以下、本発明の詳細を説明する。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、複数の導電性粒子と、バインダーとを含む。上記導電性粒子は、導電部を有する。上記導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだを有する。はんだは、導電部に含まれ、導電部の一部又は全部である。
本発明に係る導電材料では、上記導電性粒子は、上記導電部の上記はんだの外表面に、イミダゾール環と、後述する式(1)で表される基とを有する。上記はんだの外表面と上記式(1)で表される基との間に、上記イミダゾール環が位置している。
本発明では、導電材料中に特定の導電性粒子が含まれているため、はんだの腐食がかなり抑えられる。本発明では、上記の構成が備えられているので、電極間を電気的に接続した場合に、導電性粒子におけるはんだが、上下の対向した電極間に集まりやすく、導電性粒子におけるはんだを電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、導電性粒子におけるはんだの一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくすることができる。本発明では、対向する電極間に位置していない導電性粒子を、対向する電極間に効率的に移動させることができる。従って、電極間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
さらに、本発明では、導電性粒子におけるはんだの腐食が進行し難く、導電材料の保存安定性に優れている。このため、導電材料の保管前及び保管後のいずれの場合であっても、導電性粒子におけるはんだを電極上に効率的に配置することができ、電極間の導通信頼性を高めることができる。
さらに、本発明では、電極間の位置ずれを防ぐことができる。本発明では、導電材料を上面に配置した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせた際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とのアライメントがずれた状態で、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とが重ね合わされた場合でも、そのずれを補正して、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極とを接続させることができる(セルフアライメント効果)。
上記導電性粒子は、はんだにより形成されたはんだ粒子であってもよい。上記はんだ粒子は、はんだを導電部の外表面部分に有する。上記はんだ粒子は、中心部分及び導電部の外表面部分とのいずれもがはんだにより形成されている。上記導電性粒子は、基材粒子と、該基材粒子の表面上に配置された導電部とを有していてもよい。この場合に、上記導電性粒子は、導電部の外表面部分に、はんだを有する。
なお、上記はんだ粒子を備える導電性粒子を用いた場合と比べて、はんだにより形成さ
れていない基材粒子と基材粒子の表面上に配置されたはんだ部とを備える導電性粒子を用いた場合には、電極上に導電性粒子が集まりにくくなり、導電性粒子同士のはんだ接合性が低いために、電極上に移動した導電性粒子が電極外に移動しやすくなる傾向があり、電極間の位置ずれの抑制効果も低くなる傾向がある。従って、上記導電性粒子は、はんだにより形成されたはんだ粒子を有することが好ましい。
上記導電材料及び上記バインダーは、熱可塑性成分又は熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記導電材料及び上記バインダーは、熱可塑性成分を含んでいてもよく、熱硬化性成分を含んでいてもよい。上記導電材料及び上記バインダーは、熱硬化性成分を含むことが好ましい。上記導電材料及び上記バインダーは、熱硬化性化合物と熱硬化剤とを含むことが好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置するために、上記導電材料の25℃での粘度(η25)は好ましくは10Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上、更に好ましくは100Pa・s以上、好ましくは800Pa・s以下、より好ましくは600Pa・s以下、更に好ましくは500Pa・s以下である。
上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量に適宜調整可能である。また、フィラーの使用により、粘度を比較的高くすることができる。
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定可能である。
上記導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。上記導電フィルムは異方性導電フィルムであることが好ましい。はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記導電材料は、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電材料は、電極の電気的な接続に好適に用いられる。上記導電材料は、回路接続材料であることが好ましい。
以下、上記導電材料に含まれる各成分を説明する。
(導電性粒子)
上記導電性粒子は、接続対象部材の電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電部の外表面部分にはんだを有する。上記導電性粒子では、上記はんだの外表面に特定の官能基が存在する。
上記導電性粒子は、上記導電部の上記はんだの外表面に、イミダゾール環と、下記式(1)で表される基とを有する。上記はんだの外表面と上記式(1)で表される基との間に、上記イミダゾール環が位置している。
上記式(1)中、R1、R2及びR3はそれぞれ、アルキル基、水酸基、アルコキシ基又はカルボキシル基含有基を表す。
上記アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は好ましくは5以下、より好ましくは4以下
、更に好ましくは3以下、更に一層好ましくは2以下である。
はんだの腐食を効果的に抑制し、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、はんだの外表面に、イミダゾール環が化学結合していることが好ましい。
はんだの腐食を効果的に抑制し、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記導電性粒子は、上記導電部の上記はんだの外表面に、イミダゾール環と、エーテル鎖又は直鎖部分の炭素数が4以上12以下である炭素鎖と、上記式(1)で表される基とを有し、上記イミダゾール環と上記式(1)で表される基との間に、上記エーテル鎖又は上記炭素鎖が位置していることが好ましい。
上記エーテル鎖、及び上記直鎖部分の炭素数が4以上12以下である炭素鎖には、側鎖としてアルキル基、エーテル鎖、又は水酸基が結合していてもよい。側鎖であるエーテル鎖、及びアルキル基の炭素数は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下である。上記エーテル鎖、及び上記直鎖部分の炭素数が4以上12以下である炭素鎖には、側鎖としてアルキル基、及びエーテル鎖が結合していないことが好ましい。上記エーテル鎖は、炭素数が2以上6以下のエーテル鎖であることが好ましい。上記炭素鎖は、アルキレン基であることが好ましい。
はんだの腐食を効果的に抑制し、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記式(1)中、R1、R2及びR3の内の少なくとも1つが、カルボキシル基含有基を表すことが好ましい。特に、カルボキシル基含有基の存在により、はんだの凝集性能がかなり高くなる。
はんだの腐食を効果的に抑制し、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記導電性粒子は、イミダゾールシランカップリング剤を用いた表面処理により得られることが好ましい。上記導電性粒子は、イミダゾールシランカップリング剤により表面処理されていることが好ましい。はんだの表面の水酸基に、イミダゾールシランカップリング剤を反応させることができる。
