JP2017072545A - 組成物およびこれを用いた成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 可視光領域以外の波長を有する電磁波を用いる技術において、従来のX線を用いる方法は、そもそも被爆リスクがある。また、大掛かりな装置を要するため高コストとなりうる。また、紫外線を用いる方法は、皮膚や眼などに人体に悪影響を及ぼす虞がある。また、装置が大掛かりになるため、高コストとなりうる。そこで本発明は、人体に対する安全性が高く、低コストで適用可能な可視光領域以外の電磁波を利用する手段を提供することを目的とする。【解決手段】 樹脂と、近赤外蛍光材料と、を含む組成物。【選択図】 なし
Description
本発明は組成物およびこれを用いた成形体に関する。
従来、可視光領域以外の波長を有する電磁波、例えば、X線および紫外線は、その特性を利用して種々の用途に使用されている。
例えば、X線は、食品中の異物検査等に適用されている。具体例として、特許文献1には、被検査物品にX線を照射するX線照射手段と、該照射手段で被検査物品に照射されたX線の透過状態から該物品に混入した異物を検出する異物検出手段とを有するX線異物検出装置であって、X線の照射量設定用データを被検査物品の品目ごとに予め記憶する記憶手段と、被検査物品の品目を指定して上記記憶手段からその品目についての照射量設定用データを読み出す品目指定手段と、該記憶手段から読み出した照射量設定用データを用いて当該被検査物品に照射するX線の照射量を設定する照射量設定手段と、該設定手段で設定した照射量でX線を照射するように上記X線照射手段を制御する制御手段とを有することを特徴とするX線異物検出装置が記載されている。この際、特許文献1には、食品等の商品にあっては、その商品中に異物が混入することを極力防止する必要があることが記載されている。また、包装済みの物品にX線を照射すると共に、その透過状態をセンサによって検出し、その検出結果をコンピュータで処理することにより、上記物品中に異物が混入しているか否かを識別することが記載されている。
また、紫外線に関しては、偽造防止技術が要求されるIDカード、有価証券、紙幣、パッケージなどに適用されている。例えば、特許文献2には、透明かつ紫外線透過性の二枚の基材が貼り合わせれた両基材間に、紫外線を吸収し可視光線を発光する蛍光材料にて印刷された蛍光印刷層が設けられていることを特徴とする偽造防止シートが記載されている。この際、特許文献2には、印刷層の表面に蛍光インキで偽造防止情報を印刷した偽造防止媒体に関する技術が開示されている。前記技術によれば、蛍光インキで印刷された偽造防止情報は、可視光線下では肉眼でこれを視認することが困難であるが、紫外線(ブラックライト)を照射することにより偽造防止情報を発光させて視認可能とし、媒体の真贋が判定できることが記載されている。
しかしながら、X線で検出する方法は、そもそも被爆リスクがある。また、大掛かりな装置を要するため高コストとなりうる。
また、紫外線で検出する方法についても、皮膚や眼などに人体に悪影響を及ぼす虞がある。また、装置が大掛かりになるため、高コストとなりうる。
そこで本発明は、人体に対する安全性が高く、低コストで適用可能な可視光領域以外の電磁波を利用する手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、近赤外領域で発光する蛍光材料を用いることで、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、樹脂と、近赤外蛍光材料と、を含む組成物に関する。
本発明によれば、人体に対する安全性が高く、低コストで適用可能な可視光領域以外の電磁波を利用する手段を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
<組成物>
本形態に係る組成物は、樹脂と、近赤外蛍光材料と、を含む。
本形態に係る組成物は、樹脂と、近赤外蛍光材料と、を含む。
すなわち、前記組成物は、X線や紫外線ではなく、近赤外線の波長領域を利用して検出できる。近赤外線は、赤外線の中でも波長が短い光線であり、通常、700〜2500nmの波長領域を有する電磁波である。X線や紫外線に比べて波長が長いため、光エネルギーは0.9〜1.7eVと小さく、人体に対する安全性が高い。また、X線や紫外線を使用する場合のような大掛かりな装置を必ずしも使用しないことから、低コストで各種用途に適用することができる。
[樹脂]
樹脂としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム等を使用することができる。
