JP2017062151A - 放射線検出素子及びその使用方法 - Google Patents

放射線検出素子及びその使用方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Tl4+2xSxI4で表すことができる単結晶体を放射線検出材料として用いた放射線検出素子に関し、放射線応答特性に優れた新たな放射線検出素子を提供する。【解決手段】式:Tl4+2xSxI4(式中、x=0.77〜1.07)で表すことができる単結晶体からなる結晶層と、前記結晶層の一側に配置され、Pt、Pd、Ir、Ni、C、Re、Co、Ge、Os、Au、Fe、Ru、Si、Cu、W、Mo、Cr、Hg、Sn、Ti、Ga、V、Ta、Ag、Pb及びBiからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層Aと、前記結晶層の前記電極層Aとは反対側に配置され、Al、In、Mn、Zr、Cd、Hf、Zn、Tl、Mg、Sc及びYからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層Bと、を備えた放射線検出素子。【選択図】なし

Description

本発明は、アルファ線、ベータ線、ガンマ線などの放射線を検出できる放射線検出素子及びその使用方法に関する。
放射線検出素子としては、放射線を直接電荷に変換して電荷を蓄積する直接変換方式による素子と、放射線を一度、蛍光体で光に変換し、その光を光導電層で電荷に変換し蓄積する間接変換方式による素子とがある。
間接変換方式による放射線検出素子は、小型化するのが困難であるなどの課題を抱えていたため、近年、直接変換方式による放射線検出素子が注目を集めている。
ところで、放射線を吸収して直接電気信号に変換できる材料として、例えばCdTeやCdZnTeなどが知られている。また、ガンマ線検出材料としてTlBrが研究されている。
さらに最近、Tl6SeI4がX線を直接電気信号に変換できることが開示され(特許文献1、特許文献2)、Tl6SI4についてもX線を直接電気信号に変換できることが報告されている(非特許文献1)。
US8519347B2 WO2012021519
Sandy L.Nguyen.「Photoconductivity in TI6SI4:A Novel Semiconductor for Hard Radiation Detection」.CHEMISTRY OF MATERIALS,2013.25,P2868-2877
Tl4+2xx4で表すことができる材料は、CdTeやCdZnTeに比べて密度が高いため、放射線の検出感度を高くすることができるばかりか、バンドキャップが大きく、比抵抗が高いため、エネルギー分解能を高くすることができ、高解像度の画像を得ることもできるため、注目されている放射線検出材料の一つである。
ところが、従来開示されていたTl4+2xx4は、比抵抗の数値などをみても、PET(positron emission tomography(陽電子放出断層撮影))やSPECT(single photon emission computed tomography(単一光子放射断層撮影))などの放射線検出素子に使用するには実用性に乏しいものであった。
また、放射線検出材料を用いた放射線検出素子に関しては、わずかな量の放射線でも高い感度で検知できる放射線応答特性をさらに高めることが求められている。
そこで本発明は、Tl4+2xx4で表すことができる単結晶体を放射線検出材料として用いた放射線検出素子に関し、放射線応答特性をさらに向上させることができる、新たな放射線検出素子及びその使用方法を提案せんとするものである。
本発明は、式:Tl4+2xx4(式中、x=0.77〜1.07)で表すことができる単結晶体からなる結晶層と、前記結晶層の一側に配置され、Pt、Pd、Ir、Ni、C、Re、Co、Ge、Os、Au、Fe、Ru、Si、Cu、W、Mo、Cr、Hg、Sn、Ti、Ga、V、Ta、Ag、Pb及びBiからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層Aと、前記結晶層の前記電極層Aとは反対側に配置され、Al、In、Mn、Zr、Cd、Hf、Zn、Tl、Mg、Sc及びYからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層Bと、を備えた放射線検出素子を提案する。
なお、C、Ge、Siは半金属として分類されることがあるが、本発明では電極材を構成する金属として分類する。
本発明はまた、上記放射線検出素子の使用方法として、電極層Aを陽極とし、電極層Bを陰極とするように、放射線検出素子に対して電圧を印加(「順方向に電圧を印加」とも称する)した後、電極層Aを陰極とし、電極層Bを陽極とするように該放射線検出素子に対して電圧を印加(「逆方向に電圧を印加」とも称する)して使用することを特徴とする、放射線検出素子の使用方法を提案する。
