JP2017048410A - α+β型チタン合金の熱処理方法、及びその方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品 - Google Patents

α+β型チタン合金の熱処理方法、及びその方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品 Download PDF

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Abstract

【課題】精密な寸法形状を実現しながら、生体材料として求められる特性を満たすことが可能なα+β型チタン合金の熱処理方法、及びその方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品を提供する。【解決手段】積層造形されたα+β型チタン合金の熱処理方法であって、0.1秒〜30秒の時間で800℃〜1200℃の温度まで加熱する急速加熱工程と、当該急速加熱工程の後に、40℃/秒以上の冷却速度で冷却する急速冷却工程とを備えたことを特徴とするα+β型チタン合金の熱処理方法を採用する。【選択図】図3

Description

本件発明は、α+β型チタン合金の熱処理方法、及びその方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品に関し、特に電子ビーム溶解法等の三次元積層造形技術を用いて積層造形されたα+β型チタン合金の熱処理方法、及びその方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品に関する。
従来より、航空宇宙関連分野や医療分野を含む様々な分野において、軽量で高強度でありながら生体適合性にも優れたチタン合金が多く用いられている。中でも、α+β型チタン合金は、熱処理により広い範囲で任意の強度に設定することが可能であり多用されている。ところで、このα+β型チタン合金を、例えば生体用インプラント(人工歯根や人工関節等)として用いる場合には、可能な限り各ユーザの歯根や関節の形状に合わせて造形する必要がある。そのため、近年においては、生体用インプラント等のように精密な寸法形状が要求されるものには、非特許文献1に開示されているような電子ビーム溶解法等の三次元積層造形技術により積層造形されたα+β型チタン合金が採用されるようになっている。金属粉末の積層、熱源(レーザービームや電子ビーム等)の照射、溶融・凝固を繰り返して積層造形されたチタン合金は、従来の熱間鍛造により造形されたチタン合金に比較して複雑形状に短時間で製造可能である。
久森紀之,武井将史,福田英次,臓元孝一著「電子ビーム溶融法を用いて造形したチタン合金の疲労特性」社団法人日本材料学会,学術講演会講演論文集,61(2012),pp.260−261
しかし、上述した三次元積層造形技術により積層造形されたα+β型チタン合金は、従来の熱間鍛造により造形されたα+β型チタン合金と比較して、金属組織が針状又は柱状となることや、造形時に残留する欠陥等の影響によって、疲労特性が劣ることとなる。なお、この問題に対しては、積層造形したα+β型チタン合金の表面に微粒子ピーニング処理を施して表面改質を行い、平面曲げ疲労特性を改善・向上させるよう試みることが出来る。ただし、微粒子ピーニング処理で用いる投射材として、鉄系、非鉄系、ガラス系、セラミックス系、樹脂系等の生体に不適合な成分が含まれる材料が用いられると、これら成分がα+β型チタン合金の表面に付着して生体適合性が損なわれてしまう。
本件発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、精密な寸法形状を実現しながら、生体材料として求められる特性を満たすことが可能なα+β型チタン合金の熱処理方法、及びその方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品を提供することを目的とする。
そこで、本発明者等は、鋭意研究を行った結果、上述した課題を解決するに到った。以下、本件発明に関して説明する。
本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法: 本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法は、積層造形されたα+β型チタン合金の熱処理方法であって、0.1秒〜30秒の時間で800℃〜1200℃の温度まで加熱する急速加熱工程と、当該急速加熱工程の後に、40℃/秒以上の冷却速度で冷却する急速冷却工程とを備えたことを特徴とする。
本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法は、前記急速加熱工程と前記急速冷却工程との間で、600秒以下の放冷又は保定を行うことが好ましい。
本件発明に係るα+β型チタン合金製品: 本件発明に係るα+β型チタン合金製品は、上述のα+β型チタン合金の熱処理方法を用いて製造され、マルテンサイト相を80vol%以上及び残留β相を1〜20vol%含むことを特徴とする。
