JP2017089074A - 製紙用プロセスベルト - Google Patents
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Abstract
【課題】 製紙用プロセスベルト、特に湿紙搬送ベルトやカレンダーベルトの両端部において、クラックの発生が防止された製紙用プロセスベルトを提供すること。【解決手段】 製紙工程内の加圧手段によって加圧され、複数のロールに支持されて回転走行する無端状の製紙用プロセスベルトであって、前記製紙用プロセスベルトの巾寸法が、前記製紙用プロセスベルトの裏面に接触する前記加圧手段の有効面長巾以下で、さらにまた、製紙する紙巾以上とする。【選択図】図2
Description
本発明は、製紙工程で使用される製紙用プロセスベルト、例えば湿紙搬送ベルト(トランスファーベルトとも呼ぶ)やカレンダーベルトなどに関する。
紙の原料から水分を除去する抄紙機は、一般的にワイヤーパートとプレスパートとドライヤーパートとを備えている。これらワイヤーパート、プレスパートおよびドライヤーパートは、湿紙の搬送方向に沿ってこの順番に配置されている。
プレスパートにおける湿紙の受渡しに関し、現在、抄紙機としては、クローズドドローにて湿紙の受渡しを行うクローズドドロー抄紙機が知られている。クローズドドロー抄紙機のプレスパートでは、湿紙が抄紙用フェルトあるいは湿紙搬送ベルトに載置された状態で搬送されるため、湿紙が単独で走行する箇所が存在せず、紙切れの発生が防止されている。このため、クローズドドロー抄紙機は、高速運転適性および操業の安定性に関し、優れている。
このようなクローズドドロー抄紙機のプレスパートでは、プレスフェルト並びに、シュープレスベルト、湿紙搬送ベルトといった製紙用プロセスベルトが使用されている。このシュープレスベルトや湿紙搬送ベルトは、一般的に少なくとも1層の樹脂層を含んでいるプレスベルトである。これらのプレスベルトに求められる一般的な要求特性としては、可撓性、耐クラック性、耐摩耗性、耐久性、寸法安定性、及び水、油等に対する不透過性等が挙げられる。これらの諸特性を備えた材料の一例として、ポリウレタンが挙げられ、上記プレスベルトの樹脂層には、このポリウレタンが一般的に使用されている。
しかしながら、プレスベルトは、屈曲や加圧が繰り返される過酷な条件で使用されるため、プレスベルト表面、例えば外表面にクラックが発生してしまうことが耐久性の点で大きな問題となっている。そしてこのクラックの発生は、プレスベルトの抄巾内(湿紙CMD長さ、紙巾)でも、抄巾外、例えば加圧手段の両端部に対応する領域(両端部対応領域)においても起こり得る。
上記両端部対応領域において、クラックの発生を防止するためのプレスベルトの検討がなされている。特許文献1では、プレスベルトの両端部対応領域の厚みが中央領域の厚みよりも小さくなるようにし、両端部対応領域の外周面と中央領域の外周面との間に段差が形成され、両端部対応領域の外周面の加工傷深さが10μm以下となるように仕上げ加工されたプレスベルトが開示される。
特許文献1に記載のプレスベルトは、特にシュープレスベルトの両端部が固定プレートによって端部ディスクに装着されるようなシュープレスベルトに対しては、耐クラック性の効果はあるものの、これを湿紙搬送ベルトに適用すると、耐クラック性に関しては逆効果となり得る可能性がある。
上記シュープレスベルトは、シュープレスベルトの両端部が固定プレートによって端部ディスクに装着されているため、抄紙機の運転中、特に抄速変更時に、シュープレスベルトの中央部と両端部の間で、ねじり応力の影響を非常に受け易い。そのため、シュープレスベルトの両端部対応領域の厚みを中央部の厚みよりも薄くし、この両端部対応領域で撓み変形を増大させることによって前記応力を吸収し、クラック発生の防止が図られている。
一方、湿紙搬送ベルトは、上記シュープレスベルトのように、湿紙搬送ベルトの端部が固定されていない。よって、湿紙搬送ベルトにおいては、その中央部と両端部の間にねじり応力はほとんど発生することがない。
