JP2017031678A - 重力式防波堤 - Google Patents

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Abstract

【課題】津波などに対する滑動抵抗が高く且つ堤体に作用する揚圧力が抑えられることで堤体の安定性が高く、低コストに造成可能な重力式防波堤を提供する。【解決手段】捨石マウンド1の上に設置された堤体2と、堤体2の背面側に設けられる補強用支持部3を備え、補強用支持部3は、水中単位体積質量が石材と同等以上で且つ所定値以上の粘着力を有する補強土からなり、堤体2の背面と捨石マウンド1に接するようにして設けられる補強土層4と、この補強土層4の背面と捨石マウンド1に接するようにして設けられる石材層5を備える。捨石マウンド1内を流れる水流が石材層5を通過して防波堤の背面側に流れるため、堤体2に大きな揚圧力が作用することが抑えられ、堤体2の高い安定性が得られる。また、補強用支持部3が補強土層4と石材層5の複合構造であるため、高い滑動抵抗力が得られる。【選択図】図1

Description

本発明は、ケーソン式混成堤などのような重力式防波堤に関するものである。
従来、ケーソンなどで構成される堤体の背面側に補強用支持部(滑動抵抗体)を設置する重力式防波堤において、補強用支持部を石材で構成したものが提案されており、波力に対する滑動抵抗力の増大効果が解析・実験により示されている(非特許文献1,2)。また、石材の代わりにセメントによる固化処理土を設置したもの(非特許文献3)、鋼管などの支持構造体を地盤に鉛直に埋め込んだ構造のもの(特許文献1)なども提案されており、それぞれ補強効果が検証されている。
特開2014−101663号公報
国土交通省港湾局監修、港湾の施設の技術上の基準・同解説、下巻、社団法人日本港湾協会、平成19年、p.838 菊池喜昭、外2名、「ケーソンの安定性に及ぼす裏込めの効果」、港湾技術研究所報告、運輸省港湾技術研究所、1998年6月、第37巻、第2号、p.29−58 新舎博、外2名、「固化処理土を裏込めに利用したケーソン式混成堤の水平抵抗力に関する遠心模型実験」、土木工学会論文集C(地圏工学)、2015年、Vol.71、No.2,p.69−80
しかし、以上のような従来技術のうち、補強用支持部を石材で構成した重力式防波堤は、石材の質量・内部摩擦角が決まっているため、得られる滑動抵抗力は補強用支持部の設置高さによって上限が決まってしまう。また、津波などのように、防波堤天端を越える流れが作用した際に補強用支持部の表層部に設置した被覆ブロックが剥がれてしまった場合、石材が流されやすい(洗掘が起こりやすい)という問題がある。
また、補強用支持部を固化処理土で構成した重力式防波堤は、固化処理土が水を通しにくいため、台風時の波浪や津波などが作用した時に、堤体の基礎である捨石マウンド内を流れる水流が補強用支持部で遮られてしまい、堤体に作用する揚圧力(堤体底面に上向きに作用する力)が増大して、堤体の安定性が低下してしまう。
また、鋼管などの支持構造体を地盤に鉛直に埋め込んだ構造の重力式防波堤の場合も、捨石マウンド内を流れる水流が支持構造体で遮られるため、堤体に作用する揚圧力が増大する問題があり、さらに、石材を設置する場合と比較して材料コストが高くなる問題もある。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、津波などの大きなエネルギーをもつ波に対する滑動抵抗が高く、且つ堤体に作用する揚圧力が抑えられることで堤体の安定性が高く、しかも低コストに造成することができる重力式防波堤を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]水底に構築された捨石マウンド(1)と、該捨石マウンド(1)上に設置された堤体(2)と、該堤体(2)の背面側に設けられる補強用支持部(3)を備えた重力式防波堤であって、補強用支持部(3)は、水中における単位体積質量が10kN/m以上で且つ28日養生後の粘着力が10kN/m以上の補強土で構成され、堤体(2)の背面と捨石マウンド(1)に接するようにして設けられる補強土層(4)と、該補強土層(4)の背面と捨石マウンド(1)に接するようにして設けられる石材層(5)を備えることを特徴とする重力式防波堤。
