JP2016538871A - 3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジル酸類を経由した3−ヒドロキシカルボン酸類からのアルケン類の生産 - Google Patents

3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジル酸類を経由した3−ヒドロキシカルボン酸類からのアルケン類の生産 Download PDF

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Abstract

本出願は、アルケン類(例えばプロピレン、エチレン、1−ブチレン、イソブチレン、イソアミレン、ブタジエンまたはイソプレン)を3−ヒドロキシカルボン酸類から3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジル酸類を経て生産するための方法を記載する。【選択図】図3

Description

本発明は、生物学的プロセスによりアルケン類を生成するための方法に関する。より具体的には、本発明は、アルケン類(例えばプロピレン、エチレン、1−ブチレン、イソブチレン、イソアミレン、ブタジエンまたはイソプレン)を、3−ヒドロキシカルボン酸類から、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジル酸類(nucleotidylic acids)を経由して生産するための方法に関する。
多数の化合物が、現在石油化学製品から得られている。アルケン類(例えばエチレン、プロピレン、様々なブテン類、または他には例えばペンテン類)が、プラスチック産業において、例えばポリプロピレンまたはポリエチレンを生産するために、ならびに化学産業の他の領域および燃料の領域において用いられている。
最も単純なアルケンであるエチレンは、産業的有機化学の中心にあり:それは、世界で最も広く生産されている有機化合物である。それは、特に主要なプラスチックであるポリエチレンを生産するために用いられている。エチレンは、(酸化の、ハロゲン化の)反応により、多くの産業的に有用な製品に変換されることもできる。
プロピレンは、同様に重要な役割を保持している:その重合は、結果としてプラスチック材料であるポリプロピレンをもたらす。この製品の、耐性、密度、固体性、変型能、および透明性に関する技術的特性は、無二である。ポリプロピレンの世界的な生産は、1954年におけるその発明以来継続的に成長してきた。
ブチレンは、4種類の形態で存在し、その1つであるイソブチレンは、自動車燃料のためのアンチノック添加剤であるメチル−tert−ブチル−エーテル(MTBE)の組成の一部になる。イソブチレンは、イソオクテンを生産するために用いられることもでき、それは今度は還元されてイソオクタン(2,2,4−トリメチルペンタン)になることができ;イソオクタンの非常に高いオクタン価は、それをいわゆる“ガソリン”エンジンのための最高の燃料にしている。
アミレン、ヘキセンおよびヘプテンは、二重結合の位置および立体配置に従って多くの形態で存在する。これらの製品は、実際の産業的用途を有するが、エチレン、プロピレンまたはブテン類ほどは重要ではない。
全てのこれらのアルケン類は、現在石油生成物の接触分解により(またはヘキセンの場合は石炭もしくはガスからのフィッシャー・トロプシュプロセスの派生法により)生産されている。従って、それらのコストは、油の価格に自然に連動している。さらに、接触分解は、時々、プロセスの複雑さおよび生産コストを増大させるかなりの技術的困難と関係している。アルケンの化学ファミリーにおいて、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)は、テルペンモチーフであり、それは、重合を通してゴムをもたらす。他のテルペン類は、化学的、生物学的または混成経路により、使用可能な製品、例えば生物燃料として、またはプラスチックを製造するために開発され得る。国際公開第2008/113041号は、微生物が脂肪アシル鎖を含有する基質を変換する、再生資源から炭化水素を生産するための生物学的プロセスを提案している。アルケン類、特に末端アルケン類(2位においてモノ−またはジ−置換されているエチレン:HC=C(R)(R))の生産は、それほど広く研究されてこなかったようである。酵母ロドトルラ・ミヌタ(Rhodotorula minuta)によるイソバレレートのイソブチレンへの変換は、記載されている(Fujii T. et al., Appl. Environ. Microbiol., 1988, 54:583)が、ターンオーバー数の非常に低い値(kcatは1x10−5−1)により特性付けられるこの反応の効率は、産業的適用を可能にするには遠い。この経路によるイソブチレンの大規模生合成は、それが1分子のイソブチレンを形成するために1分子のロイシンの合成および分解を必要とすると考えられるため、非常に好ましくないように思われる。また、その反応を触媒する酵素は、ヘムを補因子として使用し、それは細菌における組換え発現および酵素パラメーターの向上に適するには不十分である。他の微生物が、天然にイソブチレンをイソバレレートから産生することがわずかに可能であることが記載されており;得られた収率は、ロドトルラ・ミヌタを用いて得られる収率よりもさらに低い(Fukuda H. et al, Agric. Biol. Chem., 1984, 48:1679)。
同じ研究は、プロピレンの天然産生も記載しており:多くの微生物が、プロピレンを産生することができるが、やはり収率は極めて低い。植物によるエチレンの産生も、昔から知られていた(Meigh et al, 1960, Nature, 186:902)。解明された代謝経路によれば、メチオニンがエチレンの前駆体である(Adams and Yang, PNAS, 1979, 76:170)。2−オキソグルタレートの変換も記載されている(Ladygina N et al., Process Biochemistry 2006, 41:1001)。エチレンの2炭素分子の産生は、4または5炭素分子の前駆体を消費するため、これらの経路は、それらの産業的適用には材料的およびエネルギー的に好ましくないようである。
国際公開第2010/001078号は、デカルボキシラーゼの活性を有する酵素を用いた3−ヒドロキシアルカン酸の酵素的変換によりアルケン類を生産するためのプロセスを記載している。そのような方法は、それが石油製品の使用を回避するのを助けるため、プラスチックおよび燃料を生産するコストを下げるために有利であり、炭素が固体形態で貯蔵されることを可能にすることにより、かなりの地球環境的影響を有し得る。国際公開第2010/001078号において記載されている方法は、酵素反応によりアルケン類を生産することを可能にするが、産業的規模に拡張されることができる生物学的システムにおけるアルケン類の生産を可能にするさらなる方法に関する必要性が、まだ存在する。本出願は、この必要性に取り組む。
国際公開第2008/113041号 国際公開第2010/001078号
Fujii T. et al., Appl. Environ. Microbiol., 1988, 54:583 Fukuda H. et al, Agric. Biol. Chem., 1984, 48:1679 Meigh et al, 1960, Nature, 186:902 Adams and Yang, PNAS, 1979, 76:170 Ladygina N et al., Process Biochemistry 2006, 41:1001
本発明は、それが3−ヒドロキシカルボキシレートの生物学的プロセス、特に酵素的プロセスによる変換を含むことを特徴とする、アルケンを生産するための方法に関し、ここで、3−ヒドロキシカルボキシレートは、第1工程において、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに酵素的に変換され、ここで、そうして生産された3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、続いてアルケンに変換される。第1工程における3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、ヌクレオチジル化(nucleotidylation)反応を含む。生成された3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートのアルケンへの変換は、二酸化炭素の脱離および脱ヌクレオチジル化(denucleotidylation)を含む。本発明において用いられる際、接尾辞“−エート/−オエート”は、互換的にカルボン酸イオン(COO−)またはカルボン酸(COOH)のどちらを意味することもできる。
図1:は、3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換するための一般的な反応スキームを示す。 図2:は、3−ヒドロキシカルボキシレートおよび補助基質としてのATPまたはADPを3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートに変換するための一般的な反応スキームを示す。 同上 図3:は、3−ヒドロキシカルボキシレートおよび補助基質としてのATPまたはADPを3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートに変換し、さらにそれをアルケンに変換するための一般的な反応スキームを示す。 図4:A:は、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートを対応するアルケンに変換するための一般的な反応スキームを示す。 B:は、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートを3−ヒドロキシヌクレオチジル−カルボキシレートを経て対応するアルケンに変換するための反応スキームを示す。 図5:は、3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートを対応するアルケンに変換するための一般的な反応スキームを示す。 図6:A:は、本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシ−3−メチルブチレートをイソブテンに変換するための一般的なスキームを示す。 B:は、ATPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシ−3−メチルブチレートをイソブテンに変換するための一般的なスキームを示す。 C:は、ADPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシ−3−メチルブチレートをイソブテンに変換するための一般的なスキームを示す。 図7:A:は、本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシブチレートをプロピレンに変換するための一般的なスキームを示す。 B:は、ATPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシブチレートをプロピレンに変換するための一般的なスキームを示す。 C:は、ADPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシブチレートをプロピレンに変換するための一般的なスキームを示す。 図8:A:は、本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを1,3−ブタジエンに変換するための一般的なスキームを示す。 B:は、ATPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを1,3−ブタジエンに変換するための一般的なスキームを示す。 C:は、ADPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを1,3−ブタジエンに変換するための一般的なスキームを示す。 図9:は、360nmにおける吸光度の増大により2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの形成をモニターする、ジホスフェートまたはモノホスフェート定量化アッセイのスキームを示す。 図10:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、3−ヒドロキシプロピオネートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。 図11:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、R−3−ヒドロキシバレレートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。 図12:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。 図13:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、3−ヒドロキシイソバレレートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。 図14:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、(R,S)−3−ヒドロキシブチレートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。 図15:は、M.