以下、添付図面にしたがって本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明される。本発明の範囲を逸脱すること無く、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
ここで、図中、同一の記号で示される部分は、同様の機能を有する同様の要素である。また、本明細書中で、数値範囲を“ 〜 ”を用いて表す場合は、“ 〜 ”で示される上限、下限の数値も数値範囲に含むものとする。
本実施形態のモールドについて、マイクロニードルアレイ成形用のモールドを例に、図1〜図3を参照して説明する。図1はマイクロニードルアレイ成形用のモールドの斜視図であり、図2はマイクロニードルアレイ成形用のモールドの一部断面図であり、図3は図2の丸で囲んだ部分のマイクロニードルアレイ成形用のモールドの部分拡大断面図である。
図1に示すようにマイクロニードルアレイ成形用のモールド10(以下、モールド10)は、対向する第1面12と第2面14とを有する立体形状を有している。本実施形態では、モールド10は、厚みに対して大きい面積の第1面12と第2面14とを有するシート状を有しているが、この形状に限定されない。第1面12と第2面14とが離間し、後述する凹部16が形成できる限り、その形状は限定されない。
モールド10は、第1面12の第1開口16Aと第2面14の第2開口16Bとを貫通し、第1面12から第2面14に向けて先細りである複数の凹部16を有している。凹部16は第1面12の第1開口16Aと第2面14の第2開口16Bとを貫通する貫通孔である。
複数の凹部16を規則的に配置することにより、凹状パターン18が構成される。本実施形態では、9個の凹状パターン18がモールド10に形成され、各凹状パターン18は5×5に配置された25個の凹部16で構成されている。凹状パターン18の数、及び配置、並びに凹状パターン18を構成する凹部の数、及び配置は、製造を予定しているマイクロニードルアレイの形状に応じて適宜決定される。
図2、図3に示すように、凹部16は、断面視で、第1面12から第2面14に向けて先細りの形状を有している。したがって、第2開口16Bの面積は、第1開口16Aの面積より小さい。
本実施形態のモールド10は、第2開口16Bの周囲に位置し、断面視で先細りである、環状の突出部20を第2面14に有している。図2,3に示すように、突出部20は、断面視で、第2面14から離れるに従って、先端側が先細りの形状を有している。また、突出部20は、第2開口16Bの周囲を囲む、平面視で環状の形状を有している。環状の突出部20の先端部には第3開口20Aが形成されている。凹部16の内壁16Cは、第1開口16Aから第2開口16Bを超えて突出部20の内壁20Bと連続し、第3開口20Aへと延びる。第3開口20Aの面積は、第2開口16Bの面積より小さい。本実施形態では突出部20を断面視で先細りの形状を例示したが、これに限定されることなく
後述するように、第2面14を板に固定した際、突出部20が第2開口16Bを閉じることができれば、突出部20の形状は限定されない。
突出部20の第2面14からの高さHは、例えば10〜80μmが好ましく、20〜70μmがより好ましく、30〜60μmがさらに好ましい。第1開口16Aの長さL1は、200〜1000μmが好ましく、250〜800μmがより好ましく、300〜600μmがさらに好ましい。第2開口16Bの長さL2は、10〜60μmが好ましく、15〜50μmがより好ましく、20〜40μmがさらに好ましい。第3開口20Aの長さL3は、1〜40μmが好ましく、3〜30μmがより好ましく、5〜20μmがさらに好ましい。
第1開口16Aの長さL1は、第1面12を結ぶ仮想の直線と凹部16の内壁16Cとの2つ交点で画定され、2つの交点の長さとなる。第2開口16Bの長さL2は、第2面14を結ぶ仮想の直線と凹部16の内壁16Cとの2つ交点で画定され、2つの交点の長さとなる。第3開口20Aの長さL3は、突出部20の先端の間の距離として画定される。
