JP2017035131A - Ecg信号処理装置、mri装置及びecg信号処理方法 - Google Patents

Ecg信号処理装置、mri装置及びecg信号処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ECG信号に含まれる傾斜磁場により生じたノイズを抑圧し、心臓の活動電位に関する特徴を安定して精度良く抽出できるECG信号処理装置を提供する。【解決手段】ECG信号処理装置1は、MRI装置300の傾斜磁場が印加されていないときに、MRI装置300と共に用いられる心電計100から取得したECG信号のパラメータを第1のパラメータとして記憶する記憶部と、傾斜磁場を印加しているときにMRI装置300から取得した傾斜磁場信号と、憶部に記憶した第1のパラメータとを用いて、傾斜磁場によってECG信号に混入したノイズを推定する適応フィルタ10と、推定したノイズを用いて、傾斜磁場を印加しているときにECG信号に混入するノイズを除去するノイズ除去部と、を備える。【選択図】図5

Description

本発明の実施形態はECG信号処理装置、MRI装置、及びECG信号処理方法に関する。
心電計は、生体に電極を取り付け、電極間の電位差を計測する装置である。心電計によって計測される信号はECG(ECG:Electrocardiogram)信号と呼ばれ、医療分野で広く用いられている。ECG信号は、例えば、P波(P-wave)、R波(R-wave)、QRS複合波(QRS complex)、T波(T-wave)と呼ばれる波形を有している。これらの波形は、各種の心疾患の診断に用いられる他、心電同期撮像が可能な医療撮像装置の同期信号に利用されるため、波形の自動検出は産業応用上重要である。例えば、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置を用いた心臓の画像診断では、ECG信号から検出される同期信号(トリガ信号とも呼ばれる)を用いて、例えば、心臓の収縮や拡張に同期したタイミングで撮像が行われる。このような撮像を心電同期撮像と呼ぶ。
MRI装置内部の被験者から取得するECG信号では、MRI装置から生じる磁場の影響によりECG信号にノイズが混入し信号対雑音比が劣化する。特に撮像中は強いノイズが混入し、最も目立つR波でさえ安定した検出が困難になる場合がある。ノイズに対して頑健にR波を検出するためには、取得したECG信号から心臓の活動電位を強調し、活動電位以外のノイズを抑圧することが有効である。
R波検出性能を劣化させるようなノイズは、撮像に伴う傾斜磁場の切り替えやRFパルスに起因して発生する。心電計や電極の周りの磁束密度が時間と共に変化し、誘導起電力が発生しECG信号にノイズとして混入する。そのため、傾斜磁場やRFパルスとノイズの性質は似ており、傾斜磁場制御信号からどのようなノイズがECG信号に混入するかをある程度推定できる。これまでにも、適応フィルタを用いて傾斜磁場制御信号からECG信号に混入したノイズを推定し除去する手法が提案されている。
しかしながら、従来の適応フィルタでは、ノイズの除去量が十分でなかったり、逆に過剰に除去してしまい心臓の活動電位まで著しく損なったりしてしまう場合があった。
特許第2984853号公報
そこで、ECG信号に含まれる傾斜磁場により生じたノイズを抑圧できるECG信号処理装置、MRI装置、及びECG信号処理方法が要望されている。
実施形態のECG信号処理装置は、MRI装置の傾斜磁場が印加されていないときに、前記MRI装置と共に用いられる心電計から取得したECG信号のパラメータを第1のパラメータとして記憶する記憶部と、前記傾斜磁場を印加しているときに前記MRI装置から取得した傾斜磁場信号と、前記記憶部に記憶した前記第1のパラメータとを用いて、前記傾斜磁場によって前記ECG信号に混入したノイズを推定する適応フィルタと、推定した前記ノイズを用いて、前記傾斜磁場を印加しているときに前記ECG信号に混入するノイズを除去するノイズ除去部と、を備える。
MRI装置における心電同期撮像の概念を示す図。 ECG信号を模式的に示す図。 傾斜磁場によってノイズが重畳するECG信号を例示する図。 ECG信号処理装置のハードウェア構成を示す図。 第1の実施形態のECG信号処理装置の構成を示す第1のブロック図。 第1の実施形態のECG信号処理装置の構成を示す第2のブロック図。 第1の実施形態のECG信号処理装置の処理例を示すフローチャート。 第1の実施形態のECG信号処理装置におけるデータの流れ及び処理の流れを模式的に示す図。 第1の実施形態のECG信号処理装置の効果を示す図。 第2の実施形態のECG信号処理装置の構成を示すブロック図。 第2の実施形態のECG信号処理装置の処理例を示すフローチャート。 第2の実施形態のECG信号処理装置の効果を示す図。 第2の実施形態の変形例ECG信号処理装置の構成を示すブロック図。 第2の実施形態の変形例ECG信号処理装置の処理例を示すフローチャート。 ECG信号処理装置を含むMRI装置の構成を示すブロック図。
実施形態に係るECG信号処理装置、MRI装置及びECG信号処理方法の実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をするものとして、重複する説明を適宜省略する。
(第1の実施形態)
図1は、MRI装置において従来から行われている心電同期撮像の概念を示す図である。MRI装置500は、例えば、ガントリ装置501、寝台502、MRI制御部503を備えている。ガントリ装置501は、円筒状の、静磁場用磁石510、傾斜磁場コイル512、RFコイル514等を備えている。
