JP2017023031A - ハイブリッドライス採種のための栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 花粉親系統と種子親系統の水田への種子の播種または苗の移植時期を制御し、混植によるハイブリッドライス種子の効率的な採種を実現する方法を提供する。【解決手段】 本発明は、晩生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗と、早生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗とを、種子の播種時期または苗移植時期をずらして混植栽培する、ハイブリッド(F1)ライス採種のための栽培方法であって、晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期と、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期との間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御することを特徴とする栽培方法に関する。これにより、上記課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、ハイブリッド(F1)ライス種子の効率的な採取をもたらす新しい栽培方法に関する。すなわち、本発明は、ハイブリッドライス採種(ハイブリッドライス種子の採取)のための効率的な栽培方法に関する。より詳しくは、本発明は、出穂期時期の異なる両親系統を有するハイブリッドライスの混植採種することを含む栽培方法に関する。
ハイブリッドライスとは、雑種強勢現象によって多収性を実現することを目的として育成されるイネ品種群のことである。一般に普及している自殖性品種は、自らの雌しべに自らの花粉を受粉させることで種子を得るが、ハイブリッドライスは、自ら受精能力のある花粉が形成できないよう育成された系統(種子親系統)の雌しべに、不稔系統との雑種後代において稔性の回復をもたらす因子を有する系統(花粉親系統)の花粉を人為的にかけることでその種子を得る。
これを圃場にて行う場合、両親系統を1つの水田内に同時に栽培することになる。
ところが、種子親系統から得られる種子のみがハイブリッドライス種子となるため、その種子純度を高く維持するためには、同じ水田内で実っている花粉親系統の種子が出来る限り混入しないような措置を、別途、講じることが必要となる。
このため、従来のハイブリッドライスの圃場採種では、自殖性品種の採種と比較して、以下のような追加的な作業が必要となっていた。
(1)播種・育苗段階では、2種類の両親系統を別々に扱う必要がある。このため、取り違いを防ぐために異なる色の苗箱を用いたり、苗スペースを離して育苗したりするなどの予防措置を講じなければならない。
(2)移植・栽培段階では、両親系統を移植する場所を明確に区別する必要がある。一方で、花粉の授受を容易にするために、それぞれを隣接させる形で圃場内にレイアウトする必要がある。このため実際には、田植機やコンバインの仕様の都合を考慮して、例えば、花粉親系統4条−種子親系統8条のように、栽培エリアをブロック状に配置することが多い。
(3)水田管理に関して、流れ苗などによって、種子親系統の栽培スペースに花粉親系統の株が混入しないよう、栽培期間中に複数回の異株抜きを行う必要がある。
(4)収穫・調整段階では、種子親系統の収穫物に、花粉親系統の種子が混入しないよう、別々に収穫作業を実施しなければならない。また、使用する機器についても、花粉親系統種子の混入を避けるため、徹底した清掃作業が必要となる。
このように、従来の従来のハイブリッドライスの圃場採種においては、自殖性品種の採種と比較して、煩雑な追加的な作業が必要となっていた。
このような従来の一連のハイブリッドライスの採種システムは、手間と時間を多くかけにくい我が国の稲作現場において作業の担い手確保を厳しいものにするだけでなく、自殖性品種と比較した際の採種収量を、結果的に、低くすることにつながるものであった。これらは、ハイブリッドライスの種子価格の高騰を招く大きな原因ともなっていた。
このため、両親系統を区別せずに水田内に混在する形で栽培し、収穫後にそれぞれの種子を選別する工程を挟むことにより、純度の高いハイブリッドライス採種を実現する新しい方法が、これまでに検討されてきた。このような方法が実現できれば、上述の煩雑な作業性から開放されることに加え、混植により両親系統個体間の物理的距離が短くなることによって、花粉親系統から放出される花粉が種子親系統の雌しべに届きやすくなり、稔実率が向上する効果も期待できる。
このような採種法を「混植採種法」という。こうした混植採種法は、他作物のF1品種の採種でも検討されており、イネにおける実用化が求められている。
例えば、丸山の報告によれば、試験的な例として、種子親系統2本、花粉親系統1本の株内混植を行うことによって、採種収量が121kg/10aとなり、種子親系統2条:花粉親系統1条で行った通常採種の採種収量(73kg/10a)を大きく上回ったとの結果が報告されている(丸山清明、「一代雑種イネ品種の育種学的研究」(1993)、非特許文献1)。
しかしながら、混植採種法をイネに適用する場合、種籾や、苗の圃場展開に関して、クリアすべき課題が、依然として多く存在する。
特に、ハイブリッドライスの採種は、種子親系統の開花期に花粉親系統の花粉を散らす必要が有るため、両親系統を同時期に出穂させる、つまり出穂期を同調させなければならない。
ところが、一般に遠縁の系統の組み合わせで育成されているハイブリッドライスの場合、両親系統間の熟期が異なる場合が多く、単純にそれぞれの種子を混合して育苗し、同日に移植しても出穂期を同調させることは困難であった。
上述の丸山の報告は、同一熟期の両親系統を選択的に用いて、試験的に行われたものである。ところが、実際には、両親系統間の熟期が異なる場合の方がむしろ多く、ハイブリッドライスの採種現場で、そのままこの手法を採用することはできなかった。
このため、ハイブリッドライスの採種現場において必要とされるこうした要件を満たす具体的な栽培方法については、これまでのところ知られていない。
一般的なイネの栽培方法としては、これまでに例えば、特開平6−78638号公報(「稲の栽培方法」、特許文献1)、特開2010−4835号公報(「水稲の栽培方法」、特許文献2)および特開2010−142126号公報(「水稲栽培方法」、特許文献3)などが報告されている。しかしながら、これらはいずれも、自殖性品種の栽培における収穫量の増大を目的としたものであり、ハイブリッドライスの栽培における上記のような課題とその解決法に関するものではない。
特開平6−78638号公報 特開2010−4835号公報 特開2010−142126号公報
丸山清明、「一代雑種イネ品種の育種学的研究」、1993年2月14日発行、東京大学博士論文(農学) 吉村明、「ハイブリッドライス「みつひかり」の事業展開」、Techno Innovation, Vol. 20, No. 20(通巻No.76)(2010), pp.20-29
イネの出穂期は、主に、播種日や移植日を変えることにより制御可能となることから、ハイブリッドライスの採種現場では、系統、または、希望する出穂期ごとに複数回の移植作業を行うことが行われていた。ただし、従来の採種法では、混植ではなく、花粉親系統:種子親系統=4条:8条のように、両親系統の栽培エリアを条毎に分けてブロック状に配置することによって、移植を慣行稲作に近い形で行っていた。例えば、ハイブリッドライスとして実用化されている品種「みつひかり」の種子採種では、このように両親系統の栽培エリアを分けて栽培を実施していることが示されている(吉村明、「ハイブリッドライス「みつひかり」の事業展開」、Techno Innovation, Vol. 20, No. 20(通巻No.76)(2010)の写真3、非特許文献2)
ところが、同様なことを混植採種法で行うと、栽培エリアが条毎に分かれていないため、複数回の移植や播種に際して、不都合が生じることとなる。
すなわち、同じ水田に同じ方向に田植え機を複数回走らせた場合、2回目以降の移植作業時に、車輪や付属するフロート部によって、前回までに植えつけた植物体を踏みつける懸念が生じる。踏みつけによって、植物体が部分的であっても傷んでしまうと、生育の遅れが出穂の遅れを生じさせることとなり、結果として当初予定していた出穂期を実現できなくなる。また、踏みつけによって、株が完全に土中に埋没するなどより大きく損傷してしまうと、圃場に展開する個体数を大きく減らすことになる。