アルギコラからのアシル−CoAシンターゼにより触媒される(R,S)−3−ヒドロキシブチレートのアデニル化反応に関する補助基質濃度の関数としての速度のプロットを示す。反応は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた。 図16:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される(R,S)−3−ヒドロキシブチレートのアデニル化反応に関する補助基質濃度の関数としての速度のプロットを示す。反応は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた。 図17:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される(R,S)−3−ヒドロキシブチレートのアデニル化反応のエレクトロスプレーMSスペクトルを示す。MS分析は、3−ヒドロキシブチリル−アデニレートのモノ−脱プロトン化形態[M−H]に関する432.2のm/z値における特徴的なピークを示した。 図18:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒されるR−3−ヒドロキシバレレートのアデニル化反応のエレクトロスプレーMSスペクトルを示す。MS分析は、3−ヒドロキシバレリル−アデニレートのモノ−脱プロトン化形態[M−H]に関する446.3のm/z値における特徴的なピークを示した。 図19:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される3−ヒドロキシイソバレレートのアデニル化反応のエレクトロスプレーMSスペクトルを示す。MS分析は、3−ヒドロキシイソバレリル−アデニレートのモノ−脱プロトン化形態[M−H]に関する446.2のm/z値における特徴的なピークを示した。 図20:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートのアデニル化反応のエレクトロスプレーMSスペクトルを示す。MS分析は、3−ヒドロキシペンタ−4−エノイル−アデニレートのモノ−脱プロトン化形態[M−H]に関する444.3のm/z値における特徴的なピークを示した。 図21:は、(R,S)−3−ヒドロキシブチレートを基質として、ATPを補助基質として用いた酵素反応および酵素を含まない反応に関して得られたGC/FIDクロマトグラムを示す。 図22:は、実施例12において概説されるような、酵素に触媒される(R,S)−3−ヒドロキシブチレートからのプロピレンの生産を示す。 図23:は、(R)−3−ヒドロキシバレレートを基質として、ATPを補助基質として用いた酵素反応および酵素を含まない反応に関して得られたGC/FIDクロマトグラムを示す。 図24:は、実施例16において概説されるような、酵素に触媒される(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエンの生産を示す。 図25:は、(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを基質として、ATPを補助基質として用いた酵素反応および酵素を含まない反応に関して得られたGC/FIDクロマトグラムを示す。 図26:は、3−ヒドロキシイソバレレートを基質として、ATPを補助因子として用いた酵素反応および酵素を含まない反応に関して得られたGC/FIDクロマトグラムを示す。 図27:は、ATP濃度の関数としての3−ヒドロキシイソバレレートからのイソブテンの形成のプロットを示す。反応は、以下の酵素により触媒された: N°1:バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleC。 N°2:M.アルギコラからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleC。 図28:は、ADP濃度の関数としての3−ヒドロキシイソバレレートからのイソブテンの形成のプロットを示す。反応は、以下の酵素により触媒された: N°1:M.アルギコラからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleC。 N°2:バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleC。 図29:は、Ole ABCD(Wang and Lu, frontiers in Bioengineering an Biotechnology 1 (2013), 論文10)により触媒される反応のスキームを示す。
用語“3−ヒドロキシカルボキシレート”は、本明細書で用いられる際、次の一般式Iに応じる分子を意味し:
Figure 2016538871
式中、RおよびRは、独立して水素(−H)、メチル(−CH)、エチル(−CH−CH)、イソプロピル(−CH(CH)、ビニル(−CH=CH)およびイソプロペニル(−C(CH)=CH)から選択され、式中、RおよびRは、独立して水素(−H)およびメチル(−CH)から選択される。
本発明の方法によれば、3−ヒドロキシカルボキシレートは、次の一般式II:
Figure 2016538871
[式中、Xは、以下:
O−PO モノホスフェート、
O−POH−O−PO ジホスフェート、および
O−SOH サルフェート
からなる群から選択され、式中、Yは、以下:
OH ヒドロキシル、および
O−PO モノホスフェート
からなる群から選択され、そして式中、Zは、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよびヒポキサンチンからなる群から選択され、
そして式中、Wは、水素(−H)およびヒドロキシル(OH)からなる群から選択される]
に応じる補助基質と一緒に、次の一般式III:
Figure 2016538871
[式中、R、R、RおよびRは、上記で式Iと関連して指定された意味と同じ意味を有し、そして式中、W、YおよびZは、上記で式IIと関連して指定された意味と同じ意味を有する]
の対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに酵素的に変換される。
本発明の方法によれば、そうして生産された3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、さらにアルケンに変換される。
本発明に従う方法により生産されるアルケンは、次の一般式IV:
Figure 2016538871
[式中、R、R、RおよびRは、上記で式Iと関連して指定された意味と同じ意味を有する]
に応じた分子である。
好ましい態様において、本発明に従う方法において変換される3−ヒドロキシカルボキシレートは、以下の表1において指定されるような3−ヒドロキシカルボキシレートから選択され、表1において示されているような対応するアルケンに変換される。
Figure 2016538871
Figure 2016538871
Figure 2016538871
Figure 2016538871
Figure 2016538871
Figure 2016538871
Figure 2016538871
Figure 2016538871
上記のように、本発明の方法によれば、3−ヒドロキシカルボキシレートは、まず3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換される。これは、ヌクレオチジル化反応、すなわち、ヌクレオチジル基が補助基質(式II)から3−ヒドロキシカルボキシレートのカルボキシル基に移される反応により達成される。一般的な反応が、図1において示されている。
式IIに従う補助基質に関する例は、リボヌクレオチド類、例えばATP、CTP、GTP、UTPおよびITP(ATPが好ましい)、ならびにADP、CDP、GCP、UDPおよびIDP(ADPが好ましい)である。他の例は、デオキシリボヌクレオチド類、例えばdATP、dCTP、dGTP、dTTPおよびdITPである。さらなる例は、3’−ホスホアデノシン−5’−ホスホサルフェート(PAPS)またはアデノシン−5’−ホスホサルフェート(APS)である。
好ましい態様において、Zはアデニンである。別の好ましい態様において、Zはアデニンであり、WはHである。さらなる好ましい態様において、Zはアデニンであり、WはHであり、Xはモノホスフェートまたはジホスフェートである。別の好ましい態様において、Zはアデニンであり、WはHであり、Xはサルフェートであり、YはOHまたはモノホスフェートである。別の特に好ましい態様において、Zはアデニンであり、WおよびYはOHである。別の好ましい態様において、Zはアデニンであり、WはHであり、YはOHである。さらなる好ましい態様において、Zはアデニンであり、WおよびYはOHであり、Xはモノホスフェートまたはジホスフェートである。別の好ましい態様において、Zはアデニンであり、WはOHであり、Xはサルフェートであり、YはOHまたはモノホスフェートである。
好ましい態様において、本発明に従う方法の第1工程における3−ヒドロキシカルボキシレートの変換は、3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートをもたらす。
ある好ましい態様において、式IIの補助基質は、ATPまたはADPであり、第1酵素変換は、アデニル化である。その反応は、図2において図式的に示されている。アルケンをもたらす全体的な反応に関するスキームは、図3において示されている。
本発明の方法に従う3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換は、好ましくは酵素反応により、特にヌクレオチジル基の分子上への転移を触媒する酵素の使用により達成されることができる。
本発明に従う方法の一態様において、“アデニレート形成酵素”として分類されている酵素が、3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換のために用いられる。用語“アデニレート形成酵素”は、次の反応:
基質 + ATP → 基質−アデニレート + ジホスフェート
を触媒することができる酵素を意味することが、理解されている(例えば、Schmelz and Naismith Curr. Opin. Struc. Biol. 19 (2009), 666-671; Linne et al., FEBS Letters 581 (2007), 905-910を参照)。ATPは、補助基質として示されているが、アデニレート形成酵素は、他の補助基質、例えばADP、UTP、CTP、GTPおよびITPを用いることができることが、知られている。従って、本発明の範囲において、用語“アデニレート形成”は、その酵素がアデニル化された生成物のみを生成するという意味において限定的であるのではなく、当該技術で用いられている確立された用語としてのみ用いられており、それぞれの酵素が式IIにおいて定義されたような他の補助基質を用いることができる可能性も含んでいる。好ましくは、ヌクレオチジル部分が移される基質上の基は、カルボキシル基である。Schmelz and Naismith(上記の引用)において記載されているように、アデニル化酵素は、そうでなければ非反応性のカルボン酸を、通常のヒドロキシル脱離基をアデノシンモノホスフェートに変換することにより、活性化する。これらの酵素は、異なるデータベースにおいて参照される以下の共通の構造的特徴を共有している:
1.InterProデータベース(InterPro44.0;2013年9月25日公開)
IPR020845、AMP結合、保存された部位
(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR020845)
IPR000873(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR000873)
2.Prosite
PS00455(http://prosite.expasy.org/PS00455)
説明:推定上のAMP結合ドメイン署名。
パターン:[LIVMFY]−{E}−{VES}−[STG]−[STAG]−G−[ST]−[STEI]−[SG]−x−[PASLIVM]−[KR]。
(登録名AMP_BINDING;受け入れ番号PS00455;登録型PATTERN;日付1991年5月(作製);2004年12月(データの更新);2013年10月(情報の更新)。パターン[LIVMFY]−{E}−{VES}−[STG]−[STAG]−G−[ST]−[STEI]−[SG]−x−[PASLIVM]−[KR])
3.Pfam
Pfamデータベースにおけるこれらの酵素に関する受け入れ番号は、PF00501である。
アデニレート形成酵素は、例えばSchmelz and Naismith (Curr. Opin. Struc. Biol. 19 (2009), 666-671)において記載されている。配列分析に基づいて、アデニレート形成酵素のスーパーファミリーが同定されおり、それは3つの密接に関連するサブファミリーに細分されることができる。
第1サブファミリー(クラスIと呼ばれる)は、以下のサブクラスを含む:
−非リボソームペプチドシンテターゼ(NRPS)のアデニル化ドメイン;
−アシル−またはアリール−CoAシンテターゼ;
−(ルシフェラーゼ)オキシドレダクターゼ;および
−ポリケチドシンターゼ(PKS)のアデニル化ドメイン。
本明細書においてさらに下記で記載されるAMP依存性シンテターゼおよびリガーゼも、このクラス中に分類されることができる。
第2のサブファミリー(クラスIIと呼ばれる)は、以下のものを含む:
−アミノアシル−tRNAシンテターゼ。
第3のサブファミリー(クラスIIIと呼ばれる)は、以下のものを含む:
