JP2017025747A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料消費率の悪化を抑制可能なメイン噴射の噴射時期を得ることができる制御装置を提供する。【解決手段】パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)、および、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)に基づいて、メイン噴射の燃料噴射時期の補正量Δmを算出する(ST9)。この補正量Δmでメイン噴射の基準噴射時期inj2を補正し、補正後の噴射時期でインジェクタからのメイン噴射を実行させる。これにより、パイロット噴射燃料の着火タイミングに遅れが生じた場合であっても、メイン噴射の噴霧速度を考慮した噴射時期でメイン噴射を実行することができ、メイン噴射燃料の着火時期を適切に得ることができる。【選択図】図6

Description

本発明は内燃機関の制御装置に係る。特に、本発明は燃料噴射制御の改良に関する。
従来、車両等に搭載されるディーゼルエンジンにあっては、燃焼室内での燃料の燃焼に伴うスモークの発生や燃焼音の増大を抑制することを目的として燃料噴射時期の制御が行われている。
特許文献1には、パイロット噴射燃料が着火するタイミングとメイン噴射燃料が着火するタイミングとの間隔である着火インターバルを、予め設定した目標着火インターバルに一致させるように燃料噴射時期を制御することが開示されている。
特開2009−156153号公報
しかしながら、特許文献1の如く着火インターバルを目標着火インターバルに一致させるようにしたものにあっては、過渡運転時等においてパイロット噴射燃料の着火タイミングに遅れが生じた場合、前記メイン噴射の噴射時期を遅角させることになる。この場合、メイン噴射燃料の燃焼効率が十分に得られず、燃料消費率の悪化を招いてしまう可能性がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃料消費率の悪化を抑制可能なメイン噴射の噴射時期を得ることができる制御装置を提供することにある。
前記の目的を達成するための本発明の解決手段は、気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた圧縮自着火式の内燃機関に適用され、前記燃料噴射弁からの燃料噴射として、パイロット噴射およびメイン噴射をそれぞれ実行させる制御装置を前提とする。この制御装置に対し、基準量取得部、実ガス状態量算出部、パイロット噴射着火位置推定部、メイン噴射噴霧速度推定部、補正量算出部、メイン噴射指令部を備えさせている。基準量取得部は、現在の機関運転状態に応じた、基準噴射圧力、前記パイロット噴射の基準噴射量、前記パイロット噴射の基準噴射時期、前記パイロット噴射で噴射された燃料が着火する際の前記燃料噴射弁から燃焼場までの距離として規定される基準着火位置、前記メイン噴射の基準噴射量、前記メイン噴射の基準噴射時期、前記メイン噴射の基準噴霧速度それぞれを取得する。実ガス状態量算出部は、前記気筒内の実際のガス状態量を実ガス状態量として算出する。パイロット噴射着火位置推定部は、前記パイロット噴射の基準噴射量、前記パイロット噴射の基準噴射時期、および、前記実ガス状態量に基づいて、前記パイロット噴射が実行された場合にその燃料が実際に着火する際の前記燃料噴射弁から燃焼場までの距離として規定されるパイロット噴射推定着火位置を推定する。メイン噴射噴霧速度推定部は、前記基準噴射圧力、前記メイン噴射の基準噴射量、前記メイン噴射の基準噴射時期、および、前記実ガス状態量に基づいて、前記メイン噴射が実行された場合におけるその実際の噴霧速度をメイン噴射推定噴霧速度として推定する。補正量算出部は、前記パイロット噴射の基準着火位置と前記パイロット噴射推定着火位置との比、および、前記メイン噴射の基準噴霧速度と前記メイン噴射推定噴霧速度との比に基づいて、前記メイン噴射における噴射時期の補正量を算出する。メイン噴射指令部は、前記補正量で前記メイン噴射の基準噴射時期を補正し、この補正後の噴射時期で前記メイン噴射を実行させる。
この特定事項により、パイロット噴射の基準着火位置とパイロット噴射推定着火位置との比、および、メイン噴射の基準噴霧速度とメイン噴射推定噴霧速度との比それぞれに応じて補正量を算出し、この補正量でメイン噴射の噴射時期を補正することになる。これにより、パイロット噴射燃料の着火時期に遅れが生じて、パイロット噴射燃料の着火位置が変動した場合であっても、メイン噴射の噴霧速度を考慮した噴射時期でメイン噴射を実行することによって、メイン噴射燃料の着火時期を適切に得ることができる。このため、メイン噴射燃料の燃焼効率を十分に高めることができる。
前記補正量算出部は、前記メイン噴射の基準噴霧速度に対する前記メイン噴射推定噴霧速度の比が1である場合に、前記パイロット噴射の基準着火位置に対する前記パイロット噴射推定着火位置の比が1より大きいときには、前記補正量を、前記メイン噴射の噴射時期が進角側に補正される値として算出する一方、前記パイロット噴射の基準着火位置に対する前記パイロット噴射推定着火位置の比が1より小さいときには、前記補正量を、前記メイン噴射の噴射時期が遅角側に補正される値として算出することが好ましい。
