JP2017127075A - 外装チューブ切込冶具 - Google Patents

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Abstract

【課題】1種類の被覆電線を電線挿通路に挿通させ引っ張るだけで、電線挿通路に突き出すカッターにより、素線を傷つけることなく、外装チューブに対し切り込みを長手方向に入れることができる外装チューブ切込冶具を提供すること。
【解決手段】台盤2と、カッター保持用ブロック3と、複数種類の被覆電線W1〜W3の各外径に対応して通路断面積が異なる複数の電線挿通路5A〜5Cと、を有する。さらにカッター保持用ブロックの上面部31から電線挿通路まで貫通するカッター収容孔4A〜4Cと、複数の電線挿通路に対し、各電線挿通路のカッター収容孔に収容されたカッター7A〜7Cと、を有する。カッターの刃先72が、外装チューブの肉厚に等しい寸法だけ電線挿通路内に突出する。電線挿通路が、カッター収容孔に対応する領域では、外装チューブがカッター収容孔側の通路壁面に隙間なく密着して通過する大きさである。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数種類の被覆電線のそれぞれを構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れる外装チューブ切込冶具に関する。
従来、ワイヤハーネスの解体調査として、被覆電線を構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れ、素線のキズ、断線を確認することがある。
従来において、被覆電線を構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れる装置、冶具を開示している文献は見当たらない。従来は、被覆電線を構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れる方法として、もっぱら人手作業により行っている。詳述すると、作業者がカッターを把持し、刃先を外装チューブ内に微小寸法突き出るまで突き刺してからカッターを外装チューブの長手方向に引いて外装チューブを切り開いている。
なお、特許文献1には、被覆電線を構成している外装チューブに対し切り込みを入れ、皮剥ぎする装置・方法が開示されている。しかし、この方法は、外装チューブに対し長手方向と直角な方向に切り込みを入れ、外装チューブの端部を皮剥ぎするものであり、外装チューブに対し切り込みを長手方向に入れることに転用することはできない。
特開平06−335132号公報
しかしながら、車両に配索される被覆電線は、外径の大きさが数種類あり、かつ外装チューブの肉厚も数種類あるので、上述したカッターを用いて外装チューブの長手方向に切り開く人手作業では、被覆電線の種類に応じて切り開く深さが異なり、熟練と多くの作業時間を必要とし、また注意深く切り開いていっても刃先の外装チューブ内への切り込み深さを一定にすることは不可能であり、刃先の切り込み深さを大きくしてカッターを外装チューブの長手方向に引いてしまうことにより素線にキズを付けたり、断線させてしまうという問題があった。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、外装チューブの外径および肉厚がそれぞれ複数種類有する被覆電線に対応することができて、選択された1種類の被覆電線を選択された1つの電線挿通路に挿通させて引っ張るだけで、刃先を電線挿通路に外装チューブの肉厚寸法に等しく突き出すカッターにより、素線を傷つけることなく、外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れることができる外装チューブ切込冶具を提供することを目的としている。
本発明に係る外装チューブ切込冶具は、上記目的達成のため、複数種類の被覆電線のそれぞれを構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れる外装チューブ切込冶具であって、台盤と、前記台盤上に載置されるカッター保持用ブロックと、前記台盤と前記カッター保持用ブロックとの密着面に位置するように、前記台盤と前記カッター保持用ブロックのいずれか一方にまたは両方にわたり設けられ、前記複数種類の被覆電線の各外径に対応して通路断面積が異なる複数の電線挿通路と、を有し、前記カッター保持用ブロックの前記各電線挿通路に対応する上面部対応線上に設けられ、前記上面部から前記電線挿通路まで貫通するカッター収容孔と、前記複数の電線挿通路に対し、前記各電線挿通路の前記カッター収容孔に収容されたカッターと、を有し、前記カッターの刃先が前記外装チューブの肉厚に等しい寸法だけ前記電線挿通路内に突出しているとともに、前記電線挿通路が、前記カッター収容孔に対応する領域では、前記外装チューブが前記カッター収容孔側の通路壁面に隙間なく密着して通過する大きさに設けられている。
