JP2017115797A - 空燃比センサの異常検出装置および異常検出方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空燃比センサの応答性の異常をリッチ方向およびリーン方向のいずれにおいても検出できる空燃比センサの異常検出装置および異常検出方法を提供する。【解決手段】空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、空燃比センサの出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを積算し、空燃比センサの出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを積算する。上昇変化量Vaの積算値を期間Taの積算値で除算することにより出力電圧Vの上昇変化の勾配Kaを検出し、下降変化量Vbの積算値を期間Tbの積算値で除算することにより出力電圧Vの下降変化の勾配Kbを検出する。この勾配Ka,Kbの対比に基づいて、空燃比がリッチ側およびリーン側にそれぞれ変動する際の空燃比センサの応答性の異常を判定する。【選択図】図1
Description
この発明は、空燃比センサを用いて空燃比フィードバック制御を実行する内燃機関における空燃比センサの異常検出装置および異常検出方法に関する。
自動車の内燃機関は、空燃比に応じて出力電圧が変化する空燃比センサ(LAFセンサ,A/Fセンサともいう)を備え、この空燃比センサの検知出力から噴射燃料と吸込み空気との混合気の空燃比(空気の質量と燃料の質量との比)を求め、その空燃比が理想的な空燃比いわゆる理論空燃比となるよう、燃料の噴射量をフィードバック制御(空燃比フィードバック制御)する。
空燃比センサは、具体的には、大気中の酸素の濃度と排出ガス中の酸素の濃度との差に応じて起電力が変化する。すなわち、吸気に対して燃料の比率が多い場合(空燃比がリッチ)、吸気中の酸素がより多く消費されるため、排出ガス中の酸素の濃度が低下し、これに伴い空燃比センサの出力電圧が上昇する。吸気に対して燃料の比率が少ない場合(空燃比がリーン)、吸気中の酸素の消費が少ないため、排出ガス中の酸素の濃度が上昇し、これに伴い空燃比センサの出力電圧が下降する。
この空燃比センサが故障すると、当然ながら適正な空燃比フィードバック制御が困難となる。
空燃比センサの故障対策として、例えば特許文献1のように、空燃比センサの出力電圧の変化を監視し、その監視結果に基づいて空燃比センサの異常を検出する装置が提案されている。
空燃比センサの応答性に関する異常として、空燃比がリッチで出力電圧が上昇方向に変化する際の出力電圧の応答遅れ、および空燃比がリーンで出力電圧が下降方向に変化する際の応答遅れがある。
上記検出装置の場合、空燃比センサの応答性に関する異常を検出できても、その応答性がリッチ方向における異常なのか、リーン方向における異常なのか、判別できない。
この発明の目的は、空燃比センサの応答性の異常をリッチ方向およびリーン方向のいずれにおいても検出できる空燃比センサの異常検出装置および異常検出方法を提供することである。
請求項1に係る発明の空燃比センサの異常検出装置は、空燃比に応じて出力電圧が変化する空燃比センサの異常を検出するものであって、積算手段、検出手段、および判定手段を備える。積算手段は、前記空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、前記空燃比センサの出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを積算し、かつ前記空燃比センサの出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを積算する。検出手段は、前記上昇変化量Vaの積算値を前記期間Taの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの上昇変化の勾配Kaを検出し、かつ前記下降変化量Vbの積算値を前記期間Tbの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの下降変化の勾配Kbを検出する。判定手段は、前記検出した勾配Ka,Kbの対比に基づいて、前記空燃比がリッチ側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常、および前記空燃比がリーン側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常を判定する。
