムのアクセスポイントに送信する送信部と、を備える。前記無線LAN端末識別子は、前記アクセスポイントにおいて前記ユーザ端末の無線認証に使用される。
第1実施形態及び第2実施形態に係るアクセスポイントは、無線LANシステムのアクセスポイントである。前記アクセスポイントは、前記無線LANシステムにおけるユーザ端末の識別子である無線LAN端末識別子をセルラ基地局から受信する第1の受信部と、前記無線LAN端末識別子を含んだ接続要求を前記ユーザ端末から受信する第2の受信部と、前記セルラ基地局から受信した前記無線LAN端末識別子と、前記接続要求に含まれる前記無線LAN端末識別子と、が一致する場合に、前記ユーザ端末の無線認証を完了するとともに、前記ユーザ端末のネットワーク認証手順を開始する制御部と、を備える。
[第1実施形態]
以下、図面を参照して、3GPP規格に準拠して構成されるセルラ通信システム(LTEシステム)を無線LAN(WLAN)システムと連携させる場合の各実施形態を説明する。
(システム構成)
図1は、第1実施形態に係るシステム構成図である。図1に示すように、セルラ通信システムは、複数のUE(User Equipment)100と、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access Network)10と、EPC(Evolved Packet Core)20と、を含む。E−UTRAN10は、無線アクセスネットワークに相当する。EPC20は、コアネットワークに相当する。
UE100は、移動型の無線通信装置であり、接続を確立したセルとの無線通信を行う。UE100はユーザ端末に相当する。UE100は、セルラ通信及びWLAN通信の両通信方式をサポートする端末(デュアル端末)である。
E−UTRAN10は、複数のeNB200(evolved Node−B)を含む。eNB200はセルラ基地局に相当する。eNB200は、1又は複数のセルを管理しており、自セルとの接続を確立したUE100との無線通信を行う。なお、「セル」は、無線通信エリアの最小単位を示す用語として使用される他に、UE100との無線通信を行う機能を示す用語としても使用される。また、eNB200は、例えば、無線リソース管理(RRM)機能と、ユーザデータのルーティング機能と、モビリティ制御及びスケジューリングのための測定制御機能と、を有する。
eNB200は、X2インターフェイスを介して相互に接続される。また、eNB200は、S1インターフェイスを介して、EPC20に含まれるMME/S−GW500と接続される。
EPC20は、複数のMME(Mobility Management Entity)/S−GW(Serving−Gateway)500を含む。MMEは、UE100に対する各種モビリティ制御等を行うネットワークノードであり、制御局に相当する。S−GWは、ユーザデータの転送制御を行うネットワークノードであり、交換局に相当する。
WLANシステムは、WLAN AP(以下、「AP」と称する)300を含む。WLANシステムは、例えばIEEE 802.11諸規格に準拠して構成される。AP300は、セルラ周波数帯とは異なる周波数帯(WLAN周波数帯)でUE100との通信を行う。AP300は、ルータなどを介してEPC20に接続される。
尚、eNB200及びAP300が個別に配置される場合に限らず、eNB200及びAP300が同じ場所に配置(Collocated)されていてもよい。Collocatedの一形態として、eNB200及びAP300がオペレータの任意のインターフェイスで直接的に接続されていてもよい。
EPC20は、セルラ通信システムにおいてUE100のネットワーク認証を行うセルラ認証サーバ600と、WLANシステムにおいてUE100のネットワーク認証を行うWLAN認証サーバ700と、をさらに含む。UE100は、セルラ認証サーバ600によるネットワーク認証に成功すると、セルラ通信システムに接続可能になる。また、UE100は、WLAN認証サーバ700によるネットワーク認証に成功すると、WLANシステムに接続可能になる。
次に、UE100、eNB200、及びAP300の構成を説明する。
図2は、UE100のブロック図である。図2に示すように、UE100は、アンテナ101及び102と、セルラ送受信機111と、WLAN送受信機112と、ユーザインターフェイス120と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機130と、バッテリ140と、メモリ150と、プロセッサ160と、を有する。メモリ150及びプロセッサ160は、制御部を構成する。UE100は、GNSS受信機130を有していなくてもよい。また、メモリ150をプロセッサ160と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)を、制御部を構成するプロセッサ160’としてもよい。
