JP2017101276A - 硫化剤の除去方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来よりも効率的に、大量の溶液から希薄な硫化水素等の硫化剤を効果的に除去する硫化剤の除去方法を提供する。【解決手段】本発明に係る硫化剤の除去方法は、ニッケルを含有する溶液に硫化剤を添加し、該ニッケルを硫化して硫化物と硫化後液とに分離する処理で得られた該硫化後液に残存する硫化剤を除去する方法であって、前記硫化後液に対して、鉄化合物を添加するとともに、濃度が0.05規定以上36規定以下の硫酸溶液を、該硫化後液のpHが0以上3.0以下となるように添加して、硫黄を生成させて回収する。【選択図】図2

Description

本発明は、溶液中に溶存する硫化水素ガス等の硫化剤を除去する方法に関する。
低ニッケル品位のニッケル酸化鉱石からニッケルやコバルト等の有価物を効率よく回収する方法として、例えば特許文献1に開示されているように、高圧酸浸出(HPAL)プロセスと呼ばれる方法がある。この方法は、ニッケル酸化鉱石からニッケルを回収する高温加圧浸出に基づく湿式製錬方法であって、浸出工程と固液分離工程の簡素化、中和工程での中和剤消費量及び澱物量の削減、さらに効率的な水の繰り返し使用等によって、プロセス全体として簡素でかつ高効率な製錬方法を提供するものである。
具体的に、この湿式製錬方法は、ニッケル酸化鉱石のスラリーに硫酸を添加し、220℃〜280℃の高温下で加圧しながら撹拌処理して浸出スラリーを形成する浸出工程と、浸出スラリーを多段洗浄してニッケル及びコバルトを含む浸出液と浸出残渣を得る固液分離工程と、浸出液に対して中和剤を添加して3価の鉄を含む中和澱物スラリーとニッケル回収用母液とを形成する中和工程と、母液に硫化剤を添加してニッケル及びコバルトを含む硫化物と貧液とを形成する硫化工程とを有する。
このようなHPALプロセスによるニッケル酸化鉱石の製錬方法では、硫酸酸性溶液からニッケルやコバルトを回収するために、中和工程では消石灰や石灰石等のアルカリを添加してpHを調整することで不純物の大部分を分離することができ、次いで、硫化水素ガス等の硫化剤を添加してニッケルやコバルトの硫化物を析出させて硫化後液と分離し、効率的にニッケルやコバルトを回収することができる。そして、硫化工程での硫化処理後に得られる硫化後液に対しては、中和剤をさらに添加することによって、マンガン等の不純物が分離除去され、その後中和後排水として放流される。
このとき、硫化後液の中には硫化処理に用いた硫化剤が残存することがあり、これを除去しなければ放流することができなくなる。
硫酸溶液中に溶存する硫化水素等の硫化剤を除去する方法としては、従来から様々な方法が採用されている。具体的な方法としては、例えば、硫酸溶液に対するエアレーションにより曝気する方法や、減圧により曝気する方法、酸化剤により硫化水素を酸化して硫酸塩として固定する方法、さらには、硫酸溶液の酸濃度を上昇させて硫化水素の溶解度を低下させる方法等が挙げられる。
しかしながら、これらの方法では、完全に硫酸溶液から硫化水素を分離することは難しく、また設備コストあるいは操業資材コストといった費用がかさむ問題もあった。
具体的には、エアレーションにより曝気する方法ではブロワー等の設備が必要となり、減圧して曝気する方法では密閉式の反応槽と減圧ポンプ等が必要となる。また、過酸化水素等の酸化剤を添加して固定化する方法では、酸化剤の取り扱いや保管に安全上の注意が必要であるとともに、酸化剤自体が高価であるため操業コストが高まる。また、硫酸溶液の酸濃度を調整するには、添加する硫酸の使用量が多くなる。
さらに、これらの多くの処理では、硫化水素の溶解度を低減させるために、基本的には硫化水素ガスがさらに発生してしまうことから、発生した硫化水素ガスを除害するために、苛性ソーダ等のアルカリによる排ガス処理設備(スクラバー)等を設置することも必要となる。
また、特許文献2には、溶液中に溶存した硫化水素を、鉄イオンと硫酸とを用いて分解する技術が示されている。この方法は、硫化水素が溶存する溶液から、その硫化水素を簡単かつ経済的に酸化固定して除去する方法であって、具体的には、硫化水素を含む溶液中に3価のFe化合物を添加し、pHを3以下、酸化還元電位(ORP)を0mV(Ag/AgCl電極基準)以上として、硫化水素と3価のFe化合物とを反応させることで、溶液に溶存する硫化水素を硫黄の形態に固定化するというものである。なお、Fe化合物としては、水酸化鉄であって、その溶液中濃度がFe量にして1g/L以上となるようにすることが好ましいとしている。