このように従来、ハイブリッドライスの採種に際して、花粉親系統と種子親系統との間の受粉を効率的に行う観点からは、混植栽培が望ましい反面、遠縁の系統の組み合わせで育成されているハイブリッドライスの採種の場合、両親系統間の熟期が異なることが多く、これは、苗の移植時期も異なることにもなる。このため、上記のように、混植となるように時期をずらして苗を移植することの困難さから、従来は、両親系統をそれぞれブロック状に配置して栽培せざるを得なかった。
このため、花粉親系統と種子親系統の水田への種子の播種または苗の移植時期を制御しつつ、混植によるハイブリッドライス種子の効率的な採種を実現できる方法が、依然として望まれていたと言える。
かかる状況において、本発明者らは今般、出穂期が互いに異なる両親系統を有するハイブリッドライスの混植採種に際して、水田への各親系統の種子の播種または苗の移植(圃場への展開)の時期の間隔を調整することで、両親系統の出穂期を同時期に制御することに成功した。これによって、両親系統間での受粉を効率的に行うことが可能となった。ここで、両親系統の圃場への展開を行うに際して、第1回目の移植には両親系統のうち晩生系統の苗を用い、第2回目の移植は、両親系統のうち早生系統の苗を用い、さらに第1回目の移植による苗の植付条列に対して、ほぼ直交方向に第2回目の移植を行うことで、従来、問題となっていた、第2回目の移植の際の苗の踏みつけや株の埋没等による損傷を大幅に低減することに成功した。さらに、第1回目または第2回目の移植を、条播もしくは点播方式で直播に変更するか、または散播方式の直播に変更して実施することでも、問題となっていた移植苗や株の損傷を大幅に抑えることができるがわかった。そしてこれらを組み合わせることによって、本発明者らは、実際に、ハイブリッドライス種子の採種収量を、従来型の採種法に比べて、大幅に向上させることに成功した。
本発明は、これら知見に基づくものである。
早生系統は、晩生系統に比べて、播種もしくは苗移植からの出穂期までの期間が短いことから、この違いを利用して、晩生系統を早生系統より早く圃場に移植または播種することで、両系統の出穂期を同調することができると、本発明者らは考えた。ただし、使用する品種や条件によっては、早生系統を晩生系統よりも早く圃場に展開させてもよい場合もありうる。一方で、圃場に展開する際に、苗移植する場合の方が、種子を直播きする場合に比べて、通常は、早期に出穂期となる。早生系統と晩生系統のそれぞれについて、圃場への展開方法として、いずれを採用するかによっても、両系統の出穂期を同調させることに影響を及ぼしうる。さらに花粉親系統と種子親系統のいずれかについて早生系統、晩生系統とするかも、両系統の出穂期を同調させることに影響を及ぼしうる。これらの組合せは、理論上は膨大であるが、実際に、両系統の出穂期を同調させるができるのは一部の組合せに過ぎない。
本発明者らは、両系統の出穂期を同調させる上で、早生系統と晩生系統の展開の順序、それぞれについての圃場への展開方法、花粉親系統と種子親系統のいずれかを早生系統または晩生系統とするか等について、どのような組合せが有効であるかを、上記した実際にこれらを栽培した結果に基づいて、検討し、効果的かつ具体的な圃場展開法に関する組合せを見出すことができた。
よって、本発明は、花粉親系統と種子親系統の水田への種子の播種または苗の移植時期を制御し、混植によるハイブリッドライス種子の効率的な採種を実現する方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明によれば、以下の発明が提供される。
<1> 晩生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗と、早生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗とを、種子の播種時期または苗移植時期をずらして混植栽培する、ハイブリッド(F1)ライス採種のための栽培方法であって、
晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期と、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期との間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御することを特徴とする、栽培方法。
<2> 前記<1>の栽培方法において、前記した両系統の品種のうちで、先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列または直播された種子の条列もしくは状態に対して、平行でない方向もしくは重複しない状態に、他方の品種の苗を移植するか、またはその種子を直播するのがよい。
<3> 前記<1>または<2>の栽培方法において、晩生系統イネ品種の播種もしくは移植の時期と、早生系統イネ品種の播種もしくは移植の時期の間の期間を、両親系統について、栽培を行う地域と同じ地域における過去複数年分の栽培データを回帰分析することによって決定するのがよい。
<4> 前記<1>〜<3>のいずれかの栽培方法において、晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植してから、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植するまでの間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御するのがよい。
<5> 前記<1>〜<3>のいずれかの栽培方法において、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播してから、晩生系統イネ品種の苗を水田へ移植するまでの間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御するのがよい。
<6> 前記<1>〜<3>のいずれかの栽培方法において、
(A) 晩生系統イネ品種の苗を、水田に正条植えして直線状に移植した後に、
(1) その上から、晩生系統イネ品種の苗の植付条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
(2) その上から、晩生系統イネ品種の苗の植付条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
(3) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播するか、
(B) 晩生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、
(i) その上から、晩生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
(ii) その上から、晩生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
(iii) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播するか、
(C) 晩生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、
(I) その上から、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
(II) その上から、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
(III) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播する、
(D) 早生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、その上から、早生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、晩生系統イネ品種の苗を直線状に移植する、あるいは
(E) 早生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、その上から、晩生系統イネ品種の苗を移植する
ことのいずれかの工程を含むのがよい。
