JP2016539658A - テンポリンSHaのアナログおよびその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、新規な抗微生物ペプチドに、該ペプチドを含む医薬組成物に、およびそれらの使用に、特に抗微生物薬、殺菌剤、殺虫剤または保存剤としての使用に関する。本発明はまた、新規な該ペプチドを発現するトランスジェニック植物にも関する。

Description

本発明は、新規な抗微生物ペプチドに、該ペプチドを含む医薬組成物に、およびそれらの使用に、特に薬剤、殺菌剤、保存剤、殺虫剤またはバイオフィルム形成を防止する剤としての使用に関する。
抗生物質の耐性が細菌間で進化し、蔓延することは、特に多剤耐性菌株が出現している病院では現代における公衆の健康上の大きな問題である。徹底した研究による努力はこれらの耐性菌株に対して効果的な新規な抗生物質の開発をもたらした。にも拘わらず、これらの薬剤を用いることで、その耐性機構が出現し、その効能が制限される。
この環境に鑑みて、抗微生物ペプチド(AMP)は新たな治療剤を設計するのに極めて有望であると思われる。カチオン性抗微生物ペプチドは多細胞生物の先天的免疫系の重要な構成成分の一つであり、病原に拮抗する一次防御を提供すると考えられる。その一方で、これらのペプチドへの関心は、多剤耐性菌により惹起される感染の治療において特にその使用を可能とする活性の極めて広域なスペクトルにある。次に、その活動モードは微生物膜の浸透化または迅速な分画化に基づくものであり、かくして耐性機構の発展に至るものではないようである。
特に、AMPは細菌性バイオフィルムに対する薬剤候補として多くの関心を引き付けた。バイオフィルムは、互いにくっついて、自己生産性マトリックス中に埋め込まれるコミュニティを形成する細菌である。バイオフィルム細菌は、その自由生活性カウンターパートよりも耐性がずっと大きく、治療が困難な、嚢胞性線維症、心内膜炎、膀胱炎に感染した患者の慢性感染、留置性医学装置により引き起こされる感染および虫歯および歯周炎に関連する歯垢形成などの種々の病態に関与する。バイオフィルムの抗生物質に対する耐性は、主として、かかるコミュニティでの細菌の遅い成長速度、および低い代謝活性によるため、AMPの使用は魅力的な治療方法であると考えられ、その活動モードのために、成長の遅い、または全く成長しない細菌にも作用する可能性が高い。
抗微生物ペプチドは、植物、昆虫、両生類および哺乳動物にて確認されている。両生類の皮膚は抗微生物ペプチドの主要な供給源に相当し、全種類のカエルは一般に10〜15種のAMPからなるその特異的ペプチドレパートリーを有する。
アカガエル科のカエルはその種類が非常に多く、この科は今では16属および338種を数える。これらのカエルは、13のファミリーに分類される、著しく多様性のあるAMPを合成して分泌する(Conlonら、2008および2009)。かかるファミリーの一つである、テンポリンは、小型(一般に、10〜14個の残基)のAMPを含み、その配列は種類によって大きく変化する。テンポリンファミリーのうちで100より多くの構成員が同定されている。これらのテンポリンは、例えば、ヨーロッパアカガエル(Rana temporaria)(Simmacoら、1996)、アカガエル(Rana esculenta)(Simmacoら、1990)、ニホンアカガエル(Rana japonica)(Isaacsonら、2002)、ヤマアカガエル(Rana ornativentris)(Kimら、2001)およびヨーロッパトノサマガエル(Pelophylax (Rana) saharica)(Abbassiら、2008; Abbassiら、2010; Abbassiら、2013)などの数種のラナ(Rana)種より単離された。
アカガエル科の他の12のファミリーのペプチドと異なり、テンポリンは、ジスルフィド結合により環化されるC−末端ヘプタペプチドドメインである、「Ranaボックス」モチーフを欠く(Mangoni、2006)。さらには、テンポリンの多数は、単一の塩基性残基を有し、生理学的pHで+2の実効電荷を付与する。一般に、テンポリンは、グラム陰性菌および酵母に対して特に活性であるが、抗真菌特性(Rollins-Smithら、2003)も、そしてあるものは、抗ウイルス特性(Chincharら、2004)も示す。
北アフリカ(North African)ガエル(Pelophylax saharica)の皮膚より単離されたテンポリンSHaが、リーシュマニア症の原因となるリーシュマニア属(genus Leishmania)に属する原生生物に対して駆虫薬活性を示すことが判明した(Abbassiら、2008)。この知見に基づき、αへリックスの極性面にある1または複数のアミノ酸を塩基性アミノ酸で置換することにより改善された抗微生物活性を示すテンポリンのアナログが得られた(WO 2010/106293)。しかしながら、その毒性、特にその溶血作用は、該アナログが全身投与されるとした場合に、それが治療を目的として使用されるのに障壁を構成することとなる。
従って、強い抗微生物活性を示すと同時に、哺乳動物細胞に対する毒性が大きく減少した、改善された抗微生物ペプチドに対する多大な期待が今なお存在する。
本発明は、抗微生物活性の増加および溶血作用の減少を示す、新規な抗微生物ペプチドである、テンポリンSHaのアナログを提供することを目的とする。
従って、本発明は、13〜100個のアミノ酸を含む大きさであって、抗微生物活性を示し、配列:F−L−X−G−I−X−G−X−L−G−K−L−X(配列番号:2)(ここで、XはR、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XはV、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XはM、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、およびXはF、L、IおよびWからなる群より選択されるアミノ酸である:ただしXがVである場合、その時にはXはK、RおよびHからなる群より選択され、および/またはXはL、IおよびWからなる群より選択される)を含むペプチド、ならびに該ペプチドの機能的誘導体および医薬的に許容される塩に関する。
好ましくは、XはKを表し、XはVおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XはMおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、およびXはF、LおよびWからなる群より選択されるアミノ酸である。
特に、該ペプチドは、
F−L−K−G−I−K−G−M−L−G−K−L−F(配列番号:3);
F−L−K−G−I−V−G−K−L−G−K−L−F(配列番号:4);
F−L−K−G−I−V−G−M−L−G−K−L−L(配列番号:5);
F−L−K−G−I−V−G−M−L−G−K−L−W(配列番号:6);
F−L−K−G−I−V−G−M−L−G−K−L−I(配列番号:7);
F−L−K−G−I−K−G−M−L−G−K−L−L(配列番号:8);
F−L−K−G−I−K−G−M−L−G−K−L−W(配列番号:9);
F−L−K−G−I−K−G−M−L−G−K−L−I(配列番号:10);
F−L−K−G−I−V−G−K−L−G−K−L−W(配列番号:11);
F−L−K−G−I−V−G−K−L−G−K−L−L(配列番号:12);
F−L−K−G−I−V−G−K−L−G−K−L−I(配列番号:13);
F−L−K−G−I−K−G−K−L−G−K−L−F(配列番号:14);
F−L−K−G−I−K−G−K−L−G−K−L−L(配列番号:15);
F−L−K−G−I−K−G−K−L−G−K−L−W(配列番号:16);および
F−L−K−G−I−K−G−K−L−G−K−L−I(配列番号:17)
からなる群より選択される配列を含む、または該配列からなるペプチドからなる群より選択されてもよい。
好ましくは、該ペプチドは、配列番号:3〜6、8、9、11、12、および14〜16の配列からなる群より選択される配列を含むか、または該配列からなる。より好ましくは、該ペプチドは、配列番号:3〜6、および8の配列からなる群より、さらにより好ましくは、配列番号:3、5および6の配列からなる群より選択される配列を含むか、または該配列からなる。
もう一つ別の態様において、本発明は、本発明のペプチドをコードする核酸、該核酸を含む発現カセットまたは発現ベクターに関する。本発明はさらには、該核酸、発現カセットまたは発現ベクターを含む宿主細胞に関する。
本発明はまた、本発明のペプチドに特異的に結合する抗体にも関する。
さらなる態様において、本発明は、本発明の少なくとも1つのペプチド、および医薬的に許容される支持体および/または賦形剤を含む、医薬組成物に関する。
本発明はさらには、薬剤として用いる本発明に係るペプチドに関する。好ましくは、該薬剤は細菌、ウイルス、真菌または寄生虫により惹起される感染を治療するものとする。好ましくは、寄生虫はリーシュマニア属に属し、小児リーシュマニアであることが好ましい。
さらに別の態様において、本発明は、本発明に係るペプチドの殺菌剤、保存剤または殺虫剤としての使用に関する。
もう一つ別の態様において、本発明は、本発明に係るペプチドで被覆されるか、または該ペプチドを含む、少なくとも1の表面を有する本体を含む、医療装置またはインプラントに関する。
最終の態様において、本発明は、本発明に係るものであって、本発明に係るペプチドを発現しうる、あるいは発現している核酸、カセットまたは発現ベクターを含む、トランスジェニック植物に関する。
