JP2017017703A - 電気音響変換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】広い周波数帯域で、高音質かつ十分な音量で再生可能な無指向性の電気音響変換器を少ない部品点数で提供する。【解決手段】常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体および高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルム10と、電気音響変換フィルム10を湾曲させて湾曲部を形成するように、電気音響変換フィルム10の一方の主面に密着して配置される弾性支持体46とを有する電気音響変換ユニット40を2つ有する。2つの電気音響変換ユニット40は、電気音響変換フィルム10とは反対側の背面同士を対面して配置されており、2つの電気音響変換ユニット40の電気音響変換フィルム10の湾曲部間の距離dと、電気音響変換フィルム10の主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たす。【選択図】図3B

Description

本発明は、スピーカなどの音響デバイス等に用いられる電気音響変換器に関する。
音には「広がる性質」と「直進する性質」がある。周波数が低い帯域の音(低音)は広がる傾向が強くなり、周波数が高い帯域の音(高音)は直進する傾向が強くなる。そのため、通常のコーン型スピーカの場合、低音はスピーカの周りに広がるが、高音はスピーカ正面の音圧が高くなる一方、横方向や後方の音圧は低くなる。
そのため、このように周波数帯域ごとに指向性の異なる、指向性を有するスピーカでは、スピーカの軸上(真正面)と軸上を外れたところでは、周波数のバランスが変わり音色が変化して、音質が低下してしまうという問題があった。
そこで、スピーカから出た音がスピーカの周り360度に同じ様に拡がり、聴取位置によって周波数のバランスが変化せず、どの位置に対しても高音質な音を再生可能な無指向性スピーカを実現する構成として、スピーカユニットを背中合わせに配置した構成や、スピーカユニットを多数個、放射状に取り付けた構成が考えられている。
しかしながら、非特許文献1に記載されるように、従来のコーンスピーカを用いて、スピーカユニットを背中合わせに配置した構成としても、横方向で高い周波数帯域の音圧レベルは低くなり、加えて、正面や斜め方向の周波数特性が乱れてしまう。これは、2つのスピーカユニットの距離が離れているため、それぞれから出た音が聴取者(マイク)に届くタイミングにズレが生じ、位相がずれるためである。また、コーンスピーカを多数個、放射状に取り付けた構成としても、各スピーカユニットの振動板間の距離差があるため、それぞれのスピーカユニットから出た音が届くタイミング(位相)がずれて、周波数特性が乱れてしまうので、聴取位置によって周波数のバランスが変わって音色が変化してしまう。
また、コーンスピーカの場合には、低域を再生するためにはエンクロージャにはある程度の容積が要求されるが、スピーカユニットを多数個使うと、その分、磁気回路に場所を取られるため、エンクロージャの実質的な容積が不足して低域の再生が困難になってしまう。一方、エンクロージャの容積を確保するため、エンクロージャを大きくすると、振動板間の距離がさらに離れてしまうため、周波数特性の乱れがさらに大きくなってしまう。
このように、従来のコーンスピーカを用いた場合には、振動板間の距離差によって、音波の到達タイミングがずれるため、聴取位置によって周波数バランスが変わって、音色が変化してしまう。
これに対して、非特許文献1では、薄型のスピーカであるHVT(Horizontal-Vertical Transforming)方式のスピーカを背中合わせに配置した構成が開示されている。薄型のスピーカを用いることで、振動板間の距離差を縮めると共に、エンクロージャ容積を確保して、高音質な無指向性スピーカが得られると記載されている。
HVT方式のスピーカとは、駆動源(マグネットやボイスコイル)を振動板の側面に配置し、リンク機構を介して振動板を増幅させる構成を有するものである。このような構成により、駆動源と振動板の双方において、振幅方向に十分なクリアランスを確保できるため、薄型化しつつ、より低い最低共振周波数のスピーカユニットとすることができる。
このような薄型のスピーカを2枚背中合わせに配置することで、2つの振動板の間の距離を小さくでき、それぞれから出た音が聴取者に到達するタイミングにズレがほとんど生じず、無指向性放射パターンを持つスピーカの設計が容易になると記載されている。
日経テクノロジーオンライン "スピーカを約1/3に薄くできる技術"(URL:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/FEATURE/20130128/262631/)
しかしながら、HVT方式のスピーカは、周波数が低い帯域(低域)に比べて、周波数が中間の帯域(中域)、および、周波数が高い帯域(高域)の音圧レベルが低いという問題があった。また、駆動源を有し、駆動源と振動板との間にリンク機構を介して振動板を駆動する構成であるため、十分な薄型化ができなかったり、ユニットの大きさに対して振動板の大きさが小さくなってしまい、方向によって指向性パターンが変化するという問題があった。また、部品点数が非常に多くなり、生産性が低く、製造コストが高くなるという問題があった。
発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、広い周波数帯域で、高音質かつ十分な音量で再生可能な無指向性の電気音響変換器を少ない部品点数で提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべき鋭意検討した結果、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、電気音響変換フィルムを湾曲させて湾曲部を形成するように、電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換ユニットを2つ有し、2つの電気音響変換ユニットは、電気音響変換フィルムとは反対側の背面同士を対面して配置されており、2つの電気音響変換ユニットの電気音響変換フィルムの湾曲部間の距離dと、電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たすことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の構成の電気音響変換器を提供する。
(1) 常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、電気音響変換フィルムを湾曲させて湾曲部を形成するように、電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換ユニットを2つ有し、2つの電気音響変換ユニットは、電気音響変換フィルムとは反対側の背面同士を対面して配置されており、2つの電気音響変換ユニットの電気音響変換フィルムの湾曲部間の距離dと、電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たす電気音響変換器。
(2) 常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、電気音響変換フィルムを湾曲させて湾曲部を形成するように、電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有し、弾性支持体の対向する2つの面に、電気音響変換フィルムが密着して配置されて、2つの湾曲部が形成されており、2つの湾曲部間の距離dと、電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たす電気音響変換器。
(3) 弾性支持体の対向する2つの面にそれぞれ配置される、2つの電気音響変換フィルムを有する(2)に記載の電気音響変換器。
(4) 弾性支持体の対向する2つの面を覆うように配置される1つの電気音響変換フィルムを有する(2)に記載の電気音響変換器。
(5) 電気音響変換ユニットは、電気音響変換フィルムおよび弾性支持体を保持する筐体を有し、2つの電気音響変換ユニットは、筐体の背面同士が密着して配置される(1)に記載の電気音響変換器。
(6) 電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の面積が電気音響変換器の面積の90%以上である(1)〜(5)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(7) 弾性支持体が粘弾性を有する粘弾性支持体である(1)〜(6)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(8) 電気音響変換フィルムの湾曲部が、中心から周辺部に向かって緩やかに曲率が変化している(1)〜(7)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(9) 電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、電気音響変換フィルムの湾曲部の形状が、正多角形または円形状である(1)〜(8)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(10) 高分子材料が、シアノエチル基を有するものである(1)〜(9)のいずれかに記載の電気音響変換器。
