以下、本発明の一実施形態を示す遊技機であるパチスロについて、図1〜図36を参照しながら説明する。
<機能フロー>
まず、図1を参照して、パチスロの機能フローについて説明する。
本実施の形態のパチスロでは、遊技を行うための遊技媒体としてメダルを用いる。なお、遊技媒体としては、メダル以外にも、コイン、遊技球、遊技用のポイントデータ又はトークン等を適用することもできる。
遊技者によりメダルが投入され、スタートレバーが操作されると、予め定められた数値の範囲(例えば、0〜65535)の乱数から1つの値(以下、乱数値)が抽出される。
内部抽籤手段は、抽出された乱数値に基づいて抽籤を行い、内部当籤役を決定する。この内部抽籤手段は、後述する主制御回路が担う。内部当籤役の決定により、後述の入賞判定ラインに沿って表示を行うことを許可する図柄の組合せが決定される。なお、図柄の組合せの種別としては、メダルの払い出し、再遊技の作動、ボーナスの作動等といった特典が遊技者に与えられる「入賞」に係るものと、それ以外のいわゆる「ハズレ」に係るものとが設けられている。
また、スタートレバーが操作されると、複数のリールの回転が行われる。その後、遊技者により所定のリールに対応するストップボタンが押されると、リール停止制御手段は、内部当籤役とストップボタンが押されたタイミングとに基づいて、該当するリールの回転を停止する制御を行う。このリール停止制御手段は、後述する主制御回路が担う。
パチスロでは、基本的に、ストップボタンが押されたときから規定時間(190msec又は75msec)内に、該当するリールの回転を停止する制御が行われる。本実施形態では、この規定時間内にリールの回転に伴って移動する図柄の数を「滑り駒数」と呼ぶ。規定期間が190msecである場合には、滑り駒数の最大数を図柄4個分に定め、規定期間が75msecである場合には、滑り駒数の最大数を図柄1個分に定める。
リール停止制御手段は、入賞に係る図柄の組合せ表示を許可する内部当籤役が決定されているときは、通常、190msec(図柄4コマ分)の規定時間内に、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリールの回転を停止させる。また、リール停止制御手段は、例えば、第2種特別役物であるチャレンジボーナス(CB)及びCBを連続して作動させるミドルボーナス(MB)の動作時には、1つ以上のリールに対して、規定時間75msec(図柄1コマ分)内に、その図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って極力表示されるようにリールの回転を停止させる。さらに、リール停止制御手段は、遊技状態に対応する各種規定時間を利用して、内部当籤役によってその表示が許可されていない図柄の組合せが入賞判定ラインに沿って表示されないようにリールの回転を停止させる。
こうして、複数のリールの回転がすべて停止されると、入賞判定手段は、入賞判定ラインに沿って表示された図柄の組合せが、入賞に係るものであるか否かの判定を行う。この入賞判定手段は、後述する主制御回路が担う。入賞判定手段により入賞に係るものであるとの判定が行われると、メダルの払い出し等の特典が遊技者に与えられる。パチスロでは、以上のような一連の流れが1回の遊技として行われる。
また、パチスロでは、前述した一連の流れの中で、液晶表示装置などの表示装置により行う映像の表示、各種ランプにより行う光の出力、スピーカにより行う音の出力、或いはこれらの組合せを利用して様々な演出が行われる。
スタートレバーが操作されると、上述した内部当籤役の決定に用いられた乱数値とは別に、演出用の乱数値(以下、演出用乱数値)が抽出される。演出用乱数値が抽出されると、演出内容決定手段は、内部当籤役に対応づけられた複数種類の演出内容の中から今回実行するものを抽籤により決定する。この演出内容決定手段は、後述する副制御回路が担う。
演出内容が決定されると、演出実行手段は、リールの回転開始時、各リールの回転停止時、入賞の有無の判定時等の各契機に連動させて対応する演出を実行する。このように、パチスロでは、内部当籤役に対応づけられた演出内容を実行することによって、決定された内部当籤役(言い換えると、狙うべき図柄の組合せ)を知る機会又は予想する機会が遊技者に提供され、遊技者の興味の向上を図ることができる。
<パチスロの構造>
次に、図2〜図6を参照して、一実施形態におけるパチスロ1の構造について説明する。
[外観構造]
図2は、パチスロ1の外部構造を示す斜視図である。
図2に示すように、パチスロ1は、外装体2を備えている。外装体2は、後述するホッパー装置51やメダル補助収納庫52等(図5参照)を収容するキャビネット2aと、キャビネット2aに対して開閉可能に取り付けられるフロントドア2bとを有している。
キャビネット2aの両側面には、把手7が設けられている(図2では一側面の把手7のみを示す)。この把手7は、パチスロ1を運搬するときに手をかける凹部である。
外装体2の内部には、3つのリール3L,3C,3Rが横並びに設けられている。以下、各リール3L,3C,3Rを、それぞれ左リール3L、中リール3C、右リール3Rという。各リール3L,3C,3Rは、円筒状に形成されたリール本体と、リール本体の周面に装着された透光性のシート材を有している。シート材の表面には、複数(例えば20個)の図柄が周方向に沿って所定の間隔をあけて描かれている。
フロントドア2bは、ドア本体9と、フロントパネル10と、表示装置の一具体例を示す液晶表示装置11とを備えている。
ドア本体9は、ヒンジ(不図示)を用いてキャビネット2aに取り付けられており、キャビネット2aの開口部を開閉する。ヒンジは、パチスロ1の前方からドア本体9を見た場合に、ドア本体9における左側の端部に設けられている。液晶表示装置11は、ドア本体9の上部に取り付けられている。この液晶表示装置11は、表示部(表示画面)11aを備えており、液晶表示装置11を用いて映像の表示による演出が実行される。
フロントパネル10は、液晶表示装置11の表示部11a側に重畳して配置され、液晶表示装置11の表示部11aを露出させるパネル開口10aを有する枠状に形成されている。フロントパネル10には、ランプ群18が設けられている。ランプ群18は、LED(Light Emitting Diode)等で構成され、演出内容に対応するパターンで、光を点灯及び消灯する。
フロントドア2bの中央には、台座部12が形成されている。この台座部12には、図柄表示領域4と、遊技者による操作の対象となる各種装置が設けられている。
図柄表示領域4は、正面から見て3つのリール3L,3C,3Rに重畳する手前側に配置されており、3つのリール3L,3C,3Rに対応して設けられている。この図柄表示領域4は、表示窓としての機能を果たすものであり、その背後に設けられた各リール3L,3C,3Rを透過することが可能な構成になっている。以下、図柄表示領域4を、リール表示窓4という。
リール表示窓4は、その背後に設けられたリール3L,3C,3Rの回転が停止されたとき、各リール3L,3C,3Rの複数種類の図柄のうち、その枠内における上段、中段及び下段の各領域にそれぞれ1個の図柄(合計で3個)を表示する。本実施の形態では、リール表示窓4の上段、中段及び下段からなる3つの領域のうち予め定められたいずれかを組み合わせて構成される擬似的なラインを、入賞か否かの判定を行う対象となるライン(入賞判定ライン)として定義する。
リール表示窓4は、台座部12に設けられた枠部材13により形成されている。この枠部材13は、リール表示窓4と、情報表示窓14と、ストップボタン取付部15を有している。
情報表示窓14は、リール表示窓4の下部に連続して設けられており、上方に向かって開口している。すなわち、リール表示窓4と情報表示窓14は、連続する1つの開口部として形成されている。この情報表示窓14及びリール表示窓4は、透明の窓カバー16によって覆われている。
窓カバー16は、枠部材13の内面側に配置されており、フロントドア2bの前面側から取り外し不可能になっている。また、枠部材13は、窓カバー16を挟んで情報表示窓14の開口に対向するシート載置部17を有している。そして、シート載置部17と窓カバー16との間には、遊技に関する情報が記載されたシート部材(情報シート)が配置されている。したがって、情報シートは、凹凸や隙間の無い滑らかな表面を有する窓カバー16により覆われている。
情報シートの取付部を構成する窓カバー16は、フロントドア2bの前面側から取り外し不可能であり、凹凸や隙間の無い滑らかな表面であるため、情報シートの取付部を利用して、パチスロ1の内部にアクセスする不正行為を防ぐことができる。
ストップボタン取付部15は、情報表示窓14の下方に設けられており、正面を向いた平面に形成されている。このストップボタン取付部15には、ストップボタン19L,19C,19Rが貫通する貫通孔が設けられている。ストップボタン19L,19C,19Rは、3つのリール3L,3C,3Rのそれぞれに対応づけられ、対応するリールの回転を停止するために設けられる。以下、ストップボタン19L,19C,19Rを、それぞれ左ストップボタン19L、中ストップボタン19C、右ストップボタン19Rという。
ストップボタン19L,19C,19Rは、遊技者による操作の対象となる各種装置の一例を示す。また、台座部12には、遊技者による操作の対象となる各種装置として、メダル投入口21、BETボタン22、スタートレバー23が設けられている。
メダル投入口21は、遊技者によって外部から投下されるメダルを受け入れるために設けられる。メダル投入口21に受け入れられたメダルは、予め定められた規定数(例えば、3枚)を上限として1回の遊技に投入されることとなり、規定数を超えた分はパチスロ1の内部に預けることが可能となる(いわゆるクレジット機能)。
BETボタン22は、パチスロ1の内部に預けられているメダルから1回の遊技に投入する枚数を決定するために設けられる。スタートレバー23は、全てのリール(3L,3C,3R)の回転を開始するために設けられる。
また、フロントドア2bを正面から見てリール表示窓4の左側方には、7セグメントLED(Light Emitting Diode)からなる7セグ表示器24が設けられている。この7セグ表示器24は、特典として遊技者に対して払い出すメダルの枚数(以下、払出枚数)、パチスロ内部に預けられているメダルの枚数(以下、クレジット枚数)等の情報をデジタル表示する。
フロントドア2bを正面から見て台座部12の左側には、精算ボタン27が設けられている。この精算ボタン27は、パチスロ1の内部に預けられている外部に引き出す(排出する)ために設けられる。台座部12の下方には、腰部パネルユニット31が設けられている。腰部パネルユニット31は、任意の画像が描かれた装飾パネルと、この装飾パネルを背面側から照明するための光を出射する光源を有している。
腰部パネルユニット31の下方には、メダル払出口32と、スピーカ用孔33L,33Rと、メダルトレイユニット34が設けられている。メダル払出口32は、後述のメダルセレクタ201から排出されるメダルや後述のホッパー装置51の駆動により排出されるメダルを外部に導く。メダル払出口32から排出されたメダルは、メダルトレイユニット34に貯められる。スピーカ用孔33L,33Rは、演出内容に応じた効果音や楽曲等の音を出力するために設けられている。
[内部構造]
図3及び図4は、パチスロ1の内部構造を示す斜視図である。この図3では、フロントドア2bが開放され、フロントドア2bの裏面側に設けられたミドルドア41がフロントドア2bに対して閉じた状態を示している。また、図4では、フロントドア2bが開放され、ミドルドア41がフロントドア2bに対して開いた状態を示している。
また、図5は、キャビネット2aの内部を示す説明図である。図6は、フロントドア2bの裏面側を示す説明図である。
キャビネット2aは、上面板20aと、底面板20bと、左右の側面板20c,20dと、背面板20eを有している(図5参照)。キャビネット2a内部の上側には、キャビネット側スピーカ42が配設されている。このキャビネット側スピーカ42は、取付ブラケット43L,43Rを介してキャビネット2aの背面板20eに取り付けられている。キャビネット側スピーカ42は、例えば、効果音を出力するためのスピーカである。
キャビネット2a内部を正面から見て、キャビネット側スピーカ42の左側方には、キャビネット側中継基板44が配設されている。このキャビネット側中継基板44は、キャビネット2aの左側面板20cに取り付けられている。キャビネット側中継基板44は、ミドルドア41(図3及び図4参照)に取り付けられた後述する主制御基板71(図14参照)と、ホッパー装置51、メダル補助収納庫スイッチ(不図示)、メダル払出カウントスイッチ(不図示)とを接続する配線の中継を行う。
キャビネット2a内部の中央部には、キャビネット側スピーカ42による音の出力を制御するアンプ基板45が配設されている。このアンプ基板45は、左右の側面板20c,20dに固定された取付棚46に取り付けられている。
また、キャビネット2a内部を正面から見て、アンプ基板45の右側には、外部集中端子板47が配設されている(図5参照)。この外部集中端子板47は、キャビネット2aの右側面板20dに取り付けられている。外部集中端子板47は、メダル投入信号、メダル払出信号及びセキュリティー信号などの信号をパチスロ1の外部へ出力するために設けられている。
キャビネット2a内部を正面から見て、アンプ基板45の左側には、サブ電源装置48が配設されている。このサブ電源装置48は、キャビネット2aの左側面板20cに取り付けられている。サブ電源装置48は、交流電圧100Vの電力を後述する電源装置53に供給する。また、交流電圧100Vの電力を直流電圧の電力に変換して、アンプ基板45に供給する。
キャビネット2aの内部の下側には、メダル払出装置(以下、ホッパー装置)51と、メダル補助収納庫52と、電源装置53が配設されている。
ホッパー装置51は、キャビネット2aにおける底面板20bの中央部に取り付けられている。このホッパー装置51は、多量のメダルを収容可能であり、それらを1枚ずつ排出可能な構造を有する。ホッパー装置51は、例えば、精算ボタン27(図2参照)が押圧されてパチスロ内部に預けられているメダルの精算を行うときに、収容したメダルをクレジット枚数分排出する。ホッパー装置51によって払い出されたメダルは、メダル払出口32(図2参照)から排出される。
メダル補助収納庫52は、ホッパー装置51から溢れ出たメダルを収納する。このメダル補助収納庫52は、キャビネット2a内部を正面から見て、ホッパー装置51の右側に配置されている。メダル補助収納庫52は、キャビネット2aの底面板20bに係合されており、底面板20bに対して着脱可能に構成されている。
電源装置53は、キャビネット2a内部を正面から見て、ホッパー装置51の左側に配置されており、左側面板20cに取り付けられている。この電源装置53は、電源スイッチ53aと、電源基板53bを有している(図14参照)。電源装置53は、サブ電源装置48から供給された交流電圧100Vの電力を各部で必要な直流電圧の電力に変換して、変換した電力を各部へ供給する。
図3,図4及び図6に示すように、ミドルドア41は、フロントドア2bの裏面における中央部に配置され、リール表示窓4(図4参照)を裏側から開閉可能に構成されている。ミドルドア41の上部と下部には、ドアストッパ41a,41b,41cが設けられている。このドアストッパ41a,41b,41cは、リール表示窓4を裏側から閉じた状態のミドルドア41の開動作を固定(禁止)する。すなわち、ミドルドア41を開くには、ドアストッパ41a,41b,41cを回転させてミドルドア41の固定を解除する必要がある。
ミドルドア41には、主制御基板71(図14参照)を収納した主制御基板ケース55と、3つのリール3L,3C,3Rが取り付けられている。3つのリール3L,3C,3Rには、所定の減速比をもったギアを介してステッピングモータが接続されている。
図6に示すように、主制御基板ケース55には、設定用鍵型スイッチ56が設けられている。この設定用鍵型スイッチ56は、パチスロ1の設定を変更もしくはパチスロ1の設定の確認を行うときに使用する。
本実施の形態では、主制御基板ケース55と、この主制御基板ケース55に収納された主制御基板71により、主制御基板ユニットが構成されている。
主制御基板ケース55に収納された主制御基板71は、後述する主制御回路91(図15参照)を構成する。主制御回路91は、内部当籤役の決定、リール3L,3C,3Rの回転及び停止、入賞の有無の判定といった、パチスロ1における遊技の主な流れを制御する回路である。主制御回路91の具体的な構成は後述する。
ミドルドア41の上方には、副制御基板72(図14参照)を収容する副制御基板ケース57が配設されおり、副制御基板ケース57の上方には、センタースピーカ58が配設されている。副制御基板ケース57に収納された副制御基板72は、副制御回路101(図16参照)を構成する。この副制御回路101は、映像の表示等による演出の実行を制御する回路である。副制御回路101の具体的な構成は後述する。
フロントドア2bを裏面側から見て、副制御基板ケース57の右側方には、副中継基板61が配設されている。この副中継基板61は、副制御基板72と主制御基板71とを接続する配線を中継する。また、副制御基板72と副制御基板72の周辺に配設された基板とを接続する配線を中継する基板である。なお、副制御基板72の周辺に配設される基板としては、後述するLED基板62A,62B,62Cが挙げられる。
LED基板62A,62B,62Cは、フロントドア2bの裏面側から見て、副制御基板ケース57の両側に配設されている。これらLED基板62A,62B,62Cは、副制御回路101(図16参照)の制御により実行される演出に応じて、光源の一具体例を示す複数のLED(Light Emitting Diode)85(図14参照)を発光させて、点滅パターンを表示する。なお、本実施の形態のパチスロ1には、LED基板62A,62B,62C以外に複数のLED基板を備えている。
副中継基板61の下方には、24hドア開閉監視ユニット63が配設されている。この24hドア開閉監視ユニット63は、ミドルドア41の開閉の履歴を保存する。また、ミドルドア41を開放したときに、液晶表示装置11にエラー表示を行うための信号を副制御基板72(副制御回路101)に出力する。
