JP2017051210A - キシロースの発酵能が強化された酵母とその利用 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特異的な代謝能を付与する変異株における原因遺伝子の特定方法、ならびにキシロース資化能力の向上を与えるCDC19のコード領域に塩基置換などの変異を有する変異遺伝子及びそれによってコードされる変異タンパク質、GRR1のコード領域の上流領域における塩基置換などの変異を有する上流領域、さらにそれを有するSaccharomyces属などの酵母、高濃度キシロースにおける増殖能力の向上を与えるMTH1のコード領域、GRR1のコード領域に塩基置換などの変異を有する変異遺伝子及びそれによってコードされる変異タンパク質、さらにそれを有するSaccharomyces属などの酵母、及び該酵母を用いたエタノール、乳酸、酢酸、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、コハク酸、グリセロールからなる群から選択される1ないし2以上の物質の生産方法。また、変異株ならびに同質系統家系の変異株のゲノム配列を次世代シーケンサーによって読み取り、当該特性に関与する原因遺伝子を特定する方法。
【選択図】なし
Description
(1)次世代シーケンシングにより得られたシーケンスリードを変異株の親株のゲノム塩基配列を参照配列としてマッピングする。
(2)マッピングデータからdiBayesにより変異箇所を抽出する(scaffold、 position、リファレンス塩基、変異塩基、カバレッジデータ等を含む)。
(3)それぞれの変異候補の信頼性を与えるP-valueを計算する。変異をコールしたリード数m、リファレンスをコールしたリード数をr、変異、リファレンスのいずれの塩基でもない塩基をコールしたリード数をn、マッピングされたが当該ポジションの塩基がコールされなかった数をxとすると、当該ポジションにマップされたリード総数Nは
N = m + r + n + x
また実際に利用可能なデータとしてxを除いた実質のリード総数Nnetは
Nnet = m + r + n
となる。
そこで、当該変異の信頼性すなわち本当にその変異が存在するかという変異確率Pm、リファレンスが正しい確率(変異ではない確率)Pr、変異があるが予測された変異様式ではなくその他の変異である確率Pnはそれぞれ次の式で与えられる。
Pm = m / Nnet
Pr = r / Nnet
Pn = n / Nnet
(2)で得られたすべてのデータにおいてこれらのP-valueを計算する。
ここで、塩基の可能性はリファレンス以外に3通りしかないため、Pm = 0.25、Pr =0.25はランダム変異を意味する。
(4)各株の遺伝系統からそれぞれの株の原因変異が、他の株でも持つべき場合を1、持たざる場合を0とした論理式(マトリックス)を作成する。
(5)各株より(2)で得られた変異候補の中で、それぞれの株において、同一のポジションに同一の変異様式を持つものを(4)に照らして探索し、当該株の変異候補足りうる変異の有無の組合せ、すなわちすべての株において当該変異の存在の有無が論理的に矛盾しない変異候補をリスト化する(Level 1)。
(6)(4)と同様に、リファレンスが間違っていたと仮定した場合の論理式を構築し、この場合に変異候補となりうるものを別途リスト化する(Level 2)。
(7)また、比較するそれぞれの株のデータのうち、どれか一つが間違っていると仮定した場合の論理式を作成し、この場合に変異候補となりうるものを別途リスト化する(Level 3)。
(8)(5)〜(7)で得られた変異候補リストを、親株のゲノムアノテーション情報を参照し、当該変異(ポジション、変異様式)の存在する遺伝子(コード領域)とその位置情報、あるいは遺伝子間の場合は上流及び下流の遺伝子とそれらの相対的な位置情報、予測されるアミノ酸変異、等を取得する。アノテーションの精度によって、同じポジションに複数のアノテーションが付与されている場合もあるため、ここで得られる候補リストは入力する(5)〜(7)より多くなる場合がある。また、染色体あるいはスキャッフォールドの端では、遺伝子間の場合、片方の遺伝子名が付与されない場合がある。
(9)(7)で紐づけられた遺伝子リストを、(3)で取得したP-valueに基づいて、グループA=信頼性高(Pm ≧ 0.8)、グループB=信頼性中(0.8 > Pm ≧ 0.6)、グループC=信頼性低(0.6 > Pm ≧ 0.4)、ほとんど信頼できない(Pm < 0.4)に分類する。SOLiDの場合、経験的に十分なカバレッジ(シーケンスリード長X3)がある場合、0.6以下のデータは信用できないことが分かっているが、他のシーケンサーを用いた場合には、そのシーケンサーの精度、変異予測この信頼性の閾値を変更する必要がある。また、カバー数によってもこれらの値は変化しうる。
(10)Level 1、2、 3のそれぞれにおいて、グループA、B、Cごとにリスト化する。
(11)以上により絞り込みを行った結果をもとに、Level 1/グループAを最有力候補として酵母親株に当該変異導入を行って表現型の検証を行う。また、Level 1/グループAで見つからなかった場合は、Level 1/グループB、さらにLevel 2/グループA、Level 2/グループB、Level 3/グループA、Level 3/グループB、の順に表現型をもたらす変異かどうかの検証を行う。
[1]
Mth1p及び/又はGrr1pをコードする遺伝子を有する組換え又は非組換えキシロース資化性酵母であって、
該Mth1pが:
(a1)配列番号7に示されるアミノ酸配列において、第81番目のアラニンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;あるいは
(a2)上記(a1)のアミノ酸配列において、上記第81番目のアミノ酸以外の位置で、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質、のいずれかであり、そして
該Grr1pが:
(b1)配列番号8に示されるアミノ酸配列において、第632番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;あるいは
(b2)上記(b1)のタンパク質のアミノ酸配列において、上記第632番目のアミノ酸以外の位置で、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質、のいずれかであることを特徴とする、酵母。
[2]
前記配列番号7の第81番目のアラニンがアスパラギン酸に置換されている、[1]に記載の酵母。
[3]
前記配列番号8の第632番目のシステインがチロシンに置換されている、[1]又は[2]に記載の酵母。
[4]