<7> 前記<1>〜<6>のいずれかの栽培方法において、前記した両系統の品種のうちで、先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列または直播された種子の条列に対して、角度が45度〜90度の方向で、他方の品種の苗を移植するか、またはその種子を、条播もしくは点播方式で直播するのがよい。
<8> 前記<1>〜<6>のいずれかの栽培方法において、前記した両系統の品種のうちで、先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列または直播された種子の条列に対して、直交方向もしくはほぼ直交方向(85度〜90度の方向)で、他方の品種の苗を移植するか、またはその種子を、条播もしくは点播方式で直播するのがよい。
<9> 前記<1>〜<8>のいずれかの栽培方法において、
晩生系統として、花粉親系統を用い、かつ
早生系統として、種子親系統を用いるのがよい。
<10> 前記<1>〜<8>のいずれかの栽培方法において、
晩生系統として、種子親系統を用い、かつ
早生系統として、花粉親系統を用いるのがよい。
<11> 前記<1>〜<10>のいずれかの方法により栽培し収穫して得られた種子から、種子親系統の種子を分離することによって、ハイブリッドライスを選別して得ることを含む、ハイブリッド(F1)ライスの採種方法。
<12> 前記<11>の方法において、収穫して得られた種子からの種子親系統の種子の分離を、両親系統間のフェノール類による着色反応の反応性の相違に基づいて種子選別することによって行うか、または、種子の形態的相違に基づいて種子選別することによって行うのがよい。
本発明によれば、出穂特性の異なる両親系統を用いた場合でも高い確率で出穂期を同調させて、混植栽培を行うことが出来る。このとき、第2回目の苗の移植や種子の播種などの展開時に、踏みつけや株の損傷などによって第1回目に展開した植物体(種子や苗)の生育を大きく損なうことを防ぐことができるため、安定した採種収量と、従来法に比べて大幅な収量向上が期待できる。さらに本発明によれば、ハイブリッドライスの採種コストの低減をはかることができ、また採種にあたっての作業効率を大幅に高めることができる。
実施例1で行った圃場への展開方法(移植−移植法)の概念図である。 実施例2で行った圃場への展開方法(直播−移植法)の概念図である。 比較例1で行った圃場への展開方法(従来型のブロック分け移植法)の概念図である。 圃場への展開方法うち、移植−直播(点播)法の概念図である(実施例3(参考例))。 圃場への展開方法うち、直播(点播)−移植法の概念図である(実施例4(参考例))。 圃場への展開方法うち、直播(散播)−直播(散播)法の概念図である(実施例5(参考例))。
以下、本発明の実施形態について説明する。
ハイブリッドライス採種のための栽培方法
本発明は前記したように、
晩生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗と、早生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗とを、種子の播種時期または苗移植時期をずらして混植栽培する、ハイブリッド(F1)ライス採種のための栽培方法であって、
晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期と、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期との間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御することを特徴とする、栽培方法に関する。
すなわち、本発明は、熟期が異なる両親系統をもつハイブリッドライスの種子の採取(採種)のための栽培方法に関する。
上記のように、本発明においては、効率的なハイブリッドライスの種子の採取(採種)のために、ハイブリッドライスの両親系統のうち、花粉親系統と種子親系統の品種を、播種、苗移植する際に、それらの時期をずらし、混植栽培を行う。これは、熟期が異なる両系統間での受粉が可能なように出穂期を同時期にそろえる(同調させる)ため、出穂期がそろうように、両親系統のそれぞれについて、種子(種籾)の播種、苗の移植する時期を調節して、互いにずらして、混植栽培する。
本発明では、両親系統として、熟期が異なる品種を使用するため、本発明でいう早生および晩生は、相対的なものといえる。
すなわち、本発明において、晩生系統イネ品種とは、本発明において使用するもう一方の親のイネ品種に対して、早晩性の観点で相対的に晩生傾向を示すイネ品種であれば特に制限はないが、通常は、収穫期となるまでの栽培期間に関する早晩性において、イネ品種について、早生(わせ)、中生(なかて)、晩生(おくて)に分類した場合の晩生に相当するイネ品種をいう。
また本発明において、早生系統イネ品種とは、本発明において使用するもう一方の親のイネ品種に対して、早晩性の観点で相対的に早生傾向を示すイネ品種であれば特に制限はないが、通常は、収穫期となるまでの栽培期間に関する早晩性において、イネ品種について、早生、中生、晩生に分類した場合の早生に相当するイネ品種をいう。
したがって、本発明では、晩生系統イネ品種と、早生系統イネ品種は、いずれか一方が花粉親系統であり、他方が種子親系統となる。
よって、本発明の一つの好ましい態様によれば、晩生系統として、花粉親系統を用い、かつ早生系統として、種子親系統を用いる。
あるいは、本発明の別の一つの好ましい態様によれば、晩生系統として、種子親系統を用い、かつ早生系統として、花粉親系統を用いる。
またここで混植栽培とは、両親系統の株内混植ではなく、また両親系統をブロック別に分けて植えるなどのように区別せずに、水田内において両親系統が混在する形で植え、栽培することをいう。
本発明において、種子親系統とは、自ら受精能力のある花粉が形成できないよう育成された系統(雄性不稔系統)である。具体的には、例えば、雄性不稔細胞質を有する系統を母本、かつ、1回親、稔性回復因子を有していないことが確認されている目的系統を反復親とした戻し交雑を行い、目的系統の細胞質を雄性不稔細胞質に置換することにより、雄性不稔性を付与させることができ、これにより、種子親系統を得ることができる。
また本発明において、花粉親系統とは、不稔系統との雑種後代において稔性の回復をもたらす因子を有する系統であり、例えば、少なくとも片親に長粒種等の稔性回復因子を有している系統を用いて品種改良を行うことにより、1/2以上の確立で花粉親系統を得ることができる。
混植採種を行うに際して、圃場において、実際にF1種子がみのる種子親系統の株数が、花粉を飛ばす役目の花粉親系統の株数より、相対的に多くなるように栽培することが、採種効率を向上させる上で望ましい。
本発明においては、「晩生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗と、早生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗とを、種子の播種時期または苗移植時期をずらして混植栽培」する。
すなわち、本発明では、晩生系統イネ品種の種子の播種した時点と、早生系統イネ品種の種子の播種をする時点との間の播種の時期をずらすか、
晩生系統イネ品種の種子の播種した時点と、早生系統イネ品種の種子を播種し育苗して得られた苗を移植する時点との間の時期をずらすか、
晩生系統イネ品種の種子を播種し育苗して得られた苗を移植する時点と、早生系統イネ品種の種子を播種し育苗して得られた苗を移植する時点との間の苗移植の時期をずらすか、または
晩生系統イネ品種の種子を播種し育苗して得られた苗を移植する時点と、早生系統イネ品種の種子の播種をする時点との間の時期をずらすか
のいずれかのようにして、両系統(晩生系統と早生系統)の混植栽培を行う。
本発明において、種子の播種時期または苗移植時期を「ずらす」とは、両系統間における各時期が少なくとも一致しない(同時でない)ことを意味する。
ここでイネ品種の種子とは、本発明の栽培方法に使用する品種の種子(好ましくは、種籾)のことを意味し、種子の維持保存先や栽培先の機関もしくは団体等から適宜入手することができる。
イネ品種の「種子を播種し育苗して得られた苗」とは、混植栽培するために水田(圃場)への移植を行う際に、種子を別途、育苗用の領域等に、播種しそこで育苗して苗を得ておくことを意味する。
そして、本発明においては、晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期と、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期との間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御する。