ガントリ装置501の円筒状の空間(ボアとも呼ばれる)に、寝台502の天板504に横臥する被検体、例えば患者、が搬送されて撮像される。撮像中においては、RFコイル514から高周波磁場が被検体に印加されると共に、直交3軸方向の傾斜磁場が傾斜磁場コイル512から被検体に印加される。傾斜磁場を被検体に印加するために、直交3軸方向の傾斜磁場に対応する傾斜磁場信号Gx、Gy、Gzが、MRI制御部503から傾斜磁場コイル512に供給される。
心電同期撮像を行う場合は、心電計100から出力されるECG信号に基づいて同期信号を生成し、この同期信号に同期させたタイミングで、傾斜磁場や高周波磁場を被検体に印加する。心電計の電極101は、通常、ボア内の被検体の体表面に装着される。
前述したように、撮像中においては、傾斜磁場や高周波磁場が電極101にも印加されることになるため、心電計100から出力されるECG信号にはノイズが重畳する。とくに、傾斜磁場の印加に伴って非常に大きなノイズがECG信号に重畳することになる。
図2は、ノイズが重畳していないときのECG信号の波形を模式的に示す図である。図2に示すように、ECG信号は、P波、Q波、R波、S波、T波等の特定の波形を有しており、これらの波形は心臓の活動電位に対応するものである。以下の各実施形態では、これらの特定の波形のうち、R波を検出する例を説明する。R波を検出する例は、一例であり、実施形態のECG信号処理装置は、R波以外の波形(例えば、P波、T波等)を検出することが可能である。
図3は、傾斜磁場が印加されたときのECG波形を例示する図である。撮像中においては、図3の下段に例示するような傾斜磁場Gx、Gy、Gzが印加される他、RFパルスも印加される。以下では、傾斜磁場またはRFパルスが印加されている期間を撮像期間と呼び、傾斜磁場及びRFパルスが印加されていない期間を非撮像期間と呼ぶ。
MRI装置においては、傾斜磁場やRFパルスの強度や印加タイミング等が規定された「パルスシーケンス」が実行されることによりデータが収集される。また、パルスシーケンスの実行開始から、必要数のTR(Repetition Time)が繰り返されて所定のデータを収集するまでの撮像単位は、「プロトコル」等と称される。本明細書において、「撮像期間」とは、例えば、パルスシーケンスが実行されている期間であることを意味する。反対に、本明細書において、「非撮像期間」とは、例えば、パルスシーケンスが実行されていない期間であることを意味する。例えば、一連の検査に含まれる最初のプロトコルの開始前や、プロトコルとプロトコルとの間等が、「非撮像期間」に相当する。また、被検体に表面コイル等を設置した後、校正等のために行われるプリスキャンが開始されるまでの期間も「非撮像期間」に相当する。また、1プロトコルに対応するパルスシーケンスの実行中に、「非撮像期間」が含まれる場合も考えられる。例えば、縦磁化の回復を待つために、複数心拍分、RFパルスや傾斜磁場の印加が中段されることがあるが、このような中断期間も「非撮像期間」の一例である。
撮像期間では、図3の上段に例示するように、ECG信号にノイズが重畳する。一方、非撮像期間では、傾斜磁場Gx、Gy、GzやRFパルスが印加されないため、ECG信号にはノイズが重畳せず、R波等の心臓の活動電位のみによる波形となる。
図3に例示するECG信号では、R波が他の波形よりも顕著となっているが、心臓に疾患等をもつ患者の中には、R波のピーク値がP波やT波と区別ができない程度に小さい患者も存在する。このため、これらの患者のECG信号にノイズが重畳した場合、ECG信号の中から同期信号としてのR波を検出することがより一層困難となってくる。
実施形態のECG信号処理装置は、ECG信号に重畳するこのようなノイズを抑圧するものである。
図4は、第1の実施形態のECG信号処理装置1のハードウェア構成例を示す図である。ECG信号処理装置1は、第1入力回路201、第2入力回路202、記憶回路203、処理回路206、及び通信回路207を有する。
第1入力回路201は、心電計100(図5参照)からECG信号を取得する。第2入力回路202は、MRI装置300から傾斜磁場信号を取得する。傾斜磁場信号は、傾斜磁場Gx、Gy、Gzを発生させるための制御信号であり、各傾斜磁場Gx、Gy、Gzのパルス波形に相似した波形を有する信号である。傾斜磁場信号は、傾斜磁場Gx、Gy、Gzのそれぞれに対応して3つの信号から構成される。以下では、3つの傾斜磁場信号を、gx、gy、gzと表記する場合がある。
記憶回路203は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)を含むROM/RAM204と、外部記憶装置205とを有する。外部記憶装置205は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、光ディスク、磁気ディスク等の記憶媒体である。ROM/RAM204、及び外部記憶回路205は、各種データや各種プログラムを記憶する。
処理回路206は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。記憶回路203に記憶されたプログラムを処理回路206が実行することによって、以下に述べるような各種の機能が実現される。
処理回路206は、ASIC(Application Specific Integration Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成してもよく、この構成によっても以下で述べる各種機能を実現することもできる。また、これらの機能は、ASICやFPGA等のハードウェアによる処理と、プロセッサによるソフトウェア処理とを組み合わせて実現することもできる。
