例示的な実施形態(exemplary embodiment)について、図面を参照して詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。以下に説明される複数の例示的な実施形態は、独立に実施されることもできるし、適宜組み合わせて実施されることもできる。
また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。
<第1の例示的な実施形態>
第1の例示的な実施形態において、基地局が単独でユーザ(または端末ともいう)毎のアプリケーションの品質要件を作成する。基地局は、品質要件を満たすために必要な要求無線リソースをユーザ毎に推定する。基地局は、基地局が備える各周波数バンドでの要求無線リソースを集計する。基地局は、集計結果に基づいて周波数バンド再選択制御を実施する。また、要求無線リソースに基づいて、基地局は、制御対象の端末と再接続先の周波数バンドを選択する。
図1は、第1の例示的な実施形態に係る無線通信システムの構成を示す。
本実施形態は、LTE(Long Term Evolution)またはLTE―Advancedの無線通信システムに関連する。
無線通信システムは、上位ネットワーク(NW)1と、スモールセル基地局2と、端末3から構成される。上位ネットワーク(NW)1は、例えば、インターネット網から構成される。端末3は、スモールセル基地局2と通信するように構成される。スモールセル基地局2は、複数の周波数バンドを備える。
図1の例は、説明をシンプルにするための構成が示されている。
図1において、スモールセル基地局2は、2つの周波数バンドRF1、RF2を備える。
また、端末3−1または端末3−2が、周波数バンド毎に基地局が形成するセル内に位置する。4台の端末3−1が、RF1を使用する。4台の端末3−2が、RF2を使用する。
本実施形態において、キャリアアグリゲーション技術は、適用されない。1つの端末は、1つの周波数バンドのみを使用する。
また、全ての端末3−1A〜3−1Dは、Webを閲覧していると仮定する。全ての端末3−2A〜3−2Dは動画を視聴しているものとする。ここで、1つの端末は、同時に複数のアプリケーションを使用しないものとする。
なお、図1において、スモールセル基地局と端末の台数、端末の位置、スモールセル基地局当たりの周波数バンドの数、各端末が使用するアプリケーションは一例であり、これらに限定されない。
また、スモールセルはマクロ基地局が形成する広大なマクロセル(不図示)にオーバレイされてもよい。スモールセルのカバレッジエリアの外は、マクロセルでカバーされていると仮定する。また、マクロセルとスモールセルで使用する周波数は、互いに異なっていてもよいし、同一であってもよい。本実施形態では、マクロセルとスモールセルで使用する周波数が異なるものと仮定する。
図2は、第1の例示的な実施形態の無線通信システムに含まれる構成を示す。なお、全ての端末の構成は実質的に同一であるため、図2では単一の端末3のみが示される。
スモールセル基地局2の詳細が、以下に示される。
スモールセル基地局2は、第1の送受信部201、第2の送受信部202、アプリ品質要件作成部203、集計部204、第1の選択部205、及び第2の選択部206とから構成される。
第1の送受信部201は、下り回線(ダウンリンク)において参照信号を含む制御信号またはデータ信号の送信を行うように構成される。なお、参照信号(リファレンスシグナル)は、例えば端末が基地局との通信路品質を測定するために、用いられる。
また、第1の送受信部201は、上り回線(アップリンク)の参照信号を含む制御信号またはデータ信号の受信を行うように構成される。
また、第1の送受信部201は、下り回線におけるデータの送信先となる端末を選択するように構成される。第1の送受信部201は、選択した端末に対して、周波数リソース(PRB: Physical Resource Block)及びMCS(Modulation and Coding Schemes)などを割り当てるスケジューラ、を含んでもよい。
第1の送受信部201は、複数の送受信アンテナ素子との間で送受信される信号を処理するように構成される。
第1の送受信部201は、端末毎に各セルにおける無線品質の報告条件を設定するように構成される。
第1の送受信部201は、上位NW1からの端末宛のデータを、第2の送受信部202から受信するように構成される。また、第1の送受信部201は、受信したデータをバッファに蓄積するように構成される。第1の送受信部201は、蓄積されたデータを、各端末へ無線回線を介して送信するように構成される。
第2の送受信部202は、端末宛のデータを上位NW1から有線回線を介して受信するように構成される。また、第2の送受信部202は、端末からのデータを上位NW1へ有線回線を介して送信するように構成される。
アプリ品質要件作成部203は、アプリケーション毎に、QoEを維持する所要の通信品質を満たすための要求条件(以下、アプリ品質要件または単に要件という)を作成するように構成される。この、アプリ品質要件は、ユーザ単位で作成され得る。アプリケーションは、例えば、Webアプリケーションや動画アプリケーションであってもよい。
アプリ品質要件として、例えば、スループットが用いられる。具体的には、アプリ品質要件として、ネットワークのサービス品質を示すQuality of Service(QoS)の識別指標であるQCI(QoS Class Identifier)毎に設定されるスループットの目標値が設定される。インタラクティブトラフィッククラスであるWebのQCIと、ストリーミングトラフィッククラスである動画のQCIとは、異なる値が設定される。スループットの目標値は、ユーザがアプリケーションの使用を開始した際に、基地局がQCIに基づいて作成する。なお、QCIは、基地局内部のメモリ等の記憶領域に、予め記憶されていてもよい。このQCIは、例えば、上位ネットワークに含まれるノードから予め通知されてもよい。
集計部204は、各ユーザのアプリ品質要件を用いて、ユーザ毎に、要求リソース量を推定するように構成される。集計部204は、周波数バンド毎に、接続しているユーザにおける要求リソース量を合計するように構成される。
ここで、リソースとは、周波数リソース(PRB)を示す。なお、要求リソース量とは、アプリ品質要件を満たすために必要なPRBの数に対応する。なお、要求リソース量を推定する方法と要求リソース量を合計する方法に関する詳細が、後述される。
第1の選択部205は、要求リソース量の合計値が所定の条件を満たしたときに、使用中の周波数バンドとは異なる周波数バンドを再選択させる周波数バンド再選択制御を開始し、本制御の対象となる端末の再接続先となる周波数バンドを選択するよう構成される。例えば、第1の選択部205は、要求リソース量の合計値が所定の上限値Rth(例えば全PRB数の90%に相当する量)を超過した場合に、要求リソース量の合計値がRth以下の周波数バンドの中から適切な周波数バンドを選択するよう構成される。
第2の選択部206は、要求リソース量の合計値が所定の条件を満たしたときに、使用中の周波数バンドとは異なる周波数バンドを再選択させる周波数バンド再選択制御を開始し、周波数バンドを再選択させる制御対象の端末を選択するよう構成される。例えば、要求リソース量の合計値がRthを超過した場合に、第2の選択部206は、要求リソース量に基づいて制御対象の端末を選択する。
なお、基地局が備える上記其々の構成は、少なくとも一つのプロセッサによって構成されてもよい。また、上記構成の少なくとも一つを、集積回路(IC:Integrated Circuit)として構成することもできる。また、上記構成の少なくとも一つを、少なくとも一つのプロセッサの上で動作するプログラムとして構成してもよい。
