1.遊技機の構造
本発明の一実施形態であるパチンコ遊技機について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において遊技機の一例としてのパチンコ遊技機の各部の上下方向及び左右方向は、そのパチンコ遊技機に対面する遊技者から見た上下方向及び左右方向に一致させて説明する。また、パチンコ遊技機の各部の前方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者に近づく方向とし、パチンコ遊技機の各部の後方向をパチンコ遊技機に対面する遊技者から離れる方向として説明する。
図1に示すように、実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機枠50と、遊技機枠50内に取り付けられた遊技盤2とを備えている。遊技機枠50のうちの前面枠51には、回転角度に応じた発射強度で遊技球を発射させるためのハンドル60、遊技球を貯留する打球供給皿(上皿)61、及び打球供給皿61に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿(下皿)62が設けられている。また前面枠51には、遊技の進行に伴って実行される演出時などに遊技者が操作し得る演出ボタン63およびセレクトボタン64が設けられている。また前面枠51には、装飾用の枠ランプ66およびスピーカ67が設けられている。
図2に示すように、遊技盤2には、ハンドル60の操作により発射された遊技球が流下する遊技領域3が、レール部材4で囲まれて形成されている。また遊技盤2には、装飾用の盤ランプ5(図7参照)が設けられている。遊技領域3には、遊技球を誘導する複数の遊技くぎ(図示せず)が突設されている。
また遊技領域3の中央付近には、液晶表示装置である画像表示装置(表示手段)7が設けられている。画像表示装置7の表示画面(表示部)7aには、後述の第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示(変動表示)に同期した演出図柄(装飾図柄)8L,8C,8Rの可変表示(変動表示)を行う演出図柄表示領域がある。なお、演出図柄8L,8C,8Rを表示する演出を演出図柄変動演出という。演出図柄変動演出を「装飾図柄変動演出」や単に「変動演出」と称することもある。
演出図柄表示領域は、例えば「左」「中」「右」の3つの図柄表示エリアからなる。左の図柄表示エリアには左演出図柄8Lが表示され、中の図柄表示エリアには中演出図柄8Cが表示され、右の図柄表示エリアには右演出図柄8Rが表示される。演出図柄はそれぞれ、例えば「1」〜「8」までの数字をあらわした複数の図柄からなる。画像表示装置7は、左、中、右の演出図柄の組み合わせによって、後述の第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41b(図5参照)にて表示される第1特別図柄および第2特別図柄の可変表示の結果(つまりは大当たり抽選の結果)を、わかりやすく表示する。
例えば大当たりに当選した場合には「777」などのゾロ目で演出図柄を停止表示する。また、はずれであった場合には「637」などのバラケ目で演出図柄を停止表示する。これにより、遊技者による遊技の進行状況の把握が容易となる。つまり遊技者は、一般的には大当たり抽選の結果を第1特別図柄表示器41aや第2特別図柄表示器41bにより把握するのではなく、画像表示装置7にて把握する。なお、図柄表示エリアの位置は固定的でなくてもよい。また、演出図柄の変動表示の態様としては、例えば上下方向にスクロールする態様がある。
画像表示装置7は、上記のような演出図柄を用いた演出図柄変動演出のほか、大当たり遊技(特別遊技の一例)に並行して行われる大当たり演出や、客待ち用のデモ演出などを表示画面7aに表示する。なお演出図柄変動演出では、数字等の演出図柄のほか、背景画像やキャラクタ画像などの演出図柄以外の演出画像も表示される。
また画像表示装置7の表示画面7aには、後述の第1特図保留や第2特図保留の記憶数に応じて演出保留画像9を表示する演出保留表示エリアがある。演出保留画像9の表示により、後述の第1特図保留表示器43a(図5参照)にて表示される第1特図保留の記憶数や第2特図保留表示器43bにて表示される第2特図保留の記憶数を、遊技者にわかりやすく示すことができる。
遊技領域3の中央付近であって画像表示装置7の前方には、センター装飾体10が配されている。センター装飾体10の下部には、上面を転動する遊技球を、後述の第1始動口20へと誘導可能なステージ部11が形成されている。またセンター装飾体10の左部には、入口から遊技球を流入させ、出口からステージ部11へ遊技球を流出させるワープ部12が設けられている。またセンター装飾体10の上部には、盤可動体15が格納状態にて配されている。
遊技領域3における画像表示装置7の下方には、遊技球の入球し易さが常に変わらない第1始動口(入球口の一例、第1入球口、固定入球口、固定始動口、第1始動入賞口ともいう)20を備える固定入賞装置19が設けられている。第1始動口20への遊技球の入賞は、第1特別図柄の抽選(大当たり抽選、すなわち大当たり乱数等の取得と判定)の契機となっている。
また遊技領域3における第1始動口20の下方には、第2始動口(入球口の一例、第2入球口、可変入球口、可変始動口、第2始動入賞口ともいう)21を備える普通可変入賞装置(いわゆる電チュー)22が設けられている。電チュー22を普通電動役物(普通電役)ともいう。第2始動口21への遊技球の入賞は、第2特別図柄の抽選(大当たり抽選)の契機となっている。
電チュー22は、可動部材(入球口開閉部材)23を備え、可動部材23の作動によって第2始動口21を開閉するものである。可動部材23は、電チューソレノイド24(図6参照)により駆動される。第2始動口21は、可動部材23が開状態にあるときのみ遊技球が入球可能となる。つまり、第2始動口21は、遊技球の入球し易さが変化可能な始動口である。なお、電チュー22は、可動部材23が開状態にあるときの方が閉状態にあるときよりも第2始動口21への入球を容易にするものであれば、閉状態にあるときに第2始動口21への入球を不可能とするものでなくてもよい。
また、遊技領域3における第1始動口20の右上方には、遊技球が通過可能なゲート(通過領域)28が設けられている。ゲート28への遊技球の通過は、電チュー22を開放するか否かを決める普通図柄抽選(すなわち普通図柄乱数(当たり乱数)の取得と判定)の実行契機となっている。
また、遊技領域3におけるゲート28の下方には、第1大入賞口(特別入賞口の一例、第1特別入賞口ともいう)30を備えた第1大入賞装置(特別入賞手段の一例)31が設けられている。第1大入賞装置31を、第1特別入賞手段、第1特別可変入賞装置、又は第1特別電動役物(第1特別電役)ともいう。第1大入賞装置31は、開閉部材(第1開閉部材に相当、第1の特別入賞口開閉部材ともいう)32を備え、開閉部材32の作動により第1大入賞口30を開閉するものである。開閉部材32は、第1大入賞口ソレノイド33(図6参照)により駆動される。つまり、第1大入賞口ソレノイド33は開閉部材32の駆動源である。第1大入賞口30は、開閉部材32が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
また、遊技領域3における第1大入賞口30の右上方には、第2大入賞口(特別入賞口の一例、第2特別入賞口ともいう)35を備えた第2大入賞装置(特別入賞手段の一例)36が設けられている。第2大入賞装置36を、第2特別入賞手段、第2特別可変入賞装置、又は第2特別電動役物(第2特別電役)ともいう。第2大入賞装置36は、開閉部材(第2開閉部材に相当、第2の特別入賞口開閉部材ともいう)37を備え、開閉部材37の作動により第2大入賞口35を開閉するものである。開閉部材37は、第2大入賞口ソレノイド38(図6参照)により駆動される。第2大入賞口ソレノイド38は開閉部材37の駆動源である。第2大入賞口35は、開閉部材37が開いているときだけ遊技球が入球可能となる。
より詳細には、図3(A)に示すように、第1大入賞装置31の内部には、第1大入賞口30を通過した遊技球が通過可能な特定領域(V領域)39および非特定領域(非V領域)70が形成されている。なお、第1大入賞装置31において、特定領域39および非特定領域70の上流には、第1大入賞口30への遊技球の入賞を検知する第1大入賞口センサ30aが配されている。また、特定領域39には、特定領域39への遊技球の通過を検知する特定領域センサ39aが配されている。また、非特定領域70には、非特定領域70への遊技球の通過を検知する非特定領域センサ70aが配されている。
また、第1大入賞装置31は、第1大入賞口30を通過した遊技球を特定領域39または非特定領域70のいずれかに振り分ける振分部材71と、振分部材71を駆動する振分部材ソレノイド73とを備えている。振分部材ソレノイド73は、振分部材71の駆動源である。なお、振分部材71は、振分部材ソレノイド73の通電時には、遊技球を特定領域39に振り分ける第1状態をとり、振分部材ソレノイド73の非通電時には、遊技球を非特定領域70に振り分ける第2状態をとる。なお振分部材71は、言い換えれば、特定領域39を開閉するシャッター部材である。
図3(A)は、振分部材ソレノイド73の通電時を示している。図3(A)に示すように、振分部材ソレノイド73の通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を許容する第1状態にある。振分部材71が第1状態にあるときは、第1大入賞口30に入賞した遊技球は、第1大入賞口センサ30aを通過したあと特定領域39を通過する。この遊技球のルートを第1のルートという。
図3(B)は、振分部材ソレノイド73の非通電時を示している。図3(B)に示すように、振分部材ソレノイド73の非通電時には、振分部材71は特定領域39への遊技球の通過を妨げる第2状態にある。振分部材71が第2状態にあるときは、第1大入賞口30に入賞した遊技球は、第1大入賞口センサ30aを通過したあと振分部材71の上面を転動して非特定領域70を通過する。この遊技球のルートを第2のルートという。
なお本パチンコ遊技機1では、特定領域39への遊技球の通過が後述の高確率状態への移行の契機となっている。つまり特定領域39は、確変作動口(確変領域)となっている。これに対して非特定領域70は、確変作動口ではない。これに対して、第2大入賞装置36には、確変作動口は設けられていない。つまり本形態では第1大入賞装置31は所謂Vアタッカーであり、第2大入賞装置36はノーマルアタッカーである。
ここで、遊技盤2の前面側における第1大入賞装置31(第1大入賞口30)の配置箇所6A(第1配置領域6Aともいう)および第2大入賞装置36(第2大入賞口35)の配置箇所6B(第2配置領域6Bともいう)には、図4に示すような装飾が施されている。第1配置領域6Aに施されている装飾を、一般装飾16といい、第2配置領域に施されている装飾を、特殊装飾17という。特殊装飾17は一般装飾16よりも遊技者の注意を引くようなデザインとなっており、この特殊装飾17により、見た目上、第1大入賞装置31よりも第2大入賞装置36に特別感が醸し出されている。つまり本形態では、Vアタッカーよりもノーマルアタッカーに特別感が醸し出されている。これにより、本当は第1大入賞装置31が特定領域39を有した特殊な入賞装置(Vアタッカー)であることを遊技者に認識され難くしている。つまり一見すると、第1大入賞装置31がノーマルアタッカー(特定領域のないアタッカー)に見え、第2大入賞装置36がVアタッカーに見えるようにしている。
具体的には一般装飾16は「狼」の文字をデザインした装飾文字の印刷層を有する装飾シートを遊技盤2の前面と第1大入賞装置31の前面等とにわたって配したものである。また、特殊装飾17は「XX CHANCE」の文字をデザインした装飾文字の印刷層を有する装飾シートを遊技盤2の前面と第2大入賞装置36の前面等とにわたって配したものである。なお、本形態のパチンコ遊技機1では後述するように、大当たり遊技における第2大入賞装置36の開放時に「XX CHANCE」の文字画像が表示画面7aに表示されることがある(図71(A)参照)。これは、遊技者に対して特殊装飾17を想起させて、第2大入賞装置36への入賞を狙って遊技球を打ち込むべき旨を伝えるための演出である。なお、特殊装飾17や一般装飾16の施し方は、遊技盤2や入賞装置等に所望のデザインのシールを貼付したり、遊技盤2や入賞装置等に直接インキを塗装したりするなど、どのような方法であってもよい。
また、遊技盤面(遊技盤2の前面)における振分部材71の前方の箇所には、星のマークの装飾18が施されており、特定領域39への通過の可否を切り替える振分部材71の位置を示唆している。但し、この装飾18は特殊装飾17に比べればそれほど目立つ装飾ではない。
図2に戻り、遊技領域3の下部には、普通入賞口27や、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球を遊技領域3外へ排出するアウト口6が設けられている。
このように各種の入賞口等が配されている遊技領域3には、左右方向の中央より左側の左遊技領域3Aと、右側の右遊技領域3Bとがある。左遊技領域3Aを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、左打ちという。一方、右遊技領域3Bを遊技球が流下するように遊技球を発射する打方を、右打ちという。本形態のパチンコ遊技機1では、左打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第1流路R1といい、右打ちにて遊技したときに遊技球が流下する流路を、第2流路R2という。
第1流路R1上には、第1始動口20と、電チュー22と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第1流路R1を流下するように遊技球を打ち込むことで、第1始動口20への入賞を狙うことができる。
一方、第2流路R2上には、第2大入賞装置36と、ゲート28と、第1大入賞装置31と、電チュー22と、アウト口6とが設けられている。遊技者は第2流路R2を流下するように遊技球を打ち込むことで、ゲート28への通過や、第2始動口21、第1大入賞口30、及び第2大入賞口35への入賞を狙うことができる。
また図2に示すように、遊技盤2の右側中央には表示器類40が配置されている。表示器類40には、図5に示すように、第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器41a、第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器41b、及び、普通図柄を可変表示する普通図柄表示器42が含まれている。また表示器類40には、第1特別図柄表示器41aの作動保留(第1特図保留)の記憶数を表示する第1特図保留表示器43a、第2特別図柄表示器41bの作動保留(第2特図保留)の記憶数を表示する第2特図保留表示器43b、および普通図柄表示器42の作動保留(普図保留)の記憶数を表示する普図保留表示器44が含まれている。
第1特別図柄の可変表示は、第1始動口20への遊技球の入賞を契機として行われる。第2特別図柄の可変表示は、第2始動口21への遊技球の入賞を契機として行われる。なお以下の説明では、第1特別図柄および第2特別図柄を総称して特別図柄ということがある。また、第1特別図柄表示器41aおよび第2特別図柄表示器41bを総称して特別図柄表示器41ということがある。また、第1特図保留表示器43aおよび第2特図保留表示器43bを総称して特図保留表示器43ということがある。
特別図柄表示器41では、特別図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づく抽選(特別図柄抽選、大当たり抽選)の結果を報知する。停止表示される特別図柄(停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される特別図柄)は、特別図柄抽選によって複数種類の特別図柄の中から選択された一つの特別図柄である。停止図柄が予め定めた特定特別図柄(特定の停止態様の特別図柄すなわち大当たり図柄)である場合には、停止表示された特定特別図柄の種類(つまり当選した大当たりの種類)に応じた開放パターンにて第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放させる特別遊技(大当たり遊技)が行われる。なお、特別遊技における大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)の開放パターンについては後述する。
具体的には特別図柄表示器41は、例えば横並びに配された8個のLEDから構成されており、その点灯態様によって大当たり抽選の結果に応じた特別図柄を表示するものである。例えば大当たり(後述の複数種類の大当たりのうちの一つ)に当選した場合には、「○○●●○○●●」(○:点灯、●:消灯)というように左から1,2,5,6番目にあるLEDが点灯した大当たり図柄を表示する。また、ハズレである場合には、「●●●●●●●○」というように一番右にあるLEDのみが点灯したハズレ図柄を表示する。ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なおハズレ図柄は、特定特別図柄ではない。また、特別図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって特別図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば左から右へ光が繰り返し流れるように各LEDが点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞(入球)があると、その入賞に対して取得した大当たり乱数等の各種乱数の値(数値情報)は、特図保留記憶部85(図6参照)に一旦記憶される。詳細には、第1始動口20への入賞であれば第1特図保留として第1特図保留記憶部85a(図6参照)に記憶され、第2始動口21への入賞であれば第2特図保留として第2特図保留記憶部85b(図6参照)に記憶される。各々の特図保留記憶部85に記憶可能な特図保留の数には上限があり、本形態における上限値はそれぞれ「4」となっている。
特図保留記憶部85に記憶された特図保留は、その特図保留に基づく特別図柄の可変表示が可能となったときに消化される。特図保留の消化とは、その特図保留に対応する大当たり乱数等を判定して、その判定結果を示すための特別図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、第1始動口20または第2始動口21への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示がその入賞後にすぐに行えない場合、すなわち特別図柄の可変表示の実行中や特別遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その入賞に対する大当たり抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような特図保留の数は、特図保留表示器43に表示される。具体的には特図保留表示器43はそれぞれ、例えば4個のLEDで構成されており、特図保留の数だけLEDを点灯させることにより特図保留の数を表示する。
普通図柄の可変表示は、ゲート28への遊技球の通過を契機として行われる。普通図柄表示器42では、普通図柄を可変表示(変動表示)したあと停止表示することにより、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄抽選の結果を報知する。停止表示される普通図柄(普図停止図柄、可変表示の表示結果として導出表示される普通図柄)は、普通図柄抽選によって複数種類の普通図柄の中から選択された一つの普通図柄である。停止表示された普通図柄が予め定めた特定普通図柄(所定の停止態様の普通図柄すなわち普通当たり図柄)である場合には、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口21を開放させる補助遊技が行われる。なお、第2始動口21の開放パターンについては後述する。
具体的には普通図柄表示器42は、例えば2個のLEDから構成されており(図5参照)、その点灯態様によって普通図柄抽選の結果に応じた普通図柄を表示するものである。例えば抽選結果が当たりである場合には、「○○」(○:点灯、●:消灯)というように両LEDが点灯した普通当たり図柄を表示する。また抽選結果がハズレである場合には、「●○」というように右のLEDのみが点灯した普通ハズレ図柄を表示する。普通ハズレ図柄として全てのLEDを消灯させる態様を採用してもよい。なお普通ハズレ図柄は、特定普通図柄ではない。普通図柄が停止表示される前には所定の変動時間にわたって普通図柄の変動表示がなされるが、その変動表示の態様は、例えば両LEDが交互に点灯するという態様である。なお変動表示の態様は、各LEDが停止表示(特定の態様での点灯表示)されていなければ、全LEDが一斉に点滅するなどなんでもよい。
本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過があると、その通過に対して取得した普通図柄乱数(当たり乱数)の値は、普図保留記憶部86(図6参照)に普図保留として一旦記憶される。普図保留記憶部86に記憶可能な普図保留の数には上限があり、本形態における上限値は「4」となっている。
普図保留記憶部86に記憶された普図保留は、その普図保留に基づく普通図柄の可変表示が可能となったときに消化される。普図保留の消化とは、その普図保留に対応する普通図柄乱数(当たり乱数)を判定して、その判定結果を示すための普通図柄の可変表示を実行することをいう。従って本パチンコ遊技機1では、ゲート28への遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示がその通過後にすぐに行えない場合、すなわち普通図柄の可変表示の実行中や補助遊技の実行中に入賞があった場合であっても、所定個数を上限として、その通過に対する普通図柄抽選の権利を留保することができるようになっている。
そしてこのような普図保留の数は、普図保留表示器44に表示される。具体的には普図保留表示器44は、例えば4個のLEDで構成されており、普図保留の数だけLEDを点灯させることにより普図保留の数を表示するものである。
2.遊技機の電気的構成
次に図6及び図7に基づいて、本パチンコ遊技機1における電気的な構成を説明する。図6及び図7に示すようにパチンコ遊技機1は、大当たり抽選や遊技状態の移行などの遊技利益に関する制御を行う主制御基板(遊技制御基板)80、遊技の進行に伴って実行する演出に関する制御を行うサブ制御基板(演出制御基板)90、遊技球の払い出しに関する制御を行う払出制御基板110等を備えている。主制御基板80は、メイン制御部を構成し、サブ制御基板90は、後述する画像制御基板100、ランプ制御基板107、および音声制御基板106とともにサブ制御部を構成する。なお、サブ制御部は、少なくともサブ制御基板90を備え、演出手段(画像表示装置7や盤ランプ5、枠ランプ66、スピーカ67、盤可動体15等)を用いた遊技演出を制御可能であればよい。
またパチンコ遊技機1は、電源基板150を備えている。電源基板150は、主制御基板80、サブ制御基板90、及び払出制御基板110に対して電力を供給するとともに、これらの基板を介してその他の機器に対して必要な電力を供給する。電源基板150には、バックアップ電源回路151が設けられている。バックアップ電源回路151は、本パチンコ遊技機1に対して電力が供給されていない場合に、後述する主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に対して電力を供給する。従って、主制御基板80のRAM84やサブ制御基板90のRAM94に記憶されている情報は、パチンコ遊技機1の電断時であっても保持される。また、電源基板150には、電源スイッチ155が接続されている。電源スイッチ155のON/OFF操作により、電源の投入/遮断が切り換えられる。なお、主制御基板80のRAM84に対するバックアップ電源回路を主制御基板80に設けたり、サブ制御基板90のRAM94に対するバックアップ電源回路をサブ制御基板90に設けたりしてもよい。
主制御基板80には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の遊技の進行を制御する遊技制御用ワンチップマイコン(以下「遊技制御用マイコン」)81が実装されている。遊技制御用マイコン81には、遊技の進行を制御するためのプログラム等を記憶したROM83、ワークメモリとして使用されるRAM84、ROM83に記憶されたプログラムを実行するCPU82、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)87が含まれている。なお、ROM83は外付けであってもよい。
RAM84には、上述した特図保留記憶部85(第1特図保留記憶部85aおよび第2特図保留記憶部85b)と普図保留記憶部86とが設けられている。第1特図保留記憶部85aや第2特図保留記憶部85bは記憶手段に当たる。さらに詳細には第1特図保留記憶部85aは、図8(a)に示すように、記憶可能な第1特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。また図8(b)に示すように、第2特図保留記憶部85bは記憶可能な第2特図保留の数に対応した4つの記憶領域からなる。各記憶領域は図8(c)に示すように、さらに4つの記憶領域に分かれている。これらの4つの記憶領域とは、後述の大当たり乱数を記憶する領域、大当たり種別乱数を記憶する領域、リーチ乱数を記憶する領域、及び変動パターン乱数を記憶する領域である。
また主制御基板80には、図6に示すように、中継基板88を介して各種センサやソレノイドが接続されている。そのため、主制御基板80には各センサから信号が入力され、各ソレノイドには主制御基板80から信号が出力される。具体的にはセンサ類としては、第1始動口センサ20a、第2始動口センサ21a、ゲートセンサ28a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、特定領域センサ39a、非特定領域センサ70a、および普通入賞口センサ27aが接続されている。
第1始動口センサ20aは、第1始動口20内に設けられて、第1始動口20に入賞した遊技球を検出するものである。第2始動口センサ21aは、第2始動口21内に設けられて、第2始動口21に入賞した遊技球を検出するものである。ゲートセンサ28aは、ゲート28内に設けられてゲート28を通過した遊技球を検出するものである。第1大入賞口センサ30aは、第1大入賞口30内に設けられて第1大入賞口30に入賞した遊技球を検出するものである。第2大入賞口センサ35aは、第2大入賞口35内に設けられて第2大入賞口35に入賞した遊技球を検出するものである。特定領域センサ39aは、第1大入賞口30内の特定領域39に設けられて特定領域39を通過した遊技球を検出するものである。非特定領域センサ70aは、第1大入賞口30内の非特定領域70に設けられて非特定領域70を通過した遊技球を検出するものである。普通入賞口センサ27aは、各普通入賞口27内に設けられて普通入賞口27に入賞した遊技球を検出するものである。