請求項2に係る発明の空燃比センサの異常検出装置は、請求項1に係る発明の積算手段、検出手段、および判定手段について限定している。積算手段は、前記空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、一定時間t1にわたり、前記空燃比センサの出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを逐次に積算し、かつ前記空燃比センサの出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを逐次に積算するとともに、この一定時間t1の積算処理を所定回数Nにわたり繰り返す。検出手段は、前記一定時間t1の経過ごとに、前記上昇変化量Vaの積算値を前記期間Taの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの上昇変化の勾配Kaを検出し、かつ前記下降変化量Vbの積算値を前記期間Tbの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの下降変化の勾配Kbを検出するとともに、前記所定回数Nの積算処理の終了後、前記検出した勾配Ka,Kbのそれぞれ合計値を前記所定回数Nで除算することにより前記検出した勾配Ka,Kbの平均値Ka0,Kb0を検出する。判定手段は、前記算出した平均値Kb0,Kb0の対比に基づいて、前記空燃比がリッチ側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常、および前記空燃比がリーン側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常を判定する。
請求項3に係る発明の空燃比センサの異常検出装置は、請求項2に係る発明の判定手段について限定している。判定手段は、前記平均値Ka0と前記平均値Kb0との差が所定値以内の場合に、前記空燃比センサに異常なしと判定し、前記平均値Ka0が前記平均値Kb0より小さくてその差が前記所定値以上の場合に、前記空燃比センサに“リッチ方向の応答遅れ異常”があると判定し、前記平均値Kb0が前記平均値Ka0より小さくてその差が前記所定値以上の場合に、前記空燃比センサに“リーン方向の応答遅れ異常”があると判定する。
請求項4に係る発明の空燃比センサの異常検出方法は、空燃比に応じて出力電圧が変化する空燃比センサの異常を検出する方法であって、前記空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、前記空燃比センサの出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを積算し、かつ前記空燃比センサの出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを積算する。さらに、前記上昇変化量Vaの積算値を前記期間Taの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの上昇変化の勾配Kaを検出し、かつ前記下降変化量Vbの積算値を前記期間Tbの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの下降変化の勾配Kbを検出する。そして、前記検出した勾配Ka,Kbの対比に基づいて、前記空燃比がリッチ側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常、および前記空燃比がリーン側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常を判定する。
この発明の空燃比センサの異常検出装置および異常検出方法によれば、空燃比センサの応答性の異常をリッチ方向およびリーン方向のいずれにおいても検出できる。
以下、この発明の一実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、内燃機関(エンジン)1は、シリンダ2、ピストン3、点火プラグ4、吸気弁5、排気弁6を有し、ピストン3の下降により、シリンダ2内の燃焼室2aに、吸気ポート7および吸気弁5を通して空気を吸込む(吸気行程)。
図1に示すように、内燃機関(エンジン)1は、シリンダ2、ピストン3、点火プラグ4、吸気弁5、排気弁6を有し、ピストン3の下降により、シリンダ2内の燃焼室2aに、吸気ポート7および吸気弁5を通して空気を吸込む(吸気行程)。
吸気ポート7には、吸気量を検知するエアーフローメータ11、吸気量を決定するスロットル弁12、吸気弁5に向けて燃料を噴射する吸気路噴射インジェクタ13が配置されている。
吸気路噴射インジェクタ13が噴射する燃料は吸込み空気と混合され、その混合気が吸気弁5を介して燃焼室2aに供給される。燃焼室2a内に供給された混合気はピストン3の上昇によって圧縮され(圧縮行程)、その圧縮混合気が点火プラグ4の火花により着火して燃焼・爆発する(燃焼行程)。この燃焼・爆発によってピストン3が再び下降し、上記動作が繰り返される。燃焼・爆発によって生じるガスは、排気弁6および排気ポート8を通って排出される(排気行程)。
