JP2017127215A - おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法を提案することにより、おう吐物処理方法の改善や同一空間内に滞在する人の二次感染の拡大防止に役立てる。【解決手段】おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得し、この浮遊ウイルス濃度Cの経時変化データに基づき、ウイルス汚染空間での滞在時間t(min)と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとに基づいて、I=C×η×A×tの式により人体へのウイルス取込み量I(pfu)を求め、これを指標値として感染リスクを評価する。【選択図】なし

Description

本発明は、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法に関する。
近年、様々なウイルス感染症が確認され感染制御対策の確立が望まれている。ウイルス感染症の中でもノロウイルス(Norovirus、以下、「NoV」)による感染性胃腸炎では、施設内における集団感染が問題となっており、冬季に感染者数が急増する傾向がある。NoVは、人間の腸管内で増殖後、嘔吐や下痢などによって体外へ排出され感染が拡大する。また、NoVは、既往の文献によれば、ウイルス粒子10〜100個で人への感染が成立するとされており、接触もしくはウイルスが付着した塵埃などの空中浮遊粒子の体内への取り込みによる感染や、飛散した吐物の不十分な処理による2次感染の危険性がある。NoV感染者の50%程度が不顕性感染(症状を伴わない感染)であること、感染後に症状が見られない場合も1週間程度はウイルス粒子が糞便中に排出されることも感染拡大の要因である。そのため、吐物処理を行う際は、NoV感染と拡大防止のため、手袋、マスク、ゴーグル、エプロンなどの個人防護具を着用し、吐物は濃度1,000ppm、床面などの飛散箇所は濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウム液にて吐物中心から半径3m程度を清掃することが推奨されている(社会福祉施設等におけるノロウイルス対応標準マニュアル(第3版、東京都福祉保険局、H25年12月改訂版)等)。
一方で、ホテルなどの共同施設において、ノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られており、床等に飛び散った患者の吐物や糞便を処理するときは、これらの中のウイルスが飛び散らない様に静かにふき取り、拭き取った後は、ウイルスに対して不活化効果の高い処理剤で浸すように床を拭き取り、その後水拭きすることとされている。
ウイルスを不活化するための処理剤としては、例えば下記特許文献1に、亜塩素酸塩を第一成分とし、ケイ酸塩を含む酸化剤および炭酸塩の混合物を第二成分とし、高吸水性ポリマーを第三成分とし、第一成分、第二成分および第三成分を含むことを特徴とする嘔吐物処理剤が開示されている。
また、下記特許文献2には、ヒノキチオールの金属錯体を含むアルコール含有率40ないし80%のアルコール溶液を含むノロウイルス感染を予防するための散布剤が開示されている。
2015−205234号公報 2009−274971号公報
しかしながら、ノロウイルスに感染した人がおう吐し、ノロウイルスが空間に拡散した場合の感染リスクの評価方法が現時点では存在しないため、おう吐物処理作業者がどの時間帯にどれだけの作業時間を費やして処理作業を行って良いのか等が全く不明であり、おう吐物処理作業者の二次感染が問題となっている。
また、同一施設内に滞在している人々に対して、おう吐エリアを開放するのに、おう吐時からどの程度の時間が経てば二次感染リスクがどの程度少なくなるか等の指標が全くないため、間違った判断により二次感染を拡大させてしまうおそれがあった。
そこで本発明の主たる課題は、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法を提案することにより、おう吐物処理方法の改善や同一空間内に滞在する人の二次感染の拡大防止に役立てることにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法であって、
おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得し、この浮遊ウイルス濃度Cの経時変化データに基づき、ウイルス汚染空間での滞在時間t(min)と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとに基づいて、下式(1)により人体へのウイルス取込み量I(pfu)を求め、これを指標値として感染リスクを評価することを特徴とするおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法が提供される。
Figure 2017127215