本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法は、精密な寸法形状を実現しながら、生体材料として求められる特性を満たすことが可能なα+β型チタン合金の熱処理方法、及びその方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品を提供することが可能となる。
実施例1,2及び比較例1,2で用いる試験片を示す図である。 実施例1,2及び比較例1,2で用いる試験片の疲労試験結果を示すグラフである。 実施例1,2で用いる試験片の金属組織写真である。 比較例1,2で用いる試験片の金属組織写真である。
以下、本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法、及びその方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品の実施の形態を説明する。
本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法: 本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法は、積層造形されたα+β型チタン合金の熱処理方法であって、0.1秒〜30秒の時間で800℃〜1200℃の範囲のいずれかの温度まで加熱する急速加熱工程と、当該急速加熱工程の後に、40℃/秒以上の冷却速度で冷却する急速冷却工程とを備えたことを特徴とする。
<α+β型チタン合金について>
α+β型チタン合金とは、稠密六方晶(HCP)であるα相と体心立方晶(BCC)であるβ相とが共存したものである。このα+β型チタン合金は、熱処理性に優れているため、中位の強度から高い強度まで比較的容易に設定することができ、高強度且つ高延性で、耐クリープ特性にも優れている。また、α+β型チタン合金は、生体に対する適合性(アレルギー性等)を考慮し、Cr、Ni、Co、Mo、V等の元素が含まれないようにすることも可能である。
<積層造形について>
本件発明におけるα+β型チタン合金は、電子ビーム溶融法等の三次元積層造形技術により積層造形されたものである。ここで、積層造形とは、造形したい対象製品の三次元データをコンピュータに入力して、当該三次元データをコンピュータ上で水平にスライスして輪切りデータを作成し、これらデータに基づいて金属粉体、樹脂等の材料を積層して造形することをいう。この積層造形を行うには、様々な方法があるが、本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法では、積層造形を行う方法について特に限定されない。例えば、本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法では、積層造形を行うにあたって電子ビーム溶解法を用いることが出来る。この電子ビーム溶解法では、造形したい対象製品のデータに基づいて、電子ビーム溶融装置に敷き詰めた対象製品の原料となる金属粉末に電子ビームを照射することにより、この照射した範囲の金属粉末を溶解する。そして、その後、金属粉末を敷き詰めた台座を下げながら当該金属粉末の溶融と硬化とを繰り返すことで任意の形状を提供することが可能となる。
造形したい対象製品を電子ビーム溶解法等により積層造形することで、当該対象製品が複雑な形状であっても精密な寸法形状で造形することが可能となる。そのため、α+β型チタン合金は、電子ビーム溶解法等により積層造形されることによって、切削法等の他の加工法では不可能な複雑な形状に造形することが可能となり、例えば各ユーザの骨格形状に適合した人工骨等の生体材料製品に好適に用いることが可能となる。
上述したように、本件発明におけるα+β型チタン合金製品は、電子ビーム溶融法等の三次元積層造形技術により積層造形されるが、この三次元積層造形技術を用いて得られる積層造形品は、ボイド等の欠陥が生じ易いことや、針状の金属組織を形成し易いことから、特に疲労特性に関してバルク品に比べて劣ることとなる。ただし、本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法を採用すれば、このような問題が生じない。以下に、本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法の各工程について説明する。
<急速加熱工程について>
本件発明における急速加熱工程では、積層造形されたα+β型チタン合金を0.1秒〜30秒の時間で800℃〜1200℃の範囲のいずれかの温度まで加熱する。電子ビーム溶解法により積層造形されたα+β型チタン合金を、この条件で加熱処理した後に後述する急速冷却工程で冷却処理を施してマルテンサイトを生成させることで、優れた疲労強度及び硬さを得ることが可能となる。
本件発明における急速加熱方法としては、高周波誘導加熱や直接通電加熱等を採用することができ、特に限定されない。ここで、高周波誘導加熱とは、金属製ワークの周りにコイルを配置し、当該コイルに高周波電流を流すことで当該コイルに近い金属製ワーク表面に誘導電流が生じ、ジュール熱で加熱するものである。この高周波誘導加熱は、公知の急速加熱手段であるため、ここでの詳しい説明は省略する。積層造形されたα+β型チタン合金を0.1秒〜30秒の時間で急速昇温させることで、加熱時間の短縮を図ると共に、β相比を適切にコントロールして安定的に疲労強度及び硬さを向上させることが可能となる。
