JP2017090218A - 定電位電解式ガスセンサ - Google Patents

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知世 皆越
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Abstract

【課題】高いガス感度を有する電極を備えた定電位電解式ガスセンサを提供する。
【解決手段】ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる反応極11、反応極11に対する対極12および反応極11の電位を制御する参照極13を、電解槽30に収容した電解液20に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサXであって、反応極11は、フッ素樹脂膜14上に、フッ素樹脂粒子および貴金属担持カーボンを有する厚膜を形成し、貴金属担持カーボンが三次元網目構造を呈する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる反応極、前記反応極に対する対極および前記反応極の電位を制御する参照極を、電解槽に収容した電解液に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサに関する。
従来の定電位電解式ガスセンサは、電極を電解液が密に収容される電解槽の電解液収容部内に臨んで設けて構成してあり、例えば電極としては、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる作用電極、当該作用電極に対する対極、作用電極の電位を制御する参照電極の3電極を設けてあり、また、これらが接触自在な電解液を収容した電解槽と、各電極の電位を設定するポテンシオスタット回路等を接続してある。前記3電極の材料としては撥水性を有するガス透過性の多孔質PTFE膜に白金や金、パラジウム等の貴金属触媒等を塗布したものが、電解液としては、硫酸やリン酸等の酸性水溶液等が用いられていた。
また、定電位電解式ガスセンサは、周囲の環境変化に対して作用電極の電位を制御して一定に維持することによって、作用電極と対極との間に周囲の環境変化に相当する電流を生じさせる。そして、作用電極の電位が変化せず、またガス種によって酸化還元電位が異なることを利用することにより、ポテンシオスタット回路の設定電位によってはガスの選択的な検知が可能になる。また、ガス電極に用いる触媒を変えることで、目的とするガスに対して高い選択性を持たすことができる。
例えば粒径が数十nmのカーボンに、数百nm程度の貴金属微粒子を担持させたものを使用することがあった。このようにカーボンに貴金属微粒子を担持させるには、例えば浸漬担持法を使用することがある。当該浸漬担持法で貴金属粒子を担体に担持させる場合、当該担体を金属塩の水溶液中に浸して、金属成分を担体表面に吸着させ、乾燥・焼成・還元を行う。当該浸漬担持法で貴金属担持カーボンを作製した後、多孔質PTFE膜に塗布して電極を作製していた。
尚、本発明における従来技術となる上述した定電位電解式ガスセンサは、一般的な技術であるため、特許文献等の従来技術文献は示さない。
上述の手法によって作製された貴金属担持カーボンは、貴金属微粒子の粒径が担体であるカーボンの粒径より大きく、水溶液中で凝集し易い傾向にあるため、貴金属微粒子を均一に分散させるのが困難であった。このように貴金属微粒子が不均一な状態で作製された貴金属担持カーボンを貴金属触媒として使用すると、十分なガス感度を得られない虞があった。
従って、本発明の目的は、高いガス感度を有する電極を備えた定電位電解式ガスセンサを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る定電位電解式ガスセンサは、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる反応極、前記反応極に対する対極および前記反応極の電位を制御する参照極を、電解槽に収容した電解液に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサであって、その第一特徴構成は、前記反応極は、フッ素樹脂膜上に、フッ素樹脂粒子および貴金属担持カーボンを有する厚膜を形成し、前記貴金属担持カーボンが前記フッ素樹脂粒子の間に充填された構造を呈する点にある。
