JP2017000956A - 水素水製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶存酸素の量が少ない高品質な水素水を、効率よく、かつ安全に製造できる装置を提供する。【解決手段】水素水製造装置1は、溶存酸素を含む原料水を供給する原料水供給部11と、原料水の圧力以上に昇圧された原料水素を供給する原料水素供給部12と、原料水供給部11から供給された原料水と、原料水素供給部12から供給された原料水素とを接触させて、原料水素が原料水に溶解した水素溶解水を作製する水素溶解部13と、水素溶解水に溶存する酸素と水素とを反応させる反応部14と、反応部14における酸素と水素との反応を経て得られた水素水を装置1外へ提供する水素水提供部16と、を備える。【選択図】図1
Description
本開示は、水素水製造装置に関する。
近年、燃料電池車及び家庭用燃料電池の普及により、水素インフラが整備されつつある。また、水素ガスの吸引や水素水の飲水による各種医療効果が期待されており、水素インフラを用いた水素ガスや、それにより製造される水素水の活用が予測される。水素は高価であり、かつ可燃性ガスであるため、水素水を製造する場合には、効率よく、かつ安全に製造することが求められる。例えば特許文献1には、水素水の製造が可能な装置が開示されている。また、水に酸素が混入すると、その各種医療効果が低下するといわれている。そこで、例えば特許文献2には、酸素除去のために水素ガスを水に溶解させることが開示されている。
特許文献1に開示されている装置は、水の電解槽から発生する水素の圧力を適宜制御して水素水を製造する装置である。しかし、この装置は制御パラメータが多く複雑であり、高効率に水素水を製造できない。さらに、得られる水素水は電解液の水素水となる。また、特許文献2は、酸素の除去のため水素が必要と開示しているだけであり、高効率な方法を開示していない。
そこで、本開示は、溶存酸素の量が少ない高品質な水素水を、効率よく、かつ安全に製造できる装置を提供することを目的とする。
本開示は、
溶存酸素を含む原料水を供給する原料水供給部と、
前記原料水の圧力以上に昇圧された原料水素を供給する原料水素供給部と、
前記原料水供給部から供給された前記原料水と、前記原料水素供給部から供給された前記原料水素とを接触させて、前記原料水素が前記原料水に溶解した水素溶解水を作製する水素溶解部と、
前記水素溶解水に溶存する酸素と水素とを反応させる反応部と、
前記反応部における酸素と水素との反応を経て得られた水素水を装置外へ提供する水素水提供部と、
を備えた、水素水製造装置を提供する。
溶存酸素を含む原料水を供給する原料水供給部と、
前記原料水の圧力以上に昇圧された原料水素を供給する原料水素供給部と、
前記原料水供給部から供給された前記原料水と、前記原料水素供給部から供給された前記原料水素とを接触させて、前記原料水素が前記原料水に溶解した水素溶解水を作製する水素溶解部と、
前記水素溶解水に溶存する酸素と水素とを反応させる反応部と、
前記反応部における酸素と水素との反応を経て得られた水素水を装置外へ提供する水素水提供部と、
を備えた、水素水製造装置を提供する。
本開示の水素水製造装置によれば、溶存酸素の量が少ない高品質な水素水を、効率よく、かつ安全に製造できる。
本開示の第1の態様に係る水素水製造装置は、溶存酸素を含む原料水を供給する原料水供給部と、前記原料水の圧力以上に昇圧された原料水素を供給する原料水素供給部と、前記原料水供給部から供給された前記原料水と、前記原料水素供給部から供給された前記原料水素とを接触させて、前記原料水素が前記原料水に溶解した水素溶解水を作製する水素溶解部と、前記水素溶解水に溶存する酸素と水素とを反応させる反応部と、前記反応部における酸素と水素との反応を経て得られた水素水を装置外へ提供する水素水提供部と、を備える。
第1の態様に係る水素水製造装置によれば、昇圧された原料水素を原料水に溶解させることができるので、原料水の溶存酸素との反応によって失われる水素量を考慮して、必要十分な量の水素を原料水に効率良く溶解させることができる。したがって、大気中に放出される水素の量も低減されるので、安全に水素水を製造できる。さらに、反応部によって酸素と水素との反応を促進させることにより、得られる水素水は溶存酸素の量が少ない高品質な水素水となる。このように、第1の態様に係る水素水製造装置によれば、溶存酸素の量が少ない高品質な水素水を、効率よく、かつ安全に製造できる。