ここで、「晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期と、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期との間の期間」とは、
晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播する時期と、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播する時期の間の期間、
晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播する時期と、早生系統イネ品種の苗を水田へ移植する時期の間の期間
晩生系統イネ品種の苗を水田へ移植する時期と、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播する時期の間の期間、または
晩生系統イネ品種の苗を水田へ移植する時期と、早生系統イネ品種の苗を水田へ移植する時期の間の期間
のいずれかを意味する。
本発明では、種子の播種は、苗の育苗に使用する以外は、圃場に行う場合、直播き(直播)により行う。
ここで、種子を水田に直播きする場合の「直播」には、乾田直播、湛水直播のいずれであってもよいが、好ましくは本発明では、湛水直播である。ここで湛水直播は、さらに、条播、点播および散播の3種類に分けられるため、本発明でいう直播は、散播、条播および点播に分けられる。
ここで、条播とは一定間隔のすじ状に種籾を播種することをいう。本発明においては、典型的には直線のすじ状に播種する。直播法として条播方式を採用する場合には、例えば、条播専用播種機や側条施肥田植機の改良機を用いて行うことができる。条播方式によれば、播種深度を一定に保ちやすいため苗立ちや生育の揃いがよく、散播方式よりも倒伏に強いイネを育てることができる。
またここで、点播は、一定間隔に複数の種籾をまとめて播種することをいう。本発明においては、まとめて播種する箇所を、典型的には直線状に配置する。直播法として点播方式を採用する場合には、例えば、点播専用播種機を用いて行うことができる。点播方式によれば、播種深度が確保しやすいため苗立ちや生育の揃いがよいのに加え、株が形成されることにより最も耐倒伏性が強いイネを育てることができる。
さらにここで、散播は、種籾をばらまく播種法をいう。一般的に、散播は、作業効率が高く大区画圃場に向くものであって、低コストであるが,種籾の間隔にバラツキが生じて過繁茂になりやすい傾向がある。直播法として散播方式を採用する場合には、例えば、動力散布機、ラジコンヘリコプター等を用いて行うことができる。散播方式によれば、移植の条に無関係に全面に播種を行うことができる。
直播の場合には、出芽や苗立ちを安定化させるため、種子(種籾)をコーティングしてもよい。コーティングとしては、カルパーコーティングや鉄コーティングなどあり、慣用の方法により行うことができる。
本発明において、苗の移植は、好ましくは、正常植えで行う。正常植えとは、苗の列を整え、株と株との間隔を一定に植えつけるをいう。
本発明において苗の移植をする場合、苗は、予め消毒後の種籾を苗箱に播種し、育苗ハウス等において20〜30日程度生育させた苗とし、これを使用するのが望ましい。
本発明においては、前記したように、晩生系統イネ品種の直播または苗移植を行う時期と、早生系統イネ品種の直播または苗移植を行う時期との間の期間(すなわち、間隔)を調節して、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御する。
ここで、「晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御する」とは、両系統の出穂期を同時期に揃えることによって、花粉親系統から種子親系統への花粉の授受が、効率的に行うことができるようになることから、両親系統の出穂期を、両系統のそれぞれの移植時期等を調整することで調整し、出穂日が同時期となるように制御することをいう。よって、このような受粉が可能である限り、「同時期」とは、数日程度の時間の幅があってもよいが、時期のずれが大きくなるにつれて、受粉効率、すなわち、採種効率が低下していくことになるため、出来る限り近づけることが望ましい。
ここで、晩生系統イネ品種の直播または苗移植を行う時期と、早生系統イネ品種の直播または苗移植を行う時期との間の期間は、使用する晩生系統イネ品種と早生系統イネ品種のそれぞれについて、公知の栽培データ、または過去の栽培データに基づいて決定することができる。過去の栽培データに関しては、実際に栽培しようとする地域、気候等を考慮することが望ましい。
ここで「栽培データ」とは、好ましくは、栽培日数データを意味する。栽培日データとは、移植日、出穂日、収穫日、およびそれらの間隔(期間)などの日付、日数のデータをいう。
さらに、栽培データは、直播または苗移植を行う時点(移植日)と出穂日、またその間隔とを、実際に栽培する圃場の過去の栽培データを取得し、望ましくは過去の複数年(例えば、2〜5年分)のデータを採取し、それらに基づいて回帰分析を行ってデータの平準化と制度を高めることが望ましい。栽培データは両親系統のそれぞれについて予め取得することがのぞましい。得られたデータから、所望する出穂予定日を設定し、移植日の間隔と望ましい移植日を予測することができる。
より具体的には、実際に栽培を行う圃場において、使用する両親系統について過去数年分(例えば、過去3年分)の移植日と出穂日に関する栽培データを集め、これらの回帰分析を行って、その結果から、所望する出穂予定日の時期に、両親系統の出穂期が同時期になるように、各系統の移植日(移植間隔)を予測して算出し、その移植日に移植できるように、各系統の苗の栽培を行うことができる。なお、移植日と移植間隔の予測に際しては、必要に応じて、栽培データ取得時の天候状況(日照不足や天候不順などの他の条件を含めてもよい)や、使用する品種の栽培に関する経験等を考慮して、追加的な調整を行っても良い。
また移植の際に、苗移植ではなく、種子を直播する場合には、予め採取する栽培データも水田へ種子の直播を行った場合のデータとするのが望ましい。あるいは、このような場合に、水田において、直播してから苗まで生長する期間を考慮して、苗移植の場合の栽培データから予測することもできる。
よって本発明の一つの好ましい態様によれば、晩生系統イネ品種の播種もしくは移植の時期と、早生系統イネ品種の播種もしくは移植の時期の間の期間を、両親系統について、栽培を行う地域と同じ地域における過去複数年分の栽培データを回帰分析することによって決定するのがよい。このとき、回帰分析に、所望する出穂日を加味して、期間を決定するのが好ましい。
ここで、移植する日の間隔は、使用する両親系統の品種およびその組合せによって種々変わりうるものであるため具体的な時期は特に制限はないが、例えば、28日間程度までであり、好ましくは18日間程度までであり、より好ましくは、2〜10日間である。
過去の栽培データを取得するにあたっては、今年度の栽培の参考となるデータが取得できるものであれば特に、栽培面積や必要年数に制限はないが、好ましい例としては、30a程度の広さでの栽培データを各3年分程度、取得するとよい。
本発明の好ましい態様によれば、本発明の栽培方法において、前記した両系統の品種のうちで、先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列または直播された種子の条列もしくは状態に対して、平行でない方向もしくは重複しない状態に、他方の品種の苗を移植するか、またはその種子を直播するのがよい。
すなわち、前記した両系統の品種のうちで、
先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列に対して、平行でない方向に、他方の品種の苗を移植するか、
先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列に対して、平行でない方向に、他方の品種の種子を直播(条播、または点播)するか、
先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列に対して、重複しない状態に他方の品種の種子を直播するか、