次に、端末3は、送受信部301を少なくとも有する。
送受信部301は、上り(アップリンク)の参照信号を含む制御信号またはデータ信号を送信するように構成される。また、送受信部301は、下り(ダウンリンク)の参照信号を含む基地局からの制御信号やデータ信号を受信するように構成される。送受信部301は、接続中の周波数バンドとそれ以外の周辺の周波数バンドの無線品質を測定するよう構成される。
なお、端末3は、Webや動画を表示するための出力部(不図示)を備えてもよい。出力部は、例えば、動画にかかる音声を出力するスピーカ等を含んでもよい。
無線品質は、例えば、下り参照信号の受信電力であるRSRP(Reference Signal Received Power)であってもよい。無線品質は、例えば、下り参照信号の受信品質であるRSRQ(Reference Signal Received Quality)でもよい。RSRQはRSRPを測定する周波数帯域と同一の周波数帯域における総受信電力(RSSI:Received Signal Strength Indicator)に対するRSRPの比率で定義される。RSSIには、自セルからの受信電力とともに周辺の少なくとも一つの他セルからの受信電力が含まれる。各端末は、自セルと他セルに対するRSRPとRSRQを測定することができる。
以下において、第1の例示的な実施形態の動作が示される。
図3は、スモールセル基地局2における周波数バンド再選択制御に関する動作を示す。図3の動作は、各スモールセル基地局が備える少なくとも一つの周波数バンドに対して、実施される。図3の動作は、スモール基地局が備える全ての周波数バンドに対して、実施してもよい。図3の動作は、スモール基地局が備える複数の周波数バンドのうち特定の周波数バンドのみに対して、実施してもよい。図3の動作は、所定の周期で実施してもよい。図3の動作は、所定のトリガに基づいて実施してもよい。
S101において、アプリ品質要件作成部203は、各ユーザのアプリ品質要件を取得する。
本実施形態では、各ユーザ(操作者)は1台の端末を所有していると仮定する。端末3−1を用いて、あるユーザ(操作者)はWebを閲覧している。また、端末3−2を用いて、別のユーザ(操作者)は動画を視聴している。端末3−1に対して、Webアプリケーションのスループット(単位はMbpsなど)の目標値が作成される。また、端末3−2に対して、動画アプリケーションのスループットの目標値が作成される。各アプリケーションは、QCIで識別される。
QoEを維持するために、動画アプリケーションでは、一定のビットレートで動画の再生を継続する。Webアプリケーションでは、ユーザ(操作者)が端末を操作した後できるだけ速やかにデータを取得することが要求されるため、Webのスループット目標値は、動画より大きな値に設定する。
S102において、集計部204は、各ユーザの要求リソース量を計算する。ここで、iをユーザのID、tを時間として、要求リソース量は、Rreq,i(t)と表される。
要求リソース量は、スケジューリング周期(1msec)当たりにスループットの目標値を満たすために必要なPRB数と定義する。要求リソース量は、式(1)を用いて推定される。
TPRB,i(t)[Mbps/PRB]は、ユーザiにおけるPRB当たりの無線区間のスループットの実測値をそれぞれ表す。TPRB,i(t)は、例えば、スケジューリング周期(1msec)当たりに、ユーザiに対してスケジューリングされたPRB1つ当たりの送信ビット数から求めることができる。なお、TPRB,i(t)は、時刻tにおける瞬時値でもよい。TPRB,i(t)は、図3のフローチャート動作を実施する1周期の間の平均値であってもよい。TPRB,i(t)は、図3のフローチャート動作を実施する1周期の間のトータルの値であってもよい。これは、1周期の間のトータルのPRBあたりのトータルの送信ビット数から求められる。
S103では、集計部204は、周波数バンド毎に要求リソース量の合計値を計算する。ここで、cを周波数バンドのID(またはセルのIDともいう)、tを時間として、合計値はTotRreq,c(t)と表される。
例えば、RF1に対して、全ての端末3−1の要求リソース量が合計される。RF2に対して、全ての端末3−2の要求リソース量が合計される。
合計値は、式(2)に基づき計算される。ここで、Nc(t)は周波数バンドcにおけるアプリケーション使用中のユーザ数を表す。例えば、RF1は4、RF2も4となる。
S104において、集計部204が、周波数バンド毎に、要求リソース量の合計値TotRreq,c(t)と閾値Rthを比較する。合計値がRthを上回る周波数バンドがある場合(S104でYESの場合)、S105の処理が実行される。合計値がRthを上回る周波数バンドがない場合(S104でNOの場合)、本フローチャートは終了する。なお、図1の例では、Webユーザが集中しているRF1において、合計値がRthを上回るものとする。
S105において、合計値がRthを上回った周波数バンドについて、周波数バンドの再選択制御が開始する。
図4は、図3のS105において再選択制御を開始した周波数バンドにおいて、制御対象の端末と、その端末が再接続する周波数バンドとを選択する動作、を示す。
S111において、再選択制御を開始した周波数バンド以外の周波数バンドにおいて、余裕リソース量(以下、Rrem,c(t)という)が計算される。なお、再選択制御を開始した周波数バンド以外の周波数バンドとは、S104において、要求リソース量の合計値がRthを上回らないと判定された(S104でNOと判定された)周波数バンドである。
余裕リソース量は、上限値Rthに対して余っているリソース量として定義する。余裕リソース量は、式(3)のように表現できる。
S112において、少なくとも1つの周波数バンドにおいて、余裕リソース量Rrem,c(t)が0より大きいかどうかが判定される。
Rrem,c(t)>0となる周波数バンドが存在しない場合(S112で「NO」の場合)、再接続先の周波数バンドが選択不可能であるため、本フローチャートは終了する。
Rrem,c(t)>0となる周波数バンドが存在する場合(S112で「YES」の場合)、S113の処理が実行される。
S113において、余裕リソース量Rrem,c(t)が最大である周波数バンドが、一つ選択される。ここで、余裕リソース量が所定の閾値以上の周波数バンドが、選択されてもよい。選択された周波数バンドが、端末が再接続する周波数バンドとなる。周波数バンド再選択制御を開始した周波数バンドと、端末が再接続する周波数バンドの間で要求リソース量に大きな偏りがある。なお、図1の例では、RF2が再接続先の周波数バンドとして選択される。
S114において、S113で選択した周波数バンドにおける余裕リソース量と、再選択制御を開始した周波数バンドにおける各ユーザiにおける要求リソース量との差Δiが計算される。ここで、周波数バンド再選択後において、各ユーザの要求リソース量Rreq,i(t)は再選択前と変わらないと仮定する。図3の例において、RF1とRF2は同一基地局の周波数バンドであり、無線品質がほぼ同程度と仮定できるためである。
S115において、少なくとも一つのユーザにおいて、Δiが0以上かどうかが判定される。
全てのユーザでΔiが負になる場合(S115で「NO」の場合)、選択した周波数バンドに接続を切り替えられるユーザが存在しないため、本フローチャートは終了する。
Δiが0以上となるユーザが存在する場合(S115で「YES」の場合)、S116が実行される。
