JP2017036939A - 土壌熱物性測定装置 - Google Patents
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Abstract
Description
このような地中熱を利用したシステムの設計においては、土壌の熱物性の測定が必要である。土壌の熱物性としては、例えば10m以下の深部地中の温度は年間に渡ってほぼ一定であるが、例えば10m未満の浅部地中では気温の影響を受けやすく、季節により変動することから、正確な測定が求められる。土壌の熱物性の方法の1つとして熱応答試験(サーマルレスポンステスト(TRT))を用いることが増えつつある(例えば特許文献1、2)。
図1は、本実施形態に係る土壌熱物性測定装置10の概略構成を示す図であり、図2は、本実施形態におけるセンサ部20の構成を示す斜視図である。図1においては、実験用の試験容器Cの中にセンサ部20を配置した構成例を示すが、センサ部20の構成はこれに限定されない。
本体部21の内周面21aには、本体部21の上下方向(図2のZ方向に沿った方向)に延びる3枚のヒータ22a、22b、22cが配置されている。これらのヒータ22a、22b、22cは、アルミニウムホイルで構成され、周方向(図2のθ方向)において、一定の間隔をあけて、本体部21の内周面21aに対してほぼ等角度ごとに配置されるように、例えば耐熱性の接着剤によって貼り付けられている。また、ヒータ22a、22b、22cは、本体部21の上部開口21bから下面21cに至るように配置されている。
なお、図2では、3つのヒータ22a、22b、22cからなる例を示したが、ヒータの数は3つに限定されず、例えば、本体部21の内周面21aに対して、周方向において4つ以上配置した構成であってもよい。
なお、熱電対は、本体部21の上下方向の複数の位置を測定可能であれば、数や位置は図2に示す例のような数や位置に限定されない。
次に、実施例1として、図1に示す構成による実験について説明する。図1に示す構成においては、試験容器Cとセンサ部20の形状、並びに、データロガー30、デジタルハイテスタ40、及び、直流安定化電源50として用いた機器を次のようにしている。
(A)試験容器C
形状:幅300mm、奥行き300mm、高さ150mmの直方体
材質:ステンレス鋼
試験容器Cは実験条件に合わせて4つ用意した。
(1)本体部21
形状:外径48mm、高さ135mmの有底円筒形
材質:炭素鋼
(2)ヒータ22a、22b、22c
形状(1枚あたり):幅50mm、長さ150mm、厚さ0.5mmの薄板状
材質:アルミニウム箔で覆われたヒータ
(3)熱電対23a、23b、23c、23d、23e
線径(1つあたり):0.32mm
センサ部20は実験条件に合わせて4つ用意した。
天然珪砂5号,北日本珪砂株式会社,山形県大石町
密度:約1500 kg/m3 文献値 熱物性ハンドブック
比熱:約800 J/(kg・K) 文献値 熱物性ハンドブック
USB熱電対計測デバイス
ナショナルインスツルメンツ社製NI9211
サンプリングレート:1サンプル/秒
日置電機社製デジタルハイテスタ3239、精度0.3%
(E)直流安定化電源50
菊水電子工業社製、出力電圧0〜30V、出力電流0〜5A
(A)測定手順
(1)常温において、試験容器Cの内部に珪砂を充填した後に、試験容器Cの平面中心(Z方向に直交する面の中心)とセンサ部20の平面中心が一致するように、試験容器Cの珪砂中にセンサ部20を埋め込む。
(2)直流安定化電源50からヒータ22a、22b、22cに所定の電圧を投入し続けることによって、本体部21を2時間加熱させ、その間の本体部21内の温度変化を1秒間隔でデータロガー30に記録する。
表1に測定条件を示す。表1において、「Power」は直流安定化電源50からヒータ22a、22b、22cに投入した電力(単位W)、「Distilled Water」は試験容器Cに含ませた蒸留水の量(単位kg)、「Sat tank weight」は珪砂を充填した状態の試験容器Cの重量(単位kg)である。蒸留水は、試験容器Cにセンサ部20を埋め込む前に、試験容器C中の珪砂に投入され、均一に混合される。この混合の後に、試験容器C内にセンサ部20が埋め込まれる。