アンテナ101及びセルラ送受信機111は、セルラ無線信号の送受信に用いられる。セルラ送受信機111は、プロセッサ160が出力するベースバンド信号をセルラ無線信号に変換してアンテナ101から送信する。また、セルラ送受信機111は、アンテナ101が受信するセルラ無線信号をベースバンド信号に変換してプロセッサ160に出力する。
アンテナ102及びWLAN送受信機112は、WLAN無線信号の送受信に用いられる。WLAN送受信機112は、プロセッサ160が出力するベースバンド信号をWLAN無線信号に変換してアンテナ102から送信する。また、WLAN送受信機112は、アンテナ102が受信するWLAN無線信号をベースバンド信号に変換してプロセッサ160に出力する。
WLAN送受信機112には、WLANシステムにおけるUE100の識別子として、MACアドレス(以下、「WLAN MAC−ID」という)が割り振られている。WLAN送受信機112が送受信するWLAN無線信号には、WLAN MAC−IDが含まれている。
ユーザインターフェイス120は、UE100を所持するユーザとのインターフェイスであり、例えば、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及び各種ボタンなどを含む。ユーザインターフェイス120は、ユーザからの入力を受け付けて、該入力の内容を示す信号をプロセッサ160に出力する。GNSS受信機130は、UE100の地理的な位置を示す位置情報を得るために、GNSS信号を受信して、受信した信号をプロセッサ160に出力する。バッテリ140は、UE100の各ブロックに供給すべき電力を蓄える。
メモリ150は、プロセッサ160によって実行されるプログラムと、プロセッサ160による処理に使用される情報と、を記憶する。プロセッサ160は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ150に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。プロセッサ160は、さらに、音声・映像信号の符号化・復号を行うコーデックを含んでもよい。プロセッサ160は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
図3は、eNB200のブロック図である。図3に示すように、eNB200は、アンテナ201と、セルラ送受信機210と、ネットワークインターフェイス220と、メモリ230と、プロセッサ240と、を有する。メモリ230及びプロセッサ240は、制御部を構成する。なお、メモリ230をプロセッサ240と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)を、制御部を構成するプロセッサとしてもよい。
アンテナ201及びセルラ送受信機210は、セルラ無線信号の送受信に用いられる。セルラ送受信機210は、プロセッサ240が出力するベースバンド信号をセルラ無線信号に変換してアンテナ201から送信する。また、セルラ送受信機210は、アンテナ201が受信するセルラ無線信号をベースバンド信号に変換してプロセッサ240に出力する。
ネットワークインターフェイス220は、X2インターフェイスを介して隣接eNB200と接続され、S1インターフェイスを介してMME/S−GW500と接続される。また、ネットワークインターフェイス220は、EPC20を介したAP300との通信に使用される。
メモリ230は、プロセッサ240によって実行されるプログラムと、プロセッサ240による処理に使用される情報と、を記憶する。プロセッサ240は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ230に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。プロセッサ240は、後述する各種の処理及び各種の通信プロトコルを実行する。
図4は、AP300のブロック図である。図4に示すように、AP300は、アンテナ301と、WLAN送受信機311と、ネットワークインターフェイス320と、メモリ330と、プロセッサ340と、を有する。なお、メモリ330をプロセッサ340と一体化し、このセット(すなわち、チップセット)を、制御部を構成するプロセッサとしてもよい。
アンテナ301及びWLAN送受信機311は、WLAN無線信号の送受信に用いられる。WLAN送受信機311は、プロセッサ340が出力するベースバンド信号をWLAN無線信号に変換してアンテナ301から送信する。また、WLAN送受信機311は、アンテナ301が受信するWLAN無線信号をベースバンド信号に変換してプロセッサ340に出力する。
ネットワークインターフェイス320は、ルータなどを介してEPC20と接続される。また、ネットワークインターフェイス320は、EPC20を介したeNB200との通信に使用される。