テンポリンSHaのαヘリックスのシッファー−エドモンソン(Schiffer-Edmunson)突出部を示す。残基4、11、7、3および10は該ヘリックスの極性面を構成する。残基8、1、12、5、9、2、13および6は該ヘリックスの非極性面を構成する。 テンポリンSHaおよびアナログの一次構造および物理化学特性を示す。すべてのペプチドはC−末端でアミド化される(a)。アミノ酸残基の修飾(置換および欠失)は親ペプチドのテンポリンSHaとの関連で太文字で示される。太文字の横線は欠失(−)に相当する。実効電荷はpH7.4で算定された。平均疎水性(<H>)および平均相対的疎水性モーメント(<μH>)をHydroMCalc(http://www.bbcm.univ.trieste.it/〜tossi/HydroCalc/HydroMCalc.html)を用いてCCSスケール(Combined Consensus hydrophobicity Scale)で算定した。 本発明のテンポリンSHaおよびアナログのシッファー−エドモンソン突出部を示す。ヘリカルホイールをHeliQuest(http://heliquest.ipmc.cnrs.fr)を用いて図示した。「N」および「C」は、各々、N−末端およびC−末端を表す。非極性および極性/中性/荷電の残基が示され、アミノ酸の体積に比例して円形で図示される。疎水性モーメントベクター(<μH>)も(矢印で)示される。すべてのペプチドはヘリカルホイールの対面に位置する疎水性および親水性/塩基性残基の2つの十分に分離されたクラスターを有する両親媒性構造を明確に取り入れる。 テンポリンSHaおよびテンポリンSHaの置換または短縮されたアナログの抗微生物活性および細胞毒性活性を示す。抗生物質耐性のスタフィロコッカス・アウレウス菌株(エス・アウレウスATCC43300およびATCC BAA−44)に対する活性も示される。ND:測定せず;a:メチシリンおよびオキサシリンに対して耐性であり;b:メチシリン、アモキシリン/クラブラン酸、セファロチン、シプロフロキサシン、エリスロマイシン、ゲンタマイシン、イミペネム、オキサシリン、ペニシリン、トラサイクリン、アンピシリン、ドキシサイクリン、アジスロマイシン、セフトリアゾン、クリンダマイシン、リンコマイシン、ペフロキサシン、リファンピンおよびトブラマイシンに対して耐性である。 テンポリンSHaの置換されたアナログの抗微生物活性および細胞毒性活性を示す。ND:測定せず
テンポリンSHa(これまではテンポリン−1Saとして知られる)は北アフリカガエルであるペロフィラックス・サハリカ(Pelophylax saharica)(Abbassiら、2008)の皮膚より単離された。このテンポリンは50残基の前駆体(ジンバンクデータベース番号:CAO77282)を翻訳後に成熟化させることにより得られる。この前駆体は、シグナルペプチドと、酸性残基に富む領域とを含有する保存性の高いN−末端ドメイン、ならびにテンポリンSHaの先祖配列を含有する超可変性C−末端ドメインを有する。インビボにおいて、テンポリンの成熟形態は、i)先祖配列に先んずるKRダブレットをタンパク質分解に付して切断し、ii)C−末端のK残基をカルボキシペプチダーゼの作用により先祖配列から排除し、およびiii)テンポリンのC−末端残基を、アミド基のドナー(ペプチジル−グリシンα−アミド化モノオキシゲナーゼの基質)として供する、先祖配列のC−末端のG残基によりアミド化して得られる。成熟タンパク質は長さが13個のアミノ酸で、F−L−S−G−I−V−G−M−L−G−K−L−F(配列番号:1)の配列を有するペプチドである。テンポリンは水溶液中で構造化されないが、膜擬似環境にてαヘリカル構造を取り入れる。
該ペプチドは、グラム陽性およびグラム陰性菌、酵母および寄生虫の小児リーシュマニア(Leishmania infantum)(Abbassiら、2008)に対して抗微生物活性を示す。テンポリンSHaの抗寄生虫作用は、前鞭毛型および無菌性無前鞭毛型の両方の形態の寄生虫に対して、各々、18.1μMおよび22.8μMのIC50で生じる。
AMPを最適化するのに生じる主たる問題は、その抗微生物活性およびその細胞溶解活性が数種のパラメータ(カチオン性、疎水性、α−ヘリックス性および両親媒性を含むパラメータ)間の微妙な平衡を反映することである(Giangasperoら、2001;Yeamanら、2003;Dennisonら、2005)。これらのパラメータは極めて密接にリンクしており、アミノ酸残基を置換するだけでペプチドの数種の物理化学特性の同時修飾を誘発しうる(Conlonら、2007)。
これまでの研究にて、本発明者らは、テンポリンSHaのα−ヘリックスの極性面の1または複数のアミノ酸を塩基性アミノ酸と置換することで、抗微生物活性の増加したテンポリンのアナログが得られることが分かった。特に、該発明者らは、配列番号:1のテンポリンSHaの残基3を塩基性アミノ酸、すなわち、H、RまたはKで置換することで、グラム陽性およびグラム陰性菌、酵母および小児リーシュマニアに対する活性が増加することを証明した。
本発明者らは、意外にも、該テンポリンSHaアナログのα−ヘリックスの非極性面の1または複数のアミノ酸をさらに置換することで、抗微生物活性を保持しながら、細胞溶解活性を大きく減少させることを見出した。
定義
本明細書において、「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」なる語は、互換的に利用され、ペプチド結合により連結したアミノ酸の鎖をいい、その鎖を形成するアミノ酸の数は関係ない。
本明細書に記載のペプチド配列において、アミノ酸は、次の命名に従って、C:システイン;D:アスパラギン酸;E:グルタミン酸;F:フェニルアラニン;G:グリシン;H:ヒスチジン;I:イソロイシン;K:リジン;L:ロイシン;M:メチオニン;N:アスパラギン;P:プロリン;Q:グルタミン;R:アルギニン;S:セリン;T:トレオニン;V:バリン;W:トリプトファンおよびY:チロシンの1文字コードで表される。
位置またはアミノ酸との関係で、本明細書にて使用される「置換」なる語は、特定の位置にあるアミノ酸がもう一つ別のアミノ酸により置換されていること、あるいは野生型ペプチド(配列番号:1)のアミノ酸と異なるアミノ酸が存在することを意味する。
本明細書にて使用される「保存的置換」なる語は、一のアミノ酸残基が、類似する化学的または物理的特性(大きさ、電荷または極性)を有するもう一つ別の残基により置換されることをいう。一例として、イソロイシン、ロイシン、アラニンおよびバリンは、(i)リジン、ヒスチジンおよびアルギニン、または(ii)セリンおよびトレオニン、または(iii)システインおよびメチオニン、または(iv)アスパラギンおよびグルタミン、または(v)トリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニン、または(vi)アスパラギン酸およびグルタミン酸と同様に、相互に保存的に置換されてもよい。
本明細書にて使用される「微生物」なる語は、細菌、真菌、酵母、ウイルスおよび/または寄生虫をいう。
本明細書にて使用される「微生物感染」なる語は、細菌、真菌、酵母、ウイルスおよび/または寄生虫により引き起こされる感染をいう。
本明細書にて使用される「抗微生物活性」なる語は、抗菌、抗ウイルス、抗真菌、および/または抗寄生虫活性をいう。該活性は、IC50またはMICなどの異なるパラメータを測定することで評価されてもよい。
「IC50」または「最大半減阻害濃度」は微生物の母集団のインビトロにおける増殖を半分にまで減少させるのに必要とされる物質の濃度である。
「MIC」または「最小阻害濃度」は、一般には37℃で、その試験物質の存在下でインキュベートしてから18時間後に微生物の増殖を完全に阻害するであろうその物質の最低濃度である。
本明細書にて使用される「致死濃度の50%」または「LC50」なる語は、母集団の半分を殺すのに必要とされる物質の濃度をいう。LC50は物質の毒性の定量的インジケータである。特に、LC50は本明細書にてAMPの細胞溶解活性を評価するのに使用され、この場合には、細胞母集団の半分を溶解するように誘発するペプチドの濃度に相当する。
第1の態様において、本発明は、αヘリックスの極性面の残基3、および非極性面の残基6、8および/または13が置換されているテンポリンSHaのペプチドアナログに関する(図1および2を参照のこと)。特に、該アナログにおいて、残基3、6および8は塩基性アミノ酸で置換される。
従って、本発明は、抗微生物活性を示し、配列:F−L−X−G−I−X−G−X−L−G−K−L−X(配列番号:2)(ここで、XはR、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XはV、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XはがM、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、そしてXはF、L、IおよびWからなる群より選択されるアミノ酸である:ただし、XがVである場合、その時にはXはK、RおよびHからなる群より選択され、および/またはXはL、IおよびWからなる群より選択される)を含む、あるいは該配列からなるテンポリンSHaのペプチドアナログ、ならびに該ペプチドの機能的誘導体および医薬的に許容される塩に関する。
特定の実施態様において、XがKで、XがVで、XがKである場合、その時にはXはL、IおよびWからなる群より選択され、XがKで、XがKで、XがMである場合、その時にはXはF、IおよびWからなる群より選択される。
好ましくは、XはKを表し、XはVおよびKからなる群より選択され、XはMおよびKからなる群より選択され、そしてXはF、LおよびWからなる群より選択される。
一の実施態様によれば、本発明のペプチドは、
F−L−X−G−I−X−G−M−L−G−K−L−F(配列番号:18)、