通信回路207は、外部の装置との通信を行う。また、バス208は、上述した各回路を接続する。
図5は、ECG信号処理装置1の機能構成を示すブロック図であり、ECG信号処理装置1に接続される心電計100及びMRI装置300、及び必要に応じてECG信号処理装置1に接続されるディスプレイ400も併せて図示している。心電計100はECG信号を生成し、ECG信号処理装置1に送る。ECG信号処理装置1は、ECG信号から同期信号を生成し、MRI装置300に送る。
心電計100は、電極101a、101b、差動増幅器110、及びAD変換器120を備える。電極101a、101bは人体に取り付けられる。差動増幅器110は、電極101a、101b間の微弱な電位差を増幅する。AD変換器120は、増幅器110が増幅したアナログ信号を、例えば1ミリ秒のサンプリング間隔でサンプリングしてデジタル信号に変換する。
心電計100は、2つの電極101a、101bを例示しているが、電極の数は2つに限定されるものではない。例えば、12誘導心電図を得るために、四肢に夫々取り付ける4つの電極と、胸部に取り付ける6つの電極を備える構成でもよい。また、体の2点間の電位差を求める方法ではなく、あらかじめ決めておいた基準と電極装着点の電位差を記録する方法であっても構わない。
MRI装置300は、傾斜磁場コイル310及びMRI制御回路320を少なくとも備えている。MRI制御回路320は、傾斜磁場コイル310に傾斜磁場電流を供給して傾斜磁場を発生させる。また、MRI制御回路320は、傾斜磁場電流に対応する波形をもつ傾斜磁場信号をECG信号処理装置1に出力する。MRI装置300が心電同期撮像を行う場合は、ECG信号処理装置1がECG信号から検出した同期信号を用いて、心拍周期に同期したパルスシーケンスを用いて被検体を撮像する。また、MRI装置300は、傾斜磁場を印加しているか否か、即ち、撮像期間であるのか非撮像期間であるのかを示す信号(「撮像期間/非撮像期間」信号)をECG信号処理装置1に出力する。「撮像期間/非撮像期間」信号は、例えば、傾斜磁場電流を生成する傾斜磁場電源から出力される信号でも良いし、傾斜磁場電源を制御するシーケンサから出力される制御信号でもよい。或いは、MRI装置300の全体を制御するコンソール(ホスト計算機)から出力する信号でもよい。
ECG信号処理装置1は、前述したように、プロセッサを具備する処理回路206を有している。この処理回路206によって、図5に示す、適応フィルタ10の機能、ノイズ除去機能20、検出機能30、参照パラメータ抽出機能40、参照パラメータ格納機能50を実現する。適応フィルタ10の機能は、ノイズ推定機能12、誤差計算機能14、フィルタ係数更新機能16、フィルタ係数格納機能18によって構成され、これらの各機能12、14、16、18も処理回路206によって実現される。
ここで、適応フィルタとは、フィルタ処理後の信号と事前に与える参照値の誤差が小さくなるようにフィルタ係数を更新する仕組みを持つフィルタである。事前に厳密なフィルタ設計を必要としないため操作者への負担が小さく、また被験者に特別なハードウェアを装着する必要がないため被験者への負担も小さい。
適応フィルタ10のうち、ノイズ推定機能12は、例えば、ウェイト係数可変型のFIR(Finite Impulse Response)フィルタによって実現することができる。
図6は、図5に示したブロック図のうち、特にノイズ推定機能12を、タップ長Mのウェイト係数可変型FIRフィルタで実現する例を示す図である。図6に示すFIRフィルタにおいて、g[n]は、時刻nにおける傾斜磁場信号であり、τは遅延時間を示す。また、Wm[n]は、時刻nにおける、タップ番号m(m=0〜(M−1))のウェイト係数を示している。
図7は、第1の実施形態に係るECG信号処理装置1の処理例を示すフローチャートである。以下、図7のフローチャートにしたがって図5及び図6に示す各機能を説明する。
ステップST100は、ノイズ推定機能12の一部に対応するステップである。処理回路206は、MRI装置300のMRI制御回路320から、第2入力回路202(図4参照)を介して傾斜磁場信号を時系列信号として取得する。取得する傾斜磁場信号は、例えば、X軸傾斜磁場、Y軸傾斜磁場、Z軸傾斜磁場を発生するための3チャンネルのデジタル信号である。傾斜磁場信号は、スライス選択傾斜磁場、周波数エンコード傾斜磁場、位相エンコード傾斜磁場に対応する3チャンネルのデジタル信号であってもよい。
ステップST101は、ノイズ除去機能20の一部に対応するステップである。なお、以下で述べる、「ノイズ除去」、「ノイズ除去機能」、「ノイズを除去する」、或いは「ノイズ除去処理」との用語は、ノイズを完全に除去するという意味だけでなく、ノイズを低減する、或いはノイズを抑圧する、という意味でも用いている。
処理回路206は、心電計100のAD変換器120から、第1入力回路201を介してECG信号を時系列信号として取得する。取得するECG信号は、心電計100のAD変換器120において、例えば1000Hzでサンプリングされた(サンプリング周期1ミリ秒)デジタル信号である。
ステップST102乃至ステップST104は、主に参照パラメータ抽出機能40に対応するステップである。
ステップST102で、処理回路206は、MRI装置300から、傾斜磁場を印加しているか否かを示す動作信号(例えば、「撮像期間/非撮像期間」信号)を取得し、MRI装置300が、現在傾斜磁場を印加しているか否かを判定する。これに換えて、或いはこれに加えて、処理回路206が、ステップST100で取得する傾斜磁場信号をモニタし、傾斜磁場信号の有無に基づいて傾斜磁場信号を印加しているか否かを判定してもよい。傾斜磁場を印加していない場合は、ステップST103に進む。
