JP2017089816A - 電動圧縮機の支持装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動圧縮機から車両への振動伝達を抑制して車両の静寂性を維持する一方、電動圧縮機の所定以上の変位を抑制することのできる電動圧縮機の支持装置を提供することを目的とする。【解決手段】電動圧縮機10は、支持装置1を介して車両に取り付け固定される。支持装置1は、電動圧縮機10に固定される圧縮機側ブラケット30と、車両に固定される車両側ブラケット40と、これらの間に配置される複数の弾性部材20と、車両側ブラケット40に設けられ、複数の弾性部材20の少なくとも一つの損傷時に、電動圧縮機10と共に変位した圧縮機側ブラケット30に当接することにより、予め設定された許容変位を超える電動圧縮機10の変位を規制するガイドピン50と、を含む。【選択図】 図1
Description
本発明は、車両に固定され、電動モータ、電動モータによって駆動される圧縮機構及び電動モータを駆動するインバータが一体化された電動圧縮機を支持する電動圧縮機の支持装置に関する。
車両用空調装置に使用される電動圧縮機は、通常、複数の弾性支持部材を介して車両に取り付けられている。また、車両からの電動圧縮機への振動伝達、及び電動圧縮機からの車両への振動伝達を抑制するために、弾性支持部材として、例えば円柱状のゴムを用いた技術が知られている(特許文献1等参照)。
ところで、上記のように円柱状のゴムを用いた弾性支持部材によって電動圧縮機を支持する構造においては、弾性支持部材が損傷(破断等)した場合に、電動圧縮機が想定以上に変位してしまい、電動圧縮機が周辺の部品に衝突するおそれがある。
そこで、本発明は、電動圧縮機から車両への振動伝達を抑制して車両の静寂性を維持する一方、電動圧縮機の所定以上の変位を抑制することのできる電動圧縮機の支持装置を提供することを目的とする。
そこで、本発明は、電動圧縮機から車両への振動伝達を抑制して車両の静寂性を維持する一方、電動圧縮機の所定以上の変位を抑制することのできる電動圧縮機の支持装置を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、車両に固定され、電動モータ、前記電動モータによって駆動される圧縮機構及び前記電動モータを駆動するインバータが一体化された電動圧縮機を複数の弾性部材によって弾性的に支持する電動圧縮機の支持装置は、前記複数の弾性部材の少なくとも一つの損傷時に、予め設定された許容変位を超える前記電動圧縮機の変位を規制するように構成されている。
前記支持装置によると、電動圧縮機は、複数の弾性部材によって弾性的に支持されると共に、複数の弾性部材の少なくとも一つの損傷時に、予め設定された許容変位を超える変位が規制される。このため、車両又は電動圧縮機の運転中などの通常時において、電動圧縮機から車両への振動伝達が抑制されて車両の静寂性が維持される一方、経時劣化や、車両衝突時など過大な力によって複数の弾性部材の少なくとも一つが損傷したとしても、電動圧縮機の所定以上の変位を抑制することができるので、電動圧縮機10の周辺の部品への衝突を抑制することができる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1〜3は、本発明の一実施形態による電動圧縮機の支持装置の要部構成を示している。図1は、電動圧縮機の支持装置の正面図であり、図2は、支持装置の平面図であり、図3(a)は、図2に示す支持装置を上方から見た斜視図(A方向からの斜視図)であり、図3(b)は、図2に示す支持装置を上方から見た斜視図(B方向からの斜視図)である。
図1〜3は、本発明の一実施形態による電動圧縮機の支持装置の要部構成を示している。図1は、電動圧縮機の支持装置の正面図であり、図2は、支持装置の平面図であり、図3(a)は、図2に示す支持装置を上方から見た斜視図(A方向からの斜視図)であり、図3(b)は、図2に示す支持装置を上方から見た斜視図(B方向からの斜視図)である。
本実施形態による電動圧縮機の支持装置1は、図1に示すように、電気自動車やハイブリッド自動車などの車両のボディ(図示省略)に固定され、車両用空調装置に使用される電動圧縮機10を複数の弾性部材20によって弾性的に支持するものである。
電動圧縮機10は、ハウジング11を有しており、このハウジング11内には、電動モータ12、電動モータ12によって駆動される圧縮機構13及び電動モータ12を駆動するためのインバータ14が収容されている。つまり、電動圧縮機10は、いわゆるインバータ一体型の電動圧縮機として構成されている。