またソレノイド類としては、電チューソレノイド24、第1大入賞口ソレノイド33、第2大入賞口ソレノイド38、および振分部材ソレノイド73が接続されている。電チューソレノイド24は、電チュー22の可動部材23を駆動するものである。第1大入賞口ソレノイド33は、第1大入賞装置31の開閉部材32を駆動するものである。第2大入賞口ソレノイド38は、第2大入賞装置36の開閉部材37を駆動するものである。振分部材ソレノイド73は、第1大入賞装置31の振分部材71を駆動するものである。
さらに主制御基板80には、特別図柄表示器41、普通図柄表示器42、特図保留表示器43、および普図保留表示器44が接続されている。すなわち、これらの表示器類40の表示制御は、遊技制御用マイコン81によりなされる。
また主制御基板80は、払出制御基板110に各種コマンドを送信するとともに、払い出し監視のために払出制御基板110から信号を受信する。払出制御基板110には、賞球払出装置120、貸球払出装置130およびカードユニット135(パチンコ遊技機1に隣接して設置され、挿入されているプリペイドカード等の情報に基づいて球貸しを可能にするもの)が接続されているとともに、発射制御回路111を介して発射装置112が接続されている。発射装置112には、ハンドル60(図1参照)が含まれる。
払出制御基板110は、遊技制御用マイコン81からの信号や、パチンコ遊技機1に接続されたカードユニット135からの信号に基づいて、賞球払出装置120の賞球モータ121を駆動して賞球の払い出しを行ったり、貸球払出装置130の球貸モータ131を駆動して貸球の払い出しを行ったりする。払い出される賞球は、その計数のため賞球センサ122により検知される。また払い出される貸球は、その計数のため球貸センサ132により検知される。なお遊技者による発射装置112のハンドル60(図1参照)の操作があった場合には、タッチスイッチ114がハンドル60への接触を検知し、発射ボリューム115がハンドル60の回転量を検知する。そして、発射ボリューム115の検知信号の大きさに応じた強さで遊技球が発射されるよう発射モータ113が駆動されることとなる。なお本パチンコ遊技機1においては、0.6秒程度で一発の遊技球が発射されるようになっている。
また主制御基板80は、サブ制御基板90に対し各種コマンドを送信する。主制御基板80とサブ制御基板90との接続は、主制御基板80からサブ制御基板90への信号の送信のみが可能な単方向通信接続となっている。すなわち、主制御基板80とサブ制御基板90との間には、通信方向規制手段としての図示しない単方向性回路(例えばダイオードを用いた回路)が介在している。
図7に示すように、サブ制御基板90には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1の演出を制御する演出制御用ワンチップマイコン(以下「演出制御用マイコン」)91が実装されている。演出制御用マイコン91には、遊技の進行に伴って演出を制御するためのプログラム等を記憶したROM93、ワークメモリとして使用されるRAM94、ROM93に記憶されたプログラムを実行するCPU92、データや信号の入出力を行うためのI/Oポート部(入出力回路)97が含まれている。なお、ROM93は外付けであってもよい。
RAM94には、図9(a)に示すように、第1始動口20への入賞に基づいて特定された第1始動入賞コマンド(後に詳述)等を記憶可能な第1特図保留演出記憶部95aと、第2始動口21への入賞に基づいて特定された第2始動入賞コマンド(後に詳述)等を記憶可能な第2特図保留演出記憶部95bと、第1特別図柄および第2特別図柄に共通の当該変動用演出記憶部(第0記憶領域)95cとが設けられている。第1特図保留演出記憶部95aは、図9(b)に示すように、記憶可能な第1特図保留の数に対応して4つの記憶領域(第1記憶領域〜第4記憶領域)からなる。また第2特図保留演出記憶部95bは、図9(c)に示すように、記憶可能な第2特図保留の数に対応して4つの記憶領域(第1記憶領域〜第4記憶領域)からなる。
各記憶領域は、図9(d)に示すように、始動入賞コマンド記憶領域を含む複数の記憶領域に分かれている。始動入賞コマンド記憶領域は、始動入賞コマンドを記憶する記憶領域である。なお当該変動用演出記憶部95cも、同様の記憶領域を含んでいる。
サブ制御基板90には、図7に示すように、画像制御基板100、音声制御基板106、ランプ制御基板107が接続されている。サブ制御基板90の演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、画像制御基板100のCPU102に画像表示装置7の表示制御を行わせる。画像制御基板100のRAM104は、画像データを展開するためのメモリである。画像制御基板100のROM103には、画像表示装置7に表示される静止画データや動画データ、具体的にはキャラクタ、アイテム、図形、文字、数字および記号等(演出図柄を含む)や背景画像等の画像データが格納されている。画像制御基板100のCPU102は、演出制御用マイコン91からの指令に基づいてROM103から画像データを読み出す。そして、読み出した画像データに基づいて表示制御を実行する。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声、楽曲、効果音等を出力する。スピーカ67から出力する音声等の音響データは、サブ制御基板90のROM93に格納されている。なお、音声制御基板106にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUに音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、音声制御基板106にROMを実装してもよく、そのROMに音響データを格納してもよい。また、スピーカ67を画像制御基板100に接続し、画像制御基板100のCPU102に音声制御を実行させてもよい。さらにこの場合、画像制御基板100のROM103に音響データを格納してもよい。
また演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107を介して、遊技機枠50に設けられている枠ランプ66、および遊技盤2に設けられている盤ランプ5の点灯制御を行う。詳細には演出制御用マイコン91は、枠ランプ66や盤ランプ5等のランプの発光態様を決める発光パターンデータ(点灯/消灯や発光色等を決めるデータ、ランプデータともいう)を作成し、発光パターンデータに従って枠ランプ66や盤ランプ5などのランプの発光を制御する。なお、発光パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。
さらに演出制御用マイコン91は、主制御基板80から受信したコマンドに基づいて、ランプ制御基板107に接続された盤可動体15(図2参照)を動作させる。盤可動体15は、センター装飾体10の上部に設けられた可動式のいわゆるギミックのことである。盤可動体15は、表示画面7aの周辺部(本形態では上部)でコンパクトに折り畳まれて格納されている格納状態(図2参照)から、その折り畳みを解除されて表示画面7aの中央部を含む略全域の前方で露出している露出状態(図示省略)に変位可能なものである。
詳細には演出制御用マイコン91は、盤可動体15の動作態様を決める動作パターンデータ(駆動データともいう)を作成し、動作パターンデータに従って盤可動体15の動作を制御する。動作パターンデータの作成にはサブ制御基板90のROM93に格納されているデータを用いる。なお、ランプ制御基板107にCPUを実装してもよく、その場合、そのCPUにランプの点灯制御や盤可動体15の動作制御を実行させてもよい。さらにこの場合、ランプ制御基板107にROMを実装してもよく、そのROMに発光パターンや動作パターンに関するデータを格納してもよい。
またサブ制御基板90には、枠中継基板98を介して演出ボタン検出スイッチ(SW)63a及びセレクトボタン検出スイッチ64aが接続されている。演出ボタン検出スイッチ63aは、演出ボタン63(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。演出ボタン63が押されると演出ボタン検出スイッチ63aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。また、セレクトボタン検出スイッチ64aは、セレクトボタン64(図1参照)が押下操作されたことを検出するものである。セレクトボタン64が押されるとセレクトボタン検出スイッチ64aからサブ制御基板90に対して検知信号が出力される。
3.大当たり等の説明
本形態のパチンコ遊技機1では、大当たり抽選(特別図柄抽選)の結果として、「大当たり」と「はずれ」がある。「大当たり」のときには、特別図柄表示器41に「大当たり図柄」が停止表示される。「はずれ」のときには、特別図柄表示器41に「ハズレ図柄」が停止表示される。大当たりに当選すると、停止表示された特別図柄の種類(大当たりの種類)に応じた開放パターンにて、大入賞口(第1大入賞口30および第2大入賞口35)を開放させる「特別遊技」が実行される。大当たりに当選して実行される特別遊技を大当たり遊技という。
大当たり遊技は、本形態では、複数回のラウンド遊技(単位開放遊技)と、初回のラウンド遊技が開始される前のオープニング(OPとも表記する)と、最終回のラウンド遊技が終了した後のエンディング(EDとも表記する)とを含んでいる。各ラウンド遊技は、OPの終了又は前のラウンド遊技の終了によって開始し、次のラウンド遊技の開始又はEDの開始によって終了する。ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖の時間(ラウンド間インターバル)は、その閉鎖前の開放のラウンド遊技に含まれる。
大当たりには複数の種別がある。大当たりの種別については図10に示す通りである。図10に示すように、本形態では大当たりの種別としては、大きく分けて2つある。V通過大当たり(特図1_大当たり図柄1〜6及び特図2_大当たり図柄8)と、V非通過大当たり(特図1_大当たり図柄7)である。
V通過大当たりは、その大当たりへの当選に基づく大当たり遊技中に特定領域39への通過が可能となる大当たりである。これに対して、V非通過大当たりは、その大当たりへの当選に基づく大当たり遊技中に特定領域39への通過が不可能又は困難な大当たりである。本形態のパチンコ遊技機1は、特定領域39への通過に基づいて高確率状態に制御される遊技機である。よって、V通過大当たりは、高確率状態に制御されることが予定される大当たりであり、V非通過大当たりは、高確率状態に制御されないことが予定される大当たりである。特定領域39の通過の可否を切り替える振分部材71の作動制御については後述する。
なお、特図1の抽選では、大当たり当選時に55%の割合でV通過大当たりに振り分けられ、残りの45%の割合でV非通過大当たりに振り分けられる。一方、特図2の抽選では、大当たり当選時は必ずV通過大当たりに振り分けられる。つまり本形態では、第1始動口20への入賞に基づく大当たり抽選(特図1の抽選)よりも、第2始動口21への入賞に基づく大当たり抽選(特図2の抽選)の方が、遊技者にとって有利となるように設定されている。
特図1の抽選で当選可能な「V通過大当たり」には、3つの種類がある。16RのV通過大当たり(特図1_大当たり図柄1及び2)と、実質15RのV通過大当たり(特図1_大当たり図柄3)と、実質13RのV通過大当たり(特図1_大当たり図柄4〜6)である。なお、実質的なラウンド数とは、1回のラウンド遊技における大入賞口への最大入賞球数(本形態では9個)に及ぶ入賞が可能なラウンド遊技の回数のことである。本形態では大当たりは全て形式的には16Rであるが、実質的には15Rや13Rの大当たりも含まれている。ちなみに、V非通過大当たり(特図1_大当たり図柄7)は、実質13Rの大当たりである。また、特図2の抽選で当選可能なV通過大当たり(特図2_大当たり図柄8)は、形式的にも実質的にも16Rの大当たりである。
[大入賞口の開放制御]図11に示すように、本形態では各大当たりにおいて、1R目〜13R目及び15R目は第1大入賞口30を開放させ、14R目及び16R目は第2大入賞口35を開放させる。第1大入賞口30の開放態様には、図12に示すようにロング開放(開放態様1)とショート開放(開放態様2)とがある。また、第2大入賞口35の開放態様にも、同様にロング開放(開放態様3)とショート開放(開放態様4)とがある。
第1大入賞口30のロング開放(開放態様1)は、まず最長27500msにわたって第1大入賞口30を開放し、1000msの閉塞期間を経て再び第1大入賞口30を1000msにわたって開放する開放態様である。ラウンド間インターバルの時間は2000msである。普通に遊技が行われていれば、初めの27500msの開放期間が終わるまでの間に最大入賞球数に及ぶ入賞がなされ、ラウンド間インターバルを経て次のラウンド遊技が実行される。そのため、2回目の1000msの開放が実行されることはほとんどない。なお、ラウンド間インターバルの時間はどの開放態様でも同じ2000msである。
第1大入賞口30のショート開放(開放態様2)は、60msという極めて短時間だけ第1大入賞口30を1回開放する開放態様である。この開放時に遊技球が第1大入賞口30に入球することは稀である。
第2大入賞口35のロング開放(開放態様3)は、最長28500msにわたって第2大入賞口35を1回開放する開放態様である。この開放時には最大入賞球数に及ぶ入賞が十分に可能である。
第2大入賞口35のショート開放(開放態様4)は、60msという極めて短時間だけ第2大入賞口35を1回開放する開放態様である。この開放時に遊技球が第2大入賞口35に入球することは稀である。
特図1の抽選で当選可能な3種類の大当たりは、互いに大入賞口の開放パターンが異なっている。図11に示すように、16RのV通過大当たり(特図1_大当たり図柄1及び2)では、全てのラウンドでロング開放の開放制御を行う。なお、特図1_大当たり図柄1は、大当たり当選の判定結果を報知する変動演出においてV通過大当たりであることが報知される大当たり図柄である。具体的には、図10に示すように、演出図柄の最終的な停止態様として金図柄(本形態では3又は7)のゾロ目が選択される大当たり図柄である。なお、特図2_大当たり図柄8に当選した場合にも、演出図柄の最終的な停止態様として金図柄のゾロ目が選択される。
これに対して、特図1_大当たり図柄2は、大当たり当選の判定結果を報知する変動演出においてV通過大当たりであることが報知されない大当たり図柄である。具体的には、演出図柄の最終的な停止態様として銀図柄(本形態では1,2,4,5,6,又は8)のゾロ目が選択される大当たり図柄である。特図1_大当たり図柄2に当選した場合には、大当たり遊技中に勝利のバトル演出が実行されることでV通過大当たりであることが遊技者に報知される。なお、特図1_大当たり図柄3〜7に当選した場合にも、演出図柄の最終的な停止態様として銀図柄のゾロ目が選択される。
また実質15RのV通過大当たり(特図1_大当たり図柄3)では、図11に示すように、14R目のみショート開放の開放制御を行い、残りの全てのラウンドでロング開放の開放制御を行う。特図1_大当たり図柄3に当選した場合には、大当たり遊技中に敗北のバトル演出が実行されるが、その後復活演出が実行されることでV通過大当たりであることが遊技者に報知される(図10参照)。
また実質13RのV通過大当たり(特図1_大当たり図柄4〜6)では、図11に示すように、1R目〜13R目まではロング開放の開放制御を行い、14R目〜16R目ではショート開放の開放制御を行う。この大入賞口の開放制御は、V非通過大当たり(特図1_大当たり図柄7)に当選した場合と同じである。よって、大入賞口の開放態様を見ていてもどちらの大当たりに当選したのかはわからない。
また、V通過大当たりである特図1_大当たり図柄4〜6に当選した場合にも、V非通過大当たりである特図1_大当たり図柄7に当選した場合にも、大当たり遊技中に敗北のバトル演出が実行される(図10参照)。敗北のバトル演出が実行されると遊技者は、V通過大当たりではなく、V非通過大当たりに当選したと通常は認識する。つまり、特図1_大当たり図柄4〜6に当選しても、その当選に基づく大当たり遊技中には、V通過大当たりであることは遊技者には報知されない。後に詳述するが、大当たり遊技後にSゾーンという演出モードに制御されることで遊技者は実質13RのV通過大当たりに当選していたことを認識する。このように本形態のパチンコ遊技機1は、所謂V確機(特定領域39への通過に基づき高確率状態に制御される遊技機)でありながら高確率状態の潜伏を実現している。これが本形態のパチンコ遊技機1の大きな特徴の1つとなっている。
[振分部材の作動制御]次に各大当たりにおける振分部材71の作動制御(特定領域39の作動制御)について説明する。本形態では、1回のラウンド遊技における大入賞口への入賞球数に基づいて、振分部材71が第1状態(図3(A))と第2状態(図3(B))との間で切り替えられる。詳細には、図13に示すように振分部材71の作動パターンには3種類ある。非通過用作動パターン(作動態様1)と、第1の通過用作動パターン(作動態様2)と、第2の通過用作動パターン(作動態様3)である。
なお本形態では、各大当たりにおける2R,4R,6R,8R,10R,及び12Rが、振分部材71の作動が予定されているラウンド(作動ラウンド)となっている(図11参照)。このように作動ラウンドの実行間隔を1ラウンド以上離しているのは、前のラウンド遊技における特定領域39の開放期間が次のラウンド遊技における特定領域39の開放期間に重ならないようにするためである。また本形態では、下記の作動タイミングを除いて、振分部材71は特定領域39への通過を妨げる第2状態に制御される。
非通過用作動パターン(作動態様1)は、図13及び図14に示すように、振分部材71の作動契機となる入賞球数(作動契機入賞球数)が「1」の作動パターンである。具体的には、1回のラウンド遊技における第1大入賞口30への総入賞球数(第1大入賞口センサ30aによる入賞検知の総数)が1球になると、第2状態(通過阻止状態)の振分部材71を24ms(通過困難時間に相当)という極めて短時間にわたって第1状態(通過許容状態)に制御する作動パターンである。24ms経過後は再び通過阻止状態に戻される。つまり、非通過用作動パターンは、第1大入賞口30への1球目の入賞時に振分部材ソレノイド73を24msにわたってONする作動パターンである。なお、24msにわたる特定領域39の開放(通過許容状態への制御)をV短開放という。V短開放時に遊技球が特定領域39を通過することは極めて稀であり、基本的にはV通過は生じない。
また、この非通過用作動パターンで振分部材71が作動された場合には、24msの開放期間と、その後の1000msの球ハケ期間(特定領域39に関する球ハケ期間)との合算期間が、特定領域39への通過(V通過)を有効なものとして扱うV有効期間となる(図14(C)参照)。また、本形態では、原則としてV有効期間外(V無効期間中)にV通過が生じた場合にはV異常通過の報知を行うが、V有効期間外であっても球ハケ期間の経過後から次のラウンド遊技が開始するまでの間は、V異常通過の報知を行わない(図14(D)参照)。V異常通過の報知としては、例えば警告音をスピーカ67から出したり表示画面7aにエラーの文字を表示したりといった報知態様をとることができる。球ハケ期間を設けているのは、振分部材71が通過阻止状態に戻る直前に通過した遊技球が特定領域39を通過することがあるのを考慮してのことである。
なお、2000msのラウンド間インターバルの期間中に1球目の入賞が検知された場合でも、V短開放の作動制御(通過困難制御)は実行される(図14(B)の破線参照)。また、ラウンド間インターバル時間の経過時に第1大入賞装置31(第1大入賞口30)への入排出球数が一致していなければ、振分部材71に所定のリトライ動作を行わせる(図14(B)参照)。リトライ動作は、1500ms待機後に200msにわたって通過許容状態に制御し、その後1000msにわたって待機させる動作である。リトライ動作中にV通過が生じてもそのV通過は無効である。またリトライ動作は、どの作動パターンが実行される場合でも同じである。
第1の通過用作動パターン(作動態様2)は、図13及び図15に示すように、作動契機入賞球数が「1」及び「3」の作動パターンである。具体的には、1回のラウンド遊技における第1大入賞口30への総入賞球数が1球になると、上述のV短開放の作動制御を行い、その後に総入賞球数が3球になると、最長で31476ms(通過許容時間に相当)にわたって振分部材71を通過許容状態に制御する作動パターンである。最長で31476msにわたる特定領域39の開放(通過許容状態への制御)をV長開放という。正しく遊技している限り、V長開放時には遊技球が特定領域39を通過する。つまりV長開放時にはV通過は容易に可能である。なお、ラウンド間インターバルの時間(2000ms)が経過した時点でV長開放の残時間があったとしても、振分部材71は通過阻止状態に戻される。つまり、特定領域39の開放期間が次のラウンド遊技の実行期間に重なることはない。
この第1の通過用作動パターンで振分部材71が作動された場合には、V長開放の開放期間とその後の1000msの球ハケ期間との合算期間も、V有効期間となる(図15(C)参照)。また、球ハケ期間の経過後から次のラウンド遊技が開始するまでの間は、V通過が無効と判定されるV無効期間であってもV異常通過の報知は実行されない(図15(D)参照)。但し、ラウンド間インターバルの時間(2000ms)が経過した時点で第1大入賞口30に対する入排出球数の不一致が発生していなければ、球ハケ期間は設定されない。
なお、2000msのラウンド間インターバルの期間中に3球目の入賞が検知された場合でも、V長開放の作動制御(通過許容制御)が実行される(図15(B)の破線参照)。勿論、この期間中に1球目の入賞が検知された場合には、V短開放の作動制御が実行される。また、1球入賞時のV短開放後の球ハケ期間t1中に3球目の入賞が検知された場合には、球ハケ期間の経過を待たずにV長開放の作動制御が実行される。これは、ラウンド間インターバルの期間中に1球目の入賞と3球目の入賞とが検知された場合も同様である。さらに図16に示すように、1球入賞時のV短開放の開放期間(24ms)中に3球目の入賞が検知された場合には、V短開放の開放期間の経過を待たずにV長開放の作動制御が実行される。
第2の通過用作動パターン(作動態様3)は、図13及び図17に示すように、作動契機入賞球数が「1」及び「7」の作動パターンである。具体的には、1回のラウンド遊技における第1大入賞口30への総入賞球数が1球になると、上述のV短開放の作動制御を行い、その後に総入賞球数が7球になると、上述のV長開放の作動制御を行う作動パターンである。つまり、第1の通過用作動パターンではV長開放の実行契機となる入賞球数が「3」であったのに対して、第2の通過用作動パターンでは「7」になっており、第1の通過用作動パターンよりもV通過が可能となるタイミングが遅くなっている。とは言っても、V長開放の作動制御が実行されるため、V通過は容易に可能である。
なお、ラウンド間インターバルの時間(2000ms)が経過した時点でV長開放の残時間があったとしても、振分部材71は通過阻止状態に戻される。また、ラウンド間インターバルの期間中に作動契機入賞球数に至った場合や、V短開放後の球ハケ期間t1中に作動契機入賞球数に至った場合などの振分部材71の作動制御は、第1の通過用作動パターンが実行された場合と同様である。
このように本形態では、振分部材71の作動パターンに3つのパターンがある。各種の大当たりにおいて、何ラウンド目にどの作動パターンが実行されるかは、図11に示す通りである。16RのV通過大当たり(特図1_大当たり図柄1及び2,並びに特図2_大当たり図柄8、つまり金図柄及びバトル勝利の大当たり図柄)では、10Rと12Rにおいて第1の通過用作動パターンが実行され、2R、4R、6R、及び8Rでは非通過用作動パターンが実行される。実質15RのV通過大当たり(特図1_大当たり図柄3つまりバトル敗北後復活の大当たり図柄)では、8Rと10Rにおいて第1の通過用作動パターンが実行され、2R、4R、6R、及び12Rでは非通過用作動パターンが実行される。
また、実質13RのV通過大当たりには3種類の大当たり図柄(特図1_大当たり図柄4〜6、いずれもバトル敗北だが高確潜伏の大当たり図柄)があり、互いに通過用作動パターンが実行されるラウンドが異なっている。具体的には、特図1_大当たり図柄4に基づく大当たりでは、2Rにおいて第2の通過用作動パターンが実行され、6Rにおいて第1の通過用作動パターンが実行され、4R、8R、10R及び12Rでは非通過用作動パターンが実行される。
また、特図1_大当たり図柄5に基づく大当たりでは、4Rにおいて第2の通過用作動パターンが実行され、8Rにおいて第1の通過用作動パターンが実行され、2R、6R、10R及び12Rでは非通過用作動パターンが実行される。また、特図1_大当たり図柄6に基づく大当たりでは、6Rにおいて第2の通過用作動パターンが実行され、10Rにおいて第1の通過用作動パターンが実行され、2R、4R、8R及び12Rでは非通過用作動パターンが実行される。なお、非通過大当たり(特図1_大当たり図柄7)では、2R、4R、6R、8R、10R及び12Rにおいて非通過用作動パターンが実行される。
このように本形態では、V通過が可能となる大当たり遊技であっても、通過用作動パターンが実行されるラウンドと、非通過用作動パターンが実行されるラウンドとを設けている。また、V通過大当たりであっても、大当たり図柄の種類に応じて、通過用作動パターンが実行されるラウンドが異なるラウンドとなるようにしている。特に実質13RのV通過大当たり(潜伏確変用大当たり)の図柄として、V通過が可能となるラウンドが互いに異なる3つの大当たり図柄が設けられている。しかも、潜伏確変用大当たりの場合には、通常の確変用大当たり(16RのV通過大当たりや実質15RのV通過大当たり)の場合の作動契機入賞球数「3」とは異なる作動契機入賞球数「7」でV長開放の作動制御が実行されるラウンドがある。また、V非通過大当たりに当選した場合も含めて、どの大当たりに当選しても、2R〜12Rまでの偶数ラウンドでは振分部材71の作動が予定されている。
従って、これらの各構成の作用によって、遊技者がV通過のタイミングを想定し、目視にてV通過を確認することが非常に困難になっている。こうして、基本的には遊技の進行に伴って実行される種々の遊技演出を頼りに、高確率状態に制御されるのかされないのかを判断するという遊技性が実現されている。