先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の直播された種子の条列に対して、平行でない方向に他方の品種の苗を移植するか、
先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の直播された種子の条列に対して、平行でない方向に、他方の品種の種子を直播(条播、または点播)するか、
先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の直播された種子の条列に対して、重複しない状態に、他方の品種の種子を直播するか、または
先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の直播された種子の状態に対して、重複しない状態に、他方の品種の種子を直播するのがよい。
ここで、「平行でない方向」とは、既に植え付けられた苗の列(植付条列)、または直播された種子の条列に対して、他方の苗の移植、または他方の品種の種子を用いた条播もしくは点播方式で直播を、平行方向ではない方向に実施することを意味する。既に植え付けられた苗の列と、次に移植する苗の条列、種子の条との重複分をできるだけ少なくすることで、先に植えた苗への悪影響を少なし、さらに場合によっては、先の移植苗等の植えつけ部分に新たな苗を部分的に植えることで、混植による両親系統の互いの苗の間隔をできるだけ近くすることも期待できる。
好ましくは、先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列または直播された種子の条列に対して、他方品種の苗を移植するか、または他方の品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播する方向との角度が、45度〜90度の方向、より好ましくは、60〜90度、さらに好ましくは、75〜90度、さらにより好ましくは80〜90度、特に好ましくは、直交方向もしくはほぼ直交方向(85度〜90度の方向)、最も好ましくは直交方向である。
本発明の別の好ましい態様によれば、本発明の栽培方法において、晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植してから、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植するまでの間の期間を調節して、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御する。この態様は、後述する(A)〜(C)の場合を包含するものである。
ここで、「晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植してから、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植するまでの間の期間」とは、
晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播してから、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するまでの間の期間、
晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播してから、早生系統イネ品種の苗を水田へ移植するまでの間の期間
晩生系統イネ品種の苗を水田へ移植してから、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するまでの間の期間、または
晩生系統イネ品種の苗を水田へ移植してから、早生系統イネ品種の苗を水田へ移植するまでの間の期間
のいずれかを意味する。
本発明のさらに別の好ましい態様によれば、本発明の栽培方法において、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播してから、晩生系統イネ品種の苗を水田へ移植するまでの間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御する。この態様は、後述する(D)と(E)の場合を包含するものである。
前記したように、早生系統は、晩生系統に比べて、播種もしくは苗移植からの出穂期までの期間が短いことから、この違いを利用して、多くの場合、晩生系統を早生系統より早く圃場に展開するのが、両系統の出穂期を同調する上で望ましいといえるが、両系統の出穂期が近い場合には、圃場展開方法として、早生系統を直播とし、晩生系統を苗移植とすることで、早生系統を、晩生系統よりも先に展開させることが可能となる。
圃場への展開法
本発明の栽培方法における水田(圃場)への種子の播種や苗の移植の手法(展開法)、すなわち、圃場展開する工程についてさらに説明する。
ここで、圃場への展開方法の方式としては、苗を移植する移植と、種子を直播きする直播とに大別することができる。直播についてはさらに、条播と、点播と、散播とに分けることができる。
前記したように本発明では、出穂期時期の異なる両親系統を圃場に展開する際に、両親系統のそれぞれを展開する時期をずらして混植栽培を行う。
このため、前記した展開方式から、両親系統のそれぞれを展開する工程は、以下のように分類することができる。
a) 移植−移植法
b) 移植と直播を組み合わせる展開法
c) 直播−直播法
これらをさらに具体的に分けて記載すると以下の通りとなる。
すなわち、前記したように、本発明の栽培方法は、
(A) 晩生系統イネ品種の苗を、水田に正条植えして直線状に移植した後に、
(1) その上から、晩生系統イネ品種の苗の植付条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
(2) その上から、晩生系統イネ品種の苗の植付条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
(3) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播するか、
(B) 晩生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、
(i) その上から、晩生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
(ii) その上から、晩生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
(iii) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田の直播するか、
(C) 晩生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、
(I) その上から、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
(II) その上から、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
(III) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播する、
(D) 早生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、その上から、早生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、晩生系統イネ品種の苗を直線状に移植する、あるいは
(E) 早生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、その上から、晩生系統イネ品種の苗を移植する
ことのいずれかの工程(圃場展開法)を含むのが好ましい。
以下これらの方式をさらに詳しく説明する。
a) 移植−移植法
この移植−移植法は、両親系統の圃場への展開について、そのいずれもの展開を苗移植で行う場合である。
これは前記した(A)(1)の展開法に相当する。
すなわち、本発明の一つの好ましい態様において、本発明の栽培方法は、(A)(1)晩生系統イネ品種の苗を、水田に正条植えして直線状に移植した後に、その上から、晩生系統イネ品種の苗の植付条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植することを含む。