仮に貴金属担持カーボンが凝集し粗大な粒子を形成している場合は、反応極の構造はフッ素樹脂粒子と粒子レベルでの混合されていないため、ガスの反応場である三相界面(検知対象ガス/貴金属/電解液)は凝集した貴金属担持カーボンの表面が主となり、凝集体内部の貴金属は反応に関係しない(カーボンは撥水性が高く、貴金属担持カーボンの凝集体内部へは電解液が浸入しないため)。その結果、加えた貴金属のすべてが反応場になることがないため、十分なガス感度を得られない虞があった。
しかし、本発明の定電位電解式ガスセンサにおける反応極では、貴金属担持カーボンがフッ素樹脂粒子の間に充填された三次元網目構造を呈するため、貴金属担持カーボンどうしが架橋されて加えた貴金属の殆どを有効に反応場とすることができ、従来と同じ量の貴金属を加えた場合でも高い感度を得ることができる。
また、本発明では、反応極内部の構造はフッ素樹脂粒子の粒子間へ貴金属担持カーボンが存在することで三次元網目構造を形成しているため、比較的容易に、また、貴金属の量を増やすことなく膜厚を厚くすることが可能となる。
また、上述した反応極では、フッ素樹脂膜上に、フッ素樹脂粒子を有する厚膜を形成するため、当該厚膜およびフッ素樹脂膜は高い密着性を有する電極とすることができる。
ここで、三次元網目構造の骨格を形成するフッ素樹脂粒子は、粒子間に存在するカーボンが電子の導電経路を形成させることができる最大の量を加えることが可能である。従って、本発明では、膜厚を厚くして高い感度を得ようとした場合でも、使用する金の量を必要以上に多くする必要がない。
本発明に係る定電位電解式ガスセンサの第二特徴構成は、前記フッ素樹脂をPTFEとした点にある。
本構成によれば、化学的に安定し、かつ入手の容易なフッ素樹脂を使用することができる。
本発明に係る定電位電解式ガスセンサの第三特徴構成は、前記フッ素樹脂粒子の粒径範囲を0.1〜1.0μmとし、前記貴金属担持カーボンの粒径範囲を0.01〜0.1μmとした点にある。
本構成によれば、厚膜において、貴金属担持カーボンが架橋されることで三次元的な網目構造を形成し、その網目構造の間にフッ素樹脂粒子を配置する態様を効果的に呈することができる粒径の範囲となる。
本発明に係る定電位電解式ガスセンサの第四特徴構成は、前記厚膜の厚さを、5〜50μmとした点にある。
本構成によれば、十分に高いガス感度が得られる厚さの膜とすることができる。
本発明に係る定電位電解式ガスセンサの第五特徴構成は、検知するガス種を水素化物ガスとした点にある。
本構成によれば、半導体製造の工場などにおいて漏洩する可能性のある半導体材料ガスを検知することができる。
本発明の定電位電解式ガスセンサを示す概略図である。 ポテンシオスタット回路を示す概略図である。 反応極の断面図および要部拡大図である。 反応極の電子顕微鏡による写真図(表面)である。 反応極の電子顕微鏡による写真図(断面)である。 従来の定電位電解式ガスセンサにおける反応極の電子顕微鏡による写真図(表面)である。 従来の定電位電解式ガスセンサにおける反応極の電子顕微鏡による写真図(断面)である。 本発明の定電位電解式ガスセンサを使用して、ゲルマン1ppmを検知した結果を示したグラフである。 本発明の定電位電解式ガスセンサを使用して、反応極のPTFE微粒子および金担持カーボン(Au/C)の比率を種々変更し、ゲルマン0.5ppmを検知した結果を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、定電位電解式ガスセンサXは、ガスを検知するガス電極10として被検知ガスを電気化学反応させる反応極11、当該反応極11に対する対極12、反応極11の電位を制御する参照電極13を、電解槽30に収容した電解液20に接触するように備えている。
反応極11、対極12及び参照電極13は、撥水性を有する多孔質のガス透過膜14の表面に、後述する電極材料より作製したペーストを塗布・焼成して形成してある。反応極11と、対極12及び参照電極13とは、対向して配置してある。
電解槽30は側方に開口する開口部32を形成してガス導通部33を形成している。ガス透過膜14は二枚設けられ、一方のガス透過膜14には反応極11が配設され、他方のガス透過膜14には対極12及び参照電極13が配設される。反応極11の側に配設されたガス透過膜14は、開口部32に臨むように電解槽30に取り付けられる。被検知ガスはガス導通部33より導入され、反応極11上で反応する。