この特許文献2に示す方法では、溶液中の硫化水素を効率的に除去することができるものの、多量の鉄を添加する必要があり、また、添加する硫酸を用意する手間やコストがかかるといった問題がある。
これらの方法は、通常の工場における除害塔等の小規模設備では工業的に実施可能であるが、一方で、上述したニッケル酸化鉱石からHPAL法によりニッケルやコバルトを浸出した後に硫化することで回収するプロセスでは、大量の硫酸溶液を取り扱う必要があるため、その大量の硫酸溶液から希薄な溶存硫化水素を除去するという作業が必要となる。
このため、より効率的に、また低コストに、大量の溶液から希薄な硫化水素等の硫化剤を効果的に除去する方法が必要とされている。
特開2005−350766号公報 特開2004−89915号公報
本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、従来よりも効率的に、大量の溶液から希薄な硫化水素等の硫化剤を効果的に除去する硫化剤の除去方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、硫化剤が溶存した硫化後液に対して、鉄化合物を添加するとともに、硫酸溶液を添加して溶液のpHを所定の範囲に調整することで、硫化後液中の硫化剤を固体の硫黄として生成させて回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1)本発明の第1の発明は、ニッケルを含有する溶液に硫化剤を添加し、該ニッケルを硫化して硫化物と硫化後液とに分離する処理で得られた該硫化後液に残存する硫化剤を除去する方法であって、前記硫化後液に対して、鉄化合物を添加するとともに、濃度が0.05規定以上36規定以下の硫酸溶液を、該硫化後液のpHが0以上3.0以下となるように添加して、硫黄を生成させて回収する硫化剤の除去方法である。
(2)本発明の第2の発明は、第1の発明において、前記ニッケルを含有する溶液は、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で酸浸出して得られた浸出液である、硫化剤の除去方法である。
(3)本発明の第3の発明は、第1の発明において、前記鉄化合物として、鉄が3価の形態で存在する鉄化合物を用いる、硫化剤の除去方法である。
(4)本発明の第4の発明は、第1の発明において、前記鉄化合物として、鉄が2価の形態で存在する鉄化合物を添加し、さらにその硫化後液に酸化剤を添加して、前記鉄化合物の鉄を3価の形態に酸化する、硫化剤の除去方法である。
(5)本発明の第5の発明は、第1の発明において、前記鉄化合物として、前記硫黄を回収した後の溶液に酸化剤とアルカリとを添加して得られる澱物を用いる、硫化剤の除去方法である。
(6)本発明の第6の発明は、第1の発明において、前記鉄化合物として、水酸化鉄を用い、前記硫化後液中の鉄濃度が0.5g/L以上3.0g/L以下となるように添加する、硫化剤の除去方法である。
(7)本発明の第7の発明は、第1の発明において、前記ニッケルを含有する溶液は、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で酸浸出して得られた浸出液であり、前記鉄化合物として、前記ニッケル酸化鉱石を酸浸出して生成した浸出残渣を用い、前記硫化後液中の鉄濃度が15g/L以上20g/L以下となるように添加する、硫化剤の除去方法である。
(8)本発明の第8の発明は、第1の発明において、前記ニッケルを含有する溶液は、スカンジウムを含有するニッケル酸化鉱を高温高圧下で酸浸出して得られた浸出液であり、前記硫酸溶液として、前記硫化後液をキレート樹脂に通液した後に、該キレート樹脂に通液して排出された硫酸溶液を用いる、硫化剤の除去方法である。
(9)本発明の第9の発明は、第1乃至第8のいずれかの発明において、前記硫化剤は、硫化水素ガスである、硫化剤の除去方法である。
本発明によれば、従来よりも効率的に、大量の溶液から希薄な硫化水素等の硫化剤を効果的に除去することができる。
また、例えば、鉄化合物として、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにて生成した浸出残渣を用いることで、また硫酸溶液として、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスで得られた硫化後液を用いてスカンジウムを回収するプロセスで排出された硫酸溶液を用いることで、処理コストの増加を防ぎながら、プロセス全体として極めて効率的に操業を行うことができる。
ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れの一例を示す図である。 硫化剤の除去方法を含めた一連の流れを示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施の形態」という)について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。なお、本明細書にて、「X〜Y」(X、Yは任意の数値)との表記は、「X以上Y以下」の意味である。
≪1.概要≫
本実施の形態に係る硫化剤の除去方法は、硫酸酸性溶液等の溶液から、溶存している硫化水素ガス等の硫化剤を除去する方法である。具体的には、ニッケルを含有する溶液に硫化剤を添加し、そのニッケルを硫化して硫化物と硫化後液とに分離する処理で得られた硫化後液に残存する硫化剤を除去する方法である。
そして、この硫化剤の除去方法では、硫化剤が溶存した硫化後液に対して、鉄化合物を添加するとともに、濃度が0.05規定以上36規定以下の硫酸溶液を、その硫化後液のpHが0以上3.0以下となるように添加することを特徴としている。
<ニッケルを含有する溶液に対する硫化処理>
ここで、その硫化後液に残存する硫化剤の除去方法についての詳細説明に先立ち、ニッケルを含有する溶液に対して硫化剤を添加し、ニッケルを硫化して硫化物と硫化後液とを生成させる処理について説明する。
例えば、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいては、原料のニッケル酸化鉱石のスラリーに対して高温高圧下で硫酸等の酸を用いた浸出処理を施し、得られた浸出液に対して中和処理を行って不純物を除去した後、その浸出液に硫化水素ガス等の硫化剤を添加して硫化させることでニッケルを含む硫化物を生成させる。
より具体的に、図1は、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスの流れを示す工程図である。この湿式製錬プロセスは、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で硫酸等により浸出して浸出液を得る浸出工程S11と、浸出液に中和剤を添加して不純物を含む中和澱物と中和後液とを得る中和工程S12と、中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る硫化工程S13とを有する。さらに、この湿式製錬プロセスでは、浸出工程S11にて生成した浸出残渣や、硫化工程S13にて排出された硫化後液を回収して無害化する最終中和工程S14を有する。本実施の形態に係る硫化剤の除去方法においては、例えば、このようなニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにより得られる硫化後液を処理対象とし、その硫化後液に残存する硫化剤を除去する。
(1)浸出工程
浸出工程S11は、例えば高温加圧容器(オートクレーブ)等を用いて、ニッケル酸化鉱のスラリーに硫酸等の酸を添加して220℃〜280℃の温度下で加圧しながら撹拌処理を施し、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを形成する工程である。
ここで、ニッケル酸化鉱としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱が挙げられる。ラテライト鉱のニッケル含有量は、通常、0.8〜2.5重量%であり、水酸化物又はケイ苦土(ケイ酸マグネシウム)鉱物として含有される。また、これらのニッケル酸化鉱には、スカンジウムが含まれている。
浸出工程S11では、得られた浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーを洗浄しながら、ニッケルやコバルト、スカンジウム等を含む浸出液と、ヘマタイトである浸出残渣とに固液分離する。この固液分離処理では、例えば、浸出スラリーを洗浄液と混合した後、凝集剤供給設備等から供給される凝集剤を用いて、シックナー等の固液分離設備により固液分離処理を施す。具体的には、先ず、浸出スラリーが洗浄液により希釈され、次に、スラリー中の浸出残渣がシックナーの沈降物として濃縮される。
(2)中和工程
中和工程S12は、上述した浸出工程S11により得られた浸出液に中和剤を添加してpHを調整し、不純物元素を含む中和澱物と中和後液とを得る工程である。この中和工程S12における中和処理により、ニッケルやコバルト、スカンジウム等の有価金属は中和後液に含まれるようになり、鉄、アルミニウム等の不純物の大部分が中和澱物となる。