本発明が提案する放射線検出素子は、放射線、特にガンマ線を吸収して直接電気信号に変換することができるばかりか、放射線応答特性をさらに向上させることができ、例えばPETなどの実用的な放射線検出器に好適に使用することができる。
また、このような本発明が提案する放射線検出素子は、一度順方向に電圧を印加した後、逆方向に電圧を印加して使用することにより、放射線応答特性を効果的に向上させることができる。
実施例1で作製した放射線検出素子(サンプル)のI−Vカーブである。 実施例2で作製した放射線検出素子(サンプル)のI−Vカーブである。 実施例3で作製した放射線検出素子(サンプル)のI−Vカーブである。 比較例1で作製した放射線検出素子(サンプル)のI−Vカーブである。 比較例5で作製した放射線検出素子(サンプル)のI−Vカーブである。 比較例2で作製した放射線検出素子(サンプル)のI−Vカーブである。 比較例3で作製した放射線検出素子(サンプル)のI−Vカーブである。 比較例4で作製した放射線検出素子(サンプル)のI−Vカーブである。 実施例3で作製した放射線検出素子(サンプル)に対して241Am線源からのガンマ線を照射し、電圧印加の順番を変えたときの波高分布スペクトルである。 比較例5で作製した放射線検出素子(参照サンプル)に対して241Am線源からのガンマ線を照射し、電圧印加の順番を変えたときの波高分布スペクトルである。 参照実施例3で作製した単結晶体のX線回折プロファイルである。 参照実施例3で作製した単結晶体を使用して作製した検出素子の透過像(写真)である。 参照実施例3で作製した放射線検出素子(参照サンプル)に対して137Cs線源からのガンマ線を照射した前後での波高分布スペクトルである。 参照実施例3の放射線検出素子(参照サンプル)に対して109Cd線源からのガンマ線を照射したときの波高分布スペクトルである。 参照実施例3の放射線検出素子(参照サンプル)に対して241Am線源からのガンマ線を照射したときの波高分布スペクトルである。 参照実施例3の放射線検出素子(参照サンプル)のI−Vカーブである。 参照比較例3で作製した放射線検出素子(参照サンプル)のI−Vカーブである。 参照実施例1〜4及び参照比較例1〜3で作製した放射線検出素子(参照サンプル)について、式:Tl4+2xx4のx値と、比抵抗との関係をプロットした図である。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本放射線検出素子>
本発明の実施形態の一例に係る放射線検出素子(「本放射線検出素子」と称する)は、結晶層と、当該結晶層の一側に配置された電極層Aと、前記結晶層の他側、すなわち前記電極層Aとは反対側に配置された電極層Bと、を備えた構成からなるものである。
<電極層A>
電極層Aは、前記結晶層の一側に配置され、Pt、Pd、Ir、Ni、C、Re、Co、Ge、Os、Au、Fe、Ru、Si、Cu、W、Mo、Cr、Hg、Sn、Ti、Ga、V、Ta、Ag、Pb及びBiからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層であるのが好ましい。中でも化学的安定性の観点からPt、Au、Ti、Ag、Pb、Biがより好ましく、その中でもPt、Auがより好ましい。
電極層Aを構成する金属又は合金は、本放射線検出素子に整流性を付与することができる観点から、仕事関数が4.2eVより大きい金属又は合金であるのが好ましく、中でも仕事関数が4.5eV以上或いは6.0eV以下、その中でも5.0eV以上或いは5.7eV以下である金属又は合金であるのがさらに好ましい。
ちなみに、結晶層を構成する本単結晶体の仕事関数は約5.0eVであった。
本単結晶体の仕事関数の測定は、1mmの厚みの平板状の本単結晶体について仕事関数測定を行った。測定装置として、光電子収量法型仕事関数測定装置AC−3(理研計器社製)を用いた。測定には、窒素雰囲気中で4〜7eVの紫外光を用い、陽極電圧は3030Vを用いた。x軸に紫外光のエネルギー、y軸に光電子放出数(光量補正係数で補正)の0.5乗をプロットし、グラフの立ち上がり接線のx軸切片を求めることで、本単結晶体の仕事関数を求めた。
電極層Aは、シート状を呈していても、膜状を呈していても、回路状を呈していても、その他の形態であってもよい。
電極層Aの厚みに関しては、電極層の厚みが大きい程、電気接点を安定して確保することができ、電気伝導度を高めることができる一方、厚過ぎるとコスト高になるため、かかる観点から、1nm〜1×10nmであるのが好ましく、中でも5nm以上或いは1×10nm以下、その中でも1×10nm以上或いは1×10nm以下であるのがさらに好ましい。