α+β型チタン合金は、一旦800℃〜1200℃の高温域に加熱することで多量のβ相を生成させ、次いで、急冷を行い微細結晶構造を有するマルテンサイト組織を多く生成させることで疲労強度を向上させることが出来る。ここで、加熱温度が800℃未満では、β安定化元素の拡散が不十分で、加熱中のβ相比も少なく、急冷後に十分にマルテンサイトを生成することが出来ないため、疲労強度の向上を図ることが難しい。一方、加熱温度が1200℃を超えると、結晶粒の粗大化が生じ、また、加熱時は合金元素が均一に固溶したβ単相となるため、急冷後には全面マルテンサイト組織となり、疲労強度、伸び、及び靱性の低下を招き易くなる。そして、800℃〜1200℃の高温域における加熱時間が30秒を超える場合には、結晶粒の粗大化を招き、疲労強度の低下を招き易くなる。また、800℃〜1200℃の高温域における加熱時間を、0.1秒未満とすることは現実的に不可能である。
<急速冷却工程について>
本件発明における急速冷却工程では、上述した急速加熱工程の後に、40℃/秒以上の冷却速度で冷却する。積層造形されたα+β型チタン合金は、上述した急速加熱工程で一旦800℃〜1200℃の高温域に加熱されることで多量のβ相が生成されるが、その後急速冷却することで微細結晶構造を有するマルテンサイト組織を多く生成させて疲労強度を効果的に向上させることが出来る。ここで、冷却速度が40℃/秒未満では、微細結晶構造を有するマルテンサイト組織を多く生成させることが出来ない。
<放冷又は保定について>
以上に、本件発明における加熱工程及び急速冷却工程について述べたが、本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法では、当該急速加熱工程と当該急速冷却工程との間で、600秒以下の放冷又は保定を行うことが好ましい。ここで、上述した急速加熱工程と上述した急速冷却工程との間で、600秒以下の放冷又は保定を行うことで微細結晶構造を有するマルテンサイト組織を多く生成させることができ、疲労強度や靭性を高めることが出来る。
本件発明に係るα+β型チタン合金製品: 本件発明に係るα+β型チタン合金製品は、上述のα+β型チタン合金の熱処理方法を用いて製造され、マルテンサイト相を80vol%以上及び残留β相を1〜20vol%含むことを特徴とする。
本件発明に係るα+β型チタン合金製品は、上述した本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法を用いて製造され、マルテンサイト相を80vol%以上及び残留β相を1〜20vol%含むことで、精密な寸法形状を実現しながら、生体材料として求められる特性(疲労強度、硬さ等)を満たすことが可能となる。よって、本件発明に係るα+β型チタン合金製品は、摺動部等の厳しい条件下に置かれ、耐摩耗性及び耐疲労特性が求められる人工関節材料等としても好適に用いることが出来る。
以下、本件発明の実施例を示し、本件発明をより詳細に説明する。但し、本件発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1では、積層造形されたα+β型チタン合金製の試験片を用い、疲労特性を確認した。実施例1で用いる試験片は、図1に示す形状(単位:mm)のものを用いた。この試験片を作製するにあたっては、まず、45μm〜100μmの粒子径を有するTi−6Al−4V合金粉末(Al:6.54wt%、V:4.00wt%、Fe:0.15wt%、O:0.082wt%、C:0.01wt%、N:0.007wt%、H:0.003wt%、残りTi)を用いて、電子ビーム溶融法(加速電圧60kV、積層ピッチ0.07mm)により、図1中に示す積層方向に積層造形させた。次いで、図1に示すような試験片形状にワイヤーカッター放電加工によって切出しを行い、周波数200kHzの高周波誘導加熱により、当該試験片を0.2秒で1020℃まで昇温させた後、直ちに水冷により室温まで約100℃/秒の冷却速度で急冷した。その後、#320〜2000の耐水研磨紙を用いて湿式研磨を行った。
図2には、本件発明の実施例1で用いる試験片の疲労試験結果を示す。疲労試験は、片振り平面曲げ疲労試験であり、室温の大気中にて、油圧式疲労試験機を用いて応力比0、周波数20Hzで行い、10回を疲労限度とした(図2中の矢印参照のこと)。図2より、実施例1で用いる試験片の疲労限度(σ)は、約275MPaであった。
実施例2では、実施例1と同様に、積層造形されたα+β型チタン合金製の試験片を用い、疲労特性を確認した。実施例2で用いる試験片は、実施例1と同じ方法で作製したものであり、且つ、実施例1と同じ組成のものである。そして、実施例2の試験片は、周波数200kHzの高周波誘導加熱により1.0秒で1120℃まで昇温させ、0.4秒間放冷後、水冷により室温まで約100℃/秒の冷却速度で急冷した。その後、#320〜#2000の耐水研磨紙を用いて湿式研磨を行った。