S116において、Δiが最小であるユーザが、一つ選択される。選択されたユーザが制御対象となることによって、周波数バンド再選択制御を開始した周波数バンドと、それ以外の周波数バンドとの間の要求リソース量の大きな偏りを解消することができる。
S117において、S116で選択されたユーザの接続先が、S113で選択された周波数バンドに、切り替えられる。この切替は、異なる周波数を備えるセル間で行われる異周波数間ハンドオーバ(HO)に対応する。本HOは、RSRPなどのHOに必要な無線品質によらず強制的に実施される。
S118において、周波数バンド再選択制御を起動した周波数バンドと、S113で再接続先として選択した周波数バンドにおいて、要求リソース量の合計値が更新される。この段階において、S117で実施したHO処理は完了していないため、一時的な合計値として計算する。
S119において、周波数バンド再選択制御を開始した周波数バンドにおいて、S118で更新された要求リソース量の合計値が、再度Rthと比較される。
更新された合計値がRth以下の場合(S119でYESの場合)、本フローチャートを終了する。すなわち、要求リソース量が上限値Rthを上回ることによりQoEが劣化する状況が改善される。
更新された合計値が依然としてRthを超過している場合(S119でNOの場合)、S120の処理が実行される。
S120において、制御対象端末として選択したユーザの総数とユーザ数の閾値Nthとが比較される。この比較によって、S116で選択されたユーザ以外のユーザを追加で選択できるかどうかが判定される。この追加の選択は、一つのユーザだけでは要求リソース量を十分に下げることができない場合に実施される。これによって、要求リソース量をさらに低減することを試みる。
Nthは、同時に実施可能なHOの処理数の上限値に対応する。選択したユーザの総数が、Nthを上回る場合(S120でYESの場合)、HOが一度に実施不可能であるため、本フローチャートは終了する。Nth以下となる場合は(S120でNOの場合)、既にS116にて選択されたユーザを除いて、S116から制御対象端末の選択動作を再び実施する。
図5A〜図5Dは、本実施形態を実施した場合の無線リソース使用率の変化の一例を示す。
図5Aは、周波数バンドRF1にWebユーザが、周波数バンドRF2に動画ユーザがそれぞれ集中している場合における、無線リソース使用率(瞬時値)を示す。ここで、RF1における無線リソースとRF2における無線リソースは上限(100%)まで使用されている。
図5Bは、図5Aと同様の状況における所定のQoEを満足するために、必要な無線リソース使用率の要求値(要求リソース量)の一例を示す。本要求値は、要求リソース量の合計値を使用可能なPRB数で割った値に対応する。Webユーザは動画ユーザより要求値が高いものとする。
図5Bと比較すると、図5AのRF1における其々のWebユーザは、実際に使用する無線リソースが要求値を下回る。この通信が継続されると、要求した無線リソースを確保できず、QoEが劣化してしまう可能性が高い。
また、RF2における全ての動画ユーザについて、実際に使用する無線リソースが要求値を上回るため、QoEは劣化しないもののスループットが一時的に過剰になる。
図5Aおよび図5Bの状況において、本実施形態の動作を実施した場合の例が、図5C及びDに示される。ただし、図5Dでは、図5Cと統一するため、無線リソース使用率の要求値を縦軸としている。本要求値は、要求リソース量の合計値を使用可能なPRB数で割った値に対応する。
図5C及び図5Dは、図5Aおよび図5Bに対して、RF1のWebユーザの中からユーザを一つ選択して、RF2にHOさせた後の無線リソース使用率(図5C)と、無線リソース使用率の要求値(図5D)を表す。WebユーザをRF1からRF2にHOさせたことによって、RF2の無線リソース使用率の要求値を上限値(100%)以下に抑えながら、RF1における要求値を上限値以下にすることができた。この結果、動画ユーザのQoEを維持しながら、WebユーザのQoEを改善できる。
このように、たとえRF1とRF2共に無線リソースが上限まで使用されている状況であっても(図5A)、周波数バンドの切り替えによる負荷分散が実施できる。そのため、RF1におけるQoEの劣化が防止され、RF2における過剰スループットが回避され得る。
以上のように、本実施形態によれば、実際の無線リソース使用率が高い状況においても、アプリケーションが要求する無線リソース量に基づいて異周波数間HOが実施される。この結果、周波数バンド間の要求リソース量の偏りを是正し、アプリケーションの集中により低下していたQoEを改善することができる。
また、図3と4に示した手順は、プロセッサ(マイクロプロセッサ等)のコンピュータに基地局を制御するためのプログラムを実行させることによって実現可能である。すなわち、基地局制御プログラムを実行するコンピュータに、周波数バンド再選択制御の実施判断と、制御対象端末及び再接続先周波数バンドの選択処理を実施させてもよい。
なお、本実施形態では、基地局が単独で作成するアプリ品質要件として、QCIに基づくスループットの目標値を用いる例が示されたが、これに限定されない。
アプリ品質要件は、例えば、スモールセル基地局2が備えるDPI(Deep Packet Inspection)の機能に基づいてもよい。スモールセル基地局2は、上位NW1から転送された端末3宛のデータに対してDPIを行うことによって通過するパケットを検査し、通過するパケットに関するアプリケーションを識別する。例えば、識別されたアプリケーション毎にスループットの目標値が、設定される。
なお、アプリ品質要件は、QoEを維持するためにアプリケーション毎に必要なスループットに限られない。例えば、アプリ品質要件は、遅延時間、所定時間に受信する必要がある送信データサイズ、或いは、動画再生などアプリケーションの中断の時間及び中断の頻度の何れかであってもよい。例えば、データ送信遅延が所定値以下となることが要求されてもよい。
例えば、動画アプリケーションの場合、端末に動画データが十分に届いていないときは、再生中断を起こさないために、高いダウンロードのスループットが要求されることをアプリ品質要件としてもよい。一方、端末に動画データが十分ある場合(十分バッファリングされている場合)は、再生中断は起こりにくいため、低いスループットが要求されることをアプリ品質要件としてもよい。
また、例えば、Webアプリケーションの場合、端末が操作された後すぐにデータを取得するために、高いスループットが要求されることをアプリ品質要件としてもよい。
このようにアプリ品質要件は、時間的に変動する品質要件として設定され得る。
なお、本実施形態おいて、再接続先の周波数バンドとして、余裕リソース量が最大の周波数バンドが選択されたが、これに限られない。例えば、余裕リソース量が所定値以上であれば、任意の周波数バンドが選択されてもよい。
周波数バンドを選択する基準は、絶対値だけでなく相対値であってもよい。余裕リソース量を用いずに、制御対象のユーザが現在使用している周波数バンドより要求リソース量の合計値が小さい周波数バンドが、選択されてもよい。例えば、選択される周波数バンドにおける要求リソース量と、制御対象のユーザが現在使用している周波数バンドの要求リソース量との差がある場合に、上記周波数バンドの選択が行われてもよい。なお、この差に相当する相対値が、所定値を超えた場合に、上記周波数バンドの選択が行われてもよい。
なお、本実施形態では、制御対象のユーザとして、余裕リソース量と要求リソース量の差が最小のユーザが選択されたが、これに限られない。例えば、余裕リソース量を上限に要求リソース量が所定値以上であれば、任意のユーザが選択されてもよい。
余裕リソース量を用いずに、QoEの減少を防ぐために、要求リソース量と実際に用いたリソース量との差が最大のユーザが選択されてもよい。