内壁16Cの角度θは5〜30°が好ましく、8〜25°がより好ましく、10〜20°がさらに好ましい。ここで、角度θは、内壁16Cと、第1面12に対する垂線との成す角度を意味する。
本実施形態では凹部16は、断面視で錐体形状を有しており、角度θが凹部16において一定である。しかし、これに限定されず、凹部16の形状を、例えば多段の錐体形状とすることができる。多段の錐体形状とは、凹部16の内壁16Cが、複数の角度θを有する形状を意味する。
モールド10と突出部20とは一体構造で構成されることが好ましい。ここで一体構造とは、一つの材料から作製された構造を意味する。モールド10は弾性材料で構成されることが好ましい。弾性材料としてシリコーン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、EVA(エチレン・酢酸ビニル共重合体、Ethylene-Vinyl Acetate copolymer)等を挙げることができる。なかでも、モールド10は、シリコーン樹脂で構成されることが好ましい。モールド10をシリコーン樹脂で作製することにより、モールド10、及び突出部20に空気透過性と弾性とを持たせることができる。
次にマイクロニードルアレイ成形用のモールドの製造方法について説明する。図4は型の斜視図であり、図5、6はモールドの作製工程の一部を示す工程図である。
図4に示すように、型40を準備する。型40は、一方面に突起状パターン42を備える。突起状パターン42とは、型40の一方面から離間する方向に突出する先端先細りの突起部が、型40の一方面の上に配置されている状態をいう。突起部の数、突起部の配置の位置等は限定されない。本実施形態では、型40は9個の突起状パターン42を有している。各突起状パターン42は5×5の25個の突起部で構成されている。
図5(A)に示すように、突起状パターン42を有する型40を台50上に配置する。台50上で、型40の外側にギャップ調整機構として、スペーサ52を配置する。スペーサ52の高さを調節することで、以後のシリコーン樹脂膜60を基板64で押圧する工程において、型40と基板64の間隔を調整することができ、製造されるモールド10の厚みを調整する。
スペーサ52は、平面視で、矩形状の型40の各辺の中央部の外側に設けられる。基板64を接触させた際にモールドの厚みを一定にすることができれば、これに限定されない。スペーサ52は、型40の周囲一周にわたり設けても良いし、型40の角部の外側に設けても良い。
スペーサ52の素材としては、SUS(Stainless Used Steel)、アルミなどの金属やガラスを用いることができる。基板64を接触させることで、スペーサ52の高さにシリコーン樹脂膜60の厚みを調整することができるので、スペーサ52は、剛性の高い材料が好ましい。
次に、図5(B)、(C)に示すように、シリコーン樹脂溶液58を型40上に塗布し、シリコーン樹脂膜60を形成する。
シリコーン樹脂溶液58の塗布方法は、特に限定されないが、スピンコーターを用いた塗布を挙げることができる。また、突起状パターン42が形成された領域を複数有する場合は、スリットノズル62により、突起状パターン42の幅で、突起状パターン42を有する領域ごとに塗布することもできる。突起状パターン42を有する領域ごとにシリコーン樹脂溶液58を塗布することで、モールドを製造する位置にのみシリコーン樹脂溶液58を塗布することができるので、不要なシリコーン樹脂溶液の塗布を防止することができる。
次に、型40上に形成されたシリコーン樹脂膜60を減圧し、シリコーン樹脂膜60を脱泡する。シリコーン樹脂膜60の脱泡は、減圧装置(不図示)内に、シリコーン樹脂膜60を、台50、型40、スペーサ52などとともに入れ、減圧装置内を減圧にすることにより行う。減圧は大気圧以下を意味し、絶対圧力で20〜100Paの圧力にすることが好ましい。なお、減圧でなく、加圧によって脱泡することもできる。
シリコーン樹脂膜60の脱泡の確認は、目視もしくはCCD(Charge-Coupled Device)カメラによる画像認識により行うことができる。シリコーン樹脂膜60の脱泡を行うことで、シリコーン樹脂膜中に含まれる空気を除去することができるので、成形時の形状を安定させることができる。