[1]〜[3]のいずれかに記載の組換え又は非組換えキシロース資化性酵母であって、さらにCdc19pをコードする遺伝子及び/又はGRR1コード領域の上流領域を有しており、
該Cdc19pが:
(c1)配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第272番目のプロリン及び/又は第344番目のアラニンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;あるいは
(c2)上記(c1)のタンパク質のアミノ酸配列において、上記第272番目及び/又は第344番目のアミノ酸以外の位置で、さらに1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質、のいずれかであり、そして
該GRR1コード領域の上流領域が:
(d1)配列番号6に示される塩基配列において、第-333位の塩基がアデニンから他の塩基に置換された上流領域;あるいは
(d2)上記(d1)の塩基配列において、上記第-333位の塩基以外の位置で、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列から成る上流領域、のいずれかであることを特徴とする、酵母。
[5]
前記配列番号5の第272番目のプロリンがトレオニンに置換されている、[4]に記載の酵母。
[6]
前記配列番号5の第344番目のアラニンがプロリンに置換されている、[4]又は[5]に記載の酵母。
[7]
前記配列番号6の第-333位のアデニンがチミンに置換されていることを特徴とする、[4]〜[6]のいずれかに記載の酵母。
[8]
キシロースイソメラーゼ、キシロースリダクターゼ、キシリトールデヒドロゲナーゼ、及び/又はキシルロキナーゼをコードする遺伝子が過剰発現されている、[1]〜[7]のいずれかに記載の酵母。
[9]
前記酵母が、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、クルベロマイセス属(Kluveromyces)、カンジダ属(Candida)、ピチア属(Pichia)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、及びハンセヌラ属(Hansenula)からなる群から選択される、[1]〜[8]のいずれかに記載の酵母。
[10]
前記酵母がサッカロマイセス属(Saccharomyces)である、[9]に記載の酵母。
[11]
180 g/L以上の高濃度のキシロースの存在下において増殖可能である、[1]〜[10]のいずれかに記載の酵母。
[12]
Cdc19pをコードする遺伝子及び/又はGRR1コード領域の上流領域を有する組換え又は非組換えキシロース資化性酵母であって、該Cdc19pが:
(c1)配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第272番目のプロリン及び/又は第344番目のアラニンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;あるいは
(c2)上記(c1)のタンパク質のアミノ酸配列において、上記第272番目及び/又は第344番目のアミノ酸以外の位置で、さらに1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質、のいずれかであり、そして
該GRR1コード領域の上流領域が:
(d1)配列番号6に示される塩基配列において、第-333位の塩基がアデニンから他の塩基に置換された上流領域;あるいは
(d2)上記(d1)の塩基配列において、上記第-333位の塩基以外の位置で、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列から成る上流領域、のいずれかであることを特徴とする、組換え又は非組換えキシロース資化性酵母。
[13]
前記配列番号5の第272番目のプロリンがトレオニンに置換されている、[12]に記載の酵母。
[14]
前記配列番号5の第344番目のアラニンがプロリンに置換されている、[12]又は[13]に記載の酵母。
[15]
前記配列番号6の第-333位のアデニンがチミンに置換されていることを特徴とする、[12]〜[14]のいずれかに記載の酵母。
[16]
特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01675 (SCB39)である酵母。
[17]
特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01676 (SCB40)である酵母。
[18]
特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01672 (SCB14)である酵母。
[19]
特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01674 (SCB16)である酵母。
[20]
特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01673 (SCB15)である酵母。
[21]
キシロース存在下において、[1]〜[20]のいずれかに記載の酵母を用いた有用物質の生産方法であって、該有用物質がエタノール、乳酸、酢酸、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、コハク酸、及びグリセロールからなる群から選択される1又は複数の物質である、方法。
[22]
前記有用物質がエタノールである[21]に記載の方法。
[23]
特定の代謝特性を有する微生物を1あるいは多段階の自然あるいは人工的突然変異により得、その同質系統家系の変異株の全ゲノム配列を決定し、リファレンスゲノムへのマッピングを行うことにより当該株が獲得した変異を抽出し、かつ同質系統家系内の変異株間の遺伝的背景及び表現型から想定される当該遺伝子変異の状態(独立、継承)をブール論理(Booean logic)により論理式に変換し、この論理式に基づいて、得られたデータを信頼する場合、リファレンス配列が間違っている場合、及び/又は得られたデータの一部に誤りがある場合を考慮した当該株の論理的に真となる変異組合せを探索・検証することによって、全ゲノム解析によって得られる多数の変異候補の中から該代謝特性の原因遺伝子及び/又は遺伝子変異を特定する方法。
[24]
前記微生物が酵母であることを特徴とする[23]に記載の方法。
[25]
前記酵母がサッカロマイセス属(Saccharomyces)であることを特徴とする[15]に記載の方法。
培養液については、キシロースを含んでいれば、他の炭素源の存在を含め、酵母が生育する限り構成成分に限定されない。
