JP2017017614A - アンテナ - Google Patents

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Hiroya Tanaka
宏哉 田中
幸浩 田所
Yukihiro Tadokoro
幸浩 田所
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Abstract

【課題】指向性を制御すること。【解決手段】導体板15は、2枚の長方形状の導体板15a、bを長辺で直角を成すように接合してL字型の形状としたものである。そして、導体板15a、bの長手方向とカーボンナノチューブ10の延伸方向を揃えて、カーボンナノチューブ10の先端10b近傍に配置されている。導体板15a、bはカーボンナノチューブ10と空間を空けて配置されている。導体板15は、可変電源13の正極側に接続されている。可変電源13により電圧が印加されると、導体板15には正電荷が誘導される。そのため、カーボンナノチューブ10はクーロン力を受ける。このクーロン力の方向には、カーボンナノチューブ10の先端10bは振動が抑制される。振動が抑制された方向は振幅が小さくなるため、トンネル電流の強度も低下する。すなわち、振動が抑制された方向のアンテナ感度は低下することになる。【選択図】図1

Description

本発明は、電磁波の到来によって生じる線状導電体の振動と、その線状導電体と電極との間のトンネル電流を利用したアンテナに関する。
電磁波の到来によるカーボンナノチューブの振動と、電界放出によるカーボンナノチューブと電極間のトンネル電流を利用した非常に小型のアンテナが特許文献1および非特許文献1に記載されている。
特許文献1および非特許文献1に記載のアンテナは、図10のように、カーボンナノチューブ100と、カーボンナノチューブ100の一端に接続する第1電極101と、カーボンナノチューブ100の他端に対向し、かつ空間を空けて設けられた第2電極102と、第1電極101と第2電極102間に電圧を印加する電源103と、カーボンナノチューブ100と第2電極102との間のトンネル電流を検出する電流検出器104と、によって構成されている。
このアンテナは、次のように動作する。電源103によって第1電極101と第2電極102の間に定電圧を印加すると、電界放出により第2電極102とカーボンナノチューブ100の先端との間にトンネル電流が発生する。カーボンナノチューブ100の先端には負電荷が誘導されているため、カーボンナノチューブ100に電磁波106が到来すると、その電界の変動によってカーボンナノチューブ100の先端に力が生じる。ここで、電磁波106の周波数がカーボンナノチューブ100の共振周波数である場合、カーボンナノチューブ100の先端は固有周波数で振動する。このとき、カーボンナノチューブ100の先端の振動によって、その先端と第2電極102との間隔が変動する。トンネル電流の大きさはその間隔に依存するため、カーボンナノチューブ100の先端の振動に応じてトンネル電流の大きさも変化する。このトンネル電流の大きさを電流検出器104によって検出することで、到来した電磁波106を検出することができる。すなわち、電磁場の変動をカーボンナノチューブ100の物理的な振動に変換し、その物理的な振動をさらにトンネル電流の変化に変換して検出するアンテナである。
国際公開第2009/048695号パンフレット
K.Jensen, J.Weldon, H.Garcia, and A.Zettl, "Nanotube Radio," Nano Letters, vol.7, no.11, pp.3508-3511, Nov.2007
特許文献1および非特許文献1に記載のアンテナは、ダイポールアンテナと似た指向性を示す。すなわち、カーボンナノチューブの延伸方向を含む面内においては、八の字指向性、カーボンナノチューブの延伸方向に垂直な面内においては、無指向性を示す。これは、カーボンナノチューブの振動方向は電磁波の到来による電界方向に依存しているが、カーボンナノチューブの先端と第2電極との間のトンネル電流の強度は、カーボンナノチューブの振動方向に依存しないためである。したがって、特許文献1および非特許文献1に記載のアンテナでは、カーボンナノチューブの延伸方向に垂直な平面内における指向性を制御できない。
そこで本発明の目的は、線状導電体の振動と、線状導電体と電極との間のトンネル電流を利用したアンテナにおいて、指向性の制御を可能とすることである。