次に、図6(A)に示すように、基板64の一方の面に分離シート66を密着させる。分離シート66を密着させた面がシリコーン樹脂膜60を押圧する面となる。
基板64の素材としては、金属、多孔質のセラミックなどを用いることができる。基板64として、これらの素材を用いることで、形成されるモールド10の高さを一定にすることができる。
また、分離シート66の素材としては、フッ素ゴムシート、テフロン(登録商標)シート、剥離処理を施したシリコーン樹脂シートなどを用いることができる。剥離処理としては、フッ素系離型剤を塗布することなどで行うことができる。分離シート66の厚みは0.1mm〜0.5mmとすることが好ましい。
基板64と分離シート66との密着および剥離は、エアー吸引機構およびエアー噴出機構(不図示)により行うことができる。基板64の分離シート66の反対側の面から、エアー吸引機構で吸引することで、基板64と分離シート66の密着、エアー噴出機構でエアーを供給することで、基板64と分離シート66の剥離をすることができる。エアー吸引機構としては、真空ポンプを用いることができ、エアー噴出機構としては、ブロアを用いることできる。エアー吸引機構とエアー噴出機構との切換えは、例えば、切換弁を用いて行うことができる。エアー吸引機構およびエアー剥離機構を用いて、基板と分離シートの密着および剥離を行う場合、基板64は、多孔質材のセラミックとすることが好ましい。基板64を多孔質材とすることで、基板64の分離シート66を密着させる面の反対側からエアーを吸引、供給することで、分離シート66の密着、剥離をすることができる。
次に、図6(B)に示すように、シリコーン樹脂膜60に、基板64を接触させる。そして、基板64を図6(C)に示すように、スペーサ52に押圧することで、シリコーン樹脂膜60も押圧し、シリコーン樹脂膜60の厚み、すなわち、形成されるモールド10の厚みが調整される。
次に、基板64をスペーサ52およびシリコーン樹脂膜60に接触させた状態で、シリコーン樹脂膜60を加熱、硬化することで、モールド10を形成する。シリコーン樹脂膜60を加熱する方法としては、アルミヒータ、赤外線ヒータ、セラミックヒータ、IH(Induction Heating)ヒータなどにより行うことができる。
図7は、モールド形成時の突起状パターン42と分離シート66の部分拡大図である。図7に示すように、シリコーン樹脂膜60を硬化させる際、スペーサ52の高さを調整して基板64を押圧することにより、型40の突起状パターン42の突起部がシリコーン樹脂膜60を貫通させて、突起状パターン42の突起部の先端を分離シート66に到達させている。
突起状パターン42がシリコーン樹脂膜60を貫通させているので、モールド10に第1面12の第1開口16Aと第2面14の第2開口16Bとを貫通する凹部16が形成される(図1〜図3参照)。
さらに、突起状パターン42の突起部の先端を分離シート66に到達させているので、第2開口16Bの周囲の第2面14のシリコーン樹脂膜60が、分離シート66に向け突出する。分離シート66が弾性材料で構成されているので、突出されたシリコーン樹脂膜60の形状に応じて、分離シート66が変形する。その結果、第2開口16Bの周囲に位置し、断面視で先細りである、環状の突出部20が形成される。
突出部20は、熱可塑性樹脂では形成され難く、シリコーン樹脂の場合に形成される。熱可塑性樹脂では、成形時に、突起状パターン42の突起部を分離シート66に到達させても、突起部の先端の周りに熱可塑性樹脂が入り込まないことが要因と考えられる。
突起状パターン42の突起部の先端と分離シート66の位置は、スペーサ52の高さにより調整することができる。分離シート66の厚みを上述したように、0.1mm以上0.5mm以下の範囲とし、さらに、突起状パターンの高さよりも、シート厚み設定を0.03mm〜0.1mm程度狭くすることで、突起状パターン42の突起部の先端を分離シート66に刺さる位置とすることができる。分離シート66の厚みが上記範囲より薄いと、基板64を押圧する際に、突起状パターン42の先端が基板64と接触し、型40の突起状パターン42の先端が傷んだり、破損したりする場合がある。突起状パターン42の先端が破損した型40を用いて、モールド10を製造しても、40の反転型であるパターンシートとはならないため、破損した型40は、以後のモールド10の製造に使用することができなくなるため、型40の突起状パターン42の先端の変形を防止しすることが重要となる。