すなわち、第1回目の移植は、両親系統のうち晩生系統の苗を用いて、水田に正条植えすることとなり、直線状に苗を移植する。次いで、第2回目の移植は、両親系統のうち早生系統の苗を用い、第1回目の条に対し、平行とならない方向(平行でない方向)に植える。これにより、第1回目の移植で移植された苗を、第2回目の移植の際に、踏みつけるなどによって、損傷させる可能性をできるだけ低くすることができる。第1回目の苗の損傷をできるだけ抑える観点からは、第1回目の移植の条に対して、直交する方向にできるだけ近い方が望ましいと言える。
この移植−移植法では、直播き作業を必要としないため、高度な直播き技術を持たない生産者でも混植採種を行うことができる。また、高い採種収量を実現するためには、通常、実際に種子をつける種子親系統の株数を花粉親系統株数に比べて多くすることが望ましいが、1回目の移植時に花粉親系統を展開する場合、種子親系統の移植の際に、条が交差する部分において花粉親系統株を踏みつけることになるので、適度に父親株の数を減らすことができる。
b) 移植と直播を組み合わせる展開法(移植−直播法、または直播−移植法)
この移植と直播を組み合わせる展開法は、両親系統の圃場への展開を、いずれか一方では直播を行い、他方では苗移植で行う場合である。すなわち、この展開法では、移植と直播のどちらを先に行っても良い。
これは前記した(A)(2)、(A)(3)、(B)(i)、(C)(I)、(D)および(E)の展開法に相当する。
すなわち、本発明の一つの好ましい態様において、本発明の栽培方法は、
(A)(2) 晩生系統イネ品種の苗を、水田に正条植えして直線状に移植した後に、その上から、晩生系統イネ品種の苗の植付条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、
(A)(3) 晩生系統イネ品種の苗を、水田に正条植えして直線状に移植した後に、その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田の全面に直播するか、
(B)(i) 晩生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、その上から、晩生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
(C)(I) 晩生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、その上から、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
(D) 早生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、その上から、早生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、晩生系統イネ品種の苗を直線状に移植する、または、
(E) 早生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、その上から、晩生系統イネ品種の苗を移植する
ことを含む。
通常、種子を直播する場合、苗を移植する場合に比べて、圃場展開から出穂までにより長い期間を要する。この移植と直播を組み合わせる展開法では、苗の移植と種子の直播とを組み合わせることで、種子の直播による場合と苗移植する場合とで生ずる期間の違いを利用することが出来る。
またこの移植と直播を組み合わせる展開法では、直播き作業を取り入れることで、圃場展開にかかる作業量を削減することが可能となる。
またこの移植と直播を組み合わせる展開法では、両親系統のうち早生系統を直播法とし、晩生系統を移植法として展開することもできる。
この場合、早生系統をより早くに圃場へ展開できるため、前記した「移植−移植法」とくらべて、より短期間で展開作業を終了させることができる。これにより、代かき後に早く土壌が固まることによって、「移植−移植法」での植え付けが困難となる土地でも、安定した混植採種を行うことができる。
このため、この展開法は、土が硬くなる場所でも展開が可能な点で、移植−移植法での展開が難しい場合にそれを補う手段としても期待できる。
上記の移植と直播を組み合わせる展開法は、
・晩生系統イネ品種の展開を先に行い、早生系統の品種の展開を後から行うもの(前記(A)(2)、(A)(3)、(B)(i)および(C)(I))と、
・早生系統イネ品種の展開を先に行い、晩生系統の品種の展開を後から行うもの(前記(D)および(E))とに
大きく分けることができる。
この内、「移植」と「条播(点播)」とを組み合わせる方法として、
前記(A)(2)は、晩生系統を苗移植して、早生系統を条播(または点播)する、「移植−条播(点播)法」であり、
前記(B)(i)は、晩生系統を条播(または点播)して、早生系統を苗移植する、「条播(点播)−移植法」である。
また前記(D)は、早生系統を条播(または点播)して、晩生系統を苗移植する、「条播(点播)−移植法」である。
これらはいずれも、第1回目の展開による苗もしくは条播(点播)の条に対し、平行とならない方向(平行でない方向)に第2回目の展開を行う。これにより、第1回目の展開による苗を、第2回目の展開の際に、踏みつけるなどによって、損傷させる可能性をできるだけ低くすることができる。第1回目の苗の損傷をできるだけ抑える観点からは、第1回目の移植の条に対して、直交する方向にできるだけ近い方が望ましいと言える。
また、「移植」と「散播」とを組み合わせる方法として、
前記(A)(3)は、晩生系統を苗移植して、早生系統を散播する、「移植−散播法」であり、
前記(C)(I)は、晩生系統を散播して、早生系統を苗移植する、「散播−移植法」であり、
前記(E)は、早生系統を散播して、晩生系統を苗移植する、「散播−移植法」である。
c) 直播−直播法
この移植−移植法は、両親系統の圃場への展開について、そのいずれもの展開を直播で行う場合である。なおここでいう直播には、条播、点播、散播が包含される。
これは前記した(B)(ii)、(B)(iii)、(C)(II)および(C)(III)の展開法に相当する。
すなわち、本発明の一つの好ましい態様において、本発明の栽培方法は、
(B)(ii) 晩生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、その上から、晩生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
(B)(iii) 晩生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田の全面に直播するか、あるいは、
(C) 晩生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、
(II) その上から、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
(III) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播する
ことを含む。
直播−直播法では、移植作業を必要としないため、圃場展開にかかる作業量を大幅に削減することが可能となる。さらに、両親系統間の物理的距離が非常に短くなるため、受粉効率の向上も期待できる。
すなわち、上記展開法は、晩生系統イネ品種の展開を先に行い、早生系統の品種の展開を後から行うものであって、
前記(B)(ii)として、晩生系統を条播(または点播)して、早生系統を条播(または点播)する、「条播(点播)−条播(点播)法」と、
前記(B)(iii)として、晩生系統を条播(または点播)して、早生系統を散播する、「条播(点播)−散播法」と、
前記(C)(II)として、晩生系統を、散播して、早生系統を条播(または点播)する、「散播−条播(点播)法」と、さらに
前記(C)(III)として、晩生系統を、散播して、早生系統を散播する、「散播−散播法」とからなる。
これら圃場展開法のうち、前記(C)の方法は、作業労力の軽減という観点で有益である。
また上記中、「散播−散播法」は、手間のかかる採種を、圧倒的に効率化できるという意味で有用である。この意味で、前記(C)(III)は、直播−直播法において、好ましい態様といえる。
本発明において、好ましい圃場展開法は、前記「a) 移植−移植法」および前記「b) 移植と直播を組み合わせる展開法」であり、より好ましくは、前記「a) 移植−移植法」である。
また本発明において、より具体的な好ましい圃場展開法は、前記の(A)および(B)の方法であり、より好ましくは、前記(A)の方法である。前記(A)の方法は、苗立ち、その結果としての収量の安定性の観点から望ましいといえる。さらに好ましい圃場展開法としては、前記(A)(1)の方法が挙げられる。