使用した菌株とプラスミドを表1に示した。NAM201株とNAM203株は、表1で示したアンプリコンDNAである1と2によるNAM34-4C(FERM AP-21838)のG418耐性転換体であり、それぞれUra-とLeu-を示す。NAM34-4CG2株は一倍体株であり、NAM201とNAM203の強制接合二倍体から生じた子嚢胞子クローンである。NAM300株は、表1で示したアンプリコン3のDNAによるG418耐性転換体で、接合変換した転換体と元の株との接合によって生じた二倍体である。SCA1株とSCA2株はNAM300株から得た一倍体株で、それぞれMATaとMATα株である。SCA3株はSCA1株からkanMX領域を除去した株である。この株は (i) pZeoプラスミドを用いたSCA1株の形質転換、(ii) Creタンパク質発現によるkanMX領域の切除、(iii) pZeoプラスミドの除去という一連の操作で構築した。プライマー (Genenet、 Fukuoka、 Japan) は Primer 3 (http://frodo.wi.mit.edu/primer3/) によってデザインした。S. cerevisiae遺伝子の塩基配列はSaccharomyces Genome Database (http://www.yeastgenome.org/)の情報に基づいた。
b Haploid (NAM201 × NAM203)はNAM201とNAM203との掛け合わせで得た4胞子の内の1つを示す。
c YGRS、 Yeast Genetic Resource Center。
d XM、XM2、XM7、XM8はloxP、TEFプロモーター、 kanMX遺伝子、TEFターミネーター、loxP、TDH3プロモーター、TDH3ターミネーターを含む、loxP-PTEF-kanMX-TTEF-loxP-PTDH3-XYL1-TTDH3-PTDH3-XYL2-TTDH3-PTDH3 -XKS1 - TTDH3の遺伝子構造をもつDNA断片である。
e XM3はloxP-PTEF-kanMX-TTEF-loxP- PTDH3- XYL1-TTDH3-PTDH3-XYL2-TTDH3の遺伝子構造をもつDNAである。
f Diploid (SCB13 × SCB103-10D)はSCB13とSCB103-10Dとの掛け合わせで得た2倍体を示す。
酵母の増殖培地として用いたYPD培地は、グルコース20 g、バクト酵母エキス10 g、バクトペプトン20 gを蒸留水1 L当たりに含みpH 5.5に調整した。MS培地はYeast nitrogen base 1.7g、(NH4)2SO4 5gを蒸留水1L当りに含みpH 5.5に調整した。MSD培地はMS培地1 L中に20 gグルコースを含む。MSX培地はMS培地1 L中に20 gキシロースを含む。培地には必要に応じて最終濃度がアデニン(Ade)で50 mg/L、ウラシル(Ura)で50 mg/L、アミノ酸で40 mg/Lとなるように加えた。抗生物質は必要に応じて加えた。G418二硫酸塩(G418)(Nacalai tesque、 Japan)の場合は、最終濃度で362 mg/L、ゼオシン(Lifetechnologies、 Japan)の場合は最終濃度で100 mg/Lとなるように加えた。固形培地には培地1 L当たり20 gの寒天を加えた。SpoKI胞子形成培地は、酢酸カリウム10 gを蒸留水1 L当たりに含みpH 5.5に調整し寒天を20 g加えた。大腸菌の増殖培地として用いたLuria-Bertani (LB)培地は、バクトトリプトン 10 g、バクト酵母エキス5 g、NaCl 10 gを蒸留水1 L当たりに含みpH 7.2に調整した。固形培地には培地1 L当たり15 gの寒天を加えた。ビタミンは必要に応じて、チアミンを最終濃度5 mg/Lとなるように加えた。抗生物質は必要に応じて、最終濃度がアンピシリン(Amp)とカナマイシン (Km) で50 μg/mLとなるように加えた。コンピテントな大腸菌を準備するのに用いたM9培地はNa2HPO4 6.0 g、KH2PO4 3.0 g、塩化ナトリウム0.5 g、1 M MgSO4 2 mL、20% グルコース 10 mL、1M CaCl2 0.1 mL を蒸留水1 Lあたりに含みpH7.5に調整した。
YPX18培地は、YPD培地のグルコースの代わりに180 g/Lのキシロースを加えた培地である。
YPD固形培地上で30℃、1日静置培養した。増殖した被試験酵母菌コロニーを滅菌した爪楊枝で胞子形成培地に移した。30℃、2日-3日静置培養し、胞子形成させた。
滅菌した爪楊枝でサンプルを取り、スライドガラス上に置いた5 μLの滅菌水中に懸濁した。光学顕微鏡で(300倍、対物レンズ×20、接眼レンズ×10、中間変倍×1.5、オリンパス光学顕微鏡BH2)胞子形成を観察し、胞子形成を検定した。
被試験の酵母菌細胞を滅菌した白金線で2 mLのYPD液体培地に植菌した。さらに接合型の分かった酵母菌細胞を滅菌した白金線で同じ培地に植菌した。この混合した2 mLのYPD懸濁液を30℃で一晩静置培養した。
mass matingした細胞培養取り、スライドガラスにのせた。カバーガラスをその上にのせ光学顕微鏡で観察した。典型的な不規則な形をした細胞が出現すれば、接合が起こっていると判断した。
被試験菌をYPD固形培地に植菌し、30℃で1日静置培養した。生じたコロニーを2 mLのYPD液体培地に懸濁し、20 mLのYPD固形培地の上に火炎滅菌した白金耳で載せた。その後、ミクロマニプレーター (シンガーMSMシステム200、Singer Instruments、 Roadwater、 Watchet、 Somerset TA23 0RE、 UK) を用いて、顕微鏡下、典型的な二倍体酵母である卵形に近い形の単細胞を分離した。30℃で2日静置培養し、単細胞から増殖したコロニーを得た。
胞子形成培地上の細胞を300 μg/mL 最終濃度でzymolyase20 を含む75 μLの0.015 M リン酸カリウム緩衝液pH7.5に懸濁し30℃で20分保温した。その後、滅菌白金耳で胞子懸濁液を取り、YPD固形培地上に移した。ミクロマニプレーターで4胞子を単胞子ずつに解剖した後、30℃で2日から3日静置培養した。
大腸菌のプラスミドDNA抽出は、High Pure Plasmid Isolation Kit (ロッシュ・ダイアグノスティック(株)、東京、日本)を用い、添付のプロトコールに従い抽出した。酵母菌のDNA抽出は、GenとるくんTM(酵母用) High Recovery (タカラバイオ(株) 日本)を用い、添付のプロトコルに従い抽出した。PCR反応はKOD FX (TOYOBO、 日本)を用いて行った。反応試薬に2 × PCR buffer for KOD FX、2 mM dNTPs、 Template DNA (4 ng)、primer (2.5 p mol)、KOD FX DNA Polymerase (1.0U/μL)を添加した (合計50 μL)。軽くスピンダウンし、94°Cに保持されたサーマルサイクラーにセットした。PCR反応時間は増幅断片の大きさによって変えた。1 kbの断片を増幅するときは、94°Cで15秒、54°Cで30秒、68°Cで1分のサイクルを30回繰り返し、その後68°Cで5分保持することによって増幅した。