−NIS酵素
NIS酵素は、NRPS非依存性シデロフォア(NIS)合成に関わる酵素である。
好ましい態様において、本発明に従う方法は、上記で言及されたクラスIに属する酵素を用いる。
一態様において、酵素は、クラスIに属し、非リボソームペプチドシンテターゼ(NRPS)のアデニル化ドメインを含むサブクラスに属する(Marahiel, Chem. Rev. 97 (1997), 2651-2673; Sundlov et al., Chem Biol. 19 (2012), 188-198; Sundlov et al., Acta Cryst. D69 (2013). 1482-1492; May et al., PNAS 99 (2002), 12120-12125; Keating, Biochemistry 39 (2000), 4729-4739)。
別の態様において、酵素は、クラスIに属し、アシル−またはアリール−CoAシンテターゼを含むサブクラスに属する(Soupene and Kuypers, Exp Biol Med 233 (2008), 507-521; Mashek et al., Future Lipidol. 2 (2007), 465-476; Ehlting et al., The Plant Journal 27(2001), 455-465)。
別の態様において、酵素は、クラスIに属し、(ルシフェラーゼ)オキシドレダクターゼを含むサブクラスに属する。そのような酵素の1つの代表的な例および本発明に従う方法において用いられるべき好ましい酵素は、ホタルルシフェラーゼである(Oba et al., FEBS Letters 540 (2003), 251-254)。
別の態様において、酵素は、アデニレート形成酵素のクラスIに属し、ポリケチドシンターゼ(PKS)のアデニル化ドメインを含むサブクラスに属する。この群の酵素の代表的な例は、ザントモナス・アルビリネアンス(Xanthomonas albilineans)のポリケチド−ペプチドシンターゼである(Huang et al., Microbiology 147 (2001), 631-642)。
上記で言及されたアデニレート形成酵素のクラスIに属する酵素は、EC6.2.1スーパーファミリーに分類される。原則として、EC6.2.1として分類されるあらゆる酵素は、本発明に従う方法において用いられることができる。そのようなアデニレート形成酵素の例は、以下の酵素である:
EC6.2.1.1 アセテート:CoAリガーゼ(AMP形成);
EC6.2.1.2 ブタノエート:CoAリガーゼ(AMP形成);
EC6.2.1.3 長鎖脂肪酸:CoAリガーゼ(AMP形成);
EC6.2.1.12 4−クマレート−CoAリガーゼ;
EC6.2.1.20 長鎖脂肪酸:[アシルキャリヤータンパク質]リガーゼ(AMP形成);
EC6.2.1.33 4−クロロベンゾエート:CoAリガーゼ;および
EC6.2.1.36 3−ヒドロキシプロピオネート:CoAリガーゼ(AMP形成)。
この群の全ての酵素は、InterPro(InterPro44.0;2013年9月25日公開)においてInterPro IPR020845、AMP結合、保存された部位(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR020845)およびIPR000873(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR000873)として参照されている共通の構造モチーフを共有している。Pfamデータベースにおけるこれらの酵素に関する受け入れ番号は、PF00501である。
従って、ある好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、アセテート:CoAリガーゼ(AMP形成)(6.2.1.1)の使用により達成されることができる。アセテート:CoAリガーゼは、次の反応を触媒する酵素である:
ATP + アセテート + CoA → AMP + ジホスフェート + アセチル−CoA
その反応は、アセチル−AMP中間体のアセテートおよびATPからの形成ならびにアセチル基のCoAへの転移を含む2段階反応である。これらの酵素は、細菌からヒトまでのほとんどの生きた生物中に存在する。
これらの酵素の存在は、原核生物および真核生物、特に細菌、藻類、真菌、植物および動物を含む多数の生物に関して、例えば出芽酵母、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、ピュロコックス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)、アーケオグロブス・フルギダス(Archaeoglobus fulgidus)、メタノサーモバクター・サーマオートトロフィクス(Methanothermobacter thermoautotropicus)、メタノサエタ・コンシリ(Methanosaeta concilii)、メタノサルキナ属の種(Methanosarcina sp.)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)、サルモネラ・エンテリカ(Salmonella enteric)、アリイビブリオ・フィシェリ(Aliivibrio fischeri)、大腸菌、ハロアーキュラ・マリスモルツイ(Holoarcula marismortui)、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)、オリクトラグス・クニクルス(Oryctolagus cuniculus)、オウィス・アリエース(Ovis aries)、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、フィコマイセス・ブラケスレーアヌス(Phycomyces blakesleeanus)、クリプトスポリジウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、エメリセラ・ニデュランス(Emericella nidulans)、ユーグレナ・グラシリス(Euglena gracilis)、シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、パイロバキュラム・アエロフィラム(Pyrobaculum aerophilum)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides)、ロゼオバリウス属の種(Roseovarius sp.)、ニューロスポラ・クラッサ(Neurospora crassa)、ピヌス・ラジアータ(Pinus radiate)、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)、タクスス属の種(Taxus sp.)、ゼア・マイス(Zea mays)、アラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thaliana)、ピースム・サティウム(Pisum sativum)、アマランサス属の種(Amaranthus sp.)、ホルデウム・ウルガレ(Hordeum vulgare)、ラッタス・ノルベギカス(Rattus norvegicus)、ムス・ムスクルス(Mus musculus)、マルモタ・モナクス(Mormota monax)、ボース・タウルス(Bos taurus)およびヒトに関して記載されてきた。出芽酵母からの酵素に関して、結晶構造が、例えばJogl and Tong (Biochemistry 43 (2004), 1425-1431)において開示されている。原則として、あらゆる既知のアセテート:CoAリガーゼは、本発明に従う方法において用いられることができる。本発明の一側面において、出芽酵母からのアセテート:CoAリガーゼが用いられる(Jogl and Tong;上記の引用)。
別の好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、ブタノエート:CoAリガーゼ(AMP形成)(6.2.1.2)の使用により達成されることができる。ブタノエート:CoAリガーゼは、次の反応を触媒する酵素である:
ATP + カルボキシレート + CoA → AMP + ジホスフェート + アシル−CoA
これらの酵素は、ブタノエート代謝に参加している。これらの酵素の存在は、原核生物および真核生物、特に細菌、藻類、真菌、植物および動物を含む多数の生物に関して、例えばストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、ペニシリウム・クリソゲナム、パエシロマイセス・バリオッティ(Paecilomyces variotii)、シュードモナス・エルギノーサ、ディクトヨステリウム・ディスコイデウム(Dictyostelium discoideum)、カビア・ポルセルス(Cavia porcellus)、オウィス・アリエス(Ovis aries)、スース・スクロファ(Sus scrofa)、ボース・タウルス、ムス・ムスクルス、ラッタス・ノルベギカスおよびヒトに関して記載されてきた。
別の好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、長鎖脂肪酸:CoAリガーゼ(AMP形成)(6.2.1.3)(脂肪アシル−CoAシンテターゼ;FACSとしても知られている)の使用により達成されることができる。これらの酵素は、次の反応を触媒する:
ATP + 長鎖脂肪酸 + CoA → AMP + ジホスフェート + アシル−CoA
この触媒の重要な特徴の1つは、アデニル化された中間体、すなわち脂肪アシル−AMPの形成である。この活性化段階は、脂肪酸のカルボキシル基の、AMPのホスホリル基へのアシル結合による連結を含む。
これらの酵素は、脂肪アシル−CoAの形成を触媒することにより、中間代謝における中心的な役割を果たしている。従って、それらは基本的に全ての生物に存在し、例えば出芽酵母、大腸菌、シュードモナス・エルギノーサ、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)、カウロバクター・ビブリオイデス(Caulobacter vibrioides)、マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、トリパノソーマ・ブルセイ(Trypanosoma brucei)、エメリセラ・ニデュランス、ヤロウイア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、プラスモジウム・ファルシパラム(Plasmodium falciparum)、プラスモジウム・ノウレシ(Plasmodium knowlesi)、カエノラブディティス・エレガンス(Ceanorhabditis elegans)、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)、モルティエレラ・アルピナ(Mortierella alpina)、タラシオシラ・シュードナナ(Thalassiosira pseudonana)、フォティナス・ピラリス(Photinus pyralis)、トリボリウム・カスタネウム(Tribolium castaneum)、オリクトラグス・クニクルス(Oryctolagus cuniculus)、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)、ルキオラ・クルキアタ(Luciola cruciata)、ノトテニア・コリイセプス(Notothenia coriiceps)、ピースム・サティウム、ゼア・マイス、アラビドプシス・サリアナ、ウルムス属の種(Ulmus sp.)、ブラシカ・ナプス(Brassica napus)、アグリプヌス・ビノデュルス(Agrypnus binodulus)、バベシア・ボビス(Bebesia bovis)、ムス・ムスクルス、ラッタス・ノルベギカス、スース・スクロファおよびヒトに関して記載されてきた。原則として、あらゆる既知の長鎖脂肪酸:CoAリガーゼは、本発明に従う方法において用いられることができる。本発明の一側面において、大腸菌からの長鎖脂肪酸:CoAリガーゼが用いられる。大腸菌におけるその酵素は、fadD遺伝子によりコードされている(Weimar et al., J. Biol. Chem. 277 (2002), 29369-29376)。
別の好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、4−クマレート−CoAリガーゼ(EC6.2.1.12)の使用により達成されることができる。4−クマレート−CoAリガーゼは、次の反応を触媒する酵素である:
ATP + 4−クマレート + CoA → AMP + ジホスフェート + 4−クマロイル−CoA