上記請求項1記載の発明では、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクを評価するに当たり、先ず、おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得する。そして、この浮遊ウイルス濃度Cの経時変化データに基づき、ウイルス汚染空間での滞在時間t(min)と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとに基づいて、式(1)により人体へのウイルス取込み量I(pfu)を求め、これを指標値として感染リスクを評価する。
従って、おう吐物処理作業者は、ウイルスの飛散エリアで処理作業をした場合に、おう吐エリアにどの時間帯にどれだけの時間、滞在したかによってどの程度の感染リスクがあるかを数値的に評価することが可能になる。また、同一施設内に滞在している人々に対しても、おう吐エリアにどの時間帯にどれだけの時間、滞在したかによってどの程度の感染リスクがあるかを数値的に評価することが可能になるため、おう吐物処理方法の改善や同一空間内に滞在する人の二次感染の拡大防止に役立てることが可能となる。
なお、ウィルス量Iの単位「pfu」は、単層培養の動物細胞上に一つのプラークを形成するウイルスの数であり、細菌を宿主とするファージの場合は,標準条件下では1(pfu)はほぼ1ウイルス粒子に相当する。従って、ウィルス量Iの単位「pfu」は、「個」に置き換えることが可能である。
請求項2に係る本発明として、前記おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データは、模擬吐物を作製し、これを所定の高さから落下させ、各所に設置したウイルス捕集器を用いて浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の変化を測定し、その平均値をもって縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)とし、横軸を経過時間とした変化図を得るようにする請求項1記載のおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法が提供される。
上記請求項2記載の発明では、おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データの取得方法について規定したものである。例えば、模擬吐物を作製し、これを所定の高さから落下させ、各所に設置したウイルス捕集器を用いて浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の変化を測定し、その平均値をもって縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)とし、横軸を経過時間とした変化図を得ることによって取得することが可能である。
請求項3に係る本発明として、前記単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)は、0.6〜1.93(m3/h)の範囲の中で、行動状態に応じた数値とする請求項1、2いずれかに記載のおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法が提供される。
上記請求項3記載の発明では、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)の設定方法について規定したものである。具体的には、既往の文献に基づき、0.6〜1.93(m3/h)の範囲の中で、行動状態に応じた数値とすることで設定することが可能となる。
以上詳説のとおり本発明によれば、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法を提案することにより、おう吐物処理方法の改善や同一空間内に滞在する人の二次感染の拡大防止に役立てることが可能となる。
浮遊ウイルスが空中から体内に取り込まれる概念図である。 行動別日本人の呼吸率と生活時間を示した既往文献の表である。 浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データの例である。 おう吐時の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度を求める近似式f(t)である。 滞在時刻(t1からt2)における浮遊ウイルス濃度の累積量を示したグラフである。 滞在時刻(t1からt2)における浮遊ウイルス濃度の累積量を求める簡易計算方法を示したグラフである。 おう吐時のウイルス拡散状況を再現するための実験要領を示した平面図である。 実験によるウイルス量(cfu/100cm2)と吐しゃ中心からの距離(m)との関係式を示したグラフである。 実験によるシャーレとプラ板のウイルス回収量の差を示したグラフである。 実験による浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化を示したグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明に係るおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法は、おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得し、この浮遊ウイルス濃度Cの経時変化データに基づき、ウイルス汚染空間での滞在時間t(min)と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとに基づいて、下式(1)により人体へのウイルス取込み量I(pfu)を求め、これを指標値として感染リスクを評価するものである。