中和剤としては、従来公知のもの使用することができ、例えば、炭酸カルシウム、消石灰、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
中和工程S12における中和処理では、分離された浸出液の酸化を抑制しながら、pHを1〜4の範囲に調整することが好ましく、pHを1.5〜2.5の範囲に調整することがより好ましい。pHが1未満であると、中和が不十分となり中和澱物と中和後液とに分離できない可能性がある。一方で、pHが4を超えると、アルミニウム等の不純物のみならず、ニッケルやスカンジウム等の有価金属も中和澱物に含まれる可能性がある。
(3)硫化工程
硫化工程S13は、上述した中和工程S12により得られた中和後液に硫化剤を添加してニッケル硫化物と硫化後液とを得る工程である。この硫化工程S13における硫化処理により、ニッケル、コバルト、亜鉛等は硫化物となり、スカンジウム等は硫化後液に含まれることになる。
具体的に、硫化工程S13では、得られた中和後液に対して硫化剤を添加し、中和後液に含まれるニッケル等を硫化物の形態に硫化させる硫化反応を生じさせる。これにより、不純物成分の少ないニッケル及びコバルトを含む硫化物(ニッケル・コバルト混合硫化物)と、ニッケル濃度を低い水準で安定させた硫化後液とを生成させる。
硫化剤としては、例えば、硫化水素ガス、硫化ナトリウム、水素化硫化ナトリウム等を用いることができるが、その中でも、硫化水素ガスを用いることが、取扱い容易さやコスト等の点で特に好ましい。
この硫化処理では、ニッケル・コバルト混合硫化物のスラリーをシックナー等の沈降分離装置を用いて沈降分離処理してニッケル・コバルト混合硫化物をシックナーの底部より分離回収する一方で、水溶液成分である硫化後液はオーバーフローさせて回収する。
(4)最終中和工程
最終中和工程S14では、上述した硫化工程S13にて生成した硫化後液、すなわち、鉄、マグネシウム、マンガン等の不純物元素を含む硫化後液に対して、排出基準を満たす所定のpH範囲に調整する中和処理(無害化処理)を施す。また、この最終中和工程S14では、浸出工程S11にて生成した浸出残渣も併せて処理することもできる。
最終中和工程S14における無害化処理の方法、すなわちpHの調整方法としては、特に限定されないが、例えば炭酸カルシウム(石灰石)スラリーや水酸化カルシウム(消石灰)スラリー等の中和剤を添加することによって所定の範囲に調整することができる。
なお、この最終中和工程S14における中和処理では、硫化後液に含まれていた鉄が水酸化鉄(Fe(OH))の形態で固定化されて分離される。
≪2.硫化剤の除去方法の詳細説明≫
さて、このニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、硫化工程S13での硫化処理を経て生成した硫化後液には、硫化反応を生じさせるために添加した硫化剤が残存していることがある。硫化処理で生成した硫化後液は、上述したように最終中和工程S14に移送されて、その溶液に対する無害化処理が施されることによってマグネシウム、マンガン等の成分が除去され、排水基準を満たした状態で系外に排出される。しかしながら、硫化後液に硫化剤が残存している場合には、その硫化剤についての除去処理を行わなければ、系外に放流することができない。
本実施の形態に係る硫化剤の除去方法においては、硫化剤が溶存する硫化後液に対して、鉄化合物を添加するとともに、濃度が0.05規定(N)以上36規定(N)以下の硫酸溶液を、硫化後液のpHが0以上3.0以下となるように添加し、これによって、硫化後液中に硫黄を析出生成させて回収する。つまり、溶存している硫化水素等の硫化剤を、固体の硫黄として固定化して回収し、その硫化後液から除去する。
図2は、硫化剤の除去方法を含めた一連の流れを示す図である。この図2に示すように、硫化剤の除去処理の対象となる硫化後液は、上述したようなニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスで生成した浸出液等のニッケル含有溶液に対して硫化水素ガス等の硫化剤を用いて硫化し(硫化処理)、得られたニッケルの硫化物を固液分離することによって得ることができる。そして、硫化剤の除去処理では、その硫化後液に対して鉄化合物を添加するとともに、硫酸溶液を添加してpHを所定の範囲とすることで、硫化後液中の硫化剤を硫黄(S)として分離回収する。なお、この図2では、硫化後液に添加する硫酸溶液として、スカンジウム回収プロセスから排出された希釈硫酸を用いる態様の例を示している。
