JP2017060498A - 3次元培養による細胞の再プログラミング - Google Patents

3次元培養による細胞の再プログラミング Download PDF

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Abstract

【課題】細胞を再プログラミングするための代替方法を提供する。
【解決手段】3次元細胞凝集体の形成を可能にする条件下で細胞を培養することにより、細胞を再プログラミングする方法。細胞が低接着性基質上で培養される方法。低接着性基質が、細胞付着を低下させる材料を含む方法。材料が、親水性の中性荷電ハイドロゲル層を含む方法。材料が、寒天、アガロース、およびポリ(2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート)から選択される方法。その方法を用いて得られる細胞および細胞凝集体。
【選択図】図1

Description

幹細胞は、潜在力を維持しながらの増殖の能力、および特殊化した細胞型への分化能において特徴づけられる。そのような特徴はまた、幹細胞性と呼ばれ、そのことにより、幹細胞が科学的研究および治療的適用に大いに有望であると期待されている。かなりの関心が、細胞幹細胞性に、特に、幹細胞性を獲得するように体細胞を再プログラミングする方法に注がれている。Yamanakaらの先の研究は、多能性幹細胞が重要な転写因子の強制的過剰発現を介して体細胞から産生され得ることを実証し、幹細胞性操作についての新しい方法を生み出している(TakahashiおよびYamanaka、2006)。それ以来、タンパク質(Kimら、2009;Zhouら、2009)、RNA(Warrenら)、ミクロRNA(Anokye−Dansoら)、または規定された化学物質(Shiら、2008;Zhuら)の利用などの、人工多能性幹細胞(iPS)についてのより安全かつより効率的な方法を設計することに多大な努力が費やされている。これらの方法は、細胞の幹細胞性を操作することにおいて効果的であることが証明されているが、効率およびリスク管理はまだなお改善されるべきである。
したがって、細胞を再プログラミングするための代替方法を見出すことに大きな必要性が存在している。
本開示の一態様は、細胞を再プログラミングへと誘導する、3次元(3D)細胞凝集体の形成を可能にする条件下で、細胞を培養することを含む、細胞を再プログラミングする方法に関する。
特定の実施形態において、細胞は、3次元細胞凝集体の形成を可能にするために低接着性基質上で培養される。特定の実施形態において、低接着性基質は、親水性の中性荷電ハイドロゲル層を含む。特定の実施形態において、低接着性基質は疎水性表面を含む。
特定の実施形態において、細胞は、3次元細胞凝集体の形成を可能にするために、支持材料に懸垂している液滴の培地中で懸濁培養される。
特定の実施形態において、3次元細胞凝集体は、多細胞性かつ多層性の細胞凝集体である。特定の実施形態において、3次元細胞凝集体は球状の形を有する。
特定の実施形態において、細胞は、再プログラミングされて、1つまたは複数の幹細胞マーカーをアップレギュレートする。特定の実施形態において、細胞は、再プログラミングされて、1つまたは複数の分化転換マーカーをアップレギュレートする。
特定の実施形態において、方法は、培養物へ誘導剤を導入することをさらに含む。特定の実施形態において、誘導剤は、細胞の再プログラミングを誘導することができるタンパク質である。特定の実施形態において、誘導剤は、細胞の再プログラミングを誘導することができるタンパク質をコードする核酸である。特定の実施形態において、誘導剤は、細胞の再プログラミングを誘導することができる化合物である。
本開示の別の態様は、本開示に提供された方法のいずれかを用いて得られる再プログラミングされた細胞に関する。
本開示の別の態様は、本開示に提供された方法のいずれかを用いて得られる再プログラミングされた3次元細胞凝集体に関する。
本開示の別の態様は、低接着性基質、および任意で、培地を含む、細胞を再プログラミングするためのキットに関する。
RT4細胞の3D球形成が幹細胞マーカーの発現をもたらすことを示す図である。 A.単層培養(左)および球培養(右)におけるRT4細胞の位相差画像。スケールバー=200μm。 B.単層培養および球培養におけるRT4細胞の幹細胞マーカー遺伝子についての定量的PCR(Q−PCR)分析結果。 C.単層培養および7日目の球培養におけるRT4細胞のNANOGおよびSOX2発現についてのウェスタンブロッティング結果。テラトーマ細胞系PA−1を陽性対照として用いた。 RT4細胞の3D球形成が癌幹細胞の特徴を有する細胞を生じることを示す図である。 A.単層培養(左)および7日目の球培養(右)における遊走した細胞の定量的分析結果。 B.単層培養および7日目の球培養におけるRT4細胞の上皮間葉転換(EMT)に関連した遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 C.RT4細胞のヌードマウス腫瘍形成アッセイの結果を要約した表。単層は、単層培養におけるトリプシン処理されたRT4細胞を示す;球は、トリプシン処理されたRT4球細胞を示す。 3D球において培養されたヒト胎児由来腎臓(HEK293)細胞が胚性幹細胞表現型を部分的に獲得したことを示す図である。 A.単層培養(左)および球培養(右)におけるHEK293細胞の位相差画像。スケールバー=200μm。 B.単層培養および球培養におけるHEK293細胞の幹細胞マーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 C.単層培養および10日目の球培養におけるHEK293細胞のNANOGおよびSOX2発現についてのウェスタンブロッティング結果。 3D球において培養されたヒト胎児由来腎臓(HEK293)細胞が胚性幹細胞表現型を部分的に獲得したことを示す図である。 D.単層HEK293細胞および球HEK293細胞におけるOCT4、NANOG、およびSOX2/OCT4転写活性を示すルシフェラーゼアッセイ(n=3)。ベクターは対照ルシフェラーゼレポーターを示す。(M)は単層HEK293細胞を示し、(S)は10日目の球HEK293細胞を示す。 3D球において培養されたヒト胎児由来腎臓(HEK293)細胞が胚性幹細胞表現型を部分的に獲得したことを示す図である。 E.単層培養(上部の行のパネル)および10日目の球培養(下部の行のパネル)におけるHEK293細胞のOCT4、NANOG、およびSOX2の転写制御領域の亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシング。開始部位は+1と指定されている。白丸は、非メチル化シトシングアニンジヌクレオチド(CpG)を示し、一方、黒丸はメチル化CpGを示す。 F.単層培養および球培養におけるHEK293細胞の胚性幹(ES)細胞マーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 3D球において培養されたヒト胎児由来腎臓(HEK293)細胞が胚性幹細胞表現型を部分的に獲得したことを示す図である。 G.単層培養および10日目の球培養におけるHEK293細胞の内胚葉、中胚葉、および外胚葉のマーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 H.単層培養(左)および10日目の球培養(右)におけるHEK293細胞についてのアルカリフォスファターゼ(AP)染色結果。 I.HEK293細胞のヌードマウス腫瘍形成アッセイの結果を要約した表。「A」は、単層培養におけるトリプシン処理されたHEK293細胞を示す;「B」は、トリプシン処理されたHEK293細胞球を示す;「C」はトリプシン処理されていないHEK293球を示す。 後腎間充織および完全に分化した腎臓ユニットにおいて発現した遺伝子のQ−PCR分析結果を示す図である。 A.腎臓ユニットの略図。 B.単層培養、5日目の球培養、および10日目の球培養におけるHEK293細胞の後腎間充織(B)において発現した遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 後腎間充織および完全に分化した腎臓ユニットにおいて発現した遺伝子のQ−PCR分析結果を示す図である。単層培養、5日目の球培養、および10日目の球培養におけるHEK293細胞の糸球体(有足細胞)(C)、近位尿細管(D)において発現した遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 後腎間充織および完全に分化した腎臓ユニットにおいて発現した遺伝子のQ−PCR分析結果を示す図である。