それぞれのガス透過膜14とOリング15とは蓋部材16によって固定される。電解槽30の底面には、電解液収容部31に収容された電解液20の注入等のメンテナンスを行う電解液注入口34が形成されている。
このような定電位電解式ガスセンサXは、各電極の電位を設定するポテンシオスタット回路(図2)を備える。本発明の定電位電解式ガスセンサXは、例えばシラン、ホスフィン、ゲルマン、アルシン、ジボランなどの水素化物ガスの検知に用いられる。
反応極11は、フッ素樹脂膜上に、フッ素樹脂粒子1および貴金属担持カーボン2を有する厚膜3を形成し、貴金属担持カーボン2がフッ素樹脂粒子1の間に充填された構造を呈する(図3)。
本実施形態では、ガス透過膜14をフッ素樹脂膜とする。当該フッ素樹脂膜14は、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:テフロン(登録商標))、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)、FEP(パーフルオロエチレンプロペンコポリマー)等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
フッ素樹脂粒子1は、フッ素樹脂膜14の構成材料の微粒子であり、その粒径範囲は、例えば0.1〜1.0μm、好ましくは0.1〜0.5μmとするのがよい。また、厚膜3の厚さは、例えば5〜50μm、好ましくは10〜25μmとするのがよい。
貴金属担持カーボン2は、例えば金や白金などの貴金属aを担持するカーボンbとすることができる。貴金属担持カーボン2は作製の過程でコロイド溶液を使用することができ、貴金属ナノ粒子を分散させた状態で担体であるカーボンに担持させることができるため、貴金属ナノ粒子の分散の程度を概ね均一な状態とすることができる。そのため、このような貴金属担持カーボン2を貴金属触媒として使用すれば、定電位電解式ガスセンサXにおいて、ガス検知性能にバラつきが生じるのを防止することができる。本実施形態では、貴金属ナノ粒子として金ナノ粒子を使用した場合について説明する。
担体であるカーボンは、公知のカーボン粉末、例えばカーボンブラック(粒径5〜300nm程度)を使用することができ、特にアセチレンガスを熱分解して得るアセチレンブラックを使用するのがよいが、これに限定されるものではない。
貴金属担持カーボンの粒径範囲は、例えば0.01〜0.1μm、好ましくは0.01〜0.05μmとするのがよい。
貴金属担持カーボン2は、溶媒にカーボン粉末を添加して撹拌するカーボン粉末添加工程と、金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を添加するナノ粒子添加工程と、溶媒の沸点以下に維持した状態で乾燥させる乾燥工程と、乾燥して得られた粉末を250〜450℃で焼成を行う焼成工程と、を行って作製される。
カーボン粉末添加工程では、カーボン粉末を所定量秤量し、溶媒である水を加え十分攪拌させる(一次分散)。本工程はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの界面活性剤を添加して行うとよい。当該界面活性剤を添加することで、溶媒に対するカーボンの分散性を向上させることができる。界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、ベタイン系界面活性剤のいずれも使用できる。また、溶媒へのカーボンの分散性を上げるためには、水/界面活性剤/カーボンの懸濁液を攪拌させながら、超音波ホモジナイザーなどの超音波処理で分散させ、カーボン粉末の凝集粒子を粒子レベルまで分散させるとよい(二次分散)。
二次分散した水/界面活性剤/カーボンの懸濁液を、ロータリーエバポレータ等によって脱泡した後、金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を添加するナノ粒子添加工程を行う。
金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液は、金ナノ粒子が溶液中に分散している状態となっている。当該コロイド溶液には、必要に応じて保護剤などの添加剤を添加してもよい。