ハウジング11内において、電動モータ12と圧縮機構13とは直列に配置され、電動モータ12の出力軸12aは圧縮機構13の駆動軸(図示省略)に直結されている。電動モータ12は、例えば、DCブラシレスモータであり、圧縮機構13は、例えば、ハウジング11内部に固定された固定スクロールと、可動スクロールとで構成されたスクロール型圧縮機構である。インバータ14は、ハウジング11内の一端側(図では左側)に配置されている。但し、これに限るものではなく、インバータ14の配置は任意に設定することができる。
また、ハウジング11には、前記車両用空調装置の冷媒配管(図示省略)が接続される吸入ポート15及び吐出ポート16が形成されている。本実施形態において、吸入ポート15は、電動モータ12の上方に開口しており、吐出ポート16は、インバータ14とは反対の他端側(右側)の上部に開口している。
インバータ14によって電動モータ12が駆動されると、電動モータ12がその出力軸12aを介して圧縮機構13(前記可動スクロール)を駆動する。これにより、電動圧縮機10は、前記車両用空調装置の冷媒(低圧冷媒)を吸入ポート15から吸入して圧縮し、圧縮した冷媒(高圧冷媒)を吐出ポート16から吐出する。
支持装置1は、電動圧縮機10と前記車両のボディとの間、換言すれば、電動圧縮機10の下側に配置され、電動圧縮機10を弾性的に支持する。支持装置1は、車両の進行方向に対して、電動圧縮機10内の圧縮機構13が前方側になり、電動圧縮機10内のインバータ14が後方側になるように車両に固定されている。
図1〜3に示すように、支持装置1は、圧縮機側ブラケット30と、車両側ブラケット40と、圧縮機側ブラケット30と車両側ブラケット40との間に配置された四つの弾性部材20(20a〜20d)と、車両側ブラケット40に設けられたガイドピン50と、を含む。
圧縮機側ブラケット30は、ボルト60a及びナット60bによって電動圧縮機10の下部に固定される。車両側ブラケット40は、図示省略したボルト及びナット等の締結手段によって車両のボディに固定される。弾性部材20は、例えば、NBR(Nitrile Butadiene Rubber)等のゴム製の部材である。ガイドピン50は、例えば、その先端側にフランジ部を有すると共に車両側ブラケット40に固定された基端側がネジ切りされたボルトタイプのものである。
圧縮機側ブラケット30と車両側ブラケット40とは、四つの弾性部材20(20a〜20d)をその間に挟んで一体化されている。つまり、支持装置1は、車両に固定され、四つの弾性部材20(20a〜20d)によって電動圧縮機10を弾性的に支持するように(四点で弾性支持するように)構成されている。したがって、本実施形態において、圧縮機側ブラケット30が本発明の「圧縮機側支持部材」に相当し、車両側ブラケット40が本発明の「車両側支持部材」に相当する。
本実施形態において、圧縮機側ブラケット30は、型抜きした二つの板金部材31及び32を用いて形成されている。板金部材31及び板金部材32には、その平坦面に三つの貫通孔(図示省略)が形成されている。そして、板金部材32の上面に板金部材31を配置し、それぞれの貫通孔にボルト61aを挿通させ、その後、各ボルト部にナット61bをネジ結合して締め付けることでこれらを一体化している。
また、板金部材31は、その平坦面に対して上方に折り曲げて形成された圧縮機固定部31a、31bを有している。圧縮機固定部31a及び31bには、それぞれ貫通孔(図示省略)が形成されている。また、板金部材32は、圧縮機固定部31a及び31bに対向するように、その平坦面に対して上方に折り曲げて形成された圧縮機固定部32a、32bを有している。圧縮機固定部32a及び32bには、それぞれ、圧縮機固定部31a及び31bの貫通孔に対応するように、貫通孔(図示省略)が形成されている。また、圧縮機側ブラケット30(板金部材32)は、その平坦面の周縁に突設する四つの舌片部を上方に折り曲げて形成された弾性部材取付部30a〜30dを有している。
本実施形態において、車両側ブラケット40は、型抜きした板金部材を用いて形成されている。車両側ブラケット40は、圧縮機側ブラケット30の弾性部材取付部30a〜30dに対応するように、その平坦面の周縁に突設する四つの舌片部を上方に折り曲げて形成された弾性部材取付部40a〜40dを有している。弾性部材取付部30a〜30d及び40a〜40dには、それぞれ貫通孔(図示省略)が形成されている。また、本実施形態では、弾性部材20(20a〜20d)として、円柱状の防振ゴムの両端に、ボルトを有する金属板が一体的に形成された、いわゆる両ボルトタイプの丸型防振ゴムを用いている。金属板は、例えばSPCC(冷間圧延鋼板)等の金属製の板を用いている。