ミドルドア41の下方には、ボードスピーカ64と、下部スピーカ65L,65Rが配設されている。ボードスピーカ64は、腰部パネルユニット31(図2参照)に対向しており、下部スピーカ65L,65Rは、それぞれスピーカ用孔33L,33R(図2参照)に対向している。
下部スピーカ65Lの上方には、メダルセレクタ201と、メダルシュート202と、ドア開閉監視スイッチ67と、が配設されている。メダルセレクタ201は、メダルの材質や形状等が適正であるか否かを判別する装置であり、メダル投入口21に投入されたメダルを、スロープ203を介してホッパー装置51へ案内し、又はメダルシュート202へ案内する。メダルセレクタ201の具体的な構成については後述する。
メダルシュート202は、略Y字状の筒状の部材であり、メダルセレクタ201によって案内されたメダルやホッパー装置51から排出されたメダルをメダル払出口32(図2参照)に案内する。
ドア開閉監視スイッチ67は、フロントドア2bを裏面側から見て、メダルセレクタ201の左側方に配置されている。このドア開閉監視スイッチ67は、パチスロ1の外部へ、フロントドア2bの開閉を報知するためのセキュリティー信号を出力する。
また、リール表示窓4の下方であってミドルドア41により開閉される領域には、ドア中継端子板68が配設されている(図4参照)。このドア中継端子板68は、主制御基板ケース55内の主制御基板71(図14参照)と、各種のボタンやスイッチ、副制御基板72(図14参照)、メダルセレクタ201及び遊技動作表示基板81(図14参照)との配線を中継する基板である。なお、各種のボタン及びスイッチとしては、例えば、BETボタン22、精算ボタン27、ドア開閉監視スイッチ67、後述するBETスイッチ77、スタートスイッチ79等を挙げることができる。
<メダルセレクタの構成>
次に、図7〜図13を参照して、メダルセレクタ201の具体的な構成について説明する。図7は、メダルセレクタ201をパチスロ1の斜め後方から見た斜視図である。図8は、メダルセレクタ201の分解図である。図9は、メダルセレクタ201をパチスロ1の斜め前方から見た斜視図である。図10は、メダルセレクタ201の後述するベース板部204の背面図である。図11は、メダルセレクタ201の後述するセレクトプレート207の斜視図である。図12は、メダルセレクタ201がメダルをホッパー装置51へ案内する場合のメダルの経路を示す図である。図13は、メダルセレクタ201がメダルをメダルシュート202に案内する場合のメダルの経路を示す図である。なお、図7〜図13に示す矢印Xはパチスロ1の左右方向を示し、矢印Yはパチスロ1の前後方向を示し、矢印Zは上下方向を示す。
図7〜図9に示すように、メダルセレクタ201は、ベース板部204と、サブプレート205と、キャンセルシュータ206と、セレクトプレート207と、メダルソレノイド208(図9参照)、カメラユニット209と、を備えている。
ベース板部204は、メダルセレクタ201の外枠筐体を構成する略板状の部材であり、パチスロ1の左右方向の両端部がパチスロ1の後方に折曲するように成型されている。ベース板部204は、パチスロ1の前後方向に直交する一方の平面である後面204bと他方の平面である前面204a(図9参照)を有している。後面204bには、メダルレール210が、パチスロ1の前方へ凹むように、且つ、略L字状に形成された形成されている。メダルレール210の表面には、複数の突条部が形成されている。
ベース板部204の上端部には、メダル投入口21(図2参照)から投入されるメダルを受け入れるメダル入口部211が設けられている。メダル入口部211からメダルセレクタ201内に投入されたメダルは、メダルレール210に沿って上方から下方へ移動する。ベース板部204の下部には、メダル出口部204c(図8参照)が設けられている。メダルセレクタ201内を移動したメダルは、メダル出口部204cから排出され、スロープ203(図4参照)を介してホッパー装置51に収容される。
メダルレール210の略中間位置には前後方向に貫通する中央孔212が形成されており、この中央孔212からはメダルプレッシャ213(図8参照)の端部が露出している。図9に示すように、メダルプレッシャ213は、ベース板部204の前面204aに設けられた軸部214に回動可能に支持されている。この軸部214には、コイルばね215が取り付けられており、メダルプレッシャ213は、コイルばね215により、メダルプレッシャ213が中央孔212から突出するように付勢されている。
図9に示すように、ベース板部204の前面204aには、磁石217が設けられている。磁石217は、メダルレール210上を移動するメダルの内、適正な材質でない不正メダルを吸着(着磁)する。
また、図8に示すように、メダルレール210の下流領域の略中央部には、前後方向に貫通し、後述するアフタメダルプレッシャ218の後端部が露出する上露出孔219が形成されている。また、メダルレール210の下流領域の下部には、前後方向に貫通し、セレクトプレート207の後述するメダルストッパ部227が露出する下露出孔220が形成されている。
また、図10に示すように、メダルレール210には、6つの基準マーカー260が形成されている。基準マーカー260は、カメラユニット209が撮像するメダルレール210上の領域である撮像領域A1(図10では1点鎖線で示す)内に配置されている。
基準マーカー260は、上部基準マーカー261と、下部基準マーカー262とからなり、上部基準マーカー261は、メダルレール210の上部で、傾斜しながら、左右方向に3つ並ぶように配置されている。また、下部基準マーカー262は、メダルレール210の下部で、傾斜しながら左右方向に3つ並ぶように配置されている。
基準マーカー260は、カメラユニット209が撮像した撮像領域の画像データにおいて、基準マーカー260が形成されている箇所の画素に係る輝度と、基準マーカー260が形成されていない箇所の画素に係る輝度と、が所定値以上異なるように、形成されている。本実施形態では、各基準マーカー260は、メダルレール210に三角形の孔を空けることで形成されている。なお、基準マーカー260の形成態様はこれに限らず、孔の形状は適宜選択可能である。また、例えば、基準マーカー260を、メダルレール210上に、メダルレール210の地の色とは、異なる色の図形を印刷することで、形成してもよい。
図9に示すように、アフタメダルプレッシャ218は、ベース板部204の前面204aに回動可能に軸支されている。アフタメダルプレッシャ218の前端部がメダルソレノイド208によってパチスロ1の後方へ押圧されると、アフタメダルプレッシャ218は回動し、アフタメダルプレッシャ218の後端部が上露出孔219(図8参照)から露出する。
図7及び図8に示すように、キャンセルシュータ206は、略板状の部材であり、パチスロ1の左右方向の両端部がパチスロ1の前方に折曲するように成型されている。キャンセルシュータ206は、ベース板部204に着脱可能に固定され、ベース板部204の下部を後方から覆っている。キャンセルシュータ206は、メダル出口部204cを介することなく排出されるメダルをメダルシュート202(図4参照)に案内する。キャンセルシュータ206の左右方向の略中央部の上部には、下方に略矩形状に切り欠いた切欠き部206aが形成されている。
図7及び図8に示すように、サブプレート205は、メダルレール210を後方から覆う板状の部材である。サブプレート205は、平板状の本体部221と、この本体部221の上部に設けた軸部222と、を有している。本体部221の略中央部には、前後方向に貫通する貫通孔221aが設けられており、貫通孔221aからはメダルレール210の略中央部から下流領域が露出している。
軸部222は、ベース板部204に支持されており、サブプレート205は、軸部222を中心に回動可能にベース板部204に取り付けられている。軸部222には、にはコイルばね223が取り付けられている。通常時、サブプレート205は、コイルばね223の付勢力により、ベース板部204側に押し付けられている。このとき、サブプレート205と、サブプレート205に覆われたメダルレール210の上部との間には、メダルが通過可能な空間が形成されている。すなわち、サブプレート205は、メダルを通過させるガイド板として機能する。
ここで、例えば、メダルセレクタ201内にメダル詰まりが生じた場合、サブプレート205をコイルばね223の付勢力に抗して回動させて、メダル詰まりを解消することができる。
図7に示すように、セレクトプレート207は、サブプレート205に覆われていないメダルレール210の略中央部を移動するメダルをガイドする部材である。図11に示すように、セレクトプレート207は、略台形板状のプレート本体224と、プレート本体224の左右方向の両端部がパチスロ1の前方へ折曲することで形成されている一対の軸受部225と、を有している。また、プレート本体224の上部には、パチスロ1の前方へ折曲し、後端部が上方へ折曲することで形成されているフランジ部226が形成されている。また、一方の軸受部225には、下方へ延びるメダルストッパ部227が形成されている。
図7に示すように、プレート本体224は、サブプレート205に覆われていないメダルレール210の略中央部とパチスロ1の前後方向に対向している。
図9に示すように、セレクトプレート207は、ベース板部204の前面204aに設けられた軸部228に回動可能に支持されている。軸部228にはコイルばね229が設けられており、フランジ部226をパチスロ1の前方へ付勢する。フランジ部226は、メダルソレノイド208の一端部と接触している。メダルソレノイド208がON状態にあるとき、フランジ部226はメダルソレノイド208の一端部に押圧され、コイルばね229の付勢力に抗してパチスロ1の後方へ移動する。このときの、セレクトプレート207の回動位置を「ガイド位置」と称する。ガイド位置にあるセレクトプレート207のプレート本体224とメダルレール210との距離は、メダルをキャンセルシュータ206側に排出することなくホッパー装置51へガイド可能な所定の距離に設定されている。また、このときメダルストッパ部227は、下露出孔220(図8参照)から突出しない。
また、メダルソレノイド208がOFF状態にあるとき、フランジ部226はメダルソレノイド208の押圧から解放され、コイルばね229の付勢力によってパチスロ1の前方へ移動する。このときの、セレクトプレート207の回動位置を「排出位置」と称する。排出位置にあるセレクトプレート207のプレート本体224とメダルレール210との距離は、所定の距離よりも長い距離に設定されている。このとき、パチスロ1の前方へ移動するフランジ部226に押圧され、メダルソレノイド208の一端部はパチスロ1の前方へ移動する。これに伴ってメダルソレノイド208の他端部がパチスロ1の後方へ移動し、アフタメダルプレッシャ218の前端部を押圧する。これによってアフタメダルプレッシャ218は回動し、アフタメダルプレッシャ218の後端部が上露出孔219(図8参照)から露出する。
メダルストッパ部227は、セレクトプレート207がガイド位置にあるときは下露出孔220(図8参照)から突出せず、排出位置にあるときは下露出孔220から突出する。
図12に示すように、ガイド位置にあるセレクトプレート207は、メダルレール210上を移動するメダルが規格寸法を満たす場合、移動するメダルの上部と接触し、メダルをメダル出口部204c(図8参照)へ案内する。メダルは、セレクトプレート207に案内されているとき、メダルプレッシャ213をパチスロ1の前方へ押圧する。なお、図12では、メダルセレクタ201のサブプレート205やキャンセルシュータ206の図示を省略している。
一方、図13に示すように、排出位置にあるセレクトプレート207は、メダルレール210上を移動するメダルが規格寸法を満たす場合であっても、プレート本体224とメダルレール210との距離が離れているため、メダルをメダル出口部204c(図8参照)へ案内することができない。また、メダルは、メダルプレッシャ213、上露出孔219から突出するアフタメダルプレッシャ218、又は、下露出孔220から突出するメダルストッパ部227に押し出され、キャンセルシュータ206に向けて排出される。なお、図13では、図12と同様に、メダルセレクタ201のサブプレート205やキャンセルシュータ206の図示を省略している。
また、本実施形態においてセレクトプレート207は、通常、ガイド位置に位置付けされているが、所定の条件下(例えば、規定枚数のメダル投入時、エラー発生時、遊技開始時など)では、排出位置に位置付けされている。
また、メダルレール210上を移動するメダルが規格寸法よりも小径の場合、セレクトプレート207がガイド位置にあっても、メダルはセレクトプレート207に案内されず、メダルプレッシャ213に押し出され、キャンセルシュータ206に向けて排出される。
図7及び図8に示すように、カメラユニット209は、第1の基板230、第2の基板231及び図示しないレンズで構成されており、メダルレール210上を移動する物体が正規メダルか否かを判定し、判定結果を主制御回路91に出力するユニットである。第1の基板230には、CMOSイメージセンサ232(図17参照)及びLED233(図17参照)が設けられている。第2の基板231には、CMOSイメージセンサ232及びLED233と通信可能、及び、制御可能に接続されている制御LSI234(図17参照)が設けられている。
第1の基板230と第2の基板231は、BtoB(Board-to-Board)形式のコネクタ(不図示)で接続され、また、各基板230,231の角部に設けられた脚部235によって固定されている。なお、カメラユニット209の回路の具体的な構成については後述する。また、本実施形態では、カメラユニット209を2つの基板230,231とレンズで構成する態様を説明したが、これに代えて、CMOSイメージセンサ232、LED233及び制御LSI234を設けた一つの基板で、カメラユニットを構成してもよい。また、絞り機構を追加してもよい。
カメラユニット209は、キャンセルシュータ206の上部の切欠き部206aの周囲に設けられたビス穴206bに、第1の基板230がビス止めされることで、固定されている。
CMOSイメージセンサ232(図17参照)は、第1の基板230の略中央部分に設けられている。CMOSイメージセンサ232は、キャンセルシュータ206の切欠き部206a(図8参照)を介して、メダルレール210上の撮像領域A1(図10参照)を撮像し、撮像した画像データを制御LSI234(図17参照)に出力する。
LED233(図17参照)は、CMOSイメージセンサ232の周囲で面発光し、メダルレール210上を移動する物体に光を照射する。制御LSI234(図17参照)は、CMOSイメージセンサ232から出力された画像データに基づいて、メダルレール210上を移動する物体が正規メダルか否かを判定し、判定結果を主制御回路91に出力する。なお、本実施形態では、切欠き部206aの周囲に形成したビス穴206bにビス止めすることでカメラユニット209をキャンセルシュータ206に固定する態様を説明したが、カメラユニットの固定態様はこれに限定されない。例えば、第1の基板230と第2の基板231の間に取り付けレールを設け、また、キャンセルシュータ206の上部に凹部を設け、この凹部に取り付けレールを嵌めた上で、取り付けレールとキャンセルシュータ206をビス止め又は接着剤で固定するようにしてもよい。
<パチスロが備える回路の構成>
次に、パチスロ1が備える回路の構成について、図14〜図18を参照して説明する。
まず、図14を参照してパチスロ1が備える回路全体の概要について説明する。図14は、パチスロ1が備える回路全体のブロック構成図である。
パチスロ1は、ミドルドア41に配設された主制御基板71と、フロントドア2bに配設された副制御基板72を有している。
主制御基板71には、リール中継端子板74と、設定用鍵型スイッチ56と、外部集中端子板47と、ホッパー装置51と、メダル補助収納庫スイッチ75と、電源装置53の電源基板53bが接続されている。設定用鍵型スイッチ56、外部集中端子板47、ホッパー装置51及びメダル補助収納庫スイッチ75は、キャビネット側中継基板44を介して主制御基板71に接続されている。外部集中端子板47及びホッパー装置51については、上述したため、説明を省略する。
リール中継端子板74は、各リール3L,3C,3Rのリール本体の内側に配設されている。このリール中継端子板74は、各リール3L,3C,3Rのステッピングモータ(不図示)に電気的に接続されており、主制御基板71からステッピングモータに出力される信号を中継する。
メダル補助収納庫スイッチ75は、メダル補助収納庫52のスイッチ貫通孔(非表示)を貫通している。このメダル補助収納庫スイッチ75は、メダル補助収納庫52がメダルで満杯になっているか否かを検出する。
電源装置53の電源基板53bには、電源スイッチ53aが接続されている。この電源スイッチ53aは、パチスロ1に必要な電源を供給するときにONにする。
また、主制御基板71には、ドア中継端子板68を介して、メダルセレクタ201、ドア開閉監視スイッチ67、BETスイッチ77、精算スイッチ78、スタートスイッチ79、ストップスイッチ基板80、遊技動作表示基板81及び副中継基板61が接続されている。ドア開閉監視スイッチ67及び副中継基板61については、上述したため、説明を省略する。メダルセレクタ201の回路構成については後述する。
BETスイッチ77は、BETボタン22が遊技者により押されたことを検出する。精算スイッチ78は、精算ボタン27が遊技者により押されたことを検出する。スタートスイッチ79は、スタートレバー23が遊技者により操作されたこと(開始操作)を検出する。
ストップスイッチ基板80は、回転しているリールを停止させるための回路と、停止可能なリールをLEDなどにより表示するための回路を構成する基板である。このストップスイッチ基板80には、ストップスイッチが設けられている。ストップスイッチは、各ストップボタン19L,19C,19Rが遊技者により押されたこと(停止操作)を検出する。
遊技動作表示基板81は、メダルの投入を受け付けるとき、3つのリール3L,3C,3Rが回動可能なとき及び再遊技を行うときに、投入されたメダルの枚数を7セグ表示器24に表示させるための基板である。この遊技動作表示基板81には、7セグ表示器24とLED82が接続されている。LED82は、例えば、遊技の開始を表示するマークや再遊技を行うマークなどを点灯させる。
