JP2017052191A - 液滴吐出装置 - Google Patents

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【課題】ノズルの吐出異常の要因に応じた処理をすることができる液滴吐出装置を提供する。【解決手段】プリンターは、ノズルに連通する圧力室を振動させてノズルから液滴を吐出するインクジェットヘッドと、圧力室が振動したときの振動波形に基づいてノズルの吐出異常を検出する第1検出部としての吐出異常検出手段と、ノズルからの液滴の吐出状況に基づいてノズルの吐出異常を検出する第2検出部としての光学式センサーと、第1検出部が異常を検出しなかったノズルについて第2検出部が異常を検出した場合には、ノズル内から当該ノズルの外側にかけての領域に異常の要因があるとして処理をする制御部と、を備える。【選択図】図60

Description

本発明は、プリンターなどの液滴吐出装置に関する。
液滴吐出装置の一例として、ノズルからインクを吐出する液滴吐出ヘッドと、光を射出する発光部と、発光部から射出された光を受光する受光部と、を備え、発光部が射出する光をインク滴が遮るか否かで、ノズルから適切にインク滴が吐出しているか否かを検知するインクジェット式のプリンターがある(例えば、特許文献1)。
特開2002−192740号公報
上述のように、インク滴が光を遮るか否かでノズルの状態を判定する場合には、インク滴が光を遮ったときにはインク滴が適切に出ているとわかるが、なぜインク滴が適切に出なかったのか、という要因はわからない。
インク滴が出ない要因としては、液滴吐出ヘッド内への気泡の混入や、ノズルの外側へのゴミの付着などが考えられ、その要因が発生している場所によって吐出異常を解消するためのメンテナンスの方法等、対処の方法が異なる。例えば、液滴吐出ヘッド内に混入した気泡等の異物が吐出異常の要因であれば、ノズルからインクを排出するクリーニングを行うことで異物を排出することができるし、ノズルの外側に付着した異物が吐出異常の要因であれば、ノズルの外側を払拭するワイピングを行うことで異物を除去することができる。
そのため、吐出異常の要因がわからないまま、その後の処理としてメンテナンス動作等を実行すると、吐出異常を解消することができないままメンテナンス動作を繰り返したり、それによってインクを無駄に消費したりしてしまう、という課題がある。
このような課題は、インクを吐出して印刷を行うプリンターに限らず、液体を液滴として吐出する液滴吐出装置においては、概ね共通したものとなっている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルの吐出異常の要因に応じた処理をすることができる液滴吐出装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する液滴吐出装置は、ノズルに連通する圧力室を振動させて前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出部と、前記圧力室が振動したときの振動波形に基づいて前記ノズルの吐出異常を検出する第1検出部と、前記ノズルからの液滴の吐出状況に基づいて前記ノズルの吐出異常を検出する第2検出部と、前記第1検出部が異常を検出しなかった前記ノズルについて前記第2検出部が異常を検出した場合には、前記ノズル内から当該ノズルの外側にかけての領域に異常の要因があるとして処理をする制御部と、を備える。
この構成によれば、ノズルから液滴が適切に吐出されていない場合には第2検出部が吐出異常を検出する。また、ノズルに連通する圧力室に異常がある場合には、圧力室が振動したときの振動波形が正常な時と異なるため、第1検出部がその異常を検出する。そして、第1検出部が異常を検出しなかったノズルについて第2検出部が吐出異常を検出した場合には、制御部が、ノズル内奧側の圧力室に異常はないが、それより下流側となるノズル内から当該ノズルの外側にかけての領域に異常の要因があるして処理をする。これにより、ノズルの吐出異常の要因を判別した上で、その要因に応じた適切な処理を行うことができる。
上記液滴吐出装置は、前記液滴吐出部のメンテナンスを行うメンテナンス機構を備え、前記制御部は、前記処理として、前記液滴吐出部を払拭するワイピングを前記メンテナンス機構に実行させる。
この構成によれば、液滴吐出部を払拭するワイピングを行うことにより、ノズルの外側にある異物を除去することができるので、こうした異物による液滴の吐出異常を解消することができる。
上記液滴吐出装置において、前記処理としてのワイピングを第1のワイピングとしたときに、前記第1のワイピングの後に前記第2検出部が再度の検出を行い、前記制御部は、前記第2検出部が前記再度の検出において前記ノズルの吐出異常を検出した場合には、前記第1のワイピングよりも払拭性の高い第2のワイピングを前記メンテナンス機構に実行させる。
この構成によれば、第1のワイピングを行ったにもかかわらずノズルの吐出異常が解消されなかった場合に、払拭性が高い第2のワイピングを行うことにより、払拭性が低い第1ワイピングを繰り返すよりも、速やかに吐出異常を解消することができる。
上記液滴吐出装置において、前記液滴吐出部は、前記圧力室を振動させるアクチュエーターを有し、前記第1検出部は、前記アクチュエーターの駆動によって振動した前記圧力室の振動波形に基づいて前記ノズルの吐出異常を検出する。
この構成によれば、アクチュエーターの駆動によって圧力室を振動させることにより、そのときの振動波形に基づいて第1検出部が圧力室の異常を検出することができる。
上記液滴吐出装置において、前記アクチュエーターは、前記ノズルから液滴を吐出可能な程度に前記圧力室を振動させる第1駆動と、前記ノズルから液滴が吐出しない程度に前記第1駆動よりも小さく前記圧力室を振動させる第2駆動と、を選択的に実行可能であり、前記アクチュエーターの前記第1駆動により振動した前記圧力室の振動波形に基づいて前記第1検出部が前記ノズルの吐出異常を検出する。
この構成によれば、アクチュエーターが第2駆動よりも大きく圧力室を振動させる第1駆動を行ったときに第1検出部が検出を行うので、より正確に圧力室の異常を検出することができる。
上記液滴吐出装置において、前記液滴吐出部は、媒体に対して液滴を吐出することで記録処理を行い、前記液滴吐出部による前記記録処理の実行時における前記圧力室の振動波形に基づいて前記第1検出部が前記ノズルの吐出異常を検出する。
この構成によれば、第1検出部は、液滴吐出部が記録処理のために液滴を吐出しているときに検出を行うので、圧力室の異常を検出するためだけに液滴を吐出して液体を消費することがない。
液滴吐出装置の一種であるインクジェットプリンターの構成を示す概略図。 インクジェットプリンターの主要部を概略的に示すブロック図。 図1に示すインクジェットプリンターにおけるヘッドユニット(インクジェットヘッド)の概略的な断面図。 図3のヘッドユニットの構成を示す分解斜視図。 4色インクを用いるヘッドユニットのノズルプレートのノズル配置パターンの一例。 図3のIII−III断面の駆動信号入力時の各状態を示す状態図。 図3の振動板の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図。 図3の振動板の正常吐出の場合の残留振動の実験値と計算値との関係を示すグラフ。 図3のキャビティ内に気泡が混入した場合のノズル付近の概念図。 キャビティへの気泡混入によりインク滴が吐出しなくなった状態における残留振動の計算値および実験値を示すグラフ。 図3のノズル付近のインクが乾燥により固着した場合のノズル付近の概念図。 ノズル付近のインクの乾燥増粘状態における残留振動の計算値および実験値を示すグラフ。 図3のノズル出口付近に紙粉が付着した場合のノズル付近の概念図。 ノズル出口に紙粉が付着した状態における残留振動の計算値および実験値を示すグラフ。 ノズル付近に紙粉が付着した前後におけるノズルの状態を示す写真。 吐出異常検出手段の概略的なブロック図。 図3の静電アクチュエーターを平行平板コンデンサーとした場合の概念図。 図3の静電アクチュエーターから構成されるコンデンサーを含む発振回路の回路図。 図16に示す吐出異常検出手段のF/V変換回路の回路図。 発振回路から出力する発振周波数に基づく各部の出力信号などのタイミングを示すタイミングチャート。 固定時間trおよびt1の設定方法を説明するための図。 図16の波形整形回路の回路構成を示す回路図。 駆動回路と検出回路との切替手段の概略を示すブロック図。 吐出異常検出・判定処理を示すフローチャート。 残留振動検出処理を示すフローチャート。 吐出異常判定処理を示すフローチャート。 複数のインクジェットヘッドの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段が1つの場合)。 複数のインクジェットヘッドの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段の数がインクジェットヘッドの数と同じ場合)。 複数のインクジェットヘッドの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段の数がインクジェットヘッドの数と同じであり、印字データがあるときに吐出異常検出を行う場合)。 複数のインクジェットヘッドの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段の数がインクジェットヘッドの数と同じであり、各インクジェットヘッドを巡回して吐出異常検出を行う場合)。 図27に示すインクジェットプリンターのフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャート。 図28および図29に示すインクジェットプリンターのフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャート。 図30に示すインクジェットプリンターのフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャート。 図28および図29に示すインクジェットプリンターの印字動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャート。 図30に示すインクジェットプリンターの印字動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャート。 図1に示すインクジェットプリンターの上部から見た概略的な構造(一部省略)を示す図。 図36に示すワイパーとヘッドユニットとの位置関係を示す図。 ポンプ吸引処理時における、ヘッドユニットと、キャップおよびポンプとの関係を示す図。 図38に示すチューブポンプの構成を示す概略図。 インクジェットプリンターにおける吐出異常回復処理を示すフローチャート。 ワイパー(ワイピング手段)の他の構成例を説明するための図であり、(a)が印字手段(ヘッドユニット)のノズル面を示す図、(b)がワイパーを示す図。 図41に示すワイパーの作動状態を示す図。 ポンピング手段の他の構成例を説明するための図。 インクジェットヘッドの他の構成例の概略を示す断面図。 インクジェットヘッドの他の構成例の概略を示す断面図。 インクジェットヘッドの他の構成例の概略を示す断面図。 インクジェットヘッドの他の構成例の概略を示す断面図。 第3実施形態におけるヘッドユニットの構成を示す斜視図。 図48に示すヘッドユニット(インクジェットヘッド)の断面図。 第4実施形態における印刷モードを示すテーブル。 最高画質モードと高速高画質モードとの波形。 ノーマルモードと高速ドラフトモードとの波形。 第5実施形態の液滴吐出装置としてのプリンターの構成を示す模式図。 図53のプリンターの一部を模式的に示す平面図。 第6実施形態の液滴吐出装置が備えるキャリッジの底面図。 図55の液滴吐出装置が実行する第2検出を説明する側面図。 外部要因による吐出異常について説明する断面図。 第7実施形態の液滴吐出装置が備えるメンテナンス機構及び第2検出部の構成を説明する上面図。 図58の液滴吐出装置が実行するワイピングを説明する側面図。 図58の液滴吐出装置における吐出異常判定処理を示すフローチャート。 図58の液滴吐出装置における吐出異常回復処理を示すフローチャート。 第8実施形態の液滴吐出装置が備えるワイピングユニットの断面図。 図62のワイピングユニットの上面図。
以下、液滴吐出装置の実施形態について、図を参照して説明する。
液滴吐出装置は、例えば、記録用紙などの媒体に、液体の一例であるインクを吐出することによって印刷を行うインクジェット式のプリンターである。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態における液滴吐出装置の一種であるインクジェットプリンター1の構成を示す概略図である。なお、以下の説明では、図1中、鉛直方向における上側を「上部」、鉛直方向における下側を「下部」という。まず、このインクジェットプリンター1の構成について説明する。
図1に示すインクジェットプリンター1は、装置本体2を備えており、上部後方に記録用紙Pを設置するトレイ21と、下部前方に記録用紙Pを排出する排紙口22と、上部面に操作パネル7とが設けられている。
操作パネル7は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDランプ等で構成され、エラーメッセージ等を表示する表示部(図示せず)と、各種スイッチ等で構成される操作部(図示せず)とを備えている。この操作パネル7の表示部は、報知手段として機能する。
また、装置本体2の内部には、主に、往復動する印字手段(移動体)3を備える印刷装置(印刷手段)4と、記録用紙Pを印刷装置4に対し供給・排出する給紙装置(液滴受容物搬送手段)5と、印刷装置4および給紙装置5を制御する制御部(制御手段)6とを有している。
制御部6の制御により、給紙装置5は、記録用紙Pを一枚ずつ間欠送りする。この記録用紙Pは、印字手段3の下部近傍を通過する。このとき、印字手段3が記録用紙Pの送り方向とほぼ直交する方向に往復移動して、記録用紙Pへの印刷が行われる。すなわち、印字手段3の往復動と記録用紙Pの間欠送りとが、印刷における主走査および副走査となって、インクジェット方式の印刷が行われる。
印刷装置4は、印字手段3と、印字手段3を主走査方向に移動(往復動)させる駆動源となるキャリッジモーター41と、キャリッジモーター41の回転を受けて、印字手段3を往復動させる往復動機構42とを備えている。
印字手段3は、複数のヘッドユニット35と、各ヘッドユニット35にインクを供給するインクカートリッジ(I/C)31と、各ヘッドユニット35およびインクカートリッジ31を搭載したキャリッジ32とを有している。なお、インクの消費量が多いインクジェットプリンターの場合には、インクカートリッジ31がキャリッジ32に搭載されず別な場所に設置され、チューブでヘッドユニット35と連通されインクが供給されるように構成してもよい(図示せず)。
なお、インクカートリッジ31として、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラック(黒)の4色のインクを充填したものを用いることにより、フルカラー印刷が可能となる。この場合、印字手段3には、各色にそれぞれ対応したヘッドユニット35(この構成については、後に詳述する。)が設けられることになる。ここで、図1では、4色のインクに対応した4つのインクカートリッジ31を示しているが、印字手段3は、その他の色、例えば、ライトシアン、ライトマゼンタ、ダークイエロー、特色インクなどのインクカートリッジ31をさらに備えるように構成されてもよい。
往復動機構42は、その両端をフレーム(図示せず)に支持されたキャリッジガイド軸422と、キャリッジガイド軸422と平行に延在するタイミングベルト421とを有している。
キャリッジ32は、往復動機構42のキャリッジガイド軸422に往復動自在に支持されるとともに、タイミングベルト421の一部に固定されている。
キャリッジモーター41の作動により、プーリーを介してタイミングベルト421を正逆走行させると、キャリッジガイド軸422に案内されて、印字手段3が往復動する。そして、この往復動の際に、印刷されるイメージデータ(印刷データ)に対応して、ヘッドユニット35の各インクジェットヘッド100から適宜インク滴が吐出され、記録用紙Pへの印刷が行われる。
給紙装置5は、その駆動源となる給紙モーター51と、給紙モーター51の作動により回転する給紙ローラー52とを有している。
給紙ローラー52は、記録用紙Pの搬送経路(記録用紙P)を挟んで上下に対向する従動ローラー52aと駆動ローラー52bとで構成され、駆動ローラー52bは給紙モーター51に連結されている。これにより、給紙ローラー52は、トレイ21に設置した多数枚の記録用紙Pを、印刷装置4に向かって1枚ずつ送り込んだり印刷装置4から1枚ずつ排出したりするようになっている。なお、トレイ21に代えて、記録用紙Pを収容する給紙カセットを着脱自在に装着し得るような構成であってもよい。
さらに給紙モーター51は、印字手段3の往復動作と連動して、画像の解像度に応じた記録用紙Pの紙送りも行う。給紙動作と紙送り動作については、それぞれ別のモーターで行うことも可能であり、また、電磁クラッチなどのトルク伝達の切り替えを行う部品によって同じモーターで行うことも可能である。
制御部6は、例えば、パーソナルコンピューター(PC)やデジタルカメラ(DC)等のホストコンピューター8から入力された印刷データに基づいて、印刷装置4や給紙装置5等を制御することにより記録用紙Pに印刷処理を行うものである。また、制御部6は、操作パネル7の表示部にエラーメッセージ等を表示させ、あるいはLEDランプ等を点灯/点滅させるとともに、操作部から入力された各種スイッチの押下信号に基づいて、対応する処理を各部に実行させるものである。さらに、制御部6は、必要に応じてエラーメッセージや吐出異常などの情報をホストコンピューター8に転送することもある。
図2に示すように、インクジェットプリンター1は、ホストコンピューター8から入力された印刷データなどを受け取るインターフェース(IF:Interface)9と、制御部6と、キャリッジモーター41と、キャリッジモーター41を駆動制御するキャリッジモータードライバー43と、給紙モーター51と、給紙モーター51を駆動制御する給紙モータードライバー53と、ヘッドユニット35と、ヘッドユニット35を駆動制御するヘッドドライバー33と、吐出異常検出手段10と、回復手段24と、操作パネル7とを備える。なお、吐出異常検出手段10、回復手段24およびヘッドドライバー33については、詳細を後述する。
この図2において、制御部6は、印刷処理や吐出異常検出処理などの各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)61と、ホストコンピューター8からIF9を介して入力される印刷データを図示しないデータ格納領域に格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)(記憶手段)62と、後述する吐出異常検出処理などを実行する際に各種データを一時的に格納し、あるいは印刷処理などのアプリケーションプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)63と、各部を制御する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるPROM64とを備えている。なお、制御部6の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
上述のように、印字手段3は、各色のインクに対応した複数のヘッドユニット35を備える。また、各ヘッドユニット35は、複数のノズル110と、これらの各ノズル110にそれぞれ対応する静電アクチュエーター120とを備える。すなわち、ヘッドユニット35は、1組のノズル110および静電アクチュエーター120を有してなるインクジェットヘッド100(液滴吐出ヘッド)を複数個備えた構成になっている。そして、ヘッドドライバー33は、各インクジェットヘッド100の静電アクチュエーター120を駆動して、インクの吐出タイミングを制御する駆動回路18と、切替手段23とから構成される(図16参照)。なお、静電アクチュエーター120の構成については後述する。
また、制御部6には、図示しないが、例えば、インクカートリッジ31のインク残量、印字手段3の位置、温度、湿度等の印刷環境等を検出可能な各種センサーが、それぞれ電気的に接続されている。
制御部6は、IF9を介して、ホストコンピューター8から印刷データを入手すると、その印刷データをEEPROM62に格納する。そして、CPU61は、この印刷データに所定の処理を実行して、この処理データおよび各種センサーからの入力データに基づいて、各ドライバー33、43、53に駆動信号を出力する。各ドライバー33、43、53を介してこれらの駆動信号が入力されると、ヘッドユニット35の複数の静電アクチュエーター120、印刷装置4のキャリッジモーター41および給紙装置5がそれぞれ作動する。これにより、記録用紙Pに印刷処理が実行される。
次に、印字手段3内の各ヘッドユニット35の構造を説明する。図3は、図1に示すヘッドユニット35(インクジェットヘッド100)の概略的な断面図であり、図4は、1色のインクに対応するヘッドユニット35の概略的な構成を示す分解斜視図であり、図5は、図3および図4に示すヘッドユニット35を適用した印字手段3のノズル面の一例を示す平面図である。なお、図3および図4は、通常使用される状態とは上下逆に示されている。
図3に示すように、ヘッドユニット35は、インク取り入れ口131、ダンパー室130およびインク供給チューブ311を介して、インクカートリッジ31に接続されている。ここで、ダンパー室130は、ゴムからなるダンパー132を備えている。このダンパー室130により、キャリッジ32が往復走行する際のインクの揺れおよびインク圧の変化を吸収することができ、これにより、ヘッドユニット35に所定量のインクを安定的に供給することができる。
また、ヘッドユニット35は、シリコン基板140を挟んで、上側に同じくシリコン製のノズルプレート150と、下側にシリコンと熱膨張率が近いホウ珪酸ガラス基板(ガラス基板)160とがそれぞれ積層された3層構造をなしている。中央のシリコン基板140には、独立した複数のキャビティ(圧力室)141(図4では、7つのキャビティを示す)と、1つのリザーバー(共通インク室)143と、このリザーバー143を各キャビティ141に連通させるインク供給口(オリフィス)142としてそれぞれ機能する溝が形成されている。各溝は、例えば、シリコン基板140の表面からエッチング処理を施すことにより形成することができる。このノズルプレート150と、シリコン基板140と、ガラス基板160とがこの順序で接合され、各キャビティ141、リザーバー143、各インク供給口142が区画形成されている。
これらのキャビティ141は、それぞれ短冊状(直方体状)に形成されており、後述する振動板121の振動(変位)によりその容積が可変であり、この容積変化によりノズル110からインク(液状材料)を吐出するよう構成されている。ノズルプレート150には、各キャビティ141の先端側の部分に対応する位置に、ノズル110が形成されており、これらが各キャビティ141に連通している。また、リザーバー143が位置しているガラス基板160の部分には、リザーバー143に連通するインク取り入れ口131が形成されている。インクは、インクカートリッジ31からインク供給チューブ311、ダンパー室130を経てインク取り入れ口131を通り、リザーバー143に供給される。リザーバー143に供給されたインクは、各インク供給口142を通って、独立した各キャビティ141に供給される。なお、各キャビティ141は、ノズルプレート150と、側壁(隔壁)144と、底壁121とによって、区画形成されている。
独立した各キャビティ141は、その底壁121が薄肉に形成されており、底壁121は、その面外方向(厚さ方向)、すなわち、図3において上下方向に弾性変形(弾性変位)可能な振動板(ダイヤフラム)として機能するように構成されている。したがって、この底壁121の部分を、以後の説明の都合上、振動板121と称して説明することもある(すなわち、以下、「底壁」と「振動板」のいずれにも符号121を用いる)。
ガラス基板160のシリコン基板140側の表面には、シリコン基板140の各キャビティ141に対応した位置に、それぞれ、浅い凹部161が形成されている。したがって、各キャビティ141の底壁121は、凹部161が形成されたガラス基板160の対向壁162の表面に、所定の間隙を介して対峙している。すなわち、キャビティ141の底壁121と後述するセグメント電極122の間には、所定の厚さ(例えば、0.2ミクロン程度)の空隙が存在する。なお、前記凹部161は、例えば、エッチングなどで形成することができる。
ここで、各キャビティ141の底壁(振動板)121は、ヘッドドライバー33から供給される駆動信号によってそれぞれ電荷を蓄えるための各キャビティ141側の共通電極124の一部を構成している。すなわち、各キャビティ141の振動板121は、それぞれ、後述する対応する静電アクチュエーター120の対向電極(コンデンサーの対向電極)の一方を兼ねている。そして、ガラス基板160の凹部161の表面には、各キャビティ141の底壁121に対峙するように、それぞれ、共通電極124に対向する電極であるセグメント電極122が形成されている。また、図3に示すように、各キャビティ141の底壁121の表面は、シリコンの酸化膜(SiO)からなる絶縁層123により覆われている。このように、各キャビティ141の底壁121、すなわち、振動板121と、それに対応する各セグメント電極122とは、キャビティ141の底壁121の図3中下側の表面に形成された絶縁層123と凹部161内の空隙とを介し、対向電極(コンデンサーの対向電極)を形成(構成)している。したがって、振動板121と、セグメント電極122と、これらの間の絶縁層123および空隙とにより、静電アクチュエーター120の主要部が構成される。
図3に示すように、これらの対向電極の間に駆動電圧を印加するための駆動回路18を含むヘッドドライバー33は、制御部6から入力される印字信号(印字データ)に応じて、これらの対向電極間の充放電を行う。ヘッドドライバー(電圧印加手段)33の一方の出力端子は、個々のセグメント電極122に接続され、他方の出力端子は、シリコン基板140に形成された共通電極124の入力端子124aに接続されている。なお、シリコン基板140には不純物が注入されており、それ自体が導電性をもつために、この共通電極124の入力端子124aから底壁121の共通電極124に電圧を供給することができる。また、例えば、シリコン基板140の一方の面に金や銅などの導電性材料の薄膜を形成してもよい。これにより、低い電気抵抗で(効率良く)共通電極124に電圧(電荷)を供給することができる。この薄膜は、例えば、蒸着あるいはスパッタリング等によって形成すればよい。ここで、本実施形態では、例えば、シリコン基板140とガラス基板160とを陽極接合によって結合(接合)させるので、その陽極結合において電極として用いる導電膜をシリコン基板140の流路形成面側(図3に示すシリコン基板140の上部側)に形成している。そして、この導電膜をそのまま共通電極124の入力端子124aとして用いる。なお、例えば、共通電極124の入力端子124aを省略してもよく、また、シリコン基板140とガラス基板160との接合方法は、陽極接合に限定されない。