[2]上記[1]の重力式防波堤において、補強土層(4)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材を混合したものであることを特徴とする重力式防波堤。
[3]上記[1]又は[2]の重力式防波堤において、捨石マウンド(1)上での補強土層(4)の高さは、堤体(2)の高さの1/3以上であることを特徴とする重力式防波堤。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの重力式防波堤において、捨石マウンド(1)の天端面に接する補強土層(4)の下端幅が2m以上であることを特徴とする重力式防波堤。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの重力式防波堤において、補強用支持部(3)の上面が被覆ブロック(6)で被覆されることを特徴とする重力式防波堤。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの重力式防波堤の造成方法であって、水底の地盤に構築された捨石マウンド(1)の上に堤体(2)を設置した後、堤体(2)の背面側において、堤体(2)から離れた位置に石材を積み上げて石材層(5)を形成し、次いで、石材層(5)と堤体(2)との間に補強土を投入・敷設して補強土層(4)を形成することにより、補強土層(4)と石材層(5)を備えた補強用支持部(3)を構築することを特徴とする重力式防波堤の造成方法。
本発明の重力式防波堤は、捨石マウンド(1)内を流れる水流がそのまま石材層(5)を通過して防波堤の背面側に流れることができるため、台風時の波浪や津波などが作用した時でも堤体(2)に大きな揚圧力が作用することが抑えられ、堤体(2)の高い安定性が得られる。しかも、補強用支持部(3)が、石材層(5)と、水中単位体積質量が石材と同等以上で且つ所定値以上の粘着力(強度)を有する補強土からなる補強土層(4)の複合構造であるため、補強用支持部が石材のみからなる場合に較べて、高い滑動抵抗力を得ることができる。このため、津波などの大きな外力が作用した場合でも、防波堤の安定性を確保することができる。また、通常、補強用支持部(3)の外側は被覆ブロックで被覆されるが、津波などが防波堤天端を越流して被覆ブロックが流出した場合でも、補強土層(4)が強度を有しているため、洗掘が生じにくい。また、補強用支持部(3)を石材と補強土だけで構築できるため、低コストに造成することができる。さらに、補強土層(4)を構成する補強土に港湾工事で大量に発生する浚渫土を利用することができるので、浚渫土の有効利用も図ることができる。
本発明の重力式防波堤の一実施形態を模式的に示す縦断面図 従来の重力式防波堤の一例を模式的に示す縦断面図 本発明の実施例の重力式防波堤を模式的に示す縦断面図
図1は、本発明の重力式防波堤の一実施形態を模式的に示す縦断面図である。
本実施形態の重力式防波堤は、水底(地盤7)に構築された捨石マウンド1と、この捨石マウンド1上に設置された堤体2(堤本体)と、この堤体2の背面側(波をうける側を前面側とした場合、その反対側)に設けられる補強用支持部3を備えている。
重力式防波堤の設置場所が港湾の場合には、堤体2の前面側が港外側、背面側が港内側となる。捨石マウンド1は防波堤の設置場所の全長にわたり構築され、その上にケーソンなどの重量構造物を複数並べて堤体2が構成される。
補強用支持部3は、堤体2を背面側で支えて滑動抵抗力を付与するものであり、堤体2の背面と捨石マウンド1に接するようにして設けられる補強土層4と、この補強土層4の背面と捨石マウンド1に接するようにして設けられる石材層5で構成されている。ここで、石材層5は割石などの石材を積み上げることで形成され、補強土層4は補強土を積み上げる(敷設する)ことで形成される。
補強土層4は、その前面が堤体2の背面と接するとともに、下端部41が捨石マウンド1の天端面の一部と接するようにして設けられている。後述するように補強用支持部3を構築するに当たっては、先に堤体2と離れた位置に石材層5を形成し、次いで、この石材層5と堤体2との間に補強土層4を形成するため、補強土層4の背面42は、石材層5の前面側の法面52に接する下向き傾斜面になる。
この補強土層4は、水中における単位体積質量が10kN/m以上で且つ28日養生後の粘着力が10kN/m以上の補強土で構成される。なお、補強土の粘着力は、養生28日後の試料(供試体)に対して、土の一軸圧縮試験(JIS A1216:2009)で求められる一軸圧縮強さの1/2で算定される。
