JP2017110005A - 害虫忌避方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】特定の容積を有する空間において、害虫に対して優れた忌避効果を発揮する害虫忌避方法を提供する。【解決手段】本発明に係る害虫忌避方法は、閉鎖空間に対して、ハッカ油、ユーカリ油およびラベンダー油からなる群より選択される少なくとも1種の精油を0.01〜10mg/L/日の割合で揮散させる。本発明に係る害虫忌避方法は、本発明に係る害虫忌避方法は、好ましくは忌避した害虫を捕獲するための捕獲手段を、空間内または空間の周囲にさらに備える。【選択図】なし

Description

本発明は、比較的狭い空間に生息している害虫に対する害虫忌避方法に関する。
従来、害虫忌避方法としては、ピレスロイド系殺虫剤、DEET(N,N−ジエチル−m−トルアミド)などの成分を用いた方法が知られている(例えば、特許文献1および2)。さらに、精油を用いた忌避方法についても、種々検討されている。しかし、精油が有する忌避効果は、ピレスロイド系殺虫剤およびDEETが有する忌避効果と比べて乏しい。そのため、比較的広い空間において害虫を忌避するために、精油は使用しにくいという問題がある。
一方、台所や厨房にある食器や食品の収納棚の中など、飲食に関するような空間では、ピレスロイド系殺虫剤やDEETなどの成分は、できる限り使用を避けたいという要求もある。しかし、生命力や繁殖力が強く感染症の原因となる病原体を媒介するゴキブリのような衛生害虫は、例えば室内においては、このような食器や食品の収納棚の中や下など、湿気が多く狭くて暗い場所に好んで生息する傾向にある。
特開平7−118112号公報 特開2001−302409号公報
本発明の課題は、比較的狭い空間に生息している害虫に対して、優れた忌避効果を発揮する害虫忌避方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)閉鎖空間に対して、ハッカ油、ユーカリ油およびラベンダー油からなる群より選択される少なくとも1種の精油を0.01〜10mg/L/日の割合で揮散させることを特徴とする害虫忌避方法。
(2)忌避した害虫を捕獲するための捕獲手段または駆除するための殺虫手段を、空間内または空間の周囲にさらに備える上記(1)に記載の害虫忌避方法。
(3)精油を収容する容器が、ポリエチレンテレフタレート製である上記(1)または(2)に記載の害虫忌避方法。
(4)ゴキブリ類またはダニ類を忌避する上記(1)〜(3)のいずれかに記載の害虫忌避方法。
本発明の害虫忌避方法によれば、収納棚や流し台(シンク)の下など比較的狭い空間に生息している害虫に対して、優れた忌避効果が発揮される。
特定の精油を強制的に揮散させる方法の一実施態様を説明するための説明図である。 実施例1〜6および比較例1〜4で行った忌避試験の方法を説明するための説明図である。 実施例1および比較例1で行った試験において、粘着トラップに捕獲されたクロゴキブリの合計捕獲数を示すグラフである。 実施例2および比較例2で行った試験において、粘着トラップに捕獲されたチャバネゴキブリの合計捕獲数を示すグラフである。 実施例3、4および比較例3で行った試験において、粘着トラップに捕獲されたクロゴキブリの合計捕獲数を示すグラフである。 実施例5、6および比較例4で行った試験において、粘着トラップに捕獲されたチャバネゴキブリの合計捕獲数を示すグラフである。 実施例7で行った忌避試験の方法を説明するための説明図である。
本発明の害虫忌避方法は、閉鎖空間に対して、ハッカ油、ユーカリ油およびラベンダー油からなる群より選択される少なくとも1種の精油(「特定の精油」と記載する場合がある)を0.01〜10mg/L/日の割合で揮散させる。以下、本発明の害虫忌避方法について、詳細に説明する。
本発明の害虫忌避方法に使用されるハッカ油は、ハッカ属植物から抽出される成分である。このようなハッカ油は、原料となる植物種によって成分構成が異なり、例えば、メントールを主成分とするものや、カルボンを主成分とするものがある。
ハッカ属の植物としては、例えば、セイヨウハッカ、ニホンハッカなどのペパーミント、オランダハッカなどのスペアミント、マルバハッカなどのアップルミントなどが挙げられる。
ペパーミントやニホンハッカ由来のハッカ油には、主成分としてメントールが含有され、メントン、酢酸メンチルなどの他の成分が含有されている。一方、スペアミント由来のハッカ油には、主成分としてカルボンが含有され、リモネン、シネオールなどの他の成分が含有されている。