電極層Aは、蒸着、スパッタリング、無電解メッキ、その他の方法で形成することができる。
<電極層B>
電極層Bは、前記結晶層の他側、例えば前記結晶層の電極層Aとは反対側に配置され、Al、In、Mn、Zr、Cd、Hf、Zn、Tl、Mg、Sc及びYからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層であるのが好ましい。中でも化学的安定性の観点からAl、In、Zn、Tlがより好ましく、その中でもIn、Zn、Tlがより好ましい。
電極層Bを構成する金属又は合金は、本放射線検出素子に整流性を付与することができる観点から、仕事関数が4.2eV以下である金属又は合金であるのが好ましく、中でも仕事関数が3.2eV以上、その中でも3.5eV以上である金属又は合金であるのがさらに好ましい。
電極層Bは、シート状を呈していても、膜状を呈していても、回路状を呈していても、その他の形態であってもよい。
電極層Bの厚みに関しては、電極層の厚みが大きい程、電気接点を安定して確保することができ、電気伝導度を高めることができる一方、厚過ぎるとコスト高になるため、かかる観点から、1nm〜1×10nmであるのが好ましく、中でも5nm以上或いは1×10nm以下、その中でも1×10nm以上或いは1×10nm以下であるのがさらに好ましい。
電極層Bは、蒸着、スパッタリング、無電解メッキ、その他の方法で形成することができる。
<結晶層>
本放射線検出素子における結晶層は、式:Tl4+2xx4(式中、x=0.77〜1.07)で表すことができる単結晶体(「本単結晶体」と称する)からなるものであるのが好ましい。
(本単結晶体の組成)
本単結晶体の組成式Tl4+2xx4において、xは0.77〜1.07であることが重要であり、中でも0.83以上或いは1.02以下であるのが好ましい。また、比抵抗の観点からは、前記範囲の中でも、xは0.77〜0.99であるのが好ましい。
本単結晶体の組成は、比抵抗を高める観点から、化学量論組成(stoichiometry)であるx=1.0に近い所定の範囲内、すなわちx=0.77〜1.07であることが重要である。但し、x=0.77〜1.07に制御することは簡単なことではない。後述するように、ゾーンメルト精製(帯域精製)では、TlIが蒸発して再混入することによってTlIリッチになり易いため、後述するような特別な工夫が必要である。例えば、帯溶融精製において、アンプル内を不活性ガス雰囲気とすると共に、加熱温度をできるだけ低温、具体的には440〜450℃にすることで、TlIの蒸発を抑制しつつ、精製回数を少なくとも50回以上行った後、純度の高い先端部のみ取り出し、再度別のアンプルに入れて、さらに50回以上の精製を行うようにするなどの工夫が必要である。
(本単結晶体の物性)
本単結晶体、すなわちTl4+2xx4(式中、x=0.77〜1.07)で表すことができる単結晶体は、密度が7.25g/cmであって、CdTe(6.2g/cm)やCdZnTe(6.0g/cm)に比べて密度が高いため、放射線の検出感度を高くすることができる。また、ガンマ線の検知に重要な光電効果を起こす確率は、物質の原子番号Zの5乗に比例するため、Zの大きいTl(Z=81)を含むTl4+2xx4(式中、x=0.77〜1.07)で表すことができる単結晶体は、Cd(Z=48)及びTe(Z=52)を含むCdTeやCdZnTeに比べ、放射線の検出感度を高くすることができる。
さらに、本単結晶体は、バンドキャップが大きく、比抵抗が高いため、エネルギー分解能を高くすることができ、高解像度の画像を得ることができる。
また、本単結晶体は、素子化において適度な硬度を有しており、潮解性もないため、加工性の問題がない点でも優れている。
さらに、本単結晶体の融点は、最高でも440℃と低く、CdTe(融点819℃)やCdZnTe(融点1092〜1295℃)といった高融点の物質と比べて結晶製造時の電力コストが低いという点でも生産性にも優れている。
(本単結晶体の純度)
本単結晶体は、その純度が4N以上であるのが好ましく、中でも6N以上、その中でも8N以上であるのが特に好ましい。
上述したように、本単結晶体の組成が所定範囲内すなわちx=0.77〜1.07に制御されており、且つ、不純物が極めて少ないことに起因して、本発明放射線検出材料の比抵抗を顕著に高くすることができる。
本単結晶体の純度を上記の如く高めて不純物濃度を下げるためには、例えば、後述するように、帯溶融精製において、アンプル内を不活性ガス雰囲気とすると共に、加熱温度をできるだけ低温、具体的には440〜450℃にすることで、ヨウ化タリウムの蒸発を抑制しつつ、精製回数を少なくとも50回以上行った後、純度の高い先端部のみ取り出し、再度別のアンプルに入れて、さらに50回以上の精製を行うようにするのが好ましい。但し、この方法に限定するものではない。