この補強土の条件は、以下のようにして求められたものである。
滑動抵抗体(本発明では補強用支持部3)の抵抗力は、その質量と抵抗体の強度(ここでは粘着力)によって決まる。そのため、補強土の質量については石材と同等かそれ以上のものが望ましい。このため水中における補強土の単位体積質量は10kN/m以上とする。また、補強土の水中単位体積質量が大きいほど補強用支持部3の滑動抵抗力も高まるので、この観点からは補強土の水中単位体積質量はより大きいこと(例えば、13kN/m以上)が好ましいが、補強土の製造における改質材の混合割合(粒状体の場合は7割程度が上限となる)などの制約から17kN/m程度が実質的な上限となる。
また、補強土の強度条件については、以下の滑動抵抗力算定式に基づいて決定した。
Figure 2017031678
標準的なサイズである前面側の高さ19m、背面側の高さ17mの堤体2に、波高10mの津波波力が作用した場合を想定する。堤体2の背面側に補強用支持部3を設けない場合、設計の基準である滑動安全率1.2以上を満たすためには、滑動抵抗力が988.75kN/m不足する。本発明の重力式防波堤において、補強用支持部3の設置高さを12.5m、補強土層4の天端幅を21.0m、石材層5の天端幅を2mとした場合、補強土の水中単位体積質量を10kN/m、粘着力を10kN/m(一軸圧縮強さ20kN/m)とし、石材の水中単位体積質量を10kN/m、内部摩擦角を40度とすると、滑動抵抗力は以下のようになり、上述した必要条件を満たすことになる。
Figure 2017031678
また、補強土の一軸圧縮強さが20kN/m未満になると、補強土層4がその上に設置される被覆ブロックを支えることができなくなる恐れが生じるため、強度は20kN/m以上とする必要がある。
以上の理由から補強土の28日養生後の粘着力を10kN/m以上とする。また、この補強土の粘着力が大きいほど補強用支持部3の滑動抵抗力も高まるので、この観点からは補強土の粘着力はより大きいこと(例えば、好ましくは30kN/m以上、より好ましくは50kN/m以上)が好ましいが、通常、補強土層4の高さは堤体2の高さの1/3以上とすることから、100kN/m程度を実質的な上限とすればよい。
補強土層4を構成する補強土には、上記のような水中単位体積質量と粘着力を満足するものであれば、どのような材料でも利用可能であるが、水和反応により強度を発現する補強土として、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材(水硬性を有する固化材)を混合した混合土が挙げられ、本発明ではこの混合土を補強土として好適に使用できる。
浚渫土は、事前に乾燥処理(例えば、天日乾燥など)や脱水処理(薬剤を添加して凝集させた後に脱水・減容化する方法)を施したものであってもよい。土砂は建設残土などでもよい。改質材としては、水和反応を生じさせるものであれば特に種類を問わないが、例えば、セメント、石灰、製鋼スラグなどの鉄鋼スラグ、コンクリート廃材などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
これら改質材の種類と混合量を選択することで、補強土の一軸圧縮強さを調整することができる。
改質材として用いる鉄鋼スラグとしては、高炉で発生する高炉徐冷スラグ(但し、この高炉徐冷スラグは水中で硫化物が溶出しないようにするため、十分にエージング処理したものが好ましい)、溶銑予備処理、転炉脱炭精錬、鋳造、電気炉精錬などの工程で発生する製鋼スラグ(脱燐スラグ・脱硫スラグ・脱珪スラグなどの溶銑予備処理スラグ、脱炭スラグ、鋳造スラグ、電気炉スラグなど)、鉱石還元スラグなどが挙げられ、これらの2種以上を用いてもよい。また、これらのスラグ中でも特に製鋼スラグが好ましく、そのなかでも特に脱炭スラグ(転炉スラグ)、脱燐スラグが好適である。また、十分な効果を得るためには、スラグは粉粒状のものを用いることが好ましい。
石材層5を構成する石材としては、一般に天然石材(割石)が用いられるが、例えば、コンクリートブロック、鉄鋼スラグを主原料とする炭酸固化体ブロック、鉄鋼製造スラグを主原料とする水和硬化体ブロック(例えば、鉄鋼スラグ水和固化体)などの人工石材を用いてもよく、天然石材を含めたこれらの材料の1種以上を用いることができる。
石材層5を構成する石材の大きさは任意であるが、通常10〜200kg程度のものが用いられる。