第2の態様において、例えば、第1の態様に係る水素水製造装置では、前記原料水供給部は、原料水供給ポンプと、前記水素溶解部に供給される前記原料水の流量を調整する原料水流量調整弁とを含んでおり、前記原料水素供給部は、原料水素供給ポンプと、前記水素溶解部に供給される前記原料水素の流量を調整する原料水素流量調整弁とを含んでおり、前記反応部は、前記反応によって得られた反応水の流量を調整する反応水流量調整弁を含んでおり、前記水素水提供部は、前記水素水の流量を調整する水素水流量調整弁を含んでおり、前記水素溶解部は、前記反応部と一体的に形成されて、前記水素溶解部における前記水素溶解水の収容部分と前記反応部における前記水素溶解水の収容部分とが連通しており、前記原料水供給ポンプ、前記原料水流量調整弁、前記原料水素供給ポンプ、前記原料水素流量調整弁、前記反応水流量調整弁及び前記水素水流量調整弁により、前記水素溶解部における前記原料水の圧力PW及び前記原料水素の圧力PHと、前記水素水提供部における前記水素水の圧力PWFとが調整されてもよい。
第2の態様に係る水素水製造装置によれば、より効率よく、溶存酸素の量が少ない高品質な水素水を製造できる。
第3の態様において、例えば、第1又は第2の態様に係る水素水製造装置では、前記原料水提供部において前記原料水として用いられる水の圧力PW0、前記水素溶解部における前記原料水の圧力PW、前記水素溶解部における前記原料水素の圧力PH、前記水素溶解部において前記原料水素が到達する最高圧力として設定される所定圧力PH1及び前記水素水提供部における水素水の圧力PWFが、
PH1≧0.651PW0+PWF(kgf/cm2) (式1)
PW≧PH≧PHF≧1(kgf/cm2) (原料水供給時) (式2)、及び
PW≧PHF≧1(kgf/cm2) (水素水提供時) (式3)
を満たしてもよい。
PH1≧0.651PW0+PWF(kgf/cm2) (式1)
PW≧PH≧PHF≧1(kgf/cm2) (原料水供給時) (式2)、及び
PW≧PHF≧1(kgf/cm2) (水素水提供時) (式3)
を満たしてもよい。
第3の態様に係る水素水製造装置によれば、過剰な水素を供給しないので、より効率よく、かつより安全に、溶存酸素の量が少ない高品質な水素水を製造できる。
第4の態様において、例えば、第1〜第3の態様のいずれか1つの態様に係る水素水製造装置の前記反応部は、酸素と水素との反応用の触媒を含んでもよい。
第4の態様に係る水素水製造装置によれば、反応部において酸素と水素とを十分に反応させることができるので、より溶存酸素の量が少ないより高品質な水素水を製造できる。
第5の態様において、例えば、第1〜第4の態様のいずれか1つの態様に係る水素水製造装置の前記水素溶解部が前記反応部を兼ねてもよい。
第5の態様に係る水素水製造装置によれば、反応部を別途設ける必要がないため、装置の小型化及び低コスト化が可能となる。
第6の態様において、例えば、第1〜第5の態様のいずれか1つの態様に係る水素水製造装置では、
前記反応部における前記反応によって得られた反応水の流路において、前記水素水提供部よりも上流側に設けられた、前記反応水における過剰溶解水素を回収する水素回収部をさらに備えており、
前記水素回収部は、前記反応水と接する空間を前記水素溶解部における水素圧力よりも減圧することによって、前記過剰溶解水素を回収してもよい。
前記反応部における前記反応によって得られた反応水の流路において、前記水素水提供部よりも上流側に設けられた、前記反応水における過剰溶解水素を回収する水素回収部をさらに備えており、
前記水素回収部は、前記反応水と接する空間を前記水素溶解部における水素圧力よりも減圧することによって、前記過剰溶解水素を回収してもよい。
第6の態様に係る水素水製造装置によれば、過剰に溶解した水素を回収できるので、大気に放出される水素量をより少なくすることができ、より安全に、溶存酸素の量が少ないより高品質な水素水を製造できる。
第7の態様において、例えば、第6の態様に係る水素水製造装置では、前記水素回収部で回収された回収水素は、前記水素溶解部における水素の圧力よりも高い圧力に昇圧されて、前記水素溶解部に供給されてもよい。
