JP2017081885A - 生体適合性医療用材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】内包物の徐放性、形成された粒子の形状の保持性、耐溶血性および体外放出性に優れた生体適合性医療用材料を提供する。【解決手段】生体適合性単量体を重合させてなる生体適合性重合体であって、重量平均分子量が1000〜90000であり、少なくとも一方の分子末端に官能基を有する生体適合性重合体を含有する生体適合性医療用材料、および前記生体適合性重合体同士を結合させてなる生体適合性共重合体を含有する生体適合性医療用材料。【選択図】なし

Description

本発明は、生体適合性医療用材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、薬剤を保持し、経口または血液を介して体内に導入する際に使用される医薬用担体、コーティング剤などとして有用な生体適合性医療用材料に関する。本発明の生体適合性医療用材料は、例えば、注射薬用担体、経口投与される医薬用担体などとして使用することが期待される。
生体内に入ったときに生体防御反応を起こさない生体適合性材料として、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートからなる繰り返し単位を構成成分とする合成高分子化合物を表面に有し、生体組織または体液と接する用途に使用される生体適合性医用材料(例えば、特許文献1参照)、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートからアニオン重合によって合成されるポリマーからなり、重量平均分子量と数平均分子量との比(重量平均分子量/数平均分子量)の値が1.0〜1.5であり、重量平均分子量が40000以上である生体適合性材料(例えば、特許文献2参照)が提案されている。前記生体適合性医用材料および生体適合性材料は、いずれも血液または生体組織と接触する医療器具などに使用することができるが、薬剤を保持する性質が充分ではないことから、薬剤を保持し、経口または血液を介して体内に導入するための担体に適していない。
生体活性剤を含む複合材料(コンジュゲート)として、重合体アームが有する開始剤フラグメントまたは末端基に生体活性剤または診断剤を連結させたコンジュゲートが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、前記コンジュゲートを構成する生体適合性単量体にスチレンなどの生体適合性として適切であるとは考えられがたい単量体が多量で使用されているので人体に対する安全面で好ましいものとはいえず、さらに当該コンジュゲートの分子量が大きいことから、体外への排出性に劣るという欠点がある。
特開平04−152952号公報 特開2003−012723号公報 特表2013−534931号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、薬剤の徐放性、粒子形状の保持性、耐溶血性および体外放出性に優れた生体適合性医療用材料を提供することを目的とする。
本発明は、
(1) 生体適合性単量体を重合させてなり、重量平均分子量が1000〜90000であり、少なくとも一方の分子末端に官能基を有する生体適合性重合体を含有してなる生体適合性医療用材料、および
(2) 前記(1)に記載の生体適合性重合体同士を結合させてなる生体適合性共重合体を含有してなる生体適合性医療用材料
に関する。
本発明によれば、薬剤の徐放性、粒子形状の保持性、耐溶血性および体外放出性に優れた生体適合性医療用材料が提供される。
本発明の生体適合性医療用材料は、前記したように、生体適合性単量体を重合させてなり、重量平均分子量が1000〜90000であり、少なくとも一方の分子末端に官能基を有する生体適合性重合体を含有する。
生体適合性単量体としては、例えば、ポリオキシアルキレン基含有単量体、水酸基含有(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ビニルモノマー、アルキレンオキサイド、アルコキシポリオキシアルキレングリコール、環状化合物、アミノ酸、アスパラギン酸、グルタミン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの生体適合性単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、アクリレートおよびメタクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、併用してもよい。また、「(メタ)アクリル」は、アクリルまたはメタクリルを意味する。
前記ポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体としては、例えば、式(I):
Figure 2017081885
(式中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して水素原子またはメチル基、R4は、炭素数2〜18のアルキレン基、R5は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基、Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基、−CO−基またはR13C=CR2−基がビニル基であるとき直接結合、mは、−(R4O)−基の平均付加モル数であり、1〜300の数を示す)
で表わされるポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体などが挙げられる。
なお、1分子中に2種類以上の式:−R4O−で示されるオキシアルキレン基が存在する場合、当該オキシアルキレン基は、ランダム、ブロックおよび交互のうちのいずれであってもよい。
式(I)において、R5は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基である。R5のなかでは、水素原子および炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜3の炭化水素基がより一層好ましく、炭素数1または2の炭化水素基がさらに好ましい。炭化水素基のなかでは、飽和アルキル基および不飽和アルキル基が好ましく、炭素数1〜20の飽和アルキル基がより好ましく、炭素数1〜10の飽和アルキル基がさらに好ましく、炭素数1〜3の飽和アルキル基がさらに一層好ましい。
式(I)において、式:−R4O−で表わされるオキシアルキレン基は、炭素数2〜18のオキシアルキレン基である。オキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシ−1−ブテン基、オキシ−2−ブテン基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのオキシアルキレン基のなかでは、炭素数2〜8のオキシアルキレン基が好ましく、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基などの炭素数2〜4のオキシアルキレン基がより好ましく、オキシエチレン基がさらに好ましい。
式(I)において、mは、式:−R4O−で表わされるオキシアルキレン基の平均付加モル数である。平均付加モル数は、ポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体1モルにおけるオキシアルキレン基のモル数の平均値を意味する。mの下限値は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは8以上である。mの上限値は、好ましくは100以下、より好ましくは50以下である。
Xは、炭素数1〜5の2価のアルキレン基、−CO−基、またはR13C=CR2−基がビニル基であるとき直接結合である。これらの基のなかでは、−CO−基が好ましい。
ポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体としては、例えば、不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコールエステル単量体、(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノマレイン酸エステルなどが挙げられる。
不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物は、不飽和基を有するアルコールにポリアルキレングリコール鎖が付加した化合物である。不飽和アルコールポリアルキレングリコール付加物としては、例えば、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(3−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−3−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(2−メチル−2−ブテニル)エーテル、ポリエチレングリコールモノ(1,1−ジメチル−2−プロペニル)エーテル、ポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシポリエチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ポリアルキレングリコールエステル系単量体は、不飽和基とポリアルキレングリコール鎖とがエステル結合を介して結合された単量体である。