Figure 2017127215
おう吐物処理作業者や同一施設内に滞在している人々の浮遊ウイルスによる感染リスクは、人体へのウイルス取込み量I(pfu)で評価できるはずであるとの考えに基づき、図1に示されるように、人体へのウイルス取込み量I(pfu)は、おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得した後、ウイルス汚染空間での滞在時間t(min)と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとの3つのパラメータにより計算により求めるようにする。
前記おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データは、例えば後述の実験で示すように、模擬吐物を作製し、これを所定の高さから落下させ、各所に設置したウイルス捕集器を用いて浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の変化を測定し、その平均値をもって縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)とし、横軸を経過時間とした変化図を得ることによって取得することが可能である。
前記単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)は、活動状況によって異なるが、図2に示した、放射線医学総合研究所 ラドン濃度測定・線量評価委員会(1998)が報告している「行動別日本人の呼吸率と生活時間」の表に従って決定することが可能である。これによれば、0.6〜1.93(m3/h)の範囲の中で、行動状態に応じた数値を決定することが可能である。例えば、同一空間内への滞在者は、座った姿勢での活動の欄から、0.6(m3/h)(=600L/h=10L/min)となる。
前記空中から鼻口への移行率ηは、空気中にウイルスが分散していると考えると、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)に対して、η=1となる。
以下に、具体例に基づき更に詳述する。
実験により図3に示される、浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得したとすると、このデータに基づき、吐しゃ後の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度は、図4に示されるように、近似式f(t)となる。
ここで、近似式f(t)を用いることにより、滞在時刻(t1からt2)における浮遊ウイルス濃度の累積量は次式(2)で表現できる(z=浮遊ウイルス濃度×滞在時間)。
Figure 2017127215
従って、時刻tからtにおける、単位時間当たりの平均の浮遊ウイルス濃度C(t1,t2)は、次式(3)となる。また、式(3)のZに、式(2)を代入すると式(4)となる。
Figure 2017127215
Figure 2017127215
以上、式(1)の濃度Cに式(4)を代入することにより、吐しゃ後経過時刻t1からt2における滞在時間中の体内への呼吸による鼻口によるウイルス取り込み量(pfu)は、式(5)のように表すことができる。
Figure 2017127215
〔実験方法〕
1.1 模擬吐しゃ実験室の配置
嘔吐時のウイルス拡散状況を再現するため、BSL2レベルの実験環境(5m×4m×3mH)を確保し模擬吐物(phage Qβ含)を用いて評価を行った。実験室の床・壁を全面養生後、吐しゃ中心位置から同心円状にラインを引き、ウイルス回収器材を設置した。実験要領のシャーレ、プラ板及びサンプラ(ウイルスの捕集器)の平面配置状態を図7に示す。実験前に温湿度を調整し、HEPAにて清浄化を図った。実験時環境は24±2℃、30±10%RH(空調停止)であった。
1.2 模擬吐物の調整と評価法