また、基板64とシリコーン樹脂膜60の間に、分離シート66を設けることで、基板64とシリコーン樹脂膜60との剥離を容易に行うことができる。基板64は、上記の素材を用いているため、柔軟性がなく、基板64が配置された状態で、型40からモールド10を剥離すると、型40の突起状パターン42の先端が傷んだり、破損したりする恐れがある。分離シート66を設けることで、モールド10と基板64の剥離を容易に行うことができ、突起状パターン42の変形を防止し、モールド10の製造を行うことができる。
次に、図6(D)に示すように、モールド10から基板64を剥離する。分離シート66は、モールド10に付着したままとする。
図7で示すように、本実施形態においては型40の突起状パターン42の先端は、分離シート66にのみ到達しているので、基板64を剥離しても型40の突起状パターン42の先端の形状を傷付けることなく、基板64の剥離を行うことができる。
また、基板64には、エアー噴出機構を備えているので、エアー噴出機構によりエアーを供給することで、基板64のみを容易に剥離することができる。
次に、図6(E)に示すように、分離シート66が付着したモールド10を、型40から剥離する。基板64が剥離されており、突起状パターン42の先端は、分離シートに到達しているので、突起状パターン42の先端を保護して剥離することができる。モールド10を型40から剥離する際、できるだけ遅い速度で剥離することが好ましい。突出部20が損傷を受けるのを防止するためである。
最後に、図6(F)に示すように、分離シート66を剥離することで、型40の突起状パターン42の反転型である凹部16で構成される凹状パターン18を有するモールド10を作製することができる。分離シート66を剥離する際、例えば、10〜30mm/sec程度の、できるだけ遅い速度で剥離することが好ましい。突出部20が損傷を受けるのを防止するためである。
次に、型40の作製方法について説明する。一の方法として、Niなどの金属基板に、ダイヤモンドバイトなどの切削工具を用いた機械切削で加工することにより、金属基板の表面に複数の突起状パターン42を有する型40を作製することができる。
他の方法として、Si基板上にフォトレジストを塗布した後、露光、現像を行う。そして、RIE(リアクティブイオンエッチング:Reactive Ion Etching)などによるエッチングを行うことにより、突起状パターン42を有する型40を作製することができる。
上記の方法は、大型の型40を作製するので、作業負担、コスト増となる場合がある。そこで、小型の原版を作製し、この原版から小型のモールドを作製し、小型のモールドを連結して大型のモールドを作製し、この大型モールドから大型の型を作製する方法を採用することができる。
まず、図8(A)に示すように、突起状パターン72が形成された原版70を用意する。突起状パターン72は、例えば5×5の25個の突起部で構成される。原版70は作成しようとする型40よりも小さい。
突起状パターン72が形成された原版70の作製方法は、特に限定されないが、例えば、次のように、作製することができる。Niなどの金属基板に、ダイヤモンドバイトなどの切削工具を用いた機械切削で加工することにより、原版70の表面に複数の突起状パターン72を作製することができる。
他の方法として、Si基板上にフォトレジストを塗布した後、露光、現像を行う。そして、RIE(リアクティブイオンエッチング:Reactive Ion Etching)などによるエッチングを行うことにより、原版70の表面に、突起状パターン72を作製することができる。
