JP2017027559A - 送電線挙動解析装置、送電線挙動解析方法、送電線挙動解析プログラムおよび送電線システム - Google Patents

送電線挙動解析装置、送電線挙動解析方法、送電線挙動解析プログラムおよび送電線システム Download PDF

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Abstract

【課題】送電線の挙動解析の精度を向上させる。
【解決手段】送電線の動的挙動を有限要素法により解析する送電線挙動解析装置であって、送電線を複数の要素の集合体として構築する機能、第1外力が作用する第1期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出した後、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出する機能、および、第1外力を、第1期間において0から重力に対応する規定外力に漸近させ、第2期間において規定外力に維持する機能を有している。
【選択図】図3

Description

本発明は、送電線挙動解析装置、送電線挙動解析方法、送電線挙動解析プログラムおよび送電線システムに関し、特に、動的な挙動解析技術に関する。
従来から、有限要素法による送電線の挙動解析手法が提案されている(例えば非特許文献1参照)。この挙動解析手法では、送電線モデルに対して、初めに送電線に重力を作用させた状態で静的な釣合解析を行い、その後、重力作用下における釣合状態において動的な挙動解析を行う。
鉄塔および送電線を含む送電線システムの設計においては、送電線の地絡等を防止することが重要である。そのため、従来から、有限要素法による送電線に外力が作用した状態における送電線の挙動解析が行われている(例えば非特許文献1参照)。非特許文献1に記載された送電線の挙動解析は、静的釣合解析と、動的挙動解析とから構成される。静的釣合解析では、送電線モデルに対して、初めに送電線に重力を作用させた状態における静的釣合解析を行い、送電線に重力が作用した状態における送電線の剛性パラメータを算出する。そして、動的釣合解析では、静的釣合解析により算出した剛性パラメータを用いて、重力と変動外力とが作用した状態における送電線の動的な挙動解析をNewmarkβ法に基づいて行う。
清水幹夫、守護雅富、佐藤順一、「送電線のギャロッピングの幾何学的非線形解析」、構造工学論文集、土木学会、1998年3月、Vol.44A、p.951−960
しかしながら、非特許文献1に記載された技術では、動的な挙動解析において、重力と変動外力とが作用する時刻を同時にすると、変動外力の特性によっては、精度の良い解析結果が得られない虞がある。
具体的には、例えば、変動外力が、鉄塔から送電線に伝達する地震波のように比較的振幅が大きく且つ変動周期が短いものであるとする。そして、重力が解析対象時刻0から単位ステップ的に一定の大きさで送電線に作用するとした場合、挙動解析結果が、実際の送電線では到底実現し得ないものとなってしまう。
そこで、本発明は、送電線の挙動解析の精度向上を図ることを目的とする。
本発明に係る送電線挙動解析装置は、送電線の動的挙動を有限要素法により解析する解析装置であって、送電線を複数の要素の集合体として構築する機能、第1外力が作用する第1期間における送電線を構成する各要素の時刻歴を算出した後、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における各要素の時刻歴を算出する機能、および、第1外力を、第1期間において重力に対応する規定外力に漸近させ、第2期間において規定外力に維持する機能、を有している。
他の観点から見た本発明に係る送電線挙動解析方法は、送電線の動的挙動を有限要素法により解析する解析方法であって、送電線を複数の要素の集合体として構築するステップと、第1外力が作用する第1期間における送電線を構成する各要素の時刻歴を算出するステップと、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における各要素の時刻歴を算出するステップと、を含み、第1外力を、第1期間において重力に対応する規定外力に漸近させ、第2期間において規定外力に維持する。
他の観点から見た本発明に係る送電線挙動解析プログラムは、送電線の動的挙動を有限要素法により解析する解析処理をコンピュータにより実現させる送電線挙動解析プログラムであって、解析処理が、送電線を複数の要素の集合体として構築するステップと、第1外力のみが作用する第1期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、を含み、第1外力を、第1期間において重力に対応する規定外力に漸近させ、第2期間において規定外力に維持する。
他の観点から見た本発明に係る送電線システムは、腕金部を有する鉄塔と、鉄塔の一部を構成する1の腕金部に碍子装置を介して連結された複数の第1送電線と、複数の第1送電線のうちの2つを接続する第2送電線と、を備え、第2送電線が、第1、第2送電線および碍子装置の動的挙動解析の結果に基づいて、第2送電線と腕金部との間の最短距離が距離閾値よりも大きくなるように設定されている。
なお、本発明は、このような特徴的な解析装置や解析方法として実現することができるだけでなく、かかる解析装置を含むシステムとして実現することができる。また、上記解析装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現することができる。更に、上記プログラムは、CD−ROM等の記録媒体に記憶させることができる。
本発明によれば、送電線の挙動解析の精度向上を図ることができる。