なお、本実施形態では、再接続先の周波数バンドが選択された後に、制御対象のユーザが選択されるが、制御の順番はこれに限られない。例えば、任意に制御対象端末が選択された後に、選択された端末の要求リソース量以上の余裕リソース量がある周波数バンドが、再接続先の周波数バンドとして選択されてもよい。
なお、本実施形態において、要求リソース量が、PRBの数を用いて定義されたが、これに限られない。例えば、PRB数を周波数バンド当たりに使用可能なPRB数で割ったPRB使用率を用いて、要求リソース量が定義されてもよい。
なお、本実施形態の例において、周波数バンドが再選択された後に、各ユーザの要求リソース量は、再選択前と変わらないが、これに限られない。例えば、図3において、RF1のRSRPとRF2のRSRPとの差が所定値以上の場合は、無線品質が変化することが想定される。この場合、両者のRSRPを用いて要求リソース量を補正した上で、要求リソース量の合計値を更新してもよい。この補正とは、例えば、RSRPの差に相当する量だけMCSを補正することであってもよい。
なお、本実施形態では、端末3−1と3−2は同時に複数のアプリケーションを使用していないが、これに限られない。例えば、端末は、複数のアプリケーションを同時に使用してもよい。
この場合、要求リソース量の合計は、各ユーザの全アプリケーションを対象としてもよい。周波数バンド再選択制御における異周波数間HOは、端末単位で実施される。この場合、制御対象のユーザが複数のアプリケーションを使用している場合、それらのアプリケーションに相当する要求リソースを全てHO対象としてもよい。
また、要求リソース量の合計は、各アプリケーションを対象としてもよい。この場合、周波数バンド再選択制御における異周波数間HOは、アプリケーション単位で実施される。例えば、ある端末において複数のアプリケーションが使用されている場合、アプリケーション毎に要求リース量が計算され、計算された要求リソース量に基づき、アプリケーション単位のHOが実行されてもよい。アプリケーション単位のHOとは、あるアプリケーションを第1の周波数バンドから第2の周波数バンドに移行させることをいう。この移行の後、例えば、アプリケーションAのために第1の周波数バンドが利用され、アプリケーションBのために第2の周波数バンドが利用されることが可能となる。
<第2の例示的な実施形態>
本実施形態において、アプリ品質要件は、基地局以外の外部の中継装置にて作成される。具体的には、NW1とスモールセル基地局2との間のデータを中継する中継装置4をさらに備え、中継装置4がアプリ品質要件を作成する。
図6は、第2の例示的な実施形態の無線通信システムを示す。
図6において、無線通信システムは、上位ネットワーク1、スモールセル基地局2、端末3、中継装置4を有する。
図6は、図2に対して、スモールセル基地局2がアプリ品質要件作成部203を備えるのではなく、中継装置4がアプリ品質要件作成部401を備える点で異なっている。
図6におけるその他の構成については、図2と同様なため、その他の構成に関する説明は省略される。
中継装置4は、アプリ品質要件作成部401を有する。アプリ品質要件作成部401は、端末3にて使用されるWebや動画などのアプリケーションが必要とする通信品質を満たすための要求条件(アプリ品質要件または単に要件ともいう)を作成する。本実施形態では、説明を容易にするため、通信品質としてスループットを用いることとし、要求条件は要求スループットとして示される。
要求スループットは、アプリケーション毎にTCP(Transmission Control Protocol)レイヤにおける実際のトラフィック流量を測定することによって得られ(推定され)、時々刻々と更新される。
例えば、Webトラフィックの場合、情報ソース(閲覧対象のページ)のトラフィック流量(コンテンツサイズ)が大きいほど、要求スループットが、高く設定される。
また、動画トラフィックの場合では、トラフィック流量が大きいほど、端末により多くのデータが届いていると推定される。つまり、より多くのデータが届いていると判断された場合、動画の再生に影響ないと推定される。この場合、要求スループットが低く設定される。
なお、要求スループットの測定対象となるプロトコルは、TCPに限られない。例えば、測定対象は、UDP(User Datagram Protocol)や、他のトランスポートレイヤまたはアプリケーションレイヤのプロトコルであってもよい。
以下は、本実施形態の動作を示す。
図7は、中継装置4におけるアプリ品質要件の作成動作に関するフローチャートである。なお、図7の動作は、中継装置4によって、所定の周期で実施されてもよい。図7の動作は、所定のトリガに基づいて、任意のタイミングで実施されてもよい。
S401において、アプリ品質要件作成部401は、アプリケーションフロー毎に、アプリ品質要件を作成する。TCPレイヤにおけるトラフィック流量と、アプリケーションに応じて、要求スループットが作成される。なお、アプリ品質要件は、端末に応じて作成されてもよい。すなわち、同種のアプリケーションの場合であっても、端末が異なれば、異なるアプリ品質要件が作成され得る。
S402において、アプリ品質要件作成部401は、アプリケーションフロー毎に作成されたアプリ品質要件を、有線回線を介してスモールセル基地局に通知する。
ただし、中継装置4は、各端末3とスモールセル基地局2との接続関係(またはIPアドレスの対応関係)を把握しているとする。また、中継装置4は、アプリ品質要件の通知先となるスモールセル基地局を特定できる。また、アプリ品質要件は、レイヤ2における個別の制御情報として周期的に通知されてもよい。また、アプリ品質要件は、ユーザデータのパケットの中のヘッダ情報として随時通知されてもよい。
図8は、スモールセル基地局2における周波数バンド再選択制御に関するフローチャートを示す。
図8は、図3に対して、S101がS501に置き換わった点で異なる。図8におけるその他の動作は図3と同様であるため、その他の動作に関する説明は省略する。なお、周波数バンド再選択制御を行った後において、制御対象端末および再接続先の周波数バンドを選択する動作は、図4と同様である。
S501では、中継装置4におけるアプリ品質要件作成部401が作成したアプリ品質要件を、回線(有線回線または無線回線)を介してスモールセル基地局2が取得する。取得後、アプリ品質要件は、第2の送受信部202を介して、集計部204に転送される。
以上のように、本実施形態において、アプリケーションフロー毎のTCPレイヤのトラフィック流量に基づいて、アプリ品質要件が作成される。このため、より正確なアプリケーションの品質要件に基づく、周波数バンド再選択制御が実施される。
LTEやLTE Advancedで規定されるプロトコルは、OSI(Open Systems Interconnection)基本参照モデルにおけるレイヤ2(データリンク層)以下のプロトコルに該当する。そのため、LTEを含む無線通信システムでは、端末とアプリケーションサーバとは、TCPなど、OSI基本参照モデルにおけるレイヤ3(ネットワーク層)以上のプロトコルを用いて通信する。一方、端末と基地局は、レイヤ2以下のプロトコルを用いて通信する。従って、基地局だけでは、実際のトラフィック需要に基づくアプリ品質要件の精度が低い可能性がある。この可能性を考慮して、本実施形態では、レイヤ3以上のプロトコルを用いた通信を中継装置4が中継することにより、より正確なアプリ品質要件を作成でき、基地局は正確なアプリ品質要件を用いて周波数バンド選択を実施できる。
<第3の例示的な実施形態>