この構成によれば、本発明に係る外装チューブ切込冶具は、外装チューブの外径および肉厚がそれぞれ複数種類有する被覆電線に対応することができて、皮剥ぎしようとする被覆電線の種類に応じて複数の電線挿通路の中の1つを選択し、被覆電線を電線挿通路に挿通させると、外装チューブがカッター収容孔側の通路壁面に隙間なく密着し、外装チューブの肉厚に等しい寸法だけ電線挿通路内に突出するカッターの刃先から外装チューブが逃げることがないので、カッターの刃先が外装チューブの内周面に一致する深さに到達した状態に外装チューブを突き刺すことになり、被覆電線を引っ張るだけで、素線を傷つけることなく、刃先を電線挿通路に突き出すカッターにより被覆電線を構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れることができる。
さらに本発明は、前記カッター収容孔が、前記カッター保持用ブロックの前記各電線挿通路に対応する上面部対応線上の1箇所に設けられ、前記上面部から前記電線挿通路まで貫通して設けられ、前記カッターは、前記刃先の突出方向に移動可能に前記カッター収容孔に収容され、前記カッター保持用ブロックの外側に位置する操作部を操作することにより、前記カッターを固定する固定手段を更に有している構成とするのがよい。
この構成によれば、本発明は、全てのカッター収容孔にカッターを収容しておくことができる。皮剥ぎしようとする被覆電線の外径に応じて使用する電線挿通路を選択し、かつこの電線挿通路に対応するカッター収容孔に収容されたカッターの刃先の電線挿通路内の突出寸法を皮剥ぎしようとする被覆電線の外装チューブの肉厚に等しくなる寸法に調整し、固定手段によりカッターをカッター保持用ブロックに対して固定し、被覆電線を電線挿通路に挿通して被覆電線を引っ張るだけで、素線を傷つけることなく、刃先を電線挿通路に突き出すカッターにより被覆電線を構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れることができる。
さらに本発明は、刃先突出寸法設定用ピースを更に有し、前記刃先突出寸法設定用ピースは、上面部に前記外装チューブの肉厚に等しい深さの凹部を有し、前記電線挿通路に挿通されたときに、前記凹部を前記刃先に対向させて前記上面部を前記カッター収容孔側の前記通路壁面に密着するようになっているのがよい。
この構成によれば、刃先突出寸法設定用ピースを備えていると、刃先が摩耗してカッターを交換する場合や外装チューブの外径が同一でかつ肉厚が異なる被覆電線についても、外装チューブに対し皮剥ぎを行う際に、カッターの刃先の電線挿通路内の突出寸法を外装チューブの肉厚に等しくなる寸法に容易に調整することができる。
また本発明は、カッター収容孔は、前記カッター保持用ブロックの前記各電線挿通路に対応する上面部対応線上の複数箇所に設けられ、前記上面部から前記電線挿通路まで貫通し、かつ前記電線挿通路に連通する端部では、前記複数種類の被覆電線のそれぞれを構成している外装チューブの肉厚によって大きさを相違する微小開口を有するように設けられ、前記カッターは、前記複数のカッター収容孔のいずれか1つに収容されかつ前記刃先を前記微小開口の大きさに応じて前記電線挿通路内に突出するのがよい。
この構成によれば、本発明は、全ての電線挿通路について複数のカッター収容孔の中の1つにカッターを収容しておくことができる。被覆電線の外径に応じて使用する電線挿通路を選択し、かつ被覆電線の外装チューブの肉厚に応じて選択された電線挿通路に貫通しているカッター収容孔を選択し、このカッター収容孔にカッターが収容されていないときは、他の位置のカッターを引き抜いて選択したカッター収容孔に強制収容するだけで、カッターを固定できかつカッターの刃先の電線挿通路内への突出寸法を選択された1種類の被覆電線の外装チューブの肉厚に等しい寸法にセットすることができ、刃先の突出寸法の設定が必要でなく、刃先突出寸法設定用ピースを備える必要がなく、被覆電線を引っ張るだけで、素線を傷つけることなく、刃先を電線挿通路に突き出すカッターにより被覆電線を構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れることができる。
