JP2017025431A - コラーゲン含有繊維構造体 - Google Patents
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Abstract
【課題】エレクトロスピニング法によるコラーゲンを含む繊維構造体を安定的かつ確実に形成し、かつ、この繊維構造体中のコラーゲンの含有割合をできるだけ高くする方法の提供。
【解決手段】コラーゲンと水溶性ポリマーとの混合物において、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドンを用いることにより、当該混合物中のコラーゲンの濃度を高めることができ、エレクトロスピニング法を用いて形成されるコラーゲン及びポリビニルピロリドンから成る繊維から成る繊維構造体であって、該繊維中のポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比が1/3未満である繊維構造体。前記コラーゲンが、天然コラーゲンから得られた重量平均分子量が5,000以下のコラーゲンぺプチドであり、前記ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が、100万〜200万である繊維構造体。
【選択図】図1
【解決手段】コラーゲンと水溶性ポリマーとの混合物において、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドンを用いることにより、当該混合物中のコラーゲンの濃度を高めることができ、エレクトロスピニング法を用いて形成されるコラーゲン及びポリビニルピロリドンから成る繊維から成る繊維構造体であって、該繊維中のポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比が1/3未満である繊維構造体。前記コラーゲンが、天然コラーゲンから得られた重量平均分子量が5,000以下のコラーゲンぺプチドであり、前記ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が、100万〜200万である繊維構造体。
【選択図】図1
Description
この発明は、コラーゲンとポリビニルピロリドンを含む紡糸原液からエレクトロスピニング法を用いて形成された繊維構造体に関する。
近年、サブミクロンからミクロンオーダーの繊維を作製する方法として、エレクトロスピニング法を用いた紡糸技術が盛んに研究されている。エレクトロスピニング法は高分子材料を溶解した溶液をシリンジに充填し、シリンジとコレクター間に高電圧を印可することで、溶液をジェット状に飛散させ、飛散の過程で溶媒が揮発することで繊維がコレクターに堆積する技術である。溶媒に可溶な多くの高分子材料を繊維化することが可能であることから、フィルターや透湿防水膜、医療材料など種々の分野での応用が期待されている。
エレクトロスピニング法によりコラーゲンやゼラチンなどの生体適合性の材料から形成された繊維構造体は、生体とのなじみが良いため、医療用途や化粧用途への利用が図られている(特許文献1、2等)
また、エレクトロスピニング法によるコラーゲンの紡糸を安定的かつ確実にするため、コラーゲンと水溶性ポリマーとの混合物を用いて繊維構造体を形成することが行われている(特許文献2、3等)。
エレクトロスピニング法によりコラーゲンやゼラチンなどの生体適合性の材料から形成された繊維構造体は、生体とのなじみが良いため、医療用途や化粧用途への利用が図られている(特許文献1、2等)
また、エレクトロスピニング法によるコラーゲンの紡糸を安定的かつ確実にするため、コラーゲンと水溶性ポリマーとの混合物を用いて繊維構造体を形成することが行われている(特許文献2、3等)。
上記のように、エレクトロスピニング法によるコラーゲンの紡糸を安定的かつ確実にするため、コラーゲンと水溶性ポリマーとの混合物を用いて繊維構造体を形成することが行われているが(特許文献2、3等)、コラーゲンを含む繊維構造体を医療用途や化粧用途に利用する場合には、その性能がコラーゲン由来の性能に負っていることから、繊維構造体中のコラーゲンの含有割合はできるだけ高いことが好ましい。
しかし、従来、コラーゲンと水溶性ポリマーとの混合物に用いられている水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコールやポリエチレンオキサイド(又はポリエチレングリコール)など、に対するコラーゲンの溶解度は高くないため(後記の実施例中の溶解度測定試験例を参照されたい。)、これらの水溶性ポリマーを用いた場合には、形成された繊維構造体中のコラーゲンの含有量を高くすることができなかった。
そのため、本発明は、エレクトロスピニング法によるコラーゲンを含む繊維構造体の形成を安定的かつ確実に形成し、かつ、この繊維構造体中のコラーゲンの含有割合をできるだけ高くする、例えば、ポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比を1/3未満とする、ことを目的とする。
しかし、従来、コラーゲンと水溶性ポリマーとの混合物に用いられている水溶性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコールやポリエチレンオキサイド(又はポリエチレングリコール)など、に対するコラーゲンの溶解度は高くないため(後記の実施例中の溶解度測定試験例を参照されたい。)、これらの水溶性ポリマーを用いた場合には、形成された繊維構造体中のコラーゲンの含有量を高くすることができなかった。
そのため、本発明は、エレクトロスピニング法によるコラーゲンを含む繊維構造体の形成を安定的かつ確実に形成し、かつ、この繊維構造体中のコラーゲンの含有割合をできるだけ高くする、例えば、ポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比を1/3未満とする、ことを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、コラーゲンとの混合物に用いる水溶性ポリマーを探索した結果、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドンを用いることにより、当該混合物中のコラーゲンの濃度を高めることができ、当該混合物をエレクトロスピニング法の紡糸原液に用いた結果、エレクトロスピニング法により形成される繊維構造体中のコラーゲンの含有割合を高くすることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、エレクトロスピニング法を用いて形成されるコラーゲン及びポリビニルピロリドンから成る繊維から成る繊維構造体であって、該繊維中のポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比が1/3未満である繊維構造体である。