上記例示的な実施形態において、端末がどの周波数バンドにも接続されていない場合、基地局は、端末から受信する測定報告に基づいて、端末のための周波数バンドを選択する。ここで、測定報告とは、端末が測定した周波数バンドに関する受信品質(例えば、RSRP、RSRQ等)を含む。
対して、第3の例示的な実施形態では、既存の端末に関して合計された要求リソース量に基づいて、周波数バンドが選択(初期選択)される。なお、本実施形態の構成は、実施形態1と同様なため、説明は省略する。
図9は、スモールセル基地局における周波数バンドの初期選択の動作を示す。
図9の動作は、スモールセル基地局が、自局に接続されていない端末(新規端末)から、新規のバンド使用要求を受信した時に、実施される。
例えば、待ち受け状態(Idleモード)である端末がデータ通信を開始する際に送信するRRC(Radio Resource Control)Connection Setupメッセージを基地局が受信した時に、図9の動作が実施されてもよい。または、図9の動作は、データ通信中の端末が他の基地局から当該スモールセル基地局にハンドオーバしてきた時に実施されてもよい。
S601において、新規にバンド使用要求を送信した端末に対して、図4の113と同様に、余裕リソース量が最大の周波数バンドが初期選択される。なお、余裕リソース量が所定の閾値以上の周波数バンドが、選択されてもよい。
ただし、式(3)における要求リソース量の合計値は、各周波数バンドを使用中の端末のみに基づき算出される。
以上のように、本実施形態では、予め通信開始時に周波数バンド間で要求リソース量がバランスするように、周波数バンドが初期選択される。このため、要求リソース量の合計値が上限値を上回る確率が低減される。また、QoE劣化が発生する頻度が低減され得る。
<第4の例示的な実施形態>
本実施形態は、複数の周波数バンドを同時に束ねて使用するキャリアアグリゲーションに関連する。キャリアアグリゲーションにおいて、基地局は端末との間で、どの周波数帯域を使うか否か整合を取った後に、1つの周波数帯域の使用または同時に束ねられた複数の周波数帯域の使用を行うことができる。キャリアアグリゲーションにおいて、制御用のRRCコネクションを最初に張ったセルが、プライマリセルと呼ばれる。データ用のコネクションを付加的に張ったセルは、セカンダリセルと呼ばれる。プライマリセルはRSRPやRSRQなどの受信品質が最大となるセルである。プライマリセル以外で受信品質が所定レベル以上となるセルが、セカンダリセルとして選択される。
実施形態1から3において、全ての端末がキャリアアグリゲーションを適用せず、異周波数バンド間の強制的なHOを行うことによって、周波数バンドの再選択が実施された。
本実施形態において、キャリアアグリゲーションを適用する端末が存在する。この端末に関するセカンダリセルを解放することが、周波数バンドの再選択とする。すなわち、「セカンダリセルを使わない」選択をすることが、再選択であるとする。
なお、本実施形態の構成は、実施形態1と同様なため、説明は省略する。
なお、端末がキャリアアグリゲーションを実施可能か、どの周波数バンドを使用できるかどうか等の条件は、端末の物理的な構成に依存する。そのため、ある周波数バンドにおいて、キャリアアグリゲーションを適用する端末と適用していない端末が混在する可能性がある。例えば、キャリアアグリゲーションが実施できず、1つの周波数バンドしか使用できない端末が同一の周波数バンドに多く接続している場合、他の周波数バンドに比べてその周波数バンドにおいて要求リソース量が偏る可能性がある。
以下において、本実施形態における動作に関する詳細が示される。
まず、スモールセル基地局2における周波数バンド再選択制御の実施判定動作が、下記に示される。本実施形態に関するフローチャートは、図3と同様である。ただし、S103において、要求リソース量の合計値を計算する式(2)が異なる。
本実施形態では、合計値は式(4)のように計算する。ここで、式(2)に対する相違点は、ユーザiの周波数バンドc毎に係数α
i,cを導入した点である。係数α
i,cは、各周波数バンドcで分担する要求リソース量の分担率と定義する。その値は、0から1である。cに対する総和は1である。例えば、単純な等分配の場合、つまり、コンポーネントキャリア数が2であるとき(c=1,2)、α
i,cはcによらず0.5とする。または、RSRPなどの受信品質に基づく場合、RSRPが大きいコンポーネントキャリアほど、受信品質が良い。このため、α
i,cを大きな値に設定してもよい。または、要求リソース量に基づく場合、要求リソース量の合計値が小さいコンポーネントキャリアほど、多くのリソースを使用できるので、α
i,cを大きな値に設定してもよい。
図10は、図3の動作の後、再選択制御を開始した周波数バンドにおいて、制御対象の端末を選択する動作を示す。
S911において、条件を満たすユーザが存在するか否かが判定される。条件を満たすユーザとは、使用しているコンポーネントキャリアの数が2以上、かつ、周波数バンド再選択制御を開始したコンポーネントキャリアをセカンダリセルとして使用しているユーザである。
このユーザが存在する場合(S911でYESの場合)、セカンダリセルを解放するユーザを選択するために、S912以降の処理が実行される。
このユーザが存在しない場合は(S911でNO)、本フローチャートは終了する。
S912において、要求リソース量が最大のユーザが選択される。本ユーザが制御対象端末となる。
S913において、S912で選択したユーザに対して、本コンポーネントキャリアの使用が停止される。例えば、停止するために、本コンポーネントキャリアが解放されてもよい。例えば、スケジューラが、本コンポーネントキャリアからの無線リソース割当を禁止してもよい。
S914において、S912で選択されたユーザに対する、係数αi,cが更新される。具体的には、本コンポーネントキャリアに対するαi,cを0とし、減少した分が別のコンポーネントキャリアに割り振られる。
S915において、周波数バンド再選択制御を起動した本コンポーネントキャリアにおいて、要求リソース量の合計値が更新される。なお、S915において、S913で実施した停止処理は完了していないため、一時的な合計値として計算される。
S916において、図4のS119と同様に、本コンポーネントキャリアにおいて、S915で更新した要求リソース量の合計値が、再度Rthと比較される。更新された合計値がRth以下となる場合(S916でYESの場合)、本フローチャートは終了する。この結果、要求リソース量が上限値を上回りQoEが劣化する状況を、回復する事が可能となる。
更新した合計値が依然としてRthを超過している場合(S916でNOの場合)、S917の動作が実行される。
S917において、図4のS120と同様に、制御対象端末として選択したユーザの総数とユーザ数の閾値Nthを比較する。この比較によって、S912で選択したユーザ以外のユーザを追加で選択できるかどうかを判定する。
選択したユーザの総数がNthを上回る場合(S917でYESの場合)、本フローチャートは終了する。なお、Nthは、同時に実施可能な停止処理の上限値に対応する。選択したユーザの総数がNthを上回る場合、停止処理を一度に実施できないため、フローチャートは終了する。
Nth以下となる場合(S917でNOの場合)、選択したユーザは除いて、S912から再び制御対象端末の選択動作を実施する。
本実施形態によれば、キャリアアグリゲーションを適用する端末が存在する場合でも、上記他の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、S911でNOの場合、セカンダリセルを解放できるユーザが存在しないため、フローチャートが終了する。