前記ポリアルキレングリコールエステル系単量体としては、例えば、アルコールに炭素数2〜18のオキシアルキレン基が1〜300モル付加したアルコキシポリアルキレングリコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物が好ましい。アルコキシポリアルキレングリコールのなかでは、オキシエチレン基を主成分とするものが好ましい。前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、ノニルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの炭素数1〜30の脂肪族アルコール、シクロヘキサノールなどの炭素数3〜30の脂環族アルコール、(メタ)アリルアルコール、3−ブテン−1−オール、3−メチル−3−ブテン−1−オールなどの炭素数3〜30の不飽和アルコールなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。前記エステル化物としては、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリエチレングリコールポリブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、メトキシ(ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリブチレングリコール)モノ(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらはそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ポリアルキレングリコールエステル系単量体のなかでは、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートなどの(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
前記水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシアルキル基の炭素数が2〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレート、グリセリンメタクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの水酸基含有(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記アルコキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基の炭素数が1〜4であり、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記ビニルモノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシメチルホスホリルコリン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソプロピルアクリルアミド、ビニルアルコール、ビニルホルムアミド、ビニルイソブチルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのビニルモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどの炭素数2〜4のアルキレンオキサイドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキレンオキサイドは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
前記アルコキシポリオキシアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、メトキシポリプロピレングリコール、エトキシポリプロピレングリコールなどの炭素数1〜4のアルコキシ基および炭素数1〜4のオキシアルキレン基を有し、オキシアルキレン基の付加モル数が2〜30であるアルコキシポリオキシアルキレングリコールなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルコキシポリオキシアルキレングリコールは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
環状化合物としては、例えば、L−ラクチドなどのラクチド類、ε−カプロラクトンなどのラクトン類、トリメチルカーボネート、環状アミノ酸、モルフォリン−2,5−ジオンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの環状化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
生体適合性単量体のなかでは、ポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体、ヒドロキシアルキル基の炭素数が2〜4であるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシ基の炭素数が1〜4であり、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルコキシアルキルアクリレート、炭素数1〜4のアルコキシ基および炭素数1〜4のオキシアルキレン基を有し、オキシアルキレン基の付加モル数が2〜30であるアルコキシポリオキシアルキレングリコールおよびテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましく、ポリオキシアルキレン基含有不飽和単量体、メトキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、メトキシポリエチレングリコールおよびテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートがより好ましい。
なお、生体適合性単量体は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、生体適合性単量体と共重合可能な他の単量体と併用することができる。当該他の単量体としては、例えば、アジリジン類、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジアミノメチル(メタ)アクリレート、ジアミノエチル(メタ)アクリート、ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他の単量体は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
生体適合性単量体を重合させる方法としては、例えば、ラジカル重合法、原子移動ラジカル重合法、可逆的付加開裂連鎖移動重合法などに代表されるリビングラジカル重合法、イオン重合法、開環重合法、配位重合法、重縮合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
生体適合性単量体を重合させる際には、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;ジクロロエタン、ジクロロエタンなどのハロゲン原子含有溶媒;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブなどのエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶媒;ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒などの有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、重合条件、生体適合性単量体の組成、得られる重合体の濃度などを考慮して適宜決定すればよい。
生体適合性単量体を重合させる際には、生体適合性重合体の分子量を調整するために、連鎖移動剤を用いることができる。なお、連鎖移動剤のなかには、官能基導入化合物に該当するものが含まれ、官能基導入化合物に該当する連鎖移動剤は、連鎖移動剤および官能基導入化合物のうちの一方または双方として用いることができる。
連鎖移動剤としては、例えば、チオ酢酸ナトリウム、チオ酢酸カリウムなどのチオ酢酸アルカリ金属塩、システイン、システアミン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオ酢酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩などの親水性チオール系連鎖移動剤;2−アミノプロパン−1−オールなどの1級アルコール、イソプロパノールなどの2級アルコール、亜リン酸、次亜リン酸およびそれらの塩(例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウムなど)、亜硫酸、亜硫酸水素、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸およびそれらの塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウムなど)などの非チオール系の連鎖移動剤;ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタンなどの疎水性チオール系連鎖移動剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの連鎖移動剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の量は、生体適合性単量体の種類、重合温度などの重合条件、目標とする生体適合性重合体の分子量などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、重量平均分子量が数千〜数万の重合体を得る場合には、生体適合性単量体100質量部あたり、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましい。