第7の態様に係る水素水製造装置によれば、水素回収部で回収された水素を原料水素として再利用できるので、より効率良く、溶存酸素の量が少ない高品質な水素水を製造できる。
第8の態様において、例えば、第7の態様に係る水素水製造装置が、前記水素回収部と前記水素溶解部との間に配置された回収水素供給ポンプ及び回収水素流量調整弁をさらに備えており、前記回収水素が、前記回収水素供給ポンプによって前記水素溶解部における水素の圧力よりも高い圧力に昇圧されて、前記回収水素流量調整弁を介して前記水素溶解部に供給されてもよい。
第8の態様に係る水素水製造装置によれば、より効率よく、溶存酸素の量が少ない高品質な水素水を製造できる。
以下、本開示の水素水製造装置の一実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態は一例であり、本開示は以下の形態に限定されない。
本実施形態の水素水製造装置の一例を、図1に示す。図1に示す水素水製造装置1は、原料水供給部11と、原料水素供給部12と、水素溶解部13と、反応部14と、水素回収部15と、水素水提供部16とを備える。
原料水供給部11は、溶存酸素を含む原料水を水素溶解部13に供給する。原料水供給部11は、原料水供給ポンプ111と、原料水流量調整弁112とを含んでいる。原料水は、原料水供給ポンプ111により、原料水流量調整弁112を介して水素溶解部13に供給される。原料水には、例えば水道水を用いることができる。
原料水素供給部12は、水素溶解部13内における原料水の圧力以上に昇圧された原料水素を水素溶解部13に供給する。原料水素供給部12は、原料水素供給ポンプ121と原料水素流量調整弁122とを含んでいる。原料水素は、原料水素供給ポンプ121により、原料水素流量調整弁122を介して水素溶解部13に供給される。
水素溶解部13は、原料水及び原料水素を収容可能な容器131を備えており、さらに、内部の原料水素の圧力を検出する圧力センサ(図示せず)及び内部の原料水の水位を検出する水位センサ(図示せず)等の必要な装置も備えている。水素溶解部13は、原料水供給部11から供給された原料水と、原料水素供給部12から供給された原料水素とを接触させて、原料水素が原料水に溶解した水素溶解水を作製する。なお、容器131の材料及び形状等は特には限定されず、原料水及び水素を安定的に収容できるものであればよい。
反応部14は、水素溶解部13で作製された水素溶解水に溶存する酸素と水素とを反応させる。反応部14は、酸素と水素との反応用の触媒を含んでいてもよい。より具体的には、図1に示す例のように、反応部14の水素溶解水と接する面の少なくとも一部に、触媒として機能する金属及び/又は金属酸化物(触媒141)が配置されていてもよい。触媒141には貴金属を用いてもよい。より具体的には、触媒141には、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、金、白金、ニッケル、パラジウム等を用いることができる。また、他の例として、反応部14自体が触媒として機能する金属及び/又は金属酸化物で形成されていてもよい。この場合、反応部14を、例えばステンレス、アルマイト又はガラス等で全部もしくは少なくとも表面(薄膜)を形成してもよい。反応部14は、さらに、水素と酸素との反応によって得られた反応水の流量を調整する反応水流量調整弁142を含んでいてもよい。
反応部14の水素溶解水と接する面が、例えばハニカム状等の表面積を増加させる形状を有していてもよい。これにより、触媒141と水素溶解水との接触面積を増加させることができるので、酸素と水素との十分な反応を実現できる。
反応部14は、図1に示す構成のように、水素溶解部13と一体的に形成されていてもよい。すなわち、反応部14の水素溶解水の収容部分と、水素溶解部12の水素溶解水の収容部分とが連通していてもよい。図1に示す構成の場合、原料水供給ポンプ111、原料水流量調整弁112、原料水素供給ポンプ121、原料水素流量調整弁122及び反応水流量調整弁142と、さらに後述の水素水流量調整弁161とにより、水素溶解部13における原料水の圧力PW及び原料水素の圧力PHと、水素回収部15における水素圧力PHFと、水素水提供部16における水素水の出口圧PWFとが調整され得る。