副制御基板72は、ドア中継端子板68と副中継基板61を介して主制御基板71に接続されている。この副制御基板72には、副中継基板61を介して、サウンドI/O基板84、LED基板62A,62B,62C、24hドア開閉監視ユニット63が接続されている。これらLED基板62A,62B,62C及び24hドア開閉監視ユニット63については、上述したため、説明を省略する。
サウンドI/O基板84は、センタースピーカ58、ボードスピーカ64、下部スピーカ65L,65R及びフロントドア2bに設けられた不図示のスピーカへの音声の出力を行う。
また、副制御基板72には、ロムカートリッジ基板86と、液晶中継基板87が接続されている。これらロムカートリッジ基板86及び液晶中継基板87は、副制御基板72と共に副制御基板ケース57に収納されている。
ロムカートリッジ基板86は、演出用の画像(映像)、音声、LED基板62A,62B及びその他のLED基板(不図示)、通信のデータを管理するための基板である。液晶中継基板87は、副制御基板72と液晶表示装置11とを接続する配線を中継する基板である。
<主制御回路>
次に、主制御基板71により構成される主制御回路91について、図15を参照して説明する。
図15は、パチスロ1の主制御回路91の構成例を示すブロック図である。
主制御回路91は、主制御基板71上に設置されたマイクロコンピュータ92を主たる構成要素としている。マイクロコンピュータ92は、メインCPU93、メインROM94及びメインRAM95により構成される。メインCPU93と前述のホッパー装置51は、本発明の遊技媒体払出装置を構成している。
メインROM94には、メインCPU93により実行される制御プログラム(例えば、上述した内部抽籤処理の実行のためのプログラム)、データテーブル、副制御回路101に対して各種制御指令(コマンド)を送信するためのデータ等が記憶されている。メインRAM95には、制御プログラムの実行により決定された内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられる。
メインCPU93には、クロックパルス発生回路96、分周器97、乱数発生器98及びサンプリング回路99が接続されている。クロックパルス発生回路96及び分周器97は、クロックパルスを発生する。メインCPU93は、発生されたクロックパルスに基づいて、制御プログラムを実行する。乱数発生器98は、予め定められた範囲の乱数(例えば、0〜65535)を発生する。サンプリング回路99は、発生された乱数の中から1つの値を抽出する。
メインCPU93は、リールインデックスを検出してから各リール3L,3C,3Rのステッピングモータに対してパルスを出力した回数をカウントする。これにより、メインCPU93は、各リール3L,3C,3Rの回転角度(主に、リールが図柄何個分だけ回転したか)を管理する。
なお、リールインデックスとは、リールが一回転したことを示す情報である。このリールインデックスは、例えば、発光部及び受光部を有する光センサと、各リール3L,3C,3Rの所定の位置に設けられ、各リール3L,3C,3Rの回転により発光部と受光部との間に介在される検知片を備えたリール位置検出部(不図示)により検出する。
ここで、各リール3L,3C,3Rの回転角度の管理について、具体的に説明する。ステッピングモータに対して出力されたパルスの数は、メインRAM95に設けられたパルスカウンタによって計数される。そして、図柄1つ分の回転に必要な所定回数(例えば16回)のパルスの出力がパルスカウンタで計数される毎に、メインRAM95に設けられた図柄カウンタが1ずつ加算される。図柄カウンタは、各リール3L,3C,3Rに応じて設けられている。図柄カウンタの値は、リール位置検出部(不図示)によってリールインデックスが検出されるとクリアされる。
つまり、本実施の形態では、図柄カウンタを管理することにより、リールインデックスが検出されてから図柄何個分の回転が行われたのかを管理するようになっている。したがって、各リール3L,3C,3Rの各図柄の位置は、リールインデックスが検出される位置を基準として検出される。
上述したように、滑り駒数の最大数を図柄4個分に定めた場合は、左ストップボタン19Lが押されたときにリール表示窓4の中段にある左リール3Lの図柄と、その4個先の図柄までの範囲内にある各図柄が、リール表示窓4の中段に停止可能な図柄となる。
また、メインCPU93は、後述するようにメダルセレクタ201の制御LSI234から判定結果が入力されると、入力された判定結果に基づいて、遊技機に正規の遊技媒体が用いられていると誤認させて遊技を行う不正行為を検知する。
<副制御回路>
次に、副制御基板72により構成される副制御回路101について、図16を参照して説明する。
図16は、パチスロ1の副制御回路101の構成例を示すブロック図である。
副制御回路101は、主制御回路91と電気的に接続されており、主制御回路91から送信されるコマンドに基づいて演出内容の決定や実行等の処理を行う。副制御回路101は、基本的に、サブCPU102、サブRAM103、レンダリングプロセッサ104、描画用RAM105、ドライバ106を含んで構成されている。
サブCPU102は、主制御回路91から送信されたコマンドに応じて、ロムカートリッジ基板86に記憶されている制御プログラムに従い、映像、音、光の出力の制御を行う。ロムカートリッジ基板86は、基本的に、プログラム記憶領域とデータ記憶領域によって構成される。
プログラム記憶領域には、サブCPU102が実行する制御プログラムが記憶されている。例えば、制御プログラムには、主制御回路91との通信を制御するための主基板通信タスクや、演出用乱数値を抽出し、演出内容(演出データ)の決定及び登録を行うための演出登録タスクが含まれる。また、決定した演出内容に基づいて液晶表示装置11(図2参照)による映像の表示を制御する描画制御タスク、LED85等の光源による光の出力を制御するランプ制御タスク、スピーカ58,64,65L,65R等のスピーカによる音の出力を制御する音声制御タスク等が含まれる。
データ記憶領域は、各種データテーブルを記憶する記憶領域、各演出内容を構成する演出データを記憶する記憶領域、映像の作成に関するアニメーションデータを記憶する記憶領域が含まれている。また、BGMや効果音に関するサウンドデータを記憶する記憶領域、光の点消灯のパターンに関するランプデータを記憶する記憶領域等が含まれている。
サブRAM103は、決定された演出内容や演出データを登録する格納領域や、主制御回路91から送信される内部当籤役等の各種データを格納する格納領域が設けられている。
サブCPU102、レンダリングプロセッサ104、描画用RAM(フレームバッファを含む)105及びドライバ106は、演出内容により指定されたアニメーションデータに従って映像を作成し、作成した映像を液晶表示装置11に表示させる。
また、サブCPU102は、演出内容により指定されたサウンドデータに従ってBGMなどの音をスピーカ58,64,65L,65R等のスピーカにより出力させる。また、サブCPU102は、演出内容により指定されたランプデータに従ってLED85等の光源の点灯及び消灯を制御する。
<メダルセレクタの回路構成>
次に、メダルセレクタ201の回路構成について、図17を参照して説明する。
図17は、メダルセレクタ201の回路構成例を示すブロック図である。
図17に示すように、メダルセレクタ201は、カメラユニット209とメダルソレノイド208を備えている。
また、メダルセレクタ201は、ドア中継端子板68を介して、主制御基板71に接続されている。すなわちメダルセレクタ201は、主制御回路91と電気的に接続されている。したがって、主制御回路91は、メダルセレクタ201のメダルソレノイド208をON状態又はOFF状態に設定することができる。
カメラユニット209は、制御LSI234、CMOSイメージセンサ232及びLED233で構成されている。カメラユニット209の制御LSI234は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)で構成され、CMOSイメージセンサ232及びLED233と電気的に接続されている。制御LSI234は、LED233の発光を制御する。また、制御LSI234は、CMOSイメージセンサ232から出力された画像データに基づいて、メダルレール210上を移動する物体が正規メダルか否かを判定し、判定結果を、GPIO250に割り付けられた出力PORTから後述の所定の出力条件が成立したときに、ドア中継端子板68を介して主制御基板71に出力する。なお、本実施形態において、採用されているCMOSイメージセンサ232は、解像度が648×488ピクセルであり、フレームレートが240fps(Frames Per Second)のCMOSイメージセンサである。
<制御LSIの回路構成>
次に、制御LSI234の回路構成について、図18を参照して説明する。
図18は、制御LSI234の回路構成例を示すブロック図である。
制御LSI234は、ホストコントローラ241、画像認識DSP(digital signal processor)回路242、バックアップ電源(不図示)が接続されたSRAM(Static Random Access Memory)243、フラッシュメモリ244、ISP(Image Signal Processing)回路245及びメダルカウント回路246を備えている。また、制御LSI234は、カラー認識回路247、魚眼補正スケーラ回路248、画像認識アクセラレータ回路249及びGPIO(General Purpose Input/Output)250を備えている。これら制御LSI234を構成するデバイスは、バスを介して相互に接続されおり、本実施形態の制御LSI234では、バスのプロトコルとしてAXI(Advanced eXtensible Interface)が採用されている。
また、制御LSI234は、ISI(Image Sensor Interface)回路251を備えている。ISI回路251は、CMOSイメージセンサ232とISP回路に電気的に接続されている。ISI回路251は、CMOSイメージセンサ232からLVDS(Low voltage differential signaling)方式で出力された画像データをRGBベイヤ画像に変換して、ISP回路245に出力する。
<ISP回路>
ISP回路245は、ISI回路251からRGBベイヤ画像を受信する(RGBベイヤ画像が入力される)と、VSYNC(Vertical Synchronization)割込信号を、ホストコントローラ241に出力する。
また、ISP回路245は、ISI回路251から出力されたRGBベイヤ画像にレンズ歪み補正処理と射影変換(ホモグラフィ)処理を施す画像補正処理を行う。
レンズ歪み補正処理は、後述する各種判別・判定処理の精度を高めるため、CMOSイメージセンサ232が撮像した画像データ上の、カメラユニット209におけるレンズの特性に起因して発生する歪みを補正する処理である。
例えば、カメラユニット209のレンズとして、凸レンズを採用した場合、レンズの端の厚みがレンズの中央部の厚みに比べて薄いため、図19に示すような歪みが生じる。図19では、CMOSイメージセンサ232の撮像領域A1と、CMOSイメージセンサ232が撮像した撮像領域A1の画像データG1を模式的に表している。画像データG1における黒点は、撮像領域A1の各格子の頂点に対応する箇所を表している。
図19に示すように、画像データG1では、中央部に比べて端部に比較的大きな歪みが発生している。ISP回路245は、予め設定されている各種補正パラメータに基づきレンズ歪み補正処理を行って画像データG1(受信したRGBベイヤ画像)を加工する。具体的には、画像データG1の黒点の位置が、対応する撮像領域A1の格子の頂点と同位置になるように、画像データG1を補完する。これによって、この歪みが後述する各種判別処理に与える影響を抑制する。
なお、各種補正パラメータは、カメラユニット209に採用されるレンズに対する事前の特性評価に基づいて予めプログラム上で規定されている。なお、上記各種補正パラメータをフラッシュメモリ244に記憶させ、レンズ歪み補正処理時にISP回路245に参照されるようにしてもよい。
射影変換処理は、カメラユニット209の取り付け位置のずれが、後述する各種判別・判定処理の精度に影響を与えないように、画像データを補正する処理である。
例えば、カメラユニット209がキャンセルシュータ206に対して、好適な角度でない角度で傾いて取り付けられると、図20Aに示すように、後述する各種判別・判定処理に必要な画像領域A2が歪んで撮像される場合がある。射影変換処理では、この歪みを補正し、画像データを、後述する各種判別・判定処理に好適な態様に補完する。
具体的には、射影変換処理において、ISP回路245は、レンズ歪み補正処理後のRGBベイヤ画像を解析し、このRGBベイヤ画像における少なくとも4つの基準マーカー260の位置(座標:x,y)を検出する。
次に、検出した4つの基準マーカーに対応する、プログラム上で予め規定されている後述する各種判別処理の精度を高めるために好適な画像データにおける基準マーカー260の位置(座標:u,v)に基づき、以下の式1及び式2における変換係数a,b,c,d,e,f,g,hを算出する。
u=(x×a+y×b+c)/(x×g+y×h+1) ・・・式(1)
v=(x×d+y×e+f)/(x×g+y×h+1) ・・・式(2)
そして、算出した変換係数a,b,c,d,e,f,g,hと、レンズ歪み補正処理後のRGBベイヤ画像における各画素の座標値を、上記式1及び式2に代入して、各画素についての変換後の座標を算出し、各画素が算出した変換後の座標に位置するようにこのRGBベイヤ画像を加工する。図20Bは、射影変換処理後のRGBベイヤ画像における図20Aに示す画像領域A2を模式的に表している。
なお、本実施形態では、各種判別処理の精度を高めるために好適な画像データにおける基準マーカー260の位置(座標:u,v)をプログラム上で規定する態様を説明した。しかし、これに代えて、例えば、この基準マーカー260の位置をフラッシュメモリ244に記憶させ、射影変換処理時にISP回路245に参照されるようにしてもよい。
次に、ISP回路245は、レンズ歪み補正処理と射影変換処理後のRGBベイヤ画像を各種フォーマットに変換する色変換処理を行う。色変換処理において、ISP回路245は、RGBベイヤ画像を、YUV色空間に対応する画像データ(YUV画像データ)に変換し、このYUV画像データにおける輝度に係るデータ(以下、「グレースケール画像データ」と称する場合がある)をメダルカウント回路246に出力する。また、グレースケール画像データをSRAM243に記憶させる。なお、SRAM243には、所定数のグレースケール画像データが記憶可能な記憶領域が設けられている。SRAM243に記憶されているグレースケール画像データの数が上限数に達した場合、記憶された順序が古いグレースケール画像データから上書きされる。
また、色変換処理において、ISP回路245は、RGBベイヤ画像を、三つの成分(H:色相、S:彩度、V:明度)からなる色空間(HSV色空間)に対応する画像データ(HSV画像データ)に変換し、このHSV画像データをカラー認識回路247に出力する。
<カラー認識回路>
カラー認識回路247は、ISP回路245から出力されたHSV画像データの内の色相と彩度に基づいて色判定処理を行う。色判定処理には、メダル検出処理、閾値判定処理、彩度・色相乗算処理、色テンプレート生成処理、及び、色テンプレート比較処理が含まれる。
(1)メダル検出処理
色判定処理において、カラー認識回路247は、ISP回路245から受信した(入力された)HSV画像データをSRAM243に記憶させる。なお、SRAM243には、所定数のHSV画像データが記憶可能な記憶領域が設けられている。SRAM243に記憶されているHSV画像データの数が上限数に達した場合、記憶された順序が古いHSV画像データから上書きされる。
また、カラー認識回路247は、ISP回路245から受信したHSV画像データにメダルの画像が含まれているか否かを判別するメダル検出処理を行う。具体的には、今回、ISP回路245から受信したHSV画像データと、SRAM243に記憶されている背景HSV画像データと、の差分を検出し、差分部分がメダルの形状と一致する場合は、メダルの画像が含まれていると判別する。なお、背景HSV画像データは、メダルの画像が含まれていないHSV画像データであり、メダルがメダルレール210上を移動していないとき、例えば、電源投入直後に、CMOSイメージセンサ232が撮像した画像データをISP回路245がHSV画像データに変換することで得られる。本実施形態では、ISP回路245は、得られた背景HSV画像データをSRAM243に記憶する。なお、検出された差分部分がメダル形状と一致するか否かは、予めフラッシュメモリ244に保存されたメダル形状のHSV画像データと比較することで判別される。
(2)閾値判定処理
HSV画像データにメダルの画像が含まれていると判別した場合、カラー認識回路247は、このHSV画像データに基づいて、閾値判定処理を行う。閾値判定処理において、カラー認識回路247は、HSV画像データにおけるメダルの画像の所定領域、例えば本実施形態ではメダルの中心を含む略正方形の領域(以下、「メダル領域」と称する場合がある)内の全画素の彩度の値を積算し、また、色相の値を積算する。そして、積算値をメダル領域内の画素数で割って、平均彩度値と、平均色相値と、を算出し、算出した値に基づいて、図21に示す閾値グラフ上の位置を特定する。
ここで、図21の閾値グラフは、縦軸を彩度の値、横軸を色相の値とするグラフである。閾値グラフでは、所定の式に基づいて、グラフ上が許容領域と、非許容領域と、に区分けされている。図21では、許容領域の背景を白地で表し、非許容領域の背景を網掛けで表している。
平均彩度値と、平均色相値とに基づく閾値グラフ上の位置が、許容領域内の場合は、色判定処理を継続する。一方、非許容領域内の場合は、色判定処理の判定結果として、「閾値判定不可」をSRAM243の色判定領域記憶領域に記憶させ、色判定処理を終了する。
なお、上記に代えて、カラー認識回路247は、メダル領域内の各画素について、その画素の彩度の値と色相の値とに基づいて、図21に示す閾値グラフ上の位置を特定してもよい。この場合、非許容領域内に位置付けられる画素の数が、所定数、例えばメダル領域内の画素数の20%を超えるか否かを判定し、超えない場合は、色判定処理を継続し、超える場合は、色判定処理の判定結果として、「閾値判定不可」をSRAM243に記憶させ、色判定処理を終了させてもよい。