生体適合性単量体を重合させる際には、重合開始剤を用いることができる。なお、重合開始剤のなかには、官能基導入化合物に該当するものが含まれ、官能基導入化合物に該当する重合開始剤は、重合開始剤および官能基導入化合物のうちの一方または双方として用いることができる。
重合開始剤しては、例えば、アゾイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メトキシプロパンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチル−2−プロペニルプロパンアミド)、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)[2,2’−アゾビスプロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジtert−ブチルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどのラジカル重合開始剤;ブロモメチルベンゼン、1−(ブロモメチル)−4−メチルベンゼン、2−ブロモイソ酪酸エチル、2−ブロモイソ酪酸ヒドロキシエチル、ビス[2−(2’−ブロモイソブチリルオキシ)エチル]ジスルフィド、2−ブロモイソ酪酸10−ウンデセニル、4−(1−ブロモエチル)安息香酸などのリビングラジカル重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、重合開始剤としてリビング重合開始剤を用いる場合には、当該リビング重合開始剤を用いて調製された重合体の末端に存在するハロゲン原子に官能基含有化合物を反応させることによって当該重合体に官能基を導入してもよい。前記官能基含有化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピルジアミンなどのアミン化合物、エタンジチオール、プロパンジチオール、ヘキサデカンジチオールなどのジチオール化合物、アリルメルカプタンなどをはじめ、システイン、システアミン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオ酢酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩などのチオール化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
重合開始剤の量は、得られる重合体の所望する物性などに応じて適宜設定すればよいが、通常、生体適合性単量体100質量部あたり、好ましくは0.001〜20質量部、より好ましくは0.005〜10質量部である。
官能基を有する生体適合性重合体を得るために、生体適合性に官能基を導入するための官能基含有化合物を用いることができる。前記官能基としては、アニオン性官能基、カチオン性官能基、ノニオン性官能基および両性官能基が好ましい。前記官能基は、医薬などを修飾する観点から、反応性官能基であることが好ましい。好適な官能基としては、例えば、式:−COOM(Mは水素原子またはアルカリ金属原子を示す)で表わされる基、水酸基、アリル基、エポキシ基、アルデヒド基、−NH2基、CONH−基、−SH基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。前記Mとしては、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子などのアルカリ金属原子が挙げられる。官能基を有する生体適合性重合体における官能基の数は、特に限定されないが、通常、1〜6個であることが好ましい。
生体適合性に官能基を導入するための官能基含有化合物としては、例えば、チオ酢酸ナトリウム、チオ酢酸カリウムなどのチオ酢酸アルカリ金属塩、システイン、システアミン、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオ酢酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトエタンスルホン酸、それらのナトリウム塩、カリウム塩などのチオール系連鎖移動剤;4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メトキシプロパンアミド]、2,2’−アゾビス(2−メチル−2−プロペニルプロパンアミド)、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)[2,2’−アゾビスプロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン二塩酸塩、シクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイドなどの官能基が導入された重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの官能基含有化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
生体適合性に官能基を導入するための官能基含有化合物の量は、生体適合性単量体の種類、重合温度などの重合条件、目標とする生体適合性重合体の分子量などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、重量平均分子量が数千〜数万の重合体を得る場合には、生体適合性単量体100質量部あたり、0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜15質量部であることがより好ましい。
生体適合性単量体を重合させる際の重合条件は、重合方法に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。重合温度は、好ましくは室温〜200℃、より好ましくは40〜140℃である。また、生体適合性単量体を重合させる際の雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。反応時間は、生体適合性単量体の重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
官能基を生体適合性単量体または生体適合性重合体の末端に導入する方法としては、例えば、
(1)重合開始剤として前記官能基が導入された重合開始剤の存在下で生体適合性単量体を重合させる方法、
(2)連鎖移動剤として前記官能基が導入された連鎖移動剤の存在下で生体適合性単量体を重合させる方法、
(3)生体適合性重合体が末端にアリル基を有する場合、当該生体適合性重合体が有するアリル基をホウ素化させた後、ホウ素化させた生体適合性重合体と官能基含有化合物とを反応させることにより、当該官能基含有化合物が有する官能基を導入する方法、
(4)生体適合性重合体が末端に水酸基を有する場合、当該水酸基を塩化トシルなどのトリル化剤と反応させた後、アセチル化させることにより、官能基としてチオール基を導入する方法、
(5)生体適合性重合体の末端に存在するハロゲン原子と官能基含有化合物とを反応させる方法
などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
以上のようにして生体適合性単量体を重合させることにより、生体適合性重合体を得ることができる。得られる生体適合性重合体は、その末端に官能基を有する。官能基は、生体適合性重合体の片末端のみに存在していてもよく、両末端に存在していてもよい。生体適合性重合体同士を結合させる場合には、生体適合性重合体として両末端に官能基を有する生体適合性重合体が用いられる。生体適合性重合体は、前記生体適合性に官能基を導入するための化合物が有する官能基を有する。生体適合性重合体が有する好適官能基としては、例えば、式:−COOM(Mは前記と同じ)で表わされる基、水酸基、アリル基、エポキシ基、アルデヒド基、−NH2基、CONH−基、−SH基などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
生体適合性重合体は、同一の種類または異なる種類の生体適合性重合体同士を結合させることによって得られる生体適合性ブロック共重合体であってもよい。
生体適合性重合体同士を結合させる方法としては、例えば、以下の製造例に示すように、生体適合性重合体が有する官能基を化学反応させた後、アミド化、エステル化、エーテル化、カーボネート化、脱水縮合などによって生体適合性重合体同士を結合させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。生体適合性重合体同士を結合させる官能基としては、例えば、アミド結合、エステル結合、カーボネート結合、エーテル結合、酸無水物結合などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
生体適合性重合体の重量平均分子量は、薬剤の徐放性、粒子形状の保持性、耐溶血性および体外放出性を向上させる観点から、1000以上、好ましくは2000以上、より好ましくは3000以上であり、体外放出性を向上させる観点から、90000以下、好ましくは50000以下、より好ましくは30000以下、さらに好ましくは25000以下である。
なお、生体適合性重合体の重量平均分子量は、以下の実施例に記載の方法に基づいて測定したときの値を意味する。
生体適合性重合体の分子量分布([重合平均分子量/数平均分子量]の値)は、耐溶血性を向上させる観点から、好ましくは1〜2、より好ましくは1〜1.5、さらに好ましくは1〜1.3である。