(11) 高分子材料が、シアノエチル化ポリビニルアルコールである(1)〜(10)のいずれかに記載の電気音響変換器。
このような本発明の電気音響変換器によれば、広い周波数帯域で高音質かつ十分な音量で再生可能な無指向性の電気音響変換器を少ない部品点数で提供できる。
本発明の電気音響変換器の一例を模式的に示す斜視図である。 図1AのB−B線断面図である。 本発明の電気音響変換器を構成する電気音響変換ユニットの1つを模式的に示す正面図である。 図2AのB−B線断面図である。 変換ユニットの大きさと、2つの変換ユニットの湾曲部の距離との関係を説明するための概念図である。 変換ユニットの大きさと、2つの変換ユニットの湾曲部の距離との関係を説明するための概念図である。 変換ユニットの大きさの定義を説明するための概念図である。 変換ユニットの大きさの定義を説明するための概念図である。 変換ユニットの大きさの定義を説明するための概念図である。 変換ユニットの大きさの定義を説明するための概念図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を説明するための概略断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を説明するための概略断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を説明するための概略断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を説明するための概略断面図である。 本発明の電気音響変換器の他の一例を説明するための概略断面図である。 電気音響変換フィルムの一例を模式的に示す断面図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 電気音響変換フィルムの作製方法の一例を説明するための概念図である。 音圧レベルの測定方法を説明するための概略斜視図である。 音圧レベルの測定方法を説明するための概略斜視図である。 音圧レベルの測定に用いた比較例の電気音響変換器を概念的に示す斜視図である。 音圧レベルの測定に用いた比較例の電気音響変換器を概念的に示す斜視図である。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 測定方向と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 音圧レベルの測定に用いた比較例の電気音響変換器を概念的に示す斜視図である。 音圧レベルの測定に用いた比較例の電気音響変換器を概念的に示す斜視図である。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 周波数と音圧レベルとの関係を表すグラフである。 本発明の電気音響変換器を用いたスピーカの一例を概念的に示す斜視図である。 本発明の電気音響変換器を用いたマイクスピーカの一例を概念的に示す斜視図である。
以下、本発明の電気音響変換器について、添付の図面に示される好適実施態様を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本発明の電気音響変換器の第1の態様は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、電気音響変換フィルムを湾曲させて湾曲部を形成するように、記電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換ユニットを2つ有し、2つの電気音響変換ユニットは、電気音響変換フィルムとは反対側の背面同士を対面して配置されており、2つの電気音響変換ユニットの電気音響変換フィルムの湾曲部間の距離dと、電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たす電気音響変換器である。
図1Aに、本発明の電気音響変換器の第1の態様の一例を模式的に表す斜視図を示し、図1Bに、図1AのB−B線断面図を示す。
図1Aおよび図1Bに示すように、電気音響変換器100は、2つの電気音響変換ユニット40を有し、2つの電気音響変換ユニット40が、電気音響変換フィルム10側とは反対側の面である背面を互いに対面して配置されたものである。
また、図示例の電気音響変換器100を構成する電気音響変換ユニット40は、電気音響変換フィルム側の面の形状が正四角形状(正方形状)である。
このような電気音響変換器100は、スピーカ、マイクロフォン、および、ギター等の楽器に用いられるピックアップなどの各種の音響デバイスとして利用されるものであり、変換フィルム10に電気信号を入力して電気信号に応じた振動により音を再生したり、音、すなわち、空気の振動を受けることで生じる変換フィルム10の振動を電気信号に変換するために利用されるものである。
まず、電気音響変換ユニット40について、図2Aおよび図2Bを用いて説明する。
図2Aは、電気音響変換ユニット40を概念的に示す正面図であり、図2Bは、図2AのB−B線断面図である。
電気音響変換ユニット40は、電気音響変換フィルム(以下、「変換フィルム」ともいう)10を振動板として用いるものである。
電気音響変換ユニット40は、変換フィルム10への電圧印加によって、変換フィルム10が面内方向に伸長すると、この伸長分を吸収するために、変換フィルム10は、上方(音の放射方向)に移動し、逆に、変換フィルム10への電圧印加によって、変換フィルム10が面内方向に収縮すると、この収縮分を吸収するために、変換フィルム10は、下方(ケース42側)に移動する。電気音響変換ユニット40は、この変換フィルム10の伸縮の繰り返しによる振動により、振動(音)と電気信号とを変換するものである。
電気音響変換ユニット40は、変換フィルム10と、ケース42と、粘弾性支持体46と、押圧部材48とを有して構成される。
変換フィルム10は、圧電性を有し、電界の状態に応じて主面が伸縮する圧電フィルムであって、湾曲した状態で保持されることで、フィルム面に沿った伸縮運動をフィルム面に垂直な方向の振動に変換して、電気信号を音に変換するものである。
ここで、本発明の電気音響変換ユニット40に用いられる変換フィルム10は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する変換フィルムである。
変換フィルム10については後に詳述する。
ケース42は、押圧部材48と共に、変換フィルム10および粘弾性支持体46を保持する保持部材であり、プラスチックや金属、或いは木材等で形成される、一面が開放する箱型の筐体である。図に示すように、ケース42は薄型の六面体形状で、最大面の一方が開放面である。また、開放部は正四角形状である。ケース42は、内部に粘弾性支持体46を収容する。
粘弾性支持体46は、適度な粘性と弾性を有し、変換フィルム10を湾曲した状態で保持すると共に、変換フィルム10のどの場所でも一定の機械的バイアスを与えることによって、変換フィルム10の伸縮運動を無駄なく前後運動(変換フィルムの面に垂直な方向の運動)に変換させるためのものである。
図示例において、粘弾性支持体46は、ケース42の底面とほぼ同等の底面形状を有する四角柱状である。また、粘弾性支持体46の高さは、ケース42の深さよりも大きい。
粘弾性支持体46の材料としては、適度な粘性と弾性を有し、かつ、圧電フィルムの振動を妨げず、好適に変形するものであれば、特に限定はない。一例として、羊毛のフェルト、レーヨンやPETを含んだ羊毛のフェルトなどの不織布、グラスウール、或いはポリウレタンなどの発泡材料(発泡プラスチック)、ポリエステルウール、紙を複数枚重ねたもの、磁性流体、塗料等が例示される。
粘弾性支持体46の比重には、特に限定はなく、粘弾性支持体の種類に応じて、適宜、選択すればよい。一例として、粘弾性支持体としてフェルトを用いた場合には、比重は、50〜500kg/m3が好ましく、100〜300kg/m3がより好ましい。また、粘弾性支持体としてグラスウールを用いた場合には、比重は、10〜100kg/m3が好ましい。
押圧部材48は、変換フィルム10を粘弾性支持体46に押圧した状態で支持するためのものであり、プラスチックや金属、或いは木材等で形成される、中央に開口部48aを有する正四角形状の板状部材である。押圧部材48は、ケース42の開放面と同様の形状を有し、また、開口部48aの形状は、ケース42の開放部と同様の正四角形状である。
電気音響変換ユニット40においては、ケース42の中に粘弾性支持体46を収容して、変換フィルム10によってケース42および粘弾性支持体46を覆い、変換フィルム10の周辺を押圧部材48によってケース42の開放面に接した状態で、押圧部材48をケース42に固定して、構成される。
なお、ケース42への押圧部材48の固定方法には、特に限定はなく、ビスやボルトナットを用いる方法、固定用の治具を用いる方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
この電気音響変換ユニット40においては、粘弾性支持体46は、高さ(厚さ)がケース42の内面の高さよりも厚い。すなわち、変換フィルム10および押圧部材48が固定される前の状態では、粘弾性支持体46は、ケース42の上面よりも突出した状態となっている。
そのため、電気音響変換ユニット40では、粘弾性支持体46の周辺部に近くなるほど、粘弾性支持体46が変換フィルム10によって下方に押圧されて厚さが薄くなった状態で、保持される。すなわち、変換フィルム10の主面の少なくとも一部が湾曲した状態で保持される。これにより、変換フィルム10の少なくとも一部に湾曲部が形成される。電気音響変換ユニット40において、この湾曲部が振動面となる。なお、以下の説明では、湾曲部を振動面ともいう。