次に、図8(B)、(C)に示すように、原版70を利用して凹状パターン76を有する第1モールド74を複数製作する。第1モールド74を製作する方法としては、次の方法により、樹脂を用いて行うことができる。1番目の方法は、原版70にPDMS(ポリジメチルシロキサン:polydimethylsiloxane、例えば、ダウ・コーニング社製シルガード184)に硬化剤を添加したシリコーン樹脂を流し込み、100℃で加熱処理し硬化した後に、原版70から突起状パターン72の反転型である、凹状パターン76を有する第1モールド74を作製する。
2番目の方法は、紫外線を照射することにより硬化する紫外線硬化樹脂を原版70に流し込み、窒素雰囲気中で紫外線を照射した後に、原版70から第1モールド74を剥離する方法である。3番目の方法は、ポリスチレンやPMMA(ポリメチルメタクリレート:polymethyl methacrylate)などのプラスチック樹脂を有機溶剤に溶解させたものを剥離剤の塗布された原版70に流し込み、乾燥させることにより有機溶剤を揮発させて硬化させた後に、原版70から第1モールド74を剥離する方法である。
第1モールド74を形成する材料としては、樹脂であり、紫外線硬化樹脂、または、熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化樹脂、または、熱可塑性樹脂を用いることにより、第1モールド74の製作を容易に行うことができ、かつ、型40の突起状パターン42を安定して形成することができる。
次に、図8(D)に示すように、原版70から製作された複数の第1モールド74を接合し、第1モールド74の凹状パターン76が形成された面78を大面積化し、第1集合モールド80を製作する。
第1集合モールド80は、複数の第1モールド74を接合することで製作することができる。第1モールド74の接合は、例えば、接着剤により行うことができる。第1集合モールド80は、次の工程で製造される突起状パターン42を有する型40の型枠となるため、凹状パターン76が形成された面78の平面性が確保された状態で、第1集合モールド80を形成することが好ましい。凹状パターン76が形成された面78の平面性が確保されていないと、その後の工程で製造される電鋳金型、モールド、および、パターンシートにおいて、段差が形成されるため好ましくない。
凹状パターン76の平面性を確保し、第1集合モールド80を製作する方法としては、特に限定されないが、例えば、基板上に、第1モールド74の凹状パターン76が形成された面78を下向きとし、基板に接触する位置に配置した後、接着剤で硬化することで、第1集合モールド80の平面性を確保することができる。このように、基板を用いて第1集合モールド80の平面性を確保することで、第1集合モールド80の第1モールド74間の接着剤との段差、変形などの発生を抑制することができ、第1集合モールド80の平面性を確保することができる。
なお、第1集合モールド80の製作は、行ってもよく、行わなくてもよい。第1集合モールド80を製作しない場合、第1モールド74から突起状パターンを有する型を製作する。ただし、第1集合モールド80を製作することで、1回の電鋳処理で、大面積の型を製作することができるので好ましい。また、その後の工程においても、大面積の型を用いてモールドの製造、および、モールドからパターンシートを製造することができるので、パターンシートの生産性を向上させることができるので好ましい。
図8(E)は、第1集合モールド80を用いて、突起状パターン42を有する型40を製作する工程を示す図である。なお、以下では、一例として、電鋳処理により突起状パターンを有する型を製作する方法を説明する。
電鋳処理においては、まず、第1集合モールド80に対して、導電化処理を行う。第1集合モールド80の第1モールド74に、金属(例えば、ニッケル)をスパッタし、第1集合モールド80の第1モールド74の表面、凹状パターン76に金属を付着する。
次いで、導電化処理を経た第1集合モールド80を陰極に保持する。金属ペレットを金属製のケースに保持し陽極とする。第1集合モールド80を保持する陰極と金属ペレットを保持する陽極とを電鋳液中に浸漬し、通電することで、第1集合モールド80の凹状パターン76に金属が埋め込まれ、剥離することで突起状パターン42を有する型40、いわゆる電鋳金型が製作される(図8(F))。