また、湿紙搬送ベルトは、抄紙機のプレスパートの複数のガイドロールやプレスロールによって、一定の張力が掛けられた状態で支持されている。この時、湿紙搬送ベルトの両端部対応領域で湿紙搬送用ベルトの厚みを薄くすると両端部領域の剛直性が弱くなる。そして、この湿紙搬送ベルトが、プレスロール、ガイドロール(表面側や裏面側)、ロールに接していない部分を繰返し通過すると、両端部対応領域で折れ曲がりまたは反り返りが発生し、これによって当該領域(両端部対応領域と中央領域の境界含む)のクラックの発生を助長する恐れがある。このことは、製紙カレンダー部のカレンダーベルトにも同様に当てはまる。
また、湿紙搬送ベルトは、抄紙機のプレスパートの複数のガイドロールやプレスロールによって、一定の張力が掛けられた状態で支持されている。この時、湿紙搬送ベルトの両端部対応領域で湿紙搬送用ベルトの厚みを薄くすると両端部領域の剛直性が弱くなる。そして、この湿紙搬送ベルトが、プレスロール、ガイドロール(表面側や裏面側)、ロールに接していない部分を繰返し通過すると、両端部対応領域で折れ曲がりまたは反り返りが発生し、これによって当該領域(両端部対応領域と中央領域の境界含む)のクラックの発生を助長する恐れがある。このことは、製紙カレンダー部のカレンダーベルトにも同様に当てはまる。
本発明者は、上記課題を解決すべく、製紙用プロセスベルト、例えば湿紙搬送ベルトやカレンダーベルトの巾寸法を、製紙用プロセスベルトの裏面に接触する加圧手段の有効面長巾以下とし、さらにまた製紙する紙巾以上とすることにより、製紙用プロセスベルトの両端部におけるクラックの発生を防止することを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(1)製紙工程内の加圧手段によって加圧され、複数のロールに支持されて回転走行する無端状の製紙用プロセスベルトであって、前記製紙用プロセスベルトの巾寸法が、前記製紙用プロセスベルトの裏面に接触する前加圧手段の有効面長巾以下である、前記製紙用プロセスベルト。
(2)前記製紙用プロセスベルトの巾寸法が、製紙する紙巾以上である、(1)に記載の製紙用プロセスベルト。
(1)製紙工程内の加圧手段によって加圧され、複数のロールに支持されて回転走行する無端状の製紙用プロセスベルトであって、前記製紙用プロセスベルトの巾寸法が、前記製紙用プロセスベルトの裏面に接触する前加圧手段の有効面長巾以下である、前記製紙用プロセスベルト。
(2)前記製紙用プロセスベルトの巾寸法が、製紙する紙巾以上である、(1)に記載の製紙用プロセスベルト。
(3)前記加圧手段が、プレスロールと該プレスロールに対向するカウンターロールである、(1)または(2)に記載の製紙用プロセスベルト。
(4)前記加圧手段が、プレスシューと該プレスシューに対向するカウンターロールである、(1)または(2)に記載の製紙用プロセスベルト。
(4)前記加圧手段が、プレスシューと該プレスシューに対向するカウンターロールである、(1)または(2)に記載の製紙用プロセスベルト。
(5)前記製紙用プロセスベルトが、湿紙搬送ベルトである、(1)〜(4)の何れか一つに記載の製紙用プロセスベルト。
(6)前記製紙用プロセスベルトが、カレンダーベルトである、(1)〜(4)の何れが一つに記載の製紙用プロセスベルト。
(6)前記製紙用プロセスベルトが、カレンダーベルトである、(1)〜(4)の何れが一つに記載の製紙用プロセスベルト。
以上の構成により、製紙用プロセスベルト、特に湿紙搬送ベルトやカレンダーベルトなどの両端部におけるクラックの発生が防止された製紙用プロセスベルトを提供することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の製紙用プロセスベルト、特に湿紙搬送ベルトについて詳細に説明する。なお図中、各部材は、説明の容易化のため適宜大きさが強調されており、実際の各部材の比率および大きさが示されているものではない。
典型的なクローズドドロー抄紙機のプレスパートの一例について、図1に基づき説明する。図において、破線で示される湿紙WWは、ワイヤーパートのワイヤーWF、プレスパートのプレスフェルトPF1、PF2、PF3、湿紙搬送ベルトTB、ドライヤーパートのドライヤーファブリックDFに支持され、左から右に向かって搬送される。このように、クローズドドロー抄紙機においては、湿紙が上記抄紙用具に支持されていない部分は存在しない。これらのワイヤーWF、プレスフェルトPF1、PF2、PF3、湿紙搬送ベルトTB、ドライヤーファブリックDFは、周知のように無端状に形成された帯状体であり、ガイドローラーGRで支持されている。