また、本発明は、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを含む紡糸原液を用意する工程、並びにエレクトロスピニング法を用いて該紡糸原液から繊維構造体を形成する工程から成り、該紡糸原液中のポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比が1/3未満である繊維構造体の製法である。
更に本発明は、基板及び該基板上に形成された上記繊維構造体から成る繊維複合体である。
また、本発明は、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを含む紡糸原液を用意する工程、並びにエレクトロスピニング法を用いて該紡糸原液から繊維構造体を形成する工程から成り、該紡糸原液中のポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比が1/3未満である繊維構造体の製法である。
更に本発明は、基板及び該基板上に形成された上記繊維構造体から成る繊維複合体である。
コラーゲンは、多細胞動物の細胞外基質(細胞外マトリクス)の主成分のタンパク質であって、当該動物の全タンパク質の約1/3を占め、グリシン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン含量が高い。このようなコラーゲンには、I型、II型、III型、IV型、V型、VI型、VII型、VIII型、IX型、X型、XI型、XII型、XIII型、XIV型、XV型、XVI型、XVII型、XVIII型、XIX型、XX型、XXI型、XXII型、XXIII型、XXIV型、XXV型、XXVI型、XXVII型、XXVIII型の各種コラーゲンがある。
本発明においては、コラーゲンとして、例えば、牛、豚、鶏、ヒト、魚類由来の天然コラーゲンを使用することができる。また、上記性質を有する近似のアミノ酸配列を有する合成コラーゲンを使用してもよい(例えば、特許文献3等)。
また、本発明で使用するコラーゲンとして、天然コラーゲンを加水分解や酵素分解して可溶化させて得られた低分子化コラーゲンペプチド(例えば、重量平均分子量5000以下)を用いてもよい。
また、本発明で使用するコラーゲンとして、コラーゲンに熱を加え、コラーゲン分子の三重螺旋構造が熱変性によってほどけたものを主成分とする混合物であるゼラチンを用いてもよい。
本発明においては、コラーゲンとしてこれらいずれを用いてもよいが、低分子化コラーゲンペプチドを用いることが好ましい。
本発明においては、コラーゲンとして、例えば、牛、豚、鶏、ヒト、魚類由来の天然コラーゲンを使用することができる。また、上記性質を有する近似のアミノ酸配列を有する合成コラーゲンを使用してもよい(例えば、特許文献3等)。
また、本発明で使用するコラーゲンとして、天然コラーゲンを加水分解や酵素分解して可溶化させて得られた低分子化コラーゲンペプチド(例えば、重量平均分子量5000以下)を用いてもよい。
また、本発明で使用するコラーゲンとして、コラーゲンに熱を加え、コラーゲン分子の三重螺旋構造が熱変性によってほどけたものを主成分とする混合物であるゼラチンを用いてもよい。
本発明においては、コラーゲンとしてこれらいずれを用いてもよいが、低分子化コラーゲンペプチドを用いることが好ましい。
本発明においては、エレクトロスピニング法により繊維構造体を形成するために、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを含む紡糸原液を用いる。エレクトロスピニング法によりコラーゲンを用いて繊維構造体を形成する場合、コラーゲンに水溶性ポリマーを混合して紡糸することにより、安定して繊維構造体を形成することができる。本願発明においては、このような水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドンを用いる。
ポリビニルピロリドンは、N−ビニル−2−ピロリドンが重合した水溶性ポリマーであり、医薬品、食品、飲料、化粧品などの多くの分野で使用されており、例えば、食品分野では錠剤、カプセル食品の製造用剤として使用されている。
本発明で用いるポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、分子量が低すぎる場合には水溶液の濃度を高く設定しなければ均一な繊維が製造できにくくなり、一方で分子量が高すぎる場合には水溶液が増粘しやすく水溶液中のポリビニルピロリドンの濃度を低く設定しなければ繊維化が困難となるため、その重量平均分子量は、好ましくは1万〜600万程度、より好ましくは10万〜200万、更に好ましくは100万〜200万である。
ポリビニルピロリドンは、N−ビニル−2−ピロリドンが重合した水溶性ポリマーであり、医薬品、食品、飲料、化粧品などの多くの分野で使用されており、例えば、食品分野では錠剤、カプセル食品の製造用剤として使用されている。
本発明で用いるポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、分子量が低すぎる場合には水溶液の濃度を高く設定しなければ均一な繊維が製造できにくくなり、一方で分子量が高すぎる場合には水溶液が増粘しやすく水溶液中のポリビニルピロリドンの濃度を低く設定しなければ繊維化が困難となるため、その重量平均分子量は、好ましくは1万〜600万程度、より好ましくは10万〜200万、更に好ましくは100万〜200万である。