単層培養、5日目の球培養、および10日目の球培養におけるHEK293細胞のヘンレ係蹄(E)、遠位尿細管および集合管(F)において発現した遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 マウス胎仔由来線維芽細胞(MEF)の3D球形成が部分的胚性幹細胞表現型をもたらすことを示す図である。 A.単層培養(左)および球培養(右)におけるMEF細胞の位相差画像。スケールバー=200μm。 B.単層培養および7日目の球培養におけるMEF細胞の幹細胞マーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 マウス胎仔由来線維芽細胞(MEF)の3D球形成が部分的胚性幹細胞表現型をもたらすことを示す図である。 C.単層培養および12日目の球培養におけるMEF細胞の幹細胞マーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 マウス胎仔由来線維芽細胞(MEF)の3D球形成が部分的胚性幹細胞表現型をもたらすことを示す図である。 D.単層培養および7日目の球培養におけるMEF細胞のSox2発現についてのウェスタンブロッティング分析結果。 E.単層培養(左)および7日目の球培養(右)におけるMEF細胞についてのアルカリフォスファターゼ染色結果。 MEF細胞の3D球形成がニューロスフェアの表現型をもたらすことを示す図である。 A.単層培養および7日目の球培養におけるMEF細胞のマーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 MEF細胞の3D球形成がニューロスフェアの表現型をもたらすことを示す図である。 B.単層培養および12日目の球培養におけるMEF細胞のマーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 C.単層培養および球培養におけるMEF細胞のTuj1およびGfap発現についてのウェスタンブロッティング。マウスニューロスフェアを陽性対照として用いた。 MEF細胞の3D球形成がニューロスフェアの表現型をもたらすことを示す図である。単層MEFおよび7日目の球由来接着性MEFにおけるTuj1(D)、Neurofilament(E)について陽性の細胞のパーセンテージ。 MEF細胞の3D球形成がニューロスフェアの表現型をもたらすことを示す図である。単層MEFおよび7日目の球由来接着性MEFにおけるS100(F)、Gfap(G)について陽性の細胞のパーセンテージ。 MEF細胞の3D球形成がニューロスフェアの表現型をもたらすことを示す図である。 H.単層MEFおよび7日目の球由来接着性MEFにおけるGABA(H)について陽性の細胞のパーセンテージ。 I.ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)による神経発生分化後のMEFのマーカー遺伝子のQ−PCR分析結果。 GFPと神経マーカーの両方について陽性の、インビボでの移植されたMEFのパーセンテージを示す図である。GFPと、神経マーカーTuj1(A)またはGFAP(B)の両方について陽性の、インビボでの移植されたMEFのパーセンテージ。 GFPと神経マーカーの両方について陽性の、インビボでの移植されたMEFのパーセンテージを示す図である。GFPと、神経マーカーS100(C)またはNeuN(D)の両方について陽性の、インビボでの移植されたMEFのパーセンテージ。 GFPと神経マーカーの両方について陽性の、インビボでの移植されたMEFのパーセンテージを示す図である。GFPと、神経マーカーMAP2(E)の両方について陽性の、インビボでの移植されたMEFのパーセンテージ。 マウス尾端線維芽細胞(TTF)の3D球形成が神経細胞の出現をもたらすことを示す図である。 A.単層培養(左)および球培養(右)におけるTTFの位相差画像。スケールバー=200μm。 B.単層培養および7日目の球培養におけるTTFのSox2発現についてのウェスタンブロッティング分析結果。 C.単層培養および7日目の球培養におけるTTFのマーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 マウス尾端線維芽細胞(TTF)の3D球形成が神経細胞の出現をもたらすことを示す図である。 D〜E.単層TTFおよび7日目の球由来接着性TTFの、Tuj1(D)およびS100(E)について陽性の細胞のパーセンテージ。 MCF−7細胞の3D球形成が幹細胞マーカーのアップレギュレートをもたらすことを示す図である。 A.単層培養(左)および球培養(右)におけるMCF−7細胞の位相差画像。 B.単層培養および球培養におけるMCF−7細胞のマーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 ラット骨芽細胞の3D球形成がいくつかの幹細胞マーカーのアップレギュレートをもたらすことを示す図である。 A.単層培養(左)および球培養(右)におけるラット骨芽細胞の位相差画像。 B.単層培養および球培養におけるラット骨芽細胞のマーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 ラットニューロン幹細胞の3D球形成が幹細胞マーカーのアップレギュレートをもたらすことを示す図である。 A.単層培養(左)および球培養(右)におけるラットニューロン幹細胞の位相差画像。 B.単層培養および球培養におけるラットニューロン幹細胞のマーカー遺伝子についてのQ−PCR分析結果。 いくつかの幹細胞マーカーの例示的なタンパク質配列を示す図である。 いくつかの分化転換マーカーの例示的なタンパク質配列を示す図である。
本開示は、3次元細胞凝集体の形成を可能にし、かつ細胞を再プログラミングへと誘導する条件下で細胞を再プログラミングするための方法を提供する。本開示はまた、本開示の方法を用いて再プログラミングされる細胞を提供する。本開示はさらに、本開示の方法を用いて細胞を再プログラミングするための組成物およびキットを提供する。
本開示の一態様は、細胞を再プログラミングへと誘導する、3次元細胞凝集体の形成を可能にする条件下で、細胞を培養することを含む、細胞を再プログラミングする方法に関する。
本明細書で用いられる場合、用語「再プログラミングする」または「再プログラミング」は、分化細胞が、幹細胞の1つまたは複数の特徴を生じるように誘導される過程を指す。
分化細胞は、特殊化した細胞になることをコミットされている細胞、または特殊化した細胞になっている細胞であり、そのような特殊化した細胞の1つまたは複数の生物学的または機能的特徴を示す。分化細胞は、部分的に分化されていてもよく、その細胞は、特殊化した細胞になる過程を完了しておらず、かつ特殊化した細胞の特徴を全て含有するわけではない。部分的に分化した細胞にはまた、特殊化していない細胞へ戻る過程にあり、かつ特殊化した細胞の特徴の一部を喪失している特殊化した細胞も挙げられてもよい。分化細胞は、高度に分化していてもよく、その細胞は、特殊化した細胞になる過程を完了しており、かつ特殊化した細胞の特徴を全て、含有している。本明細書に用いられる場合、用語「分化細胞」は、部分的に分化した細胞および/または高度に分化した細胞を含む。
幹細胞は、様々な特殊化した細胞型へ分化する可能性がある細胞である。幹細胞は、胚性幹細胞などの、多能性、すなわち、たいていの型の特殊化した細胞へ分化する能力があり得る。幹細胞は、骨髄幹細胞または造血幹細胞などの、複能性、すなわち、特定の複数の型の特殊化した細胞へ分化する能力があり得る。幹細胞は、単能性、すなわち、1つの特定の型の特殊化した細胞へ分化する能力があり得る。幹細胞は、全能性、すなわち、受精卵であり得る。本明細書で用いられる場合、用語「幹細胞」は、上記で言及された様々なレベルの可能性を有する、ありとあらゆる型の幹細胞を含む。
本開示の方法は、3次元細胞凝集体の形成を可能にする培養条件下で幹細胞の1つまたは複数の生物学的および/または機能的特徴を示すように誘導することができる任意の細胞を再プログラミングするために用いられてもよい。特定の実施形態において、再プログラミングされる本開示の細胞は、接着細胞である。接着細胞は、インビトロでの成長に固体基質への付着を必要とする細胞である(John M.Davis、Animal Cell Culture:Essential Methods.、John Wiley & Sons出版、2011年、4.2章;Jennie P.Matherら、Introduction to Cell and Tissue Culture:Theory and Technique、Springer出版、1998年、64〜65ページ参照)。接着細胞は、懸濁培養において、成長もしくは生存せず、または不十分にしか成長もしくは生存しない。接着細胞は、通常、固形組織および器官に由来する。接着細胞の例には、非限定的に、内皮細胞、平滑筋細胞、上皮細胞、および線維芽細胞が挙げられる。
