JP2017036340A - 組成物 - Google Patents

組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2017036340A
JP2017036340A JP2016228094A JP2016228094A JP2017036340A JP 2017036340 A JP2017036340 A JP 2017036340A JP 2016228094 A JP2016228094 A JP 2016228094A JP 2016228094 A JP2016228094 A JP 2016228094A JP 2017036340 A JP2017036340 A JP 2017036340A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pentachloropropane
tetrachloropropene
hydrogen chloride
group
reactor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2016228094A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6388016B2 (ja
Inventor
大輔 加留部
Daisuke Karube
大輔 加留部
誠之 岸本
Masayuki Kishimoto
誠之 岸本
勇博 茶木
Takehiro Chaki
勇博 茶木
雄三 小松
Yuzo Komatsu
雄三 小松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daikin Industries Ltd
Original Assignee
Daikin Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daikin Industries Ltd filed Critical Daikin Industries Ltd
Priority to JP2016228094A priority Critical patent/JP6388016B2/ja
Publication of JP2017036340A publication Critical patent/JP2017036340A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6388016B2 publication Critical patent/JP6388016B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

【課題】フッ素基含有のハロオレフィン化合物を製造するにあたり、過フッ素化物の副生を抑制することができ、目的物を高純度、高収率で製造することができるフッ素基含有のハロオレフィン化合物の製造方法及びハロゲン化炭化水素組成物を提供する。
【解決手段】本発明のハロオレフィン化合物の製造方法は、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの少なくとも一方を含む出発原料をフッ素化剤の存在下、反応器内でフッ素化する工程を経ることにより、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物を製造する方法であって、前記反応器に塩化水素を添加する工程を有する。本発明の組成物は、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの群から選択される少なくとも1種と、塩化水素とを含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、冷媒等に使用することができるフッ素基含有ハロアルカンの製造方法及びハロゲン化炭化水素と塩化水素を含有する組成物に関する。
HFC−125(CFCHF)やHFC−134a(CFCHF)などの代替冷媒は、オゾン層を破壊するCFC、HCFCなどに替わる重要な物質として広く用いられている。しかしながら、これらは強力な温暖化物質であり、その拡散によって地球温暖化に影響を及ぼすことが懸念されている。その対策として使用後の回収が行われているが、すべてを回収できるわけではなく、漏洩などによる拡散も無視できない。COや炭化水素系物質による代替も検討されているが、CO冷媒は効率が悪く、機器が大きくなることから消費エネルギーを含めた総合的な温暖化ガス排出量の削減には課題が多く、炭化水素系物質はその燃焼性の高さから安全性の面で問題がある。
これらの問題を解決する物質として、温暖化係数の低いフッ素基含有のハロオレフィン化合物が注目されている。このようなフッ素基含有ハロオレフィン化合物として、例えば1233xf(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、CFCCl=CH)が知られている。この1233xfはそれ自身単独で、または他のヒドロフルオロカーボン(HFC)、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)、ヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)などの混合物として、冷媒用途はもちろん、その他発泡剤、噴射剤、消火剤などへの応用が期待されている。また、1233xfは、HFO−1234yfといった冷媒などに応用が期待されている他のヒドロオレフィン化合物を製造するための原料、もしくはHCFC−244bbといった他のヒドロフルオロオレフィン前駆体を製造するための原料としても重要である。1233xfの製造方法としては種々知られており、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(240db)等のペンタクロロプロパンを触媒の存在下、フッ化水素(HF)と反応させる方法が知られている。例えば、特許文献1では、240dbを触媒の存在下で気相フッ素化によって2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)を連続的に製造する過程において1233xfを製造することが開示されている。
特表2014−511349号公報
しかしながら、上記のような気相フッ素化反応によってフッ素基含有のハロオレフィン化合物を製造する方法では、フッ素化の進み過ぎた副生成物、いわゆる過フッ素化物が生成する。そのため、上記従来の製造方法では、所望のフッ素基含有のハロオレフィン化合物を高い選択率で製造することは難しく、純度や収率の低下を招いてしまうという問題点があった。例えば、気相フッ素化反応によってフッ素数3の1233xf(フッ素数3)を製造する場合、フッ素数4の1234yfやフッ素数5の245cb(1,1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン)といった過フッ素化物が副生成物として生成する。このような副生成物から、目的のフッ素数のハロオレフィン化合物に戻すことは製造工程を複雑にするものであり、経済的にも不利である。このような観点から、所望のフッ素数のハロオレフィン化合物を高純度で収率よく製造することが望まれている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、フッ素基含有のハロオレフィン化合物を製造するにあたり、過フッ素化物の副生を抑制することができ、目的物を高純度、高収率で製造することができるフッ素基含有のハロオレフィン化合物の製造方法及びハロゲン化炭化水素組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、塩化水素の存在下でフッ素化反応を行うことにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記のハロオレフィン化合物の製造方法及び組成物に関する。