各弾性部材20a〜20dは、圧縮機側ブラケット30の各弾性部材取付部30a〜30dと、車両側ブラケット40の各弾性部材取付部40a〜40dとの間に配置される。そして、各弾性部材20a〜20dの一方のボルト部を圧縮機側ブラケット30の各弾性部材取付部30a〜30dの貫通孔に挿通させると共に、他方のボルト部を車両側ブラケット40の各弾性部材取付部40a〜40dの貫通孔に挿通させ、その後、各ボルト部にナット62をネジ結合して締め付けることでこれらを一体化している。
但し、これに限るものではなく、支持装置1において、圧縮機側ブラケット30と車両側ブラケット40とが四つの弾性部材20a〜20dを介して一体化されていればよい。
但し、これに限るものではなく、支持装置1において、圧縮機側ブラケット30と車両側ブラケット40とが四つの弾性部材20a〜20dを介して一体化されていればよい。
ガイドピン50は、支持装置1において、圧縮機側ブラケット30及び車両側ブラケット40の弾性部材取付部30d及び40d側、すなわち、電動圧縮機10のインバータ14側に配置されると共に車両側ブラケット40に取り付け固定されている。また、圧縮機側ブラケット30(板金部材32)の弾性部材取付部30d側には、ガイドピン50が挿通される円形状の貫通孔33が形成されており、車両側ブラケット40の弾性部材取付部40d側には、前記貫通孔33に対応するように、ガイドピン50が取り付け固定される円形状の挿通孔41が形成されている。そして、圧縮機側ブラケット30と車両側ブラケット40とが弾性部材20を介して一体化された後、ガイドピン50を、圧縮機側ブラケット30の貫通孔33及び車両側ブラケット40の挿通孔41に挿通すると共に、挿通孔41にネジ結合して締め付ける。これにより、ガイドピン50が車両側ブラケット40に取り付け固定される。
その後、ボルト60aを、それぞれ圧縮機固定部31a及び31bの貫通孔に挿通させ、電動圧縮機10の下側に形成されたボルト挿通孔(図示省略)に挿通させると共に、圧縮機固定部32a及び32bの貫通孔に挿通させ、各ボルト60aにナット60bをネジ結合して締め付けることで、電動圧縮機10が圧縮機側ブラケット30に固定される。
その後、ボルト60aを、それぞれ圧縮機固定部31a及び31bの貫通孔に挿通させ、電動圧縮機10の下側に形成されたボルト挿通孔(図示省略)に挿通させると共に、圧縮機固定部32a及び32bの貫通孔に挿通させ、各ボルト60aにナット60bをネジ結合して締め付けることで、電動圧縮機10が圧縮機側ブラケット30に固定される。
次に、本実施形態による電動圧縮機の支持装置1における四つの弾性部材20の配置について図4、5を参照して説明する。
図4(a)は、電動圧縮機の支持装置1の正面図(図1に相当)であり、図4(b)は、図4(a)の左側面図であり、図5は、支持装置1の平面図(図2に相当)である。
図4(a)は、電動圧縮機の支持装置1の正面図(図1に相当)であり、図4(b)は、図4(a)の左側面図であり、図5は、支持装置1の平面図(図2に相当)である。
図4、5に示すように、本実施形態において、弾性部材20は、電動圧縮機10の重心位置Gの下側に配置される第1の弾性部材20aと、電動モータ12の出力軸12aの軸線Hを挟んで第1の弾性部材20aの反対側に配置される第2の弾性部材20bと、軸線Hに沿って電動圧縮機10の重心位置Gよりも圧縮機構13側に配置される第3の弾性部材20cと、軸線Hに沿って電動圧縮機10の重心位置Gよりもインバータ14側に配置される第4の弾性部材20dと、を含む。なお、支持装置1における第1〜第4の弾性部材20a〜20dの配置は、省スペース化を確保しつつ電動圧縮機10の振動を効率よく抑制するためのシミュレーション等の解析結果に基づいている。
また、図4、5からも明らかなように、電動圧縮機10の上方から見たときに(すなわち、平面視において)、第1の弾性部材20aは、電動圧縮機10のほぼ下側に位置し,第2、第3及び第4の弾性部材20b、20c、20dは、電動圧縮機10の外側に位置している。すなわち、第1の弾性部材20aは、第2、第3及び第4の弾性部材20b、20c、20dと比較して、電動圧縮機10の重心位置Gに近い位置にある。このような弾性部材20の配置によって、本実施形態では、従来例のような四点支持と比較して、電動圧縮機10の支持装置1の省スペース化(例えば2〜3割程度)を図ることができる。また、本実施形態では、第1の弾性部材20aが電動圧縮機10の重心位置Gの鉛直下向きの荷重を支えることで、電動圧縮機10を安定して支持することができる。