これによれば、メイン噴射の噴射時期がピストンの圧縮上死点よりも進角側となっている場合において、推定されたパイロット噴射の着火位置(パイロット噴射推定着火位置)が燃料噴射弁から遠い場合には、メイン噴射の噴射時期が進角側に補正されることで(ピストンの圧縮上死点よりも進角側に補正されることで)、メイン噴射燃料の貫徹力が大きくなって(気筒内圧力が低い状態でメイン噴射が実行されるため、その燃料の貫徹力が大きくなって)、このメイン噴射燃料の着火位置も燃料噴射弁から遠くなる。逆に、推定されたパイロット噴射推定着火位置が燃料噴射弁に近い場合には、メイン噴射の噴射時期が遅角側に補正されることで(ピストンの圧縮上死点付近に設定されることで)、メイン噴射燃料の貫徹力が小さくなって(気筒内圧力が高い状態でメイン噴射が実行されるため、その燃料の貫徹力が小さくなって)、このメイン噴射燃料の着火位置も燃料噴射弁に近くなる。このため、パイロット噴射燃料の燃焼場とメイン噴射燃料の燃焼場とが重なり合うことを抑制し、且つこれら燃焼場同士が隣接するように各燃焼場を形成することが可能となる。これにより、燃焼時の酸素不足およびそれに伴うスモークの発生を抑制しながらメイン噴射燃料の着火遅れを小さくでき、失火の抑制および燃焼音の低減を図ることができる。
また、前記補正量算出部は、前記パイロット噴射の基準着火位置に対する前記パイロット噴射推定着火位置の比が1である場合に、前記メイン噴射の基準噴霧速度に対する前記メイン噴射推定噴霧速度の比が1より大きいときには、前記補正量を、前記メイン噴射の噴射時期が遅角側に補正される値として算出する一方、前記メイン噴射の基準噴霧速度に対する前記メイン噴射推定噴霧速度の比が1より小さいときには、前記補正量を、前記メイン噴射の噴射時期が進角側に補正される値として算出することが好ましい。
これによれば、メイン噴射の噴射時期がピストンの圧縮上死点よりも進角側となっている場合において、推定されたメイン噴射の噴霧速度(メイン噴射推定噴霧速度)が高く、パイロット噴射燃料の燃焼場を通過する時間が十分に得られない場合には、メイン噴射の噴射時期が遅角側に補正されることで(ピストンの圧縮上死点付近に設定されることで)、メイン噴射燃料の貫徹力が小さくなって、メイン噴射燃料がパイロット噴射燃料の燃焼場を通過する時間が十分に確保されることになる。逆に、推定されたメイン噴射推定噴霧速度が低く、パイロット噴射燃料の燃焼場を通過する時間が長すぎる場合には、メイン噴射の噴射時期が進角側に補正されることで(ピストンの圧縮上死点よりも進角側に補正されることで)、メイン噴射燃料の貫徹力が大きくなって、メイン噴射燃料がパイロット噴射燃料の燃焼場を通過する時間を適正に得ることができる。この場合にも、パイロット噴射燃料の燃焼場とメイン噴射燃料の燃焼場とが重なり合うことを抑制し、且つこれら燃焼場同士が隣接するように各燃焼場を形成することが可能となる。これにより、燃焼時の酸素不足およびそれに伴うスモークの発生を抑制しながらメイン噴射燃料の着火遅れを小さくでき、失火の抑制および燃焼音の低減を図ることができる。
本発明では、パイロット噴射の基準着火位置とパイロット噴射推定着火位置との比、および、メイン噴射の基準噴霧速度とメイン噴射推定噴霧速度との比に基づいて、メイン噴射の噴射時期を補正するようにしている。これにより、メイン噴射燃料の着火時期を適切に得て、メイン噴射燃料の燃焼効率を十分に高めることができ、燃料消費率の悪化を抑制することができる。
実施形態に係るディーゼルエンジンおよびその制御系統の概略構成図である。 ディーゼルエンジンの燃焼室およびその周辺部を示す断面図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 定常運転時および過渡運転時それぞれにおけるパイロット噴射燃料の燃焼場を説明するためのピストンの平面図である。 燃焼室内においてパイロット噴射燃料の燃焼場とメイン噴射燃料の燃焼場とが隣接する場合のピストンの平面図である。 メイン噴射制御の手順を示すフローチャート図である。 メイン噴射時期補正量算出マップの一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば直列4気筒)ディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)に、本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成−
図1は本実施形態に係るディーゼルエンジン1(以下、単にエンジンという)およびその制御系統の概略構成図である。
この図1に示すように、本実施形態に係るエンジン1は、燃料供給系2、燃焼室3、吸気系6、および、排気系7を備えている。
燃料供給系2は、サプライポンプ21、コモンレール22、インジェクタ(燃料噴射弁)23、および、機関燃料通路24等を備えている。
前記サプライポンプ21は、燃料タンクから汲み上げた燃料を、高圧にした後、機関燃料通路24を経てコモンレール22に供給する。コモンレール22は、高圧燃料を各インジェクタ23に分配する。インジェクタ23はピエゾインジェクタである。
吸気系6は、シリンダヘッド15(図2を参照)に形成された吸気ポート15aに接続される吸気マニホールド61を備え、この吸気マニホールド61に吸気管62が接続されている。この吸気管62には、上流側から順に、エアクリーナ63、エアフローメータ43、インタークーラ65、および、吸気絞り弁(ディーゼルスロットル)64が配設されている。
排気系7は、シリンダヘッド15に形成された排気ポート15bに接続される排気マニホールド71を備え、この排気マニホールド71に排気管72が接続されている。この排気管72には、NSR(NOx Storage Reduction)触媒74およびDPF(Diesel Particulate Filter)75が配設されている。
図2に示すように、シリンダブロック11には、各気筒(4気筒)毎にシリンダボア12が形成されている。各シリンダボア12の内部にはピストン13が収容されている。ピストン13の頂面13aの中央部には、キャビティ13bが凹設されており、このキャビティ13bが燃焼室3を構成している。この燃焼室3の中央部からインジェクタ23によって噴射された燃料は、自着火により燃焼し、その燃焼圧をピストン13に作用させる。ピストン13は、コネクティングロッド18によってクランクシャフト(図示省略)に連結されており、このクランクシャフトからエンジン動力が取り出される。
前記シリンダヘッド15には、吸気ポート15aを開閉する吸気バルブ16、および、排気ポート15bを開閉する排気バルブ17が配設されている。