レトルト御飯200g(加熱調理済)と蒸留水800mL(室温)を滅菌済みの袋に入れ約30回手で揉み混ぜ、適量のフェノールレッドを加え着色した。さらに、1.7×1011(pfu/mL)濃度のphage Qβを1mL加え攪拌し模擬吐物とし、100mLビーカー10個に等分後、高さ1.6mから落下させた。ウイルス回収器材には滅菌シャーレおよび滅菌プラ板(100×100mm)を用いた。吐しゃ後、距離毎に設置した器材を回収し、1器材当たり5mLの0.1%ペプトン加生理食塩水で洗い出しPhage Qβを回収し、50mL(器材10枚分)を定量用試料の原液とした。原液1mLを大腸菌(E.coli)と混ぜ、寒天培地に重層し培養した。空中に浮遊したウイルスの捕集には、MD-8エアサンプラ(ザルトリウス, 吸引量500L)を用いた。ウイルスを捕足したゼラチンフィルタを20mLの0.1%ペプトン加生理食塩水に溶解し、このうち1mLをプラーク法にて定量した。
〔模擬吐しゃ実験の結果と考察〕
2.1 ウイルスの床表面への飛散量
高さ1.6mから落下させた模擬吐物は、落下点から同心円状に飛散した。目視できる最長飛散距離は3.5mであった。回収器材を用いたウイルス回収法で確認したところ、最長5m地点(回収器材の最長地点)からウイルスが検出された。吐物中心からの距離と床面積100cm2当たりのウイルス量の関係を図8(実験1回目、2回目)に示す。また、回収器材(シャーレとプラ板)の違いによる差について図9に示す。
床面に飛散するウイルス量は、吐物中心からの距離に対し指数関数的に減少する傾向を示した。回収器材としてシャーレとプラ板の差を比較したところ、距離2.5m程度までは同様の傾向を示したが、距離3m以上ではプラ板のウイルス回収量が多くなる傾向を示した。これはシャーレ端部の高さが約14mmあるため、水平方向に飛散する飛沫の回収効率に影響したと考えられる。
2.2 ウイルスの空間中への飛散量
吐しゃ終了時点からの経過時間と空中浮遊ウイルス量の変化を確認した。2回の実験の結果、1回目は11分経過後の濃度1200(pfu/m3)から徐々に浮遊ウイルス濃度が低下し、60分後に120(pfu/m3)、2回目は13分経過後の560(pfu/m3)から減少し60分後には、120(pfu/m3)となった(図10)。どちらの場合にも、浮遊ウイルス濃度は指数関数的に減少する傾向が確認され、吐しゃ後1時間経過した時点においても空間中に比較的高い濃度でウイルスが浮遊していることが確認された。
〔具体的な計算例〕
[試算1]
人の単位時間呼吸量 A=0.010m3/min、空気中から鼻口への移行率η=1、浮遊ウイルス濃度の変化式(実験の1回目から求めた近似式)f(t)=2793.3×exp(−0.051×t)とする。ここで、滞在開始時刻t1=0, 滞在終了時刻t2=10とすると、[数6]による計算式から、吐しゃ直後から10分間滞在した場合には、約219(pfu)のウイルスを体内に取り込む可能性がある。
Figure 2017127215
[試算2]
吐しゃ後10分経過後から10分間(吐しゃ後20分まで)滞在した場合には、[数7]による計算式から、約132(pfu)のウイルスを体内に取り込む可能性がある。
Figure 2017127215
[試算3]
吐しゃ後60分経過後から10分間(吐しゃ後70分まで)滞在した場合には、[数8]による計算式から、10〜11(pfu)のウイルスを体内に取り込む可能性がある。
Figure 2017127215
以上のような試算計算により、おう吐エリアにどの時間帯にどれだけの時間、滞在したかによってどの程度の感染リスクがあるかを数値的に評価することが可能になる。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データの近似式は、曲線の指数関数式を近似式とした場合を示したが、近似式における該当区間が直線的で、短時間であれば、滞在開始時刻と滞在終了時刻の間の浮遊ウイルス濃度は直線的に減少すると仮定できる。その場合、滞在開始時刻と滞在終了時刻の浮遊ウイルス濃度を単純平均し、浮遊ウイルス濃度として取り扱うことが可能である。
図6に示されるように、浮遊ウイルス濃度が下に凸の曲線であるため、滞在開始時刻の浮遊ウイルス濃度f(t1)と滞在終了時刻f(t2)の単純平均値(f(t1)+f(t2))/2は、f((t1+t2)/2)よりも大きな値になる。そのため、単純平均値を用いて感染リスクを検討する場合、詳細方法に比べ取り込みウイルス量が増え、結果的に滞在可能時間が短く計算される。すなわち、近似式における該当区間を直線として計算しても、安全側に計算されるため問題は生じない。
本発明は、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法に関する。
近年、様々なウイルス感染症が確認され感染制御対策の確立が望まれている。ウイルス感染症の中でもノロウイルス(Norovirus、以下、「NoV」)による感染性胃腸炎では、施設内における集団感染が問題となっており、冬季に感染者数が急増する傾向がある。NoVは、人間の腸管内で増殖後、嘔吐や下痢などによって体外へ排出され感染が拡大する。また、NoVは、既往の文献によれば、ウイルス粒子10〜100個で人への感染が成立するとされており、接触もしくはウイルスが付着した塵埃などの空中浮遊粒子の体内への取り込みによる感染や、飛散した吐物の不十分な処理による2次感染の危険性がある。NoV感染者の50%程度が不顕性感染(症状を伴わない感染)であること、感染後に症状が見られない場合も1週間程度はウイルス粒子が糞便中に排出されることも感染拡大の要因である。そのため、吐物処理を行う際は、NoV感染と拡大防止のため、手袋、マスク、ゴーグル、エプロンなどの個人防護具を着用し、吐物は濃度1,000ppm、床面などの飛散箇所は濃度200ppmの次亜塩素酸ナトリウム液にて吐物中心から半径3m程度を清掃することが推奨されている(社会福祉施設等におけるノロウイルス対応標準マニュアル(第3版、東京都福祉保険局、H25年12月改訂版)等)。