また本形態では、作動契機入賞球数が「1」となったときにV短開放の作動制御を実行するという非通過用作動パターンが設けられている。そのため、1R当たりの入賞上限数(最大入賞球数)に至る程度の入賞が見込めるロング開放の開放態様で第1大入賞口30を開放させつつも、V通過は発生させないというラウンドを設けることが可能となっている。
[各種乱数]ここで本パチンコ遊技機1では、大当たりか否かの抽選は「大当たり乱数」に基づいて行われ、当選した大当たりの種別の抽選は「大当たり種別乱数」に基づいて行われる。図18(A)に示すように、大当たり乱数は0〜65535までの範囲で値をとる。大当たり種別乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。なお、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得される乱数には、大当たり乱数および大当たり種別乱数の他に、「リーチ乱数」および「変動パターン乱数」がある。
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がはずれである場合に、その結果を示す演出図柄変動演出においてリーチを発生させるか否かを決める乱数である。リーチとは、複数の演出図柄(装飾図柄)のうち変動表示されている演出図柄が残り一つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの図柄で停止表示されるか次第で大当たり当選を示す演出図柄の組み合わせとなる状態(例えば「7↓7」の状態)のことである。なお、リーチ状態において停止表示されている演出図柄は、表示画面7a内で多少揺れているように表示されていたり拡大と縮小を繰り返すように表示されていたりしてもよい。このリーチ乱数は、0〜255までの範囲で値をとる。
また、変動パターン乱数は、変動時間を含む変動パターンを決めるための乱数である。変動パターン乱数は、0〜99までの範囲で値をとる。また、ゲート28の通過に基づいて取得される乱数には、図18(B)に示す普通図柄乱数(当たり乱数)がある。普通図柄乱数は、電チュー22を開放させる補助遊技を行うか否かの抽選(普通図柄抽選)のための乱数である。普通図柄乱数は、0〜65535までの範囲で値をとる。
4.遊技状態の説明
次に、本形態のパチンコ遊技機1の遊技状態に関して説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器41および普通図柄表示器42には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能がある。特別図柄表示器41の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。すなわち、大当たりと判定される大当たり乱数の値が通常確率状態で用いる大当たり判定テーブルよりも多い大当たり判定テーブルを用いて、大当たり判定を行う(図19(A)参照)。つまり、特別図柄表示器41の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄表示器41による特別図柄の可変表示の表示結果(すなわち停止図柄)が大当たり図柄となる確率が高くなる。
また、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始時から表示結果の導出表示時までの時間)が、非時短状態よりも短くなっている。すなわち、変動時間の短い変動パターンが選択されることが非時短状態よりも多くなるように定められた変動パターンテーブルを用いて、変動パターンの判定を行う(図20参照)。つまり、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能が作動すると、作動していないときに比して、特別図柄の可変表示の変動時間として短い変動時間が選択されやすくなる。その結果、時短状態では、特図保留の消化のペースが速くなり、始動口への有効な入賞(特図保留として記憶され得る入賞)が発生しやすくなる。そのため、スムーズな遊技の進行のもとで大当たりを狙うことができる。
特別図柄表示器41の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器41の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。よって、時短状態では、普通図柄抽選における当選確率が非時短状態よりも高くなっている。すなわち、当たりと判定される普通図柄乱数(当たり乱数)の値が非時短状態で用いる普通図柄当たり判定テーブルよりも多い普通図柄当たり判定テーブルを用いて、当たり判定(普通図柄の判定)を行う(図19(C)参照)。つまり、普通図柄表示器42の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器42による普通図柄の可変表示の表示結果が、普通当たり図柄となる確率が高くなる。
また時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。本形態では、普通図柄の変動時間は非時短状態では10秒であるが、時短状態では1秒である(図19(D)参照)。さらに時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている(図21参照)。すなわち、電チュー22の開放時間延長機能が作動している。加えて時短状態では、補助遊技における電チュー22の開放回数が非時短状態よりも多くなっている(図21参照)。すなわち、電チュー22の開放回数増加機能が作動している。
普通図柄表示器42の確率変動機能と変動時間短縮機能、および電チュー22の開放時間延長機能と開放回数増加機能が作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、電チュー22が頻繁に開放され、第2始動口21へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合であるベースが高くなる。従って、これらの機能が作動している状態を「高ベース状態」といい、作動していない状態を「低ベース状態」という。高ベース状態では、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、高ベース状態とは、いわゆる電サポ制御(電チュー22により第2始動口21への入賞をサポートする制御)が実行されている状態である。よって、高ベース状態を電サポ制御状態や入球サポート状態ともいう。これに対して、低ベース状態を非電サポ制御状態や非入球サポート状態ともいう。
高ベース状態は、上記の全ての機能が作動するものでなくてもよい。すなわち、普通図柄表示器42の確率変動機能、普通図柄表示器42の変動時間短縮機能、電チュー22の開放時間延長機能、および電チュー22の開放回数増加機能のうち一つ以上の機能の作動によって、その機能が作動していないときよりも電チュー22が開放され易くなっていればよい。また、高ベース状態は、時短状態に付随せずに独立して制御されるようにしてもよい。
本形態のパチンコ遊技機1では、有効な特定領域39への通過がなされた大当たり遊技後の遊技状態は、高確率状態かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「高確高ベース状態」という。高確高ベース状態は、所定回数(本形態では161回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
また、有効な特定領域39への通過がなされなかった大当たり遊技後の遊技状態は、通常確率状態(非高確率状態すなわち低確率の状態)かつ時短状態かつ高ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確高ベース状態」という。低確高ベース状態は、所定回数(本形態では100回)の特別図柄の可変表示が実行されるか、又は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、通常確率状態かつ非時短状態かつ低ベース状態である。この遊技状態を特に、「低確低ベース状態」という。低確低ベース状態を「通常遊技状態」と称することもある。また、特別遊技(大当たり遊技)の実行中の状態を「特別遊技状態(大当たり遊技状態)」と称することとする。さらに、高確率状態および高ベース状態のうち少なくとも一方の状態に制御されている状態を、「特典遊技状態」と称することとする。
高確高ベース状態や低確高ベース状態といった高ベース状態では、右打ちにより右遊技領域3B(図2参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御により低ベース状態と比べて電チュー22が開放されやすくなっており、第1始動口20への入賞よりも第2始動口21への入賞の方が容易となっているからである。そのため、普通図柄抽選の契機となるゲート28へ遊技球を通過させつつ、第2始動口21へ遊技球を入賞させるべく右打ちを行う。これにより左打ちをするよりも、多数の始動入賞(始動口への入賞)を得ることができる。なお本パチンコ遊技機1では、大当たり遊技中も右打ちにて遊技を行う。
これに対して、低ベース状態では、左打ちにより左遊技領域3A(図2参照)へ遊技球を進入させた方が有利に遊技を進行できる。電サポ制御が実行されていないため、高ベース状態と比べて電チュー22が開放されにくくなっており、第2始動口21への入賞よりも第1始動口20への入賞の方が容易となっているからである。そのため、第1始動口20へ遊技球を入賞させるべく左打ちを行う。これにより右打ちするよりも、多数の始動入賞を得ることができる。
5.始動入賞コマンドについて
本形態のパチンコ遊技機1は、後述するように所謂先読み演出を実行可能である。先読み演出とは、始動入賞によって取得された数値情報(大当たり乱数等の乱数値)に基づいて特定された始動入賞コマンドを利用して、その始動入賞に基づく特図変動(特別図柄の変動表示)の開始直前の当否判定よりも前にその始動入賞に対する大当たり期待度を示唆する演出である。図22に示すように、本形態において生成される始動入賞コマンドには、大当たりか否かの当否情報が含まれている。また本形態の始動入賞コマンドには、第1始動口20と第2始動口21とのどちらの始動口に入賞したのかの始動口情報、通常確率状態と高確率状態とのどちらの遊技状態で入賞したのかの遊技状態情報が含まれている。始動入賞コマンドは、少なくとも大当たりか否かの当否情報を含むものであればよく、始動入賞コマンドにどのような情報を含ませるかは適宜変更可能である。
6.遊技制御用マイコン81の動作
[主制御メイン処理]次に図23〜図51に基づいて遊技制御用マイコン81の動作について説明する。なお、遊技制御用マイコン81の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM84に設けられている。主制御基板80に備えられた遊技制御用マイコン81は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM83から図23に示した主制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、主制御メイン処理では、まず初期設定を行う(ステップS001)。初期設定では例えば、スタックの設定、定数設定、割り込み時間の設定、CPU82の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)の設定や、各種のフラグ、ステータス、カウンタ、及びタイマ等のリセット等を行う。なお初期設定(S001)は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
初期設定(S001)に次いで、割り込みを禁止し(S002)、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)を実行する。この普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)では、図18に示した種々の乱数カウンタ値を1加算して更新する。各乱数カウンタ値は上限値に至ると「0」に戻って再び加算される。なお各乱数カウンタの初期値は「0」以外の値であってもよく、ランダムに変更されるものであってもよい。また各乱数は、カウンタIC等からなる公知の乱数生成回路を利用して生成される所謂ハードウェア乱数であってもよい。この場合、ソフトウェアによる乱数の更新処理は必要ない。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)が終了すると、割り込みを許可する(S004)。割り込み許可中は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行が可能となる。メイン側タイマ割り込み処理(S005)は、例えば4msec周期でCPU82に繰り返し入力される割り込みパルスに基づいて実行される。すなわち、例えば4msec周期で実行される。そして、メイン側タイマ割り込み処理(S005)が終了してから、次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの間に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)による各種カウンタ値の更新処理が繰り返し実行される。なお、割り込み禁止状態のときにCPU82に割り込みパルスが入力された場合は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)はすぐには開始されず、割り込み許可(S004)がされてから開始される。
[メイン側タイマ割り込み処理]次に、メイン側タイマ割り込み処理(S005)について説明する。図24に示すように、メイン側タイマ割り込み処理(S005)では、まず出力処理(S101)を実行する。出力処理(S101)では、以下に説明する各処理において主制御基板80のRAM84に設けられた出力バッファにセットされたコマンド等を、サブ制御基板90や払出制御基板110等に出力する。
出力処理(S101)に次いで行われる入力処理(S102)では、主にパチンコ遊技機1に取り付けられている各種センサ(第1始動口センサ20a,第2始動口センサ21a、第1大入賞口センサ30a、第2大入賞口センサ35a、普通入賞口センサ27a等(図6参照))が検知した検出信号を読み込む。また、入力処理(S102)では、下皿62の満杯を検出する下皿満杯スイッチからの検出信号も取り込み、下皿満杯データとしてRAM84の出力バッファに記憶する。
次にセキュリティ制御処理(S103)を実行する。セキュリティ制御処理(S103)については後述する。続いてタイマ更新処理(S104)を実行する。タイマ更新処理(S104)では、作動中の各種タイマの値の更新(減算)を行う。次いで賞球制御処理(S105)を行う。賞球制御処理(S105)では、入力処理(S102)で読み込んだ各種センサの検出信号に基づいて、入賞口の種類に応じた賞球を払い出すための払出コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。払出コマンドは、払出制御基板110に対して出力されるコマンドである。
次に普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S106)を行う。普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S106)は、図23の主制御メイン処理で行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S003)と同じである。即ち、図18に示した各種乱数カウンタ値(普通図柄乱数カウンタ値も含む)の更新処理は、メイン側タイマ割り込み処理(S005)の実行期間と、それ以外の期間(メイン側タイマ割り込み処理(S005)の終了後、次のメイン側タイマ割り込み処理(S005)が開始されるまでの期間)との両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S106)に次いで、後述する始動口センサ検出処理(S107)、普通動作処理(S108)、特別動作処理(S109)、および特定領域センサ検出処理(S110)を実行する。その後、大入賞口ソレノイド(第1大入賞口ソレノイド33又は第2大入賞口ソレノイド38)の駆動データを出力する処理を行う(S111)。つまり第1大入賞口30又は第2大入賞口35を開放したり閉塞したりする。それから、その他の処理(S112)を実行して、メイン側タイマ割り込み処理(S005)を終了する。その他の処理(S112)としては、後述の特図2保留球数に基づいて第2特図保留表示器43bをその数を示す表示態様に制御したり、後述の特図1保留球数に基づいて第1特図保留表示器43aをその数を示す表示態様に制御したりする。また、後述の普図保留球数に基づいて普図保留表示器44をその数を示す表示態様に制御したりする。
そして、次にCPU82に割り込みパルスが入力されるまでは主制御メイン処理のステップS002〜S004の処理が繰り返し実行され(図23参照)、割り込みパルスが入力されると(約4msec後)、再びメイン側タイマ割り込み処理(S005)が実行される。再び実行されたメイン側タイマ割り込み処理(S005)の出力処理(S101)においては、前回のメイン側タイマ割り込み処理(S005)にてRAM84の出力バッファにセットされたコマンド等が出力される。
[セキュリティ制御処理]図25に示すように、セキュリティ制御処理(S103)ではまず、普通電役不正入賞処理(S120)を行う。この処理では、電チュー22(つまり普通電役)への不正な入賞の有無を検知して、不正入賞が検知されればその旨を報知するための異常入賞報知と、異常が検出されたことを示す異常検出の設定とを行う。続いて、第2大入賞口不正入賞処理(S121)を行う。この処理では、第2大入賞口35への不正な入賞の有無を検知する。不正入賞が検知されれば異常入賞報知と、異常検出の設定とを行う。次いで、後述する第1大入賞口不正入賞処理(S122)、特定領域不正通過処理(S123)、及び第1大入賞口排出確認処理(S124)を行う。
その後、磁気検出処理(S125)を行う。磁気検出処理(S125)では、磁気を利用した不正行為を検知するための磁気検知センサ(不図示)からの入力信号を読み取り、磁気による不正行為がなされたと判定されると、不正行為の検出報知及び異常検出の設定を行う。なお、磁気による不正行為が検出された場合には、以後、電源の再投入がなされるまで遊技は停止される。続いて、扉開放処理(S126)を行う。扉開放処理(S126)では、前面枠51や内枠の開放を検知する扉開放検知センサ(不図示)からの入力信号を読み取り、前面枠51又は内枠が開放されていると判定されると、扉開放の報知を行う。
次いで、不正電波検出処理(S127)を行う。不正電波検出処理(S127)では、電波を利用した不正行為を検知するための電波検知センサ(不図示)からの入力信号を読み取り、電波による不正行為がなされたと判定されると、不正行為の検出報知及び異常検出の設定を行う。その後、衝撃検出処理(S128)を行って、セキュリティ制御処理を終える。衝撃検出処理(S128)では、パチンコ遊技機1を振動させる不正行為を検知するための振動検知センサ(不図示)からの入力信号を読み取り、振動による不正行為がなされたと判定されると、不正行為の検出報知及び異常検出の設定を行う。
[第1大入賞口不正入賞処理]図26に示すように、第1大入賞口不正入賞処理(S122)ではまず、第1大入賞口30の開放中か否かを判定する(S130)。開放中であれば(S130でYES)、不正入賞はないため本処理を終える。一方開放中でなければ(S130でNO)、続いて、第1大入賞口有効タイマの値が「0」でないか否かを判定する(S131)。第1大入賞口有効タイマは、第1大入賞口センサ30aへの入賞の有効期間を測るタイマである。「0」でなければ(S131でYES)、不正入賞はないため本処理を終える。一方「0」であれば(S131でNO)、続いて、第1大入賞口30への通過が検知されたか否か(第1大入賞口センサ30aによる遊技球の通過検知があったか否か)を判定する(S132)。
ステップS132で通過検知がなければ本処理を終える。これに対して、通過検知があれば(S132でYES)、続いて第1大入賞口有効カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S133)。第1大入賞口有効カウンタは、第1大入賞口30への有効な入賞の回数を減算方式でカウントするカウンタである。ステップS133で「0」でなければ、第1大入賞口有効カウンタの値を1減算して(S134)、本処理を終える。一方、「0」であれば(S133でYES)、第1大入賞口30の入賞を無効化して(S135)、つまり賞球の対象とせずに、異常入賞の報知を行うとともに、異常検出の設定を行う(S136)。なお、第1大入賞口有効タイマおよび第1大入賞口有効カウンタの値は第1大入賞口30を開放させるラウンド遊技の開始時に適宜設定されるものとする。
[特定領域不正通過処理]図27に示すように、特定領域不正通過処理(S123)ではまず、特定領域39の有効期間中(V有効期間中)か否かを判定する(S140)。特定領域39の有効期間中であれば(S140でYES)、不正通過はないため本処理を終える。一方、特定領域39の有効期間中でなければ(S140でNO)、特定領域39への通過が検知されたか否か(特定領域センサ39aによる遊技球の通過検知があったか否か)を判定する(S141)。特定領域への通過検知がなければ(S141でNO)、本処理を終える。これに対して、通過検知があれば(S141でYES)、V無効期間中の特定領域39への通過であるため、異常入賞(異常通過)の報知を行うとともに、異常検出の設定を行う(S142)。
[第1大入賞口排出確認処理]図28に示すように、第1大入賞口排出確認処理(S124)ではまず、第1大入賞口30への通過が検知されたか否か(第1大入賞口センサ30aによる遊技球の通過検知があったか否か)を判定する(S150)。通過検知があれば、V大入賞口出入カウンタを1加算して(S151)、ステップS152に進む。通過検知がなければ、ステップS151を行わずにステップS152に進む。V大入賞口出入カウンタは、特定領域39(V領域)を内部に備える第1大入賞装置31(第1大入賞口30)に対する入賞球と排出球との差をカウントするためのカウンタである。
ステップS152では、非特定領域70への通過が検知されたか否か(非特定領域センサ70aによる遊技球の通過検知があったか否か)を判定する(S152)。通過検知がなければステップS155に進む。一方、通過検知があれば(S152でYES)、続いて、V大入賞口出入カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S153)。「0」でなければ(S153でNO)、V大入賞口出入カウンタの値を1減算して(S154)、ステップS155に進む。一方、「0」であれば(S153でYES)、第1大入賞口30からの不正な排球があったことになるため、異常入賞の報知を行うとともに、異常検出の設定を行う(S158)。
ステップS155では、特定領域39への通過が検知されたか否か(特定領域センサ39aによる遊技球の通過検知があったか否か)を判定する(S155)。通過検知がなければ本処理を終える。一方、通過検知があれば(S155でYES)、続いて、V大入賞口出入カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S156)。「0」でなければ(S156でNO)、V大入賞口出入カウンタの値を1減算して(S157)、本処理を終える。一方、「0」であれば(S156でYES)、第1大入賞口30からの不正な排球(特定領域39への不正通過)があったことになるため、異常入賞(異常通過)の報知を行うとともに、異常検出の設定を行う(S158)。
[始動口センサ検出処理]次にメイン側タイマ割り込み処理(S005)で実行される始動口センサ検出処理(S107)について説明する。図29に示すように、始動口センサ検出処理(S107)ではまず、ゲート28に遊技球が通過したか否か、即ち、ゲートセンサ28aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S201)。ゲート28を遊技球が通過していれば(S201でYES)、後述のゲート通過処理(S202)を行う。一方、遊技球がゲート28を通過していなければ(S201でNO)、ゲート通過処理(S202)をパスしてステップS203に進む。
ステップS203では、第2始動口21に遊技球が入賞したか否か、即ち、第2始動口センサ21aによって遊技球が検出されたか否か判定する(S203)。第2始動口21に遊技球が入賞していない場合(S203でNO)にはステップS209に進むが、第2始動口21に遊技球が入賞した場合には(S203でYES)、特図2保留球数(第2特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第2特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S204)。そして、特図2保留球数が「4」に達している場合(S204でYES)には、ステップS209に進むが、特図2保留球数が「4」未満である場合には(S204でNO)、特図2保留球数に1を加算する(S205)。
続いて特図2関係乱数取得処理(S206)を行う。特図2関係乱数取得処理(S206)では、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)、大当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図18(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第2特図保留記憶部85bのうち現在の特図2保留球数に応じた第2特図保留記憶部85bの記憶領域に格納する。
続いて第2始動入賞コマンド特定処理(S207)を行う。第2始動入賞コマンド特定処理(S207)では、ステップS206で格納した乱数値群に基づき、図22に示す始動入賞コマンド特定テーブルを用いて第2始動入賞コマンドを特定する。具体的には、現在の遊技状態が高確率状態であり、大当たり乱数が「1」であれば、図22の始動入賞コマンド特定テーブルにおける第2始動口且つ高確率状態の箇所を参照して、第2始動入賞コマンドとして「E2H21H」というコマンドを特定する。なおコマンドは、2バイトの情報(1バイトの上位コマンド(例えばE2H)と1バイトの下位コマンド(例えば21H))からなっている。
図22に示すテーブルにおける大当たり乱数の区分けは、大当たり判定テーブル(図19(A)参照)における区分けと対応している。従って、特定された第2始動入賞コマンドには、大当たりの当否を示す当否情報が含まれている。