4−クマレート−CoAリガーゼは、4−クマレートおよび他のヒドロキシシンナメート類のCoAチオールエステルの形成を、アデニレート中間体の形成を含む2段階の反応で触媒する。これらの酵素は、フェニルプロパノイドの生合成に関わっている。これらの酵素の存在は、多数の生物、特に真核生物、特に真菌および植物に関して、例えば出芽酵母、フラガリア x アナナッサ(Fragaria x ananassa)、オリュザ・サティウァ(Oryza sativa)、リトスペルマム・エリスロリゾン(Lithospermum erythrorhizon)、エリオボティラ・ジャポニカ(Eriobotrya japonica)、アラビドプシス・サリアナ、フィスコミトレラ パテンス(Physcomitrella patens)、ルタ・グラベオレンス(Ruta graveolens)、ロビニア・シュードアカシア(Robinis pseudoacacia)、ニコチアナ・タバカム(Nicotiana tabacum)、ヴィティス・ヴィニフェラ(Vitis vinifera)、ラリクス・カジャンデリ(Larix cajanderi)、ラリクス・グメリニイ(Larix gmelinii)、ラリクス・カエムプフェリ(Larix kaempferi)、ラリクス・カムチャティカ(Larix kamtschatica)、ラリクス・シベリカ(Larix sibirica)、ラリクス・スカチェウィー(Larix sukaczewii)、ココス・ヌシフェラ(Cocos nucifera)、ピヌス・ラジアータ(Pinus radiate)、カメリア・シネンシス(Camellia sinensis)、センタウリウム・エリスラエア(Centaureum erythraea)、ケファロケレウス・セニリス(Cephalocereus senilis)、フォーシシア・サスペンサ(Forsythia suspensa)、グリシン・マックス(Glycine max)、ゴッシピウム・ヒルスツム(Gossypium hirsutum)、ロリウム・ペレネ(Lolium perenne)、ニコチアナ・タバカム、メタセコイア・グリプトストロボイデス(Metasequoia glyptostroboides)、パウロウニア・トメントサ(Paulownia tomentosa)、ペトロセリヌム・クリスプム(Petroselinum crispum)、フィロスタキス・バンブソイデス(Phyllostacchus bambusoides)、ピセア・アビエス(Picea abies)、ピヌス・タエダ(Pinus taesa)、ピースム・サティウム(Pisum sativum)、プラティクラダス・オリエンタリス(Platycladus orientalis)、ポリポルス・ヒスピダス(Polysporus hispidus)、ポプルス・トメントサ(Populus tomentosa)、ポプルス・トレムロイデス(Populus tremuloides)、ポプルス・トリコカルパ(Populus trichocarpa)、ポプルス・カナデンシス(Populus Canadensis)、プルナス・アビウム(Prunus avium)、ソラナム・ツベロサム(Solanum tuberosum)、サリクス・バビロニカ(Salix babylonica)およびトリーティクム・アエスティウム(Triticum aestivum)に関して記載されている。原則として、あらゆる既知の4−クマレート−CoAリガーゼは、本発明に従う方法において用いられることができる。一態様において、A・サリアナからの4−クマレート−CoAリガーゼが用いられる(Ehlting et al., Plant J. 27 (2001), 455-465)。
別の好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、長鎖脂肪酸:[アシルキャリヤータンパク質]リガーゼ(AMP形成)(EC6.2.1.20)の使用により達成されることができる。これらの酵素は、次の反応を触媒する:
ATP + 酸 + [アシルキャリヤータンパク質] → AMP + ジホスフェート + アシル−[アシルキャリヤータンパク質]
この触媒の重要な特徴の1つは、アデニル化された中間体、すなわちアシル−AMPの形成である。この活性化段階は、酸のカルボキシル基のAMPのホスホリル基へのアシル結合による連結を含む。
これらの酵素は、脂肪酸代謝に関わっており、それらは、様々な生物に存在する。それらは、例えばビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)、大腸菌、シネココッカス・エロンガタス(Synechococcus elongates)、シネココッカス属の種、ロドトルラ・グラティニス(Rhodotorula glutinis)、アラビドプシス・サリアナおよびアリウム・アンペロプラズム(Allium ampeloprasum)に関して記載されてきた。ビブリオ・ハーベイにおいて、その酵素は、aasS遺伝子によりコードされている(Jiang et al., Biochemistry 45 (2006), 10008-10019)。原則として、あらゆる既知の長鎖脂肪酸:[アシルキャリヤータンパク質]リガーゼが、本発明に従う方法において用いられることができる。一態様において、ビブリオ・ハーベイからの長鎖脂肪酸:[アシルキャリヤータンパク質]リガーゼが用いられる。
別の好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、4−クロロベンゾエート:CoAリガーゼ(AMP形成)(EC6.2.1.33)の使用により達成されることができる。4−クロロベンゾエート:CoAリガーゼは、次の反応を触媒する酵素である:
ATP +4−クロロベンゾエート+ CoA → AMP + ジホスフェート + 4−クロロベンゾイル−CoA
これらの酵素は、2,4−ジクロロベンゾエートの分解に参加している。それらは、4−クロロベンゾイル−CoAの形成を、4−クロロベンゾエートのATPを用いたアデニル化、続いて4−クロロベンゾイル−AMP中間体からCoAへのアシル転移からなる2段階反応で触媒する。これらの酵素の存在は、例えばアルカリゲネス(Alcaligenes)、シュードモナス(Pseudomonas)およびアルスロバクター(Arthrobacter)属(geni)の細菌に関して記載されてきた。シュードモナス属の種の株CBS3からの酵素は、例えばChang et al. (Biochemistry 36 (1997), 15650-15659)において記載されている。
別の好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、3−ヒドロキシプロピオネート:CoAリガーゼ(AMP形成)(EC6.2.1.36)の使用により達成されることができる。3−ヒドロキシプロピオネート:CoAリガーゼは、次の反応を触媒する酵素である:
ATP +3−ヒドロキシプロピオネート+ CoA → AMP + ジホスフェート + 4−ヒドロキシプロピオニル−CoA
これらの酵素は、3−ヒドロキシプロピオネート/4−ヒドロキシブチレート回路における段階を触媒している。これらの酵素の存在は、例えば細菌に関して、特にスルフォロブス・トコダイイ(Sulfolobus tokodaii)およびメタロスファエラ・セデュラ(Metallosphaera sedula)に関して記載されてきた(Alber et al., J. Bacteriol. 190 (2008), 1383-1389)。シュードモナス属の種の株CBS3からの酵素は、例えばChang et al. (Biochemistry 36 (1997), 15650-15659)において記載されている。Chang et al.において、その酵素はプロピオネート、アクリレート、アセテートおよびブチレートも活性化することが記載されている。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、SEQ ID NO:2において示されているアミノ酸配列を示すマリノバクター・アルギコラ(Marinobacter algicola)からのアシル−CoAシンテターゼ(Uniprot受け入れ番号A6EZ54も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:2において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、アシル−CoAシンテターゼの活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:2において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:2に少なくともx%(xは、25〜100の整数、好ましくは30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、アシル−CoAシンテターゼの活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができる配列を含むアシル−CoAシンテターゼを利用する。
添付された実施例は、この酵素が、例えば3−ヒドロキシプロピオネートおよびATP、3−ヒドロキシバレレートおよびATP、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートおよびATP、3−ヒドロキシイソバレレートおよびATP、ならびに3−ヒドロキシブチレートおよびATPを、対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができることを実証している。実施例において、この酵素はATPまたはADPを補助基質として用いることができることも、示されている。
別の好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、SEQ ID NO:3において示されているアミノ酸配列を示すマリノバクター・マンガノキシダンス(Marinobacter manganoxidans)からのアシル−CoAシンテターゼ(Uniprot受け入れ番号G6YPQ6も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:3において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、アシル−CoAシンテターゼの活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:3において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:3に少なくともx%(xは、25〜100の整数、好ましくは30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、アシル−CoAシンテターゼの活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができる配列を含むアシル−CoAシンテターゼを利用する。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、例えば、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼの使用により達成されることができる。AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼは、InterPro(InterPro44.0;2013年9月25日公開)においてInterPro IPR020845、AMP結合、保存された部位(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR020845)およびIPR000873(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR000873)として参照されている共通の構造モチーフを共有している。原則として、あらゆるAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼが、本発明に従う方法において用いられることができる。
ある好ましい態様において、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼは、SEQ ID NO:1において示されているアミノ酸配列を示すマリノバクター・アクアエオレイ(Marinobacter aquaeolei)のAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼ(Uniprot受け入れ番号A1U2F4も参照)である。当然、SEQ ID NO:1において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼの活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:1において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:1に少なくともx%(xは、25〜100の整数、好ましくは30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼの活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができる配列を含むAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼを利用する。