本発明の害虫忌避方法に使用されるハッカ油の原料となる植物種は特に限定されず、異なる植物種のハッカ油を2種以上混合して用いてもよい。さらに、本発明において「ハッカ油」とは、上記のハッカ属植物から得られる一般的なハッカ油だけでなく、例えば合成によって得られたメントールやカルボンを主成分とし、必要に応じて他の成分を含む組成物なども包含される。これらの中でも、ハッカ属の植物から得られる天然由来のハッカ油が好ましい。
本発明の方法に使用されるユーカリ油は、ユーカリの葉から抽出される精油である。ユーカリ油の原料となるユーカリの品種は特に限定されず、例えば、ユーカリプタス・グロブルス、ユーカリプタス・ラディアータ、ユーカリ・シトリオドラなどが挙げられる。ユーカリ油には、1,8−シネオール、α−ピネンなどに加えて種々の成分が含まれている。
本発明の方法に使用されるユーカリ油の原料となる品種は特に限定されず、異なる品種のユーカリ油を2種以上混合して用いてもよい。さらに、本発明において「ユーカリ油」とは、上記のユーカリの葉から得られる一般的なユーカリ油だけでなく、例えば合成によって得られた1,8−シネオールやα−ピネンを主成分とし、必要に応じて他の成分を含む組成物なども包含される。これらの中でも、ユーカリの葉から得られる天然由来のユーカリ油が好ましい。
本発明の方法に使用されるラベンダー油は、ラベンダーの花から抽出される精油である。ラベンダー油の原料となるラベンダーの品種は特に限定されず、例えば、真正ラベンダー、スパイクラベンダー、フレンチラベンダーなどが挙げられる。ラベンダー油には、酢酸リナリル、リナロールなどに加えて種々の成分が含まれている。
本発明の方法に使用されるラベンダー油の原料となる品種は特に限定されず、異なる品種のラベンダー油を2種以上混合して用いてもよい。さらに、本発明において「ラベンダー油」とは、上記のラベンダーの花から得られる一般的なラベンダー油だけでなく、例えば合成によって得られた酢酸リナリルやリナロールを主成分とし、必要に応じて他の成分を含む組成物なども包含される。これらの中でも、ラベンダーの花から得られる天然由来のラベンダー油が好ましい。
天然由来のハッカ油、ユーカリ油およびラベンダー油は、原料となるハッカ属の植物の葉やユーカリの葉、ラベンダーの花などを、例えば、水蒸気蒸留に供したり圧搾したりすることによって得られる。
本発明の害虫忌避方法は、比較的狭い空間に対して適用される。このような比較的狭い空間としては、例えば、台所や厨房、押入れなどに存在する閉鎖系の空間が挙げられる。このような閉鎖系の空間としては、例えば、食器や食品の収納棚の中や下、流し台(シンク)下の収納スペース、床下収納庫、タンス、クローゼット、収納ケースなどが挙げられる。なお、棚などの下の隙間は、扉などが付いているわけではないが、非常に狭く暗い空間であるため、本明細書においては、閉鎖系の空間とする。
本発明の害虫忌避方法は、このような比較的狭い空間に対して、特定の精油を0.01〜10mg/L/日の割合で揮散させる。このような割合で揮散させることによって、害虫に対して優れた忌避効果が発揮される。なお、揮散量が多いほど忌避効果も向上するが、揮散量が多くなりすぎると、例えば食器棚や食品棚に適用した場合、食器や食品に特定の精油の匂いが移る、あるいは刺激を感じることなどがある。揮散量は0.05〜5mg/L/日であることが好ましい。
特定の精油の揮散方法は特に限定されず、自然に揮散させてもよく強制的に揮散させてもよい。自然に揮散させる方法としては、例えば、容器に収容した特定の精油または担体に保持させた特定の精油を揮散させる方法が挙げられる。特定の精油を収容する容器の材質は特に限定されず、例えば、樹脂、ガラス、金属などが挙げられる。樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン−ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。これらの中でも、有効成分を吸着せず、揮散が抑制されない点で、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
保持させた特定の精油を揮散させる場合、特定の精油を保持させる担体としては、例えば、紙、パルプ、糸、ネット、レース、不織布、木材、無機高分子物質、無機多孔質物質、有機高分子物質、樹脂類、吸液性ポリマー、綿、海綿体、連続気泡の発泡体、透過フィルム、透過容器、水ゲル、石鹸などが挙げられる。