本発明においては、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドンのみを用いることが好ましいが、ポリビニルピロリドン以外の水溶性ポリマーを併用してもよい。このような水溶性ポリマーとして、ポリエチレングリコール(又は、ポリエチレンオキサイド)、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、プルラン、でんぷん、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリグリコール酸等が挙げられる。これらの水溶性ポリマーを併用する場合、水溶性ポリマー中のポリビニルピロリドンの重量割合は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上が更に好ましい。
コラーゲンとポリビニルピロリドンの重量比について、ポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比は、1/3未満、好ましくは1/4以下、より好ましくは1/6以下、更に好ましくは1/8以下である。ポリビニルピロリドンの重量割合が上記の範囲より大きい場合には、得られる繊維構造体中のコラーゲン比率が少なく、医療材料や化粧料としての効果が十分でないことがある。
一方、エレクトロスピニング法によるコラーゲンの紡糸を安定的かつ確実にするためにはポリビニルピロリドンの割合が大きいほうがよく、ポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比は少なくとも1/10は必要と考えられる。
一方、エレクトロスピニング法によるコラーゲンの紡糸を安定的かつ確実にするためにはポリビニルピロリドンの割合が大きいほうがよく、ポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比は少なくとも1/10は必要と考えられる。
本願発明においては、このようなコラーゲンとポリビニルピロリドンの混合物を、エレクトロスピニング法により紡糸して、コラーゲン及びポリビニルピロリドンから成る繊維の集合体である繊維構造体を形成する。
このような方法は、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを含む紡糸原液を用意する工程、並びにエレクトロスピニング法を用いて該紡糸原液から基板上に繊維構造体を形成する工程から成る。
このような方法は、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを含む紡糸原液を用意する工程、並びにエレクトロスピニング法を用いて該紡糸原液から基板上に繊維構造体を形成する工程から成る。
本願発明において、エレクトロスピニング法で用いる紡糸溶液は、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを溶媒に溶解したものである。この溶媒は、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを溶解し、紡糸する段階で蒸発して、繊維を形成可能なものであれば特に限定されない。このような溶媒として、例えば、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、スルホランアセトン、ヘキサフルオロイソプロパノール、ヘキサフルオロアセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、塩化メチレン、フェノール、ピリジン、トリクロロエタン、酢酸、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、アセトニトリル、N−メチルモルホリン−N−オキシド、ブチレンカーボネート、1,4−ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジオキソラン、エチルメチルカーボネート、メチルホルマート、3−メチルオキサゾリジン−2−オン、メチルプロピオネート、2−メチルテトラヒドロフランなどが挙げられる。溶媒はこれらのうち一種を単独で用いてもよく、これら複数の溶媒の混合物であってもよい。これらの中で、得られる繊維中に残留する溶媒の安全性から、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトンが好ましい。
本願発明においては、この溶媒として水を好ましく用いるが、水とアルコールの混合液を用いてもよい。混合液に用いるアルコールとしてはエタノールやイソプロパノールが好ましく、混合液中のアルコールの割合は、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
また、紡糸溶液中のコラーゲン及びポリビニルピロリドンの合計の濃度は、好ましくは1〜65重量%、より好ましくは10〜65重量%、更に好ましくは20〜55重量%である。
本願発明においては、この溶媒として水を好ましく用いるが、水とアルコールの混合液を用いてもよい。混合液に用いるアルコールとしてはエタノールやイソプロパノールが好ましく、混合液中のアルコールの割合は、好ましくは30重量%以下、より好ましくは15重量%以下である。
また、紡糸溶液中のコラーゲン及びポリビニルピロリドンの合計の濃度は、好ましくは1〜65重量%、より好ましくは10〜65重量%、更に好ましくは20〜55重量%である。
本発明で用いる紡糸原液は、前述したコラーゲンとポリビニルピロリドン等の水溶性ポリマーの他に、紡糸を妨げない限り任意の添加剤を含有してもよい。かかる添加剤の形態には特に制限はなく、粒子状や液状の成分を含有してもよい。任意の添加剤を含有させることで、本発明によって得られる繊維構造体に任意の機能性を付与することができ、例えば、美白機能、保湿機能、紫外線防止機能などを有する成分を含有することができる。かかる成分としては、美白機能として、例えば、t-AMCHA、アスコルビン酸、アルブチン、アセロラエキス、エイジツエキス、エラグ酸、カミツレエキス、火棘エキス、キウイエキス、グルタチオン、テトラへキシルデカン酸アスコルビル、トコトリエノール、フェルラ酸、ラズベリーケトン、ルシノールなどが例示され、保湿機能として、例えば、アーモンド油、アボカド油、オリーブ油、オレンジラフィー油、オレイン酸、カロットエキス、カカオ脂、ゴマ油、サフラワー油、サザンカ油、ジヒドロコレステロール、スクワラン、ステアリン酸コレステリル、セラミド2、N−ステアロイルフィトスフィンゴシン(セラミド3)、月見草油、ヒマワリ油、ヒマシ油、ブドウ種子油、フィトスフィンゴシン、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、ミネラルオイル、メドウフォーム油、ユーカリ油、ラノリン、リノール酸、ローズヒップ油、ワセリンなどが例示され、紫外線防止機能としては、例えば、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン−1、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、酸化チタン、酸化セリウムなどが例示される。