添付された実施例は、この酵素が、例えば3−ヒドロキシプロピオネートおよびATP、3−ヒドロキシバレレートおよびATP、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートおよびATP、3−ヒドロキシイソバレレートおよびATP、ならびに3−ヒドロキシブチレートおよびATPを、対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができることを実証している。対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、その酵素が、下記でさらに記載されるようなOleCタンパク質、好ましくはシュワネラ・アマゾネンシス(Shewanella amazonensis)からの、ザントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)からの、またはクロロフレクサス・オウランティアカス(Chloroflexus aurantiacus)からのOleCタンパク質との組み合わせで用いられる場合、対応するアルケンにさらに変換されることができることも、示されている。これは、例えば、3−ヒドロキシブチレートからのプロピレンの生産に関して、または3−ヒドロキシバレレートからの1−ブテンの生産に関して、または3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエンの生産に関して、または3−ヒドロキシイソバレレートからのイソブテンの生産に関して示されている。従って、好ましい態様において、本発明に従う方法は、本明細書において上記で記載されたようなマリノバクター・アクアエオレイのAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼならびに本明細書において下記で記載されるようなシュワネラ・アマゾネンシスからの、ザントモナス・カンペストリスからの、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)からの、またはクロロフレクサス・オウランティアカスからのOleCタンパク質を利用する。より好ましくは、そのような方法は、3−ヒドロキシブチレートからプロピレンを生産するため、または3−ヒドロキシバレレートから1−ブテンを生産するため、または3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートから1,3−ブタジエンを生産するため、または3−ヒドロキシイソバレレートからのイソブテンの生産のためのものである。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼ、例えば、SEQ ID NO:4において示されているアミノ酸配列を示すバークホルデリア属の種(Burkholderia sp.)のAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼ(Uniprot受け入れ番号R4WRJ4も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:4において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼの活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:4において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:4に少なくともx%(xは、25〜100の整数、好ましくは30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼの活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができる配列を含むAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼを利用する。
添付された実施例は、この酵素が、例えば3−ヒドロキシプロピオネートおよびATP、3−ヒドロキシバレレートおよびATP、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートおよびATP、3−ヒドロキシイソバレレートおよびATP、ならびに3−ヒドロキシブチレートおよびATPを、対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができることを実証している。実施例において、この酵素がATPまたはADPを補助基質として用いることができることも、示されている。さらに、対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、その酵素が、下記でさらに記載されるようなOleCタンパク質、好ましくはシュワネラ・アマゾネンシスからの、またはシュワネラ・ロイヒカ(Shewanella loihica)からのOleCタンパク質との組み合わせで用いられる場合、対応するアルケンにさらに変換されることができることも、示されている。これは、例えば、3−ヒドロキシブチレートからのプロピレンの、または3−ヒドロキシイソバレレートからの1−ブテンの、または3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエンの生産に関して示されている。従って、好ましい態様において、本発明に従う方法は、本明細書において上記で記載されたようなバークホルデリア属の種のAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼならびに本明細書において下記で記載されるようなシュワネラ・アマゾネンシスからの、またはシュワネラ・ロイヒカからのOleCタンパク質を利用する。より好ましくは、そのような方法は、3−ヒドロキシブチレートからプロピレンを生産するため、または3−ヒドロキシバレレートからの1−ブテンの生産のため、または3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエンの生産のためのものである。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼ、例えば、SEQ ID NO:5において示されているアミノ酸配列を示すシュードモナス・プチダのAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼ(Uniprot受け入れ番号A5W2K0も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:5において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼの活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:5において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:5に少なくともx%(xは、25〜100の整数、好ましくは30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、AMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼの活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができる配列を含むAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼを利用する。
添付された実施例は、この酵素が、例えば3−ヒドロキシプロピオネートおよびATP、3−ヒドロキシバレレートおよびATP、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートおよびATP、3−ヒドロキシイソバレレートおよびATP、ならびに3−ヒドロキシブチレートおよびATPを、対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができることを実証している。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換は、中鎖脂肪酸−CoAリガーゼ、例えば、SEQ ID NO:6において示されているアミノ酸配列を示すシュードモナス・オレオボランス(Pseudomonas oleovorans)の中鎖脂肪酸−CoAリガーゼ(van Beilen et al., Mol. Biol. 6 (1992), 3121-3136およびUniprot受け入れ番号Q00594も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:6において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、中鎖脂肪酸−CoAリガーゼの活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:6において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:6に少なくともx%(xは、25〜100の整数、好ましくは30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、中鎖脂肪酸−CoAリガーゼの活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができる配列を含む中鎖脂肪酸−CoAリガーゼを利用する。
添付された実施例は、この酵素が、例えば3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートおよびATPを、対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができることを実証している。
別の好ましい態様において、本発明に従う方法は、上記で言及されたアデニレート形成酵素のクラスIIに属する酵素を用いる。このクラスは、アミノアシル−tRNAシンテターゼを含む。このクラスに属する酵素は、EC6.1.1として分類される(Woese et al., Microbiology and Molecular Biology Reviews, 64 (2000), 202-236)。
別の好ましい態様において、本発明に従う方法は、上記で言及されたアデニレート形成酵素のクラスIIIに属する酵素を用いる。このクラスは、NRPS非依存性シデロフォア(NIS)アデニル化酵素(Challis, Chem. Bio. Chem, 6 (2005), 601-611)を含む。
本発明に従う方法の別の態様において、“カルボン酸レダクターゼ(CAR)”として分類される酵素が、3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換のために用いられる。
用語“カルボン酸レダクターゼ”は、以下の反応:
脂肪酸 + ATP + NADPH → 脂肪アルデヒド + AMP + ジホスフェート + NADP
を触媒することができる酵素を意味することが理解されている。
これらの酵素の一般的な機能は、例えばAkhtar et al. (PNAS 110 (2013), 87-92)において記載されている。これらの酵素は、異なるデータベースにおいて参照される以下の共通の構造的特徴を、上記で言及されたアデニレート形成酵素と共有している:
1.InterProデータベース(InterPro44.0;2013年9月25日公開)
IPR020845、AMP結合、保存された部位
(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR020845)
IPR000873(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR000873)
2.Prosite
PS00455(http://prosite.expasy.org/PS00455)
説明:推定上のAMP結合ドメイン署名。
パターン:[LIVMFY]−{E}−{VES}−[STG]−[STAG]−G−[ST]−[STEI]−[SG]−x−[PASLIVM]−[KR]。
(登録名AMP_BINDING;受け入れ番号PS00455;登録型PATTERN;日付1991年5月(作製);2004年12月(データの更新);2013年10月(情報の更新)。パターン[LIVMFY]−{E}−{VES}−[STG]−[STAG]−G−[ST]−[STEI]−[SG]−x−[PASLIVM]−[KR])
3.Pfam
Pfamデータベースにおけるこれらの酵素に関する受け入れ番号は、PF00501である。
さらに、CAR酵素は、それらが第1段階においてアデニレート形成酵素を特性付ける反応を触媒する、すなわち、それらはそうでなければ非反応性の脂肪酸のカルボン酸を、通常のヒドロキシル脱離基をアデノシンモノホスフェートに変換することにより、活性化するため、アデニレート形成酵素として分類されることができる。特に、CAR酵素により触媒される反応は、次のスキームに従う反応全体を触媒する:
脂肪酸 + ATP + NADPH → 脂肪−アシル−アデニレート + PP + NADPH → 脂肪アルデヒド + AMP + P + NADP
ある好ましい態様において、カルボン酸レダクターゼは、EC1.2.99.6に分類されている酵素である。別の好ましい態様において、NADPH依存性カルボン酸レダクターゼは、SEQ ID NO:7において示されているアミノ酸配列を示すノカルジア・イオウェンシス(Nocardia iowensis)からのカルボン酸レダクターゼ(Uniprot Q6RKB1;Venkitasubramanian et al., Enzyme and Microbial Technology 42 (2008), 130-137)である。当然、SEQ ID NO:7において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、NADPH依存性カルボン酸レダクターゼの活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:7において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:7に少なくともx%(xは、25〜100の整数、好ましくは30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、NADPH依存性カルボン酸レダクターゼの活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシレートをアルケンに変換することができる配列を含むNADPH依存性カルボン酸レダクターゼを利用する。