ステップST103で、処理回路206は、参照パラメータを抽出するか否か、即ち、参照パラメータを抽出して格納するか否かを判定する。参照パラメータを抽出するか否かは、ステップST102と同様に、傾斜磁場を印加しているか否かを示す信号を用いて、傾斜磁場を印加していないときに限り、参照パラメータを抽出してよい、と判定することができる。
図5或いは図6のブロック図で示すように、参照パラメータ抽出機能40には、ノイズ除去機能20から出力されるECG信号が入力されている。ノイズ除去機能20から出力されるECG信号を、以下、「ノイズ除去処理後のECG信号」と呼ぶものとする。傾斜磁場が印加されていない期間においては、ノイズ除去処理後のECG信号には、ノイズ除去処理を行っても行わなくても、ノイズが重畳していない。ステップST104では、このノイズ除去処理後のECG信号から参照パラメータを抽出する。
ここで、参照パラメータとは、傾斜磁場を印加していないときのECG信号の特徴を示すパラメータのことである。例えば、傾斜磁場を印加していないときのECG信号の波形を参照パラメータとすることができる。言い換えれば、傾斜磁場に起因するノイズが重畳しておらず、心臓の活動電位のみで変動するECG信号の波形(時系列のデータ)を参照パラメータとすることができる。
傾斜磁場を印加していないときのECG信号に対しては、図5及び図6に示す検出機能30によって、比較的容易にR波を検出することができる。そこで、参照パラメータとしてECG信号の波形を用いる場合、ECG信号の波形を切り出す範囲を、検出したR波の位置に基づいて決定することができる。例えば、R波を検出した時刻から、それよりも所定の時間だけ過去の期間や、R波の前後の所定の期間を、ノイズ除去処理後のECG信号から抽出して、抽出したECG信号の波形を参照パラメータとすることができる。
参照パラメータとしては、この他、傾斜磁場を印加していないときのR波のピーク値や、傾斜磁場を印加していないときのECG信号の平均電力値等を参照パラメータとすることもできる。また、抽出したECG信号の波形と、R波のピーク値やECG信号の平均電力値等とを組み合わせて参照パラメータとすることもできる。
ステップST105は、参照パラメータ格納機能50に対応するステップである。処理回路206は、ステップST104で抽出した参照パラメータを記憶回路203に格納する。記憶回路203は、参照パラメータを1つ以上保持してもよい。
また、ステップST104、105において、処理回路206は、傾斜磁場を印加していない期間(非撮像期間)中、ノイズ除去処理後のECG信号から参照パラメータを逐次抽出し、抽出した参照パラメータを用いて、記憶回路203に格納されている参照パラメータを逐次更新するようにしてもよい。
図6の右下に示す波形は、参照パラメータ格納機能50によって記憶回路203に格納される、参照パラメータとしてのECG信号の波形(ノイズが重畳されていないECG信号の波形)を模式的に示したものである。
一方、ステップST102において、傾斜磁場を印加している、言い換えれば、撮像期間中であると判定されると、ステップST106に進む。
ステップST106は、ノイズ推定機能12に対応するステップである。前述したように、ノイズ推定機能12は、例えば、図6に例示するフィルタ係数可変型のタップ長MのFIRフィルタによって実現することができる。このFIRフィルタ12の入力は傾斜磁場信号であり、出力は、ECG信号に重畳するノイズの推定値である。
Figure 2017035131
(式1)において、w[n]は、時刻nにおけるタップ番号m(m=0〜(M−1))におけるフィルタ係数を表わしている。また、gx[n−m]、g[n−m]、g[n−m]は、時刻nにおいて、番号mのタップに入力される直交3方向(X軸、Y軸、Z軸)傾斜磁場信号をそれぞれ表わしている。
(式1)では、直交3方向の傾斜磁場信号を加算し、その加算信号をFIRフィルタに入力してノイズの推定値を求めている。なお、図6に示したFIRフィルタでは、直交3方向の傾斜磁場信号の和信号を、g[n−m]として表記している。
一方、直交3方向(X軸、Y軸、Z軸)傾斜磁場信号をそれぞれを個別のFIRフィルタに入力し、3つのFIRフィルタの出力を加算し、その加算信号をノイズの推定値とすることもできる。この場合、ノイズの推定値は、次の(式2)で表すことができる。
Figure 2017035131
ステップST106では、処理回路206が、記憶回路203に格納されているフィルタ係数w[n]と、ステップST100で取得した傾斜磁場信号gx[n−m]、g[n−m]、g[n−m]とを用いて、上記の(式1)又は(式2)の演算を行うことによってECG信号に重畳したノイズを推定する。
次のステップST107は、ノイズ除去機能20に対応するステップである。ステップST107において、処理回路206は、ステップST101で取得したECG信号に対してノイズ除去処理を行う。具体的には、次の(式3)で表されるように、ステップST101で取得したECG信号から、ステップST106で求めたノイズの推定値を減算して、ノイズ除去処理後のECG信号を求める。
Figure 2017035131
ステップST108は、検出機能30に対応するステップである。ステップST108において、処理回路206は、ノイズ除去処理後のECG信号から特定の波形、具体的にはR波を検出する。R波の検出は、例えばノイズ除去処理後のECG信号の振幅値と事前に与える閾値とを比較して検出しても良く、また事前に用意したR波テンプレートとノイズ除去処理後のECG信号とを、パターンマッチングの手法を用いて検出しても良い。