生体適合性重合体は、粒子として用いることができる。当該粒子の平均粒子径は、正常細胞に作用させないようにする観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上であり、病変細胞に作用させる観点から、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。なお、粒子の平均粒子径は、以下の実施例に記載の方法に基づいて測定したときの値である。
生体適合性重合体が有する官能基には、必要により、タンパク質、単糖、多糖、糖鎖、抗体、核酸、医薬原薬などを修飾させてもよい。これらのタンパク質、単糖、多糖、糖鎖、抗体、核酸、医薬原薬などは、生体適合性重合体および生体適合性共重合体が有する官能基に直接、結合させてもよく、リンカーを介して結合させてもよい。
本発明の生体適合性材料は、生体適合性重合体を含有するものである。なお、本発明の生体適合性医療用材料は、本発明の目的を阻害しない範囲で、添加物を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、水、生理食塩水、医薬的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、リン酸緩衝生理食塩水、生体内分解性ポリマー、無血清培地、医薬添加物として許容される界面活性剤、生体内で許容し得る生理的pH緩衝液などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
本発明の生体適合性医療用材料は、例えば、医薬などを保持するための担体などとして用いることができる。本発明の生体適合性医療用材料で医薬などを保持する方法としては、例えば、生体適合性医療用材料に用いられている生体適合性重合体が有する官能基に医薬などを結合させることによって担体と医薬などとを複合化させる方法、生体適合性医療用材料と医薬などとを均一な組成となるように混合する方法、医薬などの粒子を生体適合性医療用材料で被覆する方法、脂質と生体適合性医療用材料との混合物を粒子化させ、得られる粒子の内部に医薬などを内包させる方法、医薬などをリポソームで内包させた粒子を生体適合性医療用材料で被覆することにより、生体適合性医療用材料の外皮の内部に当該粒子を内包させる方法、医薬などとリポソームとの混合物の粒子を生体適合性医療用材料で被覆することにより、生体適合性医療用材料の外皮の内部に当該粒子を内包させる方法、医薬などを生体適合性医療用材料でミセル化させることにより、医薬などを内包させる方法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
前記リポソームは、例えば、脂質をtert−ブチルアルコールなどの溶媒に溶解させた後、凍結乾燥する方法、薬物を溶解させた溶液を脂質に添加することによって脂質を膨潤させて超音波で分散させた後、得られた分散体にポリエチレングリコール−フォスファチジルエタノールアミンなどを添加する方法などによって調製することができる。
リポソームは、カチオン化剤でカチオン化されていることが好ましい。リポソームとしては、例えば、水素化大豆レシチン、コレステロール、3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩などをtert−ブチルアルコールなどの溶媒に溶解させ、得られた脂質混合溶液を凍結させることによって得ることができる。リポソームを構成する脂質は、生体内で安定である。当該脂質としては、例えば、生体材料由来の脂質、リン脂質またはその誘導体、リン脂質以外の脂質またはその誘導体などが挙げられる。リン脂質としては、例えば、ホスファチジルコリン(レシチン)、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、カルジオリビンなどのリン脂質、当該リン脂質に水素を添加したものなどが挙げられる。
なお、上記の例ではリポソームを挙げたが、リポソームの代わりに、例えば、エマルション、ナノ粒子、マイクロ粒子、高分子化合物などを用いることができる。
薬剤として生物学的または薬理学的に活性な薬剤を用いることができる。薬剤としては、例えば、抗腫瘍剤、抗癌剤、抗生物質、抗ウィルス剤、抗癌効果増強剤、免疫増強剤、免疫調節剤、免疫回復剤、放射線増感剤、放射線防護剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、うっ血除去薬、抗真菌剤、抗関節炎薬、抗喘息薬、血管新生阻害剤、酵素剤、抗酸化剤、ホルモン、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、平滑筋細胞の増殖剤、平滑筋細胞の遊走阻害剤、血小板凝集阻害剤、ケミカルメディエーターの遊離抑制剤、血管内皮細胞の増殖促進剤、血管内皮細胞の増殖抑制剤、インターフェロン、インターロイキン、コロニー刺激因子、サイトカイン、腫瘍壊死因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、マクロファージコロニー刺激因子、幹細胞因子、β型トランスフォーミング増殖因子、肝細胞増殖因子、血管内皮細胞増殖因子、エリスロポエチン、ワクチン、タンパク質、ムコタンパク質、ペプチド、多糖類、リポ多糖類、糖鎖、アンチセンス、リボザイム、デコイ、核酸、抗体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの薬剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
以上のようにして生体適合性医療用材料が得られるが、生体適合性医療用材料に用いられる生体適合性重合体または生体適合性共重合体を架橋させてもよい。前記重合体を架橋させる方法としては、例えば、化学的架橋法、物理的架橋法などが挙げられる。化学的架橋法としては、例えば、エポキシ化合物、酸化デンプン、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、スベルイミノ酸ジメチル、カルボジイミド、スクシンイミジル化合物、ジイソシアナート化合物、アシルアジド、ロイテリン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、アスコルビン酸銅、グルコースリシン、光酸化剤などの化学的架橋剤を用いて重合体を架橋させる方法、熱脱水処理、紫外線の照射、電子線の照射、ガンマ線の照射などによって重合体を化学的に架橋させる方法などが挙げられる。また、物理的架橋法としては、例えば、塩で重合体を架橋させる方法、静電的相互作用によって重合体を架橋させる方法、水素結合で重合体を架橋させる方法、疎水性相互作用によって重合体を架橋させる方法などが挙げられる。前記架橋方法は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
薬剤を投与する対象としては、ヒト、サル、ネズミ、家畜などの哺乳動物が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
薬剤を注射によって投与する場合、例えば、点滴などの静脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、皮内注射、腫瘍内注射などにより、薬剤を体内に注射することができる。
本発明の生体適合性医療用材料に保持させる医薬の量は、医薬が投与される対象、医薬の種類などによって異なるので一概には決定することができないが、通常、本発明の生体適合性医療用材料に含まれる重合体(固形分)100gあたり、1μg〜50g程度であることが好ましい。
以上説明したように、本発明の生体適合性医療用材料は、薬剤の徐放性、粒子形状の保持性、耐溶血性および体外放出性に優れていることから、薬剤を保持し、経口または血液を介して体内に導入する際に使用される医薬用担体、例えば、注射薬用担体、経口投与される医薬用担体などとして使用することが期待される。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
製造例1
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にトルエン180gを添加し、反応容器内のトルエンを90℃に昇温し、20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。
次に、メトキシエチルアクリレート100g、チオ酢酸カリウム1.6g、アゾビスイソブチロニトリル0.386gおよびトルエン20gの混合液を2時間かけて90℃に保たれた反応容器内に連続滴下した。反応容器の内容物の温度を90℃に維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.1gを反応容器内に添加した後、反応容器の内容物の温度を90℃にしながら2時間維持することにより、重合体溶液を得た。
前記で得られた重合体溶液にメタノール100gを添加し、さらに水酸化ナトリウム0.1gを含むメタノール溶液15gを当該重合体溶液に添加した後、当該重合体溶液を65℃で4時間撹拌させた。
次に、前記重合体溶液に酢酸0.2gを添加することにより、末端にチオール基を有するポリメトキシエチルアクリレート〔以下、重合体(1)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形含量は22.5質量%であり、重合体(1)の重量平均分子量は5000であった。
なお、各実施例および各比較例において、重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、以下の測定条件で測定した。
〔重合体の重量平均分子量の測定条件〕
・測定機器:東ソー(株)製、品番:HLC−8320GPC
・分子量カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel G4000HHRを2本直列に接続