F−L−X−G−I−V−G−X−L−G−K−L−F(配列番号:19)、
F−L−X−G−I−V−G−M−L−G−K−L−X(配列番号:20)、
F−L−X−G−I−X−G−X−L−G−K−L−F(配列番号:21)、
F−L−X−G−I−X−G−M−L−G−K−L−X(配列番号:22)、
F−L−X−G−I−V−G−X−L−G−K−L−X(配列番号:23)および
F−L−X−G−I−X−G−X−L−G−K−L−X(配列番号:2)
(ここで、X、XおよびXは、同一または異なり、R、HおよびKからなる群より選択され、そしてXはI、LおよびWからなる群より、好ましくはLおよびWからなる群より選択される)
からなる群より選択される配列を含むか、または該配列からなる。
好ましい実施態様において、X、XおよびXは、配列番号:2および18ないし23において、Kを表す。好ましくは、Xは、配列番号:2、20、22および23において、Lを表す。
特定の実施態様によれば、ペプチドは、
F−L−K−G−I−K−G−M−L−G−K−L−F(配列番号:3)、
F−L−K−G−I−V−G−K−L−G−K−L−F(配列番号:4)、
F−L−K−G−I−V−G−M−L−G−K−L−L(配列番号:5)、
F−L−K−G−I−V−G−M−L−G−K−L−W(配列番号:6)、
F−L−K−G−I−V−G−M−L−G−K−L−I(配列番号:7)、
F−L−K−G−I−K−G−M−L−G−K−L−L(配列番号:8)、
F−L−K−G−I−K−G−M−L−G−K−L−W(配列番号:9)、
F−L−K−G−I−K−G−M−L−G−K−L−I(配列番号:10)、
F−L−K−G−I−V−G−K−L−G−K−L−W(配列番号:11)、
F−L−K−G−I−V−G−K−L−G−K−L−L(配列番号:12)、
F−L−K−G−I−V−G−K−L−G−K−L−I(配列番号:13)、
F−L−K−G−I−K−G−K−L−G−K−L−F(配列番号:14)、
F−L−K−G−I−K−G−K−L−G−K−L−L(配列番号:15)、
F−L−K−G−I−K−G−K−L−G−K−L−W(配列番号:16)および
F−L−K−G−I−K−G−K−L−G−K−L−I (配列番号:17)
からなる群より選択される配列を含むか、または該配列からなる。
好ましくは、該ペプチドは、配列番号:3〜6、8、9、11、12および14〜16の配列からなる群より選択される配列を含むか、または該配列からなる。
より好ましくは、該ペプチドは、配列番号:3〜6および8の配列からなる群より選択される配列を含むか、または該配列からなり、さらにより好ましくは、配列番号:3、5および6の配列からなる群より選択される配列を含むか、または該配列からなる。
一の実施態様によれば、該ペプチドは、13個と100個との間の大きさのアミノ酸、好ましくは13個と30、35、40、45または50個との間の大きさのアミノ酸である。もう一つ別の実施態様によれば、該ペプチドは、13個と15、20または25個との間の大きさのアミノ酸である。特定の実施態様において、該ペプチドは大きさが13個のアミノ酸である。
本発明に係るペプチドは、成熟した抗微生物ペプチドの先駆体であり得る。該先駆体は、次に、AMPの成熟形態に至る翻訳後修飾を受ける。このように、該先駆体は転座シグナル配列を含んでもよく、該先駆体がこれらの翻訳後修飾を受けることを可能とするように認識および/または切断部位を含んでもよい。特定の実施態様によれば、該ペプチドは成熟した抗微生物ペプチドの先駆体であり、配列:F−L−G−T−I−N−L−S−L−C−E−Q−E−R−D−A−D−E−E−E−R−R−D−E−P−N−E−S−N−V−E−V−E−K−R−F−L−X−G−I−X−G−X−L−G−K−L−X−G−K(配列番号:24)(ここで、XはR、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XはV、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XはM、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、そしてXはF、I、LおよびWからなる群より選択されるアミノ酸である;ただし、XがVである場合、その時にはXはK、RおよびHからなる群より選択され、および/またはXはL、IおよびWからなる群より選択される)を含む。
本発明のペプチドを構成するアミノ酸は、L配置であっても、D配置であってもよく、好ましくはL配置である。
本発明に係るペプチドは、翻訳後修飾および/または化学修飾、特に糖鎖形成、アミド化、アシル化、アセチル化またはメチル化がなされてもよい。
ペプチドのペプチダーゼに対する耐性を改善することによってその生物学的利用能を向上させるために、保護基をC−および/またはN−末端に付加してもよい。例えば、N−末端での保護基はアシル化またはアセチル化したものであってもよく、C−末端での保護基はアミド化またはエステル化したものであってもよい。好ましくは、本発明のペプチドは、C−末端のアミド化、およびN−末端のアセチル化、ならびにその組み合わせからなる群より選択される保護基を含む。プロテアーゼの作用はまた、D配置のアミノ酸を用いることで、ジスルフィド結合、ラクタム環またはC−およびN−末端の間に結合を形成することによりペプチドを環化することで遮断されてもよい。本発明のペプチドはまた、「典型的な」CONHペプチド結合に取って代わり、ペプチダーゼに対する耐性を増大させる擬ペプチド結合、例えばCHOH−CH2、NHCO、CH2−O、CH2CH2、CO−CH2、N−N、CH=CH、CH2NHおよびCH2−Sを含んでもよい。好ましい実施態様において、本発明に係るペプチドはそのC−末端でアミド化されている。
本発明に係るペプチドは、希アミノ酸である1または複数のアミノ酸、特にヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、6−N−メチルリジン、N−エチルグリシン、N−メチルグリシン、N−エチルアスパラギン、アロイソロイシン、N−メチルイソロイシン、N−メチルバリン、ピログルタミン、アミノ酪酸;または合成アミノ酸、特にオルニチン、ノルロイシン、ノルバリンおよびシクロヘキシルアラニンを含んでもよい。
本発明はまた、上記されるような、本発明に係るペプチドの機能的誘導体を包含する。本明細書中に使用されるような「機能的誘導体」なる語は、実質的に同じアミノ酸配列であり、実質的に同じらせん構造を有し、そして実質的に同じ抗微生物活性を有するペプチドをいう。該機能的誘導体は、例えば、レトロペプチド、レトロインベルソペプチド、保存的置換のあるペプチド、その1または複数のアミノ酸の側鎖が本発明のペプチドの抗微生物活性を修飾しない基によって置換されているペプチドであってもよい。「機能的誘導体」なる語はまた、その配列がC−末端および/またはN−末端で1、2、3または4個のアミノ酸により、好ましくはN−末端で1または2個のアミノ酸により短縮された本発明に係るペプチドをいう。
特定の実施態様において、「機能的誘導体」なる語は、レトロまたはレトロインベルソペプチド、好ましくはレトロインベルソペプチド、および/またはそのN−末端で1または2個のアミノ酸により短縮された配列を含む、またはその配列からなる本発明に係るペプチド、すなわち、L−X−G−I−X−G−X−L−G−K−L−X(配列番号:25)またはX−G−I−X−G−X−L−G−K−L−X(配列番号:26)(ここで、X、X、XおよびXは上記の実施態様に記載されているのと同じ意義を有する)をいう。
本発明はまた、抗微生物活性を示し、配列:X−X−I−V−X−M−L−X−K−L−F(配列番号:27)またはL−X−X−I−V−X−M−L−X−K−L−F(配列番号:28)(ここで、XはS、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、X、XおよびXは、同一または異なり、G、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XがSである場合、残基X、XおよびXのうち少なくとも1つはR、HおよびKからなる群より選択される)を含むか、または該配列からなる、テンポリンSHaのペプチドアナログ、あるいは該ペプチドの機能的誘導体および医薬的に許容される塩に関する。
好ましい実施態様において、XはR、HおよびKからなる群より選択される、好ましくはKであるアミノ酸であり、X、XおよびXはGを表す。
特定の実施態様において、ペプチドは、配列:X−X−I−V−X−M−L−X−K−L−F(配列番号:27)を含むか、または該配列からなる。好ましくは、この実施態様において、XはR、HおよびKからなる群より選択される、好ましくはKであるアミノ酸であり、X、XおよびXはGを表す。
本発明はまた、本発明に係るペプチドの医薬的に許容される塩を包含する。医薬的に許容される塩は、製薬技法にて一般に利用される、例えば、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸およびリン酸などの医薬的に許容される鉱酸の塩;酢酸、クエン酸、マレイン酸、リンゴ酸、コハク酸、アスコルビン酸および酒石酸などの医薬的に許容される有機酸の塩;ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムまたはアンモニウムの塩などの医薬的に許容される無機塩基の塩;または塩形成性窒素を含有する有機塩基の塩であってもよい。該塩を調製する方法は当業者に周知である。
発明に係るペプチドは、典型的な化学合成(固相または均一液相における合成)により、または酵素合成(Kullmanら、1987)により得られてもよい。下記に示されるように、ペプチドをコードする導入遺伝子を含む宿主細胞を培養し、該宿主細胞から、または該ペプチドを分泌した培地から該ペプチドを抽出することからなる方法により得られてもよい。