ただし、セカンダリセルが解放不可能な場合、プライマリセルが切り替えられてもよい。この場合、図4と同様にして、制御対象端末と切替先のプライマリセルを選択する処理が実施される。
なお、本実施形態では、制御対象のユーザとして、要求リソース量が最大のユーザが選択される例が示されたが、これに限られない。例えば、要求リソース量が所定値以上であれば、任意のユーザが選択されてもよい。また、要求リソース量と実際に用いたリソース量との差が最大のユーザが選択されてもよい。または、使用中のコンポーネントキャリアの数が2以上のユーザの中から選択されてもよい。
なお、本実施形態では、周波数バンド再選択としてセカンダリセルを解放する例が示されたが、これに限られない。例えば、セカンダリセルの解放に加えて、実施形態1における余裕リソース量が0以上の周波数バンドに新たにセカンダリセルが追加されてもよい。
また、端末が使用するコンポーネントキャリアの数を変えずに、セカンダリセルを別の周波数バンドに切り替えてもよい。ここで、例えば「切り替え」とは、端末が第1のコンポーネントキャリアを使用した後、この第1コンポーネントキャリアを解放し、セカンダリセルとなる第2のコンポーネントキャリアを選択すること、であってもよい。
この場合、図4と同じように、制御対象端末と、切替先のセカンダリセルとなるコンポーネントキャリア(周波数バンド)を選択すればよい。
なお、制御対象端末にとっては、再接続先の周波数バンドは新たに選択せず、使用する周波数バンド(を単位とする)の数が減少する。
なお、本実施形態において、1つのコンポーネントキャリアが、一つの周波数バンドと呼ばれ得る。例えば、2GHz帯に含まれる所定の20Mhzの帯域幅を一つの周波数バンドとすることができる。また、選択されるコンポーネントキャリアは、連続帯域(Intra-band)の中から選択されてもよいし、不連続帯域(Inter-band)の中から選択されてもよい。例えば、2GHz帯のみからコンポーネントキャリアが選択され得る。また、例えば、800MHz帯と2GHz帯とからコンポーネントキャリアが選択され得る。
<第5の実施形態>
図11は、第5の例示的な実施形態の基地局装置を示す。
基地局装置1100は、複数の周波数バンドを備える。
基地局装置1100は、送受信機1101とプロセッサ1102とを有する。送受信機1101は、複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて、端末装置3と通信するように構成される。
プロセッサ1102は、端末装置3が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件に基づき、少なくとも一つの周波数バンドにおいて、該要件を満たすための無線リソースを計算するように構成される。また、プロセッサ1102は、計算された無線リソースに基づき、端末装置3のための周波数バンドを、複数の周波数バンドの中から選択するように構成される。なお、プロセッサ1102は、計算された無線リソースが所定値を超えた場合に、端末装置3のための周波数バンドを、複数の周波数バンドの中から選択するように構成されてもよい。
なお、上記要件は、プロセッサ1102によって、作成されてもよい。この場合、上記プロセッサ1102は、作成された要件を満たすような周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択するように構成されてもよい。
図12は、第5の例示的な実施形態の基地局装置の変形例を示す。
該変形例の基地局装置1200は、送受信機1201と、メモリ1202と、プロセッサ1203とを有する。
基地局装置1200は、複数の周波数バンドを備える。
送受信機1201は、複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて、端末装置3と通信するように構成される。
メモリ1202は、端末装置3が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件を記憶するように構成される。
プロセッサ1203は、少なくとも一つの周波数バンドにおいて、前記記憶された要件を満たすための無線リソースを計算するように構成される。また、プロセッサ1203は、計算された無線リソースに基づき、端末装置3のための周波数バンドを、複数の周波数バンドの中から選択するように構成される。なお、プロセッサ1203は、計算された無線リソースが所定値を超えた場合に、端末装置3のための周波数バンドを、複数の周波数バンドの中から選択するように構成されてもよい。
図13は、第5の例示的な実施形態に関連する中継装置を示す。
中継装置1300は、送信機1301と、プロセッサ1302とを有する。
中継装置1300は、複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて端末装置と通信するように構成された基地局装置と、上位ネットワークとの間の通信を中継するように構成される。
プロセッサ1302は、端末装置が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件を作成するように構成される。
送信機1301は、作成された要件を、基地局装置に、送信するように構成される。
ここで、要件は、基地局装置が、次の動作を行うことを可能にする。その動作は、要件を満たすための無線リソースを計算すること、及び、計算された無線リソースに基づき、端末装置のための周波数バンドを、複数の周波数バンドの中から選択すること、である。なお、この動作は、計算された無線リソースが所定値を超えた場合に、端末装置のための周波数バンドを、複数の周波数バンドの中から選択するようこと、であってもよい。
<第6の例示的な実施形態>
図14は、第6の例示的な実施形態を示す。
本実施形態の基地局装置1400は、送受信機1401と、プロセッサ1402とを有する。
送受信機1401は、第1の周波数バンドを用いて、端末装置が使用するアプリケーションに関する無線通信を実行する。
プロセッサ1402は、アプリケーションに要求される品質に関する情報と、無線通信の品質に関する情報とに基づき、端末装置3が接続する周波数バンドを、第1の周波数バンドから第2の周波数バンドに変更するように構成される。
<その他の実施の形態>
また、上記実施形態では、LTE方式の無線通信システムに関して説明されたが、様々な実施形態の方法および装置のうちの少なくともいくつかは、多くの非LTEおよび/または非セルラーシステムを含む広範囲の通信システムに適用可能である。例えば、上記実施形態は、UMTS (Universal Mobile Telecommunications System)方式であってもよい。また、上記実施形態は、上り回線と下り回線で異なる周波数を同時に使用するFDD (Frequency Division Duplex)方式を採用する無線通信システムであってもよい。また、上記実施形態は、上り回線と下り回線で同一の周波数を異なる時間で使用するTDD (Time Division Duplex)方式を採用する異なる無線通信システム(例えばWiFi、WiMAX(Worldwide interoperability for Microwave Access)、IEEE 802.16m)であってもよい。
上記実施形態におけるスモールセルとは、基地局が送信する低送信電力によって形成される狭いカバレッジエリア(セル)を示す。上記実施形態において、スモールセルはマクロセルにオーバレイされているとしたが、セル間の配置関係はこれに限らず、スモールセルはマクロセルよりも小さいマイクロセルにオーバレイされてもよいし、マクロセルにオーバレイされておらず、マクロセルのカバレッジ外となるエリアをカバーする関係であってもよい。なお、スモールセル基地局は、例えば、端末が密集するホットスポットや、無線品質が劣悪な場合が多い屋内に設けられてもよい。