塩基配列決定は、Applied Biosystems 3130ジェネティックアナライザーとBigDye(登録商標) Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kitを用いて行った。
YPD固形培地で30°C、一晩培養した被試験株を10 mLのYPD培地に植菌し、30°C、24時間振盪培養 (120 rpm、往復振盪/分) した。細胞は4°C、2400 × gで1分間遠心分離して集め滅菌水に懸濁した。細胞懸濁液は初期濃度がAbs660nm = 0.014となるように5 mLのMSD培地(5-mL容量のL字試験管)に植菌した。細胞濃度をバイオフォトレコーダー (TVS062CA; Advantec Toyo Kaisha、 Tokyo)で自動的に記録し、世代時間の解析を行った。
pKX1X2XKSのkanMX領域からXKS1領域までを1対のプライマーであるR-GAPDHt(URA+SacII)(配列番号1)とF-LTKTL(URA+ApaI) (配列番号2)を用いて増幅した。その後、増幅したDNAを用いてSCA3株のG418耐性転換体を選択した。2つのプライマーはura3遺伝子の相同領域を持つので、G418耐性転換体はウラシル要求性を示す。
cre発現プラスミドpZeoを形質転換法で移した株をゼオシン耐性転換体として分離した。次に、5mLのYPDAU+Zeo培地に被試験菌を1白金線植菌し、30°Cで約16時間振盪培養した。この培養液のAbs600nmを測定し、濁度が1以上になっていれば培養液4 mLを3500 × g、 1分間遠心分離した。上澄みを捨て、ボルテクスミキサーで混ぜた。4 mLの滅菌水に懸濁した。この操作を2回繰り返し洗浄した。洗浄した菌体を1 mLの滅菌水に懸濁し、100 μLを5 mLのYPGalAU培地に植菌し、30°Cで1時間培養した。培養液4 mLを3500 × g、 1分間遠心分離した。上澄みを捨て、ボルテクスミキサーで混ぜた。4 mLの滅菌水に懸濁した。これを2回繰り返し洗浄した。懸濁液を適当に希釈して、YPDAU平板培地に塗抹した。コロニーが確認できれば、YPDAU、YPDAU+G418、YPDAU+Zeo平板培地にそれぞれ50個ずつ移しG418感受性株を選択した。プラスミドを除去するために、選択した株を5 mLのYPDAU 培地に1白金線植菌し、30°Cで約16時間振盪培養した。培養液を適当に希釈し、YPDAU培地に塗抹した。コロニーが確認できればYPDAU、YPDAU+Zeo平板培地に50個ずつ移し、ゼオシン感受性株を選択した。
SCB7株を10 mLのYPD培地で30°C、 24時間、往復振盪培養 (120 rpm)し、2400 × g、 4°C、 1分間で遠心分離した後、滅菌水に懸濁した。5-mLのL字試験管内にウラシルを含む5 mL MSX培地に、細胞懸濁液を初発濃度Abs660nm=0.014となるように植菌し、バイオフォトレコーダーにより増殖を解析した。濁度が急激に増加した時、懸濁液をMSX固形培地に塗抹し、30°Cで2-3日間培養した。大きなコロニーを選び、YPD培地に移した。必要に応じて、ミクロマニプレーター (Singer MSM systems series 400、 Minerva Tech.、 K.K.、 Tokyo、 Japan) により単細胞分離を行った。突然変異体であることを確認する為に、細胞増殖をバイオフォトレコーダーで解析した。独立した突然変異体を分離する為に、1つの変異体は独立したL字試験管から分離した。
YPD固形培地で30°C、一晩培養した被試験菌を50 mLのYPD培地 (pH4.0) に植菌し、30°C、24時間往復振盪培養 (120 rpm)した。その後、細胞懸濁液を50 mLのYPX3培地に初期濃度Abs660nm=1.0となるように植菌し、35°C、48時間振盪培養した。発酵培地中のエタノールとグルコースの濃度を決定するために、4°C、20、400 × gで5分間遠心分離して上澄みを得た。
上澄み中のグルコース、キシロース、エタノールの濃度は、自動サンプラーBF30ASX、過酸化水素電極、二次元検出システムを備えた4チャンネルバイオセンサーBF7M (Oji Scientific Instruments、 Hyogo、 Japan) を使用して測定した。バイオセンサーの酵素は、グルコースにはグルコースオキシダーゼ(E. C. 1. 1. 3. 4)、キシロースにはピラノースオキシダーゼ(E. C. 1. 1. 3. 10)、エタノールにはアルコールオキシダーゼ(E. C. 1. 1. 3. 13) を用いた。反応の際に生じる過酸化水素をプラチナ電極で電気分解し、その時に生じる電圧の変化を検出システムで測定した。エタノール収率 (%) は、生産したエタノール濃度(g/L)と理論上の最大エタノール濃度(g/L) {0.51×初期グルコース濃度(g/L)}の比(%)として定義した。
SCB14株を10 mLのYPD培地で30°C、 24時間、往復振盪培養 (120 rpm)し、2400 × g、 4°C、 1分間で遠心分離した後、滅菌水に懸濁した。5 mLのL字試験管内にウラシルを含む5 mL YPX18培地に、細胞懸濁液を初発濃度Abs660nm=0.014となるように植菌し、バイオフォトレコーダーにより増殖を解析した。濁度が急激に増加した時、懸濁液をYPX18固形培地に塗抹し、30°Cで2-3日間培養した。大きなコロニーを選び、YPD培地に移した。必要に応じて、ミクロマニプレーター (Singer MSM systems series 400、 Minerva Tech.、 K.K.、 Tokyo、 Japan) により単細胞分離を行った。突然変異体であることを確認する為に、細胞増殖をバイオフォトレコーダーで解析した。独立した突然変異体を分離する為に、1つの変異体は独立したL字試験管から分離した。
YPD固形培地で30°C、一晩培養した被試験菌を50 mLのYPD培地 (pH4.0) に植菌し、30°C、24時間往復振盪培養 (120 rpm)した。その後、細胞懸濁液を50 mLのYPX5培地もしくはYPD6X3培地に初期濃度Abs660nm=1.0もしくは20となるように植菌し、35°C、48時間振盪培養した。発酵培地中のエタノールとグルコースの濃度を決定するために、4°C、20、400 × gで5分間遠心分離して上澄みを得た。