樹脂としては、特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム等を使用することができる。
前記熱可塑性樹脂としては、特に制限されないが、ポリウレタン(PU)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂等が挙げられる。
前記熱硬化性樹脂としては、特に制限されないが、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、イソシアヌレート系エポキシ樹脂、メラミン系樹脂、ユリア樹脂、フェノール系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
前記ゴムとしては、天然ゴムと合成ゴムが挙げられる。
天然ゴムとしては、パラゴムノキやチクルなどの樹皮から回収した乳液(ラテックス)由来のものが挙げられる。
合成ゴムとしては、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレン・プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、多硫化ゴム(T)等の合成ゴムが挙げられる。
なお、上述の樹脂やゴムは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[近赤外蛍光材料]
近赤外蛍光材料としては、特に制限されず公知のものを使用することができる。
近赤外蛍光材料としては、特に制限されず公知のものを使用することができる。
具体的な近赤外蛍光材料としては、無機系近赤外蛍光材料および有機系近赤外蛍光材料が挙げられる。
前記無機系近赤外蛍光材料としては、特に制限されないが、希土類元素をドープした材料等が挙げられる。この際、希土類元素としては、特に制限されないが、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、ユウロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)等が挙げられる。
前記有機系近赤外蛍光材料としては、特に制限されないが、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、ジチオール金属塩系色素、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、インドフェノール系色素、シアミン系色素、スチリル系色素、アルミニウム系色素、ジイモニウム系色素、アゾ系色素、アゾ−ホウ素系色素、ローダミンやフルオレセインに代表されるキサンテン系色素、国際公開第2007/126052号などに記載のボロンジピロメテン(BODIPY)系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素等の化合物が挙げられる。
近赤外蛍光材料としては、励起光波長よりも蛍光波長が長くなるダウンコンバージョン型でもよいし、励起光波長よりも蛍光波長が短くなるアップコンバージョン型でもよい。
上述の近赤外蛍光材料のうち、有機近赤外蛍光材料であることが好ましく、モル吸光係数や蛍光量子収率等の発光効率を考慮すると、キサンテン系色素、ボロンジピロメテン(BODIPY)系色素、スクアリウム系色素、ペリレン系色素であることがより好ましい。
なお、上述の近赤外蛍光材料は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
近赤外蛍光材料の光学特性には、以下のものが挙げられる。例えば、光の吸収に関しては、吸収スペクトル、極大吸収波長、吸光度、モル吸光係数などが挙げられる。また、蛍光に関しては、蛍光スペクトル、蛍光強度、蛍光量子収率、ストークスシフト(極大吸収波長と極大蛍光波長の差)が挙げられる。これらの光学特性は、近赤外蛍光材料の他、蛍光材料の周辺環境(溶剤の種類や樹脂の種類、添加剤の種類)、分散性や濃度によっても異なるため、目的に応じて最適化すればよい。
近赤外蛍光材料の極大吸収波長としては、成形体の用途によっても異なるが、通常、600nm以上であり、好ましくは650nm以上であり、より好ましくは665nm以上であり、さらに好ましくは680nm以上であり、特に好ましくは700nm以上であり、最も好ましくは720nm以上である。
近赤外蛍光材料の極大蛍光波長は、吸収波長と同様に、650nm以上であり、より好ましくは665nm以上であり、さらに好ましくは680nm以上であり、特に好ましくは700nm以上であり、最も好ましくは720nm以上である。
近赤外蛍光材料のモル吸光係数は、通常、10000以上であり、好ましくは30000以上であり、より好ましくは60000以上であり、さらに好ましくは100000以上である。
