JP2017056280A - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ユーザが偏光状態を示す画像を効果的に確認できるように、該画像を表示部に表示させる。
【解決手段】 本画像処理装置は、被検体の偏光状態を示す平面画像を取得する平面画像取得手段と、被検体の複数の2次元の断層画像から成る3次元の断層画像を取得する断層画像取得手段と、複数の2次元の断層画像のうち表示手段に表示させる断層画像の位置を示す指標を、偏光状態を示す平面画像に重ねて該表示手段に表示させる表示制御手段と、偏光状態を示す平面画像上で前記指標の位置を変更する指示を行う指示手段と、を有する。
【選択図】 図11

Description

本発明は、被検体の画像を処理する画像処理装置及び画像処理方法に関する。
多波長光波干渉を利用した光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:以下、OCT)は、試料(特に眼底)の断層画像を高分解能に得ることができる。
近年、眼科用OCT装置において、眼底組織の形状をイメージングする通常のOCT画像に加えて、眼底組織の光学特性の一つである偏光パラメータ(リターデーションとオリエンテーション)を用いてイメージングする偏光OCT画像が取得されている。
偏光OCTは、偏光パラメータを利用して、偏光OCT画像を構成し、眼底組織の区別やセグメンテーションを行うことができる。偏光OCTは、試料を観察する測定光に円偏光に変調した光を用い、干渉光を2つの直交する直線偏光として分割して検出し、偏光OCT画像を生成する(特許文献1参照)。
WO2010/122118A1
しかしながら、特許文献1には、偏光OCTの本来の目的である診断の支援、具体的には眼底画像の見やすさ、画像の対比のし易さに関しては何ら開示されていない。
本発明の目的は、ユーザが偏光状態を示す画像を効果的に確認できるように、該画像を表示部に表示させることである。
本発明の画像処理装置は、
被検体の偏光状態を示す平面画像を取得する平面画像取得手段と、
前記被検体の複数の2次元の断層画像から成る3次元の断層画像を取得する断層画像取得手段と、
前記複数の2次元の断層画像のうち表示手段に表示させる断層画像の位置を示す指標を、前記偏光状態を示す平面画像に重ねて該表示手段に表示させる表示制御手段と、
前記偏光状態を示す平面画像上で前記指標の位置を変更する指示を行う指示手段と、を有する。
本発明によれば、被検体の平面画像と偏光状態を示す断層画像とを表示部に表示させることができる。これにより、ユーザが偏光状態を示す画像を効果的に確認できるように、該画像を表示部に表示させることができる。
本実施形態における画像処理装置の全体構成の概略図。 信号処理部190で生成される画像の例。 本実施形態における処理フロー。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部に表示される2次元の層厚マップの例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。 本実施形態に係る画像処理装置の表示部の表示画面における表示例。
本発明に係る撮影装置は、被検眼、皮膚、内臓等の被検体に適用することができる。また、本発明に係る撮影装置としては、例えば、眼科装置や内視鏡等である。以下、本発明の一例として、本実施形態に係る眼科装置について、図面を用いて詳細に説明する。
[装置の全体構成]
図1は、本実施形態における撮影装置の一例である「眼科装置」の全体構成の概略図である。なお、後述する信号処理部190の少なくとも一部を「画像処理装置」とみなすことができ、また、この場合、「眼科装置」全体を「眼科システム」、あるいは「撮影装置」全体を「撮影システム」とみなすこともできる。
本装置は、偏光OCT(Polarization Sensitive OCT;以下、PS−OCT)100、偏光を利用した走査型検眼鏡(Polarization Sensitive Scanning Laser Ophothalmoscope:以下、PS−SLO)140、前眼部撮像部160、内部固視灯170、制御部200から構成される。
内部固視灯170を点灯して被検眼に注視させた状態で、前眼部観察部160により観察される被検体の前眼部の画像を用いて、装置のアライメントが行われる。アライメント完了後に、PS−OCT100とPS−SLO140による眼底の撮像が行われる。
<PS−OCT100の構成>
PS−OCT100の構成について説明する。
光源101は、低コヒーレント光源であるSLD光源(Super Luminescent Diode)であり、例えば、中心波長850nm、バンド幅50nmの光を出射する。光源101としてSLDを用いたが、ASE光源(Amplified Spontaneous Emission)等、低コヒーレント光が出射できる光源であれば何れでも良い。
光源101から出射された光は、PM(Polarization Maintaining)ファイバ102、偏光コントローラ103を介して、偏光保持機能を有したファイバカップラ104に導かれ、測定光(以下、「断層画像用の測定光」や「OCT測定光」ともいう)と、測定光に対応する参照光とに分割される。
偏光コントローラ103は、光源101から出射された光の偏光の状態を調整するものであり、直線偏光に調整される。ファイバカップラ104の分岐比は、90(参照光):10(測定光)である。
測定光は、PMファイバ105を介してコリメータ106から平行光として出射される。出射された測定光は、眼底Erにおいて測定光を水平方向にスキャンするガルバノミラーから構成されるXスキャナ107、レンズ108、109、眼底Erにおいて測定光を垂直方向にスキャンするガルバノミラーから構成されるYスキャナ110を介し、ダイクロイックミラー111に到達する。Xスキャナ107、Yスキャナ110は、駆動制御部180により制御され、眼底Erの所望の範囲で測定光を走査することができる。なお、測定光が走査される眼底上の範囲は、断層画像の取得範囲、断層画像の取得位置、測定光の照射位置としてみなすことができる。また、Xスキャナ107、Yスキャナ110は、PS−OCT用の走査手段の一例であり、共通のXYスキャナとして構成しても良い。ダイクロイックミラー111は、800nm〜900nmの光を反射し、それ以外の光を透過する特性を有する。