上記異方性導電材料は、イミダゾールシランカップリング剤を用いて表面処理を行うことで、導電部のはんだの外表面にイミダゾール環と上記式(1)で表される基を有する導電性粒子を得た後に、該導電性粒子とバインダーとを混合することにより得られることが好ましい。
はんだの腐食を効果的に抑制し、はんだを電極上により一層効率的に配置し、電極間の位置ずれをより一層抑える観点からは、上記導電性粒子は、イミダゾールシランカップリング剤を用いて表面処理を行った後、カルボキシル基含有基を導入することにより得られることが好ましい。上記導電性粒子は、イミダゾールシランカップリング剤に由来する基と、カルボキシル含有基とを有することが好ましく、はんだとカルボキシル基含有基とがイミダゾールシランカップリング剤に由来する基を介して結合していることが好ましい。例えば、イミダゾールシランカップリング剤におけるアルコキシシリル基のアルコキシ基に対して、カルボキシル基含有基を導入することができる。
上記イミダゾールシランカップリング剤としては、日鉱マテリアル社製のIS−1000、IS−1000D、SP−1000、IA−100A、IA−100P及びIA−100F等が挙げられる。上記イミダゾールシランカップリング剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
また、上記イミダゾールシランカップリング剤は、イミダゾール化合物とエポキシ基を有するシランカップリング剤との反応生成物であることが好ましい。イミダゾール化合物
としては、イミダゾール、2位又は4位に置換基が導入されたイミダゾールが挙げられる。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シアノ基、−CHO基、フェニル基及びベンジル基が挙げられる。上記エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルシラン化合物が好ましく、特に3−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、又は3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
特に、下記式(11)で表されるイミダゾールシランカップリング剤が好ましい。
上記式(11)中、R1、R2及びR3はそれぞれ、アルキル基、水酸基、アルコキシ基又はカルボキシル基含有基を表し、R4及びR5は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シアノ基、−CHO基、フェニル基又はベンジル基を表し、nは、1〜9の整数を表す。
R1、R2及びR3における上記アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、特に好ましくは2以下である。
上記反応生成物を得る方法としては、熱で溶融させたイミダゾール化合物に、エポキシ基を有するシランカップリング剤を滴下し反応させる方法、並びにアセトン等の溶媒中でイミダゾール化合物に、エポキシ基を有するシランカップリング剤を還流化で反応させる方法等が挙げられる。必要に応じて、再結晶化を行ってもよい。
上記カルボキシル基含有基を導入するための化合物としては、レブリン酸、グルタル酸、グリコール酸、コハク酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、アジピン酸、5−ケトヘキサン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、4−アミノ酪酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトイソブチル酸、3−メチルチオプロピオン酸、3−フェニルプロピオン酸、3−フェニルイソブチル酸、4−フェニル酪酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)−リノレン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、デカン二酸及びドデカン二酸等、並びにそれらのエステル及びそれらの無水物が挙げられる。グルタル酸、アジピン酸又はグリコール酸が好ましい。上記カルボキシル基含有基を導入するための化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
必要に応じて、シランカップリング剤のアルコキシル基を、水等でシラノールに変換した後、上記カルボキシル基含有基を導入するための化合物をさせてもよい。
はんだの外表面に上記の官能基を有する導電性粒子を得る具体的な方法としては、溶剤中に、導電性粒子を入れ、加熱しながらイミダゾールシランカップリング剤を添加する方法等が挙げられる。
次に、図面を参照しつつ、導電性粒子の具体例を説明する。
図4は、導電材料に使用可能な導電性粒子の第1の例を示す断面図である。
図4に示す導電性粒子21は、はんだ粒子である。導電性粒子21は、全体がはんだにより形成されている。導電性粒子21は、基材粒子をコアに有さず、コア−シェル粒子ではない。導電性粒子21は、中心部分及び導電部の外表面部分のいずれもがはんだにより形成されている。
図5は、導電材料に使用可能な導電性粒子の第2の例を示す断面図である。
図5に示す導電性粒子31は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置された導電部33とを備える。導電部33は、基材粒子32の表面を被覆している。導電性粒子31は、基材粒子32の表面が導電部33により被覆された被覆粒子である。
導電部33は、第2の導電部33Aと、はんだ部33B(第1の導電部)とを有する。導電性粒子31は、基材粒子32と、はんだ部33Bとの間に、第2の導電部33Aを備える。従って、導電性粒子31は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置された第2の導電部33Aと、第2の導電部33Aの外表面上に配置されたはんだ部33Bとを備える。
図6は、導電材料に使用可能な導電性粒子の第3の例を示す断面図である。
上記のように、導電性粒子31における導電部33は2層構造を有する。図6に示す導電性粒子41は、単層の導電部として、はんだ部42を有する。導電性粒子41は、基材粒子32と、基材粒子32の表面上に配置されたはんだ部42とを備える。
上記基材粒子としては、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子及び金属粒子等が挙げられる。上記基材粒子は、金属を除く基材粒子であることが好ましく、樹脂粒子、金属粒子を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記基材粒子は、銅粒子であってもよい。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂として、種々の有機物が好適に用いられる。上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン系共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン系共重合体等としては、ジビニルベンゼン−スチレン共重合体及びジビニルベンゼン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子を、エチレン性不飽和基を有する単量体を重合させて得る場合には、該エチレン性不飽和基を有する単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げ
られる。
上記非架橋性の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等の不飽和炭化水素;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等のハロゲン含有単量体等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、例えば、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類;トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、ビニルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を、公知の方法により重合させることで、上記樹脂粒子を得ることができる。この方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で懸濁重合する方法、並びに非架橋の種粒子を用いてラジカル重合開始剤とともに単量体を膨潤させて重合する方法等が挙げられる。