水素回収部15は、反応部14における酸素と水素との反応によって得られた反応水の流路において、水素水提供部16よりも上流側に設けられている。水素回収部15は、反応水に過剰に溶解した水素(過剰溶解水素)を回収する。水素回収部15は、反応水を収容可能な容器151を含んでおり、その容器151内において反応水と接する空間を水素溶解部13における水素圧力よりも減圧することによって、過剰溶解水素を回収することができる。
水素回収部15で回収された回収水素は、水素溶解部13における水素の圧力よりも高い圧力に昇圧されて、水素溶解部13に供給されてもよい。回収水素を水素溶解部13に供給する場合、水素水製造装置1は、例えば、図1に示すように、水素回収部15と水素溶解部13との間に配置された回収水素供給ポンプ17及び回収水素流量調整弁18を備えていてもよい。水素水製造装置1がこのような構成を有する場合、回収水素は、回収水素供給ポンプ17によって水素溶解部13における水素の圧力よりも高い圧力に昇圧されて、回収水素流量調整弁18を介して水素溶解部13に供給される。
なお、図1には、水素水製造装置1が水素回収部15、回収水素供給ポンプ17及び回収水素流量調整弁18を備えた例を示しているが、水素水製造装置1はこれらの構成を必ずしも備える必要はない。
水素水提供部16は、反応部14による酸素と水素との反応を経て、さらに、水素回収部15が設けられている場合は水素回収部15で過剰溶解水素が回収されて得られた水素水を、装置1の外へ提供する。水素水提供部16は、水素水を提供するための水素水流量調整弁161を備えている。
次に、水素水製造装置1の動作を、図2A〜図2Eに示す装置の模式図と、図3に示すフローチャートとを参照しながら説明する。
初期状態について説明する(図2A参照)。水素水製造装置1の初期状態では、水素溶解部13の容器131に原料水と原料水素とが入っている。原料水に水道水を用いる場合、水素溶解部13の容器131内には、水道水の圧力と同じ圧力で原料水と原料水素とが入っている。すなわち、初期状態において、水素溶解部13における原料水の圧力PWは、原料水として用いられる水の圧力(原料水に水道水が用いられる場合は、水道水の圧力)PW0と同じであり、さらに水素溶解部13における原料水素の初期圧力PH0もPWOと同じである(PW=PW0=PH0)。初期状態では、全てのポンプ111,121,17は停止しており、かつ全ての調整弁112,122,142,161,18は閉鎖されている。
水素溶解部13で原料水に原料水素を溶解させるために、まず、原料水供給部11の原料水供給ポンプ111が起動し、かつ原料水流量調整弁112が開いて、原料水が水素溶解部13に供給される(図2B参照、図3のS1)。このとき、原料水素流量調整弁122及び反応水流量調整弁142は閉鎖されたままであるため、水素溶解部13の容器131の内部に原料水が供給されることにより、容器131内において水素が占める体積が減少する。その結果、容器131内の原料水素の圧力PHが初期圧力PH0から上昇し、さらに原料水の圧力PWも上昇する。
容器131内の水素の圧力PHが所定圧力(水素溶解部13において原料水素が到達する最高圧力として設定される圧力)PH1に達したこと(PH=PH1)が圧力センサによって検知されたとき(図3のS2)、原料水供給部11の原料水供給ポンプ111が停止し、かつ原料水流量調整弁112が閉鎖されて、水素溶解部13への原料水の供給が停止される(図3のS3)。この状態で、水素溶解部13において原料水素が原料水に溶解し、水素溶解水が作製される(図2C参照)。
次に、水素水が必要になったとき(図3のS4)、原料水素供給ポンプ121が起動し、かつ原料水素流量調整弁122が開いて、原料水素が水素溶解部13へ供給される(図2D参照、図3のS5)。さらに、反応水流量調整弁142及び水素水流量調整弁161が開放されて、水素溶解部13に供給される原料水素により、水素溶解部13の容器131内の水素溶解水が反応部14及び水素回収部15へと押し出される(図2D参照、図3のS5)。なお、供給される原料水素の圧力は、水素溶解水から水素が放出されないように、例えばPH1以上とするとよい。水素溶解部13から押し出された水素溶解水は、反応部14を経由する。したがって、反応部14で水素溶解水に溶存していた酸素と溶解させた水素とが反応して、水が生成される。その結果、反応後に得られる反応水は、溶存していた酸素が減少した水となる。