なお本形態の始動入賞コマンドでは、16進数で二桁の上位コマンドのうち上の桁の値は、コマンドの種類(始動入賞コマンドであること)を指定する情報である。また、上位コマンドのうち下の桁の値は、始動口の種類(第1始動口20への入賞か第2始動口21への入賞か)を指定する始動口情報である。また、16進数で二桁の下位コマンドのうち、上の桁の値は、遊技状態(通常確率状態か高確率状態か)を指定する遊技状態情報である。また、下位コマンドのうち下の桁の値は、大当たりの当否を示す当否情報である。なお、このような始動入賞コマンドの生成に関するルールは、一例であり、任意に変更可能である。
続いて遊技制御用マイコン81は、ステップS207で特定した第2始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットする(S208)。
続いて始動口センサ検出処理(S107)では、第1始動口20に遊技球が入賞したか否か、即ち、第1始動口センサ20aによって遊技球が検出されたか否かを判定する(S209)。第1始動口20に遊技球が入賞していない場合(S209でNO)には処理を終えるが、第1始動口20に遊技球が入賞した場合には(S209でYES)、特図1保留球数(第1特図保留の数、具体的にはRAM84に設けた第1特図保留の数をカウントするカウンタの数値)が「4」(上限記憶数)に達しているか否か判定する(S210)。そして、特図1保留球数が「4」に達している場合(S210でYES)には、処理を終えるが、特図1保留球数が「4」未満である場合には(S210でNO)、特図1保留球数に「1」を加算する(S211)。
続いて特図1関係乱数取得処理(S212)を行う。特図1関係乱数取得処理(S212)では、特図2関係乱数取得処理(S206)と同様に、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−A)、当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−AS)、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RC)及び変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1)を取得し(つまり図18(A)に示す乱数値群を取得し)、それら取得乱数値を第1特図保留記憶部85aのうち現在の特図1保留球数に応じた第1特図保留記憶部85aの記憶領域に格納する。
続いて第1始動入賞コマンド特定処理(S213)を行う。第1始動入賞コマンド特定処理(S213)では、ステップS212で格納した乱数値群に基づき、図22に示す始動入賞コマンド特定テーブルを用いて第1始動入賞コマンドを特定する。具体的には、現在の遊技状態が通常確率状態であり、大当たり乱数が「1」であれば、図22の始動入賞コマンド特定テーブルにおける第1始動口且つ通常確率状態の箇所を参照して、第1始動入賞コマンドとして「E1H11H」というコマンドを特定する。特定された第1始動入賞コマンドには、大当たりの当否を示す当否情報が含まれている。
続いて遊技制御用マイコン81は、ステップS213で特定した第1始動入賞コマンドをRAM84の出力バッファにセットして(S214)、処理を終える。
[ゲート通過処理]図30に示すようにゲート通過処理(S202)では、普通図柄保留球数(普図保留の数、具体的にはRAM84に設けた普図保留の数をカウントするカウンタの値)が4以上であるか否か判定し(S301)、普通図柄保留球数が4以上であれば(S301でYES)、処理を終了する。一方、普通図柄保留球数が4以上でなければ(S301でNO)、普通図柄保留球数に「1」を加算し(S302)、普通図柄乱数取得処理(S303)を行う。普通図柄乱数取得処理(S303)では、普通図柄乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Hの値、図18(B))を取得し、その取得乱数値をRAM84の普図保留記憶部86のうち現在の普通図柄保留球数に応じた記憶領域に格納する。
[普通動作処理]遊技制御用マイコン81は、始動口センサ検出処理(S107)に次いで普通動作処理(S108)を行う。図31に示すように、普通動作処理(S108)ではまず、電チュー22の作動中か否かを判定する(S401)。電チュー22の作動中でなければ(S401でNO)、続いて、普通図柄の停止表示中か否かを判定する(S402)。普通図柄の停止表示中でなければ(S402でNO)、続いて、普通図柄の変動表示中か否かを判定する(S403)。普通図柄の変動表示中でなければ(S403でNO)、続いて、普通図柄の保留球数が「0」であるか否かを判定する(S404)。普通図柄の保留球数が「0」であれば(S404でYES)、本処理を終える。
ステップS404において普通図柄の保留球数が「0」でなければ(S404でNO)、当たり判定処理(S405)を行う。当たり判定処理(S405)では、普図保留記憶部86に格納されている普通図柄乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Hの値)を読み出し、図19(C)に示す普通図柄当たり判定テーブルに基づいて当たりか否か判定する。そして、当たり判定の結果に応じた普図停止図柄データをRAM84の所定の記憶領域にセットする図柄決定処理を行う(S406)。つまり図柄決定処理(S406)では、「ハズレ」であれば「普図ハズレ図柄」に応じたデータをセットし、「当たり」であれば「普通当たり図柄」に応じたデータをセットする。
続いて遊技制御用マイコン81は、普通図柄変動時間決定処理(S407)を行う。普通図柄変動時間決定処理(S407)では、図19(D)に示す普通図柄変動パターン選択テーブルを参照して、遊技状態が時短状態であれば、普通図柄の変動時間が1秒の普通図柄変動パターンを選択する。一方、遊技状態が非時短状態であれば、普通図柄の変動時間が10秒の普通図柄変動パターンを選択する。
次いで遊技制御用マイコン81は、普通図柄保留球数を1ディクリメントする(S408)。そして、普図保留記憶部86における各普図保留の格納場所(記憶領域)を現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、普図保留記憶部86における保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S409)。このようにして、普図保留が保留された順に消化されるようにしている。その後、遊技制御用マイコン81は、ステップS407で選択した普通図柄変動パターンにて普通図柄の変動表示を開始する(S410)。なおこれに伴い、サブ制御基板90に普通図柄の変動開始を知らせるため、普通図柄変動開始コマンドをセットする。
上述のステップS403にて普通図柄の変動表示中であれば(S403でYES)、続いて、普通図柄の変動時間が経過したか否か判定し(S411)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S411でYES)、普通図柄の変動表示を、普通図柄乱数の判定結果に応じた表示結果(普通当たり図柄又は普通ハズレ図柄)で停止させる(S412)。そして、サブ制御基板90に普通図柄の変動停止を知らせるための普通図柄変動停止コマンドをセットするとともに(S413)、普通図柄の停止時間をセットして(S414)本処理を終える。
また、上述のステップS402にて普通図柄の停止表示中であれば(S402でYES)、続いて、ステップS414でセットした普通図柄の停止時間が経過したか否か判定し(S415)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S415でYES)、普通当たり図柄の普図停止図柄データがセットされているか否かを判定し(S416)、普通当たり図柄のデータでなければ(つまり当たりでなければ(S416でNO))、本処理を終える。一方、普通当たり図柄のデータであれば(つまり当たりであれば(S416でYES))、電チュー22の開放パターンをセットする(S417)。詳細には、時短状態中であれば、電チュー22の開放パターンとして時短状態中の開放パターン(図21の電チュー開放TBL2参照)をセットする。これに対して、非時短状態中であれば、電チュー22の開放パターンとして非時短状態中の開放パターン(図21の電チュー開放TBL1参照)をセットする。そして、ステップS417でセットした開放パターンに従って、電チュー22を作動させる(S418)。
また、上述のステップS401にて電チュー22の作動中であれば(S401でYES)、続いて、電チュー22の作動時間が経過したか否かを判定し(S419)、経過していなければ処理を終える。一方、経過していれば(S419でYES)、電チュー22の作動を終了させる(S420)。
[特別動作処理]遊技制御用マイコン81は、普通動作処理(S108)に次いで特別動作処理(S109)を行う。特別動作処理(S109)は、特別図柄表示器41および大入賞装置(第1大入賞装置31および第2大入賞装置36)に関する処理である。特別動作処理(S109)ではまず、図32に示すように、後述するV大入賞口内処理(S1001)を行う。そして、特別動作ステータスの値を読み出して(S1002)、この値に応じたいずれかの処理(S1003〜S1009のうちのいずれかの処理)を実行する。
具体的には、特別動作ステータスの値が「1」である場合には、特別図柄待機処理(S1003)を行う。また、特別動作ステータスの値が「2」である場合には、特別図柄変動中処理(S1004)を行う。また、特別動作ステータスの値が「3」である場合には、特別図柄確定処理(S1005)を行う。また、特別動作ステータスの値が「4」である場合には、大当たり開始処理(S1006)を行う。また、特別動作ステータスの値が「5」である場合には、大当たり開放処理(S1007)を行う。また、特別動作ステータスの値が「6」である場合には、大当たり閉鎖処理(S1008)を行う。また、特別動作ステータスの値が「7」である場合には、大当たり終了処理(S1009)を行う。これらの各処理(S1003〜S1009)については後述する。なお、特別動作ステータスの初期値は「1」である。
[V大入賞口内処理]図33に示すように、V大入賞口内処理(S1001)ではまず、後述する振分部材ソレノイド閉鎖処理(S1101)を行う。振分部材ソレノイド閉鎖処理(S1101)は、開放中の特定領域39を閉鎖する処理(図3(A)の第1状態に制御中の振分部材71を図3(B)の第2状態に制御する処理)である。この処理に続いて、特定領域タイマが「0」でないか否かを判定する(S1102)。特定領域タイマは、特定領域39の作動制御(振分部材71の作動制御)に関する時間を計測するためのタイマである。
特定領域タイマの値が「0」であれば(S1102でNO)、続いて、振分部材ソレノイド73が開放中(つまり通電中)か否かを判定する(S1103)。振分部材ソレノイド73が通電中でなければ(つまり特定領域39が閉鎖中であれば(S1103でNO))、続いて、特定領域39が有効中(つまりV有効期間中)か否かを判定する(S1104)。V有効期間中であれば(S1104でYES)、特定領域39の開放後の球ハケ期間(図14〜図17参照)が経過したタイミングであるため、特定領域の状態を通過無効にする(つまりV無効期間に設定する)とともに、V異常通過の報知の設定を「異常報知しない」に設定する(S1105)。
これにより、球ハケ期間後は、V通過があっても高確率状態に制御しないがV異常通過の報知もしない期間に設定される。なお、次ラウンドの開始時には、V異常通過の報知の設定は「異常報知する」に切り替えられる(図14〜図17参照)。これに対して、ステップS1102でYESの場合、ステップS1103でYESの場合、およびステップS1104でNOの場合には、ステップS1105の処理が実行されることはない。
続くステップS1106では、リトライ動作更新処理を行う。リトライ動作更新処理(S1106)では、リトライ動作(1500ms待機→200ms開放、→1000ms待機(図14参照))の進行を管理するリトライ動作カウンタの値を更新する。リトライ動作カウンタの値は、1500msの待機動作に対応する値が「1」であり、200msの開放動作に対応する値が「2」であり、1000msの待機動作に対応する値が「3」である。つまりリトライ動作更新処理ではリトライ動作カウンタの値が、リトライ動作の開始時に「1」に設定され、各動作の動作時間が経過した時点で次の動作の値に更新される。なお、リトライ動作カウンタの初期値は「0」である。
続くステップS1107では、特定領域動作フラグの値がリトライ動作に対応する値「4」(図44中の表参照)であるか否かを判定する。特定領域動作フラグは、特定領域39の作動パターンを示すフラグである。図44に示すように、特定領域動作フラグの値「1」は、第1の通過用作動パターンに対応している。また、特定領域動作フラグの値「2」は、第2の通過用作動パターンに対応している。また、特定領域動作フラグの値「3」は、非通過用作動パターンに対応している。また、特定領域動作フラグの値「4」は、リトライ動作の作動パターンに対応している。なお、特定領域動作フラグの初期値は「0」であり、特定領域39(振分部材71)の作動期間でなければ特定領域動作フラグの値は「0」に設定されている。
ステップS1107において特定領域動作フラグの値がリトライ動作に対応する値「4」であれば、リトライ動作実行処理を行う(S1108)。リトライ動作実行処理(S1108)では、リトライ動作カウンタの値に応じた動作が実行されるように振分部材ソレノイド73の通電制御を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、V大入賞口内センサ検出処理(S1109)と、不一致監視処理(S1110)とを行って、V大入賞口内処理を終える。
リトライ動作の実行により球噛み等が解消されれば、V大入賞口内センサ検出処理(S1109)において特定領域センサ39aや非特定領域センサ70aによる新たな通過検知が生じ、不一致監視処理(S1110)において第1大入賞口30に対する入排出球数の不一致が解消されたと判定される(V大入賞口出入カウンタが「0」であると判定される)。なお本形態では、不一致が解消されるまでは、次ラウンドのラウンド遊技が開始されないように構成されている。ステップS1107において特定領域動作フラグがリトライ動作を示していなければ、ステップS1108〜S1110を実行することなく本処理を終える。
[振分部材ソレノイド閉鎖処理]図34に示すように、振分部材ソレノイド閉鎖処理(S1101)ではまず、振分部材ソレノイド73がリトライ動作に関する通電制御中であるか否かを判定する(S1201)。リトライ動作中でなければ(S1201でNO)、続いて、振分部材ソレノイド73が閉鎖中(つまり非通電中)か否かを判定する(S1202)。振分部材ソレノイド73が閉鎖中でなければ(S1202でNO)、つまり開放中であれば、続いて、特定領域タイマの値が「0」でないか否かを判定する(S1203)。特定領域タイマの値が「0」であれば(S1203でNO)、振分部材ソレノイド73を閉鎖する(S1204)、つまり非通電にする。これにより、図3(A)の第1状態に制御されている振分部材71は図3(B)の第2状態に制御される、つまり開放中の特定領域39は閉鎖される。
そして、特定領域39の閉鎖後の球ハケ期間(図14等参照)を設定するため、特定領域タイマの値を「250」にセットする(S1205)。なお、特定領域タイマにセットされた値は、タイマ更新処理(図24のステップS104)が実行される度に1減算される。すなわち、4ms毎に1減算される。よって、「250」にセットされた特定領域タイマの値が「0」になれば、1000msが経過していることとなる。上記のステップS1201でYESの場合、ステップS1202でYESの場合、及びステップS1203でYESの場合には、ステップS1204及びS1205を実行することなく本処理を終了する。
[特別図柄待機処理]図35に示すように、特別図柄待機処理(S1003)ではまず、第2始動口21の保留球数(即ち特図2保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1401)。特図2保留球数が「0」である場合(S1401でYES)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶がない場合には、第1始動口20の保留球数(即ち特図1保留球数)が「0」であるか否かを判定する(S1407)。そして、特図1保留球数も「0」である場合(S1407でYES)、即ち、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶もない場合には、既に画像表示装置7の表示画面7aを待機画面(客待ち用のデモ画面)としたか否かを判定し(S1413)、そうであれば(S1413でYES)処理を終え、そうでなければ(S1413でNO)、所定の待機時間の経過を待って、待機画面を表示させるための客待ち待機コマンドをセットする(S1414)。
ステップS1401において特図2保留球数が「0」でない場合(S1401でNO)、即ち、第2始動口21への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図2の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図2大当たり判定処理(S1402)及び特図2変動パターン選択処理(S1403)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図2保留球数を1ディクリメントする(S1404)。そして、第2特図保留記憶部85bにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第2特図保留記憶部85bにおける保留1個目に対応する記憶領域をクリアする(S1405)。続いて遊技制御用マイコン81は、特図2変動開始処理(S1406)を実行する。特図2変動開始処理(S1406)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第2特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図2変動開始処理(S1406)でセットされる変動開始コマンド(特図2変動開始コマンドともいう)には、特図2大当たり判定処理(S1402)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図2変動パターン選択処理(S1403)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
また、特図2保留球数が「0」であるが特図1保留球数が「0」でない場合(S1401でYES且つS1407でNO)、即ち、特図2の保留情報はないが、第1始動口20への入賞に起因して取得した乱数カウンタ値群の記憶(特図1の保留情報)が1つ以上ある場合には、後述の特図1大当たり判定処理(S1408)及び特図1変動パターン選択処理(S1409)を行う。その後、遊技制御用マイコン81は、特図1保留球数を1ディクリメントする(S1410)。そして、第1特図保留記憶部85aにおける各種カウンタ値の格納場所(記憶領域)を、現在の位置から読み出される側に一つシフトするとともに、第1特図保留記憶部85aにおける保留4個目に対応する記憶領域(読み出される側から最も遠い記憶領域)をクリアする(S1411)。このようにして、第1特図保留が保留された順に消化されるようにしている。続いて遊技制御用マイコン81は、特図1変動開始処理(S1412)を実行する。特図1変動開始処理(S1412)では、特別動作ステータスを「2」にセットするとともに変動開始コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、第1特別図柄の変動表示を開始する。なお、特図1変動開始処理(S1412)でセットされる変動開始コマンド(特図1変動開始コマンドともいう)には、特図1大当たり判定処理(S1408)でセットされた特図停止図柄データの情報や特図1変動パターン選択処理(S1409)でセットされた変動パターンの情報(変動時間の情報を含む情報)が含まれている。
上記のように本形態では、第1特図保留に基づく特別図柄の変動表示は、第2特図保留が「0」の場合(S1401でYESの場合)に限って行われる。すなわち第2特図保留の消化は、第1特図保留の消化に優先して実行される。そして本形態では、第2特図保留に基づく抽選の方が、第1特図保留に基づく抽選よりも、遊技者にとって利益の大きい大当たり(V通過大当たり)に当選しやすくなっている(図10参照)。
[特図2大当たり判定処理(特図1大当たり判定処理)]特図2大当たり判定処理(S1402)と特図1大当たり判定処理(S1408)とは、処理の流れが同じであるため図36に基づいてまとめて説明する。図36に示すように、特図2大当たり判定処理(S1402)又は特図1大当たり判定処理(S1408)ではまず、判定値として、大当たり乱数カウンタ値(ラベル−TRND−Aの値)を読み出す(S1501)。詳細には、特図2大当たり判定処理(S1402)では、RAM84の第2特図保留記憶部85bの第1記憶領域(即ち第2特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。また特図1大当たり判定処理(S1408)では、RAM84の第1特図保留記憶部85aの第1記憶領域(即ち第1特図保留の1個目に対応する記憶領域)に記憶されている大当たり乱数カウンタ値を読み出す。
次に、大当たり判定テーブル(図19(A))をセットする(S1502)。次いで、確変フラグがONであるか否か、すなわち高確率状態であるか否かを判定する(S1503)。そして、高確率状態でなければ(S1503でNO)、すなわち通常確率状態(非高確率状態)であれば、大当たり判定テーブル(図19(A))のうち非高確率状態用のテーブル(大当たり判定値が「0」〜「164」)に基づいて大当たりか否かを判定する(S1504)。一方、高確率状態であれば(S1503でYES)、大当たり判定テーブル(図19(A))のうち高確率状態用のテーブル(大当たり判定値が「0」〜「649」)に基づいて大当たりか否かを判定する(S1505)。
大当たり判定(S1504,S1505)の結果が「大当たり」であれば、大当たり種別乱数カウンタ値(ラベル−TRND−ASの値)を読み出して、図10に示す大当たり種別判定テーブルに基づいて大当たり図柄の種別を判定する(S1506)。大当たり図柄の種別を判定した後は、大当たりフラグをONにするとともに(S1507)、大当たり図柄の種別に応じた特図停止図柄データ(図10参照)を、RAM84に設けた特図バッファにセットして(S1508)、本処理を終える。一方、大当たり判定(S1504,S1505)の結果が「ハズレ」であれば、ハズレ図柄に応じた特図停止図柄データ(01H)を特図バッファにセットして(S1508)、本処理を終える。
[特図2変動パターン選択処理(特図1変動パターン選択処理)]特図2変動パターン選択処理(S1403)と特図1変動パターン選択処理(S1409)とは、処理の流れが同じであるため図37及び図38に基づいてまとめて説明する。図37に示すように、特図2変動パターン選択処理(S1403)又は特図1変動パターン選択処理(S1409)ではまず、遊技状態が時短状態か否か(時短フラグがONか否か)を判定する(S1601)。
時短状態でなければ(S1601でNO)、すなわち非時短状態であれば、続いて大当たりフラグがONか否かを判定する(S1602)。ONであれば(S1602でYES)、非時短状態中大当たりテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つ大当たりに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値(ラベル−TRND−T1の値)に基づいて変動パターンを選択する(S1603)。図20に示すように、変動パターンが決まれば変動時間も決まる。ここでSPリーチ(スーパーリーチ)とは、ノーマルリーチよりもリーチ後の変動時間が長いリーチであり、当選期待度(大当たり当選に対する期待度)がノーマルリーチよりも高くなるようにテーブルの振分率が設定されている。本形態では、スーパーリーチはノーマルリーチを経て発展的に実行される。
ステップS1602において、大当たりフラグがONでなければ、リーチ乱数カウンタ値(ラベル−TRND−RCの値)がリーチ成立乱数値か否かを判定する(S1604)。なお、図19(B)に示すように、リーチ成立乱数値は非時短状態であれば「0」〜「27」であり、時短状態であれば「0」〜「11」である。すなわち、時短状態の方が非時短状態よりもハズレ時のリーチがかかりにくくなっている。これは、時短状態において変動時間の短いリーチ無しハズレがより多く選択されようにすることで、特図保留の消化スピードを早めるためである。
リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値である場合(S1604でYES)、即ち、リーチ有りハズレの場合には、非時短状態中リーチ有りハズレテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ有りハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1605)。
一方、リーチ乱数カウンタ値がリーチ成立乱数値でない場合(S1604でNO)、即ち、リーチ無しハズレの場合には、非時短状態中リーチ無しハズレテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち非時短状態且つリーチ無しハズレに該当する部分)を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1606)。このリーチ無しハズレ時には、保留球数に応じた短縮変動の機能が働くようになっている。すなわち、特別図柄の保留球数が「3」又は「4」であるときは、特別図柄の保留球数が「0」〜「2」であるときに比して変動時間の短い変動パターンが選択されるようになっている。
またステップS1601において、遊技状態が時短状態であると判定した場合(S1601でYES)には、図38に示すように、参照する変動パターン判定テーブルを時短状態中のテーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)にする事以外は上記ステップS1602〜S1606と同様の流れで処理(S1607〜S1611)を行う。
すなわち大当たりであれば(S1607でYES)、図20の時短状態中且つ大当たりに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1608)。またリーチ有りハズレであれば(S1607でNO且つS1609でYES)、図20の時短状態中且つリーチ有りハズレに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1610)。またリーチ無しハズレであれば(S1607及びS1609でNO)、図20の時短状態中且つリーチ無しハズレに該当する部分を参照して、変動パターン乱数カウンタ値に基づいて変動パターンを選択する(S1611)。