1.ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの少なくとも一方を含む出発原料をフッ素化剤の存在下、反応器内でフッ素化する工程を経ることにより、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物を製造する方法であって、
前記反応器に塩化水素を添加する工程を有する、ハロオレフィン化合物の製造方法。
2.前記フッ素化剤がフッ化水素である、上記項1に記載のハロオレフィン化合物の製造方法。
3.前記フッ素化を気相で行う、上記項1又は2に記載のハロオレフィン化合物の製造方法。
4.前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記テトラクロロプロペンが1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種であり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、上記項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
5.前記出発原料が1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、上記項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
6.前記出発原料が1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種であり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、上記項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
7.前記出発原料が1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンであり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、上記項6に記載の製造方法。
8.前記塩化水素の供給量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−4〜2モル当量である、上記項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。9.前記塩化水素の供給量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−2〜1モル当量である、上記項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。10.前記塩化水素の供給量は前ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−1〜1モル当量である、上記項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
11.ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの群から選択される少なくとも1種と、塩化水素とを含む、組成物。
12.前記塩化水素の含有量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−4〜2モル当量である、上記項11に記載の組成物。
13.前記塩化水素の含有量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−2〜1モル当量である、上記項11に記載の組成物。
14.前記塩化水素の含有量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に
対して1×10−1〜1モル当量である、上記項11に記載の組成物。
15.前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記テトラクロロプロペンが1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種である、上記項11〜14のいずれか1項に記載の組成物。
16.前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種である、上記項11〜15のいずれか1項に記載の組成物。
本発明に係るフッ素基を含有するハロオレフィン化合物の製造方法では、出発原料のフッ素化反応が行われる反応器に塩化水素を添加する工程を有する。この工程を有することにより、過フッ素化物の副生を抑制することができ、所望のフッ素数のハロオレフィン化合物を高純度で収率よく製造することができる。
また、本発明に係る組成物は、少なくとも塩化水素を含んでいる。そのため、この組成物を用いてフッ素化反応を行えば、過フッ素化物の副生を抑制することができ、所望のフッ素数のハロオレフィン化合物を高純度で収率よく製造することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態の製造方法では、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの少なくとも一方を含む出発原料を、フッ素化剤の存在下、反応器内でフッ素化する工程を経ることにより、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が製造される。特に、本実施形態の製造方法では、前記反応器に塩化水素を添加する工程を有する。このような工程を有することにより、フッ素化の進み過ぎた副生成物、いわゆる過フッ素化物の副生が抑制され、所望のフッ素数のハロオレフィン化合物を高純度で収率よく製造することができる。上記製造方法によれば、フッ素基の置換数が3であるハロオレフィン化合物(例えば、1233xf等のトリフルオロプロペン化合物)の製造に特に有利である。
本実施形態の製造方法で使用する出発原料は、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの少なくとも一方を含む化合物である。