図4に示すように、ヘッドユニット35は、複数のノズル110が形成されたノズルプレート150と、複数のキャビティ141、複数のインク供給口142、1つのリザーバー143が形成されたシリコン基板(インク室基板)140と、絶縁層123とを備え、これらがガラス基板160を含む基体170に収納されている。基体170は、例えば、各種樹脂材料、各種金属材料等で構成されており、この基体170にシリコン基板140が固定、支持されている。
なお、ノズルプレート150に形成されたノズル110は、図4では簡潔に示すためにリザーバー143に対して略並行に直線的に配列されているが、ノズルの配列パターンはこの構成に限らず、通常は、例えば、図5に示すノズル配置パターンのように、段をずらして配置される。また、このノズル110間のピッチは、印刷解像度(dpi:Dot Per Inch)に応じて適宜設定され得るものである。なお、図5では、4色のインク(インクカートリッジ31)を適用した場合におけるノズル110の配置パターンを示している。
図6は、図3のIII−III断面の駆動信号入力時の各状態を示す。ヘッドドライバー33から対向電極間に駆動電圧が印加されると、対向電極間にクーロン力が発生し、底壁(振動板)121は、初期状態(図6(a))に対して、セグメント電極122側へ撓み、キャビティ141の容積が拡大する(図6(b))。この状態において、ヘッドドライバー33の制御により、対向電極間の電荷を急激に放電させると、振動板121は、その弾性復元力によって図中上方に復元し、初期状態における振動板121の位置を越えて上部に移動し、キャビティ141の容積が急激に収縮する(図6(c))。このときキャビティ141内に発生する圧縮圧力により、キャビティ141を満たすインク(液状材料)の一部が、このキャビティ141に連通しているノズル110からインク滴として吐出される。
各キャビティ141の振動板121は、この一連の動作(ヘッドドライバー33の駆動信号によるインク吐出動作)により、次の駆動信号(駆動電圧)が入力されて再びインク滴を吐出するまでの間、減衰振動をしている。以下、この減衰振動を残留振動とも称する。振動板121の残留振動は、ノズル110やインク供給口142の形状、あるいはインク粘度等による音響抵抗rと、流路内のインク重量によるイナータンスmと、振動板121のコンプライアンスCmとによって決定される固有振動周波数を有するものと想定される。
上記想定に基づく振動板121の残留振動の計算モデルについて説明する。図7は、振動板121の残留振動を想定した単振動の計算モデルを示す回路図である。このように、振動板121の残留振動の計算モデルは、音圧Pと、上述のイナータンスm、コンプライアンスCmおよび音響抵抗rとで表せる。そして、図7の回路に音圧Pを与えた時のステップ応答を体積速度uについて計算すると、次式が得られる。
この式から得られた計算結果と、別途行ったインク滴の吐出後の振動板121の残留振動の実験における実験結果とを比較する。図8は、振動板121の残留振動の実験値と計算値との関係を示すグラフである。この図8に示すグラフからも分かるように、実験値と計算値の2つの波形は、概ね一致している。
さて、ヘッドユニット35の各インクジェットヘッド100では、前述したような吐出動作を行ったにもかかわらずノズル110からインク滴が正常に吐出されない現象、すなわち液滴の吐出異常が発生する場合がある。この吐出異常が発生する原因としては、後述するように、(1)キャビティ141内への気泡の混入、(2)ノズル110付近でのインクの乾燥・増粘(固着)、(3)ノズル110出口付近への紙粉付着、等が挙げられる。
この吐出異常が発生すると、その結果としては、典型的にはノズル110から液滴が吐出されないこと、すなわち液滴の不吐出現象が現れ、その場合、記録用紙Pに印刷(描画)した画像における画素のドット抜けを生じる。また、吐出異常の場合には、ノズル110から液滴が吐出されたとしても、液滴の量が過少であったり、その液滴の飛行方向(弾道)がずれたりして適正に着弾しないので、やはり画素のドット抜けとなって現れる。このようなことから、以下の説明では、液滴の吐出異常のことを単に「ドット抜け」と言う場合もある。
以下においては、図8に示す比較結果に基づいて、インクジェットヘッド100のノズル110に発生する印刷処理時のドット抜け(吐出異常)現象(液滴不吐出現象)の原因別に、振動板121の残留振動の計算値と実験値がマッチ(概ね一致)するように、音響抵抗rおよび/またはイナータンスmの値を調整する。
まず、ドット抜けの1つの原因であるキャビティ141内への気泡の混入について検討する。図9は、図3のキャビティ141内に気泡Bが混入した場合のノズル110付近の概念図である。この図9に示すように、発生した気泡Bは、キャビティ141の壁面に発生付着しているものと想定される(図9では、気泡Bの付着位置の一例として、気泡Bがノズル110付近に付着している場合を示す)。
このように、キャビティ141内に気泡Bが混入した場合には、キャビティ141内を満たすインクの総重量が減り、イナータンスmが低下するものと考えられる。また、気泡Bは、キャビティ141の壁面に付着しているので、その径の大きさだけノズル110の径が大きくなったような状態となり、音響抵抗rが低下するものと考えられる。
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、音響抵抗r、イナータンスmを共に小さく設定して、気泡混入時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図10のような結果(グラフ)が得られた。図8および図10のグラフから分かるように、キャビティ141内に気泡が混入した場合には、正常吐出時に比べて周波数が高くなる特徴的な残留振動波形が得られる。なお、音響抵抗rの低下などにより、残留振動の振幅の減衰率も小さくなり、残留振動は、その振幅をゆっくりと下げていることも確認することができる。
次に、ドット抜けのもう1つの原因であるノズル110付近でのインクの乾燥(固着、増粘)について検討する。図11は、図3のノズル110付近のインクが乾燥により固着した場合のノズル110付近の概念図である。この図11に示すように、ノズル110付近のインクが乾燥して固着した場合、キャビティ141内のインクは、キャビティ141内に閉じこめられたような状況となる。このように、ノズル110付近のインクが乾燥、増粘した場合には、音響抵抗rが増加するものと考えられる。
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、音響抵抗rを大きく設定して、ノズル110付近のインク乾燥固着(増粘)時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図12のような結果(グラフ)が得られた。なお、図12に示す実験値は、数日間図示しないキャップを装着しない状態でヘッドユニット35を放置し、ノズル110付近のインクが乾燥、増粘したことによりインクを吐出することができなくなった(インクが固着した)状態における振動板121の残留振動を測定したものである。図8および図12のグラフから分かるように、ノズル110付近のインクが乾燥により固着した場合には、正常吐出時に比べて周波数が極めて低くなるとともに、残留振動が過減衰となる特徴的な残留振動波形が得られる。これは、インク滴を吐出するために振動板121が図3中下方に引き寄せられることによって、キャビティ141内にリザーバー143からインクが流入した後に、振動板121が図3中上方に移動するときに、キャビティ141内のインクの逃げ道がないために、振動板121が急激に振動できなくなるため(過減衰となるため)である。
次に、ドット抜けのさらにもう1つの原因であるノズル110出口付近への紙粉付着について検討する。図13は、図3のノズル110出口付近に紙粉が付着した場合のノズル110付近の概念図である。この図13に示すように、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合、キャビティ141内から紙粉を介してインクが染み出してしまうとともに、ノズル110からインクを吐出することができなくなる。このように、ノズル110の出口付近に紙粉が付着し、ノズル110からインクが染み出している場合には、振動板121から見てキャビティ141内および染み出し分のインクが正常時よりも増えることにより、イナータンスmが増加するものと考えられる。また、ノズル110の出口付近に付着した紙粉の繊維によって音響抵抗rが増大するものと考えられる。
したがって、インクが正常に吐出された図8の場合に対して、イナータンスm、音響抵抗rを共に大きく設定して、ノズル110の出口付近への紙粉付着時の残留振動の実験値とマッチングすることにより、図14のような結果(グラフ)が得られた。図8および図14のグラフから分かるように、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合には、正常吐出時に比べて周波数が低くなる特徴的な残留振動波形が得られる(ここで、紙粉付着の場合、インクの乾燥の場合よりは、残留振動の周波数が高いことも、図12および図14のグラフから分かる。)。なお、図15は、この紙粉付着前後におけるノズル110の状態を示す写真である。ノズル110の出口付近に紙粉が付着すると、紙粉に沿ってインクがにじみ出している状態を、図15(b)から見出すことができる。
ここで、ノズル110付近のインクが乾燥して増粘した場合と、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合とでは、いずれも正常にインク滴が吐出された場合に比べて減衰振動の周波数が低くなっている。これら2つのドット抜け(インク不吐出:吐出異常)の原因を振動板121の残留振動の波形から特定するために、例えば、減衰振動の周波数や周期、位相において所定のしきい値を持って比較するか、あるいは、残留振動(減衰振動)の周期変化や振幅変化の減衰率から特定することができる。このようにして、各インクジェットヘッド100におけるノズル110からのインク滴が吐出されたときの振動板121の残留振動の変化、特に、その周波数の変化によって、各インクジェットヘッド100の吐出異常を検出することができる。また、その場合の残留振動の周波数を正常吐出時の残留振動の周波数と比較することにより、吐出異常の原因を特定することもできる。
次に、吐出異常検出手段10について説明する。図16は、図3に示す吐出異常検出手段10の概略的なブロック図である。この図16に示すように、吐出異常検出手段10は、発振回路11と、F/V変換回路12と、波形整形回路15とから構成される残留振動検出手段16と、この残留振動検出手段16によって検出された残留振動波形データから周期や振幅などを計測する計測手段17と、この計測手段17によって計測された周期などに基づいてインクジェットヘッド100の吐出異常を判定する判定手段20とを備えている。吐出異常検出手段10では、残留振動検出手段16は、静電アクチュエーター120の振動板121の残留振動に基づいて、発振回路11が発振し、その発振周波数からF/V変換回路12および波形整形回路15において振動波形を形成して、検出する。そして、計測手段17は、検出された振動波形に基づいて残留振動の周期などを計測し、判定手段20は、計測された残留振動の周期などに基づいて、印字手段3内の各ヘッドユニット35が備える各インクジェットヘッド100の吐出異常を検出、判定する。以下、吐出異常検出手段10の各構成要素について説明する。
まず、静電アクチュエーター120の振動板121の残留振動の周波数(振動数)を検出するために、発振回路11を用いる方法を説明する。図17は、図3の静電アクチュエーター120を平行平板コンデンサーとした場合の概念図であり、図18は、図3の静電アクチュエーター120から構成されるコンデンサーを含む発振回路11の回路図である。なお、図18に示す発振回路11は、シュミットトリガのヒステリシス特性を利用するCR発振回路であるが、必ずしもこのようなCR発振回路に限定されず、アクチュエーター(振動板を含む)の静電容量成分(コンデンサーC)を用いる発振回路であればどのような発振回路でもよい。発振回路11は、例えば、LC発振回路を利用した構成としてもよい。また、本実施形態では、シュミットトリガインバーターを用いた例を示して説明しているが、例えば、インバーターを3段用いたCR発振回路を構成してもよい。
図3に示すインクジェットヘッド100では、上述のように、振動板121と非常にわずかな間隔(空隙)を隔てたセグメント電極122とが対向電極を形成する静電アクチュエーター120を構成している。この静電アクチュエーター120は、図17に示すような平行平板コンデンサーと考えることができる。このコンデンサーの静電容量をC、振動板121およびセグメント電極122のそれぞれの表面積をS、2つの電極121、122の距離(ギャップ長)をg、両電極に挟まれた空間(空隙)の誘電率をε(真空の誘電率をε0、空隙の比誘電率をεrとすると、ε=ε0・εr)とすると、図17に示すコンデンサー(静電アクチュエーター120)の静電容量C(x)は、次式で表される。
なお、式(4)のxは、図17に示すように、振動板121の残留振動によって生じる振動板121の基準位置からの変位量を示している。
この式(4)から分かるように、ギャップ長g(ギャップ長g−変位量x)が小さくなれば、静電容量C(x)は大きくなり、逆にギャップ長g(ギャップ長g−変位量x)が大きくなれば、静電容量C(x)は小さくなる。このように、静電容量C(x)は、(ギャップ長g−変位量x)(xが0の場合は、ギャップ長g)に反比例している。なお、図3に示す静電アクチュエーター120では、空隙は空気で満たされているので、比誘電率εr=1である。
また、一般に、液滴吐出装置(本実施形態では、インクジェットプリンター1)の解像度が高まるにつれて、吐出されるインク滴(インクドット)が微小化されるので、この静電アクチュエーター120は、高密度化、小型化される。それによって、インクジェットヘッド100の振動板121の表面積Sが小さくなり、小さな静電アクチュエーター120が構成される。さらに、インク滴吐出による残留振動によって変化する静電アクチュエーター120のギャップ長gは、初期ギャップg0の1割程度となるため、式(4)から分かるように、静電アクチュエーター120の静電容量の変化量は非常に小さな値となる。
この静電アクチュエーター120の静電容量の変化量(残留振動の振動パターンにより異なる)を検出するために、以下のような方法、すなわち、静電アクチュエーター120の静電容量に基づいた図18のような発振回路を構成し、発振された信号に基づいて残留振動の周波数(周期)を解析する方法を用いる。図18に示す発振回路11は、静電アクチュエーター120から構成されるコンデンサー(C)と、シュミットトリガインバーター111と、抵抗素子(R)112とから構成される。
シュミットトリガインバーター111の出力信号がHighレベルの場合、抵抗素子112を介してコンデンサーCを充電する。コンデンサーCの充電電圧(振動板121とセグメント電極122との間の電位差)が、シュミットトリガインバーター111の入力スレッショルド電圧VT+に達すると、シュミットトリガインバーター111の出力信号がLowレベルに反転する。そして、シュミットトリガインバーター111の出力信号がLowレベルとなると、抵抗素子112を介してコンデンサーCに充電されていた電荷が放電される。この放電によりコンデンサーCの電圧がシュミットトリガインバーター111の入力スレッショルド電圧V−に達すると、シュミットトリガインバーター111の出力信号が再びHighレベルに反転する。以降、この発振動作が繰り返される。
ここで、上述のそれぞれの現象(気泡混入、乾燥、紙粉付着、および正常吐出)におけるコンデンサーCの静電容量の時間変化を検出するためには、この発振回路11による発振周波数は、残留振動の周波数が最も高い気泡混入時(図10参照)の周波数を検出することができる発振周波数に設定される必要がある。そのため、発振回路11の発振周波数は、例えば、検出する残留振動の周波数の数倍から数十倍以上、すなわち、気泡混入時の周波数よりおよそ1桁以上高い周波数となるようにしなければならない。この場合、好ましくは、気泡混入時の残留振動の周波数が正常吐出の場合と比較して高い周波数を示すため、気泡混入時の残留振動周波数が検知可能な発振周波数に設定するとよい。そうしなければ、吐出異常の現象に対して正確な残留振動の周波数を検出することができない。そのため、本実施形態では、発振周波数に応じて、発振回路11のCRの時定数を設定している。このように、発振回路11の発振周波数を高く設定することにより、この発振周波数の微小変化に基づいて、より正確な残留振動波形を検出することができる。
なお、発振回路11から出力される発振信号の発振周波数の周期(パルス)毎に、測定用のカウントパルス(カウンター)を用いてそのパルスをカウントし、初期ギャップg0におけるコンデンサーCの静電容量で発振させた場合の発振周波数のパルスのカウント量を測定したカウント量から減算することにより、残留振動波形について発振周波数毎のデジタル情報が得られる。これらのデジタル情報に基づいて、デジタル/アナログ(D/A)変換を行うことにより、概略的な残留振動波形が生成され得る。このような方法を用いてもよいが、測定用のカウントパルス(カウンター)には、発振周波数の微小変化を測定することができる高い周波数(高解像度)のものが必要となる。このようなカウントパルス(カウンター)は、コストをアップさせるため、吐出異常検出手段10では、図19に示すF/V変換回路12を用いている。
図19は、図16に示す吐出異常検出手段10のF/V変換回路12の回路図である。この図19に示すように、F/V変換回路12は、3つのスイッチSW1、SW2、SW3と、2つのコンデンサーC1、C2と、抵抗素子R1と、定電流Isを出力する定電流源13と、バッファー14とから構成される。このF/V変換回路12の動作を図20のタイミングチャートおよび図21のグラフを用いて説明する。
まず、図20のタイミングチャートに示す充電信号、ホールド信号およびクリア信号の生成方法について説明する。充電信号は、発振回路11の発振パルスの立ち上がりエッジから固定時間trを設定し、その固定時間trの間Highレベルとなるようにして生成される。ホールド信号は、充電信号の立ち上がりエッジに同期して立ち上がり、所定の固定時間だけHighレベルに保持され、Lowレベルに立ち下がるようにして生成される。クリア信号は、ホールド信号の立ち下がりエッジに同期して立ち上がり、所定の固定時間だけHighレベルに保持され、Lowレベルに立ち下がるようにして生成される。なお、後述するように、コンデンサーC1からコンデンサーC2への電荷の移動およびコンデンサーC1の放電は瞬時に行われるので、ホールド信号およびクリア信号のパルスは、発振回路11の出力信号の次の立ち上がりエッジまでにそれぞれ1つのパルスが含まれればよく、上記のような立ち上がりエッジ、立ち下がりエッジに限定されない。
きれいな残留振動の波形(電圧波形)を得るために、図21を参照して、固定時間trおよびt1の設定方法を説明する。固定時間trは、静電アクチュエーター120が初期ギャップ長g0のときにおける静電容量Cで発振した発振パルスの周期から調整され、充電時間t1による充電電位がC1の充電範囲のおよそ1/2付近となるように設定される。また、ギャップ長gが最大(Max)の位置における充電時間t2から最小(Min)の位置における充電時間t3の間で、コンデンサーC1の充電範囲を超えないように充電電位の傾きが設定される。すなわち、充電電位の傾きは、dV/dt=Is/C1によって決定されるため、定電流源13の出力定電流Isを適当な値に設定すればよい。この定電流源13の出力定電流Isをその範囲内でできるだけ高く設定することによって、静電アクチュエーター120によって構成されるコンデンサーの微小な静電容量の変化を高感度で検出することができ、静電アクチュエーター120の振動板121の微小な変化を検出することが可能となる。
次いで、図22を参照して、図16に示す波形整形回路15の構成を説明する。図22は、図16の波形整形回路15の回路構成を示す回路図である。この波形整形回路15は、残留振動波形を矩形波として判定手段20に出力するものである。この図22に示すように、波形整形回路15は、2つのコンデンサーC3(DC成分除去手段)、C4と、2つの抵抗素子R2、R3と、2つの直流電圧源Vref1、Vref2と、増幅器(オペアンプ)151と、比較器(コンパレータ)152とから構成される。なお、残留振動波形の波形整形処理において、検出される波高値をそのまま出力して、残留振動波形の振幅を計測するように構成してもよい。
F/V変換回路12のバッファー14の出力には、静電アクチュエーター120の初期ギャップg0に基づくDC成分(直流成分)の静電容量成分が含まれている。この直流成分は各インクジェットヘッド100によりばらつきがあるため、コンデンサーC3は、この静電容量の直流成分を除去するものである。そして、コンデンサーC3は、バッファー14の出力信号におけるDC成分を除去し、残留振動のAC成分のみをオペアンプ151の反転入力端子に出力する。
オペアンプ151は、直流成分が除去されたF/V変換回路12のバッファー14の出力信号を反転増幅するとともに、その出力信号の高域を除去するためのローパスフィルターを構成している。なお、このオペアンプ151は、単電源回路を想定している。オペアンプ151は、2つの抵抗素子R2、R3による反転増幅器を構成し、入力された残留振動(交流成分)は、−R3/R2倍に振幅される。
また、オペアンプ151の単電源動作のために、その非反転入力端子に接続された直流電圧源Vref1によって設定された電位を中心に振動する、増幅された振動板121の残留振動波形が出力される。ここで、直流電圧源Vref1は、オペアンプ151が単電源で動作可能な電圧範囲の1/2程度に設定されている。さらに、このオペアンプ151は、2つのコンデンサーC3、C4により、カットオフ周波数1/(2π×C4×R3)となるローパスフィルターを構成している。そして、直流成分を除去された後に増幅された振動板121の残留振動波形は、図20のタイミングチャートに示すように、次段の比較器(コンパレータ)152でもう一つの直流電圧源Vref2の電位と比較され、その比較結果が矩形波として波形整形回路15から出力される。なお、直流電圧源Vref2は、もう一つの直流電圧源Vref1を共用してもよい。
次に、図20に示すタイミングチャートを参照して、図19のF/V変換回路12および波形整形回路15の動作を説明する。上述のように生成された充電信号、クリア信号およびホールド信号に基づいて、図19に示すF/V変換回路12は動作する。図20のタイミングチャートにおいて、静電アクチュエーター120の駆動信号がヘッドドライバー33を介してインクジェットヘッド100に入力されると、図6(b)に示すように、静電アクチュエーター120の振動板121がセグメント電極122側に引きつけられ、この駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、図6中上方に向けて急激に収縮する(図6(c)参照)。
この駆動信号の立ち下がりエッジに同期して、駆動回路18と吐出異常検出手段10とを切り替える駆動/検出切替信号がHighレベルとなる。この駆動/検出切替信号は、対応するインクジェットヘッド100の駆動休止期間中、Highレベルに保持され、次の駆動信号が入力される前に、Lowレベルになる。この駆動/検出切替信号がHighレベルの間、図18の発振回路11は、静電アクチュエーター120の振動板121の残留振動に対応して発振周波数を変えながら発振している。
上述のように、駆動信号の立ち下がりエッジ、すなわち、発振回路11の出力信号の立ち上がりエッジから、残留振動の波形がコンデンサーC1に充電可能な範囲を超えないように予め設定された固定時間trだけ経過するまで、充電信号は、Highレベルに保持される。なお、充電信号がHighレベルである間、スイッチSW1はオフの状態である。
固定時間tr経過し、充電信号がLowレベルになると、その充電信号の立ち下がりエッジに同期して、スイッチSW1がオンされる(図19参照)。そして、定電流源13とコンデンサーC1とが接続され、コンデンサーC1は、上述のように、傾きIs/C1で充電される。充電信号がLowレベルである期間、すなわち、発振回路11の出力信号の次のパルスの立ち上がりエッジに同期してHighレベルになるまでの間、コンデンサーC1は充電される。
充電信号がHighレベルになると、スイッチSW1はオフ(オープン)となり、定電流源13とコンデンサーC1は切り離される。このとき、コンデンサーC1には、充電信号がLowレベルの期間t1の間に充電された電位(すなわち、理想的にはIs×t1/C1(V))が保存されている。この状態で、ホールド信号がHighレベルになると、スイッチSW2がオンされ(図19参照)、コンデンサーC1とコンデンサーC2が、抵抗素子R1を介して接続される。スイッチSW2の接続後、2つのコンデンサーC1、C2の充電電位差によって互いに充放電が行われ、2つのコンデンサーC1、C2の電位差が概ね等しくなるように、コンデンサーC1からコンデンサーC2に電荷が移動する。
ここで、コンデンサーC1の静電容量に対してコンデンサーC2の静電容量は、約1/10以下程度に設定されている。そのため、2つのコンデンサーC1、C2間の電位差によって生じる充放電で移動する(使用される)電荷量は、コンデンサーC1に充電されている電荷の1/10以下となる。したがって、コンデンサーC1からコンデンサーC2へ電荷が移動した後においても、コンデンサーC1の電位差は、それほど変化しない(それほど下がらない)。なお、図19のF/V変換回路12では、コンデンサーC2に充電されるときF/V変換回路12の配線のインダクタンス等により充電電位が急激に跳ね上がらないようにするために、抵抗素子R1とコンデンサーC2により一次のローパスフィルターを構成している。
コンデンサーC2にコンデンサーC1の充電電位と概ね等しい充電電位が保持された後、ホールド信号がLowレベルとなり、コンデンサーC1はコンデンサーC2から切り離される。さらに、クリア信号がHighレベルとなり、スイッチSW3がオンすることにより、コンデンサーC1がグラウンドGNDに接続され、コンデンサーC1に充電されていた電荷が0となるように放電動作が行われる。コンデンサーC1の放電後、クリア信号はLowレベルとなり、スイッチSW3がオフすることにより、コンデンサーC1の図19中上部の電極がグラウンドGNDから切り離され、次の充電信号が入力されるまで、すなわち、充電信号がLowレベルになるまで待機している。
コンデンサーC2に保持されている電位は、充電信号の立ち上がりのタイミング毎、すなわち、コンデンサーC2への充電完了のタイミング毎に更新され、バッファー14を介して振動板121の残留振動波形として図22の波形整形回路15に出力される。したがって、発振回路11の発振周波数が高くなるように静電アクチュエーター120の静電容量(この場合、残留振動による静電容量の変動幅も考慮しなければならない)と抵抗素子112の抵抗値を設定すれば、図20のタイミングチャートに示すコンデンサーC2の電位(バッファー14の出力)の各ステップ(段差)がより詳細になるので、振動板121の残留振動による静電容量の時間的な変化をより詳細に検出することが可能となる。
以下同様に、充電信号がLowレベル→Highレベル→Lowレベル・・・と繰り返し、上記所定のタイミングでコンデンサーC2に保持されている電位がバッファー14を介して波形整形回路15に出力される。波形整形回路15では、バッファー14から入力された電圧信号(図20のタイミングチャートにおいて、コンデンサーC2の電位)の直流成分がコンデンサーC3によって除去され、抵抗素子R2を介してオペアンプ151の反転入力端子に入力される。入力された残留振動の交流(AC)成分は、このオペアンプ151によって反転増幅され、コンパレータ152の一方の入力端子に出力される。コンパレータ152は、予め直流電圧源Vref2によって設定されている電位(基準電圧)と、残留振動波形(交流成分)の電位とを比較し、矩形波を出力する(図20のタイミングチャートにおける比較回路の出力)。