金コロイド溶液は、例えばテトラクロロ金酸(III)などの塩化金酸溶液に還元剤としてクエン酸塩溶液を加えて加熱することにより、金属イオンを還元してコロイドとする溶液内還元反応を利用して作製することができるが、このような手法に限定されるものではない。当該方法においては、塩化金酸に対する還元剤の添加量を増減することにより、金コロイド粒子の大きさを変化させることができる。金ナノ粒子は、約5〜50nm程度の粒径を有する粒子であればよいが、この範囲に限定されるものではない。この場合、5〜50nmの粒子の割合が90重量%以上となるような粒度分布とするのがよい。
コロイド溶液を添加した後、超音波分散機などの超音波処理によってカーボン粒子および金ナノ粒子を粒子レベルまで分散させるとよい(三次分散)。三次分散した懸濁液を、ロータリーエバポレータ等によって撹拌し、70〜90℃程度で減圧・加熱乾燥する。
その後の乾燥工程では、得られた溶液を、溶媒(水)の沸点以下に維持した状態で乾燥させる。溶媒の沸点以下として設定する温度は、特に限定されるものではないが、溶媒が水の場合、80〜100℃程度とするのがよい。乾燥の手法は、例えば減圧乾燥、真空乾燥、吸引乾燥、熱風乾燥など、公知の手法を適用することができる。これら乾燥の手法における乾燥条件は、公知の条件を適用すればよい。
焼成工程では、乾燥して得られた粉末を250〜450℃で焼成を行う。
本実施形態における焼成温度は、空気雰囲気、大気圧下でカーボンの酸化が進まない温度で、使用した界面活性剤等の有機物が蒸発する温度(250〜450℃)としてある。
焼成時間は、界面活性剤、コロイドの保護剤等が蒸発、昇華、熱分解により完全になくなるまでの時間を適宜設定すればよい。そのため、焼成させる粉体の量で、その都度焼成時間の短縮・延長が可能である。しかし、金ナノ粒子の粒成長、焼結による活性の低下などを考慮して、例えば当該焼成時間の上限を3時間程度までと設定してもよい。また、焼成時間を設定せず、所定の温度に達すれば焼成工程を終了するように設定してもよい。
本実施形態における反応極11は、フッ素樹脂膜14であるPTFE膜上に、フッ素樹脂粒子1であるPTFEの微粒子および貴金属担持カーボン2(金担持カーボン)を有する厚膜3を形成した場合について説明する。
即ち、反応極11は、金担持カーボン2の粉末にPTFE微粒子1を含むコロイド溶液を添加して混練して調製された電極材料ペーストをPTFEシート膜14に印刷し、乾燥後、焼成することにより作製することができる。電極材料ペーストを調製する際には、界面活性剤を添加してもよい。
このようにして得られた反応極11では、貴金属担持カーボン2(金担持カーボン)の凝集性が低減され、PTFE微粒子1と金担持カーボン2を十分均一に混合された結果、反応極11の構造において、金担持カーボン2が三次元網目構造を呈する構造とすることができる。本明細書において、貴金属担持カーボン2が呈する三次元網目構造とは、貴金属担持カーボン2が架橋されることで三次元的な網目構造を形成し、その網目構造の間にフッ素樹脂粒子1を配置する態様をいう。
仮に金担持カーボン2が凝集し粗大な粒子を形成している場合は、反応極11の構造はPTFE微粒子1と粒子レベルでの混合されていないため、ガスの反応場である三相界面(検知対象ガス/金/電解液)は凝集した金担持カーボン2の表面が主となり、凝集体内部の金は反応に関係しない(カーボンは撥水性が高く、金担持カーボンの凝集体内部へは電解液が浸入しないため)。その結果、加えた金のすべてが反応場になることがないため、十分なガス感度を得られない虞があった。
しかし、本発明の定電位電解式ガスセンサXにおける反応極11では、金担持カーボン2がフッ素樹脂粒子1の間に充填された三次元網目構造を呈するため、金担持カーボン2どうしが架橋されて加えた金の殆どを有効に反応場とすることができ、従来と同じ量の金を加えた場合でも高い感度を得ることができる。
また、例えば、金黒のみで形成された反応極では、感度を高くするために、膜厚を厚くする必要がある。その場合、膜厚に応じた金が必要であり、コスト的に不利であった。しかし、本発明では、反応極11内部の構造はフッ素樹脂粒子(PTFE微粒子)1の粒子間へ貴金属担持カーボン2(金担持カーボン)が存在することで三次元網目構造を形成しているため、比較的容易に、また、金の量を増やすことなく膜厚を厚くすることが可能となる。
本構成の反応極11では、フッ素樹脂膜14上に、フッ素樹脂粒子1を有する厚膜を形成するため、当該厚膜およびフッ素樹脂膜14は高い密着性を有する電極とすることができる。
ここで、三次元網目構造の骨格を形成するフッ素樹脂粒子1(PTFE微粒子)は、粒子間に存在するカーボンが電子の導電経路を形成させることができる最大の量を加えることが可能である。従って、膜厚を厚くして高い感度を得ようとした場合でも、使用する金の量を必要以上に多くする必要がない。