本発明は、第1電極と、一端が第1電極と接続し、所定周波数の電磁波に対して力を受けて、一端とは反対側の端部である先端が曲がり、共振する線状導電体と、線状導電体の先端に空間を空けて対向して設けられた第2電極と、第1電極と第2電極との間に定電圧を印加し、線状導電体の先端と第2電極との間でトンネル電流を生じさせる第1電源と、トンネル電流の強度を検出する電流検出器と、を有したアンテナであって、線状導電体の延伸方向に沿って、かつ線状導電体から離間して設けられ、定電圧が印加されることで電荷を蓄えた導体板を有する、ことを特徴とするアンテナである。
線状導電体について線状とは、たとえばチューブ状、棒状、針状、ワイヤー状などのあらゆる細長い形状を含むものである。導電体とは導体のみならず半導体も含む。線状導電体の延伸方向に垂直な断面での形状は、対称性の高い形状が望ましく、正方形、正六角形などの正多角形や円形などの形状がより望ましく、円形が最も望ましい。対称性が低いと線状導電体の物理的な振動方向に偏りが生じ、指向性の制御が難しくなる。チューブ状の導電体としては、単層または多層のカーボンナノチューブやSi、BNからなるナノチューブを用いることができ、金属型でも半導体型でもよい。また、ワイヤー状の導電体としては、Au、Ag、Cu、などの金属ワイヤーを用いることができる。また、線状導電体は1本である必要はなく、2本以上の線状導電体をより合わせたり束にしたものであってもよい。
導体板は、任意の形状でよく、複数に分割されていてもよい。たとえば平板、L字型、コの字型、半円筒形、1/4円筒形などの形状である。平板状の第1導体板と、第1導体板とは角度を成して接続された平板状の第2導体板とで構成されたL字型の形状としてもよい。これにより指向性の制御が容易となる。また、導体板は第1電極と第2電極の一方と接続されていていたり、第1電極や第2電極の一方と一体に成形されていてもよい。
導体板に定電圧を印加して電荷を蓄える手段は任意でよい。たとえば、導体板に第1電源を接続して電荷を誘導してもよい。
また、導体板に定電圧を印加する第2電源を接続し、第2電源を可変電源とし、導体板に誘導される電荷量を制御することで、指向性の制御を可能としてもよい。
また、導体板を複数に分割し、それぞれを別の電源に接続して独立に電荷量を制御できるようにすることで、より指向性の制御を容易としたり、指向性の設計の自由度を向上させてもよい。たとえば、導体板は、平板状の第1導体板と、第1導体板とは分離し、かつ第1導体板とは角度を成して設けられた平板状の第2導体板とで構成し、第1導体板および第2導体板にそれぞれ接続し、定電圧を印加する第3電源および第4電源を設け、第3電源および第4電源は、印加する電圧値を可変とする可変電源とする構成としてもよい。
本発明では、電荷の蓄えられた導電体によって線状導電体がクーロン力を受け、そのクーロン力の方向に線状導電体の振動は抑制される。その振動が抑制される方向はアンテナ感度が低下するため、線状導電体の延伸方向に垂直な面内においてアンテナに指向性を持たせることができる。
実施例1のアンテナの構成を示した図。 実施例1のアンテナの指向性を示したグラフ。 実施例2のアンテナの構成を示した図。 変形例のアンテナの構成を示した図。 変形例のアンテナの構成を示した図。 変形例のアンテナの構成を示した図。 変形例のアンテナの構成を示した図。 変形例のアンテナの構成を示した図。 変形例のアンテナの構成を示した図。 従来のアンテナの構成を示した図。
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。
図1は、実施例1のアンテナの構成を示した図である。図1のように、実施例1のアンテナは、カーボンナノチューブ10と、第1電極11と、第2電極12と、可変電源13と、電流検出器14と、導体板15によって構成されている。以下、説明の簡便のため、図1のように、カーボンナノチューブ10の延伸方向にz軸、これに垂直な方向に右手系を成すようにx、y軸を取ることとする。
カーボンナノチューブ10は、一方の端部10aで第1電極11と接続している。カーボンナノチューブ10は、細長いチューブ状であり、第1電極11の主面に垂直な方向に延伸している。カーボンナノチューブの成長方法としてCVD法などを用いれば、第1電極11上に垂直配向でカーボンナノチューブ10を直接成長させることができる。