さらに紡糸原液に界面活性剤を添加することで、溶液の表面張力を下げることができる。エレクトロスピニング法ではシリンジ先端の液滴に掛かる電荷の反発力が表面張力を上回った際にジェットの吐出が発生するため、界面活性剤の添加により紡糸を安定化することができる。かかる界面活性剤としてはジェットの吐出への影響が少ないノニオン系の材料が好適に使用できる。
紡糸原液中のこれら添加剤の含有量は、本願発明の目的を阻害しない程度の量に限定され、例えば、固形分として、20重量%以下、特に10重量%以下、更に5重量%以下程度である。
紡糸原液中のこれら添加剤の含有量は、本願発明の目的を阻害しない程度の量に限定され、例えば、固形分として、20重量%以下、特に10重量%以下、更に5重量%以下程度である。
エレクトロスピニング法は、周知の手段によって行うことができ(例えば、特許文献1〜3等)、具体的には、紡糸溶液を充填したノズルと基板(コレクターともいう)の間に電圧を印加した状態で、ノズルから紡糸溶液を吐出させて、基板上に繊維を回収する。
ノズルから紡糸溶液を吐出させる基板としては金属板などの電極コレクターをそのまま用いてもよいが、ノズルとコレクターとの間に紙等の非導電性の材料を置いて基板とすることもできる。このような基板としては、特に限定は無く、その形状にも特に限定は無いが、柔軟性を持つシート状であることが好ましい。柔軟性を持つことにより、基板とこの基板上に形成された繊維構造体から成る繊維複合体で、対象を被覆した場合に、この繊維複合体が対象の凹凸に沿って対象に密着することが可能になる。本発明においては、このような基板として、紙、不織布、プラスチックフィルムなどが好適に用いられる。
ノズルから紡糸溶液を吐出させる基板としては金属板などの電極コレクターをそのまま用いてもよいが、ノズルとコレクターとの間に紙等の非導電性の材料を置いて基板とすることもできる。このような基板としては、特に限定は無く、その形状にも特に限定は無いが、柔軟性を持つシート状であることが好ましい。柔軟性を持つことにより、基板とこの基板上に形成された繊維構造体から成る繊維複合体で、対象を被覆した場合に、この繊維複合体が対象の凹凸に沿って対象に密着することが可能になる。本発明においては、このような基板として、紙、不織布、プラスチックフィルムなどが好適に用いられる。
エレクトロスピニング法を行う条件は、特に限定されず、紡糸溶液の種類や得られるナノファイバーの用途等に応じて適宜調整すればよい。本発明の方法における一般的な条件としては、例えば、印加電圧は8〜30kV、吐出速度は0.01〜1.00mL/分、ノズルと基板の間の垂直距離は100〜200mmとすることができ、ノズルは22〜25Gの径のものを使用することができる。紡糸環境は、特段厳密に制御を行わなくてもよいが、相対湿度10〜40%、温度を10〜25℃とすることが好ましい。
この方法により、直径5nm〜50μmの繊維を得ることができる。また、紡糸条件の設定・調整により、平均長が200〜300nmのナノ繊維を得ることができる。
この方法により、直径5nm〜50μmの繊維を得ることができる。また、紡糸条件の設定・調整により、平均長が200〜300nmのナノ繊維を得ることができる。
エレクトロスピニング法においては、単位面積当たりの紡糸量を上げるため、複数のノズルを密集させ同時に紡糸することができ、単一のノズルから吐出されるナノファイバーの拡散範囲を狭く設定することが好ましい。具体的には単一ノズルを用いて紡糸した際にコレクターに到達したナノファイバーの堆積物からなる円の直径が1cm〜5cmであることが好ましい。直径が1cmより短い場合には、紡糸中に繊維の延伸が十分に起こらず大径化や溶媒の揮発不良が発生する。直径が5cm以上の場合は、隣接するノズルから吐出されるナノファイバー間の電荷の干渉を避けるためノズル同士の距離を広く設定し、単位面積当たりのノズル数を減らす必要があることから好ましくない。より好ましくは拡散範囲が2cm〜4cmである。
このようにして形成された繊維構造体や繊維複合体は、医療用途や化粧用途への利用することができる。
医療用途は、例えば、ドラッグデリバリー、創傷治癒、再生医学を目的とした細胞培養足場基材などであり、このような用途においては、医薬品有効成分や細胞成長因子を添加して用いることができ、さらにコラーゲンを既知の方法にて適宜不溶化処理を施して水不溶性のシートとして用いることができる。
化粧用途は、例えば、シートパックであり、このような用途においては、本発明で得られるシートを顔や手足などの部位に直接貼り付けて用いることができる。本発明のシートは極細繊維から構成されるため、水に対して迅速に溶解し、肌の水分や極微量の水分で溶解させることでコラーゲンを肌上に塗布することができる。
医療用途は、例えば、ドラッグデリバリー、創傷治癒、再生医学を目的とした細胞培養足場基材などであり、このような用途においては、医薬品有効成分や細胞成長因子を添加して用いることができ、さらにコラーゲンを既知の方法にて適宜不溶化処理を施して水不溶性のシートとして用いることができる。
化粧用途は、例えば、シートパックであり、このような用途においては、本発明で得られるシートを顔や手足などの部位に直接貼り付けて用いることができる。本発明のシートは極細繊維から構成されるため、水に対して迅速に溶解し、肌の水分や極微量の水分で溶解させることでコラーゲンを肌上に塗布することができる。