ステップST109は誤差計算機能14に対応するステップである。ステップST109では、処理回路206は、ステップST105で格納した参照パラメータ(第1のパラメータ)と、ノイズ除去処理後のECG信号から抽出したパラメータ(第2のパラメータ)との誤差を計算する。誤差計算の対象となる第1のパラメータと第2のパラメータとは対応するものである。例えば、参照パラメータが、傾斜磁場が印加されていないときのECG波形である場合、第2のパラメータは、傾斜磁場の印加中におけるノイズ除去処理後のECG信号から抽出したECG波形となる。誤差としては、次の(式4)で表される平均最小二乗誤差εLMSを用いることができる。
Figure 2017035131
ここで、εLMS[n]は、時刻nにおける平均最小二乗誤差であり、xref[n]は、時刻nに対応する参照パラメータ(傾斜磁場の印加がないときに取得したECG信号の波形)である。誤差としては、この他、差分絶対値(L1ノルム)を用いてもよい。
ステップST110は、フィルタ係数更新機能16に対応するステップである。ステップST110では、処理回路206は、計算した誤差を低減させるためのフィルタ更新量Δw[n]を算出する。そして、記憶回路203に格納されている現在時刻nのウェイト係数w[n]と、算出したフィルタ更新量Δw[n]を用いて、次の(式5)によって、次の時刻n+1のウェイト係数w[n+1]を求めて、記憶回路203に格納されているウェイト係数を更新する。
Figure 2017035131
誤差として平均最小二乗誤差を用いる場合、フィルタ更新量Δw[n]は、次の(式6)で算出することができる。
Figure 2017035131
(式6)は、(式1)に対応するものであり、g[n-m]は、直交3方向の傾斜磁場信号の加算信号である。また、μは、ステップサイズと呼ばれるパラメータであり、計算機シミュレーション等で事前に設計することができる。
ステップST106からステップST110までの処理は、時刻nごとに繰り返し行なわれる処理である。このうち、ステップST106、107、109、110の処理が、実質的に適応フィルタ10の処理に該当する。
ステップST111では、必要に応じて、ノイズ除去処理後のECG波形を、ディスプレイ400(図5参照)に表示する。
ステップST112は終了処理判定であり、処理終了の指示が外部から入力されるまで、ステップST100からステップST111までの処理を繰り返す。
図8は、上述した各ステップの処理を縦方向とし、時刻を横方向として、データの流れ、或いは処理の流れを模式的に示したものである。
上述したように、適応フィルタ10では、誤差εLMS[n]が小さくなるように、換言すれば、誤差εLMS[n]がゼロに近づくようにフィルタ係数を更新する。つまり、傾斜磁場が印加された状態でのノイズ除去処理後のECG信号と、傾斜磁場が印加されていないときに取得したECG信号との類似度が高くなるように、フィルタ係数を更新する。したがって、フィルタ係数が収束した理想的な状態では、傾斜磁場が印加された状態でのノイズ除去処理後のECG信号は、傾斜磁場が印加されていないときに取得したECG信号とほぼ一致することになる。
別な見方をすると、フィルタ係数が収束した理想的な状態では、FIRフィルタから出力されるノイズの推定値は、傾斜磁場によってECG信号に重畳したノイズとほぼ合致する。その結果、ノイズ除去処理前のECG信号から、ノイズの推定値を減算したノイズ除去処理後のECG信号では、重畳したノイズが除去され、心臓の活動電位のみで変動するECG信号を得ることができる。
図9は、第1の実施形態に係るECG信号処理装置1の効果を示す図である。ボランティアにMRI検査を受けてもらい、その間に収録したECG信号と傾斜磁場信号を用いてどれだけ心臓の活動電位を保存したまま、活動電位以外のノイズを除去できるかを評価した。図9(a)に示すECG信号(ECG信号処理装置1への入力信号)では、2つの連続するR波のちょうど中間あたりにRFパルスに起因するノイズが混入しており、R波の直前の区間には傾斜磁場に起因するノイズが混入している。
図9(b)は、従来法によるノイズ除去処理後のECG信号を示している。ここでの従来法とは、例えば、非特許文献1に開示されているような、参照パラメータを使用しない適応フィルタによるノイズ除去法を指している。従来法では、ノイズ除去量は多いものの、ノイズの除去効果が過剰となり、心臓の活動電位を示すP波やT波等も除去され、これらのほとんどの情報が欠落している。また、R波も入力信号に比べて振幅が小さくなっており、全体的に心臓の活動電位まで除去されていることがわかる。
一方、図9(c)は、第1の実施形態にかかるECG信号処理装置1の処理方法を用いたノイズ除去処理後のECG信号を示している。図9(c)から判るように、第1の実施形態にかかるECG信号処理装置1によれば、RFパルスや傾斜磁場に起因するノイズがほぼ除去されており、その一方で、R波のみならず、P波やT波などの心臓の活動電位が保持されている様子がわかる。
このように、第1の実施形態にかかるECG信号処理装置1によれば、ECG信号に含まれる傾斜磁場により生じたノイズを抑圧する一方、心臓の活動電位に関する特徴を安定して精度良く抽出できる。その結果、MRI装置が撮像中であっても、安定かつ確実にMRI装置に同期信号を供給することができる。
(第2の実施形態)
第2の実施形態のECG信号処理装置1は、周波数領域でノイズの推定とノイズの除去を行うことを特徴とする。第1の実施形態と同一の構成と同一の処理については、同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10は、第2の実施形態のECG信号処理装置1の機能構成を示すブロック図である。第2の実施形態では、処理回路206は、第1の実施形態の機能に加え、第1信号変換機能60、第2信号変換機能62、及び信号逆変換機能70を実現する。