ダイクロイックミラー111により反射された測定光は、レンズ112を介し、光軸を回転軸としてP偏光からS偏光に対して45°傾けて設置されたλ/4偏光板113を通過することにより、位相が90°ずれ、円偏光の光に偏光制御される。なお、λ/4偏光板113は、測定光の偏光状態を調整する測定光用の偏光調整部材の一例である。ここで、後述するPS−SLO光学系を適用する場合、λ/4偏光板113をPS−OCT光学系の一部とPS−SLO光学系の一部との共通光路に設けることができる。これにより、PS−SLO光学系で取得した画像と、PS−OCT光学系で取得した画像とに生じる偏光状態のばらつきを比較的に抑制することができる。このとき、PS−SLO用の走査手段と、PS−OCT用の走査手段とは、互いに共役な位置に設けられ、被検眼の瞳と共役な位置に設けることができる。なお、λ/4偏光板113の傾きは、λ/4偏光板113の状態の一例であり、例えば、偏光ビームスプリッタを内蔵したファイバカップラ123の偏光分割面の光軸を回転軸とした所定の位置からの角度である。
また、λ/4偏光板113を光路に対して挿脱可能に構成することができる。例えば、光軸あるいは光軸に平行な軸を回転軸としてλ/4偏光板113を回転する機械的な構成が考えられる。これにより、SLO光学系とPS−SLO光学系とを簡単に切り換え可能な小型な装置を実現することができる。また、OCT光学系とPS−OCT光学系とを簡単に切り換え可能な小型な装置を実現することができる。
ここで、被検眼に入射される光は、λ/4偏光板を45°傾けて設置することで円偏光の光に偏光制御されるが、被検眼の特性により眼底Erにおいて円偏光とならない場合がある。そのため、駆動制御部180の制御により、λ/4偏光板の傾きを微調整できるように構成されている。
円偏光に偏光制御された測定光は、ステージ116上に乗ったフォーカスレンズ114により、被検体である眼の前眼部Eaを介し、眼底Erの網膜層にフォーカスされる。眼底Erを照射した測定光は各網膜層で反射・散乱し、上述の光学経路をファイバカップラ104に戻る。
一方、ファイバカプラ104で分岐された参照光は、PMファイバ117を介してコリメータ118から平行光として出射される。出射された参照光は測定光と同様に、光軸を回転軸としてP偏光からS偏光に対して22.5°傾けて設置されたλ/4偏光板119で偏光制御される。なお、λ/4偏光板119は、参照光の偏光状態を調整する参照光用の偏光調整部材の一例である。参照光は分散補償ガラス120介し、コヒーレンスゲートステージ121上のミラー122で反射され、ファイバカップラ104に戻る。参照光は、λ/4偏光板119を二度通過する事で直線偏光の光がファイバカップラ104に戻ることになる。
コヒーレンスゲートステージ121は、被検者の眼軸長の相違等に対応する為、駆動制御部180で制御される。なお、コヒーレンスゲートとは、測定光の光路における参照光の光路長に対応する位置のことである。本実施形態では、参照光の光路長を変更しているが、測定光の光路と参照光の光路との光路長差を変更できれば良い。
ファイバカップラ104に戻った戻り光と参照光とは合波されて干渉光(以下、「合波光」ともいう)となり、偏光ビームスプリッタを内蔵したファイバカップラ123に入射され、異なる偏光方向の光であるP偏光の光とS偏光の光とに分岐比50:50で分割される。
P偏光の光は、PMファイバ124、コリメータ130を介し、グレーティング131により分光されレンズ132、ラインカメラ133で受光される。同様に、S偏光の光は、PMファイバ125、コリメータ126を介し、グレーティング127により分光されレンズ128、ラインカメラ129で受光される。なお、グレーティング127、131、ラインカメラ129、133は、各偏光の方向に合わせて配置されている。
ラインカメラ129、133でそれぞれ受光した光は、光の強度に応じた電気信号として出力され、断層画像生成部の一例である信号処理部190で受ける。
λ/4偏光板113、119の傾きに関して、偏光ビームスプリッタの偏光分割面の傾きを基準に自動的に調整することができるが、眼底の視神経乳頭中心と黄斑中心を結んだ直線に対して自動的に調整しても良い。このとき、λ/4偏光板113、119の傾きを検知する傾き検知部(不図示)を有することが好ましい。この傾き検知部により、現在の傾きと所定の傾きになったことを検知することができる。もちろん、受光した光の強度に基づいて、λ/4偏光板113、119の傾き具合を検知し、所定の強度になるように傾きを調整しても良い。なお、後述するように、GUI上に傾きを示すオブジェクトを表示して、ユーザがマウスを用いて調整しても良い。また、偏光基準として鉛直方向を基準にして偏光ビームスプリッタ、λ/4偏光板113、119を調整しても同様の効果が得られる。
<PS−SLO140の構成>
PS−SLO140の構成について説明する。
光源141は、半導体レーザであり、本実施例では、例えば、中心波長780nmの光を出射する。光源141から出射された測定光(以下、「眼底画像用の測定光」や「SLO測定光」ともいう)は、PMファイバ142を介し、偏光コントローラ145で直線偏光になるよう偏光制御され、コリメータ143から平行光として出射される。出射された測定光は穴あきミラー144の穴あき部を通過し、レンズ155を介し、眼底Erにおいて測定光を水平方向にスキャンするガルバノミラーから構成されるXスキャナ146、レンズ147、148、眼底Erにおいて測定光を垂直方向にスキャンするガルバノミラーから構成されるYスキャナ149を介し、ダイクロイックミラー154に到達する。Xスキャナ146、Yスキャナ149は駆動制御部180により制御され、眼底上で所望の範囲を測定光で走査できる。なお、Xスキャナ146、Yスキャナ149は、PS−SLO用の走査手段の一例であり、共通のXYスキャナとして構成しても良い。ダイクロイックミラー154は、760nm〜800nmを反射し、それ以外の光を透過する特性を有する。
ダイクロイックミラー154にて反射された直線偏光の測定光は、PS−OCT100と同様の光路を経由し、眼底Erに到達する。