メモリ330は、プロセッサ340によって実行されるプログラムと、プロセッサ340による処理に使用される情報と、を記憶する。プロセッサ340は、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号などを行うベースバンドプロセッサと、メモリ330に記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行うCPUと、を含む。
図5は、セルラ通信システムにおける無線インターフェイスのプロトコルスタック図である。図5に示すように、無線インターフェイスプロトコルは、OSI参照モデルのレイヤ1乃至レイヤ3に区分されており、レイヤ1は物理(PHY)レイヤである。レイヤ2は、MAC(Media Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、を含む。レイヤ3は、RRC(Radio Resource Control)レイヤを含む。
物理レイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。UE100の物理レイヤとeNB200の物理レイヤとの間では、物理チャネルを介してデータが伝送される。
MACレイヤは、データの優先制御、及びハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理などを行う。UE100のMACレイヤとeNB200のMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータが伝送される。eNB200のMACレイヤは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式など)、及び割当リソースブロックを選択するスケジューラを含む。
RLCレイヤは、MACレイヤ及び物理レイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。UE100のRLCレイヤとeNB200のRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータが伝送される。
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。
RRCレイヤは、制御プレーンでのみ定義される。UE100のRRCレイヤとeNB200のRRCレイヤとの間では、各種設定のための制御メッセージ(RRCメッセージ)が伝送される。RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。UE100のRRCとeNB200のRRCとの間に接続(RRC接続)がある場合、UE100は接続状態(RRC connected state)であり、そうでない場合、UE100はアイドル状態(RRC idle state)である。
RRCレイヤの上位に位置するNAS(Non−Access Stratum)レイヤは、セッション管理及びモビリティ管理などを行う。
(第1実施形態に係る動作)
次に、第1実施形態に係る動作について説明する。
(1)動作環境
図6は、第1実施形態に係る動作環境を説明するための図である。図6に示すように、eNB200のカバレッジ内に複数のAP300が設けられている。複数のAP300のそれぞれは、オペレータにより管理されるAP(Operator controlled AP)である。
また、eNB200のカバレッジ内に複数のUE100が位置している。UE100−1乃至UE100−3は、eNB200と接続しており、eNB200とのセルラ通信を行っている。UE100−4はAP300−3に接続しており、AP300−3とのWLAN通信を行っている。
eNB200が多数のUE100を収容する場合、eNB200の負荷レベルが高くなる。ここで負荷レベルとは、eNB200のトラフィック負荷又はeNB200の無線リソース使用率など、eNB200の混雑度を意味する。よって、UE100とeNB200との間で送受信されるトラフィックの少なくとも一部をWLANシステムに移行させることにより、eNB200のトラフィック負荷をWLANシステムに分散できる。
以下において、UE100とeNB200との間で送受信されるトラフィックをWLANシステムに移行(以下、「オフロード」という)させるための動作を説明する。ここでオフロードとは、UE100とeNB200との間で送受信されるトラフィックの全てをWLANシステムに移行させる場合に限らず、UE100とeNB200との接続を維持しながら少なくとも一部のトラフィックをWLANシステムに移行させる場合も含む。
(2)事前動作
図7は、第1実施形態に係る事前動作を示すシーケンス図である。ここで事前動作とは、オフロードが開始されるよりも前の時点において行われる動作である。図7において、AP300はeNB200のカバレッジのAP300である。図7の初期状態において、UE100は、eNB200及びAP300の何れとも接続していない。