なお、時短状態中の変動パターン判定テーブル(図20に示す変動パターン判定テーブルのうち時短状態に該当する部分)では、リーチ無しハズレ時の保留球数に応じた短縮変動の機能が保留球数「2」〜「4」のときに働く。すなわち、非時短状態中よりも短縮変動が選択され易くなっている。また、短縮変動としての変動時間は、時短状態中の方が非時短状態中よりも短くなっている。つまり、時短状態中の変動パターン判定テーブルは、非時短状態中の変動パターン判定テーブルよりも変動時間が短くなるようなテーブルとなっている。
上記のようにして変動パターンの選択を行った後は、図37に示すように、選択した変動パターンをセットして(S1612)、本処理を終える。ステップS1612でセットした変動パターンの情報は、特別図柄待機処理(S1003)におけるステップS1406又はS1412でセットされる変動開始コマンドに含められて、出力処理(S101)によりサブ制御基板90に送られる。
[特別図柄変動中処理]図39に示すように、特別図柄変動中処理(S1004)ではまず、特別図柄の変動時間(ステップS1403又はS1409で選択された変動パターンに応じて決まる変動時間、図20参照)が経過したか否かを判定する(S1701)。経過していなければ(S1701でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の変動表示が継続される。
一方、変動時間が経過していれば(S1701でYES)、変動停止コマンドをセットするとともに(S1702)、特別動作ステータスを「3」にセットする(S1703)。そして、特別図柄の変動表示を、セットされている特図停止図柄データに応じた図柄(大当たり図柄又はハズレ図柄)で停止させる等のその他の処理を行ってから(S1704)、この処理を終える。
[特別図柄確定処理]図40に示すように、特別図柄確定処理(S1005)ではまず、特別図柄の停止時間(ステップS1403又はS1409で選択された変動パターンに応じて決まる停止時間、図20参照)が経過したか否かを判定する(S1801)。経過していなければ(S1801でNO)、直ちにこの処理を終える。これにより特別図柄の停止表示が継続される。一方、停止時間が経過していれば(S1801でYES)、後述の遊技状態管理処理を行う(S1802)。
次に、大当たりフラグがONであるか否かを判定する(S1803)。大当たりフラグがONであれば(S1803でYES)、後述の遊技状態リセット処理を行う(S1804)。その後、特別動作ステータスを「4」にセットする(S1805)。そして大当たり遊技を開始するべく、大当たりのオープニング設定を行うとともに(S1806)、大当たりのオープニングコマンド(図10参照)をセットする(S1807)。オープニング設定では大当たり遊技のオープニングの時間が所定のタイマにセットされる。
続いて、特別電役作動有効カウンタの値を「16」にセットして、本処理を終える。特別電役作動有効カウンタは、大当たり遊技におけるラウンド遊技の残回数を示すカウンタである。このカウンタを残ラウンド数カウンタともいう。
また、ステップS1803において大当たりフラグがONでなければ(S1803でNO)、大当たり遊技を開始しないため、特別動作ステータスを「1」にセットして(S1809)、本処理を終える。
[遊技状態管理処理]図41に示すように、遊技状態管理処理(S1802)ではまず、確変フラグがONか否かを判定する(S2001)。ONであれば(S2001でYES)、高確率状態中に実行した特別図柄の変動表示の実行回数を減算方式でカウントする確変カウンタの値を1ディクリメントして(S2002)、確変カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2003)。「0」であれば(S2003でYES)、確変フラグをOFFする(S2004)。ステップS2001又はS2003の判定結果がNOであれば、ステップS2005に進む。なお、本パチンコ遊技機1では、高確率状態への移行時には確変カウンタの値が「161」にセットされるようになっている。この点については後述する。
続いて、時短フラグがONか否か判定する(S2005)。ONであれば(S2005でYES)、時短状態中に実行した特別図柄の変動表示の実行回数を減算方式でカウントする時短カウンタの値を1ディクリメントして(S2006)、時短カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2007)。「0」であれば(S2007でYES)、時短フラグをOFFする(S2008)。ステップS2005又はS2007の判定結果がNOであれば、ステップ2009に進む。なお、本パチンコ遊技機1では、時短状態への移行時には低確高ベース状態であれば時短カウンタの値が「100」にセットされ、高確高ベース状態であれば時短カウンタの値が「161」にセットされるようになっている。この点については後述する。
ステップS2009では、遊技制御用マイコン81は、今設定した遊技状態の情報(高確率状態か否かの情報、時短状態か否かの情報等)を含む遊技状態指定コマンドをRAM84の出力バッファにセットして、本処理を終える。
[遊技状態リセット処理]図42に示すように、遊技状態リセット処理(S1804)ではまず、確変フラグがONか否かを判定し(S2101)、ONであれば確変フラグをOFFする(S2102)。また、時短フラグがONか否かを判定し(S2103)、ONであれば時短フラグをOFFする(S2104)。つまり、大当たり遊技の実行中は、非高確率状態且つ非時短状態に制御される。本形態では非時短状態時は常に低ベース状態であるので、大当たり遊技の実行中は低ベース状態に制御されることにもなる。なお、本形態における低ベース状態とは、電チュー22が頻繁に開放されることによる入賞サポートがないという意味での低ベース状態であり、大入賞装置の作動に基づくベースアップを考慮したものではない。
[大当たり開始処理]図43に示すように、大当たり開始処理(S1006)ではまず、大当たりのオープニングの時間が経過したか否かを判定する(S2301)。経過していなければ、直ちに本処理を終える。経過していれば、大入賞口動作設定処理(S2302)を行う。
[大入賞口動作設定処理]図44に示すように、大入賞口動作設定処理(S2302又はS2812)ではまず、特別動作ステータスの値を「5」にセットする(S2401)。次いで、1R分の大入賞口の動作設定を行う(S2402)。つまり、当選した大当たり図柄の種別に応じた開放パターン(図11参照)で大入賞口が開放されるように、これから実行するラウンドに応じた開放態様をセットする。具体的には例えば、特図1_大当たり図柄1に当選しており、これから1ラウンド目を開始する場合には、図12の開放態様1の動作を開始するための駆動データを設定する。ステップS2402の実行後に、図24のステップS111の処理(大入賞口ソレノイドの駆動データ出力処理)が実行されると、大入賞口(第1大入賞口30又は第2大入賞口35)が開放される。
続いて、特別電役作動有効カウンタ(残ラウンド数カウンタ)の値を1減算する(S2403)。そして、これから実行するラウンド遊技が何ラウンド目のラウンド遊技かを示す情報を含むラウンド指定コマンド(図10参照)を、RAM84の出力バッファにセットする(S2404)。次いで、特別電役作動回数カウンタの値を1加算する(S2405)。特別電役作動回数カウンタは、実行したラウンド遊技の回数をカウントするカウンタである。このカウンタを、実行ラウンド数カウンタともいう。
続いて遊技制御用マイコン81は、特定領域動作フラグの値を、これから実行するラウンド遊技中の振分部材71の作動パターンに対応する値に設定する(S2406)。具体的には例えば、特図1_大当たり図柄1に当選した場合には、これから実行するラウンド遊技が1ラウンド目であれば特定領域動作フラグの値を動作なしに対応する「0」に設定し、2ラウンド目であれば非通過用作動パターンに対応する「3」に設定し、10ラウンド目であれば第1の通過用作動パターンに対応する「1」に設定するといった具合である(図11参照)。
その後、遊技制御用マイコン81は、これから実行するラウンド遊技において特定領域39の動作があるか否か、すなわち特定領域動作フラグの値が「1」,「2」又は「3」のいずれかであるか否かを判定し(S2407)、NOであれば本処理を終えるが、YESであれば、リトライ動作カウンタを「0」にクリアしてから(S2408)、本処理を終える。このように本形態では、作動ラウンドの実行開始のタイミングで、リトライ動作カウンタが「0」にクリアされる。
[大当たり開放処理]図45に示すように、大当たり開放処理(S1007)ではまず、第1大入賞口30の開放中か否かを判定する(S2501)。第1大入賞口30の開放中であれば(S2501でYES)、後述する第1大入賞口センサ検出処理(S2502)を行ってステップS2504に進む。一方、第1大入賞口30の開放中でなければ(S2501でNO)、つまり第2大入賞口35の開放中又はいずれの大入賞口も閉鎖中であれば、第2大入賞口センサ検出処理(S2503)を行ってステップS2504に進む。
ステップS2504では、大入賞口入賞カウンタの値が「9」以上であるか否かを判定する。大入賞口入賞カウンタは、1回のラウンド遊技における大入賞口への総入賞球数を加算方式にてカウントするカウンタである。このカウンタのカウントアップは、ステップS2502やS2503で行われる。
ステップS2504の判定結果がNOであれば、続いて、大入賞口動作タイマの値が「0」でないか否かを判定する(S2505)。大入賞口動作タイマは、大入賞口の動作時間(開放時間や閉鎖時間、図12参照)を計測するためのタイマである。ステップS2505において大入賞口動作タイマの値が「0」でなければ(S2505でYES)、直ちに本処理を終える。
これに対して、大入賞口動作タイマの値が「0」であれば(S2505でNO)、大入賞口動作カウンタの値を1減算して(S2506)、大入賞口動作カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2507)。大入賞口動作カウンタは、大入賞口の動作の進行を管理するためのカウンタであり、例えば図12の開放態様1であれば、1回目の27500msの開放動作にはカウンタ値「3」が割り当てられており、1000msの閉塞動作(閉鎖動作)にはカウンタ値「2」が割り当てられており、2回目の1000msの開放動作にはカウンタ値「1」が割り当てられている。ステップS2507において大入賞口動作カウンタの値が「0」であれば(S2507でYES)、1回のラウンド遊技における大入賞口の動作の全てが終了していることになるため、ステップS2509に進む。
これに対して、ステップS2507における判定結果がNOであれば、大入賞口の次の動作を設定して(S2508)、本処理を終える。ステップS2508では例えば、ステップS2506の処理により大入賞口動作カウンタの値が「2」に更新された場合であれば、大入賞口を1000msにわたって閉鎖する動作を行うためのデータを設定する。
また、ステップS2504又はS2507の何れか一方でYESと判定された場合(つまり大入賞口の閉鎖条件が満たされた場合)には、ステップS2509に進む。ステップS2509では、第1大入賞口30の開放中か否かを判定し、判定結果がYESであれば、第1大入賞口30の閉鎖設定を行う(S2510)。この処理により第1大入賞口30は閉鎖される。また、ステップS2509の判定結果がNOであれば、第2大入賞口35の閉鎖設定を行う(S2511)。この処理により第2大入賞口35は閉鎖される。
続くステップS2512では、特別動作ステータスの値を「6」にセットする。そして、大入賞口の球ハケ時間(つまりラウンド間インターバルの時間、本形態では2000ms(図12参照))を、大入賞口動作タイマにセットして(S2513)、本処理を終える。
[第1大入賞口センサ検出処理]図46に示すように、第1大入賞口センサ検出処理(S2502又はS2803)ではまず、第1大入賞口30への通過があったか否か(つまり第1大入賞口センサ30aによる遊技球の通過検知があったか否か)を判定する(S2601)。通過検知がなければ(S2601でNO)、直ちに本処理を終える。一方、通過検知があれば(S2601でYES)、第1大入賞口30への入賞があったことをサブ制御基板90に通知するための第1大入賞口入賞コマンドを出力バッファにセットする(S2602)。
続いて、大入賞口入賞カウンタの値が「9」以上か否かを判定する(S2603)。9以上であれば(S2603でYES)、オーバー入賞であるため直ちに本処理を終える。これに対して、9未満であれば(S2603でNO)、大入賞口入賞カウンタの値を1加算する(S2604)。そして、実行中のラウンド遊技が特定領域39の作動制御が行われる作動ラウンドであるか否か、つまり特定領域動作フラグの値が1〜3のいずれか(図44中の表参照)であるか否かを判定する(S2605)。作動ラウンドでなければ(S2605でNO)、直ちに本処理を終える。
これに対して、作動ラウンドであれば(S2605でYES)、続いて、大入賞口入賞カウンタの値が「1」であるか否か、つまり1球目の入賞であるか否かを判定する(S2606)。判定結果がYESであれば、V短開放の作動制御(図13参照)を行うため、特定領域タイマに24msをセットして(S2607)、振分部材ソレノイド73を通電する、つまり振分部材71を図3(A)の第1状態に制御する(S2608)。そして、特定領域39を有効に設定して(S2609)、つまりV有効期間に設定して、本処理を終える。なお、ここで開放された特定領域39は、上述した振分部材ソレノイド閉鎖処理(図34)において閉鎖される。
また、ステップS2606でNOと判定した場合には、続いて、大入賞口入賞カウンタの値が「3」であるか否か、つまり3球目の入賞であるか否かを判定する(S2610)。判定結果がYESであれば、続いて、特定領域動作フラグの値が第1の通過用作動パターンを示す「1」であるか否かを判定する(S2611)。この判定結果がNOであれば直ちに処理を終えるが、YESであれば、V長開放の作動制御(図13参照)を行うため、特定領域タイマに31476msをセットして(S2607)、振分部材ソレノイド73を通電するとともに(S2608)、特定領域39を有効に設定する(S2609)。
また、ステップS2610でNOと判定した場合には、続いて、大入賞口入賞カウンタの値が「7」であるか否か、つまり7球目の入賞であるか否かを判定する(S2612)。判定結果がNOであれば直ちに処理を終えるが、YESであれば続いて、特定領域動作フラグの値が第2の通過用作動パターンを示す「2」であるか否かを判定する(S2613)。この判定結果がNOであれば直ちに処理を終えるが、YESであれば、V長開放の作動制御(図13参照)を行うため、特定領域タイマに31476msをセットして(S2607)、振分部材ソレノイド73を通電するとともに(S2608)、特定領域39を有効に設定する(S2609)。
かくして、図11及び図13に示した特定領域39の作動制御が実現される。このような特定領域39の作動制御によれば、特定領域39の開放タイミングが、当選した大当たり図柄の種別や何ラウンド目のラウンド遊技かに応じて大きく変わってくる。そのため、遊技者が特定領域39の開放タイミングを予測し難い遊技性が実現されることとなる。
[第2大入賞口センサ検出処理]図47に示すように、第2大入賞口センサ検出処理(S2503又はS2804)ではまず、第2大入賞口35への通過があったか否か(つまり第2大入賞口センサ35aによる遊技球の通過検知があったか否か)を判定する(S2701)。通過検知がなければ(S2701でNO)、直ちに本処理を終える。一方、通過検知があれば(S2701でYES)、第2大入賞口35への入賞があったことをサブ制御基板90に通知するための第2大入賞口入賞コマンドを出力バッファにセットする(S2702)。
続いて、大入賞口入賞カウンタの値が「9」以上か否かを判定する(S2703)。9以上であれば(S2703でYES)、オーバー入賞であるため直ちに本処理を終える。これに対して、9未満であれば(S2703でNO)、大入賞口入賞カウンタの値を1加算して(S2704)、本処理を終える。
[大当たり閉鎖処理]図48に示すように、大当たり閉鎖処理(S1008)ではまず、第1大入賞口30を開放させていたラウンド遊技の球ハケ期間(つまりラウンド間インターバル)であるか否かを判定する(S2801)。判定結果がYESであれば、図46に示した第1大入賞口センサ検出処理を行って(S2802)、ステップS2804に進む。一方、ステップS2801の判定結果がNOであれば、図47に示した第2大入賞口センサ検出処理を行って(S2803)、ステップS2804に進む。このようにしているのは、球ハケ期間に第1大入賞口センサ30a又は第2大入賞口センサ35aに遊技球が検知されることがあるのを考慮してのことである。
続いてステップS2804では、大入賞口の球ハケ時間が経過したか否かを判定する。経過していなければ(S2804でNO)、直ちに本処理を終える。一方、経過していれば(S2804でYES)、続いて、第1大入賞口排出確認処理(図28)で異常検出の設定(S158)がなされているか否かを判定する(S2805)。判定結果がYESであれば、続いて、V大入賞口出入カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S2806)。そして、判定結果がNOであれば、ラウンド間インターバルの経過時点で第1大入賞口30に対する入排出球数に不一致が生じているため、特定領域動作フラグの値をリトライ動作に対応する「4」に設定して(S2807)、本処理を終える。これにより、リトライ動作が実行されることとなる(図33参照)。
ステップS2805でNOの場合、又は、ステップS2806でYESの場合には、ステップS2808に進む。ステップS2808では、特定領域39の作動制御が行われていたか否か、つまり特定領域動作フラグの値が1〜3のいずれか(図44中の表参照)であるか否かを判定する。判定結果がNOであれば直ちにステップS2810に進むが、判定結果がYESであれば、特定領域39の動作終了の設定を行ってから(S2809)、ステップS2810に進む。ステップS2809の処理では、振分部材ソレノイド73が通電状態にあれば非通電状態に切り替える。これにより、複数のラウンド遊技にわたって、特定領域39が開放され続ける(振分部材71が第1状態に制御され続ける)のが防止される。
続くステップS2810では、大入賞口入賞カウンタの値を「0」にクリアする。そして遊技制御用マイコン81は、特別電役作動有効カウンタ(残ラウンド数カウンタ)の値が「0」であるか否かを判定する(S2811)。「0」でなければ(S2811でNO)、まだ未実行のラウンド遊技が残っているため、既に図44に基づいて説明した大入賞口動作設定処理を行って(S2812)、本処理を終える。
一方、ステップS2811で「0」であると判定した場合には、実行中の大当たり遊技における全てのラウンド遊技が終わっているため、特別動作ステータスを「7」にセットする(S2813)。そして、この大当たり遊技の実行中に特定領域39への通過があったか否かを判定する(S2814)。この判定は、後述するVフラグの値を参照して行う。
ステップS2814の判定結果がYESであれば、V通過時の大当たりエンディング設定を行うとともに(S2815)、V通過時のエンディングコマンド(図10参照)を出力バッファにセットする(S2816)。一方、ステップS2814の判定結果がNOであれば、V未通過時の大当たりエンディング設定を行うとともに(S2817)、V未通過時のエンディングコマンド(図10参照)を出力バッファにセットする(S2818)。なお、大当たりエンディング設定では、大当たり遊技のエンディングの時間が所定のタイマにセットされる。
[大当たり終了処理]図49に示すように、大当たり終了処理(S1009)ではまず、大当たり遊技のエンディングの時間が経過したか否かを判定し(S3001)、エンディング時間が経過していなければ(S3001でNO)、直ちに本処理を終える。一方、エンディング時間が経過していれば(S3001でYES)、大当たりフラグをOFFし(S3002)、特別動作ステータスを「1」にセットする(S3003)。これにより、次回のメイン側タイマ割り込み処理において、特別動作処理(図32)として再び特別図柄待機処理(S1003)が実行されることになる。その後、遊技状態設定処理(S3004)を行って本処理を終える。
[遊技状態設定処理]図50に示すように、遊技状態設定処理(S3004)ではまず、VフラグがONか否かを判定する(S3101)。Vフラグは特定領域39への有効な通過があったことを示すフラグであり、後述する特定領域センサ検出処理(図51)でONされるフラグである。VフラグがONでなければ(S3101でNO)、時短フラグをONするとともに(S3102)、時短カウンタに「100」をセットして(S3103)、ステップS3109に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が非高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち低確高ベース状態)になる。この低確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が100回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
一方、ステップS3101においてVフラグがONであれば、確変フラグをONするとともに(S3104)、確変カウンタに「161」をセットする(S3105)。その後、VフラグをOFFする(S3106)。続いて、時短フラグをONするとともに(S3107)、時短カウンタに「161」をセットして(S3108)、ステップS3109に進む。これにより、今回の大当たり遊技後の遊技状態が、高確率状態且つ時短状態且つ高ベース状態(すなわち高確高ベース状態)になる。この高確高ベース状態は、特別図柄の可変表示が161回行われること、又は次の大当たりに当選することのいずれかの条件の成立により終了する。
ステップS3109では、遊技制御用マイコン81は、今設定した遊技状態の情報を含む遊技状態指定コマンドをRAM84の出力バッファにセットする。そして、遊技状態設定処理を終える。
[特定領域センサ検出処理]遊技制御用マイコン81は、特別動作処理(S109)に次いで特定領域センサ検出処理(S110)を行う。特定領域センサ検出処理(S110)では図51に示すように、まず、特定領域センサ39aによる遊技球の検知があったか否かを判定する(S3201)。ステップS3201にて検知なしと判定した場合には(S3201でNO)、直ちに本処理を終了する。一方、検知ありと判定した場合には(S3201でYES)、続いて、V有効期間中か否かを判定する(S3202)。V有効期間中でなければ(S3202でNO)、直ちに本処理を終える。これに対して、V有効期間中であれば(S3202でYES)、VフラグをONするとともに(S3203)、V通過コマンドをセットして(S3204)、本処理を終える。V通過コマンドは、サブ制御基板90にV通過があったことを通知するためのコマンドである。
7.演出制御用マイコン91の動作
[サブ制御メイン処理]次に図52〜図70に基づいて演出制御用マイコン91の動作について説明する。なお、演出制御用マイコン91の動作説明にて登場するカウンタ、タイマ、フラグ、ステータス、バッファ等は、RAM94に設けられている。サブ制御基板90に備えられた演出制御用マイコン91は、パチンコ遊技機1の電源がオンされると、ROM93から図52に示したサブ制御メイン処理のプログラムを読み出して実行する。同図に示すように、サブ制御メイン処理では、まずCPU初期化処理を行う(S4001)。CPU初期化処理(S4001)では、スタックの設定、定数設定、CPU92の設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間の管理のための回路)等の設定等を行う。
続いて、電源断信号がONで且つRAM94の内容が正常であるか否かを判定する(S4002)。そしてこの判定結果がNOであれば、RAM94の初期化をして(S4003)、ステップS4004に進む。一方、判定結果がYESであれば(S4002でYES)、RAM94の初期化をせずにステップS4004に進む。すなわち、電源断信号がONでない場合、又は電源断信号がONであってもRAM94内容が正常でない場合には(S4002でNO)、RAM94を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM94内容が正常に保たれている場合には(S4002でYES)、RAM94を初期化しない。なお、RAM94を初期化すれば、各種のフラグ、ステータス及びカウンタ等の値はリセットされる。また、このステップS4001〜S4003は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
ステップS4004では、割り込みを禁止する。次いで、乱数シード更新処理を実行する(S4005)。乱数シード更新処理(S4005)では、種々の演出決定用乱数カウンタの値を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン決定用乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出決定用乱数、連続演出の実行抽選のための連続演出乱数等がある。乱数の更新方法は、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。更新に際して乱数値を1ずつ加算するのではなく、2ずつ加算するなどしてもよい。これは、前述の主制御基板80が行う乱数更新処理においても同様である。
乱数シード更新処理(S4005)が終了すると、コマンド送信処理を実行する(S4006)。コマンド送信処理では、サブ制御基板90のRAM94内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板100に送信する。コマンドを受信した画像制御基板100は、コマンドに従い画像表示装置7を用いて各種の演出(演出図柄変動演出や、大当たり遊技に伴う大当たり演出(オープニング演出、ラウンド演出、エンディング演出)等)を実行する。なお、画像制御基板100による各種の演出の実行に伴ってサブ制御基板90は、音声制御基板106を介してスピーカ67から音声を出力したり、ランプ制御基板107を介して盤ランプ5や枠ランプ66を発光させたり、盤可動体15を駆動させたりする。演出制御用マイコン91は続いて、割り込みを許可する(S4007)。以降、ステップS4004〜S4007をループさせる。割り込み許可中においては、受信割り込み処理(S4008)、1msタイマ割り込み処理(S4009)、および10msタイマ割り込み処理(S4010)の実行が可能となる。