典型的なクローズドドロー抄紙機のプレスパートの一例について、図1に基づき説明する。図において、破線で示される湿紙WWは、ワイヤーパートのワイヤーWF、プレスパートのプレスフェルトPF1、PF2、PF3、湿紙搬送ベルトTB、ドライヤーパートのドライヤーファブリックDFに支持され、左から右に向かって搬送される。このように、クローズドドロー抄紙機においては、湿紙が上記抄紙用具に支持されていない部分は存在しない。これらのワイヤーWF、プレスフェルトPF1、PF2、PF3、湿紙搬送ベルトTB、ドライヤーファブリックDFは、周知のように無端状に形成された帯状体であり、ガイドローラーGRで支持されている。
なお、図中、ガイドロールGR、プレスロールPR1、カウンターロールCR1、CR2、プレスシューPS、シュープレスベルトSB、サクションロールSRは、いずれも周知の構成である。そして、プレスロールPR1、カウンターロールCR1で一番プレス部PP1を構成し、カウンターロールCR2表面(曲率半径)に対応した凹状のプレスシューPSが、シュープレスベルトSBを介して、カウンターロールCR2とともに、2番プレス部PP2を構成している。このため、2番プレス部PP2では、湿紙WWの進行方向に比較的長い加圧面が形成される。
ここで、前記クローズドドロー抄紙機における湿紙WWの走行状況を説明する。なお、当然ではあるが湿紙WWは、湿紙WWが進行する方向に連続して製造されるため、湿紙WWにおける一部分の移動状況について説明する。
まず、湿紙WWは、ワイヤーパートのワイヤーWF、プレスパートのプレスフェルトPF1、1番プレス部PP1を順次通過し、プレスフェルトPF2からプレスフェルトPF3へ受け渡される。そして、プレスフェルトPF3により、2番プレス部PP2に搬送される。2番プレス部PP2において、湿紙WWは、プレスフェルトPF3と湿紙搬送ベルトTBとにより挟持された状態で、シュープレスベルトSBを介したプレスシューPSと、カウンターロールCR2とにより加圧される。
この際、プレスフェルトPF3は透水性が高く、湿紙搬送ベルトTBは透水性が非常に低く構成されている。よって、2番プレス部PP2において、湿紙WWからの水分は、プレスフェルト3に移行する。
2番プレス部PP2を脱した直後においては、急激に圧力から解放されるため、プレスフェルトPF3、湿紙WW、湿紙搬送ベルトTBの体積が膨張する。この膨張と、湿紙WWを構成するパルプ繊維の毛細管現象とにより、プレスフェルトPF3内の一部の水分が、湿紙WWへと移行してしまう、いわゆる、再湿現象が生じる。
2番プレス部PP2を脱した直後においては、急激に圧力から解放されるため、プレスフェルトPF3、湿紙WW、湿紙搬送ベルトTBの体積が膨張する。この膨張と、湿紙WWを構成するパルプ繊維の毛細管現象とにより、プレスフェルトPF3内の一部の水分が、湿紙WWへと移行してしまう、いわゆる、再湿現象が生じる。
しかし、前述のように、湿紙搬送ベルトTBは、透水性が非常に低く構成されているので、その内部に水分を保持することはない。よって、湿紙搬送ベルトTBから再湿現象はほとんど発生せず、湿紙搬送ベルトTBは、湿紙の搾水効率向上に寄与する。なお、2番プレス部PP2を脱した湿紙WWは、湿紙搬送ベルトTBにより搬送される。そして、湿紙WWは、サクションロールSRにより吸着され、ドライヤーファブリックDFによりドライヤーパートへと搬送される。
図2は、図1で示したクローズドドロー抄紙機における2番プレス部PP2の巾方向断面を示す要部断面図である。図2に示すように、プレスシューPSおよびカウンターロール2は、巾方向に一定の長さを有している。湿紙搬送ベルトTBは、湿紙WWが走行する抄巾Cを含む巾Aを有している。なお、図1及び図2のプレスパートの加圧手段は、プレスシューPSと該プレスシューに対向するカウンターロールCR2について例示したが、プレスシューPSとシュープレスベルトSBをプレスロールとすることも可能である(図示せず)。また、前記加圧手段と湿紙搬送ベルトを、製紙カレンダー部の加圧手段とカレンダーベルトとして考えることもできる。