また、閾値グラフにおける許容領域と非許容領域は適宜設定可能である。例えば、図21の非許容領域に加えて、彩度の値が所定値以上、例えば90以上の場合は、非許容領域に位置するような非許容領域を設けてもよい。
(3)彩度・色相乗算処理
閾値判定処理後、カラー認識回路247は、閾値判定処理において、彩度・色相乗算処理を行う。彩度・色相乗算処理において、メダル領域内の各画素の彩度の値と色相の値を乗算し、また、乗算して算出した値を、その画素の位置と対応づけてSRAM243に記憶させる。なお、以後の説明において、メダル領域内の各画素の彩度の値と色相の値との乗算値をその画素の位置に対応づけて記憶したデータのまとまりを「色判定用データ」と称する場合がある。
(4)色テンプレート生成処理
色テンプレート生成処理は、後述する色テンプレート比較処理において用いられる色テンプレートを生成する処理である。色テンプレート生成処理において、カラー認識回路247は、電源投入後に投入されたメダルが規定初期投入枚数、本実施形態では50枚に達するまでの各メダルに係る色判定用データを相互に比較し、一致する又は所定程度類似する色判定用データをグループ化する。
例えば、カラー認識回路247は、50枚のメダルに係る色判定用データについて、彩度の値と色相の値との乗算値を、対応づけられている画素の位置毎に比較する。そして、一致する又は所定の誤差範囲(例えば、±5)内である乗算値の数が所定数以上(例えば、全乗算値の80%以上)の場合にこれらの色判定用データをグループ化する。
次いで、カラー認識回路247は、属する色判定用データの数の多い順で、上位4つのグループを選定する。そして、選定した上位4つのグループのそれぞれについて、任意の一つの色判定用データを選定し、その4つの色判定用データを色テンプレートとして、SRAM243の色テンプレートを記憶する記憶領域に記憶させる。なお、選定した上位4つのグループのそれぞれについて、任意の一つの色判定用データを選定することに代えて、同一のグループに属する色判定用データの平均値(各画素に係る乗算値の平均値)を算出することで色テンプレートを生成してもよい。また、SRAM243に記憶された色テンプレートは、遊技機の電源投入時に、ホストコントローラ241の初期化処理(不図示)により消去してもよい。
上記のように、色テンプレートを生成することで、例えば、表と裏で刻印(模様)や色が異なる2種類のメダルを正規メダルとして使用する場合で、且つ、色テンプレートがSRAM243の記憶領域に記憶されていない場合に、電源投入後にこれら正規メダルを50枚投入することで、これら2種類のメダルの表と裏に係る4種類の色テンプレートを生成することができる。なお、色テンプレートがSRAM243の記憶領域に記憶されていない場合に、電源投入後に投入された50枚の正規メダルが1種類であったときは、この正規メダルの表と裏に係る2種類の色テンプレートが生成され、後述の色テンプレート比較処理では、生成された2種類の色テンプレートが用いられる。
なお、色テンプレートがSRAM243の記憶領域に記憶されていない場合に、電源投入後に投入されたメダルが規定初期投入枚数、本実施形態では50枚に達するまでの各メダルに係る色判定用データは、ホストコントローラ241の指示に応じて生成される。ホストコントローラ241は、後述するメダルカウント回路246がメダルレール210上を「メダルが通過した」と判定したことを契機に、該判定時から所定時間前の(すなわち、所定フレーム前の)HSV画像データを用いて、色判定用データを生成するように、カラー認識回路247に指示する。なお、この所定時間は、所定時間前のHSV画像データに、必ずメダルの画像が含まれるように、実験やシミュレーションに基づいて予め設定される。
また、この色判定用データは、上述したメダル検出処理、閾値判定処理、彩度・色相乗算処理を経て生成され、SRAM243の色判定用データ記憶領域に記憶される。カラー認識回路247は、色判定用データ記憶領域に記憶された色判定用データが50個に達すると、すなわち50枚のメダルに係る色判定用データが作成されると、色テンプレート生成処理を実行する。
(5)色テンプレート比較処理
色テンプレート生成処理後のメダル検出処理でメダルの画像が含まれていると判別すると、カラー認識回路247は、色テンプレート比較処理を行う。
色テンプレート比較処理では、メダルの画像が含まれていると判別されたHSV画像データについて、閾値判定処理、彩度・色相乗算処理を経て作成された色判定用データと、色テンプレートとを比較し、一致又は所定程度類似するか否かの可否判定を行い、判定結果として「可」又は「否」をSRAM243の色判定記憶領域に記憶させる。本実施形態では、最大4つの色テンプレートを用いるため、最大4つのテンプレートに対する判定結果をSRAM243に記憶させる。また、色テンプレート比較処理では、色判定結果をSRAM243の色判定記憶領域に記憶させる。ここで、色判定結果としては、最大4つのテンプレートに対する判定結果として1つでも「可」が記憶されている場合には「可」が記憶され、全て「否」が記憶されている場合には「否」が記憶される。したがって、1回の色テンプレート比較処理において、最大4つの色テンプレートに対する最大4つの判定結果と、これらの判定結果に基づく1つの色判定結果が記憶される。なお、SRAM243の色判定記憶領域には、所定数の判定結果が記憶可能であり、記憶されている判定結果が上限数に達した場合、記憶された順序が早い判定結果から上書きされる。
例えば、カラー認識回路247は、色判定用データと色テンプレートにおける彩度の値と色相の値との乗算値を、対応づけられている画素の位置毎に比較する。そして、一致する又は所定の誤差範囲(例えば、±5)内である乗算値の数が所定数以上(例えば、全乗算値の80%以上)の場合に一致又は所定程度類似すると判定する。なお、この処理における、一致又は所定程度類似するか否かの判定基準は、適宜設定可能である。
以上のように、色判定処理において、閾値判定処理を行い、また、色テンプレート比較処理を行い、色判定用データと、色テンプレートとを比較し、一致又は所定程度類似するか否かを判定するカラー認識回路247は、メダルレール210上を通過した物体が正規メダルであるか否かを判定する遊技媒体判定手段を構成する。
<メダルカウント回路>
メダルカウント回路246は、ISP回路245から出力されたグレースケール画像データに基づいてカウント処理を行う。カウント処理には、メダル画像判別処理、メダル位置検出処理及び順序判定処理が含まれる。
(1)メダル画像判別処理
カウント処理において、メダルカウント回路246は、まず、メダル画像判別処理を行う。メダル画像判別処理において、メダルカウント回路246は、入力されたグレースケール画像データに、メダルの画像が含まれているか否かを判別する。具体的には、今回、ISP回路245から入力されたグレースケール画像データと、SRAM243に記憶されている背景グレースケール画像データの各画素について差分を検出し、差分が検出された複数の画素によって形成される形状が、フラッシュメモリ244に保存されているメダル形状のテンプレートデータと一致する場合は、メダルの画像が含まれていると判別する。なお、背景グレースケール画像データは、メダルの画像が含まれていないグレースケール画像データであり、メダルがメダルレール210上を移動していないとき、例えば、電源投入直後に、CMOSイメージセンサ232が撮像した画像データをISP回路245がグレースケール画像データに変換することで得られる。本実施形態では、ISP回路245は、得られた背景グレースケール画像データをSRAM243に記憶する。なお、本実施形態では、メダルカウント回路246が背景グレースケール画像データと入力されたグレースケール画像データの差分を検出し、検出した差分がメダル形状と一致するか否かでメダルの画像が含まれているか否かを判別した。しかし、これに限らず、検出した差分の画素の数が一定数以上ある場合に、メダルの画像が含まれていると判別してもよい。
(2)メダル位置検出処理
次に、メダルカウント回路246は、受信したグレースケール画像データについて、メダル位置検出処理を行う。メダル位置検出処理において、メダルカウント回路246は、受信したグレースケール画像データにおける所定の判定領域にメダルの画像が存在するか否かを判別し、判別結果をSRAM243に記憶させる。
所定の判定領域は、グレースケール画像データG2内の複数の矩形状の領域であり、本実施形態では、図22〜図24に示すように、判定領域A1〜A4,B1〜B4,C1,C2,D1〜D4,E及びFの合計16個の判定領域が設定されている。なお、図22A〜C、図23D〜F、図24Gは、メダルレール210上を通過し、メダル出口部204cから排出されるメダルMと判定領域との関係を説明するための図である。また、図24Hは、メダルシュート202に案内されるメダルと判定領域との関係を説明するための図である。
各判定領域は、判定領域内に複数の画素が含まれるように、グレースケール画像データG2における各判定領域の角部の座標値(X,Y)を規定することで、プログラム上で予め規定されている。例えば、図25に示すように、C1の判定領域は、領域内に8つの画素を含み、4つの角部の座標値(450,95),(454,95),(450,96),(454,96)によって、その位置が規定されている。なお、図25では、格子の一マスが一画素を示している。
図22A〜C、図23D〜F、図24Gに示すように、判定領域A1〜A4,B1〜B4は、メダルレール210上を通過し、メダル出口部204cから排出されるメダルMの画像の下部に重なるように配置される。また、判定領域C1,C2は、メダルレール210上を通過し、メダル出口部204cから排出されるメダルMの画像の上部に重なるように配置される。また、判定領域E及びFは、メダルレール210上を通過し、メダル出口部204cから排出されるメダルMの画像に重ならないように、配置されている。
また、判定領域Fは、図24Hに示すように、メダルがメダルシュート202に案内される場合のメダルMの画像に重なるように、グレースケール画像データG2の下部に配置される。また、判定領域Eは、メダルMの経路の上方に位置し、不正行為に用いられる各種器具の画像に重なるように、グレースケール画像データG2の上部に配置される。
メダルカウント回路246は、処理の対象であるグレースケール画像データと背景グレースケール画像データの各判定領域における各画素の輝度の差分値を算出し、算出した差分値が閾値以上の画素の数を、判定領域毎にカウントする。そして、メダルカウント回路246は、判定領域毎に、カウントした画素の数が、所定数以上であるか否かを判定し、所定数以上であると判定した場合は、その判定領域にメダルの画像が存在する(メダルがある)と判定する。一方、カウントした画素の数が、所定数に満たないと判定した場合は、その判定領域にメダルの画像が存在しない(メダルがない)と判定する。なお、本実施形態では、本処理においてグレースケール画像データを用いる態様を説明したが、これに限らず、例えば上述の色判定処理で用いた彩度と色相を乗算して生成された色判定用データを用いてもよい。
また、メダルカウント回路246は、メダル位置検出処理において、メダルの画像が存在する(メダルがある)と判定した判定領域について、メダルエッジ検出処理を行う。
メダルエッジ検出処理では、メダルの画像が存在すると判定した判定領域において、輝度の差分値が閾値に満たない画素の配置に基づきメダルの外縁(エッジ)を検出する処理である。本実施形態において、メダルの移動方向は、図22〜図25における左から右方向である。したがって、メダル画像が存在する判定した判定領域について、輝度の差分値が閾値に満たない画素が右側に一つでもあると、メダルカウント回路246は、メダルの移動方向における前側の外縁(移動先方向メダルエッジ)が存在すると判定する。
一方、メダル画像が存在する判定した判定領域について、輝度の差分値が閾値に満たない画素が左側に一つでもあると、メダルカウント回路246は、メダルの移動方向における後側の外縁(移動後方向メダルエッジ)が存在すると判定する。なお、輝度の差分値が閾値に満たない画素が一つもない場合は、メダルカウント回路246は、当該判定領域にメダルの外縁がないと、判定する。
例えば、図25に示す判定領域C1において、右側に位置する画素である5C〜8Cのいずれかの画素において、輝度の差分値が閾値に満たない画素が一つでもある場合は、移動先方向メダルエッジがあると判定する。一方、左側に位置する画素である1C〜4Cのいずれかの画素において、輝度の差分値が閾値に満たない画素が一つでもある場合は、移動後方向メダルエッジがあると判定する。
なお、判定領域E及びFについては、メダル又は各種器具の移動方向が、図22〜24における上から下方向であると考えられることから、輝度の差分値が閾値以上の画素よりも下方に輝度の差分値が閾値に満たない画素が一つでもあるときは、メダルカウント回路246は、メダルの移動方向における下側の外縁(移動先方向メダルエッジ)が存在すると判定する。一方、輝度の差分値が閾値以上の画素よりも上方に輝度の差分値が閾値に満たない画素が一つでもあるときは、メダルカウント回路246は、メダルの移動方向における上側の外縁(移動後方向メダルエッジ)が存在すると判定する。また、輝度の差分値が閾値以上の画素よりも下方又は上方に位置する画素について、輝度の差分値が閾値に満たない画素が一つもない場合は、メダルカウント回路246は、当該判定領域にメダル画像は存在するが、メダルの外縁はないと、判定する。
そして、メダルカウント回路246は、入力されたグレースケール画像データの各判定領域について、上記判定結果、すなわち、判定領域に、メダル画像が存在するか否かの判定結果、及び、移動先方向メダルエッジ又は移動後方向メダルエッジが存在するか否かの判定結果を、入力順にSRAM243に記憶させる。例えば、メダルカウント回路246は、メダルの画像が存在しないと判定した判定領域に対しては「OFF」というデータを記憶させる。また、移動先方向メダルエッジが存在すると判定した判定領域に対しては「IN」というデータ、移動後方向メダルエッジが存在すると判定した判定領域に対しては「OUT」というデータ、そして、メダル画像は存在するが、メダルの外縁はないと判定した判定領域に対しては「ON」というデータを記憶させる。なお、メダル画像判別処理において、メダルの画像が含まれていないと判別した場合は、メダルカウント回路246は、メダル位置検出処理を省略し、全判定領域に対して「OFF」というデータを記憶させてもよい。
また、メダルカウント回路246は、メダルが投入不可の場合、例えば、後述するようにクレジットカウンタが最大値の場合、判定領域A1〜A4,B1〜B4,C1,C2,D1〜D4の判定を省略する。また、この場合、メダルカウント回路246は、SRAMに判定領域A1〜A4,B1〜B4,C1,C2,D1〜D4に対して、上記判定を省略した旨、すなわち未判定である旨を示す「*」データ(具体的な数値としては、16進数の「FF」)を記憶させる。
したがって、図22A〜C、図23D〜F、図24G,Hに示す8個のグレースケール画像データG2について、SRAM243には、図26に示すような、判定領域判定結果データが記憶される。例えば、図22Aのグレースケール画像データG2については、判定領域A1,A2に対して、移動先方向メダルエッジが存在すると判定されるので、「IN」というデータ(具体的な数値としては、16進数の「01」)が記憶され、その他の判定領域に対しては、メダル画像が存在しないと判定されるので、「OFF」というデータ(具体的な数値としては、16進数の「00」)が記憶される。
また、図23Eのグレースケール画像データについては、判定領域A1〜A4,E及びFに対しては、メダル画像が存在しないと判定されるので、「OFF」というデータが記憶される。また、判定領域B1,B2,C1及びC2に対しては、移動後方向メダルエッジが存在すると判定されるので「OUT」というデータ(具体的な数値としては、16進数の「02」)が記憶される。また、判定領域B3,B4,D1〜D4に対しては、メダル画像は存在するが、メダルの外縁がないと判定されるので「ON」というデータ(具体的な数値としては、16進数の「03」)が記憶される。
また、図24Hに示すグレースケール画像データG2について、判定領域Fに対して、メダル画像は存在するが、メダルの外縁がないと判定されるので「ON」というデータが記憶される。また、判定領域A1〜A4,B1〜B4,C1,C2,D1〜D4については、未判定である旨を示す「*」というデータが記憶される。
なお、図22A〜C、図23D〜F、図24Gのグレースケール画像データG2は、メダルがメダルレール210上を通過し、メダル出口部204cから排出される場合に、ISP回路245からメダルカウント回路246が受信するグレースケール画像データG2のうち、説明の便宜上、7つのグレースケール画像データG2を抜粋したものである。すなわち、同場合に、メダルカウント回路246が受信するグレースケール画像データは、図22A〜C、図23D〜F、図24Gに示すグレースケール画像データG2の他にも存在する。
また、SRAM243には、判定領域判定結果データとして、所定数のグレースケール画像データに係る上記判定結果を記憶する記憶領域が設けられている。SRAM243に記憶されている判定結果が上限数に達した場合、記憶された順序が古いグレースケール画像データに係る判定結果から上書きされる。
(3)順序判定処理
メダル画像検出処理及びメダル位置検出処理の後、メダルカウント回路246は、順序判定処理を行う。順序判定処理は、時系列的に並ぶ所定の数のグレースケール画像データにおいて、各判定領域についての「IN」,「OUT」,「ON」,「OFF」のデータの遷移の態様が所定の遷移の態様と一致しているか否かを判定し、一致している場合は、メダルレール210上をメダルが通過したと判定する。
ここで、所定の遷移の態様として、本実施形態では、フラッシュメモリ244に図27に示すメダルカウント判定表が数値に変換されて記憶されている。メダルカウント判定表では、メダルがメダルレール210上を通過し、メダル出口部204cから排出される場合の時系列的に並んだ14個のグレースケール画像データ上の各判定領域における「IN」,「OUT」,「ON」,「OFF」のデータの遷移の態様が規定されている。なお、これらのデータの遷移の態様は、シミュレーションや実験などによって予め規定される。