さらに、図1に示す如く、このエンジン1には、ターボチャージャ(過給機)5が設けられている。このターボチャージャ5は、タービンシャフト51を介して連結されたタービンホイール52およびコンプレッサホイール53を備えている。
また、エンジン1には、吸気系6と排気系7とを接続するEGR(Exhaust Gas Recirculation)通路8が設けられている。このEGR通路8には、EGRバルブ81およびEGRクーラ82が設けられている。
−ECU−
ECU(Electronic Control Unit)100は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等からなるマイクロコンピュータと入出力回路とを備えている。図3に示すように、ECU100の入力回路には、クランクポジションセンサ40、レール圧センサ41、スロットル開度センサ42、エアフローメータ43、排気温センサ45a,45b、水温センサ46、アクセル開度センサ47、吸気圧センサ48、吸気温センサ49、筒内圧センサ4A、および、空燃比センサ4Bなどが接続されている。これらセンサの機能は周知であるのでここでの説明は省略する。
一方、ECU100の出力回路には、サプライポンプ21、インジェクタ23、吸気絞り弁64、および、EGRバルブ81などが接続されている。
そして、ECU100は、前記各センサからの出力、その出力値を利用する演算式により求められた演算値、または、前記ROMに記憶された各種マップに基づいて、エンジン1の各種制御を実行する。例えば、ECU100は、インジェクタ23の燃料噴射制御として、パイロット噴射およびメイン噴射等の燃料噴射制御を実行する。
パイロット噴射は、メイン噴射に先立ち、少量の燃料を噴射する動作である。このパイロット噴射は、気筒内温度を高める予熱機能を有している。つまり、メイン噴射が開始されるまでの間に気筒内温度を十分に高め、これによってメイン噴射燃料の着火遅れを抑制し、このメイン噴射燃料の着火性を良好に確保するようにしている。
メイン噴射は、エンジン1のトルク発生のための燃料噴射動作である。このメイン噴射での燃料噴射量および燃料噴射時期は、基本的には、エンジン回転速度およびアクセル操作量(エンジン負荷)等に応じ、要求トルクが得られるように決定される。例えば、燃料噴射量は、エンジン回転速度が高いほど、また、アクセル操作量(アクセル開度)が大きいほど多く設定される。
また、燃料噴射を実行する際の燃料噴射圧力は、コモンレール22の内圧(コモンレール内圧)により決定される。このコモンレール内圧として、一般に、コモンレール22からインジェクタ23へ供給される燃料圧力の目標値である目標レール圧は、エンジン回転速度が高くなるほど、および、エンジン負荷が高くなるほど高いものとされる。この目標レール圧は例えば前記ROMに記憶された燃圧設定マップに従って設定される。
本実施形態におけるメイン噴射制御にあっては、エンジン回転速度やエンジン負荷等に応じて決定された燃料噴射時期(エンジン回転速度およびエンジン負荷に対応する運転格子点に割り当てられた基準噴射時期)を、パイロット噴射燃料の着火位置(パイロット噴射燃料が着火する際におけるその燃焼場のインジェクタ23からの距離として規定される位置)およびメイン噴射の噴霧速度それぞれに応じて補正することによって最終的な燃料噴射時期を決定する。そして、この決定された燃料噴射時期でメイン噴射を実行するようにしている。この燃料噴射時期の補正については後述する。
なお、前述したパイロット噴射およびメイン噴射の他に、アフタ噴射やポスト噴射が必要に応じて行われる。これらの噴射の機能は周知であるため、ここでの説明は省略する。
また、ECU100は、エンジン1の運転状態に応じてEGRバルブ81の開度を制御し、吸気マニホールド61に向けての排気還流量(EGRガス量)を調整する。このEGRガス量は、予め実験やシミュレーション等によって作成されて前記ROMに記憶されたEGRマップに従って設定される。このEGRマップは、エンジン回転速度およびエンジン負荷をパラメータとしてEGR率を決定するためのマップである。ECU100は、このEGRマップに従って決定されたEGR率が成立するように、吸入空気量に応じたEGRガス量を得るべくEGRバルブ81の開度を制御する。
−メイン噴射制御−
次に、本実施形態の特徴であるメイン噴射制御について説明する。このメイン噴射制御では、エンジン1の運転状態に応じて変化するパイロット噴射燃料の燃焼領域(パイロット噴射燃料の燃焼場)およびメイン噴射が実行された場合のそのメイン噴射燃料の噴霧速度それぞれに基づき、このメイン噴射燃料が、パイロット噴射燃料の燃焼場を通過する際に適切な量の熱を受け取って、適切なタイミングで着火するようにメイン噴射時期を補正するようにしている。以下、具体的に説明する。
図4は、定常運転時および過渡運転時それぞれにおけるパイロット噴射燃料の燃焼場を説明するためのピストン13の平面図である。この図4において破線の斜線を付した領域Pbは、エンジン1の定常運転時におけるパイロット噴射燃料の燃焼場である。一方、この図4において実線の斜線を付した領域Prは、エンジン1の過渡運転時におけるパイロット噴射燃料の燃焼場である。
例えば、エンジン1の運転状態の変化(過渡運転)に伴って、EGRの減量補正要求が発生した際にその減量補正動作に遅れが生じた場合や、ターボチャージャ5による過給要求が発生した際にその過給遅れが生じた場合には、パイロット噴射燃料の着火タイミングに遅れが生じる。この着火遅れが生じると、インジェクタ23から噴射されたパイロット噴射燃料は、定常運転時における着火位置よりも、燃焼室3内の径方向外側の位置で着火(燃料噴霧が径方向外側の位置に達した時点で着火)することになる。つまり、パイロット噴射燃料の燃焼場が、定常運転時における燃焼場よりも径方向外側に拡大する(燃焼場の外縁位置が燃焼室3の外周側に移行する)ことになる。このようにパイロット噴射燃料の燃焼場の大きさが変化すると、それに伴って、メイン噴射燃料がパイロット噴射燃料の燃焼場の通過に要する時間も変化することになる。つまり、この燃焼場が径方向外側に拡大するほど、メイン噴射燃料の通過に要する時間は長くなる(メイン噴射燃料の噴霧速度を一定とした場合)。