ハイブリッドライスの採種方法
その後の栽培から種子調整までの一連の作業は、通常の種子生産の場合と同様に行うことができる。
収穫、採取された種子から、目的とする種子親系統の種子を分離する。これにより、目的とするハイブリッドライスの選択的な採種が可能となる。
よって、本発明の別の好ましい態様によれば、上記した栽培方法により栽培し収穫して得られた種子から、種子親系統の種子を分離することによって、ハイブリッドライスを選別して得ることを含む、ハイブリッド(F1)ライスの採種方法が提供される。
ここで、収穫した種子からの目的とする種子親系統の種子の分離は、目的とする選別・分離が可能であれば特に制限はないが、例えば、丸山が報告しているような種子選別方法であってもよく、また、両親系統間のフェノール類による着色反応の反応性の相違に基づいて種子選別することによって行うか、または、種子の形態的相違(例えば、粒径、種子の形状など)に基づいて種子選別することによって行うこともできる。
例えば、フェノール類を利用した選別方法としては、花粉親が長粒種等を母本にして育成された場合、花粉親系統の籾のみフェノール類で黒く染色することができるため、これを利用して、目的とする種子親系統の籾(ハイブリッドライスの種子)と選別することができる(前記した丸山の文献(「一代雑種イネ品種の育種学的研究」(丸山清明、1993年2月14日発行)(非特許文献1))。
同様に、種子の形態的相違に基づいて種子選別する方法としては、例えば、予め選別に関係する品種や系統の種子の籾形質(粒幅)を調査しておき、この結果に基づいて、土質試験用段篩を使用し、これを篩振とう機上で篩い分けすることによって、目的とする籾を選別することができる(前記した丸山の文献(「一代雑種イネ品種の育種学的研究」(丸山清明、1993年2月14日発行)(非特許文献1))。
よって、本発明の別の好ましい態様によれば、本発明の採種方法において、収穫して得られた種子からの種子親系統の種子の分離を、両親系統間のフェノール類による着色反応の反応性の相違に基づいて種子選別することによって行うか、または、種子の形態的相違に基づいて種子選別することによって行うのがよい。
以下において、本発明を下記の実施例によって詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
実施例1: 移植−移植法
イネ品種「ハイブリッドとうごう3号」(品種登録第23694号)の種子親系統であるイネ品種「JMS−023」(特許微生物寄託番号:BP−FERM11463)、および、花粉親系統であるイネ品種「JFR−004」(株式会社水稲生産技術研究所において栽培し系統維持を行っている)を用い、2013年度に愛知県内の6a(アール)の水田にて試験を行った。
播種から収穫までのスケジュールを表1に示すとおりであった。
Figure 2017023031
実施例1の品種の場合、花粉親系統が種子親系統より晩生であることから、前者をより早い時期に、移植期を変えて、圃場へ展開した。
圃場への展開方法としては、まず花粉親系統を、8条植えの田植機に1条おきに4条設置して、苗の移植を行った。
次に、2回目の移植として、種子親系統の苗を移植した。種子親系統は、前述の花粉親系統から8日遅れで、8条すべてを移植した。このとき、2回目の移植は、1回目の移植の条に対して直交する形で行った。
なお苗は両親系統ともに、25日苗を移植した。
ここで、花粉親系統の苗の移植から、種子親系統の苗の移植までの間隔は、以下のようにして決定した。すなわち、同じ地域における両親系統の過去4年間の移植日と出穂日に関する栽培データについて回帰分析を行って、その結果に基づいて、所望する出穂予定日から、移植日の間隔と望ましい移植日を予測し、算出した。その結果、本実施例においては、使用した両親系統による移植日間隔は、8日間と算出された。また花粉親系統の苗の移植日を上記表1のように設定した。
1回目の展開法と2回目の展開法との関係は、図1に示したとおりであった。
2回目の移植後の圃場における苗の状態を目視で観察したところ、1回目に移植した花粉親系統の株(苗)がところどころ土中へ埋没されており、さらに後から移植された種子親系統の株(苗)が、そのスペースを埋めていることが確認できた。
その後、慣行の栽培法に従って栽培を行ったところ、各系統の出穂期は表1のようになった。
表の結果に示されるように、種子親系統の出穂を、花粉親系統の出穂と同調させることができた。
次いで、種子親系統の出穂後7日間に渡る受粉促進処理を行った。
さらに栽培を続けて、収穫期に一斉に収穫し、花粉親系統から採取された種子と、種子親系統から採取されたハイブリッドライス種子とを、種子の粒径、形状の差異を基準に選別可能なように設定した専用の選別機を使用して、種子選別を行った。
最終的な結果として、ハイブリッドライス種子としての推定採種収量は204.2kg/10aであった。なおここで、「推定採種収量」は、収穫した精籾中の花粉親系統−種子親系統の重量比から推定・算出した採種収量を意味する。
ハイブリッドライス種子の推定採種収量は、同条件における従来型の採種法(比較例1)の採種収量77.8kg/10aと比較して、2.62倍高い値であった。
比較例1: 従来型の採種法(列植え採種法)
圃場への苗の展開方法を、図3のようにして、両親系統をそれぞれブロック毎に分けて列植えした以外は、実施例1と同様にして栽培し、収穫を行い、ハイブリッドライス種子の選別を行った。なお、栽培した面積は、320a(アール)であった。
ハイブリッドライス種子としての推定採種収量は、77.8kg/10aであった。
実施例2: 直播−移植法
イネ品種「ハイブリッドとうごう4号」(品種登録第23695号)の種子親系統であるイネ品種「JMS−024」(特許微生物寄託番号:BP−FERM11464)、および、花粉親系統であるイネ品種「JFR−004」を用い、2013年度に新潟県内の5aの水田にて試験を行った。
播種から収穫までのスケジュールを表2に示すとおりであった。
Figure 2017023031
本実施例の場合も実施例1と同様に、花粉親系統が種子親系統より晩生であることから、前者をより早い時期に圃場へ展開した。
圃場への展開方法としては、まず花粉親系統を、8条植えの田植機に1条おきに4条設置して、苗の移植を行った。
なお花粉親系統の苗としては、27日苗を移植した。
種子親系統の種子については、「水稲湛水直播栽培の手引き」(平成24年12月改訂)(http://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/zikamaki/z_kenkyu_kai/pdf/24chokuha.pdf)に記載の方法にしたがって、カルパーコーティングを行った。
2回目の移植として、カルパーコーティングした種子親系統の種子を、花粉親系統の苗の移植から8日後に、同じ水田に対して動力噴霧器を用いて湛水直播した。
ここで、花粉親系統の苗の移植から、種子親系統の種子の直播までの間隔は、以下のようにして決定した。すなわち、同じ地域における両親系統の過去3年間の移植日、直播した日、および出穂日に関する栽培データについて回帰分析を行って、その結果に基づいて、所望する出穂予定日から、移植と直播の間隔と望ましい移植日を予測し、算出した。その結果、本実施例においては、使用した両親系統における移植-直播の間隔は、8日間と算出された。また花粉親系統の苗の移植日を上記表2のように設定した。
1回目の展開法と2回目の展開法との関係は、図2に示したとおりであった。
2回目の移植(種子の直播)後の圃場における苗の状態を、目視で観察したところ、1回目に移植した花粉親系統の株の間、および、欠株部のスペースを、後から播種された種子親系統が埋めていることが観察された。
その後、慣行の栽培法に従って栽培を行ったところ、表2に示したように、各系統の出穂期はともに、8月中旬となり、種子親系統の出穂を、花粉親系統の出穂と同調させることができた。
次いで、種子親系統の出穂後7日間に渡る受粉促進処理を行った。
実施例1と同様に、さらに栽培を続けて、収穫期に一斉に収穫し、花粉親系統から採取された種子と、種子親系統から採取されたハイブリッドライス種子とを、種子の粒径、形状の差異を基準に選別可能なように設定した専用の選別機を使用して、種子選別を行った。
最終的な結果として、ハイブリッドライス種子としての推定採種収量123kg/10aであった。これは、同年の同系統3箇所の採種収量の平均値である83.9kg/10aと比較して、明らかに高い数値を示した。