特定の実施形態において、接着細胞は、懸濁培養において15%未満の生存率を有する。特定の実施形態において、接着細胞は、懸濁培養において10%未満の生存率を有する。特定の実施形態において、接着細胞は、懸濁培養において5%未満の生存率を有する。特定の実施形態において、接着細胞は、懸濁培養において1%未満の生存率を有する。細胞生存率は、細胞培養物における細胞の総数のうちの生細胞の数のパーセンテージとして計算される。細胞生存能は、ヨウ化プロピジウム染色などの知られた方法により測定されてもよい。
特定の実施形態において、本開示の方法によって再プログラミングされる本開示の細胞は体細胞である。体細胞の例には、非限定的に、線維芽細胞(例えば、マウス胎仔由来線維芽細胞(MEF)、マウス尾端線維芽細胞(TTF)、およびヒト線維芽細胞様滑膜細胞(HFL))、膀胱細胞、(例えば、ヒト膀胱パピローマ(RT4)細胞)、ベビーハムスター腎臓(BHK21)細胞、卵巣細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO−K1)細胞)、頸部細胞(例えば、HeLa細胞)、筋肉細胞、胚細胞(例えば、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞、NIH3T3細胞)、肺細胞(例えば、ヒト胎児肺線維芽細胞(MRC−5)、MRC−9細胞)、肝臓細胞(例えば、Hep G2細胞)、上皮細胞(例えば、WPE幹細胞)、内皮細胞(例えば、HUV−EC−C細胞)、脳細胞(例えば、T98G細胞)、骨細胞(例えば、KHOS−240S細胞)が挙げられる。特定の実施形態において、体細胞は非癌細胞である。
特定の実施形態において、体細胞は、乳癌細胞(例えば、MCF−7細胞、MDA−MB−231細胞、MDA−MB−435細胞、またはSK−BR−3細胞)、結腸癌細胞(例えば、DLD−1細胞、HCT−15細胞、T84細胞、HCT−8細胞)、腎癌細胞(例えば、A−498細胞、769−P細胞、G401細胞)、肺癌細胞(例えば、NCI−H2126細胞、DMS 79細胞、A549細胞)、肝癌細胞(例えば、Hep
G2細胞)、子宮頸癌細胞(例えば、HeLa細胞)、グリオーマ細胞(例えば、M059K細胞、LN−18細胞)、神経細胞(例えば、ラット褐色細胞腫(PC12)細胞
、ヒト神経芽細胞腫(SH−SY5Y)細胞)、前立腺癌細胞(例えば、DU145細胞、LNCaP細胞)、および骨肉腫細胞(例えば、KHOS/NP細胞)などの癌細胞である。
特定の実施形態において、部分的に分化している細胞は、本開示の方法によって再プログラミングへ誘導される。特定の実施形態において、幹細胞は、本開示の方法によって再プログラミングへ誘導される。
特定の実施形態において、本開示は、細胞を再プログラミングへと誘導する、3次元細胞凝集体の形成を可能にする培養条件下で、インビトロで細胞を培養することを含む、細胞を再プログラミングする方法を提供する。特定の実施形態において、培養条件は、低接着性条件である。低接着性条件は、細胞が固体基質に付着せず、または固体基質への細胞付着が低下し、もしくは阻害される培養環境を意味する。特定の実施形態において、低接着性条件において、基質への細胞付着は、通常の接着条件と比較して、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%、低下する。通常の接着条件は、市販の細胞培養器、例えば、Corning細胞培養ディッシュ(例えば、カタログNo.430589 Corning(登録商標)Not Treated Cell Culture Dish(New York、US)またはカタログNo.3353002 FalconTM Cell Culture Dish(New York、US)またはカタログNo.715001 NEST Cell Culture Dish(Wuxi、China))によって提供され得る。
特定の実施形態において、低接着性条件は、基質の表面上で細胞付着を低下させ、または阻害する低接着性基質によって提供される(John M.Davis、上記、参照)。特定の実施形態において、低接着性基質には、細胞接着を低下させ、または阻害する材料でコーティングされている細胞培養器(例えば、ディッシュ、プレート、丸底チューブ、またはフラスコ)が挙げられる。特定の実施形態において、そのような材料は、親水性の中性荷電ハイドロゲル層を含有する。本明細書で用いられる場合、「ハイドロゲル」は、一定量の水を構成する半流動性組成物であって、ポリマーまたはその混合物が溶解または分散している、半流動性組成物を指す。特定の実施形態において、ハイドロゲルは、ポリスチレンでできている。特定の実施形態において、ポリスチレンは、ポリスチレン−block−ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)−block−ポリスチレン、ポリ(スチレン−co−無水マレイン酸)(SMA)、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)(P(ST−DVB))、ポリ(スチレンスルホン酸)(PSSA)、ポリ(グリシジルメタクリレート−co−α−メチルスチレン)、ポリアニリン−ポリ(スチレンスルホネート)(Pan−PSS)、ポリ(スチレン−block−(メトキシジエチレングリコールアクリレート)−block−スチレン)、およびポリ(4−スチレンスルホン酸ナトリウム)からなる群から選択される。
特定の実施形態において、ハイドロゲルは、寒天、アガロースでできている。特定の実施形態において、低接着性基質は、0.2%から5.0%までの範囲の濃度のアガロースでコーティングされている。特定の実施形態において、低接着性基質は、1〜5%の範囲の濃度の寒天でコーティングされている。
特定の実施形態において、ハイドロゲルは、ポリ(2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート)でできている。特定の実施形態において、低接着性基質は、40〜50%の範囲の濃度のポリ(2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート)でコーティングされている。
特定の実施形態において、低接着性基質は、培地(例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium)(DMEM
)またはMcCoy’5A培地)と混合されたハイドロゲルでコーティングされている。
特定の実施形態において、細胞接着を低下させ、または阻害する材料は、標的細胞の細胞外タンパク質の機能を調節することができ、それにしたがって、細胞の基質への付着を低下させる。細胞外タンパク質の阻害剤の例には、非限定的に、プロテオグリカン(例えば、Yamagata,M.ら、Journal of Biological Chemistry、264(14):8012〜8018、1989参照)、ヒドロコルチゾンまたはシクロヘキシミドと組み合わされたヘパリン、L−アゼチジン−2−カルボン酸、トリプシンおよびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ディスパーゼ、デキストラン、ポリエチレンオキシド、グリシン−アルギニン−グリシン−アスパルテート−セリン−プロリン、グリシン−アルギニン−グリシン−アスパルテート−セリンなどの合成ペプチド(例えば、Whalen,G.F.ら、Ann.Surg.、210(6):758〜764、1989)が挙げられる。
特定の実施形態において、細胞接着を低下させ、または阻害する材料は、低接着性基質の表面に、層またはフィルムまたは膜としてコーティングされている。特定の実施形態において、細胞接着を低下させ、または阻害する材料は、基質内に包埋されている。
特定の実施形態において、低接着性基質は、疎水性表面を含む。特定の実施形態において、疎水性表面は、疎水性成分を有するポリマーおよびコポリマーのフィルムで形成される。特定の実施形態において、疎水性表面は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリ(エチレンオキシド)−ポリ(メチルメタクリレート)(PEO−PMMA)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリスチレン(PS)で形成される。