・溶離液:ジメチルホルムアミド
・検量線用標準物質:ポリエチレングリコール
・測定用溶液の調製:溶離液(ジメチルホルムアミド)に重合体を溶解させて重合体の濃度が0.3質量%の溶液を調製し、当該溶液をフィルターで濾過した後に使用した。
製造例2
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、メトキシエチルアクリレート100g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれ4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.1gを添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリメトキシエチルアクリレート〔以下、重合体(2)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は33.0質量%であり、重合体(2)の重量平均分子量は5500であった。
製造例3
100mL容のシュレンク管内に4−(1−ブロモエチル)安息香酸200mgとメトキシエチルアクリレート5.2gとn−ブタノール5gとの混合物を添加した後、シュレンク管の内部空間を窒素ガスで置換した。シュレンク管内にビピリジン配位子400mgおよび臭化銅147mgを添加し、シュレンク管の内容物の温度を80℃に維持しながら3時間撹拌することにより、反応溶液を得た。得られた反応溶液をシリカカラムに通すことによって精製した。
次に、精製した反応溶液に水酸化ナトリウム0.15gおよびシステアミン0.2gを添加し、当該反応溶液を80℃の温度で4時間撹拌することにより、一方の末端にカルボキシル基を有し、他方の末端にアミノ基を有するポリメトキシエチルアクリレート〔以下、重合体(3)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は45質量%であり、重合体(3)の重量平均分子量は4900であった。
製造例4
100mL容のシュレンク管内に4−(1−ブロモエチル)安息香酸200mg、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5.2gおよびメタノール50質量%と水50質量%とからなる混合溶媒5gを添加した後、シュレンク管の内部空間を窒素ガスで置換した。シュレンク管内にビピリジン配位子400mgおよび臭化銅147mgを添加し、シュレンク管の内容物の温度を80℃に維持しながら3時間撹拌することにより、反応溶液を得た。得られた反応溶液をシリカカラムに通すことによって精製した。
次に、精製した反応溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液1gおよび1,3−プロパンジチオール1.0gを添加し、当該反応溶液を80℃の温度で4時間撹拌することにより、一方の末端にカルボキシル基を有し、他方の末端にチオール基を含有するポリヒドロキシエチルメタクリレート〔以下、重合体(4)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は43質量%であり、重合体(4)の重量平均分子量は5000であった。
製造例5
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器の内容物を還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。
次に、反応容器の内容物を還流状態に維持しながら、2−ヒドロキシエチルメタクリレート100g、チオ酢酸カリウム1.6g、アゾビスイソブチロニトリル0.386gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。反応容器の内容物の還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、さらに還流状態を90℃で2時間維持することにより、重合体溶液を得た。
前記で得られた重合体溶液にメタノール100gを添加し、さらに水酸化ナトリウム0.1gを含むメタノール溶液15gを添加した後、当該重合体溶液を65℃で4時間撹拌した。
次に、前記重合体溶液に酢酸0.2gを添加することにより、末端にチオール基を有するポリヒドロキシエチルメタクリレート〔以下、重合体(5)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は23.0質量%であり、重合体(5)の重量平均分子量は5000であった。
製造例6
100mL容のシュレンク管内に4−(1−ブロモエチル)安息香酸200mg、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5.2gおよびメタノール50質量%と水50質量%とからなる混合溶媒5gを添加した後、シュレンク管の内部空間を窒素ガスで置換した。シュレンク管内にビピリジン配位子400mgおよび臭化銅147mgを添加し、シュレンク管の内容物の温度を80℃に維持しながら3時間撹拌することにより、反応溶液を得た。得られた反応溶液をシリカカラムに通すことによって精製した。
次に、精製した反応溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液1gおよびシステアミン0.2gを添加し、当該反応溶液を80℃の温度で4時間撹拌した後、凍結乾燥することにより、一方の末端にカルボキシル基を有し、他方の末端にアミノ基を有するポリヒドロキシエチルメタクリレート〔以下、重合体(6)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は42質量%であり、重合体(6)の重量平均分子量は5400であった。
製造例7
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器の内容物を還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。
次に、反応容器の内容物を還流状態に維持しながら、N−ビニルピロリドン100g、チオ酢酸カリウム1.6g、アゾビスイソブチロニトリル0.386gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。反応容器の内容物の還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.1gを添加し、さらに還流状態を90℃で2時間維持することにより、重合体溶液を得た。
前記で得られた重合体溶液にメタノール100gを添加し、さらに水酸化ナトリウム0.1gを含むメタノール溶液15gを添加した後、当該重合体溶液を65℃で4時間撹拌した。
次に、前記重合体溶液に酢酸0.2gを添加することにより、末端にチオール基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(7)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は22.7質量%であり、重合体(7)の重量平均分子量は5300であった。
製造例8
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器の内容物を還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。
次に、反応容器の内容物を還流状態に維持しながら、N−ビニルピロリドン100g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。反応容器の内容物の還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれ4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.1gを添加し、さらに還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(8)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は33.0質量%であり、重合体(8)の重量平均分子量は5200であった。
製造例9
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にメトキシポリエチレングリコール(オキシエチレン基の平均付加モル数:120)54g、トシルクロライド2.288g、トリエチルアミン1.52gおよびジクロロメタン300gを添加し、反応容器の内容物を65℃に昇温させた。
次に、反応容器の内容物を65℃で24時間維持した後、当該内容物に含まれている塩を濾過によって除去し、得られた濾液を減圧下で脱溶媒させることにより、トシル化体を得た。得られたトシル化体60g、チオ酢酸カリウム1.37gおよびアセトニトリル300gを混合し、得られた混合物を65℃で24時間維持した後、当該混合物に含まれている塩を濾過によって除去し、減圧下で脱溶媒することにより、アセチル化体を得た。
前記で得られたアセチル化体56gおよびメタノール100gを混合し、得られた混合物に1N水酸化ナトリウム水溶液25gを添加し、得られた混合物を65℃の温度で10分間撹拌した後、当該混合物にジクロロメタン180gを添加して抽出し、有機層を回収することにより、末端にチオール基を有するメトキシポリエチレングリコール〔以下、重合体(9)という〕を得た。重合体溶液における固形分含量は30.0質量%であり、重合体(9)の重量平均分子量は5400であった。
製造例10
(1)重合体Aの調製
100mL容のシュレンク管内に前記で得られた重合体(3)2gおよびジメチルホルムアミド2gを添加し、得られた混合物を80℃に加温した。