実施例3(参考): 移植−直播(点播)法
花粉親系統を晩生系統としてより早い時期に、種子親系統を早生系統として後に圃場に展開することとし、圃場への苗の展開方法を、図4のようにして、1回目の展開を苗移植、2回目の展開を点播とした以外は、実施例1および2と同様にして栽培し、収穫を行い、ハイブリッドライス種子の選別を行う。
ここで点播は、専用播種期を用いて、カルパーコーティング種子を湛水状態の水田へ播種する形式で行い、また、花粉親の移植を1条ごとに行うことで、花粉親となる系統の移株数を種子親となる系統の株数の半分程度に抑え、採種効率を向上させる。
実施例4(参考): 直播(点播)−移植法
種子親系統を晩生系統としてより早い時期に、花粉親系統を早生系統として後に圃場に展開することとし、圃場への苗の展開方法を、図5のようにして、1回目の展開を点播、2回目の展開を苗移植とした以外は、実施例1および2と同様にして栽培し、収穫を行い、ハイブリッドライス種子の選別を行う。
ここで点播は、専用播種期を用いて、カルパーコーティング種子を湛水状態の水田へ播種する形式で行い、花粉親の移植を1条ごとに行うことで、花粉親となる系統の移株数を種子親となる系統の株数の半分程度に抑え、採種効率を向上させる。
実施例5(参考): 直播(散播)−直播(散播)法
花粉親系統を晩生系統としてより早い時期に、種子親系統を早生系統として後に圃場に展開することとし、圃場への苗の展開方法を、図6のようにして、1回目の展開と2回目の展開をともに散播とした以外は、実施例1および2と同様にして栽培し、収穫を行い、ハイブリッドライス種子の選別を行う。
ここで散播は、ラジコンヘリコプターを用いて、鉄コーティング種子を湛水状態の水田へ播種する形式で行い、花粉親となる系統の播種量を、種子親となる系統の播種量の半分程度の薄まきにすることで、採種効率を向上させる。





Claims (12)

  1. 晩生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗と、早生系統イネ品種の種子またはその種子を播種し育苗して得られた苗とを、種子の播種時期または苗移植時期をずらして混植栽培する、ハイブリッド(F1)ライス採種のための栽培方法であって、
    晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期と、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植する時期との間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御することを特徴とする、栽培方法。
  2. 前記した両系統の品種のうちで、先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列または直播された種子の条列もしくは状態に対して、平行でない方向もしくは重複しない状態に、他方の品種の苗を移植するか、またはその種子を直播する、請求項1に記載の栽培方法。
  3. 晩生系統イネ品種の播種もしくは移植の時期と、早生系統イネ品種の播種もしくは移植の時期の間の期間を、両親系統について、栽培を行う地域と同じ地域における過去複数年分の栽培データを回帰分析することによって決定する、請求項1または2に記載の栽培方法。
  4. 晩生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植してから、早生系統イネ品種の種子を水田へ直播するかまたはその苗を水田へ移植するまでの間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の栽培方法。
  5. 早生系統イネ品種の種子を水田へ直播してから、晩生系統イネ品種の苗を水田へ移植するまでの間の期間を調節することによって、晩生系統イネ品種の出穂期と、早生系統イネ品種の出穂期とが同時期になるように制御する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の栽培方法。
  6. (A) 晩生系統イネ品種の苗を、水田に正条植えして直線状に移植した後に、
    (1) その上から、晩生系統イネ品種の苗の植付条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
    (2) その上から、晩生系統イネ品種の苗の植付条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
    (3) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播するか、
    (B) 晩生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、
    (i) その上から、晩生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
    (ii) その上から、晩生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
    (iii) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播するか、
    (C) 晩生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、
    (I) その上から、早生系統イネ品種の苗を直線状に移植するか、
    (II) その上から、早生系統イネ品種の種子を、条播もしくは点播方式で直播するか、または
    (III) その上から、早生系統イネ品種の種子を散播方式で水田に直播する、
    (D) 早生系統イネ品種の種子を、水田に条播もしくは点播方式で直播した後に、その上から、早生系統イネ品種の直播された種子の条列に対して平行でない方向に、晩生系統イネ品種の苗を直線状に移植する、あるいは
    (E) 早生系統のイネ品種の種子を水田に散播方式で水田に直播した後に、その上から、晩生系統イネ品種の苗を移植する
    ことのいずれかの工程を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の栽培方法。
  7. 前記した両系統の品種のうちで、先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列または直播された種子の条列に対して、角度が45度〜90度の方向で、他方の品種の苗を移植するか、またはその種子を、条播もしくは点播方式で直播する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の栽培方法。
  8. 前記した両系統の品種のうちで、先に種子を播種または苗を移植した一方の品種の苗の植付条列または直播された種子の条列に対して、直交方向もしくはほぼ直交方向(85度〜90度の方向)で、他方の品種の苗を移植するか、またはその種子を、条播もしくは点播方式で直播する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の栽培方法。
  9. 晩生系統として、花粉親系統を用い、かつ
    早生系統として、種子親系統を用いる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の栽培方法。
  10. 晩生系統として、種子親系統を用い、かつ
    早生系統として、花粉親系統を用いる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の栽培方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法により栽培し収穫して得られた種子から、種子親系統の種子を分離することによって、ハイブリッドライスを選別して得ることを含む、ハイブリッド(F1)ライスの採種方法。
  12. 収穫して得られた種子からの種子親系統の種子の分離を、両親系統間のフェノール類による着色反応の反応性の相違に基づいて種子選別することによって行うか、または、種子の形態的相違に基づいて種子選別することによって行う、請求項11に記載の採種方法。

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