カーボンナノチューブ10は、一方の端部10aは第1電極11に固定され、端部10aとは反対側の他方の端部(以下、先端10bと呼ぶ)は開放されており、その先端10bは固有の共振周波数で振動する。その共振周波数は、カーボンナノチューブ10の長さや剛性などによって決まる。カーボンナノチューブ10の長さは、たとえば1nm〜100μmであり、受信したい電磁波の周波数に応じて設計される。つまり、実施例1のアンテナの共振周波数は、カーボンナノチューブ10の共振周波数であり、カーボンナノチューブ10の長さに依存している。その共振周波数は数kHzから数百MHzの範囲で設計することができる。
なお、カーボンナノチューブ10は単層でも多層でもよく、半導体型でも金属型でもよい。さらには、カーボンナノチューブ10に限らず、チューブ状、棒状、ワイヤー状、針状などの任意の細長い形状の線状導電体を用いてもよい。また、そのような細長い線状導電体を束ねたものや、より合わせたものであってもよい。また、延伸方向(z軸方向)に垂直な断面(xy平面に平行な面)は対称性の高い形状がよく、正方形、六角形などの多角形や円などである。特に円が望ましい。平板状などの対称性の低い形状は、剛性が方向によって異なるため線状導電体の物理的な振動方向に偏りが生じ、指向性の制御が難しくなる。また、線状導電体の材料は、導体、半導体であれば任意の材料でよく、カーボンナノチューブ意外に、BNナノチューブ、シリコンナノチューブなどのチューブ状の構造を取る物質や、Au、Cu、Agなどの金属ワイヤーを用いることができる。実施例1のアンテナの共振周波数やQ値は、線状導電体の長さや剛性などによって設計することができる。剛性は、線状導電体の構造、直径、材料などに依存する。
第1電極11は平板状であり、その一方の表面において、カーボンナノチューブ10の一端10aが接続されていて、第1電極11の主面に垂直な方向にカーボンナノチューブ10は延伸している。また、第1電極11は可変電源13の負極側に接続している。第1電極11の材料は任意の導電性材料でよい。
第2電極12は、カーボンナノチューブ10の延伸方向に空間を空けて対向して設けられている。カーボンナノチューブ10の先端10bと、第2電極12との間隔はhである。第2電極12の主面に垂直な方向がカーボンナノチューブ10の延伸方向(z軸方向)となるように、第2電極12は配置されている。また、第2電極12は、可変電源13の正極側に接続されている。第2電極12の材料は任意の導電性材料でよく、第1電極11と同一材料でもよい。第2電極12の主面の面積は、カーボンナノチューブ10の最大振幅時においてもトンネル電流を検出できる程度に広ければよい。たとえば、カーボンナノチューブ10の長さの1/5を半径とする円よりも広く取ればよい。なお、カーボンナノチューブ10の先端10bの振動に対して、間隔hが変動するのであれば、第2電極12主面に垂直な方向とカーボンナノチューブ10の延伸方向とを一致させなくともよく、第2電極12主面が平坦ではなく湾曲していてもよい。
カーボンナノチューブ10、第1電極11、および第2電極12は、真空管(図示しない)の中に封入されていることが望ましい。カーボンナノチューブ10に大気中の分子や原子が付着し、あるいは湿度の変化など大気の組成が変化することで、アンテナの共振周波数やQ値、指向性などに影響を与えてしまうのを抑制するためである。真空管内部の圧力はなるべく低い方が望ましく、たとえば1Pa以下とすることが望ましい。より望ましくは10-3Paである。
可変電源13は、負極側が第1電極11、正極側が第2電極12に接続され、第1電極11と第2電極12間に定電圧を印加する。その印加電圧値は可変である。この電圧印加により、カーボンナノチューブ10の先端10bから電子を放出させ、第2電極12とカーボンナノチューブ10の先端10bとの間にトンネル電流を生じさせる。印加電圧値を変えることで、実施例1のアンテナの共振周波数を調整することが可能である。
電流検出器14は、第1電極11と可変電源13の負極側との間に挿入されている。この電流検出器14によって、トンネル電流の強度を検出する。トンネル電流の強度は、カーボンナノチューブ10の先端10bと第2電極12との間隔hに依存し、その間隔hは電磁波の到来に由来する電界強度に依存するため、トンネル電流の強度が分かれば電磁波を検出することができる。