上記基材粒子が金属を除く無機粒子又は有機無機ハイブリッド粒子である場合には、基材粒子を形成するための無機物としては、シリカ及びカーボンブラック等が挙げられる。上記シリカにより形成された粒子としては特に限定されないが、例えば、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上有するケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、例えば、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子を形成するための金属としては、銀、銅、ニッケル、ケイ素、金及びチタン等が挙げられる。上記基材粒子が金属粒子である場合に、該金属粒子は銅粒子であることが好ましい。但し、上記基材粒子は金属粒子ではないことが好ましい。
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法、並びに上記基材粒子の表面上又は上記
第2の導電部の表面上にはんだ部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部及び上記はんだ部を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記基材粒子の融点は、上記はんだ部の融点よりも高いことが好ましい。上記基材粒子の融点は、好ましくは160℃を超え、より好ましくは300℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、特に好ましくは450℃を超える。なお、上記基材粒子の融点は、400℃未満であってもよい。上記基材粒子の融点は、160℃以下であってもよい。上記基材粒子の軟化点は260℃以上であることが好ましい。上記基材粒子の軟化点は260℃未満であってもよい。
上記導電性粒子は、単層のはんだ部を有していてもよい。上記導電性粒子は、複数の層の導電部(はんだ部,第2の導電部)を有していてもよい。すなわち、上記導電性粒子では、導電部を2層以上積層してもよい。
上記はんだは、融点が450℃以下である低融点金属であることが好ましい。上記はんだ部は、融点が450℃以下である低融点金属層であることが好ましい。上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。上記導電性粒子におけるはんだは、融点が450℃以下である低融点金属粒子であることが好ましい。上記低融点金属粒子は、低融点金属を含む粒子である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。また、上記導電性粒子におけるはんだは錫を含むことが好ましい。上記はんだ部に含まれる金属100重量%中及び上記導電性粒子におけるはんだに含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記導電性粒子におけるはんだ中の錫の含有量が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との導通信頼性がより一層高くなる。
なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記はんだを導電部の外表面部分に有する導電性粒子を用いることで、はんだが溶融して電極に接合し、はんだが電極間を導通させる。例えば、はんだと電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、はんだを導電部の外表面部分に有する導電性粒子の使用により、はんだと電極との接合強度が高くなる結果、はんだと電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
上記はんだ部及び上記はんだ粒子を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金、錫−インジウム合金等が挙げられる。なかでも、電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましい。錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることがより好ましい。
上記はんだ(はんだ部)を構成する材料は、JIS Z3001:溶接用語に基づき、液相線が450℃以下である溶加材であることが好ましい。上記はんだの組成としては、例えば亜鉛、金、銀、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、上記はんだは、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ、又は錫とビスマスとを含むはんだであることが好ましい。
上記はんだと電極との接合強度をより一層高めるために、上記導電性粒子におけるはんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。また、はんだと電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記導電性粒子におけるはんだは、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。はんだ部又は導電性粒子におけるはんだと電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、上記導電性粒子におけるはんだ100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記第2の導電部の融点は、上記はんだ部の融点よりも高いことが好ましい。上記第2の導電部の融点は好ましくは160℃を超え、より好ましくは300℃を超え、更に好ましくは400℃を超え、更に一層好ましくは450℃を超え、特に好ましくは500℃を超え、最も好ましくは600℃を超える。上記はんだ部は融点が低いために導電接続時に溶融する。上記第2の導電部は導電接続時に溶融しないことが好ましい。上記導電性粒子は、はんだを溶融させて用いられることが好ましく、上記はんだ部を溶融させて用いられることが好ましく、上記はんだ部を溶融させてかつ上記第2の導電部を溶融させずに用いられることが好ましい。上記第2の導電部の融点が上記はんだ部の融点をよりも高いことによって、導電接続時に、上記第2の導電部を溶融させずに、上記はんだ部のみを溶融させることができる。
上記はんだ部の融点と上記第2の導電部との融点との差の絶対値は、0℃を超え、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上、更に好ましくは30℃以上、特に好ましくは50℃以上、最も好ましくは100℃以上である。
上記第2の導電部は、金属を含むことが好ましい。上記第2の導電部を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記第2の導電部は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電部を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電部の表面には、はんだ部をより一層容易に形成できる。
上記はんだ部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.3μm
以下である。はんだ部の厚みが上記下限以上及び上記上限以下であると、充分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子を充分に変形する。