より具体的に、この硫化剤の除去方法では、硫化剤が溶存する硫化後液に対して、上述した鉄濃度となるように鉄化合物を添加した上で、酸化還元電位(ORP)を0mV(銀/塩化銀電極基準)以上とし、それとともに、この溶液のpHが0以上3.0以下であって、上述した硫酸濃度となるように硫酸を添加する。
この硫化剤の除去方法では、硫化後液に溶解した3価の鉄化合物を利用して、硫化後液中に溶存する硫化水素を酸化固定して、大気中に有毒である硫化水素ガスを放出することなく、硫黄として固定除去するものであり、例えば下記反応式に示すような反応が生じる。なお、この反応式に示す反応例では、硫化剤として硫化水素(HS)ガスを用い、鉄化合物として3価の鉄を含有する水酸化鉄を用いた場合のものを示す。
2Fe(OH)+3HSO ⇒ Fe(SO+6H
Fe(SO+HS ⇒ 2FeSO+HSO+S
なお、ここでいう「固定」とは、化合物を安定な形態に変換することであり、本実施の形態に係る硫化剤の除去方法では、硫化水素ガス等の硫化剤が、反応によって担体の硫黄(S)という安定した形態に変換され、この単体の硫黄が沈殿生成して除去される。
硫化後液に鉄化合物と硫酸溶液とを添加して反応させたときの酸化還元電位(ORP)としては、銀/塩化銀電極を参照電極としたときの測定値で0mV以上であることが必要である。この反応時の酸化還元電位は、反応の進行状況を示しており、酸化還元電位が0mVよりも小さいと、上述したような硫化剤の固定反応が進まない。なお、酸化還元電位は、添加する鉄化合物の量により制御することができる。
また、この鉄化合物と硫酸溶液を添加して生じさせる反応の反応時間としては、処理量によって適宜調整することが好ましいが、30分以上とすることが好ましく、これによりほぼ完全に硫化剤を固定除去することができる。
[鉄化合物]
鉄化合物としては、鉄が3価の形態で存在する鉄化合物を用いることが好ましく、反応性に優れる水酸化鉄を用いることが特に好ましい。また、鉄化合物としては、鉄が2価の形態で存在する鉄化合物を用いてもよく、この場合、硫化後液に2価の鉄を含有する鉄化合物を添加した後、例えば空気等の酸化剤を溶液中に添加して、3価の形態に酸化する。ただし、このような添加後の酸化処理が不要になるという観点から、鉄が3価の形態で存在する鉄化合物を用いることがより好ましい。
鉄化合物として、例えば水酸化鉄を用いた場合の添加量としては、硫化後液中の鉄濃度が0.5g/L以上3.0g/L以下の範囲となるように添加する。また、好ましくは、鉄濃度が1.0g/L以上2.0g/L以下の範囲となるように添加する。溶液中の鉄濃度が0.5g/L未満となるような添加量では、硫化後液中に溶存する硫化剤を十分に硫黄として固定化することができない。一方で、溶液中の鉄濃度が3.0g/Lを超えるように添加すると、それ以上に硫化剤を固定化する効果は向上せず、後の排水処理等において澱物量が増加してしまい、効率的な操業を行うことができない。
また、鉄化合物として、上述したニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける浸出工程S11で生成した浸出残渣を用いることができる。すなわち、ニッケル酸化鉱石のスラリーに対して、高温高圧の条件下で、硫酸等を用いて酸浸出して生成した浸出スラリーから固液分離して得られる浸出残渣を用いることができる。この浸出残渣は、主成分がヘマタイト(Fe)であり、3価の鉄を含有する鉄化合物である。
ここで、ヘマタイトは、水酸化鉄に比べて安定的な化合物であり、反応性が劣る。そのため、ヘマタイトの添加量(添加するヘマタイトの物量)としては、上述した水酸化鉄よりも多く添加することを要し、また後述する硫酸溶液も過剰に添加して、溶液のpHを、水酸化鉄を鉄化合物として添加する場合よりも低下させることが必要となる。具体的に、水酸化鉄であってもヘマタイトであっても、硫化後液中の鉄量で一定以上の割合で含有させることで、溶液中の硫化剤を固定化できるものの、その鉄化合物と共に添加する硫酸溶液の濃度で比較した場合、水酸化鉄の場合には、溶液中の鉄量で0.5g/L以上の割合となるように添加すれば、0.05Nのような希薄な硫酸溶液であっても、あるいは36N程度の濃硫酸溶液であっても、効果的に硫化剤を固定することができる。ところが、ヘマタイトを用いた場合には、溶液中の鉄量が15g/L以上20g/L以下程度の範囲となるように添加することが必要となる。