次に、シュレンク管内にtert−ブチルピロカルボナート170mgおよび触媒としてN,N−ジメチル−4−アミノピリジン50mgを添加し、8時間撹拌した後、得られた混合物を精製し、凍結乾燥させることにより、重合体(3)のカルボキシル基が保護された重合体Aを得た。
(2)重合体Bの調製
100mL容のシュレンク管内に前記で得られた重合体(6)2gおよびジメチルホルムアミド2gを添加し、得られた混合物を80℃に加温した。
次に、シュレンク管内にtert−ブチルピロカルボナート170mgおよびトリエチルアミン100mgを添加し、8時間撹拌した後、得られた混合物を精製し、凍結乾燥することにより、重合体(6)のアミノ基が保護された重合体Bを得た。
(3)ポリメトキシエチルアクリレートとポリヒドロキシエチルメタクリレートとのブロック共重合体の調製
100mL容のシュレンク管内に前記で得られた重合体A2g、前記で得られた重合体B2gおよびジメチルホルムアミド4gを添加し、得られた混合物を−5℃に冷却した。
前記混合物の温度を−5℃に維持しながら撹拌下でジシクロヘキシルカルボジイミド80mgとジメチルホルムアミド1gとの混合液をシュレンク管内に添加し、撹拌下で−5℃にて1時間維持し、次いで室温で1時間維持した。前記混合物を濾過することにより、析出物を除去し、得られた濾液を氷水浴で冷却しながら当該濾液にトリフルオロ酢酸5mLを撹拌下で添加することにより、混合溶液を得た。
次に、前記で得られた混合溶液を20℃で1時間撹拌し、凍結乾燥させることにより、一方の末端にカルボキシル基を有し、他方の末端にアミノ基を有するポリメトキシエチルアクリレートとポリヒドロキシエチルメタクリレートとのブロック共重合体〔以下、重合体(10)という〕を得た。得られた重合体(10)の重量平均分子量は10200であった。
製造例11
100mL容のシュレンク管内に、前記で得られた重合体A2g、前記で得られた重合体(4)2gおよびジメチルホルムアミド4gを添加し、得られた混合物を−5℃に冷却した。
前記で得られた混合物の温度を−5℃に維持しながら撹拌下でジシクロヘキシルカルボジイミド80mgとジメチルホルムアミド1gとの混合液をシュレンク管内に添加し、撹拌下で−5℃に1時間維持し、次いで室温で1時間維持した。前記混合物を濾過することにより、析出物を除去し、得られた濾液を氷水浴で冷却しながら当該濾液にトリフルオロ酢酸5mLを撹拌下で添加することにより、混合溶液を得た。
次に、前記で得られた混合溶液を20℃で1時間撹拌し、凍結乾燥させることにより、一方の末端にカルボキシル基を有し、他方の末端にチオール基を有するポリメトキシエチルアクリレートとポリヒドロキシエチルメタクリレートとのブロック共重合体〔以下、重合体(11)という〕を得た。得られた重合体(11)の重量平均分子量は10400であった。
製造例12
100mL容のシュレンク管内に前記で得られた重合体(3)2gおよびジメチルホルムアミド2gを添加し、得られた混合物を80℃に加温した。
次に、シュレンク管内にtert−ブチルピロカルボナート170mgおよびトリエチルアミン100mgを添加し、得られた混合物を8時間撹拌した後、精製し、凍結乾燥することにより、アミノ基が保護された重合体Cを得た。
次に前記とは別の100mL容のシュレンク管内に、前記で得られた重合体A2g、前記で得られた重合体C2gおよびジメチルホルムアミド4gを添加し、得られた混合物を−5℃に冷却した。
前記で得られた混合物の温度を−5℃に維持しながら撹拌下でジシクロヘキシルカルボジイミド80mgとジメチルホルムアミド1gとの混合液をシュレンク管内に添加し、撹拌下にて−5℃で1時間維持し、次いで室温で1時間維持した。前記混合物を濾過することにより、析出物を除去し、得られた濾液を氷水浴で冷却しながら当該濾液にトリフルオロ酢酸5mLを撹拌下で添加し、得られた混合溶液を20℃で1時間撹拌し、凍結乾燥させることにより、重合体Dを得た。
次に、シュレンク管内に重合体D4gおよびジメチルホルムアミド4gを添加し、得られた混合物を80℃に加温した後、tert−ブチルピロカルボナート340mgおよびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン100mgをシュレンク管内に添加し、8時間撹拌した。その後、シュレンク管内の内容物を精製し、凍結乾燥させることにより、カルボキシル基が保護された重合体Eを得た。
次に、前記とは別の100mL容のシュレンク管内に、前記で得られた重合体E4g、前記で得られた重合体B2gおよびジメチルホルムアミド6gを添加し、得られた混合物を−5℃に冷却した。
前記混合物の温度を−5℃に維持しながら撹拌下でジシクロヘキシルカルボジイミド120mgとジメチルホルムアミド1gとの混合液をシュレンク管内に添加し、撹拌下にて−5℃で1時間維持し、次いで室温で1時間維持した。前記混合物を濾過することにより、析出物を除去し、得られた濾液を氷水浴で冷却しながら当該濾液にトリフルオロ酢酸10mLを撹拌下で添加した後、20℃で1時間撹拌し、凍結乾燥させることにより、重合体Fを得た。
次に、前記とは別の100mL容のシュレンク管内に前記で得られた重合体F6gおよびジメチルホルムアミド6gを添加し、得られた混合物を80℃に加温した後、tert−ブチルピロカルボナート540mgおよびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン150mgをシュレンク管内に添加し、8時間撹拌した。その後、シュレンク管内の内容物を精製し、凍結乾燥させることにより、カルボキシル基が保護された重合体Gを得た。
次に、前記とは別の100mL容のシュレンク管内に前記で得られた重合体G6g、前記で得られた重合体(4)2gおよびジメチルホルムアミド8gを添加し、得られた混合物を−5℃に冷却し、―5℃の温度を維持しながら撹拌下でジシクロヘキシルカルボジイミド160mgとジメチルホルムアミド1gとの混合液を当該混合物に添加し、混合物の温度を−5℃に維持しながら1時間撹拌し、次いで室温で1時間撹拌した。前記混合物を濾過することにより、析出物を除去し、得られた濾液を氷水浴で冷却しながら当該濾液にトリフルオロ酢酸15mLを撹拌下で添加した後、20℃で1時間撹拌し、凍結乾燥させることにより、一方の末端にカルボキシル基を有し、他方の末端にチオール基を有するポリメトキシエチルアクリレートとポリヒドロキシエチルメタクリレートとのブロック共重合体〔以下、重合体(12)という〕を得た。得られた重合体(12)の重量平均分子量は、21000であった。
製造例13
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、2−ヒドロキシエチルメタクリレート100g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれ4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.1gを反応容器内に添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリヒドロキシエチルアクリレート〔以下、重合体(13)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は33.0質量%であり、重合体(13)の重量平均分子量は5700であった。
製造例14
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート100g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれ4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.1gを反応容器内に添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリヒドロキシエチルアクリレート〔以下、重合体(14)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は32.5質量%であり、重合体(14)の重量平均分子量は5200であった。
製造例15
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、N−ビニルピロリドン100g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれ4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.1gを反応容器内に添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリN−ビニルピロリドン〔以下、重合体(15)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は32.8質量%であり、重合体(15)の重量平均分子量は5400であった。
製造例16
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレンオキシドの平均付加モル数:9)100g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれ4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.1gを反応容器内に添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリメトキシポリエチレングリコールメタクリレート〔以下、重合体(16)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は32.7質量%であり、重合体(16)の重量平均分子量は5000であった。
製造例17