また、圧縮機側ブラケット30の各弾性部材取付部30a〜30d及び車両側ブラケット40の各弾性部材取付部40a〜40dは、それぞれ水平面に対して所定角度で傾斜している。具体的には、電動圧縮機10の圧縮機構13側に位置する弾性部材取付部30c及び40c、及び電動圧縮機10のインバータ14側に位置する弾性部材取付部30d及び40dは、水平面に対して角度αで傾斜している(図4(a)参照)。また、電動圧縮機10の重心位置Gの下側に位置し(図4(a)参照)、電動圧縮機10の軸線Hよりも右側に位置する(図5参照)弾性部材取付部30b及び40bは、水平面に対して角度βで傾斜しており(図4(b)参照)、弾性部材取付部30b及び40bと軸線Hを挟んで反対側に位置する(図5参照)弾性部材取付部30a及び40aは、水平面に対して角度γで傾斜している(図4(b)参照)。このため、各弾性部材20a〜20dは、圧縮機側ブラケット30と車両側ブラケット40の間において、その上部が下部よりも電動圧縮機10に近づくように傾斜して配置されるようになっている。
このように各弾性部材20a〜20dを傾斜して配置すると、上記シミュレーション等の解析結果から、各弾性部材20a〜20dのバネ定数(ゴム硬度)を変えることなく、支持装置1全体の固有振動数を低くすることができる。これにより、支持装置1の防振領域を拡大して振動伝達率を小さくすることができる。なお、角度α、β及びγは、電動圧縮機10の使用や車両の種類などに応じて任意に設定できる。また、弾性部材取付部30a、40aは、弾性部材20aの中心軸(図示省略)が鉛直方向を向くように水平面と平行な方向に形成されてもよい。
なお、本実施形態において、弾性部材20a〜20dそれぞれに用いる材質を変更してもよい。具体的には、第1の弾性部材20aは、第2、第3及び第4の弾性部材20b、20c、20dと比較して荷重負荷が大きい。そのため、弾性部材20aのゴム硬度を他の弾性部材20b、20c、20dのゴム硬度より大きくすることにより、弾性部材20aの変形をより抑制できるようにしてもよい。このように、ゴム硬度を変化させることにより、耐久性を向上させることができる。また、例えば、用途に応じて、各弾性部材20a〜20dのゴム硬度を適宜選択することで、振動源の固有振動数の共振点をずらすことができる。また、本実施形態において、インバータ14側に配置されたガイドピン50に最も近い第4の弾性部材20dのゴム硬度のみを、他の弾性部材20a、20b、20cと比較して高く設定してもよい。
さらに、本実施形態において、圧縮機側ブラケット30の各弾性部材取付部30a〜30d及び車両側ブラケット40の各弾性部材取付部40a〜40dは、重心位置G付近の方向に向かって折り曲げて形成されている。このため、弾性部材20a〜20dは、その中心軸(図示省略)が、重心位置G付近の方向に向いて傾斜して配置されている(図4参照)。このようにすると、上記シミュレーション等の解析結果から、支持装置1による電動圧縮機10の防振効果をさらに安定かつ確実に得ることができる。
なお、弾性部材20a〜20dの中心軸が重心位置Gを通るようにしてもよい。
なお、弾性部材20a〜20dの中心軸が重心位置Gを通るようにしてもよい。
ここで、通常時において、電動圧縮機10は、複数の弾性部材20によって弾性的に支持されると共に車両に対して所定の範囲内で保持される。一方、車両衝突時など通常時と比較して過大な力が電動圧縮機10に作用した場合には、電動圧縮機10が上記所定の範囲を超えて変位し、複数の弾性部材20の少なくとも一つが損傷(破断等)するおそれがある。また、経時劣化によって弾性部材20の少なくとも一つが損傷するおそれがあり得る。複数の弾性部材20の少なくとも一つが損傷した場合には、電動圧縮機10が想定以上に変位してしまい、周辺の部品に衝突するおそれがある。
そこで、本実施形態においては、実験又はシミュレーション等により、弾性部材20a〜20dの弾性限界を予め決定すると共に、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つに弾性限界を超える変形を生じさせるような電動圧縮機10の変位を許容変位として予め設定し、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つの損傷時に電動圧縮機10が予め設定された許容変位を超えて変位し得る場合に、支持装置1に設けられたガイドピン50が、電動圧縮機10と共に変位した圧縮機側ブラケット30に当接することにより、予め設定された許容変位を超える電動圧縮機10の変位を規制する。すなわち、支持装置1は、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つの損傷時に、予め設定された許容変位を超える電動圧縮機10の変位を規制するように構成されている。なお、本実施形態において、弾性部材20の損傷は、経時劣化した場合の弾性部材20の損傷、及び車両衝突時など過大な力が電動圧縮機10に作用した場合の弾性部材20の塑性変形又は破断等を含む。