また、水素回収部15の容器151では、反応水と接する空間の圧力は、例えば水素水提供部16における水素水の出口圧PWFと同じであり、反応水と接する空間における水素圧力PHFは、水素溶解部13の水素溶解時の水素圧力PH1よりも減圧されている。したがって、水素回収部15で、反応水に過剰に溶解している水素(過剰溶解水素)が反応水から放出されて回収される。回収された水素は、回収水素供給ポンプ17が起動し、かつ回収水素流量調整弁18が開放されることにより、水素溶解部13に送られて再利用される(図2D、図3のS5)。
過剰溶解水素が回収された後の反応水は、水素が飽和状態の水素水として、水素水提供部16から装置1の外部へと排出される。
水素溶解部13の容器131から水素溶解水が押し出されて、水位センサによって容器131内の水位が所定位置以下に下がったことが検知されたときに(図3のS6)、回収水素供給ポンプ17が停止し、水素水流量調整弁161及び回収水素流量調整弁18が閉鎖され、さらに、原料水流量調整弁112が開放されて水素溶解部13への原料水供給が再開される(図2E、図3のS7)。水素溶解部13の容器131内の水及び水素の圧力が初期状態と同じに戻ったら(図3のS8)、水素水製造装置1の他の全てのポンプ111,121が停止し、かつその時点で開放されている全ての調整弁112,122,142が閉鎖されて(図3のS9)、図2Aに示す初期状態に戻る。なお、ここでは、水素溶解部13の容器131内の水位によって初期状態に戻すことが決定される例について説明した。しかし、他の方法、例えば水素溶解部13の容器131内の水素圧力の低下を検知することによって、初期状態に戻すタイミングを決定することも可能である。なお、この水素圧力の低下は、水素溶解水の押し出しによって容器131内の水位が下がって、容器131内の水素が反応部14及び水素回収部15にまで流れ出たことによって生じる。
次に、水素溶解部13で原料水素を原料水に溶解させる際の水素の圧力について、さらに図2C及び図2Dを参照しながら説明する。
水に対する酸素の溶解度は、25℃、1.0kgf/cm2で、0.0285NmL/mL−水である。また、水に対する水素の溶解度は、25℃、1.0kgf/cm2で、0.0175NmL/mL−水である。
原料水供給部11から水素溶解部13に供給される原料水の溶存酸素量は、原料水として用いられる水の圧力PW0(kgf/cm2)からヘンリーの法則に従って求めると、0.0285×0.2×PW0=0.0057PW0(NmL/mL−水)となる。なお、ここでは、原料水が、原料水の圧力PW0と同じ圧力を有する空気(酸素:20vol%)と接する状態にあったため、原料水にはその空気の酸素分圧に応じて決定される酸素量が溶解しているとの想定の下、溶存酸素量を算出している。
また、酸素は、O2+2H2→2H2Oの反応式に沿って水素と反応する。したがって、溶存酸素を除去するのに必要な溶存水素量は、0.0114PW0(NmL/mL−水)となる。
さらに、水素溶解部13の水素溶解時の水素圧力PH1(kgf/cm2)と、水素回収部15の水素圧力PHF(kgf/cm2)とから、ヘンリーの法則に従って過剰水素溶解量は次式で示され、これが0以上であれば、理論上は原料水の酸素をほぼ完全に除去できると考えられる。なお、上述のとおり、水素回収部15の水素圧力PHF(kgf/cm2)は、水素水提供部16における水素水の出口圧PWFとほぼ同じであると想定される。
過剰水素溶解量(NmL/mL−水)
=(水素溶解部での溶解水素量)−(溶存酸素を除去するのに必要な水素量)
−(水素回収部での溶存水素量)
=0.0175PH1−0.0114PW0−0.0175PHF
=0.0175PH1−0.0114PW0−0.0175PWF≧0
過剰水素溶解量(NmL/mL−水)
=(水素溶解部での溶解水素量)−(溶存酸素を除去するのに必要な水素量)
−(水素回収部での溶存水素量)
=0.0175PH1−0.0114PW0−0.0175PHF
=0.0175PH1−0.0114PW0−0.0175PWF≧0
したがって、
PH1≧0.651PW0+PWF(kgf/cm2) (式1)
PW≧PH≧PHF≧1(kgf/cm2) (原料水供給時) (式2)、及び
PW≧PHF≧1(kgf/cm2) (水素水提供時) (式3)
となり、水素溶解部13の、水素溶解時の水素圧力をこの圧力より大きい圧力に設定すれば、酸素の溶存が少ない、高品質の水素水を提供できる。