一方で、ホテルなどの共同施設において、ノロウイルスに汚染されたカーペットを通じて、感染が起きた事例も知られており、床等に飛び散った患者の吐物や糞便を処理するときは、これらの中のウイルスが飛び散らない様に静かにふき取り、拭き取った後は、ウイルスに対して不活化効果の高い処理剤で浸すように床を拭き取り、その後水拭きすることとされている。
ウイルスを不活化するための処理剤としては、例えば下記特許文献1に、亜塩素酸塩を第一成分とし、ケイ酸塩を含む酸化剤および炭酸塩の混合物を第二成分とし、高吸水性ポリマーを第三成分とし、第一成分、第二成分および第三成分を含むことを特徴とする嘔吐物処理剤が開示されている。
また、下記特許文献2には、ヒノキチオールの金属錯体を含むアルコール含有率40ないし80%のアルコール溶液を含むノロウイルス感染を予防するための散布剤が開示されている。
2015−205234号公報 2009−274971号公報
しかしながら、ノロウイルスに感染した人がおう吐し、ノロウイルスが空間に拡散した場合の感染リスクの評価方法が現時点では存在しないため、おう吐物処理作業者がどの時間帯にどれだけの作業時間を費やして処理作業を行って良いのか等が全く不明であり、おう吐物処理作業者の二次感染が問題となっている。
また、同一施設内に滞在している人々に対して、おう吐エリアを開放するのに、おう吐時からどの程度の時間が経てば二次感染リスクがどの程度少なくなるか等の指標が全くないため、間違った判断により二次感染を拡大させてしまうおそれがあった。
そこで本発明の主たる課題は、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法を提案することにより、おう吐物処理方法の改善や同一空間内に滞在する人の二次感染の拡大防止に役立てることにある。
上記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法であって、
模擬吐しゃ実験に基づいて、縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m 3 )とし、横軸を吐しゃ後の経過時間とした、吐しゃ後の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の近似式f(t)予め取得しておき
前記浮遊ウイルス濃度Cの近似式f(t)に基づき、ウイルス汚染空間での滞在開始時刻t1(min)から滞在終了時刻t2(min)までの浮遊ウイルス濃度の累積量と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとに基づいて、下式(5)により人体へのウイルス取込み量I(pfu)を求め、これを指標値として感染リスクを評価することを特徴とするおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法が提供される。
Figure 2017127215
上記請求項1記載の発明では、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクを評価するに当たり、先ず、模擬吐しゃ実験に基づいて、縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m 3 )とし、横軸を吐しゃ後の経過時間とした、吐しゃ後の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の近似式f(t)予め取得する。そして、この浮遊ウイルス濃度Cの近似式f(t)に基づき、ウイルス汚染空間での滞在開始時刻t1(min)から滞在終了時刻t2(min)までの浮遊ウイルス濃度の累積量と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとに基づいて、式(5)により人体へのウイルス取込み量I(pfu)を求め、これを指標値として感染リスクを評価する。
従って、おう吐物処理作業者は、ウイルスの飛散エリアで処理作業をした場合に、おう吐エリアにどの時間帯にどれだけの時間、滞在したかによってどの程度の感染リスクがあるかを数値的に評価することが可能になる。また、同一施設内に滞在している人々に対しても、おう吐エリアにどの時間帯にどれだけの時間、滞在したかによってどの程度の感染リスクがあるかを数値的に評価することが可能になるため、おう吐物処理方法の改善や同一空間内に滞在する人の二次感染の拡大防止に役立てることが可能となる。