特定の精油は、例えば、滴下、浸漬、練り込みなどの方法によって、このような担体に保持させることができる。また、特定の精油を担体に保持させる場合、特定の精油を水やアルコール(エタノールなど)などの溶媒に溶解あるいは分散して用いてもよい。特定の精油の保持量は、効果の持続期間、担体の大きさなどを勘案して適宜設定され得る。さらに、特定の精油を賦形剤と混合して、錠剤、顆粒剤、粉剤などの形状に成形して用いてもよい。担体には特定の精油以外に、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の添加剤を保持させてもよい。このような他の添加剤としては、例えば、香料、酸化防止剤、殺虫剤、忌避剤、殺菌剤、防カビ剤、消臭剤、色素などが挙げられる。
特定の精油を保持させた担体は、害虫を忌避しようとする空間に設置、例えば、単に置いたり吊り下げたりすればよい。こうすることによって、担体から特定の精油が徐々に揮散して空間に広がる。特定の精油を保持させた担体は、揮散した特定の精油がこもらないように設置するのが好ましい。さらに、担体を花びらの形状、植物の形状、動物の形状、立体的形状、人形などの意匠性に富んだ形状に加工して用いてもよい。担体を加工した後に特定の精油を保持させてもよく、特定の精油を保持させた担体を加工してもよい。錠剤、顆粒剤、粉剤などの形状で用いる場合は、害虫を忌避しようとする空間に直接散布してもよく、容器や袋体などに入れて静置していてもよい。
なお、揮散量を調節するために、特定の精油を保持させた担体は、通気量を調節し得る通気孔が形成された容器に収納されていてもよい。また、揮散量を調整するために公知の溶媒を適宜選択して用いることができる。このような溶媒としては、例えば、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、流動パラフィン、エステル油、植物油などが挙げられる。
強制的に揮散させる方法としては、例えば、ファンなどの送風機を用いる方法が挙げられる。ファンを用いる方法としては、例えば図1に示す模式図のように、ファン1が備えられた容器2に、特定の精油を保持させた担体3を、ファン1による風が当たるようにセットし、容器2に形成された通気孔2aから特定の精油の蒸気をファン1の風で揮散させる方法が挙げられる。
さらに特定の精油を揮散させやすくするために、加温する方法も挙げられる。
本発明の害虫忌避方法においては、忌避した害虫を捕獲するための捕獲手段または駆除するための殺虫手段が、上記空間内または上記空間の周囲にさらに備えられていてもよい。捕獲手段または殺虫手段を空間内や空間周囲に備えておくことによって、忌避行動を示した害虫は、当該空間から離れていく際に捕獲手段や殺虫手段との遭遇頻度が高くなるため、効率的に捕獲(駆除)される。
捕獲手段や殺虫手段は限定されず、粘着剤が塗布された粘着シート、トラップ、毒餌剤、塗布型スプレー、燻蒸剤などが挙げられる。特に、害虫としてゴキブリ類を忌避する際にこのような粘着シートなどの捕獲手段を併用するのが効果的である。
本発明の害虫忌避方法の対象となる害虫は特に限定されず、例えば、チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トビイロゴキブリなどのゴキブリ類、マダニ、イエダニ、ヒョウヒダニ、コナダニ、ツメダニなどのダニ類、コクゾウムシ、コクヌストモドキ、タバコシバンムシ、ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシなどの貯穀害虫類、オオズアリ、クロヤマアリ、トビイロシワアリ、アミメアリなどのアリ類などが挙げられる。
本発明の害虫忌避方法は、比較的狭い空間に生息している害虫に対して、優れた忌避効果を発揮する。例えば、本発明の害虫忌避方法は、食器や食品の収納棚の中や下、流し台(シンク)下の収納スペース、床下収納庫、タンス、クローゼット、収納ケースなどなどに好適に採用される。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図2に示すように、100cm×100cm×30cmのバット4に水および固形餌5を置いた。次いで、天面を塩化ビニル板で遮光し、侵入口61(1cm×5cm)を設けた試験ボックス6(容量20L)を準備して、バット4内に置いた。クロゴキブリの成虫40頭(オス20頭およびメス20頭)をバット4内に放った。放ったクロゴキブリに水および餌を自由摂取させて一晩馴化させ、定着を明条件で行った。