シュープレスベルトSBは、プレスシューPSを内包した外筒構造としてロール状に組み立てられている。プレスシューPSは、支持軸SH上で油圧シリンダーCYによって支持されており、シュープレスベルトSBを下方向に加圧することができる。支持軸SHの両端部には、端部ディスクDIがベアリングBRを介して配置されており、またシュープレスベルトSBの端部は、端部ディスクDIの外周上で半径方向内側に折り曲げられ、このシュープレスベルトSBの端部の折り曲げ部は、リング状の固定プレートPLによって、端部ディスクDIの外周部とで挟まれる態様で固定される。従って端部ディスクDIに固定されたシュープレスベルトSBは、プレスシューPS上を滑りながら回転することが可能となる。なお、シュープレスベルトSBとプレスシューPSの間には潤滑油が供給されている。
湿紙WWは、シュープレスベルトSBに隣接するプレスフェルトPF3とカウンターロールCR2に隣接する湿紙搬送ベルトTBに挟持され、プレスシューPSがカウンターロールCR2方向に加圧されることによって脱水される。なお、カウンターロールCR2の巾は一般的に、プレスシューPSの巾と同等か、またはプレスシューPSの巾よりも大きい。
湿紙搬送ベルトTBの巾寸法Aは、湿紙搬送ベルトの裏面に接触する加圧手段の有効面長巾B以下(図2ではカウンターロール両端部21−21間)であることが好ましく、さらにまた、製紙する紙巾C以上であることが好ましい。
図3は、本発明の好適な実施形態にかかる湿紙搬送ベルトの一例を示す巾方向断面図である。湿紙搬送ベルトTBは、補強繊維基材層31と、補強繊維基材層31の外表面側にある一方の主面に設けられた外周樹脂層(湿紙担持側樹脂層)32と、補強繊維基材層31の内表面側にある他方の主面に設けられた内周樹脂層(ロール側樹脂層)33とを有し、これらの層が積層されて形成されている。また、外周樹脂層は、湿紙搬送ベルトTBが形成する環の外側表面(外周面322)を形成する層である。そして、湿紙搬送ベルトTBは、湿紙が走行する紙巾Cを含む巾Aを有している。
補強繊維基材層31は、補強繊維基材311と樹脂312とによって構成されている。樹脂312は、補強繊維基材311中の繊維の間隔を埋めるように補強繊維基村層31中に存在している。すなわち、樹脂312の一部は、補強繊維基材311に含浸しており、一方で、補強繊維基材311は、樹脂312中に埋設されている。
補強繊維基材311としては、特に限定されないが、例えば、経糸と緯糸とを織機等により製織した織物が一般的に使用される。また、製織せずに、経糸列と緯糸列の重ね合わせによる格子状素材を使用することもできる。
補強繊維基材311を構成する繊維の繊度は、特に限定されないが、例えば、300〜10000dtex、好ましくは、500〜6000dtexとすることができる。
また、補強繊維基材311を構成する繊維の繊度は、その繊維を用いる部位によって異なっていてもよい。例えば、補強繊維基材311の経糸と緯糸とでそれらの繊度が異なっていてもよい。
補強繊維基材311を構成する繊維の繊度は、特に限定されないが、例えば、300〜10000dtex、好ましくは、500〜6000dtexとすることができる。
また、補強繊維基材311を構成する繊維の繊度は、その繊維を用いる部位によって異なっていてもよい。例えば、補強繊維基材311の経糸と緯糸とでそれらの繊度が異なっていてもよい。
補強繊維基材311の素材としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、脂肪族ポリアミド(ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612等)、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、羊毛、綿、金属等を、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
樹脂312の材料としては、ウレタン、エポキシ、アクリル等熱硬化性樹脂、またはポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂等を1種または2種以上を組み合わせて使用することができ、好適にはウレタン樹脂を使用することができる。