NAM34-4C株の同質系統株の構築を行った。ura3Δ::kanMX DNAによる形質転換でNAM201株を、leu2Δ::kanMX DNAによる形質転換でNAM203株を作製し(表1)、それらの強制集団接合により二倍体を構築した。その子嚢胞子を解析し、MATa型株は分離できなかったが、NAM34-4Cよりも接合能が改善されたNAM34-4CG (MATα)株を分離した(表1)。そのNAM34-4CG株のSH6703株由来のMATa領域DNAによる形質転換でMATa株SCA1を構築した。次に選択で用いたkanMXを除去したSCA3株を構築した(表1)。遺伝解析に優れたMATα株としてSCA2株を選んだ。
pKX1X2XKSプラスミドを鋳型に作製したアンプリコンDNA (ura3’-loxP- kanMX-loxP-PTDH3-XYL1- TTDH3-PTDH3-XYL2-TTDH3-PTDH3-XKS1-TTDH3-’ura3) によるSCA3株の形質転換でキシロースからキシルロース-5-リン酸まで代謝できうる株をG418耐性転換体として分離した。ウラシルを加えたキシロース最少培地 (MSXU、 pH 5.5、キシロース濃度 20 g/L) 温度35°Cで、転換体の増殖試験を行ったところ4株が増殖した(図2)。これらをSCB4、SCB5、SCB6、SCB7株と名付けた。
SCB7株の最少世代時間よりも早い増殖を示す自然突然変異体の分離を行った。すなわち、SCB7株をMSUX培地(pH5.5)、35°Cで振盪培養し、早い増殖を示す独立した4個の突然変異体を分離した。単細胞分離後にそれら突然変異体の増殖をキシロース最少培地(キシロース濃度 20g/L)で調べ親株SCB7と比較した(図3)。4個の突然変異体はほぼ同じような増殖速度を示した。SCB14株のGshortは2.5時間であり、この値は親株であるSCB7株のGshort=5時間の半分であった。そこで、この高効率キシロース資化性を導く遺伝子を {high efficiency of xylose assimilation (HEX) mutation}と名付け、その変異型の表現型をHex+と定めた。
Hex+表現型を導く突然変異の遺伝解析を次の様にして行った。(i) 4個の変異体が持つ変異数の決定;(ii) 野生型対立アレルに対する変異の優性・劣性試験;(iii)変異遺伝子間の連鎖解析。最初にSCB14株に関して変異数を解析した。Hex+株であるSCB14株 (MATa pho87Δ ura3Δ::XM8 HEX2-2)と野生型株であるHex-株 SCB103-10D (MATα ura3Δ::XM8) とを掛け合わせ、ヘテロな二倍体を作成し、胞子形成させた。調べた24子嚢において、全ての胞子はHex+ : Hex- が2:2に分離した。MSUX培地(pH5.5、キシロース濃度 20g/L)、35°Cでの典型的な増殖パターンを図4aに示す。残りのHex+株 (SCB13、SCB15、SCB16)と野生型株のSCB103-10Dとを掛け合わせた結果も、全てHex+ : Hex-が2:2に分離した。調べた子嚢の数はSCB13、SCB15、SCB16においてそれぞれ30子嚢、24子嚢、30子嚢である。これらの結果は、突然変異体はそれぞれ1遺伝子変異によってHex+の表現型になることを示している。
4個のHex+変異体SCB13、SCB14、SCB15、SCB16株とその親株であるSCB7株を用いて回分発酵を行い、キシロースからのエタノール生産を解析した。キシロース30 g/Lを含むYPX培地pH 4.0、35°C、初期細胞濃度Abs660nm=1.0で植菌し振盪培養(60 rpm)した。全てのHex+変異体は培養時間が進むにつれて迅速に増殖したが、SCB7株は培養初期段階で増殖の遅延が見られた(図5a)。キシロース消費とエタノール生産は、増殖に比例してそれぞれ減少と増加が見られた (図5 bとc)。HEX12-2変異体は発酵開始から24時間以内に4.8 g/Lのエタノールを生産し、SCB7株が24時間以内に生産したエタノール量 (3.4 g/L)よりも1.4倍高かった。HEX12-2変異体のエタノール収率は47%だった。HEX12-3変異体のエタノール生産量と収率はHEX12-2変異体と類似していた。培地中のキシロース濃度は4個のHex+変異体で類似しており、24時間までに1 g/L/hrの速度で直線的に減少した。これらの結果はHEX1、HEX2、hex3変異は、発酵初期で効率的なキシロース消費とエタノール生産を始めることを示している。
キシロース資化性が向上する突然変異として、これまでに少なくとも2個の遺伝子が報告されている。そのひとつはpho13欠失変異であり、もうひとつはTAL1遺伝子産物をPGKプロモーターなどで高発現した例である。そこで、3個のHEX突然変異遺伝子の中にPHO13やTAL1遺伝子があるのかどうかを解析した。pho13欠失変異はPho13タンパク質を生産しないので、野生型対立アレルに対し劣性になる。そこで劣性変異hex31-5遺伝子がPHO13遺伝子かどうかを図6に示した実験デザインで解析した。まず、pho13欠失変異 (pho13Δ::kanMX)であるSCB45株を作成した(図6a)。
エタノール生産実用酵母NAM34-4C株をYPD培地(2% ペプトン[BD]、1% イーストエクストラクト[BD]、2% グルコース[和光純薬工業])にて一晩培養を行い、GenとるくんTM(酵母用)High Recovery(タカラバイオ)を用いて、プロトコルに従いゲノムDNAを調整した。
上記の手法によって分離されたキシロース代謝向上株HEX12-2、 HEX12-9、 HEX22-3、 hex31-5をそれぞれコニカルチューブにおいて15mLのYPD培地に植菌し150 rpm、37℃、好気条件により一晩培養を行った。得られた菌体(約OD600=1.0)を8分割し、じぇんとるくん(酵母用、タカラバイオ)を用いて所与のプロトコルに従ってゲノムDNAの精製を行った。精製されたゲノムDNAをTris-HCl (pH 8.0)により抽出し、濃度を測定の上、SOLiDフラグメントライブラリの作製まで4℃で保存した。なお、後述する高濃度キシロース代謝向上株SXM1、 SXM2についても同様に実験を行った。
キシロース代謝向上変異株の全ゲノムDNA配列を次世代シーケンス解析によって明らかにするために、上記1により精製されたゲノムDNAを用いて所与のプロトコルに従ってSOLiD5500フラグメントライブラリをそれぞれ作製した。まず、3-5 μgのゲノムDNAを超音波破砕装置COVALISを用いて約150 - 200 bpになるように物理的断片化を行った。アガロースゲル電気泳動で適当なサイズ及び量が得られていることを確認し、精製の後、P1及びP2アダプターをゲノムDNA断片にT4DNAライゲースを用いて結合させた。次に、ライブラリ増幅のためP1-P2特異的プライマーを用いた少数のサイクル(5-10サイクル)でPCRを行うことにより増幅バイアスを最小限に抑えつつ均一なライブラリの増幅を行いSOLiDフラグメントライブラリを構築した。それぞれのサンプルは同時シーケンスを行うために、それぞれ独立したバーコード配列を付与した。最終的なフラグメントライブラリの平均サイズは、バイオアナライザーにより約220-250bpのシングルピークであることを確認した。また、得られたライブラリの濃度はいずれも10 pM以上であった。