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン100g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれ4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.1gを反応容器内に添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリ2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン〔以下、重合体(17)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は33.0質量%であり、重合体(17)の重量平均分子量は5000であった。
製造例18
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、テトラヒドロフルフリルアクリレート100g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれ4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.1gを反応容器内に添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリテトラヒドロフルフリルアクリレート〔以下、重合体(18)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は33.1質量%であり、重合体(18)の重量平均分子量は5200であった。
製造例19
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを70℃に昇温させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、内温を70℃に維持したままN−ビニルピロリドン100g、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、内温70℃に維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾイソブチロニトリル0.1gを添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にカルボキシル基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(19)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は32.4質量%であり、重合体(19)の重量平均分子量は5600であった。
製造例20
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にエタノール180gを添加し、反応容器内のエタノールを70℃に昇温させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、内温を70℃に維持したままN−ビニルピロリドン100g、2,2’−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)二塩酸塩0.4gおよびエタノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、内温70℃に維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾイソブチロニトリル0.1gを添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にアミノ基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(20)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量32.0質量%であり、重合体(20)の重量平均分子量は4800であった。
製造例21
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にエタノール180gを添加し、反応容器内のエタノールを70℃に昇温させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、内温を70℃に維持したままN−ビニルピロリドン100g、2,2’−ビス(2−イミダゾリン−2−イル)[2,2’−アゾビスプロパン]二塩酸塩0.4gおよびエタノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、内温70℃に維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾイソブチロニトリル0.1gを添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にアミノ基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(21)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は32.7質量%であり、重合体(21)の重量平均分子量は4700であった。
製造例22
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、N−ビニルピロリドン100g、2,2’−アゾビスメチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]0.8gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾイソブチロニトリル0.1gを添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にヒドロキシ基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(22)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は33.0質量%であり、重合体(22)の重量平均分子量は4900であった。
製造例23
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、N−ビニルピロリドン100g、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾイソブチロニトリル0.1gを添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にヒドロキシ基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(23)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は32.4質量%であり、重合体(23)の重量平均分子量は5000であった。
製造例24
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを70℃に昇温させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、内温を70℃に維持したままN−ビニルピロリドン100g、2,2’−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]二塩酸塩0.8gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、内温70℃に維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾイソブチロニトリル0.1gを添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にヒドロキシ基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(24)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は33.3質量%であり、重合体(24)の重量平均分子量は5200であった。
製造例25
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にイソプロパノール180gを添加し、反応容器内のイソプロパノールを還流させながら20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。その後、N−ビニルピロリドン100g、2,2’−アゾビス(2−メチル−2−プロペニルプロパンアミド)0.4gおよびイソプロパノール20gの混合液を2時間かけて反応容器内に連続滴下した。
次に、還流状態を維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾイソブチロニトリル0.1gを添加し、還流状態を2時間維持することにより、末端にアリル基を有するポリビニルピロリドン〔以下、重合体(25)という〕を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は32.8質量%であり、重合体(25)の重量平均分子量は5100であった。
製造例26
温度計、攪拌機、滴下ロート、窒素ガス導入管および還流冷却管(コンデンサ)を備えた500mL容の反応容器内にトルエン180gを添加し、反応容器のトルエンを90℃に昇温し、20mL/minの流量で窒素ガスを反応容器内に30分間導入することにより、反応容器の内部空間を窒素ガスで置換した。