[受信割り込み処理]受信割り込み処理(S4008)では、図53に示すように、ストローブ信号(STB信号)がONか否か、すなわち主制御基板80から送られるストローブ信号が演出制御用マイコン91の外部INT入力部に入力されたか否かを判定する(S4101)。そして、ストローブ信号がONでなければ処理を終え、ONであれば主制御基板80から送信されてきた各種のコマンドをRAM94の受信バッファに格納する(S4102)。この受信割り込み処理は、他の割り込み処理(S4009、S4010)に優先して実行される処理である。
[1msタイマ割り込み処理]1msタイマ割り込み処理(S4009)は、サブ制御基板90に1msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図54に示すように、1msタイマ割り込み処理(S4009)ではまず、入力処理(S4201)を行う。入力処理(S4201)では、演出ボタン検出スイッチ63aからの検知信号に基づいてスイッチデータ(エッジデータ及びレベルデータ)を作成する。
続いて、ランプデータ出力処理(S4202)を行う。ランプデータ出力処理(S4202)では、演出に合うタイミングで盤ランプ5や枠ランプ66を発光させるべく、後述の10msタイマ割り込み処理におけるランプ処理(S4304)や他の処理で作成したランプデータをランプ制御基板107に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ5や枠ランプ66を所定の発光態様で発光させる。
次いで、駆動制御処理(S4203)を行う。駆動制御処理(S4203)では、演出に合うタイミングで盤可動体15を駆動させるべく、駆動データ(盤可動体15の駆動ためのデータ)を作成したり、出力したりする。つまり、駆動データに従って、盤可動体15を所定の動作態様で駆動させる。
そして、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理(S4204)を行って、本処理を終える。
[10msタイマ割り込み処理]10msタイマ割り込み処理(S4010)は、サブ制御基板90に10msec周期の割り込みパルスが入力される度に実行される。図55に示すように、10msタイマ割り込み処理(S4010)ではまず、後述する受信コマンド解析処理(S4301)を行う。次いで、1msタイマ割り込み処理で作成したスイッチデータを10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとしてRAM94に格納するスイッチ状態取得処理を行う(S4302)。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータに基づいて表示画面7aの表示内容等を設定するスイッチ処理(S4303)を行う。
その後、ランプ処理(S4304)を行う。ランプ処理(S4304)では、ランプデータ(盤ランプ5や枠ランプ66の発光を制御するデータ)の作成や発光演出の時間管理等を行う。続いて、音声制御処理(S4305)を行う。音声制御処理(S4305)では、音声データ(スピーカ67からの音声の出力を制御するデータ)の作成及び音声制御基板106への出力や、音声演出の時間管理等を行う。これにより、実行する演出に合った音声がスピーカ67から出力される。
そして、演出決定用乱数を更新したりするなどのその他の処理を実行して(S4306)、本処理を終える。
[受信コマンド解析処理]図56に示すように、受信コマンド解析処理(S4301)ではまず、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から遊技状態指定コマンドを受信したか否か判定し(S4401)、受信していれば後述するサブ側遊技状態設定処理(S4402)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からオープニングコマンド(図10参照)を受信したか否か判定し(S4403)、受信していればオープニング演出選択処理(S4404)を行う。オープニング演出選択処理(S4404)では、オープニングコマンドを解析して、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM94の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からラウンド指定コマンド(図10参照)を受信したか否か判定し(S4405)、受信していれば後述するラウンド演出選択処理(S4406)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から第2大入賞口入賞コマンドを受信したか否か判定し(S4407)、受信していれば後述する第2大入賞口入賞時処理(S4408)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からエンディングコマンド(図10参照)を受信したか否か判定し(S4409)、受信していれば後述するエンディング演出選択処理(S4410)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から始動入賞コマンド(第1始動入賞コマンド又は第2始動入賞コマンド)を受信したか否か判定し(S4411)、受信していれば後述する先読み演出判定処理(S4412)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動開始コマンド(特図1変動開始コマンド又は特図2変動開始コマンド)を受信したか否か判定し(S4413)、受信していれば後述する変動演出開始処理(S4414)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80から変動停止コマンドを受信したか否か判定し(S4415)、受信していれば後述する変動演出終了処理(S4416)を行う。
続いて、演出制御用マイコン91は、主制御基板80からV通過コマンドを受信したか否か判定し(S4417)、受信していればV通過フラグをONにする(S4418)。なお本形態では、V通過が生じたタイミング(つまり演出制御用マイコン91がV通過コマンドを受信したタイミング)でV通過があった旨の報知を行うことはない。
続いて、その他の処理(S4419)として、上記のコマンド以外の受信コマンドに基づく処理(例えば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンドに基づく処理等)を行って、受信コマンド解析処理を終える。
[サブ側遊技状態設定処理]図57に示すように、サブ側遊技状態設定処理(S4402)ではまず、演出制御用マイコン91は、受信した遊技状態指定コマンドを解析する(S4501)。そして遊技状態指定コマンドに含まれている情報に基づき、遊技状態フラグを設定する。遊技状態フラグは、現時点で設定されている遊技状態を示すフラグである。図57中の表に示すように、遊技状態フラグが「1」であれば、非高確率状態且つ非時短状態(通常遊技状態)を示し、遊技状態フラグが「2」であれば、非高確率状態且つ時短状態(低確高ベース状態)を示し、遊技状態フラグが「3」であれば、高確率状態且つ時短状態(高確高ベース状態)を示している。
ステップS4502で遊技状態が時短状態でないと判定すれば(S4502でNO)、通常遊技状態であるため、遊技状態フラグの値を「1」にセットして(S4503)、本処理を終える。一方、遊技状態が時短状態であると判定すれば(S4502でYES)、次に高確率状態か否かを判定する(S4504)。高確率状態でなければ(S4504でNO)、低確高ベース状態であるため、遊技状態フラグの値を「2」にセットして(S4505)、本処理を終える。これに対して、高確率状態であれば(S4504でYES)、高確高ベース状態であるため、遊技状態フラグの値を「3」にセットして(S4506)、本処理を終える。
[ラウンド演出選択処理]図58に示すように、ラウンド演出選択処理(S4406)ではまず、演出制御用マイコン91は、実行中の大当たり遊技が高ベース状態(高確高ベース状態又は低確高ベース状態)での当選に基づくものか否かを判定する(S5001)。当選時の遊技状態に関する情報は、ラウンド指定コマンドに含まれているものとする。なお、当選時の遊技状態に関する情報の取得は、遊技状態フラグを参照すること等により行ってもよい。
ステップS5001でNOであれば、すなわち低ベース状態(非時短状態)での当選である場合には、ステップS5002に進む。これに対して、ステップS5001でYESであれば、すなわち高ベース状態での当選である場合には、図59のステップS5035に進む。
[低ベース状態(非時短状態)での当選時]低ベース状態で大当たりに当選した場合のラウンド演出は、当選した大当たり図柄の種別に応じて様々に異なる。当選した大当たり図柄の種別の情報はラウンド指定コマンドに含まれている(図10参照)。
図58中のステップS5002〜S5009は、「特図1_大当たり図柄1」又は「特図2_大当たり図柄8」に当選した場合の処理である。これらの図柄は、大当たり遊技前の変動演出において金図柄のゾロ目が停止表示され、そのことによりV通過大当たりであることが報知される図柄である。これらの図柄に当選した場合には(S5002でYES)、1R目から12R目までであれば(S5003及びS5005でNO、S5008でYES)、楽曲演出を選択する(S5009)。楽曲演出は、予め定められた楽曲又は遊技者が任意に選択した楽曲を所定の演出画像とともに出力する演出である。
また、13R目又は14R目であれば(S5003でYES)、「XX CHANNCE」の文字画像(若しくはこれと同一称呼の文字画像)を含む演出画像(特殊演出画像)を表示画面7aに表示する特殊演出を選択する(S5004)。特殊演出は、図71(A)〜(C)に示す演出である。本形態では、第2大入賞口35の配置箇所6Bには「XX CHANNCE」の文字をデザインした特殊装飾17が施されている(図4参照)。よって、この特殊演出の実行により、遊技者に特殊装飾17を想起させることが可能であり、第2大入賞口35への入賞を狙って遊技球を打ち込むべき旨を指示することが可能である。
また、15R目又は16R目である場合には(S5005でYES)、まず、RUSH表示済みフラグがONか否かを判定する(S5006)。RUSH表示済みフラグは、「YY RUSH」の文字画像を含む第1特別示唆画像250(図71(D)参照)又は「ZZ RUSH」の文字画像を含む第2特別示唆画像251(図71(E)参照)が既に表示されたことを示すフラグであり、後述の第2大入賞口入賞時処理(図60のステップS5109)においてONにされるフラグである。RUSH表示済みフラグがONでなければ(S5006でNO)、13R目及び14R目と同様、特殊演出を選択する(S5007)。一方、RUSH表示済みフラグがONであれば(S5006でYES)、第1特別示唆画像250又は第2特別示唆画像251の表示演出を継続するため、新たな演出を選択しない。
なお本形態では、画像表示装置7での表示演出等の演出モードを遊技状態に応じたものに制御することとしており、上述の「YY RUSH」とは、高確高ベース状態に対応する演出モードの呼称であり、「ZZ RUSH」とは、低確高ベース状態に対応する演出モードの呼称である。但し本形態では、高確高ベース状態に制御された場合の一部の場合でも、「ZZ RUSH」に演出モードが制御されることがある。この点については後述する。
上述の第1特別示唆画像250(図71(D)参照)は、「YY RUSH」に演出モードが制御されることを示唆する画像となっている。また、第2特別示唆画像251(図71(E)参照)は、「ZZ RUSH」に演出モードが制御されることを示唆する画像となっている。第1特別示唆画像250を表示する演出は、大当たり遊技中に有効な特定領域39への通過が生じた場合にしか実行されることはない。このことから、第1特別示唆画像250を表示する演出は通過示唆演出と言える。これに対して、第2特別示唆画像251を表示する演出は通過示唆演出ではない。
図58中のステップS5010〜S5019は、「特図1_大当たり図柄2」に当選した場合の処理である。この図柄は、大当たり遊技中にバトル演出を行って、その結果でV通過大当たりであることを報知する図柄である。バトル演出とは、本パチンコ遊技機1のモチーフとなっている原作に登場する味方キャラクタと敵キャラクタとが戦う演出である。味方キャラクタが勝利するバトル演出が実行されると、V通過大当たりであることが報知される。これに対して、V非通過大当たりに当選した場合には、味方キャラクタが敗北するバトル演出が実行される。
「特図1_大当たり図柄2」に当選した場合(S5010でYES)、バトルラウンド(本形態では1R〜6R)であれば(S5011でYES)、ラウンド毎に定められているバトル演出を選択する(S5012)。バトル結果が味方キャラクタの勝利又は敗北に分岐する分岐ラウンド(本形態では6R)では、味方キャラクタが勝利する演出を選択する。これにより、1Rから6Rまでの全体で味方キャラクタが敵キャラクタに勝利するようにバトル演出が実行される。
また、7R目から12R目までであれば(S5011,S5013及びS5015でNO、S5018でYES)、楽曲演出を選択する(S5019)。13R目から16R目までの処理(S5013〜S5017)は、上述した特図1_大当たり図柄1に当選した場合の処理(S5003〜S5007)と同様である。つまり、「XX CHANCE」の特殊演出(図71(A)〜(C))を適宜選択する。13R目から16R目までの処理についての詳しい説明は省略する。
図58中のステップS5020〜S5028は、「特図1_大当たり図柄3」に当選した場合の処理である。この図柄は、大当たり遊技中に敗北のバトル演出をまず行い、その後復活演出を行うことでV通過大当たりであることを報知する図柄である。復活演出とは、例えば敗北した味方キャラクタの仲間が助けに来る演出である。
「特図1_大当たり図柄3」に当選した場合(S5020でYES)、バトルラウンド(1R〜6R)であれば(S5021でYES)、ラウンド毎に定められているバトル演出を選択する(S5022)。このとき、分岐ラウンド(6R)では味方キャラクタが敗北する演出を選択する。これにより、1Rから6Rまでの全体で味方キャラクタが敵キャラクタに敗北するようにバトル演出が実行される。
また、7R目から14R目までであれば(S5021,S5023及びS5025でNO、S5027でYES)、楽曲演出を選択する(S5028)。なお、14R目は大入賞口の開放態様がショート開放であるため(図11参照)、このラウンドのラウンド遊技の実行時間は非常に短い。また、15R目であれば(S5023でYES)、復活演出を選択する(S5024)。また、16R目であれば(S5025でYES)、「XX CHANNCE」の特殊演出(図71(C)参照)を選択する(S5026)。
図59中のステップS5029〜S5033は、「特図1_大当たり図柄4〜7」に当選した場合の処理である。これらの大当たり図柄のうち大当たり図柄4〜6は、V通過大当たりである(図10参照)。大当たり図柄7は、V非通過大当たりである。これらの図柄は、大当たり遊技中に敗北のバトル演出を行う図柄である。よって、V通過大当たりに当選していても、演出からはそのことはわからない。むしろ敗北のバトル演出が実行され、後述するように「XX CHANCE」の特殊演出は実行されないことから、V非通過大当たりに当選したと遊技者が認識する可能性が高い。
「特図1_大当たり図柄4〜7」に当選した場合(S5029でYES)、バトルラウンド(1R〜6R)であれば(S5030でYES)、1Rから6Rまでの全体で味方キャラクタが敵キャラクタに敗北するように、ラウンド毎のバトル演出を選択する(S5031)。また、7R目から16R目までであれば(S5030でNO、S5032でYES)、楽曲演出を選択する(S5033)。なお、14R〜16Rは大入賞口の開放態様がショート開放であるため、これらのラウンドのラウンド遊技の実行時間は非常に短い。このように「特図1_大当たり図柄4〜7」に当選した場合には、「XX CHANCE」の特殊演出は実行されない。
低ベース状態で当選した大当たり遊技の実行中は、上記のようにしてラウンド演出を選択する。その後、演出制御用マイコン91は、RUSH表示カウンタの値を「0」にクリアして(S5034)、ステップS5038に進む。RUSH表示カウンタは、上述の特別示唆画像(図71(D)の第1特別示唆画像250又は図71(E)の第2特別示唆画像251)の表示タイミングを計るためのカウンタであり、後述する第2大入賞口入賞時処理(図60のステップS5104)でカウントアップされるカウンタである。
[高ベース状態(時短状態)での当選時]高ベース状態で大当たりに当選した場合には(S5001でYES)、まず、Sゾーン中の当選であるか否かを判定する(S5035)。Sゾーンは、潜伏確変用大当たり(特図1_大当たり図柄4〜6)に当選した場合に「ZZ RUSH」から移行される演出モードであり、高確率状態であることを報知するための演出モードである。Sゾーン中の当選でなければ(S5035でNO)、各ラウンドのラウンド演出として楽曲演出を選択して(S5036)、ステップS5038に進む。
これに対して、Sゾーン中の当選であれば(S5035でYES)、各ラウンドのラウンド演出として特殊ラウンド演出を選択して(S5037)、ステップS5038に進む。特殊ラウンド演出は、Sゾーンで表示される特殊キャラクタ332(図76(D)参照)を表示する演出である。ラウンド演出において特殊キャラクタ332が表示されるのは、特殊ラウンド演出が選択された場合だけである。このため、特殊ラウンド演出が用意されていることは、Sゾーン中の大当たり当選に対する遊技意欲の増大効果を発揮する。
[共通の処理]ステップS5038以降の処理は、高ベース状態で当選した場合と低ベース状態で当選した場合とに共通する処理である。ステップS5038では、2回目のV通過予定ラウンドであるか否かを判定する。V通過予定ラウンドとは、第1の通過用作動パターン又は第2の通過用作動パターンで振分部材71が制御されるラウンドのことである。本形態では、どのV通過大当たりにも、V通過予定ラウンドが2つ設けられている(図11参照)。2つ設けているのは、初めのV通過予定ラウンドでV通過させられなかった場合の補填のためである。
ステップS5038の判定結果がNOであれば、直ちにステップS5041に進む。一方、ステップS5038の判定結果がYESであれば、続いて、V通過フラグがONか否かを判定する(S5039)。V通過フラグがONであれば(S5039でYES)、1回目のV通過予定ラウンドでV通過がなされているため、ステップS5040を行うことなくステップS5041に進む。
これに対して、V通過フラグがONでなければ(S5039でNO)、第1大入賞口30への打込報知を設定して(S5040)、ステップS5041に進む。第1大入賞口30への打込報知とは、第1大入賞口30への入賞を狙って遊技球を打ち込むべき旨の報知のことである。本形態では、「狼アタッカーを狙え!」の文字画像を表示画面7aに表示する報知態様を採用している。なお、第1大入賞口30への入賞を促すアナウンスをスピーカ67から発するようにするなど、打込報知の態様は任意に変更可能である。このように本形態では、V通過がなされずに2回目のV通過予定ラウンドに至った場合には、上述の処理で選択したラウンド演出に加えて打込報知を行うようにしている。
ステップS5041では、上述の処理で選択したラウンド演出の実行開始を指示するラウンド演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。ステップS5041でセットされたラウンド演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、ラウンド演出開始コマンドに応じた演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。
[第2大入賞口入賞時処理]第2大入賞口入賞時処理は、上述の第1特別示唆画像250(図71(D)参照)又は第2特別示唆画像251(図71(E)参照)を表示するための処理である。図60に示すように、第2大入賞口入賞時処理(S4408)ではまず、演出制御用マイコン91は、実行中の大当たり遊技が高ベース状態(高確高ベース状態又は低確高ベース状態)での当選に基づくものか否かを判定する(S5101)。当選時の遊技状態に関する情報の取得は、例えば遊技状態フラグを参照することにより行う。
ステップS5101でNOであれば、すなわち低ベース状態(非時短状態)での当選である場合には、続いて、RUSH表示済みフラグがONか否かを判定する(S5102)。ONでなければ(S5102でNO)、続いて、現在のラウンドが特別示唆画像(図71(D)又は(E))の表示演出の対象となるラウンドであるか否かを判定する。つまり、特図1_大当たり図柄1、2、若しくは特図2_大当たり図柄8の14R目若しくは16R目、又は、特図1_大当たり図柄3の16R目であるか否かを判定する(S5103)。
判定結果がYESであれば、RUSH表示カウンタの値を1加算して(S5104)、RUSH表示カウンタの値が「5」であるか否かを判定する(S5105)。カウンタ値が「5」であれば(S5105でYES)、続いて、V通過フラグがONか否かを判定する(S5106)。V通過フラグがONであれば(S5106でYES)、大当たり遊技後の遊技状態は高確高ベース状態であり、演出モードが「YY RUSH」に制御されるため、その旨を示唆する「YY RUSH」の画像(第1特別示唆画像250)の表示演出の演出コマンドを出力バッファにセットして(S5107)、ステップS5109に進む。
一方、V通過フラグがONでなければ(S5106でNO)、大当たり遊技後の遊技状態は低確高ベース状態であり、演出モードが「ZZ RUSH」に制御されるため、その旨を示唆する「ZZ RUSH」の画像(第2特別示唆画像251)の表示演出の演出コマンドを出力バッファにセットして(S5108)、ステップS5109に進む。ステップS5109では、RUSH表示済みフラグをONにする。なお、ステップS5101でYESの場合、ステップS5102でYESの場合、ステップS5103でNOの場合、及びステップS5105でNOの場合は、特別示唆画像の表示タイミングではないため、本処理を終える。
ステップS5107又はS5108でセットされた演出コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、受信した演出コマンドに応じた特別示唆画像の表示演出を表示画面7aに表示する(図71(D)及び(E)参照)。このように本形態では、特殊装飾17が施された第2大入賞口35への入賞球数が5球(演出契機入賞球数に相当)に至ったタイミングで、特別示唆画像が表示されるようになっている。表示される特別示唆画像はV通過の有無に応じて選択される。よって、V通過大当たり(特図1_大当たり図柄1や2等)に当選したが、V通過予定ラウンドで遊技球の発射をしていなかった等の事情でV通過が発生しなかったとしても、遊技結果に合った演出が実行されることとなる。
[エンディング演出選択処理]図61に示すように、エンディング演出選択処理(S4410)ではまず、演出制御用マイコン91は、実行中の大当たり遊技が高ベース状態(高確高ベース状態又は低確高ベース状態)での当選に基づくものか否かを判定する(S5201)。当選時の遊技状態に関する情報は、エンディングコマンドに含まれているものとする。なお、当選時の遊技状態に関する情報の取得は、遊技状態フラグを参照すること等により行ってもよい。
ステップS5201でYESであればステップS5203に進む。一方NOであればステップS5202に進む。ステップS5202では、当選した大当たり図柄が特図1_大当たり図柄4〜6のいずれかであるか否かを判定する。これらの図柄でなければ、潜伏確変用の大当たりではないため、ステップS5203に進む。一方これらの図柄であれば、潜伏確変用の大当たりであるため、ステップS5212に進む。
ステップS5203では、実行中の大当たり遊技においてV通過があったか否かを判定する。V通過の有無の情報はエンディングコマンドに含まれている(図10参照)。V通過があれば、「YY RUSH」(高確高ベース状態に対応する演出モード)に制御される旨を報知するエンディング演出(YYラッシュ突入演出)を設定する(S5204)。YYラッシュ突入演出は、「YY RUSH突入!」の文字画像を含む演出画像を表示画面7aに表示する演出である(図72(A)参照)。なお、本形態ではV非通過大当たりにおいてV通過があった場合(イレギュラーな場合)でも、演出モードを「YY RUSH」に制御することとしている。
続いて演出制御用マイコン91は、演出モードフラグの値を「YY RUSH」に対応する値「3」にセットする(S5205)。演出モードフラグは、実行中の演出モードを示すフラグである。図62(A)に示すように、演出モードフラグは、通常演出モードに制御されているときは「1」に設定され、「ZZ RUSH」に制御されているときは「2」に設定され、「YY RUSH」に制御されているときは「3」に設定され、「Sゾーン」に制御されているときは「4」に設定される。なお、通常演出モードは通常遊技状態に対応する演出モードである。
続いて演出制御用マイコン91は、背景フラグの値をST開始直後背景に対応する値「3」にセットするとともに(S5206)、背景移行のタイミングを計るための背景カウンタの値を「61」にセットして(S5207)、ステップS5215に進む。背景フラグは、現時点の滞在背景を示すフラグである。本形態では、図62(B)に示すように滞在背景には、「通常背景」と、「時短共通背景」と、「ST開始直後背景」と、「潜伏報知背景」とがある。
通常背景は、通常遊技状態における滞在背景である。時短共通背景、ST開始直後背景、及び潜伏報知背景は、高ベース状態における滞在背景である。詳細には、演出モードが「YY RUSH」に制御された場合、大当たり遊技後に実行された特図変動(特別図柄の変動表示)の回数が61回以下の時にはST開始直後背景に設定され、62回以上161回以下の時(高ベース状態の残回数が100回以下の時)には時短共通背景に設定される。
また、遊技状態が低確率状態で演出モードが「ZZ RUSH」に制御された場合には、時短共通背景に設定される。また、遊技状態が高確率状態で演出モードが「ZZ RUSH」に制御された場合(高確率状態が潜伏している場合)には、原則としては時短共通背景に設定されるが、演出モードが「Sゾーン」に移行している間に限って潜伏報知背景に設定される。なお、潜伏報知背景の最長継続期間は、特図変動が61回実行されるまでであり、これが過ぎると再び時短共通背景に設定される。勿論、演出モードもSゾーンから「ZZ RUSH」に戻される。