実施形態に係る送電線システムを示し、(a)は概略斜視図、(b)は要部拡大図である。 実施形態に係る解析システムの概略構成図である。 実施形態に係る解析装置の動作を示すフローチャートである。 実施形態に係る解析装置の動作を示すフローチャートである。 実施形態に係る送電線システムのモデルの一例を示し、(a)は送電線システムの模式図、(b)はモデルの概念図である。 実施形態に係る外力関数を示す図であり、(a)は重力に対応する外力を表す外力関数、(b)は地震に起因した外力を表す外力関数である。 ある時刻における送電線システムの挙動解析の結果を示す図であり、(a)は比較例1に係る解析装置による解析結果、(b)は比較例2に係る解析装置による解析結果、(c)は実施形態に係る解析装置による解析結果を示す。 比較例2に係る解析装置が用いる重力に対応する外力を表す外力関数を示す図である。 送電線システムの挙動解析の結果を示す図であり、(a)はある時刻におけるジャンパ線の挙動を示す図であり、(b)はジャンパ線を構成するビーム要素と腕金部との間の距離の時刻歴を示す図である。 変形例に係る解析装置の動作を示すフローチャートである。
[1.実施形態の要旨]
本発明は、前述のように、送電線の挙動解析の精度向上を図ることを目的としてなされたものであり、その要旨としては、少なくとも以下(1)〜(11)に示す構成が含まれる。
(1)実施形態に係る解析装置は、送電線の動的挙動を有限要素法により解析する解析装置であって、送電線を複数の要素の集合体として構築する機能、第1外力が作用する第1期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出した後、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出する機能、および、第1外力を、第1期間において0から重力に対応する規定外力に漸近させ、第2期間において規定外力に維持する機能、を有している。
本構成によれば、第1外力が作用する第1期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出した後、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出する。そして、第1外力が、第1期間において0から重力に対応する規定外力に漸近していき、第2期間において規定外力で維持される。これにより、解析対象時間内のある時刻に第1外力と第2外力が同時に送電線に作用するとして複数の要素それぞれの時刻歴を算出する場合に比べて、送電線に作用する外力の単位時間当たりの変化量の最大値が低減される。従って、数値積分法(例えばNewmarkβ法等)を用いて複数の要素それぞれの時刻歴を算出する場合、算出された時刻歴の精度を向上させることができる。
(2)また、例えば、(1)の解析装置において、前記第1外力は、前記第1期間の終了時刻に、一定値となり、前記規定外力となる。
この場合、第1期間から第2期間に切り替わる際の第1外力の変化量が0となる。これにより、第2期間において、外力の変化量は、第2外力の変化量のみに相当することとなるので、数値積分法を用いて複数の要素それぞれの時刻歴を算出する場合、算出値の発散を抑制できるので、算出された時刻歴の精度を向上させることができる。
(3)また、例えば、(2)の解析装置において、前記第1外力は、前記規定外力を最大値として滑らかに増加する時間関数で表される。
この場合、第1期間において第1外力の変化量が単調減少して0となる。これにより、数値積分法を用いて複数の要素それぞれの時刻歴を算出する場合、第1期間の終了時近くの時刻における時刻歴の精度を向上させることができる。
(4)また、例えば、(3)の解析装置において、前記複数の要素それぞれの質量をm、重力加速度をgとして、前記規定外力は、mgである。
この場合、送電線に対して重力が作用した状態で更に第2外力が作用した場合における送電線の挙動解析を行うことができる。
(5)実施形態に係る解析装置は、上記複数の要素それぞれの時刻歴を線形加速度法により算出するものであってもよい。
本構成によれば、例えば平均加速法により算出した時刻歴に比べて計算誤差を小さくすることができる。
(6)実施形態に係る解析装置は、上記送電線に前記第1外力が作用した場合における前記複数の要素それぞれに対応する剛性要素を静的釣合解析により算出し、算出した剛性要素に基づいて、剛性マトリクスを生成し、生成した剛性マトリクスを用いて、前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出するものであってもよい。
本構成によれば、第1外力に起因して送電線に生じる張力が、送電線の剛性に及ぼす影響を考慮して、送電線の挙動解析を行うことができるので、時刻歴の精度向上を図ることができる。
(7)実施形態に係る解析装置は、上記複数の要素それぞれが、一次元のビーム要素から構成されているものであってもよい。
本構成によれば、例えば上記送電線が3次元のソリッド要素から構成されている場合に比べて、要素の数を低減することができるので、送電線の挙動解析で行われる計算量の低減を図ることができ、処理負荷の軽減を図ることができる。
(8)他の観点から見た実施形態に係る解析方法は、送電線の動的挙動を有限要素法により解析する解析方法であって、送電線を複数の要素の集合体として構築するステップと、第1外力が作用する第1期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、を含み、第1外力を、第1期間において重力に対応する規定外力に漸近させ、第2期間において規定外力に維持してもよい。
本構成によれば、第1外力が作用する第1期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出した後、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出する。そして、第1外力が、第1期間において0から重力に対応する規定外力に漸近していき、第2期間において規定外力で維持される。これにより、解析対象時間内のある時刻に第1外力と第2外力が同時に送電線に作用するとして複数の要素それぞれの時刻歴を算出する場合に比べて、送電線に作用する外力の単位時間当たりの変化量の最大値が低減される。従って、数値積分法(例えばNewmarkβ法等)を用いて複数の要素それぞれの時刻歴を算出する場合、算出された時刻歴の精度を向上させることができる。