眼底Erを照射した測定光は、眼底Erで反射・散乱され、上述の光学経路をたどり穴あきミラー144に達する。穴あきミラー144で反射された光が、レンズ150を介し、偏光ビームスプリッタ151にて異なる偏光方向の光(本実施形態では、P偏光の光とS偏光の光)に分割され、アバランシェフォトダイオード(APD)152、153で受光され、電気信号に変換されて、眼底画像生成部の一例でもある信号処理部190で受ける。
ここで、穴あきミラー144の位置は、被検眼の瞳孔位置と共役となっており、眼底Erに照射された測定光が反射・散乱された光のうち、瞳孔周辺部を通った光が、穴あきミラー144によって反射される。
本実施例では、PS−OCT、PS−SLOともにPMファイバを用いたが、シングルモードファイバー(SMF)でも偏光コントローラを用い偏光を制御する事で同様の構成と効果が得られる。
<前眼部撮像部160>
前眼部撮像部160について説明する。
前眼部撮像部160は、波長1000nmの照明光を発するLED115−a、115−bから成る照明光源115により前眼部Eaを照射する。前眼部Eaで反射され光は、レンズ114、偏光板113、レンズ112、ダイクロイックミラー111、154を介し、ダイクロイックミラー161に達する。ダイクロイックミラー161は、980nm〜1100nmの光を反射し、それ以外の光を透過する特性を有する。ダイクロイックミラー161で反射された光は、レンズ162、163、164を介し、前眼部カメラ165で受光される。前眼部カメラ165で受光された光は、電気信号に変換され、信号処理部190で受ける。
<内部固視灯170>
内部固視灯170について説明する。
内 部固視灯170は、内部固視灯用表示部171、レンズ172で構成される。内部固視灯用表示部171として複数の発光ダイオード(LD)がマトリックス状に配置されたものを用いる。発光ダイオードの点灯位置は、駆動制御部180の制御により撮像したい部位に合わせて変更される。内部固視灯用表示部171からの光は、レンズ172を介し、被検眼に導かれる。内部固視灯用表示部171から出射される光は520nmで、制御部180により所望のパターンが表示される。
<制御部200>
本装置全体を制御するための制御部200について説明する。
制御部200は、駆動制御部180、信号処理部190、表示制御部191、表示部192から構成される。
駆動制御部180は、上述の通り各部を制御する。
信号処理部190は、ラインカメラ129及び133、APD152及び153、前眼部カメラ165からそれぞれ出力される信号に基づき、画像の生成、生成された画像の解析、解析結果の可視化情報の生成を行う。なお、画像の生成などの詳細については、後述する。
表示制御部191は、眼底画像取得部(不図示)と断層画像取得部(不図示)により、断層画像生成部と眼底画像生成部とでそれぞれ生成された画像を取得した画像等を表示部192の表示画面に表示させる。ここで、表示部192は、例えば、液晶等のディスプレイである。なお、信号処理部190で生成された画像データは、表示制御部191に有線で送信されても良いし、無線で送信されても良い。この場合、表示制御部191を画像処理装置とみなすことができる。なお、撮影システムとして、眼底画像取得部がSLO光学系を含み、断層画像取得部がOCT光学系を含むように構成しても良い。なお、本明細書において、被検眼以外の被検体の場合、「眼底画像(眼底輝度画像)」を「平面画像(平面輝度画像)」と換言することができ、また、「眼底画像取得部」を「平面画像取得部」と換言することができる。
表示部192は、表示制御部191の制御の下、後述するように種々の情報を示す表示形態を表示する。なお、表示制御部191からの画像データは、表示部192に有線で送信されても良いし、無線で送信されても良い。また、表示部192等は、制御部200に含まれているが、本発明はこれに限らず、制御部200とは別に設けられても良い。また、表示制御部191と表示部192とを一体的に構成した、ユーザが持ち運び可能な装置の一例であるタブレットでも良い。この場合、表示部にタッチパネル機能を搭載させ、タッチパネル上で画像の表示位置の移動、拡大縮小、表示される画像の変更等の操作可能に構成することが好ましい。
[画像処理]
次に、信号処理部190における画像生成、画像解析について説明する。 信号処理部190は、ラインカメラ129、133から出力されたそれぞれの干渉信号に対して、一般的なSD−OCT(Spectral Domain OCT)に用いられる再構成処理を行うことで、各偏光成分に基づいた2つの断層画像である第一の偏光に対応する断層画像と、第二の偏光に対応する断層画像とを生成する。
まず、信号処理部190は、干渉信号から固定パターンノイズ除去を行う。固定パターンノイズ除去は検出した複数のAスキャン信号を平均することで固定パターンノイズを抽出し、これを入力した干渉信号から減算することで行われる。
次に、信号処理部190は、干渉信号を波長から波数に変換し、フーリエ変換を行うことによって、偏光状態を示す断層信号を生成する。
以上の処理を2つの偏光成分の干渉信号に対して行うことにより、2つの断層画像が生成される。
また、信号処理部190は、APD152、153から出力された信号を、Xスキャナ146、Yスキャナ149の駆動に同期して整列させることにより、各偏光成分に基づいた2つの眼底画像である第一の偏光に対応する眼底画像と、第二の偏光に対応する眼底画像とを生成する。
<断層輝度画像あるいは眼底輝度画像の生成>
信号処理部190は、前述した2つの断層信号から断層輝度画像を生成する。
断層輝度画像は、従来のOCTにおける断層画像と基本的に同じもので、その画素値rは各ラインセンサ129、133から得られた断層信号AおよびAから式1によって計算される。
また、同様に、2つの眼底画像から眼底輝度画像を生成する。
図2(a)に視神経乳頭部の輝度画像の例を示す。
なお、表示制御部191は、λ/4偏光板113を光路から外している場合に、従来のOCTの手法により取得した断層輝度画像を表示部192に表示させても良いし、従来のSLOの手法により取得した眼底輝度画像を表示部192に表示させても良い。
<リターデーション画像の生成>