図7に示すように、ステップS101において、UE100のプロセッサ160は、eNB200への接続を要求する接続要求を、セルラ送受信機111からeNB200に送信する。接続要求は、セルラ通信システムにおける認証に使用される情報(LTE情報)に加えて、WLANシステムにおける認証に使用される情報(WLAN情報)を含む。LTE情報は、セルラ通信システムにおけるUE100の識別子(以下、「UE ID」という)と、セルラ通信システムにおけるUE100のネットワーク認証情報(認証キー)と、を含む。WLAN情報は、WLAN MAC−IDと、WLANシステムにおけるUE100のネットワーク認証情報(認証キー)と、を含む。eNB200のセルラ送受信機210は、UE100からの接続要求を受信する。
ステップS102において、eNB200のプロセッサ240は、セルラ送受信機210が受信した接続要求に含まれるWLAN情報をメモリ230に格納(登録)する。
ステップS103において、eNB200のプロセッサ240は、セルラ送受信機210が受信した接続要求に含まれるLTE情報を、ネットワークインターフェイス220からセルラ認証サーバ600に送信する。セルラ認証サーバ600は、eNB200からのLTE情報を受信する。
ステップS104において、セルラ認証サーバ600は、eNB200からのLTE情報に基づいて、UE100のネットワーク認証を行う。ここでは、認証に成功し、セルラ認証サーバ600がUE100とeNB200との接続を許可したと仮定して説明を進める。
ステップS105において、セルラ認証サーバ600は、接続の許可を示す接続許可をeNB200に送信する。eNB200のネットワークインターフェイス220は、接続許可を受信する。
ステップS106において、eNB200のプロセッサ240は、ネットワークインターフェイス220が受信した接続許可を、セルラ送受信機210からUE100に送信する。UE100のセルラ送受信機111は、eNB200から接続許可を受信する。UE100のプロセッサ160は、セルラ送受信機111が受信した接続許可に応じて、eNB200との接続(RRC接続)を確立する。
ステップS107において、eNB200のプロセッサ240は、メモリ230に格納されているUE100のWLAN情報(WLAN MAC−IDを含む)を、ネットワークインターフェイス220からAP300に送信する。AP300のネットワークインターフェイス320は、eNB200からのWLAN情報を受信する。
ステップS108において、AP300のプロセッサ340は、ネットワークインターフェイス320が受信したWLAN情報をメモリ330に格納(登録)する。尚、AP300のプロセッサ340は、eNB200から受信したWLAN情報を認証要求リストとして管理する。
(3)オフロード動作
図8は、第1実施形態に係るオフロード動作を示すシーケンス図である。
図8に示すように、ステップS151において、UE100は、eNB200との接続を確立した状態(接続状態)にある。
ステップS152において、eNB200のプロセッサ240は、WLANシステム(AP300)への接続を要求するWLAN接続要求(第1の接続要求)を、セルラ送受信機210からUE100に送信する。WLAN接続要求(第1の接続要求)は、UE100が接続すべきAP300に関する情報(AP識別子など)を含んでもよい。UE100のセルラ送受信機111は、eNB200からWLAN接続要求(第1の接続要求)を受信する。
ステップS153において、UE100のプロセッサ160は、セルラ送受信機111が受信したWLAN接続要求(第1の接続要求)に応じて、AP300との接続を要求するWLAN接続要求(第2の接続要求)を、WLAN送受信機112からAP300に送信する。WLAN接続要求(第2の接続要求)は、WLAN MAC−IDを含む。AP300のWLAN送受信機311は、UE100からのWLAN接続要求(第2の接続要求)を受信する。
ステップS154において、AP300のプロセッサ340は、WLAN送受信機311が受信したWLAN接続要求(第2の接続要求)に含まれるWLAN MAC−IDが、メモリ330に格納されている認証要求リストに含まれるWLAN MAC−IDと一致するか否かを確認する。各WLAN MAC−IDが一致する場合、プロセッサ340は、UE100がeNB200からのオフロードに係るUE100であることを認識する。また、各WLAN MAC−IDが一致する場合、プロセッサ340は、UE100の無線認証を完了し、無線レベルでのUE100の接続を許可するとともに、ネットワーク認証手順を開始する。ここでは、各WLAN MAC−IDが一致すると仮定して、説明を進める。
ステップS155において、AP300のプロセッサ340は、UE100を代理して行う認証要求である代理認証要求を、ネットワークインターフェイス320からeNB200に送信する。代理認証要求は、ステップS154で一致したWLAN MAC−IDに対応するWLAN情報を含む。eNB200のネットワークインターフェイス220は、AP300からの代理認証要求を受信する。