実施例は、ノカルジア・イオウェンシスからのNADPH依存性カルボン酸レダクターゼの、3−ヒドロキシブチレートからのプロピレンの、3−ヒドロキシバレレートからの1−ブテンの、および3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエンの生産における使用を示す。従って、好ましい態様において、本発明に従う方法は、3−ヒドロキシブチレートからのプロピレンの、3−ヒドロキシバレレートからの1−ブテンの、または3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエンの生産のためのものであり、用いられる酵素は、下記でさらに記載されるようなOleCタンパク質、最も好ましくはシュワネラ・アマゾネンシスからのOleCタンパク質との組み合わせでの、カルボン酸レダクターゼ、特にNADPH依存性カルボン酸レダクターゼ、最も好ましくは上記のようなノカルジア・イオウェンシスからの酵素である。
上記で言及されたように、式IIにおいて示されているようなあらゆる補助基質が、本発明に従う方法において用いられることができる。Zがアデニン、特に補助基質ATPまたはADPである補助基質が、好ましい。しかし、他の態様において、補助基質は、Zが別のヌクレオ塩基、例えばグアニン、チミン、シトシン、ウラシルまたはヒポキサンチンである補助基質であることが、十分に可能である。Tanaka et al (Eur. J. Biochem. 98 (1979), 165-172)において、そしてAlber et al. (J. Bacteriol. 190 (2007), 1383-1389)において、アデニレート形成酵素は、ATPの他に、他の補助基質、例えばADP、UTP、CTP、GTPおよびITPを用いることもできることが、報告されている。
上記のように、得られた3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、本発明の方法に従って、対応するアルケンにさらに変換される。この変換は、二酸化炭素の脱離、すなわち、ヌクレオチド部分およびCOが遊離状態になる脱カルボキシル反応により達成される。この反応の一般的なスキームが、図4Aにおいて示されている。
特に、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの変換は、酵素的脱カルボキシルにより達成され、すなわち、その脱カルボキシルは、酵素を用いることにより達成される。好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートである。対応する反応スキームが、図5において示されている。
適切な酵素は、特に、一般にOleCタンパク質と呼ばれる酵素である。
ある好ましい態様において、本発明に従う方法の第1段階、すなわち、3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換において用いられる酵素は、本発明に従う方法の第2段階、すなわち、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの変換において用いられる酵素とは異なる。特に、ある好ましい態様において、本発明に従う方法の第1段階、すなわち、3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換において用いられる酵素は、本明細書において下記で定義されるようなOleCタンパク質ではない。
3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの変換は、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートのアルケンへの直接的な変換により達成されることができる。代替の方法では、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートがまず3−ヒドロキシヌクレオチジル−カルボキシレートに変換され、次いでそれがさらに対応するアルケンに変換されることも可能である(図4B参照)。特にOleCタンパク質はおそらく、カルボキシル−ヌクレオチジレートがまずヌクレオチジル−カルボキシレートに変換された後さらに変換される反応を触媒していることが、Janice Alina Frias(2011;米国ミネソタ大学)の博士論文において記載されていた。
従って、好ましい態様において、本発明に従う方法の第2段階において用いられる酵素は、OleCタンパク質である。OleCタンパク質は、AMP依存性リガーゼ/シンターゼスーパーファミリーのメンバーであり(LuxE;アシル−アデニレート/チオエステル形成、アセチル−CoAシンテターゼ様(Sukovich et al., Appl. Environ. Microbiol. 76 (2010), 3850-3862))、ポリオレフィン性炭化水素の生合成に関わっていることが知られている(Frias et al., Acta Cryst. F6 (2010), 1108-1110)。ポリオレフィン性炭化水素は、oleという名称の遺伝子、特にole ABCD遺伝子クラスターに依存するヘッドトゥーヘッド脂肪酸縮合生合成経路(オレフィン生合成)の産物であることが示された(Sukovich et al., Appl. Environ. Microbiol. 76 (2010), 3842-3849およびSukovich et al., Appl. Environ. Microbiol. 76 (2010), 3850-3862)。oleABCDにより触媒される反応の一般的なスキームが、図29において示されている。WangおよびLu(frontiers in Bioengineering and Biotechnology 1 (2013);論文10)は、脂肪酸誘導体のクライゼン縮合がOleAにより触媒されてβ−ケト酸を生成し、それは自発的に脱カルボキシルしてケトンを生成することができることを、記載している。OleCは、OleAにより生成されたβ−ケト酸中間体を用いたさらなる反応に関わっている(Frias et al., J. Biol. Chem. 286 (2011) 10930-10938; Sukovich et al., Appl. Environ. Microbiol. 76 (2010), 3842-3849)。
従って、用語“OleCタンパク質”は、本明細書で用いられる際、AMP依存性リガーゼ/シンターゼを指す。より好ましくは、それは、LuxE/AMPリガーゼファミリーに割り当てられることができるAMP依存性リガーゼ/シンターゼを指す。LuxE/AMPリガーゼファミリーへの割り当ては、一般にそのタンパク質の構造的特徴、例えばそのより大きいN末端ドメイン配列に基づく。
OleCタンパク質は、それらがAMP結合ドメインを有するという特徴により構造的に特性付けられる。好ましくは、OleCタンパク質は、以下のデータベース項目のいずれかにおいて定義されるようなAMP結合ドメインを示す:
1.InterProデータベース(InterPro44.0;2013年9月25日公開)
IPR020845、AMP結合、保存された部位
(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR020845)
IPR000873(http://www.ebi.ac.uk/interpro/entry/IPR000873)
2.Prosite
PS00455(http://prosite.expasy.org/PS00455)
説明:推定上のAMP結合ドメイン署名。
パターン:[LIVMFY]−{E}−{VES}−[STG]−[STAG]−G−[ST]−[STEI]−[SG]−x−[PASLIVM]−[KR]。
(登録名AMP_BINDING;受け入れ番号PS00455;登録型PATTERN;日付1991年5月(作製);2004年12月(データの更新);2013年10月(情報の更新)。パターン[LIVMFY]−{E}−{VES}−[STG]−[STAG]−G−[ST]−[STEI]−[SG]−x−[PASLIVM]−[KR])
3.Pfam
Pfamデータベースにおけるこれらの酵素に関する受け入れ番号は、PF00501である。
さらに、用語“OleCタンパク質”は、ole ABCD遺伝子クラスター/オペロンによりコードされているタンパク質を指す。
機能的に、OleCタンパク質は、それが上記のようなポリオレフィン性炭化水素生合成に、特に長鎖オレフィンのアルキル−CoAからの生合成に関わっていることを特徴とする(図29参照)。
好ましくは、OleCタンパク質は、シュワネラ、シクロモナス(Psychromonas)、ステノトロホモナス、ザントモナスおよびクロロフレクサスからなる群から選択される属に属する生物に、より好ましくはシュワネラ・アマゾネンシス、シュワネラ・ロイヒカ、ステノトロホモナス・マルトフィリア、ザントモナス・カンペストリスおよびクロロフレクサス・オウランティアカスからなる群から選択される種に属する生物に由来するタンパク質である。さらにもっと好ましくは、その生物は、シュワネラ・アマゾネンシス(株ATCC BAA−1098/SB2B)、シュワネラ・ロイヒカ(株ATCC BAA−1088/PV−4)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(株R551−3)、ザントモナス・カンペストリス・パソバー・カンペストリス(株ATCC 33913/NCPPB 528/LMG568)またはクロロフレクサス・オウランティアカス(株ATCC 29364/DSM 637/Y−4−fl)である。特に好ましい態様において、その酵素は、その配列がUniprot A1S4T5、Uniprot A3QDN4、Uniprot B4SSJ3、Uniprot Q8PDW6およびUniprot B9LEI2において示されているOleC酵素である。
好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの酵素的変換は、例えば、SEQ ID NO:8において示されているアミノ酸配列を示すシュワネラ・アマゾネンシスのOleCタンパク質(Uniprot受け入れ番号A1S4T5も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:8において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、OleCタンパク質の活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:8において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:8に少なくともx%(xは、30〜100の整数、好ましくは35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、OleCタンパク質の活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートをアルケンに変換することができる配列を含むOleCタンパク質を利用する。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの酵素的変換は、例えば、SEQ ID NO:9において示されているアミノ酸配列を示すシュワネラ・ロイヒカのOleCタンパク質(Uniprot受け入れ番号A3QDN4も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:9において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、OleCタンパク質の活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:9において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:9に少なくともx%(xは、30〜100の整数、好ましくは35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、OleCタンパク質の活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートをアルケンに変換することができる配列を含むOleCタンパク質を利用する。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの酵素的変換は、例えば、SEQ ID NO:10において示されているアミノ酸配列を示すステノトロホモナス・マルトフィリアのOleCタンパク質(Uniprot受け入れ番号B4SSJ3も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:10において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、OleCタンパク質の活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:10において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:10に少なくともx%(xは、30〜100の整数、好ましくは35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、OleCタンパク質の活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートをアルケンに変換することができる配列を含むOleCタンパク質を利用する。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの酵素的変換は、例えば、SEQ ID NO:11において示されているアミノ酸配列を示すザントモナス・カンペストリスのOleCタンパク質(Uniprot受け入れ番号Q8PDW6も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:11において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、OleCタンパク質の活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:11において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:11に少なくともx%(xは、30〜100の整数、好ましくは35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、OleCタンパク質の活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートをアルケンに変換することができる配列を含むOleCタンパク質を利用する。
