JP2017119360A - 積層構造の製造方法および積層構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】セメント系材料からなる積層構造において、層間の付着強度および一体性を確保することのできる積層構造の製造方法および積層構造を提供する。
【解決手段】セメント系材料を積層することにより積層構造を製造する方法であって、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤を層間に設ける工程を有するようにする。
【選択図】図1
【解決手段】セメント系材料を積層することにより積層構造を製造する方法であって、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤を層間に設ける工程を有するようにする。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば3Dプリンタのように材料を積層することで積層構造を製造する方法および積層構造に関し、特に、セメント系材料を積層してなる積層構造の製造方法および積層構造に関するものである。
従来、複数のセメント系組成物層を積層してなるセメント系積層材の製造方法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
一方、3Dプリンタを用いて立体物を造形する方法が知られている(例えば、特許文献2、3を参照)。これは、例えばコンピュータ上で作った3次元形状データを設計図として、その断面形状を積層していくことで立体物を造形する方法である。この3Dプリンタによる造形方式としては、液状の樹脂に紫外線などを照射し少しずつ硬化させていく光造形方式、熱で融解した樹脂を少しずつ積み重ねていく熱溶解積層方式、粉末の樹脂に接着剤を吹きつけていく粉末固着方式などがある。
ところで、セメント系材料を使用して積層構造を構築する場合には、上層の重量を支持するために、先行して構築される下層が早期に強度発現することが求められる。そこで、早期強度発現性を有するセメント系材料を使用することが考えられる。しかしながら、早期強度発現性を有する材料を打重ねる場合、乾燥やセメントの水和反応により各層間の付着力が低下し、一体性が損なわれるおそれがある。
このため、セメント系材料を積層して積層構造を製造する方法において、層間の付着強度および一体性を確保することのできる技術が求められていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、セメント系材料からなる積層構造において、層間の付着強度および一体性を確保することのできる積層構造の製造方法および積層構造を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る積層構造の製造方法は、セメント系材料を積層することにより積層構造を製造する方法であって、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤を層間に設ける工程を有することを特徴とする。
また、本発明に係る他の積層構造の製造方法は、上述した発明において、セメント系材料からなる下層の上面に凝結遅延剤を塗布または噴霧した後、その上面にセメント系材料からなる上層を設けることを特徴とする。
また、本発明に係る他の積層構造の製造方法は、上述した発明において、3Dプリンタを用いてセメント系材料を積層する一方、層間に凝結遅延剤を設けることにより積層構造を製造することを特徴とする。
また、本発明に係る積層構造は、セメント系材料を積層してなる積層構造であって、セメント系材料からなる層と、この層間に設けられ、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤からなる層とを備えることを特徴とする。
本発明に係る積層構造の製造方法によれば、セメント系材料を積層することにより積層構造を製造する方法であって、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤を層間に設ける工程を有するので、凝結遅延剤によりセメントの水和反応による硬化を遅延させることで、層間の付着性が向上する。このため、セメント系材料からなる積層構造において、層間の付着強度および一体性を確保することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の積層構造の製造方法によれば、セメント系材料からなる下層の上面に凝結遅延剤を塗布または噴霧した後、その上面にセメント系材料からなる上層を設けるので、凝結遅延剤により下層の上面の乾燥を防止するとともに、セメントの水和反応による硬化を遅延させることで、次に打込む上層との付着性が向上する。このため、セメント系材料からなる積層構造において、層間の付着強度および一体性を確保することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る他の積層構造の製造方法によれば、3Dプリンタを用いてセメント系材料を積層する一方、層間に凝結遅延剤を設けることにより積層構造を製造するので、層間の付着強度および一体性が確保されたセメント系材料からなる積層構造を3Dプリンタを用いて造形することができるという効果を奏する。