この際、変換フィルム10の面方向において、粘弾性支持体46の全面を押圧して、全面的に厚さが薄くなるようにするのが好ましい。すなわち、変換フィルム10の全面が粘弾性支持体46により押圧されて支持されるのが好ましい。
また、このように形成された湾曲部は、中心から周辺部に向かって緩やかに曲率が変化しているのが好ましい。これにより、共振周波数を分散させ、より広帯域化できる。
また、電気音響変換ユニット40において、粘弾性支持体46は押圧部材48に近づくほど厚さ方向に圧縮された状態になるが、静的粘弾性効果(応力緩和)によって、変換フィルム10のどの場所でも機械的バイアスを一定に保つことができる。これにより、変換フィルム10の伸縮運動が無駄なく前後運動へと変換されるため、薄型、かつ、十分な音量が得られ、音響特性に優れる平面状の電気音響変換ユニット40を得ることができる。
このような構成の電気音響変換ユニット40において、変換フィルム10の、押圧部材48の開口部48aに対応する領域が実際に振動する湾曲部となる。すなわち、押圧部材48は、湾曲部を規定する部材である。
なお、電気音響変換ユニット40の変換フィルム10側の面に対する、湾曲部の大きさには特に限定はないが、80%以上であるのが好ましく、90%〜98%であるのがより好ましい。圧電性を有する変換フィルムを用いる電気音響変換ユニットは、一般的に振動板が円形状を有するコーンスピーカに比べて、ユニット全体の大きさに対する振動板の相対的な大きさを大きくし易い。そのため、背面を対面させて配置される2つの電気音響変換ユニットの湾曲部同士を、近接配置することができ、放射インピーダンスが大幅に上昇し、特に周波数が低い帯域(低域)において、音圧増幅効果が期待できる。
また、上記観点から、押圧部材48の縁部の幅は、20mm以下が好ましく、1mm〜10mmが好ましい。
また、電気音響変換ユニット40の変換フィルム10側の面と、湾曲部とは相似であるのが好ましい。すなわち、押圧部材48の外形と開口部48aの形状は相似であるのが好ましい。
なお、電気音響変換ユニット40において、変換フィルム10による粘弾性支持体46の押圧力には、特に限定はないが面圧が低い位置における面圧で0.005〜1.0MPa、特に0.02〜0.2MPa程度とするのが好ましい。
電気音響変換ユニット40に組み込んだ変換フィルム10の高低差、図示例では、押圧部材48の底面に対して最も近い所と最も遠い所との距離にも、特に限定はないが、薄型の平面スピーカが得られる、変換フィルム10の十分な上下運動が可能になる等の点で、1〜50mm、特に5〜20mm程度とするのが好ましい。
加えて、粘弾性支持体46の厚さにも、特に限定は無いが、押圧される前の厚さが、1〜100mm、特に10〜50mmであるのが好ましい。
また、図示例においては、粘弾性を有する粘弾性支持体46を利用する構成としたが、これに限定はされず、少なくとも弾性を有する弾性支持体を利用する構成であればよい。
例えば、粘弾性支持体46に代えて、弾性を有する弾性支持体を有する構成としてもよい。
弾性支持体としては、天然ゴムや各種合成ゴムが例示される。
また、ケース42と変換フィルム10との間には、Oリング等を介在させてもよい。このような構成を有することにより、ダンパ効果を持たせることができ、変換フィルム10の振動がケース42に伝達されることを防止して、より優れた音響特性を得ることができる。
また、図2Aおよび図2Bに示す例では、押圧部材48を用いて、変換フィルム10を粘弾性支持体46に押圧して支持する構成としたが、これに限定はされず、例えば、ケース42の開口面よりも大きい変換フィルム10を用いて、変換フィルムの端部をケース42の裏面側で固定する構成としてもよい。すなわち、ケース42とケース42内に配置された粘弾性支持体46とを、ケース42の開口面よりも大きい変換フィルム10で覆い、変換フィルム10の端部をケース42の裏面側に引張ることで、変換フィルム10を粘弾性支持体46に押圧して張力を付与して湾曲させ、変換フィルムの端部をケース42の裏面側で固定してもよい。
次に、電気音響変換器100について説明する。
図1Aおよび図1Bに示す電気音響変換器100は、上述の電気音響変換ユニット(以下、「変換ユニット」ともいう)40を2つ有し、2つの変換ユニット40が、ケース42の背面(変換フィルム10側とは反対側の面)同士を対面して配置された構成を有する。
すなわち、2つの変換ユニット40は、互いの音の放射方向が180°異なる方向を向くように配置される。
また、2つの変換ユニット40は、ケース42の背面同士を密着して配置される。
変換ユニット40同士の固定方法には、特に限定はなく、ビスやボルトナットを用いる方法、固定用の治具を用いる方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
ここで、本発明の電気音響変換器100は、2つの変換ユニット40の変換フィルム10の湾曲部間の距離dと、変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たすものである。
この点を図3Aおよび図3Bを用いて説明する。
例えば、図3Aに示すように、変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の形状が矩形状である場合には、湾曲部の対角線の長さを湾曲部の最大長さをLとし、図3Bに示すように、2つの変換ユニット40の湾曲部間の距離の平均値を湾曲部間の距離dとする。本発明の電気音響変換器は、この湾曲部の最大長さLと、湾曲部間の距離dとが、d≦0.3×Lの関係を満たす、すなわち、湾曲部の大きさに応じて、2つの湾曲部間の距離dを小さくする。
前述のとおり、従来、無指向性の電気音響変換器として、薄型のスピーカであるHVT(Horizontal-Vertical Transforming)方式のスピーカを背中合わせに配置した構成が提案されている。
このHVT方式のスピーカは、駆動源(マグネットやボイスコイル)を振動板の側面に配置し、リンク機構を介して振動板を増幅させる構成を有するもので、この構成により、駆動源と振動板の双方において、振幅方向に十分なクリアランスを確保でき薄型化できると記載されている。
しかしながら、このようなHVT方式のスピーカは、振動板を振動させるための駆動源やリンク機構が必要なため、より薄型化するのは困難である。そのため、HVT方式のスピーカを背中合わせに配置した構成とした場合でも、2つの振動板間の距離を十分に短くすることができず、また、ユニットの大きさに対して振動板の大きさが小さくなってしまうため、それぞれから出た音が聴取者(マイク)に届くタイミングにズレが生じ、位相がずれて、周波数特性が乱れたり、方向によって指向性パターンが変化するという問題があった。
また、HVT方式のスピーカは、低域に比べて、中域および高域の音圧レベルが低いという問題があった。また、駆動源と振動板との間にリンク機構を介して振動板を駆動するため、部品点数が非常に多くなり、生産性が低く、製造コストが高くなるという問題があった。
これに対して、本発明の電気音響変換器は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、電気音響変換フィルムが湾曲するように、電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換ユニットを2つ有し、2つの電気音響変換ユニットは、電気音響変換フィルムとは反対側の背面同士を対面して配置されており、2つの電気音響変換ユニットの電気音響変換フィルムの湾曲部間の距離dと、電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たす構成を有する。
本発明の電気音響変換器は、このような構成を有することにより、互いに反対方向を向いた2つの湾曲部間の距離を短くできるため、湾曲部(振動板)間の距離差によって音波の到達タイミングがずれることも少ないため、より好適な無指向性が得られる。
さらに、本発明の電気音響変換器においては、各変換ユニット毎に独立したエンクロージャを有しているため、複数配置したからといってエンクロージャの容積が不足することなく、低域の再生が困難になることもない。
また、本発明の電気音響変換器においては、変換フィルムに電気信号を入力することで、変換フィルムを振動させることができるため、駆動源やリンク機構等が不要であり、部品点数を少なくできる。
上記無指向性等の観点から、湾曲部の最大長さLと、湾曲部間の距離dとは、d≦0.3×Lの関係を満たすのがより好ましく、d≦0.2×Lの関係を満たすのがより好ましい。
ここで、図1Aに示す例では、変換フィルム10の主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の形状は、正方形状とし、また、図3Aに示す例では、湾曲部の形状は、矩形状としたが、本発明はこれに限定はされず、三角形状、五角形状等の多角形状、円形状、楕円形状等の種々の形状とすることができる。
なお、湾曲部の形状は、対称性の高い形状であることが好ましく、正多角形または円形状であることが好ましい。
湾曲部の各形状における、湾曲部の最大長さLの定義について、図4A〜図4Dを用いて説明する。
図4Aに示すように、湾曲部の形状が、四角形以上の多角形の場合には、対角線のうち、最長の対角線を湾曲部の最大長さLとする。
図4Bに示すように、湾曲部の形状が三角形の場合には、垂線のうち、最長の垂線を湾曲部の最大長さLとする。