そのほか、鉄化合物としては、同様のニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける最終中和工程S14を経て生成した鉄の沈殿物(鉄澱物)を用いることができる。最終中和工程S14では、上述したように、鉄やマグネシウム、マンガン等の不純物を含む硫化後液に対して、炭酸カルシウムや消石灰等の中和剤による中和処理が施され、例えばその硫化後液に含まれる鉄は、鉄澱物(主として水酸化鉄の形態)として分離除去される。このような中和処理で生成した鉄澱物を回収し、その鉄澱物を鉄化合物として使用することができる。なお、最終中和工程S14としては、硫化後液に対する硫化剤の除去処理を行った後に設けることができる。
このように、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスを経て生成した硫化後液に対して硫化剤の除去処理を施すにあたり、同じプロセスの上流過程の浸出工程S11で生成した浸出残渣や、最終中和工程S14で生成した鉄澱物を処理原料として用いることによって、新規の鉄化合物を用意する必要がなくなり、処理コストの増加を防ぎながら、プロセス全体として極めて効率的な操業を行うことが可能となる。また、従来では処分するしかなかったものを再度有効に活用することができるという利点もある。
[硫酸溶液]
硫酸溶液としては、濃度が高い濃硫酸を用いることが好ましいと考えられるが、その濃度は特に限定されない。ただし、極端に濃度の低い硫酸溶液の場合には、硫化剤を硫黄として固定化させる上述した反応の時間が長くなる。また、低濃度の硫酸溶液を用いると、その添加する硫酸量が多くなり、タンクやポンプ等の設備が必然的に大きくなる。
具体的に、硫酸溶液としては、濃度が0.05N以上とすることが好ましい。なお、硫酸の濃度の上限値としては、特に限定されず、例えば36N以下程度のものを用いることができる。
硫酸溶液の添加量としては、使用する硫酸の濃度によってその液量は異なるが、硫化後液のpHが0以上3.0以下の範囲となるように添加し、好ましくは1.0以上3.0以下の範囲、より好ましくは1.0以上1.8以下の範囲となるように添加する。このように硫酸溶液の添加によって硫化後液のpHを0以上3以下の範囲となるように調整することで、添加した鉄の溶解を促進して、反応速度を増加させることができる。
なお、例えば硫酸濃度を上昇させることによって、硫化後液のpHを低下させても反応させることは可能であるが、pHが0未満にまで低下すると溶液の酸性が強くなりすぎ、硫化水素の溶解度が低下してしまう。
ここで、硫酸溶液としては、図2の工程図の一例に示すように、例えばニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおける硫化工程S13で生成した硫化後液を原料として、その硫化後液に含まれるスカンジウムを回収するプロセス(スカンジウム回収プロセス)で排出される硫酸溶液を用いることができる。
スカンジウム回収プロセスは、スカンジウムを含有する硫化後液を原料として、目的金属であるスカンジウムを精製回収するものである。具体的には、例えば、硫化後液に対してキレート樹脂を用いたイオン交換等の処理を施すことで不純物元素を大まかに分離し、そのイオン交換処理から得られたスカンジウム含有溶液(スカンジウム溶離液)に対して溶媒抽出処理等を施して濃縮し、得られた溶液からスカンジウムを酸化スカンジウム等の形態で回収するプロセスである。
スカンジウム回収プロセスでは、微量かつ低濃度なスカンジウムを回収するために、上述したように、キレート樹脂にスカンジウムを吸着させて濃縮する操作が行われるが、このとき、キレート樹脂に吸着したスカンジウムを溶離させる操作や、キレート樹脂を洗浄する操作に際して、硫酸溶液(希釈硫酸溶液)が用いられる。このような操作を経て排出される硫酸溶液は、従来では廃棄するしかなかった。ところが、例えばキレート樹脂の洗浄に用いた洗浄後の硫酸溶液は、濃度が0.5N程度であり、3価の形態で存在する鉄が0.05g/L〜0.15g/L程度の割合で含まれている。
このことから、スカンジウム回収プロセスから排出される硫酸溶液を回収し、硫化後液に含まれる硫化剤の除去処理の処理原料として用いることで、新規の硫酸溶液を用意する必要がなくなり、処理コストの増加を防ぎながら、プロセス全体として極めて効率的な操業を行うことが可能となる。また、従来では処分するしかなかった硫酸溶液を再度有効に活用することができるという利点もある。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
図1のニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスに示すように、ニッケル酸化鉱石のスラリーをオートクレーブに装入し、高温高圧下で硫酸を用いて浸出処理を施すことによって浸出液と浸出残渣(ヘマタイト,Fe)とを含有する浸出スラリーを得て(浸出工程)、固液分離して得られた浸出液(ニッケルを含有する溶液)に硫化剤として硫化水素ガスを添加して硫化処理を行った(硫化工程)。この硫化工程における硫化反応により、浸出液中のニッケルが硫化されて硫化物が生成した。生成した硫化物は、硫化処理後のスラリーをシックナーにより固液分離して回収した。