次に、インクジェットヘッド100のインク滴吐出動作(駆動)と吐出異常検出動作(駆動休止)との切り替えタイミングについて説明する。図23は、駆動回路18と吐出異常検出手段10との切替手段23の概略を示すブロック図である。なお、この図23では、図16に示すヘッドドライバー33内の駆動回路18をインクジェットヘッド100の駆動回路として説明する。図20のタイミングチャートでも示したように、吐出異常検出処理は、インクジェットヘッド100の駆動信号と駆動信号の間、すなわち、駆動休止期間に実行されている。
図23において、静電アクチュエーター120を駆動するために、切替手段23は、最初は駆動回路18側に接続されている。上述のように、駆動回路18から駆動信号(電圧信号)が振動板121に入力されると、静電アクチュエーター120が駆動し、振動板121は、セグメント電極122側に引きつけられ、印加電圧が0になるとセグメント電極122から離れる方向に急激に変位して振動(残留振動)を開始する。このとき、インクジェットヘッド100のノズル110からインク滴が吐出される。
駆動信号のパルスが立ち下がると、その立ち下がりエッジに同期して駆動/検出切替信号(図20のタイミングチャート参照)が切替手段23に入力され、切替手段23は、駆動回路18から吐出異常検出手段(検出回路)10側に切り替えられ、静電アクチュエーター120(発振回路11のコンデンサーとして利用)は吐出異常検出手段10と接続される。
そして、吐出異常検出手段10は、上述のような吐出異常(ドット抜け)の検出処理を実行し、波形整形回路15の比較器152から出力される振動板121の残留振動波形データ(矩形波データ)を計測手段17によって残留振動波形の周期や振幅などに数値化する。本実施形態では、計測手段17は、残留振動波形データから特定の振動周期を測定し、その計測結果(数値)を判定手段20に出力する。
具体的には、計測手段17は、比較器152の出力信号の波形(矩形波)の最初の立ち上がりエッジから次の立ち上がりエッジまでの時間(残留振動の周期)を計測するために、図示しないカウンターを用いて基準信号(所定の周波数)のパルスをカウントし、そのカウント値から残留振動の周期(特定の振動周期)を計測する。なお、計測手段17は、最初の立ち上がりエッジから次の立ち下がりエッジまでの時間を計測し、その計測された時間の2倍の時間を残留振動の周期として判定手段20に出力してもよい。以下、このようにして得られた残留振動の周期をTwとする。
判定手段20は、計測手段17によって計測された残留振動波形の特定の振動周期など(計測結果)に基づいて、ノズルの吐出異常の有無、吐出異常の原因、比較偏差量などを判定し、その判定結果を制御部6に出力する。制御部6は、EEPROM(記憶手段)62の所定の格納領域にこの判定結果を保存する。そして、駆動回路18からの次の駆動信号が入力されるタイミングで、駆動/検出切替信号が切替手段23に再び入力され、駆動回路18と静電アクチュエーター120とを接続する。駆動回路18は、一旦駆動電圧を印加するとグラウンド(GND)レベルを維持するので、切替手段23によって上記のような切り替えを行っている(図20のタイミングチャート参照)。これにより、駆動回路18からの外乱などに影響されることなく、静電アクチュエーター120の振動板121の残留振動波形を正確に検出することができる。
なお、残留振動波形データは、比較器152により矩形波化したものに限定されない。例えば、オペアンプ151から出力された残留振動振幅データは、比較器152により比較処理を行うことなく、A/D変換を行う計測手段17によって随時数値化され、その数値化されたデータに基づいて、判定手段20により吐出異常の有無などを判定し、この判定結果を記憶手段62に記憶するように構成してもよい。
また、ノズル110のメニスカス(ノズル110内インクが大気と接する面)は、振動板121の残留振動に同期して振動するため、インクジェットヘッド100は、インク滴の吐出動作後、このメニスカスの残留振動が音響抵抗rによって概ね決まった時間で減衰するのを待ってから(所定の時間待機して)、次の吐出動作を行っている。本実施形態では、この待機時間を有効に利用して振動板121の残留振動を検出しているので、インクジェットヘッド100の駆動に影響しない吐出異常検出を行うことができる。すなわち、インクジェットプリンター1(液滴吐出装置)のスループットを低下させることなく、インクジェットヘッド100のノズル110の吐出異常検出処理を実行することができる。
上述のように、インクジェットヘッド100のキャビティ141内に気泡が混入した場合には、正常吐出時の振動板121の残留振動波形に比べて、周波数が高くなるので、その周期は逆に正常吐出時の残留振動の周期よりも短くなる。また、ノズル110付近のインクが乾燥により増粘、固着した場合には、残留振動が過減衰となり、正常吐出時の残留振動波形に比べて、周波数が相当低くなるので、その周期は正常吐出時の残留振動の周期よりもかなり長くなる。また、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合には、残留振動の周波数は、正常吐出時の残留振動の周波数よりも低く、しかし、インクの乾燥時の残留振動の周波数よりも高くなるので、その周期は、正常吐出時の残留振動の周期よりも長く、インク乾燥時の残留振動の周期よりも短くなる。
したがって、正常吐出時の残留振動の周期として、所定の範囲Trを設け、また、ノズル110出口に紙粉が付着した場合における残留振動の周期と、ノズル110の出口付近でインクが乾燥した場合における残留振動の周期とを区別するために、所定のしきい値(所定の閾値)T1を設定することにより、このようなインクジェットヘッド100の吐出異常の原因を決定することができる。判定手段20は、上記吐出異常検出処理によって検出された残留振動波形の周期Twが所定の範囲の周期であるか否か、また、所定のしきい値よりも長いか否かを判定し、それによって、吐出異常の原因を判定する。
次に、本実施形態の液滴吐出装置の動作を、上述のインクジェットプリンター1の構成に基づいて説明する。まず、1つのインクジェットヘッド100のノズル110に対する吐出異常検出処理(駆動/検出切替処理を含む)について説明する。図24は、吐出異常検出・判定処理を示すフローチャートである。印刷される印字データ(フラッシング動作における吐出データでもよい)がホストコンピューター8からインターフェース(IF)9を介して制御部6に入力されると、所定のタイミングでこの吐出異常検出処理が実行される。なお、説明の都合上、この図24に示すフローチャートでは、1つのインクジェットヘッド100、すなわち、1つのノズル110の吐出動作に対応する吐出異常検出処理を示す。
まず、印字データ(吐出データ)に対応する駆動信号がヘッドドライバー33の駆動回路18から入力され、それにより、図20のタイミングチャートに示すような駆動信号のタイミングに基づいて、静電アクチュエーター120の両電極間に駆動信号(電圧信号)が印加される(ステップS101)。そして、制御部6は、駆動/検出切替信号に基づいて、吐出したインクジェットヘッド100が駆動休止期間であるか否かを判断する(ステップS102)。ここで、駆動/検出切替信号は、駆動信号の立ち下がりエッジに同期してHighレベルとなり(図20参照)、制御部6から切替手段23に入力される。
駆動/検出切替信号が切替手段23に入力されると、切替手段23によって、静電アクチュエーター120、すなわち、発振回路11を構成するコンデンサーは、駆動回路18から切り離され、吐出異常検出手段10(検出回路)側、すなわち、残留振動検出手段16の発振回路11に接続される(ステップS103)。そして、後述する残留振動検出処理を実行し(ステップS104)、計測手段17は、この残留振動検出処理において検出された残留振動波形データから所定の数値を計測する(ステップS105)。ここでは、上述のように、計測手段17は、残留振動波形データからその残留振動の周期を計測する。
次いで、判定手段20によって、計測手段の計測結果に基づいて、後述する吐出異常判定処理が実行され(ステップS106)、その判定結果を制御部6のEEPROM(記憶手段)62の所定の格納領域に保存する。そして、ステップS108においてインクジェットヘッド100が駆動期間であるか否かが判断される。すなわち、駆動休止期間が終了して、次の駆動信号が入力されたか否かが判断され、次の駆動信号が入力されるまで、このステップS108で待機している。
次の駆動信号のパルスが入力されるタイミングで、駆動信号の立ち上がりエッジに同期して駆動/検出切替信号がLowレベルになると(ステップS108で「yes」)、切替手段23は、静電アクチュエーター120との接続を、吐出異常検出手段(検出回路)10から駆動回路18に切り替えて(ステップS109)、この吐出異常検出処理を終了する。
なお、図24に示すフローチャートでは、計測手段17が残留振動検出処理(残留振動検出手段16)によって検出された残留振動波形から周期を計測する場合について示したが、このような場合に限定されず、例えば、計測手段17は、残留振動検出処理において検出された残留振動波形データから、残留振動波形の位相差や振幅などの計測を行ってもよい。
次に、図24に示すフローチャートのステップS104における残留振動検出処理(サブルーチン)について説明する。図25は、残留振動検出処理を示すフローチャートである。上述のように、切替手段23によって、静電アクチュエーター120と発振回路11とを接続すると(図24のステップS103)、発振回路11は、CR発振回路を構成し、静電アクチュエーター120の静電容量の変化(静電アクチュエーター120の振動板121の残留振動)に基づいて、発振する(ステップS201)。
上述のタイミングチャートなどに示すように、発振回路11の出力信号(パルス信号)に基づいて、F/V変換回路12において、充電信号、ホールド信号およびクリア信号が生成され、これらの信号に基づいてF/V変換回路12によって発振回路11の出力信号の周波数から電圧に変換するF/V変換処理が行われ(ステップS202)、F/V変換回路12から振動板121の残留振動波形データが出力される。F/V変換回路12から出力された残留振動波形データは、波形整形回路15のコンデンサーC3により、DC成分(直流成分)が除去され(ステップS203)、オペアンプ151により、DC成分が除去された残留振動波形(AC成分)が増幅される(ステップS204)。
増幅後の残留振動波形データは、所定の処理により波形整形され、パルス化される(ステップS205)。すなわち、本実施形態では、比較器152において、直流電圧源Vref2によって設定された電圧値(所定の電圧値)とオペアンプ151の出力電圧とが比較される。比較器152は、この比較結果に基づいて、2値化された波形(矩形波)を出力する。この比較器152の出力信号は、残留振動検出手段16の出力信号であり、吐出異常判定処理を行うために、計測手段17に出力され、この残留振動検出処理が終了する。
次に、図24に示すフローチャートのステップS106における吐出異常判定処理(サブルーチン)について説明する。図26は、制御部6および判定手段20によって実行される吐出異常判定処理を示すフローチャートである。判定手段20は、上述の計測手段17によって計測された周期などの計測データ(計測結果)に基づいて、該当するインクジェットヘッド100からインク滴が正常に吐出したか否か、正常に吐出していない場合、すなわち、吐出異常の場合にはその原因が何かを判定する。
まず、制御部6は、EEPROM62に保存されている残留振動の周期の所定の範囲Trおよび残留振動の周期の所定のしきい値T1を判定手段20に出力する。残留振動の周期の所定の範囲Trは、正常吐出時の残留振動周期に対して、正常と判定できる許容範囲を持たせたものである。これらのデータは、判定手段20の図示しないメモリーに格納され、以下の処理が実行される。
図24のステップS105において計測手段17によって計測された計測結果が判定手段20に入力される(ステップS301)。ここで、本実施形態では、計測結果は、振動板121の残留振動の周期Twである。
ステップS202において、判定手段20は、残留振動の周期Twが存在するか否か、すなわち、吐出異常検出手段10によって残留振動波形データが得られなかったか否かを判定する。残留振動の周期Twが存在しないと判定された場合には、判定手段20は、そのインクジェットヘッド100のノズル110は吐出異常検出処理においてインク滴を吐出していない未吐出ノズルであると判定する(ステップS306)。また、残留振動波形データが存在すると判定された場合には、続いて、ステップS303において、判定手段20は、その周期Twが正常吐出時の周期と認められる所定の範囲Tr内にあるか否かを判定する。
残留振動の周期Twが所定の範囲Tr内にあると判定された場合には、対応するインクジェットヘッド100からインク滴が正常に吐出されたことを意味し、判定手段20は、そのインクジェットヘッド100のノズル110は正常にインク滴と吐出した(正常吐出)と判定する(ステップS307)。また、残留振動の周期Twが所定の範囲Tr内にないと判定された場合には、続いて、ステップS304において、判定手段20は、残留振動の周期Twが所定の範囲Trよりも短いか否かを判定する。
残留振動の周期Twが所定の範囲Trよりも短いと判定された場合には、残留振動の周波数が高いことを意味し、上述のように、インクジェットヘッド100のキャビティ141内に気泡が混入しているものと考えられ、判定手段20は、そのインクジェットヘッド100のキャビティ141に気泡が混入しているもの(気泡混入)と判定する(ステップS308)。
また、残留振動の周期Twが所定の範囲Trよりも長いと判定された場合には、続いて、判定手段20は、残留振動の周期Twが所定のしきい値T1よりも長いか否かを判定する(ステップS305)。残留振動の周期Twが所定のしきい値T1よりも長いと判定された場合には、残留振動が過減衰であると考えられ、判定手段20は、そのインクジェットヘッド100のノズル110付近のインクが乾燥により増粘しているもの(乾燥)と判定する(ステップS309)。
そして、ステップS305において、残留振動の周期Twが所定のしきい値T1よりも短いと判定された場合には、この残留振動の周期Twは、Tr<Tw<T1を満たす範囲の値であり、上述のように、乾燥よりも周波数が高いノズル110の出口付近への紙粉付着であると考えられ、判定手段20は、そのインクジェットヘッド100のノズル110出口付近に紙粉が付着しているもの(紙粉付着)と判定する(ステップS310)。
このように、判定手段20によって、対象となるインクジェットヘッド100の正常吐出あるいは吐出異常の原因などが判定されると(ステップS306〜S310)、その判定結果は、制御部6に出力され、この吐出異常判定処理を終了する。
次に、複数のインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)100、すなわち、複数のノズル110を備えるインクジェットプリンター1を想定し、そのインクジェットプリンター1における吐出選択手段(ノズルセレクター)182と、各インクジェットヘッド100の吐出異常検出・判定のタイミングについて説明する。
なお、以下では、説明を分かりやすくするため、印字手段3が備える複数のヘッドユニット35のうちの1つのヘッドユニット35について説明し、また、このヘッドユニット35は、5つのインクジェットヘッド100a〜100eを備える(すなわち、5つのノズル110を備える)ものとするが、印字手段3が備えるヘッドユニット35の数量や、各ヘッドユニット35が備えるインクジェットヘッド100(ノズル110)の数量は、それぞれ、いくつであってもよい。
図27〜図30は、吐出選択手段182を備えるインクジェットプリンター1における吐出異常検出・判定タイミングのいくつかの例を示すブロック図である。以下、各図の構成例を順次説明する。
図27は、複数(5つ)のインクジェットヘッド100a〜100eの吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段10が1つの場合)である。この図27に示すように、複数のインクジェットヘッド100a〜100eを有するインクジェットプリンター1は、駆動波形を生成する駆動波形生成手段181と、いずれのノズル110からインク滴を吐出するかを選択することができる吐出選択手段182と、この吐出選択手段182によって選択され、駆動波形生成手段181によって駆動される複数のインクジェットヘッド100a〜100eとを備えている。なお、図27の構成では、上記以外の構成は図2、図16および図23に示したものと同様であるため、その説明を省略する。
なお、本実施形態では、駆動波形生成手段181および吐出選択手段182は、ヘッドドライバー33の駆動回路18に含まれるものとして説明するが(図27では、切替手段23を介して2つのブロックとして示しているが、一般的には、いずれもヘッドドライバー33内に構成される)、この構成に限定されず、例えば、駆動波形生成手段181は、ヘッドドライバー33とは独立した構成としてもよい。
この図27に示すように、吐出選択手段182は、シフトレジスター182aと、ラッチ回路182bと、ドライバー182cとを備えている。シフトレジスター182aには、図2に示すホストコンピューター8から出力され、制御部6において所定の処理をされた印字データ(吐出データ)と、クロック信号(CLK)が順次入力される。この印字データは、クロック信号(CLK)の入力パルスに応じて(クロック信号の入力の度に)シフトレジスター182aの初段から順次後段側にシフトして入力され、各インクジェットヘッド100a〜100eに対応する印字データとしてラッチ回路182bに出力される。なお、後述する吐出異常検出処理では、印字データではなくフラッシング(予備吐出)時の吐出データが入力されるが、この吐出データとは、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eに対する印字データを意味している。なお、フラッシング時は、ラッチ回路182bのすべての出力が吐出となる値に設定されるようにハード的に処理をしてもよい。
ラッチ回路182bは、ヘッドユニット35のノズル110の数、すなわち、インクジェットヘッド100の数に対応する印字データがシフトレジスター182aに格納された後、入力されるラッチ信号によってシフトレジスター182aの各出力信号をラッチする。ここで、CLEAR信号が入力された場合には、ラッチ状態が解除され、ラッチされていたシフトレジスター182aの出力信号は0(ラッチの出力停止)となり、印字動作は停止される。CLEAR信号が入力されていない場合には、ラッチされたシフトレジスター182aの印字データがドライバー182cに出力される。シフトレジスター182aから出力される印字データがラッチ回路182bによってラッチされた後、次の印字データをシフトレジスター182aに入力し、印字タイミングに合わせてラッチ回路182bのラッチ信号を順次更新している。
ドライバー182cは、駆動波形生成手段181と各インクジェットヘッド100の静電アクチュエーター120とを接続するものであり、ラッチ回路182bから出力されるラッチ信号で指定(特定)された各静電アクチュエーター120(インクジェットヘッド100a〜100eのいずれかあるいはすべての静電アクチュエーター120)に駆動波形生成手段181の出力信号(駆動信号)を入力し、それによって、その駆動信号(電圧信号)が静電アクチュエーター120の両電極間に印加される。
この図27に示すインクジェットプリンター1は、複数のインクジェットヘッド100a〜100eを駆動する1つの駆動波形生成手段181と、各インクジェットヘッド100a〜100eのいずれかのインクジェットヘッド100に対して吐出異常(インク滴不吐出)を検出する吐出異常検出手段10と、この吐出異常検出手段10によって得られた吐出異常の原因などの判定結果を保存(格納)する記憶手段62と、駆動波形生成手段181と吐出異常検出手段10とを切り替える1つの切替手段23とを備えている。したがって、このインクジェットプリンター1は、駆動波形生成手段181から入力される駆動信号に基づいて、ドライバー182cによって選択されたインクジェットヘッド100a〜100eのうちの1つまたは複数を駆動し、駆動/検出切替信号が吐出駆動動作後に切替手段23に入力されることによって、切替手段23が駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10にインクジェットヘッド100の静電アクチュエーター120との接続を切り替えた後、振動板121の残留振動波形に基づいて、吐出異常検出手段10によって、そのインクジェットヘッド100のノズル110における吐出異常(インク滴不吐出)を検出し、吐出異常の場合にはその原因を判定するものである。
そして、このインクジェットプリンター1は、1つのインクジェットヘッド100のノズル110について吐出異常を検出・判定すると、次に駆動波形生成手段181から入力される駆動信号に基づいて、次に指定されたインクジェットヘッド100のノズル110について吐出異常を検出・判定し、以下同様に、駆動波形生成手段181の出力信号によって駆動されるインクジェットヘッド100のノズル110についての吐出異常を順次検出・判定する。そして、上述のように、残留振動検出手段16が振動板121の残留振動波形を検出すると、計測手段17がその波形データに基づいて残留振動波形の周期などを計測し、判定手段20が、計測手段17の計測結果に基づいて、正常吐出か吐出異常か、および、吐出異常(ヘッド異常)の場合には吐出異常の原因を判定して、記憶手段62にその判定結果を出力する。
このように、この図27に示すインクジェットプリンター1では、複数のインクジェットヘッド100a〜100eの各ノズル110についてインク滴吐出駆動動作の際に順次吐出異常を検出・判定する構成としているので、吐出異常検出手段10と切替手段23とを1つずつ備えるだけでよく、吐出異常を検出・判定可能なインクジェットプリンター1の回路構成をスケールダウンできるとともに、その製造コストの増加を防止することができる。
図28は、複数のインクジェットヘッド100の吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段10の数がインクジェットヘッド100の数と同じ場合)である。この図28に示すインクジェットプリンター1は、1つの吐出選択手段182と、5つの吐出異常検出手段10a〜10eと、5つの切替手段23a〜23eと、5つのインクジェットヘッド100a〜100eに共通の1つの駆動波形生成手段181と、1つの記憶手段62とを備えている。なお、各構成要素は、図27の説明において既に上述しているので、その説明を省略し、これらの接続について説明する。
図27に示す場合と同様に、吐出選択手段182は、ホストコンピューター8から入力される印字データ(吐出データ)とクロック信号CLKに基づいて、各インクジェットヘッド100a〜100eに対応する印字データをラッチ回路182bにラッチし、駆動波形生成手段181からドライバー182cに入力される駆動信号(電圧信号)に応じて、印字データに対応するインクジェットヘッド100a〜100eの静電アクチュエーター120を駆動させる。駆動/検出切替信号は、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する切替手段23a〜23eにそれぞれ入力され、切替手段23a〜23eは、対応する印字データ(吐出データ)の有無にかかわらず、駆動/検出切替信号に基づいて、インクジェットヘッド100の静電アクチュエーター120に駆動信号を入力後、駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10a〜10eにインクジェットヘッド100との接続を切り替える。
すべての吐出異常検出手段10a〜10eにより、それぞれのインクジェットヘッド100a〜100eの吐出異常を検出・判定した後、その検出処理で得られたすべてのインクジェットヘッド100a〜100eの判定結果が、記憶手段62に出力され、記憶手段62は、各インクジェットヘッド100a〜100eの吐出異常の有無および吐出異常の原因を所定の保存領域に格納する。
このように、この図28に示すインクジェットプリンター1では、複数のインクジェットヘッド100a〜100eの各ノズル110に対応して複数の吐出異常検出手段10a〜10eを設け、それらに対応する複数の切替手段23a〜23eによって切替動作を行って、吐出異常検出およびその原因判定を行っているので、一度にすべてのノズル110について短時間に吐出異常検出およびその原因判定を行うことができる。
図29は、複数のインクジェットヘッド100の吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段10の数がインクジェットヘッド100の数と同じであり、印字データがあるときに吐出異常検出を行う場合)である。この図29に示すインクジェットプリンター1は、図28に示すインクジェットプリンター1の構成に、切替制御手段19を追加(付加)したものである。本実施形態では、この切替制御手段19は、複数のAND回路(論理積回路)ANDa〜ANDeから構成され、各インクジェットヘッド100a〜100eに入力される印字データと、駆動/検出切替信号とが入力されると、対応する切替手段23a〜23eにHighレベルの出力信号を出力するものである。なお、切替制御手段19はAND回路(論理積回路)に限定されず、駆動するインクジェットヘッド100が選択されるラッチ回路182bの出力に一致した切替手段23が選択されるように構成されればよい。
各切替手段23a〜23eは、切替制御手段19のそれぞれ対応するAND回路ANDa〜ANDeの出力信号に基づいて、駆動波形生成手段181からそれぞれ対応する吐出異常検出手段10a〜10eへ、対応するインクジェットヘッド100a〜100eの静電アクチュエーター120との接続を切り替える。具体的には、対応するAND回路ANDa〜ANDeの出力信号がHighレベルであるとき、すなわち、駆動/検出切替信号がHighレベルの状態で対応するインクジェットヘッド100a〜100eに入力される印字データがラッチ回路182bからドライバー182cに出力されている場合には、そのAND回路に対応する切替手段23a〜23eは、対応するインクジェットヘッド100a〜100eへの接続を、駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10a〜10eに切り替える。
印字データが入力されたインクジェットヘッド100に対応する吐出異常検出手段10a〜10eにより、各インクジェットヘッド100の吐出異常の有無および吐出異常の場合にはその原因を検出した後、その吐出異常検出手段10は、その検出処理で得られた判定結果を記憶手段62に出力する。記憶手段62は、このように入力された(得られた)1または複数の判定結果を所定の保存領域に格納する。
このように、この図29に示すインクジェットプリンター1では、複数のインクジェットヘッド100a〜100eの各ノズル110に対応して複数の吐出異常検出手段10a〜10eを設け、それぞれのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する印字データがホストコンピューター8から制御部6を介して吐出選択手段182に入力されたときに、切替制御手段19によって指定された切替手段23a〜23eのみが所定の切替動作を行って、インクジェットヘッド100の吐出異常検出およびその原因判定を行っているので、吐出駆動動作をしていないインクジェットヘッド100についてはこの検出・判定処理を行わない。したがって、このインクジェットプリンター1によって、無駄な検出および判定処理を回避することができる。