図4Cに示すように、湾曲部の形状が楕円形の場合には、長径を湾曲部の最大長さLとする。
図4Dに示すように、湾曲部の形状が円形の場合には、直径を湾曲部の最大長さLとする。
また、本発明の電気音響変換器において、2つの変換ユニットは、互いに異なる構成であってもよいが、同じ構成であるのが好ましい。すなわち、2つの湾曲部の形状、大きさ、および、最大長さLは、異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。
なお、2つの湾曲部の最大長さLが互いに異なる場合には、2つの湾曲部の最大長さLの平均値と、湾曲部間の距離dとが、d≦0.3×Lの関係を満たせばよい。
また、本発明の電気音響変換器において、湾曲部間の距離dは、変換フィルム10の主面に垂直な方向における、2つの湾曲部間の距離の平均値である。このような湾曲部間の距離dは、3Dスキャナー等を用いて計測することができる。
なお、2つの湾曲部の大きさ(変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の大きさ)が異なる場合には、変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際に、2つの湾曲部が重複している領域で、2つの湾曲部間の距離を計測し、その平均値を湾曲部間の距離dとすればよい。
また、本発明の電気音響変換器において、2つの変換ユニットの変換フィルムには、基本的に、同じ電気信号が入力される構成であるが、互いに異なる電気信号が入力されてもよい。
例えば、一方の変換ユニット40(変換フィルム10)にRチャンネルの信号を入力し、他方の変換ユニット40(変換フィルム10)にLチャンネルの信号を入力することで、ステレオ再生を行うことができる。
あるいは、一方の変換ユニット40に再生したい音の信号を入力し、他方の変換ユニット40には、周囲の音(環境音)と逆位相の信号を入力して環境音を軽減する、いわゆる、ノイズキャンセラーとして用いることもできる。
次に、本発明の電気音響変換器の第2の態様について説明する。
本発明の電気音響変換器の第2の態様は、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、電気音響変換フィルムを湾曲させて湾曲部を形成するように、電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有し、弾性支持体の対向する2つの面に、電気音響変換フィルムが密着して配置されて、2つの湾曲部が形成されており、2つの湾曲部間の距離dと、電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たす電気音響変換器である。
図5Aに、本発明の電気音響変換器の第2の態様の一例を模式的に表す断面図を示す。
図5Aに示す電気音響変換器110は、2つの変換フィルム10と、粘弾性支持体46と、枠体112と、押圧部材114とを有して構成される。
なお、図5Aに示す電気音響変換器110は、図1Aに示す電気音響変換器100において、2つの変換ユニットのケース42および粘弾性支持体46をそれぞれ一体化したものということができる。したがって、電気音響変換器100と同じ部位には同じ符号を付し、以下の説明では異なる部位を主に行う。
枠体112は、変換フィルム10および粘弾性支持体46を保持するためのものであり、4本のフレームで囲まれた正方形状の貫通孔を有する部材である。枠体112の貫通孔には、粘弾性支持体46が配置され、貫通孔の両方の開口面側それぞれに、変換フィルム10が配置される。
なお、枠体112の厚さは、粘弾性支持体46の厚さよりも薄く、粘弾性支持体46は、枠体112の両方の開口面側でそれぞれ突出するように配置される。
押圧部材114は、変換フィルム10を粘弾性支持体46に押圧した状態で支持するためのものであり、枠体112の1本のフレームと略同等の長さで、延在方向に垂直な断面の形状が略C形状の部材である。この略C形状は、枠体の112のフレームに嵌合する大きさである。
電気音響変換器110においては、図5Bに示すように、枠体112の貫通孔内に粘弾性支持体46を配置し、貫通孔の両方の開口面それぞれの側に、枠体112および粘弾性支持体46を覆って変換フィルム10を配置し、図5Cに示すように、枠体112の4つのフレームに対応して、4つの押圧部材114を用いて、2つの変換フィルム10の周辺を、枠体112に接した状態で固定して構成される。
これにより、一方の変換フィルム10は、粘弾性支持体46の一面に押圧して固定されて湾曲部を形成し、また、他方の変換フィルム10は、粘弾性支持体46の先の面とは反対側の面に押圧して固定されて湾曲部を形成する。
本発明の第2の態様は、このように構成される電気音響変換器110において、湾曲部間の距離dと、湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lを満たすものである。
これにより、互いに反対方向を向いた2つの湾曲部間の距離を短くできるため、より好適な無指向性が得られる。また、部品点数を少なくでき好適である。
なお、図5Aに示す例では、4つの押圧部材114を用いて、変換フィルム10を支持する構成としたが、これに限定はされない。例えば、電気音響変換器100の押圧部材48と同様の形状の、すなわち、枠体112の貫通孔の開口面と同様の形状を有する四角形状の板状部材を2つ用いて、2つの押圧部材48を、一方の変換フィルム10が配置される側、および、他方の変換フィルムが配置される側の開口面それぞれに配置して、2つの変換フィルム10をそれぞれ支持する構成としてもよい。
また、図5Aに示す例では、2つの変換フィルム10を用い、粘弾性支持体46の対向する2面それぞれに変換フィルム10を配置する構成としたが、これに限定はされず、図6Aに示す電気音響変換器120のように、1つの変換フィルム10を用いる構成としてもよい。
すなわち、図6Bに示すように、粘弾性支持体46の対向する2面を覆う大きさの1つの変換フィルム10を用いて、粘弾性支持体46の対向する2面を覆い、粘弾性支持体46の両面で湾曲部を形成する構成としてもよい。
このように、1つの変換フィルム10を用いる場合には、変換フィルム10は、湾曲部に対応する領域ごとに分割して薄膜電極が形成されているのが好ましい。
次に、本発明の電気音響変換器に用いられる電気音響変換フィルムについて説明する。
図7は、変換フィルム10の一例を概念的に示す断面図である。
図7に示すように、変換フィルム10は、圧電性を有するシート状物である圧電体層12と、圧電体層12の一方の面に積層される下部薄膜電極14と、下部薄膜電極14上に積層される下部保護層18と、圧電体層12の他方の面に積層される上部薄膜電極16と、上部薄膜電極16上に積層される上部保護層20とを有する。
変換フィルム10において、高分子複合圧電体である圧電体層12は、図7に概念的に示すような、常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス24中に、圧電体粒子26を均一に分散してなる高分子複合圧電体からなるものである。なお、本明細書において、「常温」とは、0〜50℃程度の温度域を指す。
また、後述するが、圧電体層12は、好ましくは、分極処理されている。
ここで、高分子複合圧電体(圧電体層12)は、次の用件を具備したものであるのが好ましい。
(i) 可撓性
例えば、携帯用として新聞や雑誌のように書類感覚で緩く撓めた状態で把持する場合、絶えず外部から、数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けることになる。この時、高分子複合圧電体が硬いと、その分大きな曲げ応力が発生し、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生し、やがて破壊に繋がる恐れがある。従って、高分子複合圧電体には適度な柔らかさが求められる。また、歪みエネルギーを熱として外部へ拡散できれば応力を緩和することができる。従って、高分子複合圧電体の損失正接が適度に大きいことが求められる。
(ii) 音質
スピーカは、20Hz〜20kHzのオーディオ帯域の周波数で圧電体粒子を振動させ、その振動エネルギーによって振動板(高分子複合圧電体)全体が一体となって振動することで音が再生される。従って、振動エネルギーの伝達効率を高めるために高分子複合圧電体には適度な硬さが求められる。また、スピーカの周波数特性が平滑であれば、曲率の変化に伴い最低共振周波数fが変化した際の音質の変化量も小さくなる。従って、高分子複合圧電体の損失正接は適度に大きいことが求められる。
以上をまとめると、高分子複合圧電体は、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことが求められる。また、高分子複合圧電体の損失正接は、20kHz以下の全ての周波数の振動に対して、適度に大きいことが求められる。
一般に、高分子固体は粘弾性緩和機構を有しており、温度上昇あるいは周波数の低下とともに大きなスケールの分子運動が貯蔵弾性率(ヤング率)の低下(緩和)あるいは損失弾性率の極大(吸収)として観測される。その中でも、非晶質領域の分子鎖のミクロブラウン運動によって引き起こされる緩和は、主分散と呼ばれ、非常に大きな緩和現象が見られる。この主分散が起きる温度がガラス転移点(Tg)であり、最も粘弾性緩和機構が顕著に現れる。