上記導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上、更に好ましくは3μm以上、特に好ましくは5μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下、より一層好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、更に一層好ましくは20μm以下、特に好ましくは15μm以下、最も好ましくは10μm以下である。上記導電性粒子の平均粒子径が上記下限以上及び上記上限以下であると、導電性粒子を電極上により一層効率的に配置することができる。上記導電性粒子の平均粒子径は、3μm以上、30μm以下であることが特に好ましい。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、例えば、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することや、レーザー回折式粒度分布測定を行うことにより求められる。
上記導電性粒子の粒子径の変動係数は、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下である。上記粒子径の変動係数が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上にはんだをより一層効率的に配置することができる。但し、上記導電性粒子の粒子径の変動係数は、5%未満であってもよい。
上記変動係数(CV値)は下記式で表される。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:導電性粒子の粒子径の平均値
上記導電性粒子の形状は特に限定されない。上記導電性粒子の形状は、球状であってもよく、扁平状などの球形状以外の形状であってもよい。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上、最も好ましくは30重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、電極上に導電性粒子をより一層効率的に配置することができ、電極間に導電性粒子を多く配置することが容易であり、導通信頼性がより一層高くなる。導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子の含有量は多い方が好ましい。
(熱可塑性成分)
上記熱可塑性成分は、熱可塑性化合物であることが好ましい。上記熱可塑性化合物としては、フェノキシ樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性化合物は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記導電材料100重量%中、上記熱可塑性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性成分の含有量は多い方が好ましい。
(熱硬化性化合物:熱硬化性成分)
上記熱硬化性化合物は、加熱により硬化可能な化合物である。上記熱硬化性化合物としては、オキセタン化合物、エポキシ化合物、エピスルフィド化合物、(メタ)アクリル化合物、フェノール化合物、アミノ化合物、不飽和ポリエステル化合物、ポリウレタン化合物、シリコーン化合物及びポリイミド化合物等が挙げられる。なかでも、導電材料の硬化性及び粘度をより一層良好にし、接続信頼性をより一層高める観点から、エポキシ化合物が好ましい。
上記エポキシ化合物としては、芳香族エポキシ化合物が挙げられる。レゾルシノール型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、ビフェニル型エポキシ化合物、ベンゾフェノン型エポキシ化合物等の結晶性エポキシ化合物が好ましい。常温(23℃)で固体であり、かつ溶融温度がはんだの融点以下であるエポキシ化合物が好ましい。溶融温度は好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下、好ましくは40℃以上である。上記の好ましいエポキシ化合物を用いることで、接続対象部材を貼り合わせた段階では、粘度が高く、搬送等の衝撃が、加速度が付与された際に、第1の接続対象部材と、第2の接続対象部材との位置ずれを抑制することができ、なおかつ、硬化時の熱により、導電材料の粘度を大きく低下させることができ、はんだ粒子の凝集を効率よく進行させることができる。
上記導電材料100重量%中、上記熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは20重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、更に好ましくは90重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。耐衝撃性をより一層高める観点からは、上記熱硬化性化合物の含有量は多い方が好ましい。
(熱硬化剤:熱硬化性成分)
上記熱硬化剤は、上記熱硬化性化合物を熱硬化させる。上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、酸無水物、熱カチオン開始剤及び熱ラジカル発生剤等が挙げられる。上記熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
導電材料を低温でより一層速やかに硬化可能であるので、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、熱硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性が高くなるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されず、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されず、トリメチロールプロパントリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトールヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されず、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記熱カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱ラジカル発生剤としては、特に限定されず、アゾ化合物及び有機過酸化物等が挙げられる。上記アゾ化合物としては、アゾビスイゾブチロニトリル(AIBN)等が挙げられる。上記有機過酸化物としては、ジ−tert−ブチルペルオキシド及びメチルエチルケトンペルオキシド等が挙げられる。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。上記熱硬化剤の反応開始温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだが電極上により一層効率的に配置される。上記熱硬化剤の反応開始温度は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記熱硬化剤の反応開始温度は、上記はんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
上記熱硬化剤の反応開始温度は、DSCでの発熱ピークの立ち上がり開始の温度を意味する。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。上記熱硬化性化合物100重量部に対して、上記熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、導電材料を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。
(フラックス)
上記導電材料及び上記バインダーは、フラックスを含むことが好ましい。フラックスの使用により、はんだを電極上により一層効果的に配置することができる。また、フラックス効果の発現により、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。上記フラックスは特に限定されない。フラックスとして、はんだ接合等に一般的に用いられているフラックスを使用できる。上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びグルタル酸等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂であることが好ましい。上記フラックスは、カルボキシル基を2個以上有する有機酸であってもよく、松脂であってもよい。カルボキシル基を2個以上有する有機酸、松脂の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。