(9)他の観点から見た実施形態に係る送電線挙動解析プログラムは、送電線の動的挙動を有限要素法により解析する解析処理をコンピュータにより実現させる送電線挙動解析プログラムであって、解析処理が、送電線を複数の要素の集合体として構築するステップと、第1外力のみが作用する第1期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、を含み、第1外力を、第1期間において重力に対応する規定外力に漸近させ、第2期間において規定外力に維持する。
本構成によれば、第1外力が作用する第1期間における複数の要素それぞれの時刻歴を算出した後、第1外力および第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出する。そして、第1外力が、第1期間において0から重力に対応する規定外力に漸近していき、第2期間において規定外力で維持される。これにより、解析対象時間内のある時刻に第1外力と第2外力が同時に送電線に作用するとして複数の要素それぞれの時刻歴を算出する場合に比べて、送電線に作用する外力の単位時間当たりの変化量の最大値が低減される。従って、数値積分法(例えばNewmarkβ法等)を用いて複数の要素それぞれの時刻歴を算出する場合、算出された時刻歴の精度を向上させることができる。
(10)他の観点から見た実施形態に係る送電線システムは、腕金部を有する鉄塔と、鉄塔の一部を構成する1の腕金部に碍子装置を介して連結された複数の第1送電線と、複数の第1送電線のうちの2つを接続する第2送電線と、を備え、第2送電線が、第1、第2送電線および碍子装置の動的挙動解析により得られる第2送電線と腕金部との間の最短距離が距離閾値よりも大きくなるように設定されている。
本構成によれば、第1、第2送電線および碍子装置の動的挙動解析により得られる第2送電線と腕金部との間の最短距離が距離閾値よりも大きくなるように設定されている。これにより、予め第1、第2送電線および碍子装置の動的挙動解析により第2送電線と腕金部との間の最短距離を算出し、距離閾値を送電線と腕金部との間で絶縁破壊が生じる距離よりも長く設定すれば、地絡を防止できる。
(11)また、実施形態に係る送電線システムは、上記動的挙動解析において、上記第1、第2送電線および上記碍子装置それぞれを複数の要素の集合体として構築し、第1外力が作用する第1期間における前記第2送電線を構成する複数の要素それぞれの時刻歴を算出した後、第1外力および前記第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記第2送電線を構成する複数の要素それぞれの時刻歴を算出し、前記第1外力が、前記第1期間において0から重力に対応する規定外力に漸近し、前記第2期間において前記規定外力で維持されるものであってもよい。
本構成によれば、動的挙動解析において、第1、第2送電線および碍子装置の挙動が的確に捉えられるので、地絡の有無を判定でき、対策をとることが出来る。
[2.実施形態の詳細]
以下、実施形態の詳細について、図面を参照して説明する。なお、以下に記載する実施形態は、その少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
<1>構成
<1−1>解析対象について
まず、本実施形態に係る解析対象である送電線システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る送電線システムを示し、(a)は概略斜視図、(b)は要部拡大図である。
送電線システムは、複数(図1(a)では3本)の鉄塔1と、隣り合う鉄塔1に碍子装置2を介して接続された架渉線3と、架渉線3同士を連結するジャンパ線4と、を備える。ここで、碍子装置2は、各鉄塔1の腕金部11に接続されている。また、ジャンパ線4の両端部それぞれは、碍子装置2における腕金部11に接続される側とは反対側において架渉線3に接続されている。そして、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4から送電線が構成されている。
<1−2>解析システムについて
次に、本実施形態に係る解析システム50の構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る解析システム50の概略構成図である。
解析システム50は、解析装置51と、入力装置52と、表示装置53と、を備える。
解析装置51は、例えば汎用のコンピュータから構成される。解析装置51は、演算処理部511と、記憶部512と、を備える。ここで、演算処理部511は、例えばプロセッサ等から構成される。また、記憶部512は、メモリから構成される。
記憶部512には、解析用コンピュータプログラムが記憶されている。この解析用コンピュータプログラムは、例えばNewmarkβ法を使用した有限要素解析に対応するものである。解析用コンピュータプログラムとしては、例えばMSC社製の「Nastran」が挙げられる。この「Newmarkβ法」の詳細は、<2>において詳細に説明する。また、記憶部512は、更に、解析用コンピュータプログラムが要求する各種パラメータも専用の記憶領域に記憶可能である。
演算処理部511は、記憶部512から上記解析用コンピュータプログラムおよび各種パラメータを読み込んで、解析用コンピュータプログラムを実行することにより、解析処理を行う。
入力装置52は、例えばキーボード等から構成される。ユーザが入力装置52を操作することにより、解析装置51の記憶部512に各種パラメータが設定される。
表示装置53は、例えばディスプレイ等から構成される。表示装置53は、解析装置51により解析した結果をユーザに対して表示する。
<2>動作
次に、本実施形態に係る解析装置51の動作について説明する。
解析装置51は、まず、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4を構成する複数のビーム要素それぞれについて、重力が作用した状態における静的釣合解析を行い、その後、動的釣合解析を行う。