(本結晶体の特性)
本単結晶体は、比抵抗を1×1011Ω・cm以上とすることができる。中でも1×1012Ω・cm以上とすることができ、その中でも1×1013Ω・cm以上とすることができる。
従来開示されていたTl6SI4の比抵抗は5.7×109Ω・cm〜2.6×1010Ω・cm程度であったため、これに比べて本単結晶体の比抵抗は顕著に高いことが認められる。このように本単結晶体の比抵抗が高い原因としては、本単結晶体の組成が所定範囲内すなわちx=0.77〜1.07に制御されており、且つ、不純物が極めて少ないためであると推察することができる。
本結晶体は、放射線、特にガンマ線を吸収して直接電気信号に変換することができる直接変換型放射線検出材料である。
放射線としては、ガンマ線やX線などの電磁放射線と、アルファ線、ベータ線、電子線、陽子線、中性子線、重粒子線などの粒子放射線とを挙げることができる。
本単結晶体は、密度が高く、放射線、特にガンマ線の検出材料として検出感度を高くすることができる。
(本結晶体の製造方法)
本単結晶体の製造方法の一例としては、例えば、所定量のTlI粉末と、所定量のTl2S粉末とを混合し、混合物をガラス管内に封入し、加熱してTl−S−I化合物を合成し、得られた合成物に対して所定の精製を行い、その後、結晶育成を行って単結晶体を得、必要に応じて研磨して本単結晶体を得る方法を挙げることができる。
原料としては、単相のTlI及び単相のTl2Sを、それぞれ製造するか或いは購入して用意し、これらを原料として用いて製造するのが好ましい。
この際、TlI及びTl2Sのいずれかが異相を有するものであると、製造される単結晶体も異相を有するものとなる可能性が高くなり、例えば、本発明放射線検出材料のように、比抵抗を1×1011Ω・cm以上とすることが困難となる。
Tl−S−I化合物を合成する際の密閉管内の雰囲気としては、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気が好ましく、その際の加熱温度としては500〜700℃が好ましく、中でも550℃以上或いは650℃以下であるのがさらに好ましい。加熱時間は、数分以上、好ましくは6時間以上で加熱温度に応じて適宜調整するのが好ましい。
精製方法は、本単結晶体を製造する上で極めて重要である。
例えば、上述のようにして合成したTl−S−I化合物をアンプルに入れて、アルゴンなどの不活性雰囲気として密封し、このアンプルを、移動型ヒーターで周囲から加熱する帯域精製(ゾーンメルト精製)を繰り返し行うのが好ましい。
この際、帯域精製の際の温度をできるだけ低温、具体的には440〜450℃にすることで、TlIの蒸発を抑制しながら、精製回数を少なくとも50回以上行った後、純度の高い先端部のみ取り出し、再度別のアンプルに入れて、さらに50回以上の精製を行うのが好ましい。
これにより、TlIの蒸発を抑制することができ、しかも、蒸発したTlIが再混入することを抑制することができるため、1×1011Ω・cm以上という高抵抗の単結晶を得ることができる。
結晶育成方法は、単結晶を育成できる方法であれば任意である。例えば、チョクラルスキー法(CZ法)、徐冷法、水平ブリッジマン法(HB法)、垂直ブリッジマン法(VB法)、トラベリングヒーター法(TH法)などを挙げることができる。
研磨法も任意であり、例えば研磨紙による研磨や、湿式研磨を適宜採用すればよい。
(結晶層の厚さ)
結晶層の厚さは、特に限定するものではなく、用途に応じて決定するのが好ましい。例えば、低エネルギーガンマ線を検出する用途の場合には、電圧を高めて電界強度を高めるために薄い方が好ましいから、0.1mm〜2.0mm、中でも0.3mm以上或いは1.5mm以下であるのが好ましい。他方、高エネルギーガンマ線を検出する用途の場合には、薄いとガンマ線が突き抜けてしまうため厚い方が好ましいから、2.0mm〜10.0mm、中でも3.0mm以上或いは6.0mm以下であるのが好ましい。
<本放射線検出素子の特徴及び用途>
本放射線検出素子は、整流性を示し、アルファ線、ベータ線、ガンマ線などの放射線を検出できる放射線検出素子として使用することができる。
例えば、本放射線検出素子に電圧を印加すると、137Cs線源からのガンマ線が検出素子に入射したときに発生する相互作用により電荷が発生し、電流ピークとしてガンマ線の応答を確認することができる。
また、本放射線検出素子に電圧を印加すると、109Cd線源および241Am線源のガンマ線に対するシグナルを確認することができ、光電ピークを測定することができる。
本放射線検出素子は、例えばPETやSPECTなどの放射線医療装置の放射線検出材料として有効に用いることができる。また、医療分野だけではなく、原子力、天文学、宇宙線物理学の分野で利用される放射線検出素子、画像診断装置、イメージング装置など、広い分野の放射線検出装置に用いることができる。