上記実施形態は、異なるサイズや周波数(周波数帯)のセルが混在するHeterogeneous network環境で実施される周波数バンド選択に関連する。上記実施形態によれば、異なるアプリケーションのトラフィックが混在する環境下において、周波数バンド間でアプリケーションに偏りがある場合に周波数バンドを再選択することで、ユーザ体感品質QoEが改善され得る。
上述した周波数バンドとは任意の周波数帯域の少なくとも一つを含み得る。例えば、800MHz帯や2GHz帯などのすでに運用されている周波数帯域に加えて、3.5GHz帯などの高周波数帯域であってもよく、これらに限定されない。例えば、高周波数帯域が選択される場合、より高速かつ大容量の通信が可能となる。
また、キャリアグリゲーションのコンポーネントキャリアの例ように、特定周波数帯域に含まれる所定の帯域幅のことを、周波数バンドと呼んでもよい。例えば、選択される周波数バンドは、通信規格ごとまたは各オペレーターごとに割当てられた周波数帯域であってもよい。
なお、上述したQoSは、ネットワークのサービス品質を示す。例えば、QoSは、パケットロス、パケットの遅延、パケットの到着時間のゆらぎなど、通信事業者やサービス提供者から見たサービス品質の尺度であってもよい。QoEは、動画の中断時間やWebのダウンロード時間などのユーザから見たアプリケーションのサービス品質の尺度であってもよい。
なお、セルを選択することは、セルのために用いられる周波数バンドを選択することと、読み替えてもよい。
上記実施形態は、Webアプリケーションと動画アプリケーションに限定されない。上記例示的な実施形態は、アプリ品質要件の対象となりうる任意のアプリケーションを含み得る。例えば、上記実施形態は、SNS(Social Networking Service )、VoIP(Voice over IP)、ファイル交換のためアプリなどの多様なアプリケーションを含み得る。
上述した端末は、無線端末、移動端末またはユーザ端末(またはユーザ)と呼ぶこともできる。また、端末は、システム、加入者ユニット、加入者局、移動局、ワイヤレス端末、モバイルデバイス、ノード、デバイス、リモート局、リモート端末、ワイヤレス通信デバイス、ワイヤレス通信デバイス、ワイヤレス通信装置またはユーザエージェントの機能性の一部または全部を含み得る。端末は、セルラー電話、コードレス電話、セッション開始プロトコル(SIP)電話、スマートフォン、ワイヤレスローカルループ(WLL)局、携帯情報端末(PDA)、ラップトップ、タブレット、ネットブック、スマートブック、ハンドヘルド通信デバイス、ハンドヘルドコンピューティングデバイス、衛星無線、ワイヤレスモデムカードおよび/またはワイヤレスシステムを介して通信する別の処理デバイスでよい。なお、上記実施形態において、端末の操作者が1台の端末を所有している例が示されたが、これに限られない。1台の端末は、複数の操作者によって共有される場合であってもよい。
また、スモールセル基地局とは、単に、基地局と表すこともできる。基地局は、1つまたは複数のワイヤレス端末との通信に使用することができ、アクセスポイント、ノード、進化型ノードB(eNB)、または他の何らかのネットワークエンティティの機能性の一部または全部を含み得る。基地局は、エアインターフェースを介してUEと通信する。この通信は、1つまたは複数のセクタを通って起こり得る。基地局は、受信したエアインターフェースフレームをIPパケットに変換することによって、UEと、インターネットプロトコル(IP)ネットワークを含み得るアクセスネットワークの残りとの間のルータとして作用し得る。基地局は、エアインターフェース用の属性の管理を調整することもでき、ワイヤードネットワークとワイヤレスネットワークとの間のゲートウェイであってもよい。
また、上述した実施形態の方法および装置のうちの少なくとも一つによれば、スモールセルの導入または周波数帯域の拡大などによりシステムが複雑化した場合において、柔軟に無線リソースを割り当てることが可能となる。結果として、QoEを維持または向上が可能となる。
上述した実施形態の方法および装置のうちの少なくとも一つによれば、周波数バンド間の無線リソースの要求値の偏りを是正し、同一のアプリケーションの集中により低下していたQoEを改善することができる。
さらに、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。本明細書で説明したそれぞれの実施形態による機能またはステップおよび/または動作は特定の順序で実行しなくてもよい。さらに、本発明の要素は、単数形で説明または請求されていることがあるが、単数形に限定することが明示的に述べられていない限り、複数形であってもよい。
<付記>
前述の実施形態の一部または全部は、以下の各付記のようにも記載することができる。しかしながら、以下の各付記は、あくまでも、本発明の単なる例示に過ぎず、本発明は、かかる場合のみに限るものではない。
(付記1)
複数の周波数バンドを備える基地局装置と、前記基地局装置と通信するよう構成された端末装置とを備える無線通信システムにおける制御方法であって、
前記端末装置が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件に基づき、
前記複数の周波数バンドのうち少なくとも一つの周波数バンドにおいて、前記要件を満たすための無線リソースを計算し、
前記計算された無線リソースが第1の所定値を超えた場合に、前記端末装置のための周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択する、
制御方法。
(付記2)
前記第1の所定値は、
前記選択される周波数バンドにおける無線リソースと、前記選択される周波数バンド以外の周波数バンドにおける無線リソースとの差に関する値である、
付記1記載の制御方法。
(付記3)
前記計算は、
前記少なくとも一つの周波数バンドに含まれる一つの周波数バンドを用いる端末装置ごとに、前記要件を満たすためのリソース量である要求リソース量を計算すること、及び
前記少なくとも一つの周波数バンドに含まれる一つの周波数バンドごとに、前記要求リソース量を合計することによって合計値を得ること、
を含む、
付記1または2記載の制御方法。
(付記4)
前記選択は、
前記合計値が所定の条件を満足する周波数バンドを選択すること、
を含む
付記3に記載の制御方法。
(付記5)
前記所定の条件とは、
所定の閾値から前記合計値を減算したリソース量である余裕リソース量が、第2の所定値以上である、
ことである
付記4に記載の制御方法。
(付記6)
前記所定の条件とは、
前記合計値が、前記端末装置が前記選択の前に接続している周波数バンドの合計値より小さい、
ことである
付記4に記載の制御方法。
(付記7)
前記周波数バンドが選択される端末装置は、
前記合計値が前記所定の閾値を超えた前記周波数バンドを用いる、
付記3から6のいずれか一項に記載の制御方法。
(付記8)
前記選択は、
前記余裕リソース量から前記要求リソース量を減算したリソース量が第3の所定値以下となる前記端末装置を選択することを、
を含む
付記7に記載の制御方法。
(付記9)
前記要件は、
アプリケーションの種別を識別する識別指標に基づき設定されたスループットの目標値を含む、
付記1に記載の制御方法。
(付記10)
前記識別指標とは、
QoS(Quality of Service)の識別指標であるQCI(QoS Class Identifier)である