図62(B)に示すように、滞在背景を通常背景に制御するときには、背景フラグの値を「1」にセットする。また、滞在背景を時短共通背景に制御するときには、背景フラグの値を「2」にセットする。また、滞在背景をST開始直後背景に制御するときには、背景フラグの値を「3」にセットする。また、滞在背景を潜伏報知背景に制御するときには、背景フラグの値を「4」にセットする。
ステップS5203でV通過なしと判定した場合には(S5203でNO)、「ZZ RUSH」に制御される旨を報知するエンディング演出(ZZラッシュ突入演出)を設定する(S5208)。ZZラッシュ突入演出は、「ZZ RUSH突入!」の文字画像を含む演出画像を表示画面7aに表示する演出である(図72(B)参照)。
ステップS5208に続いて演出制御用マイコン91は、演出モードフラグの値を「ZZ RUSH」に対応する値「2」にセットする(S5209)。次に演出制御用マイコン91は、背景フラグの値を時短共通背景に対応する値「2」にセットするとともに(S5210)、背景カウンタの値を「100」にセットして(S5211)、ステップS5215に進む。
またステップS5202で潜伏確変用の大当たりへの当選と判定された場合には(S5202でYES)、続いて、今回の大当たり遊技中の有効なV通過の有無を判定する(S5212)。V通過があれば(S5212でYES)、Sゾーン移行フラグの値を「1」にセットする(S5213)。一方、V通過がなければ(S5212でNO)、Sゾーン移行フラグの値を「0」にクリアする(S5214)。Sゾーン移行フラグは、後述するSゾーンへの移行制御を管理するためのフラグである。Sゾーン移行フラグの値と移行制御の進度との関係は、図62(C)の表に示す通りである。なお本形態では、Sゾーンへの移行は事前判定に基づく連続演出を経て実行される。これについては後述する。
ステップS5213又はS5214の実行後は、ステップS5208〜S5211の処理を行ってステップS5215に進む。つまり、潜伏確変用の大当たりに当選した場合には、V通過があっても、演出モードが「ZZ RUSH」に制御される。遊技者にしてみれば、V非通過大当たりに当選してV通過がなかったことで「ZZ RUSH」に制御された場合と演出上区別がつかない。かくして高確率状態の潜伏が実現されることとなる。
ステップS5215では、上記の処理により設定されたエンディング演出の実行開始を指示するためのエンディング演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。その後、V通過フラグがONであればOFFし(S5216及びS5217)、RUSH表示済みフラグがONであればOFFして(S5218及びS5219)、エンディング演出選択処理を終える。ステップS5215でセットされたエンディング演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、エンディング演出開始コマンドに応じた演出画像をROM103から読み出して、画像表示装置7の表示画面7aに表示する。
[先読み演出判定処理]図63に示すように、先読み演出判定処理(S4412)ではまず、演出制御用マイコン91は、RAM94の受信バッファに格納されている始動入賞コマンドをRAM94の特図保留演出記憶部(図9に示す第1特図保留演出記憶部95a又は第2特図保留演出記憶部95b)に記憶する(S5301)。詳細には、受信したのが第1始動入賞コマンドであれば、第1特図保留演出記憶部95a(図9(b)参照)に記憶し、第2始動入賞コマンドであれば、第2特図保留演出記憶部95b(図9(c)参照)に記憶する。なお、始動入賞コマンドは、各特図保留演出記憶部において第1〜第4まである記憶領域のうち当該コマンドが記憶されていない最も番号の小さい記憶領域に記憶される。これにより、特図保留の記憶順に対応した順で始動入賞コマンドが記憶されていくことになる。
続くステップS5302では、ステップS5301で記憶した始動入賞コマンドが第1始動入賞コマンドであれば、RAM94に設けられた第1特図保留演出カウンタの値を「1」加算して更新し、第2始動入賞コマンドであれば、RAM94に設けられた第2特図保留演出カウンタの値を「1」加算して更新する。なお、第1特図保留演出カウンタは、第1特図保留の数を計数するサブ側(サブ制御基板90側)のカウンタである。同様に、第2特図保留演出カウンタは、第2特図保留の数を計数するサブ側のカウンタである。
続いて演出制御用マイコン91は、連続演出フラグがONか否かを判定する(S5303)。連続演出フラグは、Sゾーンへの移行に関係する連続演出(連続予告)の実行中であることを示すフラグである。連続演出とは、先読み演出の1つであり、複数回の特図変動にわたって実行され得る予告演出である。連続演出フラグがONであれば(S5303でYES)、その他の処理(S5316)を行って本処理を終える。その他の処理(S5316)は、先読み演出のうちSゾーンへの移行に関係する連続演出以外の演出に関する処理である。
ステップS5303において連続演出フラグがONでなければ、演出モードフラグの値が「2」であるか否か、即ち「ZZ RUSH」中か否かを判定する(S5304)。判定結果がNOであればステップS5316に進むが、YESであれば、遊技状態フラグを参照して高確率状態か否かを判定する(S5305)。高確率状態であれば(S5305でYES)、続いて、Sゾーン移行フラグの値が「移行待機」を示す「1」であるか否かを判定する(S5306)。「1」でなければステップS5316に進むが、「1」であれば、ステップS5301で格納した始動入賞コマンドに基づいて、その始動入賞コマンドに係る数値情報(その始動入賞コマンドの特定に利用した各種乱数値の情報)が、当否判定(ステップS1504又はS1505)において大当たり当選と判定される特定の数値情報であるか否かを判定する(S5307)。この判定は事前判定に当たる。
既に述べたように、始動入賞コマンドには、図22のテーブルのコマンド解析内容の欄に示した情報(当否情報)等が含まれている。従って、始動入賞コマンドを解析すれば、演出制御用マイコン91は、その始動入賞コマンドに係る数値情報が当否判定において大当たり当選と判定される特定の数値情報であるか否かがわかる。具体的には図22に示すように、始動入賞コマンドは、その下位コマンドの下の桁が「1」であれば大当たりと判定されることを示している。そのため、ここでは始動入賞コマンドの下位コマンドの下の桁に基づいて特定の数値情報か否かを判定する。
ステップS5307の判定結果がYESであれば、高確高ベース状態下における大当たり用移行抽選テーブル(図64に示す連続演出乱数判定テーブルのうち高確高ベース状態且つ大当たりの部分)に基づいてSゾーンの移行抽選を行う(S5308)。つまり、連続演出乱数を取得して、これを高確高ベース状態下における大当たり用移行抽選テーブルに基づいて判定する。一方、ステップS5307の判定結果がNOであれば、高確高ベース状態下におけるハズレ用移行抽選テーブル(図64に示す連続演出乱数判定テーブルのうち高確高ベース状態且つハズレの部分)に基づいてSゾーンの移行抽選を行う(S5309)。
本形態のSゾーンの移行抽選では、Sゾーンに移行させるか否かと、煽り演出(移行煽り演出)を行うか否かを同時に決定する。煽り演出は、移行有りの場合には必ず実行され、移行なしの場合であっても実行される場合がある。煽り演出とは、Sゾーンへの移行に関係する連続演出であり、Sゾーンへの移行がなされることを遊技者に期待させる演出である。煽り演出には、Sゾーンに移行されることを報知する成功態様の煽り演出と、報知しない失敗態様の煽り演出とがある。つまり、失敗態様の煽り演出が実行されてもSゾーンに移行しないが、成功態様の煽り演出が実行されるとSゾーンに移行する。
具体的には、失敗態様の煽り演出は、図73(B)及び(C)に示すように、特殊キャラクタ332(図73(H)参照)の手332aが残回数示唆表示310の演出画像を掴もうとするが掴めない動画を表示画面7aに表示する演出である。また、成功態様の煽り演出は、図73(E)及び(F)に示すように、特殊キャラクタ332の手332aが残回数示唆表示310の演出画像を掴む動画を表示画面7aに表示する演出である。
残回数示唆表示310とは、本形態では、遊技者に有利な特典遊技状態(低確高ベース状態又は高確高ベース状態)が終了するまでに実行可能な特図変動の残回数(残変動回数という)を示唆し得る表示のことである。残回数示唆表示310には、特図変動が実行される度に減算される通常表示態様の残回数示唆表示311(図73(A)参照)と、特図変動が実行されても減算されないで表示回数が維持される特殊表示態様の残回数示唆表示312(図73(H)参照)とがある。残回数示唆表示310は、時短共通背景の表示中およびST開始直後背景の表示中には通常表示態様で表示画面7aの左上部に表示される。これに対して、潜伏報知背景の表示中には特殊表示態様で表示画面7aの左上部に表示される。成功態様の煽り演出を経て、背景画像が潜伏報知背景に変わるとともに残回数示唆表示が特殊表示態様に変わる(つまりSゾーンに移行する)ことで、遊技者は高確率状態であることを認識する。
このような煽り演出は連続演出として実行される。そのため、実際にSゾーンに移行する際の演出例としては、失敗態様の煽り演出が複数回実行されてから、成功態様の煽り演出が実行されて、Sゾーンへ移行するといった具合になる。勿論、一度も失敗態様の煽り演出が実行されずに、成功態様の煽り演出が実行されてSゾーンへ移行する場合もある。また、失敗態様の煽り演出だけが1回又は複数回実行されて、結局Sゾーンには移行しない場合もある。つまり、連続演出は、移行ガセ演出として実行されることがある。
図64に示すように、高確高ベース状態における連続演出乱数判定テーブルは、大当たり用であれば、70%の割合でSゾーンに移行するように定められている。これに対して、ハズレ用は移行率が5%に定められている。つまり本形態では、事前判定結果が大当たりである場合の方がSゾーンに移行され易くなっている。このため、Sゾーンに移行されると、高確率状態であることが示されるだけでなく、現在の特図保留内に、大当たりと判定される保留(以下「当たり保留」という)がある可能性が高いことが示されることとなる。このような構成は、Sゾーン移行時の高揚感を高める効果を発揮する。
また、高確高ベース状態におけるハズレ用の連続演出乱数判定テーブルには、Sゾーンには移行させないが煽り演出は行うという抽選結果となる場合が5%の割合で設けられている。つまり、本当は高確率状態である場合でも移行ガセ演出が実行されることがある。そのため、移行ガセ演出が実行された後でも、次に煽り演出が実行されたときにはSゾーンに移行されるのではないかという期待を持たせ続けることが可能である。
なお、低確高ベース状態における連続演出乱数判定テーブルは、大当たり用であれば、10%の割合で移行ガセ演出として煽り演出が実行されるように定められている。また、ハズレ用であれば、5%の割合で移行ガセ演出として煽り演出が実行されるように定められている。このため、高確率状態ではない場合(つまり低確高ベース状態である場合)でも、煽り演出が実行される度にSゾーンへの移行に期待させることが可能となっている。つまり、本当は高確率状態かもしれないと期待させることが可能となっている。その結果、低確高ベース状態における遊技興趣を従来よりも飛躍的に向上させることが可能となっている。
なお、低確高ベース状態においても、事前判定の結果が大当たりであるときの方が、煽り演出が実行され易い(図64参照)。よって、たとえSゾーンに移行することはないとしても、煽り演出の実行によって大当たり当選期待度が高いことを遊技者に認識させることが可能となっており、これによっても低確高ベース状態における遊技興趣が高められている。
図63のフローチャートに戻って説明を続ける。上述の移行抽選(S5308又はS5309)にてSゾーンへの移行が決定されれば(S5310でYES)、Sゾーン移行フラグの値を「移行決定後」を示す「2」にセットして(S5311)、ステップS5312に進む。一方、Sゾーンへの移行が決定されなければ(S5310でNO)、ステップS5311を行うことなく、ステップS5312に進む。
ステップS5312では、上述の移行抽選において煽り演出を実行すると決定されたか否かを判定する。ステップS5312の判定結果がNOであればステップS5316に進む。これに対して、ステップS5312の判定結果がYESであれば、現在の特図保留球数に基づいて、煽り演出回数(煽り演出の実行回数)を決定する(S5313)。特図保留球数の情報は、特図保留演出カウンタの値を参照することで取得する。
ステップS5313では、移行有りの場合には、何個目の特図保留でSゾーンに移行させるのかと、Sゾーン移行までに何回の煽り演出を行うのかの両方を抽選により決定する。また、移行無しの場合には、何回の煽り演出を行うのかを抽選により決定する。例えば、保留4(4個目の特図保留)が演出契機保留(連続演出の実行契機となった特図保留、演出契機記憶ともいう)であり、移行有りの抽選結果であった場合、まず、保留1(1個目の特図保留)〜保留4のどこでSゾーンに移行させるかを決定する。そして、例えば保留3(3個目の特図保留)でSゾーンに移行させると決定された場合には、続いて、保留1や保留2(2個目の特図保留)で失敗態様の煽り演出を行うかどうかを決定する。保留1でも保留2でも煽り演出をすると決定されると、図74に示す演出例のように煽り演出が実行されてSゾーンに移行することなる。つまり、保留1で1回目の失敗態様の煽り演出が実行され、保留2で2回目の失敗態様の煽り演出が実行され、保留3で成功態様の煽り演出が実行されて、保留3に基づく特図変動からSゾーンに移行することなる。この場合、煽り演出の実行回数(煽り演出回数)は「3」となる。なお、図74に示す演出例では、保留4は当たり保留であり、Sゾーン移行の次の変動で大当たりに当選することとなる。
なお、Sゾーンに移行させる場合、演出契機保留を含むこれより前の全ての保留のどこで移行させてもよい。また、Sゾーンの移行前に煽り演出を何回行ってもよい。また、Sゾーンに移行させないが煽り演出を行う場合、演出契機保留を含む1又は連像する複数の保留で失敗態様の煽り演出を実行することが可能である。
上記のようにしてステップS5313で煽り演出回数を決定した後は、その値を連続演出カウンタにセットするとともに(S5314)、連続演出フラグをONにする(S5315)。そして、その他の処理(S5316)を行って、本処理を終える。
また、ステップS5305で高確率状態ではないと判定された場合(S5305でNO)、つまり低確高ベース状態である場合には、ステップS5317に進む。ステップS5317では、ステップS5301で格納した始動入賞コマンドに基づいて、その始動入賞コマンドに係る数値情報が、当否判定において大当たり当選と判定される特定の数値情報であるか否かを判定する。この判定も事前判定に当たる。
ステップS5317の判定結果がYESであれば、低確高ベース状態下における大当たり用移行抽選テーブル(図64に示す連続演出乱数判定テーブルのうち低確高ベース状態且つ大当たりの部分)に基づいてSゾーンの移行抽選を行う(S5318)。一方、ステップS5317の判定結果がNOであれば、低確高ベース状態下におけるハズレ用移行抽選テーブル(図64に示す連続演出乱数判定テーブルのうち低確高ベース状態且つハズレの部分)に基づいてSゾーンの移行抽選を行う(S5319)。なお、低確率状態における移行抽選の抽選結果が、Sゾーンへの移行有りになることはない。つまり、ステップS5318又はS5319では、Sゾーンへの移行を伴わない移行ガセ演出として煽り演出を行うか否かを決めているに過ぎない。ステップS5318又はS5319を実行した後は、ステップS5312に進む。
[変動演出開始処理]図65に示すように、変動演出開始処理(S4414)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動開始コマンドを解析する(S5401)。変動開始コマンドには、特図2変動パターン選択処理(S1403)でセットされた変動パターンの情報、又は、特図1変動パターン選択処理(S1409)でセットされた変動パターンの情報が含まれている。
続くステップS5402では、ステップS5401で解析した変動開始コマンドが特図1変動開始コマンドであれば、第1特図保留演出カウンタのカウンタ値を「1」減算し、特図2変動開始コマンドであれば、第2特図保留演出カウンタのカウンタ値を「1」減算する。そして、特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部95a又は第2特図保留演出記憶部95b)に記憶されているデータのシフト処理を行う(S5403)。
シフト処理では、第1記憶領域〜第4記憶領域に記憶されている始動入賞コマンド等の各データを1つ前の記憶領域にシフトさせるとともに、第4記憶領域をクリアする。例えば、第1特図保留演出記憶部95aの第4記憶領域に記憶されているデータは、第1特図保留演出記憶部95aの第3記憶領域にシフトされ、第4記憶領域はクリアされる。また、第1特図保留演出記憶部95aの第1記憶領域に記憶されているデータは、第1特図保留演出記憶部95aおよび第2特図保留演出記憶部95bに共通の当該変動用演出記憶部(第0記憶領域)95c(図9(a))にシフトされ、当該変動用演出記憶部95cに記憶されていたデータは消去される。
次に、変動演出において最終的に停止表示させる演出図柄8L,8C,8Rの組み合わせを選択する(S5404)。具体的には、「特図1_大当たり図柄1」に当選していれば、例えば金図柄である「7」のゾロ目を選択する。また、「特図1_大当たり図柄2」に当選していれば、例えば銀図柄である「8」のゾロ目を選択する。
続いて、後述する背景処理(S5405)、予告演出選択処理(S5406)および残回数示唆表示処理(S5407)を行う。なお背景処理(S5405)は、滞在背景(現在の背景画像)に関する処理である。次いで、背景フラグを参照する(S5408)。そして、背景フラグが示す滞在背景および変動開始コマンドが示す変動パターンに応じて分類されている複数のテーブルの中から、現時点での背景フラグの値と、取得した変動パターンの情報とに基づいて、一つのテーブルを選択する(S5409)。そして、変動演出パターン選択処理(S5410)を行う。
変動演出パターン選択処理(S5410)では、変動演出パターン決定用乱数を取得し、その取得した乱数値を、ステップS5409で選択したテーブルを用いて判定することにより、変動演出パターンを選択する。ここで図75に示すように、時短共通背景、ST開始直後背景、潜伏報知背景のいずれに制御されているかによって、SPリーチ時の変動演出パターン判定テーブルの内容が異なっている。
時短共通背景では、第1の通常キャラクタ(キャラクタA)が敵キャラクタと闘う画像を表示するバトル演出が選択される。図76(A)は、第1の通常キャラクタ(キャラクタA)331を表示するSPリーチ中の表示画面7aを示している。第1の通常キャラクタ(キャラクタA)331は、時短共通背景に伴って表示されるキャラクタである(図73(A)参照)。また、ST開始直後背景では、第2の通常キャラクタ(キャラクタB)が所有するアイテムの画像を表示する成否演出が選択される。図76(B)は、第2の通常キャラクタ(キャラクタB)のアイテムを表示するSPリーチ中の表示画面7aを示している。第2の通常キャラクタ(キャラクタB)は、ST開始直後背景に伴って表示されるキャラクタである(図76(C)参照)。また、潜伏報知背景では、特殊キャラクタ(キャラクタC)が敵キャラクタと闘う画像を表示するバトル演出が選択される。図76(D)は、特殊キャラクタ(キャラクタC)332を表示するSPリーチ中の表示画面7aを示している。特殊キャラクタ(キャラクタC)332は、潜伏報知背景に伴って表示されるキャラクタである(図73(H)参照)。
このように本形態では、潜伏報知背景に制御された場合には、この期間しか実行され得ない特別なSPリーチの演出が実行される。これにより、単に「YY RUSH」に制御された場合には感じられない特別な興趣を遊技者に与えることが可能となっている。つまり、潜伏報知背景(Sゾーン)の特別感を増大させることが可能となっている。なお本形態では、時短共通背景中とST開始直後背景中とで用いられる変動演出パターン選択テーブルの内容を変えたが(図75参照)、両背景において同じテーブルを用いる構成としてもよい。「YY RUSH」中に用いられる変動演出パターン選択テーブルを、第1の演出パターン決定テーブルといい、「Sゾーン」中に用いられる変動演出パターン選択テーブルを、第2の演出パターン決定テーブルということとする。
図65に戻って説明を続ける。ステップS5410に続いて演出制御用マイコン91は、ステップS5410で選択した変動演出パターンにて変動演出を開始するための変動演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットして(S5411)、変動演出開始処理を終える。
ステップS5411でセットされた変動演出開始コマンドが、コマンド送信処理(S4006)により画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、受信した変動演出開始コマンドに基づいて画像表示装置7の表示画面7aにて変動演出を行う。例えば画像制御基板100が受信した変動演出開始コマンドが特殊キャラクタ(キャラクタC)332のSPリーチ演出の実行を指示するコマンドであれば、特殊キャラクタ332のSPリーチ演出を含む変動演出を表示画面7aに表示させる。
[背景処理]図66に示すように、背景処理(S5405)ではまず、演出制御用マイコン91は、背景フラグを参照し(S5501)、参照した背景フラグの値が通常背景を示す「1」であるか否か、すなわち現在の滞在背景が通常背景であるか否かを判定する(S5502)。通常背景であれば、ステップS5514に進む。
これに対して、通常背景でなければ(S5502でNO)、後述する強制移行処理(S5503)を行う。その後、RAM94に設けた背景カウンタの値が「0」であるか否かを判定する(S5504)。背景カウンタとは、特定の背景(通常背景以外の背景)における特別図柄の変動表示の実行回数をカウントするためのカウンタである。本形態では、背景カウンタを用いたカウントにより、特定の背景への滞在期間を管理している。なお、背景カウンタの値は、「ST開始直後背景」又は「潜伏報知背景」への制御開始時に「61」にセットされ、「時短共通背景」への制御開始時に「100」にセットされる。
ステップS5504において背景カウンタの値が「0」でなければ、ステップS5514に進む。これに対して、背景カウンタの値が「0」であれば(S5504でYES)、滞在背景の変更タイミングであるため、現在の滞在背景が時短共通背景であるか否か、即ち、背景フラグの値が時短共通背景を示す「2」であるか否かを判定する(S5505)。滞在背景が時短共通背景であれば(S5505でYES)、滞在背景を通常背景にセットする、すなわち、背景フラグの値を通常背景を示す値「1」にセットする(S5506)。そして、演出モードフラグの値を通常演出モードに対応する「1」にセットして(S5507)、ステップS5514に進む。
これに対して、ステップS5505でNOであれば、続いて、現在の滞在背景がST開始直後背景であるか否か、即ち、背景フラグの値がST開始直後背景を示す「3」であるか否かを判定する(S5508)。判定結果がYESであれば、滞在背景を時短共通背景にセットする、すなわち、背景フラグの値を時短共通背景を示す値「2」にセットする(S5509)。そして、背景カウンタの値を「100」にセットして(S5510)、ステップS5514に進む。
これに対して、ステップS5508の判定結果がNOであれば、現在の滞在背景は潜伏報知背景であるため、滞在背景を時短共通背景にセットするとともに(S5511)、RAM94の残回数退避領域からSゾーン移行時の残変動回数(後述するステップS5711で格納される値)を読み出して、その値を背景カウンタの値としてセットする(S5512)。そして、演出モードフラグの値を「ZZ RUSH」に対応する値「2」にセットして(S5513)、ステップS5514に進む。つまり、Sゾーン中に大当たりに当選しなかった場合には、潜伏報知背景(Sゾーン)から時短共通背景(「ZZ RUSH」)に戻されるとともに、潜伏報知背景への移行時(Sゾーンへの移行時)に残っていた背景カウンタの値から再びカウントダウンが進行することとなる。
ステップS5514では、背景フラグの値に対応する滞在背景を表示画面7aに表示するための背景指定コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。セットした背景指定コマンドがコマンド送信処理(S4006)によって画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、指定された背景画像が表示画面7aに表示されるように表示制御を実行する。
[強制移行処理]強制移行処理(S5503)は、高ベース状態で「ZZ RUSH」に制御されているが、Sゾーンへの移行抽選にハズレ続けている場合に、強制的にSゾーンに移行させる処理である。本形態では、「ZZ RUSH」中の特図変動の実行回数が80回に達したとき(表示上の残変動回数が20回に至ったとき)に、Sゾーンに移行させることとしている。
図67に示すように、強制移行処理(S5503)ではまず、演出制御用マイコン91は、現在の滞在背景が時短共通背景であるか否かを判定する(S5601)。判定結果がYESであれば、続いて、背景カウンタの値が「20」であるか否かを判定する(S5602)。この判定結果がYESであれば、続いて、Sゾーン移行フラグの値が「移行待機」に対応する「1」であるか否かを判定する(S5603)。この判定結果がYESであれば、Sゾーン移行フラグの値を「移行決定後」に対応する「2」にセットするとともに(S5604)、連続演出フラグをONにする(S5605)。そして、連続演出カウンタの値に「1」をセットして(S5606)、強制移行処理を終える。なお、ステップS5601、S5602、又はS5603のいずれかの判定結果がNOであれば、Sゾーンへの強制移行のための設定を行うことなく、本処理を終える。
[予告演出選択処理]図68に示すように、予告演出選択処理(S5406)ではまず、演出制御用マイコン91は、連続演出フラグがONであるか否かを判定する(S5701)。OFFであれば、ステップS5717に進む。これに対して、連続演出フラグがONであれば、連続演出カウンタの値を1減算して(S5702)、その値が「0」であるか否かを判定する(S5703)。「0」でなければ、次の特図変動時も煽り演出を実行するため今回の特図変動では、連続演出(連続予告)として失敗態様の煽り演出を設定する(S5704)。そして、ステップS5715に進む。
これに対して、連続演出カウンタの値が「0」であれば(S5703でYES)、続いて、Sゾーン移行フラグの値が「移行決定後」に対応する「2」であるか否かを判定する(S5705)。判定結果がNOであれば、Sゾーンへの移行は行わない。そのため、失敗態様の煽り演出を設定して(S5706)、ステップS5714に進む。これに対して、ステップS5705の判定結果がYESであれば、Sゾーンへの移行を行う。そのため、成功態様の煽り演出を設定する(S5707)。