また、メイン噴射燃料の噴霧速度は、その燃料噴射時における筒内圧力や燃料噴射圧力(レール圧)によって変化するが、筒内圧力は、定常運転時と過渡運転時とでは異なっているため、この定常運転時と過渡運転時とではメイン噴射燃料の噴霧速度も異なることになる。例えば、過渡運転時において前記過給遅れが生じた場合には、メイン噴射実行時における筒内圧力が低いため、メイン噴射燃料の噴霧速度は高くなる。このメイン噴射燃料の噴霧速度が変化すると、メイン噴射の実行時において、このメイン噴射燃料がパイロット噴射燃料の燃焼場を通過する時間も変化することになる。つまり、メイン噴射燃料の噴霧速度が高いほど、このメイン噴射燃料がパイロット噴射燃料の燃焼場を通過する時間は短くなる(パイロット噴射燃料の燃焼場の大きさを一定とした場合)。
本実施形態では、このようにメイン噴射燃料がパイロット噴射燃料の燃焼場を通過する時間が変化した場合には、メイン噴射燃料がパイロット噴射燃料の燃焼場から受ける熱量が変化し、これに起因して、メイン噴射燃料の着火タイミングが変化することに着目し、メイン噴射燃料が、パイロット噴射燃料の燃焼場を通過する際に適切な量の熱を受け取って、適切なタイミングで着火するようにメイン噴射時期を補正するようにしている。
ここでいう適切なメイン噴射燃料の着火タイミングとは、燃焼室3内において、パイロット噴射燃料の燃焼場と、メイン噴射燃料の燃焼場とが重なり合うことなく、且つこれら燃焼場同士が隣接するように各燃焼場が形成される着火タイミングである。
図5は、燃焼室3内においてこれら燃焼場同士が隣接する場合(理想的な燃焼場が形成された場合)のピストン13の平面図である。この図5において符号Pで表す斜線を付した領域がパイロット噴射燃料の燃焼場である。また、この図5において符号Mで表す斜線を付した領域がメイン噴射燃料の燃焼場である。この図5に示すように、少量の燃料を噴射することで貫徹力が低くなっているパイロット噴射燃料の燃焼場Pは、インジェクタ23の周辺であって燃焼室3の中央部分に形成される。これに対し、パイロット噴射に比べて噴射量が多くなっているメイン噴射燃料の貫徹力は、パイロット噴射燃料の貫徹力よりも大きくなっている。このため、このメイン噴射燃料は、パイロット噴射燃料の燃焼場Pを通過することで熱を受け、この燃焼場Pを脱する際に着火温度に達する。これにより、メイン噴射燃料の燃焼場Mは、燃焼室3の外周部分に形成される。
インジェクタ23には周方向に亘って複数の噴孔が形成されている。このため、各噴孔から噴射された燃料の噴霧は、周方向に所定間隔を存した領域に向けてそれぞれ噴射されることになるが、気筒内にはスワール流が生じており、且つ噴孔の数が多く設定されている(例えば周方向に亘って10個の噴孔を有している)ので、ここでは、各燃焼場(パイロット噴射燃料の燃焼場Pおよびメイン噴射燃料の燃焼場M)は、それぞれ周方向全体に亘って均一な燃焼場であると見なすこととする。
本実施形態におけるパイロット噴射制御では、この図5に示すように、パイロット噴射燃料の燃焼場Pとメイン噴射燃料の燃焼場Mとが重なり合うことなく、且つこれら燃焼場同士が隣接するように(パイロット噴射燃料の燃焼場Pの外縁とメイン噴射燃料の燃焼場Mの内縁とが接するように)メイン噴射の噴射時期を規定するようにしている。
以下、このメイン噴射制御の概略について説明する。
このメイン噴射制御では、(a)エンジン1の現在の運転状態(現在の機関運転状態)に応じた、基準レール圧(基準噴射圧力)、パイロット噴射の基準噴射量、パイロット噴射の基準噴射時期、パイロット噴射で噴射された燃料が着火する際のインジェクタ23から燃焼場までの距離として規定される基準着火位置、メイン噴射の基準噴射量、メイン噴射の基準噴射時期、メイン噴射の基準噴霧速度それぞれを取得する動作、(b)気筒内の実際のガス状態量を実ガス状態量として算出する動作、(c)前記パイロット噴射の基準噴射量、前記パイロット噴射の基準噴射時期、および、前記実ガス状態量に基づいて、パイロット噴射が実行された場合にその燃料が実際に着火する際のインジェクタ23から燃焼場までの距離として規定されるパイロット噴射推定着火位置を推定する動作、(d)前記基準レール圧、前記メイン噴射の基準噴射量、前記メイン噴射の基準噴射時期、および、前記実ガス状態量に基づいて、メイン噴射が実行された場合におけるその実際の噴霧速度をメイン噴射推定噴霧速度として推定する動作、(e)前記パイロット噴射の基準着火位置と前記パイロット噴射推定着火位置との比、および、前記メイン噴射の基準噴霧速度と前記メイン噴射推定噴霧速度との比に基づいて、メイン噴射における噴射時期の補正量を算出する動作、(f)前記補正量で前記メイン噴射の基準噴射時期を補正し、この補正後の噴射時期でメイン噴射を実行させる動作が順に行われる。これら(a)〜(f)の動作の詳細については後述する。
これら動作は前記ECU100によって実行される。このため、ECU100において、前記(a)の動作を実行する機能部分が本発明でいう基準量取得部として構成されている。また、ECU100において、前記(b)の動作を実行する機能部分が本発明でいう実ガス状態量算出部として構成されている。また、ECU100において、前記(c)の動作を実行する機能部分が本発明でいうパイロット噴射着火位置推定部として構成されている。また、ECU100において、前記(d)の動作を実行する機能部分が本発明でいうメイン噴射噴霧速度推定部として構成されている。また、ECU100において、前記(e)の動作を実行する機能部分が本発明でいう補正量算出部として構成されている。また、ECU100において、前記(f)の動作を実行する機能部分が本発明でいうメイン噴射指令部として構成されている。これら基準量取得部、実ガス状態量算出部、パイロット噴射着火位置推定部、メイン噴射噴霧速度推定部、補正量算出部、および、メイン噴射指令部によって本発明に係る制御装置が構成されている。