信号処理部190は、互いに直行する偏光成分の断層画像からリターデーション画像を生成する。
リターデーション画像の各画素の値δは、断層画像を構成する各画素の位置において、垂直偏光成分と水平偏光成分とが被検眼で受ける影響の比を示す値であり、各断層信号AおよびAから式2によって計算される。
図2(b)は、このように生成された視神経乳頭部のリターデーション画像の例を示したものであり、各Bスキャン画像に対して式2を計算することによって得ることができる。ここで、上述した通り、リターデーション画像は、2つの偏光が被検眼で受ける影響の違いを示す断層画像のことである。図2(b)は、上記比を示す値を断層画像としてカラーで表示しており、濃淡の濃い場所は上記比を示す値が小さく、濃淡の淡い場所は上記比を示す値が大きいことを表している。そのため、リターデーション画像を生成することにより、複屈折性のある層を把握することが可能となる。なお、詳細は、「E. Gotzinger et al., Opt. Express 13, 10217, 2005」に記載されている通りである。
また、同様に、信号処理部190は、APD152及び153からの出力に基づいて眼底の平面方向のリターデーション画像を生成することもできる。
<リターデーションマップの生成>
信号処理部190は、複数のBスキャン像に対して得たリターデーション(Retardation)画像からリターデーションマップを生成する。
まず、信号処理部190は、各Bスキャン画像において、網膜色素上皮(以下、「RPE」ともいう)を検出する。RPEは偏光を解消する性質を持っているため、各Aスキャンを深度方向に沿って内境界膜(以下、「ILM」ともいう)からRPEを含まない範囲でリターデーションの分布を調べ、その最大値を当該Aスキャンにおけるリターデーションの代表値とする。
信号処理部190は、以上の処理を全てのリターデーション画像に対して行うことにより、リターデーションマップを生成する。
図2(c)に視神経乳頭部のリターデーションマップの例を示す。濃淡の濃い場所は上記比を示す値が小さく、濃淡の淡い場所は上記比を示す値が大きいことを表している。視神経乳頭部において、複屈折性を持つ層としては網膜神経線維層(以下、「RNFL」ともいう)であり、リターデーションマップは、RNFLの複屈折性とRNFLの厚みよって引き起こされる上記比を示す値を表している。そのため、RNFLが厚い個所では上記比を示す値が大きくなり、RNFLが薄い個所では上記比を示す値が小さくなる。したがって、リターデーションマップにより、眼底全体のRNFLの厚みを把握することができ、緑内障の診断に用いることができる。
<複屈折マップの生成>
信号処理部190は、先に生成されたリターデーション画像の各Aスキャン画像において、ILMからRNFLの範囲でリターデーションδの値を線形近似し、その傾きを当該Aスキャン画像の網膜上の位置における複屈折として決定する。すなわち、リターデーションはRNFLにおける距離と複屈折と積であるため、各Aスキャン画像において深さとリターデーションの値をプロットすると線形の関係が得られる。したがって、このプロットに対して最小二乗法等により線形近似を行い、その傾きを求めればそれが当該Aスキャン画像におけるRNFLの複屈折の値となる。この処理を取得した全てのリターデーション画像に対して行うことで、複屈折を表すマップを生成する。
図2(d)に視神経乳頭部の複屈折マップの例を示す。複屈折マップは、複屈折の値を直接マップ化するため、RNFLの厚さが変化しない場合であっても、その繊維構造が変化した場合に、複屈折の変化として描出することができる。
<DOPU画像の生成>
信号処理部190は、取得した断層信号AH、とそれらの間の位相差ΔΦから、各画素毎にストークスベクトルSを式3により計算する。
ただし、ΔΦは2つの断層画像を計算する際に得られる各信号の位相ΦとΦからΔΦ=Φ−Φとして計算する。
次に信号処理部190は、各Bスキャン画像を概ね計測光の主走査方向に70μm、深度方向に18μm程度の大きさのウィンドウを設定し、各ウィンドウ内において数Cで画素毎に計算されたストークスベクトルの各要素を平均し、式4により当該ウィンドウ内の偏光の均一性DOPU(Degree Of Polarization Uniformity)を式4により計算する。
ただし、Q、U、Vは各ウィンドウ内のストークスベクトルの要素Q,U,Vを平均した値である。この処理をBスキャン画像内の全てのウィンドウに対して行うことで、図2(e)に示す視神経乳頭部のDOPU画像)が生成される。ここで、上述した通り、DOPU画像は、2つの偏光の均一度を示す断層画像のことである。
DOPUは偏光の均一性を表す数値であり、偏光が保たれている個所においては1に近い数値となり、偏光が解消された保たれない箇所においては1よりも小さい数値となるものである。網膜内の構造においては、RPEが偏光状態を解消する性質があるため、DOPU画像においてRPEに対応する部分は、他の領域に対してその値が小さくなる。図において、濃淡が淡い場所がRPEを示している。DOPU画像は、RPE等の偏光を解消する層を画像化しているので、病気などによりRPEが変形している場合においても、輝度の変化よりも確実にRPEを画像化出来る。
また、同様に、信号処理部190は、APD152及び153からの出力に基づいて眼底の平面方向のDOPU画像を生成することもできる。
なお、本明細書において、上述した第一及び第二の偏光に対応する断層画像、リターデーション画像、DOPU画像等を、偏光状態を示す断層画像とも言うことにする。また、本明細書において、上述したリターデーションマップや複屈折マップ等を、偏光状態を示す眼底画像とも言うことにする。
<セグメンテーション>
信号処理部190は、前述した輝度画像を用いて断層画像のセグメンテーションを行う。
まず、信号処理部190は、処理の対象とする断層画像に対して、平滑化の一種としてメディアンフィルタと、エッジ検出の一種としてSobelフィルタとをそれぞれ適用して、それぞれの画像(以下、「メディアン画像」、「Sobel画像」ともいう)を作成する。次に、作成したメディアン画像とSobel画像から、Aスキャン毎にプロファイルを作成する。メディアン画像では輝度値のプロファイル、Sobel画像では勾配のプロファイルとなる。そして、Sobel画像から作成したプロファイル内のピークを検出する。検出したピークの前後やピーク間に対応するメディアン画像のプロファイルを参照することで、網膜層の各領域の境界を抽出する。