本発明に係るペプチドは抗微生物活性を示し、テンポリンSHaと比べて減少した細胞溶解活性を示す。
好ましくは、本発明に係るペプチドは細胞溶解活性を全く示さないか、ほとんど示さない。特に、本発明のペプチドは、赤血球について30μMよりも大きなLC50を、好ましくは40、50、100、200、500、600、800μMよりも大きなLC50を有し得る。LC50値は、例えば、ラット、イヌ、ウサギ、ブタ、ネコまたはヒトの白血球について、好ましくはラットまたはヒトの赤血球について、より好ましくはラットの赤血球について得られてもよい。
細胞毒性の減少に加えて、本発明のペプチドは、少なくとも1つの細菌、ウイルス、真菌または寄生虫系統に対して、テンポリンSHaの抗微生物活性と好ましくは同等またはそれよりも優れた活性を有する。
本発明はまた、本発明に係るペプチドをコードする核酸に関する。
本発明の精神において、「核酸」はDNAまたはRNAに基づくいずれの分子も意味するものと解される。これらは、合成または半合成の組換え分子であってもよく、可能な限りベクターに増幅されても、クローン化されてもよく、化学的に修飾されてもよく、例えば、修飾結合、修飾プリンまたはピリミジン塩基または修飾糖を含む非天然の塩基または修飾ヌクレオチドを含んでもよい。
本発明に係る核酸は、DNAおよび/またはRNA、一本鎖または二本鎖の形態であってもよい。好ましい実施態様によれば、該核酸は当業者に周知の組換え技法により合成された単離DNA分子である。
本発明に係る核酸は、本発明に係るペプチドの配列から推定されてもよく、核酸が転写されるはずの宿主細胞に応じてコドン使用が適合されてもよい。これらの工程は当業者に周知の方法(そのうちのいくつかの方法がSambrookらの参考マニュアル(Sambrookら、2001)に記載される)に従って実施されてもよい。
本発明はさらには、その発現に必要とされる配列に作動的に連結した本発明に係る核酸を含む発現カセットに関する。特に、核酸は宿主細胞におけるその発現を可能とするプロモータの制御下にあってもよい。一般に、発現カセットは、転写を開始させるプロモータ、本発明に係る核酸、および転写ターミネータから構成されるか、またはそれらを含む。「発現カセット」なる語は、作動可能に連結した、コード領域および制御領域を含む核酸構築物を意味する。「作動可能に連結した」なる語は、コード配列(関心のある遺伝子)の発現および/またはコード化ペプチドの標的化が転写プロモータおよび/またはシグナルペプチドの制御下にあるように因子が組み合わされることを意味する。典型的には、プロモータ配列は、関心のある遺伝子の上流で、その遺伝子から発現の制御に適合する、一定の距離で置かれる。同様に、シグナルペプチドの配列は、一般に、関心のある遺伝子の配列の上流で、いずれかのプロモータの下流にて、その後者と同じ読み枠にて融合される。スペーサ配列は、それらが発現および/または標的化の妨げとならない限り、制御因子と遺伝子の間に存在してもよい。好ましい実施態様において、該発現カセットはプロモータと作動可能に連結する配列を活性化する少なくとも1つの「エンハンサ」を含む。
本発明はまた、本発明に係る核酸または発現カセットを含む、発現ベクターに関する。該発現ベクターは宿主細胞を形質転換するのに使用されてもよく、本発明の核酸の該細胞における発現を可能とする。
ベクターは、DNAまたはRNAであっても、円形であってもなくてもよく、一本鎖または二本鎖であってもよい。有利には、プラスミド、ファージ、ファージミド、ウイルス、コスミドおよび人工染色体より選択される。
有利には、発現ベクターは本発明に係る核酸の発現を可能とする制御因子を含む。これらの因子は、例えば、転写プロモータ、転写アクチベータ、ターミネータ配列、開始および終止コドンを含有してもよい。該因子を、その発現が望まれる宿主細胞に従って、選択する方法は当業者に周知である。
ベクターはまた、例えば、抗生物質耐性遺伝子または宿主細胞ゲノムより欠失した個々の遺伝子の相補性を提供する選択可能な遺伝子などの、宿主細胞中でその選択を可能とする因子を含有してもよい。かかる因子は当業者に周知であり、文献に広く記載される。
形質転換される宿主細胞が植物細胞である場合、発現ベクターは好ましくは植物ベクターである。植物ベクターの例が文献に記載されており、特にエイ・ツメファシエンス(A. tumefaciens)のT−DNAプラスミド、pBIN19(Bevan、1984)、pPZP100(Hajdukewiczら、1994)、pCAMBIAシリーズ(R.Jefferson, CAMBIA, Australia)を含む。本発明のベクターはさらに、複製起源および/または選択可能なマーカー遺伝子および/または植物組換え配列を含んでもよい。
ベクターは当業者に周知の分子生物学の典型的技法により構築されてもよい。
本発明は、細胞を形質転換または形質移入するために、本発明に係る核酸、発現カセットまたは発現ベクターを用いることに関する。宿主細胞は一過的または安定した方法にて形質転換/形質移入されてもよく、核酸、カセットまたはベクターがエピソームの形態にて、または染色体の形態にて細胞中に含まれてもよい。
本発明は、本発明に係る核酸、カセットまたは発現ベクターを含む宿主細胞に関する。
一の実施態様によれば、宿主細胞は、微生物、好ましくは細菌または酵母のものである。
もう一つ別の実施態様において、宿主細胞は動物細胞、例えばCOSまたはCHO細胞などの哺乳動物細胞である(米国特許第4,889,803号;米国特許第5,047,335号)。特定の実施態様において、細胞はヒト以外の動物の胚と関係しない細胞である。
さらにもう一つ別の実施態様において、宿主細胞は植物細胞である。本明細書中で利用されるような「植物細胞」なる語は、植物より由来のいずれの細胞もいい、カルス細胞などの未分化の組織、および胚子、植物のパーツ、草花または種子などの分化した組織を構成してもよい。
本発明はまた、本発明に係る抗微生物ペプチドを産生する方法であって、細胞を本発明に係る核酸、発現カセットまたは発現ベクターで形質転換または形質移入し;その形質移入/形質転換した細胞を培養し;該細胞により産生されたペプチドを回収することを含む方法に関する。組換えペプチドを産生する方法は当業者に周知である。例えば、不死化ヒト細胞株の産生についてはWO01/70968に、植物の産生についてはWO2005/123928に、そしてトランスジェニック動物のミルクの生成については米国2005−229261に記載される具体的な方法を引用してもよい。
本発明はまた、本発明に係る抗微生物ペプチドを産生する方法であって、本発明に係る核酸、カセットまたは発現ベクターを、無細胞発現系とも称される、インビトロ発現系に挿入し、そして該系により産生されたペプチドを回収することを含む方法に関する。多くのインビトロまたは無細胞発現系は商業的に入手可能であり、該系の使用は当業者に周知である。
本発明はさらには、薬剤として、特に微生物感染、すなわち細菌、ウイルス、真菌または寄生虫による感染を治療するための薬剤としての、本発明に係るペプチドに関する。本発明はまた、薬剤としての、本発明に係る核酸、カセットまたはベクターにも関する。薬剤は医学的または獣医学的に使用するものとする。
微生物感染は、寄生虫、特にリーシュマニア(Leishmania)またはトリパノソーマ(Trypanosoma)属による感染であってもよい。
一の実施態様において、微生物感染は、リーシュマニア属から由来の寄生虫による感染である。感染は皮膚リーシュマニア症、皮膚粘膜リーシュマニア症または内臓リーシュマニア症であってもよい。寄生虫はリーシュマニア・エチオピカ、アマゾンリーシュマニア、リーシュマニア・アラビカ、リーシュマニア・アリステデス、ブラジルリーシュマニア、小児リーシュマニア、リーシュマニア・コロンビエンシス、リーシュマニア・デアネイ、ドノバンリーシュマニア、リーシュマニア・エンリエッチイ、リーシュマニア・エクアトレンシス、リーシュマニア・フォラッチニイ、リーシュマニア・ガーンハミ、リーシュマニア・ゲルビリ、ギアナリーシュマニア、リーシュマニア・ヘレリ、リーシュマニア・ヘルチギ、リーシュマニア・キリッキ、リーシュマニア・ラインソニ、森林型熱帯リーシュマニア、メキシコリーシュマニア、リーシュマニア・ナイッフィ、リーシュマニア・パナメンシス、リーシュマニア・ペルビアナ、リーシュマニア・ピファノイ、リーシュマニア・シャーウィ、リーシュマニア・ツラニカ、熱帯リーシュマニアおよびリーシュマニア・ベネズエレンシスからなる群より選択されてもよい。好ましくは、該寄生虫は小児リーシュマニア、ドノバンリーシュマニア、メキシコリーシュマニア、アマゾンリーシュマニア、森林型熱帯リーシュマニア、熱帯リーシュマニア、ブラジルリーシュマニア、ギアナリーシュマニア、リーシュマニア・パナメンシスおよびリーシュマニア・ペルビアナからなる群より選択される。特に好ましくは、該寄生虫は小児リーシュマニア、ドノバンリーシュマニア、森林型熱帯リーシュマニア、熱帯リーシュマニア、アマゾンリーシュマニア、リーシュマニア・キリッキおよびブラジルリーシュマニアからなる群より選択される。最も好ましくは、該感染は寄生虫の小児リーシュマニアによる感染である。
もう一つ別の実施態様において、微生物感染は、トリパノソーマ属から由来の寄生虫による感染である。寄生虫は、トリパノソーマ・アビウム、ブルーストリパノソーマ、クルーズトリパノソーマ、コンゴトリパノソーマ、トリパノソーマ・エクイナム、トリパノソーマ・エクイペルダム、トリパノソーマ・エバンシ、ルーイストリパノソーマ、トリパノソーマ・メロファギウム、トリパノソーマ・ペルカエ、ランゲルトリパノソーマ、トリパノソーマ・ロタトリウム、トリパノソーマ・シミアエ、トリパノソーマ・スイス、トリパノソーマ・タイレリ、トリパノソーマ・トリグラエおよびトリパノソーマ・ビバックスからなる群より選択されてもよい。好ましくは、寄生虫はブルーストリパノソーマ、クルーズトリパノソーマおよびコンゴトリパノソーマからなる群より選択される。