ステップS156において、eNB200のプロセッサ240は、ネットワークインターフェイス220が受信した代理認証要求にUE100のUE IDを追加し、UE IDを追加した代理認証要求を、ネットワークインターフェイス220からセルラ認証サーバ600に送信する。セルラ認証サーバ600は、eNB200からの代理認証要求を受信する。
ステップS157において、セルラ認証サーバ600は、eNB200からの代理認証要求をWLAN認証サーバ700に転送する。言い換えると、セルラ認証サーバ600は、WLAN認証サーバ700に対して、UE100の代わりに認証要求(代理認証要求)を送出する。
ステップS158において、WLAN認証サーバ700は、セルラ認証サーバ600からの代理認証要求に基づいて、UE100の認証(ネットワーク認証)を行う。WLAN認証サーバ700は、代理認証要求に含まれるネットワーク認証情報(認証キー)により、UE100の正当性を確認した場合に、認証成功とする。ここでは、WLAN認証サーバ700での認証に成功したと仮定して、説明を進める。
ステップS159において、WLAN認証サーバ700は、認証結果(ネットワーク認証の成功を示す認証許可)をセルラ認証サーバ600に送信する。認証許可は、UE ID及びWLAN MAC−IDを含む。セルラ認証サーバ600は、WLAN認証サーバ700からの認証許可を受信する。
ステップS160において、セルラ認証サーバ600は、WLAN認証サーバ700からの認証許可をeNB200に転送する。eNB200のネットワークインターフェイス220は、セルラ認証サーバ600からの認証許可を受信する。
ステップS161において、eNB200のプロセッサ240は、ネットワークインターフェイス220が受信した認証許可に応じて、WLAN MAC−IDを含んだ認証許可を、ネットワークインターフェイス220からAP300に送信する。AP300のネットワークインターフェイス320は、eNB200からの認証許可を受信する。
ステップS162において、AP300のプロセッサ340は、AP300との接続を許可するWLAN接続許可を、WLAN送受信機311からUE100に送信する。WLAN接続許可は、WLAN MAC−IDを含む。WLAN接続許可は、オフロードするトラフィックを指定する情報(ベアラ識別情報など)をさらに含んでもよい。UE100のWLAN送受信機112は、AP300からのWLAN接続許可を受信する。
ステップS163において、eNB200のプロセッサ240は、オフロードに係るトラフィックのうちUE100に未送信のもの(未送信データ)を、ネットワークインターフェイス220からAP300に送信する。
ステップS164において、UE100のプロセッサ160は、WLAN送受信機112が受信したWLAN接続許可に応じて、AP300との接続を確立し、オフロードに係るトラフィックをAP300と送受信する。
(4)まとめ
UE100は、WLAN MAC−IDを接続要求に含めてeNB200に送信する。eNB200は、オフロードを行う前において、UE100から受信したWLAN MAC−IDをWLANシステムのAP300に送信する。WLAN MAC−IDは、AP300においてUE100の無線認証に使用される。これにより、オフロードを行った際に、UE100とAP300との間の無線認証を速やかに完了することができる。
eNB200は、オフロードを行う場合に、AP300への接続を要求する第1の接続要求をUE100に送信する。UE100は、第1の接続要求の受信に応じて、WLAN MAC−IDを含んだ第2の接続要求をAP300に送信する。AP300は、eNB200から受信したWLAN MAC−IDと、第2の接続要求に含まれるWLAN MAC−IDと、が一致する場合に、無線認証を完了するとともに、UE100のネットワーク認証手順を開始する。これにより、UE100とAP300との間の無線認証を速やかに完了してネットワーク認証手順を開始することができる。
第1実施形態では、ネットワーク認証手順において、AP300は、UE100を代理して、WLAN認証サーバ700への認証要求を行う。これにより、UE100がAP300に接続する際に、UE100から認証要求を行う必要がないため、ネットワーク認証手順を速やかに開始することができる。
第1実施形態では、UE100は、eNB200との接続時に、WLAN認証サーバ700によりUE100の認証に使用されるネットワーク認証情報をeNB200に送信する。eNB200は、オフロードを行う前において、UE100から受信したネットワーク認証情報をAP300に送信する。そして、ネットワーク認証手順において、AP300は、ネットワーク認証情報を認証要求に含める。これにより、UE100がAP300に接続する際に、UE100からネットワーク認証情報を送信する必要がない。ネットワーク認証情報についてはUE100のユーザが手動で入力することが一般的であり、そのような手動入力を省略可能とすることにより、ネットワーク認証手順を速やかに開始できるだけでなく、ユーザの利便性も向上させることができる。