図30は、複数のインクジェットヘッド100の吐出異常検出のタイミングの一例(吐出異常検出手段10の数がインクジェットヘッド100の数と同じであり、各インクジェットヘッド100を巡回して吐出異常検出を行う場合)である。この図30に示すインクジェットプリンター1は、図29に示すインクジェットプリンター1の構成において吐出異常検出手段10を1つとし、駆動/検出切替信号を走査する(検出・判定処理を実行するインクジェットヘッド100を1つずつ特定する)切替選択手段19aを追加したものである。
この切替選択手段19aは、図29に示す切替制御手段19に接続されるものであり、制御部6から入力される走査信号(選択信号)に基づいて、複数のインクジェットヘッド100a〜100eに対応するAND回路ANDa〜ANDeへの駆動/検出切替信号の入力を走査する(選択して切り替える)セレクターである。この切替選択手段19aの走査(選択)順は、シフトレジスター182aに入力される印字データの順、すなわち、複数のインクジェットヘッド100の吐出順であってもよいが、単純に複数のインクジェットヘッド100a〜100eの順であってもよい。
走査順がシフトレジスター182aに入力される印字データの順である場合、吐出選択手段182のシフトレジスター182aに印字データが入力されると、その印字データはラッチ回路182bにラッチされ、ラッチ信号の入力によりドライバー182cに出力される。印字データのシフトレジスター182aへの入力、あるいはラッチ信号のラッチ回路182bへの入力に同期して、印字データに対応するインクジェットヘッド100を特定するための走査信号が切替選択手段19aに入力され、対応するAND回路に駆動/検出切替信号が出力される。なお、切替選択手段19aの出力端子は、非選択時にはLowレベルを出力する。
その対応するAND回路(切替制御手段19)は、ラッチ回路182bから入力された印字データと、切替選択手段19aから入力された駆動/検出切替信号とを論理積演算することにより、Highレベルの出力信号を対応する切替手段23に出力する。そして、切替制御手段19からHighレベルの出力信号が入力された切替手段23は、対応するインクジェットヘッド100の静電アクチュエーター120への接続を、駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10に切り替える。
吐出異常検出手段10は、印字データが入力されたインクジェットヘッド100の吐出異常を検出し、吐出異常がある場合にはその原因を判定した後、その判定結果を記憶手段62に出力する。そして、記憶手段62は、このように入力された(得られた)判定結果を所定の保存領域に格納する。
また、走査順が単純なインクジェットヘッド100a〜100eの順である場合、吐出選択手段182のシフトレジスター182aに印字データが入力されると、その印字データはラッチ回路182bにラッチされ、ラッチ信号の入力によりドライバー182cに出力される。印字データのシフトレジスター182aへの入力、あるいはラッチ信号のラッチ回路182bへの入力に同期して、印字データに対応するインクジェットヘッド100を特定するための走査(選択)信号が切替選択手段19aに入力され、切替制御手段19の対応するAND回路に駆動/検出切替信号が出力される。
ここで、切替選択手段19aに入力された走査信号により定められたインクジェットヘッド100に対する印字データがシフトレジスター182aに入力されたときには、それに対応するAND回路(切替制御手段19)の出力信号がHighレベルとなり、切替手段23は、対応するインクジェットヘッド100への接続を、駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10に切り替える。しかしながら、上記印字データがシフトレジスター182aに入力されないときには、AND回路の出力信号はLowレベルであり、対応する切替手段23は、所定の切替動作を実行しない。したがって、切替選択手段19aの選択結果と切替制御手段19によって指定された結果との論理積に基づいて、インクジェットヘッド100の吐出異常検出処理が行われる。
切替手段23によって切替動作が行われた場合には、上記と同様に、吐出異常検出手段10は、印字データが入力されたインクジェットヘッド100の吐出異常を検出し、吐出異常がある場合にはその原因を判定した後、その判定結果を記憶手段62に出力する。そして、記憶手段62は、このように入力された(得られた)判定結果を所定の保存領域に格納する。
なお、切替選択手段19aで特定されたインクジェットヘッド100に対する印字データがないときには、上述のように、対応する切替手段23が切替動作を実行しないので、吐出異常検出手段10による吐出異常検出処理を実行する必要はないが、そのような処理が実行されてもよい。切替動作が行われずに吐出異常検出処理が実行された場合、吐出異常検出手段10の判定手段20は、図26のフローチャートに示すように、対応するインクジェットヘッド100のノズル110を未吐出ノズルであると判定し(ステップS306)、その判定結果を記憶手段62の所定の保存領域に格納する。
このように、この図30に示すインクジェットプリンター1では、図28または図29に示すインクジェットプリンター1とは異なり、複数のインクジェットヘッド100a〜100eの各ノズル110に対して1つの吐出異常検出手段10のみを設け、それぞれのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する印字データがホストコンピューター8から制御部6を介して吐出選択手段182に入力され、それと同時に走査(選択)信号により特定されて、その印字データに応じて吐出駆動動作をするインクジェットヘッド100に対応する切替手段23のみが切替動作を行って、対応するインクジェットヘッド100の吐出異常検出およびその原因判定を行っているので、一度に大量の検出結果を処理することがなく制御部6のCPU61への負担を軽減することができる。また、吐出異常検出手段10が吐出動作とは別にノズルの状態を巡回しているため、駆動印字中でも1ノズル毎に吐出の異常を把握することができ、ヘッドユニット35全体のノズル110状態を知ることができる。これにより、例えば、定期的に吐出異常の検出を行っているために、印刷停止中に1ノズル毎に吐出の異常を検出する工程を少なくすることができる。以上から、効率的にインクジェットヘッド100の吐出異常検出およびその原因判定を行うことができる。
また、図28または図29に示すインクジェットプリンター1とは異なり、図30に示すインクジェットプリンター1は、吐出異常検出手段10を1つのみ備えていればよいので、図28および図29に示すインクジェットプリンター1に比べ、インクジェットプリンター1の回路構成をスケールダウンすることができるとともに、その製造コストの増加を防止することができる。
次に、図27〜図30に示すプリンター1の動作、すなわち、複数のインクジェットヘッド100を備えるインクジェットプリンター1における吐出異常検出処理(主に、検出タイミング)について説明する。吐出異常検出・判定処理(多ノズルにおける処理)は、各インクジェットヘッド100の静電アクチュエーター120がインク滴吐出動作を行ったときの振動板121の残留振動を検出し、その残留振動の周期に基づいて、該当するインクジェットヘッド100に対し吐出異常(ドット抜け、インク滴不吐出)が生じているか否か、ドット抜け(インク滴不吐出)が生じた場合には、その原因が何であるかを判定している。このように、インクジェットヘッド100によるインク滴(液滴)の吐出動作が行われれば、これらの検出・判定処理を実行できるが、インクジェットヘッド100がインク滴を吐出するのは、実際に記録用紙Pに印刷(プリント)している場合だけでなく、フラッシング動作(予備吐出あるいは予備的吐出)をしている場合もある。
以下、この2つの場合について、吐出異常検出・判定処理(多ノズル)を説明する。
ここで、フラッシング(予備吐出)処理とは、図1では図示していないキャップの装着時や、記録用紙P(メディア)にインク滴(液滴)がかからない場所において、ヘッドユニット35のすべてのあるいは対象となるノズル110からインク滴を吐出するヘッドクリーニング動作である。このフラッシング処理(フラッシング動作)は、例えば、ノズル110内のインク粘度を適正範囲の値に保持するために、定期的にキャビティ141内のインクを排出する際に実施したり、あるいは、インク増粘時の回復動作としても実施したりされる。さらに、フラッシング処理は、インクカートリッジ31を印字手段3に装着した後に、インクを各キャビティ141に初期充填する場合にも実施される。
また、ノズルプレート(ノズル面)150をクリーニングするためにワイピング処理(印字手段3のヘッド面に付着している付着物(紙粉やごみなど)を、図1では図示していないワイパーで拭き取る処置)を行う場合があるが、このときノズル110内が負圧になって、他の色のインク(他の種類の液滴)を引込んでしまう可能性がある。そのため、ワイピング処理後に、ヘッドユニット35のすべてのノズル110から一定量のインク滴を吐出させるためにもフラッシング処理が実施される。さらに、フラッシング処理は、ノズル110のメニスカスの状態を正常に保持して良好な印字を確保するためにも適時に実施され得る。
まず、図31〜図33に示すフローチャートを参照して、フラッシング処理時における吐出異常検出・判定処理について説明する。なお、これらのフローチャートは、図27〜図30のブロック図を参照しながら説明する(以下、印字動作時においても同様)。図31は、図27に示すインクジェットプリンター1のフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。
所定のタイミングにおいて、インクジェットプリンター1のフラッシング処理が実行されるとき、この図31に示す吐出異常検出・判定処理が実行される。制御部6は、吐出選択手段182のシフトレジスター182aに1ノズル分の吐出データを入力し(ステップS401)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS402)、この吐出データがラッチされる。そのとき、切替手段23は、その吐出データの対象であるインクジェットヘッド100の静電アクチュエーター120と駆動波形生成手段181とを接続する(ステップS403)。
そして、吐出異常検出手段10によって、インク吐出動作を行ったインクジェットヘッド100に対して、図24のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理が実行される(ステップS404)。ステップS405において、制御部6は、吐出選択手段182に出力した吐出データに基づいて、図27に示すインクジェットプリンター1のすべてのインクジェットヘッド100a〜100eのノズル110について吐出異常検出・判定処理が終了したか否かを判断する。そして、すべてのノズル110についてこれらの処理が終わっていないと判断されるときには、制御部6は、シフトレジスター182aに次のインクジェットヘッド100のノズル110に対応する吐出データを入力し(ステップS406)、ステップS402に移行して同様の処理を繰り返す。
また、ステップS405において、すべてのノズル110について上述の吐出異常検出および判定処理が終わったと判断される場合には、制御部6は、ラッチ回路182bにCLEAR信号を入力し、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図27に示すインクジェットプリンター1における吐出異常検出・判定処理を終了する。
上述のように、この図27に示すプリンター1における吐出異常検出・判定処理では、1つの吐出異常検出手段10と1つの切替手段23とから検出回路が構成されているので、吐出異常検出処理および判定処理は、インクジェットヘッド100の数だけ繰り返されるが、吐出異常検出手段10を構成する回路はそれほど大きくならないという効果を有する。
次いで、図32は、図28および図29に示すインクジェットプリンター1のフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。図28に示すインクジェットプリンター1と図29に示すインクジェットプリンター1とは回路構成が若干異なるが、吐出異常検出手段10および切替手段23の数が、インクジェットヘッド100の数に対応する(同じである)点で一致している。そのため、フラッシング動作時における吐出異常検出・判定処理は、同様のステップから構成される。
所定のタイミングにおいて、インクジェットプリンター1のフラッシング処理が実行されるとき、制御部6は、吐出選択手段182のシフトレジスター182aに全ノズル分の吐出データを入力し(ステップS501)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS502)、この吐出データがラッチされる。そのとき、切替手段23a〜23eは、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eと駆動波形生成手段181とをそれぞれ接続する(ステップS503)。
そして、それぞれのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する吐出異常検出手段10a〜10eによって、インク吐出動作を行ったすべてのインクジェットヘッド100に対して、図24のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理が並列的に実行される(ステップS504)。この場合、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eに対応する判定結果が、処理対象となるインクジェットヘッド100と関連付けられて、記憶手段62の所定の格納領域に保存される(図24のステップS107)。
そして、吐出選択手段182のラッチ回路182bにラッチされている吐出データをクリアするために、制御部6は、CLEAR信号をラッチ回路182bに入力して(ステップS505)、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図28および図29に示すインクジェットプリンター1における吐出異常検出処理および判定処理を終了する。
上述のように、この図28および図29に示すプリンター1における処理では、インクジェットヘッド100a〜100eに対応する複数(この実施形態では5つ)の吐出異常検出手段10と複数の切替手段23とから検出および判定回路が構成されているので、吐出異常検出・判定処理は、一度にすべてのノズル110について短時間に実行され得るという効果を有する。
次いで、図33は、図30に示すインクジェットプリンター1のフラッシング動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。以下同様に、図30に示すインクジェットプリンター1の回路構成を用いて、フラッシング動作時における吐出異常検出処理および原因判定処理について説明する。
所定のタイミングにおいて、インクジェットプリンター1のフラッシング処理が実行されるとき、まず、制御部6は、走査信号を切替選択手段(セレクター)19aに出力し、この切替選択手段19aおよび切替制御手段19により、最初の切替手段23aおよびインクジェットヘッド100aを設定(特定)する(ステップS601)。そして、吐出選択手段182のシフトレジスター182aに全ノズル分の吐出データを入力し(ステップS602)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS603)、この吐出データがラッチされる。そのとき、切替手段23aは、インクジェットヘッド100aの静電アクチュエーター120と駆動波形生成手段181とを接続している(ステップS604)。
そして、インク吐出動作を行ったインクジェットヘッド100aに対して、図24のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理が実行される(ステップS605)。この場合、図24のステップS103において、切替選択手段19aの出力信号である駆動/検出切替信号と、ラッチ回路182bから出力された吐出データとがAND回路ANDaに入力され、AND回路ANDaの出力信号がHighレベルとなることにより、切替手段23aは、インクジェットヘッド100aの静電アクチュエーター120と吐出異常検出手段10とを接続する。そして、図24のステップS106において実行される吐出異常判定処理の判定結果が、処理対象となるインクジェットヘッド100(ここでは、100a)と関連付けられて、記憶手段62の所定の格納領域に保存される(図24のステップS107)。
ステップS606において、制御部6は、吐出異常検出・判定処理がすべてのノズルに対して終了したか否かを判断する。そして、まだすべてのノズル110について吐出異常検出・判定処理が終了していないと判断された場合には、制御部6は、走査信号を切替選択手段(セレクター)19aに出力し、この切替選択手段19aおよび切替制御手段19により、次の切替手段23bおよびインクジェットヘッド100bを設定(特定)し(ステップS607)、ステップS603に移行して、同様の処理を繰り返す。以下、すべてのインクジェットヘッド100について吐出異常検出・判定処理が終了するまでこのループを繰り返す。
また、ステップS606において、すべてのノズル110について吐出異常検出処理および判定処理が終了したと判断される場合には、吐出選択手段182のラッチ回路182bにラッチされている吐出データをクリアするために、制御部6は、CLEAR信号をラッチ回路182bに入力して(ステップS609)、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図30に示すインクジェットプリンター1における吐出異常検出処理および判定処理を終了する。
上述のように、図30に示すインクジェットプリンター1における処理では、複数の切替手段23と1つの吐出異常検出手段10から検出回路が構成され、切替選択手段(セレクター)19aの走査信号により特定され、吐出データに応じて吐出駆動をするインクジェットヘッド100に対応する切替手段23のみが切替動作を行って、対応するインクジェットヘッド100の吐出異常検出および原因判定を行っているので、より効率的にインクジェットヘッド100の吐出異常検出および原因判定を行うことができる。
なお、このフローチャートのステップS602では、シフトレジスター182bにすべてのノズル110に対応する吐出データを入力しているが、図31に示すフローチャートのように、切替選択手段19aによるインクジェットヘッド100の走査順に合わせて、シフトレジスター182aに入力する吐出データを対応する1つのインクジェットヘッド100に入力し、1ノズル110ずつ吐出異常検出・判定処理を行ってもよい。
次に、図34および図35に示すフローチャートを参照して、印字動作時におけるインクジェットプリンター1の吐出異常検出・判定処理について説明する。図27に示すインクジェットプリンター1においては、主に、フラッシング動作時における吐出異常検出処理および判定処理に適しているので、印字動作時のフローチャートおよびその動作説明を省略するが、この図27に示すインクジェットプリンター1においても印字動作時に吐出異常検出・判定処理が行われてもよい。
図34は、図28および図29に示すインクジェットプリンター1の印字動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。ホストコンピューター8からの印刷(印字)指示により、このフローチャートの処理が実行(開始)される。制御部6を介してホストコンピューター8から印字データが吐出選択手段182のシフトレジスター182aに入力されると(ステップS701)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS702)、その印字データがラッチされる。このとき、切替手段23a〜23eは、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eと駆動波形生成手段181とを接続している(ステップS703)。
そして、インク吐出動作を行ったインクジェットヘッド100に対応する吐出異常検出手段10は、図24のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理を実行する(ステップS704)。この場合、各インクジェットヘッド100に対応するそれぞれの判定結果が、処理対象となるインクジェットヘッド100と関連付けられて、記憶手段62の所定の格納領域に保存される。
ここで、図28に示すインクジェットプリンター1の場合には、切替手段23a〜23eは、制御部6から出力される駆動/検出切替信号に基づいて、インクジェットヘッド100a〜100eを吐出異常検出手段10a〜10eに接続する(図24のステップS103)。そのため、印字データの存在しないインクジェットヘッド100では、静電アクチュエーター120が駆動していないので、吐出異常検出手段10の残留振動検出手段16は、振動板121の残留振動波形を検出しない。一方、図29に示すインクジェットプリンター1の場合には、切替手段23a〜23eは、制御部6から出力される駆動/検出切替信号と、ラッチ回路182bから出力される印字データとが入力されるAND回路の出力信号に基づいて、印字データの存在するインクジェットヘッド100を吐出異常検出手段10に接続する(図24のステップS103)。
ステップS705において、制御部6は、インクジェットプリンター1の印字動作が終了したか否かを判断する。そして、印字動作が終わっていないと判断されるときには、制御部6は、ステップS701に移行して、次の印字データをシフトレジスター182aに入力し、同様の処理を繰り返す。また、印字動作が終了したと判断されるときには、吐出選択手段182のラッチ回路182bにラッチされている吐出データをクリアするために、制御部6は、CLEAR信号をラッチ回路182bに入力して(ステップS707)、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図28および図29に示すインクジェットプリンター1における吐出異常検出処理および判定処理を終了する。
上述のように、図28および図29に示すインクジェットプリンター1は、複数の切替手段23a〜23eと、複数の吐出異常検出手段10a〜10eとを備え、一度にすべてのインクジェットヘッド100に対して吐出異常検出・判定処理を行っているので、これらの処理を短時間に行うことができる。また、図29に示すインクジェットプリンター1は、切替制御手段19、すなわち、駆動/検出切替信号と印字データとを論理積演算するAND回路ANDa〜ANDeをさらに備え、印字動作を行うインクジェットヘッド100のみに対して切替手段23による切替動作を行っているので、無駄な検出を行うことなく、吐出異常検出処理および判定処理を行うことができる。
次いで、図35は、図30に示すインクジェットプリンター1の印字動作時における吐出異常検出のタイミングを示すフローチャートである。ホストコンピューター8からの印刷指示により、図30に示すインクジェットプリンター1においてこのフローチャートの処理が実行される。まず、切替選択手段19aは、最初の切替手段23aおよびインクジェットヘッド100aを予め設定(特定)しておく(ステップS801)。
制御部6を介してホストコンピューター8から印字データが吐出選択手段182のシフトレジスター182aに入力されると(ステップS802)、ラッチ回路182bにラッチ信号が入力されて(ステップS803)、その印字データがラッチされる。ここで、切替手段23a〜23eは、この段階では、すべてのインクジェットヘッド100a〜100eと駆動波形生成手段181(吐出選択手段182のドライバー182c)とを接続している(ステップS804)。
そして、制御部6は、インクジェットヘッド100aに印字データがある場合には、切替選択手段19aによって吐出動作後静電アクチュエーター120が吐出異常検出手段10に接続され(図24のステップS103)、図24(図25)のフローチャートに示す吐出異常検出・判定処理を実行する(ステップS805)。そして、図24のステップS106において実行される吐出異常判定処理の判定結果が、処理対象となるインクジェットヘッド100(ここでは、100a)と関連付けられて、記憶手段62の所定の格納領域に保存される(図24のステップS107)。
ステップS806において、制御部6は、すべてのノズル110(すべてのインクジェットヘッド100)について上述の吐出異常検出・判定処理を終了したか否かを判断する。そして、すべてのノズル110について上記処理が終了したと判断される場合には、制御部6は、走査信号に基づいて、また最初のノズル110に対応する切替手段23aを設定し(ステップS808)、すべてのノズル110について上記処理が終了していないと判断される場合には、次のノズル110に対応する切替手段23bを設定する(ステップS807)。
ステップS809において、制御部6は、ホストコンピューター8から指示された所定の印字動作が終了したか否かを判断する。そして、まだ印字動作が終了していないと判断された場合には、次の印字データがシフトレジスター182aに入力され(ステップS802)、同様の処理を繰り返す。印字動作が終了したと判断された場合には、吐出選択手段182のラッチ回路182bにラッチされている吐出データをクリアするために、制御部6は、CLEAR信号をラッチ回路182bに入力して(ステップS811)、ラッチ回路182bのラッチ状態を解除して、図30に示すインクジェットプリンター1における吐出異常検出・判定処理を終了する。
以上のように、本実施形態の液滴吐出装置(インクジェットプリンター1)は、振動板121と、振動板121を変位させる静電アクチュエーター120と、内部に液体が充填され、振動板121の変位により、該内部の圧力が変化(増減)されるキャビティ141と、キャビティ141に連通し、キャビティ141内の圧力の変化(増減)により液体を液滴として吐出するノズル110とを有するインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)100を複数個備え、さらに、これらの静電アクチュエーター120を駆動する駆動波形生成手段181と、複数のノズル110のうちいずれのノズル110から液滴を吐出するかを選択する吐出選択手段182と、振動板121の残留振動を検出し、この検出された振動板121の残留振動に基づいて、液滴の吐出の異常を検出する1つまたは複数の吐出異常検出手段10と、静電アクチュエーター120の駆動による液滴の吐出動作後、駆動/検出切替信号や印字データ、あるいは走査信号に基づいて、静電アクチュエーター120を駆動波形生成手段181から吐出異常検出手段10に切り替える1つまたは複数の切替手段23とを備え、一度(並列的)にあるいは順次に複数のノズル110の吐出異常を検出することとした。