微生物感染はグラム陰性菌によるものであってもよい。特に、グラム陰性菌は、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)およびシュードモナス(Pseudomonas)、サルモネラ(Salmonella)、アシネトバクター(Acinetobacter)またはクレブシエラ(Klebsiella)属から由来の細菌からなる群より選択されてもよい。好ましくは、グラム陰性菌は、エシェリキア・コリ、シュードモナス・エルギノーサ、サルモネラ・エンテリカ、アシネトバクター・バウマンニおよびクラブシエラ・ニューモニエからなる群より選択される。
微生物感染はグラム陽性菌によるものであってもよい。特に、グラム陰性菌は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、リステリア(Listeria)またはエンテロコッカス(Enterococcus)属から由来の細菌からなる群より選択されてもよい。好ましくは、グラム陽性菌は、スタフィロコッカス・アウレウス、ストレプトコッカス・ピオゲネス、リステリア・イバノビおよびエンテロコッカス・フェカリスからなる群より選択される。
微生物感染はまた、真菌によるものであってもよい。特に、真菌は、カンジダ(Candida)またはアスペルギルス(Aspergillus)属からのものであってもよい。例えば、真菌はカンジダ・アルビカンスおよびカンジダ・パラプローシスからなる群より選択されてもよい。
特定の実施態様において、本発明のペプチドは、嚢胞性線維症、心内膜炎、膀胱炎、留置性医療装置により惹起される感染、歯垢形成または歯周炎などのバイオフィルム形成に関連する細菌感染を治療するのに使用される。
本発明は抗微生物剤としての本発明に係るペプチドに関する。本発明はまた、抗微生物剤としての本発明に係る核酸、カセットまたはベクターに関する。
本発明は、特に微生物感染の間の、免疫系刺激剤としての本発明に係るペプチドに関する。本発明はまた、免疫系刺激剤としての本発明に係る核酸、カセットまたはベクターに関する。本発明の特定の実施態様によれば、本発明に係るペプチドには化学走性がある。該ペプチドは免疫細胞の感染部位への動員を誘発し、感染に対する免疫応答の効能を向上させる。
本発明は、少なくとも1つの本発明に係るペプチドと、医薬的に許容される支持剤および/または賦形剤とを含む、あるいは本質的にそれらからなる医薬組成物に関する。特に、該医薬組成物は、1、2、3、4または5種の本発明に係るペプチドと、医薬的に許容される支持剤および/または賦形剤とを含んでもよく、あるいはそれらから構成されてもよい。
本発明はまた、少なくとも1つの本発明に係る核酸、カセットまたはベクターと、医薬的に許容される支持剤および/または賦形剤とを含む、あるいは本質的にそれらからなる医薬組成物に関する。
本発明に係る組成物において使用され得る医薬的に許容される賦形剤および支持剤は当業者に周知であり(Remingtons Pharmaceutical Sciences, 第18版, A.R.Gennaro編, Mack Publishing Company [1990];Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins, S. FrokjaerおよびL. Hovgaard編, Taylor & Francis [2000];およびHandbook of Pharmaceutical Excipients, 第3版, A.Kibbe編, Pharmaceutical Press [2000])、特に生理的食塩水およびリン酸緩衝液を含む。
本発明に係る医薬組成物は、局所または全身投与に、特に経口、舌下、皮膚、皮下、筋肉内、静脈内、腹腔内、局所的、気管内、鼻腔内、経皮、直腸内、眼内または心房内投与に適してもよい。好ましくは、本発明に係る医薬組成物は、皮膚、経口、局所的、筋肉内、静脈内、経皮または皮下投与に適する。特定の実施態様によれば、本発明に係る医薬組成物は局所的投与に適する。本発明に係る医薬組成物は、錠剤、カプセル、ソフトカプセル、顆粒、懸濁液、エマルジョン、液剤、ゲル、ペースト、軟膏、クリーム、プラスター、ポーション、坐剤、浣腸剤、注射剤、インプラント、パッチ、スプレーまたはエアロゾルの形態であってもよい。
一の実施態様によれば、本発明に係る組成物は、1〜2000mgの本発明に係るペプチドを含む。好ましくは、本発明に係る組成物は50〜100、150、200、250、500、750、1000または1500mgの本発明に係るペプチドを含む。
本発明に係る組成物は、他の抗微生物剤、特に抗微生物ペプチドまたは抗生物質などの付加的な活性物質をさらに含んでもよい。該組成物は、本発明に係るペプチドの活性を増強し得る物質をさらに含んでもよい。
本発明は微生物感染の治療用薬剤を調製するための本発明に係るペプチドの使用に関する。本発明はまた、微生物感染の治療用薬剤を調製するための本発明に係る核酸、カセットまたはベクターの使用に関する。
本発明は微生物感染の治療に用いるための本発明に係るペプチドに関する。本発明はまた、微生物感染の治療に用いるための本発明に係る核酸、カセットまたはベクターに関する。
治療は治癒的であっても予防的であってもよい。
治療される対象は動物、好ましくは哺乳動物である。特定の実施態様によれば、治療される対象はヒトである。
本発明はまた、微生物感染を治療する方法であって、治療的に効果的な用量の本発明に係るペプチド、核酸、カセットまたはベクターを投与することを含む方法に関する。
本明細書にて使用される「治療的に効果的な用量」なる語は、感染に関与する細菌、ウイルス、真菌または寄生虫に対して抗微生物活性を観察するために必要とされる本発明に係るペプチド、核酸、カセットまたはベクターの量をいう。投与されるべき本発明に係るペプチド、核酸、カセットまたはベクターの量、および治療の期間は、治療されるべき対象の生理的状態、病原体および該病原体に対するペプチドの抗微生物活性に従って、当業者により決定される。
特定の実施態様において、治療されるべき微生物感染はリーシュマニア症である。
もう一つ別の特定の実施態様において、治療されるべき微生物感染は、嚢胞性線維症、心内膜炎、膀胱炎、留置性医療装置により惹起される感染、歯垢形成または歯周炎などのバイオフィルム形成に関連する細菌感染である。
本発明のペプチドの効果的な用量は、限定されるものではないが、体重1kg当たり約1mg〜40mgからなる。投与頻度は、例えば、4〜24時間毎であってもよく、好ましくは8〜12時間毎である。治療期間は、例えば、1〜30日であってもよく、好ましくは10〜20日、より好ましくは5〜10日である。
本発明はまた、本発明に係るペプチドの保存剤、殺菌剤または殺虫剤としての使用に関する。
微生物による感染の危険性を排除し、あるいは防止して、食品の保存を改善するために、その食品を本発明に係るペプチドで処理してもよい。この場合には、該ペプチドは保存剤として使用される。
本発明に係るペプチドは殺虫剤として使用されてもよい。この場合には、該ペプチドは植物の植物病原体による感染を防止または治療するのに使用される。
本発明に係るペプチドは消毒剤として使用されてもよい。「消毒剤」なる語は、該ペプチドの表面(例えば、壁、ドア、医療装置)、液体(例えば、水)または気体(例えば、麻酔ガス)での抗微生物活性をいう。
バイオフィルムは院内感染のおよそ60%に関与している。院内感染は、本質的に、インプラントされた生体材料にて微生物がコロニー形成することによるものである。細菌性バイオフィリムを撲滅することは、プランクトン状態の細菌に対して通常は活性である抗生物質がバイオフィルムに組織化された構造に対してはほとんど効果が無いようになることがしばしばであることを鑑みて大きな臨床的問題である。この型のバイオフィルムに対する抗微生物ペプチドの効果がテンポリンAを用いて以前の実験で証明された(Cirioniら, 2003)。
一の実施態様によれば、本発明に係るペプチドは細菌性バイオフィルムを排除するために使用される。好ましい実施態様によれば、本発明に係るペプチドは、特に、外科用または補綴装置を消毒するために使用される。
本発明はまた、本発明に係るペプチドで被覆された、あるいは該ペプチドを含む少なくとも1つの表面を有するボディを含む医療用装置またはインプラントに関する。本発明はまた、本発明に係るペプチドのコーティング剤を医療用装置またはインプラントの少なくとも1つの表面に塗布するか、あるいは該コーティング剤をその少なくとも1つの表面に接触するように配置することを含む、該装置またはプラントを調製する方法に関する。
この型の医療用装置またはインプラントならびにその使用および調製方法は、例えば、特許出願WO2005/006938に記載される。
本発明に係るペプチドで被覆されるか、または該ペプチドを含む表面は、ポリエチレン、ダクロン(Dacron)、ナイロン、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリウレタン、ラテックス、シリコーンエラストマー等などの熱可塑性またはポリマー材料、あるいは金などの金属材料から構成されてもよい。特定の実施態様において、本発明に係るペプチドは、そのN−末端またはC−末端を介して、官能基を付与した表面、好ましくは金属表面に共有結合する。所望により、該ペプチドはスペーサーアームを通して該表面に結合してもよい。
好ましくは、該表面は0.4〜300mg/cmの密度でペプチドで被覆されてもよい。
また、装置またはインプラント、特に骨および関節の補綴装置は、本発明に係るペプチドを含むセメント混合物で被覆されてもよい。