なお、ウィルス量Iの単位「pfu」は、単層培養の動物細胞上に一つのプラークを形成するウイルスの数であり、細菌を宿主とするファージの場合は,標準条件下では1(pfu)はほぼ1ウイルス粒子に相当する。従って、ウィルス量Iの単位「pfu」は、「個」に置き換えることが可能である。
請求項2に係る本発明として、前記模擬吐しゃ実験は、模擬吐物を作製し、これを所定の高さから落下させ、各所に設置したウイルス捕集器を用いて浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の変化を測定し、その平均値をもって縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)とし、横軸を吐しゃ後の経過時間とした、吐しゃ後の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の近似式f(t)を得るようにする請求項1記載のおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法が提供される。
上記請求項2記載の発明では、吐しゃ後の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度C(pfu/m 3 )の近似式f(t)を得るための模擬吐しゃ実験について規定したものである。例えば、模擬吐物を作製し、これを所定の高さから落下させ、各所に設置したウイルス捕集器を用いて浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の変化を測定し、その平均値をもって縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)とし、横軸を吐しゃ後の経過時間とした、吐しゃ後の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の近似式f(t)を取得することが可能である。
請求項3に係る本発明として、前記単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)は、0.6〜1.93(m3/h)の範囲の中で、行動状態に応じた数値とする請求項1、2いずれかに記載のおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法が提供される。
上記請求項3記載の発明では、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)の設定方法について規定したものである。具体的には、既往の文献に基づき、0.6〜1.93(m3/h)の範囲の中で、行動状態に応じた数値とすることで設定することが可能となる。
以上詳説のとおり本発明によれば、おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法を提案することにより、おう吐物処理方法の改善や同一空間内に滞在する人の二次感染の拡大防止に役立てることが可能となる。
浮遊ウイルスが空中から体内に取り込まれる概念図である。 行動別日本人の呼吸率と生活時間を示した既往文献の表である。 浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データの例である。 おう吐時の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度を求める近似式f(t)である。 滞在時刻(t1からt2)における浮遊ウイルス濃度の累積量を示したグラフである。 滞在時刻(t1からt2)における浮遊ウイルス濃度の累積量を求める簡易計算方法を示したグラフである。 おう吐時のウイルス拡散状況を再現するための実験要領を示した平面図である。 実験によるウイルス量(cfu/100cm2)と吐しゃ中心からの距離(m)との関係式を示したグラフである。 実験によるシャーレとプラ板のウイルス回収量の差を示したグラフである。 実験による浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化を示したグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
本発明に係るおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法は、おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得し、この浮遊ウイルス濃度Cの経時変化データに基づき、ウイルス汚染空間での滞在時間t(min)と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとに基づいて、下式(1)により人体へのウイルス取込み量I(pfu)を求め、これを指標値として感染リスクを評価するものである。
Figure 2017127215