本発明によれば、外装チューブの外径および肉厚がそれぞれ複数種類有する被覆電線に対応することができて、選択された1種類の被覆電線を選択された1つの電線挿通路に挿通させて引っ張るだけで、刃先を電線挿通路に外装チューブの肉厚寸法に等しく突き出すカッターにより、素線を傷つけることなく、外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れることができる外装チューブ切込冶具を提供することができる。
本発明の第1の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具の斜視図である。 本発明の第1の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具の縦断正面図である。 図2におけるA−A断面図である。 図3におけるBエリアの拡大図である。 図4におけるD−D断面図である。 本発明の第1の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具の刃先の突出寸法について、刃先突出寸法設定用ピースを用いて設定するところを示し、(a)図は拡大縦断正面図であり、(b)図は刃先突出寸法設定用ピースの拡大側面図である。 (a)図は別の刃先突出寸法設定用ピースを示す正面図であり、(b)図は更に別の刃先突出寸法設定用ピースを示す正面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具の斜視図である。 図8におけるE−E断面図である。 図8における被覆電線W1の中心を通る縦断面図である。 図10におけるF−F断面図である。 本発明の変形例に係る外装チューブ切込冶具の概略の要部断面図であり、(a)図は電線挿通路が台盤に設けられているところを示す図であり、(b)図は電線挿通路が台盤とカッター保持用ブロックに半々に設けられているところを示す図である。
以下、本発明の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1〜図7を参照して第1の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具の構成を説明する。図1〜図5に示すように、外装チューブ切込冶具1は、外装チューブの外径および肉厚がそれぞれに異なる複数種類(この実施の形態では3種類)ののそれぞれを構成している外装チューブTに対し皮剥ぎのための切り込みCを長手方向に入れるマルチ型の外装チューブ切込冶具である。
外装チューブ切込冶具1は、台盤2と、樹脂成形体であり台盤2上に載置されるカッター保持用ブロック3と、台盤2とカッター保持用ブロック3との密着面6に位置するように、カッター保持用ブロック3に設けられた複数の電線挿通路5A〜5Cと、各電線挿通路に対応してカッター保持用ブロック3に設けられるカッター収容孔4A〜4Cと、各カッター収容孔に収容されたカッター7A〜7Cと、各カッターを保護する保護コラム8A〜8Cと、各カッターを固定する固定手段9A〜9Cと、を有する。
この実施の形態では、被覆電線は、W1<W2<W3の順に外装チューブTの外径が大きくなっており、したがって、電線挿通路5A〜5Cは被覆電線W1,W2,W3に対応した順に通路断面積が大きくなっている。
なお、以下では、皮剥ぎしようとする被覆電線がW1の場合について説明する。皮剥ぎしようとする被覆電線がW2およびW3の場合も同様である。
台盤2の上面とカッター保持用ブロック3の下面は、いずれも平面とされていて、台盤2とカッター保持用ブロック3の密着面6は、一平面で密着している。台盤2とカッター保持用ブロック3とを平面視したとき、台盤2がカッター保持用ブロック3よりも大きく設けられることが好ましい。この実施の形態では、複数の電線挿通路がカッター保持用ブロック3に設けられるので、台盤2は、特別に設ける必要はなく、例えば、作業台を代用できる。カッター保持用ブロック3は、樹脂成形体である。
カッター収容孔4Aは、カッター保持用ブロック3の電線挿通路5Aの真上に対応する上面部31対応線上の電線引出側に寄った1箇所に設けられ、上面部31から電線挿通路5Aまで貫通している。カッター収容孔4Aは、移動可能な大きさに設定され、かつカッター7Aを弛みなく収容する。