また、本発明に係る積層構造によれば、セメント系材料を積層してなる積層構造であって、セメント系材料からなる層と、この層間に設けられ、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤からなる層とを備えるので、層間の付着強度および一体性を確保したセメント系材料からなる積層構造を提供することができるという効果を奏する。
以下に、本発明に係る積層構造の製造方法および積層構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
本実施の形態に係る積層構造の製造方法は、セメント系材料を積層することにより積層構造を製造する方法であって、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤を層間に設ける工程を有している。この方法により、本実施の形態に係る積層構造を得ることができる。
本実施の形態によれば、凝結遅延剤によりセメントの水和反応による硬化を遅延させることで、層間の付着性が向上する。このため、セメント系材料からなる積層構造において、層間の付着強度および一体性を確保することができる。
ここで、セメント系材料からなる下層の上面に凝結遅延剤を塗布または噴霧した後、その上面にセメント系材料からなる上層を設けることが好ましい。例えば、速硬型のセメント系材料を用いて、各層の打重ね時間をT分とし、n層まで積層した場合を想定する。すなわち、i層(0≦i≦n−1)の打込みが完了したT分後にi+1層目を打込む作業をn層(n≧2)まで繰り返す場合を想定する。打込みが完了したi層の上面にセメント用の凝結遅延剤を塗布もしくは噴霧し、上面の乾燥を防止するとともにセメントの水和反応による硬化を遅延させることで、次に打込むi+1層との付着性の向上を実現することができる。このため、本実施の形態によれば、セメント系材料からなる積層構造において、層間の付着強度および一体性を確保することができる。
セメント系材料としては、例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントなどのセメントを含む材料を用いることができ、さらに砂などの細骨材や混和材を含んだ材料で構成してもよい。凝結遅延剤は、セメントの凝結遅延性能を有する剤であればいかなる剤を用いてもよい。例えばオキシカルボン酸系の遅延剤または遅延型減水剤や、凝結遅延性能を有するシリコン系の接着剤などを用いることができる。また、凝結遅延剤の性状に限定はなく、粉末状でもよいし液状であってもよい。
上記の実施の形態において、3Dプリンタを用いてセメント系材料を積層する一方、層間に凝結遅延剤を設けることにより積層構造を製造するようにしてもよい。このようにすれば、層間の付着強度および一体性が確保されたセメント系材料からなる積層構造を3Dプリンタを用いて造形することが可能となる。
(本発明の効果の検証)
次に、本発明の効果の検証について説明する。この検証では、実施例として層間に凝結遅延剤を付与した積層構造の試験体を設定し、比較例として層間に凝結遅延剤を付与しない無対策の積層構造の試験体を設定した。そして、各試験体に対する曲げ強度試験を行って強度を比較した。
次に、本発明の効果の検証について説明する。この検証では、実施例として層間に凝結遅延剤を付与した積層構造の試験体を設定し、比較例として層間に凝結遅延剤を付与しない無対策の積層構造の試験体を設定した。そして、各試験体に対する曲げ強度試験を行って強度を比較した。
試験体の外観を図1に、曲げ強度試験結果を図2に示す。図1に示すように、試験体の寸法は、4cm×4cm×16cmの直方体状とした。積層数は下層1、中層2、上層3からなる3層とし、層厚さは1層あたり約13mmとした。図1(1)の比較例の試験体では各層間に凝結遅延剤を付与していない(無対策)。一方、(2)の実施例の試験体では各層間の位置4に凝結遅延剤を設けてある。
試験体の構成材料としては、市販のセメント系補修材料(モルタルA、モルタルB)を用いた。材料の調合については、各材料で推奨される規定の調合とした。試験体の作製方法については、下層から上方に一層ずつ打込み、下の層の打込みが完了してから、その上に重ねて打込むまでの時間間隔(打重ね時間)を30分とした。打込み後の試験体の養生方法は、気温20℃の室内にて材齢7日まで湿潤養生とした。
凝結遅延剤の種類、使用量、使用方法は、表1の実施例1〜3に示すとおりである。凝結遅延性能を有する凝結遅延剤として、実施例1では接着剤を、実施例2では遅延剤(粉末タイプ)を、実施例3では遅延型減水剤を用いた。実施例1については刷毛塗りによって、実施例2、3については噴霧によって各層の上面に付与した。