一方、硫化物を分離回収した後の硫酸酸性溶液、つまり硫化後液を、別途回収して分析したところ、硫化処理に用いた硫化水素が残存していた。下記表1に、溶存していた硫化水素の濃度、pH、及び酸化還元電位(ORP)の測定値を示す。
Figure 2017101276
そこで、硫化後液に溶存する硫化剤を除去する処理を行った。硫化剤の除去処理では、硫化後液に対して鉄化合物と希釈硫酸とを添加し、硫化後液に溶存する硫化水素を硫黄として固定化することによって、硫化剤を除去した。
より具体的には、硫酸酸性溶液である硫化後液500mLを1リットルのビーカーに入れ、鉄化合物として3価の鉄を含む水酸化鉄(Fe(OH))(水分率40%、鉄品位10%)を、溶液中の鉄濃度が0.5g/Lとなるように添加した。次いで、その溶液に、濃度36Nの硫酸を希釈して濃度5Nに調整した硫酸溶液を添加し、溶液のpHが1.0〜2.0の範囲(平均1.6)となるように調整した。
ここで、鉄化合物としては、上述したニッケル酸化鉱石の湿式製錬プロセスにおいて、硫化処理後に生成した硫化後液に対して無害化処理(最終中和工程)を行うことで生成した水酸化鉄を回収して使用した。
また、硫酸溶液としては、硫化処理後の硫化後液を用いたスカンジウムの回収プロセスで生成した硫酸溶液を用いた。すなわち、硫化後液をキレート樹脂に通液した後に、そのキレート樹脂に通液して排出された硫酸溶液を用いた。
そして、エアーを巻き込まないようにシールした構造の反応槽に入れ、スターラーで撹拌しながら、反応槽の設定温度を55℃として50℃〜60℃の反応温度に維持しつつ、30分間反応させた。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、分析下限である1mg/L未満となっており、硫化剤として用いた硫化水素は除去されていた。
[実施例2]
実施例2では、硫化後液に添加する硫酸溶液として、希釈して濃度10Nに調製した硫酸溶液を添加したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、分析下限である1mg/L未満となっており、硫化剤として用いた硫化水素は除去されていた。
[実施例3]
実施例3では、硫化後液に添加する硫酸溶液として、希釈して濃度0.1Nに調製した硫酸溶液を添加したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、分析下限である1mg/L未満となっており、硫化剤として用いた硫化水素は除去されていた。
[実施例4]
実施例4では、硫化後液に添加する硫酸溶液として、希釈して濃度0.05Nに調製した硫酸溶液を添加したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、分析下限である1mg/L未満となっており、硫化剤として用いた硫化水素は除去されていた。
[実施例5]
実施例5では、3価の水酸化鉄を、溶液中の鉄濃度が1.0g/Lとなるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、分析下限である1mg/L未満となっており、硫化剤として用いた硫化水素は除去されていた。
[実施例6]
実施例6では、硫化後液に添加する硫酸溶液として、希釈せずに濃度36Nの濃硫酸を添加したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、分析下限である1mg/L未満となっており、硫化剤として用いた硫化水素は除去されていた。
[実施例7、実施例8]
鉄化合物として、上述した湿式製錬プロセスにおける浸出工程で生成したヘマタイト(水分率30%、鉄品位50%)を用い、硫化後液中の鉄濃度が17g/Lとなるように添加した。次いで、その溶液に、濃度36Nの硫酸を希釈して濃度5N(実施例7)、濃度0.01N(実施例8)にそれぞれ調整した硫酸溶液を添加した。
そして、エアーを巻き込まないようにシールした構造の反応槽に入れ、スターラーで撹拌しながら、反応温度を50℃〜60℃に、反応pHを1.0〜2.0の範囲に維持しながら30分間反応させた。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、それぞれの濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、実施例7、実施例8のそれぞれにおいて、分析下限である1mg/L未満となっており、硫化剤として用いた硫化水素は除去されていた。