複数の電線挿通路5Aは、被覆電線W1の外径に対応して通路断面積が異なり、被覆電線W1を挿通するようになっている。
カッター7Aは、刃先72の突出方向に移動可能にカッター収容孔4Aに収容される。保護コラム8Aは、カッター保持用ブロック3の上面よりチャンネル形に突出して設けられ、各カッター7Aのカッター保持用ブロック3の上面より突出する部分をチャンネル溝で囲っている。したがって、カッター7Aを触って移動可能である。カッター7Aは、市販されている折り刃式カッターを適宜の長さにして用いることが好ましい。
固定手段9Aは、カッター保持用ブロック3の電線引出側の側面よりカッター側端縁に貫通して設けられたねじ孔に螺合されたねじ部9aと、ねじ部9aの外端に固定された操作部である回転つまみ9bと、を有し、回転つまみ9bを操作することにより、ねじ部9aの内端をカッター側端縁に当接してカッター7Aを固定するようになっている。
ここで、図4、図5に示すように、電線挿通路5Aと、カッター7Aの刃先72と、被覆電線W1との相互関係について説明する。カッター7Aの刃先72によって電線挿通路5Aを挿通される被覆電線W1に対し外装チューブTの肉厚だけ長手方向に切り込みCを入れるための構成として、カッター7Aの刃先72が外装チューブTの肉厚に等しい寸法だけ電線挿通路5A内に突出していること、および、電線挿通路5Aが、カッター収容孔4Aに対応する領域では、外装チューブTがカッター収容孔4A側の通路壁面52に隙間なく密着して通過する大きさに設けられていることが必須である。
図6(a)に示すように、被覆電線W1の外装チューブTの肉厚が例えば、0.8mmである場合、電線挿通路5A内に突出する刃先72の突出寸法も、0.8mmとなるようにきわめて精密に突き出して位置決め固定される必要がある。このような微小かつ精密な刃先72突出寸法を簡易に実現するために、図6(a),(b)に示す刃先突出寸法設定用ピース13Aを用いる。
刃先突出寸法設定用ピース13Aは、電線挿通路5A内に挿入される大きさに形成された、例えば長さ50mmの上部13aを有し、上部13aの頂部13bに長さ方向の一端から他端まで外装チューブTの肉厚に等しい深さ、例えば、0.8mmの凹部13cを有するように精密に形成されている。
肉厚が例えば、0.8mmである外装チューブTに切り込みCを入れるには、刃先突出寸法設定用ピース13Aの上部13aを電線挿通路5A内に挿入し、凹部13cがカッター収容孔4Aに対応するように、電線挿通路5Aのカッター収容孔4A側の通路壁面52に密着させ、この状態を保持して、刃先72を凹部13cの底面に当接させ、固定手段9Aを締め付けることによりカッター7Aを固定すると、刃先72が凹部13cの深さだけ突出することになる。
3種類の被覆電線W1が、それぞれの種類のものにおいて、外径が同一で、肉厚が、例えば1.0mmまたは1.2mm異なる場合には、図7(a)に示すように、凹部13cが肉厚に等しい深さ1.0mmを有する刃先突出寸法設定用ピース13B、または図7(b)に示すように、1.2mmを有する刃先突出寸法設定用ピース13Cを用いる必要がある。
電線挿通路5Aは、対応する大きさの被覆電線W1を挿通するように設けられるが、通路方向に垂直な断面が円形である必要はなく、カッター7Aの刃先72が突出している位置では、外装チューブTがカッター収容孔4A側の通路壁面52に隙間なく密着するようになっていればよい。例えば、電線挿通路5Aは、カッター7Aの刃先72が突出している位置では、外装チューブTの上下には隙間が無く、両側には若干の隙間があってもよい。電線挿通路5Aは、カッター7Aの刃先72が突出している位置の上流側および下流側では、被覆電線W1を十分に緩く通せる断面積を有する通路として設けられると、被覆電線W1を電線挿通路5Aから引っ張り出し易いので好ましい。
次に、外装チューブ切込冶具1の作用を説明する。
外装チューブ切込冶具1は、皮剥ぎしようとする被覆電線がW1の場合、電線挿通路5Aに挿通させると、外装チューブTがカッター収容孔4A側の通路壁面52に隙間なく密着し、外装チューブTの肉厚に等しい寸法だけ電線挿通路5A内に突出するカッター7Aの刃先72から外装チューブTが逃げることがないので、カッター7Aの刃先72が外装チューブTの内周面に一致する深さに到達した状態に外装チューブTを突き刺すことになり、被覆電線W1を引っ張るだけで、素線Sを傷つけることなく、刃先72を電線挿通路5Aに突き出すカッター7Aにより被覆電線W1を構成している外装チューブTに対し皮剥ぎのための切り込みCを長手方向に入れることができる。