PH1≧0.651PW0+PWF(kgf/cm2) (式1)
PW≧PH≧PHF≧1(kgf/cm2) (原料水供給時) (式2)、及び
PW≧PHF≧1(kgf/cm2) (水素水提供時) (式3)
となり、水素溶解部13の、水素溶解時の水素圧力をこの圧力より大きい圧力に設定すれば、酸素の溶存が少ない、高品質の水素水を提供できる。
本開示の水素水製造装置は、図1に示した水素水製造装置1に限定されない。他の実施形態として、例えば、図4に示すような、水素溶解部が反応部を兼ねた構成を有する水素水製造装置2が挙げられる。水素水製造装置2は、水素溶解部23が反応部を兼ねた構成を有している。例えば、水素溶解部23の容器231の内壁上の、少なくとも水素溶解水が達する位置から下側の部分の一部又は全体に、水素と酸素との反応用の触媒232が担持されることによって、水素溶解部23の容器231の内壁が反応部として機能してもよい。触媒232には、水素と酸素との反応用の触媒として機能する金属及び/又は金属酸化物を用いることができる。触媒232に貴金属を用いてもよい。より具体的には、触媒232には、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、金、白金、ニッケル、パラジウム等を用いることができる。また、水素溶解部23の容器231自体が触媒として機能する金属及び/又は金属酸化物で形成されていてもよい。容器231自体を触媒として機能させる場合は、容器231を、例えばステンレス、アルマイト又はガラスで全部もしくは少なくとも表面(薄膜)を形成してもよい。
水素溶解部23の容器231の内壁が、例えばハニカム状等の表面積を増加させる形状を有していてもよい。これにより、触媒232と水素溶解水との接触面積を増加させることができるので、酸素と水素との十分な反応を実現できる。
水素水製造装置2の水素溶解部23以外の構成は、水素水製造装置1の水素溶解部13及び反応部14以外の構成とそれぞれと同じであるため、ここでは各構成の詳細な説明を省略する。また、水素水製造装置2の動作についても、水素溶解水における酸素と水素との反応が水素溶解部23で十分に起こることを除き、水素水製造装置1と同じであるため、ここでは動作についての詳細な説明も省略する。
本開示の水素水製造装置を用いた水素水製造方法では、溶存酸素を含む原料水に加圧された水素を溶解させて水素溶解水を作製し、前記水素溶解水において酸素と水素とを反応させて反応水を得て、前記反応水と接する水素を減圧し、前記反応水に過剰に溶解している水素を前記反応水から放出させて水素水を得る。このような方法によれば、溶存酸素量が低減され、さらに水素がほぼ飽和状態である水素水を提供することができる。
以下、本開示の水素水製造装置の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施例では、図1に示す水素水製造装置1と同じ構成を有する装置を準備した。準備された装置において、水素溶解部13の容器131及び水素回収部15の容器151の容量は500cc((100mm×100mm×50mm)であった。原料水には圧力4.0kgf/cm2の水道水を用い(PW0=4.0kgf/cm2)、水素水提供部16における水素水の出口圧PWFは1.5kgf/cm2であった。
初期状態、すなわち図2Aに示された状態では、水素溶解部13に原料水(圧力4.0kgf/cm2)が体積200cc、原料水素(圧力4.0kgf/cm2)が体積300cc入っていた。次に、原料水供給部11より、圧力4.0kgf/cm2で水素溶解部13への原料水の供給が開始された(図2B参照)。このとき、容器131は原料水供給部11との連通部以外は密閉されているので容器131内の水素の圧力が上昇し、それに対応して供給される原料水の圧力もさらに大きくして注水した。そして、水素溶解部13の水素圧力PHが所定圧力PH1の6.0kgf/cm2となったときに、原料水提供部11からの原料水の供給を停止した(図2C参照)。このときの水素溶解部13の容器131における原料水の体積は300ccであり、圧力は6.0kgf/cm2であった。また、水素溶解部13の容器131における原料水素の体積は200ccであった。