したがって、本実施形態の液滴吐出装置および液滴吐出ヘッドの吐出異常検出・判定方法によって、吐出異常検出およびその原因判定を短時間に行うことができるとともに、吐出異常検出手段10を含む検出回路の回路構成をスケールダウンすることができ、液滴吐出装置の製造コストの増加を防止することができる。また、静電アクチュエーター120の駆動後、吐出異常検出手段10に切り替えて吐出異常検出および原因判定を行っているので、アクチュエーターの駆動に影響を与えることがなく、それによって液滴吐出装置のスループットを低下または悪化させることがない。また、所定の構成要素を備えている既存の液滴吐出装置(インクジェットプリンター)に、吐出異常検出手段10を装備することも可能である。
また、本実施形態の液滴吐出装置は、上記構成と異なり、複数の切替手段23と、切替制御手段19と、1つあるいはノズル110の数量と対応する複数の吐出異常検出手段10とを備え、駆動/検出切替信号および吐出データ(印字データ)、あるいは、走査信号、駆動/検出切替信号および吐出データ(印字データ)に基づいて、対応する静電アクチュエーター120を駆動波形生成手段181または吐出選択手段182から吐出異常検出手段10に切り替えて、吐出異常検出および原因判定を行うこととした。
したがって、本実施形態の液滴吐出装置によって、吐出データ(印字データ)が入力されていない、すなわち、吐出駆動動作をしていない静電アクチュエーター120に対応する切替手段は切替動作を行わないので、無駄な検出・判定処理を回避することができる。また、切替選択手段19aを利用する場合には、液滴吐出装置は、1つの吐出異常検出手段10のみを備えていればよいので、液滴吐出装置の回路構成をスケールダウンすることができるとともに、液滴吐出装置の製造コストの増加を防止することができる。
次に、本実施形態の液滴吐出装置におけるインクジェットヘッド100(ヘッドユニット35)に対し、吐出異常(ヘッド異常)の原因を解消させる回復処理を実行する構成(回復手段24)について説明する。図36は、図1に示すインクジェットプリンター1の上部から見た概略的な構造(一部省略)を示す図である。この図36に示すインクジェットプリンター1は、図1の斜視図で示した構成以外に、インク滴不吐出(ヘッド異常)の回復処理を実行するためのワイパー300とキャップ310とを備える。
回復手段24が実行する回復処理としては、各インクジェットヘッド100のノズル110から液滴を予備的に吐出するフラッシング処理と、後述するワイパー300(図37参照)によるワイピング処理と、後述するチューブポンプ320によるポンピング処理(ポンプ吸引処理)が含まれる。すなわち、回復手段24は、チューブポンプ320およびそれを駆動するパルスモーターと、ワイパー300およびワイパー300の上下動駆動機構と、キャップ310の上下動駆動機構(図示せず)とを備え、フラッシング処理においてはヘッドドライバー33およびヘッドユニット35などが、また、ワイピング処理においてはキャリッジモーター41などが回復手段24の一部として機能する。フラッシング処理については上述しているので、以降、ワイピング処理およびポンピング処理について説明する。
ここで、ワイピング処理とは、ヘッドユニット35のノズルプレート150(ノズル面)に付着した紙粉などの異物をワイパー300により拭き取る処理のことをいう。また、ポンピング処理(ポンプ吸引処理)とは、後述するチューブポンプ320を駆動して、ヘッドユニット35の各ノズル110から、キャビティ141内のインクを吸引して排出する処理をいう。このように、ワイピング処理は、上述のようなインクジェットヘッド100の液滴の吐出異常の原因の1つである紙粉付着の状態における回復処理として適切な処理である。また、ポンプ吸引処理は、前述のフラッシング処理では取り除けないキャビティ141内の気泡を除去し、あるいは、ノズル110付近のインクが乾燥によりまたはキャビティ141内のインクが経年劣化により増粘した場合に、増粘したインクを除去する回復処理として適切な処理である。なお、それほど増粘が進んでおらず粘度がそれほど大きくない場合には、上述のフラッシング処理による回復処理も行われ得る。この場合、排出するインク量が少ないので、スループットやランニングコストを低下させずに適切な回復処理を行うことができる。
複数のヘッドユニット35は、キャリッジ32に搭載され、2本のキャリッジガイド軸422にガイドされてキャリッジモーター41により、図中その上端に備えられた連結部34を介してタイミングベルト421に連結して移動する。キャリッジ32に搭載されたヘッドユニット35は、キャリッジモーター41の駆動により移動するタイミングベルト421を介して(タイミングベルト421に連動して)主走査方向に移動可能である。なお、キャリッジモーター41は、タイミングベルト421を連続的に回転させるためのプーリーの役割を果たし、他端側にも同様にプーリー44が備えられている。
また、キャップ310は、ヘッドユニット35のノズルプレート150(図5参照)のキャッピングを行うためのものである。キャップ310には、その底部側面に孔が形成され、後述するように、チューブポンプ320の構成要素である可撓性のチューブ321が接続されている。なお、チューブポンプ320については、図39において後述する。
記録(印字)動作時には、所定のインクジェットヘッド100(液滴吐出ヘッド)の静電アクチュエーター120を駆動しながら、記録用紙Pは副走査方向、すなわち、図36中下方に移動し、印字手段3は、主走査方向、すなわち、図36中左右に移動することにより、インクジェットプリンター(液滴吐出装置)1は、ホストコンピューター8から入力された印刷データ(印字データ)に基づいて所定の画像などを記録用紙Pに印刷(記録)する。
図37は、図36に示すワイパー300と印字手段3(ヘッドユニット35)との位置関係を示す図である。この図37において、ヘッドユニット35とワイパー300は、図36に示すインクジェットプリンター1の図中下側から上側を見た場合の側面図の一部として示される。ワイパー300は、図37(a)に示すように、印字手段3のノズル面、すなわち、ヘッドユニット35のノズルプレート150と当接可能なように、上下移動可能に配置される。
ここで、ワイパー300を利用する回復処理であるワイピング処理について説明する。ワイピング処理を行う際、図37(a)に示すように、ノズル面(ノズルプレート150)よりもワイパー300の先端が上側に位置するように図示しない駆動装置によってワイパー300は上方に移動される。この場合において、キャリッジモーター41を駆動して図中左方向(矢印の方向)に印字手段3(ヘッドユニット35)を移動させると、ワイピング部材301がノズルプレート150(ノズル面)に当接することになる。
なお、ワイピング部材301は可撓性のゴム部材等から構成されるので、図37(b)に示すように、ワイピング部材301のノズルプレート150と当接する先端部分は撓み、その先端部によってノズルプレート150(ノズル面)の表面をクリーニング(拭き掃除)する。これにより、ノズルプレート150(ノズル面)に付着した紙粉などの異物(例えば、紙粉、空気中に浮遊するごみ、ゴムの切れ端など)を除去することができる。また、このような異物の付着状態に応じて(異物が多く付着している場合には)、印字手段3にワイパー300の上方を往復移動させることによって、ワイピング処理を複数回実施することもできる。
図38は、ポンプ吸引処理時における、ヘッドユニット35と、キャップ310およびポンプ320との関係を示す図である。チューブ321は、ポンピング処理(ポンプ吸引処理)におけるインク排出路を形成するものであり、その一端は、上述のように、キャップ310の底部に接続され、他端は、チューブポンプ320を介して排インクカートリッジ340に接続されている。
キャップ310の内部底面には、インク吸収体330が配置されている。このインク吸収体330は、ポンプ吸引処理やフラッシング処理においてインクジェットヘッド100のノズル110から吐出されるインクを吸収して、一時貯蔵する。なお、インク吸収体330によって、キャップ310内へのフラッシング動作時に、吐出された液滴が跳ね返ってノズルプレート150を汚すことを防止することができる。
図39は、図38に示すチューブポンプ320の構成を示す概略図である。この図39(B)に示すように、チューブポンプ320は、回転式ポンプであり、回転体322と、その回転体322の円周部に配置された4つのローラー323と、ガイド部材350とを備えている。なお、ローラー323は、回転体322により支持されており、ガイド部材350のガイド351に沿って円弧状に載置された可撓性のチューブ321を加圧するものである。
このチューブポンプ320は、軸322aを中心にして回転体322を図39に示す矢印X方向に回転させることにより、チューブ321に当接している1つまたは2つのローラー323が、Y方向に回転しながら、ガイド部材350の円弧状のガイド351に載置されたチューブ321を順次加圧する。これにより、チューブ321が変形し、このチューブ321内に発生した負圧により、各インクジェットヘッド100のキャビティ141内のインク(液状材料)がキャップ310を介して吸引され、気泡が混入し、あるいは乾燥により増粘した不要なインクがノズル110を介して、インク吸収体330に排出され、このインク吸収体330に吸収された排インクがチューブポンプ320を介して排インクカートリッジ340(図38参照)に排出される。
なお、このチューブポンプ320は、図示しないパルスモーターなどのモーターにより駆動される。パルスモーターは、制御部6により制御される。チューブポンプ320の回転制御に対する駆動情報、例えば、回転速度、回転数が記述されたルックアップテーブル、シーケンス制御が記述された制御プログラムなどは、制御部6のPROM64などに格納されており、これらの駆動情報に基づいて、制御部6のCPU61によってチューブポンプ320の制御が行われている。
次に、回復手段24の動作(吐出異常回復処理)を説明する。図40は、インクジェットプリンター1(液滴吐出装置)における吐出異常回復処理を示すフローチャートである。上述の吐出異常検出・判定処理(図24のフローチャート参照)において吐出異常のノズル110が検出され、その原因が判定されると、印刷動作(印字動作)などを行っていない所定のタイミングで、印字手段3が所定の待機領域(例えば、図36において印字手段3のノズルプレート150をキャップ310で覆う位置、あるいは、ワイパー300によるワイピング処理を実施可能な位置)まで移動されて、吐出異常回復処理が実行される。
まず、制御部6は、図24のステップS107において制御部6のEEPROM62に保存された各ノズル110に対応する判定結果(ここで、この判定結果は、各ノズル110に限定した内容の判定結果ではなく、各インクジェットヘッド100に対するものである。そのため、以下において、吐出異常のノズル110とは、吐出異常が発生したインクジェットヘッド100をも意味する。)を読み出す(ステップS901)。ステップS902において、制御部6は、この読み出した判定結果に吐出異常のノズル110があるか否かを判定する。そして、吐出異常のノズル110がないと判定された場合、すなわち、すべてのノズル110から正常に液滴が吐出された場合には、そのまま、この吐出異常回復処理を終了する。
一方、いずれかのノズル110が吐出異常であったと判定された場合には、ステップS903において、制御部6は、その吐出異常と判定されたノズル110が紙粉付着であるか否かを判定する。そして、そのノズル110の出口付近に紙粉が付着していないと判定された場合には、ステップS905に移行し、紙粉が付着していると判定された場合には、上述のワイパー300によるノズルプレート150へのワイピング処理を実行する(ステップS904)。
ステップS905において、続いて、制御部6は、上記吐出異常と判定されたノズル110が気泡混入であるか否かを判定する。そして、気泡混入であると判定された場合には、制御部6は、すべてのノズル110に対してチューブポンプ320によるポンプ吸引処理を実行し(ステップS906)、この吐出異常回復処理を終了する。一方、気泡混入でないと判定された場合には、制御部6は、上記計測手段17によって計測された振動板121の残留振動の周期の長短に基づいて、チューブポンプ320によるポンプ吸引処理または吐出異常と判定されたノズル110のみもしくはすべてのノズル110に対するフラッシング処理を実行し(ステップS907)、この吐出異常回復処理を終了する。
なお、回復手段24が実行する回復処理の一つであるポンプ吸引回復処理は、乾燥などにより増粘が進んだ場合と気泡混入の場合に対して有効な処理であり、いずれの原因においても同様の回復処理が取られ得るため、ヘッドユニット内にポンプ吸引処理が必要な気泡混入と乾燥増粘のインクジェットヘッド100を検出した場合には、図40のフローチャートのステップS905〜S907のように個別に処理を決定せず、気泡混入のインクジェットヘッド100と乾燥増粘のインクジェットヘッド100に対して一度にポンプ吸引処理を実行してもよい。すなわち、ノズル110付近に紙粉が付着しているか否かを判断した後は、気泡混入か乾燥増粘かの判断をせず、ポンプ吸引処理を実行してもよい。
図41は、ワイパー(ワイピング手段)の他の構成例(ワイパー300’)を説明するための図であり、(a)が印字手段3(ヘッドユニット35)のノズル面(ノズルプレート150)を示す図、(b)がワイパー300’を示す図である。図42は、図41に示すワイパー300’の作動状態を示す図である。
以下、これらの図に基づいて、ワイパーの他の構成例であるワイパー300’について説明するが、前述したワイパー300との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図41(a)に示すように、印字手段3のノズル面においては、複数のノズル110は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインクに対応して、4組のノズル群に分かれている。本構成例のワイパー300’は、以下に述べるような構成により、これら4組のノズル群に対し、各色のノズル群ごとに別々にワイピング処理することができるようになっている。
図41(b)に示すように、ワイパー300’は、イエローのノズル群用のワイピング部材301aと、マゼンタのノズル群用のワイピング部材301bと、シアンのノズル群用のワイピング部材301cと、ブラックのノズル群用のワイピング部材301dとを有している。図42に示すように、各ワイピング部材301a〜301dは、図示しない移動機構により、それぞれ独立して副走査方向に移動可能になっている。
前述したワイパー300は、全ノズル110のノズル面に対し一括してワイピング処理をするものであったが、本構成例のワイパー300’によれば、ワイピング処理が必要なノズル群のみをワイピングすることができるので、無駄のない回復処理を行うことができる。
図43は、ポンピング手段の他の構成例を説明するための図である。以下、この図に基づいて、ポンピング手段の他の構成例について説明するが、前述したポンピング手段との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図43に示すように、本構成例のポンピング手段は、イエローのノズル群用のキャップ310aと、マゼンタのノズル群用のキャップ310bと、シアンのノズル群用のキャップ310cと、ブラックのノズル群用のキャップ310dとを有している。
チューブポンプ320のチューブ321は、4本の分岐チューブ325a〜325dに分岐しており、この各分岐チューブ325a〜325dが各キャップ310a〜310dにそれぞれ接続されている。各分岐チューブ325a〜325dの途中には、それぞれ、バルブ326a〜326dが設けられている。
以上のような本構成例のポンピング手段は、各バルブ326a〜326dの開閉を選択することにより、印字手段3の4組のノズル群に対し、各色のノズル群ごとに別々にポンプ吸引処理することができるようになっている。これにより、ポンプ吸引処理が必要なノズル群のみを吸引することができるので、無駄のない回復処理を行うことができる。なお、図43では、チューブポンプ320が4色分同じチューブ321で吸引している例を示したが、チューブポンプ320にチューブが4色分別々にあっても良い。
さて、以上説明したようなインクジェットプリンター1は、全ノズル110に対して吐出異常検出手段10による検出を行った場合、次に述べるような流れで作動する。以下、インクジェットプリンター1において、吐出異常検出手段10による検出を行った場合の、それ以降の動作の流れについて、2つのパターンを順次説明するが、まず、1番目のパターンについて説明する。
[1A]
インクジェットプリンター1は、フラッシング処理(フラッシング動作)時、または印刷動作時において、前述したようにして、全ノズル110に対し、吐出異常検出手段10による検出を行う。
この検出の結果、吐出異常が発生したノズル110(以下、「異常ノズル」と言う)があったときには、インクジェットプリンター1は、その旨を報知するのが好ましい。この報知の手段(方法)としては、特に限定されず、例えば、操作パネル7に表示したり、音声、警報音、ランプの点灯によるもの、あるいはインターフェース9を経由してホストコンピューター8などへ、またはネットワークを経由してプリントサーバーなどへそれぞれ吐出異常情報を伝達するものなど、いかなるものでもよい。
[2A]
[1A]での検出の結果、吐出異常が発生したノズル110(異常ノズル)があったときには、(印刷動作中であった場合には印刷動作を中断して)回復手段24による回復処理を行う。この場合、回復手段24は、前述した図40のフローチャートのようにして、異常ノズルの吐出異常の原因に応じた種類の回復処理を行う。これにより、例えば、異常ノズルの吐出異常の原因が紙粉付着の場合、すなわち、ポンプ吸引処理を行う必要がないような場合にまでポンプ吸引処理が行われるようなことがないので、インクを無駄に排出することを防止することができ、インクの消費量を低減することができる。また、必要でない種類の回復処理を行わないので、回復処理に要する時間を短縮でき、インクジェットプリンター1のスループット(単位時間当たりの印刷枚数)の向上が図れる。
また、この回復処理は、全ノズル110に対して行ってもよいが、少なくとも異常ノズルに対して行えばよい。例えば、回復処理としてフラッシング処理を行う場合、異常ノズルのみにフラッシング動作を行わせてもよい。また、ワイピング手段やポンピング手段が、図41〜図43に示すような各色のノズル群ごとに別々に回復処理できるよう構成されたものである場合には、[1A]で検出された異常ノズルを含むノズル群のみに対してワイピング処理またはポンプ吸引処理をするようにしてもよい。
また、[1A]において、吐出異常の原因が異なる複数の異常ノズルが検出された場合には、その全ての吐出異常の原因を解消できるように、複数種類の回復処理を行うのが好ましい。
[3A]
[2A]の回復処理を終えたら、[1A]で検出された異常ノズルに対してのみ液滴吐出動作を行い、この異常ノズルのみに対し吐出異常検出手段10による検出を再度行う。これにより、[1A]で検出された異常ノズルが正常な状態に回復したかどうかを確認することができるので、その後の印刷動作において吐出異常が発生するのをより確実に防止することができる。
また、ここでは、異常ノズルのみに液滴吐出動作を行わせて吐出異常検出手段10による検出を行うので、[1A]で正常だったノズル110からはインク滴を吐出しないで済む。よって、無駄にインクを吐出するのを回避することとなり、インクの消費量を低減することができる。さらに、吐出異常検出手段10や制御部6の負担も軽減することができる。
なお、[3A]での検出によっても吐出異常のノズル110があった場合には、回復手段24による回復処理を再度行うのが好ましい。
以下、インクジェットプリンター1において、吐出異常検出手段10による検出を行った場合の、それ以降の動作の流れの2番目のパターンについて説明する。すなわち、本実施形態では、前記[1A]〜[3A]に代えて、以下の[1B]〜[5B]のような流れで制御してもよい。
[1B]
前記[1A]と同様に、全ノズル110に対し、吐出異常検出手段10による検出を行う。
[2B]
[1B]での検出の結果、吐出異常が発生したノズル110(以下、「異常ノズル」と言う)があったときには、(印刷動作中であった場合には印刷動作を中断して)その異常ノズルに対してのみフラッシング処理を実行する。異常ノズルの吐出異常の原因が軽微なものである場合などには、このフラッシング処理によって異常ノズルを正常な状態に回復させることができる。また、この際、正常だったノズル110からはインク滴を吐出しないので、インクを無駄に消費することもない。吐出異常検出手段10による検出を頻繁に行っているときなどには、吐出異常の原因が軽微であることが多いので、このように吐出異常の原因にかかわらず異常ノズルにまずフラッシング処理を行うことにより、回復処理を効率良く、迅速に行うことができる。
[3B]
[2B]のフラッシング処理を終えたら、[1B]で検出された異常ノズルに対してのみ液滴吐出動作を行い、この異常ノズルのみに対し吐出異常検出手段10による検出を再度行う。これにより、[1B]で検出された異常ノズルが正常な状態に回復したかどうかを確認することができるので、その後の印刷動作において吐出異常が発生するのをより確実に防止することができる。
また、ここでは、異常ノズルのみに液滴吐出動作を行わせて吐出異常検出手段10による検出を行うので、[1B]で正常だったノズル110からはインク滴を吐出しないで済む。よって、無駄にインクを吐出するのを回避することとなり、インクの消費量を低減することができる。さらに、吐出異常検出手段10や制御部6の負担も軽減することができる。
[4B]
[3B]での検出の結果、吐出異常が解消していないノズル110(以下、「再異常ノズル」と言う)があったときには、回復手段24による回復処理を行う。この場合、回復手段24は、前述した図40のフローチャートのようにして、再異常ノズルの吐出異常の原因に応じた種類の回復処理を行う。これにより、例えば、再異常ノズルの吐出異常の原因が紙粉付着の場合、すなわち、ポンプ吸引処理を行う必要がないような場合にまでポンプ吸引処理が行われるようなことがないので、インクを無駄に排出することを防止することができ、インクの消費量を低減することができる。また、必要でない種類の回復処理を行わないので、回復処理に要する時間を短縮でき、インクジェットプリンター1のスループット(単位時間当たりの印刷枚数)の向上が図れる。
また、[2B]でフラッシング処理を行っているので、この[4B]ではそれ以外の回復処理を行うのが好ましい。すなわち、再異常ノズルの吐出異常の原因が、気泡混入または乾燥増粘の場合にはポンプ吸引処理を実行し、紙粉付着の場合にはワイパー300または300’によるワイピング処理を実行することとするのが好ましい。
なお、この[4B]では、上記の点の他は、前記[2A]と同様である。
[5B]
[4B]の回復処理を終えたら、[3B]で検出された再異常ノズルに対してのみ液滴吐出動作を行い、この再異常ノズルのみに対し吐出異常検出手段10による検出を再度行う。これにより、[3B]で検出された再異常ノズルが正常な状態に回復したかどうかを確認することができるので、その後の印刷動作において吐出異常が発生するのをさらに確実に防止することができる。
また、ここでは、再異常ノズルのみに液滴吐出動作を行わせて吐出異常検出手段10による検出を行うので、[1B]や[3B]で正常だったノズル110からはインク滴を吐出しないで済む。よって、無駄にインクを吐出するのを回避することとなり、インクの消費量を低減することができる。さらに、吐出異常検出手段10や制御部6の負担も軽減することができる。
以上説明した[1A]〜[3A]および[1B]〜[5B]においては、吐出異常の原因に応じた回復処理を行った後、各ノズル110(全ノズル110)に対してフラッシング処理を実行するのが好ましい。これにより、ノズル面(ノズルプレート150)に残留した各色のインクが混合するのを防止することができ、インクの混色を防止することができる。
以上説明したような、本実施形態の液滴吐出装置では、従来の吐出異常を検出可能な液滴吐出装置に比べ、他の部品(例えば、光学式のドット抜け検出装置など)を必要としないので、液滴吐出ヘッドのサイズを大きくすることなく液滴の吐出異常を検出することができるとともに、吐出異常(ドット抜け)検出を行うことができる液滴吐出装置の製造コストを低く抑えることができる。また、液滴吐出動作後の振動板の残留振動を用いて液滴の吐出異常を検出しているので、記録動作の途中でも液滴の吐出異常を検出することができる。
<第2実施形態>
次に、インクジェットヘッドの他の構成例について説明する。図44〜図47は、それぞれ、インクジェットヘッド(ヘッドユニット)の他の構成例の概略を示す断面図である。以下、これらの図に基づいて説明するが、前述した実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図44に示すインクジェットヘッド100Aは、圧電素子200の駆動により振動板212が振動し、キャビティ208内のインク(液体)がノズル203から吐出するものである。ノズル(孔)203が形成されたステンレス鋼製のノズルプレート202には、ステンレス鋼製の金属プレート204が接着フィルム205を介して接合されており、さらにその上に同様のステンレス鋼製の金属プレート204が接着フィルム205を介して接合されている。そして、その上には、連通口形成プレート206およびキャビティプレート207が順次接合されている。
ノズルプレート202、金属プレート204、接着フィルム205、連通口形成プレート206およびキャビティプレート207は、それぞれ所定の形状(凹部が形成されるような形状)に成形され、これらを重ねることにより、キャビティ208およびリザーバー209が形成される。キャビティ208とリザーバー209とは、インク供給口210を介して連通している。また、リザーバー209は、インク取り入れ口211に連通している。
キャビティプレート207の上面開口部には、振動板212が設置され、この振動板212には、下部電極213を介して圧電素子(ピエゾ素子)200が接合されている。また、圧電素子200の下部電極213と反対側には、上部電極214が接合されている。ヘッドドライブ215は、駆動電圧波形を生成する駆動回路を備え、上部電極214と下部電極213との間に駆動電圧波形を印加(供給)することにより、圧電素子200が振動し、それに接合された振動板212が振動する。この振動板212の振動によりキャビティ208の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ208内に充填されたインク(液体)がノズル203より液滴として吐出する。
液滴の吐出によりキャビティ208内で減少した液量は、リザーバー209からインクが供給されて補給される。また、リザーバー209へは、インク取り入れ口211からインクが供給される。
図45に示すインクジェットヘッド100Bも前記と同様に、圧電素子200の駆動によりキャビティ221内のインク(液体)がノズルから吐出するものである。このインクジェットヘッド100Bは、一対の対向する基板220を有し、両基板220間に、複数の圧電素子200が所定間隔をおいて間欠的に設置されている。
隣接する圧電素子200同士の間には、キャビティ221が形成されている。キャビティ221の図45中前方にはプレート(図示せず)、後方にはノズルプレート222が設置され、ノズルプレート222の各キャビティ221に対応する位置には、ノズル(孔)223が形成されている。
各圧電素子200の一方の面および他方の面には、それぞれ、一対の電極224が設置されている。すなわち、1つの圧電素子200に対し、4つの電極224が接合されている。これらの電極224のうち所定の電極間に所定の駆動電圧波形を印加することにより、圧電素子200がシェアモード変形して振動し(図45において矢印で示す)、この振動によりキャビティ221の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ221内に充填されたインク(液体)がノズル223より液滴として吐出する。すなわち、インクジェットヘッド100Bでは、圧電素子200自体が振動板として機能する。