近赤外蛍光材料の蛍光量子収率は、通常5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上であり、さらに好ましくは30%以上である。
近赤外蛍光材料のストークスシフトは、通常5nm以上であり、好ましくは10nm以上であり、より好ましくは20nm以上である。
近赤外蛍光材料の含有量は、樹脂の質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.0001〜0.9質量%であることがさらに好ましく、0.001〜0.5質量%であることが特に好ましい。近赤外蛍光材料の含有量が10質量%以下であると、濃度消光や発光の再吸収等に基づく発光強度の低減を抑制できることから好ましい。
そのほか、近赤外蛍光材料を含む成形体は種々の条件で、成形、加工および使用されることから、蛍光材料として耐熱性が求められる場合がある。近赤外蛍光材料の分解点としては、成形条件、加工条件および使用条件の観点から、通常100℃以上であり、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは240℃以上である。
また、近赤外蛍光材料を含む成形体は種々の条件で滅菌される可能性があることから、滅菌耐性が求められる場合がある。このような滅菌処理としては、例えば、γ線や電子線などの放射線滅菌処理、オートクレーブ等の高圧蒸気滅菌処理、EOGなどのガス滅菌処理、乾燥滅菌処理、紫外線滅菌処理などが挙げられる。近赤外蛍光材料の滅菌耐性としては、滅菌前と滅菌後の発光強度の低下として評価され、前記滅菌前後の発光強度の低下は60%以下であることが好ましく、40%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、10%以下であることが特に好ましい。
[溶媒]
一実施形態において、組成物は溶媒を含んでいてもよい。
一実施形態において、組成物は溶媒を含んでいてもよい。
溶媒の具体例としては、水または有機溶媒が挙げられる。
前記有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶媒;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒;アセトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ピロリドン等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジメチルスルホキシド;ジオキシラン等が挙げられる。
上述の溶媒は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[添加剤]
添加剤としては、本発明の効果を損なわない限り公知の添加剤を使用することができる。具体的には、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、結晶化促進剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤、光拡散剤、界面活性剤、ワックス剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
添加剤としては、本発明の効果を損なわない限り公知の添加剤を使用することができる。具体的には、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、難燃助剤、結晶化促進剤、可塑剤、帯電防止剤、着色剤、離型剤、光拡散剤、界面活性剤、ワックス剤等が挙げられる。これらの添加剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、前記光拡散剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の無機粒子やポリスチレン、シリコーン、PMMA等の有機系粒子が挙げられる。前記光拡散剤は、添加剤として成形体に添加することにより照射光の透過が抑えられるとともに、内部で拡散反射を繰り返すことにより、励起光が効率よく成形体内部で吸収され、結果として発光面方向の蛍光強度を増強させることができる。
<組成物の用途>
組成物の用途としては、近赤外蛍光を検出する用途であれば、特に制限されない。
組成物の用途としては、近赤外蛍光を検出する用途であれば、特に制限されない。
一実施形態において、組成物は非破壊検査用途、偽造防止・識別用途、非可視情報記録用途等に適用される。