このように構成された支持装置1で用いられるガイドピン50について図6を参照して説明する。
図6は、図5(a)のC−C’線断面図であり、ガイドピン50の構成を示している。
図6は、図5(a)のC−C’線断面図であり、ガイドピン50の構成を示している。
図6に示すように、ガイドピン50は、車両側ブラケット40に固定される基端部51と、圧縮機側ブラケット30に形成された貫通孔33に挿通される軸部52と、貫通孔33の径よりも大きな径を有する円形状の第1のフランジ部53aが形成された先端部53と、を有するものであって、例えば、六角ボルトなどの締結手段である。
基端部51は、車両側ブラケット40の挿通孔41にネジ結合して締め付け可能なようにネジ切りされている。また、本実施形態において、ガイドピン50には、締結時にトルクが加えられるナット部54が軸部52と一体に形成されている。ナット部54は、貫通孔33を挿通可能なように貫通孔33の径よりも小さいか又はほぼ同じ径を有している。このナット部54としては、例えば、軸部52と一体に形成された六角ナットを用いている。したがって、本実施形態では、ガイドピン50は、圧縮機側ブラケット30と車両側ブラケット40との間にて側方からナット部54にトルクが加えられることで車両側ブラケット40に締結される。また、本実施形態において、ナット部54の下部には、挿通孔41周囲の面と接触する円形状の第2のフランジ部54aが形成されている。これにより、ガイドピン50と挿通孔41周囲の面との接触面積(座面面積)を大きくしている。また、ガイドピン50は、第2のフランジ部54aから基端部51に向かう方向に所定の長さだけネジ切りされていない部分、いわゆるグリップ長さLを有している。これにより、ガイドピン50の挿通孔41への締結時に軸力が発生して被締結部が固定される。このようにして、ガイドピン50と挿通孔41との緩み防止を図っている。また、本実施形態において、先端部53に形成された第1のフランジ部53aにより、車両側ブラケット40からの圧縮機側ブラケット30の抜け防止を図っている。但し、これに限るものではなく、先端部53の径が貫通孔33の径よりも大きく形成されたものであればよい。この場合、第1のフランジ部53aを形成しなくてもよい。
このように構成されたガイドピン50によって、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つの損傷時に車両側ブラケット40上で電動圧縮機10(圧縮機側ブラケット30)が予め設定された許容変位を超えて変位し得る場合に、軸部52が圧縮機側ブラケット30の貫通孔33の内縁(内周縁)に当接することにより、圧縮機側ブラケット30の水平方向(図6の左右方向)への移動が規制される一方、第1のフランジ部53a(又は先端部53)が圧縮機側ブラケット30に当接することにより、圧縮機側ブラケット30の鉛直方向(図6の上下方向)への移動が規制される。すなわち、ガイドピン50は、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つの損傷時に電動圧縮機10が予め設定された許容変位を超えて変位し得る場合に、軸部52の軸方向又は軸部52の径方向において前記電動圧縮機10と共に変位した圧縮機側ブラケット30に当接するように設けられている。これにより、電動圧縮機10の車両側ブラケット40からの全方位における所定以上の変位を抑制することができる。したがって、本実施形態において、ガイドピン50が本発明の「変位規制部材」に相当する。