本実施例において、原料水の溶存酸素を除去するために必要な水素を原料水に溶解させるための水素圧力PH1は、原料水として用いられる水道水の圧力PW0=4.0kgf/cm2、水素水提供部16における水素水の出口圧PWF=1.5kgf/cm2とすると、上記(式1)より、PH1≧0.651Pw0+PWF=4.1(kgf/cm2)となる。したがって、本実施例では、原料水中の溶存酸素を除去するために必要な水素を十分に溶解させることが可能であった。
次に、原料水素供給部12より水素溶解部13への原料水素の供給を開始して、水素溶解部13の水素圧力PHをPH1=6.0kgf/cm2に維持しつつ、反応水流量調整弁142を開放して水素溶解水を水素溶解部13の容器131から押し出した(図2D参照)。このとき、水素溶解水が反応部14を通過することにより、水素溶解水に溶存していた酸素と溶解させた水素とが十分に反応し、溶存酸素が除去された。得られた反応水は水素回収部15に供給された。水素回収部15を減圧して水素圧力PHFを1.5kgf/cm2とすることで、反応水に過剰に溶解した水素が回収された。このときの、過剰水素量は、過剰水素溶解量=0.00175PH1−0.00114PW0−0.00175PWF=0.003315(NmL/mL−水)であった。一方、提供される水素水の溶存水素量は、水素回収部での溶存水素量=0.00175PWF=0.002625(NmL/mL−水)であった。このように、本実施例では、水素水の溶存水素量以上の水素を回収できることになり、これを昇圧(1.5→6kgf/cm2)して水素溶解部13に戻すことで、水素の有効利用も可能であった。
そして、水素溶解部13での水素溶解水の水位が所定位置以下となったときに、水素溶解部13への原料水素の供給を停止して、さらに反応水流量調整弁142、水素水流量調整弁161及び回収水素流量調整弁18を閉鎖した。なお、水素溶解部13での水位が所定位置以下となったとき、水素溶解部13中の水素が反応部14を介して水素回収部15にまで流れ出て、水素溶解部13の容器131内の水素が減圧された。したがって、装置1は図2Aに示す初期状態に戻った。このサイクルにより、本実施例では、溶存酸素が低減された高品質の水素水が100cc製造された。
本開示の水素水製造装置によれば、各種医療効果が期待されている水素水を、安価で簡単に製造できるだけでなく、酸素の含有量が低減された高品質の水素水の提供が可能となる。さらに、本開示の水素水製造装置は、過剰な水素を大気中に放出しないので、水素水を安全に製造できる。したがって、本開示の水素水製造装置は、産業上の利用の可能性が極めて高いといえる。
1,2 水素水製造装置
11 原料水提供部
111 原料水供給ポンプ
112 原料水流量調整弁
12 原料水素提供部
121 原料水素供給ポンプ
122 原料水素流量調整弁
13 水素溶解部
131 容器
14 反応部
141 触媒
142 反応水流量調整弁
15 水素回収部
151 容器
16 水素水提供部
161 水素水流量調整弁
17 回収水素供給ポンプ
18 回収水素流量調整弁
23 水素溶解部
231 容器
232 触媒
11 原料水提供部
111 原料水供給ポンプ
112 原料水流量調整弁
12 原料水素提供部
121 原料水素供給ポンプ
122 原料水素流量調整弁
13 水素溶解部
131 容器
14 反応部
141 触媒
142 反応水流量調整弁
15 水素回収部
151 容器
16 水素水提供部
161 水素水流量調整弁
17 回収水素供給ポンプ
18 回収水素流量調整弁
23 水素溶解部
231 容器
232 触媒
Claims (8)
- 溶存酸素を含む原料水を供給する原料水供給部と、
前記原料水の圧力以上に昇圧された原料水素を供給する原料水素供給部と、
前記原料水供給部から供給された前記原料水と、前記原料水素供給部から供給された前記原料水素とを接触させて、前記原料水素が前記原料水に溶解した水素溶解水を作製する水素溶解部と、
前記水素溶解水に溶存する酸素と水素とを反応させる反応部と、
前記反応部における酸素と水素との反応を経て得られた水素水を装置外へ提供する水素水提供部と、
を備えた、水素水製造装置。 - 前記原料水供給部は、原料水供給ポンプと、前記水素溶解部に供給される前記原料水の流量を調整する原料水流量調整弁とを含んでおり、
前記原料水素供給部は、原料水素供給ポンプと、前記水素溶解部に供給される前記原料水素の流量を調整する原料水素流量調整弁とを含んでおり、