任意の適切な培地が、本開示の方法に用いられ得る。一般的に用いられる培地の例には、非限定的に、DMEM(Gibco(登録商標))、RPMI 1640(Gibco(登録商標))、McCoy’s 5A(Hyclone、Thermo Scientific)、およびDMEM/Nutrient Mixture F−12(DMEM/F12、Gibco(登録商標)が挙げられる。
別の態様において、細胞は、ペトリ皿の底面およびローリングボトルの壁面などの支持材料に懸垂している液滴の培地中で懸濁培養される。特定の実施形態において、液滴の培地は、わずか1ml、2ml、3ml、4ml、または5mlの体積を有する。特定の実施形態において、液滴の培地は、ペトリ皿などの培養容器の底面に逆さまに懸垂している。
特定の実施形態において、細胞は、回転状態もしくは振盪状態、または静止状態で培養される。
特定の実施形態において、細胞を再プログラミングする方法は、支持基質または構造が培地内に懸濁し、浮遊しまたは別な形で配置されていない状態で、細胞を培養することを含む。
本明細書で用いられる場合、用語「3次元細胞凝集体」は、細胞単層とは対照的に、3次元(3D)の形へ成長した細胞を指す。3次元細胞凝集体は、2次元、3次元、または多次元の基質上で成長することができる。特定の実施形態において、本開示の3次元細胞凝集体は、多細胞性かつ多層性の細胞凝集体である。特定の実施形態において、本開示の3次元細胞凝集体は、球状の形をとる。特定の実施形態において、本開示の球状の形をし
た細胞凝集体は、数週間、安定な形態を維持することができる。特定の実施形態において、3次元細胞凝集体は、少なくとも10μm、15μm、または20μmの直径を有する。
特定の実施形態において、細胞は、再プログラミングされて、1つまたは複数の幹細胞マーカーをアップレギュレートする。幹細胞マーカーは、幹細胞の特徴を示す遺伝子およびタンパク質である。本明細書に記載された方法と共に用いる幹細胞マーカーの例には、非限定的に、Oct4、Nanog、Sox2、Klf4、c−Myc、Lin28、Rex1、Tdgf1、Leftb、Ebaf、Grb7、Podxl、Nodal、Fgf4、Nestin、Gdf3、Dax1、Nat1、Esg1、S1c2a3、Sox1、Olig2、およびPax6が挙げられる。これらの幹細胞マーカー(ヌクレオチドおよびタンパク質の両方)のNCBI(National Center for Biotechnology Information)参照番号は、下記の表1に示されている。例示的なタンパク質配列もまた、図12A〜Jに示されている。
特定の実施形態において、幹細胞マーカーは、Oct4、Nanog、Sox2、Rex1、Gdf3、Dax1、Nat1、Esg1、S1c2a3、Tdgf1、Leftb、Ebaf、Grb7、Podxl、およびFgf4などの胚性幹細胞マーカーであり得る。
特定の実施形態において、幹細胞マーカーは、Pax2、Wt1、Integrin Alpha 8、Sall1、Lim1、Ncam1、Six2、Frizzled 2、Frizzled 7、Acvr2b、およびNtrk2などの腎臓幹細胞マーカーであり得る。
特定の実施形態において、幹細胞マーカーは、Sox2などの神経幹細胞マーカーであり得る(Episkopou、2005;ReynoldsおよびWeiss、1992)。
本開示の方法による細胞の再プログラミングは、幹細胞マーカーの存在もしくは非存在により、または幹細胞マーカーの遺伝子レベルもしくはタンパク質レベルでの増加もしくは減少により、同定され得る。特定の実施形態において、幹細胞マーカーを発現しない細胞は、本開示の方法により再プログラミングへ誘導されて、1つまたは複数の幹細胞マーカーを発現する。特定の実施形態において、1つまたは複数の幹細胞マーカーを発現する細胞は、本開示の方法により再プログラミングへ誘導されて、追加の1つまたは複数の幹細胞マーカーを発現する。特定の実施形態において、本開示の再プログラミングされた細胞は、少なくとも2つ、3つ、4つ、または5つの幹細胞マーカーを遺伝子レベルおよび/またはタンパク質レベルで発現する。
特定の実施形態において、本開示の再プログラミングされた細胞は、Oct4、Nanog、Sox2、Klf4、c−Myc、およびLin 28からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの幹細胞マーカーの遺伝子および/またはタンパク質を増加したレベルで発現する。特定の実施形態において、本開示の再プログラミングされた細胞は、Oct4、Nanog、Sox2、Klf4、およびc−Mycからなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、または5つの幹細胞マーカーの遺伝子および/またはタンパク質を増加したレベルで発現する。
特定の実施形態において、本明細書に記載された方法を用いる細胞の再プログラミングは、細胞を、幹細胞マーカーOct4、Sox2、c−Myc、およびKlf4を遺伝子レベルでアップレギュレートするようにさせ、同時に幹細胞マーカーNanogおよびSox2をタンパク質レベルでアップレギュレートするようにさせる。
別の態様において、本開示の方法はまた、細胞を分化転換することもでき、その場合、部分的に、または高度に分化した細胞が、異なる型の分化細胞へ転換され、または誘導される幹細胞が、誘導前の特殊化した細胞の型とは異なる特殊化した細胞へ転換される。
特定の実施形態において、分化転換された細胞は、1つまたは複数の分化転換マーカーによって特徴づけられる。本明細書で用いられる場合の用語「分化転換マーカー」は、細胞の分化転換を同定するために用いることができる特徴的な遺伝子および/またはタンパク質を指す。
分化転換マーカーの例には、例えば、Foxa2、Afp、Sox17、およびPdx−1などの内胚葉マーカー、BranchyuryおよびMsx1などの中胚葉マーカー、Nestin、Otx2、およびTp63などの外胚葉マーカー、Nphs1、Actn4、Cd2ap、Cdh3、Pdpn、およびPodxlなどの腎糸球体マーカー、Aqp1、Clcn5、Cubn、Lrp2、およびSlc5a1などの腎近位尿細管マーカー、UmodおよびPkd2などの腎ヘンレ係蹄マーカー、ならびにScnn1aおよびPkd1などの腎遠位尿細管および集合管マーカー、Map2、NeuN、Tuj1、NF−L、NF−M、およびNF−Hなどのニューロンマーカー、Gfap、S100A
、およびS100Bなどのアストロサイトマーカー、ならびにMbpおよびNg2などのオリゴデンドロサイトマーカー、ならびにPax6、Sox1、Otx2、Zic1、NeuroD1、およびOlig2などの神経特異的転写因子が挙げられ得る。上記で言及された分化転換マーカーのNCBI参照番号は、下記の表2に示されている。例示的なタンパク質配列は、図13A〜Rに示されている。
特定の実施形態において、本開示の方法を用いて再プログラミングされた細胞は、幹細胞マーカーと分化転換マーカーの両方を示す。例えば、本開示の方法は、胚細胞HEK293を誘導して、特定の幹細胞マーカー(例えば、Six2、Frizzled2、Frizzled7、Acvr2b、およびNtrk2)、加えて、特定の分化転換マーカー(例えば、Nphs1、Actn4、Cd2ap、Cdh3、Aqp1、Clcn5、Cubn、Umod Pkd2、Scnn1a、Pkd1)をアップレギュレートすることができ、そのことは、そのHEK293細胞が、成熟腎細胞へ分化転換していることを示している。
別の態様において、本開示の方法は、分化細胞を誘導して幹細胞へ転換することができる誘導剤を細胞培養物へ導入することをさらに含む。誘導剤は、任意の化学的または生化学的物質であり得、それには、非限定的に、小分子化合物、ヌクレオチド、ペプチド、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
特定の実施形態において、誘導剤は、細胞の再プログラミングを誘導することができるタンパク質である。そのようなタンパク質の例には、非限定的に、Oct4、Sox2、c−Myc、Klf4、Nanog、およびLin28が挙げられる。そのタンパク質を、適切な宿主細胞において組換えで発現させ、当技術分野において知られた方法(例えば、アフィニティクロマトグラフィ)を用いて精製することができる。そのタンパク質は、当技術分野において知られた方法を用いて、細胞へ送達することができる。例えば、タンパク質は、(原形質膜にポアを形成し、タンパク質送達を可能にする)ストレプトリシンOによって媒介される可逆性透過化によりサイトゾルへ送達することができる(例えば、