順序判定処理において、メダルカウント回路246は、SRAM243に記憶されている直近の14個のグレースケール画像データの各判定領域におけるデータの遷移の態様と、メダルカウント判定表で規定されている時系列1〜14に対応するデータの遷移の態様と、を比較し、完全に一致する場合は、「メダルが通過した」と判定する。また、一致しない場合は、「異常が発生した」と判定する。一致しない場合には、例えば、直近の14個のグレースケール画像データの各判定領域におけるデータの遷移の態様(以下、「比較対象のデータの遷移の態様」と称する場合がある)の、前半部分はメダルカウント判定表で規定されている時系列1〜8に対応するデータの遷移の態様と一致するが、続く部分がメダルカウント判定表で規定されている時系列8〜4に対応するデータの遷移の態様と一致する場合(以下、この場合を「時系列の逆行」と称する場合がある)がある。また、一致しない場合には、例えば、比較対象のデータの遷移の態様の、前半部分はメダルカウント判定表で規定されている時系列1〜7に対応するデータの遷移の態様と一致するが、続く部分が、メダルカウント判定表で規定されている時系列10〜14に対応するデータの遷移の態様と一致する場合、すなわちメダルカウント判定表で規定されている時系列8,9に対応するデータが抜けている場合がある。また、一致しない場合には、例えば、比較対象のデータの遷移の態様の、前半部分はメダルカウント判定表で規定されている時系列1〜8に対応するデータの遷移の態様と一致するが、続く部分が、全てメダルカウント判定表で規定されている時系列9に対応するデータの遷移の態様と一致する場合、すなわち同一の遷移の態様が重複する場合がある。なお、上述の時系列の逆行は、既存のメダル逆行エラーに相当し、また、同一の遷移の態様が重複する場合は、既存のメダル詰まりエラーに相当する。また、上述のデータが抜けている場合は、既存のメダルセレクタでは検知することができなかったエラーであり、当該エラーを検知できるメダルセレクタ201は、既存のメダルセレクタよりエラー検出性能が優れているといえる。
また、メダルカウント回路246は、メダルが投入不可の場合、SRAM243に記憶されている直近の4個のグレースケール画像データの各判定領域におけるデータの遷移の態様と、メダルカウント判定表で規定されている時系列E1〜E4に対応するデータの遷移の態様と、を比較し、完全に一致する場合は、「メダルがメダルシュート202に案内された」と判定する。
なお、SRAM243に記憶されているグレースケール画像データの数が、所定数に満たない場合、例えば4個又は14個に満たない場合は、データの数の不足により遷移の態様が一致しないため、上記比較処理において、「メダルが通過した」、又は、「メダルがメダルシュート202に案内された」と判定されることはない。なお、この場合、上記比較処理を省略してもよい。
また、メダルカウント回路246は、SRAM243に記憶されている直近のグレースケール画像データの判定領域Eに対して「IN」,「OUT」,「ON」のいずれかのデータが記憶されている場合は、異常が発生したと判定する。
また、順序判定処理において、メダルカウント回路246は、順序判定処理における上記の判定結果をカウント処理の判定結果としてSRAM243に記憶させる。すなわち、SRAM243には、カウント処理の判定結果として、「メダルが通過した」(具体的な数値としては16進数の「01」)、「メダルがメダルシュート202に案内された」(具体的な数値としては16進数の「02」)、及び、「異常が発生した」(具体的な数値としては16進数の「10」)、の3種類の判定結果が記憶される。なお、ここで、「メダルが通過した」と判定される場合とは、例えば主制御回路91でメダル投入可の状態で、メダルが投入された場合である。また、「メダルがメダルシュート202に案内された」と判定される場合とは、主制御回路91でメダル投入可の状態で、規定メダルより外径の小さい不正メダルが投入された場合や、主制御回路91でメダル投入不可の状態で、メダルが投入された場合である。また、「異常が発生した」と判定される場合とは、メダルが通過する範囲外で、何らかの異物を検出した場合や、上述のメダルカウンタ判定表に規定されているデータの遷移の態様と比較対象のデータの遷移の態様とが一致しない場合である。
なお、上記比較の結果、完全一致の場合に「メダルが通過した」又は「メダルがメダルシュート202に案内された」と判定することに代えて、所定の程度、例えば一致の度合いが80%以上の場合に、「メダルが通過した」又は「メダルシュート202に案内された」と、所定の判定マージンを考慮して判定してもよい。
また、メダル位置検出処理において、メダルエッジ検出処理を省略してもよい。この場合、メダルカウント回路246は、SRAM243に、メダル画像が存在しないと判定した判定領域に対しては「OFF」というデータを記憶させ、メダル画像は存在すると判定した判定領域に対しては「ON」というデータを記憶させる。そして、図27に示すメダルカウント判定表に、各判定領域における「ON」,「OFF」のデータの遷移の態様を規定する。
また、順序判定処理において、図27に示すメダルカウント判定表を用いた比較に代えて、「ON」のデータが記憶される判定領域の順序を予め規定しておき、この予め規定した順序と実際に「ON」のデータが記憶された判定領域の順序とを、比較して、メダルの通過を判定してもよい。この場合、予め規定する順序を、判定領域A1〜A4をA領域、判定領域B1〜B4をB領域、判定領域C1,C2をC領域、判定領域D1〜D4をD領域と、グループ化した上で規定してもよい。例えば、予め規定する順序を、A〜D領域のいずれも「OFF」、次いでA領域のみ「ON」、次いでA領域、B領域及びC領域が「ON」、次いでB領域、C領域及びD領域が「ON」、次いでD領域のみ「ON」、最後にA〜D領域のいずれも「OFF」としてもよい。なお、この場合、A領域が「ON」とは、判定領域A1〜A4のいずれかについて「ON」のデータが記憶されていることである。
また、グレースケール画像データ上に設定する判定領域の数、形状及び配置場所は、許容される判定所要時間や求める判定の精度に応じ適宜設定可能である。例えば、図22A〜C、図23D〜F、図24G,Hにおいてグレースケール画像データG2の上端部から下端部に亘って上下方向に延びる判定領域を設定してもよい。
<魚眼補正スケーラ回路>
魚眼補正スケーラ回路248は、SRAM243からグレースケール画像データを取得し、取得したグレースケール画像データを魚眼補正する魚眼補正処理を行う。
また、魚眼補正スケーラ回路248は、魚眼補正処理を行ったグレースケール画像データに対して、イコライズ処理を行う。イコライズ処理において、魚眼補正スケーラ回路248は、1/2,1/4,1/8に縮小した縮小画像データを作成する。
また、魚眼補正スケーラ回路248は、イコライズ処理において、作成した縮小画像データそれぞれに対して、バイラテラル変換処理を行う。本実施形態では、縮小画像データのノイズを除去するために、図28に示す3×3のカーネル(画像処理におけるカーネルであって、OSの機能を示すカーネルではない。)のガウシアンフィルタを用いる。しかし、ガウシアンフィルタには、画像データ内のエッジが目立たなくなる(ボケる)という欠点がある。そこで、この欠点を解消するために、バイラテラル変換処理の処理アルゴリズムとして、以下の式3に示すバイラテラルフィルタを採用する。すなわち、バイラテラルフィルタは、ガウシアンフィルタのカーネルを使用して画像データのノイズを除去するとともにエッジ補正及び強調を行うフィルタである。
数1において、バイラテラル変換処理前の画像データの配列をf(i, j)、処理後の画像データの配列をg(i, j)とする。また、wはカーネルサイズ、σは標準偏差、dは輝度値の差を表している。
そして、魚眼補正スケーラ回路248は、イコライズ処理を施した縮小画像データをSRAM243に記憶させる。なお、SRAM243には、所定数の縮小画像データが記憶可能な記憶領域が設けられている。SRAM243に記憶されている縮小画像データの数が上限数に達した場合、記憶された順序が古い縮小画像データから上書きされる。
<画像認識DSP回路>
ホストコントローラ241は、メダルカウント回路246がメダルレール210上を「メダルが通過した」と判定したことを契機に、該判定時から所定時間前の(すなわち、所定フレーム前の)縮小画像データを用いて、前処理を行うよう、画像認識DSP回路に指示する。なお、この所定時間は、所定時間前の縮小画像に、必ずメダルの画像が含まれるように、実験やシミュレーションに基づいて予め設定される。
画像認識DSP回路242は、前処理において、SRAM243から縮小画像データ(本実施形態では、1/4に縮小した縮小画像データ)を取得し、取得した縮小画像データから円領域を検出する円領域検出処理と、非線形拡散フィルタ処理を行いエッジ画像を作成してSRAM243に記憶させるフィルタ処理を行う。また、画像認識DSP回路242は、後述する各種判定処理を行う。なお、本実施形態では、1/4に縮小した画像データを使用しているが、これに限らず、フラッシュメモリ244に使用する縮小画像データを選択するための設定を記憶させ、その設定に応じて、1/2に縮小した画像データ、又は、1/8に縮小した画像データを選択できるようにしてもよい。
(1)円領域検出処理
画像認識DSP回路242は、円領域検出処理において、取得した縮小画像データと、当該縮小画像データに対応する縮小背景グレースケール画像データとの差分を示す背景差分画像を生成する。ここで縮小背景グレースケール画像データとは、SRAM243に記憶されている背景グレースケール画像データに、魚眼補正スケーラ回路248による魚眼補正処理及びイコライズ処理を施した画像データあり、円領域検出処理の前にSRAM243に記憶されている。
次いで、画像認識DSP回路242は、生成した背景差分画像を2値化する。そして、図29に示すように、2値の背景差分画像G3に対して、メダルの外形を示す2値の外形テンプレートT1を用いたテンプレートマッチングを行う。つまり、画像認識DSP回路242は、背景差分画像G3において、外形テンプレートT1と類似する領域がどこに存在するかを特定する。言い換えると、画像認識DSP回路242は、背景差分画像G3において、外形テンプレートT1が示すメダルの外形と一致する領域がどこに存在するかを特定する。なお、外形テンプレートT1は、予めフラッシュメモリ244に記憶されている。
テンプレートマッチングでは、背景差分画像G3上で外形テンプレートT1をラスタスキャン方向に少しずつ(例えば、1画素(ピクセル)ずつ)移動させる。言い換えれば、画像認識DSP回路242は、背景差分画像G3上で外形テンプレートT1をラスタスキャンさせる。このとき、画像認識DSP回路242は、外形テンプレートT1の各位置において、外形テンプレートT1と、それに重なる、背景差分画像G3の部分領域とのAND画像を生成する。これにより、複数の2値のAND画像が生成される。そして、画像認識DSP回路242は、生成した複数のAND画像のうち、画素値が「1」の画素(高輝度画素)の数が最も多いAND画像の生成で使用された外形テンプレートT1の背景差分画像G3上の位置を特定する。この位置は、背景差分画像G3において、外形テンプレートT1と類似した領域が存在する位置である。
そして、画像認識DSP回路242は、特定した位置と同じ位置に存在する、取得した縮小画像データでの部分領域を、円領域として検出する。言い換えれば、画像認識DSP回路242は、特定した位置と同じ位置に外形テンプレートT1を縮小画像データに配置した際に、外形テンプレートT1と重なる、縮小画像データでの部分領域を、円領域として検出する。このとき、部分領域において、その上の外形テンプレートT1が示す円形よりも外側の各画素の画素値を零としたものを円領域としてもよい。画像認識DSP回路242で抽出される円領域はグレースケール画像である。本実施形態では、円領域の外形は四角形であるが、円形等の他の形状であってもよい。
なお、取得した縮小画像データから円領域を抽出する方法として他の方法を採用してもよい。例えば、メダルの外形が円形であることを利用した抽出方法を採用してもよい。この抽出方法では、まず、取得した縮小画像データに対してエッジ検出が行われてエッジ画像が生成される。エッジ画像の生成方法としては、例えば、Sobel法、Laplacian法、Canny法などが使用される。次に、生成されたエッジ画像から円形領域が抽出される。円形領域の抽出方法としては、例えばハフ変換が使用される。そして、エッジ画像における当該円形領域の位置と同じ位置に存在する、取得した縮小画像データでの円形領域が、円領域とされる。
また、背景差分法とラベリングを用いて取得した縮小画像データから円領域を抽出する抽出方法を採用してもよい。この抽出方法では、まず、取得した縮小画像データと縮小背景グレースケール画像データとの差分を示す背景差分画像が生成され、生成された背景差分画像が2値化される。そして、2値の背景差分画像に対して4連結等のラベリングが行われる。そして、2値の背景差分画像における、ラベリングの結果得られた連結領域(独立領域)の位置と同じ位置に存在する、取得した縮小画像データの部分領域が、円領域とされる。
(2)フィルタ処理
画像認識DSP回路242は、円領域検出処理後に、フィルタ処理を行う。フィルタ処理は、3σ修正処理と、非線形拡散フィルタ処理からなる。
まず、3σ修正処理において、画像認識DSP回路242は、円領域検出処理で検出した円領域に基づいて、取得した縮小画像データにおける円領域の画像データを切り出す。以下、切り出した画像データを円領域画像データと称する場合がある。
次に、画像認識DSP回路242は、切り出した円領域画像データにおける輝度の値について、一定範囲のデータの平均値を中心とした正規分布(図30参照)を作成する。ここで、3σとは、標準偏差の3倍であって、平均値±3σの範囲内にほぼ全てのデータが属する(ばらつきが正規分布である場合、99.7%のデータがこの範囲内に属する)ものである。
そして、輝度の値が−3σよりも小さい画素の輝度、例えば−4σの画素の輝度を、−3σの輝度の値に置き換える。また、輝度の値が3σよりも大きい画素の輝度、例えば4σの画素の輝度を、3σの輝度の値に置き換える。このようにすることで、イレギュラーなデータである輝度の値が極端に大きい画素(明る過ぎる画素)や輝度の値が極端に小さい画素(暗過ぎる画素)が、その後の処理に影響することを抑制することができる。
次に、画像認識DSP回路242は、3σ修正処理後の円領域画像データに対して、非線形拡散フィルタ処理を行いX(縦)方向のエッジ画像XとY(横)方向のエッジ画像Yを作成する。
図31Aは、3σ修正処理後の円領域画像データを模式的に表している。図31Aにおいて、格子の一マスは、画素を示している。また、図31Bはエッジ画像X用係数を示している。ここで図31Aの画素A1〜A8,Pの輝度の値を、それぞれa1〜a8,pとした場合、エッジ画像Xにおける注目画素Pの輝度の値は、エッジ画像X用係数を用いて、以下の式4によって算出される。
Pの輝度(PX)=a1×(−3)+a2×0+a3×3+a4×(−10)+p×0+a5×10+a6×(−3)+a7×0+a8×3…式(4)
画像認識DSP回路242は、3σ修正処理後の円領域画像データの全ての画素について、上記式4を用いて輝度を算出することで、エッジ画像Xを作成する。
図31Cはエッジ画像Y用係数を示している。ここで図31Aの画素A1〜A8,Pの輝度の値を、それぞれa1〜a8,pとした場合、エッジ画像Yにおける注目画素Pの輝度の値は、エッジ画像Y用係数を用いて、以下の式5によって算出される。
Pの輝度(PY)=a1×(−3)+a2×(−10)+a3×(−3)+a4×0+P×0+a5×0+a6×3+a7×10+a8×3…式(5)
画像認識DSP回路242は、3σ修正処理後の円領域画像データの全ての画素について、上記式5を用いて輝度を算出することで、エッジ画像Yを作成する。
エッジ画像X及びエッジ画像Yを作成した後、画像認識DSP回路242は、両画像からエッジ画像XYを作成する。エッジ画像XYにおける各画素の輝度PXYは、エッジ画像Xにおける画素の輝度の値をPXとし、同一位置にあるエッジ画像Yにおける画素の輝度の値をPYとした場合、以下の式6によって算出することができる。
画像認識DSP回路242は、エッジ画像X及びエッジ画像Yの全ての画素について、上記式6を用いて輝度PXYを算出することで、エッジ画像XYを作成し、作成したエッジ画像XYをSRAM243に記憶させる。
なお、画像認識DSP回路242が行う各種判定処理については、後述する。
<画像認識アクセラレータ回路>
画像認識アクセラレータ回路249は、勾配平均画像データに係る処理と、エッジ勾配画像に係る処理を行う。
[勾配平均画像データに係る処理]
勾配平均画像データに係る処理には、回転画像生成処理と、勾配平均画像データ生成処理と、勾配平均画像テンプレート生成処理が含まれる。
(1)回転画像生成処理
回転画像生成処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243からエッジ画像XYを取得し、取得したエッジ画像XYを1度単位で回転させて、360度分の回転画像を生成する。
(2)勾配平均画像データ生成処理
勾配平均画像データ生成処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、回転画像生成処理で生成した360度分の回転画像を累積加算して(重ね合わせて)、勾配平均画像データを生成する。勾配平均画像データの例として、図32Aに示す正規メダルの勾配平均画像データを図32Bに示す。そして、画像認識アクセラレータ回路249は生成した勾配平均画像データをSRAM243に記憶させる。
(3)勾配平均画像テンプレート生成処理
勾配平均画像テンプレート生成処理は、後述する画像認識DSP回路242の判定処理において用いられる画像データである勾配平均画像テンプレートを生成する処理である。