表1に示すように、実験No.1及びNo.2は含水量0kg(乾燥条件)であり、実験No.3及びNo.4は含水量4.6kg(湿潤条件)である。また、ヒータ22a、22b、22cを加熱するための投入電力は、実験No.1及びNo.3は20Wであり、実験No.2及びNo.4は30Wである。
パラメータの逆解析に用いるケルビンの線源関数を次式(1−1)及び(1−2)に示す。
T=(QH/4π・(b・λ))・E(X) (1−1)
X=r2・(ρ・c)/4λ・t (1−2)
ここで、
Tは地層温度[単位K]であって、本実験では試験容器Cに入った珪砂の表面の温度である。
QHはヒータに与えた熱量[単位W]である。
bは試料の埋設深度[単位m]であって、本実験ではセンサ部20の高さ0.135mとなる。
λは地層の熱伝導率[単位W/(m・K)]である。
E(X)はベキ級数である。
rはセンサ部20の中心からの半径[単位m]であって、本実験ではセンサ部20の半径0.024mとなる。
ρは地層の密度[単位kg/m3]である。
cは地層の比熱[単位J/(kg・K)]である。
tはヒータに電力を投入している時間[単位秒]である。
図3は、表1に示す、乾燥条件及び湿潤条件の試料にそれぞれ20W又は30Wで加熱したときの地層温度Tの計算結果と測定値との比較した結果を示すグラフであって、横軸は経過時間(単位秒)、縦軸は地層温度T(単位K)である。図3において、表1のNo.1を■(黒い四角印)、No.2を*(アスタリスク印)、No.3を▲(黒い三角印)、No.4を●(黒い丸印)でそれぞれ示している。この実験では、試験容器Cに珪砂を充填し、この珪砂中にセンサ部20を埋め込んだ形態としているため、センサ部20内に充填する充填材と、センサ部20の外側の土層として同じ珪砂を使用していることとなる。このため、センサ部20に与えた熱量の半分の熱量が、センサ部20の外側の珪砂中に伝わったと仮定し、上記式(1−1)、(1−2)に基づいて計算を実行して逆解析を行った。図3において、「No.1」から「No.4」の各点は表1に示す「No.1」から「No.4」についての測定結果を示し、実線で示される「Analytical value」は、表1の「No.1」から「No.4」のそれぞれに対応する逆解析によって得られた計算結果である。
乾燥した土壌では、砂粒子間の空隙部分に空気が含まれ、熱伝導率は小さくなる。これに対して、湿潤状態の土壌の場合、砂粒子間の空隙を水が満たし、砂粒子間の接触部分の熱抵抗が著しく減少し、熱伝導率の増加を表すものと考えられる。実施例1の乾燥条件(図4の「During drying」、◆(黒菱形印))における熱伝導率λの実測値0.3W/(m・K)と0.32W/(m・K)は、砂の熱伝導率0.20〜1.89[W/(m・K)](日本熱物性学会、「新編熱物性ハンドブック」、2008年発行、579ページ)の範囲内にあり、乾燥条件の砂の値として妥当な値であると考えられる。また、湿潤条件(図4の「Wet sand」、■(黒四角印))の熱伝導率λの実測値1.4W/(m・K)と1.6W/(m・K)は乾燥条件の熱伝導率λの約5倍となっているため、湿潤条件の熱伝導率についても湿潤状態の砂の値として妥当な値であると考えられる。
(1)乾燥条件の熱伝導率λの実測値は0.3〜0.32W/(m・K)であり、砂の熱伝導率0.20〜1.89[W/(m・K)]の範囲内である。
(2)湿潤条件の熱伝導率λの実測値は1.4〜1.6W/(m・K)であり、乾燥時の約5倍となっているので、この熱伝導率は湿潤状態の砂の値として妥当な値である。
実施例2において、試験容器Cとセンサ部20の形状、並びに、データロガー30、デジタルハイテスタ40、及び、直流安定化電源50として用いた機器は、実施例1と同様である。
また、測定手順についても、実施例1と同様であって、まず、試験容器Cの内部に珪砂を充填した後に、試験容器Cの平面中心とセンサ部20の平面中心が一致するように、試験容器Cの珪砂中にセンサ部20を埋め込み、つづいて、直流安定化電源50からヒータ22a、22b、22cに所定の電圧を投入し続けることによって、本体部21を2時間加熱させ、その間の本体部21内の温度変化を1秒間隔でデータロガー30に記録する。
さらにまた、パラメータの逆解析についても、上式(1−1)、(1−2)に示すケルビンの線源関数に基づいて行う。