排気ポート8には、空燃比センサ14、および排出ガスを浄化する触媒15が配置されている。
空燃比センサ14は、LAF(Linear Air-Fuel ratio)センサやA/F(Air-Fuel ratio)センサとも称し、排気弁6を経た排出ガス中の酸素の濃度と大気中の酸素の濃度との差に応じて起電力が変化する。すなわち、吸気に対して燃料の比率が多い場合(空燃比がリッチ)、吸気中の酸素がより多く消費されるため、排出ガス中の酸素の濃度が低下し、これに伴い、図2に示すように、空燃比センサ14の出力電圧Vが上昇する。吸気に対して燃料の比率が少ない場合(空燃比がリーン)、吸気中の酸素の消費が少ないため、排出ガス中の酸素の濃度が上昇し、これに伴い、図2に示すように、空燃比センサ14の出力電圧Vが下降する。この電圧波形は、空燃比センサ14に異常がない場合のもので、上昇時の傾きと下降時の傾きとがほぼ同じである。
一方、制御部であるECU20に、上記エアーフローメータ11、スロットル弁12、吸気路噴射インジェクタ13、空燃比センサ14、点火コイル21、回転数センサ22、アクセル開度センサ23、異常報知ランプ24、メモリ25などが接続される。
点火コイル21は、点火プラグ4に点火用の駆動電圧を供給する。回転数センサ22は、ピストン3の上下動に連動するクランクの角度を回転数として検知する。アクセル開度センサ23は、アクセル開度(アクセルペダルの踏込み量)を検知する。異常報知ランプ24は、空燃比センサ14の異常を報知するためのもので、内燃機関1が搭載された車両の運転席付近に配置される。メモリ25は、空燃比センサ14の異常内容を記憶する。
そして、ECU20は、内燃機関1の運転を制御する機能に加え、空燃比センサ14の異常を検出する異常検出装置としても機能するもので、空燃比センサ14の異常検出に関わる次の(1)〜(4)の手段を有する。
(1)空燃比センサ14の出力電圧Vから噴射燃料と吸込み空気との混合気の空燃比(平均値)を求め、その空燃比が理論空燃比となるよう、吸気路噴射インジェクタ13の燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段。なお、空燃比フィードバック制御手段は、空燃比(平均値)が理論空燃比となるいわゆるストイキ(stoiciometry)状態において、最適な燃焼状態が得られるよう、空燃比を意図的にリッチ側とリーン側に交互に微少変動させる制御を行う。
(1)空燃比センサ14の出力電圧Vから噴射燃料と吸込み空気との混合気の空燃比(平均値)を求め、その空燃比が理論空燃比となるよう、吸気路噴射インジェクタ13の燃料噴射量をフィードバック制御する空燃比フィードバック制御手段。なお、空燃比フィードバック制御手段は、空燃比(平均値)が理論空燃比となるいわゆるストイキ(stoiciometry)状態において、最適な燃焼状態が得られるよう、空燃比を意図的にリッチ側とリーン側に交互に微少変動させる制御を行う。
(2)上記空燃比フィードバック制御手段によりストイキ状態が設定されて、空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、空燃比センサ14の出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを積算し、かつ空燃比センサ14の出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを積算する積算手段。
(3)上記上昇変化量Vaの積算値Vamを上記期間Taの積算値Tamで除算することにより出力電圧Vの上昇変化の勾配Ka(=Vam/Tam)を検出し、かつ上記下降変化量Vbの積算値Vbmを上記期間Tbの積算値Tbmで除算することにより出力電圧Vの下降変化の勾配Kb(=Vbm/Tbm)を検出する検出手段。
(4)上記検出した勾配Ka,Kbの対比に基づいて、上記空燃比がリッチ側に変動する際の空燃比センサ14の応答性の異常、および上記空燃比がリーン側に変動する際の空燃比センサ14の応答性の異常を判定する判定手段。
なお、上記(2)の積算手段は、具体的には、上記空燃比フィードバック制御手段によりストイキ状態が設定されて、空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、一定時間(例えば10sec)t1にわたり、空燃比センサ14の出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを逐次に積算し、かつ空燃比センサ14の出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを逐次に積算するとともに、この一定時間t1の積算処理を予め定めた所定回数(例えば5回)Nにわたり繰り返す。