以下、このメイン噴射制御の具体的な手順について図6のフローチャートに沿って説明する。このフローチャートは、エンジン1の始動後、クランクシャフトが所定角度だけ回転する毎(より具体的には、何れかの気筒でメイン噴射が開始される前のタイミングとなる毎;例えばピストン13が圧縮上死点に達する前の所定クランク角度位置となるタイミング(以下、制御開始タイミングという)毎:本実施形態に係るエンジン1は4気筒であるので180°CA毎)に前記ECU100において開始される。なお、以下では、本メイン噴射制御においてメイン噴射時期が規定される気筒(メイン噴射が開始される前のタイミング(制御開始タイミング)を迎えている気筒)を制御対象気筒と呼ぶ。
前述した制御開始タイミングに達して制御対象気筒に対するメイン噴射制御が開始(START)されると、ステップST1において、現在のエンジン回転速度およびエンジン負荷を検出する。エンジン回転速度はクランクポジションセンサ40からの出力信号(パルス波形信号)に基づいて算出される。また、エンジン負荷は、前記エンジン回転速度とアクセル開度センサ47からの出力信号とに基づいて算出される。
ステップST2では、基準レール圧Pcrbが取得される。つまり、現在のエンジン回転速度およびエンジン負荷に対応する運転格子点(現在の機関運転状態)に割り当てられた(前記ROMに記憶された)基準レール圧Pcrbが取得される。具体的に、この基準レール圧Pcrbは、前記燃圧設定マップから読み出される。
ステップST3では、現在のエンジン回転速度およびエンジン負荷に対応する運転格子点に割り当てられたパイロット噴射の基準噴射制御量およびメイン噴射の基準噴射制御量が取得される。具体的には、現在のエンジン運転状態における運転格子点に割り当てられたパイロット噴射およびメイン噴射それぞれの基準噴射量q1,q2および基準噴射時期inj1,inj2それぞれが取得される。
ステップST4では、パイロット噴射基準着火位置Bpbを取得する。このパイロット噴射基準着火位置Bpbは、現在のエンジン回転速度およびエンジン負荷に対応する運転格子点に割り当てられたものであって、インジェクタ23からパイロット噴射燃料の燃焼場Pの外縁までの距離に相当する。パイロット噴射燃料の着火位置は、燃料噴射圧力、筒内圧力、気筒内温度、燃料温度等に応じて決まる。具体的には、燃料噴射圧力が高いほど、筒内圧力が低いほど、気筒内温度が低いほど、また、燃料温度が低いほど、パイロット噴射燃料の着火位置(インジェクタ23からの距離)は大きくなる。このため、これらパラメータの基準値(現在のエンジン回転速度およびエンジン負荷に対応する運転格子点に割り当てられた基準値)からパイロット噴射燃料の着火位置(基準着火位置)を算出することが可能である。前記ROMには、このようにして求められたパイロット噴射基準着火位置Bpbが各運転格子点に割り当てられて記憶されており、このステップST4では、この情報が読み出されることになる。
ステップST5では、メイン噴射基準噴霧速度Vspbを取得する。このメイン噴射基準噴霧速度Vspbも、現在のエンジン回転速度およびエンジン負荷に対応する運転格子点に割り当てられたものである。メイン噴射の噴霧速度は、燃料噴射圧力、筒内圧力、筒内のガス状態量等に応じて決まるため、これらパラメータの基準値(現在のエンジン回転速度およびエンジン負荷に対応する運転格子点に割り当てられた基準値)から算出することが可能である。前記ROMには、このようにして求められたメイン噴射基準噴霧速度Vspbが各運転格子点に割り当てられて記憶されており、このステップST5では、この情報が読み出されることになる。
これらステップST2〜ST5の動作が、本発明でいう「基準量取得部による動作であって、現在の機関運転状態に応じた、基準噴射圧力、パイロット噴射の基準噴射量、パイロット噴射の基準噴射時期、パイロット噴射で噴射された燃料が着火する際の燃料噴射弁から燃焼場までの距離として規定される基準着火位置、メイン噴射の基準噴射量、メイン噴射の基準噴射時期、メイン噴射の基準噴霧速度それぞれを取得する動作」に相当する。
ステップST6では、制御対象気筒内に導入されているガスの状態量(実ガス状態量)を算出する。具体的には、ガス量gcyl、および、ガス組成Cを算出する。
ガス量gcylは、制御対象気筒内に導入されている吸気の質量であって、エアフローメータ43および吸気温センサ49からの出力信号等に基づいて求められる。例えば所定期間中(例えば制御対象気筒の吸気バルブ16の開弁時から閉弁時までの期間中)における吸入空気量(エアフローメータ43からの出力信号に基づいて算出される吸入空気量の積算値)、および、吸気温度(吸気温センサ49からの出力信号によって検知される吸気温度)をパラメータとする所定の演算式またはマップからガス量gcylを求める。そして、吸入空気量が多いほど、また、吸気温度が低いほど、このガス量gcylが大きい値として算出される。また、前記エアフローメータ43等からの出力信号に基づいて求められたガス量にEGRガス量(前記EGRマップから読み出されるEGR率を達成するためのEGRガス量)を加算してガス量gcylを算出するようにしてもよい。
ガス組成Cは、制御対象気筒内に導入されているガス中の酸素濃度であって、EGR率および空燃比(A/F)等から求められる。EGR率は、前述した如くEGRマップから読み出される。空燃比は、空燃比センサ4Bからの出力信号によって検知される。このガス組成Cは、EGR率および空燃比(A/F)をパラメータとする所定の演算式またはマップから求められる。そして、EGR率が低いほど、また、空燃比(A/F)が大きいほど、このガス組成C(ガス中の酸素濃度)は高い値として算出される。