導体板15は、図1のように、2枚の長方形状の導体板15a、bを長辺で直角を成すように接合してL字型の形状としたものである。そして、導体板15a、bの長手方向とカーボンナノチューブ10の延伸方向(z軸方向)、導体板15aの短手方向とy軸方向、および導体板15bの短手方向とx軸方向を揃えて、カーボンナノチューブ10の先端10b近傍に配置されている。また、導体板15aの主面はx軸方向に垂直に、導体板15bの主面はy軸方向に垂直に配置されている。導体板15a、bはカーボンナノチューブ10と空間を空けて配置されており、導体板15aとカーボンナノチューブ10の間隔はxg、導体板15bとカーボンナノチューブ10の間隔はygである。また、導体板15は、可変電源13の正極側に接続されている。導体板15は、任意の導電性材料を用いることができ、第1電極11や第2電極12と同一の材料であってもよい。
なお、実施例1では導体板15と第2電極12は分離しているが、導体板15と第2電極12を接続してもよいし、一体に成形されていてもよい。導体板15と第2電極12とを一体成形とすれば、アンテナの構成がより簡易となる。また、導体板15a、bも分離していてよく、その一方のみが第2電極12と接続していてもよいし、一方のみが第2電極12と一体に成形されていてもよい。また、導体板15a、bは直角を成すようにしているが、角度を成すようにしていればよい。ただし、直角とする方が指向性の制御が容易である。
導体板15は可変電源13の正極側に接続されているため、可変電源13により定電圧が印加されると導体板15には一定量の正電荷が誘導される。一方、カーボンナノチューブ10は第1電極11に接続され、第1電極11は可変電源13の負極側に接続されているため、可変電源13により定電圧が印加されると、カーボンナノチューブ10の先端10bには一定量の負電荷が誘導される。したがって、カーボンナノチューブ10は、導体板15側に向かう方向にクーロン力を受ける。
導体板15a、bの長手方向の長さは任意でよいが、カーボンナノチューブ10の長さの1/2以上とすると、クーロン力がカーボンナノチューブ10全体にかかり、指向性を安定して制御できるので望ましい。同様の理由により、導体板15a、bの短手方向の長さはカーボンナノチューブ10の直径の10倍以上とするのが望ましい。また、同様の理由により、導体板15a、bの短辺は、z軸方向においてカーボンナノチューブ10の先端10bと揃えるか、もしくはカーボンナノチューブ10の先端10bよりも第2電極12側となるように導体板15を配置するのがよい。
導体板15a、bの長手方向とカーボンナノチューブ10の延伸方向は必ずしも揃える必要はないが、指向性を安定して制御するためには揃えることが望ましい。同様の理由により、導体板15a、bの短手方向をカーボンナノチューブ10の延伸方向に垂直な方向に揃えることが望ましい。
次に、実施例1のアンテナの動作について説明する。
基本的な動作原理は、特許文献1および非特許文献1に記載の通りである。すなわち、電磁波16がカーボンナノチューブ10に到来すると、カーボンナノチューブ10の先端10bは電磁波16に由来する電界から力を受ける。電磁波16の周波数がカーボンナノチューブ10の共振周波数である場合、カーボンナノチューブ10は曲がり、その先端10bは物理的に振動する。この振動によってカーボンナノチューブ10の先端10bと第2電極12との間隔hが変化する。可変電源13により第1電極11と第2電圧の間に定電圧を印加すると、電界放出により第2電極12からカーボンナノチューブ10の先端10bにトンネル電流が生じる。このトンネル電流の強度は、カーボンナノチューブ10の先端10bと第2電極12との間隔hに依存するため、カーボンナノチューブ10の先端10bの振動によって間隔hが変化すると、トンネル電流の強度にも変化が生じる。その変化を電流検出器14により検出することで、電磁波16を検出することができる。
カーボンナノチューブ10の先端10bのxy平面内での振動方向は、到来する電磁波に由来する電界方向に依存する。しかし、トンネル電流の強度は、カーボンナノチューブ10の先端10bと第2電極12との間隔hには依存するが、カーボンナノチューブ10の先端10bのxy平面内での振動方向には依存しない。ここで、導体板15を設けない従来のアンテナ(図10に示すアンテナ)では、電磁波16の電界強度が同一であれば、カーボンナノチューブ10の先端10bの振動の振幅は、xy平面内のどの方向であっても等しくなる。したがって、xy平面内のどの方向に電磁波16に由来する電界がかかったとしてもトンネル電流の強度には差異がなく、アンテナ感度はどの方向にも等しくなる。つまり、xy平面内では無指向性を示す。