上記(3)の検出手段は、具体的には、上記一定時間t1の経過ごとに、上昇変化量Vaの積算値Vamを期間Taの積算値Tamで除算することにより出力電圧Vの上昇変化の勾配Ka(=Vam/Tam)を検出し、かつ下降変化量Vbの積算値Vbmを期間Tbの積算値Tbmで除算することにより出力電圧Vの下降変化の勾配Kb(=Vbm/Tbm)を検出するとともに、上記所定回数Nの積算処理の終了後、上記検出した勾配Ka,Kbのそれぞれ合計値を上記所定回数Nで除算することにより上記勾配Kaの平均値Ka0(=Kaの合計値/N)および勾配Kbの平均値Kb0(=Kbの合計値/N)を算出する。
上記(4)の判定手段は、具体的には、上記算出した平均値Ka0と上記算出した平均値Kb0tとの差が所定値以内の場合に空燃比センサ14に異常なしと判定し、平均値Ka0が平均値Kb0より小さくてその差が上記所定値以上の場合に空燃比センサ14に“リッチ方向の応答遅れ異常”があると判定し、平均値Kb0が平均値Ka0より小さくてその差が上記所定値以上の場合に空燃比センサ14に“リーン方向の応答遅れ異常”があると判定する。
つぎに、ECU20が実行する異常検出処理を図3のフローチャートを参照しながら説明する。
ECU20は、空燃比フィードバック制御によりストイキ状態を設定して空燃比をリッチ側とリーン側に交互に微少変動させている状況において(ステップS1)、異常検出フラグfが“0”であることを条件に(ステップS2のYES)、タイムカウントtを開始する(ステップS3)。
ECU20は、空燃比フィードバック制御によりストイキ状態を設定して空燃比をリッチ側とリーン側に交互に微少変動させている状況において(ステップS1)、異常検出フラグfが“0”であることを条件に(ステップS2のYES)、タイムカウントtを開始する(ステップS3)。
タイムカウントtの開始に伴い、ECU20は、空燃比センサ14の出力電圧Vが上昇方向(リッチ方向)に変化するか下降方向(リーン方向)に変化するかを監視する(ステップS4,S5)。上昇方向の変化に際し(ステップS4のYES)、ECU20は、出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taを積算するとともに(ステップS6)、その期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを積算する(ステップS7)。下降方向の変化に際し(ステップS4のNO、ステップS5のYES)、ECU20は、出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbを積算するとともに(ステップS8)、その期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを積算する(ステップS9)。
この積算処理に伴い、ECU20は、タイムカウントtが一定時間t1に達したかを判定する(ステップS10)。タイムカウントtが一定時間t1未満の場合(ステップS10のNO)、ECU20は、ステップS4,S5の監視に戻る。
タイムカウントtが一定時間t1に達した場合(ステップS10のYES)、ECU20は、タイムカウントtを零にクリアするとともに(ステップS11)、回数nを“1”アップする(ステップS12)。そして、ECU20は、一定時間t1における上昇変化量Vaの積算値Vamを同じく一定時間における期間Taの積算値Tamで除算することにより一定時間t1中の出力電圧Vの上昇変化の勾配Ka(=Vam/Tam)を検出し、かつ一定時間t1における下降変化量Vbの積算値Vbmを同じく一定時間t1における期間Tbの積算値Tbmで除算することにより一定時間t1中の出力電圧Vの下降変化の勾配Kb(=Vbm/Tbm)を検出する(ステップS13)。
この検出に続き、ECU20は、回数nが所定回数Nに達しているかを判定する(ステップS14)。回数nが所定回数N未満の場合(ステップS14のNO)、ECU20は、ステップS3に戻ってタイムカウントtを再開する。このタイムカウントtの繰り返しにより、複数の勾配Kaおよび複数の勾配Kbを検出することができる。
回数nが所定回数Nに達した場合(ステップS14のYES)、ECU20は、回数nを零にクリアする(ステップS9)。これに伴い、ECU20は、これまで検出した各勾配Kaの合計値を所定回数Nで除算することにより勾配Kaの平均値Ka0(=“Kaの合計値”/N)を算出するとともに、これまで検出した各勾配Kbの合計値を所定回数Nで除算することにより勾配Kbの平均値Kb0(=“Kbの合計値”/N)を算出する(ステップS16)。
空燃比センサ14の応答性に異常がない場合、空燃比センサ14の出力電圧Vは、図2に示すように、上昇変化の勾配Kaと下降変化の勾配Kbとがほぼ等しくなる。