例えば、非破壊検査用途に関しては、まず食品製造等の作業者の頭髪に組成物を付着させる。そして、製造された食品について近赤外蛍光の発光の有無を確認することで、食品中に作業者の毛髪が混入していないかを確認することができる。
上記のような用途で組成物を適用する場合、前記組成物は、スプレー、ミスト、リキッド、オイル、クリーム、ワックス、ジェル等の形態をとりうる。
組成物を適用する箇所は、頭髪の他、体毛、皮膚、作業着や作業手袋などの衣類等が挙げられる。いずれの場合も、製造された食品について近赤外蛍光の発光の有無を確認することで、例示したものやその一部が食品中に混入していないかを確認することができる。
また、非破壊検査用途の別の形態において、摩耗・損傷・劣化の確認に適用することができる。例えば、食品等の包装容器、フィルム、建物の壁、天井、床、ガラス等の内装材、道路等が挙げられる。
組成物を包装容器やフィルム等に適用する場合、一実施形態において、組成物は接着剤として適用される。例えば、外層、バリア層、酸素吸収層、内層といった多層構造を有する包装容器においては、少なくとも1つの層間(好ましくは、外層およびバリア層の間)の接着剤として上述の組成物が適用される。仮に包装容器の外装に破損が生じると、破損箇所においては近赤外蛍光材料を含む接着剤(組成物)が外部に露出する。このような場合に近赤外蛍光の有無を確認すると、破損部分は他の部分と対比して強く蛍光が観測されるため、破損の有無を確認することができる。
また、組成物を内装材、道路等に適用する場合、一実施形態において、組成物は、構成部材に包含されて適用される。例えば、上述の組成物を道路の下地となる材料に包含させて道路を形成する。そして、道路が劣化した場合、下地となる材料が露出するため、露出した部分から近赤外蛍光が検出される。これにより、道路の劣化の有無を確認することができる。
なお、摩耗・破損・劣化の確認の用途の場合、正常な状態における近赤外蛍光の観測を防止するため、組成物を有する部分の表面に遮光シート等を配置してもよい。
このような摩耗・損傷・劣化の確認は肉眼で観察することが難しい場合がある。また、確認箇所が広範囲にわたる場合には、その全体を確認することはできない場合がある。他方、上記のような実施形態においては、近赤外蛍光の視認が容易であり、また、広範囲にわたる確認も可能である。
なお、摩耗・損傷・劣化の用途においては、対象物から剥離・脱落した部材を追跡することもできる。これを利用すると、例えば、食品中の異物混入の有無を非破壊で検査することができる。例えば、食品製造現場の天井に摩耗・破損・劣化の確認の用途で組成物を包含させた場合において、当該天井の一部が劣化により脱落して食品中に混入してしまうことがありうる。このような場合、食品について近赤外蛍光の発光の有無を確認することで、異物混入の有無を確認することができる。
偽造防止・識別用途に関しては、例えば、取引の際に真正品またはその包装物に事前に組成物を付着させておき、輸送後や譲渡後に真正品またはその包装物の近赤外蛍光の発光の有無を確認することで、真正品であるか否かを確認することができる。
<成形体>
本発明の一実施形態によれば、上述の組成物を用いて作成された成形体が提供される。なお、本明細書において「成形体」とは、組成物を所定の形状に成形したものであり、その形状をとることで製品または部品として所定の機能を発揮するものを意味する。したがって、上述の所定の形状を有さず、形状が製品または部品としての機能を発揮するものでないスプレー剤、接着剤、構成部材に含有されるもの等は「組成物」であり、後述するような組成物自体が形成されることによって作製され、その形状が製品としての機能を有する作業着や作業手袋等の衣類等は「成形体」である。
本発明の一実施形態によれば、上述の組成物を用いて作成された成形体が提供される。なお、本明細書において「成形体」とは、組成物を所定の形状に成形したものであり、その形状をとることで製品または部品として所定の機能を発揮するものを意味する。したがって、上述の所定の形状を有さず、形状が製品または部品としての機能を発揮するものでないスプレー剤、接着剤、構成部材に含有されるもの等は「組成物」であり、後述するような組成物自体が形成されることによって作製され、その形状が製品としての機能を有する作業着や作業手袋等の衣類等は「成形体」である。
成形体は、組成物を用いて作成されたものであるため、樹脂および近赤外蛍光材料を含む。その他、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。
前記樹脂、近赤外蛍光材料、および添加剤は上述したものと同様のものが用いられる。なお、樹脂については、成形が容易である観点から、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