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
溶解度測定試験例
本実施例において、ポリビニルピロリドン(PVP:ISPジャパン製、PVP−K90)、ポリビニルアルコール(PVA:クラレ株式会社製、PVA117)及びポリエチレンオキシド(PEO:ダウ・ケミカル株式会社製、Polyox WSR N750(分子量30万)及びPolyox WSR N80(分子量20万)の各水溶性ポリマー(以下単に「ポリマー」ともいう。)の水溶液に対するコラーゲンペプチド(CP:和光純薬工業株式会社製CP2000(分子量2000)及びCP5000(分子量5000))の溶解度を調べた。
まず、上記各水溶性ポリマーの6重量%の水溶液を用意した(但し、PEO(分子量20万)については10重量%とした。)。このポリマー溶液を室温で撹拌しながら、コラーゲンペプチドを少量ずつ添加した。均一な溶液が得られる最大濃度を溶解度とした。
水溶性ポリマーがPVPの場合は溶解度を超えると、粘度が上昇し、溶液として扱うことが困難となった。PVAとPEO(分子量30万)の場合は溶解度を超えるとゲルを生成し離水した。PEO(分子量20万)の場合は溶解度を超えるとゲル化はしないものの、モヤ状の未混和物が発生し撹拌しても均一化しなかった。
溶解度測定試験例
本実施例において、ポリビニルピロリドン(PVP:ISPジャパン製、PVP−K90)、ポリビニルアルコール(PVA:クラレ株式会社製、PVA117)及びポリエチレンオキシド(PEO:ダウ・ケミカル株式会社製、Polyox WSR N750(分子量30万)及びPolyox WSR N80(分子量20万)の各水溶性ポリマー(以下単に「ポリマー」ともいう。)の水溶液に対するコラーゲンペプチド(CP:和光純薬工業株式会社製CP2000(分子量2000)及びCP5000(分子量5000))の溶解度を調べた。
まず、上記各水溶性ポリマーの6重量%の水溶液を用意した(但し、PEO(分子量20万)については10重量%とした。)。このポリマー溶液を室温で撹拌しながら、コラーゲンペプチドを少量ずつ添加した。均一な溶液が得られる最大濃度を溶解度とした。
水溶性ポリマーがPVPの場合は溶解度を超えると、粘度が上昇し、溶液として扱うことが困難となった。PVAとPEO(分子量30万)の場合は溶解度を超えるとゲルを生成し離水した。PEO(分子量20万)の場合は溶解度を超えるとゲル化はしないものの、モヤ状の未混和物が発生し撹拌しても均一化しなかった。
水溶性ポリマーとしてPVAやPEOを用いた場合には、ポリマー/CP比を1/3未満に下げることができないが、ポリマーとしてPVPを用いた場合には、ポリマー/CP比をそれより下げることが可能である。
実施例1
天然コラーゲンを酵素分解して得られた重量平均分子量2000の低分子化コラーゲンペプチド(CP:和光純薬工業株式会社製、以下「CP2000」という。)3.51gを20mlバイアル瓶に採取し、イオン交換水を6.10g加えて、スターラーを用いて1時間常温で撹拌し、ポリペプチド水溶液(以下「CP水溶液」という。)を作製した。このCP水溶液に水溶性ポリマーとして重量平均分子量120万のポリビニルピロリドン(PVP:ISPジャパン製、PVP−K90)0.39g混合し、さらに常温にて24時間撹拌することで、全固形分濃度39.0%のポリペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は39.0重量%であり、PVP/CP重量比は1/9であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は90重量%である。
この混合水溶液を、先端にゲージNo.18G金属製ノンべベル針を装着した10mlシリンジに5g採取し、コレクタードラムに黒色紙をセロハンテープで固定したエレクトロスピニング装置(カトーテック製、NEU)に装着し、ノズル―コレクター間距離10cm、印加電圧8.0kV、吐出速度20μL/分の条件にて5分間紡糸を行うことで、黒色紙上にポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は3.5cmであった。
黒色紙に堆積した繊維構造体を電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー製、Miniscope TM−1000)にて観察した結果、ビーズのない均一な繊維構造体が形成されていた。電子顕微鏡写真を図1に示す。
天然コラーゲンを酵素分解して得られた重量平均分子量2000の低分子化コラーゲンペプチド(CP:和光純薬工業株式会社製、以下「CP2000」という。)3.51gを20mlバイアル瓶に採取し、イオン交換水を6.10g加えて、スターラーを用いて1時間常温で撹拌し、ポリペプチド水溶液(以下「CP水溶液」という。)を作製した。このCP水溶液に水溶性ポリマーとして重量平均分子量120万のポリビニルピロリドン(PVP:ISPジャパン製、PVP−K90)0.39g混合し、さらに常温にて24時間撹拌することで、全固形分濃度39.0%のポリペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は39.0重量%であり、PVP/CP重量比は1/9であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は90重量%である。
この混合水溶液を、先端にゲージNo.18G金属製ノンべベル針を装着した10mlシリンジに5g採取し、コレクタードラムに黒色紙をセロハンテープで固定したエレクトロスピニング装置(カトーテック製、NEU)に装着し、ノズル―コレクター間距離10cm、印加電圧8.0kV、吐出速度20μL/分の条件にて5分間紡糸を行うことで、黒色紙上にポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は3.5cmであった。
黒色紙に堆積した繊維構造体を電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー製、Miniscope TM−1000)にて観察した結果、ビーズのない均一な繊維構造体が形成されていた。電子顕微鏡写真を図1に示す。
実施例2