そして、Sゾーン移行フラグの値を「移行直後」に対応する「3」にセットするとともに(S5708)、演出モードフラグの値を「Sゾーン」に対応する「4」にセットする(S5709)。次いで、背景フラグの値を潜伏報知背景に対応する「4」にセットするとともに(S5710-1)、潜伏報知背景を示す背景指定コマンドにセットし直す(S5710-2)。その後、現在の背景カウンタの値をRAM94に設けられた残回数退避領域に格納する(S5711)。つまり、Sゾーン移行時の表示上の残変動回数(Sゾーン移行時の時短共通背景の残変動回数)を退避させる。ここで退避させた値は、上述した通り、潜伏報知背景から時短共通背景に戻される場合に利用される(図66のステップS5512参照)。
続いて演出制御用マイコン91は、背景カウンタの値を「61」にセットする(S5712)。そして、残回数示唆表示のホールドコマンドを、RAM94の出力バッファにセットする(S5713)。ホールドコマンドは、残回数示唆表示の表示態様を、減算表示が行われる通常表示態様から、減算表示がなされずに表示回数の値が維持される特殊表示態様に変更させることを指示するコマンドである。セットされたホールドコマンドがコマンド送信処理(S4006)によって画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、残回数示唆表示の表示態様を通常表示態様から特殊表示態様に変更する。つまり本形態では、滞在背景が潜伏報知背景に変更されるのに伴って、残回数示唆表示が特殊表示態様に変更されることとなる。
ステップS5714では連続演出フラグをOFFする。続くステップS5715では、Sゾーンへの移行に関係する連続演出(連続予告)以外の他の予告演出の抽選を行う。他の予告演出としては、いわゆるステップアップ予告演出やチャンスアップ予告演出などがある。予告演出の抽選では、予告演出決定用乱数を取得し、これを所定の予告演出決定用テーブルに基づいて判定することにより、実行すべき予告演出を決定する。
次いで演出制御用マイコン91は、上記の処理で設定した種々の予告演出を行うための予告演出開始コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする(S5716)。セットされた予告演出開始コマンドがコマンド送信処理(S4006)によって画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、予告演出開始コマンドが示す予告演出の演出画像を表示画面7aに表示する。つまり、煽り演出(図73参照)等の種々の予告演出が実行されることとなる。
またステップS5717では、Sゾーン移行フラグの値が「移行直後」に対応する「3」であるか否かを判定する。判定結果がNOであれば、直ちにステップS5715に進む。これに対して、判定結果がYESであれば、Sゾーン突入演出を設定するとともに(S5718)、Sゾーン移行フラグの値を「移行なし」に対応する「0」に戻して(S5719)、ステップS5715に進む。Sゾーン突入演出とは、Sゾーンに制御されたことを遊技者に明確に示す演出である。具体的には、図73(G)に示すように、「Sゾーン」の文字画像を表示画面7aに表示する演出である。本形態では、Sゾーン突入演出は、Sゾーンに移行する特図変動の次の特図変動に伴って実行される。
[残回数示唆表示処理]図69に示すように、残回数示唆表示処理(S5407)ではまず、演出制御用マイコン91は、現在の滞在背景が通常背景であるか否か、すなわち背景フラグタグの値が「1」であるか否かを判定する(S5801)。通常背景であれば本処理を終えるが、通常背景でなければ、続いて、滞在背景が潜伏報知背景であるか否か、すなわち背景フラグの値が「4」であるか否かを判定する(S5802)。そして、潜伏報知背景であれば本処理を終えるが、潜伏報知背景でなければ、つまり時短共通背景又はST開始直後背景であれば、残回数示唆表示の更新コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする(S5803)。セットされた更新コマンドがコマンド送信処理(S4006)によって画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、残回数示唆表示310の表示回数の更新(減算)表示を行う。つまり、残回数示唆表示310の表示回数を1小さい値に変更する(図73(A)及び(B)参照)。
なお、時短共通背景に制御された場合には、残回数示唆表示310の初期値は「100」であり、特図変動が実行される度に1減算される。また、ST開始直後背景に制御された場合には、残回数示唆表示310の初期値は「161」であり、特図変動が実行される度に1減算される。上述の通り、時短共通背景から潜伏報知背景に背景が移行された場合には、残回数示唆表示310の表示態様は、減算が進行する通常表示態様から、減算の進行が止まる特殊表示態様に変更される。なお、潜伏報知背景から時短共通背景に滞在背景が戻された場合には、残回数示唆表示310の表示態様は再び通常表示態様に変更される。つまり残回数示唆表示310の減算が再び進行することとなる。
[変動演出終了処理]図70に示すように、変動演出終了処理(S4416)ではまず、演出制御用マイコン91は、変動停止コマンドを解析するとともに(S5901)、背景フラグを参照する(S5902)。そして、背景フラグの値が「1」か否か、即ち滞在背景が通常背景か否かを判定する(S5903)。そして、滞在背景が通常背景であれば(S5903でYES)、ステップS5905に進む。
一方、滞在背景が通常背景でなければ(S5903でNO)、背景カウンタの値を1ディクリメントしてから(S5904)、ステップS5905に進む。ステップS5905では、演出制御用マイコン91は、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドを、RAM94の出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(S4006)によって画像制御基板100に送信されると、画像制御基板100は、表示画面7aにて演出図柄8L,8C,8Rを所定の停止態様で確定的に停止表示する。
8.Sゾーン移行時の表示画面7aの遷移の例
次に、上記した処理によって実現されるSゾーン移行時の表示画面7aの遷移の例について図73に基づいて説明する。なお、本形態のパチンコ遊技機1は、V通過大当たりの一部に高確率状態を潜伏させる大当たりが含まれている。特図1_大当たり図柄4〜6(図10参照)がそれである。これらの大当たり図柄に当選すると、大当たり遊技中に高確率状態への移行報知がなされず、大当たり遊技後には非高確率状態に制御された場合と同じ演出モード(「ZZ RUSH」)に制御される。その後、「ZZ RUSH」からSゾーンに演出モードが変更されることで、高確率状態であることが報知される。Sゾーンへの移行は、事前判定に基づく連続演出(煽り演出)を経て行われる。
図73に示すSゾーンへの移行制御の実行例は、失敗態様の煽り演出を1回行った後、成功態様の煽り演出を行って、Sゾーンに移行する例である。まず、図73(A)に示すように、表示画面7aには時短共通背景301が表示されている。特図変動が開始されると、図73(B)及び(C)に示すように、失敗態様の煽り演出が実行される(図68のステップS5704参照)。失敗態様の煽り演出は、特殊キャラクタ332(図73(H)参照)の手332aが残回数示唆表示310の演出画像を掴もうとするが掴めない動画を表示画面7aに表示する演出である。失敗態様の煽り演出が実行されても、図73(D)に示すように、残回数示唆表示310の表示態様は通常表示態様(減算が進行する態様)のまま変更されない。つまり、減算表示は止まらない。このような煽り演出が繰り返し実行されることで、遊技者のSゾーン移行への期待感を高めることが可能となっている。
次の特図変動が実行されると、図73(E)及び(F)に示すように、成功態様の煽り演出を行う(図68のステップS5707参照)。成功態様の煽り演出は、特殊キャラクタ332の手332aが残回数示唆表示310の演出画像を掴む動画を表示画面7aに表示する演出である。成功態様の煽り演出が実行されると、図73(F)及び(G)に示すように、残回数示唆表示310の表示態様が通常表示態様から特殊表示態様(減算が進まない態様)に変更される(図68のステップS5713参照)。つまりSゾーンに制御されると、背景画像が潜伏報知背景に変更されるが(図68のステップS5710-1参照)、この潜伏報知背景における残回数示唆表示310の表示態様は特殊表示態様となっている。
なお、図73(G)は、Sゾーン突入の特図変動の次の特図変動が実行された時の表示画面7aを示しており、本形態ではこのタイミングで「Sゾーン」の文字画像を表示画面7aに表示するようにしている(図68のステップS5718参照)。また本形態では、特殊表示態様の残回数示唆表示312は、通常表示態様の残回数示唆表示311を鎖で縛った演出画像(通常表示態様の残回数示唆表示311に鎖の演出画像(減算停止画像312a)を加えた演出画像)であり、残回数示唆表示の減算が止まることをわかりやすく表現したものとなっている。
Sゾーンに制御されている間は、図73(H)に示すように、背景画像の他にも、上述の通り残回数示唆表示310の表示態様が変更されたり、大当たりの連チャン回数を示すBONUS回数表示320の表示態様が変更されたりする。「ZZ RUSH」に制御されているときを示す図73(A)と、Sゾーンに制御されているときを示す図73(H)とを対比すれば、背景画像、残回数示唆表示310、及びBONUS回数表示320の各表示態様が変更されていることがわかる。
つまり、背景画像が時短共通背景301から潜伏報知背景302に変更され、通常表示態様の残回数示唆表示311が特殊表示態様の残回数示唆表示312に変更され、通常表示態様のBONUS回数表示321が特殊表示態様のBONUS回数表示322に変更されているのがわかる。なお、図73(A)において時短共通背景301とともに表示されているキャラクタは、第1の通常キャラクタ(キャラクタA)331であり、図73(H)において潜伏報知背景302とともに表示されているキャラクタは、特殊キャラクタ(キャラクタC)332である。
9.本形態の効果
以下、本形態の効果を述べる。なお以下の説明では、V長開放の作動制御が実行されるラウンド遊技を、「通過ラウンド遊技」といい、V長開放の作動制御が実行されないラウンド遊技を、「非通過ラウンド遊技」という。非通過ラウンド遊技には、V短開放の作動制御が実行されるラウンド遊技と、振分部材71が一切作動されないラウンド遊技(非作動ラウンドのラウンド遊技)との両方が含まれる。非通過ラウンド遊技のうち、第1大入賞口30が開放される非通過ラウンド遊技を、「第1非通過ラウンド遊技」といい、第2大入賞口35が開放される非通過ラウンド遊技を、「第2非通過ラウンド遊技」という。また、非通過ラウンド遊技のうち通過示唆演出(図71(D)参照)の実行対象となるラウンド遊技を、「特定の非通過ラウンド遊技」という。また、通過ラウンド遊技を含む大当たり遊技を「通過大当たり遊技(通過特別遊技)」といい、通過ラウンド遊技を含まない大当たり遊技を「非通過大当たり遊技(非通過特別遊技)」という。また、「特図1_大当たり図柄1〜3」及び「特2_大当たり図柄8」は「第1通過大当たり図柄」に当たり、「特図1_大当たり図柄4〜6」は「第2通過大当たり図柄」に当たり、「特図1_大当たり図柄7」は「非通過大当たり図柄」に当たる。「第1通過大当たり図柄」と「第2通過大当たり図柄」とを「通過大当たり図柄」と総称する。第1通過大当たり図柄に基づく通過大当たり遊技(通過特別遊技)を「第1通過大当たり遊技(第1通過特別遊技)」といい、第2通過大当たり図柄に基づく通過大当たり遊技(通過特別遊技)を「第2通過大当たり遊技(第2通過特別遊技)」という。通過ラウンド遊技のうち、第1の通過用作動パターンで振分部材71が作動されるラウンド遊技を「第1通過ラウンド遊技」といい、第2の通過用作動パターンで振分部材71が作動されるラウンド遊技を「第2通過ラウンド遊技」という。
上記した本形態のパチンコ遊技機1では、16RのV通過大当たり(例えば特図1_大当たり図柄2)に当選した場合、特定領域39への通過が生じた通過ラウンド遊技(10R目や12R目のラウンド遊技)よりも後の非通過ラウンド遊技(14R目のラウンド遊技)において、通過示唆演出(第1特別示唆画像250を表示する演出)が実行される。そのため、通過示唆演出の実行タイミングで高確率状態への移行が決定されたかのように感じさせることが可能となっている。これにより、特定領域39への通過タイミングが容易に把握できない意外性のある遊技性を実現可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、通過示唆演出が実行されるラウンドは、第2大入賞口35が開放されるラウンド(つまり第2非通過ラウンド遊技)である。よって、特定領域39を有さない第2大入賞口35への入賞時に高確率状態への移行が決定されたかのように感じさせることが可能となっている。よって、特定領域39への通過タイミングの把握を一層難しくさせることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、第2大入賞口35への入賞球数が5球に至ったタイミングで通過示唆演出が実行される(図60参照)。従って、あたかも第2大入賞口35への5球目の入賞に基づいて高確率状態への移行が決定されたかのような印象を遊技者に与えることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、第2大入賞口35の配置箇所6Bに、第1大入賞口30の配置箇所6Aにはない特殊装飾17が施されている(図4参照)。そのため、高確率状態への移行契機となる特定領域39を内部に有する第1大入賞口30よりも、特定領域39を内部に有さない第2大入賞口35の方を重要な入賞口であるかのように感じさせることが可能となっている。これにより、特定領域39への通過が生じるかもしれない第1大入賞口30が開放される通過ラウンド遊技において、そのことを意識させ難くすることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、特殊装飾17を想起させ得る特殊演出(図71(A)〜(C)に示す演出)が少なくとも第2大入賞口35を開放させる第2非通過ラウンド遊技において実行される。そのため、特殊演出の実行→第2大入賞口35への入賞→通過示唆演出の実行という一連の流れができ、第2大入賞口35への入賞に基づいて高確率状態への移行が決定されたかのような印象を一層強く与えることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、第1通過大当たり図柄(図10の特図1_大当たり図柄1〜3及び特図2_大当たり図柄8)に当選したときには特定領域39を通過していれば通過示唆演出が実行される。そのため、大当たり遊技中に特定領域39の通過があったことがわかる。一方、第2通過大当たり図柄(図10の特図1_大当たり図柄4〜6)や非通過大当たり図柄(図10の特図1_大当たり図柄7)に当選したときには特定領域39の通過の有無にかかわらず通過示唆演出が実行されない。よって、第2通過大当たり図柄に基づく第2通過大当たり遊技において特定領域39への通過が生じていても、演出上は非通過大当たり図柄に当選した場合と区別がつかない。これにより、高確率状態を潜伏させることが可能となっている。
なお本形態のパチンコ遊技機1では、通過示唆演出が実行される大当たり遊技(第1通過大当たり図柄に基づく第1通過大当たり遊技)においても、特定領域39に通過するタイミング(10R及び12R)と通過示唆演出が実行されるタイミング(14R)とがずれている。そのため、特定領域39の通過タイミングが遊技者に把握され難くなっており、このことが、第2通過大当たり図柄に基づく第2通過大当たり遊技における特定領域39の通過タイミング(例えば特図1_大当たり図柄4であれば2R目と6R目)の把握をより難しくしている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、非通過大当たり図柄(特図1_大当たり図柄7)に当選した場合に特定領域39への通過がなければ、大当たり遊技後に低確高ベース状態に制御される。これに対して、第1通過大当たり図柄(例えば特図1_大当たり図柄2)や第2通過大当たり図柄(例えば特図1_大当たり図柄4)に当選した場合に特定領域39への通過があれば、大当たり遊技後に高確高ベース状態に制御される。よって、大当たり遊技中に特殊演出(図71(A)〜(C)参照)や通過示唆演出(図71(D)参照)が実行されない場合には、遊技者に単なる低確高ベース状態だと思わせておきながら、実は高確率状態でもあったという遊技性を実現することが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、時間のみに基づいて振分部材71が制御されるわけではなく、1回のラウンド遊技における第1大入賞口30への入賞球数に基づいて振分部材71の状態(図3(A)に示す第1状態又は図3(B)に示す第2状態)が切り替えられる、つまり特定領域39への通過の可否が切り替えられる(図14〜図17参照)。そのため、所謂V確機において大当たり遊技に従来にない興趣(例えば自らの遊技によって振分部材71の状態を第2状態から第1状態に変える興趣)を生じさせることが可能である。
特に本形態では、図11及び図13に示すように、当選した大当たり図柄の種別や何ラウンド目のラウンド遊技かに応じて、振分部材71の作動パターンに複数のバリエーションを持たせている。よって、振分部材71の動きの面からも、特定領域39への通過タイミングを把握され難くすることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、通過ラウンド遊技(V長開放の作動制御が実行されるラウンド遊技)の実行ラウンド(何ラウンド目で実行されるか)が異なる複数の図柄がある(図11参照)。よって、いつ特定領域39に通過するのか見当をつけにくい遊技機とすることが可能となっている。特に本形態では、高確率状態を潜伏させられることが大きな特徴の1つであるが、潜伏確変用の大当たり図柄として、通過ラウンド遊技の実行ラウンドが異なる複数の図柄が設けられている(特図1_大当たり図柄4〜6)。よって、潜伏用の大当たりか否かを容易に見極められてしまうのを防止することが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、特定領域39への通過が見込める通過大当たり遊技では、通過ラウンド遊技が2回実行される上(図11参照)、特定領域39への通過が生じることなく2回目の通過ラウンド遊技が実行された場合には、第1大入賞装置31へ遊技球を入賞させるべき旨が報知される(図59のステップS5040)。つまり初回の通過ラウンド遊技で特定領域39に通過させ損なった場合には注意喚起がなされる。よって、確実に高確率状態への移行を生じさせることが可能となっている。
また本形態のパチンコ遊技機1では、特図1_大当たり図柄4〜6に当選した場合には、2回目の通過ラウンド遊技では初回の通過ラウンド遊技よりもラウンド遊技内の早いタイミング(少ない入賞球数)で特定領域39への通過が可能となる(図11参照)。よって、2回目の通過ラウンド遊技の方が初回の通過ラウンド遊技よりも特定領域39へ遊技球を通過させ易い。従って、初回の通過ラウンド遊技で特定領域39に通過させ損なっても、より確実に高確率状態への移行を生じさせることが可能となっている。
10.変更例
以下、変更例について説明する。なお、変更例の説明において、上記の実施形態のパチンコ遊技機1と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
上記形態では、Vアタッカーである第1大入賞装置31は、第1大入賞口30を通過した遊技球が特定領域39と非特定領域70とに振分部材71によって振り分けられる構成であり、ノーマルアタッカーである第2大入賞装置36は、第2大入賞口35を通過した遊技球がどこにも振り分けられずに装置外へ排出される構成であった。これに対して、第2大入賞装置を、第1大入賞装置31に似た構成としてもよい。すなわち、第2大入賞装置に、第2大入賞口を通過した遊技球が通過可能な「疑似特定領域」及び「疑似非特定領域」と、これらの領域のいずれかに遊技球を振り分ける「疑似振分部材」と、を設けてもよい。
この場合、疑似特定領域への遊技球の通過を検知する疑似特定領域センサ、疑似非特定領域への遊技球の通過を検知する疑似非特定領域センサ、及び疑似振分部材を駆動させる疑似振分部材ソレノイドは、サブ制御基板90に接続する。そして、遊技盤面(遊技盤2の前面)における疑似特定領域の前方に位置する箇所には、特別な領域であることを示唆する装飾部を設ける(例えば、Vの文字や星のマークを模ったシールの貼付等をする)とよい。また、サブ制御基板90は、第2大入賞口への入賞球数が5球になるまでは疑似非特定領域を通過するように疑似振分部材を制御し、第2大入賞口への入賞球数が5球になったら疑似振分部材を作動させて、遊技球が疑似特定領域を通過するようにするとよい。そして、疑似特定領域センサによる遊技球の検知に基づいて、上記形態の通過示唆演出を実行するとよい。なお上記形態の通過示唆演出に替えて、特別な領域を通過したことを示唆する演出画像(例えばVの文字画像を含む演出画像)を画像表示装置7に表示させる演出を行ってもよい。また、疑似振分部材を入賞球数ではなく経過時間に基づいて制御するようにしてもよい。
また上記形態では、通過示唆演出は、図71(D)に示す第1特別示唆画像250を表示画面7aに表示する演出としたが、画像表示装置7を用いる演出でなくてもよい。例えば、盤ランプ5や枠ランプ66をそのときだけの特殊な発光態様で発光させたり、スピーカ67から特殊な効果音を放音したりすることで、V通過があった旨を報知するようにしてもよい。
また上記形態では、第2大入賞口35への入賞球数が5球になったときに、通過示唆演出を実行することとした、つまり演出契機入賞球数を5球とした。しかしながら、演出契機入賞球数は、5球でなくてもよく、適宜変更可能である。
また上記形態では、16RのV通過大当たりにおいて13R目から(第2大入賞口35を開放させる14ラウンド目のラウンド遊技の1つ前のラウンドから)、特殊演出(図71(A)〜(C)参照)を実行することとしたが、14R目から実行することとしてもよい。すなわち、第2大入賞口35を開放させるラウンドだけ特殊演出を実行するように構成してもよい。
また、第2大入賞装置36に特別感を出すための装飾内容(特殊装飾17のデザイン)や、特殊演出としての表示内容は適宜変更可能である。また、第1特別示唆画像250や第2特別示唆画像251の表示内容は、演出モードの名前以外の表示内容など適宜変更可能である。
また上記形態では、高確率状態で「ZZ RUSH」に制御されている場合、時短共通背景の残変動回数が20回となったタイミングで、Sゾーンへ強制移行させるようにした(図67参照)。これに対して、Sゾーンへの強制移行のタイミングは、時短共通背景の残変動回数が50回になったタイミングや、0回になったタイミングなど、適宜変更可能である。
また上記形態では、1回のラウンド遊技における第1大入賞口30への入賞球数に基づいて、特定領域39を閉鎖状態から開放状態に制御した(振分部材71を通過阻止状態から通過許容状態に制御した)。これに対して、第1大入賞口30への入賞球数に基づいて特定領域39を開放状態から閉鎖状態に切り替える制御を行うことがあってもよい。
また上記形態では、第1の作動契機入賞球数(第1の通過用作動パターンにおけるV長開放の作動契機入賞球数)を「3」としたが、「3」以外としてもよい。また、第2の作動契機入賞球数(第2の通過用作動パターンにおけるV長開放の作動契機入賞球数)を「7」としたが、第2の作動契機入賞球数は第1の作動契機入賞球数よりも大きければ「7」以外としてもよい。また、第3の作動契機入賞球数(V短開放の作動契機入賞球数)を「1」としたが、「1」以外としてもよい。
また上記形態では、1回の大当たり遊技において通過ラウンド遊技を2回設けたが、3回以上設けてもよいし、1回だけ設けてもよい。
また上記形態では、潜伏確変用の大当たり(特図1_大当たり図柄4〜6)では、2回目の通過ラウンド遊技の作動契機入賞球数を、初回の通過ラウンド遊技の作動契機入賞球数よりも小さい値に設定したが、初回の通過ラウンド遊技の作動契機入賞球数と同じ値に設定してもよい。
また上記形態では、1回のラウンド遊技における第1大入賞口30への入賞球数に基づいて振分部材71を作動させるように構成した。これに対して、第1大入賞口30への入賞球数に関係なく予め定められた作動時間に従って、振分部材71を作動させるように構成してもよい。
また上記形態では、所謂ST機(確変の回数切りの遊技機)として構成したが、所謂確変ループ機として構成してもよい。
また上記形態では、大当たり遊技の終了後に高ベース状態(入球サポート状態)に制御されることがある構成であった。これに対して、高ベース状態に制御されることがない構成としてもよい。つまり上記形態では、低確高ベース状態と思わせておきながら実は高確高ベース状態であるという遊技性を実現したが、低確低ベース状態と思わせておきながら実は高確低ベース状態であるという遊技性を実現してもよい。
また上記形態では、遊技球の入球し易さが変化しない第1始動口20と、遊技球の入球し易さが変化可能な第2始動口21とを設けたが、いずれかの始動口を備えていない構成としてもよい。第1始動口20を備えていない構成とした場合、電チューが閉状態にあるときでも、電チューに係る始動口へ遊技球が入球するように構成する。
また上記形態では、第1始動口20又は第2始動口21への入賞に基づいて取得する乱数(数値情報)として、大当たり乱数等の4つの乱数を取得することとしたが、一つの乱数を取得してその乱数に基づいて、大当たりか否か、大当たりの種類、リーチの有無、及び変動パターンの種類を決めるようにしてもよい。すなわち、始動入賞に基づいて取得する乱数の個数および各乱数において何を決定するようにするかは任意に設定可能である。
また上記形態では、始動入賞コマンドに当否情報は含まれるがリーチの有無の情報は含まれていなかった(図22参照)。これに対して、始動入賞コマンドにリーチの有無の情報も含めるようにしてもよい。そして、リーチ無しハズレ(ドハズレ)のときにしか失敗対応の煽り演出が実行されないように禁則制御を行うとよい。また、事前判定の結果が大当たりであるときが移行抽選の当選確率が最も高く、リーチ有りハズレであるときが次に高く、リーチ無しハズレであるときが最も低くなるように、連続演出乱数判定テーブルを設定するとよい。
なお上記形態の特徴及び上記した変更例の特徴をそれぞれ組み合わせて実施することは勿論可能である。
なお、特許請求の範囲における「第1特別入賞口の内部」とは、第1大入賞口30を通過した遊技球が転動可能な第1大入賞装置31の内部をいう。また、「第2特別入賞口の内部」とは、第2大入賞口35を通過した遊技球が転動可能な第2大入賞装置36の内部をいう。