一方、実施例1のアンテナは、カーボンナノチューブ10の先端10b近傍に、可変電源13による定電圧(正電圧)の印加によって一定量の正電荷が誘導され蓄えられた導体板15が設けられている。また、カーボンナノチューブ10には可変電源13による定電圧(負電圧)の印加によって一定量の負電荷が誘導されている。そのため、カーボンナノチューブ10は導体板15から導体板15方向に向かうクーロン力を受ける。このクーロン力の方向には、カーボンナノチューブ10の先端10bは振動が抑制され、振幅が小さくなる。たとえば、カーボンナノチューブ10がx軸方向にクーロン力を受けている場合、カーボンナノチューブ10の先端10bはx軸方向に振動が抑制され振幅が小さくなる。ただし、クーロン力に直交するy軸方向には影響せず振幅は変わらない。
振動が抑制された方向は、カーボンナノチューブ10の先端10bの振動の振幅が小さくなるため、トンネル電流の強度も低下する。すなわち、振動が抑制された方向のアンテナ感度は低下することになる。
カーボンナノチューブ10先端10bの振動がどの程度抑制されるか(振幅がどれほど低下するか)は、導体板15から受けるクーロン力の大きさによる。クーロン力が大きければ大きいほど振動は強く抑制され、振動の振幅がより小さくなり、アンテナ感度はより低下する。実施例1のアンテナでは、導体板15aとカーボンナノチューブ10の間隔xgと、導体板15bとカーボンナノチューブ10の間隔ygによって、クーロン力の大きさを制御し、カーボンナノチューブ10先端10bの振動抑制の程度を制御している。
実施例1のアンテナでは、導電板15aによってx軸方向、導電板15bによってy軸方向の振動抑制の程度をそれぞれ独立して制御することができる。すなわち、x軸方向のアンテナ感度とy軸方向のアンテナ感度をそれぞれ独立して制御することができる。したがって、実施例1のアンテナは、xy平面内の指向性、すなわち、電磁波16に由来する電界強度のxy平面内での方向依存性を制御することができる。特に、xy平面内の所望の方向にアンテナ感度が最大となり、他の方向はアンテナ感度が低下した指向性を実現することができる。
なお、カーボンナノチューブ10が導体板15から受けるクーロン力によって、カーボンナノチューブ10に曲がりが生じてもかまわない。
図2は、実施例1のアンテナのカーボンナノチューブ10延伸方向に垂直な面内(xy平面)での指向性をシミュレーションにより求めた結果を示したグラフ(極座標グラフ)であり、0〜90°の各角度におけるトンネル電流強度を示すグラフである。トンネル電流強度は、最大値で規格化している。また、角度はx軸方向を0°、y軸方向を90°とする。電磁波16の周波数は100MHzとし、その周波数がカーボンナノチューブ10の共振周波数となるように設計した。
図2のように、xg(導体板15aとカーボンナノチューブ10の間隔)、yg(導体板15bとカーボンナノチューブ10の間隔)の値を変えることで指向性が変化していることが分かる。
xgを200nm、ygを200nmとした場合、xg、ygの値が十分に大きいためカーボンナノチューブ10が導体板15から受けるクーロン力は弱く、カーボンナノチューブ10の先端10bの振動はどの方向にも抑制されない。そのため、アンテナ感度は等方的、つまり無指向性となっている。
xgを100nm、ygを200nmとした場合、xgの値が小さいためカーボンナノチューブ10は導体板15aの方向(x軸方向)に強くクーロン力を受ける。そのため、x軸方向にカーボンナノチューブ10の先端10bは振動しづらくなり、振幅が小さくなってトンネル電流も小さくなる。したがって、θ=0°(x軸方向)のアンテナ感度は低下する。一方、ygの値は大きいため、カーボンナノチューブ10が導体板15b方向(y軸方向)に受けるクーロン力は弱い。そのため、y軸方向はカーボンナノチューブ10の先端10bの振動は抑制されず、トンネル電流も大きい。したがって、θ=90°(y軸方向)に高いアンテナ感度を示す。
xgを200nm、ygを100nmとした場合、ygの値が小さいためカーボンナノチューブ10は導体板15bの方向(y軸方向)に強くクーロン力を受ける。そのため、y軸方向にカーボンナノチューブ10の先端10bは振動しづらくなり、振幅が小さくなってトンネル電流は小さくなる。したがって、θ=90°(y軸方向)のアンテナ感度は低下する。一方、xgの値は十分に大きいため、カーボンナノチューブ10が導体板15a方向(x軸方向)に受けるクーロン力は弱い。そのため、x軸方向はカーボンナノチューブ10の先端10bの振動は抑制されず、トンネル電流も大きい。したがって、θ=0°(x軸方向)に高いアンテナ感度を示す。
xgを100nm、ygを100nmとした場合、xg、ygともに値が小さく等しいため、カーボンナノチューブ10はθ=0°、90°方向に強くクーロン力を受ける。そのため、カーボンナノチューブ10の先端10bはx軸方向、y軸方向ともに振動しづらくなる。その結果、θ=45°方向に感度が最大となる。