更に、Aスキャンラインの方向に各層厚をそれぞれ計測し、各層の層厚マップを作成する。
[処理動作]
次に本画像処理装置による処理動作について説明する。
図3は、本画像処理装置の処理動作を示すフローチャートである。
<調整>
まず、ステップS101において、被検眼を本装置に配置した状態で、本装置と被検眼のアライメントを行う。アライメントの説明に関して、本実施形態に特有な処理について説明し、ワーキングディスタンス等のXYZ方向のアライメント、フォーカス、コヒーレンスゲートの調整等は一般的であるのでその説明は省略する。
(PS−OCT撮像位置の調整)
図4は、調整時に表示部192に表示されるウィンドウ400を示している。第一の表示領域の一例である表示領域410には、PS−SLO140で撮像され、信号処理部190で生成された眼底画像411が表示され、眼底画像411上に、PS−OCT100の撮像範囲を示す枠412が重畳表示されている。
操作者がマウス等の指示装置(不図示)を用いて、ウィンドウ400に表示されるカーソルで指定し、クリック操作やドラッグ操作等により指示することにより、駆動制御部180の制御の下、撮像範囲の設定が行われる。即ち、カーソルで枠412を指定し、ドラッグ操作することにより、枠412を移動することができる。これにより、駆動制御部180がスキャナの駆動角度を制御することにより撮像範囲を設定する。なお、本実施形態のマウスには、例えば、ユーザの手によってマウス本体が2次元的に移動させたときの移動信号を検出するセンサと、ユーザの手によって押圧されたことを検知するための左右2つのマウスボタンと、左右2つのマウスボタンの間に前後左右に回転可能なホイール機構と、が設けられている。また、指示装置は、表示部にタッチパネル機能を搭載させ、タッチパネル上で取得位置を指定しても良い。
(λ/4偏光板の調整)
λ/4偏光板113の調整について説明する。
図4において、指示部413、414は、λ/4偏光板113の角度を調整するための表示であり、操作者が指示装置を用いて指示することにより、駆動制御部180の制御の下、λ/4偏光板113の角度が調整される。指示部413は反時計回りの調整を、指示部414は時計回りの調整を指示するための表示である。指示部413、414の横に表示されている数値は、現在のλ/4偏光板113の角度を表している。なお、表示制御部191は、λ/4偏光板119の角度を調整する指示部を、指示部413と並べて表示部192に表示させても良いし、指示部413の代わりに表示させても良い。
操作者は、第三の表示領域の一例である表示領域430と、第四の表示領域の一例である表示領域440にそれぞれ表示された各偏光の断層画像の輝度が同じになるように、マウスを用いてカーソルで指示する。なお、各偏光の断層画像431、441と共にピーク輝度値を表示し、あるいは、それぞれの干渉信号の波形そのものを表示し、それを見ながら調整を行う構成でも良い。ここで、各偏光の断層画像431、441は、第一の偏光に対応する断層画像、第二の偏光に対応する断層画像の一例である。なお、各偏光の断層画像431、441(あるいは後述する断層画像531、541)には、それぞれの画像の種類を示す表示形態、例えば、P偏光を示す「P」の文字や、S偏光を示す「S」の文字を画像に重ねて表示させることが好ましい。これにより、ユーザが画像を誤って認識することを防ぐことができる。もちろん、画像に重ねて表示させずに、画像の上側や横側に表示させても良く、画像と対応させるように表示させれば良い。
また、第二の表示領域の一例である表示領域420には、この段階では何も表示させなくても良いし、オート調整等の場合には現在の調整状態を示す表示形態、例えば、「λ/4偏光板の調整中」等のメッセージを表示させても良い。また、ウィンドウ400には、被検眼の左右眼等の患者情報を示す表示形態や、撮影モード等の撮影情報を示す表示形態を表示させても良い。なお、眼底輝度画像と偏光状態を示す断層画像とを交互に取得するように、光路に対するλ/4偏光板113の挿脱を繰り返すことが望ましい。これにより、できるだけ小型な眼科装置において、表示制御部191は、例えば、眼底輝度画像を表示領域410に表示させ、偏光状態を示す断層画像を表示領域420に表示させることができる。
ここで、調整の順番は、前眼部画像や角膜輝点を用いたアライメント調整、偏光状態を示す眼底画像を用いたフォーカス調整、偏光状態を示す断層画像を用いたコヒーレンスゲート調整、λ/4偏光板の調整の順番が好ましい。なお、偏光状態を示す断層画像の取得位置の決定は、偏光状態を示す断層画像を用いたコヒーレンスゲート調整前が好ましいが、偏光状態を示す眼底画像の中心領域を取得するように初期設定で決めるようにしても良い。これにより、偏光状態を示す眼底画像よりも精細で狭い範囲を対象にする偏光状態を示す断層画像を精度良く取得可能に簡単に調整することができる。このとき、コヒーレンスゲート調整の完了に応じてλ/4偏光板を自動的に調整しても良いし、偏光状態を示す画像を取得するための信号の入力に応じてλ/4偏光板を自動的に調整しても良い。もちろん、眼科装置の起動時に初期設定画面等でλ/4偏光板を予め調整しておき、撮影毎に調整しないように構成しても良い。
また、λ/4偏光板を光路に対して挿脱可能に構成している場合、調整の順番は、前眼部画像や角膜輝点を用いたアライメント調整、SLO眼底画像を用いたフォーカス調整、OCT断層画像を用いたコヒーレンスゲート調整、λ/4偏光板を光路に挿入、λ/4偏光板の調整の順番が好ましい。これにより、偏光状態を示す画像の取得前の調整を、ユーザが直感的に慣れている通常のSLO眼底画像やOCT断層画像を用いて行うことができる。ただし、フォーカス調整の後に、λ/4偏光板を挿入してからPS−OCTの偏光状態を示す断層画像を用いたコヒーレンスゲート調整を行っても良い。このとき、コヒーレンスゲート調整の完了あるいはフォーカス調整の完了に応じてλ/4偏光板を自動的に光路に挿入しても良いし、偏光状態を示す画像を取得するための信号の入力に応じてλ/4偏光板を自動的に光路に挿入しても良い。