次に、メチルメタクリレート100g、アゾビスイソブチロニトリル0.05gおよびトルエン20gの混合液を2時間かけて90℃に保たれた反応容器内に連続滴下した。反応容器内の内容物の温度を90℃に維持しながら混合液の滴下開始から3時間後および4時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.01gを反応容器内に添加した後、反応容器の内容物の温度を90℃で2時間維持することにより、ポリメチルメタクリレート(以下、重合体(26)という)を含有する重合体溶液を得た。重合体溶液における固形分含量は33.1質量%であり、重合体(26)の重量平均分子量は71000であった。
実施例1
前記で得られた重合体(1)を8時間凍結乾燥させた後、当該重合体(1)0.05mmol、水素化大豆レシチン0.5mmol、コレステロール0.37mmolおよび3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩0.08mmolをtert−ブチルアルコール30mLに溶解させることによって調製した脂質混合溶液を氷浴で凍結し、約8時間凍結乾燥させることにより、リポソームの脂質膜の原料となる脂質混合物(1)を得た。
0.01mol/Lリン酸緩衝生理食塩水〔和光純薬工業(株)製〕(以下、PBSという)10mLに蛍光色素カルボキシフルオロセイン0.2mmolを溶解させることにより、リポソームの内水層(2)を得た。
次に、前記で得られた混合物(1)に内水層(2)を添加し、当該混合液を65℃で10分間加温した後、当該混合液に5分間超音波処理を施すことにより、リポソーム分散液を得た。孔径が0.2μmのポリカーボネート製フィルムに前記で得られたリポソーム分散液を圧送し、さらに孔径が0.1μmのポリカーボネート製フィルムに圧送することにより、整粒を行なった。前記で得られたリポソームの平均粒子径を濃厚系粒径アナライザー〔大塚電子(株)製、品番:FPAR−1000〕を用いて測定した。その結果を表1に示す。
次に、前記で得られたリポソームまたはリポソーム分散液を用いて内包物の徐放性、粒子形状の保持性、耐溶血性および体外放出性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
(1)薬剤の徐放性
リポソーム分散液1mLおよび兎脱繊維血液〔コージバイオ(株)製〕200μLとPBS1mLの混合液を37℃の恒温槽に入れ、30分間または24時間インキュベートした後、コロナ電気(株)製、品番:SH−9000を用い、励起波長494nm、蛍光波長521nmにて蛍光強度を測定し、薬剤の放出率を式:
〔薬剤の放出率(%)〕=〔(F2−F1)/(F3−F1)〕×100
〔式中、F1はインキュベート前の蛍光強度、F2は37℃にてインキュベート後の蛍光強度、F3は混合液に添加するPBSに代えて2%のポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル〔和光純薬工業(株)製、商品名:Triton−X〕PBS溶液を添加して混和した後の蛍光強度(100%漏出)を示す〕
に基づいて求め、以下の評価基準に基づいて薬剤の徐放性を評価した。
〔内包物の徐放性の評価基準〕
A.インキュベートの時間が30分間であるとき
◎:薬剤の放出率が10%未満
○:薬剤の放出率10%以上30%未満
△:薬剤の放出率が30%以上90%未満
×:薬剤の放出率が90%以上
B.インキュベートの時間が24時間であるとき
◎:薬剤の放出率が60%未満
○:薬剤の放出率30%以上60%未満
△:薬剤の放出率が10%以上30%未満
×:薬剤の放出率が10%以上
(2)粒子形状の保持性
粘弾性測定装置〔レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー(株)製〕の直径7.9mmのパラレルプレートを空隙が10μmとなるようにセットした試料ホルダー内にリポソーム分散液1mLを入れ、周波数1Hzの剪断歪を5分間与えた後、リポソーム分散液を回収して平均粒子径を測定し、粒子径の維持率を式:
〔粒子径の維持率(%)〕=〔試験後の平均粒子径/試験前の平均粒子径〕×100
に基づいて求め、粒子形状の保持性を以下の評価基準に基づいて評価した。
〔粒子形状の保持性の評価基準〕
○:粒子径の維持率が70%以上100%以下
△:粒子径の維持率20%以上70%未満
×:粒子径の維持率が20%未満
(3)耐溶血性
リポソームをPBSに溶解させて1質量%のPBS溶液を調製した。
PBS溶液48mLを兎脱繊維血液〔コージンバイオ(株)製〕2mLに添加し、転倒混和させることによって混合液を調製した後、4℃で2000rpmにて10分間遠心分離を行なった。上澄み液を除去した混合液にPBS48mLを添加し、転倒混和することにより、血液溶液を得た。得られた血液溶液2mLに前記で得られたリポソーム液2mLを添加し、転倒混和させ、37℃で1時間インキュベートを行ない、さらに4℃で2000rpmにて10分間遠心分離を行なった後、波長545nmにおける上澄み液の吸光度を分光光度計〔(株)島津製作所製、品番:UV−3600〕で測定した。
前記で得られた血液溶液2mLに2%ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル〔和光純薬工業(株)製、商品名:Triton−X〕PBS溶液2mLを添加し、転倒混和させた液の波長545nmにおける吸光度を前記と同様にして測定した。このときの吸光度を溶血性100%とした。
次に、溶血度を式:
〔溶血度(%)〕=〔インキュベートの上澄み液の吸光度/Triton−X使用時の吸光度〕×100
に基づいて求め、耐溶血性を以下の評価基準に基づいて評価した。
〔耐溶血性の評価基準〕
○:溶血率が30%未満
△:溶血率が30%以上70%未満
×:溶血率が70%以上
(4)体外放出性
8時間凍結乾燥させた重合体0.1gおよびジメチルホルムアミド0.5gを混合することにより、混合物を得た。
次に、前記で得られた混合物に兎脱繊維血液〔コージンバイオ(株)製〕1gおよびPBS3gを添加することにより、混合液を調製した。得られた混合液を転倒混和させた後、37℃で24時間インキュベートを行なった。
次に、前記でインキュベートを行なった混合液に4℃で2000rpmにて10分間遠心分離を行ない、その上澄み液をジメチルホルムアミドで10倍に希釈した液を前記と同様にしてゲルパーミエイションクロマトグラフィーにより重合体の重量平均分子量を測定し、当該重合体の重量平均分子量を指標にして体外放出性を評価した。その評価基準を以下に示す。なお、重合体の重量平均分子量が低いほど、当該重合体は体外に放出されやすくなる。
〔体外放出性の評価基準〕
◎:重合体の重量平均分子量が8000以下
○:重合体の重量平均分子量が8000を超え、30000以下
△:重合体の重量平均分子量が30000を超え、60000以下
×:重合体の重量平均分子量が60000を超過
実施例2〜25および比較例1
実施例1において、重合体1の代わりに表1に示す重合体を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてリポソームおよびリポソーム分散液を調製した。前記で得られたリポソームの平均粒子径を濃厚系粒径アナライザー〔大塚電子(株)製、品番:FPAR−1000〕を用いて測定した。その結果を表1に示す。
次に、前記で得られたリポソームまたはリポソーム分散液を用いて内包物の徐放性、粒子形状の保持性、耐溶血性および体外放出性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
実施例26
前記で得られた重合体(12)を8時間凍結乾燥させた後、当該重合体(12)0.6mmolおよび3,5−ジペンタデシロキシベンズアミジン塩酸塩0.08mmolをtert−ブチルアルコール30mLに溶解させることによって調製した混合溶液を氷浴で凍結し、約8時間凍結乾燥させることにより、高分子ミセルの原料となる脂質混合物(1)を得た。
0.01mol/Lリン酸緩衝生理食塩水〔和光純薬工業(株)製〕(以下、PBSという)10mLに蛍光色素カルボキシフルオロセイン0.2mmolを溶解させることにより、内包物含有溶液(2)を得た。
次に、前記で得られた混合物(1)に溶液(2)を添加し、当該混合液を65℃で10分間加温した後、当該混合液に5分間超音波処理を施すことにより、高分子ミセル溶液を得た。孔径が0.05μmのポリカーボネート製フィルムに前記で得られた分散液を圧送することにより、整粒を行なった。前記で得られた高分子ミセルの平均粒子径を濃厚系粒径アナライザー〔大塚電子(株)製、品番:FPAR−1000〕を用いて測定した。その結果を表1に示す。
次に、前記で得られた高分子ミセル分散液を用いて内包物の徐放性、粒子形状の保持性、耐溶血性および体外放出性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
Figure 2017081885
表1に示された結果から、各実施例で得られた生体適合性医療用材料は、内包物の徐放性、形成された粒子の形状の保持性、耐溶血性および体外放出性に優れていることがわかる。したがって、本発明の生体適合性医療用材料は、例えば、薬剤を保持し、経口または血液を介して体内に導入する際に使用される担体、医療機器、器具などに使用される基材の医療用コーティング剤などのコーティング剤などとして使用することが期待される。

Claims (2)

  1. 生体適合性単量体を重合させてなり、重量平均分子量が1000〜90000であり、少なくとも一方の分子末端に官能基を有する生体適合性重合体を含有してなる生体適合性医療用材料。
  2. 請求項1に記載の生体適合性重合体同士を結合させてなる生体適合性共重合体を含有してなる生体適合性医療用材料。
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