なお、突起状パターン42を有する型40の作製方法は、上述の方法に限定されない。
次に、上記の製造方法で製造されたモールド10を用いて、マイクロニードルアレイを製造する方法について説明する。図9は、マイクロニードルアレイ96を製造する工程図であり、図10はモールド準備工程の部分拡大図である。
図9(A)は、モールド準備工程を示している。モールド10の第2面14を、多孔質体の平板である吸着板90に固定する。モールド10を吸着板90に固定する前は、図10(A)に示すように突出部20に力が加えられていないので、第2開口16Bは開放されている。次に、図10(B)に示すように、モールド10の第2面14が吸着板90に固定されると、突出部20に吸着板90から凹部16の方向に力が加えられる。この力により突出部20が変形し、突出部20が第2開口16Bを閉じる。突出部20が重なり合って、又は重なり合わずに、第2開口16Bを閉じる。吸着板90となる、多孔質の平板としては焼結金属、セラミック、樹脂等を使用することができる。
本実施形態では、突出部20は断面視で先細りの形状を有している。したがって、突出部20を容易に変形することができる。
図9(B)は、吸着板90を吸引しながら、モールド10の凹状パターン18の凹部16にポリマー溶解液92を供給する工程を示している。
マイクロニードルアレイ96を形成するポリマー溶解液92の材料としては、水溶性材料を用いることが好ましい。マイクロニードルアレイの製造に用いられるポリマー溶解液の樹脂ポリマーの素材としては、生体適合性のある樹脂を用いることが好ましい。このような樹脂としては、グルコース、マルトース、プルラン、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルデンプンなどの糖類、ゼラチンなどのタンパク質、ポリ乳酸、乳酸・グリコール酸共重合体などの生分解性ポリマーを使用することが好ましい。これらの中でもゼラチン系の素材は多くの基材と密着性をもち、ゲル化する材料としても強固なゲル強度を持つため、基材と密着させることができ、マイクロニードルアレイ96をモールド10から剥離する際、基材(不図示)を用いてマイクロニードルアレイ96を剥離することができるので、好適に利用することができる。濃度は材料によっても異なるが、薬剤を含まないポリマー溶解液92中に樹脂ポリマーが10〜50質量%含まれる濃度とすることが好ましい。また、溶解に用いる溶媒は、温水以外であっても揮発性を有するものであればよく、メチルエチルケトン(MEK:methyl ethyl ketone)、アルコールなどを用いることができる。そして、ポリマー溶解液92中には、用途に応じて体内に供給するための薬剤を共に溶解させることが可能である。薬剤を含むポリマー溶解液のポリマー濃度(薬剤自体がポリマーである場合は薬剤を除いたポリマーの濃度)としては、0〜30質量%含まれることが好ましい。ここで水溶性材料とは、水に可溶な材料を意味する。
ポリマー溶解液92の調製方法としては、水溶性の高分子(ゼラチンなど)を用いる場合は、水溶性粉体を水に溶解し、溶解後に薬剤を添加してもよいし、薬剤が溶解した液体に水溶性高分子の粉体を入れて溶かしても良い。水に溶解しにくい場合、加温して溶解してもよい。温度は高分子材料の種類により、適宜選択可能であるが、約60℃以下の温度で加温することが好ましい。ポリマー樹脂の溶解液の粘度は、薬剤を含む溶解液では100Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは10Pa・s以下とすることが好ましい。薬剤を含まない溶解液では2000Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1000Pa・s以下とすることが好ましい。ポリマー溶解液92の粘度を適切に調整することにより、モールドの針状凹部に容易に溶解液を注入することが容易となる。例えば、ポリマー溶解液92の粘度は、細管式粘度計、落球式粘度計、回転式粘度計または振動式粘度計で測定することができる。