樹脂312に用いられるウレタン樹脂としては、特に限定されないが、例えば、芳香族あるいは脂肪族ポリイソシアネート化合物とポリオールとを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、活性水素基を有する硬化剤とともに硬化させて得られるウレタン樹脂とすることができる。また、アニオン系、ノニオン系、カチオン系の自己乳化型、あるいは、強制乳化型の水系ウレタン樹脂を使用することができる。この場合、耐水性向上のため、メラミン系、エポキシ系、イソシアネート系、カルボジイミド系等の架橋剤を水系ウレタン樹脂とともに併用して、水系ウレタン樹脂を架橋することも可能である。
また、樹脂312に、酸化チタン、カオリン、クレー、タルク、珪藻土、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、シリカ、マイカなどの、無機充填剤を1種または2種以上を組み合わせて含有させてもよい。
なお、補強繊維基材層31中における樹脂312の組成および種類は、補強繊維基材層31中の部位ごとに異なるものであってもよいし、同一であってもよい。
外周樹脂層32は、補強繊維基材層31の一方の主面に設けられた、主として樹脂材料で構成される層である。
外周樹脂層32は、補強繊維基材層31に接合する主面とは反対側の主面において、湿紙と接触し、また湿紙WWを担持するための湿紙担持表面(外周面322の一部)を構成している。すなわち、湿紙搬送ベルトTBは、外周樹脂層31の湿紙担持表面(外周面322の一部)に湿紙WWを担持して、湿紙WWを搬送することができる。
外周樹脂層32は、補強繊維基材層31に接合する主面とは反対側の主面において、湿紙と接触し、また湿紙WWを担持するための湿紙担持表面(外周面322の一部)を構成している。すなわち、湿紙搬送ベルトTBは、外周樹脂層31の湿紙担持表面(外周面322の一部)に湿紙WWを担持して、湿紙WWを搬送することができる。
また、一般的に湿紙搬送ベルトTBの外周樹脂層32の外周面322は、研磨加工やバフ加工がされている。この研磨加工やバフ加工の加工例として、湿紙搬送ベルトTBは、2本の平行なロールに掛け入れられた湿紙搬送ベルトTBを回転させながら、固定された研磨加工装置やバフ加工装置によって加工される。
外周樹脂層32を構成する樹脂材料321としては、上述したような補強繊維基材層31に用いることのできる樹脂材料を、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。外周樹脂層32を構成する樹脂材料と、補強繊維基材層31を構成する樹脂とは、種類および組成について、同一であっても異なるものであってもよい。
特に、外周樹脂層32を構成する樹脂材料321としては、機械的強度、耐摩耗性、柔軟性の観点から、ウレタン樹脂が好ましい。また、外周樹脂層32は、補強繊維基材層31と同様に無機充填剤を1種または2種以上含むものであってもよい。なお、外周樹脂層32中における樹脂材料および無機充填剤の組成および種類は、外周樹脂層32中の部位ごとに異なるものであってもよいし、同一であってもよい。また、外周樹脂層32は、水を透過しない性質を有することが好ましい。すなわち、外周樹脂層32は、水不透過性であることが好ましい。
内周樹脂層(ロール側樹脂層)33は、補強繊維基材層31の一方の主面に設けられた、主として樹脂材料で構成される層である。内周樹脂層33は、補強繊維基材層31に接合する主面とは反対側の主面において、ロールと接触するためのロール接触表面332を構成している。湿紙搬送ベルトTBは、使用時において、ロール接触表面332がロールと接触することにより、ロールより湿紙の搬送のための動力を得ることができる。
内周樹脂層33を構成する樹脂材料331としては、上述したような補強繊維基材層31に用いることのできる樹脂材料を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。内周樹脂層33を構成する樹脂材料は、外周樹脂層32または補強繊維基材層31を構成する樹脂材料と、種類および組成について、同一であっても異なるものであってもよい。
特に、内周樹脂層33を構成する樹脂材料331としては、機械的強度、耐摩耗性、柔軟性の観点から、ウレタン樹脂が好ましい。また、内周樹脂層33は、補強繊維基材層31と同様に無機充填剤を1種または2種以上含むものであってよい。なお、内周樹脂層33中における樹脂材料および無機充填剤の組成および種類は、内周樹脂層33中の部位ごとに異なるものであってもよいし、同一であってもよい。