図3および図4は、本実施形態に係る解析装置51の動作を示すフローチャートである。ここでは、解析装置51の全体動作と、全体動作に含まれる時刻歴計算における動作とに分けて説明する。
<2−1>全体動作
まず、解析装置51は、解析対象のモデルを作成する(ステップS1)。ここでは、解析装置51が、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4を含むモデルを作成する。そして、解析装置51は、ユーザが入力装置52を操作して記憶部512に記憶させた各種パラメータに基づいてモデルを作成する。
図5は、本実施形態に係る送電線システムのモデルの一例を示し、(a)は送電線システムの模式図、(b)はモデルの概念図である。
モデルは、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを複数のビーム要素の集合として構築したものである。ここで、「ビーム要素」とは、引っ張り、曲げ、捩じりの負荷を伝達する要素に相当する。
ここで、碍子装置2は、「B2」個のビーム要素、架渉線3は、「B3」個のビーム要素、ジャンパ線4は、「B4」個のビーム要素から構築されている。そして、ビーム要素の個数B2,B3,B4それぞれは、例えば10,170,100に設定される。
また、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれのビーム要素について、線径、ヤング率、ポアソン比、密度は例えば下記のように設定される。
そして、地震に起因して碍子装置2が接続された腕金部11が振動する。このとき、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4には、腕金部11から碍子装置2を通じて架渉線3およびジャンパ線4に地震に起因した外力が加わる。
以上のように、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4が、一次元のビーム要素から構成されている。これにより、例えば碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4が3次元のソリッド要素から構成されている場合に比べて、要素の数を低減することができるので、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4の挙動解析で行われる計算量の低減を図ることができ、処理負荷の軽減を図ることができる。
図3に戻って、ステップS1の処理の後、解析装置51は、モデルについて静的釣合解析を行う(ステップS2)。これにより、解析装置51は、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを構成する複数の要素に対応する剛性要素を算出する。そして、解析装置51は、算出した剛性要素に基づいて、後述のステップS6,S10で行われる時刻歴計算に用いられる剛性マトリクスMを生成する。
次に、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4に加わる外力を示す外力関数P[i]を、重力に対応する外力(第1外力)を示す外力関数Pg[i]に設定する(ステップS3)。ここで、また、iは、時間を反映したパラメータであり、時間の経過とともに増加していく0以上の整数である。
図6は、本実施形態に係る外力関数Pg[i],Ps[i]を示す図であり、(a)は重力に対応する外力を表す外力関数Pg[i]、(b)は地震に起因した外力を表す外力関数Ps[i]である。
ここで、重力に対応する外力を表す外力関数Pg[i]は、下記式(1)の関係式を満たす。
ここで、t:時刻、Pg[t]:重力に対応する外力(第1外力)、T1(=N1):第1期間の終了時刻、である。
式(1)は、第1外力が、第1期間の終了時刻に、一定値となり、規定外力(重力)となることを表している。
より具体的には、外力関数Pg[i]は、下記式(2)の関係式を満たす。
ここで、t:時刻、Pg[t]:重力に対応する外力(第1外力)、T1:第1期間の長さ、である。
この外力関数Pg[i]で表される第1外力は、規定外力(Pg0)を最大値として、sin曲線で滑らかに増加する時間関数で表される。第1外力は、第1期間T1(時刻0〜時刻N1)において、0から重力に対応する規定外力Pg0に漸近し、第2期間T2(時刻N1以降)において規定外力Pg0で維持される。なお、sin曲線以外の滑らかな曲線を用いることも可能である。
また、前記第1外力が、更に、下記式(3)の関係式を満たす。
但し、m:複数の要素それぞれの質量、g:重力加速度、である。
式(1)に示すように、第1期間T1から第2期間T2に切り替わる際、重力に対応する外力の変化量は0となる。これにより、第2期間T2において、外力の変化量は、地震に起因した外力の変化量のみに相当することとなる。従って、数値積分法を用いて碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4を構成する複数のビーム要素それぞれの時刻歴を算出する場合、算出値の発散を抑制できるので、算出された時刻歴の精度を向上させることができる。
また、式(2)に示すように、第1期間T1において重力に対応する外力の変化量が単調減少して0となる。これにより、数値積分法を用いて碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4を構成する複数のビーム要素それぞれの時刻歴を算出する場合、第1期間T1の終了時近くの時刻における算出値の発散を抑制できるので、第1期間T1の終了時近くの時刻における時刻歴の精度を向上させることができる。
更に、式(3)に示すように、規定外力Pg0が複数のビーム要素それぞれに印加される重力に相当する値に設定される。これにより、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4に対して重力が作用した状態で更に地震に起因した外力が作用した場合における碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4の挙動解析を行うことができる。