ペンタクロロプロパンの構造は特に制限はなく、置換基である塩素を5個有するプロパンであれば異性体等の種類は問われない。過フッ素化物の生成がより抑制されるという点においては、ペンタクロロプロパンは、1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン(以下、「240db」と略記する)、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン(以下、「240aa」と略記する)、1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン(以下、「240fa」と略記する)等が好ましく、特に240db、240aaが好ましい。
また、テトラクロロプロペンの構造も特に制限はなく、置換基である塩素を4個有するプロペンであれば異性体等の種類は問われない。過フッ素化物の生成がより抑制されるという点においては、テトラクロロプロペンは、1,1,2,3−テトラクロロプロペン(以下、「1230xa」と略記する)、2,3,3,3−テトラクロロプロペン(以下、「1230xf」と略記する)、1,1,3,3−テトラクロプロペン(以下、「1230za」と略記する)が好ましく、特に1230xa、1230xfが好ましい。
出発原料は、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンのいずれか一方のみで構成されていてもよいし、両方で構成されていてもよい。また、出発原料は、1種のみの化合物で構成されていてもよいし、2種以上の化合物で構成されていてもよい。なお、出発原料には、本発明の効果が阻害されない程度であれば、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペン以外の化合物が含まれていてもよい。ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペン以外の化合物としては、例えば、ハロゲン置換基数の異なるプロパン、ハロゲン置換されていない炭化水素、あるいは、炭素数の異なるハロゲン化炭化水素が例示される。
本実施形態の製造方法では、出発原料のフッ素化反応が行われる反応器に塩化水素を添加する工程を備える。
出発原料に塩化水素を添加する方法は特に限定されず、例えば反応器にあらかじめ出発原料を供給しておき、そこへ塩化水素をさらに添加する方法や、反応器に出発原料と塩化水素とを同時に供給させる方法を採用してもよい。あるいは、反応器に塩化水素をあらかじめ供給させてから出発原料を該反応器に供給してもよい。
塩化水素を反応器に供給するにあたっては、反応器のどの部分からでも供給することができる。例えば、原料を反応器の入口から連続的に供給させて反応器内でフッ素化反応を行った後、生成物を反応器の出口から連続的に排出させる方式(いわゆる、連続反応方式)で反応させる場合、塩化水素は反応器の入口から供給することが好ましい。このように塩化水素を反応器の入口から供給した場合は、過フッ素化物の生成が抑制されやすく、フッ素基の置換数が3であるハロオレフィン化合物(例えば、1233xf等)を特に効率よく製造することができる。連続反応方式の場合であっても、出発原料と塩化水素を供給する順序は特に限定されず、出発原料を供給した後塩化水素を供給してもよいし、両者を同時に反応器に供給してもよいが、過フッ素化物の生成をより抑制できるという点では、同時に反応器に供給することが好ましい。
反応器への塩化水素の供給量は、例えば、出発原料に含まれるペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−4〜2モル当量とすることができる。塩化水素の反応器への供給量が上記範囲であれば、過フッ素化物の副生を抑制させる効果が十分に発揮され、また、反応出口ガスの脱酸処理に多大な工程を必要とすることもない。塩化水素の反応器への供給量は、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−2〜1モル当量であることが好ましく、1×10−1〜1モル当量であることが特に好ましい。
なお、出発原料がフッ素化される際に塩化水素は発生するが、その塩化水素の発生は反応器や触媒層など反応場の入口から順に起こる。そのため、上記のように反応器に塩化水素を別途供給しなければ、反応器の入口付近では塩化水素がほとんど存在しないので、その入口付近においては生成物の過フッ素化が進行してしまう。よって、出発原料がフッ素化される際に発生する塩化水素は、過フッ素化物の抑制に寄与しにくい。
出発原料に含まれるペンタクロロプロパンやテトラクロロプロペンのフッ素化反応は、触媒の存在下又は触媒の非存在下、フッ素化剤により行うことができる。
フッ素化剤としてはフッ化水素を使用することが好ましい。また、触媒の存在下でフッ素化反応を行う場合、その触媒の種類は特に限定されず、従来、ハロゲン化炭化水素のフッ素化反応で使用されている触媒を採用することができる。例えば、触媒は、従来からこの反応に使用されている公知の材料を使用することができ、遷移金属、14族元素、15族元素などのハロゲン化物、酸化物などが例示される。フッ素化反応を行うにあたっては
、触媒はあらかじめ反応器に充填しておけばよい。
フッ素化剤は、通常、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペン1モルに対して、1〜100モル程度とすることが適当であり、5〜50モル程度とすることができる。
フッ素化剤や、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンを反応器に供給するにあたっては、窒素、ヘリウム、アルゴン等の原料や触媒に対して不活性なガスを共存させてもよい。なお、出発原料を反応器に供給するにあたっては、酸素や塩素のような酸化剤を同伴させてもよい。
反応器としては、管型反応器が好ましく、また、触媒との接触方式としては、固定層型が好ましい。反応器は、フッ化水素の腐食作用に抵抗性がある材料によって構成されるものが好ましい。
反応は液相、気相のいずれの状態で行ってもよいが、気相反応で行うことが好ましい。この場合、塩化水素による過フッ素化物生成の抑制効果が特に大きく発揮される。
フッ素化反応の反応温度は特に限定的ではなく、通常、200℃〜550℃程度とすることができる。フッ素化反応の圧力も特に限定的ではなく、減圧、常圧又は加圧下にて反応を行うことができる。通常は、大気圧(0.1MPa)近傍の圧力下で実施すればよいが、0.1MPa未満の減圧下においても円滑に反応を進行させることができる。更に、原料が液化しない程度の加圧下で反応を行っても良い。
反応時間については限定的ではないが、触媒を用いる際は、例えば、反応系に流すガス成分の全流量F0(0℃、0.1MPaでの流量:cc/sec)に対する触媒の充填量W(g)の比率:W/Fで表される接触時間を0.1〜90g・sec/cc程度とすることが好ましく、1〜50g・sec/cc程度とすることがより好ましい。触媒を用いない際は、例えば、反応系に流すガス成分の全流量F0(0℃、0.1MPaでの流量:cc/sec)に対する反応器の容積V(cc)の比率:V/Fで表される接触時間を0.1〜100sec程度とすることが好ましく、1〜30sec程度とすることがより好ましい。尚、この場合のガス成分の全流量とは、原料、フッ化水素及び塩化水素の合計流量に、更に、不活性ガス、酸素などを用いる場合には、これらの流量を加えた合計流量である。