高分子複合圧電体(圧電体層12)において、ガラス転移点が常温にある高分子材料、言い換えると、常温で粘弾性を有する高分子材料をマトリックスに用いることで、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の遅い振動に対しては柔らかく振舞う高分子複合圧電体が実現する。特に、この振舞いが好適に発現する等の点で、周波数1Hzでのガラス転移温度が常温、すなわち、0〜50℃にある高分子材料を、高分子複合圧電体のマトリックスに用いるのが好ましい。
常温で粘弾性を有する高分子材料としては、公知の各種のものが利用可能である。好ましくは、常温、すなわち0〜50℃において、動的粘弾性試験による周波数1Hzにおける損失正接Tanδの極大値が、0.5以上有る高分子材料を用いる。
これにより、高分子複合圧電体が外力によってゆっくりと曲げられた際に、最大曲げモーメント部における高分子マトリックス/圧電体粒子界面の応力集中が緩和され、高い可撓性が期待できる。
また、高分子材料は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において100MPa以上、50℃において10MPa以下、であることが好ましい。
これにより、高分子複合圧電体が外力によってゆっくりと曲げられた際に発生する曲げモーメントが低減できると同時に、20Hz〜20kHzの音響振動に対しては硬く振る舞うことができる。
また、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以上有ると、より好適である。これにより、高分子複合圧電体に電圧を印加した際に、高分子マトリックス中の圧電体粒子にはより高い電界が掛かるため、大きな変形量が期待できる。
しかしながら、その反面、良好な耐湿性の確保等を考慮すると、高分子材料は、比誘電率が25℃において10以下であるのも、好適である。
このような条件を満たす高分子材料としては、シアノエチル化ポリビニルアルコール(シアノエチル化PVA)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニリデンクロライドコアクリロニトリル、ポリスチレン−ビニルポリイソプレンブロック共重合体、ポリビニルメチルケトン、および、ポリブチルメタクリレート等が例示される。また、これらの高分子材料としては、ハイブラー5127(クラレ社製)などの市販品も、好適に利用可能である。なかでも、シアノエチル基を有する材料を用いることが好ましく、シアノエチル化PVAを用いるのが特に好ましい。
なお、これらの高分子材料は、1種のみを用いてもよく、複数種を併用(混合)して用いてもよい。
このような常温で粘弾性を有する高分子材料を用いる粘弾性マトリックス24は、必要に応じて、複数の高分子材料を併用してもよい。
すなわち、粘弾性マトリックス24には、誘電特性や機械特性の調整等を目的として、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料に加え、必要に応じて、その他の誘電性高分子材料を添加しても良い。
添加可能な誘電性高分子材料としては、一例として、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体及びポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体等のフッ素系高分子、シアン化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、シアノエチルセルロース、シアノエチルヒドロキシサッカロース、シアノエチルヒドロキシセルロース、シアノエチルヒドロキシプルラン、シアノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノエチルヒドロキシエチルセルロース、シアノエチルアミロース、シアノエチルヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルジヒドロキシプロピルセルロース、シアノエチルヒドロキシプロピルアミロース、シアノエチルポリアクリルアミド、シアノエチルポリアクリレート、シアノエチルプルラン、シアノエチルポリヒドロキシメチレン、シアノエチルグリシドールプルラン、シアノエチルサッカロース及びシアノエチルソルビトール等のシアノ基あるいはシアノエチル基を有するポリマー、ニトリルゴムやクロロプレンゴム等の合成ゴム等が例示される。
中でも、シアノエチル基を有する高分子材料は、好適に利用される。
また、圧電体層12の粘弾性マトリックス24において、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する材料に加えて添加される誘電性ポリマーは、1種に限定はされず、複数種を添加してもよい。
また、誘電性ポリマー以外にも、ガラス転移点Tgを調整する目的で、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、メタクリル樹脂、ポリブテン、イソブチレン、等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、マイカ、等の熱硬化性樹脂を添加しても良い。
更に、粘着性を向上する目的で、ロジンエステル、ロジン、テルペン、テルペンフェノール、石油樹脂、等の粘着付与剤を添加しても良い。
圧電体層12の粘弾性マトリックス24において、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料以外のポリマーを添加する際の添加量には、特に限定は無いが、粘弾性マトリックス24に占める割合で30重量%以下とするのが好ましい。
これにより、粘弾性マトリックス24における粘弾性緩和機構を損なうことなく、添加する高分子材料の特性を発現できるため、高誘電率化、耐熱性の向上、圧電体粒子26や電極層との密着性向上等の点で好ましい結果を得ることができる。
圧電体粒子26は、ペロブスカイト型或いはウルツ鉱型の結晶構造を有するセラミックス粒子からなるものである。
圧電体粒子26を構成するセラミックス粒子としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ジルコン酸ランタン酸鉛(PLZT)、チタン酸バリウム(BaTiO3)、酸化亜鉛(ZnO)、および、チタン酸バリウムとビスマスフェライト(BiFe3)との固溶体(BFBT)等が例示される。
このような圧電体粒子26の粒径は、変換フィルム10のサイズや用途に応じて、適宜、選択すれば良いが、本発明者の検討によれば、1〜10μmが好ましい。
圧電体粒子26の粒径を上記範囲とすることにより、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、図7においては、圧電体層12中の圧電体粒子26は、粘弾性マトリックス24中に、均一にかつ規則性を持って分散されているが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、圧電体層12中の圧電体粒子26は、好ましくは均一に分散されていれば、粘弾性マトリックス24中に不規則に分散されていてもよい。
変換フィルム10において、圧電体層12中における粘弾性マトリックス24と圧電体粒子26との量比は、変換フィルム10の面方向の大きさや厚さ、変換フィルム10の用途、変換フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、圧電体層12中における圧電体粒子26の体積分率は、30〜70%が好ましく、特に、50%以上とするのが好ましく、従って、50〜70%とするのが、より好ましい。
粘弾性マトリックス24と圧電体粒子26との量比を上記範囲とすることにより、高い圧電特性とフレキシビリティとを両立できる等の点で好ましい結果を得ることができる。
また、変換フィルム10において、圧電体層12の厚さにも、特に限定はなく、変換フィルム10のサイズ、変換フィルム10の用途、変換フィルム10に要求される特性等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、本発明者の検討によれば、圧電体層12の厚さは、10〜300μmが好ましく、20〜200μmがより好ましく、特に、30〜100μmが好ましい。
圧電体層12の厚さを、上記範囲とすることにより、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
なお、圧電体層12は、分極処理(ポーリング)されているのが好ましいのは、前述のとおりである。分極処理に関しては、後に詳述する。
図7に示すように、本発明の変換フィルム10は、このような圧電体層12の一面に、下部薄膜電極14を形成し、その上に下部保護層18を形成し、圧電体層12の他方の面に、上部薄膜電極16を形成し、その上に上部保護層20を形成してなる構成を有する。ここで、上部薄膜電極16と下部薄膜電極14とが電極対を形成する。
なお、変換フィルム10は、これらの層に加えて、例えば、上部薄膜電極16、および、下部薄膜電極14からの電極の引出しを行う電極引出し部や、圧電体層12が露出する領域を覆って、ショート等を防止する絶縁層等を有していてもよい。
すなわち、変換フィルム10は、圧電体層12の両面を電極対、すなわち、上部薄膜電極16および下部薄膜電極14で挟持し、この積層体を、上部保護層20および下部保護層18で挟持してなる構成を有する。
このように、上部薄膜電極16および下部薄膜電極14で挾持された領域は、印加された電圧に応じて駆動される。