対極12は、ガス透過膜14の表面に、公知の電極材料より作製したペーストを塗布・焼成して形成すればよい。
参照電極13は、電解液20に対する浸漬電位が異なる二種の貴金属を担持させた担体を有し、印加電圧がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整してある。
浸漬電位は、金属材料などを水溶液に浸漬したときに、溶存酸素やイオンにより酸化還元反応が金属材料表面で起こって電位が決まり、この電位を、参照電極13を基準にして測定した電位のことである。本発明の参照電極13で使用する二種の貴金属は浸漬電位が異なるものであれば特に限定されるものではないが、印加電圧がゼロになるように当該二種の貴金属の比率を調整する。例えば担体はカーボンであり、二種の貴金属は金および白金とするのがよい。
印加電圧をゼロになるようにするためには、具体的には、一つの電極上で起こる複数の電気化学反応である混成電位反応によって参照電極13の電位をシフトさせるとよい。これにより、例えば本来は200mVの電位を印加してガス検知を行うところ、0mVの電位を印加することでガス検知を行うことができる。
異なる二種の貴金属を担持させたカーボンを作製する方法は、特に限定されるものではなく、含浸法や共沈法など、公知の方法を適宜適用してもよいし、上述したカーボン粉末添加工程、ナノ粒子添加工程、乾燥工程、焼成工程に準じて作製することができる。このとき、ナノ粒子添加工程では、金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液および白金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を使用すればよい。白金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液は、白金ナノ粒子が溶液中に分散している状態となっている。白金ナノ粒子は、上述した金ナノ粒子と同様に約5〜50nm程度の粒径を有する粒子であればよいが、この範囲に限定されるものではない。この場合、5〜50nmの粒子の割合が90重量%以上となるような粒度分布とするのがよい。
本実施形態では印加電圧がゼロになるようにしてあるため、ポテンシオスタット回路がショートするように構成してある。
〔実施例1〕
本発明の実施例について説明する。
本発明の定電位電解式ガスセンサXにおける反応極11の作製手順を以下に説明する。
まず、蒸留水にカーボンブラック(平均粒子径40nm)および界面活性剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を添加して撹拌し、一次分散させた(カーボン粉末添加工程)。この一次分散液を超音波ホモジナイザーによって超音波処理(20kHz、600W、15分)することにより、二次分散させた。
この二次分散液をロータリーエバポレータによって脱泡(25℃、10hPa以下)し、金ナノ粒子(粒子径50nm程度)を分散させたコロイド溶液(3重量%金ナノコロイド水溶液、平均粒子径10nm)を添加した(ナノ粒子添加工程)。
コロイド溶液を添加した後、超音波分散機によって超音波処理(100kHz、300W、15分)することにより、カーボン粒子および金ナノ粒子を粒子レベルまで分散させた(三次分散)。
三次分散した懸濁液を、ロータリーエバポレータによって撹拌し、80℃で減圧・加熱乾燥(乾燥工程)し、さらに粉砕して400℃にて焼成(焼成工程)することにより、貴金属担持カーボン2(金担持カーボン)を得た。
この金担持カーボン2の粉末にPTFE微粒子1(平均粒径0.2μm)を含むコロイド溶液を添加して混練して調製された電極材料ペーストをPTFEシート膜(フッ素樹脂膜)14に印刷し、室温にて一昼夜乾燥後、280℃にて焼成することにより反応極11を作製した。
このとき得られた反応極11の電子顕微鏡による写真図を図4,5に示した。反応極11の表面(図4)および断面(図5)の何れにおいても、貴金属担持カーボン2が架橋されることで三次元的な網目構造を形成し、その網目構造の間にフッ素樹脂粒子1が配置されるものと認められた。
尚、比較例として、従来の定電位電解式ガスセンサにおける反応極の電子顕微鏡による写真図を図6(表面),図7(断面)に示した。この反応極では、フッ素樹脂粒子および貴金属担持カーボンがそれぞれ凝集体を形成し、貴金属担持カーボンが三次元網目構造を呈しないと認められた。