ポリマー溶解液92に含有させる薬剤は、薬剤としての機能を有するものであれば限定されない。特に、ペプチド、タンパク質、核酸、多糖類、ワクチン、水溶性低分子化合物に属する医薬化合物、又は化粧品成分から選択することが好ましい。
このようなポリマー溶解液92をモールド10の凹部16に注入する方法としては、例えば、スピンコーターを用いた塗布を挙げることができる。
モールド10の凹部16の第2開口16Bは、突出部20の変形により、一見して閉じられているので、水密状態にある。したがって、吸着板90を吸引しても、ポリマー溶解液92が漏れ出すことはない。
一方、第2開口16Bは、突出部20が変形により、閉じられているので、気密状態ではない。したがって、吸着板90を吸引することにより、凹部16から空気を除去することができる。ポリマー溶解液92の漏れ防止と、凹部16の空気の除去とを達成することができる。
図9(C)は、ポリマー溶解液92を乾燥させてポリマーシート94とする工程を示している。例えば、モールド10に供給されたポリマー溶解液92に風を吹き付けることにより乾燥させることができる。ポリマーシート94とは、ポリマー溶解液92に所望の乾燥処理を施した後の状態を意味する。ポリマーシート94の水分量等は適宜設定される。なお、乾燥により、ポリマーの水分量が低くなりすぎると剥離しにくくなるため、弾力性を維持している状態の水分量を残存させておくことが好ましい。
図9(D)、(E)は、ポリマーシート94をモールド10から剥離し、マイクロニードルアレイ96とした状態を示す図であり、図9(F)は、マイクロニードルアレイ96を切断して、個別のマイクロニードルアレイ96A、96B、96Cとする工程を説明する図である。
モールド10から剥離したマイクロニードルアレイ96は切断装置(不図示)にセットされ、マイクロニードルアレイ96を切断する位置が決定される。基本的には、突起状パターン98を有する領域98A、98B、98Cごととなるように切断位置を決定する。図9(F)に示すように、マイクロニードルアレイ96を切断して、複数の個別のマイクロニードルアレイ96A、96B、96Cとする。
なお、本実施形態では、ポリマー溶解液92をモールド10の凹状パターン18に充填し、乾燥することによりポリマーシート94を形成する場合を説明したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、薬剤を含むポリマー溶解液をモールド10の凹状パターン18に充填して乾燥し、その後、薬剤を含まないポリマー溶解液をモールド10の凹状パターン18に充填し、乾燥することによりポリマーシート94を形成することができる。
また、モールド10の使用は、初回の1回限りの使用とし、使い捨てとすることが好ましい場合がある。マイクロニードルアレイ96が医薬品として用いられる場合、製造されるマイクロニードルアレイ96の生体への安全性を考慮して、使い捨てとすることが好ましい。また、使い捨てとすることで、モールド10を洗浄する必要がなくなるので、洗浄によるコストを下げることができる。特に、マイクロニードルアレイ96が、医薬品として用いられる場合には、高い洗浄性が求められるため、洗浄コストが高くなる。
製造されるマイクロニードルアレイ96の突起状の形状は、先端が先細り形状となっていれば、特に限定されないが、例えば、円錐状、または、三角錐、四角錐などの角錐状の形状とすることができる。また、先細り形状のニードル部と、ニードル部と接続された錐台部とにより形成することができる。
突起状パターン98の突起部の高さは、100μm以上2000μm以下の範囲であり、好ましくは、200μm以上1500μm以下である。
製造される突起状パターン98を有するマイクロニードルアレイ96は、突起状パターン42を有する型40の複製であるため、型40の突起状パターン42の形状、または、原版70の突起状パターン72の形状を所望の形状とすることで、製造されるマイクロニードルアレイ96の突起状パターン98を所望の形状とすることができる。
シートの製造方法として、マイクロニードルアレイの製造方法について説明したが、特に限定されず、ポリマー溶解液に代えて、モールド10のシートを作製きる液であれば良く、特に限定されない。