おう吐物処理作業者や同一施設内に滞在している人々の浮遊ウイルスによる感染リスクは、人体へのウイルス取込み量I(pfu)で評価できるはずであるとの考えに基づき、図1に示されるように、人体へのウイルス取込み量I(pfu)は、おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得した後、ウイルス汚染空間での滞在時間t(min)と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとの3つのパラメータにより計算により求めるようにする。
前記おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データは、例えば後述の実験で示すように、模擬吐物を作製し、これを所定の高さから落下させ、各所に設置したウイルス捕集器を用いて浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の変化を測定し、その平均値をもって縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)とし、横軸を吐しゃ後の経過時間とした変化図を得ることによって取得することが可能である。
前記単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)は、活動状況によって異なるが、図2に示した、放射線医学総合研究所 ラドン濃度測定・線量評価委員会(1998)が報告している「行動別日本人の呼吸率と生活時間」の表に従って決定することが可能である。これによれば、0.6〜1.93(m3/h)の範囲の中で、行動状態に応じた数値を決定することが可能である。例えば、同一空間内への滞在者は、座った姿勢での活動の欄から、0.6(m3/h)(=600L/h=10L/min)となる。
前記空中から鼻口への移行率ηは、空気中にウイルスが分散していると考えると、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)に対して、η=1となる。
以下に、具体例に基づき更に詳述する。
実験により図3に示される、浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得したとすると、このデータに基づき、吐しゃ後の時刻(t)における浮遊ウイルス濃度は、図4に示されるように、近似式f(t)となる。
ここで、図5に示されるように、近似式f(t)を用いることにより、滞在時刻(t1からt2)における浮遊ウイルス濃度の累積量は次式(2)で表現できる(z=浮遊ウイルス濃度×滞在時間)。
Figure 2017127215
従って、時刻tからtにおける、単位時間当たりの平均の浮遊ウイルス濃度C(t1,t2)は、次式(3)となる。また、式(3)のZに、式(2)を代入すると式(4)となる。
Figure 2017127215
Figure 2017127215
以上、式(1)の濃度Cに式(4)を代入することにより、吐しゃ後経過時刻t1からt2における滞在時間中の体内への呼吸による鼻口によるウイルス取り込み量(pfu)は、式(5)のように表すことができる。
Figure 2017127215
〔実験方法〕
1.1 模擬吐しゃ実験室の配置
嘔吐時のウイルス拡散状況を再現するため、BSL2レベルの実験環境(5m×4m×3mH)を確保し模擬吐物(phage Qβ含)を用いて評価を行った。実験室の床・壁を全面養生後、吐しゃ中心位置から同心円状にラインを引き、ウイルス回収器材を設置した。実験要領のシャーレ、プラ板及びサンプラ(ウイルスの捕集器)の平面配置状態を図7に示す。実験前に温湿度を調整し、HEPAにて清浄化を図った。実験時環境は24±2℃、30±10%RH(空調停止)であった。
1.2 模擬吐物の調整と評価法
レトルト御飯200g(加熱調理済)と蒸留水800mL(室温)を滅菌済みの袋に入れ約30回手で揉み混ぜ、適量のフェノールレッドを加え着色した。さらに、1.7×1011(pfu/mL)濃度のphage Qβを1mL加え攪拌し模擬吐物とし、100mLビーカー10個に等分後、高さ1.6mから落下させた。ウイルス回収器材には滅菌シャーレおよび滅菌プラ板(100×100mm)を用いた。吐しゃ後、距離毎に設置した器材を回収し、1器材当たり5mLの0.1%ペプトン加生理食塩水で洗い出しPhage Qβを回収し、50mL(器材10枚分)を定量用試料の原液とした。原液1mLを大腸菌(E.coli)と混ぜ、寒天培地に重層し培養した。空中に浮遊したウイルスの捕集には、MD-8エアサンプラ(ザルトリウス, 吸引量500L)を用いた。ウイルスを捕足したゼラチンフィルタを20mLの0.1%ペプトン加生理食塩水に溶解し、このうち1mLをプラーク法にて定量した。
〔模擬吐しゃ実験の結果と考察〕
2.1 ウイルスの床表面への飛散量
高さ1.6mから落下させた模擬吐物は、落下点から同心円状に飛散した。目視できる最長飛散距離は3.5mであった。回収器材を用いたウイルス回収法で確認したところ、最長5m地点(回収器材の最長地点)からウイルスが検出された。吐物中心からの距離と床面積100cm2当たりのウイルス量の関係を図8(実験1回目、2回目)に示す。また、回収器材(シャーレとプラ板)の違いによる差について図9に示す。