図46に示すインクジェットヘッド100Cも前記と同様に、圧電素子200の駆動によりキャビティ233内のインク(液体)がノズル231から吐出するものである。このインクジェットヘッド100Cは、ノズル231が形成されたノズルプレート230と、スペーサ232と、圧電素子200とを備えている。圧電素子200は、ノズルプレート230に対しスペーサ232を介して所定距離離間して設置されており、ノズルプレート230と圧電素子200とスペーサ232とで囲まれる空間にキャビティ233が形成されている。
圧電素子200の図46中上面には、複数の電極が接合されている。すなわち、圧電素子200のほぼ中央部には、第1電極234が接合され、その両側部には、それぞれ第2電極235が接合されている。第1電極234と第2電極235との間に所定の駆動電圧波形を印加することにより、圧電素子200がシェアモード変形して振動し(図46において矢印で示す)、この振動によりキャビティ233の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ233内に充填されたインク(液体)がノズル231より液滴として吐出する。すなわち、インクジェットヘッド100Cでは、圧電素子200自体が振動板として機能する。
図47に示すインクジェットヘッド100Dも前記と同様に、圧電素子200の駆動によりキャビティ245内のインク(液体)がノズル241から吐出するものである。このインクジェットヘッド100Dは、ノズル241が形成されたノズルプレート240と、キャビティプレート242と、振動板243と、複数の圧電素子200を積層してなる積層圧電素子201とを備えている。
キャビティプレート242は、所定の形状(凹部が形成されるような形状)に成形され、これにより、キャビティ245およびリザーバー246が形成される。キャビティ245とリザーバー246とは、インク供給口247を介して連通している。また、リザーバー246は、インク供給チューブ311を介してインクカートリッジ31と連通している。
積層圧電素子201の図47中下端は、中間層244を介して振動板243と接合されている。積層圧電素子201には、複数の外部電極248および内部電極249が接合されている。すなわち、積層圧電素子201の外表面には、外部電極248が接合され、積層圧電素子201を構成する各圧電素子200同士の間(または各圧電素子の内部)には、内部電極249が設置されている。この場合、外部電極248と内部電極249の一部が、交互に、圧電素子200の厚さ方向に重なるように配置される。
そして、外部電極248と内部電極249との間にヘッドドライバー33より駆動電圧波形を印加することにより、積層圧電素子201が図47中の矢印で示すように変形して(図47上下方向に伸縮して)振動し、この振動により振動板243が振動する。この振動板243の振動によりキャビティ245の容積(キャビティ内の圧力)が変化し、キャビティ245内に充填されたインク(液体)がノズル241より液滴として吐出する。
液滴の吐出によりキャビティ245内で減少した液量は、リザーバー246からインクが供給されて補給される。また、リザーバー246へは、インクカートリッジ31からインク供給チューブ311を介してインクが供給される。
以上のような圧電素子を備えるインクジェットヘッド100A〜100Dにおいても、前述した静電容量方式のインクジェットヘッド100と同様にして、振動板または振動板として機能する圧電素子の残留振動に基づき、液滴吐出の異常を検出しあるいはその異常の原因を特定することができる。なお、インクジェットヘッド100Bおよび100Cにおいては、キャビティに面した位置にセンサーとしての振動板(残留振動検出用の振動板)を設け、この振動板の残留振動を検出するような構成とすることもできる。
<第3実施形態>
次に、インクジェットヘッドのさらに他の構成例について説明する。図48は、本実施形態におけるヘッドユニット35の構成を示す斜視図、図49は、図48に示すヘッドユニット35(インクジェットヘッド100H)の断面図である。以下、これらの図に基づいて説明するが、前述した実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図48および図49に示すヘッドユニット35(インクジェットヘッド100H)は、いわゆる膜沸騰インクジェット方式(サーマルジェット方式)によるもので、支持板410と、基板420と、外壁430および隔壁431と、天板440とが、図48および図49中下側からこの順に接合された構成のものである。
基板420と天板440とは、外壁430および等間隔で平行に配置された複数(図示の例では6枚)の隔壁431を介して所定の間隔をおいて設置されている。そして、基板420と天板440との間には、隔壁431によって区画された複数(図示の例では5個)のキャビティ(圧力室:インク室)141が形成されている。各キャビティ141は、短冊状(直方体状)をなしている。
また、図48および図49に示すように、各キャビティ141の図49中左側端部(図48中上端)は、ノズルプレート(前板)433により覆われている。このノズルプレート433には、各キャビティ141に連通するノズル(孔)110が形成されており、このノズル110からインク(液状材料)が吐出する。
図48では、ノズルプレート433に対しノズル110が直線的に、すなわち列状に配置されているが、ノズルの配置パターンはこれに限定されないことは言うまでもない。
なお、ノズルプレート433を設けず、各キャビティ141の図48中上端(図49中左端)が開放しており、この開放した開口がノズルとなるような構成のものでもよい。
また、天板440には、インク取り入れ口441が形成され、該インク取り入れ口441には、インク供給チューブ311を介して、インクカートリッジ31に接続されている。
基板420の各キャビティ141に対応する箇所には、それぞれ、発熱体450が設置(埋設)されている。各発熱体450は、駆動回路18を含むヘッドドライバー(通電手段)33により、それぞれ別個に通電され、発熱する。ヘッドドライバー33は、制御部6から入力される印刷信号(印刷データ)に応じ、発熱体450の駆動信号として例えばパルス状の信号を出力する。
また、発熱体450のキャビティ141側の面は、保護膜(耐キャビテーション膜)451で覆われている。この保護膜451は、発熱体450がキャビティ141内のインクと直接接触するのを防止するために設けられたものである。この保護膜451を設けることにより、発熱体450がインクと接触することによる変質、劣化等を防止することができる。
基板420の各発熱体450の近傍であって、各キャビティ141に対応する箇所には、それぞれ、凹部460が形成されている。この凹部460は、例えばエッチング、打ち抜き等の方法により形成することができる。
凹部460のキャビティ141側を遮蔽するように振動板(ダイヤフラム)461が設置されている。この振動板461は、キャビティ141内の圧力(液圧)の変化に追従して図49中の上下方向に弾性的に変形(弾性的に変位)する。
この振動板461は、電極としても機能する。振動板461は、その全体が導電性のものであっても、導電層と絶縁層とが積層されたものでもよい。
一方、凹部460の他方の側は、支持板410により覆われており、該支持板410の図49中上面の各振動板461に対応する箇所には、それぞれ、電極(セグメント電極)462が設置されている。
振動板461と電極462とは、所定の間隙距離をおいてほぼ平行に対向するように配置されている。
このように、わずかな間隔距離を隔てて振動板461と電極462とを配置することにより、平行平板コンデンサーを形成することができる。そして、振動板461がキャビティ141内の圧力に追従して図49中の上下方向に弾性的に変位(変形)すると、それに応じて振動板461と電極462と間隙距離が変化し、前記平行平板コンデンサーの静電容量が変化する。インクジェットヘッド100Hでは、振動板461および電極462は、振動板461の振動(残留振動(減衰振動))に伴う前記静電容量の経時的変動に基づき当該インクジェットヘッド100Hの異常を検出するセンサーとして機能する。
基板420のキャビティ141外には、共通電極470が形成されている。また、支持板410のキャビティ141外には、セグメント電極471が形成されている。電極462、共通電極470およびセグメント電極471は、それぞれ、例えば金属箔の接合、メッキ、蒸着、スパッタリング等の方法により形成することができる。
各振動板461と共通電極470とは、導体475により電気的に接続され、各電極462と各セグメント電極471とは、導体476により電気的に接続されている。
導体475、476としては、それぞれ、[1]金属線等の導線を配設したもの、[2]基板420または支持板410の表面に例えば金、銅等の導電性材料よりなる薄膜を形成したもの、あるいは、[3]基板420等の導体形成部位にイオンドーピング等を施して導電性を付与したもの等が挙げられる。
次に、インクジェットヘッド100Hの作用(作動原理)について説明する。
ヘッドドライバー33から駆動信号(パルス信号)が出力されて発熱体450に通電されると、発熱体450は、瞬時に300℃以上の温度に発熱する。これにより、保護膜451上に膜沸騰による気泡(前述した吐出異常の原因となるキャビティ内に混入、発生する気泡とは異なる)480が発生し、該気泡480は瞬時に膨張する。これにより、キャビティ141内に満たされたインク(液状材料)の液圧が増大し、インクの一部がノズル110から液滴として吐出される。
インク滴の吐出によりキャビティ141内で減少した液量は、インク取り入れ口441から新たなインクがキャビティ141内に供給されて補給される。このインクは、インクカートリッジ31からインク供給チューブ311内を通って供給される。
インクの液滴が吐出された直後、気泡480は急激に収縮し、元の状態に戻る。このときのキャビティ141内の圧力変化により振動板461が弾性的に変位(変形)して、次の駆動信号が入力され再びインク滴が吐出されるまでの間、減衰振動(残留振動)を生じる。振動板461が減衰振動を生じると、それに応じて、振動板461と、これと対向する電極462とで構成されるコンデンサーの静電容量が変化する。本実施形態のインクジェットヘッド100Hでは、この静電容量の経時的変動を利用して、前述した第1実施形態のインクジェットヘッド100と同様に、吐出異常を検出することができる。
<第4実施形態>
第4実施形態のハードウェア構成は、第1実施形態のものと同じであるので、説明を省略する。図50は、実施形態4において用意されている印刷モードを示すテーブルである。図50に示されるように、実施形態4においては、印刷モードとして「最高画質」「高速高画質」「ノーマル」「高速ドラフト」の各モードが用意されている。図50に示されるように、これらのモードにおいて(A)〜(D)の波形が選択される。この波形とは、ラッチ信号と、駆動波形生成手段181によって生成される駆動波形とのことである。
図51は、最高画質モードにおいて選択される波形(A)と、高速高画質モードにおいて選択される波形(B)とを示す。波形(A)が選択される場合、駆動波形としての信号COM1と、ラッチ信号としての信号LAT1とが選択される。波形(B)が選択される場合、駆動波形としての信号COM2と、ラッチ信号としての信号LAT2とが選択される。
図50に示されるように、波形(A)が選択される場合、区分毎吐出量は(12+8+0)ngであり、最大吐出量は20ngである。最大吐出量は、区分毎吐出量の合計値と一致する。区分毎吐出量における区分とは、チャネル信号CHによって区切られ得る信号COM1の区分のことである。1つ目の区分は、図50に示された信号LAT1の立ち上がりLATaから、チャネル信号CHの立ち上がりCHaまでによって規定される。2つ目の区分は、図50に示されたCHaから、チャネル信号CHのもう1つの立ち上がりCHa’までによって規定される。3つ目の区分は、図50に示されたCHa’から、LAT1のもう1つの立ち上がりLATa’までによって規定される。
区分毎吐出量が12+8+0(ng)であることは、3つ目の区分においてインクが吐出されないことを意味する。この区分においては、実施形態1において説明した異常検出が実施される。以下、信号COM1の3つ目の区分において、中間電位よりも電位が高い部分を「検査用波形」と呼ぶ。
図51に示されるように、COM1とCOM2との違いは、電圧値と、検査用波形の時間の長さ(以下「検査時間」という)とである。COM1の検査用波形の電圧値は電圧V1であり、COM2の検査用波形の電圧値は電圧V2(<電圧V1)である。COM1の検査時間はt1であり、COM2の検査時間はt2(=t1−Δt)である。Δtは、図51に示されるように、LAT1の周期(LATaからLATa’までの時間)からLAT2の周期を引いて得られる差に等しい。LAT1の周期がLAT2の周期よりも長いことは、最高画質モードの場合の最高設定可能周波数(10/s)が、高速高画質モードの場合の最高設定可能周波数(14.8/s)よりも小さいことによっても示される。最高設定可能周波数とは、ノズルの駆動周波数の最高値である。このように最高設定可能周波数が異なるので、図50に示されるように、最高画質モードにおける印字手段3の主走査速度は、高速高画質モードにおける印字手段3の主走査速度よりも遅い。この最高設定可能周波数および主走査速度の違いは、最高画質モードの印刷速度が、高速高画質モードの場合の印刷速度よりも遅いことに対応する。
上記の通り、最高画質モードは、高速高画質モードに比べて、検査用波形の電圧値が低い故、残留振動を小さくできるというメリットと、残留振動を検出できる時間を特に長く設定できる故、ノズルの詳細な情報を特に得ることができるというメリットとがある反面、駆動周波数が小さくなる故、高速駆動が行えないというデメリットがある。
図52は、ノーマルモードにおいて選択される波形(C)と、高速ドラフトモードにおいて選択される波形(D)とを示す。波形(C)が選択される場合、駆動波形としてのCOM3と、ラッチ信号としての信号LAT3とが選択される。波形(D)が選択される場合、駆動波形としてのCOM4と、ラッチ信号としての信号LAT4とが選択される。
図50に示されるように、波形(C)が選択される場合、区分毎吐出量は(12+8+12)ngであり、最大吐出量は32ngである。3つ目の区における吐出量が12ngであることは、検査用波形によって、異常検出と共に、インク吐出が実行されることを意味する。
図50に示されるように、波形(D)が選択される場合、区分毎吐出量は12+8+8(ng)であり、最大吐出量は28ngである。検査用波形におけるインク吐出量が、波形(C)の場合よりも小さいのは、図52に示されるように、検査用波形の電圧値が、波形(C)の場合(電圧V3)よりも波形(D)の場合(電圧V4)の方が小さいからである。
上記の通り、高速ドラフトモードは、ノーマルモードに比べて、検査用波形の電圧が低い故、検査後の残留振動の影響が小さいというメリットがある反面、異常検出時の圧電素子200の駆動量が十分でない場合もある故、ピエゾ素子200の駆動後の残留振動から得られる検出信号が正しく出力されず誤検出を発生させる虞があるというデメリットがある。
図52に示されるように、COM3及びCOM4は、先述した電圧値に加え、検査時間も互いに異なる。COM3の検査時間はt3であり、COM4の検査時間はt4(=t3−Δt’)である。Δt’は、図52に示されるように、LAT3の周期からLAT4の周期を引いて得られる差に等しい。LAT3の周期がLAT4の周期よりも長いことは、図50における最高設定可能周波数(1/s)が、ノーマルモードの場合の値(9.8/s)が、高速ドラフトモードの場合の値(10.2/s)よりも小さいことによっても示されている。このように最高設定可能周波数が異なるので、図50に示されるように、ノーマルモードにおける印字手段3の主走査速度は、高速ドラフトモードにおける印字手段3の主走査速度よりも遅い。この最高設定可能周波数および主走査速度の違いは、ノーマルモードの印刷速度が、高速ドラフトモードの場合の印刷速度よりも遅いことに対応する。
上記の通り、検査時間が異なるため、ノーマルモードは、高速ドラフトモードに比べて、検査時間を長く設定できる故、ノズルの詳細な情報を得ることができるというメリットがある。
ところで電圧V3,4は、インク吐出を実現するために電圧V1,V2よりも値が大きい。このため、信号COM3,4は、検査用波形の後に、制振用波形を有する。制振用波形は、検査用波形によって生じたメニスカスの振動を抑制するためのものである。
一般的に印刷モードとして提供される最高画質モード及び高速高画質モード、並びに、ノーマルモード及び高速ドラフトモードを比較すると、次の違いがある。最高画質モード及び高速高画質モードは、ノーマルモード及び高速ドラフトモードに比べて、インクを吐出せずに、異常検出ができるというメリットと、制振用波形が不要であるので、検査時間を長く設定できる故、ノズルの詳細な情報を得ることができるというメリットとがある反面、異常検出時のピエゾ素子200の駆動量が小さい故、ピエゾ素子200の駆動後の残留振動から得られる検出信号が正しく出力されず誤検出を発生させる虞があるというデメリットがある。
一方、ノーマルモード及び高速ドラフトモードは、最高画質モード及び高速高画質モードに比べて、高速で印字および異常検出ができるというメリットと、印字しながら残留振動を検出できるというメリットとがある反面、インクを吐出しなければ異常検出ができないというデメリットと、異常検出と同時にインク吐出を行う故、その際の、吐出安定性が悪いというデメリットとがある。
図50に示されるように、最高画質モードにおける解像度は、高速高画質モードにおける解像度よりも低く、ノーマルモードにおける解像度は、高速ドラフトモードにおける解像度よりも低い。解像度が低い方が、インクの液滴が大きいので、残留振動の影響を受けにくいというメリットがある。
検査時間の長短は、継続時間の長短に対応する。継続時間とは、検査用波形の最大電圧が継続される時間のことである。つまり、検査用波形において、電圧値が変化しない部位の時間のことである。なお、検査用波形は、ピエゾ素子200の特性や検査手法に応じて、中間電位よりも低い電圧値を採用してもよい。
<第5実施形態>
次に、上述した吐出異常の検出結果に基づいてインクジェットヘッド100のメンテナンス動作(回復動作)を行う液滴吐出装置としてのプリンター1について、図53及び図54を参照して説明する。以下、これらの図に基づいて説明するが、前述した実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
プリンター1は、液滴吐出部としてのインクジェットヘッド100と、装置本体2内において記録媒体の一例である記録用紙Pを支持する支持台71と、インクジェットヘッド100のメンテナンスを行うためのメンテナンス機構72とを備えている。なお、本実施形態においては、キャリッジ32に1つのインクジェットヘッド100が保持された構成を例示しているが、キャリッジ32に複数のインクジェットヘッド100が保持される構成に変更することも可能である。
支持台71は、キャリッジ32の主走査方向(図53及び図54においては左右方向)に延びる走査領域における中央付近に配置されている一方、メンテナンス機構72は同走査領域における端部に配置されている。本実施形態において、主走査方向においてメンテナンス機構72が配置された側(図53における右側)を「1桁側」といい、その反対側(図53における左側)を「80桁側」という場合がある。また、1桁側から80桁側に向かうキャリッジ32の移動方向を第1走査方向+Xとするとともに、80桁側から1桁側に向かうキャリッジ32の移動方向を第2走査方向−Xとする。
支持台71は、液滴を受容した記録用紙Pの乾燥を促進するための乾燥機構として機能するように、発熱体を内蔵していてもよい。また、記録用紙Pの乾燥を促進するための乾燥機構として、キャリッジ32の上方から記録用紙Pを加熱する発熱体や記録用紙Pに向けて送風する送風装置等を設けてもよい。
支持台71が配置された領域は、インクジェットヘッド100から記録用紙Pに対して液滴が吐出される記録領域PAとなっている一方、メンテナンス機構72が配置された領域は、記録用紙Pに対する記録(印刷)が行われない非記録領域NAとなっている。そして、キャリッジ32は、例えば記録領域PAをほぼ一定の速度で第1走査方向+Xに往路移動した後、80桁側の非記録領域NAにおいて減速して主走査方向における端部で方向転換する。そして、方向転換したキャリッジ32は、80桁側の非記録領域NAにおいて加速した後、再び記録領域PAをほぼ一定の速度で第2走査方向−Xに復路移動する。
すなわち、非記録領域NAは、往復移動するキャリッジ32が方向転換するための領域でもあり、インクジェットヘッド100は、記録処理の実行時に、記録用紙Pが配置される記録領域PAと、記録領域PAの外側に位置する非記録領域NAとの間を往復移動する。本実施形態において、キャリッジ32が第1走査方向+Xまたは第2走査方向−Xに1走査(移動)することを1パスといい、記録用紙Pにおいてキャリッジ32が1パスする間にインクジェットヘッド100によって記録を施すことができる帯状の領域Ln(図1に二点鎖線で示す領域)を1ラインということがある。また、キャリッジ32が非記録領域NAにおいて方向転換することをリターンということがある。
記録用紙Pは、図示しない搬送機構によって、主走査方向と交差する副走査方向に沿う搬送方向Yに搬送されることによって、支持台71上に配置されたり、支持台71上から退避したりする。記録用紙Pは、キャリッジ32が非記録領域NAにおいて方向転換する間に、搬送方向Yに所定距離(1ラインに対応する距離)搬送される。すなわち、プリンター1は、記録領域PAにおける1ライン分の記録と、記録用紙Pの間欠的な搬送とを繰り返すことによって、記録用紙Pの全体に記録を施す。
図54に示すように、インクジェットヘッド100には、複数のノズル110が副走査方向に並んでノズル列110Nを形成しているとともに主走査方向に沿って複数のノズル列110Nが配置されている。ノズル列110Nを構成する複数のノズル110は同じ種類の液体(例えば同じ色のインク)を吐出するものであり、複数のノズル列110Nは、異なる種類の液体(例えばシアン、マゼンタ、イエロー及びブラックなど、異なる色のインク)を噴射するものである。なお、同じ種類の液体に対応して、図5に示すように段をずらして配置された複数のノズル列110Nがインクジェットヘッド100に設けられていてもよい。
1桁側の非記録領域NAに配置されたメンテナンス機構72は、主走査方向において記録領域PAに近い位置から順に並ぶように配置されたワイピングユニット81と、液体受容部73を有するフラッシングユニット74と、クリーニング機構91とを有している。
ワイピングユニット81は、液体を吸収可能な払拭部材(ワイピング部材)82と、払拭部材82を保持する保持機構83と、ワイピングモーター84とを備える。払拭部材82は、例えば合成樹脂などの不織布で形成することによって、合成樹脂の繊維と繊維の隙間に液体を吸収する構成を実現することができる。
払拭部材82は、保持機構83に対して着脱可能に取り付けられる。そのため、払拭部材82は、使用後などには新しいものに交換することができる。払拭部材82は、保持機構83に取り付けられた場合にその一部が外部に突出して、インクジェットヘッド100のノズル110が開口するノズル面36を払拭可能な払拭部85として機能する。
保持機構83は、副走査方向に延びる一対のガイド軸86に支持されているとともに、ワイピングモーター84が駆動したときに、ワイピングモーター84の駆動力によってガイド軸86に沿って副走査方向に移動して、払拭部85がノズル面36を払拭するワイピングを行う。
クリーニング機構91は、少なくとも1つの吸引用のキャップ92と、複数の保湿用のキャップ93と、吸引ポンプ94と、キャッピングモーター95とを備える。キャッピングモーター95が駆動すると、キャップ92,93はインクジェットヘッド100に近づく方向に相対移動して、ノズル列110Nを形成する複数のノズル110が開口する閉空間を形成する。
吸引用のキャップ92は、複数のノズル110のうちの一部(例えば、同じ種類の液体を吐出するノズル110)が開口する閉空間を形成する。そして、吸引用のキャップ92が閉空間を形成した状態で吸引ポンプ94が駆動すると、閉空間が負圧となって、閉空間に開口するノズル110からインクが排出される吸引クリーニング(ポンプ吸引処理)が実行される。吸引クリーニングはノズル110の吐出異常を解消するために行われるメンテナンス動作の一種であり、吸引用のキャップ92で囲まれるノズル群毎に行われる。
保湿用のキャップ93は、ノズル110が開口する閉空間を形成することで、ノズル110の乾燥を抑制する。例えば、保湿用のキャップ93はノズル列110N毎に設けられ、複数のノズル110をノズル列単位で分割する態様で閉空間を形成する。
インクジェットヘッド100は、記録を行わないときや電源オフ時などには、保湿用のキャップ93が配置された待機位置HPに移動する。すると、保湿用のキャップ93がインクジェットヘッド100に近づく方向に相対移動してノズル110が開口する閉空間を形成する。このように、キャップ92またはキャップ93によってノズル110が開口する空間を囲むことをキャッピングという。そして、インクジェットヘッド100は、記録を行わないときなどには、待機位置HPにおいて保湿用のキャップ93によってキャッピングされる。
また、インクジェットヘッド100が液体受容部73と対応する位置(例えば、液体受容部73の鉛直方向上方)に配置されたとき、インクジェットヘッド100は液体受容部73に向けて液滴を吐出するフラッシング処理を行う。
本実施形態においては、記録用紙Pに対する記録処理の実行中にインクジェットヘッド100が液体受容部73に対して定期的に液滴を吐出するフラッシングを行うことで、ノズル110の目詰まりを予防または解消する。以下の説明においては、記録領域PAにおける記録動作の合間に非記録領域NAにおいて定期的に行うフラッシングを、インク増粘時の回復動作(メンテナンス動作)として行うフラッシングと区別して、定期フラッシングと称する。
なお、定期フラッシングは、液体受容部73が走査領域を一往復して液体受容部73と対応する位置に配置される都度行ってもよいし、液体受容部73が複数回往復移動する毎に行ってもよい。また、1回の定期フラッシングにおいて、一部のノズル110から液滴を吐出してもよいし、全てのノズル110から液滴を吐出してもよい。
次に、本実施形態のプリンター1における吐出異常検出処理について説明する。
本実施形態において、吐出異常検出部としての吐出異常検出手段10(図16参照)は、記録処理の実行中に定期フラッシングに伴って液滴が吐出されたときの振動板121(図3参照)の残留振動波形に基づいて、ノズル110における吐出異常(インク滴不吐出)を検出し、吐出異常の場合にはその原因を判定する。
すなわち、インクジェットヘッド100が記録用紙Pに対する液滴の吐出動作の合間に非記録領域NAに移動して、ノズル110から吐出された液滴を液体受容部73が受容可能な位置にインクジェットヘッド100が配置されたときに、吐出異常検出手段10がノズル110における吐出異常の状況を検出する。
吐出異常の検出は、定期フラッシングを行う度に実行してもよいし、吐出異常を伴わない定期フラッシングを行ってもよい。また、定期フラッシングにおいて液滴を吐出したノズル110の全てについて吐出異常を検出してもよいし、液滴を吐出したノズル110のうちの一部について吐出異常を検出してもよい。