Walev,I.ら、PNAS、98(6):3185〜3190、2001;Cho,H.J.ら、Blood、116:386〜395、2010参照)。別の例として、そのタンパク質は、HIV tatおよびポリアルギニンなどの形質導入ドメインへ融合させることができ、そのドメインは、そのタンパク質のサイトゾルへの膜貫通送達を媒介することができる(例えば、Zhou,H.ら、Cell stem cell、4:381〜384、2009参照)。
特定の実施形態において、誘導剤は、細胞の再プログラミングを誘導することができるタンパク質をコードするポリヌクレオチドである。そのようなポリヌクレオチドの例には、非限定的に、Oct4、Sox2、c−Myc、Klf4、Nanog、およびLin28をコードするポリヌクレオチドが挙げられる。再プログラミングするために細胞に導入された場合、そのポリヌクレオチドは、発現して、再プログラミングを刺激することができる遺伝子産物を産生することができる。そのポリヌクレオチドは、分子クローニング技術(例えば、cDNA調製、続いてプラスミドベクターへの挿入)を用いて容易に構築することができる、コード配列およびプロモーターを含有する発現カセット、または発現ベクターであり得、(例えば、リポフェクタミン試薬またはリン酸カルシウムを用いる)トランスフェクション方法により細胞へ導入することができる。
特定の実施形態において、誘導剤は、細胞の再プログラミングを誘導することができる化合物である。そのような化合物の例には、非限定的に、BIX−01294およびBayK8644(例えば、Shiら、cell stem cell、3:568〜574、2008参照)、バルプロ酸、および5’アザシチジンが挙げられる。
別の態様において、本開示は、本開示の方法を用いて得られる再プログラミングされた細胞を提供する。特定の実施形態において、そのような再プログラミングされた細胞は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの幹細胞マーカーのアップレギュレートを示す。特定の実施形態において、そのような再プログラミングされた細胞は、Oct4、Nanog、Sox2、Klf4、c−Myc、およびLin28からなる群から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの幹細胞マーカーの遺伝子および/またはタンパク質レベルのアップレギュレートを示す。特定の実施形態において、そのような再プログラミングされた細胞は、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの幹細胞マーカーのアップレギュレート、および少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの分化転換マーカーのアップレギュレートを示す。
別の態様において、本開示は、本開示の方法を用いて得られる再プログラミングされた3次元細胞凝集体を提供する。特定の実施形態において、再プログラミングされた細胞凝集体は、球状の形を有する。特定の実施形態において、再プログラミングされた細胞凝集体は、少なくとも10μm、15μm、または20μmの直径を有する。
別の態様において、本開示は、低接着性基質および培地を含有する、細胞を再プログラミングするためのキットを提供する。特定の実施形態において、キットは、使用説明書をさらに含有する。特定の実施形態において、低接着性基質は、アガロースまたはポリ(2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート)を含有する。
本開示の再プログラミング方法、および再プログラミングされた細胞または細胞凝集体は、所望の細胞または組織をインビトロまたはインビボで作製するのに有用である。そのような細胞または組織は、創傷治癒、神経再生、組織再生、薬物スクリーニングなどに用いることができる。
本明細書に引用された全ての刊行物および特許は、全体として参照により本明細書に組
み入れられている。
本発明は、以下の実施例を参照して、より容易に理解されるだろうし、その実施例は、本発明の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。下に記載された全ての特定の組成物、材料、および方法は、全部または一部において、本発明の範囲内にある。これらの特定の組成物、材料、および方法は、本発明を限定することを意図されず、単に、本発明の範囲内にある特定の実施形態を例証することを意図されるのみである。当業者は、独創的能力を発揮することなく、かつ本発明の範囲から逸脱することなく、等価の組成物、材料、および方法を開発し得る。多くの変形形態を、本発明の範囲内にまだなお留まりながら、本明細書に記載された手順において生じ得ることは理解されるだろう。そのような変形形態が本発明の範囲内に含まれることは本発明者らの意図である。
細胞培養
RT4およびヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞を、それぞれ、McCOY’5A(HYCLONE)およびDMEM(HYCLONE)において培養した。
マウス胎仔由来線維芽細胞(MEF)を、E13.5日のICRマウス胎仔から取り出した。海馬移植実験について、緑色蛍光タンパク質(GFP)トランスジェニックマウスを用いた。簡単に述べれば、頭部、肢、内臓組織、および脊柱の除去後、単離された胎仔の残りの部分を、小片へ切断し、その後、トリプシン処理した。トリプシン処理された組織の上清から遠心分離により細胞を収集し、その後、新鮮な培地中に再懸濁した。P0 MEF細胞を、継代する前にコンフルエンスまで成長させた。P2 MEF細胞を、さらなる2Dおよび3D培養に用いた。
マウス尾端線維芽細胞(TTF)細胞を、24時間ICRマウスから単離した。簡単に述べれば、尾の前部1/4〜1/5の部分を小片に切断し、その後、それを、細胞培養ディッシュ上に蒔き、2〜3日間、培養した。その細胞は、約72時間目においてその小片から外へ遊走し始めた。さらに2〜3日間の培養後、外へ遊走した細胞を継代した。P3
TTF細胞をさらなる2Dおよび3D培養に用いた。
3D培養について、(1%融解アガロースゲルを同量の2×DMEM培地と混合することにより作製された)軟質ゲルで細胞培養ディッシュをコーティングすることにより、低接着性培養ディッシュを調製した。3×106個のRT4またはHEK293細胞を、6
0mm低接着性ディッシュへ移した。6×106個のMEF細胞またはTTF細胞を、6
0mm低接着性ディッシュへ移した。
2D培養について、通常の細胞培養ディッシュを、そのディッシュをいかなる軟質ゲルでもコーティングすることなく、用いた。
RT4細胞の再プログラミング
ヒト膀胱パピローマ細胞系RT4細胞を、単層接着培養(2D)および球培養(3D)、それぞれにより培養した。本発明者らは、成長因子を追加された無血清培地の代わりに、10%ウシ胎仔血清を含む完全成長培地を用いた。
2.a. RT4細胞の細胞形態
図1A(左)に示されているように、ヒト膀胱パピローマ細胞系RT4細胞は、通常の付着ディッシュ上での単層接着培養により培養され、上皮形態を示した。対照的に、図1A(右)において、低付着ディッシュ上で培養されたRT4細胞は、プレートから剥離さ
れ、浮遊する3D球を形成し、その球は数週間、持続した。
2.b. RT4球の幹細胞特徴
幹細胞マーカーの発現レベルを、定量的PCR(Q−PCR)を用いて決定した。簡単に述べれば、全RNAを、Trizol LS試薬(Invitrogen)を用いて細胞から単離し、その後、逆転写酵素反応混合物(SuperScript III First−Strand Synthesis System、Invitrogen)およびオリゴdTプライマー(Invitrogen)と混合した。Q−PCRを、Power SYBR Green RT−PCR Kit(Applied Biosystems)を用いて実施した。GADPHを、cDNAインプットを標準化するための対照として用いた。結果を、試験細胞培養物における試験マーカーの発現レベルの、2D培養における発現レベルに対する、倍数変化として示した。データを、平均±標準偏差、N=3として示した。スチューデントT検定を用いて、3D培養細胞についての結果が、2D培養細胞と統計学的に異なるかどうかを決定した。図において、統計的有意性を有する差を、1個のアスタリスク(*、P<0.05)または2個のアスタリスク(**、P<0.