次いで、パルプマット(3cm×3cm×3mm)に400mgのハッカ油を含浸させて、ポリエチレンテレフタレート製の密閉容器71に入れた。密閉容器71に100mm2の面積を有する開口72を形成して、検体7を得た。得られた検体7を試験ボックス6内に置いた。検体7からは、ハッカ油が0.1mg/L/日の割合で揮散される。検体7を置いてから1日後、誘引剤を有さない粘着トラップ8を、バット4内に置いた。粘着トラップ8を置いてから12時間後、粘着トラップ8に捕獲されたクロゴキブリの捕獲数をカウントした。この試験を3回行った。3回の試験で粘着トラップ8に捕獲されたクロゴキブリの捕獲数の合計を図3に示す。
(比較例1)
検体7を置かなかった以外は実施例1と同様の手順で、粘着トラップ8に捕獲されたクロゴキブリの捕獲数をカウントした。3回の試験で粘着トラップ7に捕獲されたクロゴキブリの捕獲数の合計を図3に示す。
図3に示すように、検体7(ハッカ油)を使用した実施例1では88頭のクロゴキブリが粘着トラップ8に捕獲されたのに対し、検体7を使用していない比較例1では3頭のクロゴキブリしか捕獲されていないことがわかる。このように、ハッカ油の有無によって、クロゴキブリの捕獲数が約30倍も異なることがわかる。この結果は、クロゴキブリが忌避行動を示すことで定着場所を離れて徘徊するため、粘着トラップ8との遭遇頻度が向上し、予測を超える捕獲数となったものである。
(実施例2)
クロゴキブリの代わりにチャバネゴキブリ60頭(オス30頭およびメス30頭)を用いた以外は実施例1と同様の手順で、粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数をカウントした。3回の試験で粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数の合計を図4に示す。
(比較例2)
検体7を置かなかった以外は実施例2と同様の手順で、粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数をカウントした。3回の試験で粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数の合計を図4に示す。
図4に示すように、検体7(ハッカ油)を使用した実施例2では143頭のチャバネゴキブリが粘着トラップ8に捕獲されたのに対し、検体7を使用していない比較例2では21頭のチャバネゴキブリしか捕獲されていないことがわかる。このように、ハッカ油の有無によって、チャバネゴキブリの捕獲数が約7倍も異なることがわかる。この結果は、チャバネゴキブリが忌避行動を示すことで定着場所を離れて徘徊するため、粘着トラップ8との遭遇頻度が向上し、予測を超える捕獲数となったものである。
(実施例3)
400mgのユーカリ油を用いた以外は、実施例1と同様の手順で試験を行った。検体7からは、ユーカリ油が0.15mg/L/日の割合で揮散される。3回の試験で粘着トラップ8に捕獲されたクロゴキブリの捕獲数の合計を図5に示す。
(実施例4)
400mgのラベンダー油を用いた以外は、実施例3と同様の手順で試験を行った。検体7からは、ラベンダー油が0.25mg/L/日の割合で揮散される。3回の試験で粘着トラップ8に捕獲されたクロゴキブリの捕獲数の合計を図5に示す。
(比較例3)
検体7を置かなかった以外は実施例3と同様の手順で、粘着トラップ8に捕獲されたクロゴキブリの捕獲数をカウントした。3回の試験で粘着トラップ7に捕獲されたクロゴキブリの捕獲数の合計を図5に示す。
図5に示すように、検体7(ユーカリ油)を使用した実施例3では86頭のクロゴキブリが粘着トラップ8に捕獲され、検体7(ラベンダー油)を使用した実施例4では79頭のクロゴキブリが粘着トラップ8に捕獲された。一方、検体7を使用していない比較例3では12頭のクロゴキブリしか捕獲されていないことがわかる。このように、ユーカリ油およびラベンダー油の有無によって、クロゴキブリの捕獲数がそれぞれ約7.2倍および6.6倍も異なることがわかる。この結果は、クロゴキブリが忌避行動を示すことで定着場所を離れて徘徊するため、粘着トラップ8との遭遇頻度が向上し、予測を超える捕獲数となったものである。
(実施例5)