付記9に記載の制御方法。
(付記11)
前記要件は、
前記基地局装置と上位ネットワークとを中継する中継装置によって作成され、
前記要件は、
前記中継装置を介して転送される、アプリケーション毎のトラフィックに基づく、
付記1に記載の制御方法。
(付記12)
前記要件は、
QoE(Quality of Experience)を維持するためにアプリケーション毎に必要な以下の少なくとも一つである:
スループット、
遅延時間、
所定時間に受信する必要がある送信データサイズ、または、
アプリケーションの中断の時間及び中断の頻度、
付記9または11に記載の制御方法。
(付記13)
前記端末装置が用いる周波数バンドが、
前記選択の前に用いていた周波数バンドから、前記選択された周波数バンドに切り替えられる、
付記1から12のいずれか一項に記載の制御方法。
(付記14)
前記選択された周波数バンドが、
前記基地局装置と新規に無線通信を開始する端末装置によって用いられる、
付記1に記載の制御方法。
(付記15)
前記選択される周波数バンドをセカンダリセルとして、前記端末装置が用いる場合において、
前記端末装置における前記要求リソース量が第4の所定値以上となる、
付記3から6のいずれか一項に記載の制御方法。
(付記16)
前記周波数バンドを選択することは、
前記セカンダリセルを解放することである、
付記15に記載の制御方法。
(付記17)
前記周波数バンドが選択された端末装置とは、
前記合計値が前記所定の閾値を超えた前記周波数バンドにプライマリセルとして接続しており、かつ、
前記接続する周波数バンドにおける前記余裕リソース量から前記要求リソース量を減算したリソース量が第5の所定値以下となる前記端末装置である
付記3から6のいずれか一項に記載の制御方法。
(付記18)
前記周波数バンドを選択される端末装置とは、
前記合計値が前記所定の閾値を超えた前記周波数バンドに接続しており、
かつ、
同時に接続している前記周波数バンドの数が2以上である前記端末装置である
付記3から6のいずれか一項に記載の制御方法。
(付記19)
複数の周波数バンドを備える基地局装置であって、
前記複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて、端末装置と通信するように構成された送受信機と、
前記端末装置が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件に基づき、
前記少なくとも一つの周波数バンドにおいて、前記要件を満たすための無線リソースを計算し、
前記計算された無線リソースが第1の所定値を超えた場合に、前記端末装置のための周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択するように構成されたプロセッサと、
を備える基地局装置。
(付記20)
中継装置であって、
複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて端末装置と通信するように構成された基地局装置と、上位ネットワークとの間の通信を中継するように構成され、
前記端末装置が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件を作成するプロセッサと、
前記作成された要件を、前記基地局装置に、送信するように構成された送信機とを有し、
前記要件は、
前記基地局装置が、
前記要件を満たすための無線リソースを計算し、
前記計算された無線リソースが第1の所定値を超えた場合に、前記端末装置のための周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択すること、
を可能にする、
中継装置。
(付記21)
端末装置と、複数の周波数バンドを備える基地局装置とを有する無線通信システムにおいて、
前記端末装置は、
前記複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて、前記基地局装置と通信するように構成され、
前記基地局装置は、
前記端末装置が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件に基づき、
前記少なくとも一つの周波数バンドにおいて、前記要件を満たすための無線リソースを計算し、
前記無線リソースが第1の所定値を超えた場合に、前記端末装置のための周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択するように構成される、
無線通信システム。
(付記22)
複数の周波数バンドを備える基地局装置と通信可能に構成された端末装置が使用するアプリケーションのために、必要な通信品質に関する要件に基づき、
前記少なくとも一つの周波数バンドにおいて、前記要件を満たすための無線リソースを計算し、
前記計算された無線リソースが第1の所定値を超えた場合に、前記端末装置のための周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択することを、
コンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記23)
複数の周波数バンドを備える基地局装置であって、
前記複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて、端末装置と通信するように構成された送受信機と、
前記端末装置が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件を作成し、
前記少なくとも一つの周波数バンドにおいて、前記要件を満たすための無線リソースを計算し、
前記計算された無線リソースが第1の所定値を超えた場合に、前記端末装置のための周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択するように構成されたプロセッサと、
を備える基地局装置。
(付記24)
複数の周波数バンドを備える基地局装置であって、
前記複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて、端末装置と通信するように構成された送受信機と、
前記端末装置が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件を記憶するメモリと、
前記少なくとも一つの周波数バンドにおいて、前記記憶された要件を満たすための無線リソースを計算し、
前記計算された無線リソースが第1の所定値を超えた場合に基づき、前記端末装置のための周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択するように構成されたプロセッサと、
を備える基地局装置。
(付記25)
複数の周波数バンドを備える基地局装置であって、
前記複数の周波数バンドの少なくとも一つを用いて、端末装置と通信するように構成された送受信機と、
前記端末装置が使用するアプリケーションのために必要な通信品質に関する要件を作成し、
前記要件を満たすような周波数バンドを、前記複数の周波数バンドの中から選択するように構成されたプロセッサと、
を備える基地局装置。
(付記26)
第1の周波数バンドを用いて、端末装置が使用するアプリケーションに関する無線通信を実行するように構成される送受信機と、
前記アプリケーションに要求される品質に関する情報と、前記無線通信の品質に関する情報とに基づき、
前記端末装置が接続する周波数バンドを、前記第1の周波数バンドから第2の周波数バンドに変更するように構成されるプロセッサと、
を有する基地局装置。