なお、フォーカス調整は、SLO眼底画像を用いた粗フォーカス調整の後、OCT断層画像を用いた微フォーカス調整を行っても良い。
また、これらの調整は、上記順番で全て自動的に調整しても良いし、表示部に表示された各調整に対応したスライダにカーソルを合わせてドラッグ操作等を行うようにしても良い。また、λ/4偏光板を挿脱する場合、λ/4偏光板を光路に挿入あるいは光路から離脱を指示するためのアイコンを表示部に表示させてもよい。
<撮像>〜<解析>
ステップS102〜S104において、光源101、光源141からそれぞれ測定光を出射して、網膜Erからの戻り光を、ラインカメラ129、133、APD152、153で受光して、信号処理部190で、前述の通り各画像を生成・解析する。
<出力>
次に、生成した各画像及び解析した結果の出力処理ステップS105について説明する。
信号処理部190において、各画像の生成及び解析が終了すると、その結果に基づき、制御部191は、出力情報を生成し、表示部192に出力して表示を行う。
図5は、本実施形態における表示部192における表示例である。
図において、500は表示部192に表示されるウィンドウであり、表示領域510、520、530、540を有する。
第一の表示領域の一例である表示領域510には、眼底画像511が表示され、断層画像の位置を示す矩形の枠512が重畳されている。眼底画像511としては、眼底輝度画像が表示されるが、偏光信号に基づく眼底画像であっても良い。
第二の表示領域の一例である表示領域520には、断層画像521が表示される。更に、表示領域520には、表示される断層画像の種類を選択するための選択部の一例であるボタン522〜525が表示される。なお、ボタン522〜525の代わりにメニューから断層画像の種類を選択するようにしても良い。図5においては、ボタン522が選択された状態を示している。
第三の表示領域の一例である表示領域530と、第四の表示領域の一例である表示領域540とには、断層画像521を生成するために用いた各偏光信号に基づく、それぞれの断層画像531、541が表示されている。なお、操作者の指示、例えば、メニューからの選択に基づいて、表示領域530、540にそれぞれ表示されている画像を、表示領域510に表示されている眼底画像を生成した各偏光信号に基づく、それぞれの眼底画像を表示するようにしても良い。
なお、断層輝度画像521、後述するリターデーション画像621、DOPU画像721等には、それぞれの画像の種類を示す表示形態、例えば、「Intensity」の文字、「Retardation」の文字、「DOPU」の文字を画像に重ねて表示させることが好ましい。これにより、ユーザが画像を誤って認識することを防ぐことができる。もちろん、画像に重ねて表示させずに、画像の上側や横側に表示させても良く、画像と対応させるように表示させれば良い。
ボタン523を操作者が指示することにより、表示領域520に表示される断層画像を、図6に示すように、リターデーション画像621に変更することができる。
表示領域530、540には、図5と同様に断層画像531、541が表示される。
ボタン524を操作者が指示することにより、表示領域520に表示される断層画像を、図7に示すように、DOPU画像721に変更することができる。
表示領域530には、輝度画像521が表示され、表示領域540には、リターデーション画像621が表示される。ここで、表示領域毎に画像を選択可能なボタンを用意しておくことが好ましい。これにより、ユーザが比較したい画像、例えば、それぞれ異なる偏光状態を示す複数の断層画像を簡単に選ぶことができる。
ボタン525を操作者が指示することにより、表示領域520に表示される断層画像を、図8に示すように、セグメンテーション結果の画像821に変更することができる。画像821は、層境界を示すカラー線分が断層画像に重畳表示され、RPEが強調表示されている。操作者がカーソルを用いて選択した層が強調表示される。
表示領域540には、セグメンテーションに用いられた断層画像841と、ボタン842、843が表示される。このボタン842、843を指示することにより、輝度画像841と強調表示された層の層厚を示すグラフ941(図9参照)を切り替えることができる。
更に、図9において、選択された層の厚み情報(例えば、図10に示す2次元の層厚マップ)を、表示領域530に表示しても良い。図10において、選択された層の厚みを色の違いで表している。なお、図10に示す選択された層の厚みに変えて積算像を表示しても良い。なお、積算像としては、特定の層や全体のPS−OCTに基づく積算像でも良い。また、操作者の指示により表示される画像を変更する場合について説明したが、診断したい疾病に関する情報、例えば、疾病名をメニューから選択することにより、疾病に対して予め優先順位づけられた画像を各表示領域に表示するようにしても良い。
なお、表示制御部191は、上述した各種画像の代わりに、リターデーションマップや複屈折マップを表示部192の各表示領域のいずれかに表示させても良い。また、表示制御部191は、リターデーションマップや複屈折マップを眼底輝度画像511に重ねて表示させても良い。このとき、リターデーションマップや複屈折マップを枠512で示される領域に重ねて表示させることが好ましい。
以上説明のように本実施形態によれば、生成される各画像を操作者に効率よく提示することができる。
また、操作者が必要とする画像を簡単な操作で選択することができる。特に、予め疾病名と表示する画像を対応付けておくことで更に操作が簡単となる。
更に、測定光の偏光調整を容易に行うことができる。
なお、これらの画像を表示させる表示領域の位置は、本実施形態に限定されず、例えば、眼底画像を表示画面の左側の表示領域に表示させても良い。また、表示させる画像の数も本実施形態に限定されず、例えば、調整時には眼底画像と断層画像との合計2つを表示画面に並べて表示し、撮影後には表示方式を変更し、眼底画像の他に、それぞれ異なる偏光状態を示す複数の断層画像を表示画面に並べて表示させても良い。また、ボタン522〜525が並ぶ順番や位置等も本実施形態に限らない。
(偏光状態を示す断層画像の位置を示す指標)