変換フィルム10において、上部保護層20および下部保護層18は、上部薄膜電極16および下部薄膜電極14を被覆すると共に、圧電体層12に適度な剛性と機械的強度を付与する役目を担っている。すなわち、本発明の変換フィルム10において、粘弾性マトリックス24と圧電体粒子26とからなる圧電体層12は、ゆっくりとした曲げ変形に対しては、非常に優れた可撓性を示す一方で、用途によっては、剛性や機械的強度が不足する場合がある。変換フィルム10は、それを補うために上部保護層20および下部保護層18が設けられる。
上部保護層20および下部保護層18には、特に限定はなく、各種のシート状物が利用可能であり、一例として、各種の樹脂フィルムが好適に例示される。中でも、優れた機械的特性および耐熱性を有するなどの理由により、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンサルファイト(PPS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、および、環状オレフィン系樹脂が好適に利用される。
上部保護層20および下部保護層18の厚さにも、特に、限定は無い。また、上部保護層20および下部保護層18の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、上部保護層20および下部保護層18の剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれるため、機械的強度やシート状物としての良好なハンドリング性が要求される場合を除けば、上部保護層20および下部保護層18は、薄いほど有利である。
本発明者の検討によれば、上部保護層20および下部保護層18の厚さが、圧電体層12の厚さの2倍以下であれば、剛性の確保と適度な柔軟性との両立等の点で好ましい結果を得ることができる。
例えば、圧電体層12の厚さが50μmで上部保護層20および下部保護層18がPETからなる場合、上部保護層20および下部保護層18の厚さは、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、中でも25μm以下とするのが好ましい。
変換フィルム10において、圧電体層12と上部保護層20との間には上部薄膜電極(以下、上部電極とも言う)16が、圧電体層12と下部保護層18との間には下部薄膜電極(以下、下部電極とも言う)14が、それぞれ形成される。
上部電極16および下部電極14は、変換フィルム10(圧電体層12)に電界を印加するために設けられる。
本発明において、上部電極16および下部電極14の形成材料には、特に、限定はなく、各種の導電体が利用可能である。具体的には、炭素、パラジウム、鉄、錫、アルミニウム、ニッケル、白金、金、銀、銅、チタン、クロムおよびモリブデン等や、これらの合金、あるいは、これらの積層体や複合体、酸化インジウムスズ等が例示される。中でも、銅、アルミニウム、金、銀、白金、および、酸化インジウムスズのいずれかは、好適に例示される。
また、上部電極16および下部電極14の形成方法にも、特に限定はなく、真空蒸着やスパッタリング等の気相堆積法(真空成膜法)やめっきによる成膜や、上記材料で形成された箔を貼着する方法等、公知の方法が、各種、利用可能である。
中でも特に、変換フィルム10の可撓性が確保できる等の理由で、真空蒸着によって成膜された銅やアルミニウムの薄膜は、上部電極16および下部電極14として、好適に利用される。その中でも特に、真空蒸着による銅の薄膜は、好適に利用される。
上部電極16および下部電極14の厚さには、特に、限定は無い。また、上部電極16および下部電極14の厚さは、基本的に同じであるが、異なってもよい。
ここで、前述の上部保護層20および下部保護層18と同様に、上部電極16および下部電極14の剛性が高過ぎると、圧電体層12の伸縮を拘束するばかりか、可撓性も損なわれるため、上部電極16および下部電極14は、電気抵抗が高くなり過ぎない範囲であれば、薄いほど有利である。
ここで、本発明者の検討によれば、上部電極16および下部電極14の厚さとヤング率との積が、上部保護層20および下部保護層18の厚さとヤング率との積を下回れば、可撓性を大きく損なうことがないため、好適である。
例えば、上部保護層20および下部保護層18がPET(ヤング率:約6.2GPa)で、上部電極16および下部電極14が銅(ヤング率:約130GPa)からなる組み合わせの場合、上部保護層20および下部保護層18の厚さが25μmだとすると、上部電極16および下部電極14の厚さは、1.2μm以下が好ましく、0.3μm以下がより好ましく、中でも0.1μm以下とするのが好ましい。
前述のように、変換フィルム10は、常温で粘弾性を有する粘弾性マトリックス24に圧電体粒子26を分散してなる圧電体層12を、上部電極16および下部電極14で挟持し、さらに、この積層体を、上部保護層20および下部保護層18を挟持してなる構成を有する。
このような変換フィルム10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの損失正接(Tanδ)が0.1以上となる極大値が常温に存在するのが好ましい。
これにより、変換フィルム10が外部から数Hz以下の比較的ゆっくりとした、大きな曲げ変形を受けたとしても、歪みエネルギーを効果的に熱として外部へ拡散できるため、高分子マトリックスと圧電体粒子との界面で亀裂が発生するのを防ぐことができる。
変換フィルム10は、動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)が、0℃において10〜30GPa、50℃において1〜10GPaであるのが好ましい。
これにより、常温で変換フィルム10が貯蔵弾性率(E’)に大きな周波数分散を有することができる。すなわち、20Hz〜20kHzの振動に対しては硬く、数Hz以下の振動に対しては柔らかく振る舞うことができる。
また、変換フィルム10は、厚さと動的粘弾性測定による周波数1Hzでの貯蔵弾性率(E’)との積が、0℃において1.0×106〜2.0×106(1.0E+06〜2.0E+06)N/m、50℃において1.0×105〜1.0×106(1.0E+05〜1.0E+06)N/mであるのが好ましい。
これにより、変換フィルム10が可撓性および音響特性を損なわない範囲で、適度な剛性と機械的強度を備えることができる。
さらに、変換フィルム10は、動的粘弾性測定から得られたマスターカーブにおいて、25℃、周波数1kHzにおける損失正接(Tanδ)が、0.05以上であるのが好ましい。
これにより、変換フィルム10を用いたスピーカの周波数特性が平滑になり、スピーカの曲率の変化に伴い最低共振周波数fが変化した際の音質の変化量も小さくできる。
以下、図8A〜図8Eを参照して、変換フィルム10の製造方法の一例を説明する。
まず、図8Aに示すように、下部保護層18の上に下部電極14が形成されたシート状物11aを準備する。このシート状物11aは、下部保護層18の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって下部電極14として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。
下部保護層18が非常に薄く、ハンドリング性が悪い時などは、必要に応じて、セパレータ(仮支持体)付きの下部保護層18を用いても良い。尚、セパレータとしては、厚さ25〜100μmのPET等を用いることができる。なお、セパレータは、薄膜電極および保護層の熱圧着後、側面絶縁層や、第2の保護層等を形成する直前に、取り除けばよい。
一方で、有機溶媒に、シアノエチル化PVA等の常温で粘弾性を有する高分子材料(以下、粘弾性材料とも言う)を溶解し、さらに、PZT粒子等の圧電体粒子26を添加し、攪拌して分散してなる塗料を調製する。有機溶媒には、特に限定はなく、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等の各種の有機溶媒が利用可能である。
前述のシート状物11aを準備し、かつ、塗料を調製したら、この塗料をシート状物にキャスティング(塗布)して、有機溶媒を蒸発して乾燥する。これにより、図8Bに示すように、下部保護層18の上に下部電極14を有し、下部電極14の上に圧電体層12を形成してなる積層体11bを作製する。
この塗料のキャスティング方法には、特に、限定はなく、スライドコータやドクターナイフ等の公知の方法(塗布装置)が、全て、利用可能である。
あるいは、粘弾性材料がシアノエチル化PVAのように加熱溶融可能な物であれば、粘弾性材料を加熱溶融して、これに圧電体粒子26を添加/分散してなる溶融物を作製し、押し出し成形等によって、図8Aに示すシート状物11aの上にシート状に押し出し、冷却することにより、図8Bに示すような、下部保護層18の上に下部電極14を有し、下部電極14の上に圧電体層12を形成してなる積層体11bを作製してもよい。
なお、前述のように、変換フィルム10において、粘弾性マトリックス24には、シアノエチル化PVA等の粘弾性材料以外にも、PVDF等の高分子圧電材料を添加しても良い。
粘弾性マトリックス24に、これらの高分子圧電材料を添加する際には、上記塗料に添加する高分子圧電材料を溶解すればよい。あるいは、上記加熱溶融した粘弾性材料に、添加する高分子圧電材料を添加して加熱溶融すればよい。
下部保護層18の上に下部電極14を有し、下部電極14の上に圧電体層12を形成してなる積層体11bを作製したら、好ましくは、圧電体層12の分極処理(ポーリング)を行う。
圧電体層12の分極処理の方法には、特に限定はなく、公知の方法が利用可能である。好ましい分極処理の方法として、図8Cおよび図8Dに示す方法が例示される。