定期フラッシング及び吐出異常の検出は、インクジェットヘッド100が液体受容部73と対応する位置で停止して行ってもよいし、インクジェットヘッド100が第1走査方向+Xまたは第2走査方向−Xに移動しながら行ってもよい。なお、吐出異常の検出に要する時間Td(例えば、1秒)がキャリッジ32のリターンに要する時間Tc(例えば、2秒)よりも短ければ、インクジェットヘッド100が非記録領域NAにおいて停止することなく、吐出異常の検出を行うことができる。
記録処理に使用されるノズル110に吐出異常が生じたときには、ドット抜けが生じて記録品質が低下する可能性があるため、フラッシング、ワイピングまたは吸引クリーニングなどのメンテナンス動作を行って、吐出異常を解消するのが望ましい。例えば、吐出異常の原因が気泡の混入であれば吸引クリーニングを行い、吐出異常の原因がノズル110の乾燥であればフラッシングを行い、吐出異常の原因がノズル110出口付近への紙粉等の異物の付着であればワイピングを行うことによって、吐出異常を効率よく解消することができる。
ここで、記録用紙Pに対する記録処理の実行中には、1ライン分の記録が施されて、次の1ライン分の記録が行われるまでの間に、キャリッジ32のリターンや定期フラッシングを行うために、記録処理の一部である液滴の吐出動作が一時中断される。そして、記録用紙Pに着弾した液滴は、時間の経過とともに記録用紙Pの表面に濡れ拡がったり乾燥したりするため、記録処理を中断する時間にばらつきがあると、副走査方向に隣り合って並ぶラインとラインとで発色が変化するなどして記録結果が一様でなくなり、記録品質が低下することがある。
本実施形態において、記録品質が低下する記録中断時間の閾値をTngとする。また、フラッシング、ワイピング及び吸引クリーニングに要する時間をそれぞれTf、Tw、Tvとする。なお、フラッシングに要する時間Tfは、インクジェットヘッド100が液体受容部73と対応する位置で停止して行う場合の時間とする。また、吸引クリーニングに要する時間Tvは、吸引用のキャップ92で囲まれるノズル110を対象にして行われる1回の吸引クリーニングを行うのに要する時間とする。
記録品質が低下する記録中断時間の閾値Tngは、記録用紙Pや吐出される液体の成分や、乾燥機構の有無、温度や湿度等の環境条件などによって異なるが、概ねTf≦Tw≦Tng<Tvの関係が成り立つ。すなわち、一の記録用紙Pに対する記録処理を中断して吸引クリーニングを実行すると、その中断の前後で記録結果に差異が生じて、記録品質が低下する可能性が高い。一方、一の記録用紙Pに対する記録動作を中断してフラッシングまたはワイピングを実行しても、その中断の前後で生じる記録結果の差異は小さく、記録品質はそれほど低下しない可能性が高い。
そこで、本実施形態では、吐出異常のノズル110が有ることを吐出異常検出手段10が検出した場合、そのノズル110の吐出異常を解消するためのメンテナンス動作に要する時間が閾値Tng以下であれば記録処理を中断してメンテナンス動作を行い、メンテナンス動作に要する時間が閾値Tngより長ければメンテナンス動作を保留して記録処理を継続する。
例えば、ノズル110の吐出異常の原因が気泡の混入である場合には、メンテナンス動作としての吸引クリーニングを実行するのが好ましいが、吸引クリーニングの実行に要する時間Tvは閾値Tngより長い。そこで、気泡の混入が原因で吐出異常が生じたノズル110が検出された場合には、吸引クリーニングを保留して、その記録用紙Pに対する記録処理が終了した後に、吸引クリーニングを実行する。すなわち、記録用紙Pに対する記録処理を中断して吸引クリーニングを行うと、その中断の前後で記録結果の差異が大きくなる可能性が高い。そして、一の記録用紙Pに対する記録の途中で記録結果が変化して記録品質が低下すると、その記録用紙Pを破棄せざるを得ない。そのため、記録処理の中断による記録用紙Pの無駄な消費を抑制するために、吸引クリーニングを行わずに記録処理を継続する。
なお、吐出異常が生じたノズル110があったとしても、それが記録用紙Pに対して液滴を吐出しないノズル110であった場合や、吐出異常のノズル110の位置が個別に分散している場合などには、メンテナンス動作を行うことなく記録処理を継続しても、それほど記録品質が低下しないことが多い。
ただし、このようにメンテナンス動作を保留して記録処理を継続する場合には、吐出異常検出手段10が検出した吐出異常のノズル110の状況に基づいて、吐出異常のノズル110から吐出されるべき液滴を、吐出異常が生じていないノズル110から吐出する液滴で補う補完印刷(補間印刷)を行うのが好ましい。
例えば、同じ種類(色)の液体(インク)を吐出する複数のノズル110のうちの1つに吐出異常が生じた場合には、その吐出異常のノズル110の近くにある正常なノズル110から、吐出異常のノズル110から吐出されるべき液滴よりも大きい液滴を吐出することで、ドット抜けを補完する。あるいは、ブラックインクを吐出するノズル110に吐出異常が生じた場合には、そのノズル110から吐出されるべき液滴が着弾する位置に、イエロー、シアン及びマゼンタの液滴を重ね打つことによって、ブラックインクのドッド抜けを補完する。
これに対して、定期フラッシングに伴う吐出異常の検出によって、乾燥が原因で吐出異常が生じたノズル110が検出された場合には、次のラインの記録処理を行う前に、メンテナンス動作としてフラッシングを行う。すなわち、フラッシング動作を行うのに要する時間Tfは閾値Tng以下であるので、記録処理を中断してメンテナンスを行っても、その中断の前後でそれほど記録結果の差異が生じないので、吐出異常を解消してから記録処理を再開するのが好ましい。
また、定期フラッシングに伴う吐出異常の検出によって、異物の付着が原因で吐出異常が生じたノズル110が検出された場合には、次のラインの記録処理を行う前に、メンテナンス動作としてワイピングを行う。すなわち、ワイピング動作を行うのに要する時間Twは閾値Tng以下であるので、記録処理を中断してメンテナンスを行っても、その中断の前後でそれほど記録結果の差異が生じないので、吐出異常を解消してから記録処理を再開するのが好ましい。
次に、本実施形態のプリンター1の作用について説明する。
本実施形態のプリンター1は、吐出異常検出手段10が吐出異常のノズル110を検出したときに、その吐出異常を解消するためのメンテナンス動作に要する時間が閾値Tngよりも長い場合にはメンテナンス動作を保留して記録処理を継続する。そのため、記録処理の中止によって記録用紙Pを無駄にすることがない。そして、吐出異常のノズル110がある状態で記録処理を継続しても、例えば上述した補完印刷を行うことにより、記録品質の低下を抑制することができる。
また、メンテナンス動作に要する時間が閾値Tng以下である場合には、メンテナンス動作を実行した後に記録処理を再開するので、記録品質の低下を抑制しつつ、記録処理を完了させることができる。
なお、吐出異常を解消するために要する時間が閾値Tng以下であるメンテナンス動作の例としては、フラッシングやワイピングが挙げられる。そして、フラッシングを行うためのフラッシングユニット74やワイピングを行うためのワイピングユニット81は、定期フラッシングを行う非記録領域NA内にあるので、吐出異常を検出した後、次のラインの記録を行う前に、速やかにメンテナンス動作を実行することができる。
例えば、非記録領域NAにおける第2走査方向−Xへの復路移動時に定期フラッシングに伴う吐出異常の検出を行い、この検出によって吐出異常のノズル110が検出された場合に、1桁側の端部で方向転換した後の第1走査方向+Xへの往路移動の途中でフラッシングを行うことができる。
また、ワイピングユニット81は主走査方向において記録領域PAと液体受容部73との間にあるので、非記録領域NAにおける第2走査方向−Xへの復路移動時に定期フラッシングに伴う吐出異常の検出を行い、1桁側の端部で方向転換した後の第1走査方向+Xへの往路移動の途中で払拭部85によるワイピングを行うことができる。
なお、1回の検出動作によって複数の吐出異常ノズル110が検出され、それら吐出異常ノズル110が異なる原因によるものを含む場合、実行時間が閾値Tng以下のメンテナンス動作を実行した上で、再度検出動作を行うようにしてもよい。
例えば、第2走査方向−Xへの復路移動時に、異物の付着が原因の吐出異常ノズル110と乾燥が原因の吐出異常ノズル110とを検出した場合、そのまま液体受容部73と対応する位置でフラッシングを行った後、吐出異常が検出されたノズル110を対象に再検出を行う。そして、再検出によって異物の付着が原因の吐出異常ノズル110が検出された場合、1桁側の端部で方向転換した後の第1走査方向+Xへの往路移動時にワイピングを行う。このように、閾値Tngを超えなければ、複数のメンテナンス動作を続けて実行することも可能である。
一例として、フラッシング、ワイピング及び吸引クリーニングに要する時間がそれぞれ3秒、5秒、60秒であり、記録中断時間の閾値Tngが20秒、検出に要する時間Tdが1秒であるとする。この場合には、閾値Tngである20秒を超えない範囲で、1回目の検出(1秒)、フラッシング(3秒)、2回目の検出(1秒)、及びワイピング(5秒)を実行することが可能である。さらに、ワイピングの後に3回目の検出を行って、三回目の検出によって吐出異常ノズル110が検出された場合には、その吐出異常を解消するためのメンテナンス動作を保留して記録処理を継続してもよいし、閾値Tngを超えない範囲でメンテナンス動作を繰り返してもよい。
あるいは、1回の検出動作によって気泡の混入による吐出異常ノズル110と乾燥による吐出異常ノズル110とが検出された場合には、メンテナンス動作を保留して記録処理を継続し、記録処理の終了後にメンテナンス動作を実行するようにしてもよい。
なお、定期フラッシングのときに吐出異常の検出を行う場合には、液滴の吐出を伴う液滴の吐出を伴う検査用波形を採用し、かつ、その後に制振用波形を有さないようにするのが好ましい。この構成によれば、圧力室141(振動板121)の残留振動をより確実に検出することができるためである。
本実施形態は、以下のように変更してもよい。
・ノズル110の吐出異常の原因が気泡の混入であった場合でも、検出された吐出異常ノズル110の位置や数によって、メンテナンス方法を変更してもよい。例えば、気泡の混入が原因の吐出異常ノズル110が互いに近い位置に多数ある場合には、比較的大きな気泡が混入していて、吸引クリーニングを行わなければ解消できない可能性が高い。これに対して、気泡の混入が原因であっても、吐出異常ノズル110の数が少ない場合や、互いに離れた位置に分散している場合には、比較的小さな気泡がノズル110付近に存在していて、フラッシングによって気泡を排出することができることが多い。したがって、気泡の混入が原因の吐出異常ノズル110が所定の範囲内に一定数以上ある場合には、メンテナンス動作を保留して、記録用紙Pに対する記録処理が終了した後に吸引クリーニングを実行する一方、吐出異常ノズル110が分散している場合には、記録処理を中断してフラッシングを実行するようにしてもよい。
・第2走査方向−Xへの復路移動時に定期フラッシングに伴う吐出異常の検出を行い、この検出で吐出異常が疑われるノズル110または正常ノズル110であると判断できなかったノズル110があった場合に、これらノズル110を対象として、1桁側の端部で方向転換した後の第1走査方向+Xへの往路移動時に再検出を行ってもよい。この場合には、1回目の検出においては定期フラッシング用の駆動波形を用いる一方、2回目の検出においては検査用波形を用いるのが好ましい。この構成によれば、定期フラッシングを適切に行いつつ、再検出においては検査用波形によって吐出異常ノズルを確実に検出することができる。
・第2走査方向−Xへの復路移動時に定期フラッシングに伴う吐出異常の検出を行い、1桁側の端部で方向転換した後の第1走査方向+Xへの往路移動時にフラッシングまたはワイピングを行った場合に、次に1桁側の非記録領域NAにおいて第2走査方向−Xに復路移動する際に、ノズル110の吐出異常が解消されたか否かを確認するために、吐出異常の再検出を行ってもよい。これにより、検出された異常ノズル110が正常な状態に回復したかどうかを確認することができる。また、再検出で再び吐出異常ノズル110が検出された場合には、次の第1走査方向+Xへの往路移動時にフラッシングまたはワイピングを行ってもよい。これにより、その後の印刷動作における吐出異常の発生を確実に抑制することができる。
・記録用紙Pに対する液滴の吐出動作に伴って圧力室141が振動したときに、その残留振動を検出することで、吐出異常のノズル110を検出するようにしてもよい。この場合には、記録領域PAにおいて吐出異常の検出を行うことができるので、記録領域PAから非記録領域NAに移動したときに、速やかにメンテナンス動作としてのフラッシングやワイピングを行うことができる。
あるいは、記録用紙Pに対する液滴の吐出動作に伴って吐出異常を検出して、吐出異常が疑われるノズル110または正常ノズル110であると判断できなかったノズル110があった場合に、それらノズル110を対象に液体受容部73と対応する位置で吐出異常の再検出を行うようにしてもよい。この構成によれば、異常が疑われるノズル110のみに液滴吐出動作を行わせて吐出異常検出手段10による検出を行うので、記録動作時に正常だったノズル110からはインク滴を吐出しないで済む。よって、無駄にインクを吐出するのを回避することとなり、インクの消費量を低減することができる。さらに、吐出異常検出手段10や制御部6の負担も軽減することができる。
・記録処理または定期フラッシングのときに液滴を吐出しないノズル110に対して、液滴を吐出しない検査用波形(例えば、図51に示す波形(A)または波形(B))を生成して、吐出異常の検出を行ってもよい。なお、このように液滴の吐出を伴わない検出を行う場合であっても、インクジェットヘッド100が液体受容部73と対応する位置に配置されたときに検出を行うのが好ましい。この構成によれば、圧力室141を振動させたときに誤って液滴が吐出されてしまったとしても、吐出された液滴を液体受容部73で受容することができるので、記録用紙Pや装置内部を汚すことがない。
・インクを収容するインクカートリッジなど、インクジェットヘッド100が吐出する液体を収容する収容部からインクジェットヘッド100に向けて、液体を加圧供給するための加圧機構を備えてもよい。この場合には、メンテナンス動作として、加圧機構を駆動させることによって、ノズル110から液体を排出させる加圧クリーニングを行うことができる。加圧クリーニングは、インクジェットヘッド100が液体受容部73と対応する位置に配置されたときなどに実行すれば、ノズル110から排出される液体によって記録用紙Pや装置内部を汚すことがないので、好ましい。そして、加圧クリーニングによれば、全ノズル110を同時にクリーニングすることができるし、クリーニングのためにクリーニング機構91を備えなくてもよい。あるいは、吸引クリーニングの実行時に加圧機構を併せて駆動させて、より強力なクリーニングを実行するようにしてもよい。
なお、加圧クリーニングを実行するのに要する時間は閾値Tngより長いことが多いため、記録処理の途中ではその実行を保留しておき、記録処理の終了後に実行するのが好ましい。ただし、加圧クリーニングまたは吸引クリーニングの実行に要する時間が閾値Tng以下である場合には、記録処理を中断してこれらクリーニング動作を行ってもよい。
・クリーニング機構91が全ノズル110を同時に囲む吸引用のキャップを備えてもよい。この構成によれば、1回の吸引クリーニングで全てのノズル110のクリーニングを行うことができるので、吐出異常のノズル110が複数のノズル列110Nに亘って存在する場合にも、メンテナンス動作に要する時間を短縮することができる。
また、クリーニング機構91が全ノズル110を同時に囲む吸引用のキャップを備える場合には、このキャップに向けて液滴を吐出することで、吐出異常の検出を行ってもよい。この場合には、キャップが液体受容部として機能するので、フラッシングユニット74を備えなくてもよい。また、クリーニング機構91が全ノズル110を同時に囲む吸引用のキャップを備える場合には、同キャップによってキャッピングすることでノズル110の乾燥を抑制することができるので、保湿用のキャップ93を備えなくてもよい。
・メンテナンス機構72は80桁側の非記録領域NAに配置してもよいし、記録領域PAの両側の非記録領域NAにメンテナンス機構72の構成要素を配置してもよい。例えば、1桁側の非記録領域NAに全ノズル110を同時に囲むことのできる吸引用のキャップを有するクリーニング機構91を配置する一方、80桁側の非記録領域NAにフラッシングユニット74を配置してもよい。この構成によれば、いずれの非記録領域NAにおいても液滴の吐出を伴う吐出異常の検出を行うことができる。
<第6実施形態>
次に、上述した吐出異常の検出を行うプリンター1について、図55〜図57を参照して説明する。以下、これらの図に基づいて説明するが、前述した第5実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
図55に示すように、本実施形態のプリンター1が備えるインクジェットヘッド100において、ノズル110が開口する面をノズル面36とすると、インクジェットヘッド100は、ノズル面36を形成するノズルプレート150を押さえるための固定枠491を有する。そして、対をなすノズル列110Nからなるノズル群ごとにノズル面36を露出させるように、固定枠491には複数(本実施形態では4つ)の開口部492が設けられる。また、ノズル面36には、ノズル110の開口にメニスカスを形成したり、汚れを付きにくくしたりする目的のために、撥液性を高めるための撥液膜が形成されている。
図56に示すように、本実施形態のプリンター1が備えるキャリッジ32には、光学式センサー493が取り付けられている。光学式センサー493は、例えば、光を射出する発光部494と光を受光する受光部495とを有する反射型の光学式センサーである。発光部494は、例えば発光ダイオードを有し、光を記録用紙Pに照射する。受光部495は、例えばフォトトランジスターを有し、発光部494から記録用紙Pに照射された光の反射光を検出する。なお、図56においては、インクジェットヘッド100において固定枠491の記載を省略している。
上記実施形態で説明した吐出異常検出手段10を、圧力室(キャビティ)141が振動したときの振動波形に基づいてノズル110の吐出異常を検出する第1検出部とすると、光学式センサー493は、ノズル110からの液滴の吐出状況に基づいてノズル110の吐出異常を検出する第2検出部として機能する。すなわち、本実施形態のプリンター1は、検出原理の異なる2つの検出部によってノズル110の吐出異常を検出することが可能である。
光学式センサー493によってノズル110の吐出異常の検出をする際には、まず、インクジェットヘッド100が白い記録用紙P等に対して液体を吐出して、検査用の画像であるチェックパターンCPを形成する。
光学式センサー493の検出スポットSP(例えば、発光部494からの光が射出される記録用紙Pの一定の領域)の位置に濃度の濃いパターンがある場合、その領域に射出された光は反射率が低くなるため、受光部495が受光する光量が少なくなる。一方、光学式センサー493の検出スポットSPの位置に濃度の薄いパターンがある場合やパターンが形成されていない場合には、その領域に射出された光は反射率が高くなるため、受光部495が受光する光量が多くなる。
受光部495が受光する光量はパターンの濃度に応じて異なるので、受光部495の出力する信号に基づいて、制御部6は、検出スポットSP内のパターンの濃度またはパターンの有無を検出することができる。例えば、液滴を吐出したはずの領域に着弾する液滴の量が不足していたり、その領域に液滴が着弾していなかったりすると、正常に液滴が着弾した場合よりも受光部495が受光する光量が減少するので、その領域に吐出動作を行ったノズル110に吐出異常が生じていると判別される。なお、光の反射率は、記録用紙Pの材質等によって異なるので、記録用紙Pの種類によってチェックパターンCPを変更するようにしてもよい。
図57に示すように、インクジェットヘッド100から液滴を吐出する動作を行ううちに、ノズルプレート150を押さえる固定枠491やノズルプレート150に塵埃や液体の固化物Dsが付着し、その固化物Dsがノズル110の下方にぶら下がるような態様になることがある。このような場合には、アクチュエーター120が駆動したときに圧力室141が適切に振動してノズル110から液滴が吐出されるものの、吐出された液滴が固化物Dsに接触することにより、その液滴が適切な方向に飛翔せず、本来着弾すべき位置に着弾しないことがある。
このように、ノズル110から液滴が適切に吐出されたものの、その液滴が適切な位置に着弾しない場合、第1検出部である吐出異常検出手段10は吐出異常を検出しないが、第2検出部である光学式センサー493は吐出異常を検出する。そのため、本実施形態の制御部6は、吐出異常検出手段10が異常を検出しなかったノズル110について光学式センサー493が吐出異常を検出した場合には、そのノズル110内から当該ノズル110の外側にかけての領域に異常の要因があるとして処理をする。
このような異常は、ノズル110の外側への異物の付着またはノズル110周辺領域の乾燥に起因して生じることが多いため、こうした吐出異常を「外部要因による吐出異常」という。なお、固定枠491に固化物Dsが付着した場合に限らず、ノズル110の開口付近で液体が乾燥により増粘したり、ノズル110内に小さな異物が混入したりした場合にも、圧力室141の振動には大きな影響がないものの、液滴の飛翔方向が変化する場合がある。そのため、ノズル110内に吐出異常の要因がある場合も「外部要因による吐出異常」に含める。
これに対して、図9に示すように、圧力室141内に大きな気泡が混入した場合には、吐出異常検出手段10が異常を検出する。また、インクが乾燥して増粘した場合(図11参照)と、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合(図13参照)には、いずれも正常にインク滴が吐出された場合に比べて減衰振動の周波数が低くなるため、吐出異常検出手段10が異常を検出することができる。
ただし、ノズル110の出口付近に紙粉が付着した場合の振動パターン(図14参照)は、気泡が混入した場合の振動パターン(図10参照)及びインクが乾燥して増粘した場合の振動パターン(図12参照)よりも、正常時の振動パターン(図8参照)に近い。そのため、ノズル110付近に対する異物の付着の程度が軽度である場合には、吐出異常検出手段10が減衰振動の変化を検出できないことがある。このような場合にも、ノズル110からの実際の液滴の吐出状況に基づいて光学式センサー493が異常を検出することにより、吐出異常の検出を行うことが可能になる。
制御部6は、外部要因による吐出異常が検出された場合の処理の一例として、メンテナンス機構72を構成するワイピングユニット81(図54参照)に、インクジェットヘッド100を払拭するワイピングを実行させる。これにより、インクジェットヘッド100に付着した異物が除去されるので、ノズル110の吐出異常が解消される。
なお、圧力室141が振動したときの振動波形に基づく異常検出手段10による検出(これを「第1検出」という)は、液滴の吐出状況に基づく光学式センサー493による検出(これを「第2検出」という)と、同じ吐出動作を検出対象としてもよいし、別の吐出動作を検出対象としてもよい。例えば、インクジェットヘッド100が記録用紙Pに液体を吐出して検査用のチェックパターンCPを形成するときに異常検出手段10が第1検出を行ってその結果を記憶しておき、その後に光学式センサー493が第2検出を行って、第1検出の結果と照合すれば、同じ吐出動作を検出対象とすることが可能になる。
ところで、反射型の光学式センサー493による第2検出は、記録用紙PにチェックパターンCPを形成した上で行うことになるため、その実行に時間がかかる。そのため、フラッシング時などに異常検出手段10が第1検出を行い、吐出異常を検出してワイピング等のメンテナンスを行ったにもかかわらず、再度の第1検出で同様の吐出異常が検出された場合に、光学式センサー493が第2検出を行って、その吐出異常が外部要因によるものか否かを判別するようにしてもよい。
また、吐出異常が外部要因による場合、固定枠491に異物が固着して取れにくくなっているなど、通常のワイピングを行っても吐出異常が解消されない可能性がある。そして、このように異物が固着した場合には、同様のワイピングを繰り返したとしても吐出異常が解消されず、回復処理に無駄に時間を費やしたり、異物を引きずって撥液膜を傷つけたりしてしまうことになる。
そのため、第2検出により吐出異常が外部要因によるものであると判別された場合には、ワイピング等のメンテナンス処理を行うことなく、異常が生じている旨を制御部6が操作パネル7の表示部にエラーメッセージ等を表示させ、あるいはLEDランプ等を点灯または点滅させることにより、ユーザーに報知をしてもよい。あるいは、制御部6は、必要に応じて外部要因による吐出異常が生じた旨の情報をホストコンピューター8に転送して、ホストコンピューター8を介してユーザーに報知を行うようにしてもよい。すなわち、外部要因による吐出異常を検出した場合に制御部6が行う処理は、ワイピング等のメンテナンスに限らず、異常を検出した旨の報知等であってもよい。
次に、本実施形態のプリンター1の作用について説明する。
外部要因による吐出異常が生じている場合にノズル110から液滴を排出するフラッシングや吸引クリーニングを行ったとしても、ノズル110の外側に付着した異物は除去されないことが多いため、液体が無駄に消費されてしまうことになる。その点、吐出異常検出手段10による検出と光学式センサー493による検出とを組み合わせて行い、その吐出異常の要因を判別した上で適切なメンテナンス処理またはユーザーへの報知などの処理を実行することにより、有効でない処理に時間や液体を無駄に使うことが避けられる。
上記第6実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)ノズル110から液滴が適切に吐出されていない場合には光学式センサー493が吐出異常を検出する。また、ノズル110に連通する圧力室141に異常がある場合には、圧力室141が振動したときの振動波形が正常な時と異なるため、吐出異常検出手段10がその異常を検出する。そして、吐出異常検出手段10が異常を検出しなかったノズル110について光学式センサー493が吐出異常を検出した場合には、制御部6が、ノズル110内奧側の圧力室141に異常はないが、それより下流側となるノズル110内から当該ノズル110の外側にかけての領域に異常の要因があるとして処理をする。これにより、ノズル110の吐出異常の要因を判別した上で、その要因に応じた適切な処理を行うことができる。
(2)吐出異常が外部要因である場合にインクジェットヘッド100を払拭するワイピングを行うことにより、ノズル110の外側にある異物を除去することができるので、こうした異物による液滴の吐出異常を解消することができる。
(3)アクチュエーター120の駆動によって圧力室141を振動させることにより、そのときの振動波形に基づいて吐出異常検出手段10が圧力室141の異常を検出することができる。
<第7実施形態>
次に、上述した吐出異常の検出を行う液滴吐出装置としてのプリンター1について、図58〜図61を参照して説明する。以下、これらの図に基づいて説明するが、前述した第6実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。また、図59では、インクジェットヘッド100において固定枠491の記載を省略しているが、本実施形態のインクジェットヘッド100も第6実施形態と同様に固定枠491を備えるものとする。