補強土層4及び石材層5の設置形態は、上述した点以外に特別な条件はないが、以下のような設置形態が特に好ましい。
補強土層4については、図1に示すように、補強土層4の下端部41(下端面)が、堤体2の背面側の捨石マウンド部分10の天端面の一部と接するように設けること、すなわち補強土層4は捨石マウンド部分10の天端面に対して面で接することが好ましい。津波などの波力による補強用支持部3の破壊は、堤体2の下端縁と捨石マウンド1の天端面とが接する点pを起点として生じるため、補強土層4が捨石マウンド部分10に対して面で接していないと(例えば、補強土層4が捨石マウンド部分10に接しておらず、或いは点で接していると)、補強土層4が破壊に対する抵抗にならず、波力により補強用支持部3が破壊されやすくなる。この観点から、補強土層4の下端部41の幅w(下端幅)は2m以上とすることが好ましい。
また、捨石マウンド1上での補強土層4の高さh(天端部40の高さ)は、滑動抵抗体としての機能面から、堤体2の高さH(捨石マウンド1から最も高い堤体部分の高さ)の1/3以上であることが好ましい。
補強土層4の天端部40の幅w(天端幅)は、補強土層4による補強効果を確保する一方で、補強土層4の断面が大きくなって造成コストが増大するのを抑えるという観点から、10〜20m程度とすることが好ましい。
石材層5については、石材層下面が、捨石マウンド部分10の天端面の一部及び側端面と、捨石マウンド1後方の水底部分8に接するように設けることが好ましい。これにより、捨石マウンド1内を流れる水流が、特に円滑に石材層5内に流れることができる。
石材層5の天端部50の幅w(天端幅)は、石材層5の安定性を確保する一方で、石材層5の断面が大きくなって造成コストが増大するのを抑えるという観点から、2〜5m程度とすることが好ましい。
石材層5の背面側及び前面側の法面51,52の勾配は、1:1.2〜1:1.5程度が好ましい。法面51,52の勾配が1:1.2よりも大きいと、石材の内部摩擦角によっては石材が崩れる恐れがある。一方、法面51,52の勾配が1:1.5よりも小さいと、石材層5の断面が大きくなるため造成コストが増加してしまう。
また、図示しないが、補強用支持部3(補強土層4、石材層5)を構成する補強土や石材の流出を防止するため、通常、補強用支持部3の上面は被覆ブロック6(図3参照)で被覆されるとともに、堤体2の前面側の捨石マウンド部分の上面も被覆ブロックや根固ブロックで被覆される(図3参照)。
なお、堤体2やこれを支持する捨石マウンド1の大きさは、設置する海域の水深や想定される波高などによっても異なるので一概には言えないが、一般には、堤体2は幅(前面−背面間の幅)が約10〜20m、高さが約15〜25m、捨石マウンド1は幅(前面−背面間の幅)が約40〜60m、厚さが3〜10m程度である場合が多い。
比較のために、補強用支持部が石材(割石)のみからなる従来の重力式防波堤を図2(縦断面図)に示す。
本発明の重力式防波堤は、捨石マウンド1内を流れる水流がそのまま石材層5を通って防波堤の背面側に流れることができるため、台風時の波浪や津波などが作用した時でも堤体2に大きな揚圧力が作用することが抑えられ、堤体2の高い安定性が得られる。しかも、補強用支持部3が、石材層5と、上述したような水中単位体積質量が石材と同等以上で且つ所定値以上の粘着力(強度)を有する補強土からなる補強土層4の複合構造であることにより、図2に示すような石材のみからなる補強用支持部に較べて、高い滑動抵抗力を得ることができる。すなわち、水中単位体積質量が石材と同等以上で且つ粘着力10kN/m以上の補強土からなる補強土層4は、石材のみからなる補強層に較べて滑動抵抗力が高く、したがって、補強用支持部3が、補強土層4と石材層5との複合構造であることにより、高い滑動抵抗力を得ることができる。また、通常、補強用支持部3の外側は被覆ブロック6で被覆されるが、津波などが防波堤天端を越流して被覆ブロック6が流出した場合でも、補強土層4が強度を有しているため、洗掘が生じにくい利点もある。
以上の述べたような本発明の重力式防波堤を造成する場合は、まず、防波堤の設置場所の全長にわたる水底の地盤7に捨石マウンド1を構築し、その上にケーソンなどの重量構造物を複数並べて堤体2を設置する。次いで、補強用支持部3を構築するに当たっては、まず、堤体2の背面側において堤体2から少し離れた位置に石材を積み上げて石材層5を形成し、次いで、この石材層5と堤体2との間に補強土を投入・敷設して補強土層4を形成する。これにより、図1に示すような補強土層4と石材層5からなる補強用支持部3が構築される。さらに、通常では、補強構造部3の上面を被覆ブロック6で被覆するとともに、堤体2の前面側の捨石マウンド部分の上面も被覆ブロックや根固ブロックで被覆する。