また、図6からも明らかなように、軸部52の径は、貫通孔33の径よりも十分小さく設定されている(すなわち、貫通孔33の径は、軸部52の径よりも十分大きく設定されている)。また、ガイドピン50の長さは、先端部53(第1のフランジ部53a)の下部の位置が圧縮機側ブラケット30の位置よりも十分高くなるように設定されている。すなわち、ガイドピン50と貫通孔33の内周縁との間、及びガイドピン50の先端部53と圧縮機側ブラケット30との間には、所定の隙間が設けられている。つまり、ガイドピン50は、通常時において、圧縮機側ブラケット30に全方向にて当接しないように設けられている。これにより、通常時において、電動圧縮機10から車両への振動の伝達を抑制できるので、車両の静寂性を維持することができる。したがって、電動圧縮機10の許容変位及び車両の運転中や電動圧縮機10の運転中など通常時の振動による影響や製造時における各部材の公差を考慮して、ガイドピン50及び貫通孔33の寸法及び配置を設定することが好ましい。
なお、ガイドピン50としては、例えば、先端部にフランジ部が形成されたフランジ付き六角ボルトと共に、ナット部54及び第2のフランジ部54aに代えてナット及びワッシャを組み合わせたものを用いてもよい。この場合、ガイドピン50は、圧縮機側ブラケット30の上方で六角ボルトの先端部にトルクが加えられることによって車両側ブラケット40に締結される。
このように、本実施形態によれば、ガイドピン50が設けられた支持装置1を用いることによって、車両の運転中や電動圧縮機10の運転中などの通常時において、電動圧縮機10から車両への振動伝達が抑制されて車両の静寂性を維持できる。一方、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つの損傷時に電動圧縮機10が予め設定された許容変位を超えて変位し得る場合に、ガイドピン50が電動圧縮機10と共に変位した圧縮機側ブラケット30に当接することにより、予め設定された許容変位を超える電動圧縮機10の変位が規制される。このため、電動圧縮機10の防振性及び車両への振動伝達の抑制効果を最大限に高めつつ、経時劣化や、車両衝突時など過大な力によって弾性部材20a〜20dの少なくとも一つが損傷(破断等)したとしても、電動圧縮機10の所定以上の変位を抑制することができるので、電動圧縮機10の周辺の部品への衝突を抑制することができる。
また、本実施形態において、ガイドピン50は、基端部51、軸部52及び先端部53を有し、軸部52は圧縮機側ブラケット30の貫通孔33に挿通され、先端部53(又は第1のフランジ部53a)は貫通孔33の径よりも大きな径を有している。そして、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つの損傷時に電動圧縮機10(圧縮機側ブラケット30)が予め設定された許容変位を超えて変位し得る場合に、ガイドピン50の軸部52又は先端部53(又は第1のフランジ部53a)に圧縮機側ブラケット30が当接することにより圧縮機側ブラケット30と共に変位する電動圧縮機10の上下方向、及び水平方向の変位が規制される。このため、経時劣化や、車両衝突時など過大な力によって弾性部材20a〜20dの少なくとも一つが損傷(破断等)したとしても、電動圧縮機10の全方位における所定以上の変位を抑制することができる。
なお、以上示した実施形態では、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つに弾性限界を超える変形を生じさせるような電動圧縮機10の変位を許容変位として予め設定し、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つの損傷時に、許容変位を超える電動圧縮機10の変位を規制するようにしたが、これに限るものではない。例えば、複数の弾性部材20a〜20dの少なくとも一つに弾性限界を超える変形を生じさせないような電動圧縮機10の変位を、許容変位として設定してもよい。これにより、車両衝突時など通常時と比較して過大な力が電動圧縮機10に作用した場合に、弾性部材20の弾性限界、すなわち弾性部材20の弾性変形可能な領域を超える変形を生じさせるような電動圧縮機10の変位を規制することができる。この場合、弾性部材20の塑性変形又は破断を抑制できるので交換コストを抑制することができる。
なお、以上示した実施形態では、支持装置1のインバータ14側にガイドピン50を一つ設けたが、ガイドピン50を複数、例えば二つ設けてもよい。この場合、上記実施形態と同様に一方をインバータ14側に配置し、他方を電動モータ12又は圧縮機構13の下側に配置することが好ましい。
1…支持装置、10…電動圧縮機、11…ハウジング、12…電動モータ、12a…出力軸、13…圧縮機構、14…インバータ、15…吸入ポート、16…吐出ポート、20(20a〜20d)…弾性部材、30…圧縮機側ブラケット(圧縮機側支持部材)、40…車両側ブラケット(車両側支持部材)、50…ガイドピン(変位規制部材)