低分子化コラーゲンペプチドとして重量平均分子量5000の低分子化コラーゲンペプチド(ニッピ株式会社製、ニッピペプタイドFCP、以下「CP5000」という。)2.31gをバイアル瓶に採取し、イオン交換水を7.23g加えて、スターラーを用いて1時間常温で撹拌し、CP水溶液を作製した。このCP水溶液にポリビニルピロリドン(PVP−K90)0.46gを混合し、さらに常温にて24時間撹拌して、全固形分濃度27.7%のポリペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は27.7重量%であり、PVP/CP重量比は1/5であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は83.3%である。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は5.0cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、実施例1と同様に、ビーズのない均一な繊維構造体が形成されていた。電子顕微鏡写真を図2に示す。
低分子化コラーゲンペプチドとして重量平均分子量5000の低分子化コラーゲンペプチド(ニッピ株式会社製、ニッピペプタイドFCP、以下「CP5000」という。)2.31gをバイアル瓶に採取し、イオン交換水を7.23g加えて、スターラーを用いて1時間常温で撹拌し、CP水溶液を作製した。このCP水溶液にポリビニルピロリドン(PVP−K90)0.46gを混合し、さらに常温にて24時間撹拌して、全固形分濃度27.7%のポリペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は27.7重量%であり、PVP/CP重量比は1/5であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は83.3%である。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は5.0cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、実施例1と同様に、ビーズのない均一な繊維構造体が形成されていた。電子顕微鏡写真を図2に示す。
比較例1
水溶性ポリマーとして重量平均分子量74800のポリビニルアルコール(PVA:クラレ株式会社製、PVA117)0.54gを20mlバイアル瓶に採取し、イオン交換水8.53gを加えて、スターラーを用いて6時間60℃に加温しながら撹拌し、ポリマー水溶液を作製し、常温になるまで静置した。このポリマー水溶液に低分子化コラーゲン(CP2000)を溶解度の上限である0.93g加えて24時間撹拌して、ポリペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液10gを作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は14.7重量%であり、PVA/CP重量比は1/1.7であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は63.0%である。このPVA/CP重量比以下では混合溶液はゲル化した。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は4.5cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、繊維構造体中にビーズと呼ばれる塊状の欠陥が観察され、均一な繊維構造体は得られない。
水溶性ポリマーとして重量平均分子量74800のポリビニルアルコール(PVA:クラレ株式会社製、PVA117)0.54gを20mlバイアル瓶に採取し、イオン交換水8.53gを加えて、スターラーを用いて6時間60℃に加温しながら撹拌し、ポリマー水溶液を作製し、常温になるまで静置した。このポリマー水溶液に低分子化コラーゲン(CP2000)を溶解度の上限である0.93g加えて24時間撹拌して、ポリペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液10gを作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は14.7重量%であり、PVA/CP重量比は1/1.7であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は63.0%である。このPVA/CP重量比以下では混合溶液はゲル化した。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は4.5cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、繊維構造体中にビーズと呼ばれる塊状の欠陥が観察され、均一な繊維構造体は得られない。
比較例2
ポリビニルアルコール(PVA117)を0.56g、イオン交換水を8.72gとし、コラーゲンペプチドとして分子量5000の低分子化コラーゲンを0.72g加えた以外は、比較例1と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は12.8重量%であり、PVA/CP重量比は1/1.3であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は56.5%である。このPVA/CP重量比以下では混合溶液はゲル化した。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は3.8cmであった。また、電子顕微鏡にて観察した結果、繊維構造体中にビーズが観察され、均一な繊維構造体は得られない。
ポリビニルアルコール(PVA117)を0.56g、イオン交換水を8.72gとし、コラーゲンペプチドとして分子量5000の低分子化コラーゲンを0.72g加えた以外は、比較例1と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は12.8重量%であり、PVA/CP重量比は1/1.3であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は56.5%である。このPVA/CP重量比以下では混合溶液はゲル化した。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は3.8cmであった。また、電子顕微鏡にて観察した結果、繊維構造体中にビーズが観察され、均一な繊維構造体は得られない。