01)でマークした。実施例および図における全てのQ−PCR研究を、他に規定がない限り、類似した方法を用いて実施した。
遺伝子発現の定量的PCR分析結果は、OCT4、NANOG、SOX2、KLF4、およびc−MYCが、単層培養群と比較して、球培養群においてアップレギュレートされることを示した(図1B、Q−PCR分析に用いられるプライマーは、下記の表3に列挙されている)。NANOGおよびSOX2のタンパク質レベルは、それぞれ、NANOG(1:5000希釈、abcam)およびSOX2(1:200希釈、invitrogen)に対する一次抗体、および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とコンジュゲートされた二次抗体を用いるウェスタンブロッティング(図1C)により実証されているように、RT4球において有意にアップレギュレートされた。
2.c. RT4細胞の癌幹細胞特徴
幹細胞のパーセンテージを、「サイドポピュレーション(Side Population)」(SP)識別アッセイ(幹細胞の色素流出性質を用いた、幹細胞パーセンテージの検出のためのフローサイトメトリー方法)により検出した。簡単に述べれば、細胞をトリプシン処理し、単独かまたは50μg/mlベラパミル(Sigma)と共の5μg/ml Hoechst 33342(Sigma)と37℃で90分間、インキュベートした。細胞を遠沈し、死細胞を排除した後、FACSVantage SE(BD Biosciences)でのフローサイトメトリー細胞ソーティング(FACS)分析に供した。球培養群におけるSP細胞のパーセンテージは、単層培養群における0.37±0.12%と比較して、0.83±0.32%であった。
RT4細胞の転移能を、transwellアッセイによって検出し、遊走した細胞を、クリスタルバイオレットで染色した。簡単に述べれば、2Dまたは3D方法によって培養された細胞を、トリプシン処理する前に24時間、血清飢餓にし、無血清培地中に再懸濁した。細胞懸濁液を、8μmポアを含有する24ウェルのtranswell(Corning)の上部の室に蒔き、下部の室を、10%FBSを追加した培地で満たした。24時間後、FBSに応答して下部の室へ遊走した細胞を、0.1%クリスタルバイオレットで染色し、染色した細胞を顕微鏡下でカウントした。遊走したRT4細胞の定量的分析は、球培養が細胞転移能を促進することを示した(図2A)。4つの確率場を、各実験群についてカウントし、その結果は、平均±標準偏差として示されている。
上皮間葉転換(EMT)に関連した遺伝子発現を、Q−PCRによって調べた。その結果は、FOXC2、SNAIL、およびZEB2が、単層と比較して、RT4球において
アップレギュレートされることを実証した(図2B、Q−PCR分析に用いられたプライマーは下記の表3に列挙されている)。
本発明者らは、インビボでのヌードマウス腫瘍形成アッセイを実施した。週齢4〜5週間のヌードマウス(8 BALB/c−nu)の背部側腹へ細胞を皮下注射した。図2Cに示されているように、1×106個の単層RT4細胞は、14匹のマウスのうち11匹
において腫瘍を形成したが、1×106個の球由来のRT4細胞は、14匹のマウスのう
ち14匹において腫瘍を形成した。さらに、1×104個の単層RT4細胞は、少しの腫
瘍も形成することができなかったが、1×104個の球由来細胞は、14匹のマウスのう
ち4匹において腫瘍を形成した(図2C)。データは、RT4腫瘍細胞の3D球培養が、癌幹細胞性質を促進することを示した。
HEK293細胞の再プログラミング
3.a. HEK293細胞の細胞形態
HEK293は、もともとヒト胎児由来腎臓細胞に由来した非癌性細胞系である。細胞培養ディッシュに接着したHEK293細胞は、単層上皮形態を示したが(図3A左)、低接着性プレート上で培養されたHEK293は、浮遊3D球を形成した(図3A右)。
3.b. HEK293細胞の幹細胞特徴
いくつかの幹細胞マーカーの発現を、2D培養HEK293細胞および3D培養HEK293細胞の両方を用いて、Q−PCRおよびウェスタンブロッティングにより決定した。公知のiPS誘導因子のQ−PCR分析により、OCT4、NANOG、SOX2、KLF4、およびLIN28が、単層培養と比較して、5日目および10日目で、球培養において全てアップレギュレートされることが示された(図3B、Q−PCR分析に用いられたプライマーは下記の表3に列挙されている)。ウェスタンブロッティング分析によってもまた、球培養群におけるNANOGおよびSOX2のタンパク質レベルが、単層群と比較して高いことが示された(図3C)。一次抗体および二次抗体は、実施例2におけるこれらと同じであった。
2D培養HEK293細胞および3D培養HEK293細胞をまた、幹細胞マーカーの転写活性について、レポーター遺伝子アッセイおよび亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシングを用いて比較した。
レポーター遺伝子アッセイについて、2D培養物または3D培養物由来のHEK293細胞に、OCT4、NANOG、またはSOX2/OCT4の結合配列のルシフェラーゼレポーター構築物(すなわち、(tkプロモーターを有するPGL3ベクターへ6Wエンハンサーを挿入することにより構築された)Oct4−Lucベクター、(p37tk−ルシフェラーゼベクターのSalI部位へNanog結合部位P5Nをライゲーションすることにより構築された)Nanog−Lucベクター(Pan,G.ら、Journal of Biological Chemistry、280:1401〜1407(2005)もまた参照)、および(PGL3ベクターにおいてFGF−4プロモーターの上流へOct4/Sox2結合オリゴヌクレオチドの6個のコピーを含有する配列をクローニングすることにより構築された)Sox2/Oct4−Lucベクター)をトランスフェクションした。ルシフェラーゼアッセイを、標準プロトコール(Promega)に従って実行した。本発明者らは、3D培養細胞におけるOCT4、NANOG、およびSOX2/OCT4タンパク質が、より高い転写活性を有することを見出した(図3D)。
亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシングについて、亜硫酸水素塩処理を、Epi−Tect亜硫酸水素塩キット(Qiagen)を用いて実施し、OCT4、NANOG、およびS
OX2の転写制御領域を、下記の表3に示されたそれぞれのプライマーでのPCR(Hotstar HiFidelity DNAポリメラーゼ)により増幅した。そのPCR産物を、pMD18−Tベクターへサブクローニングし、各試料の20個のクローンをランダムに選び出し、シーケンシングした。亜硫酸水素塩ゲノムシーケンシング分析により、OCT4、NANOG、およびSOX2の転写制御領域におけるシトシングアニンジヌクレオチド(CpG)のメチル化状態を評価し、その結果により、HEK293球におけるメチル化状態が、単層HEK293細胞におけるメチル化状態よりも低いことが明らかにされた(図3E)。
2D培養HEK293細胞および3D培養HEK293細胞をさらに試験して、それらが、未分化ES細胞のいくつかの特徴を示すかどうかを見た。数個の未分化ES細胞マーカー遺伝子のmRNA発現のQ−PCR分析により、REX1、TDGF1、LEFTB、EBAF、GRB7、PODXl、およびFGF4が、HEK293 3D細胞においてアップレギュレートされることが示された(図3F、Q−PCR分析に用いられたプライマーは下記の表3に列挙されている)。HEK293球の内胚葉、中胚葉、および外胚葉への分化能のQ−PCR分析により、内胚葉マーカー(FOXA2、AFP、SOX17、およびPDX−1)、中胚葉マーカー(BRANCHYURYおよびMSX1)、および外胚葉マーカー(NESTIN、OTX2、およびTP63)が、球において全てアップレギュレートされることが示された(図3G、Q−PCR分析に用いられたプライマーは下記の表3に列挙されている)。アルカリフォスファターゼ発現を、アルカリフォスファターゼ(AP)染色により検出した。図3Hに示されているように、AP染色は、HEK293球細胞において陽性であったが、単層細胞においては陰性であった。
HEK293球の腫瘍形成能を、インビボでのヌードマウス腫瘍形成アッセイによって調べた。3×106個のHEK293単層細胞および球培養における3×106個のHEK293細胞を、それぞれ、週齢4〜5週間のヌードマウスの背部側腹へ皮下注射した。図3Iに示されているように、HEK293単層細胞が少しの腫瘍も形成することができなかったが、HEK293球は、7匹のマウスのうちの3匹において皮下組織に腫瘍を形成し、トリプシン処理された球細胞は、7匹のマウスのうちの1匹において腫瘍を形成したことを本発明者らは見出した。内胚葉、中胚葉、および外胚葉の明確な構造は検出されず、これらの腫瘍と、ESCにより形成されるテラトーマとの間に、特定の本質的な相違が存在する可能性があることが示された。これらの結果により、3D球として培養されたHEK293細胞が胚性幹細胞表現型を部分的に生じ得ることが実証された。
HEK293細胞の分化転換
この実施例において、HEK293細胞を、腎臓幹細胞表現型への再プログラミング活性について、およびまた、腎臓における高度に分化した細胞の別個の型への分化転換再プログラミング活性について試験した。