第1実施形態では、ネットワーク認証手順において、AP300は、eNB200及びセルラ認証サーバ600経由でWLAN認証サーバ700に認証要求を行う。これにより、セルラ認証サーバ600経由でUE100を代理してWLAN認証サーバ700に認証を要求することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態について、第1実施形態との相違点を主として説明する。第2実施形態に係るシステム構成及び動作環境は第1実施形態と同様であるが、第2実施形態に係る事前動作及びオフロード動作は第1実施形態と一部異なる。
(1)事前動作
図9は、第2実施形態に係る事前動作を示すシーケンス図である。
図9に示すように、ステップS201において、UE100のプロセッサ160は、eNB200への接続を要求する接続要求を、セルラ送受信機111からeNB200に送信する。接続要求は、セルラ通信システムにおける認証に使用される情報(LTE情報)に加えて、WLANシステムにおける認証に使用される情報(WLAN情報)を含む。LTE情報は、UE IDと、セルラ通信システムにおけるUE100のネットワーク認証情報(認証キー)と、を含む。WLAN情報は、WLAN MAC−IDを含む。eNB200のセルラ送受信機210は、UE100からの接続要求を受信する。
ステップS202において、eNB200のプロセッサ240は、セルラ送受信機210が受信した接続要求に含まれるWLAN情報をメモリ230に格納(登録)する。
ステップS203において、eNB200のプロセッサ240は、セルラ送受信機210が受信した接続要求に含まれるLTE情報を、ネットワークインターフェイス220からセルラ認証サーバ600に送信する。セルラ認証サーバ600は、eNB200からのLTE情報を受信する。
ステップS204において、セルラ認証サーバ600は、eNB200からのLTE情報に基づいて、UE100のネットワーク認証を行う。ここでは、認証に成功し、セルラ認証サーバ600がUE100とeNB200との接続を許可したと仮定して説明を進める。
ステップS205において、セルラ認証サーバ600は、接続の許可を示す接続許可をeNB200に送信する。eNB200のネットワークインターフェイス220は、接続許可を受信する。
ステップS206において、eNB200のプロセッサ240は、ネットワークインターフェイス220が受信した接続許可を、セルラ送受信機210からUE100に送信する。UE100のセルラ送受信機111は、eNB200から接続許可を受信する。UE100のプロセッサ160は、セルラ送受信機111が受信した接続許可に応じて、eNB200との接続(RRC接続)を確立する。
ステップS207において、eNB200のプロセッサ240は、メモリ230に格納されているUE100のWLAN情報(WLAN MAC−ID)と、UE100のUE IDとを、ネットワークインターフェイス220からAP300に送信する。AP300のネットワークインターフェイス320は、eNB200からのWLAN情報(WLAN MAC−ID)及びUE IDを受信する。
ステップS208において、AP300のプロセッサ340は、ネットワークインターフェイス320が受信したWLAN情報(WLAN MAC−ID)及びUE IDをメモリ330に格納(登録)する。尚、AP300のプロセッサ340は、eNB200から受信したWLAN情報(WLAN MAC−ID)及びUE IDを認証要求リストとして管理する。
(2)オフロード動作
図10は、第2実施形態に係るオフロード動作を示すシーケンス図である。
図10に示すように、ステップS251において、UE100は、eNB200との接続を確立した状態(接続状態)にある。
ステップS252において、eNB200のプロセッサ240は、WLANシステム(AP300)への接続を要求するWLAN接続要求(第1の接続要求)を、セルラ送受信機210からUE100に送信する。WLAN接続要求(第1の接続要求)は、UE100が接続すべきAP300に関する情報(AP識別子など)を含んでもよい。UE100のセルラ送受信機111は、eNB200からWLAN接続要求(第1の接続要求)を受信する。
ステップS253において、UE100のプロセッサ160は、セルラ送受信機111が受信したWLAN接続要求(第1の接続要求)に応じて、AP300との接続を要求するWLAN接続要求(第2の接続要求)を、WLAN送受信機112からAP300に送信する。WLAN接続要求(第2の接続要求)は、WLAN MAC−IDを含む。AP300のWLAN送受信機311は、UE100からのWLAN接続要求(第2の接続要求)を受信する。
ステップS254において、AP300のプロセッサ340は、WLAN送受信機311が受信したWLAN接続要求(第2の接続要求)に含まれるWLAN MAC−IDが、メモリ330に格納されている認証要求リストに含まれるWLAN MAC−IDと一致するか否かを確認する。各WLAN MAC−IDが一致する場合、プロセッサ340は、UE100がeNB200からのオフロードに係るUE100であることを認識する。また、各WLAN MAC−IDが一致する場合、プロセッサ340は、UE100の無線認証を完了し、無線レベルでのUE100の接続を許可するとともに、ネットワーク認証手順を開始する。ここでは、各WLAN MAC−IDが一致すると仮定して、説明を進める。