次世代シーケンサーSOLiDシステムでは、マイクロビーズの上に調製されたゲノムDNA由来の鋳型DNA断片を用いて大規模なシーケンシングを行う。そのため、上記で作製したライブラリ50 μL - 70 μL (0.5pM - 0.7pM)を用いて、1つのビーズ上に1つの鋳型DNAとなるようにエマルジョンPCRを行った結果、得られたSOLiD5500ライブラリは約3.0 X 109であった。得られたビーズをフローセルに共有結合させ、洗浄の後、シーケンシングに供した。
シーケンシングランを行う前に少量のライブラリビーズを用いて、WFAランを行い、作製したビーズの品質を確認した後、プロトコルに従ってフラグメントシーケンシングを行った。SOLiD5500シーケンシング(75bp)によりそれぞれシーケンシングランを行いリードデータの取得を行った。Satay plotにより各シーケンシングサイクルにおけるカラーバランスを確認し、シーケンシングランが良好であることを確認した。
上記で記載したようにNAM34-4C(haploid株)のゲノムデータGIR01_scaffoldv3r1を参照配列として、それぞれの変異株のシーケンスリードデータ(sxqファイル)をLifeScopeソフトウェア(Life Technologies社)を用いてマッピング及びSNPs抽出を行った。マッピングはmapreadsの基本条件のまま行い、diBayseの解析条件はhigh stringencyかつuniquely mappingされたリードデータのみを用い、取りこぼしがないようにカットオフ閾値を設定せずに変異可能性のある候補をすべてリストアップした。マッピングの結果、それぞれ変異株において、いずれもX100以上のdepth of coverageのデータを取得することができた。また、diBayesによる変異解析の結果、変異株のSNPsとして下記の表の通りの結果を得た。なお、SNPsのみならず塩基の欠損・挿入の可能性を考慮してInDelの解析も同時に行ったが、有意なInDel変異は得られなかったため、HEX/SXM変異株は塩基置換による変異によるものと考えられた。
上記のパイプラインにより得られた変異データ(gffファイル形式)はリファレンス配列NAM34-4Cゲノムにおける変異ポジション)と変異塩基(リファレンス塩基→変異塩基)及びcoverageに関する情報のみで、具体的にどの遺伝子のどの場所の変異かという相対的な情報が欠落している。そのため、すでに示した通りNAM34-4Cリファレンスゲノムより抽出したORF情報を用いて、変異ポジションと変異タイプを抽出するため、プログラミング言語Rubyを用いてフィルタリングプログラムを記述し、必要な遺伝子情報の抽出を行った。同時に、coding region内の変異の場合には、アミノ酸置換あるいはナンセンス変異(ストップ)についても同様にデータ抽出を行った。
次世代シーケンシングを用いた全ゲノム解析によって、いずれの変異株にも1,000ヶ所程度の変異が検出され、次世代シーケンシングによるエラーも多く含まれていると推定された。たとえ次世代シーケンシングによって正確な全ゲノム塩基配列を取得できたとしても、また原因変異の数が遺伝学的解析によりいくつ存在するかが明らかになっていたとしても、1000個の変異候補の中から、1〜数個の原因変異を見つけ出すのは容易ではない。P-valueを導入することによって、より確からしい変異をランキングすることは可能であるが、そもそもdiBayesによって検出される変異候補の相当数の変異が上位にランキングされるため、このP-valueはあくまで変異が変異株ゲノムに存在するかどうかの確からしさの指標であり、表現型に関与する変異を実験的に検証することは実質的に不可能である。そこで、本発明では変異候補の絞り込みを可能にするため、「遺伝的背景を考慮した論理プログラミング」を考案した。
そこでCDC19がHEX12-2変異かどうかを確かめる実験デザインを建てた(図8)。
CDC19のフランキング領域にkanMXを組み込んだ形質転換体を分離し、その増殖を調べたところ、期待通りHex+を示した。次に、kanMX-CDC19のDNAをPCR増幅し、増幅DNAによるキシロース資化性(SCC2-11B)株のG418耐性形質転換体を選んだ。その結果、転換体100個中29個がHex+を示した(図9a)。従ってHEX12-2はCDC19遺伝子であった。遺伝学的な解析法でHEX12-9は、HEX12-2と同じ遺伝子であると推定したが、同様の実験デザインで確かめたところ、確かにHEX12-9もCDC19であった(図9b)。また、HEX12-2及びHEX12-9遺伝子の塩基配列を決定したところ、構造遺伝子内の置換変異(配列番号5の第272番目におけるプロリンのトレオニンによる置換、及び配列番号5の第344番目におけるアラニンのプロリンによる置換に相当する)を確認した。
すなわち、ade1Δ1 XM株にADE1+ DNAと変異型GRR1 DNAを加え、Ade+形質転換体を得た。次にこの形質転換体を100個選び、10 g/Lのキシロースを含むMSX最少固形培地 pH 5.5に白金線でストリークし、30°Cで2-4日静置培養した。その結果、2個の被試験菌が増殖した。それら2株のMSX培地 pH 5.5での増殖を確認したところ、キシロース培地で早いHex+増殖を示した(図11a)。またGRR1コード領域の上流領域を塩基配列解析したところ、次世代シーケンサー解読したGRR1コード領域の上流領域における置換変異を認めた(データには示さない)。このことからHEX22-3遺伝子はGRR1のコード領域の上流領域における変異であると結論した。また、HEX22-3遺伝子の塩基配列を決定したところ、コード領域の上流領域内の置換変異(配列番号6の第-333位におけるアデニンのチミンによる置換)を確認した。
キシロース濃度を20 g/Lから200 g/Lまで変化させたYPX培地 pH 4.0にSCB14株を植菌し、35°Cで振盪培養した。細胞増殖をバイオフォトレコーダーで解析したところ、キシロース濃度が増加するにつれてSCB14株は強い増殖阻害を受け、180 g/Lキシロース以上の濃度では増殖しなかった(図12)。取り込まれたキシロースが代謝を直接又は間接的に抑制しているか、あるいはキシロースからの代謝中間体による増殖阻害と考えられる。