このように、実施例1のアンテナでは、導体板15aとカーボンナノチューブ10の間隔xg、および導体板15bとカーボンナノチューブ10の間隔ygを制御することで、カーボンナノチューブ10の延伸方向(z軸方向)に垂直な面内(xy平面内)の指向性を制御可能であることが分かる。特に、xy平面内の所望の方向(θ=0〜90°)に感度が最大となり、他の方向の感度は低い指向性を容易に実現することができる。
実施例2のアンテナは、図3に示すように、実施例1のアンテナにおいて、可変電源23を追加した構成である。可変電源23の正極側は、導体板15に接続されている。可変電源23によって導体板15に印加する電圧値を制御することで、導体板15に誘導される電荷量を制御することができる。カーボンナノチューブ10が導体板15から受けるクーロン力は、導体板15に蓄積された電荷量に比例する。そのため、可変電源23によって導体板15に印加する電圧を制御することで、カーボンナノチューブ10が導体板15から受けるクーロン力の強度を制御することができる。実施例1において説明したように、カーボンナノチューブ10が導体板15から受けるクーロン力によってカーボンナノチューブ10の先端10bの振動は抑制され、クーロン力の大きさが大きいほど強く振動が抑制される。したがって、可変電源23の印加電圧値を制御することで、カーボンナノチューブ10の先端10bの振動抑制の程度を制御することができ、アンテナのxy平面内での指向性を制御することができる。
[変形例]
以下、実施例1、2のアンテナの各種変形例を説明する。
実施例1では、導体板15a、bとカーボンナノチューブ10との間隔xg、ygによって、実施例2では、導体板15への電圧印加によって、カーボンナノチューブ10が導体板15から受けるクーロン力の大きさを制御し、それによってカーボンナノチューブ10先端10bの振動抑制の程度を制御しているが、他の手段によってクーロン力の大きさを制御してもよい。クーロン力の大きさは、導体板15に蓄えられる電荷量、導体板15とカーボンナノチューブ10の間隔、導体板15の形状、面積、導体板15とカーボンナノチューブ10との間の空間の誘電率などによって決まるため、それらを制御することで、クーロン力の大きさを制御することができる。また、導体板15に蓄えられる電荷量は、導体板15の材料、面積、印加される電圧値などによって決まるため、それらを制御することでクーロン力の大きさを制御することができる。たとえば、導体板15とカーボンナノチューブ10の間に誘電体を挿入し、誘電体の誘電率を制御することでクーロン力の大きさを制御してもよい。
また、実施例1、2では、導体板15をL字型に接続された2枚の平板、導体板15a、bとしているが、導体板の形状は所望の指向性に応じて設計してよく、L字型のみならず、平板、半円筒形、1/4円筒形、コの字型などの形状としてもよい。それら複数の導体板をそれぞれ分離独立して設けてもよい。導体板の形状によってカーボンナノチューブ10に係るクーロン力の方向、大きさを制御することができるので、それらを制御することで所望の指向性を実現することができる。
たとえば、図4、7のように、実施例1、2のアンテナにおいて導体板15bを無くして導体板15aのみとした構成としてもよい。x軸方向のアンテナ感度が低下した指向性を実現することができる。また、図5、8のように、実施例1、2のアンテナにおいて導体板15aを無くして導体板15bのみとした構成としてもよい。y軸方向のアンテナ感度が低下した指向性を実現することができる。また、図6のように、実施例1のアンテナにおいて導体板15bの導体板15a接続側とは反対側の長辺で導体板15cを垂直に接合し、全体としてコの字型の形状としてもよい。
また、複数の導体板を分離して設ける場合、各導体板ごとに可変電源を接続し、各導体板に誘導される電荷量を独立して制御できるようにしてもよい。指向性の設計の自由度をより高めることができるとともに、その制御も容易に行うことができる。また、各導体板のうち一部を、第1電極11または第2電極12と接続してもよいし、一体成形としてもよい。