このステップST6の動作が、本発明でいう「実ガス状態量算出部による動作であって、気筒内の実際のガス状態量を実ガス状態量として算出する動作」に相当する。
ステップST7では、パイロット噴射が実行された場合におけるそのパイロット噴射燃料の実際の着火位置(パイロット噴射推定着火位置;パイロット噴射燃料の燃焼場の外縁の推定位置)Bpsを算出(推定)する。このパイロット噴射推定着火位置Bpsは、前記ステップST3で取得されたパイロット噴射の基準噴射量q1、パイロット噴射の基準噴射時期inj1、および、前記ステップST6で算出された制御対象気筒内の実ガス状態量(ガス量gcylおよびガス組成C)それぞれを変数とする演算式によって算出される。または、パイロット噴射の基準噴射量q1、パイロット噴射の基準噴射時期inj1、制御対象気筒内の実ガス状態量(ガス量gcylおよびガス組成C)それぞれをパラメータとしてパイロット噴射推定着火位置を求めるマップが実験などによって作成されてECU100のROMに記憶され、このマップを参照することでパイロット噴射推定着火位置Bpsを求めるようにしてもよい。そして、パイロット噴射の基準噴射量q1が多いほど、パイロット噴射の基準噴射時期inj1が進角側であるほど、制御対象気筒内のガス量gcylが少ないほど、ガス組成C(ガス中の酸素濃度)が低いほど、このパイロット噴射推定着火位置Bpsは外側位置の値(インジェクタ23から離れた位置)として算出されることになる。なお、このパイロット噴射推定着火位置Bpsを算出するに当たっては、前記基準レール圧Pcrbをパラメータとして加えてもよい。
このステップST7の動作が、本発明でいう「パイロット噴射着火位置推定部による動作であって、パイロット噴射の基準噴射量、パイロット噴射の基準噴射時期、および、実ガス状態量に基づいて、パイロット噴射が実行された場合にその燃料が実際に着火する際の燃料噴射弁から燃焼場までの距離として規定されるパイロット噴射推定着火位置を推定する動作」に相当する。
ステップST8では、メイン噴射が実行された場合におけるそのメイン噴射燃料の実際の噴霧速度(メイン噴射推定噴霧速度)Vspsを算出(推定)する。このメイン噴射推定噴霧速度Vspsは、前記ステップST2で取得された基準レール圧Pcrb、前記ステップST3で取得されたメイン噴射の基準噴射量q2、メイン噴射の基準噴射時期inj2、および、前記ステップST6で算出された制御対象気筒内の実ガス状態量(ガス量gcylおよびガス組成C)それぞれを変数とする演算式によって算出される。または、基準レール圧Pcrb、メイン噴射の基準噴射量q2、メイン噴射の基準噴射時期inj2、制御対象気筒内の実ガス状態量(ガス量gcylおよびガス組成C)それぞれをパラメータとしてメイン噴射推定噴霧速度Vspsを求めるマップが実験などによって作成されてECU100のROMに記憶され、このマップを参照することでメイン噴射推定噴霧速度Vspsを求めるようにしてもよい。そして、基準レール圧Pcrbが高いほど、メイン噴射の基準噴射量q2が多いほど、メイン噴射の基準噴射時期inj2が進角側であるほど、制御対象気筒内のガス量gcylが少ないほど、ガス組成C(ガス中の酸素濃度)が低いほど、このメイン噴射推定噴霧速度Vspsは高い値として算出されることになる。
このステップST8の動作が、本発明でいう「メイン噴射噴霧速度推定部による動作であって、基準噴射圧力、メイン噴射の基準噴射量、メイン噴射の基準噴射時期、および、実ガス状態量に基づいて、メイン噴射が実行された場合におけるその実際の噴霧速度をメイン噴射推定噴霧速度として推定する動作」に相当する。
ステップST9では、メイン噴射の燃料噴射時期(メイン噴射時期)の補正量Δmを算出する。このメイン噴射時期の補正量Δmは、パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)、および、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)それぞれを変数とする演算式によって算出される。または、パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)、および、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)それぞれをパラメータとしてメイン噴射時期の補正量Δmを求めるマップが実験などによって作成されてECU100のROMに記憶され、このマップ(メイン噴射時期補正量算出マップ)を参照することでメイン噴射時期の補正量Δmを求めるようにしてもよい。
図7は、メイン噴射時期補正量算出マップの一例を示している。このメイン噴射時期補正量算出マップは、横軸がパイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)であり、縦軸がメイン噴射時期の補正量Δmである。
このメイン噴射時期補正量算出マップでは、パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)が大きいほど、メイン噴射時期が進角側へ補正されるように補正量Δmが求められるようになっている。つまり、パイロット噴射推定着火位置Bpsがインジェクタ23から離れた位置であるほど、メイン噴射時期を進角側へ補正することで、メイン噴射の噴射時期をピストン13の圧縮上死点よりも進角側に補正し、気筒内圧力が低い状態でメイン噴射を実行させるようにする。これにより、メイン噴射燃料の貫徹力を大きくして、メイン噴射燃料の着火位置がインジェクタ23から離れた位置となるようにしている。このようにして、図5で示したように、パイロット噴射燃料の燃焼場Pとメイン噴射燃料の燃焼場Mとが重なり合うことなく、且つこれら燃焼場同士を隣接させることを可能にしている。