第1信号変換機能60は、心電計100から取得したECG信号をバッファリングし、周波数領域へ変換する。バッファは例えば直近の256サンプルのECG信号を格納でき、その256サンプルのECG信号を周波数領域に変換する。周波数領域に変換されたECG信号をECGスペクトルと呼ぶものとする。
第2信号変換機能62は、MRI装置300から取得した傾斜磁場信号をバッファリングし、周波数領域へ変換する。周波数領域に変換された傾斜磁場信号を傾斜磁場スペクトルと呼ぶものとする。第1信号変換機能60と同様に、例えば直近の256サンプルの傾斜磁場信号を格納でき、その256サンプルの傾斜磁場信号を周波数領域に変換する。
また、ノイズ除去機能20、検出機能30、参照パラメータ抽出機能40、参照パラメータ格納機能50、適応フィルタ10を構成する各機能は、周波数領域に変換されたスペクトルの周波数帯域毎に行われる。但し、各周波数帯域における夫々の機能による処理内容は、第1の実施形態とほぼ同じである。
ノイズ推定機能12は、第2信号変換機能62から、傾斜磁場スペクトルを取得する。傾斜磁場が印加されている場合には、記憶回路203に格納されているフィルタ係数を用いて傾斜磁場によりECG信号に混入するノイズを推定する。ノイズの推定は、例えば次の(式7)式を用いて行う。
Figure 2017035131
(式7)は、直交3方向の傾斜磁場信号のパワースペクトル(傾斜磁場スペクトラム)の加算値に対して1つの適応フィルタを適用する処理であるが、第1の実施形態と同様に、3方向の夫々の傾斜磁場信号のパワースペクトルに対して、個別の適応フィルタを施し、各適応フィルタの加算値をノイズのパワースペクトルの推定値とする方法でもよい。この場合、次の(式8)でノイズのパワースペクトルの推定値を求めることができる。
Figure 2017035131
Figure 2017035131
なお、位相情報については、第1信号変換機能60から取得したECG信号の位相をそのままノイズ除去処理後のECG信号の位相とすることができる。
参照パラメータ抽出機能40は、ノイズ除去機能20から取得したノイズ除去処理後のECGスペクトラムを受け取り、参照パラメータを抽出するか判断し、抽出する時は参照パラメータを抽出する。参照パラメータを抽出するか否かは、例えばR波区間であるかどうかで決定しても良い。
参照パラメータとしては、傾斜磁場が印加されていないときに取得した、例えば、ノイズ除去処理後のECG信号のパワースペクトルを用いることができる。また、参照パラメータの抽出は、(式11)に示すように、検出機能30がR波のピークを検出した時刻(n)に抽出しても良い。或いは、(式12)に示すように、所定期間(nからnまで)の平均パワースペクトルを抽出しても良い。ここでの所定期間は、例えば、平均的な1心拍の期間である。
Figure 2017035131
この他、あるいはR波とR波以外の区間でそれぞれ抽出した参照パラメータを組み合わせて使っても良い。
誤差計算機能14は、格納された参照パラメータ(傾斜磁場が印加されていないときに取得したECG信号のパワースペクトル:第1のパラメータ)と、傾斜磁場印加中のノイズ除去処理後ECG信号のパワースペクトラム(第2のパラメータ)とから誤差を計算する。誤差の算出には、例えば周波数帯域毎の平均二乗誤差として、次の(式13)を用いることができる。
Figure 2017035131
フィルタ係数更新機能16は、計算した誤差を低減させるためのフィルタ更新量を計算し、記憶回路203に格納されたフィルタ係数を更新する。例えば誤差として平均二乗誤差を用いると、更新は以下の(式14)、(式15)で計算できる。
Figure 2017035131
ここで、μωは、ステップサイズと呼ばれるパラメータであり、周波数帯域毎に異なる値とすることができる。ステップサイズμωは、計算機シミュレーション等で事前に設計することができる。
フィルタ格納機能18は、周波数領域で表現される傾斜磁場信号の周波数帯域ごとに、(式14)、(式15)で求めたフィルタ係数を格納する。
図11は、第2の実施形態のECG信号処理装置1の処理例を示すフローチャートである。第2の実施形態では、短時間フーリエ変換(Short−Term Fourier Transform:STFT)を行い周波数領域にてノイズ推定、ノイズ除去、R波検出、参照パラメータ抽出、フィルタ更新を行った後、ノイズ除去後のECG信号に逆フーリエ変換を行う。なお、ステップST100からステップST112までは第1の実施形態と同様であるので説明を省く。
ステップST500では、第2信号変換機能62が、ステップST100で取得した時系列の傾斜磁場信号を、バッファに格納された過去の傾斜磁場信号と共に、周波数領域に変換する。周波数領域に変換する前に、例えばハミング窓やハニング窓などの窓関数をかけても良い。窓関数がかけられた傾斜磁場信号は、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform:FFT)により、傾斜磁場信号のパワースペクトル(傾斜磁場スペクトル)に変換される。
ステップST501では、第1信号変換機能60が、ステップST101で取得した時系列のECG信号を、バッファに格納された過去のECG信号とともに、周波数領域に変換する。ステップST500と同様に、窓関数をかけても良い。
ステップST503では、信号逆変換機能70が、ノイズ除去機能20にてノイズが除去されたノイズ除去処理後のECG信号のスペクトルを受け取り、逆FFTを行い、周波数領域から時間領域に変換する。なお、逆変換された信号はステップST500、或いはステップST501で使用した窓関数を再度かけてオーバーラップアドをしても良く、ステップST500、或いはステップST501で使用した窓関数と別の窓関数を使用しても良い。