成形体の構成は、特に制限されず、所望の用途に応じて適宜設計されうる。
一実施形態によれば、成形体は、樹脂表面に近赤外蛍光材料を含む層が配置された構成を有しうる。本形態は、例えば、後述する偽造防止・識別用途や非可視情報の付与用途に好適に適用することができる。
また、別の一実施形態によれば、成形体は、樹脂内部に近赤外蛍光材料を分散させた構成を有しうる。本形態は、例えば、後述する非破壊検査の用途に好適に適用することができる。なお、本形態は、近赤外光の透過性が高いという特質を利用しており、例えば、紫外蛍光材料では実現できない形態であるといえる。
さらに、別の実施形態によれば、成形体は、樹脂内部の少なくとも一領域に近赤外蛍光材料を配置させた構成を有しうる。本形態に係る成形体に光源を照射すると、近赤外蛍光材料を配置させた領域から発光が観測され、その他の領域については発光が観測されないこととなる。本形態は、例えば、後述する偽造防止・識別用途や非可視情報の付与用途に好適に適用することができる。なお、本形態もまた、近赤外光の透過性が高いという特質を利用しており、例えば、紫外蛍光材料では実現できない形態であるといえる。
成形体は所望の用途に応じて、近赤外蛍光材料を樹脂表面全体に配置または樹脂内部全体に分散させてもよいし、樹脂表面の一部に配置または樹脂内部の一部に分散もしくは配置させてもよい。
<成形体の製造方法>
成形体の製造方法としては、特に制限されず、所望の成形体の構造に応じて適宜公知の手法が採用されうる。例えば、成形法、塗布法、接着法が挙げられる。
成形体の製造方法としては、特に制限されず、所望の成形体の構造に応じて適宜公知の手法が採用されうる。例えば、成形法、塗布法、接着法が挙げられる。
前記成形法は、組成物を成形する方法である。
成形方法としては、特に制限されないが、射出成型、圧縮成型、押出成形、ブロー成形等が挙げられる。
なお、近赤外蛍光材料は、予め樹脂に含有させた状態で成形を行ってもよいし、成形過程で混合させてもよい。また、樹脂および近赤外蛍光材料を含む樹脂組成物と、樹脂とを併用して成形を行ってもよい。
塗布法としては、特に制限されないが、ロールコーター塗り法、刷毛塗り法、ローラー塗り法、吹付け塗装法、エアレススプレー法、浸漬法、電着塗装法、静電塗装法等が挙げられる。
前記塗布法で用いる塗布液は、通常、近赤外蛍光材料および溶剤を含む。その他、必要に応じて樹脂や添加剤などを含んでいてもよい。
前記接着法は、樹脂および近赤外蛍光材料を含む近赤外蛍光部分成形体、第1の部分成形体、および第2の部分成形体を調製する工程と、前記第1の部分成形体および前記第2の部分成形体を接着させて成形体を形成する工程であって、この際、前記近赤外蛍光部分成形体を成形体に包含させる工程と、を含む。
前記近赤外蛍光部分成形体の製造方法は特に制限されないが、上述の成形法、塗布法により形成される。
前記第1の部分成形体および前記第2の部分成形体は、公知の樹脂を用いて成形法と同様の方法で成形される。この際、第1の部分成形体および第2の部分成形体は、上述の近赤外蛍光部分成形体を包摂させることを考慮した形態に成形させる。
そして、製造した第1の部分成形体および第2の部分成形体を、その内部に近赤外蛍光部分成形体を包摂させるように接着させることで、成形体を製造することができる。
なお、前記接着は、特に制限されないが、熱融着、化学結合の形成等により行うことができる。
成形体は、成形法、塗布法、および接着法を組み合わせて製造することもできる。例えば、成形法および塗布法を組み合わせた場合には、成形体表面の少なくとも一部および内部に近赤外蛍光材料が配置されることにより、成形体表面および内部の両者が発光する成形体を得ることができる。
<成形体の用途>
本発明の成形体の用途としては、近赤外蛍光を検出する用途であれば、特に制限されないが、例えば、非破壊検査用途、偽造防止・識別用途、非可視情報記録用途等が挙げられる。
本発明の成形体の用途としては、近赤外蛍光を検出する用途であれば、特に制限されないが、例えば、非破壊検査用途、偽造防止・識別用途、非可視情報記録用途等が挙げられる。
非破壊検査用途の場合、成形体は、製品や構造体の主資材としても、食品や工業製品を製造する工場内の作業着や作業手袋等の作業用衣類、製造ラインで使用する機械部品等の副資材としても使用されうる。
例えば、製造工程において、人が手作業で行う場合、衛生面の観点から通常、ラテックス、シリコーン、樹脂等で成形された作業着や作業手袋等の衣類を着用する。この際、場合によっては、衣類の一部が破損することがあり、製品に破損した衣類が混入してしまうことがある。このような場合、作業着、作業手袋等に近赤外蛍光材料が含まれていれば、混入を非破壊で検査することが可能になる。