この方法では、図8Cおよび図8Dに示すように、積層体11bの圧電体層12の上面12aの上に、間隔gを例えば1mm開けて、この上面12aに沿って移動可能な棒状あるいはワイヤー状のコロナ電極30を設ける。そして、このコロナ電極30と下部電極14とを直流電源32に接続する。
さらに、積層体11bを加熱保持する加熱手段、例えば、ホットプレートを用意する。
その上で、圧電体層12を、加熱手段によって、例えば、温度100℃に加熱保持した状態で、直流電源32から下部電極14とコロナ電極30との間に、数kV、例えば、6kVの直流電圧を印加してコロナ放電を生じさせる。さらに、間隔gを維持した状態で、圧電体層12の上面12aに沿って、コロナ電極30を移動(走査)して、圧電体層12の分極処理を行う。
このようなコロナ放電を利用する分極処理(以下、便宜的に、コロナポーリング処理とも言う)において、コロナ電極30の移動は、公知の棒状物の移動手段を用いればよい。
また、コロナポーリング処理では、コロナ電極30を移動する方法にも、限定はされない。すなわち、コロナ電極30を固定し、積層体11bを移動させる移動機構を設け、この積層体11bを移動させて分極処理をしてもよい。この積層体11bの移動も、公知のシート状物の移動手段を用いればよい。
さらに、コロナ電極30の数は、1本に限定はされず、複数本のコロナ電極30を用いて、コロナポーリング処理を行ってもよい。
また、分極処理は、コロナポーリング処理に限定はされず、分極処理を行う対象に、直接、直流電界を印加する、通常の電界ポーリングも利用可能である。但し、この通常の電界ポーリングを行う場合には、分極処理の前に、上部電極16を形成する必要が有る。
なお、この分極処理の前に、圧電体層12の表面を加熱ローラ等を用いて平滑化する、カレンダー処理を施してもよい。このカレンダー処理を施すことで、後述する熱圧着工程がスムーズに行える。
このようにして積層体11bの圧電体層12の分極処理を行う一方で、上部保護層20の上に上部電極16が形成されたシート状物11cを、準備する。このシート状物11cは、上部保護層20の表面に、真空蒸着、スパッタリング、めっき等によって上部電極16として銅薄膜等を形成して、作製すればよい。
次いで、図8Eに示すように、上部電極16を圧電体層12に向けて、シート状物11cを、圧電体層12の分極処理を終了した積層体11bに積層する。
さらに、この積層体11bとシート状物11cとの積層体を、上部保護層20と下部保護層18とを挟持するようにして、加熱プレス装置や加熱ローラ対等で熱圧着して、変換フィルム10を作製する。
以上、本発明の電気音響変換器について詳細に説明したが、本発明は上述の例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行ってもよいのは、もちろんである。
例えば、図17に示すスピーカシステム300のように、本発明の電気音響変換器100にウーファーを組み合わせることで、低域を補う構成としてもよい。
具体的には、図17に示すスピーカシステム300は、電気音響変換フィルム10を有する電気音響変換ユニット40を2つ、背面同士を対面して配置してなる電気音響変換器100と、電気音響変換器100を支える棒状の支柱302と、支柱302を保持する台座304とを有し、台座300には、ウーファーが内蔵されている。
波長の長い低域は、回折しやすく無指向性に近いため、本発明の電気音響変換器とウーファーとを組み合わせることで、低域から高域まで幅広い帯域で無指向性を実現したスピーカシステムとすることができる。
また、本発明の電気音響変換器は、無指向性のスピーカとして用いることができるのみでなく、無指向性のマイクロフォンとしても用いることができる。従って、電気音響変換器をスピーカおよびマイクロフォンの機能を切替可能な構成としてもよい。
また、図18に示すマイクスピーカ310のように、スピーカとして用いる本発明の電気音響変換器と、マイクロフォンとして用いる本発明の電気音響変換器とを組み合わせて用いてもよい。
具体的には、図18に示すマイクスピーカ310は、台座304と台座304に支持される棒状の支柱302と、支柱302の上端部に配置されるスピーカとして用いられる電気音響変換器100aと、電気音響変換器100aの上端部に配置される棒状の支柱306と、支柱306の上端部に配置されるマイクロフォンとして用いられる電気音響変換器100bとを有する。
このように、無指向性のスピーカである電気音響変換器100aと、無指向性のマイクロフォンである電気音響変換器100bとを有する構成のマイクスピーカ310は、例えば、部屋内に設置して、部屋のどこにいても、無指向性マイクロフォンに話しかけることにより、音声認識により、スピーカの操作を行ったり、あるいは、有線または無線のネットワークで接続された各種電化製品を操作することが可能になる。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明についてより詳細に説明する。
[実施例1]
前述の図8A〜図8Eに示す方法によって、図7に示す変換フィルム10を作製した。
まず、下記の組成比で、シアノエチル化PVA(CR−V 信越化学工業社製)をジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。その後、この溶液に、PZT粒子を下記の組成比で添加して、プロペラミキサー(回転数2000rpm)で分散させて、圧電体層12を形成するための塗料を調製した。
・PZT粒子・・・・・・・・・・・300質量部
・シアノエチル化PVA・・・・・・・30質量部
・DMF・・・・・・・・・・・・・・70質量部
なお、PZT粒子は、市販のPZT原料粉を1000〜1200℃で焼結した後、これを平均粒径5μmになるように解砕および分級処理したものを用いた。
一方、厚さ4μmのPETフィルムに、厚さ0.1μmの銅薄膜を真空蒸着してなるシート状物11aおよび11cを用意した。すなわち、本例においては、上部電極16および下部電極14は、厚さ0.1mの銅蒸着薄膜であり、上部保護層20および下部保護層18は厚さ4μmのPETフィルムとなる。
なお、プロセス中、良好なハンドリングを得るために、PETフィルムには厚さ50μmのセパレータ(仮支持体 PET)付きのものを用い、薄膜電極および保護層の熱圧着後に、各保護層のセパレータを取り除いた。
このシート状物11aの下部電極14(銅蒸着薄膜)の上に、スライドコータを用いて、先に調製した圧電体層12を形成するための塗料を塗布した。なお、塗料は、乾燥後の塗膜の膜厚が40μmになるように、塗布した。
次いで、シート状物11aの上に塗料を塗布した物を、120℃のホットプレート上で加熱乾燥することでDMFを蒸発させた。これにより、PET製の下部保護層18の上に銅製の下部電極14を有し、その上に、厚さが40μmの圧電体層12(圧電層)を形成してなる積層体11bを作製した。
この積層体11bの圧電体層12を、図8Cおよび図8Dに示す前述のコロナポーリングによって、分極処理した。なお、分極処理は、圧電体層12の温度を100℃として、下部電極14とコロナ電極30との間に6kVの直流電圧を印加してコロナ放電を生じさせて、行った。
分極処理を行った積層体11bの上に、上部電極16(銅薄膜側)を圧電体層12に向けてシート状物11cを積層した。
次いで、積層体11bとシート状物11cとの積層体を、ラミネータ装置を用いて120℃で熱圧着することで、圧電体層12と上部電極16および下部電極14とを接着して変換フィルム10を作製した。
作製した変換フィルム10を、ケース42に組み込んで変換ユニット40を作製した。
ここで、変換ユニット40の湾曲部の大きさは、170mm×170mmとした。
ケース42は、一面が開放した箱型の容器で、外寸180mm×180mm、開放面の大きさ170mm×170mm、深さ4mm、高さ6mmのアルミ製の矩形容器を用いた。
また、ケース42内には、粘弾性支持体46を配置した。粘弾性支持体46は、組立前の高さ25mm、密度32kg/m3のグラスウールとした。
また、押圧部材48は、開口部aの大きさ170mm×170mmのアルミ製の板状部材を用いた。
変換フィルム10を粘弾性支持体46およびケース42の開口部を覆うように配置して押圧部材48により周辺部を固定し、粘弾性支持体46により変換フィルム10に適度な張力と曲率を付与した。また、ケース42の開放面からの湾曲部の高さを3Dスキャナーで測定したところ、その平均値は、約3mmであった。
このような変換ユニット40を2つ準備し、2つの変換ユニット40を、互いの背面を対面させて配置して固定し、電気音響変換器100を作製した。
湾曲部間の距離dは、18mmであった。また、湾曲部の最大長さLは、240mmである。したがって、d≦0.3×Lの関係を満たす(比d/Lは0.075)。
[実施例2]
図5Aに示す電気音響変換器110のように、粘弾性支持体46の対向する2面に変換フィルム10を配置した構成とした以外は、実施例1と同様にして、電気音響変換器110を作製した。
枠体112の貫通孔の開口部の大きさは170mm×170mmとし、厚さは、8mmとした。
湾曲部間の距離dは、14mmであった。また、湾曲部の最大長さLは、240mmである。したがって、d≦0.3×Lの関係を満たす(比d/Lは0.058)。
[比較例1]
図10に示すように、1つの変換ユニット40を有する構成とした。
[比較例2]
図11に示すように、2つの変換ユニット40と、変換ユニット40と略同じ大きさ(外寸178mm×178mm)の4つの蓋部材202を用いて、立方体を形成し電気音響変換器とした。その際、2つの変換ユニット40の背面同士が対面するように配置した。