本放射線検出素子は、特にガンマ線応答特性(μτ積)を向上させることができるから、ガンマ線検出素子として有効に使用することができる。
本放射線検出素子は、放射線検出素子としての使用方法として、電極層Aを陽極とし、電極層Bを陰極とするように、放射線検出素子に対して電圧を印加(「順方向に電圧を印加」とも称する)した後、電極層Aを陰極とし、電極層Bを陽極とするように該放射線検出素子に対して電圧を印加(「逆方向に電圧を印加」とも称する)して使用するのが好ましい。
このように、本放射線検出素子に対して順方向に電圧を印加した後、逆方向に電圧を印加して使用することにより、放射線応答特性をより一層効果的に向上させることができる。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
<実施例1>
単相のTlI(4N)と単相のTl2S(4N)を76.0:24.0の質量比率で混合し、混合物をガラス管内に封入し(アルゴン0.5atm)、600℃で6時間加熱してTl−S−I化合物を合成した。得られた合成物を、440℃で帯域精製を繰り返し50回行った後、純度の高い先端部のみ取り出してガラス製アンプル内に封入し(アルゴン0.5atm)、再び440℃で帯域精製を繰り返し50回行い、精製品を得た。
こうして得られた精製品を、垂直ブリッジマン法により、加熱温度550℃、育成速度1mm/時間で結晶育成して単結晶体を得、これをワイヤーソーCS−203(ムサシノ電子製)で切断し、#400〜#8,000のラッピングフィルムを用いて研磨し、1.0mmの厚みの平板状の単結晶体(Tl4+2xx4(式中、x=0.95))を得た。
こうして得た単結晶体をアセトン中で超音波洗浄した後、室温で乾燥させ、真空蒸着機SVC−700(サンユー電子株式会社製)にセットした。金ワイヤーをタングステン製電極にセットして、5×10−3Paに真空引きをした後、電流約35mAで加熱し、単結晶体の一側に金(Au)を蒸着させ、厚さ約100nm、直径3mmの電極を形成した。次いで、亜鉛粒をタングステン製電極にセットして、5×10−3Paに真空引きをした後、電流約35mAで加熱し、単結晶体の一側に亜鉛(Zn)を蒸着させ、厚さ約100nm、直径3mmの電極を形成し、検出素子(サンプル)を作製した。
<実施例2−3、比較例1−5>
実施例1において、各電極の形成金属を表1に示すように変更した以外、実施例1と同様にして検出素子(サンプル)を作製した。
<仕事関数>
表1に示した電極材質の仕事関数は、文献(T.J.Drummond,"Work Functions of the Transition Metals and Metal Silicides"U.S.Government Report from Sandia National Laboratories(1999))から引用した。
<IV測定方法>
実施例・比較例で得た検出素子(サンプル)について電流電圧測定を行った。
検出素子(サンプル)をAl製の測定ケースに収め、金属電極と外部回路との接続はバネ接点によって行った。測定ケースをデジタルエレクトロメーターR8252(エーディーシー社製)のINPUT端子に接続した。R8252は電圧印加電流測定モードで使用し、電流が安定するまで60〜500秒保持した。IV測定結果はR8252によってアナログ-デジタル変換されたデータをPCで記録した。各電極材質の組み合わせのIVカーブを図1〜8に示す。なお、電極層Aを陽極、電極層Bを陰極とした時の電圧、電流を+側にプロットした。
<素子抵抗、比抵抗>
素子抵抗については、IVカーブの傾きからオームの法則にて検出素子の抵抗R(Ω)を求めた。IVカーブの傾きの計算には、実施例1〜3では、電極層Aを陰極とし、電極層Bを陽極とした時のデータを用いた。比較例1〜3と比較例5では全データを用いた。比較例4では−6V〜+6Vのデータを用いた。それぞれのデータを最小二乗法で直線近似して傾きを求めた。
単結晶体の比抵抗ρ(Ω・cm)は、以下の式から算出した。ただし、Sは電極の面積(cm)、dは検出素子の厚み(cm)である。
ρ=R・S/d
<整流性の有無>
整流性の有無に関しては、IVカーブの形状が原点を中心として点対称の場合「なし」と判定し、IVカーブの形状が原点を中心として非対称の場合「あり」と判定した。
<ガンマ線応答性の評価>