床面に飛散するウイルス量は、吐物中心からの距離に対し指数関数的に減少する傾向を示した。回収器材としてシャーレとプラ板の差を比較したところ、距離2.5m程度までは同様の傾向を示したが、距離3m以上ではプラ板のウイルス回収量が多くなる傾向を示した。これはシャーレ端部の高さが約14mmあるため、水平方向に飛散する飛沫の回収効率に影響したと考えられる。
2.2 ウイルスの空間中への飛散量
吐しゃ終了時点からの経過時間と空中浮遊ウイルス量の変化を確認した。2回の実験の結果、1回目は11分経過後の濃度1200(pfu/m3)から徐々に浮遊ウイルス濃度が低下し、60分後に120(pfu/m3)、2回目は13分経過後の560(pfu/m3)から減少し60分後には、120(pfu/m3)となった(図10)。どちらの場合にも、浮遊ウイルス濃度は指数関数的に減少する傾向が確認され、吐しゃ後1時間経過した時点においても空間中に比較的高い濃度でウイルスが浮遊していることが確認された。
〔具体的な計算例〕
[試算1]
人の単位時間呼吸量 A=0.010m3/min、空気中から鼻口への移行率η=1、浮遊ウイルス濃度の変化式(実験の1回目から求めた近似式)f(t)=2793.3×exp(−0.051×t)とする。ここで、滞在開始時刻t1=0, 滞在終了時刻t2=10とすると、[数6]による計算式から、吐しゃ直後から10分間滞在した場合には、約219(pfu)のウイルスを体内に取り込む可能性がある。
Figure 2017127215
[試算2]
吐しゃ後10分経過後から10分間(吐しゃ後20分まで)滞在した場合には、[数7]による計算式から、約132(pfu)のウイルスを体内に取り込む可能性がある。
Figure 2017127215
[試算3]
吐しゃ後60分経過後から10分間(吐しゃ後70分まで)滞在した場合には、[数8]による計算式から、10〜11(pfu)のウイルスを体内に取り込む可能性がある。
Figure 2017127215
以上のような試算計算により、おう吐エリアにどの時間帯にどれだけの時間、滞在したかによってどの程度の感染リスクがあるかを数値的に評価することが可能になる。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データの近似式は、曲線の指数関数式を近似式とした場合を示したが、近似式における該当区間が直線的で、短時間であれば、滞在開始時刻と滞在終了時刻の間の浮遊ウイルス濃度は直線的に減少すると仮定できる。その場合、滞在開始時刻と滞在終了時刻の浮遊ウイルス濃度を単純平均し、浮遊ウイルス濃度として取り扱うことが可能である。
図6に示されるように、浮遊ウイルス濃度が下に凸の曲線であるため、滞在開始時刻の浮遊ウイルス濃度f(t1)と滞在終了時刻f(t2)の単純平均値(f(t1)+f(t2))/2は、f((t1+t2)/2)よりも大きな値になる。そのため、単純平均値を用いて感染リスクを検討する場合、詳細方法に比べ取り込みウイルス量が増え、結果的に滞在可能時間が短く計算される。すなわち、近似式における該当区間を直線として計算しても、安全側に計算されるため問題は生じない。

Claims (3)

  1. おう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法であって、
    おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データを取得し、この浮遊ウイルス濃度Cの経時変化データに基づき、ウイルス汚染空間での滞在時間t(min)と、単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)と、空中から鼻口への移行率ηとに基づいて、下式(1)により人体へのウイルス取込み量I(pfu)を求め、これを指標値として感染リスクを評価することを特徴とするおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法。
    Figure 2017127215
  2. 前記おう吐時に空間に浮遊した浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の経時変化データは、模擬吐物を作製し、これを所定の高さから落下させ、各所に設置したウイルス捕集器を用いて浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)の変化を測定し、その平均値をもって縦軸を浮遊ウイルス濃度C(pfu/m3)とし、横軸を経過時間とした変化図を得るようにする請求項1記載のおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法。
  3. 前記単位時間当たりの人の空気取込み量A(m3/min)は、0.6〜1.93(m3/h)の範囲の中で、行動状態に応じた数値とする請求項1、2いずれかに記載のおう吐時に空間拡散したウイルスによる感染リスクの評価方法。
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