該ペプチドはもう一つ別の活性分子、好ましくは抗生物質と組み合わされてもよい。
該装置またはインプラントは、例えば、血管内、腹腔、肋膜および尿道カテーテル;心臓弁;心ペースメーター;血管シャント;冠動脈ステント;歯科インプラントまたは整形外科もしくは眼内補綴であってもよい。
本発明は、本発明に係る少なくとも1つのペプチドを含む食品組成物に関する。
本発明はまた、本発明に係る少なくとも1つのペプチドを含む農薬組成物に関する。
本発明は、本発明に係る核酸、カセットまたは発現ベクターを含み、本発明に係るペプチドを発現することができるか、または発現しているトランスジェニック植物に関する。
本発明の核酸、カセットまたは発現ベクターの細胞または植物組織(種子またはプラント(plant)を含む)への導入は当業者に公知のいずれの方法で実施されてもよい。植物の遺伝子導入方法は当該分野にて周知であり、例えば、細菌のアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)(HooykaaおよびSchilperoort、1992)の使用、エレクトロポレーション、接合伝達、遺伝子銃技法(Russelら、1992)あるいは植物の胚またはプロトプラストへのマイクロ注射を含む。他の植物の遺伝子導入方法も周知であるか、または上記した技法を履行する他のプロトコルが先行文献(SiemensおよびSchieder、1996)に記載されており、本発明に適用されてもよい。本発明に係るトランスジェニック植物は、特に、特許出願WO 00/055337に記載の方法に従って得られてもよい。
トランスジェニック植物はいずれの植物種に属してもよい。それは単子葉であっても双子葉であってもよい。より具体的には、本発明のトランスジェニック植物は、動物または人間の食用を意図として、または意図することなく培養された植物、あるいはリーシュマニア症の媒介昆虫であるサシチョウバエ(sandfly)が止まる、トウモロコシ、コムギ、アブラナ、ダイズ、アルファルファ、アマ、ライス、サトウキビ、ビート、タバコ、コットン、ヒマワリ、トマト、キャベツ、ニンジン、イモなどの餌、またはレモンツリー、アップルツリー、アプリコットツリー、ピーチツリーおよびヘーゼルツリーなどの果樹、あるいはリチヌス・コムニス(Ricinus communis)、カパリス・スピノサ(Capparis spinosa)、ソラヌム・ジャスミノイデス(Solanum jasminoides)、ソラヌム・ルテウム(Solanum luteum)またはボウガインビレア・グラブラ(Bougainvillea glabra)などのサシチョウバエの糖分食餌の供給源として現在まで同定されている植物である。
一の実施態様によれば、本発明に係るペプチドはトランスジェニック植物にて病原体、より具体的には植物病原体に対する耐性を増加させることができる。かかるトランスジェニック植物の使用は、殺虫剤の作物への噴霧または塗布をかなり減少させ、それによりこれらの産物の有害な環境作用を最小とすることができる。
もう一つ別の実施態様によれば、トランスジェニック植物は本発明に係るペプチドを発現し、該植物またはその果汁を摂取することにより、該ペプチドはサシチョウバエまたはヒトを含む動物に投与される。この場合、該ペプチドが植物病原体に対して必ずしも効果を有するわけではないが、動物の1または複数の病原体(ヒトおよび動物のリーシュマニア症を媒介するサシチョウバエ、または該ペプチドが投与されるヒトの消化管中に存在するリーシュマニア寄生虫を含む)に対して抗微生物活性を示す。サシチョウバエがその糖分食餌で摂取するトランスジェニック植物は、媒介昆虫の消化管に本発明の抗微生物ペプチドを直接的に送達し、最終的には媒介昆虫に存在する寄生虫を直接的に殺すか、あるいは寄生虫の分化または増殖に必要とされる媒介昆虫の腸内フローラにいる細菌を殺すことでその成長を遮断することにより該寄生虫を殺す。事実、トランスジェニック植物はリーシュマニア症の伝染を間接的に制御する効果的な手段を構成する。
本発明は本発明に係るペプチドに特異的な抗体に関する。本明細書にて使用される「抗体」なる語は、特に、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体、そのフラグメント(例えば、フラグメントであるF(ab)’2、F(ab))、一本鎖抗体またはミニボディー(minibody)、でなければ本発明のペプチドを認識する初期抗体のドメイン、とりわけCDR(相補性決定領域)を含むいずれのポリペプチドもいう。例えば、これらはキメラ、ヒト化またはヒト抗体である。モノクローナル抗体は当業者に周知の方法に従ってハイブリドーマより調製されてもよい。抗体を調製する別の方法は当業者に周知である。
本発明はまた、本発明に係るペプチドを検出するために、本発明に係る抗体を使用することに関する。本発明はさらに、本発明に係るペプチドの定量測定を行うために、とりわけ免疫アッセイのために、本発明に係る抗体を使用することに関する。該測定により、宿主細胞での、または本発明に係るトランスジェニック植物での本発明のペプチドの発現を測定することが可能となる。
この記載に引用されるすべての文献は出典明示により本明細書に組み込まれる。本発明の他の特徴および利点も、本発明を説明することを目的とし、何ら限定するものではない、以下の実施例においてさらに明らかとなろう。
実施例
材料および方法
固相ペプチド合成
固相ペプチド合成は、Vanhoyeら(Vanhoyeら、2004)によって記載されるプロトコルに従い、Fmoc保護アミノ酸(Novabiochem, Switzerland)およびRinkアミドMBHA樹脂(Senn Chemicals, Switzerland)を利用することにより、自動ペプチド合成装置(Applied Biosystems 433A)を用いて実施された。
凍結乾燥させた粗製ペプチドをPhenomenex Luna(登録商標)C18(2)セミプレパラティブカラム(10μm、250x10mm)上にて、0.1%トリフルオロアセタート/水中にて0−70%の線形勾配のアセトニトリル(0.07%トリフルオロアセタート)により5mL/分の流速で溶出するRP−HPLCにより精製した(1%アセトニトリル/分)。合成ペプチドの同質性および同一性は、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化−飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析(Voyager DE-PRO Applied Biosystems)に付し、C18分析カラム(modulocart QS Uptisphere(登録商標)5ODB、5μm、250x4.6mm、Interchim)上のRP−HPLCで0.75mL/分の流速で上記した条件を用いて評価された。
抗菌活性の試験
次の菌株:エシェリキア・コリ(ATCC25922およびML−35p)、スタフィロコッカス・アウレウス(ATCC25923およびST1065)、エンテロコッカス・フェカリス(ATCC29212)、シュードモナス・エルギノーサ(ATCC27853)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(ATCC19615)、リステリア・イバノビ、サルモネラ・エンテリカ(血清型エンテリディディス)、アシネトバクター・バウマンニ(ATCC19606)およびクラブシエラ・ニューモニエ(ATCC13883)を抗微生物活性の試験に用いた。2種の抗生物質耐性菌株(エス・アウレウスATCC43300およびATCCBAA−44)も用いた。
各菌株について、およそ10細菌/mLの標準接種源(指数増殖期)を調製した。このために、該菌株の一つで予め接種したLB寒天上で単離されたコロニーを4mLのLBブロス培地にて培養した:ただし、エス・ピオゲネスおよびエル・イバノビについてはBHI(脳心臓浸出液(Brain Heart Infusion))寒天上で単離されたコロニーからの細菌をBHIにて増殖させた。次に、細菌が指数増殖期に達するように培養液を振盪しながら37℃で2ないし3時間インキュベートした。遠心分離に付した後、細菌懸濁液の大部分をミューラー・ヒントン(MH)ブロス培地に希釈してOD630nmを0.01(およそ10cfu/mLの濃度に相当する(cfu:コロニー形成単位))とした。イー・フェカリスについてはLBの、エス・ピオゲネスおよびエル・イバノビについてはBHIの異なる培地を用いた。
各ペプチドの最小阻害濃度(MIC)はブロス培地における増殖阻害の試験により決定された。MICは37℃で18時間インキュベートした後に試験した細菌株の増殖を阻害しうるペプチドの最低濃度として定義される。試験は96ウェルの滅菌マイクロタイタープレートで実施された。一連の増大する濃度のペプチド(2〜400μM)を最初にMilliQ滅菌水にて調製した。50μLの各濃度のペプチドを50μLの細菌懸濁液(10cfu/mL)とウェル中で混合した。次に該マイクロタイタープレートを37℃で18時間振盪しながらインキュベートした。プレートリーダー上にて630nmでのOD(濁度)を測定することにより細菌増殖を決定した。各ペプチド濃度について試験を3回重複して行い、少なくとも3回の独立した実験を行い、MIC値を決定した。
ペプチドを含有する溶液を50μLのMilliQ滅菌水と置き換えることにより増殖阻害の負の対照を得た。細菌増殖を完全に阻害する正の対照は、該ペプチドを含有する溶液を50μLの0.7%ホルムアルデヒドと置き換えることにより得られた。
抗真菌活性の試験
3種の酵母菌株:サッカロミセス・セレビシア、カンジダ・アルビカンス(ATCC90028)、カンジダ・パラシローシス(ATCC22019)を試験した。これらの菌株を最初にYPD寒天上で最低48時間増殖させた。次に酵母懸濁液を、YPDブロス培地中で、細菌が10cfu/mLに正確に調整されるように、調製した。
