JP2017101597A - 送風機羽根車 - Google Patents
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Abstract
【課題】前縁剥離を抑制し、さまざまな条件下で、前縁剥離の発生による乱れによる風量性能を悪化や、騒音上昇を抑制する送風機羽根車を提供する。【解決手段】ハブの周囲に放射状に延び出してなる羽根4の円周方向の断面形状において、前縁5を楕円または円形状にして、さらにその後縁6方向に翼型を呈することにより、剥離を極力抑制することができる。そのため、さまざまな条件下で円滑な流れ場を形成して、風量性能が向上でき、さらには低騒音化に繋げることができる。【選択図】図4
Description
本発明は、送風機羽根車に関するものである。
従来技術を以下に示す。図14は従来の送風機羽根車の斜視図である。図15は同送風機羽根車の側面図、図16は同送風機羽根車の正面図、図17および図18は同送風機羽根車の羽根上の等流量ラインA1−A2にほぼ沿った円周方向の断面形状を示したものである。
図14〜図16に示すように、送風機羽根車102は、略円柱状のハブ103に羽根104が複数枚(3枚)備えられている。
羽根104はそれぞれ、風上側である前縁105から風下側の後縁106に向けて位置105M(105M(50%)や、105M(85%))まで厚肉で厚みが変化する翼型形状に形成し、位置105Mより後縁106までは一定の肉厚形状に形成して構成されている。なお、図16に示すように、前縁105の外周側で前方に突出して形成された三角チップ部104aは無視して前縁105を直線と考え、位置105Mを羽根104の内周側から外周側まで同じ比率で形成している。
具体的な断面を図17,図18に示す。図17に示すように、羽根104の前縁105から後縁106までの翼弦長の50%の位置を位置105M(50%)として、位置105M(50%)までの領域において最大肉厚tmaxを有した翼型形状に形成している。また、図18に示すように、羽根104の前縁105から後縁106までの翼弦長の85%の位置を位置105M(85%)として、位置105M(85%)までの領域において最大肉厚tmaxを有した翼型形状に形成している。位置105Mから後縁106まではいずれも一定の肉厚形状(t1=t2)に形成している。
従来技術による送風機羽根車は、ある条件で風量性能が向上し、低騒音化を図ることができる。しかしながら、これらの翼型形状は、前縁剥離を抑制する十分な形状ではない。そのため、通常の条件下では前縁剥離の発生による乱れにより風量性能が悪化し、さらには騒音上昇にも繋がる。また、チップ部近傍を翼型にすると、重量アップに繋がり強度の低下を招く事になる。
本発明は、次の効果を有する送風機羽根車を提供することを目的とする。つまり、さまざまな条件下で、前縁剥離を抑制することができ風量性能の向上と低騒音化を図ることができる。さらに、チップ部近傍を一定肉厚の薄肉にすることにより、軽量化と強度向上を図ることができる。
本発明は、前縁を楕円または円形状にして、さらにその後縁方向に翼型を呈することにより、剥離を極力抑制することができる。そのため、さまざまな条件下で円滑な流れ場を
形成して、風量性能が向上でき、さらには低騒音化に繋げることができる。
形成して、風量性能が向上でき、さらには低騒音化に繋げることができる。
本願発明の送風機羽根車は、送風性能の向上と低騒音化を図ることにより、風量性能が劣化したり乱流騒音が増加したりすることを抑制できる。また、生産性の劣化も抑制することができる。
第1の発明は、外部より回転力を受けて回転駆動されるハブと、前記ハブの周囲に放射状に延び出してなる複数枚の羽根を有し、前記羽根の円周方向の断面形状において、前縁を楕円または円形状にして、さらにその後縁方向に翼型を呈することにより、剥離を極力抑制することができ乱れが減少して風量性能が向上し、さらに流体騒音が低減され低騒音化に繋がる。後縁側においては、羽根が一定な肉厚形状を成しており、安定した成型及び生産が可能となる。
第2の発明は、特に第1の発明において、ハブ近傍辺りは翼形状を呈しており、チップ近傍辺りは一定肉厚を呈しており、翼形状から一定肉厚に徐々に変化する。この形状により、チップ部近傍領域は、薄肉形状により軽量化を図ることができ強度向上を図ることができる。