Claims (6)
- 車両に固定され、電動モータ、前記電動モータによって駆動される圧縮機構及び前記電動モータを駆動するインバータが一体化された電動圧縮機を複数の弾性部材によって弾性的に支持する電動圧縮機の支持装置であって、
前記複数の弾性部材の少なくとも一つの損傷時に、予め設定された許容変位を超える前記電動圧縮機の変位を規制するように構成されている、電動圧縮機の支持装置。 - 前記許容変位は、前記複数の弾性部材の少なくとも一つに弾性限界を超える変形を生じさせるような前記電動圧縮機の変位に設定されている、請求項1に記載の電動圧縮機の支持装置。
- 前記支持装置は、
前記電動圧縮機に固定される圧縮機側支持部材と、
前記車両に固定される車両側支持部材と、
前記圧縮機側支持部材と前記車両側支持部材との間に配置される前記複数の弾性部材と、
前記車両側支持部材に設けられ、前記電動圧縮機と共に変位した前記圧縮機側支持部材に当接することにより、前記許容変位を超える前記電動圧縮機の変位を規制する変位規制部材と、
を含む、請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機の支持装置。 - 前記変位規制部材は、前記車両側支持部材に固定される基端部と、前記圧縮機側支持部材に形成された貫通孔に挿通される軸部と、前記貫通孔よりも大きい先端部と、を有し、
前記軸部が前記圧縮機側支持部材の前記貫通孔の内縁に当接し又は前記先端部が前記圧縮機側支持部材に当接することにより、前記許容変位を超える前記電動圧縮機の変位を規制する、請求項3に記載の電動圧縮機の支持装置。 - 前記変位規制部材は、前記電動圧縮機の重心位置よりも前記インバータ側に配置されている、請求項3又は請求項4に記載の電動圧縮機の支持装置。
- 前記複数の弾性部材は、
前記電動圧縮機の重心位置の近傍に配置される第1の弾性部材と、
前記電動モータの出力軸の軸線を挟んで前記第1の弾性部材の反対側に配置される第2の弾性部材と、
前記電動圧縮機の重心位置よりも前記圧縮機構側に配置される第3の弾性部材と、
前記電動圧縮機の重心位置よりも前記インバータ側に配置される第4の弾性部材と、
を含む、請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の電動圧縮機の支持装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015222878A JP2017089816A (ja) | 2015-11-13 | 2015-11-13 | 電動圧縮機の支持装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015222878A JP2017089816A (ja) | 2015-11-13 | 2015-11-13 | 電動圧縮機の支持装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2017089816A true JP2017089816A (ja) | 2017-05-25 |
Family
ID=58771406
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2015222878A Pending JP2017089816A (ja) | 2015-11-13 | 2015-11-13 | 電動圧縮機の支持装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017089816A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110397608A (zh) * | 2019-07-31 | 2019-11-01 | 奇瑞商用车(安徽)有限公司 | 一种燃料电池车空压机减震装置 |
CN110905768A (zh) * | 2019-11-19 | 2020-03-24 | 江苏景泰石油化工装备有限公司 | 一种具有高稳定性的压缩机 |
WO2024057922A1 (ja) * | 2022-09-16 | 2024-03-21 | サンデン株式会社 | インバータ一体型電動圧縮機及びその製造方法 |
-
2015
- 2015-11-13 JP JP2015222878A patent/JP2017089816A/ja active Pending
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