また、このメイン噴射時期補正量算出マップでは、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)が小さいほど、メイン噴射時期が進角側へ補正されるように補正量Δmが求められるようになっている。つまり、推定されたメイン噴射推定噴霧速度Vspsが低いほど、メイン噴射時期を進角側へ補正することで、メイン噴射の噴射時期をピストン13の圧縮上死点よりも進角側に補正し、気筒内圧力が低い状態でメイン噴射を実行させるようにする。これにより、メイン噴射燃料の貫徹力を大きくして、メイン噴射の噴霧速度を高くし、メイン噴射燃料がパイロット噴射燃料の燃焼場Pから受ける熱量が適切に得られるようにしている。このようにして、図5で示したように、パイロット噴射燃料の燃焼場Pとメイン噴射燃料の燃焼場Mとが重なり合うことなく、且つこれら燃焼場同士を隣接させることを可能にしている。
このメイン噴射時期補正量算出マップは、パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)の変化量と補正量Δmの変化量との相関、および、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)の変化量と補正量Δmの変化量との相関が、実験またはシミュレーションによって決定されて作成されている。
具体的には、例えば、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)が1である場合にあっては、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbとメイン噴射推定噴霧速度Vspsとに差がないことから、メイン噴射噴霧速度に基づいて補正を行う必要はないため、パイロット噴射の基準着火位置Bpbと推定着火位置Bpsとに基づいてのみ補正量を算出する。そして、パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)が1より大きいときには、前記補正量Δmを、メイン噴射の噴射時期が進角側に補正される値として算出する。この場合、前記比(Bps/Bpb)が大きいほど補正量Δmの値(進角側への補正量)も大きな値として算出される。一方、パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)が1より小さいときには、前記補正量Δmを、メイン噴射の噴射時期が遅角側に補正される値として算出する。この場合、前記比(Bps/Bpb)が小さいほど補正量Δmの値(遅角側への補正量)は大きな値として算出される。
また、例えば、パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)が1である場合にあっては、パイロット噴射の基準着火位置Bpbとパイロット噴射推定着火位置Bpsとに差がないことから、パイロット噴射着火位置に基づいて補正を行う必要はないため、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbとメイン噴射推定噴霧速度Vspsとに基づいてのみ補正量を算出する。そして、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)が1より大きいときには、前記補正量Δmを、メイン噴射の噴射時期が遅角側に補正される値として算出する。この場合、前記比(Vsps/Vspb)が大きいほど補正量Δmの値(遅角側への補正量)も大きな値として算出される。一方、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)が1より小さいときには、前記補正量Δmを、メイン噴射の噴射時期が進角側に補正される値として算出する。この場合、前記比(Vsps/Vspb)が小さいほど補正量Δmの値(進角側への補正量)は大きな値として算出される。
このステップST9の動作が、本発明でいう「補正量算出部による動作であって、パイロット噴射の基準着火位置とパイロット噴射推定着火位置との比、および、メイン噴射の基準噴霧速度とメイン噴射推定噴霧速度との比に基づいて、メイン噴射における噴射時期の補正量を算出する動作」に相当する。
ステップST10ではメイン噴射時期を算出する。ここでは、前記ステップST3で取得されていたメイン噴射の基準噴射時期inj2を前記補正量Δmだけ補正することで、メイン噴射時期(最終メイン噴射時期)を算出する。つまり、前記ステップST9で補正量Δmが進角側の値として求められた場合には、基準噴射時期inj2に対して、その値だけ進角側に補正した噴射時期を最終的なメイン噴射時期として算出する。また、前記ステップST9で補正量Δmが遅角側の値として求められた場合には、基準噴射時期inj2に対して、その値だけ遅角側に補正した噴射時期を最終的なメイン噴射時期として算出する。
ステップST11では、メイン噴射の実行タイミングになったか(クランク角度位置が前記ステップST10で算出されたメイン噴射時期になったか)否かを判定する。
未だ、メイン噴射の実行タイミングに達していない場合には、ステップST11でNO判定されて、この実行タイミングに達するのを待つ。
メイン噴射の実行タイミングに達し、ステップST11でYES判定された場合には、ステップST12に移り、メイン噴射を実行し、今回の制御対象気筒に対するメイン噴射制御を終了(END)する。
このステップST12の動作が、本発明でいう「メイン噴射指令部による動作であって、前記補正量でメイン噴射の基準噴射時期を補正し、この補正後の噴射時期でメイン噴射を実行させる動作」に相当する。
以上の動作が、クランクシャフトが所定角度だけ回転する毎(何れかの気筒でメイン噴射が開始されるタイミングとなる毎)に繰り返されることになる。
このようなメイン噴射制御が行われるため、前記ECU100によって(より具体的には、前述したECU100における各機能部分によって)本発明に係る内燃機関の制御装置が構成される。この制御装置は、前記クランクポジションセンサ40、エアフローメータ43、アクセル開度センサ47、吸気温センサ49、空燃比センサ4B等からの各信号を入力信号として受信する構成となっている。また、この制御装置は、各インジェクタ23にメイン噴射の指令信号を出力信号として出力する構成となっている。