上述したような湿紙搬送ベルトTBの寸法は、その用途に合わせて適宜設定することができる。例えば、湿紙搬送ベルトTBの巾は、700mm〜13500mm、好ましくは、2500mm〜12500mmとすることができる。ただし、何れにしても湿紙搬送ベルトTBの巾は、湿紙搬送ベルトの裏面に接触するプレスパート内の加圧手段の有効面長巾以下で、さらにまた製紙する紙巾以上とする。また例えば、湿紙搬送ベルトTBの長さ(周長)は、特に限定されないが、4m〜35m、好ましくは、10m〜30mとすることができる。
また、湿紙搬送ベルトTBの厚さDAは、特に限定されず、例えば、1.5mm〜7.0mm、好ましくは2.0mm〜6.0mmとすることができる。
以上、本実施形態にかかる湿紙搬送ベルトTBは、湿紙搬送ベルトの巾寸法を、湿紙搬送ベルトの裏面に接触する加圧手段の有効面長巾以下とし、さらに製紙する紙巾以上とすることにより、湿紙搬送ベルトの両端部におけるクラックの発生を防止する。
上述した湿紙搬送ベルトTBの変形例としては、例えば、内周樹脂層が樹脂材料で構成された層ではなく、バット繊維をニードリングして形成されたバット繊維層である態様が挙げられる。また、さらなる本発明の湿紙搬送ベルトの変形例としては、上記バット繊維に上述したような樹脂が含浸した層を有する対応が挙げられる。いずれの変形例においても、内周樹脂層以外の構成は、上記湿紙搬送ベルトTBと同様とすることができる。なお、バット繊維の素材としては、補強繊維法材311に用いることのできる素材を1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
以上、本発明について好適な実施形態に基づき詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換、例えばカレンダーベルトと置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
以下、本発明の製紙用プロセスベルトの製造方法の一例について説明する。
(1)樹脂層形成工程
まず、以下の構成の補強繊維基材、樹脂材料を準備した。
<補強繊維基材>
上経糸:ナイロン6からなる2000dtexのツイストモノフィラメント
下経糸:ナイロン6からなる2000dtexのツイストモノフィラメント
緯糸:ナイロン6からなる1400dtexのツイストモノフィラメント
組織:上・下経糸40本/5cm、緯糸40本/5cm、経2重組織
上記構成の織布のロール面側に、ナイロン66からなる22dtexのバット繊維を100g/m2ニードリングし、織布と絡合、一体化した補強繊維基材。
<樹脂材料>
トリレンジイソシアネート(TDI)とポリテトラメチレングリコール(PTMG)の混合物にジメチルチオトルエンジアミン(DMTDA)の反応物から成るポリウレタン。
(1)樹脂層形成工程
まず、以下の構成の補強繊維基材、樹脂材料を準備した。
<補強繊維基材>
上経糸:ナイロン6からなる2000dtexのツイストモノフィラメント
下経糸:ナイロン6からなる2000dtexのツイストモノフィラメント
緯糸:ナイロン6からなる1400dtexのツイストモノフィラメント
組織:上・下経糸40本/5cm、緯糸40本/5cm、経2重組織
上記構成の織布のロール面側に、ナイロン66からなる22dtexのバット繊維を100g/m2ニードリングし、織布と絡合、一体化した補強繊維基材。
<樹脂材料>
トリレンジイソシアネート(TDI)とポリテトラメチレングリコール(PTMG)の混合物にジメチルチオトルエンジアミン(DMTDA)の反応物から成るポリウレタン。
<積層体の形成>
次に、図4(a)に示すように、補強繊維基材をバット繊維側が内側に配置されるように2本のロール41に掛け入れた。
次に、図4(b)に示すように、液状のウレタン樹脂を補強繊維基材の湿紙担持表面側から補強繊維基材の織布を貫通させて含浸させ、補強繊維基材の表面から1.5〜1.6mmの厚さで樹脂層が形成されるようにウレタン樹脂を樹脂吐出装置43、コーターバー42によってコートした。
次に、図4(a)に示すように、補強繊維基材をバット繊維側が内側に配置されるように2本のロール41に掛け入れた。
次に、図4(b)に示すように、液状のウレタン樹脂を補強繊維基材の湿紙担持表面側から補強繊維基材の織布を貫通させて含浸させ、補強繊維基材の表面から1.5〜1.6mmの厚さで樹脂層が形成されるようにウレタン樹脂を樹脂吐出装置43、コーターバー42によってコートした。