クロゴキブリの代わりにチャバネゴキブリ60頭(オス30頭およびメス30頭)を用いた以外は実施例3と同様の手順で、粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数をカウントした。3回の試験で粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数の合計を図6に示す。
(実施例6)
クロゴキブリの代わりにチャバネゴキブリ60頭(オス30頭およびメス30頭)を用いた以外は実施例4と同様の手順で、粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数をカウントした。3回の試験で粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数の合計を図6に示す。
(比較例4)
検体7を置かなかった以外は実施例5と同様の手順で、粘着トラップ8に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数をカウントした。3回の試験で粘着トラップ7に捕獲されたチャバネゴキブリの捕獲数の合計を図6に示す。
図6に示すように、検体7(ユーカリ油)を使用した実施例5では138頭のチャバネゴキブリが粘着トラップ8に捕獲され、検体7(ラベンダー油)を使用した実施例6では139頭のチャバネゴキブリが粘着トラップ8に捕獲された。一方、検体7を使用していない比較例4では36頭のチャバネゴキブリしか捕獲されていないことがわかる。このように、ユーカリ油およびラベンダー油の有無によって、チャバネゴキブリの捕獲数がそれぞれ約3.8倍および3.9倍も異なることがわかる。この結果は、チャバネゴキブリが忌避行動を示すことで定着場所を離れて徘徊するため、粘着トラップ8との遭遇頻度が向上し、予測を超える捕獲数となったものである。
(実施例7)
実施例1で使用したパルプマットに200mgのハッカ油を含浸させて、ポリプロピレン製の容器に入れた。この容器の表面に、直径2mmの穴をランダムに9ヶ所開けて揮散口を設け、検体11を得た。ハッカ油の揮散量は0.53mg/L/日であった。
次いで、図7に示すように、3Lのプラスチック製容器12を2個準備した。一方のプラスチック製容器12の底面内部に検体11を設置し(処理区)、残りのプラスチック製容器12には検体を設置しなかった(無処理区)。次いで、ダニの誘引源として200mgの培地13をトレイ14上に2個設置した。次いで、プラスチック製容器12を、プラスチック製容器12の底面が上で開口部が下になるように、それぞれの培地13に被せた。なお、プラスチック製容器12の開口部の四隅には、高さ1mmの塩ビ板片15が貼り付けられており、プラスチック製容器12とトレイ14との間に、ダニの侵入口となる隙間141が形成されている。
次いで、処理区と無処理区との間に、約500頭のヤケヒョウヒダニ16を放ち、試験を開始した。飽和食塩水で調湿したバット14内(75%RH)に入れて25℃で静置した。試験開始から2日後に、処理区および無処理区の培地13内へのダニの侵入数を計測した。得られた侵入数から、下記の式(I)により忌避率を算出した。
忌避率(%)={1−(処理区の侵入数/無処理区の侵入数)}×100 (I)
忌避率を算出したところ、84.6%と高い忌避率を示した。したがって、ハッカ油はダニに対して優れた忌避効果を発揮することがわかる。
1 ファン
2 容器
2a 通気孔
3 担体
4 バット
5 水・固形餌
6 試験ボックス
61 侵入口
7 検体
71 密閉容器
72 開口
8 粘着トラップ
11 検体
12 プラスチック製容器
13 誘引源(培地)
14 トレイ
141 隙間
15 塩ビ板片
16 ダニ(ヤケヒョウヒダニ)

Claims (4)

  1. 閉鎖空間に対して、ハッカ油、ユーカリ油およびラベンダー油からなる群より選択される少なくとも1種の精油を0.01〜10mg/L/日の割合で揮散させることを特徴とする害虫忌避方法。
  2. 忌避した害虫を捕獲するための捕獲手段または駆除するための殺虫手段を、前記空間内または前記空間の周囲にさらに備える請求項1に記載の害虫忌避方法。
  3. 前記精油を収容する容器が、ポリエチレンテレフタレート製である請求項1または2に記載の害虫忌避方法。
  4. ゴキブリ類またはダニ類を忌避する請求項1〜3のいずれかに記載の害虫忌避方法。
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