第3の発明は、特に第1及び第2の発明において、前縁側の翼型形状の最大肉厚となる位置が、羽根の前縁から0%〜20%の位置である。このような形状にすることにより、さらに前縁剥離を抑制することになり、風量性能の向上と低騒音化に繋げることができる。
第4の発明は、特に第1から第3の発明において、羽根の後縁近傍の断面形状を、徐々に薄くなる形状に形成することにより、後縁剥離を抑制することにより、風量性能の向上と低騒音化に繋げることができる。
第5の発明は、特に第1から第4の発明において、羽根の前縁側の翼型形状部分におい
て、ハブとの接合部の羽根の付け根の肉厚を大きく形成したことにより強度アップが図られる。
て、ハブとの接合部の羽根の付け根の肉厚を大きく形成したことにより強度アップが図られる。
以下に本発明の実施の形態を図1から図13までに沿って説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における送風機羽根車の斜視図である。図2は同送風機羽根車の側面図、図3は同送風機羽根車の正面図、図4および図5は同送風機羽根車の羽根において、図3に記載の等流量ラインA1−A2、B1−B2にほぼ沿った円周方向の断面形状を示したものである。
図1は本発明の実施の形態1における送風機羽根車の斜視図である。図2は同送風機羽根車の側面図、図3は同送風機羽根車の正面図、図4および図5は同送風機羽根車の羽根において、図3に記載の等流量ラインA1−A2、B1−B2にほぼ沿った円周方向の断面形状を示したものである。
図1〜図3において、送風機羽根車2は、略円柱状のハブ3に羽根4が複数枚(2枚)備えられている。なお、本実施の形態ではハブを円柱状としたが、これに限定するものではなく、円錐台状のハブとしたり、円柱状と円錐台状とを組み合わせたりしてもよい。
羽根4はそれぞれ、風上側である前縁5と風下側の後縁6とを備えている。また、羽根4は、反ハブ側の端部としてチップ部7を備えている。
図4は、羽根4のハブ側における等流量ラインA1−A2にほぼ沿った、円周方向の断面図である。この位置での羽根4の断面形状について説明する。前縁先端は楕円形状を呈している。その下流方向は翼型が形成されており、後縁付近は肉厚が一定となっている。つまり、前縁5の先端近傍(以下、前縁部15と称する)では、楕円形状である。また、後縁6の近傍(以下、後縁部16と称する)では、肉厚が一定である。そして、前縁部15と後縁部16との間に設けられた中間部17では、前縁部15と後縁部16とをなめらかにつなぐように、厚肉が変化する翼型形状である。
図5は、羽根4の半径方向における中央部の等流量ラインB1−B2にほぼ沿った、円周方向の断面図である。この位置での羽根4の断面形状について説明する。前縁先端は円弧形状を呈している。その下流方向は翼型が形成されており、後縁6付近は肉厚が一定となっている。つまり、前縁部15では、円弧形状である。また、後縁部16では、肉厚が一定である。そして、中間部17では、前縁部15と後縁部16とをなめらかにつなぐように、厚肉が変化する翼型形状である。
つまり、羽根4の半径方向における中央部の円周方向の断面における前縁部15の前縁側は、羽根4の半径方向におけるハブ側の円周方向の断面における前縁部15の前縁側より真円に近い円弧形状である。換言すると、羽根4の半径方向におけるハブ側の円周方向の断面における前縁部15の前縁側は、羽根4の半径方向における中央部の円周方向の断面における前縁部15の前縁側より、羽根4の肉厚方向に偏平した円弧形状である。
図6、図7は、それぞれ、等流量ラインA1−A2にほぼ沿った断面、等流量ラインB1−B2にほぼ沿った断面における、肉厚分布を表した図である。図6に示されるように、等流量ラインA1−A2にほぼ沿った断面では、前縁先端が楕円形状を呈している。その下流方向は翼型が形成されており、後縁付近は肉厚が一定となっている。そして、望ましくは、等流量ラインA1−A2にほぼ沿った断面では、前縁5から後縁6までの羽根4の長さを100%とすると、最大肉厚:Tmaxとなる位置が、羽根4の前縁5から0%〜20%の位置である。より望ましくは、最大肉厚:Tmaxとなる位置が、羽根4の前縁5から18%の位置である。