図12は、ECG信号に対して周波数領域でノイズ除去を行う、第2の実施形態のECG信号処理装置1の効果を示す図である。図12(a)のECG信号(入力)は、第1の実施形態にて述べた信号(図9(a))と同じECG信号である。第2の実施形態では、周波数領域で周波数帯域ごとに適応フィルタを構築しているため、ステップサイズμωを周波数毎に設計できる。例えば心臓の活動電位が多く含まれる周波数帯域では適応を遅くする、或いはフィルタ係数を更新しないものとする。一方、心臓の活動電位が少ししか含まれない周波数帯域では適応を早くする。この結果、R波やT波等の活動電位が多く含まれる帯域では、これらの活動電位が保持される。その一方、心臓の活動電位が少ししか含まれない帯域では、傾斜磁場によって重畳されるノイズを大きく抑圧することができる。
このように、第2の実施形態に係るECG信号処理装置1によれば、第1の実施形態の効果に加えて、ステップサイズの設計自由度が増えた分、心臓活動電位とノイズ除去量のトレードオフを調整しやすく、適切なカスタマイズが行いやすくなる。図12(b)は、第2の実施形態でのノイズ除去処理後のECG信号を示している。図12(b)から判るように、心臓の活動電位であるR波やT波の形状は残しつつも、MRI装置から発生したノイズを除去できている。
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態の変形例に係るECG信号処理装置1は、周波数領域において、ノイズ推定、ノイズ除去、参照パラメータ抽出、誤差計算、及びフィルタ係数更新行う一方、R波の検出は、ノイズ除去処理後のECG信号を時間領域に逆変換した後に行うものとしている。
図13は、第2の実施形態の変形例に係るECG信号処理装置1の機能構成を示すブロック図である。第2の実施形態では、検出機能30がノイズ除去機能20の出力を受け取っていたのに対して(図10参照)、第2の実施形態の変形例では、検出機能30が信号逆変換機能70の出力を受け取る構成となっている。
図14は、第2の実施形態の変形例に係るECG信号処理装置1の処理例を示すフローチャートである。
第2の実施形態の変形例では、周波数領域のノイズ除去処理後のECG信号を時間領域に変換するステップST503が、特定の波形(R波)を検出するステップST108よりも先に処理される。
ステップST108では、時間領域で表現されたノイズ除去処理後のECG信号からR波を検出する。但し、ステップST108において、時間領域で表現されたノイズ除去処理後のECG信号と、周波数領域で表現されたノイズ除去処理後のECG信号との双方を用いてR波を検出するようにしてもよい。
なお、ステップST104とステップST105は、第2の実施形態と同様に周波数領域で表現されたECG信号を用いて処理される。
(MRI装置)
図15は、MRI装置300が、ECG信号処理装置1を含む構成例を示す図である。
MRI装置300は、同期信号を生成するECG信号処理装置1の他、同期信号に同期して被検体から撮像用のデータを収集し、収集した撮像用のデータから被検体の画像を生成するMRI装置本体300aを有している。MRI装置本体300aは傾斜磁場コイル310及びMRI制御回路320を少なくとも備えている。
上記の各実施形態では、ECG信号処理装置1は、心電計100とは別個の構成である例を示した。心電計100をECG信号処理装置1の内部構成としてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態のECG信号処理装置、MRI装置およびECG信号処理方法によれば、ECG信号に含まれる傾斜磁場により生じたノイズを抑圧することができる。
なお、各実施形態の説明における記憶回路は、特許請求の範囲の記載における記憶部の一例である。各実施形態の説明のおけるノイズ除去機能は、特許請求の範囲の記載におけるノイズ除去部の一例である。各実施形態の説明のおける第1信号変換機能及び第2信号変換機能は、夫々、特許請求の範囲の記載における第1の変換部及び第2の変換部の一例である。各実施形態の説明のおける参照パラメータ抽出機能は、特許請求の範囲の記載におけるパラメータ抽出部の一例である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 ECG信号処理装置
10 適応フィルタ
12 ノイズ推定機能
14 誤差計算機能
16 フィルタ係数更新機能
18 フィルタ係数格納機能
20 ノイズ除去機能
30 検出機能
40 参照パラメータ抽出機能
50 参照パラメータ格納機能
60 第1信号変換機能
62 第2信号変換機能
70 信号逆変換機能
100 心電計
203 記憶回路
206 処理回路
300 MRI装置

Claims (13)

  1. MRI装置の傾斜磁場が印加されていないときに、前記MRI装置と共に用いられる心電計から取得したECG信号のパラメータを第1のパラメータとして記憶する記憶部と、
    前記傾斜磁場が印加されているときに前記MRI装置から取得した傾斜磁場信号と、前記記憶部に記憶した前記第1のパラメータとを用いて、前記傾斜磁場によって前記ECG信号に混入したノイズを推定する適応フィルタと、
    推定した前記ノイズを用いて、前記傾斜磁場を印加しているときに前記ECG信号に混入するノイズを除去するノイズ除去部と、
    を備えるECG信号処理装置。