外装チューブ切込冶具1は、全てのカッター収容孔4Aにカッター7Aを収容しておくことができる。皮剥ぎしようとする被覆電線W1の外径に応じて使用する電線挿通路5Aを選択し、かつこの電線挿通路5Aに対応するカッター収容孔4Aに収容されたカッター7Aの刃先72の電線挿通路5A内の突出寸法を皮剥ぎしようとする被覆電線W1の外装チューブTの肉厚に等しくなる寸法に調整し、固定手段9Aによりカッター7Aをカッター保持用ブロック3に対して固定し、被覆電線W1を電線挿通路5Aに挿通して被覆電線W1を引っ張るだけで、素線Sを傷つけることなく、刃先72を電線挿通路5Aに突き出すカッター7Aにより被覆電線W1を構成している外装チューブTに対し皮剥ぎのための切り込みCを長手方向に入れることができる。
外装チューブ切込冶具1は、刃先突出寸法設定用ピース13Aを備えていると、刃先72が摩耗してカッター7Aを交換する場合や外装チューブTの外径が同一でかつ肉厚が異なる被覆電線W1についても、外装チューブTに対し皮剥ぎを行う際に、カッター7Aの刃先72の電線挿通路5A内の突出寸法を外装チューブTの肉厚に等しくなる寸法に容易に調整することができる。
[第2の実施の形態]
図8〜図11に示すように、第2の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具1Aは、台盤2と、樹脂成形体であり台盤2上に載置されるカッター保持用ブロック3Aと、台盤2とカッター保持用ブロック3Aとの密着面6に位置するように、カッター保持用ブロック3Aに設けられた複数の電線挿通路51A〜51Cと、各電線挿通路51A〜51Cに対応してカッター保持用ブロック3Aに設けられるカッター収容孔41A〜41Iと、各カッター収容孔41A〜41Iに収容されたカッター71A〜71Cと、カッター保持用ブロック3Aの上面部31より突出する各カッター71A〜71Cの上端に当接する固定手段として、カッター保持用ブロック3Aの上面部31に設けられた溝32A〜32Cに嵌合してスライドするスライドストッパ91A〜91Cと、を有する。
今、外径が同一で肉厚が異なる3種類の被覆電線W1と、外径が同一で肉厚が異なる3種類の被覆電線W2と、外径が同一で肉厚が異なる3種類の被覆電線W3とが存在する場合を想定する。カッター収容孔41A〜41Cは、被覆電線W1の3種類の肉厚に対応して設けられ、カッター保持用ブロック3Aの各電線挿通路51Aに対応する上面部31対応線上の3箇所に設けられている。カッター収容孔41D〜41Fは、被覆電線W2の3種類の肉厚に対応して設けられ、カッター保持用ブロック3Aの各電線挿通路51Bに対応する上面部31対応線上の3箇所に設けられている。カッター収容孔41G〜41Iは、被覆電線W3の3種類の肉厚に対応して設けられ、カッター保持用ブロック3Aの各電線挿通路51Cに対応する上面部31対応線上の3箇所に設けられている。
第2の実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、刃先72によって外装チューブTの肉厚だけ長手方向に切り込みCを入れるための構成として、刃先72が外装チューブTの肉厚に等しい寸法だけ電線挿通路内に突出していること、および、電線挿通路が、カッター収容孔に対応する領域では、外装チューブTがカッター収容孔側の通路壁面52に隙間なく密着して通過する大きさに設けられていることが必須である。
カッター収容孔41A〜41Iは、いずれも上面部31(正確には溝32A〜32C)から電線挿通路51A〜51Cまで貫通している。カッター収容孔41A〜41Iは、カッターの断面形状に等しい開口で電線挿通路51A〜51Cまで貫通しているのではなく、電線挿通路51A〜51Cに連通する端部では、刃先72の傾斜した下端面を当接停止する当接面43を有し、かつ刃先72の突出寸法を決定するための精密に設定された大きさが相違する微小開口42を有する。
肉厚が3種類の被覆電線W1の各肉厚がカッター収容孔41A〜41Cの下端の微小開口42は、3種類の被覆電線W1の各肉厚が0.8mm、1.0mm、1.2mmである場合に、カッター収容孔41A、カッター収容孔41B、およびカッター収容孔41Cのそれぞれの下端の微小開口42から、刃先72が、0.8mm、1.0mm、1.2mm突出するように各微小開口42の大きさが設定されている。