なお、楕円形状の前縁部15に最大肉厚となる位置がある場合でも、翼型形状の中間部
17に最大肉厚となる位置がある場合でも、最大肉厚となる位置は、羽根の前縁から0%〜20%の位置であることが望ましい。これは、前縁剥離が前縁から0%〜20%の領域で発生する傾向にあるため、それを抑制する働きとなり、乱れの少ない円滑な流れ場を形成でき、送風性能の向上と低騒音化が得られるためである。
17に最大肉厚となる位置がある場合でも、最大肉厚となる位置は、羽根の前縁から0%〜20%の位置であることが望ましい。これは、前縁剥離が前縁から0%〜20%の領域で発生する傾向にあるため、それを抑制する働きとなり、乱れの少ない円滑な流れ場を形成でき、送風性能の向上と低騒音化が得られるためである。
また、図7に示されるように、等流量ラインB1−B2にほぼ沿った断面では、前縁先端が円弧形状を呈している。その下流方向は翼型が形成されており、後縁付近は肉厚が一定となっている。そして、望ましくは、等流量ラインB1−B2にほぼ沿った断面では、前縁5から後縁6までの羽根4の長さを100%とすると、最大肉厚:Tmaxとなる位置が、羽根4の前縁5から0%〜20%の位置である。より望ましくは、最大肉厚:Tmaxとなる位置が、羽根4の前縁5から18%の位置である。
なお、円弧形状の前縁部15に最大肉厚となる位置がある場合でも、翼型形状の中間部17に最大肉厚となる位置がある場合でも、最大肉厚となる位置は、羽根の前縁から0%〜20%の位置であることが望ましい。これは、前縁剥離が前縁から0%〜20%の領域で発生する傾向にあるため、それを抑制する働きとなり、乱れの少ない円滑な流れ場を形成でき、送風性能の向上と低騒音化が得られるためである。
このような形状によって、翼先端での前縁剥離を抑制することができ、乱れの少ない円滑な流れ場を形成することができるため、送風性能の向上と低騒音化が得られる。また、後縁部16の肉厚が、薄肉で一定の肉厚を呈している。これにより、樹脂などによる成型部品の場合、生産性が向上する。また、軽量化にも繋がり回転数に対しての強度アップとなる。
図8は、同送風機羽根車の羽根において、図3に記載の等流量ラインC1−C2にほぼ沿った円周方向の断面図である。図9は、等流量ラインC1−C2のほぼ沿った断面における、肉厚分布を表した図である。チップ部7の近傍においては、下流域の大部分の領域を薄肉で一定の肉厚を呈している。また、上流域においても、ゆるやかな翼形状であり、薄肉の一定肉厚に類似する。より具体的には、図9に示すように、等流量ラインC1−C2にほぼ沿った断面では、前縁5から後縁6までの羽根4の長さの略1/2の領域を薄肉の翼型形状とし、残りの略1/2の領域を一定の肉厚としている。そして、前縁側と後縁側の間の中間部では、翼型形状から一定肉厚に徐々に変化する肉厚としている。
このように、チップ部7の近傍を、薄肉による略一定の肉厚とすることにより、遠心力による負荷が軽減され回転破壊に対しての強度アップとなる。また、成型性が安定して、生産性も向上する。また、ハブ3の近傍の断面形状は翼型を呈しているため、ハブ3近傍の翼型から徐々に変化して性能を確保する。
(実施の形態2)
図10は本発明の実施の形態2における送風機羽根車の正面図である。図11は、同送風機羽根車の羽根において、図10に記載のハブ側における等流量ラインD1−D2にほぼ沿った円周方向の断面図である。
図10は本発明の実施の形態2における送風機羽根車の正面図である。図11は、同送風機羽根車の羽根において、図10に記載のハブ側における等流量ラインD1−D2にほぼ沿った円周方向の断面図である。
本実施の形態では、実施の形態1と異なる点のみ説明する。本実施の形態では、等流量ラインA1−A2にほぼ沿った断面では、羽根4の後縁6近傍の断面形状を、徐々に薄くなる形状に形成する。特に、後縁6の負圧面8側から、徐々に薄くなり圧力面9側に接続する形を成型する。換言すると、等流量ラインA1−A2にほぼ沿った断面では、圧力面9は略平面である。または、圧力面9は、曲率が負圧面8の曲率より大きい面である。
このような形状にすることにより、後縁剥離が抑制され風量性能の向上と低騒音化に繋
げることができる。