さらに、表示領域510に表示される眼底画像に対して表示領域520に表示される断層画像の位置を示す指標として、直線状のカーソルを重畳表示することによって、より効果的な画像の表示を行うことができる。図11は、本実施形態における表示部192における表示例であり、表示部193に表示されるウィンドウの種類は上述した例と同様である。表示領域1110には、リターデーションマップ1111が表示され、断層画像の位置を示す矩形の枠1112が重畳されている。
表示領域520には、断層画像(輝度画像)521が表示される。1113は表示領域520に表示される断層画像(輝度画像)521の位置を示す断層位置指定カーソルであり、制御部191の指示または操作者がマウス等の指示装置によって移動させることが可能である。なお、この断層位置指定カーソル1113は図11に示すようにリターデーションマップ1111全体に渡って表示するようにしてもよいし、表示領域520に表示されている部分のみを眼底画像に重畳表示するようにしてもよい。さらに図11において断層位置指定カーソル1113は、表示領域520に表示されている範囲が破線で、それ以外は実線で表示されている。このカーソルの識別には線種の変更に限らず色を変えるようにしてもよい。
更に、領域520には、表示される断層画像の種類を選択するためのボタン522〜525が表示される。なお、ボタン522〜525の代わりにメニューから断層画像の種類を選択するようにしても良い。図11においては、ボタン522が選択された状態を示している。領域530、540には、断層画像(輝度画像)521を生成するために用いた各偏光信号に基づく、それぞれの断層画像531、541が表示されている。
この断層位置指定カーソル1113を操作することにより領域520に表示される断層画像(輝度画像)521のリターデーションマップ上における位置を変更することが出来る。操作者は、領域1110に表示されたリターデーションマップ1111を見ながら所望の位置に断層位置指定カーソル1113を移動して、観察したい位置の断層画像を領域520に表示することが出来る。なお、断層位置指定カーソル1113の移動に伴って、領域520に表示される断層画像が更新され、操作者からの指示に基づき所望の断層画像を固定表示する構成としても良い。
この時、断層画像は輝度画像に限らずリターデーション画像、DOPU画像であってもよいが、領域1110にリターデーションマップが表示されている場合は、輝度画像が望ましく、次のような効果を得ることが出来る。すなわち、前述したようにリターデーションマップはRNFLの複屈折性と厚さの双方により決まる値であるが、マップ上でリターデーションの値が小さい箇所のRNFLの厚さがどうなっているかは、断層像(輝度画像)を直接観察することが必要となる。
したがって本実施例で説明した方法によれば、リターデーションマップ上で全体を概観しつつ、さらに詳細観察が必要と考えられる個所のRNFLの状態を、より効率的に表示することが可能となる。なお、表示領域1110に表示される画像はリターデーションマップに限らず、眼底をXY平面上で表す画像であれば、上述した眼底画像511や、複屈折マップでもよい。
(複数の指標)
更に、前述した断層位置指定カーソルを複数表示するようにしてもよい。図12はその一例を図示したものであり、第1の指標の一例である第1の断層位置指定カーソル1113、および第2の指標の一例である第2の断層位置指定カーソル1114が表示される。このとき、各カーソルを操作者がマウス等の指示装置によって動かすことができる。これにより、各々の位置の断層画像を表示領域520に表示することができるため、例えば、ユーザは診断に有効な複数の位置の断層画像を比較することができるため、診断に効果的である。
この複数の断層位置指定カーソル1113、1114は、カーソル表示切り替えボタン1115を操作することによって表示させることができる。例えば、ユーザが、マウス等により、ボタン1115を押下すると、1つのカーソルが複数に増え、ボタン1115を再び押下すると、1つのカーソルに戻る構成が考えられる。また、断層位置指定カーソルが複数ある場合は、表示切り替え用ラジオボタン1116を操作することによって、表示領域520での表示の対象となるカーソルを指定するようにすればよい。図12においては、1と表示されたラジオボタンを押すことで第1の断層位置指定カーソルに対応する断層画像が表示領域520に表示される。さらに本例のようにカーソルが複数ある場合は、その色又は線の形状を識別可能なように表示させることが望ましい。
また、いずれか一方のカーソルを基準カーソルとして位置変更ができないように固定し、他方を操作者が移動可能になるようにしてもよい。カーソルを固定するには、例えば固定指定カーソル上でマウスのボタンのクリックや、別途不図示のカーソル固定ボタンを設けてこれを操作するようにすればよい。
このように一方のカーソルを固定することによって、当該基準カーソルと移動可能なカーソルとの間の距離を計測すると、断層画像間の距離を求めることができる。具体的には、制御部191が2つのカーソル間の距離を計算し、表示することでリターデーションマップ上での距離を操作者が手動で計測ができるようになる。リターデーションマップは緑内障の進行によって変化するため、このようにして変化が生じている部分の大きさを計測することができる。このとき、計測された距離を示す表示形態を表示手段に表示させることが好ましい。例えば、計測された距離を偏光状態を示す眼底画像に重ねて表示させることが好ましい。これにより、診断を効率的に行える。なお、複屈折マップを対象とした場合でも、同様の操作が可能である。
また、断層画像の表示形態は、上述した例示方法以外にもさまざまな形態を取ることが可能である。例えば、カーソル表示切り替えボタン1115を押下することで、表示領域520に2つの断層画像を並べて表示するようにしてもよいし、表示領域530および540にそれぞれのカーソルの位置の断層画像を表示してもよい。
このように2つの断層画像が同時に表示される場合は、各カーソル1113、1114のそれぞれに対応する断層画像がその位置関係を保った状態で、並べて表示されるものとする。さらに、対応するカーソルの線種に合わせて各々の断層画像の表示枠を描画するようにすると、各カーソルと断層画像の対応が取りやすくなるため好ましい。例えば、図12に示すように第2の断層位置指定カーソルが破線で表示されている場合、当該カーソルに対応する断層画像の表示枠も破線にするようにすればよい。あるいは色を対応付けるようにしても良い。