さらなる好ましい態様において、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの酵素的変換は、例えば、SEQ ID NO:122において示されているアミノ酸配列を示すクロロフレクサス・オウランティアカスのOleCタンパク質(Uniprot受け入れ番号B9LEI2も参照)の使用により達成されることができる。当然、SEQ ID NO:12において示されているようなアミノ酸配列を有する酵素だけでなく、OleCタンパク質の活性を示す関連する配列を有する酵素を使用することも可能である。従って、ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、SEQ ID NO:12において示されているアミノ酸配列、またはSEQ ID NO:12に少なくともx%(xは、30〜100の整数、好ましくは35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98または99である)同一であり、OleCタンパク質の活性を示し、かつ本明細書において上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートをアルケンに変換することができる配列を含むOleCタンパク質を利用する。
ある好ましい態様において、本発明に従う方法は、イソブテンの生産のための方法であり、3−ヒドロキシカルボキシレートは、3−ヒドロキシ−3−メチルブチレート(3−ヒドロキシイソバレレート)である。変換全体に関する一般的な反応スキームが、図6Aにおいて示されている。好ましい態様において、3−ヒドロキシ−3−メチルブチレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換は、ATPまたはADPを補助基質として用いることにより実施され、結果として生じる3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、3−ヒドロキシ−3−メチルブチリル−アデニレート(3−ヒドロキシイソバレリル−アデニレート)である。対応する反応スキームが、図6BおよびCにおいてそれぞれ示されている。
別の好ましい態様において、本発明に従う方法は、プロピレンの生産のための方法であり、3−ヒドロキシカルボキシレートは、3−ヒドロキシブチレートである。変換全体に関する一般的な反応スキームが、図7Aにおいて示されている。好ましい態様において、3−ヒドロキシブチレートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換は、ATPまたはADPを補助基質として用いることにより実施され、結果として生じる3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、3−ヒドロキシブチリル−アデニレートである。対応する反応スキームが、図7BおよびCにおいてそれぞれ示されている。
別の好ましい態様において、本発明に従う方法は、1,3−ブタジエンの生産のための方法であり、3−ヒドロキシカルボキシレートは、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートである。変換全体に関する一般的な反応スキームが、図8Aにおいて示されている。好ましい態様において、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートの対応する3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換は、ATPまたはADPを補助基質として用いることにより実施され、結果として生じる3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートは、3−ヒドロキシペンタ−4−エノイル−アデニレートである。対応する反応スキームが、図8BおよびCにおいてそれぞれ示されている。
本発明に従うプロセスにおいて用いられる酵素は、天然に存在する酵素であることができ、またはそれは、例えば、例えば酵素活性、安定性等を変化させる、または向上させる変異または他の変更の導入により天然に存在する酵素から派生した酵素であることもできる(より詳細な記載に関して、さらに下記も参照)。
本発明が、上記のような3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換のために用いられるべきアデニレート形成酵素に言及する場合、そのようなアデニレート形成酵素への言及は、上記のような3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換を触媒することができるが、それらの天然の基質に対して低い親和性しか有しない、またはもはやそれらの天然の基質を受け入れない、そのようなアデニレート形成酵素から派生した酵素も含む。
本発明が、上記のような3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの変換のために用いられるべき特定の酵素に言及する場合、そのような酵素への言及は、上記のような3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの変換を触媒することができるが、それらの天然の基質に対して低い親和性しか有しない、またはもはやそれらの天然の基質を受け入れない、そのような酵素から派生した酵素も含む。
本発明に従う方法において用いられるべき酵素の好ましい基質のそのような改変は、本発明に従う方法の反応のそれぞれの基質の変換を向上させること、および酵素のそれらの天然の基質(単数または複数)への作用による望ましくない副産物(単数または複数)の生成を低減することを可能にする。タンパク質の望ましい酵素活性を改変する、および/または向上させるための方法は、当業者には周知であり、例えばランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発およびそれに続く望ましい特性を有する酵素の選択、またはいわゆる“指向性進化”のアプローチを含む。
例えば、原核細胞における遺伝子工学に関して、酵素をコードする核酸分子は、変異誘発またはDNA配列の組み換えによる配列の改変を可能にするプラスミド中に導入されることができる。標準的な方法(Sambrook and Russell (2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, 米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照)が、塩基交換が実施されること、または天然もしくは合成配列が追加されることを可能にする。DNA断片は、アダプターおよびリンカーをその断片に適用することにより、互いに連結されることができる。さらに、適切な制限部位を提供する、または余分なDNAもしくは制限部位を除去する工学的手段が、用いられることができる。挿入、欠失または置換が可能である場合、インビトロ変異誘発、“プライマー修復”、制限またはライゲーションが、用いられることができる。一般に、配列分析、制限分析ならびに生化学および分子生物学の他の方法が、分析法として実施される。次いで、結果として得られた酵素バリアントは、それらの酵素活性に関して、特に、本発明に従う方法の状況において用いられることができる異なる酵素の記載と関連して上記で記載されたように、それらの天然の基質(単数または複数)ではなく、本発明に従う方法のそれぞれの反応において示されているような基質を基質として変換するそれらの能力に関して、試験される。本発明に従う方法の反応と関連して示されたような反応を触媒する酵素の能力を測定するためのアッセイが、実施例において記載されている。
その天然の基質に対して低い親和性を有する、またはその天然の基質をもはや受け入れない酵素の改変版は、天然に存在する酵素から、または既に改変された、最適化された、もしくは合成的に生成された酵素から派生することができる。
本発明に従うプロセスにおいて用いられる酵素は、そのタンパク質の天然版、または合成タンパク質、ならびに化学的に合成された、もしくは生物学的系において、もしくは組み換えプロセスにより生成されたタンパク質であることができる。その酵素は、その/それらの例えば温度に対する安定性、耐性を向上させるために、その精製またはその支持体上での固定化を容易にするために、化学修飾されることもできる。その酵素は、単離された形態、精製された形態で、固定化された形態で、その酵素を合成している細胞から得られた粗製のまたは部分的に精製された抽出物として、化学合成された酵素として、組み換えで生成された酵素として、それらを産生している微生物の形態で、等で用いられることができる。従って、本発明で用いられる酵素は、天然または合成的なものであることができ、化学的、生物学的または遺伝学的手段により生成されることができる。それは、例えばその活性、耐性、特異性、精製を向上させるために、またはそれを支持体上に固定化するために、化学修飾されることもできる。
本発明に従う方法において、一方に3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換を達成するために必要とされるアデニレート形成酵素の触媒ドメインを含有し、他方にOleCタンパク質を含有する融合タンパク質を用いることも、考えられる。
本発明に従う方法は、インビトロまたはインビボで実施されることができる。インビトロの反応は、細胞が用いられない反応、すなわち無細胞反応であることが理解されている。従って、インビトロは、好ましくは無細胞系におけることを意味する。用語“インビトロ”は、一態様において、単離された酵素(または場合によりおそらく必要とされる補因子を含む酵素系)の存在下を意味する。一態様において、その方法において用いられる酵素は、精製された形態で用いられる。別の態様において、その方法において用いられる酵素は、タンパク質精製コストを節約するために、その反応中に、精製されていない抽出物として、または未溶解の細菌の形態で存在する。
プロセスをインビトロで実施するため、反応のための基質および酵素は、その酵素が活性であり、酵素的変換が起こることを可能にする条件(緩衝剤、温度、補助基質、補因子等)の下でインキュベートされる。反応は、対応するアルケンを生成するために十分な時間の間進行させられる。アルケンの生成は、当該技術で既知の方法、例えば、おそらく質量分析検出または炎イオン化検出(FID)に連結されたガスクロマトグラフィーにより測定されることができる。
酵素は、酵素反応が起こることを可能にするあらゆる適切な形態であることができる。それらは、精製される、もしくは部分的に精製されることができ、または粗製の細胞抽出物もしくは部分的に精製された抽出物の形態であることができる。酵素が適切なキャリヤー上に固定化されていることも、可能である。
本発明に従うインビトロの方法は、ワンポット反応で実施されることができ、すなわち、基質は、1つの反応混合物中で、対応するアルケンへの変換に必要な上記の酵素と組み合わせられ、アルケンを生成するために十分な時間の間反応が進行することが可能にされる。あるいは、その方法は、異なる段階を連続する様式で達成することにより、すなわち、まず3−ヒドロキシカルボキシレートを1種類以上の酵素と混合し、反応を3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへと進行させ、次いで1種類以上のさらなる酵素を添加して3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートをさらに対応するアルケンに変換することにより実施されることもできる。
生成されたアルケンの回収は、1工程または多工程を含むことができる。例えば、アルケンは、標準的な技法、例えば吸着/脱着、ガスストリッピング、分画を用いて回収されることができる。生成されたアルケンのCOからの分離は、COの低温での凝縮により達成されることができる。COは、極性溶媒、例えばエタノールアミンにより除去されることもできる。