ステップS255において、AP300のプロセッサ340は、UE100を代理して行う認証要求である代理認証要求を、ネットワークインターフェイス320からAP300に送信する。代理認証要求は、ステップS254で一致したWLAN MAC−IDと、そのWLAN MAC−IDに対応するUE IDと、を含む。WLAN認証サーバ700は、AP300からの代理認証要求を受信する。
ステップS256において、WLAN認証サーバ700は、AP300から受信した代理認証要求をセルラ認証サーバ600に転送する。セルラ認証サーバ600は、WLAN認証サーバ700からの代理認証要求を受信する。
ステップS257において、セルラ認証サーバ600は、WLAN認証サーバ700からの代理認証要求に基づいて、UE100のネットワーク認証を行う。例えば、セルラ認証サーバ600は、UE IDにより、eNB200との接続を許可したUE100(すなわち、オフロードに係るUE100)であることを確認した場合に、認証成功とする。ここでは、セルラ認証サーバ600での認証に成功したと仮定して、説明を進める。
ステップS258において、セルラ認証サーバ600は、認証に成功したことに応じて、ネットワーク認証の成功を示す認証許可をWLAN認証サーバ700に送信する。認証許可は、UE ID及びWLAN MAC−IDを含む。WLAN認証サーバ700は、セルラ認証サーバ600からの認証許可を受信する。
ステップS259において、WLAN認証サーバ700は、セルラ認証サーバ600からの認証許可をAP300に転送する。AP300のネットワークインターフェイス320は、WLAN認証サーバ700から認証許可を受信する。
ステップS260において、AP300のプロセッサ340は、ネットワークインターフェイス320が受信した認証許可に応じて、AP300との接続を許可するWLAN接続許可を、WLAN送受信機311からUE100に送信する。WLAN接続許可は、WLAN MAC−IDを含む。WLAN接続許可は、オフロードするトラフィックを指定する情報(ベアラ識別情報など)をさらに含んでもよい。UE100のWLAN送受信機112は、AP300からのWLAN接続許可を受信する。
ステップS261において、eNB200のプロセッサ240は、オフロードに係るトラフィックのうちUE100に未送信のもの(未送信データ)を、ネットワークインターフェイス220からAP300に送信する。
ステップS262において、UE100のプロセッサ160は、WLAN送受信機112が受信したWLAN接続許可に応じて、AP300との接続を確立し、オフロードに係るトラフィックをAP300と送受信する。
(3)まとめ
このように、第2実施形態では、ネットワーク認証手順において、AP300は、UE100を代理して、セルラ認証サーバ600への認証要求を行う。これにより、UE100がAP300に接続する際に、UE100から認証要求を行う必要がないため、ネットワーク認証手順を速やかに開始することができる。
また、第2実施形態では、eNB200は、オフロードを行う前において、セルラ通信システムにおけるUE100の識別子であるUE ID(セルラ端末識別子)をAP300に送信する。そして、ネットワーク認証手順において、AP300は、UE IDを認証要求に含める。これにより、UE100がAP300に接続する際に、WLANのネットワーク認証情報に代えてUE IDを認証に使用することができる。ネットワーク認証情報についてはUE100のユーザが手動で入力することが一般的であり、そのような手動入力を省略可能とすることにより、ネットワーク認証手順を速やかに開始できるだけでなく、ユーザの利便性も向上させることができる。
第2実施形態では、ネットワーク認証手順において、AP300は、WLAN認証サーバ700経由でセルラ認証サーバ600に認証要求を行う。これにより、WLAN認証サーバ700経由でUE100を代理してセルラ認証サーバ600に認証を要求することができる。
[その他の実施形態]
上述した各実施形態では、UE100は、eNB200への接続要求にWLAN MAC−IDを含めて送信していた。しかしながら、UE100は、eNB200への接続要求とは別に、WLAN MAC−IDをeNB200に送信してもよい。例えば、UE100は、eNB200との接続を確立した後、eNB200からの要求に応じてWLAN MAC−IDをeNB200に送信してもよい。
上述した実施形態では、セルラ通信システムの一例としてLTEシステムを説明したが、LTEシステムに限定されるものではなく、LTEシステム以外のシステムに本発明を適用してもよい。
なお、日本国特許出願第2013−092181号(2013年4月25日出願)の全内容が、参照により、本願明細書に組み込まれている。