勾配平均画像テンプレート生成処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243に記憶されている50個の(すなわち、50枚のメダルに係る)勾配平均画像データを相互に比較し、一致する又は所定程度類似する勾配平均画像データをグループ化する。次いで、画像認識アクセラレータ回路249は、属する勾配平均画像データの数の多い順で、上位4つのグループを選定する。そして、選定した上位4つのグループのそれぞれについて、任意の一つの勾配平均画像データを選定し、その4つの勾配平均画像データを勾配平均画像テンプレートとして、SRAM243の勾配平均画像テンプレートを記憶する記憶領域に記憶させる。なお、選定した上位4つのグループのそれぞれについて、任意の一つの勾配平均画像テンプレートを選定することに代えて、同一のグループに属する勾配平均画像データの平均値(各画素に係る輝度の平均値)を算出することで勾配平均画像テンプレートを生成してもよい。また、SRAM243に記憶された勾配平均画像テンプレートは、遊技機の電源投入時に、ホストコントローラ241の初期化処理(不図示)により消去してもよい。
上記のように、勾配平均画像テンプレートを生成することで、例えば、表と裏で刻印(模様)が異なる2種類のメダルを正規メダルとして使用する場合に、電源投入後にこれら正規メダルを50枚投入することで、これら2種類のメダルの表と裏に係る最大4種類の勾配平均画像テンプレートを生成することができる。なお、電源投入後に投入された50枚の正規メダルが1種類であった場合は、この正規メダルの表と裏に係る2種類の勾配平均画像テンプレートが生成され、後述の勾配平均画像テンプレート比較処理では、生成された2種類の勾配平均画像テンプレートが用いられる。
ここで、勾配平均画像テンプレート生成処理は、勾配平均画像テンプレートがSRAM243の記憶領域に記憶されていない場合に、電源投入後に投入されたメダルが規定初期投入枚数、本実施形態では50枚に達するまでの勾配平均画像データを用いて行われる。画像認識アクセラレータ回路249は、勾配平均画像データ生成処理において生成した勾配平均画像データが50個に達するまで、生成した勾配平均画像データをSRAM243の勾配平均画像テンプレート生成用データ記憶領域に記憶させる。また、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243の勾配平均画像テンプレート生成用データ記憶領域に50個の勾配平均画像データが記憶されると、勾配平均画像テンプレート生成処理を行う。なお、画像認識アクセラレータ回路249は、勾配平均画像テンプレート生成処理の実行後に、勾配平均画像データ生成処理によって生成した勾配平均画像データをSRAM243の判定対象勾配平均画像データ記憶領域に記憶させる。なお、本実施形態では、SRAM243に50個の勾配平均画像データが記憶されると、一致する又は所定程度類似する勾配平均画像データをグループ化して勾配平均画像テンプレートを生成する態様を説明した。しかし、これに限らず、勾配平均画像データが生成される毎に、先に記憶されている勾配平均画像データと比較を行い、一致する又は所定程度類似する勾配平均画像データをグループ化し、勾配平均画像テンプレートを生成してもよい。
[エッジ勾配画像に係る処理]
エッジ勾配画像に係る処理には、極座標変換処理、Scharr変換処理、HOG変換処理、HOGテンプレート生成処理が含まれる。
(1)極座標変換処理
極座標変換処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243からエッジ画像XYを取得し、取得したエッジ画像XYについて、直交座標を極座標に変換し、極座標画像データを作成する。具体的には、画像認識アクセラレータ回路249は、エッジ画像XYの各画素の直交座標(x,y)を、動径の長さrと、基準位置からの角度φで表した極座標(r, φ)に変換する。極座標(r, φ)と直交座標(x,y)との関係は、以下の式7,8で表される。
x=r cos(φ)・・・式(7)
y=r sin(φ)・・・式(8)
そして、画像認識アクセラレータ回路249は、作成した極座標画像データをSRAM243に記憶させる。
(2)Scharr変換処理
Scharr変換処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243から極座標画像データを取得し、X(縦)方向のエッジ極座標画像XとY(横)方向のエッジ極座標画像Yを作成する。したがって、Scharr変換処理を行う画像認識アクセラレータ回路249は、極座標画像を縦方向画像と横方向画像に分離する方向画像分離手段を構成する。
なお、Scharr変換処理においてエッジ極座標画像Xとエッジ極座標画像Yを作成する態様は、上述した非線形拡散フィルタ処理において、エッジ画像Xとエッジ画像Yを作成する態様と用いる係数を含めて同様のため、ここでは説明を省略する。
(3)HOG変換処理
HOG変換処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、エッジ勾配画像を作成し、作成したエッジ勾配画像にHOG変換を施す。ここで、HOG(Histograms of Oriented Gradients)変換とは、画像データにおける局所領域(セル)の輝度の勾配方向をヒストグラム化することであり、HOG変換を伴う画像マッチングには、局所的な形状変化(幾何学的変換)に強いことや照明の変動に影響を受けにくいという特徴がある。
具体的には、Scharr変換処理で作成したエッジ極座標画像Xとエッジ極座標画像Yからエッジ勾配画像を作成する。エッジ勾配画像における各画素の輝度すなわち勾配強度は、エッジ極座標画像Xにおける画素の輝度の値をQX、同一位置にあるエッジ極座標画像Yにおける画素の輝度の値をQYとした場合、以下の式9によって算出することができる。
また、エッジ勾配画像における各画素の勾配角度は、以下の式10によって算出することができる。
勾配角度=tan−1(QY/QX)・・・式(10)
図33では、作成したエッジ勾配画像G4を模式的に示している。画像認識アクセラレータ回路249は、作成したエッジ勾配画像G4における2点鎖線で示した長方形の枠Sを局所領域(セル)として、局所領域毎に局所領域内の輝度の勾配方向のヒストグラムを、作成する。そして作成したヒストグラム一式をSRAM243に記憶させる。
[HOGテンプレート生成処理]
HOGテンプレート生成処理は、後述する画像認識DSP回路242の判定処理において用いられるHOGテンプレートを生成する処理である。
HOGテンプレート生成処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243に記憶されている50セットの(すなわち、50枚のメダルに係る)上記ヒストグラム一式を相互に比較し、一致する又は所定程度類似するヒストグラム一式をグループ化する。次いで、画像認識アクセラレータ回路249は、属するヒストグラム一式の数の多い順で、上位4つのグループを選定する。そして、選定した上位4つのグループのそれぞれについて、任意の一つのヒストグラム一式をHOGテンプレートとして、SRAM243のHOGテンプレートを記憶する記憶領域に記憶させる。なお、選定した上位4つのグループのそれぞれについて、任意の一つのヒストグラム一式を選定することに代えて、同一のグループに属するヒストグラム一式の平均値(同一局所領域における勾配強度の平均値)を算出することで、HOGテンプレートを生成してもよい。また、本実施形態では、50セットのヒストグラム一式がSRAM243に記憶されると、記憶されているヒストグラム一式を相互に比較し、一致する又は所定程度類似するヒストグラム一式をグループ化してHOGテンプレートを生成する態様を説明した。しかし、これに限らず、ヒストグラム一式が生成される毎に、先に記憶されているヒストグラム一式と比較を行い、一致する又は所定程度類似するヒストグラム一式をグループ化し、HOGテンプレートを生成してもよい。
上記のように、HOGテンプレートを生成することで、例えば、表と裏で刻印(模様)が異なる2種類のメダルを正規メダルとして使用する場合で、且つ、HOGテンプレートがSRAM243の記憶領域に記憶されていない場合に、電源投入後にこれら正規メダルを50枚投入することで、これら2種類のメダルの表と裏に係る4種類のHOGテンプレートを生成することができる。また、HOGテンプレートがSRAM243の記憶領域に記憶されていない場合に、電源投入後に投入された50枚の正規メダルが1種類であったときは、この正規メダルの表と裏に係る2種類のHOGテンプレートが生成され、後述のHOGテンプレート比較処理では、生成された2種類のHOGテンプレートが用いられる。
なお、ヒストグラム一式の一致又は類似度の判定は、ヒストグラム一式における同一位置(エッジ勾配画像における同一位置にある局所領域)についてのヒストグラムを比較することで行われる。また、判定の基準は適宜設定可能である。例えば、全ヒストグラムについて完全一致することを条件に、両ヒストグラム一式が一致すると判定してもよい。また、一致の程度が所定の程度以下の、例えば80%以下のヒストグラムがないことを条件に、両ヒストグラム一式が類似すると判定してもよい。
ここで、HOGテンプレート生成処理は、電源投入後に投入されたメダルが規定初期投入枚数、本実施形態では50枚に達するまでのエッジ勾配画像に係るヒストグラム一式を用いて行われる。画像認識アクセラレータ回路249は、HOG変換処理において作成したヒストグラム一式が、50セットに達するまで、作成したヒストグラム一式をSRAM243のHOGテンプレート生成用データ記憶領域に記憶させる。また、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243のHOGテンプレート生成用データ記憶領域に50セットのヒストグラム一式が記憶されると、HOGテンプレート生成処理を行う。なお、画像認識アクセラレータ回路249は、HOGテンプレート生成処理の実行後に、HOG変換処理によって作成したヒストグラム一式をSRAM243の判定対象ヒストグラム記憶領域に記憶させる。
<画像認識DSP回路による判定処理>
次に、画像認識DSP回路242が実行する判定処理について、説明する。判定処理は、勾配平均画像テンプレート比較処理と、HOGテンプレート比較処理を含む。
(1)勾配平均画像テンプレート比較処理
勾配平均画像テンプレート比較処理において、画像認識DSP回路242は、画像認識アクセラレータ回路249が生成した勾配平均画像データをSRAM243の判定対象勾配平均画像データ記憶領域から取得する。
次に、画像認識DSP回路242は、取得した勾配平均画像データと、SRAM243に記憶されている勾配平均画像テンプレートとの差分を算出する。そして、画像認識DSP回路242は、算出した差分値と刻印判定用の閾値とに基づいて、勾配平均画像データと勾配平均画像テンプレートとが一致する又は所定程度類似するか否かの可否判定を行い、判定結果として「可」又は「否」をSRAM243に記憶させる。本実施形態では、最大4つの勾配平均画像テンプレートを用いるため、最大4つの判定結果をSRAM243に記憶させる。また、勾配平均画像テンプレート比較処理では、勾配平均判定結果をSRAM243に記憶させる。ここで、最大4つのテンプレートに対する判定結果として1つでも「可」が記憶されている場合には、勾配平均判定結果として「可」がSRAM243に記憶され、全て「否」が記憶されている場合には、勾配平均判定結果として「否」がSRAM243に記憶される。したがって、1回の勾配平均画像テンプレート比較処理において、最大4つの勾配平均画像テンプレートに対する最大4つの判定結果と、これらの判定結果に基づく1つの勾配平均判定結果が記憶される。
例えば、画像認識DSP回路242は、取得した勾配平均画像データと勾配平均画像テンプレートとの各画素における輝度を比較し(差分を算出し)、差分値からこれらの画素の輝度が一致するか否か又は差分が所定の範囲以内かを判定し、一致する又は差分が所定範囲内の画素が一定数以上ある場合は、勾配平均画像データと勾配平均画像テンプレートとが一致する又は所定程度類似すると判定する。一方、一致する画素が一定数に満たない場合は、勾配平均画像データと勾配平均画像テンプレートとが一致又は所定程度類似しないと判定する。
(2)HOGテンプレート比較処理
HOGテンプレート比較処理において、画像認識DSP回路242は、判定対象ヒストグラム記憶領域から判定対象のヒストグラム一式を取得する。次いで、取得したヒストグラム一式と、SRAM243に記憶されているHOGテンプレートとが一致する又は所定程度類似するか否かの可否判定を行い、判定結果として「可」又は「否」をSRAM243に記憶させる。本実施形態では、最大4つのHOGテンプレートを用いるため、最大4つの判定結果をSRAM243に記憶させる。また、HOGテンプレート比較処理では、HOG判定結果をSRAM243に記憶させる。ここで、最大4つのテンプレートに対する判定結果として1つでも「可」が記憶されている場合には、HOG判定結果として「可」がSRAM243に記憶され、全て「否」が記憶されている場合には、HOG判定結果として「否」がSRAM243に記憶される。したがって、1回のHOGテンプレート比較処理において、最大4つのHOGテンプレートに対する最大4つの判定結果と、これらの判定結果に基づく1つのHOG判定結果が記憶される。
なお、取得したヒストグラム一式と、HOGテンプレートとの一致又は類似度の判定は、上述したHOGテンプレート生成処理におけるヒストグラム一式同士の一致又は類似度の判定と同様のため、ここではその説明を省略する。
以上のように、勾配平均画像テンプレート比較処理及びHOGテンプレート比較処理を行う画像認識DSP回路242は、メダルレール210上を通過した物体が正規メダルであるか否かを判定する遊技媒体判定手段を構成する。
<GPIO>
GPIO250(図18参照)は、メダルセレクタ201に接続されている各機器との入出力のためのデバイスである。例えば、GPIO250のメダルカウント出力PORT及びメダル判定出力PORTが、ドア中継端子板68を介して、主制御回路91に接続されている。また、GPIO250のLED制御出力PORTが、LED233に接続され、メダルセレクタ201によるLED233の点灯及び消灯制御が可能となっている。
<ホストコントローラ>
ホストコントローラ241は、制御LSI234を構成する各デバイス、例えばメダルカウント回路246、カラー認識回路247、魚眼補正スケーラ回路248、画像認識DSP回路242、画像認識アクセラレータ回路249、GPIO250の制御を行う。
また、ホストコントローラ241は、GPIO250を介して、LED233へ点灯指示や消灯指示に係る信号を出力する。また、ホストコントローラ241は、GPIO250を介して、SRAM243に記憶されているカウント処理に係る判定結果、すなわち、「メダルが通過した」、「メダルがメダルシュート202に案内された」、及び、「異常が発生した」、のいずれかの判定結果を出力する。具体的には、判定結果が「メダルが通過した」である場合は、メダルカウント出力PORTからメダルカウント信号を出力し、「異常が発生した」である場合は、メダル判定出力PORTからメダル異常信号を出力する。また、色判定処理に係る判定結果を出力する。具体的には、閾値判定処理の判定結果として「閾値判定不可」がSRAM243に記憶されている場合、又は、色判定結果として「否」が記憶されている場合、GPIO250に割り付けられたメダル判定出力PORTからメダル異常信号を、所定の出力条件が成立したときに出力する。また、画像認識DSP回路242による判定処理に係る判定結果を出力する。具体的には、SRAM243に、勾配平均判定結果、又は、HOG判定結果として「否」が記憶されている場合に、GPIO250に割り付けられたメダル判定出力PORTからメダル異常信号を、所定の出力条件が成立したときに出力する。
上記所定の出力条件は、適宜設定可能である。例えば、所定の出力条件を、SRAM243にカウント処理の判定結果として、「異常が発生した」が記憶されたとき、と設定してもよい。また、SRAM243に、閾値判定処理の判定結果として「閾値判定不可」が、連続して、又は、累計で、規定数(例えば、10回)以上、記憶されたとき、と設定してもよい。また、SRAM243に、勾配平均判定結果、又は、HOG判定結果として「否」が、連続して、又は、累計で、規定数(例えば、10回)以上、記憶されたとき、と設定してもよい。
なお、SRAM243には、バックアップ電源(不図示)が接続されており、パチスロ1の電源切断時も一定期間(例えば、1週間程度)はSRAM243に記憶された内容は保持される。また、ホストコントローラ241は、GPIO250を介して、メダルセレクタ201の任意の場所(例えば、第1の基板231の近辺)に設けられた、スイッチ基板(不図示)上に配置された初期化スイッチ(不図示)によりSRAM243に記憶された各種テンプレート、例えば、色テンプレート、勾配平均画像テンプレート、HOGテンプレート、を消去可能となっている。具体的には、初期化スイッチを押下した状態でパチスロ1の電源を投入することで、ホストコントローラ241の初期化処理時に、SRAM243の各種テンプレートが記憶されている領域を初期化(0の値を書き込む)、すなわち各種テンプレートを消去する。
<フラッシュメモリ>
フラッシュメモリ244には、制御LSI234を構成する各種デバイス、例えば、ホストコントローラ241、画像認識DSP回路242、魚眼補正スケーラ回路248、画像認識アクセラレータ回路249が各種処理に用いるパラメータや各種処理に必要なデータが記憶されている。
<制御LSIの処理フロー>
次に、制御LSI234が行う処理について、図34を参照して説明する。図34は、制御LSI234が行う処理を説明するための処理フロー図である。
図34に示すように、制御LSI234では、大きく分けて入力処理、変換処理、色判定処理、カウント処理及び刻印判定処理が行われる。
<入力処理>
入力処理は、ISI回路251によって行われる。入力処理において、ISI回路251は、上述したとおり、CMOSイメージセンサ232からLVDS方式で送信された画像データをRGBベイヤ画像に変換して、ISP回路245に出力する。
<変換処理>
変換処理は、ISP回路245によって行われる。変換処理において、ISP回路245は、ISI回路251から出力されたRGBベイヤ画像にレンズ歪み補正処理と射影変換(ホモグラフィ)処理を施す画像補正処理を行う。次いで、ISP回路245は、補正後のRGBベイヤ画像を、YUV画像データに変換し、グレースケール画像データをメダルカウント回路246に出力する色変換処理を行う。また、RGBベイヤ画像を、HSV画像データに変換し、このHSV画像データをカラー認識回路247に出力する色変換処理を行う。