げることができる。
(実施の形態3)
図12、図13は、本発明の実施の形態3における送風機羽根車の斜視図、側面図である。本実施の形態では、実施の形態1または2と異なる点のみ説明する。本実施の形態では、図12、図13に示すように、羽根4の翼型形状に形成された部分のハブ3への付け根部分4bの肉厚を大きくする。羽根4の前縁5の付け根部分4bは、送風機羽根車2の回転によって羽根4に大きな遠心力が加わった時に、最も破壊を起こし易い部分である。従って、付け根部分4bの肉厚を大きくして補強することによって、翼型にすることによる重量増加、すなわち回転時の遠心力の増大による破壊を抑制することができる。
図12、図13は、本発明の実施の形態3における送風機羽根車の斜視図、側面図である。本実施の形態では、実施の形態1または2と異なる点のみ説明する。本実施の形態では、図12、図13に示すように、羽根4の翼型形状に形成された部分のハブ3への付け根部分4bの肉厚を大きくする。羽根4の前縁5の付け根部分4bは、送風機羽根車2の回転によって羽根4に大きな遠心力が加わった時に、最も破壊を起こし易い部分である。従って、付け根部分4bの肉厚を大きくして補強することによって、翼型にすることによる重量増加、すなわち回転時の遠心力の増大による破壊を抑制することができる。
なお、羽根4の付け根部分4bの補強については、図12、図13のように前縁5近傍だけでも大きな効果が得られるが、付け根部分4b全体を補強しても良い。
以上のように、本発明にかかる送風機羽根車は、斜流送風機及び軸流送風機の送風機羽根車において、羽根の前縁先端を楕円または円形状にして、さらにその後縁方向に翼型を呈することにより、送風性能の向上と乱流騒音の低減が図れる。また、後縁部の肉厚が、薄肉で一定の肉厚を呈している。これにより、樹脂などによる成型部品の場合、生産性が向上する。また、軽量化にも繋がり回転数に対しての強度アップとなる。さらに、荷重が大きくかかる箇所のみの強度アップにより、軽くて強い斜流型羽根車等の用途に適用することができる。
以上のように、本発明にかかる送風機羽根車は、送風性能の向上と乱流騒音の低減が図れる。また、生産性が向上する。また、軽量化にも繋がり回転数に対しての強度アップとなる。このため、斜流型羽根車や軸流型羽根車等の用途に適用することができる。そして、このような斜流型羽根車や軸流型羽根車等は、家庭用の空気調和機や、業務用の空気調和機の送風機として適用することができる。
2、102 送風機羽根車
3、103 ハブ
4、104 羽根
104a 三角チップ部
4b 付け根部分
5、105 前縁
6、106 後縁
7 チップ部
8 負圧面
9 圧力面
15 前縁部
16 後縁部
17 中間部
3、103 ハブ
4、104 羽根
104a 三角チップ部
4b 付け根部分
5、105 前縁
6、106 後縁
7 チップ部
8 負圧面
9 圧力面
15 前縁部
16 後縁部
17 中間部
Claims (5)
- 外部より回転力を受けて回転駆動されるハブと、前記ハブの周囲に放射状に延び出してなる複数枚の羽根を有し、前記羽根の円周方向の断面形状は、前記ハブ側では、前縁側は翼型形状であり、前記前縁側の先端部は楕円形状であり、後縁側は一定肉厚であって、前記羽根の半径方向における中央部では、前縁側は翼型形状であり、前記前縁側の先端部は円弧形状であり、後縁側を一定肉厚である送風機羽根車。
- 前記羽根の円周方向の断面形状において、チップ部近傍では、前縁側は翼型形状であり、後縁側は一定肉厚であり、中間部は前記翼型形状から一定肉厚に徐々に変化する形状である請求項1に記載の送風機羽根車。
- 前記羽根は、前縁から前記後縁までの円周方向における長さを100%とすると、最大肉厚となる位置が、前記前縁から0%〜20%の位置である請求項1または2に記載の送風機羽根車。
- 前記羽根の円周方向の断面形状は、後縁近傍では、徐々に薄くなる形状である請求項1から3のいずれか一項に記載の送風機羽根車。
- 前記ハブと前記羽根の接合部近傍では、前縁側の肉厚が後縁側の肉厚より大きい請求項1から4のいずれか一項に記載の送風機羽根車。
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