SCB14株から高濃度のキシロースを資化する変異体を分離した。すなわちYPX18培地 pH 4.0 にSCB14株を植菌し、35°Cで振盪培養した。培養後期で急激に細胞濃度が増えた時、L字試験管培養液を適当に希釈し、YPX18平板培地に塗抹し、30°Cで2-4日静置培養した。増殖の早い大きなコロニーを独立して2個分離した (SCB32とSCB33)。単細胞分離後にその2個のコロニーの増殖をYPX18培地で調べ、親株SCB14株と比較した (図13)。2個の細胞はYPX18培地で増殖を示したのに対し、親株は増殖しなかった。この高濃度のキシロース培地(キシロース濃度 180g/L)で効率よくキシロースを資化する突然変異体を super xylose assimilation metabolism (SXM) 変異体と名付け、その表現型をSxm+と定めた。
Sxm+となる突然変異数を解析した。最初にSCB32変異体 (MATa pho87Δ ura3:: loxP-PTEF-kanMX-TTEF-loxP-PTDH3-XYL1-TTDH3-PTDH3-XYL2-TTDH3- PTDH3-XKS1-TTDH3 HEX12-2 SxmA+) を解析した。SCB32株のウラシル要求性を取り除く為に、URA+ DNAによるSCB32株の形質転換体をUra+ G418感受性株として分離した。その遺伝子構造は、MATa pho87Δ URA3::PTDH3-XYL1-TTDH3- PTDH3-XYL2-TTDH3-PTDH3-XKS1-TTDH3 HEX12-2 SxmA+でありSCB39株と名付けた。そのSxmA+ Hex+株 SCB39とHex+株 SCB105-3A (MATα ura3Δ::XM8 HEX12-2)を掛け合わせ二倍体を作成し胞子形成させた。4胞子クローンのYPX18液体培地 (キシロース濃度 180g/L)pH 4.0 温度35°Cでの増殖を調べた。その結果、調べた24子嚢すべて、増殖する胞子クローンSxm+が2個と増殖しない胞子クローンSxm-が2個に分離した (図14)。詳細に調べるとSxmA+突然変異体より遅い増殖を示す株を含むグループ(図14a)とSxmA+突然変異体と同様の早い増殖を示すグループ (図14b)に分かれた。このことは、1個の変異がYPX18培地での増殖に必要であり、他の変異はYPX18培地での細胞増殖を促進させると考えられた。言い換えると少なくとも2個の変異を持つと推定でき、それぞれSXM1とSXMC1と名付けた。例えば、図14aに示したSCB39株の4胞子の遺伝子型はSXM1単独変異 (SCB42-2C)、SXM1 SXMC1二重変異 (SCB42-2A)、残りSCB42-2BとSCB42-2D がSXMC1単独変異と野生型と推測された。このことを確認するために、親株SxmA+株 SCB39 (SXM1 SXMC1)とSXM1又はSXMC1株とを掛け合わせ二倍体を作成し胞子形成させた。調べた24子嚢において、SXM1 SXMC1 (早い増殖) : SXM1 (遅い増殖)又はSXM1 SXMC1 (早い増殖) : SXMC1 (非増殖) が2:2に分離した。以上のことからSxmA+株の遺伝子型をSXM1 SXMC1と定めた。
(1) 低初発細胞濃度からの回分発酵試験
Sxm+ HEX12-2 XMの2株SCB32とSCB33、HEX12-2 XMのSCB14株、XMのSCB7株を用いて回分発酵を行い、高濃度キシロースからのエタノール生産性を解析した。キシロース50 g/Lを含むYPX培地、pH 4.5、32.5°C、初期細胞濃度Abs660nm=1.0となるように植菌し、振盪培養(60 rpm)した。SCB32株は、培養の初期から時間の増加とともに迅速に増殖した。その次にSCB14株の増加が早く、最終細胞濃度はAbs660nmで35と最も高かった。その次はSCB7株で、SCB33株の増殖は最も悪く、最終細胞濃度も20弱であった(図16a)。
初発細胞濃度が高い細胞を用いてグルコース・キシロース共存発酵試験をSxm+ HEX12-2 XMの2株SCB39とSCB40、HEX12-2 XMのSCB38株、XMのSCC2-11B株で行った。すなわち、グルコース60 g/L、キシロース40 g/Lを含むYPD6X4培地、pH 4.5、32.5°C、初期細胞濃度Abs660nm=20となるように植菌し、振盪培養 (60 rpm)した。SCB40株以外の全ての株は良く似た増殖を示し、培養24時間で細胞濃度はAbs660nm = 40強に達した(図17a)。
SXM1とSXM2遺伝子は、次世代シーケンサー解析からそれぞれMTH1変異とGRR1変異と考えられた。そこで、最初に、SXM1はMTH1であるのかどうかを解析した(図18)。
MTH132変異が野生型対立アレルに対し優性かどうかを調べた。SCB32株の染色体DNAを鋳型に、一対のプライマーF-MTH1-UP1K(NotI)(配列番号3)とR-MTH1-DWN300 (NotI)(配列番号4)でMTH132変異遺伝子の上流1 kbから下流0.3 kbをPCR増幅し、制限酵素NotIで切断した。その断片を低コピープラスミドのNotI部位に挿入した組換えプラスミドを構築し、大腸菌DH10BのAp-r Lac-株として回収した (図22)。また、PCR解析及び塩基配列解析を行い、組換え型プラスミドが確かに実験デザインどおりの遺伝子構造であることを確認した。そのプラスミドpMTH1 DNAによるSCB38 (HEX12-2)株の形質転換を行い、プラスミドを保持する株をG418耐性形質転換体として分離した。
MTH132単独変異株がYPX18培地 (キシロース濃度 180g/L)pH 4.0、温度35°Cで増殖するかどうかを調べた。その結果、HEX12-2株と異なり明らかな増殖が見られた(図25a)。しかしながら、増殖の早さはHEX12-2 MTH132二重変異体よりも遅かった。これらのことは、MTH132単独変異体は高濃度キシロース培地で増殖すること、HEX12-2単独変異体は増殖しないが二重変異体では相乗効果が現れることを示している。SXMC1単独変異体は増殖しないが、SCB39株 (MTH132 SXMC1 HEX12-2 XM)の増殖はMTH132 HEX12-2 XM株よりも明らかに早いので、SXMC1単独変異もHEX12-2と同様にHex+の性質を示しMTH132変異との相乗効果が現れると考えられる。
Claims (22)
- Mth1p及び/又はGrr1pをコードする遺伝子を有する組換え又は非組換えキシロース資化性酵母であって、
該Mth1pが:
(a1)配列番号7に示されるアミノ酸配列において、第81番目のアラニンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;あるいは