以上説明したように本実施形態では、パイロット噴射の基準着火位置Bpbに対するパイロット噴射推定着火位置Bpsの比(Bps/Bpb)、および、メイン噴射の基準噴霧速度Vspbに対するメイン噴射推定噴霧速度Vspsの比(Vsps/Vspb)に基づいてメイン噴射時期の補正量Δmを算出し、この補正量Δmによってメイン噴射時期を補正するようにしている。これにより、過渡運転時等においてパイロット噴射燃料の着火時期に遅れが生じた場合であっても、メイン噴射の噴霧速度を考慮した噴射時期でメイン噴射が実行されることになり、メイン噴射燃料の着火時期を適切に得ることができる。このため、メイン噴射燃料の燃焼効率を十分に高めることができる。
また、メイン噴射燃料の着火時期を適切に得ることで、パイロット噴射燃料の燃焼場Pとメイン噴射燃料の燃焼場Mとが重なり合うことを抑制し、且つこれら燃焼場P,M同士が隣接するように各燃焼場P,Mを形成することが可能となる。これにより、燃焼時の酸素不足およびそれに伴うスモークの発生を抑制しながらメイン噴射燃料の着火遅れを小さくでき、失火の抑制および燃焼音の低減を図ることができる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態は、自動車に搭載された直列4気筒ディーゼルエンジン1に本発明を適用した場合について説明した。本発明は、自動車用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンにも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型エンジン、V型エンジン、水平対向型エンジン等の別)についても特に限定されるものではない。
また、前記実施形態ではコンベンショナル車両(駆動力源としてエンジンのみを搭載した車両)のエンジン1に本発明を適用した場合について説明したが、ハイブリッド車両(駆動力源としてエンジンおよび電動モータを搭載した車両)のエンジンに対しても本発明は適用可能である。
本発明は、自動車に搭載されるディーゼルエンジンにおけるメイン噴射制御に適用可能である。
1 エンジン(内燃機関)
3 燃焼室
23 インジェクタ(燃料噴射弁)
100 ECU

Claims (3)

  1. 気筒内に燃料を噴射する燃料噴射弁を備えた圧縮自着火式の内燃機関に適用され、前記燃料噴射弁からの燃料噴射として、パイロット噴射およびメイン噴射をそれぞれ実行させる制御装置において、
    現在の機関運転状態に応じた、基準噴射圧力、前記パイロット噴射の基準噴射量、前記パイロット噴射の基準噴射時期、前記パイロット噴射で噴射された燃料が着火する際の前記燃料噴射弁から燃焼場までの距離として規定される基準着火位置、前記メイン噴射の基準噴射量、前記メイン噴射の基準噴射時期、前記メイン噴射の基準噴霧速度それぞれを取得する基準量取得部と、
    前記気筒内の実際のガス状態量を実ガス状態量として算出する実ガス状態量算出部と、
    前記パイロット噴射の基準噴射量、前記パイロット噴射の基準噴射時期、および、前記実ガス状態量に基づいて、前記パイロット噴射が実行された場合にその燃料が実際に着火する際の前記燃料噴射弁から燃焼場までの距離として規定されるパイロット噴射推定着火位置を推定するパイロット噴射着火位置推定部と、
    前記基準噴射圧力、前記メイン噴射の基準噴射量、前記メイン噴射の基準噴射時期、および、前記実ガス状態量に基づいて、前記メイン噴射が実行された場合におけるその実際の噴霧速度をメイン噴射推定噴霧速度として推定するメイン噴射噴霧速度推定部と、
    前記パイロット噴射の基準着火位置と前記パイロット噴射推定着火位置との比、および、前記メイン噴射の基準噴霧速度と前記メイン噴射推定噴霧速度との比に基づいて、前記メイン噴射における噴射時期の補正量を算出する補正量算出部と、
    前記補正量で前記メイン噴射の基準噴射時期を補正し、この補正後の噴射時期で前記メイン噴射を実行させるメイン噴射指令部と、
    を備えていることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1記載の内燃機関の制御装置において、
    前記補正量算出部は、
    前記メイン噴射の基準噴霧速度に対する前記メイン噴射推定噴霧速度の比が1である場合に、
    前記パイロット噴射の基準着火位置に対する前記パイロット噴射推定着火位置の比が1より大きいときには、前記補正量を、前記メイン噴射の噴射時期が進角側に補正される値として算出する一方、前記パイロット噴射の基準着火位置に対する前記パイロット噴射推定着火位置の比が1より小さいときには、前記補正量を、前記メイン噴射の噴射時期が遅角側に補正される値として算出する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項1記載の内燃機関の制御装置において、
    前記補正量算出部は、
    前記パイロット噴射の基準着火位置に対する前記パイロット噴射推定着火位置の比が1である場合に、
    前記メイン噴射の基準噴霧速度に対する前記メイン噴射推定噴霧速度の比が1より大きいときには、前記補正量を、前記メイン噴射の噴射時期が遅角側に補正される値として算出する一方、前記メイン噴射の基準噴霧速度に対する前記メイン噴射推定噴霧速度の比が1より小さいときには、前記補正量を、前記メイン噴射の噴射時期が進角側に補正される値として算出する
    ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
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