上記のフッ素化反応により、トリフルオロプロペンが生成する。トリフルオロプロペンの構造は、出発原料に含まれるテトラクロロプロペン(HCO−1230)やペンタクロロプロパン(HCC−240)の種類によって異なるものとなる。例えば、出発原料が上述の240db、240aa、1230xa及び1230xfの場合、フッ素化反応の生成物はいずれも1233xf(2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、CFCCl=CH)である。また、出発原料が上述の240fa及び1230zaの場合、フッ素化反応の生成物はいずれも1233zd(1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン、CFCH=CHCl)となる。
本実施形態の製造方法では、出発原料のフッ素化反応が行われる反応器に塩化水素を添加する工程を備えるので、過フッ素化物の副生が抑制される。そのため、1233xfや1233zd等のフッ素の置換基数が3であるハロオレフィン化合物が高収率で製造される。逆に出発原料のフッ素化反応が行われる反応器に塩化水素を添加する工程を経ないでフッ素化反応を行うと、フッ素の置換基数が3を超えるハロオレフィン化合物が副成して過フッ素化物が生成する。例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234yf)や1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(1234ze)が副生成物となり得
る。本実施形態の製造方法では、過フッ素化物の生成選択率を10%以下に抑えることができれば、所望のハロオレフィン化合物を効率よく製造することができる。過フッ素化物の生成選択率を5%以下に抑えることがより好ましく、3%以下に抑えることが特に好ましい。
以上のように、本実施形態に係る製造方法では、過フッ素化物の副生が抑制されることで、出発原料から目的物への選択率を高めることができ、所望のフッ素数のハロオレフィン化合物を高純度で収率よく製造することができる。
出発原料として240dbや240aa等のペンタクロロプロパンを使用した場合、ペンタクロロプロパンは反応管内で脱HClして、テトラクロロプロペンとなりやすい性質を有する。そして、このテトラクロロプロペンは、ペンタクロロプロパンに比べて触媒劣化を起こしやすい。しかし、本実施形態の製造方法では、上述のようにフッ素化反応が行われる反応器に塩化水素が供給されるので、上記脱HClの発生が化学平衡の観点から抑制される。よって、出発原料としてペンタクロロプロパンを使用したとしても、ペンタクロロプロパンの脱HClによるテトラクロロプロペンへの変化が抑制されるので、テトラクロロプロペンにより触媒劣化の懸念も少なく、触媒の寿命をさらに向上させることができる。このようにフッ素化反応で使用する触媒の寿命を向上させるという点に鑑みれば、出発原料は、240dbや240aa等のペンタクロロプロパンを使用することが好ましいといえる。
上記製造方法では、塩化水素を反応器に供給してフッ素化反応を行っているが、これとは別の方法として、あらかじめ塩化水素が出発原料に添加された組成物を使用してフッ素化反応を行ってもよい。以下、この場合に使用する組成物について説明する。
組成物は、上記ペンタクロロプロパン及び上記テトラクロロプロペンの群から選択される少なくとも1種と、塩化水素とを含む。
ペンタクロロプロパンの種類は特に制限されないが、240db、240aa及び240faの群から選択される少なくとも1種を使用することができる。これらのペンタクロロプロパンであれば、組成物をフッ素化触媒によってフッ素化反応を行ったときの過フッ素化物の生成が抑制されやすい。
テトラクロロプロペンの種類は特に制限されないが、1230xa、1230xf、1230zaの群から選択される少なくとも1種を使用することができる。これらのテトラクロロプロペンであれば、組成物をフッ素化触媒によってフッ素化反応を行ったときの過フッ素化物の生成が抑制されやすい。
また、上述したように、フッ素化反応で使用する触媒の寿命をより長くさせることができるという点では、テトラクロロプロペンよりもペンタクロロプロパンを使用することが好ましい。
塩化水素の含有量は、組成物に含まれるペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−4〜2モル当量とすることができる。塩化水素の反応器への供給量が上記範囲であれば、塩化水素による過フッ素化物の副生が抑制される効果が十分に発揮され、また、貯蔵時の腐食などの問題も生じにくくなる。塩化水素の含有量は、ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−2〜1モル当量であることが好ましく、1×10−1〜1モル当量であることが特に好ましい。
上記組成物は、塩化水素を含有していることで、この組成物を用いてフッ素化反応を行
えば、過フッ素化物の副生を抑制することができ、所望のフッ素数のハロオレフィン化合物を高純度で収率よく製造することができる。特にペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの群から選択される少なくとも1種が出発原料となるので、1233xfや1233zd等のトリフルオロプロペンを高い選択率で製造することができる。従って、上記組成物は、所望のトリフルオロプロペンを製造するための原料としての使用に適している。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の態様に限定されるものではない。
(実施例1)
反応管に240db(1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン)、塩化水素及びフッ化水素を連続的に供給した。反応器に供給した塩化水素は、240dbに対して1モル当量とした。また、反応器の内部温度は365℃とし、接触時間W/F=10g・sec/cc、240dbに対するフッ化水素のモル比は10とした。また、反応器には酸化クロム触媒を充填しておき、酸化クロム触媒の存在下でフッ素化反応を行った。上記のフッ素化反応は気相で行った。
上記フッ素化反応において、原料転化率100%であり、93%の選択率で1233xfが生成していることがわかり、過フッ素化物である1234yf及び245cbの生成選択率は3%であることを確認した。
(実施例2)
反応器に供給した塩化水素は、240dbに対して0.6モル当量としたこと以外は実施例1と同様の方法でフッ素化反応をおこなった。
上記フッ素化反応において、原料転化率100%であり、90%の選択率で1233xfが生成していることがわかり、過フッ素化物である1234yf及び245cbの生成選択率は6%であることを確認した。
(比較例1)
塩化水素を反応器に供給しなかったこと以外は実施例1と同様の方法でフッ素化反応を行った。
上記フッ素化反応において、原料転化率100%であり、85%の選択率で1233xfが生成していることがわかったが、1234yf及び245cbの生成選択率が11%と高く、実施例2のおよそ2倍の生成量となっており、過フッ素化物の副生を抑制できていないものであった。