図3に戻って、ステップS2の処理の後、解析装置51は、時刻パラメータiの初期値i0を「0」に設定するとともに(ステップS4)、時刻パラメータiの終了値Nを「N1」に設定する(ステップS5)。これにより、第1期間T1が、時刻「0」から時刻「N1」までの期間に設定される。
次に、ステップS3,S4において設定した初期値i0、終了値Nを引数として時刻歴計算を行う(ステップS6)。この時刻歴計算における処理の詳細は、<2−2>で詳細に説明する。解析装置51は、このステップS5の処理を行うことにより、第1期間T1(時刻「0」〜時刻N1)における各ビーム要素の時刻歴を取得する。
続いて、解析装置51は、外力関数P[i]を、重力に対応する外力を表す外力関数Pg[i]と、地震に起因した外力(第2外力)を表す外力関数Ps[i]との和に相当する関数に設定する(ステップS7)。ここで、図6(b)に示すように、外力関数Ps[i]は、互いに直交する3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向に時間iの経過とともに振動する3つの成分Psx[i],Psy[i],Psz[i]から構成される。また、図6(b)において、3軸は、例えば碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれの延伸方向をX軸、鉛直方向をZ軸となるように設定されている。
前述のように、地震に起因した外力は、鉄塔1の腕金部11から碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを構成する各ビーム要素に伝達される。
その後、解析装置51は、時刻パラメータiの初期値i0を「N1+1」に設定するとともに(ステップS8)、時刻パラメータiの終了値Nを「N2」に設定する(ステップS9)。これにより、第2期間T1が、時刻「N1+1」から時刻「N2」までの期間に設定される。そして、解析装置51による解析対象期間は、時刻「0」〜時刻「N2」の間に相当する。
次に、解析装置51は、ステップS7,S8において設定した初期値i0、終了値Nを引数として時刻歴計算を行う(ステップS10)。解析装置51は、このステップS9の処理を行うことにより、時刻N1+1から時刻N2までの間における各ビーム要素の挙動を示すデータを取得する。
以上のように、本実施形態に係る解析装置51は、まず、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4に重力に対応する外力(第1外力)が作用した場合における複数のビーム要素それぞれに対応する剛性要素を静的釣合解析により算出する。次に、解析装置51は、算出した剛性要素に基づいて、剛性マトリクスMを生成し、生成した剛性マトリクスMを用いて、複数のビーム要素それぞれの時刻歴を算出する。
これにより、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4に作用する重力に対応する外力に起因して生じる張力の影響を考慮して、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4の挙動解析を行うことができる。従って、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを構成する各ビーム要素の時刻歴の精度向上を図ることができる。
<2−2>時刻歴計算における動作
次に、解析装置51の時刻歴計算における動作について説明する。
まず、解析装置51は、時刻パラメータiを初期値i0に設定する(ステップS11)。ここで、ステップS6における時刻歴計算の場合、i0は「0」に設定され、ステップS10における時刻歴計算の場合、i0は「N1+1」に設定される。
次に、解析装置51は、下記式(4)の関係式を用いて、時刻パラメータiに対応する変位u[i]、変位速度v[i]、変位加速度a[i]から、時刻パラメータi+1に対応する変位加速度a[i+1]を算出する(ステップS12)。ここで、Δtは、時刻パラメータiに対応する時刻と、時刻パラメータi+1に対応する時刻との差分時間を反映した値である。
ここで、変位u[i]、変位速度v[i]、変位加速度a[i]は、下記式(5)に示すようなベクトルで表される。
即ち、変位u[i]、変位速度v[i]、変位加速度a[i]は、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを構成する複数のビーム要素それぞれの3軸方向における変位、変位速度、変位加速度を要素とするベクトルで表される。
また、Mは質量マトリクス、Cは減衰マトリクス、Kは剛性マトリクスを示す。更に、P[i]は、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを構成する各ビーム要素の3軸方向に対応する要素を有する行列で表される。
ここで、剛性マトリクスKは、前述のステップS2の静的釣合解析により生成されたものである。
続いて、解析装置51は、下記式(6)の関係式を用いて、時刻パラメータiに対応する変位速度v[i]、変位加速度a[i]並びに時刻パラメータi+1に対応する変位加速度a[i+1]から、時刻パラメータi+1に対応する変位速度v[i+1]を算出する(ステップS13)。
その後、解析装置51は、下記式(7)の関係式を用いて、時刻パラメータiに対応する変位u[i]、変位速度v[i]、変位加速度a[i]並びに時刻パラメータi+1に対応する変位加速度a[i+1]から、時刻パラメータi+1に対応する変位u[i+1]を算出する(ステップS14)。
なお、変位加速度a[i+1]、変位速度v[i+1]、変位u[i+1]は、例えばNewton−Raphson法を利用することにより算出される。