湾曲部間の距離dは、196mmであった。また、湾曲部の最大長さLは、240mmである。したがって、d≦0.3×Lの関係を満たさない(比d/Lは0.82)。
[比較例3]
4つの蓋部材202のうち、対面する2つの蓋部材202を有さない以外は、比較例2と同様にして電気音響変換器を作製した。すなわち、2つの変換ユニット40および2つの蓋部材202に囲まれた空間は外部と連通する構成とした。
[評価]
<指向性>
作製した電気音響変換器の指向性を、図9A、図9Bに示すように、電気音響変換器を回転させて、マイクPの配置位置(角度)を変更して、音圧レベル−周波数特性を測定した。
具体的には、図9Aに示すように、基準となる1つの変換ユニットが、鉛直方向に平行になるように電気音響変換器を空中に吊るして設置し、基準の変換ユニットの変換フィルムの正面の位置を0°とし、鉛直方向を軸としてスピーカユニットを15°刻みで回転して、各位置で音圧レベル−周波数特性を測定した。
以下、鉛直方向を軸として測定した指向性を「水平方向の指向性」という。
なお、計測用マイクロフォンは、1つの変換ユニットの中心の正面50cmの位置に配置した。また、電気音響変換器は、空中に吊るした状態で測定を行った。
同様に、図9Bに示すように、基準の変換ユニットの変換フィルムの正面の位置を0°とし、水平方向を軸としてスピーカユニットを15°刻みで回転して、各位置で音圧レベル−周波数特性を測定した。
以下、水平方向を軸として測定した指向性を「垂直方向の指向性」という。
実施例1の水平方向の指向性の測定結果を図12Aに示し、垂直方向の指向性の測定結果を図12Bに示す。
実施例2の水平方向の指向性の測定結果を図13Aに示し、垂直方向の指向性の測定結果を図13Bに示す。
比較例1の水平方向の指向性の測定結果を図14Aに示し、比較例2の水平方向の指向性の測定結果を図14Bに示し、比較例3の水平方向の指向性の測定結果を図14Cに示す。
なお、図12A〜図14Cにおいて、100Hzの場合を網線で示し、500Hzの場合を破線で示し、1kHzの場合を実線で示し、2kHzの場合を点線で示し、5kHzの場合を二点鎖線で示し、10kHzの場合を一点鎖線で示す。
図14Aに示すように、比較例1は、変換ユニットが1つであるので、変換ユニットの正面(0°)位置での音圧レベルに対して、正面以外の位置では、音圧レベルが大きく低下しているのがわかる。特に、指向性の高い高域での音圧レベルの低下が大きいことがわかる。
また、図14Bに示す比較例2、および、図14Cに示す比較例3の結果から、2つの変換ユニットの背面を対面させて配置した場合でも、湾曲部の最大長さLと湾曲部間の距離dとがd≦0.3×Lの関係を満たさない、すなわち、湾曲部間の距離が長い場合には、測定位置(角度)によって音圧レベルが変化し、波状の波形を示していることがわかる。このため、聴取位置で低域、中域および高域の音圧レベルのバランスが変わって、音色が変わってしまうため、無指向性スピーカの実現は難しい。
これに対して、図12A、図12Bならびに図13A、図13Bに示すように、本発明の実施例1および実施例2は、2つの湾曲部の距離が近いため、2つの変換ユニットから出た音は、どの方向に伝わる音も、ほぼ同位相で振動する。
そのため、どの方向でも均一な音圧レベルが得られ、また、低域、中域および高域の音圧レベルのバランスも変わらないので、水平方向および垂直方向において、理想的な無指向性が得られることが分かる。
[参考例]
ところで、非特許文献1に開示されるように、図15Aに示すような、1つのスピーカユニット502をエンクロージャ504に取り付けた電気音響変換器500、および、図15Bに示すような、2つのスピーカユニット502を互いに湾曲部が反対方向を向くようにエンクロージャに取り付けた電気音響変換器510(背面対向配置)について、ある1つのスピーカを正面(0°)として、上記と同様に、マイクPの配置位置を変更して、音圧レベルを測定した結果は、図16Aおよび図16Bに示すとおりである。
なお、図16Aおよび図16Bにおいて、100Hzの場合を網線で示し、500Hzの場合を破線で示し、1kHzの場合を実線で示し、2kHzの場合を点線で示し、5kHzの場合を二点鎖線で示し、10kHzの場合を一点鎖線で示す。
図16Aおよび図16Bに示すように、ダイナミック型の電気音響変換器であっても、背面対向配置にすることで、1つのスピーカユニットの電気音響変換器に比べて、正面以外の方向の中域高域の音圧レベルが、向上する。しかしながら、測定位置(角度)によって音圧レベルが変化し、波状の波形を示している。このため、聴取位置で低域、中域および高域の音圧レベルのバランスが変わって、音色が変わってしまうため、無指向性スピーカの実現は難しい。
これは、スピーカユニット(振動板)同士の間隔が大きいため、各スピーカユニットから出た音の位相がずれるためである。
以上の結果より、本発明の効果は、明らかである。
10 電気音響変換フィルム
11a、11c シート状物
11b 積層体
12 圧電体層
14 下部薄膜電極
16 上部薄膜電極
18 下部保護層
20 上部保護層
24 粘弾性マトリックス
26 圧電体粒子
30 コロナ電極
32 直流電源
40 電気音響変換ユニット
42 ケース
46 粘弾性支持体
48、114 押圧部材
48a 開口部
100、100a、100b、110、120、200、500、510 電気音響変換器
112 枠体
202 蓋部材
300 スピーカシステム
302、306 支柱
304 台座
310 マイクスピーカ
502 コーン型スピーカユニット
504 エンクロージャ

Claims (11)

  1. 常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、前記高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、前記電気音響変換フィルムを湾曲させて湾曲部を形成するように、前記電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有する電気音響変換ユニットを2つ有し、
    2つの前記電気音響変換ユニットは、前記電気音響変換フィルムとは反対側の背面同士を対面して配置されており、
    2つの前記電気音響変換ユニットの前記電気音響変換フィルムの前記湾曲部間の距離dと、前記電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、前記湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たすことを特徴とする電気音響変換器。
  2. 常温で粘弾性を有する高分子材料からなる粘弾性マトリックス中に圧電体粒子を分散してなる高分子複合圧電体、および、前記高分子複合圧電体の両面に積層された2つの薄膜電極を有する電気音響変換フィルムと、
    前記電気音響変換フィルムを湾曲させて湾曲部を形成するように、前記電気音響変換フィルムの一方の主面に密着して配置される弾性支持体とを有し、
    前記弾性支持体の対向する2つの面に、前記電気音響変換フィルムが密着して配置されて、2つの湾曲部が形成されており、
    2つの前記湾曲部間の距離dと、前記電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、前記湾曲部の最大長さLとが、d≦0.3×Lの関係を満たすことを特徴とする電気音響変換器。
  3. 前記弾性支持体の対向する2つの面にそれぞれ配置される、2つの前記電気音響変換フィルムを有する請求項2に記載の電気音響変換器。
  4. 前記弾性支持体の対向する2つの面を覆うように配置される1つの前記電気音響変換フィルムを有する請求項2に記載の電気音響変換器。
  5. 前記電気音響変換ユニットは、前記電気音響変換フィルムおよび前記弾性支持体を保持する筐体を有し、
    2つの前記電気音響変換ユニットは、前記筐体の背面同士が密着して配置される請求項1に記載の電気音響変換器。
  6. 前記電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、前記湾曲部の面積が電気音響変換器の面積の90%以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  7. 前記弾性支持体が粘弾性を有する粘弾性支持体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  8. 前記電気音響変換フィルムの前記湾曲部が、中心から周辺部に向かって緩やかに曲率が変化している請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  9. 前記電気音響変換フィルムの主面に垂直な方向から見た際の、前記電気音響変換フィルムの前記湾曲部の形状が、正多角形または円形状である請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  10. 前記高分子材料が、シアノエチル基を有するものである請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
  11. 前記高分子材料が、シアノエチル化ポリビニルアルコールである請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気音響変換器。
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