変換処理の後、制御LSI234は、色判定処理、カウント処理、刻印判定処理を行う。なお、これらの処理は、各々の処理を実行する回路が別々の回路として構成されているため、各々の実行可能なタイミングで、並列的に実行される。
<色判定処理>
色判定処理は、カラー認識回路247によって行われる。色判定処理には、メダル検出処理、閾値判定処理、彩度・色相乗算処理、色テンプレート生成処理、及び、色テンプレート比較処理が含まれる。
まず、カラー認識回路247は、ISP回路245から受信したHSV画像データにメダルの画像が含まれているか否かを判別するメダル検出処理を行う。HSV画像データにメダルの画像が含まれていると判別した場合、カラー認識回路247は、このHSV画像データに基づいて、閾値判定処理を行う。閾値判定処理において、平均彩度値と、平均色相値とに基づく閾値グラフ(図21参照)上の位置が許容領域内の場合は、色判定処理を継続する。一方、非許容領域内の場合は、判定結果として、「閾値判定不可」をSRAM243に記憶させ、色判定処理を終了する。
閾値判定処理後、カラー認識回路247は、彩度・色相乗算処理を行い、色判定用データを作成する。そして、作成した色判定用データと、色テンプレートとを比較し、一致又は所定程度類似するか否かを判定し、判定結果をSRAM243に記憶させる。
なお、電源投入後に投入されたメダルが規定初期投入枚数、本実施形態では50枚に達するまでは、色テンプレートが生成されていないため、色テンプレート比較処理は実行されない。
また、カラー認識回路247は、電源投入後に投入されたメダルが規定初期投入枚数の50枚に達し、色判定用データ記憶領域に記憶された色判定用データが50個に達すると、すなわち50枚のメダルに係る色判定用データが作成されると、色テンプレート生成処理を実行する。
<カウント処理>
カウント処理は、メダルカウント回路246によって行われる。カウント処理には、メダル検出処理と、順序判定処理が含まれる。メダル検出処理には、上述したメダル画像判別処理及びメダル位置検出処理が対応する。メダル検出処理において、メダルカウント回路246は、受信したグレースケール画像データに、メダルの画像が含まれているか否かを判別する。また、受信したグレースケール画像データにおける所定の判定領域にメダル画像が存在するか否かを判別し、判別結果(「IN」,「OUT」,「ON」,「OFF」のデータ)をSRAM243に記憶させる。
順序判定処理において、メダルカウント回路246は、時系列的に並ぶ所定の数のグレースケール画像データにおいて、各判定領域についての「IN」,「OUT」,「ON」,「OFF」のデータの遷移の態様が所定の遷移の態様と一致しているか否かを判定する。そして、判定結果として、「メダルが通過した」、「メダルがメダルシュート202に案内された」又は「異常が発生した」のいずれかをSRAM243に記憶させる。さらに、SRAM243に「メダルが通過した」と記憶された場合には、ホストコントローラ241は、GPIO250に割り付けられたメダルカウント出力PORTから、メダルカウント信号を出力する。このメダルカウント信号によって、主制御回路91は、メダルが投入されたことを検知し、投入枚数又はクレジット枚数の加算カウントを行う。
<刻印判定処理>
刻印判定処理は、魚眼補正スケーラ回路248によって行われる魚眼補正処理及びイコライズ処理、並びに、画像認識DSP回路242によって行われる円領域検出処理、フィルタ処理、勾配平均画像テンプレート比較処理及びHOGテンプレート比較処理が含まれる。また、画像認識アクセラレータ回路249によって行われる回転画像生成処理、勾配平均画像データ生成処理、勾配平均画像テンプレート生成処理、極座標変換処理、Scharr変換処理、HOG変換処理、HOGテンプレート生成処理が含まれる。
魚眼補正処理において、魚眼補正スケーラ回路248は、SRAM243からグレースケール画像データを取得し、取得したグレースケール画像データを魚眼補正する魚眼補正処理を行う。次いで、イコライズ処理において、魚眼補正スケーラ回路248は、魚眼補正処理を行ったグレースケール画像データに対して、イコライズ処理を行い、縮小画像データを作成し、SRAM243に記憶させる。
ホストコントローラ241は、カウント処理においてメダルレール210上をメダルが通過したと判定された場合、刻印判定処理における円領域検出処理以降の処理の実行を画像認識DSP回路242及び画像認識アクセラレータ回路249に指示する。
円領域検出処理において、画像認識DSP回路242は、縮小画像データをSRAM243から取得し、縮小画像データから円領域を検出する。また、フィルタ処理において、画像認識DSP回路242は、検出した円領域について、非線形拡散フィルタ処理を施してエッジ画像XYを作成し、SRAM243に記憶させる。
次いで、回転画像生成処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243からエッジ画像XYを取得し、エッジ画像XYから360度分の回転画像を生成する。また、勾配平均画像データ生成処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、360度分の回転画像を累積加算して(重ね合わせて)、勾配平均画像データを生成し、勾配平均画像データをSRAM243に記憶させる。なお、画像認識アクセラレータ回路249は、勾配平均画像データを、勾配平均画像テンプレートを生成する前は、勾配平均画像テンプレート生成用データ記憶領域に記憶させ、勾配平均画像テンプレートを生成した後は、判定対象勾配平均画像データ記憶領域に記憶させる。
次いで、勾配平均画像テンプレート比較処理において、画像認識DSP回路242は、判定対象の勾配平均画像データと勾配平均画像テンプレートとが一致する又は所定程度類似するか否かを判定し、判定結果をSRAM243に記憶させる。ここで、勾配平均画像テンプレート比較処理の実行時に、勾配平均画像テンプレートが生成されていない場合(本実施形態では、電源投入後に投入されたメダルが50枚に満たない場合)は、勾配平均画像テンプレート比較処理は実行されない。
なお、上述したように、電源投入後に投入されたメダルが規定初期投入枚数の50枚に達し、SRAM243の勾配平均画像データ生成用データ記憶領域に50個の勾配平均画像データが記憶されたタイミングで、画像認識アクセラレータ回路249は、勾配平均画像テンプレート生成処理を行う。
また、回転画像生成処理に並行して、画像認識アクセラレータ回路249は、極座標変換処理を行う。極座標変換処理において、SRAM243からエッジ画像XYを取得し、取得したエッジ画像XYについて、直交座標を極座標に変換し、極座標画像データを作成し、極座標画像データをSRAM243に記憶させる。
次いで、Scharr変換処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243から極座標画像データを取得し、非線形拡散フィルタ処理を行いエッジ極座標画像Xとエッジ極座標画像Yを作成する。
次いで、HOG変換処理において、画像認識アクセラレータ回路249は、エッジ極座標画像Xとエッジ極座標画像Yに基づいてエッジ勾配画像を作成し、作成したエッジ勾配画像にHOG変換を施し、局所領域毎に局所領域内の輝度の勾配方向のヒストグラムを、作成する。そして作成したヒストグラム一式をSRAM243に記憶させる。なお、画像認識アクセラレータ回路249は、ヒストグラム一式を、HOGテンプレートを生成する前は、HOGテンプレート生成用データ記憶領域に記憶させ、HOGテンプレートを生成した後は、判定対象ヒストグラム記憶領域に記憶させる。
次いで、HOGテンプレート比較処理において、画像認識DSP回路242は、判定対象のヒストグラム一式と、SRAM243に記憶されているHOGテンプレートとが一致する又は所定程度類似するか否かを判定する。そして、判定結果をSRAM243に記憶させる。なお、HOGテンプレートが生成されていない場合(本実施形態では、電源投入後に投入されたメダルが50枚に満たない場合)は、HOGテンプレート比較処理は実行されない。
なお、上述したように、電源投入後に投入されたメダルが50枚に達し、SRAM243のHOGテンプレート生成用データ記憶領域に50セットのヒストグラム一式が記憶されたタイミングで、画像認識アクセラレータ回路249は、HOGテンプレート生成処理を行う。
<制御LSIの処理のタイミング>
次に、図35を参照して、制御LSI234が行う、各種処理のタイミングについて、説明する。
図35は、制御LSI234を構成するデバイスであるホストコントローラ241、ISP回路245、メダルカウント回路246、カラー認識回路247における処理の関係を時系列的に示している。各デバイス名の下方に延在する線における比較的太線の部分は、そのデバイスが上述した各種処理を行っている状態であることを示している。
また、各デバイスに対応する線の間の破線矢印は、各デバイス間で入出力される信号を示している。また、ホストコントローラにおける「IN」の下方に延在する線と「OUT」の下方に延在する線との間の破線矢印は、ホストコントローラ241が検知した信号とホストコントローラ241から出力される信号との対応関係を示している。
まず、CMOSイメージセンサ232(図17参照)が画像データを制御LSI234に出力すると、ISP回路245は、ISI回路251を介して画像データを取得(受信)し、VSYNC(Vertical Synchronization)割込信号♯0(1IH)を、ホストコントローラ241に出力する。また、ISP回路245は、RGBベイヤ画像を各種フォーマットに変換する変換処理を行う。そして、グレースケール画像データ、HSV画像データをSRAM243、メダルカウント回路246、カラー認識回路247に出力する。なお、変換処理の詳細な説明については上述したため省略する。
ホストコントローラ241は、VSYNC割込信号♯0が入力されると、所定時間経過後に、カラー認識回路247と、メダルカウント回路246に起動要求信号(1HC,1HM)を出力する。なお、この所定時間は、実験やシミュレーションに基いて、ISP回路245における変換処理の所要時間よりも長く設定されている。
カラー認識回路247は、起動要求信号が入力されると、また、ISP回路245からHSV画像データが入力されると色判定処理を行い、判定結果をSRAM243に記憶させ、また、ホストコントローラ241に色判定割込信号(1CH)を出力する。なお、色判定処理の詳細な説明については上述したため省略する。
メダルカウント回路246は、起動要求信号が入力されると、また、ISP回路245からデータが入力されるとカウント処理を行い、判定結果をSRAM243に記憶させ、また、ホストコントローラ241にメダルカウント割込信号(1MH)を出力する。なお、カウント処理の詳細な説明については上述したため省略する。
ホストコントローラ241は、色判定割込信号及びカウント割込信号を検知すると、SRAM243からカウント処理の判定結果を取得する。そして、判定結果として、「メダルが通過した」、「メダルがメダルシュート202に案内された」、及び、「異常が発生した」、のいずれかが記憶されているか否かを判別する。そして、いずれも記憶されていない場合は、ホストコントローラ241は、判定結果を、GPIO250を介して主制御基板71(主制御回路91)に出力する処理を省略する。ここで、本実施形態では、上述したように、カウント処理の順序判定処理においては、SRAM243上に複数のグレースケール画像データの各判定領域におけるデータの遷移の態様が記憶されていることを要するため、少なくともメダルカウント回路246が受信したグレースケール画像データの数が所定数(14又はメダルが投入不可の場合は4)に達するまでは、判定結果を主制御基板71に出力する処理は省略される場合がある。
図35に示す、VSYNC割込信号♯1〜4(2IH〜5IH)の入力を契機とする各デバイスの処理のタイミング及び信号の入出力については、上述したVSYNC割込信号♯0の入力(1IH)を契機とする各デバイスの処理のタイミング及び信号の入出力と同様のため、ここでは説明を省略する。
次に、図35に示す、電源投入後n回目のVSYNC割込信号であるVSYNC割込信号♯n(nIH)の入力を契機とする各デバイスの処理のタイミング及び信号の入出力について、説明する。なお、ISP回路245が、VSYNC割込信号♯nを、ホストコントローラ241に出力してから(nIH)、ホストコントローラ241が、SRAM243からカウント処理の判定結果を取得するまでの処理及び信号の入出力については、上述したVSYNC割込信号♯0(1IH)の入力を契機とする各デバイスの処理のタイミング及び信号の入出力と同様のためここでは説明を省略する。
ホストコントローラ241は、カウント処理の判定結果として、「メダルが通過した」、「メダルがメダルシュート202に案内された」、及び、「異常が発生した」、のいずれかが記憶されていた場合、SRAM243から当該判定結果と、色判定処理の判定結果を取得し、これらの判定結果を、GPIO250の割り付けPORTに出力する(nHG)。すなわちホストコントローラ241は、カウント判定処理の判定結果及び色判定処理の判定結果を、GPIO250を介して主制御基板71(主制御回路91)に出力する。なお、ここで出力される色判定処理の判定結果は、複数の場合がある。
また、ホストコントローラ241は、カウント処理の判定結果が「メダルが通過した」である場合、遊技機に投入されたメダルが規定初期投入枚数、本実施形態では50枚に達するまでの各メダルに係る色判定用データを生成するため、所定時間前のHSV画像データを用いて、色判定用データを生成するように、カラー認識回路247に指示する。また、ホストコントローラ241は、所定時間前の縮小画像データを用いて、前処理を行うよう、画像認識DSP回路に指示する。
また、ホストコントローラ241は、主制御基板71に出力した判定結果を、SRAM243から削除する。
カウント処理の判定結果が「メダルが通過した」である場合、主制御回路91のメインCPU93は、GPIO250のメダルカウント出力PORTから出力されたメダルカウント信号を検出して、投入されたメダルの枚数をメインCPU93が計数するために設けられたカウンタである投入枚数カウンタの値に1加算する。なお、投入枚数カウンタの値が最大値(例えば、3)の場合は、クレジットされているメダルの枚数をメインCPU93が計数するために設けられたカウンタであるクレジットカウンタの値に1加算する。クレジットカウンタが最大値(例えば、50)の場合は、主制御回路91は、メダルセレクタ201のメダルソレノイド208をOFF状態に設定する。これによって、セレクトプレート207が「排出位置」に位置付けされ、メダルが投入不可となり、クレジットカウンタが最大値となった後で投入されたメダルをメダルシュート202に案内してメダル払出口32からメダルトレイユニット34に排出する。本実施形態では、投入枚数カウンタの値が規定値(例えば、2又は3)のときに、スタートレバーが操作されると、メインCPU93は上述の内部抽籤処理を行う。
また、色判定処理の判定結果が「閾値判定不可」の場合や、色判定結果が「否」の場合、また、カウント判定結果が「異常が発生した」である場合に、GPIO250のメダル判定出力PORTから所定の出力条件が成立したときに出力されるメダル異常信号(図35のJudgement)により、主制御回路91は、遊技機に正規の遊技媒体が用いられていると誤認させて遊技を行う不正行為があったことを検知する。そして、不正行為があった場合の種々の処理を行う。ここで、不正行為があった場合の種々の処理とは、例えば、主制御回路91が遊技を強制的に中断させ、7セグ表示器24にエラーコードを表示するとともに、副制御回路101にエラーコマンドを送信して、副制御回路101を介して、不正行為があった旨を報知する(例えば、液晶表示装置11に不正行為が発生した旨を表示する)処理である。
次に、図36を参照して、制御LSI234が行う、その他の処理のタイミングについて、説明する。
図36は、制御LSI234を構成するデバイスであるホストコントローラ241、ISP回路245、魚眼補正スケーラ回路248、画像認識DSP回路242、画像認識アクセラレータ回路249における処理の関係を時系列的に示している。なお、図36における各種表記の意味は、図35と同様のため、ここでは説明を省略する。また、図36は、電源投入後m回目のVSYNC割込信号であるVSYNC割込信号♯mがISP回路245から出力された以降の処理のタイミングについて示している。
まず、CMOSイメージセンサ232(図17参照)が画像データを制御LSI234に出力すると、ISP回路245は、ISI回路251を介して画像データを取得(受信)し、VSYNC(Vertical Synchronization)割込信号♯m(1IH)を、ホストコントローラ241に出力する。また、ISP回路245は、RGBベイヤ画像を各種フォーマットに変換する変換処理を行う。そして、グレースケール画像データをSRAM243に記憶させる。なお、変換処理の詳細な説明については上述したため省略する。
ホストコントローラ241は、VSYNC割込信号♯mが入力されると、ISP回路245の変換処理の終了を検出し、変換処理が終了したタイミングで、魚眼補正スケーラ回路248に起動要求信号(1HG)を出力する。なお、この所定時間は、実験やシミュレーションに基いて、ISP回路245における変換処理の所要時間よりも長く設定されている。
魚眼補正スケーラ回路248は、起動要求信号が入力されると、グレースケール画像データをSRAM243から取得し、魚眼補正処理及びイコライズ処理を行い、作成した縮小画像データをSRAM243に記憶させ、また、ホストコントローラ241に縮小終了割込信号(1GH)を出力する。なお、魚眼補正処理及びイコライズ処理の詳細な説明については上述したため省略する。
ホストコントローラ241は、前回の縮小終了割込信号が入力されてから今回の縮小割込信号が入力されるまでに主制御回路91に「メダルが通過した」というカウント処理の判定結果を出力したことを条件に、画像認識DSP回路242に前処理の開始を指示する信号(1HD)を入力する。なお、前処理の開始を指示する条件に、主制御回路91に出力した色判定処理の判定結果に、「閾値判定不可」、又は、4つの色テンプレートいずれにも一致又は所定程度類似しない、が含まれていないこと、すなわちいずれかの色テンプレートと一致又は所定程度類似しているという判定結果が含まれていることを条件に加えてもよい。