次に、解析装置51は、時刻パラメータiを「1」だけインクリメントする(ステップS15)。
続いて、解析装置51は、時刻パラメータiが終了値Nよりも大きいか否かを判定する(ステップS16)。
ステップS16において、時刻パラメータiが終了値Nよりも大きいと判定されると(ステップS16:Yes)、解析装置51は、処理を終了する。
一方、ステップS16において、時刻パラメータiが終了値N以下と判定されると(ステップS16:No)、解析装置51は、再びステップS12の処理を行う。
そして、解析装置51は、ステップS1〜S16の一連の処理を行うことにより、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを構成する複数のビーム要素について時刻歴を算出する。そして、解析装置51は、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを構成する複数のビーム要素について時刻歴(解析結果)を、表示装置53に表示させる。
ところで、本実施形態では、微小時間Δt内において変位加速度がa[j]からa[j+1]へ直線的に変化するとする線形加速度法を採用した。即ち、βを1/6に設定した。
これにより、例えば平均加速法により算出した時刻歴に比べて計算誤差を小さくすることができる。
<3>解析結果について
次に、本実施形態に係る解析装置51の解析結果について説明する。
図7は、ある時刻における送電線システムの挙動解析の結果を示す図であり、(a)は比較例1に係る解析装置による解析結果、(b)は比較例2に係る解析装置による解析結果、(c)は本実施形態に係る解析装置51による解析結果を示す。ここで、比較例1に係る解析装置は、重力の影響を無視して解析を行う。また、比較例2に係る解析装置は、重力成分を表す外力関数として、本実施形態に係る外力関数Pg[i]とは異なる外力関数Pg2[i]を用いる。
図8は、比較例2に係る解析装置が用いる重力に対応する外力を表す外力関数Pg2[i]を示す図である。
外力関数Pg2[i]は、地震成分を表す外力関数Ps[i]が立ち上がる時刻N11より前の時刻では「0」で維持され、時刻N11にPg0となる単位ステップ関数である。
また、これらの挙動解析において、微小時間Δtは0.01secに設定した。また、減衰マトリクスCは、単位行列に定数0.997を乗じて得られるものとした。
比較例1に係る解析装置による解析結果では、架渉線3が短い周期で波打った形状となっている。しかしながら、地震時における現実の架渉線3の挙動とはかけ離れたものとなっている。
また、比較例2に係る解析装置による解析結果では、重力成分の付加と地震成分の付加とが、同時に開始されることに起因して、振幅が大きくなり、地震時における現実の架渉線3の挙動とはかけ離れたものとなっている。
これらに対して、本実施形態に係る解析装置による解析結果では、架渉線3が滑らかに波打つ形状となり、比較的現実の架渉線3の挙動に近いものとなっている。
図9は、送電線システムの挙動解析の結果を示す図であり、(a)はある時刻におけるジャンパ線4の挙動を示す図であり、(b)はジャンパ線4を構成するビーム要素Po1と腕金部11との間の距離Wdの時刻歴を示す図である。なお、図9(b)において、「Wd1」は、ジャンパ線4が重力下で釣り合い状態を維持している場合におけるビーム要素Po1と腕金部11との間の距離に相当する。
図9(a)に示すように、ジャンパ線4は、そのヤング率やポアソン比等により定まる固有の振動モードで振動する。そして、ジャンパ線4を構成する各ビーム要素と腕金部11との間の最短距離のうち、ビーム要素Po1と腕金部11との間の最短距離Wd2が最も短くなる。
また、図9(b)に示すように、ジャンパ線4に重力と地震に起因した外力との両方が印加されている場合、ビーム要素Po1と腕金部11との間の距離Wdは、最短距離Wd2と最長距離Wd3との間で振動する。
ここにおいて、ジャンパ線(第2送電線)4が、碍子装置2、架渉線(第1送電線)3およびジャンパ線4の動的挙動解析により得られる、ジャンパ線4と腕金部11との間の最短距離(例えばWd2)が距離閾値よりも大きくなるように設定されている。ここで、「距離閾値」は、ジャンパ線4と腕金部11との間で絶縁破壊が生じる距離よりも長く設定されている。
これにより、予め碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4の動的挙動解析によりジャンパ線4と腕金部11との間の最短距離(例えばWd2)を算出すれば、地絡の有無を判定でき、対策をとることが出来る。
そして、上記動的挙動解析において、前述のように、重力に対応する外力が、第1期間T1において0から重力に対応する規定外力Pg0に漸近し、第2期間T2において規定外力Pg0で維持される。これにより、上記動的挙動解析において、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4の挙動が的確にとらえられるので、地絡の有無を判定でき、対策をとることができる。
<4>まとめ
結局、本実施形態に係る解析装置51は、まず、重力(第1外力)が作用する第1期間T1(0〜N1)における、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4を構成する複数のビーム要素それぞれの時刻歴を算出する。その後、重力および地震に起因した外力(第2外力)が作用する第2期間T2(N1以降)における、上記複数のビーム要素それぞれの時刻歴を算出する。そして、重力が、第1期間T1において0から重力に対応する規定外力に漸近していき、第2期間T2において規定外力で維持される。これにより、例えば時刻「0」に重力と地震外力が同時に、ジャンパ線4等に作用するとして上記複数のビーム要素それぞれの時刻歴を算出する場合に比べて、ジャンパ線4等に作用する外力の単位時間当たりの変化量の最大値が低減される。従って、数値積分法(例えばNewmarkβ法等)を用いて上記複数のビーム要素それぞれの時刻歴を算出する場合、算出される時刻歴の精度を向上させることができる。
[3.変形例]