比較例3
低分子化コラーゲン(CP2000)1.53gにイオン交換水7.97gを加えてCP水溶液を作製し、このCP水溶液に水溶性ポリマーとして重量平均分子量30万のポリエチレンオキサイド(PEO1:ダウ・ケミカル株式会社製、Polyox WSR N750)0.51gを加えた以外は実施例1と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液10gを作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は20.4重量%であり、PEO1/CP重量比は1/3であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は75%である。このPEO1/CP重量比以下では混合溶液は分離した。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含油繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は5.5cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、ビーズのない均一な繊維構造体が形成された。
低分子化コラーゲン(CP2000)1.53gにイオン交換水7.97gを加えてCP水溶液を作製し、このCP水溶液に水溶性ポリマーとして重量平均分子量30万のポリエチレンオキサイド(PEO1:ダウ・ケミカル株式会社製、Polyox WSR N750)0.51gを加えた以外は実施例1と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液10gを作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は20.4重量%であり、PEO1/CP重量比は1/3であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は75%である。このPEO1/CP重量比以下では混合溶液は分離した。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含油繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は5.5cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、ビーズのない均一な繊維構造体が形成された。
比較例4
低分子化コラーゲン(CP5000)を1.30gおよびイオン交換水を8.17gとし、水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイド(PEO1)を0.52g加えた以外は、比較例3と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は18.2重量%であり、PEO1/CP重量比は1/2.5であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は71.4%である。このPEO1/CP重量比以下では混合溶液は分離した。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含油繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は5.1cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、ビーズのない均一な繊維構造体が形成された。
低分子化コラーゲン(CP5000)を1.30gおよびイオン交換水を8.17gとし、水溶性ポリマーとしてポリエチレンオキサイド(PEO1)を0.52g加えた以外は、比較例3と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は18.2重量%であり、PEO1/CP重量比は1/2.5であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は71.4%である。このPEO1/CP重量比以下では混合溶液は分離した。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含油繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は5.1cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、ビーズのない均一な繊維構造体が形成された。
比較例5
低分子化コラーゲン(CP2000)1.84gにイオン交換水7.35gを加えてCP水溶液を作製し、このCP水溶液に水溶性ポリマーとして重量平均分子量20万のポリエチレンオキサイド(PEO2:ダウ・ケミカル株式会社製、Polyox WSR N80)0.82gを加えた以外は実施例1と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液10gを作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は26.6重量%であり、PEO2/CP重量比は1/2.25であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は69.2%である。コラーゲンペプチドはこの割合以上溶解しなかった。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は7.7cmであり、電子顕微鏡にて観察した結果、ビーズのない均一な繊維構造体が形成された。