上記フラックスの活性温度(融点)は、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上、更に好ましくは80℃以上、好ましくは200℃以下、より好ましくは190℃以下、より一層好ましくは160℃以下、更に好ましくは150℃以下、更に一層好ましくは140℃以下である。上記フラックスの活性温度が上記下限以上及び上記上限以下であると、フラックス効果がより一層効果的に発揮され、はんだが電極上により一層効率的に配置される。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上、190℃以下であることが好ましい。上記フラックスの活性温度(融点)は80℃以上、140℃以下であることが特に好ましい。
フラックスの活性温度(融点)が80℃以上、190℃以下である上記フラックスとしては、コハク酸(融点186℃)、グルタル酸(融点96℃)、アジピン酸(融点152℃)、ピメリン酸(融点104℃)、スベリン酸(融点142℃)等のジカルボン酸、安息香酸(融点122℃)、リンゴ酸(融点130℃)等が挙げられる。
また、上記フラックスの沸点は200℃以下であることが好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記はんだの融点よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
はんだを電極上により一層効率的に配置する観点からは、上記フラックスの融点は、上記熱硬化剤の反応開始温度よりも、高いことが好ましく、5℃以上高いことがより好ましく、10℃以上高いことが更に好ましい。
上記フラックスは、導電材料中に分散されていてもよく、導電性粒子の表面上に付着していてもよい。
上記フラックスは、加熱によりカチオンを放出するフラックスであることが好ましい。加熱によりカチオンを放出するフラックスの使用により、はんだを電極上により一層効率的に配置することができる。
上記導電材料100重量%中、上記フラックスの含有量は好ましくは0.5重量%以上、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。上記導電材料は、フラックスを含んでいなくてもよい。フラックスの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだ及び電極の表面に酸化被膜がより一層形成され難くなり、さらに、はんだ及び電極の表面に形成された酸化被膜をより一層効果的に除去できる。
(フィラー)
上記導電材料には、フィラーを添加してもよい。フィラーは、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよい。フィラーの添加により、はんだの凝集する距離を抑制し、基板の全電極上に対して、導電性粒子を均一に凝集させることができる。
上記導電材料100重量%中、上記フィラーの含有量は好ましくは0重量%(未含有)以上、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下、更に好ましくは1重量%以下である。上記フィラーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、はんだが電極上により一層効率的に配置される。
(他の成分)
上記導電材料は、必要に応じて、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
(接続構造体及び接続構造体の製造方法)
本発明に係る接続構造体は、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と、上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部が、上述した導電材料により形成されている。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記導電性粒子におけるはんだにより電気的に接続されている。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続されている。
本発明に係る接続構造体の製造方法は、上述した導電材料を用いて、少なくとも1つの第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材の表面上に、上記導電材料を配置する工程と、上記導電材料の上記第1の接続対象部材側とは反対の表面上に、少なくとも1つの第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材を、上記第1の電極と上記第2の電極とが対向するように配置する工程と、上記はんだの融点以上に上記導電材料を加熱することで、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部を、上記導電材料により形成し、かつ、上記第1の電極と上記第2の電極とを、上記接続部中のはんだ部により電気的に接続する工程とを備える。好ましくは、上記熱硬化性化合物の硬化温度以上に上記導電材料を加熱する。
本発明に係る接続構造体及び本発明に係る接続構造体の製造方法では、特定の導電材料を用いているので、はんだが第1の電極と第2の電極との間に集まりやすく、はんだを電極(ライン)上に効率的に配置することができる。また、はんだの一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくすることができる。従って、第1の電極と第2の電極との間の導通信頼性を高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続を防ぐことができ、絶縁信頼性を高めることができる。
また、はんだを電極上に効率的に配置し、かつ電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をかなり少なくするためには、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いることが好ましい。
電極間でのはんだ部の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下である。電極の表面上のはんだ濡れ面積(電極の露出した面積100%中のはんだが接している面積)は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、好ましくは100%以下である。
本発明に係る接続構造体の製造方法では、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、加圧を行わず、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量が加わることが好ましく、上記第2の接続対象部材を配置する工程及び上記接続部を形成する工程において、上記導電材料には、上記第2の接続対象部材の重量の力を超える加圧圧力は加わらないことが好ましい。これらの場合には、複数のはんだ部において、はんだ量の均一性をより一層高めることができる。さらに、はんだ部の厚みをより一層効果的に厚くすることができ、はんだが電極間に多く集まりやすくなり、はんだを電極(ライン)上により一層効率的に配置することができる。また、はんだの一部が、電極が形成されていない領域(スペース)に配置され難く、電極が形成されていない領域に配置されるはんだの量をより一層少なくすることができる。従って、電極間の導通信頼性をより一層高めることができる。しかも、接続されてはならない横方向に隣接する電極間の電気的な接続をより一層防ぐことができ、絶縁信頼性をより一層高めることができる。
また、導電フィルムではなく、導電ペーストを用いれば、導電ペーストの塗布量によって、接続部及びはんだ部の厚みを調整することが容易になる。一方で、導電フィルムでは、接続部の厚みを変更したり、調整したりするためには、異なる厚みの導電フィルムを用意したり、所定の厚みの導電フィルムを用意したりしなければならないという問題がある。また、導電フィルムでは、はんだの溶融温度で、導電フィルムの溶融粘度を十分に下げることが困難である傾向があり、はんだの凝集が阻害されやすいという問題がある。
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて得られる接続構造体を模式的に示す断面図である。