検出素子(参照サンプル)をAl製のガードボックス内に納め、金電極と外部回路との接続はバネ接点によって行った。検出素子の出力を電荷敏感型プリアンプ581K型(クリアパルス株式会社製)に接続し、バイアス電圧の印加はバイアス電源6661P型(クリアパルス株式会社製)により行った。プリアンプからの出力は、スペクトロスコピー・アンプ4417型(クリアパルス株式会社製)で増幅し、デジタル・フォスファ・オシロスコープTDS5052B(テクトロニクス社製)を用いてガンマ線との相互作用で生じる電流ピーク(シグナル)を観察した。波高分布スペクトルの計測は、スペクトロスコピー・アンプの出力をアナログ/デジタル変換機1125型(クリアパルス株式会社製)で処理し、100秒間の信号をPCで記録した。ガンマ線源としては、1MBqの241Amを用い、ガンマ線測定時は検出素子から5mmの距離に設置した。
実施例3について、逆方向に25V電圧を印加した場合(順方向400V印加前)と、順方向に25V電圧を印加した場合(順方向400V印加前)と、順方向に25V電圧を印加した場合(順方向400V印加後120秒保持)と、逆方向に25V電圧を印加した場合(順方向400V印加後120秒保持)の241Amの波高分布スペクトルを図9に示す。なお、各スペクトルはオフセットさせて並べた。
また、比較例5についても、同様の順番で電圧を25V印加した場合の241Amの波高分布スペクトルを図10に示す。
上記実施例及びこれまで行ってきた試験結果からすると、式:Tl4+2xx4(式中、x=0.77〜1.07)で表すことができる単結晶体の一側に、Pt、Pd、Ir、Ni、C、Re、Co、Ge、Os、Au、Fe、Ru、Si、Cu、W、Mo、Cr、Hg、Sn、Ti、Ga、V、Ta、Ag、Pb及びBiからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層Aを形成し、前記結晶体の他側に、Al、In、Mn、Zr、Cd、Hf、Zn、Tl、Mg、Sc及びYからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層Bを形成して検出素子を作製すると、整流性を有することが分かった。特に、仕事関数の低い材質を電極としたときに整流性が発現することが分かった。
さらに上記検出素子は、一度順方向に電圧を印加した後、逆方向に電圧を印加して使用することにより、放射線応答特性を効果的に向上させることができることが分かった。
<波高分布スペクトルの測定>
実施例3で作製した検出素子(サンプル)に、逆方向に25Vの電圧を印加して241Amのガンマ線を照射した際の波高分布スペクトルでは、ガンマ線を検知できているものの、光電ピークは判別できなかった。
上記測定の後、順方向に25Vの電圧を印加した際の241Amの波高分布スペクトルでは、信号強度がわずかに増大してチャネルが高くなったものの、光電ピークは判別できなかった。
さらに400Vまで順方向電圧を印加して120秒保持した後、25Vの電圧を順方向に印加して241Amの波高分布スペクトルでは、大幅に信号強度が増大してチャネルが高くなり、241Amの光電ピークが明確に判断できるようになった。
さらにその後、逆方向に25Vの電圧を印加して241Amの波高分布を測定したところ、光電ピークが明確に判断できるようになった。また、順方向に電圧印加した場合よりも低チャネル側に見られる暗電流が低減された。
また、比較として、整流性のない比較例5の素子に、上記実施例3と同様の手順で電圧を印加して241Amの波高分布スペクトルを測定したところ、順方向に電圧を印加させても241Am波高分布スペクトルは変化しなかった。
<整流性電極の効果>
図9及び図10を対比すると、整流性のない素子ではガンマ線への応答信号強度が低いが、整流性のある素子で順方向に電圧を印加した後逆方向に電圧を印加するとガンマ線への応答信号強度が大きくなり、明瞭に光電ピークが確認できた。実施例3で得られた放射線検出素子は、ガンマ線を吸収して直接電気信号に変換することができるばかりか、放射線応答特性をさらに向上させることができることができた。
<総合的な考察>
一般にガンマ線を検知する単結晶体には、発生した電子とホールを捕獲するトラップとなる欠陥や不純物が存在する。このトラップが少ないほどガンマ線による信号強度が大きくなり高性能であると言える。
整流性のある素子に順方向に電圧を印加させるとガンマ線の信号強度が増大して光電ピークが明確になったことから、単結晶に含まれるトラップが減少したと考えられる。
順方向に高電圧を印加すると大きな電流が流れ、強制的にキャリアが注入されて電子とホールのトラップが満たされ、結果として単結晶体中のトラップが減少した状態になったと考えられる。
CdTeなどの既存の放射線検出器でも整流性素子が製造され、逆方向に電圧を印加させて用いられている。しかし、その意図は素子抵抗を高めるためだけであると考えられる。
<参照実施例・参照比較例>
本放射線検出素子に用いる単結晶体の特性については、下記参照実施例及び参照比較例に基づいて検討した。