低分子化コラーゲン(CP2000)1.84gにイオン交換水7.35gを加えてCP水溶液を作製し、このCP水溶液に水溶性ポリマーとして重量平均分子量20万のポリエチレンオキサイド(PEO2:ダウ・ケミカル株式会社製、Polyox WSR N80)0.82gを加えた以外は実施例1と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液10gを作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は26.6重量%であり、PEO2/CP重量比は1/2.25であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は69.2%である。コラーゲンペプチドはこの割合以上溶解しなかった。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含有繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は7.7cmであり、電子顕微鏡にて観察した結果、ビーズのない均一な繊維構造体が形成された。
比較例6
低分子化コラーゲン(CP5000)を0.91gおよびイオン交換水を8.53gとし、水溶性ポリマーとしてPEO2を0.91g加えた以外は、比較例5と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は17.6重量%であり、PEO2/CP重量比は1/1であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は50.0%である。コラーゲンペプチドはこの割合以上溶解しなかった。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含油繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は10.2cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、繊維構造体中にビーズが形成され、均一な繊維構造体は得られなかった。
低分子化コラーゲン(CP5000)を0.91gおよびイオン交換水を8.53gとし、水溶性ポリマーとしてPEO2を0.91g加えた以外は、比較例5と同様の方法にてコラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの混合水溶液を10g作製した。この混合水溶液中のポリペプチドと水溶性ポリマーの合計濃度は17.6重量%であり、PEO2/CP重量比は1/1であり、コラーゲンペプチドと水溶性ポリマーの合計に対するコラーゲンペプチドの割合は50.0%である。コラーゲンペプチドはこの割合以上溶解しなかった。
この混合水溶液を、実施例1と同様の操作を行い、ポリペプチド含油繊維構造体を作製した。黒色紙上に堆積した繊維からなる円の直径は10.2cmであった。電子顕微鏡にて観察した結果、繊維構造体中にビーズが形成され、均一な繊維構造体は得られなかった。
Claims (16)
- エレクトロスピニング法を用いて形成されるコラーゲン及びポリビニルピロリドンから成る繊維から成る繊維構造体であって、該繊維中のポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比が1/3未満である繊維構造体。
- 前記コラーゲンが、天然コラーゲンから得られた重量平均分子量が5,000以下のコラーゲンぺプチドである請求項1に記載の繊維構造体。
- 前記ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が、100万〜200万である請求項1又は2に記載の繊維構造体。
- 前記繊維構造体がシート状である請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維構造体。
- 基板及び該基板上に形成された請求項1〜4のいずれか一項に記載の繊維構造体から成る繊維複合体。
- 前記基板が紙、不織布又はプラスチックフィルムである請求項5に記載の繊維複合体。
- コラーゲン及びポリビニルピロリドンを含む紡糸原液を用意する工程、並びにエレクトロスピニング法を用いて該紡糸原液から繊維構造体を形成する工程から成り、該紡糸原液中のポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比が1/3未満である繊維構造体の製法。
- 前記コラーゲンが、天然コラーゲンから得られた重量平均分子量が5,000以下のコラーゲンぺプチドである請求項7に記載の製法。
- 前記ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が100万〜200万である請求項7又は8に記載の方法。
- 前記紡糸原液が、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを水又は水とアルコールの混合液に溶解させた溶液である請求項7〜9のいずれか一項に記載の製法。
- 前記エレクトロスピニング法を用いて紡糸原液から繊維構造体を形成する工程において、基板上に繊維構造体を形成する請求項7〜10のいずれか一項に記載の製法。
- 前記基板が紙、不織布又はプラスチックフィルムである請求項11に記載の繊維複合体。
- 前記繊維構造体がシート状である請求項7〜12のいずれか一項に記載の製法。
- エレクトロスピニング法を用いて繊維構造体を形成するための紡糸原液であって、コラーゲン及びポリビニルピロリドンを含み、ポリビニルピロリドン/コラーゲン重量比が1/3未満である紡糸原液。
- 前記コラーゲンが、天然コラーゲンから得られた重量平均分子量が5,000以下のコラーゲンぺプチドである請求項14に記載の紡糸原液。
- 前記ポリビニルピロリドンの重量平均分子量が、100万〜200万である請求項14又は15に記載の紡糸原液。
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-
2015
- 2015-07-22 JP JP2015144821A patent/JP2017025431A/ja active Pending
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