抗真菌活性の試験は、細菌について使用されるブロス培地における増殖阻害試験(上記を参照のこと)に相当するものであり、MH培地がYPD培地と置き換えられる。真菌株を30℃でインキュベートした。
抗リーシュマニア活性の試験
ペプチドのリーシュマニア活性は、内臓リーシュマニア症に関与する、前鞭毛型の小児リーシュマニア(菌株 MHOM/MA/67/ITMAP−263)について評価された。
10〜20%の補体除去したウシ胎児血清および5mg/mLのブタヘミンを補足し、100U/mLのペニシリンおよび100μg/mLのストレプトマイシンの存在下にある、SDM79培地中、種菌の寄生虫の数に応じて、前鞭毛虫を週に1または2回継代して26℃で維持した(Brunら、1979)。対数増殖期にある10細胞/mLの種菌から出発し、前鞭毛虫は培養して5日後に25cmの培養フラスコ中にて固定相の2x10寄生虫/mLの細胞密度に達した。細胞密度は、ヨウ化プロピジウムの存在下、ファクスカン(Facscan)サイトメーター上にてフローサイトメトリーにより決定された(Excalibur, Becton-Dickinson, Ivry, France)。
抗リーシュマニア活性の試験はルシフェラーゼを発現する寄生虫ラインで実施された。この寄生虫ラインは、小児リーシュマニア菌株を、サシチョウバエのルシフェラーゼをコードするレポータ遺伝子LUL、およびRoyら(2000)に記載されるようなネオマイシン耐性遺伝子(NEO)を含有する、ベクターのpGM−αNEO−αLUCで形質転換することにより得られた。
ルシフェラーゼを発現する前鞭毛虫に対する抗リーシュマニア活性の試験:
80μLの前鞭毛虫懸濁液(10寄生虫/ウェル)を20μLのペプチド溶液(50ないし3.125μMの最終濃度)と一緒にマイクロタイタープレートの各ウェルにアリコートした。負の対照では、ペプチド溶液を20μLのSDM79培地と置き換えた。正の対照では、20μLの溶液の代わりに最高濃度のペプチドを用いて実施された。実験は各ペプチド濃度で3回重複して行われた。
26℃で72時間インキュベートした後、50μLのステディ・グロー(Steady Glo)溶菌緩衝液(Promega)を各ウェルに添加した。室温で5分間インキュベートした後、細胞溶解を顕微鏡下でチェックした。蛍光プレートリーダー(Victor, PerkinElmer)で発せられた蛍光を測定した。その蛍光は培地中に生存する寄生虫の数に比例する。増殖%を次式:
増殖%=[(L平均値−bgd)ペプチドx100]/(L平均値−bgd)負の対照
(ここで、「L平均値」は平均蛍光値を、そして「bgd」は培地により発せされる蛍光に相当するバックグラウンドでの蛍光値を意味する)
に従って算定した。前鞭毛虫の増殖を50%まで阻害する濃度(IC50)を決定した。
ラット赤血球、ヒト単球、マクロファージ、肝がん由来細胞(hepatocellular liver carcinoma cell)および線維芽細胞に対する細胞毒性試験:
抗微生物ペプチドの細胞毒性活性を、ラット赤血球、ヒト白血病単球細胞株のTHP−1、THP−1単球誘導のマクロファージについて、HepG2のヒト肝がん誘導細胞(ヒト肝がん由来細胞株)およびヒト線維芽細胞について確かめた。マクロファージはリーシュマニアの宿主細胞である。
溶血試験
抗微生物ペプチドの溶血活性をラット赤血球を用いて評価した。赤血球溶血はヘモグロビンの反応媒体への放出により明らかにされ、その濃度は450nmで分光光度的に測定される。
赤血球は、血液を遠心分離(900xg、10分)に付すことにより、血漿および白血球と分離された。赤血球を含有するペレットをPBSバッファー(pH7.4)で3回洗浄した。マラセー(Malassez)細胞を計数した後、4x10赤血球/mLのストック溶液を同じバッファーにて調製した。一連の濃度(2〜400μM)の試験すべきペプチドを調製した。
試験は次のように実施された:50μLの異なる濃度のペプチドを50μLの赤血球懸濁液に添加した。37℃で1時間インキュベートし、つづいて遠心分離(12,000xg、15秒)に付した後、上清の吸光度を45nmで測定した。この試験についての負の対照(0%溶血)はペプチド溶液の代わりに50μLのPBSバッファーを含有した。正の対照(100%溶血)はペプチド溶液の代わりに50μLの0.1%トリトンX−100を含有した。
得られたLC50は3回重複して行われた3回の実験の平均値であり、細胞の50%が溶菌するのを誘発するペプチド濃度に相当する。
単球に対する細胞毒性試験:
細胞を、指数増殖期に達するまで、RPMI培地(10%FCS、1/100グルタマックス(登録商標)(Invitrogen)および100U/mLのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン)にて培養した。トーマ(Thoma)計数チャンバーにて計数した後、RPMI1640培地中で細胞密度を6.25x10細胞/mLに調整した。5倍に濃縮した抗微生物ペプチドの溶液をこのRPMI培地中で調製した(250〜15.6μM)。
細胞をウェル当たり80μLの細胞懸濁液にアリコートし(最終で5x10単球/ウェルまたは5x10細胞/mLに相当する)、20μLのペプチド溶液(50〜3.125μMの最終濃度)と混合した。負および正の対照は、抗リーシュマニア活性の試験と同じプロトコルに従って実施された。各ペプチド濃度について実験を3回重複して行った。細胞を37℃で5%のCO雰囲気下にて72時間にわたってインキュベートした。
72時間後、生存細胞の数をMTT試験(Mosmann、1983)によって間接的に評価した。黄色であるMTT(または3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムブロミド)が、代謝的に活性な細胞のミトコンドリア呼吸鎖中に存在するスクシナート−テトラゾリウム還元酵素の作用によって、青色であるホルマザンに還元される。青色ホルマザンは570nmで分光光度的に検出され得る。
0.22μmのフィルターを用いて濾過した10mg/mLのPBS緩衝液(pH7.4)中のMTT溶液をウェル当たり10μLでアリコートした。次にプレートを37℃で4時間インキュベートした。100μlの50%イソプロパノール/10%SDSの混合液を添加することで酵素反応を停止させ、次にプレートを室温で振盪しながら30分間インキュベートした。ついで各ウェルの570nmでのODを測定した(ビクター(Victor)プレートリーダー、PerkinElmer)。増殖%は次式:
増殖%=[(OD平均値−bgd)ペプチドx100]/(OD平均値−bgd)負の対照
(ここで、「bgd」は培地による吸光度に相当するバックグラウンドでのODを意味する)
で示されるように算定された。負の対照(100%増殖)はペプチドを含有しなかった。
次にIC50を増殖%から決定した。
THP−1ヒト単球誘導のマクロファージについての細胞毒性試験:
マクロファージの生存能をトリパンブルーをベースとするミクロアッセイを用いて確かめた。中間対数増殖期にある培養懸濁液からのTHP−1細胞を96ウェルプレートに5x10細胞/mLの密度(100μL/ウェル、すなわち5x10細胞/ウェル)でプレートし、上記されるように分化させた。ペプチド(60μM〜7.5μM、最終濃度)の存在下、37℃で5%COと共に72時間インキュベートした後、接着したマクロファージを予め暖めたRPMI1640培地で一度に洗浄し、RPMI1640培地に2倍に希釈した100μLのトリパンブルーで5分間染色させた。網目状接眼レンズを用いてウェルに付き3つに焦点を当てて生存白血球を顕微鏡により計数した。
生存指数(VI)を次式:
VI=[N平均値ペプチドx100]/N平均値負の対照
(ここで、N平均値は生存する寄生虫の平均数である)
を用いて各ペプチド濃度について算定した。負の対照(100%増殖)は20μLのRPMI1640培地を該ペプチド溶液の代わりに含有した。
50%の細胞の溶菌を誘発するペプチド濃度に相当するLC50値を生存指数より決定した。各ペプチド濃度について試験を6回重複して行い、少なくとも2回の独立した実験を行ってLC50値を決定した。
HepG2ヒト肝細胞がん誘導の細胞についての細胞毒性試験:
HepG2ヒト肝細胞がん誘導の細胞を96ウェルプレート上の10%の補体除去したウシ胎児血清、1/100グルタマックス(登録商標)(Invitrogen)および100IUのペニシリン/mL、および100μgのストレプトマイシン/mLを補足したMEM培地に5x10細胞/mLの密度で播種し、37℃および5%COで72時間増殖かつ接着させた。連続希釈したペプチドを100μLの補足MEM培地に添加した(100μM〜600μM)。72時間インキュベートした後、ヒト単球のTHP−1について上記されるのと同様にしてMTTベースのマイクロアッセイを用いて細胞生存能を評価した。
次に各ペプチド濃度で算定した増殖の割合からLC50値を決定した。各ペプチド濃度について試験を3回重複して行い、少なくとも3回の独立した実験を行ってLC50値を決定した。
線維芽細胞についての細胞毒性試験:
ヒト包皮線維芽細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS;Invitrogen)、4mMグルタミン、500U/mlのペニシリン、および250μg/mlのストレプトマイシンを補足したダルベコ修飾イーグル培地(DMEM;Invitrogen)にて、37℃で5%CO下で培養した。10細胞/ウェル(96ウェルプレート)を播種した。24時間後、連続希釈したペプチドを添加し、72時間後の増殖期に、テトラゾリウム化合物の(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム)を培養ウェルに直接添加した。生存細胞により産生されたホルマザンの生体内還元された色相を96ウェルプレートのリーダー(吸光度、490nm)で定量した。LC50は非線形回帰分析により決定された。