ECU20は、平均値Ka0と平均値Kb0tとがほぼ等しくてその差が所定値以内の場合(ステップS17のYES)、ECU20は、空燃比センサ14に異常なしと判定する(ステップS18)。
一方、空燃比の増加に対して空燃比センサ14の出力電圧Vが適切に追従せず遅れて上昇し、空燃比の減少に対しては空燃比センサ14の出力電圧Vが適切に追従しながら下降していく場合、空燃比センサ14の出力電圧Vは、図4に示すように、上昇変化の勾配Kaが下降変化の勾配Kbより小さくなる。
ECU20は、平均値Ka0が平均値Kb0より小さくてその差が上記所定値以上の場合(ステップS17のNO、ステップS19のYES)、空燃比センサ14に“リッチ方向の応答遅れ異常”があると判定する(ステップS20)。“リッチ方向の応答遅れ異常”とは、空燃比がリッチ側に変動する際の応答性の異常のことである。
また、空燃比の増加に対して空燃比センサ14の出力電圧Vが適切に追従しながら上昇し、空燃比の減少に対しては空燃比センサ14の出力電圧Vが適切に追従せず遅れて下降していく場合、空燃比センサ14の出力電圧Vは、図5に示すように、下降変化の勾配Kbが上昇変化の勾配Kaより小さくなる。
ECU20は、平均値Kb0が平均値Ka0より小さくてその差が上記所定値以上の場合(ステップS17のNO、ステップS19のNO)、空燃比センサ14に“リーン方向の応答遅れ異常”があると判定する(ステップS21)。“リーン方向の応答遅れ異常”とは、空燃比がリーン側に変動する際の応答性の異常のことである。
“リッチ方向の応答遅れ異常”または“リーン方向の応答遅れ異常”を判定した場合、ECU20は、異常の旨を異常報知ランプ24の発光により運転者に報知するとともに、その異常を表わすデータをメモリ25に記憶する(ステップS22)。これに伴い、ECU20は、異常検出フラグfを“1”にセットし(ステップS23)、初めのステップS1からの処理を繰り返す。この場合、異常検出フラグfが“1”なので(ステップS2のNO)、ECU20は、ステップS3からの処理を実行しない。
メモリ25内のデータは、空燃比センサ14の交換や修理を行う作業者がパーソナルコンピュータを使って読み出すことが可能である。作業者は、この読み出しにより、空燃比センサ14に生じている異常が何なのかを的確に認識することができる。
以上のように、空燃比センサ14の応答性の異常をリッチ方向およびリーン方向の両方向において的確に識別して検出できる。ひいては、空燃比センサ14の異常内容に応じた適切な排出ガス低減対策をとることが可能となる。
空燃比センサ14に異常が生じていることを異常報知ランプ24の発光により報知するので、空燃比センサ14の早期の交換または修理が可能となる。異常内容を表わすデータをメモリ25に記憶するので、空燃比センサ14の交換または修理に際しての作業が容易となる。
なお、上記実施形態では、一定時間t1を10sec、所定回数Nを5回としたが、一定時間t1および所定回数Nの値について限定はなく適宜に設定可能である。
上記実施形態では、空燃比センサ14の応答遅れの異常を検出する場合を例に説明したが、空燃比センサ14が空燃比の変化に比べて過剰に反応する異常についても、同様の判定処理により検出することが可能である。
その他、上記実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、書き換え、変更を行うことができる。これら実施形態や変形は、発明の範囲は要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…内燃機関、2…シリンダ、2a…燃焼室、3…ピストン、4…点火プラグ、5…吸気弁、6…排気弁、7…吸気ポート、8…排気ポート、11…エアーフローメータ、12…スロットル弁、13…吸気路噴射インジェクタ、14…空燃比センサ、15…触媒、20…ECU、21…点火コイル、22…回転数センサ、23…アクセル開度センサ、24…異常報知ランプ、25…メモリ
Claims (4)
- 空燃比に応じて出力電圧が変化する空燃比センサの異常検出装置であって、
前記空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、前記空燃比センサの出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを積算し、かつ前記空燃比センサの出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを積算する積算手段と、
前記上昇変化量Vaの積算値を前記期間Taの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの上昇変化の勾配Kaを検出し、かつ前記下降変化量Vbの積算値を前記期間Tbの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの下降変化の勾配Kbを検出する検出手段と、