図5は、表2に示す、乾燥条件及び湿潤条件の試料にそれぞれ10W又は15Wで加熱したときの地層温度Tの計算結果と測定値との比較した結果を示すグラフであって、横軸は経過時間の自然対数(単位秒)、縦軸は地層温度T(単位K)である。図5において、表2のNo.5を◆(黒い菱形印)、No.6を*(アスタリスク印)、No.7を●(黒い丸印)、No.8を◇(白抜きの菱形印)でそれぞれ示している。実施例1と同様に、試験容器Cに珪砂を充填し、この珪砂中にセンサ部20を埋め込んだ形態としているため、センサ部20に与えた熱量の半分の熱量が、センサ部20の外側の珪砂中に伝わったと仮定し、上記式(1−1)、(1−2)に基づいて計算を実行して逆解析を行った。
図5に示すとおり、乾燥条件の砂の場合(表2のNo.5とN0.6)と、湿潤条件の砂の場合(表1のNo.7とN0.8)とにおいて、測定結果と温度変化量の計算結果は非常に良く一致していることが分かった。
ここで、
T0[単位K]は地層の初期温度であって、本実験では試験容器Cに入った珪砂の表面の初期温度である。
Q/b[単位]は単位長さあたりの投入熱量である。
dT/dlnt[単位]はヒータに電力を投入している時間(対数)あたりの地層温度の上昇量である。
実施例1と同様に、乾燥した土壌では、砂粒子間の空隙部分に空気が含まれ、熱伝導率は小さくなり、潤状態の土壌の場合、砂粒子間の空隙を水が満たし、砂粒子間の接触部分の熱抵抗が著しく減少し、熱伝導率の増加を表すものと考えられる。
y=1.942×10−4x+7.056×10−2 (2−1)
R2=8.920×10−1 (2−2)
y=9.635×10−5x+7.819×10−1 (2−3)
R2=9.825×10−1 (2−4)
なお、その他の作用、効果、構成等は実施例1と同様である。
20 センサ部
21 本体部
21a 内周面
21b 上部開口
21c 下面
22a、22b、22c ヒータ
23a、23b、23c、23d、23e 熱電対(温度計測部)
30 データロガー(記録部)
40 デジタルハイテスタ(電力計)
50 直流安定化電源(電源部)
C 試験容器
Claims (3)
- 有底筒状で金属製のセンサ部を備えた土壌熱物性測定装置であって、
前記センサ部は、
前記センサ部を加熱するヒータと、
前記センサ部の温度を計測する温度計測部とを有し、
前記センサ部の内部空間には珪砂が充填され、
前記土壌熱物性測定装置は、さらに、
前記ヒータに電力を投入するための電源部と、
前記温度計測部による計測結果を所定時間ごとに記録する記録部とを備えることを特徴とする土壌熱物性測定装置。 - 前記センサ部はステンレス鋼を有することを特徴とする請求項1に記載の土壌熱物性測定装置。
- 前記ヒータはアルミニウムホイルからなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の土壌熱物性測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015156759A JP2017036939A (ja) | 2015-08-07 | 2015-08-07 | 土壌熱物性測定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015156759A JP2017036939A (ja) | 2015-08-07 | 2015-08-07 | 土壌熱物性測定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2017036939A true JP2017036939A (ja) | 2017-02-16 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107328815A (zh) * | 2017-07-24 | 2017-11-07 | 中国华电科工集团有限公司 | 用于地源热泵系统的岩土体热物性测试仪及测试方法 |
CN108287175A (zh) * | 2017-12-14 | 2018-07-17 | 国网内蒙古东部电力有限公司经济技术研究院 | 一种实时测量土体热参数的试验方法 |
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2015
- 2015-08-07 JP JP2015156759A patent/JP2017036939A/ja active Pending
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