図1に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材3と、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4とを備える。接続部4は、上述した導電材料により形成されている。本実施形態では、上記導電材料は、複数の導電性粒子と、バインダーとを含む。本実施形態では、バインダーは、上記熱硬化性化合物と、上記熱硬化剤とを含む。上記熱硬化性化合物と上記熱硬化剤とは、熱硬化性成分である。
接続部4は、複数の導電性粒子が集まり互いに接合したはんだ部4Aと、熱硬化性成分が熱硬化された硬化物部4Bとを有する。
第1の接続対象部材2は表面(上面)に、複数の第1の電極2aを有する。第2の接続対象部材3は表面(下面)に、複数の第2の電極3aを有する。第1の電極2aと第2の電極3aとが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。従って、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とが、はんだ部4Aにより電気的に接続されている。なお、接続部4において、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだは存在しない。はんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)では、はんだ部4Aと離れたはんだは存在しない。なお、少量であれば、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まったはんだ部4Aとは異なる領域(硬化物部4B部分)に、はんだが存在していてもよい。
図1に示すように、接続構造体1では、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に、複数の導電性粒子が集まり、複数の導電性粒子が溶融した後、導電性粒子の溶融物が電極の表面を濡れ拡がった後に固化して、はんだ部4Aが形成されている。このため、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接続面積が大きくなる。すなわち、導電性粒子を用いることにより、導電性の外表面がニッケル、金又は銅等の
金属である導電性粒子を用いた場合と比較して、はんだ部4Aと第1の電極2a、並びにはんだ部4Aと第2の電極3aとの接触面積が大きくなる。このため、接続構造体1における導通信頼性及び接続信頼性が高くなる。なお、導電材料は、フラックスを含んでいてもよい。フラックスを用いた場合には、加熱により、一般にフラックスは次第に失活する。
なお、図1に示す接続構造体1では、はんだ部4Aの全てが、第1,第2の電極2a,3a間の対向している領域に位置している。図3に示す変形例の接続構造体1Xは、接続部4Xのみが、図1に示す接続構造体1と異なる。接続部4Xは、はんだ部4XAと硬化物部4XBとを有する。接続構造体1Xのように、はんだ部4XAの多くが、第1,第2の電極2a,3aの対向している領域に位置しており、はんだ部4XAの一部が第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出していてもよい。第1,第2の電極2a,3aの対向している領域から側方にはみ出しているはんだ部4XAは、はんだ部4XAの一部であり、はんだ部4XAから離れたはんだではない。なお、本実施形態では、はんだ部から離れたはんだの量を少なくすることができるが、はんだ部から離れたはんだが硬化物部中に存在していてもよい。
導電性粒子の使用量を少なくすれば、接続構造体1を得ることが容易になる。導電性粒子の使用量を多くすれば、接続構造体1Xを得ることが容易になる。
導通信頼性をより一層高める観点からは、接続構造体1,1Xでは、第1の電極2aと接続部4,4Xと第2の電極3aとの積層方向に第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分をみたときに、第1の電極2aと第2の電極3aとの対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、接続部4,4X中のはんだ部4A,4XAが配置されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の50%以上に、上記接続部中のはんだ部が配置されていることが好ましい。
導通信頼性をより一層高める観点からは、上記第1の電極と上記接続部と上記第2の電極との積層方向と直交する方向に上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分をみたときに、上記第1の電極と上記第2の電極との対向し合う部分に、上記接続部中のはんだ部の70%以上が配置されていることが好ましい。
次に、本発明の一実施形態に係る導電材料を用いて、接続構造体1を製造する方法の一例を説明する。
先ず、第1の電極2aを表面(上面)に有する第1の接続対象部材2を用意する。次に、図2(a)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上に、熱硬化性成分11Bと、複数の導電性粒子11Aとを含む導電材料11を配置する(第1の工程)。第1の接続対象部材2の第1の電極2aが設けられた表面上に、導電材料11を配置する。導電材料11の配置の後に、導電性粒子11Aは、第1の電極2a(ライン)上と、第1の電極2aが形成されていない領域(スペース)上との双方に配置されている。
導電材料11の配置方法としては、特に限定されないが、ディスペンサーによる塗布、スクリーン印刷、及びインクジェット装置による吐出等が挙げられる。
また、第2の電極3aを表面(下面)に有する第2の接続対象部材3を用意する。次に
、図2(b)に示すように、第1の接続対象部材2の表面上の導電材料11において、導電材料11の第1の接続対象部材2側とは反対側の表面上に、第2の接続対象部材3を配置する(第2の工程)。導電材料11の表面上に、第2の電極3a側から、第2の接続対象部材3を配置する。このとき、第1の電極2aと第2の電極3aとを対向させる。
次に、導電性粒子11Aの融点以上に導電材料11を加熱する(第3の工程)。好ましくは、熱硬化性成分11B(バインダー)の硬化温度以上に導電材料11を加熱する。この加熱時には、電極が形成されていない領域に存在していた導電性粒子11Aは、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に集まる(自己凝集効果)。本実施形態では、導電フィルムではなく、導電材料を用いているために、更に導電材料が特定の組成を有するために、導電性粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まる。また、導電性粒子11Aは溶融し、互いに接合する。また、熱硬化性成分11Bは熱硬化する。この結果、図2(c)に示すように、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材3とを接続している接続部4を、導電材料11により形成する。導電材料11により接続部4が形成され、複数の導電性粒子11Aが接合することによってはんだ部4Aが形成され、熱硬化性成分11Bが熱硬化することによって硬化物部4Bが形成される。
本実施形態では、上記第2の工程及び上記第3の工程において、加圧を行わない方が好ましい。この場合には、導電材料11には、第2の接続対象部材3の重量が加わる。このため、接続部4の形成時に、導電性粒子11Aが、第1の電極2aと第2の電極3aとの間に効果的に集まる。なお、上記第2の工程及び上記第3の工程の内の少なくとも一方において、加圧を行えば、導電性粒子が第1の電極と第2の電極との間に集まろうとする作用が阻害される傾向が高くなる。このことは、本発明者によって見出された。
ただし、第1の電極と第2の電極との間隔を確保できれば、加圧を行ってもよい。電極間の間隔を確保する手段として、例えば、所望の電極間の間隔に相当するスペーサーを添加し、少なくとも1個、好ましくは3個以上のスペーサーが電極間に配置されるようにすればよい。スペーサーとしては、無機粒子、有機粒子が挙げられる。スペーサーは絶縁性粒子であることが好ましい。