画像認識DSP回路242は、ホストコントローラ241から上記信号が入力されると、前処理を行う。前処理は、上述のように、円領域検出処理とフィルタ処理からなり、前処理で作成したエッジ画像XYをSRAM243に記憶させ、ホストコントローラ241に前処理終了割込信号(1DH1)を出力する。なお、前処理の詳細な説明については上述したため省略する。
ホストコントローラ241は、前処理完了割込信号が入力されると、画像認識アクセラレータ回路249に、補正処理の開始を指示する信号(1HA)を出力する。ここで補正処理とは、上述した回転画像生成処理、勾配平均画像データ生成処理、極座標変換処理、Scharr変換処理、HOG変換処理である。なお、これらの処理の詳細な説明については上述したため省略する。
画像認識アクセラレータ回路249は、ホストコントローラ241から上記信号が入力されると、補正処理を行う。そして、生成した勾配平均画像データを、勾配平均画像テンプレートを既に生成していた場合は、SRAM243の判定対象勾配平均画像データ記憶領域に記憶させ、一方、勾配平均画像テンプレートを未だ生成していない場合は、勾配平均画像テンプレート生成用データ記憶領域に記憶させる。また、生成したヒストグラム一式を、HOGテンプレートを既に生成していた場合はSRAM243の判定対象ヒストグラム記憶領域に記憶させ、一方、HOGテンプレートを未だ生成していない場合は、HOGテンプレート生成用データ記憶領域に記憶させる。
次いで、画像認識アクセラレータ回路249は、勾配平均画像テンプレートとHOGテンプレートを既に生成していた場合は、画像認識DSP回路242に補正処理終了割込信号(1AD)を出力する。一方、勾配平均画像テンプレートとHOGテンプレートを未だ生成していない場合は、画像認識DSP回路242に補正処理終了割込信号を出力する処理を省略する。なお、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243の勾配平均画像データ生成用データ記憶領域に50個の勾配平均画像データが記憶されると、勾配平均画像テンプレート生成処理を行う。また、画像認識アクセラレータ回路249は、SRAM243のHOGテンプレート生成用データ記憶領域に50セットのヒストグラム一式が記憶されると、HOGテンプレート生成処理を行う。
画像認識DSP回路242は、補正処理終了割込信号が入力されると、刻印判定処理を行う。ここでの刻印判定処理は、勾配平均画像テンプレート比較処理とHOGテンプレート比較処理からなる。具体的には、画像認識DSP回路242は、SRAM243の判定対象勾配平均画像データ記憶領域から勾配平均画像データを取得し、勾配平均画像テンプレートと比較する勾配平均画像テンプレート比較処理を行う。そして、勾配平均画像テンプレート比較処理の判定結果を、SRAM243に記憶させる。また、SRAM243の判定対象ヒストグラム記憶領域からヒストグラム一式を取得し、HOGテンプレートと比較するHOGテンプレート比較処理を行う。そして、HOGテンプレート比較処理の判定結果を、SRAM243に記憶させる。その後、画像認識DSP回路242は、刻印判定終了割込信号(1DH2)をホストコントローラ241に出力する。
ホストコントローラ241は、刻印判定終了割込信号が入力されると、SRAM243に記憶されている刻印判定処理の判定結果として、勾配平均判定結果及びHOG判定結果を取得する。また、ホストコントローラ241は、取得した勾配平均判定結果として「否」が記憶されている場合、又は、HOG判定結果として「否」が記憶されている場合、上述した所定の出力条件が成立したときに、GPIO250のメダル判定出力PORTからメダル異常信号(図36のJudgement)を主制御回路91に出力する(1HG)。すなわちホストコントローラ241は、刻印判定処理の判定結果を、GPIO250を介して主制御基板71(主制御回路91)に出力する。また、ホストコントローラ241は、主制御基板71に出力した刻印判定処理の判定結果を、SRAM243から削除する。なお、本実施形態では、色判定処理の判定結果の主制御回路91への出力と、刻印判定処理の判定結果の主制御回路91への出力は、GPIO250の同じ出力PORTを割り付けているが、これに限らず、別々の出力PORTに割り付けてもよい。この場合、主制御回路91は、色判定処理の判定結果に基づくメダル異常信号か、刻印判定処理の判定結果に基づくメダル異常信号か、を判別することができる。
主制御回路91は、入力された刻印判定処理の判定結果、すなわち勾配平均判定結果及びHOG判定結果のいずれかが「否」である場合、遊技機に正規の遊技媒体が用いられていると誤認させて遊技を行う不正行為があったことを検知する。そして、不正行為があった場合の種々の処理を行う。ここで、不正行為があった場合の種々の処理とは、例えば、主制御回路91が遊技を強制的に中断させ、7セグ表示器24にエラーコードを表示するとともに、副制御回路101にエラーコマンドを送信して、副制御回路101を介して、不正行為があった旨を報知する(例えば、液晶表示装置11に不正行為が発生した旨を表示する)処理である。
なお、図36では、VSYNC♯mに続く、VSYNC♯m+1,VSYNC♯m+2,VSYNC♯m+3,VSYNC♯m+4,VSYNC♯m+5,VSYNC♯m+6を契機とする各種処理について、上述したVSHYC♯mを契機とする各種処理と同様のものについては、当該処理に応じて出力される各種信号に先頭の数字のみ変更する符号を付し、詳細な説明を省略する。
ここで、魚眼補正スケーラ回路248からホストコントローラ241に縮小終了割込信号(2GH,3GH,4GH,6GH)を出力する処理の後、ホストコントローラ241から画像認識DSP回路242に、前処理の開始を指示する信号を出力する処理が行われていない。
これは、ホストコントローラ241が、前回の縮小終了割込信号が入力されてから今回の縮小割込信号が入力されるまで、主制御回路91に「メダルが通過した」というカウント処理の判定結果を出力していないからである。本例では、4GHに係る縮小終了割込信号が入力されてから5GHに係る縮小終了割込信号が入力されるまでの間に、ホストコントローラ241は、主制御回路91に「メダルが通過した」というカウント処理の判定結果を出力している。このため、5GHに係る縮小終了割込信号が入力された後、ホストコントローラ241は、画像認識DSP回路242に前処理の開始を指示する信号(2HD)を出力する。
また、本実施形態においては、投入される全てのメダルについて、刻印判定処理が行われることが好ましい。しかし、ホストコントローラ241は、画像認識DSP回路242に前処理の開始を指示する信号を出力する際に、画像認識DSP回路242又は画像認識アクセラレータ回路249が処理中(ビジー状態)か否かを確認し、いずれかが処理中の場合は当該信号を出力せず、また、いずれも処理中でない場合に、当該信号を出力するようにしてもよい。この場合、連続して投入されたメダルについて、間歇的に刻印判定処理を行うことになる。例えば、連続して3枚のメダルが投入された場合は、1枚目と3枚目について刻印判定処理を行うことになる。
図35及び図36に示した、制御LSI234における各デバイスの処理タイミングは、例示に過ぎない。各デバイスの処理能力や処理内容・処理手順に応じて、様々な処理タイミングで正規メダル判別処理が行われうる。
<第1の作用>
本実施形態のパチスロ1では、カラー認識回路247が行う、CMOSイメージセンサ232から出力された画像データに基づく色判定処理の結果に、「閾値判定不可」、又は、4つの色テンプレートいずれにも一致又は所定程度類似しない、が含まれている場合、すなわち、投入されたメダルの色が正規メダルの色と一致しない場合、主制御回路91は、遊技機に正規の遊技媒体が用いられていると誤認させて遊技を行う不正行為があったことを検知する。
また、CMOSイメージセンサ232から出力された画像データに基づくカウント処理の結果が「異常が発生した」である場合、主制御回路91は、遊技機に正規の遊技媒体が用いられていると誤認させて遊技を行う不正行為があったことを検知する。
また、画像認識DSP回路242が行う、CMOSイメージセンサ232から出力された画像データに基づく刻印判定処理の結果(本実施形態では、勾配平均判定結果、又は、HOG判定結果)が「否」である場合、すなわち投入されたメダルの刻印と正規メダルの刻印が異なる場合、主制御回路91は、遊技機に正規の遊技媒体が用いられていると誤認させて遊技を行う不正行為があったことを検知する。
したがって、主制御回路91は、特殊な器具をメダル投入口に挿入して行われる不正行為や、正規メダルと同径で色や刻印(模様)のみ異なるメダルを使用して行われる不正行為を、精度よく検知することができる。
そして、不正行為があったことを検知すると、主制御回路91は、遊技を強制的に中断させ、副制御回路101を介して、不正行為があった旨を報知する。したがって、上記不正行為による被害の拡大を抑えることができる。
<第2の作用>
また、本実施形態のパチスロ1では、メダルセレクタ201の制御LSI234が、電源投入後、投入されたメダルが規定初期投入枚数、本実施形態では50枚に達するまでのメダルレール210上を通過するメダルを含む画像に基づいて、色判定処理に用いられる色テンプレートを生成する。また、同様に刻印判定処理に用いられる勾配平均画像テンプレート及びHOGテンプレートを生成する。
したがって、遊技店において、正規メダルとして使用するメダルの変更があった場合に、電源投入後、変更後の正規メダルを50枚連続して投入することで、変更後の正規メダルに係る色テンプレート、勾配平均画像テンプレート及びHOGテンプレートを容易に作成することができる。また、正規メダルが、例えば遊技機への投入や、払出し、また、遊技店での洗浄によって劣化し、刻印が当初よりも目立たなくなった場合でも、正規メダルの現状の状態に対応した色テンプレート、勾配平均画像テンプレート及びHOGテンプレートを生成することができるので、各種判定の結果の精度を保つことができる。
<第3の作用>
また、本実施形態のパチスロ1では、制御LSI234のメダルカウント回路246が、ISP回路245から出力されたグレースケール画像データに基づいてカウント処理を行う。メダルカウント回路246は、カウント処理における順序判定処理において、時系列的に並ぶ所定の数のグレースケール画像データについて、複数(本実施形態では16個)の判定領域についての輝度の変化に基づく「IN」,「OUT」,「ON」,「OFF」のデータの遷移の態様がメダルカウント判定表(図27参照)の遷移の態様と一致しているか否かを判定する。そして、一致している場合は、メダルレール210上を「メダルが通過した」又は「メダルがメダルシュート202に案内された」と判定する。また、判定領域Eに対して「IN」,「OUT」,「ON」のいずれかのデータが記憶されている場合は、異常が発生したと判定する。
以上のように、複数の判定領域における輝度の変化に基づいてメダルの通過などを判定するため、判定の精度を高めることができる。
また、グレースケール画像データ上に設定する判定領域の数は、許容される判定所要時間や求める判定の精度に応じ適宜設定可能である。したがって、例えば、判定の精度を更に高めるために、判定領域の数を増加させた場合でも、メダルカウント用のフォトセンサなどの部品を新たに設置する必要がない。このため、製造コストの増加を抑制することができる。
また、主制御回路91は、カウント処理の判定結果が、「異常が発生した」である場合、遊技機に正規の遊技媒体が用いられていると誤認させて遊技を行う不正行為があったことを検知する。すなわち、カウント処理の判定結果に基づいて、不正行為を検知することができる。
<第4の作用>
また、本実施形態のパチスロ1では、制御LSI234のISP回路245が、ISI回路251から出力されたRGBベイヤ画像にレンズ歪み補正処理と射影変換(ホモグラフィ)処理を施す画像補正処理を行う。
このため、カメラユニット209のレンズの特性やカメラユニット209の取り付け位置のずれが各種判別・判定処理に影響を与えないようにRGBベイヤ画像を補完し、各種判定処理の精度を高めることができる。
<第5の作用>
また、本実施形態のパチスロ1では、制御LSI234のカラー認識回路247が、閾値判定処理を行う。これによって、明らかに色相又は彩度の値が正規メダルと異なものについて、色テンプレートと一致又は所定程度類似すると誤判定されることを抑制することができる。すなわち、色テンプレートとの一致度に基づく判定に加えて、判定対象の色自体が有効な色であるか否かを判定できるので、色判定処理の判定結果の精度を高めることができる。
<第6の作用>
また、本実施形態のパチスロ1では、制御LSI234の魚眼補正スケーラ回路248が、イコライズ処理において、作成した縮小画像データそれぞれに対して、バイラテラル変換処理を行う。
これによって、グレースケール画像データのノイズを減少させ、且つ、グレースケール画像データ内のエッジを強調することができる。このため、刻印判定処理における判定結果の精度を高めることができる。
<第7の作用>
また、本実施形態のパチスロ1では、制御LSI234の画像認識アクセラレータ回路249が、HOG変換処理を行う。また、画像認識DSP回路242が、刻印判定処理において、HOG変換処理によって作成された判定対象のヒストグラム一式とHOGテンプレートとが一致する又は所定程度類似するか否かを判定する。
したがって、回転しながらメダルレール210上を通過するメダルの撮像データに対して、局所的な形状変化(幾何学的変換)に強みを有するHOG変換処理を伴う画像マッチングを行うことで、刻印判定処理の判定結果の精度を高めることができる。
<第8の作用>
本実施形態のパチスロ1では、制御LSI234の画像認識アクセラレータ回路249が、HOG変換処理の前に、極座標変換処理を行う。
これによって、正規メダルの外周領域の特徴が、HOG変換処理によって作成されるヒストグラム一式に反映され易くなる。したがって、外周領域に特徴的な刻印(模様)が施されているメダルについて、その後の刻印判定処理の判定結果の精度を高めることができる。
<第9の作用>
従来の遊技機では、投入されたメダルのカウントや、投入メダルのセレクタ内でのメダル詰まり等の検知は、主制御回路内のメインCPUが、メインROMに記憶されたプログラムを実行することによって、行われていた。しかし、本実施形態のパチスロ1では、メダルセレクタ201の制御LSI234が、これらの検知を、従来よりも高精度に行う。したがって、これらの検知のためのプログラムをメインROM94に記憶させる必要がないので、メインROM94の記憶容量が削減される。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態に係る遊技機について、その作用効果も含めて説明した。しかし、本発明の遊技機は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限り、種々の変形実施が可能である。
例えば、本実施形態では、4つの色テンプレート、勾配平均画像テンプレート及びHOGテンプレートを生成する態様を説明したが、これらテンプレートの数は、許容される判定所要時間や求める判定の精度に応じ適宜設定可能である。
また、本実施形態では、色判定処理及び刻印判定処理を投入された全てのメダルに対して実行する態様を説明した。しかし、これに限らず、メダルセレクタ201の任意の場所(例えば、第1の基板231の近辺)に、スイッチ基板を設け、スイッチ基板上に、色判定ON/OFFスイッチ、刻印判定ON/OFFスイッチを設け、スイッチの状態をホストコントローラ241が読み取ることで、色判定処理と刻印判定処理を実行するか否かを選択できるようにしてもよい。
また、本実施形態では、主制御回路91に、勾配平均判定結果として「否」が入力された場合に、又は、HOG判定結果として「否」が入力された場合に、主制御回路91が、不正行為があったことを検知する態様を説明した。しかし、これに代えて、主制御回路91に、勾配平均判定結果として「否」が入力され、且つ、HOG判定結果として「否」が入力された場合に、主制御回路91が、不正行為があったことを検知してもよい。
また、本実施形態では、SRAM243に記憶された、色テンプレート、勾配平均画像テンプレート及びHOGテンプレートが、遊技機の電源投入時に初期化スイッチを押下すると消去される態様を説明した。しかし、これに代えて、SRAM243に記憶されている各種テンプレートを消去するために任意の操作を設定してもよい。例えば、遊技機の設定の変更に連動して、SRAM243の各種テンプレートを消去してもよい。
また、メダルが投入不可の場合の順序判定処理において、SRAM243に記憶されている直近の4個のグレースケール画像データの各判定領域におけるデータの遷移の態様と、メダルカウント判定表で規定されているE1〜E4に対応するデータの遷移の態様と、が一致しない場合は、「異常が発生した」と判定し、判定結果をSRAM243に記憶してもよい。
また、本実施形態では、ホストコントローラ241が、前回の縮小終了割込信号が入力されてから今回の縮小割込信号が入力されるまでに主制御回路91に「メダルが通過した」というカウント処理の判定結果を出力したことを条件に、画像認識DSP回路242に前処理の開始を指示する態様を説明した。すなわち、カウント処理においてメダルレール210上をメダルが通過したと判定された場合、ホストコントローラ241が、刻印判定処理における円領域検出処理以降の処理の実行を画像認識DSP回路242及び画像認識アクセラレータ回路249に指示する態様を説明した。しかし、これに代えて、前回の縮小終了割込信号が入力されてから今回の縮小割込信号が入力されるまでに主制御回路91に何らかのカウント処理の判定結果(すなわち、「メダルがメダルシュート202に案内された」又は「異常が発生した」を含む)を出力したことを条件に、画像認識DSP回路242に前処理の開始を指示するようにしてもよい。
また、色判定処理における閾値判定処理を省略してもよい。
また、本発明を、遊技媒体を用いる他の遊技機、例えばパチンコに採用してもよい。