腎臓前駆細胞は、後腎間充織内に存在し、それはさらに、ネフロンへ分化し、そのネフロンは、糸球体(有足細胞)、近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、および集合管で構成される(図4A)。
2D培養HEK293細胞および3D培養HEK293細胞を、後腎間充織特異的遺伝子および腎臓前駆細胞マーカーの発現について試験した。後腎間充織特異的遺伝子発現のQ−PCR分析により、PAX2、WT1、INTEGRIN alpha 8、SALL1、LIM1、およびNCAM1がHEK293球においてアップレギュレートされることが示された。腎臓前駆細胞マーカーSIX2、FRIZZLED 2、FRIZZLED 7、ACVR2b、およびNTRK2もまた、HEK293球においてアップレギ
ュレートされた(図4B、Q−PCR分析に用いられたプライマーは下記の表3に列挙されている)。これらの結果により、HEK293の球形成が、腎臓幹細胞表現型を促進し得ることが実証された。
2D培養HEK293細胞および3D培養HEK293細胞をさらに、ネフロン分化マーカーについて試験した。糸球体、近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、および集合管の分化したマーカーのQ−PCR試験により、HEK293球の糸球体マーカー(NPHS1、ACTN4、CD2AP、CDH3、PDPN、およびPODXl)、近位尿細管マーカー(AQP1、CLCN5、CUBN、LRP2、およびSLC5A1)、ヘンレ係蹄マーカー(UMODおよびPKD2)、ならびに遠位尿細管および集合管マーカー(SCNN1aおよびPKD1)は、それらが5日間および10日間、培養されたとき、3D細胞において全て、有意にアップレギュレートされることが示された(図4C〜F、Q−PCR分析に用いられたプライマーは下記の表3に列挙されている)。そのデータにより、球培養が、成熟腎臓ユニットへの再分化を伴う腎臓組織特異的脱分化を促進し得ることが示唆された。
MEF細胞の再プログラミング
球培養の初代細胞への効果をさらに評価するために、MEFを球へ培養した。MEFは、それらが細胞培養プレートに接着している場合、楕円形核の周囲に分枝状細胞質を有する典型的な形態を示したが、低接着性プレート上で培養された場合、それらは3D球を形成した(図5A)。iPS誘導因子および数個の未分化ES細胞マーカー遺伝子の発現を、Q−PCRにより調べた。Sox2、Gdf3、Dax1、およびSlc2a3の発現は、7日間および12日間、培養された後、単層MEFよりMEF球において高かった(図5B、Q−PCR分析に用いられたプライマーは下記の表3に列挙されている)。Oct4、Nanog、およびKlf4はMEF球においてアップレギュレートされなかったが(図5Bおよび5C)、MEF球における高レベルのSox2タンパク質が、ウェスタンブロッティングにより確認され、それは、テラトーマ細胞系PA−1におけるレベルに匹敵した。対照的に、単層MEFにおいてウェスタンブロッティングによりSox2の発現は検出されなかった(図5D)。アルカリフォスファターゼの発現を決定するためにAP染色を実施した。図5Eに示されているように、陽性AP染色が、MEF球において見出されたが、単層MEFにおいて見出されなかった。これらのデータより、MEFの球培養が、いくつかの胚性幹細胞遺伝子の発現を促進し得ることが明らかにされた。
MEFおよびTTF細胞の神経細胞への分化転換
MEF球におけるSox2の高発現を考慮して、本発明者らは、MEF球がニューロスフェア性質を獲得するかどうかを試験した。図6A〜Bに示されているように、Nestinが、7日間および12日間培養されたMEF球においてアップレギュレートされた。本発明者らはまた、MEF球において、分化したニューロン、アストロサイト、およびオリゴデンドロサイトに関連した遺伝子の発現を分析した。ニューロンマーカー(Map2、NeuN、Tuj1、NF−L、NF−M、およびNF−H)、アストロサイトマーカー(Gfap、S100A、およびS100B)、およびオリゴデンドロサイトマーカー(MbpおよびNg2)は全て、MEF球においてアップレギュレートされた(図6A〜B、データを、平均±標準偏差、N=4として示した)。数個の神経特異的転写因子(Pax6、Sox1、Otx2、Zic1、NeuroD1、およびOlig2)もまた、MEF球においてより高かった(図6A〜B)。Tuj1およびGfapタンパク質が、1日間、3日間、5日間、および7日間培養されたMEF球において検出され、時間と共に増加したが、単層MEFにおいては発現しなかった(図6C)。
MEF球が細胞培養ディッシュに再接着した場合、球における細胞は、遊走してディッシュ上へ戻り、単層を形成した。本発明者らは、これらの遊走して戻った細胞を、球由来接着細胞と名付ける。免疫細胞化学染色を実施し、免疫蛍光写真を、単層細胞と球培養細胞の両方について撮影した。各細胞培養物について、4枚の代表的な写真を選び、各写真について、特定のマーカーについて陽性である細胞のパーセンテージを、陽性細胞の数を写真における細胞の総数で割ることにより計算した。その結果により、球由来接着細胞におけるいくつかの細胞は、Tuj1(図6D)、Neurofilament(図6E)、S−100(図6F)、およびGfap(図6G)について陽性であるが、単層MEFは陰性である(図6D〜G)ことが示された。加えて、本発明者らは、GABA(脳におけるニューロンの主に抑制性の神経伝達物質)に対する抗体で標識された、MEF球由来細胞におけるいくつかの細胞を見出した(図6H)。そのデータにより、3D球培養が、MEFを再プログラミングして、ニューロスフェア性質を獲得させ得ることが実証された。免疫細胞化学染色を、抗Tuj1抗体(1:500希釈、Millipore)、抗GFAP抗体(1:500希釈、Millipore)、抗Neurofilamentl抗体(1:1000希釈、Abcam)、抗S100抗体(1:100希釈、Sigma)、抗GABA抗体(1:3000希釈、Sigma)を含む一次抗体、およびDylight 488コンジュゲート型AffiniPureロバ抗マウスIgG抗体(1:400希釈、Jackson ImmunoResearch)およびAlexa Fluor 488ロバ抗ウサギIgG抗体(1:1000希釈、Invitrogen)を含む二次抗体を用いて実施した。
次に、本発明者らは、MEF球が、神経誘導培地において神経細胞表現型を獲得することができるかどうかを試験した。RA、SHH、N2(データ未呈示)、およびBHAを含むいくつかの方法を試みたが、BHAだけが有効であった。10日間の誘導後、単層MEFは、明らかな形態変化を示さなかったが、MEF球に由来した細胞は、広範な分枝を有する長い神経突起(neural process)様形態を示した。Q−PCR結果により、BHA誘導での単層MEFのほとんどの神経マーカーが、対照と比較して、変化しないままであり、またはダウンレギュレートされることが示された。対照的に、MEF球群においては、BHA誘導後、Sox2、Nestin、Map2、Gfap、Tuj1、Nf−L、S100B、Ng2、NeuN、NeuroD1、およびPax6を含むほとんどの神経マーカーがさらにアップレギュレートされた(図6I、Q−PCR分析に用いられたプライマーは下記の表3に列挙されている)。これらのデータは、BHAが、球MEFの神経細胞への転換を促進し得ることを実証した。
海馬は、神経発生が成人期を通じて起こる、脳における特別な構造である。MEF球のニューロスフェア特徴をインビボでさらに評価するために、GFP標識単層MEFおよび球MEFをラットの海馬へ移植し、生存能力および分化能力を、2週間目および4週間目に分析した。2週間目と比較して、4週間目におけるGFP陽性細胞の数は単層群において劇的に減少したが、球MEFの数は、明らかな減少は示さず、球MEFがより高い生存能を有することが示唆された。図7A〜Eにおいて示されているように、GFP陽性球MEFは、移植後2週間目および4週間目に、Tuj1、GFAP、S100、NeuN、およびMAP2に対する抗体によって検出されたが、単層MEFにおけるGFP陽性細胞は、これらの神経マーカーを発現することができなかった(データを、平均±標準偏差、N=4として示した)。これらの結果は、球MEFがインビボで生存可能な神経細胞を産生し得ることを示した。さらに、球MEFにおけるNeuNおよびMAP2陽性細胞の存在により、成熟ニューロンが移植後、産生し得ることが示唆された。
単層TTFは典型的な線維芽細胞形態を示したが、低接着性プレート上で培養されたTTFは、浮遊3D球を形成した(図8A)。いくつかの胚性幹細胞特異的遺伝子(Nanog、Gdf3、Dax1、Nat1、およびEsg1)は、TTF球においてアップレ
ギュレートされなかったが、TTF球におけるsox2のmRNAおよびタンパク質発現は、単層TTFと比較して、ウェスタンブロッティングおよびQ−PCR分析によって有意にアップレギュレートされた(図8Bおよび8C)。Q−PCR分析によりまた、ニューロンマーカーNf−L、アストロサイトマーカーGfapおよびS100B、オリゴデンドロサイトマーカーNg2、ならびに数個の神経特異的転写因子Pax6、Sox1、およびZic1が、単層TTFよりTTF球においてより高く発現することが実証された(図8C)。免疫細胞化学染色を実施し、陽性に染色された細胞のパーセンテージを、段落[0085]([0099])に提供されているような類似した方法を用いて計算した。その結果は、TTF球由来単層細胞におけるいくつかの細胞が、単層TTFにおいて陰性であるニューロンマーカーTuj1およびアストロサイトマーカーS100について陽性であることを示した(図8D〜E、データを、平均±標準偏差、N=4として示した)。これらのデータにより、マウス出生後線維芽細胞の3D球が、再プログラミングを促進し得、かつまたニューロスフェア性質を示し得ることが示唆された。