Claims (16)

  1. ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの少なくとも一方を含む出発原料をフッ素化剤の存在下、反応器内でフッ素化する工程を経ることにより、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物を製造する方法であって、
    前記反応器に塩化水素を添加する工程を有する、ハロオレフィン化合物の製造方法。
  2. 前記フッ素化剤がフッ化水素である、請求項1に記載のハロオレフィン化合物の製造方法。
  3. 前記フッ素化を気相で行う、請求項1又は2に記載のハロオレフィン化合物の製造方法。
  4. 前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記テトラクロロプロペンが1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種であり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記出発原料が1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記出発原料が1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種であり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 前記出発原料が1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンであり、フッ素基を含有するハロオレフィン化合物が1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項6に記載の製造方法。
  8. 前記塩化水素の供給量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−4〜2モル当量である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. 前記塩化水素の供給量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−2〜1モル当量である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  10. 前記塩化水素の供給量は前ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−1〜1モル当量である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  11. ペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの群から選択される少なくとも1種と、塩化水素とを含む、組成物。
  12. 前記塩化水素の含有量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−4〜2モル当量である、請求項11に記載の組成物。
  13. 前記塩化水素の含有量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対し
    て1×10−2〜1モル当量である、請求項11に記載の組成物。
  14. 前記塩化水素の含有量はペンタクロロプロパン及びテトラクロロプロペンの総量に対して1×10−1〜1モル当量である、請求項11に記載の組成物。
  15. 前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種であり、前記テトラクロロプロペンが1,1,2,3−テトラクロロプロペン及び2,3,3,3−テトラクロロプロペンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項11〜14のいずれか1項に記載の組成物。
  16. 前記ペンタクロロプロパンが1,1,1,2,3−ペンタクロロプロパン、1,1,2,2,3−ペンタクロロプロパン及び1,1,1,3,3−ペンタクロロプロパンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項11〜15のいずれか1項に記載の組成物。
JP2016228094A 2016-11-24 2016-11-24 組成物 Active JP6388016B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016228094A JP6388016B2 (ja) 2016-11-24 2016-11-24 組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016228094A JP6388016B2 (ja) 2016-11-24 2016-11-24 組成物