図2に示すように、モルタルA、モルタルBのいずれの材料の場合も、実施例1〜3の凝結遅延剤を付与した試験体は、比較例の無対策の試験体に比べて曲げ強度が向上することがわかる。また、実施例2、3のオキシカルボン酸系の凝結遅延効果を有する遅延剤を噴霧することで曲げ強度は大きく増加することがわかる。以上の結果より、本発明によれば、凝結遅延剤によりセメントの水和反応による硬化を遅延させることで、層間の付着性が向上し、層間の付着強度および一体性を確保できることがわかる。
以上説明したように、本発明に係る積層構造の製造方法によれば、セメント系材料を積層することにより積層構造を製造する方法であって、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤を層間に設ける工程を有するので、凝結遅延剤によりセメントの水和反応による硬化を遅延させることで、層間の付着性が向上する。このため、セメント系材料からなる積層構造において、層間の付着強度および一体性を確保することができる。
また、本発明に係る他の積層構造の製造方法によれば、セメント系材料からなる下層の上面に凝結遅延剤を塗布または噴霧した後、その上面にセメント系材料からなる上層を設けるので、凝結遅延剤により下層の上面の乾燥を防止するとともに、セメントの水和反応による硬化を遅延させることで、次に打込む上層との付着性が向上する。このため、セメント系材料からなる積層構造において、層間の付着強度および一体性を確保することができる。
また、本発明に係る他の積層構造の製造方法によれば、3Dプリンタを用いてセメント系材料を積層する一方、層間に凝結遅延剤を設けることにより積層構造を製造するので、層間の付着強度および一体性が確保されたセメント系材料からなる積層構造を3Dプリンタを用いて造形することができる。
また、本発明に係る積層構造によれば、セメント系材料を積層してなる積層構造であって、セメント系材料からなる層と、この層間に設けられ、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤からなる層とを備えるので、層間の付着強度および一体性を確保したセメント系材料からなる積層構造を提供することができる。
以上のように、本発明に係る積層構造の製造方法および積層構造は、セメント系材料を積層してなる積層構造に有用であり、特に、層間の付着強度および一体性を確保するのに適している。
1 下層
2 中層
3 上層
4 凝結遅延剤の設置位置
2 中層
3 上層
4 凝結遅延剤の設置位置
Claims (4)
- セメント系材料を積層することにより積層構造を製造する方法であって、
セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤を層間に設ける工程を有することを特徴とする積層構造の製造方法。 - セメント系材料からなる下層の上面に凝結遅延剤を塗布または噴霧した後、その上面にセメント系材料からなる上層を設けることを特徴とする請求項1に記載の積層構造の製造方法。
- 3Dプリンタを用いてセメント系材料を積層する一方、層間に凝結遅延剤を設けることにより積層構造を製造することを特徴とする請求項1または2に記載の積層構造の製造方法。
- セメント系材料を積層してなる積層構造であって、
セメント系材料からなる層と、この層間に設けられ、セメント系材料の凝結時間を遅らせる凝結遅延性能を有する凝結遅延剤からなる層とを備えることを特徴とする積層構造。
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JP2015255889A JP2017119360A (ja) | 2015-12-28 | 2015-12-28 | 積層構造の製造方法および積層構造 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020169369A1 (de) * | 2019-02-19 | 2020-08-27 | Basf Se | 3d-druckverfahren zur herstellung von betonhaltigen segmenten eines 3d-gegenstandes |
JP2021030696A (ja) * | 2019-08-29 | 2021-03-01 | 清水建設株式会社 | 構造物の構築方法 |
JP7386474B2 (ja) | 2019-09-19 | 2023-11-27 | 大成建設株式会社 | 立体造形システム |
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2015
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