  2. 前記適応フィルタは、フィルタ係数可変型のFIR(Finite Impulse Response)フィルタとして構成され、前記フィルタ係数は、前記ノイズ除去部によるノイズ除去処理後のECG信号から抽出した第2のパラメータと、前記記憶部に記憶した前記第1のパラメータとの類似度が高くなるように更新される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のECG信号処理装置。
  3. 前記適応フィルタは、前記傾斜磁場を印加していない期間は、前記フィルタ係数を更新しない、
    ことを特徴とする請求項2に記載のECG信号処理装置。
  4. 前記心電計から取得した前記ECG信号を周波数領域のECGスペクトルに変換する第1の変換部と、
    前記MRI装置から取得した前記傾斜磁場信号を周波数領域の傾斜磁場スペクトルに変換する第2の変換部と、を備え、
    前記記憶部は、前記傾斜磁場を印加していないときの前記ECGスペクトルを前記第1のパラメータとして記憶し、
    前記適応フィルタは、記憶部に記憶した前記ECGスペクトルと、前記傾斜磁場スペクトルとを用いて、前記ノイズを所定の周波数帯域毎に周波数領域で推定し、
    前記ノイズ除去部は、前記周波数帯域毎に前記ノイズを周波数軸上で除去する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のECG信号処理装置。
  5. 前記第1のパラメータは、前記傾斜磁場を印加していないときの前記ECG信号のR波ピーク値を含む波形のパワースペクトルである、
    ことを特徴とする請求項4に記載のECG信号処理装置。
  6. 前記適応フィルタは、心臓の活動電位を含まない周波数帯域に対応するフィルタ係数を更新しない、
    ことを特徴とする請求項4又は5に記載のECG信号処理装置。
  7. 前記第1のパラメータは、前記傾斜磁場を印加していないときに前記心電計から取得した前記ECG信号の波形であり、
    前記適応フィルタは、前記傾斜磁場を印加していないときの前記ECG信号の波形と、前記傾斜磁場信号の波形とを用いて前記ノイズの波形を推定し、
    前記ノイズ除去部は、前記ノイズを時間軸上で除去する、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載のECG信号処理装置。
  8. 前記ECG信号から前記第1のパラメータを抽出するパラメータ抽出部、
    をさらに備え、
    前記パラメータ抽出部は、前記傾斜磁場を印加しているか否かを示す動作信号を前記MRI装置から取得し、前記動作信号が前記傾斜磁場を印加していないことを示している期間に、前記ECG信号から前記第1のパラメータを抽出して前記記憶部に記憶する、
    請求項1乃至7のいずれか1項に記載のECG信号処理装置。
  9. 前記パラメータ抽出部は、前記動作信号が前記傾斜磁場を印加していないことを示している期間の間は、前記第1のパラメータを前記ECG信号から逐次抽出し、前記記憶部に記憶する前記第1のパラメータを逐次更新する、
    請求項8に記載のECG信号処理装置。
  10. 前記適応フィルタは、直交3方向の夫々の傾斜磁場信号の和信号から、前記ノイズを推定する、
    ことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のECG信号処理装置。
  11. 傾斜磁場を発生するMRI装置と共に用いられる心電計と、
    前記傾斜磁場を印加していないときに前記心電計から取得した前記ECG信号のパラメータを第1のパラメータとして記憶する記憶部と、
    前記傾斜磁場を印加しているときに前記MRI装置から取得した傾斜磁場信号と、前記記憶部に記憶した前記第1のパラメータとを用いて、前記傾斜磁場によって前記ECG信号に混入したノイズを推定する適応フィルタと、
    推定した前記ノイズを用いて、前記傾斜磁場を印加しているときに前記ECG信号に混入するノイズを除去するノイズ除去部と、
    を備えるECG信号処理装置。
  12. 傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイルと、
    前記傾斜磁場を印加していないときに心電計から取得したECG信号のパラメータを第1のパラメータとして記憶する記憶部と、
    前記傾斜磁場を印加しているときの傾斜磁場信号と、前記記憶部に記憶した前記第1のパラメータとを用いて、前記傾斜磁場によって前記ECG信号に混入したノイズを推定する適応フィルタと、
    推定した前記ノイズを用いて、前記傾斜磁場を印加しているときに前記ECG信号に混入するノイズを除去するノイズ除去部と、
    前記ノイズが除去された前記ECG信号に含まれるR波を検出して、心電同期撮像を行うための同期信号を生成する検出部と、
    前記同期信号に同期して被検体からデータを収集し、収集した前記データから、前記被検体の画像を生成するMRI制御回路と、
    を備えるMRI装置。
  13. MRI装置の傾斜磁場が印加されていないときに、前記MRI装置と共に用いられる心電計から取得したECG信号のパラメータを第1のパラメータとして記憶部に記憶し、
    前記傾斜磁場を印加しているときに前記MRI装置から取得した傾斜磁場信号と、前記記憶部に記憶した前記第1のパラメータとを用いて、前記傾斜磁場によって前記ECG信号に混入したノイズを、適応フィルタによって推定し、
    推定した前記ノイズを用いて、前記傾斜磁場を印加しているときに前記ECG信号に混入するノイズを除去する、
    ECG信号処理方法。
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