同様に、カッター収容孔41D〜41Fの下端の微小開口42は、3種類の被覆電線W2の各肉厚が1.0mm、1.2mm、0.4mmである場合に、カッター収容孔41D、カッター収容孔41E、およびカッター収容孔41Fのそれぞれの下端の微小開口42から、刃先72が、1.0mm、1.2mm、0.4mm突出するように各微小開口42の大きさが設定されている。また、カッター収容孔41G〜41Iの下端の微小開口42は、3種類の被覆電線W3の各肉厚が1.2mm、1.4mm、1.6mmである場合に、カッター収容孔41G、カッター収容孔41H、およびカッター収容孔41Iのそれぞれの下端の微小開口42から、刃先72が、1.2mm、1.4mm、1.6mm突出するように各微小開口42の大きさが設定されている。
したがって、カッター71Aは、被覆電線W1の肉厚に応じてカッター収容孔41A〜41Cのいずれか1つに収容され、カッター71Bは、被覆電線W2の肉厚に応じてカッター収容孔41D〜41Fのいずれか1つに収容され、カッター71Cは、被覆電線W3の肉厚に応じてカッター収容孔41G〜41Iのいずれか1つに収容される。
このようにして、カッター71A〜71Cは、カッター収容孔41G〜41Iのいずれかに収容されることにより、刃先72を、上述したように外装チューブTの肉厚に等しい寸法だけ電線挿通路51A〜51C内に突出する。
カッター71A〜71Cの刃先72で、外装チューブTの切り込みCを入れる際には、刃先72を引っ込める方向に反力を受けるので、カッター71A〜71Cが切り込み反力で持ち上がらないように、カッター71A〜71Cの上面に当接するスライドストッパ91A〜91Cが設けられている。
すなわち、スライドストッパ91A〜91Cは、カッター保持用ブロック3Aの上面部31に設けられた溝3bに嵌合してスライドすることができ、スリット92を有しており、スリット92内にカッター71A〜71Cが位置するとき、スリット92の臨む上面部であって、緩傾斜面として形成された上面部93がカッター71A〜71Cの上面に押下力を付与するように当接し、カッター71A〜71Cが切り込み反力で持ち上がらないようになっている。
第2の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具1Aは、皮剥ぎしようとする被覆電線W1,W2,W3の外径に応じて使用する電線挿通路5A〜5Cを選択し、さらに被覆電線W1,W2,W3の外装チューブTの肉厚に応じて選択された電線挿通路5A〜5Cに貫通しているカッター収容孔41A〜41Iを選択する。
選択したカッター収容孔41A〜41Iにカッター71A〜71Cが収容されていないときは、選択した電線挿通路5A〜5Cの他の位置に存在するカッター71A〜71Cを引き抜いて、選択したカッター収容孔41A〜41Iに収容し、カッター71A〜71Cの上端にスライドストッパ91A〜91Cを当接させる。選択した電線挿通路に関して他の位置にカッターが存在しないようにする。
以上で、カッター71A〜71Cの刃先72の電線挿通路5A〜5C内への突出寸法を選択された1種類の被覆電線W1,W2,W3の外装チューブTの肉厚に等しい寸法にセットすることができる。第2の実施の形態に係る外装チューブ切込冶具1Aは、カッター収容孔41A〜41Iの下端の開口42の大きさが刃先72の突出寸法を決めているから、第1の実施の形態で説明した刃先突出寸法設定用ピース13A〜13Cを用いて刃先72の突出寸法を設定する必要がない。
上記のようにセットした後は、被覆電線W1,W2,W3を引っ張るだけで、素線Sを傷つけることなく、刃先72を電線挿通路5A〜5Cに突き出すカッター71A〜71Cにより被覆電線Wを構成している外装チューブTに対し皮剥ぎのための切り込みCを長手方向に入れることができる。
[変形例]
上記第1および第2の実施の形態では、カッター保持用ブロックの下面に凹条溝を形成し、カッター保持用ブロックを台盤上に載置すると、凹条溝が閉じられ、凹条溝が電線挿通路を構成するように設けられているが、本発明は、この形態に限定されない。
図12(a)に示すように、台盤2Bの上面に第1の実施の形態の電線挿通路5Aに対応する凹条溝53が形成され、カッター保持用ブロック3Bを台盤2B上に載置すると、凹条溝53が閉じられ電線挿通路が構成されてもよい。なお、第1の実施の形態の電線挿通路5B,5Cに対応する2つの凹条溝が形成される。また、この実施形態の場合には、台盤2Bの上面にカッター保持用ブロック3Bを正確に位置決めする位置決め用突起を設けられているものとする。