(1)実施形態では、微小時間Δt内において変位加速度が直線的に変化すると仮定する線形加速度法(β:1/6)を採用する例について説明したが、微小時間Δt内における変位加速度の変化は直線的に限定されるものではない。例えば、微小時間Δt内における変位加速度が、当該微小時間Δtにおける最初の値と最後の値との平均値で維持されると仮定する平均加速度法(β:1/4)を採用してもよい。
本構成によれば、線形加速度法に比べて、算出される変位、変位速度および変位加速度の値が安定する。
また、微小時間Δt内における変位加速度が、当該微小時間Δtにおける中間時点で、最初の値から最後の値にステップ的に変化すると仮定する段階加速度法(β:1/8)を採用してもよい。更に、βの値を1/12に設定してもよい。
本構成によれば、線形加速度法に比べて、算出される変位、変位速度および変位加速度の精度向上が可能となる。
(2)実施形態では、Newmarkβ法により、時刻i(時刻パラメータi)の変位、変位速度および変位加速度から、次の時刻i+1(時刻パラメータi+1)の変位、変位速度および変位加速度の時刻歴を算出する例について説明した。但し、例えば、時刻i(時刻パラメータi)の加速度が、時刻i−3〜時刻i−1における加速度の平均値に相当するものとして、時刻iにおける変位、変位速度および変位加速度の時刻歴を算出するようにしてもよい。
図10は、本変形例に係る解析装置の時刻歴計算における動作を示すフローチャートである。
まず、解析装置は、実施形態と同様の計算方法により、時刻i0における変位u[i0]、変位速度v[i0]および変位加速度a[i0]を算出し(ステップS21)、その後、時刻i0+1における変位u[i0+1]、変位速度v[i0+1]および変位加速度a[i0+1]を算出する(ステップS22)。
次に、解析装置は、時刻パラメータiを初期値i0+2に設定する(ステップS23)。
続いて、解析装置は、下記式(8)の関係式を用いて、時刻パラメータiに対応する変位u[i]、変位速度v[i]並びに時刻パラメータi−2〜iに対応する変位加速度a[i−2]〜a[i]から、時刻パラメータi+1に対応する変位加速度a[i+1]を算出する(ステップS24)。ここで、Δtは、実施形態と同様に、差分時間を反映した値である。
ここで、変位u[i]、変位速度v[i]、変位加速度a[i]は、実施形態と同様に、上記式(5)に示すようなベクトルで表される。
また、実施形態と同様に、Mは質量マトリクス、Cは減衰マトリクス、Kは剛性マトリクスを示す。更に、P[i]は、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれを構成する各ビーム要素の3軸方向に対応する要素を有するベクトルである。
続いて、解析装置51は、下記式(9)の関係式を用いて、時刻パラメータiに対応する変位速度v[i]並びに時刻パラメータ(i−2)〜iに対応する変位加速度a[i−2]〜a[i]から、時刻パラメータi+1に対応する変位速度v[i+1]を算出する(ステップS25)。
その後、解析装置は、下記式(7)の関係式を用いて、時刻パラメータiに対応する変位u[i]、変位速度v[i]並びに時刻パラメータ(i−2)〜iに対応する変位加速度a[i]から、時刻パラメータi+1に対応する変位u[i+1]を算出する(ステップS26)。
次に、解析装置は、時刻パラメータiを「1」だけインクリメントし(ステップS27)、続いて、時刻パラメータiが終了値Nよりも大きいか否かを判定する(ステップS28)。
本構成によれば、時刻パラメータi+1に対応する変位u[i+1]、変位速度v[i+1]、変位加速度a[i+1]を算出する際、時刻(i+1)よりも前の3つの時刻(i−2)〜iにおける変位加速度の平均値を用いる。これにより、変位加速度が急激に大きく変化した場合でも、算出される変位、変位速度および変位加速度が発散してしまうのを抑制できるので、算出される変位、変位速度および変位加速度の時刻歴の安定性向上を図ることができる。
(3)実施形態では、Newmarkβ法を用いて変位加速度、変位速度および変位を算出する例について説明したが、算出方法はこれに限定されるものではなく、例えばウィルソンθ法やルンゲクッタ法を採用してもよい。
(4)実施形態では、第1外力として、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれに加わる重力を反映したものとする例について説明した。但し、第1外力の種類は、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれに対して、一定方向に一定の大きさで継続的に加わる力を反映したものであれば重力を反映したものに限定されるものではない。例えば、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4のいずれかが、弾性特性等を無視できるような絶縁部材により他の固定構造物に固定されている場合を想定する。この場合、第1外力として、第1外力として、重力の他に絶縁部材により引っ張られる力を反映したものとすればよい。
(5)実施形態で説明したように、Newmarkβ法を用いて変位加速度、変位速度および変位それぞれの時刻歴を算出する場合、算出される時刻歴の精度は、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれの固有振動特性に左右される。具体的には、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれの最小固有周期と、Newmarkβ法で用いられる微小時間Δtとの間の大小関係に依存する。微小時間Δtは、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれの最小固有周期の1/5〜1/6程度が妥当とされる。
そこで、実施形態について、微小時間Δtを、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれの最小固有周期に基づいて設定するようにしてもよい。この場合、最小固有周期を例えばサブスペース法により算出すればよい。