〔実施例2〕
本発明の定電位電解式ガスセンサXにおける参照電極13の作製手順を以下に説明する。
参照電極13の作製は、実施例1の反応極11の作製手順に準じた手法で行った。ナノ粒子添加工程では、金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液および白金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液を使用した。即ち、実施例1で作製した金担持カーボンを白金ナノ粒子を分散させたコロイド溶液(3重量%白金ナノコロイド水溶液、平均粒子径10nm)に添加した後、乾燥工程および焼成工程を行った。
浸漬電位が異なる二種の貴金属を担持させた担体の粉末にPTFE微粒子1を含むコロイド溶液を添加して混練して調製された電極材料ペーストをPTFEシート膜(フッ素樹脂膜)14に印刷し、室温にて一昼夜乾燥後、280℃にて焼成することにより参照電極13を作製した。
〔実施例3〕
本発明の定電位電解式ガスセンサX(4検体)を使用して、ゲルマン1ppmを検知した結果を図8に示した。比較例(2検体)として、従来の定電位電解式ガスセンサを使用して、ゲルマン1ppmを検知した結果も同時に示した。
この結果、本発明の定電位電解式ガスセンサXにおいては、ゲルマンを検知した直後に良好な(急激な)立ち上がりを示し、その後、安定した高い出力を示すセンサ出力を呈した。一方、比較例の定電位電解式ガスセンサでは、ゲルマンを検知した直後の立ち上がりは緩やかであり、低い出力を示すセンサ出力を呈した。これにより、本発明の定電位電解式ガスセンサXは、比較例の定電位電解式ガスセンサに比べて2〜3倍程度の高い感度が得られたと認められた。
〔実施例4〕
本発明の定電位電解式ガスセンサXにおいて、反応極11のPTFE微粒子1および金担持カーボン(Au/C)2の比率を種々変更したときのゲルマン0.5ppmを検知した結果を図9に示した。実施例4−1のセンサは金担持カーボン(Au/C)において金の担持量が0.125g、実施例4−2のセンサは金の担持量が0.255g、実施例4−3のセンサは金の担持量が0.5gとなるように調製した(PTFEディスパージョン0.9g(PTFEディスパージョン0.6mL(比重1.5))に対しての金担持カーボンの添加量)。
この結果、金の担持量が最も多い実施例4−3が最も高い出力が得られたため、金の担持量が増えると定電位電解式ガスセンサXの感度が向上すると認められた。
本発明は、ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる反応極、前記反応極に対する対極および前記反応極の電位を制御する参照極を、電解槽に収容した電解液に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサに利用できる。
X 定電位電解式ガスセンサ
1 フッ素樹脂粒子
2 貴金属担持カーボン
3 厚膜
11 反応極
12 対極
13 参照極
14 フッ素樹脂膜

Claims (5)

  1. ガスを検知するガス電極として被検知ガスを電気化学反応させる反応極、前記反応極に対する対極および前記反応極の電位を制御する参照極を、電解槽に収容した電解液に接触するように備えた定電位電解式ガスセンサであって、
    前記反応極は、フッ素樹脂膜上に、フッ素樹脂粒子および貴金属担持カーボンを有する厚膜を形成し、前記貴金属担持カーボンが前記フッ素樹脂粒子の間に充填された構造を呈する定電位電解式ガスセンサ。
  2. 前記フッ素樹脂がPTFEである請求項1に記載の定電位電解式ガスセンサ。
  3. 前記フッ素樹脂粒子の粒径範囲が0.1〜1.0μmであり、前記貴金属担持カーボンの粒径範囲が0.01〜0.1μmである請求項1または2に記載の定電位電解式ガスセンサ。
  4. 前記厚膜の厚さが、5〜50μmである請求項1〜3の何れか一項に記載の定電位電解式ガスセンサ。
  5. 検知するガス種が水素化物ガスである請求項1〜4の何れか一項に記載の定電位電解式ガスセンサ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018048826A (ja) * 2016-09-20 2018-03-29 新コスモス電機株式会社 定電位電解式ガスセンサ

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