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014206390A Division JP6098608B2 (ja) 2014-10-07 2014-10-07 フッ素基を含有するハロオレフィン化合物の製造方法及び組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017036340A true JP2017036340A (ja) 2017-02-16
JP6388016B2 JP6388016B2 (ja) 2018-09-12

Family

ID=58046966

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016228094A Active JP6388016B2 (ja) 2016-11-24 2016-11-24 組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6388016B2 (ja)

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013545715A (ja) * 2010-04-26 2013-12-26 アルケマ フランス ペンタクロロプロパンの液相フッ素化による2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO1233xf)の製造方法
JP2014503496A (ja) * 2010-11-15 2014-02-13 アルケマ フランス ペンタクロロプロパンの液相フッ素化による2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(hcfo1233xf)の製造方法
WO2014025065A1 (en) * 2012-08-08 2014-02-13 Daikin Industries, Ltd. Process for producing 2,3,3,3-tetrafluoropropene

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013545715A (ja) * 2010-04-26 2013-12-26 アルケマ フランス ペンタクロロプロパンの液相フッ素化による2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO1233xf)の製造方法
JP2014503496A (ja) * 2010-11-15 2014-02-13 アルケマ フランス ペンタクロロプロパンの液相フッ素化による2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(hcfo1233xf)の製造方法
WO2014025065A1 (en) * 2012-08-08 2014-02-13 Daikin Industries, Ltd. Process for producing 2,3,3,3-tetrafluoropropene

Also Published As

Publication number Publication date
JP6388016B2 (ja) 2018-09-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102052141B1 (ko) 2,3,3,3-테트라플루오로프로펜의 제조 방법
EP3301083A1 (en) Method for producing fluorinated olefins
KR20100039352A (ko) 2-클로로-3,3,3,-트리플루오로프로펜(HCFC-1233xf)을 제조하는 개선된 방법
JP2012515215A (ja) 1,1,3,3−テトラフルオロプロペンの異性化
KR20180039665A (ko) 클로로알칸의 신규 플루오린화 방법
EP2336102A1 (en) Method for producing fluorinated organic compounds
JP2019500359A (ja) クロム触媒を用いた気相接触フッ素化
US11572326B2 (en) Method for preparing 1,1,1,2,2-pentafluoropropane
JP2021530531A (ja) 断熱反応ゾーン内におけるハロオレフィンの生成
JP5513513B2 (ja) ヒドロフルオロクロロプロパンのフルオロプロペンへの変換
JP6098608B2 (ja) フッ素基を含有するハロオレフィン化合物の製造方法及び組成物
JP6388016B2 (ja) 組成物
US10407368B2 (en) Method for producing haloolefin compound and method for removing stabilizer
JP2016006110A (ja) 2,3,3,3−テトラフルオロプロペンの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161226

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170517

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170606

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170807

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180312

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180717

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180730

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6388016

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151