前記反応部は、前記反応によって得られた反応水の流量を調整する反応水流量調整弁を含んでおり、
前記水素水提供部は、前記水素水の流量を調整する水素水流量調整弁を含んでおり、
前記水素溶解部は、前記反応部と一体的に形成されて、前記水素溶解部における前記水素溶解水の収容部分と前記反応部における前記水素溶解水の収容部分とが連通しており、
前記原料水供給ポンプ、前記原料水流量調整弁、前記原料水素供給ポンプ、前記原料水素流量調整弁、前記反応水流量調整弁及び前記水素水流量調整弁により、前記水素溶解部における前記原料水の圧力PW及び前記原料水素の圧力PHと、前記水素水提供部における前記水素水の圧力PWFとが調整される、
請求項1に記載の水素水製造装置。 - 前記原料水提供部において前記原料水として用いられる水の圧力PW0、前記水素溶解部における前記原料水の圧力PW、前記水素溶解部における前記原料水素の圧力PH、前記水素溶解部において前記原料水素が到達する最高圧力として設定される所定圧力PH1及び前記水素水提供部における水素水の圧力PWFが、
PH1≧0.651PW0+PWF(kgf/cm2) (式1)
PW≧PH≧PHF≧1(kgf/cm2) (原料水供給時) (式2)、及び
PW≧PHF≧1(kgf/cm2) (水素水提供時) (式3)
を満たす、
請求項1又は2に記載の水素水製造装置。 - 前記反応部は、酸素と水素との反応用の触媒を含む、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素水製造装置。 - 前記水素溶解部が前記反応部を兼ねる、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素水製造装置。 - 前記反応部における前記反応によって得られた反応水の流路において、前記水素水提供部よりも上流側に設けられた、前記反応水における過剰溶解水素を回収する水素回収部をさらに備えており、
前記水素回収部は、前記反応水と接する空間を前記水素溶解部における水素圧力よりも減圧することによって、前記過剰溶解水素を回収する、
請求項1〜5のいずれか1項に記載の水素水製造装置。 - 前記水素回収部で回収された回収水素は、前記水素溶解部における水素の圧力よりも高い圧力に昇圧されて、前記水素溶解部に供給される、
請求項6に記載の水素水製造装置。 - 前記水素回収部と前記水素溶解部との間に配置された回収水素供給ポンプ及び回収水素流量調整弁をさらに備えており、
前記回収水素は、前記回収水素供給ポンプによって前記水素溶解部における水素の圧力よりも高い圧力に昇圧されて、前記回収水素流量調整弁を介して前記水素溶解部に供給される、
請求項7に記載の水素水製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015117295A JP2017000956A (ja) | 2015-06-10 | 2015-06-10 | 水素水製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2015117295A JP2017000956A (ja) | 2015-06-10 | 2015-06-10 | 水素水製造装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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Family
ID=57751160
Family Applications (1)
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JP2015117295A Pending JP2017000956A (ja) | 2015-06-10 | 2015-06-10 | 水素水製造装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2017000956A (ja) |
-
2015
- 2015-06-10 JP JP2015117295A patent/JP2017000956A/ja active Pending
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