また、本実施形態では、加圧を行っていないため、導電材料を塗布した第1の接続対象部材に、第2の接続対象部材を重ね合わせた際に、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極のアライメントがずれた状態で、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材とが重ね合わされた場合でも、そのずれを補正して、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材との電極を接続させることができる(セルフアライメント効果)。これは、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極との間に自己凝集した溶融したはんだが、第1の接続対象部材の電極と第2の接続対象部材の電極との間のはんだと導電材料のその他の成分とが接する面積が最小となる方がエネルギー的に安定になるため、その最小の面積となる接続構造であるアライメントのあった接続構造にする力が働くためである。この際、導電材料が硬化していないこと、及び、その温度、時間にて、導電材料の導電性粒子以外の成分の粘度が十分低いことが望ましい。
このようにして、図1に示す接続構造体1が得られる。なお、上記第2の工程と上記第3の工程とは連続して行われてもよい。また、上記第2の工程を行った後に、得られる第1の接続対象部材2と導電材料11と第2の接続対象部材3との積層体を、加熱部に移動させて、上記第3の工程を行ってもよい。上記加熱を行うために、加熱部材上に上記積層体を配置してもよく、加熱された空間内に上記積層体を配置してもよい。
上記第3の工程における上記加熱温度は、好ましくは140℃以上、より好ましくは160℃以上、好ましくは450℃以下、より好ましくは250℃以下、更に好ましくは200℃以下である。
なお、上記第3の工程の後に、位置の修正や製造のやり直しを目的として、第1の接続対象部材又は第2の接続対象部材を、接続部から剥離することができる。この剥離を行うための加熱温度は、好ましくは導電性粒子の融点以上、より好ましくは導電性粒子の融点(℃)+10℃以上である。この剥離を行うための加熱温度は、導電性粒子の融点(℃)+100℃以下であってもよい。
上記第3の工程における加熱方法としては、導電性粒子の融点以上及び熱硬化性成分の硬化温度以上に、接続構造体全体を、リフロー炉を用いて又はオーブンを用いて加熱する方法や、接続構造体の接続部のみを局所的に加熱する方法が挙げられる。
局所的に加熱する方法に用いる器具としては、ホットプレート、熱風を付与するヒートガン、はんだゴテ、及び赤外線ヒーター等が挙げられる。
また、ホットプレートにて局所的に加熱する際、接続部直下は、熱伝導性の高い金属にて、その他の加熱することが好ましくない個所は、フッ素樹脂等の熱伝導性の低い材質にて、ホットプレート上面を形成することが好ましい。
上記第1,第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1,第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板などの電子部品等が挙げられる。上記第1,第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記第1の接続対象部材及び上記第2の接続対象部材の内の少なくとも一方が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。上記第2の接続対象部材が、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板であることが好ましい。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板は、柔軟性が高く、比較的軽量であるという性質を有する。このような接続対象部材の接続に導電フィルムを用いた場合には、導電性粒子が電極上に集まりにくい傾向がある。これに対して、樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いたとしても、導電性粒子を電極上に効率的に集めることで、電極間の導通信頼性を充分に高めることができる。樹脂フィルム、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル又はリジッドフレキシブル基板を用いる場合に、半導体チップなどの他の接続対象部材を用いた場合と比べて、加圧を行わないことによる電極間の導通信頼性の向上効果がより一層効果的に得られる。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素
がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
熱硬化性化合物1:2,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゾフェノン(結晶性熱硬化性化合物、融点:94℃、分子量362)
2,4−ビス(グリシジルオキシ)ベンゾフェノンの合成:
3口フラスコに、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン27g、エピクロルヒドリン230g、n−ブタノール70g、及びテトラエチルベンジルアンモニウムクロライド1gを入れ、室温にて撹拌、溶解させた。その後、窒素雰囲気下、撹拌下にて、70℃に昇温し、減圧還流下、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48重量%)45gを滴下した。滴下は、4時間かけて行った。その後、70℃にて、ディーンスターク管を用い、水分を除去しながら2時間反応させた。その後、減圧下で、未反応のエピクロルヒドリンを除去した。
得られた反応生成物を、MEK(メチルエチルケトン):n−ブタノール=3:1(重量比)の混合溶剤400gに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10重量%)5gを添加し、80℃で2時間加熱した。
その後、室温に冷却し、純水により、洗液が中性になるまで洗浄を行った。有機層をろ過しながら分取し、減圧下にて、残水分及び混合溶媒を除去し、反応生成物を得た。
n−ヘキサンを用い、上記反応生成物34gを再結晶により精製し、真空乾燥により残溶剤分を除去した。
得られたエポキシ化合物:DSCによる融点は94℃、エポキシ当量は176g/eq.、マススペクトルによる分子量は362、150℃での溶融粘度は5mPa・sであった。
・示差走査熱量測定(DSC)測定装置及び測定条件
装置;日立ハイテクサイエンス社製「X−DSC7000」、サンプル量;3mg、温度条件;10℃/min
・150℃における溶融粘度:ASTM D4287に準拠し、エムエスティーエンジニアリング社製のICIコーンプレート粘度計を用いて測定
・エポキシ当量の測定:JIS K7236:2001に準拠して測定
・分子量の測定:マススペクトル GC−MS装置(日本電子社製「JMS K−9」)を用いて測定
熱硬化性化合物2:4,4’−ビス(グリジジルオキシ)ベンゾフェノン(結晶性熱硬化性化合物、融点:132℃、分子量362)
4,4’−ビス(グリジジルオキシ)ベンゾフェノンの合成:
3口フラスコに、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン27g、エピクロルヒドリン230g、n−ブタノール70g、及びテトラエチルベンジルアンモニウムクロライド1gを入れ、室温にて撹拌、溶解させた。その後、窒素雰囲気下、撹拌下にて、70℃に昇温し、減圧還流下、水酸化ナトリウム水溶液(濃度48重量%)45gを滴下した。滴下は、4時間かけて行った。その後。70℃にて、ディーンスターク管を用い、水分を除去しながら2時間反応させた。その後、減圧下で、未反応のエピクロルヒドリンを除去した
。
得られた反応生成物を、MEK(メチルエチルケトン):n−ブタノール=3:1(重量比)の混合溶剤400gに溶解し、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10重量%)5gを添加し、80℃で2時間加熱した。
その後、室温に冷却し、純水により、洗液が中性になるまで洗浄を行った。有機層をろ過しながら分取し、減圧下にて、残水分及び混合溶媒を除去し、反応生成物を得た。
n−ヘキサンを用い、上記反応生成物34gを再結晶により精製し、真空乾燥により残溶剤分を除去した。
得られたエポキシ化合物:DSCによる融点は132℃、エポキシ当量は176g/eq.、マススペクトルによる分子量は362、150℃での溶融粘度は12mPa・sであった。
