JP2017053320A - 発電装置 - Google Patents
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Abstract
Description
太陽光発電や風力発電などの発電量の変動が激しい発電手法では、安定した電力供給が困難であるため、太陽光発電や風力発電はベースロード電源として活用することが難しい。従来では、太陽光発電や風力発電で発電された電力を蓄電池や水素貯蔵等で(一時的に)蓄電するシステムを構築することで、安定した電力供給を実現することも考えられているが、この種のシステムは、初期導入コストや、水素の回収コスト、設備の維持管理の観点から実用化が困難である。
また、従来の発電手法には、例えば特許文献1のように、山間部や傾斜地などを利用して上池(貯水池など)と下池(貯水池、川、海など)を設けた上で、揚水ポンプ等を用いて水を下池から上池に揚水し、揚水された上池の水を下池に向けて流すことで発電する揚水式水力発電がある。揚水式水力発電では、電力需要が小さいとき(例えば夜間等)に水を上池に揚水することで発電能力を蓄え(蓄電し)、電力需要が大きいとき(例えば昼間等)に上池から下池に水を流すことで発電して外部に電力供給することができる。すなわち、揚水式水力発電では外部の需要に応じた電力供給が可能である。
また、周壁部の内側に貯留された水は、水力発電ユニットで得られた電力とは別の再生可能エネルギーによって駆動する動力部の動力を利用して周壁部の外側に排出される。これにより、周壁部の内外の水位差が大きくなり、発電能力を蓄える(蓄電する)ことができる。すなわち、電力を外部の需要に応じて供給することが可能となる。
また、上記の発電装置は、海や池、河川、湖等に設置することが可能である。すなわち、上池や下池を利用する従来の揚水式水力発電と比べて、山間部や傾斜地等の設置場所に限られずに設置することができる。
また、風車が周壁部の内側に配されるため、風車(特に支持構造部)には周壁部の外側の水の流れや波による荷重が作用しない。すなわち、風車を好適に保護することができる。
図1〜3に示すように、本実施形態に係る発電装置1は、海に設置される。発電装置1は、基盤2と、周壁部3と、導入部4と、水力発電ユニット5と、動力部6と、排水ユニット7と、を備える。
本実施形態において、基盤2の下側(基盤2と支持層BSとの間)には、砂や砂礫を敷き詰めた透水層8が設けられている。
シートパイル11は、円筒状に形成され、支持層BSに対して透水層8よりも深く打設されている。基盤2や透水層8は、このシートパイル11によって囲まれる。シートパイル11が打設される深さが深いほど、下方(支持層BS側)から透水層8への湧水を効果的に抑制できる。
RC壁12は、例えば現場打ちで形成されてもよいが、RC壁12を周方向や軸方向に分割してなる複数のプレキャスト壁(PCa壁)をシートパイル11の内側に配置した上で、プレキャスト壁同士の隙間をグラウト充填することで形成されてもよい。
導入部4には、例えば導入部4を開閉するバルブ(不図示)が設けられてもよい。バルブは、例えば導入部4の開度を調整するように構成されてもよい。これにより、導入部4を流れる海水Wの流量を発電需要に応じて自由に調整することができる。
導入部4を通じて周壁部3の内側に導入された海水Wは、周壁部3の内側に位置する基盤2上に貯留される。
水車21は、導入部4の各導入管13内に設けられ、各導入管13内における水流によって回転する。水車21は、任意に構成されてよいが、本実施形態の水車21は、導入管13内に固定される支持部24と、支持部24に対して回転自在に支持される羽根車25(ランナ)と、を有する。
羽根車25は、その軸方向が導入管13内における海水Wの流れ方向に沿うように配されている。羽根車25は、回転軸27と、回転軸27に固定された複数のブレード28と、を備える。図示例において、複数のブレード28は、前述した支持部24や整流板26よりも下流側に配されているが、例えば支持部24や整流板26よりも上流側に配されてもよい。
以上のように構成される水力発電ユニット5において発電された電力は、例えば外部(電力消費地)に供給される。