図12(b)に示すように、台盤2Cの上面に電線挿通路の下側半分に相当する凹条溝54が形成され、カッター保持用ブロック3Cの下面に電線挿通路の上側半分に相当する凹条溝55が形成され、カッター保持用ブロックを台盤上に載置すると、上下の凹条溝54,55が重なって電線挿通路が構成されてもよい。
本発明によれば、外装チューブの外径および肉厚がそれぞれ複数種類有する被覆電線に対応することができて、選択された1種類の被覆電線を選択された1つの電線挿通路に挿通させて引っ張るだけで、刃先を電線挿通路に外装チューブの肉厚寸法に等しく突き出すカッターにより、素線を傷つけることなく、外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れることができるという効果を有し、複数種類の被覆電線に対応できる外装チューブ切込冶具の全般に有用である。
1,1A 外装チューブ切込冶具
2,2B,2C 台盤
3,3A,3B,3C カッター保持用ブロック
4A〜4C カッター収容孔
5A〜5C 電線挿通路
6 密着面
7A〜7C カッター
8A〜8C 保護コラム
9A〜9C 固定手段
9b 回転つまみ(操作部)
13A,13B,13C 刃先突出寸法設定用ピース
13c 凹部
31 上面部
41A〜41I カッター収容孔
42 微小開口
51A〜51C 電線挿通路
52 通路壁面
53〜55 凹条溝(電線挿通路)
71A〜71C カッター
72 刃先
C 切り込み
S 素線
T 外装チューブ
W1,W2,W3 被覆電線

Claims (4)

  1. 複数種類の被覆電線のそれぞれを構成している外装チューブに対し皮剥ぎのための切り込みを長手方向に入れる外装チューブ切込冶具であって、
    台盤と、
    前記台盤上に載置されるカッター保持用ブロックと、
    前記台盤と前記カッター保持用ブロックとの密着面に位置するように、前記台盤と前記カッター保持用ブロックのいずれか一方にまたは両方にわたり設けられ、前記複数種類の被覆電線の各外径に対応して通路断面積が異なる複数の電線挿通路と、を有し、
    前記カッター保持用ブロックの前記各電線挿通路に対応する上面部対応線上に設けられ、前記上面部から前記電線挿通路まで貫通するカッター収容孔と、
    前記複数の電線挿通路に対し、前記各電線挿通路の前記カッター収容孔に収容されたカッターと、を有し、
    前記カッターの刃先が前記外装チューブの肉厚に等しい寸法だけ前記電線挿通路内に突出しているとともに、前記電線挿通路が、前記カッター収容孔に対応する領域では、前記外装チューブが前記カッター収容孔側の通路壁面に隙間なく密着して通過する大きさに設けられている、ことを特徴とする外装チューブ切込冶具。
  2. 前記カッター収容孔は、前記カッター保持用ブロックの前記各電線挿通路に対応する上面部対応線上の1箇所に設けられ、前記上面部から前記電線挿通路まで貫通して設けられ、
    前記カッターは、前記刃先の突出方向に移動可能に前記カッター収容孔に収容され、
    前記カッター保持用ブロックの外側に位置する操作部を操作することにより、前記カッターを固定する固定手段を更に有していることを特徴とする請求項1に記載の外装チューブ切込冶具。
  3. 刃先突出寸法設定用ピースを更に有し、前記刃先突出寸法設定用ピースは、上面部に前記外装チューブの肉厚に等しい深さの凹部を有し、前記電線挿通路に挿通されたときに、前記凹部を前記刃先に対向させて前記上面部を前記カッター収容孔側の前記通路壁面に密着するようになっている、ことを特徴とする請求項2に記載の外装チューブ切込冶具。
  4. カッター収容孔は、前記カッター保持用ブロックの前記各電線挿通路に対応する上面部対応線上の複数箇所に設けられ、前記上面部から前記電線挿通路まで貫通し、かつ前記電線挿通路に連通する端部では、前記複数種類の被覆電線のそれぞれを構成している外装チューブの肉厚によって大きさを相違する微小開口を有するように設けられ、
    前記カッターは、前記複数のカッター収容孔のいずれか1つに収容されかつ前記刃先を前記微小開口の大きさに応じて前記電線挿通路内に突出することを特徴とする請求項2に記載の外装チューブ切込冶具。
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