朔望平均満潮面+0.5m、水深16.5mの海域に、図3に示すような本発明の重力式防波堤を設置した。この重力式防波堤は、捨石マウンド1の厚さを3mとし、堤体2は、幅を19m、パラペット天端までの高さを19mとした。補強土層4の設置高さは捨石マウンド1の天端から6.5mとし、補強土層4の天端幅を11m、石材層5の天端幅を2mとした。また、石材層5の法面勾配を1:1.5とした。補強土は少量でも滑動抵抗力が発揮されるようにするため、水中単位体積質量は石材以上が望ましく、本実施例では、浚渫土に製鋼スラグ(改質材)を混合し、浚渫土70体積%、製鋼スラグ30体積%とした混合土を用いた。室内配合試験の結果、この混合土は、水中単位体積質量が11.0kN/m、28日養生後の一軸圧縮強さが120kN/m(粘着力60kN/m)であった。
波高10mの津波を想定して計算したところ、波力合力2724.12kN/mに対して、滑動抵抗力は3292.57kN/m(うち補強土層4の滑動抵抗力は1012.38kN/m)となり、設計基準である滑動安全率1.2を満足した。
図2に示す従来の重力式防波堤のように石材(水中単位体積質量10.0kN/m,内部摩擦角φ=40°)のみからなる補強用支持部(石材層)を設けた場合について計算したところ、補強用支持部の設置高さを6.5mとした場合、滑動抵抗力の上限は971.52kN/mとなり、補強用支持部の幅を広げても安全率1.2を満たすために必要な滑動抵抗力が得られないという結果になった。一方、本発明の重力式防波堤の場合には、補強土層4と石材層5との複合構造により、補強用支持部3の断面をより小さくしても、必要な滑動抵抗力を確保できると考えられる。
1 捨石マウンド
2 堤体
3 補強用支持部
4 補強土層
5 石材層
6 被覆ブロック
7 地盤
8 水底部分
10 捨石マウンド部分
40 天端部
41 下端部
42 背面
50 天端部
51,52 法面

Claims (6)

  1. 水底に構築された捨石マウンド(1)と、該捨石マウンド(1)上に設置された堤体(2)と、該堤体(2)の背面側に設けられる補強用支持部(3)を備えた重力式防波堤であって、
    補強用支持部(3)は、水中における単位体積質量が10kN/m以上で且つ28日養生後の粘着力が10kN/m以上の補強土で構成され、堤体(2)の背面と捨石マウンド(1)に接するようにして設けられる補強土層(4)と、該補強土層(4)の背面と捨石マウンド(1)に接するようにして設けられる石材層(5)を備えることを特徴とする重力式防波堤。
  2. 補強土層(4)を構成する補強土は、浚渫土又は/及び土砂に水和反応を生じさせる改質材を混合したものであることを特徴とする請求項1に記載の重力式防波堤。
  3. 捨石マウンド(1)上での補強土層(4)の高さは、堤体(2)の高さの1/3以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の重力式防波堤。
  4. 捨石マウンド(1)の天端面に接する補強土層(4)の下端幅が2m以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の重力式防波堤。
  5. 補強用支持部(3)の上面が被覆ブロック(6)で被覆されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の重力式防波堤。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の重力式防波堤の造成方法であって、
    水底の地盤に構築された捨石マウンド(1)の上に堤体(2)を設置した後、堤体(2)の背面側において、堤体(2)から離れた位置に石材を積み上げて石材層(5)を形成し、次いで、石材層(5)と堤体(2)との間に補強土を投入・敷設して補強土層(4)を形成することにより、補強土層(4)と石材層(5)を備えた補強用支持部(3)を構築することを特徴とする重力式防波堤の造成方法。
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