本構成によれば、変位加速度、変位速度および変位それぞれの時刻歴の精度向上を図ることができる。
(6)実施形態では、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれが、ビーム要素から構成されているものとしたが、かならずしもビーム要素から構成されるものに限定されるものではない。例えば、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4の全部または一部が、シェル要素やソリッド要素から構成されていてもよい。
例えば、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれが、3次元のソリッド要素から構成されている場合、碍子装置2、架渉線3およびジャンパ線4それぞれの挙動をより詳細に解析することができる。
[4.付記]
上記実施の形態および変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 鉄塔
2 碍子装置
3 架渉線
4 ジャンパ線
11 腕金部
50 解析システム
51 解析装置
52 入力装置
53 表示装置
511 演算処理部
512 記憶部

Claims (11)

  1. 送電線の動的挙動を有限要素法により解析する送電線挙動解析装置であって、
    前記送電線を複数の要素の集合体として構築する機能、
    第1外力が作用する第1期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出した後、第1外力および前記第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出する機能、および、
    前記第1外力を、前記第1期間において0から重力に対応する規定外力に漸近させ、前記第2期間において前記規定外力に維持する機能
    を有している送電線挙動解析装置。
  2. 前記第1外力は、前記第1期間の終了時刻に、一定値となり、前記規定外力となる請求項1記載の送電線挙動解析装置。
  3. 前記第1外力は、前記規定外力を最大値として滑らかに増加する時間関数で表される請求項2記載の送電線挙動解析装置。
  4. 前記複数の要素それぞれの質量をm、重力加速度をgとして、前記規定外力は、mgである請求項3記載の送電線挙動解析装置。
  5. 前記複数の要素それぞれの時刻歴を線形加速度法により算出する、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の送電線挙動解析装置。
  6. 前記送電線に前記第1外力が作用した場合における前記複数の要素それぞれに対応する剛性要素を静的釣合解析により算出し、算出した剛性要素に基づいて、剛性マトリクスを生成し、
    生成した剛性マトリクスを用いて、前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出する
    請求項5記載の送電線挙動解析装置。
  7. 前記複数の要素それぞれは、一次元のビーム要素から構成されている
    請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の送電線挙動解析装置。
  8. 送電線の動的挙動を有限要素法により解析する解析方法であって、
    前記送電線を複数の要素の集合体として構築するステップと、
    第1外力のみが作用する第1期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、
    第1外力および前記第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、を含み、
    前記第1外力を、前記第1期間において重力に対応する規定外力に漸近させ、前記第2期間において前記規定外力に維持する
    送電線挙動解析方法。
  9. 送電線の動的挙動を有限要素法により解析する解析処理をコンピュータにより実現させる送電線挙動解析プログラムであって、
    前記解析処理は、
    前記送電線を複数の要素の集合体として構築するステップと、
    第1外力のみが作用する第1期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、
    第1外力および前記第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記複数の要素それぞれの時刻歴を算出するステップと、を含み、
    前記第1外力を、前記第1期間において重力に対応する規定外力に漸近させ、前記第2期間において前記規定外力に維持する
    送電線挙動解析プログラム。
  10. 腕金部を有する鉄塔と、
    鉄塔の一部を構成する1の腕金部に碍子装置を介して連結された複数の第1送電線と、
    前記複数の第1送電線のうちの2つを接続する第2送電線と、を備え、
    前記第2送電線は、前記第1、第2送電線および前記碍子装置の動的挙動解析の結果に基づいて、前記第2送電線と前記腕金部との間の最短距離が距離閾値よりも大きくなるように設定されている
    送電線システム。
  11. 前記動的挙動解析において、
    前記第1、第2送電線および前記碍子装置それぞれを複数の要素の集合体として構築し、
    第1外力が作用する第1期間における前記第2送電線を構成する複数の要素それぞれの時刻歴を算出した後、第1外力および前記第1外力以外の第2外力が作用する第2期間における前記第2送電線を構成する複数の要素それぞれの時刻歴を算出し、
    前記第1外力を、前記第1期間において0から重力に対応する規定外力に漸近させ、前記第2期間において前記規定外力に維持する
    請求項10記載の送電線システム。
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