単相のTlI(4N)と単相のTl2S(4N)の量を、参照実施例・参照比較例毎に変えて混合し、混合物をガラス管内に封入し(アルゴン0.5atm)、600℃で6時間加熱してTl−S−I化合物を合成した。得られた合成物を、440℃で帯域精製を繰り返し50回行った後、純度の高い先端部のみ取り出してガラス製アンプル内に封入し(アルゴン0.5atm)、再び440℃で帯域精製を繰り返し50回行い、精製品を得た。こうして得られた精製品を、トラベリングヒーター法(TH法)により、加熱温度440℃、育成速度5mm/時間で結晶育成して単結晶体を得、これを0.3μmのアルミナ研磨剤を用いてバフ研磨して単結晶体を得た。
前記のようにして単結晶体を秤量して塩酸と硝酸の混合物中で溶解し、適宜希釈した後ICP発光分析装置により液中のTl、S、Iの定量を行った。単結晶体の重量と希釈率により、単結晶体のTl、S、I組成(重量%)を算出した。各Tl、S、I組成値から、式:Tl4+2xx4におけるxを算出し表2に示した。
前記のようにして得られた単結晶体をメノウ乳鉢で粉砕し、粉末X線回折測定(XRD測定)を行った。測定装置は、試料水平型強力X線回折装置RINT-TTRIII(株式会社リガク製)を用いた。測定にはCuKα線を用い、加速電圧は50kV、印加電流は300mAとした。参照実施例3で作製した単結晶体のX線プロファイルを図11に示す。
XRD測定した結果、参照実施例1〜4及び参照比較例1〜3で作製した単結晶体はいずれも、単相のTlSIからなる単結晶体であることが分かった。
前記のようにして単結晶体を、0.3μmのアルミナ研磨剤を用いてバフ研磨して、0.3〜1.5mmの厚みの平板状の単結晶体を得た。これをアセトン中で超音波洗浄した後、室温で乾燥させ、真空蒸着機SVC−700(サンユー電子株式会社製)にセットした。金ワイヤーをタングステン製電極にセットして、5×10−3Paに真空引きをした後、電流約35mAで加熱し、単結晶体へ金を蒸着させ、厚さ約100nm、直径3mmの電極を形成し、検出素子(参照サンプル)を得た。
参照実施例3で作製した単結晶体を使用して作製した検出素子の透過像(写真)を図12に示す。
(放射線評価:ガンマ線応答測定)
検出素子(参照サンプル)をAl製のガードボックス内に納め、金電極と外部回路との接続はバネ接点によって行った。検出素子の出力を電荷敏感型プリアンプ581K型(クリアパルス株式会社製)に接続し、バイアス電圧の印加はバイアス電源6661P型(クリアパルス株式会社製)により行った。プリアンプからの出力は、スペクトロスコピー・アンプ4417型(クリアパルス株式会社製)で増幅し、デジタル・フォスファ・オシロスコープTDS5052B(テクトロニクス社製)を用いてガンマ線との相互作用で生じる電流ピーク(シグナル)を観察した。波高分布スペクトルの計測は、スペクトロスコピー・アンプの出力をアナログ/デジタル変換機1125型(クリアパルス株式会社製)で処理し、600秒間の信号をPCで記録した。ガンマ線源としては、1MBqの137Cs、109Cd、241Amを用い、ガンマ線測定時は検出素子から5mmの距離に設置した。
ガンマ線応答性を次の基準で評価し、評価結果を表2に示した。
○(good):137Cs線源のガンマ線でシグナルが検出でき、且つ、109Cd線源のガンマ線及び241Am線源のガンマ線の光電ピークが確認できた。
△(fair):137Cs線源のガンマ線でシグナルが検出できたが、109Cd線源のガンマ線及び241Am線源のガンマ線の光電ピークが確認できなかった。
×(poor):137Cs線源のガンマ線でシグナルが検出できなかった。
(比抵抗測定)
検出素子(参照サンプル)をAl製のガードボックス内に納め、金電極と外部回路との接続はバネ接点によって行った。検出素子の出力をBNCの同軸ケーブルにてデジタルエレクトロメーターR8252(株式会社エーディーシー製)に接続し、I−V測定を実施した。I−V測定の傾きから、検出素子の抵抗R(Ω)を求めた。また、単結晶体の比抵抗ρ(Ω・cm)は、以下の式から算出した。ただし、Sは電極の面積(cm)、dは検出素子の厚み(cm)である。
ρ=R・S/d
図16に参照実施例3、図17に参照比較例3のI−Vカーブを示した。
参照実施例1〜4及び参照比較例1〜3について、xと、比抵抗と、ガンマ線測定の結果を表2に示す。
(考察)
参照実施例・比較例の比抵抗についてみると、参照実施例3を用いた検出素子の比抵抗は1.1×1013Ω・cmと非常に高いため、ガンマ線検出時のノイズ(暗電流)を低く抑えることができた。他の参照実施例についても、同様にガンマ線検出時のノイズ(暗電流)を低く抑えることができた。
他方、参照比較例3を用いた検出素子の抵抗は7.7×10Ω・cmと低いため、ガンマ線検出時のノイズ(暗電流)が大きくなってしまった。他の参照比較例についても、同様にガンマ線検出時のノイズ(暗電流)は大きいものであった。