図2には、本件発明の実施例1で用いる試験片の疲労試験結果を示す。ここで行う疲労試験は、実施例1と同じ条件で行った。図2より、実施例2で用いる試験片の疲労限度(σ)は、約285MPaであった。
比較例
[比較例1]
比較例1では、上述した実施例1,2と同様にα+β型チタン合金製の試験片を用い、疲労特性を確認した。比較例1で用いる試験片は、実施例1と同じ方法で作製したものであり、且つ、実施例1と同じ組成のものである。ただし、比較例1の試験片は、実施例1,2とは異なり、熱処理を施さないものとした。
図2には、本件発明の比較例1で用いる試験片の疲労試験結果を示す。ここで行う疲労試験は、実施例1と同じ条件で行った。図2より、比較例1で用いる試験片の疲労限度(σ)は、約200MPaであった。
[比較例2]
比較例2では、上述した実施例1,2と同様にα+β型チタン合金製の試験片を用い、疲労特性を確認した。比較例2で用いる試験片は、実施例1と同じ形状のものである。ただし、比較例2の試験片は、通常の溶解・鍛造を行った市販のTi−6Al−4V合金(Al:6.46wt%、V:4.38wt%、Fe:0.2wt%、O:0.12wt%、C:0.01wt%、N:<0.01wt%、H:0.0005wt%、残りTi)を用いた。
図2には、本件発明の比較例2で用いる試験片の疲労試験結果を示す。ここで行う疲労試験は、実施例1と同じ条件で行った。図2より、比較例2で用いる試験片の疲労限度(σ)は、約230MPaであった。
<実施例と比較例との対比>
図2に示す結果より、比較例1の試験片は、比較例2の試験片よりも若干疲労強度が低くなった。これは、比較例1の試験片は、電子ビーム溶融法により積層造形させた後に、熱処理を施さないため、造形時に残留する欠陥や粗大組織の生成等の影響が現れたものと考えられる。また、図2に示す結果より、実施例1,2の試験片は、比較例1,2よりも疲労強度に優れたものであることが見てとれる。実施例1,2の試験片が、通常鍛造材である比較例2の試験片よりも高い疲労強度となった理由としては、金属組織の微細化により変形抵抗が増加したことが考えられる。
図3は、実施例1,2で用いる試験片の金属組織写真である。また、図4は、比較例1,2で用いる試験片の金属組織写真である。図3,4に示す金属組織写真は、試験片を#2000までの湿式研磨を行い、更に粒径1.0μmのアルミナ粉末でのバフ研磨を行った後腐食を行い、光学顕微鏡にて400倍で観察を行ったものである。図4より、比較例1の試験片の金属組織は粗大な針状組織であり、比較例2の試験片の金属組織は球状(等軸)で微細な組織であるのに対し、実施例1,2の試験片の金属組織は、共に微細な針状組織であることが見てとれる。ここで、各試験片の硬さをビッカース硬度計を用いて測定した結果、比較例1では340HV、比較例2では313HVであるのに対し、実施例1では409HV、実施例2では411HVであった。これらの結果から、各試験片の主たる相は、比較例1,2が軟質なα相、実施例1,2が硬質なマルテンサイト相であることが分かる。
また、各試験片の残留β相の体積率を電子線後方散乱回折法(EBSD)を用いて測定した結果、実施例1では4.4vol%、実施例2では3.2vol%、比較例1では5.5vol%、比較例2では12.7vol%であった。ここで、残部に関しては、上述したように、実施例1,2がマルテンサイト相、比較例1,2がα相と観察でき、その量は実施例1が95.6vol%、実施例2が96.8vol%、比較例1が94.5vol%、比較例2が87.3vol%と推測することが出来る。これらの結果より、電子ビーム溶融法等の三次元積層造形技術により積層造形されたα+β型チタン合金は、本件発明に規定する条件で熱処理を行うことで、生体材料として求められる特性(特に、疲労強度)が飛躍的に向上することが分かる。そして、上述した結果より、本件発明に係るα+β型チタン合金製品においては、残留β相を1〜5vol%含むことが、生体材料として求められる特性の向上を図る上でより好ましいといえる。
本件発明に係るα+β型チタン合金の熱処理方法を用いて製造されたα+β型チタン合金製品は、例え複雑な形状であったとしても、精密な寸法形状を実現しながら生体材料として求められる特性(疲労強度、硬さ等)を満たすことが可能であるため、人工骨や人工関節等の医療分野を含む様々な分野に好適に用いることが出来る。

Claims (3)

  1. 積層造形されたα+β型チタン合金の熱処理方法であって、
    0.1秒〜30秒の時間で800℃〜1200℃の温度まで加熱する急速加熱工程と、
    当該急速加熱工程の後に、40℃/秒以上の冷却速度で冷却する急速冷却工程とを備えたことを特徴とするα+β型チタン合金の熱処理方法。
  2. 前記急速加熱工程と前記急速冷却工程との間で、600秒以下の放冷又は保定を行う請求項1に記載のα+β型チタン合金の熱処理方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のα+β型チタン合金の熱処理方法を用いて製造され、マルテンサイト相を80vol%以上及び残留β相を1〜20vol%含むことを特徴とするα+β型チタン合金製品。
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