前記検出した勾配Ka,Kbの対比に基づいて、前記空燃比がリッチ側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常、および前記空燃比がリーン側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする空燃比センサの異常検出装置。 - 前記積算手段は、前記空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、一定時間t1にわたり、前記空燃比センサの出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを逐次に積算し、かつ前記空燃比センサの出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを逐次に積算するとともに、この一定時間t1の積算処理を所定回数Nにわたり繰り返す、
前記検出手段は、前記一定時間t1の経過ごとに、前記上昇変化量Vaの積算値を前記期間Taの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの上昇変化の勾配Kaを検出し、かつ前記下降変化量Vbの積算値を前記期間Tbの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの下降変化の勾配Kbを検出するとともに、前記所定回数Nの積算処理の終了後、前記勾配Ka,Kbのそれぞれ合計値を前記所定回数Nで除算することにより前記勾配Ka,Kbの平均値Kb0,Kb0を算出する、
前記判定手段は、前記算出した平均値Kb0,Kb0の対比に基づいて、前記空燃比がリッチ側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常、および前記空燃比がリーン側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常を判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の空燃比センサの異常検出装置。 - 前記判定手段は、
前記平均値Ka0と前記平均値Kb0との差が所定値以内の場合に、前記空燃比センサに異常なしと判定し、
前記平均値Ka0が前記平均値Kb0より小さくてその差が前記所定値以上の場合に、前記空燃比センサに“リッチ方向の応答遅れ異常”があると判定し、
前記平均値Kb0が前記平均値Ka0より小さくてその差が前記所定値以上の場合に、前記空燃比センサに“リーン方向の応答遅れ異常”があると判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の空燃比センサの異常検出装置。 - 空燃比に応じて出力電圧が変化する空燃比センサの異常検出方法であって、
前記空燃比がリッチ側とリーン側に交互に変動する状況において、前記空燃比センサの出力電圧Vが上昇方向に変化する期間Taおよびその期間Taにおける出力電圧Vの上昇変化量ΔVaを積算し、かつ前記空燃比センサの出力電圧Vが下降方向に変化する期間Tbおよびその期間Tbにおける出力電圧Vの下降変化量ΔVbを積算し、
前記上昇変化量Vaの積算値を前記期間Taの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの上昇変化の勾配Kaを検出し、かつ前記下降変化量Vbの積算値を前記期間Tbの積算値で除算することにより前記出力電圧Vの下降変化の勾配Kbを検出し、
前記検出した勾配Ka,Kbの対比に基づいて、前記空燃比がリッチ側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常、および前記空燃比がリーン側に変動する際の前記空燃比センサの応答性の異常を判定する、
ことを特徴とする空燃比センサの異常検出方法。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015254311A Pending JP2017115797A (ja) | 2015-12-25 | 2015-12-25 | 空燃比センサの異常検出装置および異常検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017115797A (ja) |
-
2015
- 2015-12-25 JP JP2015254311A patent/JP2017115797A/ja active Pending
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