参照実施例3の検出素子に800Vのバイアス電圧を印加して137Cs線源を近づけると、シグナルが確認できた。ガンマ線照射前後での参照実施例3の波高分布スペクトルを図13に示す。ガンマ線照射の有無で明確に波高分布スペクトルが異なることにより、137Csのガンマ線を検知できた。また、同条件で109Cd、241Am線源からのガンマ線を照射したときの参照実施例3の波高分布スペクトルを図14、図15に示す。
109Cdの22keV、88keV、241Amの59.5keVのエネルギーのガンマ線による光電ピークが明確に判別できる。このことから、参照実施例3はガンマ線のエネルギーを弁別してガンマ線量を計測できる能力を有すると考えられる。
参照実施例1の検出素子に100Vのバイアス電圧を印加して137Cs線源を近づけると、シグナルが確認できたため、ガンマ線への応答が可能なことを確認した。しかし、109Cd、241Am線源からのガンマ線を照射したときの波高分布スペクトルでは、光電ピークが確認できなかったため、ガンマ線検出素子としての能力は参照実施例3に比べると劣るものであった。これは、組成分析結果で得られたxが小さく、比抵抗が低いためであると考えられる。
他方、参照比較例1〜3のように比抵抗が低い単結晶体を用いた検出素子の場合、検出素子に137Cs線源を近づけてもシグナルが確認できなかった。これは、ガンマ線との相互作用による電流が流れないか、もしくは信号が弱くノイズに埋もれてしまうためと考えられる。
比抵抗の大きい参照実施例3、4については、137Csのガンマ線を検知でき、109Cd、241Am線源のガンマ線の光電ピークを観測できた。参照実施例1は137Csのガンマ線を検知できたが、109Cd、241Am線源のガンマ線の光電ピークは観測されなかった。
一方で、参照比較例1〜3は比抵抗が低いため、137Csのガンマ線を検知できなかった。
図18に、参照実施例1〜4及び参照比較例1〜3について、式:Tl4+2xx4のx値と比抵抗との関係をプロットした。
この図から、ガンマ線を検出するためには、放射線検出材料の比抵抗が1×1011Ω・cm以上あることが必要であり、そのときのTl4+2xx4式中で表されるxの範囲は0.77〜1.10であることを見出した。望ましくは、単結晶体の比抵抗が1012Ω・cm以上であり、そのときのxの範囲は0.83以上或いは1.07以下であると考えられる。
上記参照実施例及びこれまで発明者が行ってきた試験結果などから、式:Tl4+2xx4(式中、x=0.77〜1.07)で表すことができる単結晶体を含有する放射線検出材料、中でも、前記単結晶体の比抵抗が1×1011Ω・cm以上である放射線検出材料であれば、37Cs線源のガンマ線に対するON/OFFを確認することができるばかりか、109Cd、241Am線源のガンマ線に対する応答シグナルを確認することができ、光電ピークを測定することができた。よって、PETなどの実用的な放射線検出器に十分に使用することができることが分かった。

Claims (5)

  1. 式:Tl4+2xx4(式中、x=0.77〜1.07)で表すことができる単結晶体からなる結晶層と、
    前記結晶層の一側に配置され、Pt、Pd、Ir、Ni、C、Re、Co、Ge、Os、Au、Fe、Ru、Si、Cu、W、Mo、Cr、Hg、Sn、Ti、Ga、V、Ta、Ag、Pb及びBiからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層Aと、
    前記結晶層の前記電極層Aとは反対側に配置され、Al、In、Mn、Zr、Cd、Hf、Zn、Tl、Mg、Sc及びYからなる群から選択される一種又は二種以上の金属又は合金を含有する電極層Bと、を備えた放射線検出素子。
  2. 前記単結晶体の比抵抗が1×1011Ω・cm以上であることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出素子。
  3. 整流性を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線検出素子。
  4. ガンマ線検出に用いることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の放射線検出素子。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の放射線検出素子の使用方法であって、
    電極層Aを陽極とし、電極層Bを陰極とするように、放射線検出素子に対して電圧を印加した後、電極層Aを陰極とし、電極層Bを陽極とするように該放射線検出素子に対して電圧を印加して使用することを特徴とする、放射線検出素子の使用方法。
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