組成物を用いて作製された機械部品が使用されている場合においても、当該機械部品が破損することで、製品に異物として混入してしまうことがある。このような場合、機械部品に近赤外蛍光材料が含まれていれば、混入を非破壊で検査することが可能になる。
また、偽造防止・識別用途の場合、成形体は、有価証券、公文書、紙幣、パッケージ、ロゴなどに利用することができる。
近赤外光は、人間の網膜で感知できないため、肉眼では識別することができない。このため、所定の物品に近赤外蛍光材料を含む成形体を適用した場合、偽造防止処理が施されていることを第三者は把握することが困難である。また、偽造の有無の確認にも近赤外光を利用するため、確認作業が行われていることも第三者は把握することが困難である。以上のことから、近赤外蛍光材料が含まれた成形体は、偽造防止・識別用途に好適に適用することができるのである。なお、識別対象となる物品は着色されている場合もありうるが、近赤外光であれば、光が吸収されることなく、識別することができる。
さらに、非可視情報用途の場合、成形体は、包装資材、印刷物、看板などに利用することができる。
例えば、製品パッケージやバック、掲示物、表示物、案内物、宣伝・広告物に、近赤外蛍光材料を含む成形体を印刷、印字等することができる。上述の通り、近赤外光は肉眼では識別することができないから、従来のデザインを変えることなく、新しい情報や他者に見せたくない情報を組み込むことができることができる。なお、近赤外領域の波長を利用することで、可視化インクにより印字された部分に成形体を印刷、印字等した場合であっても、情報を読み取ることができる。
そして、いずれの用途においても、近赤外光であれば安全にかつ低コストで適用することができる。
<検出システム>
近赤外蛍光を検出するシステムは、特に制限なく、公知の装置等を利用することができる。
近赤外蛍光を検出するシステムは、特に制限なく、公知の装置等を利用することができる。
励起光としては、近赤外蛍光材料が励起できる波長範囲であればよく、目的に応じて適宜設定すれば良い。光源としては、レーザーやLEDを光源として特定波長のみ照射してもよいし、キセノンランプ等の広域波長域の光源にバンドパスフィルターで特定の波長のみを透過させても良いし、回折格子等を用いて分光して、特定波長のみを取り出してもよい。
検出器としては、近赤外蛍光が検出できればよく、制限なく利用することができる。具体的には公知のCCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーなどのセンサーを利用することができる。
この際、励起光が検出器に入らないように、検出器前にバンドパスフィルターやロングパスフィルターを併用してもよい。また、検出感度を向上させるため、光電子増倍管等を併用してもよい。
近赤外蛍光検出システムの構成は、用いる蛍光材料の蛍光特性、光源や検出器の特性を考慮して適宜選択する。
近赤外蛍光材料の光学特性として、上述した吸収スペクトル、極大吸収波長、モル吸光係数、蛍光スペクトル、ストークスシフト、蛍光強度、蛍光スペクトル形状、量子収率を考慮することが好ましい。これらの光学特性は、色素の周辺環境によって変化する。すなわち、分散する樹脂の種類、樹脂の添加剤種類、色素濃度によっても変化する。
励起光源は、中心波長、光源波長幅、発光強度を考慮する必要がある。
検出器は、近赤外蛍光材料、光源や周辺環境に合わせて、パスフィルターの設計や感度特性を考慮することが好ましい。
近赤外蛍光の表示については、画像として視認出来れば、特に制限されず、モノクロ画像やカラー画像で表示すればよい。カラーの画像と同時に表示する場合は、目的に応じて近赤外蛍光部分を見やすい色で表示すればよい。
近赤外蛍光の表示については、画像として視認出来れば、特に制限されず、モノクロ画像やカラー画像で表示すればよい。カラーの画像と同時に表示する場合は、目的に応じて近赤外蛍光部分を見やすい色で表示すればよい。
以上のように、近赤外蛍光検出システムの構成は、蛍光材料の特性、周辺環境や視認性を考慮して適宜最適なものを選択すればよい。
Claims (6)
- 樹脂と、近赤外蛍光材料と、を含む組成物。
- 非破壊検査に用いられる、請求項1に記載の組成物。
- 偽造防止に使用される、請求項1に記載の組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物を用いて作成された、成形体。
- 前記近赤外蛍光材料が、樹脂内部に分散されてなる、請求項4に記載の成形体。
- 前記赤外蛍光材料が、樹脂表面に配置されてなる、請求項4に記載の成形体。
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