支持構造部42は、基盤2から周壁部3よりも高く延出する。支持構造部42は、図示例のように棒状に形成されてもよいが、これに限ることはない。風車本体41は、支持構造部42の延出方向先端に配される。支持構造部42の高さは、例えば軸部43及びブレード44を含む風車本体41全体が周壁部3の上端よりも高く位置するように設定されるとよいが、これに限ることはない。例えば、風車本体41の一部(例えば軸部43よりも下方に位置するブレード44)が周壁部3の上端よりも低く位置してもよい。
風車40は、例えば周壁部3の内側に複数配されてもよいが、本実施形態では一つだけ配されている。また、風車40は、周壁部3の内側の任意の位置に配されてよいが、本実施形態では平面視した基盤2の中央部に配されている。
本実施形態の排水ユニット7は、複数(図示例では三つ)の揚水部45を有する。複数の揚水部45は、周壁部3の周方向に等間隔で配される。図示例では、複数の揚水部45と複数の導入部4とが周壁部3の周方向に交互に配列されているが、これに限ることはない。
本実施形態の排水ユニット7では、排水ポンプ46が駆動することで、周壁部3の内側の海水Wが排水管47内で上方に流れ、排水管47の吐出口から周壁部3の外側の海面WLに向けて吐出される。
例えば、周壁部3の内側に海水Wが貯留されていない状態、又は、周壁部3の内側における海水Wの水位が、周壁部3の外側における海面WLの水位よりも低い状態では、周壁部3の内外の水位差に基づく水圧によって周壁部3の外側の海水Wが、導入部4を通じて周壁部3の内側に導入される。この際、水力発電ユニット5では、導入部4に生じる水流を利用した水力発電が行われる。水力発電は、周壁部3の内側における海水Wの水位が周壁部3の外側における海面WLの水位と同等になるまで行うことができる。
以上のことから、本実施形態の発電装置1では、導入部4を流れる海水Wの流量Qを調整することで、発電出力Pや発電継続時間Tを調整することができる。
周壁部3の内径が100m、基盤2の上面2aから周壁部3の上端までの高さ(周壁部高さ)が35mであり、基盤2の上面2aから海面WLまでの高さ(海面高さ)を30mとすると、周壁部3の内側に貯留可能な水量Vは、以下のようになる。
V=π/4×1002×30=235,600m3
また、有効落差hを30m(海面高さ)/2=15m、導入部4を流れる海水Wの流量Qを30m3/sec(各導入管13を流れる海水Wの流量を10m3/sec)とし、重力加速度gを9.8m/sec2、発電効率ηを0.8とすると、水力発電ユニット5における発電出力Pは、以下のようになる。
P=h×Q×g×η=15×30×9.8×0.8=3,528kW
また、水力発電ユニット5における発電継続時間Tは、水量Vと流量Qによって、以下のように求められる。
T=V/Q=235,600/30=7,853sec=2.18時間
そして、電力貯蔵容量Uは、下記の通りになる。
U=P×T=3,528×2.18=7,691kWh
この電力貯蔵容量Uは、一般家庭3400世帯分の電力を2時間まかなうことができる量である。
具体的には、水力発電ユニット5において周壁部3の内外の水位差によって導入部4を通過した水流を利用して発電された電力、すなわち、発電量の変動が小さく安定した電力を外部に供給することができる。本実施形態では、風車40で発電された電力(変動の激しい再生可能エネルギーで発電された電力)が外部に供給されないため、特に安定した電力供給を可能とする。
また、周壁部3の内側に貯留された海水Wは、風車40において発電された電力を利用して周壁部3の外側に排出される。これにより、周壁部3の内外の水位差が大きくなり、発電能力を蓄える(蓄電する)ことができる。すなわち、電力を外部の需要に応じて供給することが可能となる。
さらに、本実施形態の発電装置は、海に設置できるため、従来のような山間部や傾斜地等に限定されず、様々な場所に設置することが可能である。
また、本実施形態における風車40の設置構造によれば、着床式風車で問題となる洗掘も防ぐことができる。
例えば従来の洋上風車の施工では、SEP(Self Elevation Platform)のような特殊な作業船を用いる必要があり、傭船費が工事費に上乗せされ工費が陸上風車より嵩む。さらに、洋上風車の工事は気象条件や海象条件に左右されやすく工期が延びるおそれもある上、一年の内で施工できる季節も限られる。
これに対し、本実施形態の風車40は、周壁部3の内側から海水Wが排出された基盤2上、または、風車基礎部9と周壁部3との間に設けた仮設床上で、陸上風車と同様に組み立てることができる。すなわち、洋上風車と比較して、海上の気象条件、海象条件、季節的な条件に左右され難く、工費や工期をコンパクトに抑えることができる。