(a2)上記(a1)のアミノ酸配列において、上記第81番目のアミノ酸以外の位置で、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質、のいずれかであり、そして
該Grr1pが:
(b1)配列番号8に示されるアミノ酸配列において、第632番目のシステインが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;あるいは
(b2)上記(b1)のタンパク質のアミノ酸配列において、上記第632番目のアミノ酸以外の位置で、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質、のいずれかであることを特徴とする、酵母。 - 前記配列番号7の第81番目のアラニンがアスパラギン酸に置換されている、請求項1に記載の酵母。
- 前記配列番号8の第632番目のシステインがチロシンに置換されている、請求項1又は2に記載の酵母。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の組換え又は非組換えキシロース資化性酵母であって、さらにCdc19pをコードする遺伝子及び/又はGRR1コード領域の上流領域を有しており、
該Cdc19pが:
(c1)配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第272番目のプロリン及び/又は第344番目のアラニンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;あるいは
(c2)上記(c1)のタンパク質のアミノ酸配列において、上記第272番目及び/又は第344番目のアミノ酸以外の位置で、さらに1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質、のいずれかであり、そして
該GRR1コード領域の上流領域が:
(d1)配列番号6に示される塩基配列において、第-333位の塩基がアデニンから他の塩基に置換された上流領域;あるいは
(d2)上記(d1)の塩基配列において、上記第-333位の塩基以外の位置で、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列から成る上流領域、のいずれかであることを特徴とする、酵母。 - 前記配列番号5の第272番目のプロリンがトレオニンに置換されている、請求項4に記載の酵母。
- 前記配列番号5の第344番目のアラニンがプロリンに置換されている、請求項4又は5に記載の酵母。
- 前記配列番号6の第-333位のアデニンがチミンに置換されていることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載の酵母。
- キシロースイソメラーゼ、キシロースリダクターゼ、キシリトールデヒドロゲナーゼ、及び/又はキシルロキナーゼをコードする遺伝子が過剰発現されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酵母。
- 前記酵母が、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、クルベロマイセス属(Kluveromyces)、カンジダ属(Candida)、ピチア属(Pichia)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、及びハンセヌラ属(Hansenula)からなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の酵母。
- 前記酵母がサッカロマイセス属(Saccharomyces)である、請求項9に記載の酵母。
- 180 g/L以上の高濃度のキシロースの存在下において増殖可能である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の酵母。
- Cdc19pをコードする遺伝子及び/又はGRR1コード領域の上流領域を有する組換え又は非組換えキシロース資化性酵母であって、該Cdc19pが:
(c1)配列番号5に示されるアミノ酸配列において、第272番目のプロリン及び/又は第344番目のアラニンが他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;あるいは
(c2)上記(c1)のタンパク質のアミノ酸配列において、上記第272番目及び/又は第344番目のアミノ酸以外の位置で、さらに1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質、のいずれかであり、そして
該GRR1コード領域の上流領域が:
(d1)配列番号6に示される塩基配列において、第-333位の塩基がアデニンから他の塩基に置換された上流領域;あるいは
(d2)上記(d1)の塩基配列において、上記第-333位の塩基以外の位置で、1又は数個の塩基が欠失、置換又は付加された塩基配列から成る上流領域、のいずれかであることを特徴とする、組換え又は非組換えキシロース資化性酵母。 - 前記配列番号5の第272番目のプロリンがトレオニンに置換されている、請求項12に記載の酵母。
- 前記配列番号5の第344番目のアラニンがプロリンに置換されている、請求項12又は13に記載の酵母。
- 前記配列番号6の第-333位のアデニンがチミンに置換されていることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか1項に記載の酵母。
- 特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01675 (SCB39)である酵母。
- 特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01676 (SCB40)である酵母。
- 特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01672 (SCB14)である酵母。
- 特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01674 (SCB16)である酵母。
- 特許微生物寄託センターに寄託した受託番号NITE BP-01673 (SCB15)である酵母。
- キシロース存在下において、請求項1〜20のいずれか1項に記載の酵母を用いた有用物質の生産方法であって、該有用物質がエタノール、乳酸、酢酸、プロパノール、イソブタノール、ブタノール、コハク酸、及びグリセロールからなる群から選択される1又は複数の物質である、方法。
- 前記有用物質がエタノールである請求項21に記載の方法。
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