次に、コートしたウレタン樹脂を硬化させ、補強繊維基材にウレタン樹脂が含浸した補強繊維基材層と、補強繊維基材層の外周側に形成された外周樹脂層前駆体と、補強繊維基材層の内周側に形成された内周樹脂層とが積層された製紙用プロセスベルトの半製品を得た。
(2)研磨加工、バフ加工、巾切断
製紙用プロセスベルト(半製品)の外周面について研磨加工、及び/又はバフ加工を施し、製紙用プロセスベルトの厚み、表面粗さを調整し、所望の巾寸法に切断して、製紙用プロセスベルトを完成させた。
製紙用プロセスベルト(半製品)の外周面について研磨加工、及び/又はバフ加工を施し、製紙用プロセスベルトの厚み、表面粗さを調整し、所望の巾寸法に切断して、製紙用プロセスベルトを完成させた。
得られた製紙用プロセスベルトは、その巾寸法が、製紙用プロセスベルトの裏面に接触する製紙工程内の加圧手段の有効面長巾以下で、さらにまた、製紙する紙巾以上としているので、製紙用プロセスベルトの両端部におけるクラックの発生を防止することができる。そしてこの製紙用プロセスベルトは、製紙工程内の湿紙搬送ベルトや、カレンターベルトとして利用することができる。
20:カウンターロール表面、21:カウンターロール有効面長巾端部、31:補強繊維基材層、32:外周樹脂層、33:内周樹脂層、311:補強繊維基材、312:補強繊維基材層の樹脂、321:外周樹脂層の樹脂、322:外周面、331:内周樹脂層の樹脂、332:ロール接触表面、41:ロール、42:コーターバー、43:樹脂吐出装置、A:湿紙搬送ベルトの巾寸法、B:湿紙搬送ベルトの裏面に接触する加圧手段の有効面長巾、C:紙巾、BR:ベアリング、CR1・2:カウンターロール1・2、CY:油圧シリンダー、DA:湿紙搬送ベルトの厚み、DF:ドライヤーファブリック、DI:端部ディスク、GR:ガイドロール、PL:固定プレート、PP1:1番プレス部、PP2:2番プレス部、PF1・2・3:プレスフェルト1・2・3、PR1:プレスロール1、PS:プレスシュー、SB:シュープレスベルト、SH:支持軸、SR:サクションロール、TB:湿紙搬送ベルト、WF:ワイヤー、WW:湿紙
Claims (6)
- 製紙工程内の加圧手段によって加圧され、複数のロールに支持されて回転走行する無端状の製紙用プロセスベルトであって、前記製紙用プロセスベルトの巾寸法が、前記製紙用プロセスベルトの裏面に接触する前記加圧手段の有効面長巾以下である、前記製紙用プロセスベルト。
- 前記製紙用プロセスベルトの巾寸法が、製紙する紙巾以上である、請求項1に記載の製紙用プロセスベルト。
- 前記加圧手段が、プレスロールと該プレスロールに対向するカウンターロールである、請求項1または2に記載の製紙用プロセスベルト。
- 前記加圧手段が、プレスシューと該プレスシューに対向するカウンターロールである、請求項1または2に記載の製紙用プロセスベルト。
- 前記製紙用プロセスベルトが、湿紙搬送ベルトである、請求項1〜4の何れか一項に記載の製紙用プロセスベルト。
- 前記製紙用プロセスベルトが、カレンダーベルトである、請求項1〜4の何れか一項に記載の製紙用プロセスベルト。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2015227085A JP2017089074A (ja) | 2015-11-04 | 2015-11-04 | 製紙用プロセスベルト |
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JP2015227085A JP2017089074A (ja) | 2015-11-04 | 2015-11-04 | 製紙用プロセスベルト |
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Family Applications (1)
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2015
- 2015-11-04 JP JP2015227085A patent/JP2017089074A/ja active Pending
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