また、風車40が周壁部3の外側の海水W(外海)に直接接しないため、風車40が船舶と接触するような事故も防止できる。
また、円筒状の周壁部3であれば、周壁部3の外側の波による抗力も小さくできる。例えば、周壁部3が平面視正方形状である場合と比較して、抗力を4割程度低減できる。
σc=9.8×30×100/2=14,700kN/m2=14.7N/mm2
通常の設計基準強度Fcは60N/mm2であるため、周壁部3の周方向の圧縮応力に十分に対応できる。
また、本実施形態の発電装置1によれば、大きな電力量を貯蔵することも可能であるため、風力発電などの発電量の変動が大きい再生可能エネルギーと組み合わせることで、安定した電力供給を行うこともできる。
また、本実施形態の発電装置1における発電は、CO2や有毒ガスを排出しないタイプの発電(水力発電や風力発電)であるため、発電装置1の設置に伴う環境影響評価にも有利である。
スクリュー部53は、傾斜水路部52に沿って延びる軸体55の外周に螺旋状のブレード56を形成して構成されている。軸体55は、その両端が基盤2上及び周壁部3上に配された軸受57によって回転自在に支持されている。軸体55は、例えば風車40において発電された電力を利用して駆動装置58でトルクを発生させ、回転する。
図5に例示する構成では、スクリュー部53が回転することで周壁部3の内側の海水Wが傾斜水路部52の下端から上端に向けて汲み上げられる。傾斜水路部52の上端に到達した海水Wは、排水路部54に流れ込み、排水路部54から周壁部3外側の海面WLに放流される。
上記のことから、風車40は、電力のみを出力することに限らず、回転トルクのみを出力してもよいし、回転トルクと電力の両方を出力してもよい。
2 基盤
3 周壁部
4 導入部
5 水力発電ユニット
6 動力部
7 排水ユニット
21 水車
22 発電機
23 伝達部
40風車
41 風車本体
42 支持構造部
45,45A 揚水部
W 海水(水)
WL 海面(水面)
Claims (5)
- 水面よりも低く位置する基盤と、
前記水面よりも高く延びるように前記基盤に設けられる周壁部と、
前記周壁部の下部に設けられ、水圧によって前記周壁部の外側の水を前記周壁部の内側に導入する導入部と、
前記導入部における水流を利用して水力発電する水力発電ユニットと、
前記水力発電ユニットで得られた電力とは別の再生可能エネルギーによって駆動する動力部と、
前記動力部の動力を利用して前記周壁部の内側に貯留された水を前記周壁部の外側に排出する排水ユニットと、を備える発電装置。 - 前記動力部が、前記周壁部の内側において前記基盤上に設けられる風車であり、
前記風車が、風力によって回転駆動する風車本体と、前記基盤上に設けられて前記風車本体を支持する支持構造部と、を備え、
前記支持構造部が、前記基盤から前記周壁部よりも高く延出し、
前記風車本体が、前記支持構造部の延出方向先端に配されている請求項1に記載の発電装置。 - 前記周壁部が、円筒状に形成されている請求項1又は請求項2に記載の発電装置。
- 前記水力発電ユニットが、前記導入部に設けられ、前記導入部における水流によって回転する水車と、前記水車の回転によって駆動される発電機と、前記水車の回転を前記発電機に伝達する伝達部と、を備え、
前記発電機が、前記周壁部の上端部に配される請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発電装置。 - 前記排水ユニットが、前記周壁部の内側に貯留された水を、前記水面よりも上方に汲み上げる揚水部を備える請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の発電装置。
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JP2022170765A (ja) * | 2021-04-29 | 2022-11-11 | 陳 純輝 | 自然エネルギー発電における相互融通システム |
KR20230066713A (ko) * | 2021-11-08 | 2023-05-16 | 김한영 | 풍력 양수발전 시스템 |
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