たとえば、図9のように、導体板15aと導体板15bを接続せずに分離して設け、それぞれに可変電源33、34を接続する構成としてもよい。このようにすれば、可変電源33による印加電圧値の制御によって導体板15aの電荷量を制御することで、x軸方向におけるカーボンナノチューブ10の先端10bの振動抑制の程度を制御することができ、可変電源34による印加電圧値の制御によって導体板15bの電荷量を制御することで、y軸方向におけるカーボンナノチューブ10の先端10bの振動抑制の程度を制御することができる。つまり、カーボンナノチューブ10の先端10bの振動抑制の程度をx軸方向、y軸方向でそれぞれ独立して制御することができる。よって指向性の制御が容易となり、また指向性の設計の自由度も高い。
実施例では、カーボンナノチューブ10に帯電される電荷とは反対の極性の電荷を導体板に帯電させることで、カーボンナノチューブ10に導体板方向への引力を発生させているが、カーボンナノチューブ10に帯電される電荷と同一極性の電荷を導体板に帯電させ、カーボンナノチューブ10に導体板方向とは反対方向への斥力を発生させるようにしてもよい。
たとえば、実施例1においては、導体板15を可変電源13の正極側に接続し、正電荷を蓄えるようにしているが、導体板15を可変電源13の負極側に接続し、負電荷を蓄えるようにしてもよい。また、実施例2においては、可変電源23により導体板15に正電圧を印加しているが、負電圧を印加するようにしてもよい。
また、実施例1、2では、カーボンナノチューブ10に負電圧を印加し、第2電極12に正電圧を印加しているが、逆にカーボンナノチューブ10に正電圧を印加し、第2電極12に負電圧を印加してもよい。
また、実施例1、2では、カーボンナノチューブ10を一本としているが、複数本設けて一次元あるいは2次元的に配列することで感度の向上を図ってもよい。
また、実施例では、アンテナの受信動作について説明したが、本発明のアンテナは受信だけでなく電磁波の送信にも利用することができる。
本発明のアンテナは、電磁波の到来方向の検知に利用することができ、また指向性アンテナとして用いることができる。
10:カーボンナノチューブ
11:第1電極
12:第2電極
13、23、33、34:可変電源
14:電流検出器
15、15a、15b:導体板
16:電磁波

Claims (7)

  1. 第1電極と、
    一端が前記第1電極と接続し、所定周波数の電磁波に対して力を受けて、前記一端とは反対側の端部である先端が曲がり、共振する線状導電体と、
    前記線状導電体の先端に空間を空けて対向して設けられた第2電極と、
    前記第1電極と前記第2電極との間に定電圧を印加し、前記線状導電体の先端と前記第2電極との間でトンネル電流を生じさせる第1電源と、
    前記トンネル電流の強度を検出する電流検出器と、
    を有したアンテナであって、
    前記線状導電体の延伸方向に沿って、かつ前記線状導電体から離間して設けられ、定電圧が印加されることで電荷を蓄えた導体板を有する、
    ことを特徴とするアンテナ。
  2. 前記導体板は、平板状の第1導体板と、前記第1導体板とは角度を成して接続された平板状の第2導体板とで構成されたL字型の形状である、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  3. 前記導体板は、前記第1電源に接続されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ。
  4. 前記第1電極と前記第2電極の一方と前記導体板は一体成形されている、ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ。
  5. 前記導体板に接続され、前記導体板に定電圧を印加する第2電源を有し、前記第2電源は、印加する電圧値を可変とする可変電源である、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアンテナ。
  6. 前記導体板は、平板状の第1導体板と、前記第1導体板とは分離し、かつ前記第1導体板とは角度を成して設けられた平板状の第2導体板とで構成され、前記第1導体板および前記第2導体板にそれぞれ接続され、定電圧を印加する第3電源および第4電源を有し、前記第3電源および前記第4電源は、印加する電圧値を可変とする可変電源である、ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ。
  7. 前記線状導電体は、カーボンナノチューブ、シリコンナノチューブまたはBNナノチューブであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のアンテナ。
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