MCF−7細胞の再プログラミング
ヒト乳癌細胞系である、MCF−7細胞系を、DMEM−高グルコース培地(HYCLONE)において培養した。
3D培養について、(1%融解アガロースゲルを同量の2×DMEM培地と混合することにより作製された)軟質ゲルで細胞培養ディッシュをコーティングすることにより、低接着性培養ディッシュを調製した。3×106個のMCF−7細胞を、60mm低接着性
ディッシュへ移した。
2、3日後、3D培養で培養されたMCF−7細胞は球へ成長したが(図9A右参照)、従来の2D細胞培養ディッシュで培養されたMCF−7細胞は単層を形成した(図9A左参照)。
数個の幹細胞マーカー遺伝子の発現を、2D培養において形成されたMCF−7単層および3D培養において形成されたMCF−7球の両方について、Q−PCRによって調べた。図9Bにおいて示されているように、Oct4、Nanog、Sox2、c−Myc、Klf4、Lin 28、Rex1、Fgf4、Esg1、Tdgf1、Leftb、Ebaf、Grb7、Podx1、およびNestinを含む、試験された幹細胞マーカーの全部が、MCF−7球においてアップレギュレートされた。これらのデータにより、MCF−7細胞の球培養が、いくつかの胚性幹細胞マーカー遺伝子を含むいくつかの幹細胞マーカー遺伝子の発現を促進することが明らかにされた。
ラット骨芽細胞の再プログラミング
ラット骨芽細胞をDMEM−高グルコース培地(HYCLONE)において培養した。ラット骨芽細胞を、生後1日のラット頭蓋からの一次分離(primary isolation)により取得した。
3D培養について、(1%融解アガロースゲルを同量の2×DMEM培地と混合することにより作製された)軟質ゲルで細胞培養ディッシュをコーティングすることにより、低接着性培養ディッシュを調製した。3×106個のラット骨芽細胞を、60mm低接着性
ディッシュへ移した。
2、3日後、3D培養で培養されたラット骨芽細胞は球へ成長したが(図10A右参照)、従来の2D細胞培養ディッシュで培養されたラット骨芽細胞は単層を形成した(図1
0A左参照)。
数個の幹細胞マーカー遺伝子の発現を、2D培養において形成された単層および3D培養において形成された球の両方について、Q−PCRによって調べた。図10Bにおいて示されているように、Oct4、Nanog、Sox2、Lin 28、Fgf4、Nodal、およびGalを含む、試験された幹細胞マーカーの一部が、ラット骨芽細胞球においてアップレギュレートされた。c−Myc、Klf4、およびRex1などのマーカー遺伝子の一部がダウンレギュレートされた。これらのデータにより、球培養がラット骨芽細胞を再プログラミング過程へ誘導し、その結果として、いくつかの胚性幹細胞マーカー遺伝子を含むいくつかの幹細胞マーカー遺伝子のアップレギュレートを生じることが明らかにされた。
ラットニューロン幹細胞の再プログラミング
ラットニューロン幹細胞をDMEM/F12(HYCLONE)において培養した。ラットニューロン幹細胞を、生後1日のラット脳からの一次分離により取得した。
3D培養について、(1%融解アガロースゲルを同量の2×DMEM培地と混合することにより作製された)軟質ゲルで細胞培養ディッシュをコーティングすることにより、低接着性培養ディッシュを調製した。3×106個のラットニューロン幹細胞を、60mm
低接着性ディッシュへ移した。
2、3日後、3D培養で培養されたラットニューロン幹細胞は球へ成長したが(図11A右参照)、従来の2D細胞培養ディッシュで培養されたラットニューロン幹細胞は単層を形成した(図11A左参照)。
数個の幹細胞マーカー遺伝子の発現を、2D培養において形成された単層および3D培養において形成された球の両方について、Q−PCRによって調べた。図11Bにおいて示されているように、Nanog、Klf4、Fgf4、およびNodalを含む、試験された幹細胞マーカーの一部が、ラットニューロン幹細胞球においてアップレギュレートされた。Sox2、c−Myc、Lin28、およびGa1などのマーカー遺伝子の一部がダウンレギュレートされた。これらのデータにより、球培養がラットニューロン幹細胞を再プログラミング過程へ誘導し、その結果として、いくつかの幹細胞マーカー遺伝子のアップレギュレートを生じることが明らかにされた。

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Claims (34)

  1. 細胞を再プログラミングへと誘導する、3次元細胞凝集体の形成を可能にする条件下で、細胞を培養することを含む、細胞を再プログラミングする方法。
  2. 細胞が低接着性基質上で培養される、請求項1に記載の方法。
  3. 低接着性基質が、細胞付着を低下させる材料を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 材料が、親水性の中性荷電ハイドロゲル層を含む、請求項3に記載の方法。
  5. 材料が、寒天、アガロース、およびポリ(2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート)からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  6. アガロースが0.2%から5.0%までの範囲の濃度である、請求項5に記載の方法。
  7. アガロースが培地と混合される、請求項6に記載の方法。
  8. 材料が、低接着性基質の表面にコーティングされる、請求項3に記載の方法。
  9. 材料がポリスチレンを含む、請求項3に記載の方法。
  10. 低接着性基質が疎水性表面を含む、請求項2に記載の方法。
  11. 細胞が、支持材料に懸垂している液滴の培地中で懸濁培養される、請求項1に記載の方法。
  12. 液滴が、1ml以下の体積を有する、請求項11に記載の方法。
  13. 液滴の培地が培養容器の底面に逆さまに懸垂している、請求項11に記載の方法。
  14. 細胞が、回転状態、振盪状態、または静止状態で培養される、請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
  15. 細胞が、支持材料が培地内に配置されていない状態で、培養される、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
  16. 細胞が体細胞である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 細胞が幹細胞である、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  18. 細胞が、HEK293細胞、線維芽細胞、および癌細胞からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
  19. 線維芽細胞がマウス胎仔由来線維芽細胞または尾端線維芽細胞である、請求項18に記載の方法。
  20. 3次元細胞凝集体が多細胞性かつ多層性の細胞凝集体である、請求項1〜19のいずれかに記載の方法。
  21. 3次元細胞凝集体が球状の形を有する、請求項20に記載の方法。
  22. 3次元細胞凝集体が、少なくとも10μmの直径を有する、請求項21に記載の方法。
  23. 細胞が再プログラミングされて、1つまたは複数の幹細胞マーカーをアップレギュレートする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  24. 幹細胞マーカーが、Oct4、Nanog、Sox2、Klf4、c−Myc、Lin28、Rex1、Tdgf1、Leftb、Ebaf、Grb7、Podxl、Nodal、Fgf4、Nestin、Gdf3、Dax1、Slc2a3、Sox1、Olig2、およびPax6からなる群から選択される、請求項23に記載の方法。
  25. 細胞が再プログラミングされて、1つまたは複数の分化転換マーカーをアップレギュレートする、請求項1〜22のいずれかに記載の方法。
  26. 培地へ誘導剤を導入することをさらに含む、請求項1〜25のいずれかに記載の方法。
  27. 誘導剤が、細胞の再プログラミングを誘導することができるタンパク質である、請求項23に記載の方法。
  28. 誘導剤が、細胞の再プログラミングを誘導することができるタンパク質をコードする核酸である、請求項23に記載の方法。
  29. 誘導剤が、細胞の再プログラミングを誘導することができる化合物である、請求項23に記載の方法。
  30. 細胞がインビトロで培養される、請求項1に記載の方法。
  31. 請求項1〜30のいずれかに記載の方法を用いて得られる再プログラミングされた細胞。
  32. 請求項1〜30のいずれかに記載の方法を用いて得られる再プログラミングされた3次元細胞凝集体。
  33. 低接着性基質および培地を含む、細胞を再プログラミングするためのキット。
  34. 材料が、寒天、アガロース、またはポリ(2−ヒドロキシ−エチルメタクリレート)である、請求項33に記載のキット。
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