図58に示すように、本実施形態のプリンター1が備える第2検出部としての光学式センサー493は、例えばフラッシングユニット74の上部など、キャリッジ32上ではない装置本体側に配置される発光部494及び受光部495を有する透過型の光学式センサーである。なお、対をなす発光部494と受光部495は、例えばノズル列110N毎に、複数対設けてもよい。
光学式センサー493においては、発光部494がキャリッジ32の移動方向+X,−X及び搬送方向Yに対して交差する斜め方向に光を射出して、インクジェットヘッド100が吐出する液滴がその光を遮るか否かによって、ノズル110からの液滴の吐出状況を検出する。すなわち、適切に吐出された液滴が光を遮れば、受光部495が受光する光量が少なくなるが、液滴が適切に吐出されなければ、発光部494が射出した光をほとんどそのまま受光部495が受光することになるので、受光部495が受光する光量が多くなる。よって、光学式センサー493は、液滴の吐出動作に伴って発光部494が光を射出し、そのときの受光部495の受光量に応じた信号を出力することにより、液滴の吐出状況に基づいてノズル110の吐出異常を検出する。
本実施形態のプリンター1は、メンテナンス機構72の構成要素としてワイピングを実行可能なワイパー300を備える。
図59に示すように、ワイパー300は、可撓性のゴム部材等から構成されるワイピング部材496であって、材質または表面状態が異なる2つの払拭面496a,496bを備える。本実施形態において、2つの払拭面496a,496bは、第1払拭面496aよりも第2払拭面496bの方が払拭性の高くなるように、素材または表面状態が設定される。
なお、ワイピングでは、図58に示すように1つのワイピング部材496が移動方向+X,−Xにインクジェットヘッド100を払拭してよいし、1つまたは複数のワイピング部材301a〜301d(図41(b)参照)が搬送方向Yにインクジェットヘッド100を払拭してもよい。
次に、本実施形態におけるノズル110の吐出異常の検出について説明する。
例えば、インクジェットヘッド100がフラッシングのために液滴を吐出するときに、吐出異常検出手段10が圧力室141の残留振動に基づいてノズル110の吐出異常を検出するとともに、その時の吐出動作を対象として、光学式センサー493が液滴の吐出状況を検出する。
そして、図60に示すように、制御部6および判定手段20によって実行される吐出異常判定処理(図26参照)のステップS303において周期Twが正常吐出時の周期と認められる所定の範囲Tr内にあると判定された後に、判定手段20が、第2検出部である光学式センサー493の検出結果に基づいて、そのノズル110に異常が検出されたか否かを判定する(ステップS311)。
そして、光学式センサー493が吐出異常を検出していない場合には、判定手段20は、そのノズル110は正常にインク滴を吐出した(正常吐出)と判定する(ステップS307)。一方、光学式センサー493が吐出異常を検出した場合には、判定手段20は、上記第6実施形態と同様に、ノズル110内から当該ノズル110の外側にかけての領域に異常の要因がある(外部要因)と判定する(ステップS312)。
このように、判定手段20によって、対象となるインクジェットヘッド100の吐出異常が外部要因によると判定されると、その判定結果は、制御部6に出力され、この吐出異常判定処理を終了する。そして、制御部6は、外部要因による吐出異常が検出された場合の処理として、ワイパー300に、インクジェットヘッド100を払拭するワイピングを実行させる。
例えば、図61に示すように、制御部6によって実行される吐出異常回復処理(図40参照)のステップS903において、そのノズル110の出口付近に紙粉が付着していないと判定された場合には、ステップS908に移行する。そして、ステップS908において、制御部6は、上記吐出異常と判定されたノズル110の異常が外部要因であるか否かを判定する。その結果、外部要因による吐出異常が生じていると判定された場合には、上述のワイパー300によるノズルプレート150へのワイピング処理を実行する(ステップS904)。一方、吐出異常が外部要因によるものでない場合と判定された場合には、ステップS905に移行する。
このように、制御部6は、外部要因による吐出異常が検出された場合の処理として、メンテナンス機構72を構成するワイパー300に、インクジェットヘッド100を払拭するワイピングを実行させる。これにより、インクジェットヘッド100に付着した異物が除去されるので、ノズル110の吐出異常が解消される。
ここで、記録処理の後などに行う1回目の検出(第1検出及び第2検出)で外部要因の吐出異常が検出された場合に、その結果に基づいて行う最初の処理としてのワイピングを第1のワイピングとする。この場合、第2検出部である光学式センサー493は、第1のワイピングの後に、吐出異常が解消されたかを確認するために、再度の検出を行うようにしてもよい。なお、第1のワイピングの後に行う再検出では、少なくとも第2検出部である光学式センサー493が検出を行えばよいが、第1検出部である吐出異常検出手段10による検出を併せて行ってもよい。
再度の検出においても光学式センサー493が異常を検出した場合、すなわち、第1のワイピングによって外部要因の吐出異常が解消されなかった場合、制御部6は、先に行った第1のワイピングよりも払拭性の高い第2のワイピングをワイパー300に実行させる。
例えば、図59に示すように、第1のワイピングのときにワイピング部材496の第1払拭面496aでインクジェットヘッド100を払拭した場合には、再度の検出後に行う2回目の第2のワイピングでは、ワイピング部材496の第2払拭面496bでインクジェットヘッド100を払拭する。これにより、1回目のワイピングで除去しきれなかった汚れ(付着物)を、2回目のワイピングによってより確実に除去することが可能になる。
あるいは、第2払拭面496bを有さないワイピング部材301(図37参照)を使用してワイピングを行う場合には、払拭性の高い第2のワイピングとして、駆動装置によってワイパー300を第1のワイピング時よりも上方に移動させてもよい。これにより、第2のワイピングにおいて、ワイピング部材301の先端は第1のワイピングの時より大きく撓んだ状態でインクジェットヘッド100を払拭するので、接触圧を高くすることによって、払拭性を高くすることができる。
または、メンテナンス機構72がワイピングを実行可能な弾性部材からなるワイピング部材301及びワイピング部材301よりも払拭性が高い不織布等からなる払拭部材82を両方備える場合には、第1のワイピングではワイピング部材301で払拭を行い、第2のワイピングでは払拭部材82で払拭を行うこともできる。
制御部6は、第2のワイピング後に3度目の検出を行い、その3度目の検出において光学式センサー493が異常を検出した場合(外部要因の吐出異常を検出した場合)には、もう一度払拭性の高い第2のワイピングをワイパー300に実行させてもよい。
その他、メンテナンス機構72がインクジェットヘッド100に対して洗浄液等の液体を含む流体を噴射可能な流体噴射装置を備える場合には、第2のワイピングに代えて、あるいは、3度目の検出で異常を検出した後に、流体噴射装置による流体噴射を行って、異物を除去するようにしてもよい。
あるいは、第2のワイピングを行うときにアクチュエーター120を駆動させながら払拭を行ってもよいし、第2のワイピングに代えて、あるいは、3度目の検出で異常を検出した後に、第5実施形態に記載した吸引クリーニングや加圧クリーニングを行ってもよい。また、吸引クリーニングや加圧クリーニングを、アクチュエーター120を駆動させながら行ってもよい。
なお、特に外部要因による吐出異常を連続して検出した後などには、ワイピング等のメンテナンス処理を行うことなく、異常が生じている旨を制御部6が操作パネル7の表示部にエラーメッセージ等を表示させ、あるいはLEDランプ等を点灯または点滅させることにより、その異常をユーザーに報知するようにしてもよい。あるいは、制御部6は、必要に応じて異常が生じている旨の情報をホストコンピューター8に転送して、ホストコンピューター8を介してユーザーに報知を行うようにしてもよい。すなわち、外部要因による吐出異常を検出した場合に制御部6が行う処理は、ワイピング等のメンテナンスに限らず、異常を検出した旨の報知等であってもよい。
また、図61に示すステップS903において紙粉が付着していると制御部6が判定した場合には払拭性の低いワイピングを行い、ステップS908において外部要因による吐出異常が生じていると制御部6が判定した場合には払拭性の高いワイピングを行うようにしてもよい。
ところで、吐出異常検出手段10による吐出異常の検出は、インクジェットヘッド100が記録用紙Pに対して液滴を吐出する記録処理の実行時における圧力室141の残留振動に基づいて行うこともできる。この場合には、吐出異常の検出のために液体を消費することがないし、検出のための時間もかからない、という利点がある。ただし、この場合には、記録に用いられないノズル110における吐出異常が検出できなかったり、検出に十分な残留振動が得られなかったりする可能性がある。
その点、フラッシングに伴って液滴が吐出されるときの圧力室141の残留振動に基づいて吐出異常を検出すれば、検出のためだけに液体を消費することがない上、検出に適した駆動波形を用いて検出の精度を上げることができるので、好ましい。
また、インクジェットヘッド100は、圧力室141を振動させるアクチュエーター120として圧電素子を有し、吐出異常検出手段10は、アクチュエーター120としての圧電素子の駆動によって振動した圧力室141の振動波形に基づいて圧力室252の異常を検出する。そのため、アクチュエーター120の駆動により圧力室141が振動すれば、必ずしもノズル110から液滴が吐出されていなくても、圧力室141の残留振動に基づいて吐出異常を検出することが可能である。
例えば、アクチュエーター120は、ノズル110から液滴を吐出可能な程度に圧力室141を振動させる第1駆動と、ノズル110から液滴が吐出しない程度に第1駆動よりも小さく圧力室141を振動させる第2駆動と、を選択的に実行可能である。ここで、アクチュエーター120の第2駆動により、ノズル110から液体が吐出されない程度に圧力室141を振動させることを「微振動」という。インクジェットヘッド100が液滴の吐出を行っていないときに微振動を行うと、ノズル110内の液面(メニスカス)を小刻みに振動し、液体(インク)の増粘が抑制されるので、液体の増粘に起因する吐出異常の予防に効果がある。
そして、アクチュエーター120の第2駆動により微振動を実行したときの圧力室141の振動波形に基づいて、吐出異常検出手段10がノズル110の吐出異常を検出するようにしてもよい。ただし、微振動の実行時における圧力室141の振動は、第1駆動時よりも小さいので、乾燥、紙粉付着、または外部要因の何れによる異常であるかの検出を正確に行うのに十分な大きさの振動を得られない可能性がある。そのため、吐出異常検出手段10によるノズル110の吐出異常の検出は、アクチュエーター120の第1駆動により振動した圧力室141の振動波形に基づいて行うことが望ましい。
次に、本実施形態のプリンター1の作用について説明する。
ワイピングの際には、ノズル面36及び固定枠491を含めて払拭するが、ノズル面36には汚れを付きにくくする等の目的のために撥液膜が形成されているため、払拭性の高いワイピングをむやみに繰り返すと、撥液膜が傷ついてしまう。そのため、払拭性が高く、撥液膜に対する負荷が高いワイピングを実施するのは、必要最低限にすることが好ましい。
その点、本実施形態のプリンター1では、第1のワイピングで異物が除去できない場合など、必要な場合にのみ払拭性の高い第2のワイピングを実行するので、ワイピングによって撥液膜にかかる負荷を低減することができる。
また、本実施形態では、異常検出手段10による第1検出と透過型の光学式センサー493による第2検出とを1回の吐出動作で行うことができるので、1回の吐出異常判定処理によって、吐出異常の要因が外部要因であるか、圧力室141への気泡の混入などの内部要因であるかを判定することができる。
透過型の光学式センサー493は、インクジェットヘッド100が吐出する液滴を直接検出するので、記録用紙Pに対する記録処理の実行時やフラッシング時に吐出異常の検出を行うことができる。そして、記録用紙Pに対する記録処理の実行時に一部のノズル110で外部要因の吐出異常が検出された場合には、その記録処理が終了するまでは補完印刷(補間印刷)を行い、その記録用紙Pに対する記録処理が終了した後に、メンテナンス処理を行うようにすることもできる。すなわち、外部要因による吐出異常を検出した場合に制御部6が行う処理は、補完印刷であってもよい。
なお、フラッシング時に第2検出を行う第2検出部は光学式センサー493でなくてもよく、液滴の吐出を受けて熱感知部の温度変化を検知する熱感知式の検出装置、液滴を帯電させて吐出し着弾した検出電極の電荷量の変化を検出する検出装置、または、液滴が電極間を通過するときの静電容量の変化を検出する静電容量式の検出装置等を用いてもよい。
上記第7実施形態によれば、上記(1)〜(3)に加えて、以下のような効果を得ることができる。
(4)第1のワイピングを行ったにもかかわらずノズル110の吐出異常が解消されなかった場合に、払拭性が高い第2のワイピングを行うことにより、払拭性が低い第1ワイピングを繰り返すよりも、速やかに吐出異常を解消することができる。
(5)インクジェットヘッド100が記録処理のために液滴を吐出しているときに吐出異常検出手段10が第1検出を行う場合には、圧力室141の異常を検出するためだけに液滴を吐出して液体を消費することがない。
(6)アクチュエーター120が第2駆動よりも大きく圧力室141を振動させる第1駆動を行ったときに吐出異常検出手段10が第1検出を行う場合には、より正確に圧力室141の異常を検出することができる。
<第8実施形態>
次に、上述した吐出異常の検出を行う液滴吐出装置としてのプリンター1について、図62及び図63を参照して説明する。以下、これらの図に基づいて説明するが、前述した第6実施形態と相違する点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。また、図62では、インクジェットヘッド100において固定枠491の記載を省略しているが、本実施形態のインクジェットヘッド100も第6実施形態と同様に固定枠491を備えるものとする。
図62に示すように、本実施形態のプリンター1が備えるワイピングユニット81は、保持機構83に対して払拭部材82を保持する保持カセット501が着脱可能に取り付けられる。保持カセット501には、その上方に移動してきたインクジェットヘッド100と対向する上面部分に開口部502が設けられる。
保持カセット501は、払拭部材82の基端側部分が巻かれた繰出ローラー503と、繰出ローラー503の回転に伴って巻き出される払拭部材82の先端側部分を巻き取る巻取ローラー504と、繰出ローラー503と巻取ローラー504の間に位置する払拭部材82が巻き掛けられる巻掛ローラー505と、を備える。また、保持カセット501は巻掛ローラー505と巻取ローラー504の間において、払拭部材82の張設方向を変化させる従動ローラー506,507を備える。
巻掛ローラー505は、保持カセット501の開口部502からその周面の一部が突出するように配置される。そのため、払拭部材82において巻掛ローラー505に巻き掛けられた部分が払拭部85となる。そして、繰出ローラー503及び巻取ローラー504の回転に伴って払拭部材82が移動することにより、開口部502に配置される払拭部85が順次未使用の部分に変更される。
繰出ローラー503及び巻取ローラー504の回転に伴って払拭部材82が移動する結果、払拭部材82がそれ以上巻き出せなくなった場合には、その保持カセット501は使用により消費されたものとして、新しいものに交換される。
払拭部材82において従動ローラー506,507の間に位置する部分を液滴受容部508といい、液滴受容部508は払拭部85よりも巻取ローラー504側に配置される。すなわち、払拭部材82において払拭部85として使用された部分が、繰出ローラー503及び巻取ローラー504の回転に伴って移動し、液滴受容部508となる。なお、保持カセット501の開口部502は、払拭部85及び液滴受容部508を露出させるのに必要な大きさに設定される。
図63に示すように、保持機構83には、平面視において装着された保持カセット501の液滴受容部508を挟んで対向する位置に、第2検出部としての光学式センサー493の発光部494と受光部495とが配置される。
本実施形態の光学式センサー493は透過型の光学式センサーで、対をなす発光部494と受光部495は、搬送方向Y(払拭方向となる保持機構83の移動方向)に沿って複数対設けられる。なお、保持機構83に設ける光学式センサー493が有する発光部494と受光部495は一対であってもよい。また、光学式センサー493においては、第7実施形態における図58に示すように、発光部494がキャリッジ32の移動方向+X,−X及び搬送方向Yに対して交差する斜め方向に光を射出するようにしてもよい。
本実施形態のプリンター1では、第6,7実施形態と同様に、圧力室141が振動したときの振動波形に基づく異常検出手段10による第1検出と、液滴の吐出状況に基づく光学式センサー493による第2検出とを組み合わせて、所定のタイミングで吐出異常の有無を検出する。そして、制御部6は、外部要因による吐出異常を検出した場合の処理の一例として、払拭部85によるワイピングを実行させる。
具体的には、保持機構83がガイド軸86に沿って搬送方向Y(副走査方向)に移動して、払拭部85がインクジェットヘッド100のノズル面36及び固定枠491を払拭する。そして、保持カセット501に保持された払拭部材82の払拭部85によるワイピングに続いて、インクジェットヘッド100は、同じく保持カセット501に保持された払拭部材82の液滴受容部508に対して、ノズル110のメニスカスを整えるためにフラッシングを行う。
すなわち、ワイピング処理後には、払拭部85によってノズル110内に異物(ノズル面36に付着していた紙粉等のゴミや気泡など)を押し込まれるなどしてメニスカスが乱れていることがあるため、払拭部85によるワイピングに続いて液滴受容部508にフラッシング処理として液滴を吐出する。
また、本実施形態のプリンター1では、払拭部85によるワイピング後の液滴受容部508に対するフラッシングの際に、ワイピングによってノズル110の吐出異常が解消したか否かの再検出を保持機構83に設けられた光学式センサー493が行う。なお、ノズル110から異物を排出するために液滴を吐出するフラッシングを液滴受容部508に対して行った後に、改めて吐出異常が解消したか否かを確認するために液滴受容部508に対して液滴を吐出して、光学式センサー493が再検出を行ってもよい。
次に、本実施形態のプリンター1の作用について説明する。
ワイピング処理後にはフラッシング処理を行うことが多いが、ワイピングに用いられる保持カセット501がワイピングのための払拭部85とフラッシングのための液滴受容部508とを備えることにより、ワイピング処理に続いて速やかにフラッシング処理を行うことができる。そして、液滴受容部508に対する液滴の吐出動作の際に、透過型の光学式センサー493による第2検出を併せて行うことにより、ワイピングによって吐出異常が解消されたか否かを速やかに確認することができる。
そして、保持カセット501では、ワイピングにより使用済みとなった払拭部材82の部分を液滴受容部508として使用するので、払拭部材82を有効に利用することができる。なお、記録処理の実行後などに第1検出または第2検出のために液滴を吐出する場合には、メンテナンス機構72が別途備えるフラッシングユニット74の液体受容部73で液滴を受容してもよい。
あるいは、メンテナンス機構72がフラッシングユニット74を備えず、全てのフラッシングを保持カセット501の液滴受容部508に対して行うようにしてもよい。この場合には、メンテナンス機構72がフラッシングユニット74を備えない分、装置の構成を簡素化することができる。
そして、上記第8実施形態によれば、上記(1)〜(3)と同様の効果を得ることができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更してもよい。また、各実施形態及び各変更例は、適宜に組み合わせて実現することもできる。
・上記実施形態では、アクチュエーター120を駆動回路18から切り離して吐出異常検出手段10(検出回路)側に接続することにより、アクチュエーター120としての圧電素子を振動板121の変位から電圧を得るセンサーとして機能させ、残留振動に伴う周波数を検出することノズル110の吐出異常を検出している。
ここで、アクチュエーター120が駆動したときには、圧力室141は振動板121以外の部分も振動している。そのため、圧力室141が振動したときの振動波形に基づいてノズル110の吐出異常を検出する第1検出部は、振動板121を振動させるアクチュエーター120(圧電素子)とは別に設けてもよい。この場合には、振動板に振動を与えるのに適した圧電素子と、振動を検知するのに適した圧電素子とを使い分けて、より正確に検出を行うことができる。また、記録処理等のために振動板を振動させる圧電素子が駆動している間にも検出を行うことができるので、検出のタイミングを設定する際の自由度が高くなる。
・第8実施形態において、フラッシングの際の光学式センサー493による液滴の吐出状況の検出を、払拭部85によるワイピングの前に行なってもよい。また、フラッシングの際の光学式センサー493による液滴の吐出状況の検出を、払拭部85によるワイピングを行わない場合に行なってもよい。
・液滴吐出装置がキャリッジ32を備えず、記録媒体の幅(主走査方向における長さ)全体と対応した長尺状の固定された液滴吐出部を備える、いわゆるフルラインタイプの液滴吐出装置に変更してもよい。この場合の液滴吐出部は、ノズルが形成された複数の単位ヘッド部を並列配置することによって印刷範囲が記録用紙Pの幅全体に亘るようにしてもよいし、単一の長尺ヘッドに記録用紙Pの幅全体に亘るように多数のノズルを配置することによって、印刷範囲が記録用紙Pの幅全体に亘るようにしてもよい。この場合にも、液滴吐出部による1ライン分の印刷と、記録媒体の間欠的な搬送とが交互に行われるので、例えば記録媒体が搬送される間に、ワイピングなどのメンテナンス動作を実行することが可能である。なお、フルラインタイプの液滴吐出部が吐出する液滴の吐出状況を透過型の光学式センサーからなる第2検出部で検出する場合には、光学式センサー(発光部494及び受光部495)を液滴吐出部に沿って移動させるようにするとよい。
・液滴吐出装置の液滴吐出部(インクジェットヘッド100)から吐出する吐出対象液(液滴)はインクに限定されず、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルション等の分散液を含む)とすることができる。すなわち、カラーフィルターのフィルター材料、有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置におけるEL発光層を形成するための発光材料、電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料、PDP(プラズマディスプレイパネル)装置における蛍光体を形成するための蛍光材料、電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料、基板Wの表面にバンクを形成するためのバンク材料、各種コーティング材料、電極を形成するための液状電極材料、2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料、金属配線を形成するための液状金属材料、マイクロレンズを形成するためのレンズ材料、レジスト材料、光拡散体を形成するための光拡散材料、DNAチップやプロテインチップなどのバイオセンサーに利用する各種試験液体材料などである。
・液滴を吐出する対象となる記録媒体(液滴受容物)は、記録用紙のような紙に限らず、フィルム、織布、不織布等の他のメディアや、ガラス基板、シリコン基板等の各種基板のようなワークであってもよい。
1…液滴吐出装置の一例としてのプリンター、6…制御部、10…第1検出部の一例としての吐出異常検出手段、72…メンテナンス機構、81…ワイピングユニット、82…払拭部材、83…保持機構、85…払拭部、86…ガイド軸、100…液滴吐出部の一例としてのインクジェットヘッド、110…ノズル、110N…ノズル列、120…アクチュエーター、141…圧力室(キャビティ)、300…ワイパー、491…固定枠、492…開口部、493…光学式センサー、494…発光部、495…受光部、496…ワイピング部材、496a…第1払拭面、496a…払拭面、496b…払拭面、496b…第2払拭面、501…保持カセット、502…開口部、503…繰出ローラー、504…巻取ローラー、505…巻掛ローラー、506…従動ローラー、507…従動ローラー、508…液滴受容部、P…記録媒体としての記録用紙。

Claims (6)

  1. ノズルに連通する圧力室を振動させて前記ノズルから液滴を吐出する液滴吐出部と、
    前記圧力室が振動したときの振動波形に基づいて前記ノズルの吐出異常を検出する第1検出部と、
    前記ノズルからの液滴の吐出状況に基づいて前記ノズルの吐出異常を検出する第2検出部と、
    前記第1検出部が異常を検出しなかった前記ノズルについて前記第2検出部が異常を検出した場合には、前記ノズル内から当該ノズルの外側にかけての領域に異常の要因があるとして処理をする制御部と、
    を備えることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記液滴吐出部のメンテナンスを行うメンテナンス機構を備え、
    前記制御部は、前記処理として、前記液滴吐出部を払拭するワイピングを前記メンテナンス機構に実行させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記処理としてのワイピングを第1のワイピングとしたときに、
    前記第1のワイピングの後に前記第2検出部が再度の検出を行い、
    前記制御部は、前記第2検出部が前記再度の検出において前記ノズルの吐出異常を検出した場合には、前記第1のワイピングよりも払拭性の高い第2のワイピングを前記メンテナンス機構に実行させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記液滴吐出部は、前記圧力室を振動させるアクチュエーターを有し、
    前記第1検出部は、前記アクチュエーターの駆動によって振動した前記圧力室の振動波形に基づいて前記ノズルの吐出異常を検出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記アクチュエーターは、前記ノズルから液滴を吐出可能な程度に前記圧力室を振動させる第1駆動と、前記ノズルから液滴が吐出しない程度に前記第1駆動よりも小さく前記圧力室を振動させる第2駆動と、を選択的に実行可能であり、
    前記アクチュエーターの前記第1駆動により振動した前記圧力室の振動波形に基づいて前記第1検出部が前記ノズルの吐出異常を検出する
    ことを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記液滴吐出部は、媒体に対して液滴を吐出することで記録処理を行い、
    前記液滴吐出部による前記記録処理の実行時における前記圧力室の振動波形に基づいて前記第1検出部が前記ノズルの吐出異常を検出する
    ことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
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