[実施例9]
鉄化合物として、2価の形態の水酸化鉄(Fe(OH))を硫化後液に添加し、さらにその硫化後液にエアーを吹き込みながら撹拌することで鉄イオンを3価に酸化して反応させたこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、分析下限である1mg/L未満となっており、硫化剤として用いた硫化水素は除去されていた。
[比較例1]
比較例1では、硫化後液に添加する硫酸溶液として、希釈して濃度0.05Nに調製した硫酸溶液を添加したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、溶液中には硫化水素が5mg/Lの割合で残留した。
[比較例2]
比較例2では、鉄化合物として、湿式製錬プロセスにおける浸出工程で生成したヘマタイトを用い、硫化後液中の鉄濃度が10g/Lとなるように添加した。また、硫酸溶液として、希釈して濃度5Nに調製した硫酸溶液を添加した。これらのこと以外は、実施例7と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、溶液中には硫化水素が10mg/Lの割合で残留した。
[比較例3]
比較例3では、3価の水酸化鉄を溶液中の鉄濃度が0.1g/Lとなるように添加し、硫化後液に添加する硫酸溶液として、希釈せずに濃度36Nの濃硫酸を添加したこと以外は、実施例1と同様にして処理した。
反応終了後、濾過処理を施して濾液を採取し、その濾液中の硫化水素濃度を測定した。表2に測定結果を示すが、溶液中には硫化水素が5mg/Lの割合で残留した。
Figure 2017101276
このように、反応時の酸化還元電位を制御し、必要な反応時間を確保した上で、任意の鉄化合物を添加するとともに、0.05N以上36N以下の濃度の硫酸溶液を添加することで、硫化剤である硫化水素を効果的に固定除去することができる。一方で、添加する鉄化合物に由来する鉄濃度が少ない場合には、硫酸溶液の濃度に関係なく、有効に硫化水素を固定することが困難となることが分かる。

Claims (9)

  1. ニッケルを含有する溶液に硫化剤を添加し、該ニッケルを硫化して硫化物と硫化後液とに分離する処理で得られた該硫化後液に残存する硫化剤を除去する方法であって、
    前記硫化後液に対して、鉄化合物を添加するとともに、濃度が0.05規定以上36規定以下の硫酸溶液を、該硫化後液のpHが0以上3.0以下となるように添加して、硫黄を生成させて回収する
    硫化剤の除去方法。
  2. 前記ニッケルを含有する溶液は、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で酸浸出して得られた浸出液である
    請求項1に記載の硫化剤の除去方法。
  3. 前記鉄化合物として、鉄が3価の形態で存在する鉄化合物を用いる
    請求項1に記載の硫化剤の除去方法。
  4. 前記鉄化合物として、鉄が2価の形態で存在する鉄化合物を添加し、
    さらにその硫化後液に酸化剤を添加して、前記鉄化合物の鉄を3価の形態に酸化する
    請求項1に記載の硫化剤の除去方法。
  5. 前記鉄化合物として、前記硫黄を回収した後の溶液に酸化剤とアルカリとを添加して得られる澱物を用いる
    請求項1に記載の硫化剤の除去方法。
  6. 前記鉄化合物として、水酸化鉄を用い、前記硫化後液中の鉄濃度が0.5g/L以上3.0g/L以下となるように添加する
    請求項1に記載の硫化剤の除去方法。
  7. 前記ニッケルを含有する溶液は、ニッケル酸化鉱石を高温高圧下で酸浸出して得られた浸出液であり、
    前記鉄化合物として、前記ニッケル酸化鉱石を酸浸出して生成した浸出残渣を用い、前記硫化後液中の鉄濃度が15g/L以上20g/L以下となるように添加する
    請求項1に記載の硫化剤の除去方法。
  8. 前記ニッケルを含有する溶液は、スカンジウムを含有するニッケル酸化鉱を高温高圧下で酸浸出して得られた浸出液であり、
    前記硫酸溶液として、前記硫化後液をキレート樹脂に通液した後に、該キレート樹脂に通液して排出された硫酸溶液を用いる
    請求項1に記載の硫化剤の除去方法。
  9. 前記硫化剤は、硫化水素ガスである
    請求項1乃至8のいずれか1項に記載の硫化剤の除去方法。
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