結果
それらの物理化学的特性に基づき、テンポリンSHaの一連の欠失または置換されたアナログを設計して強力な抗微生物活性および細胞毒性の減少を得た(図2)。これらのアナログの抗微生物活性は、異なるグラム陽性菌、グラム陰性菌、および抗生物質耐性菌の参考菌株について、および真菌株について評価された。
地中海地域およびラテンアメリカにおけるヒト内臓リーシュマニア症の主たる原因菌である小児リーシュマニアを標準となるリーシュマニア種(MHOM/MA/67/ITMAP−263菌株)として選択し、本発明のテンポリンSHaのアナログの抗リーシュマニア活性を評価した。
媒介昆虫であるサシチョウバエに存在する、発展段階にある、前鞭毛型において活性試験を行った。小児リーシュマニアを発現するルシフェラーゼ遺伝子の代謝活性の評価は、ATPの存在下でルシフェラーゼによるルシフェリンの酸化に基づく。この工程は発光をもたらし、そのシグナル強度は生存寄生虫の数と比例し、従って増殖割合とも比例する。
抗微生物活性および抗寄生虫活性はペプチドの宿主細胞に対する毒性との対比で決定される必要がある。従って、これらのペプチドの細胞毒性は、ラットの赤血球、HepG2(ヒト肝がん由来細胞株)、ヒト線維芽細胞、THP−1ヒト白血病単球細胞株およびTHP−1ヒト単球誘導のマクロファージにおいて評価された。赤血球、HepG2(ヒト肝がん由来細胞株)、およびヒト線維芽細胞は、薬物の細胞毒性を研究するのに薬理学の分野で一般的に使用される標準となる細胞型である。マクロファージは哺乳動物におけるリーシュマニアの天然の宿主細胞である。
最小阻害濃度(MIC)、阻害濃度50(IC50)および致死濃度50(LC50)を図4および5に示す。
抗菌および抗真菌活性
その結果は、[K]テンポリンSHaは、グラム陽性菌株(抗生物質耐性のエス・アウレウス菌株を含む)および臨床的に関心のあるグラム陰性菌株、ならびに酵母に対して同じ効能(MIC=3−6μM)で作用する強力な広域スペクトルの抗微生物剤である(図4)。[K]テンポリンSHaの配列での2個の残基の内部欠失(残基VおよびMの欠失)およびC−末端切断は該ペプチドを不活化する(図示せず):ただし、[K]テンポリンSHa(3−13)はグラム陽性菌およびグラム陰性菌に対する活性を保存する(図4)。興味のあることに、このN−末端切断したアナログは酵母(シー・アルビカンスおよびシー・パラプシローシス)に対して、およびピー・アエルギノーザ(大多数のテンポリンに対して耐性を示すグラム陰性菌株)に対してテンポリンSHaと比べて2倍の活性を示し、その溶血活性も喪失している(LC50=618μM)。[K]テンポリンSHa(3−13)と同様の物理化学特性を有する、C−末端切断したアナログの[K]テンポリンSHa(1−11)で活性のないことは、テンポリンSHaのC−末端の疎水性鎖が抗微生物活性に必要不可欠であることを示す。N−末端およびC−末端切断したアナログの[K]テンポリンSHa(3−11)もまた不活性であるということはC−末端の重要性を確認するものである。
図5の結果は、[K,L13]および[K,W13]テンポリンSHaの、[K]テンポリンSHaと同じ物理化学特性を有する2つのアナログが、[K]テンポリンSHaと同様のスペクトルで強力な抗微生物活性を示すが、興味のあることに、さらに低い溶血活性を示す([K,L13]テンポリンSHaについては著しく2倍低い)。同じく活性なアナログ[K,K]、[K,K]および[K,K,L13]テンポリンSHaは数種の特性を有し、それにより該アナログは極めて魅力的なものとなる。実際、[K]テンポリンSHaと比べてその効能が低いにも拘わらずに、これらのアナログは試験した大抵の菌株(細菌および酵母)に対して良好な活性を保持し、溶血活性を有しない(LC50>500μM)。それらはまた、ピー・アウルギノサ(4倍)およびカンジダ(2倍)に対してテンポリンSHaよりも活性である。
抗寄生虫活性
テンポリンSHaの置換したすべてのアナログは、小児リーシュマニアの前鞭毛虫に対してその活性が様々な程度で減少し、アナログ[K,K]、[K,K]および[K,K,L13]テンポリンSHaでは単球に対する細胞毒性レベルが接近している。細菌の場合、アナログ[K,L13]および[K,W13]の抗リーシュマニア活性はあまり変わらない。
結論
テンポリンSHaおよびそのアナログは、原核生物であるグラム陽性およびグラム陰性菌、ならびに真核生物である酵母の増殖を予防しうるため、広域スペクトルの活性を示す。
α−ヘリックスの極性面においてセリン残基の代わりにリジン残基を用いる[K]テンポリンSHaは、テンポリンSHaと比べてより強力な抗微生物活性を示す。
[K]テンポリンSHaのN−末端領域における2つの残基(FおよびL)の欠失は、溶血活性を欠き、シー・アルビカンス、シー・パラプシローシス、およびピー・アエルギノーザに対してテンポリンSHaよりもさらに(2倍)活性であるアナログの[K]テンポリンSHa(3−13)を産生する。
興味のあることに、アナログ[K,L13]および[K,W13]テンポリンSHaは[K]テンポリンSHaと同様に強力であって、それよりも溶血性は低い。その上、該アナログは小児リーシュマニアの前鞭毛虫に対して中程度のリーシュマニア活性(テンポリンSHaと同じくらいの活性)を示し、[K,L13]テンポリンSHaでは宿主細胞(マクロファージ)に対する細胞毒性が減少した。
最後に、[K]テンポリンSHaの配列にて位置6または8にリジン残基をさらに挿入すると(アナログ[K,K]、[K,K]および[K,K,L13]テンポリンSHa)、細菌および酵母に対して良好な抗微生物活性を有し、溶血活性のない薬剤が得られることがわかった。
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Claims (15)

  1. 13〜100個のアミノ酸からなる大きさのペプチドであって、抗微生物活性を示し、配列:F−L−X−G−I−X−G−X−L−G−K−L−X(配列番号:2)
    ここで、
    はR、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり;
    はV、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり;
    はM、R、HおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり;および
    はF、I、LおよびWからなる群より選択されるアミノ酸である:
    ただしXがVである場合、その時にはXはK、RおよびHからなる群より選択され、および/またはXはL、IおよびWからなる群より選択される
    を含むペプチド、ならびに該ペプチドの機能的誘導体および医薬的に許容される塩。
  2. がKを表し、XがVおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XがMおよびKからなる群より選択されるアミノ酸であり、XがF、LおよびWからなる群より選択されるアミノ酸である、請求項1に記載のペプチド。
  3. 配列番号3〜17の配列からなる群より選択される配列、好ましくは配列番号:3〜6、8、9、11、12および14〜16の配列からなる群より選択される配列、より好ましくは配列番号:3〜6および8の配列からなる群より選択される配列を含むか、または該配列からなる、請求項1または2に記載のペプチド。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチドをコードする核酸。
  5. 請求項4に記載の核酸を含む発現カセット。
  6. 請求項4に記載の核酸または請求項5に記載の発現カセットを含む発現ベクター。
  7. 請求項4に記載の核酸、請求項5に記載の発現カセット、または請求項6に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
  8. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の少なくとも1つのペプチド、および医薬的に許容される支持体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
  9. 薬剤としての請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチド。
  10. 薬剤が細菌、ウイルス、真菌または寄生虫による感染を治療するものとする、請求項9に記載のペプチド。
  11. 寄生虫がリーシュマニア属に属する、請求項10に記載のペプチド。
  12. 微生物感染の治療における使用のための、請求項1〜3のいずれか一項に記載に記載のペプチド、請求項4に記載の核酸、請求項5に記載の発現カセット、または請求項6に記載のベクター。
  13. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチドの、殺菌剤、保存剤または殺虫剤としての使用。
  14. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチドで被覆されるか、または該ペプチドを含む少なくとも1つの表面を有する本体を含む医療装置またはインプラント。
  15. 請求項4に記載の核酸、請求項5に記載の発現カセット、または請求項6に記載のベクターを含み、請求項1〜3のいずれか一項に記載に記載のペプチドを発現しうるか、または発現しているトランスジェニック植物。
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