熱硬化性化合物3:エポキシ基含有アクリルポリマー、日油社製「MARPROOF G−0150M」
熱硬化剤1:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、昭和電工社製「カレンズMT PE1」
潜在性エポキシ熱硬化剤1:T&K TOKA社製「フジキュア7000」
フラックス1:グルタル酸、和光純薬工業社製、融点(活性温度)152℃
はんだ粒子1:
SnBiはんだ粒子(三井金属社製「DS−10」、平均粒子径(メディアン径)12μm)200gと、イミダゾールシランカップリング剤(JX日鉱日石金属社製「SP−1000」)10g、アセトン70gとを3つ口フラスコに入れた。窒素雰囲気下、60℃で5時間、還流下で撹拌し、はんだ粒子の表面とイミダゾールシランカップリング剤のイミダゾール基とを反応させた。その後、室温まで冷却し、ろ紙ではんだ粒子をろ過し、アセトンで洗浄後、真空乾燥にて、室温で1時間脱溶剤を行った。
上記はんだ粒子を、3つ口フラスコに入れ、アセトン70g、無水アジピン酸30g、反応触媒であるモノブチルスズオキサイド0.5gを添加し、撹拌下、窒素雰囲気、還流下、60℃で3時間反応させた。
これにより、シランカップリング剤由来のシラノール基に対して、無水アジピン酸由来の一方のカルボキシル基を反応させ、共有結合させた。もう一方のカルボキシル基は、反応せず、表面にカルボキシル基を有するはんだ粒子が得られた。
その後、室温まで冷却し、ろ紙ではんだ粒子をろ過し、ろ紙上で、アセトン、およびヘキサンにてはんだ粒子を洗浄し、未反応、及びはんだ粒子の表面に非共有結合にて付着している、残無水アジピン酸を除去したのち、真空乾燥にて、室温で1時間脱溶剤を行った。得られたはんだ粒子をボールミルで解砕した後、所定のCV値となるように篩を選択した。
得られたはんだ粒子は、平均粒子径12μm、CV値20%であった。
はんだ粒子A:SnBiはんだ粒子(三井金属社製「DS−10」、平均粒子径(メディアン径)12μm)
(はんだ粒子のCV値)
CV値を、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所社製「LA−920」)にて、測定した。
(実施例1〜7及び比較例1)
下記の表1に示す成分を下記の表1に示す配合量で配合して、異方性導電ペーストを得た。
(1)第1の接続構造体(L/S=50μm/50μm)の作製
L/Sが50μm/50μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが50μm/50μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板(第2の接続対象部材)を用意した。
ガラスエポキシ基板とフレキシブルプリント基板との重ね合わせ面積は、1.5cm×3mmとし、接続した電極数は75対とした。
上記ガラスエポキシ基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを、ガラスエポキシ基板の電極上で厚さ100μmとなるように、メタルマスクを用い、スクリーン印刷にて塗工し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。このとき、加圧を行わなかった。異方性導電ペースト層には、上記フレキシブルプリント基板の重量は加わる。その後、異方性導電ペースト層の温度が190℃となるように加熱しながら、はんだを溶融させ、かつ異方性導電ペースト層を190℃及び10秒で硬化させ、第1の接続構造体を得た。
(2)第2の接続構造体(L/S=75μm/75μm)の作製
L/Sが75μm/75μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが75μm/75μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板(第2の接続対象部材)を用意した。
L/Sが異なる上記ガラスエポキシ基板及びフレキシブルプリント基板を用いたこと以外は第1の接続構造体の作製と同様にして、第2の接続構造体を得た。
(3)第3の接続構造体(L/S=100μm/100μm)の作製
L/Sが100μm/100μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を上面に有するガラスエポキシ基板(FR−4基板)(第1の接続対象部材)を用意した。また、L/Sが100μm/100μm、電極長さ3mmの銅電極パターン(銅電極の厚み12μm)を下面に有するフレキシブルプリント基板(第2の接続対象部材)を用意した。
L/Sが異なる上記ガラスエポキシ基板及びフレキシブルプリント基板を用いたこと以外は第1の接続構造体の作製と同様にして、第3の接続構造体を得た。
(評価)
(1)粘度
異方性導電ペーストの25℃での粘度(η25)を、E型粘度計(東機産業社製)を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定した。
(2)はんだ部の厚み
得られた第1の接続構造体を断面観察することにより、上下の電極が間に位置しているはんだ部の厚みを評価した。
(3)電極上のはんだの配置精度1
得られた第1,第2,第3の接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分の面積100%中の、接続部中のはんだ部が配置されている面積の割合Xを評価した。電極上のはんだの配置精度1を下記の基準で判定した。
[電極上のはんだの配置精度1の判定基準]
○○:割合Xが70%以上
○:割合Xが60%以上、70%未満
△:割合Xが50%以上、60%未満
×:割合Xが50%未満
(4)電極上のはんだの配置精度2
得られた第1,第2,第3の接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向と直交する方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、接続部中のはんだ部100%中、第1の電極と第2の電極との対向し合う部分に配置されている接続部中のはんだ部の割合Yを評価した。電極上のはんだの配置精度2を下記の基準で判定した。
[電極上のはんだの配置精度2の判定基準]
○○:割合Yが99%以上
○:割合Yが90%以上、99%未満
△:割合Yが70%以上、90%未満
×:割合Yが70%未満
(5)上下の電極間の導通信頼性
得られた第1,第2,第3の接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の1接続箇所当たりの接続抵抗をそれぞれ、4端子法により、測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通信頼性を下記の基準で判定した。
[導通信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が50mΩ以下
○:接続抵抗の平均値が50mΩを超え、70mΩ以下
△:接続抵抗の平均値が70mΩを超え、100mΩ以下
×:接続抵抗の平均値が100mΩを超える、又は接続不良が生じている
(6)横方向に隣接する電極間の絶縁信頼性
得られた第1,第2,第3の接続構造体(n=15個)において、85℃、湿度85%の雰囲気中に1000時間放置後、横方向に隣接する電極間に、15Vを印加し、抵抗値を25箇所で測定した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
○○:接続抵抗の平均値が107Ω以上
○:接続抵抗の平均値が106Ω以上、107Ω未満
△:接続抵抗の平均値が105Ω以上、106Ω未満
×:接続抵抗の平均値が105Ω未満
(7)上下の電極間の位置ずれ
得られた第1,第2,第3の接続構造体において、第1の電極と接続部と第2の電極との積層方向に第1の電極と第2の電極との対向し合う部分をみたときに、第1の電極の中心線と第2の電極の中心線とが揃っているか否か、並びに位置ずれの距離を評価した。上下の電極間の位置ずれを下記の基準で判定した。
[上下の電極間の位置ずれの判定基準]
○○:位置ずれが15μm未満
○:位置ずれが15μm以上、25μm未満
△:位置ずれが25μm以上、40μm未満
×:位置ずれが40μm以上
結果を下記の表1に示す。
フレキシブルプリント基板にかえて、樹脂フィルム、フレキシブルフラットケーブル及びリジッドフレキシブル基板を用いた場合でも、同様の傾向が見られた。