(指標の位置を自動的に移動)
また、前述した図11の例では、断層位置指定カーソル1113を操作者が直接移動させていたが、これを自動的に行うようにしてもよい。すなわち、制御部191はステップS103において生成された各種の画像から病変に対応する部分を抽出し、その位置に断層位置指定カーソル1113を移動する。病変の抽出としては、例えばDOPU画像を用いることができる。図13において、1326はDOPU画像によって描出された、RPEの構造が変化している領域を表している。制御部191は、この変化部分1326が存在するBスキャン画像を、例えばRPEの形状が急峻に変化する部分の辺縁を抽出し、当該位置に位置指定カーソル1113を移動する。
また、検出の対象をリターデーションマップとし、リターデーション(RNFLにおける距離と複屈折と積)が所定の閾値より小さくなる位置を検出して当該位置に位置指定カーソル1113を移動するようにしてもよい。この場合は、緑内障診断においてRNFLがダメージを受けている部分を自動的に表示することが可能となる。なお前記閾値の値は、緑内障疑いの被検眼に対する臨床的評価によって設定することができる。
さらに、前述した図12の例のように複数の断層位置指定カーソルに対して、その初期位置を前記のように自動的に設定してもよい。この場合前述した基準カーソルを自動的に抽出して他方のカーソルを操作者が移動可能なようにしてもよいし、双方を自動的に位置設定するようにしてもよい。
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
本発明の画像処理装置の一つは、
被検体の複数の2次元の偏光断層画像から成る3次元の偏光断層画像において表示手段に表示させる2次元の偏光断層画像の位置を示す直線状の指標を、前記被検体の平面輝度画像に重ねて該表示手段に表示させる表示制御手段と、
操作者の操作に応じて、前記平面輝度画像上で前記直線状の指標を移動する指示を行う指示手段と、を有し、
前記表示制御手段が、前記直線状の指標の位置に対応する前記被検体のリターデーション画像とDOPU画像とを含む異なる種類の複数の2次元の偏光断層画像のいずれかを選択するための表示形態を前記表示手段に表示させ、前記選択された2次元の偏光断層画像を前記表示手段に表示させる。
また、本発明の画像処理装置の一つは、
被検体の複数の2次元の偏光断層画像から成る3次元の偏光断層画像において表示手段に表示させる2次元の偏光断層画像の位置を示す直線状の指標を、前記被検体の平面輝度画像に重ねて該表示手段に表示させる表示制御手段と、
操作者の操作に応じて、前記平面輝度画像上で前記直線状の指標を移動する指示を行う指示手段と、を有する。

Claims (9)

  1. 被検体の偏光状態を示す平面画像を取得する平面画像取得手段と、
    前記被検体の複数の2次元の断層画像から成る3次元の断層画像を取得する断層画像取得手段と、
    前記複数の2次元の断層画像のうち表示手段に表示させる断層画像の位置を示す指標を、前記偏光状態を示す平面画像に重ねて該表示手段に表示させる表示制御手段と、
    前記偏光状態を示す平面画像上で前記指標の位置を変更する指示を行う指示手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記表示制御手段が、第1の指標と第2の指標とを前記指標として前記偏光状態を示す平面画像に重ねて前記表示手段に表示させ、
    前記指示手段が、前記第1及び第2の指標のうち一方の位置に対して他方の位置を変更する指示を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
  3. 前記第1の指標が前記指示手段により指示された場合に、前記第1の指標を固定してから、前記指示手段が、前記第2の指標の位置を変更する指示を行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
  4. 前記第1及び第2の指標の距離を計測する手段を有し、
    前記表示制御手段が、前記距離を示す表示形態を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2あるいは3に記載の画像処理装置。
  5. 被検体の偏光状態を示す平面画像を取得する工程と、
    前記被検体の複数の2次元断層画像から成る3次元断層画像を取得する工程と、
    前記複数の2次元断層画像のうち表示手段に表示させる断層画像の位置を示す指標を、前記偏光状態を示す平面画像に重ねて該表示手段に表示させる工程と、
    前記偏光状態を示す平面画像上で前記指標の位置を変更する指示を行う工程と、
    を有することを特徴とする画像処理方法。
  6. 前記表示さえる工程では、第1の指標と第2の指標とを前記指標として前記偏光状態を示す平面画像に重ねて前記表示手段に表示させ、
    前記指示する工程では、前記第1及び第2の指標のうち一方の位置に対して他方の位置を変更する指示を行うことを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
  7. 前記第1の指標が前記指示手段により指示された場合に、前記第1の指標を固定してから、前記指示する工程では、前記第2の指標の位置を変更する指示を行うことを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
  8. 前記第1及び第2の指標の距離を計測する工程を有し、
    前記表示させる工程では、前記距離を示す表示形態を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項6あるいは7に記載の画像処理方法。
  9. 請求項5乃至8のいずれか1項に記載の画像処理方法の各工程をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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