別の態様において、本発明に従う方法は、培養物中で、3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換することができる上記の酵素を産生し、さらに本明細書で上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートを対応するアルケンに変換するために必要な酵素も産生する生物、好ましくは微生物の存在下で実施される。そのような生物または微生物も、本発明の対象である。
必要とされる酵素活性の1つを天然に発現する(微)生物が用いられる場合、そのような(微)生物を、この活性がその(微)生物中で過剰発現されるように改変することが可能である。これは、例えば、対応する遺伝子のプロモーター領域において、その遺伝子のより高い発現を確実にするプロモーターをもたらすように、変異をもたらすことにより、達成されることができる。あるいは、その遺伝子自体を、より高い活性を示す酵素をもたらすように変異誘発することも、可能である。3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換するために必要である酵素を発現し、さらに本明細書で上記で記載されたように3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートを対応するアルケンに変換するために必要な酵素も産生する(微)生物を用いることにより、酵素を分離または精製する必要なく、本発明に従う方法を培地中で直接実施することが可能である。
しかし、本発明は、好ましくは、上記のような酵素をそれらが天然に存在するレベルで発現している天然にあるままの天然存在微生物を除外する。代わりに、本発明の、本発明の方法において用いられる微生物は、好ましくは、それがそのゲノム中に通常は存在しない本発明の外因性の酵素を発現する(過剰発現を含む)ように遺伝子改変されていようと、またはそれが外因性の酵素を過剰発現するように操作されていようと、非天然存在微生物である。
従って、本発明と関連して用いられる酵素および(微)生物は、好ましくは非天然存在酵素または(微生物)であり、すなわち、それらは、天然に存在する酵素または微生物とは有意に異なり、天然に存在しない酵素または微生物である。その酵素に関して、それらは好ましくは、それ自体は天然に存在しない天然存在酵素のバリアントである。そのようなバリアントは、例えば、向上した特性、例えばより高い酵素活性、より高い基質特異性、より高い温度耐性等を示す変異体、特に分子生物学的方法により調製された変異体を含む。その(微)生物に関して、それらは、好ましくは、遺伝子改変により天然存在生物と異なる本明細書において上記で記載されたような遺伝子改変生物である。遺伝子改変生物は、天然に存在しない、すなわち天然において見付けられることができない、外来核酸分子の導入により天然存在生物と実質的に異なる生物である。
本明細書において上記で記載されたような外因性または内因性の酵素を過剰発現することにより、その酵素の濃度は、天然において見られる濃度よりも実質的に高く、従ってそれは、それぞれの酵素に関する非天然型を用いる本発明の反応を予想外に押し進めることができる。好ましくは、過剰発現された酵素の濃度は、総宿主細胞タンパク質の少なくとも5%、10%、20%、30%または40%である。
“非天然”基質は、たとえそれが実際にその微生物中でその内因性の酵素と共に同時に存在している可能性があるとしても、天然におけるそれぞれの酵素により作用されない分子であることが、理解されている。この“非天然”基質は、他の基質(例えば“天然基質”)が好まれるため、天然ではその微生物により変換されない。従って、本発明は、非天然基質を天然には見られない環境において上記の酵素と共に利用することを意図している。
一態様において、本発明に従う、または本発明に従う方法において用いられる(微)生物は、3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換と関連して上記で記載されたような酵素の1種類以上をコードする1個以上の外来核酸分子を含有するように遺伝子改変されており、さらに本明細書において上記で記載されたような3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートを対応するアルケンに変換するために必要な酵素も産生する生物、好ましくは微生物である。この文脈における用語“外来の”または“外因性の”は、その核酸分子が、前記の生物/微生物中に天然に存在しないことを意味する。これは、それがその生物/微生物において同じ構造においても同じ位置にも存在しないことを意味する。ある好ましい態様において、外来核酸分子は、プロモーターおよびそれぞれの酵素をコードするコード配列を含む組み換え分子であり、ここで、コード配列の発現を駆動するプロモーターは、コード配列に関して異種性である。この文脈における異種性は、そのプロモーターが、前記のコード配列の発現を天然に駆動しているプロモーターではなく、異なるコード配列の発現を天然に駆動しているプロモーターである、すなわち、それが別の遺伝子に由来する、または合成プロモーターもしくはキメラプロモーターであることを意味する。好ましくは、そのプロモーターは、その生物/微生物に対して異種性のプロモーター、すなわち、それぞれの生物/微生物中に天然に存在しないプロモーターである。さらにもっと好ましくは、そのプロモーターは、誘導可能なプロモーターである。異なるタイプの生物において、特に微生物において発現を駆動するためのプロモーターは、当業者に周知である。
さらなる態様において、核酸分子は、コードされる酵素がその生物/微生物に対して内因性ではない、すなわちそれが遺伝子改変されていない場合にその生物/微生物により天然に発現されない点で、その生物/微生物に対して外来性である。換言すると、コードされる酵素は、その生物/微生物に関して異種性である。外来核酸分子は、その生物/微生物中に、染色体外の形態で、例えばプラスミドとして存在することができ、または染色体中に安定に組み込まれることもできる。安定な組み込みが好ましい。従って、遺伝子改変は、例えば、酵素(単数または複数)をコードする対応する遺伝子(単数または複数)を染色体中に組み込むこと、または酵素(単数または複数)をその酵素をコードする配列の上流にプロモーターを含有するプラスミドから発現させること(そのプロモーターおよびコード配列は、好ましくは異なる生物に由来する)、または当業者に既知のあらゆる他の方法にあることができる。
本発明において用いられる生物は、原核生物または真核生物であることができ、好ましくは、それらは、微生物、例えば細菌、酵母、真菌もしくはカビ、または植物細胞もしくは動物細胞である。特定の態様において、微生物は、細菌、好ましくはエシェリキア(Escherichia)、アルカリゲネスまたはバチルス属の細菌、さらにもっと好ましくは大腸菌、アルカリゲネス・ユートロフス(Alcaligenes eutrophus)またはバシラス・メガテリウム(Bacillus megaterium)種の細菌である。
さらなる好ましい態様において、微生物は、真菌、より好ましくはサッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、アスペルギルス(Aspergillus)、ピキア(Pichia)、トリコデルマ(Trichoderma)またはクルイウェロミセス(Kluyveromyces)属の真菌、さらにもっと好ましくは出芽酵母、分裂酵母、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)種の真菌、またはクルイウェロミセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)種の真菌である。
別の好ましい態様において、本発明に従う方法は、3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換を触媒することができる酵素を発現し、本明細書で上記で記載されたような3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの変換を触媒することができる酵素も産生する光合成微生物を利用する。好ましくは、その微生物は、光合成細菌または微少藻類である。さらなる態様において、その微生物は、藻類、より好ましくは珪藻類に属する藻類である。
本発明に従う方法において、上記のような3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換を触媒する酵素を産生するある微生物および上記のような3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの変換を触媒する酵素を産生する別の微生物を用いることも、考えられる。
別の好ましい態様において、本発明に従う方法は、3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換を触媒することができ、本明細書で上記で記載されたような3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの対応するアルケンへの変換を触媒することができる酵素も産生する多細胞生物を利用する。そのような生物に関する例は、植物または動物である。
本発明は、本発明に従う方法と関連して本明細書において上記で記載されたような(微)生物にも関する。
特に好ましい態様において、その方法は、微生物を標準的な培養条件(1気圧において30〜37℃、細菌の好気性増殖を可能にする発酵槽中)または標準的ではない条件(例えば好熱性生物の培養条件に対応するためのより高い温度)で培養することを含む。
一態様において、本発明に従う方法は、中温性であり、約30℃〜37の温度で培養されることができる生物、好ましくは微生物を用いる。
別の好ましい態様において、本発明に従う方法は、好熱性であり、より高い温度、例えば60℃より高い温度で培養されることができる生物、好ましくは微生物を用いる。
別の態様において、本発明の方法は、それぞれの酵素活性(単数または複数)を有する生物、好ましくは微生物を、(細胞)培養物の形態で、好ましくは液体細胞培養物の形態で提供する工程、その生物、好ましくは微生物を発酵槽(しばしばバイオリアクターとも呼ばれる)中で、それぞれの酵素の発現を可能にする適切な条件下で培養するその後の工程を含み、さらに、本明細書において上記で記載されたような本発明の方法の酵素的変換をもたらす工程を含む。適切な発酵槽またはバイオリアクター装置および発酵条件は、当業者には既知である。バイオリアクターまたは発酵槽は、生物学的に活性な環境を支持する当該技術で既知のあらゆる製造または設計された装置またはシステムを指す。従って、バイオリアクターまたは発酵槽は、生物、好ましくは微生物および/または生化学的に活性な物質、すなわちそのような生物に由来する上記の酵素(単数または複数)または上記の酵素(単数または複数)を有する生物を含む本発明の方法のような化学的/生化学的方法が実施される容器であることができる。バイオリアクターまたは発酵槽において、このプロセスは、好気性であることも嫌気性であることもできる。これらのバイオリアクターは、一般に円筒状であり、リットルから立方メートルまでの範囲の大きさであることができ、しばしばステンレス鋼で作られている。この点で、理論により束縛されるわけではないが、発酵槽またはバイオリアクターは、それが生物、好ましくは微生物を、例えばバッチ培養、流加バッチ培養、灌流培養またはケモスタット培養で培養するために適しているように設計されることができ、その全部が当該技術で一般的に知られている。
培地は、それぞれの生物または微生物を培養するために適したあらゆる培地であることができる。
さらなる態様において、本発明の方法は、生産されたアルケンがガス状態である条件下で実施される。そのような場合、その方法は、微好気性条件下で実施されることが、さらに好ましい。これは、注入される空気の量が、アルケンを含有するガス状流出物中の残留酸素濃度を最小限にするために限られていることを意味する。
別の態様において、本発明に従う方法は、さらに、反応から脱気して出るガス状アルケンを収集する工程を含む。従って、好ましい態様において、方法は、アルケンを反応の間にガス形態の下で収集するためのシステムの存在下で実施される。
実際、短鎖アルケン、特にエチレン、プロピレン、ブテン異性体および1,3−ブタジエンは、室温および大気圧においてガス状態をとる。従って、本発明に従う方法は、産業的規模で実施された場合常に非常に費用がかかる工程である、液体培地からの生成物の抽出を、必要としない。ガス状炭化水素の排気および貯蔵ならびにそれらの可能なその後の物理的分離および化学変換は、当業者に既知のあらゆる方法に従って実施されることができる。
特定の態様において、その方法は、ガス相中に存在するアルケン(例えばプロピレン、エチレン、イソブチレンまたは1,3−ブタジエン)を検出することも含む。空気または別のガスの環境中で生産されるべき化合物の存在は、たとえ少量であっても、様々な技法を用いることにより、特にガスクロマトグラフィーシステムを赤外もしくは炎イオン化検出と共に用いることにより、または質量分析と組み合わせることにより、検出されることができる。
特定の態様において、本発明に従う方法により生産されたアルケンは、凝縮され、次いで場合により、当業者に既知の技法を用いることにより、より長鎖のアルケンまたはより長鎖のアルカンを生産するために還元される。例えば、イソブチレンは、イソオクタンを合成するために用いられることができ:この反応をうまく実施するための触媒的方法は、既に完全に記載されている。
別の態様において、本発明に従う方法において用いられる生物は、植物である。原則として、あらゆる可能な植物、すなわち、単子葉植物または双子葉植物が、用いられることができる。農業的に意味のある規模で栽培されることができ、大量のバイオマスを生産することを可能にする植物を用いることが、好ましい。例は、草、例えばロリウム属(Lolium)、穀草、例えばライムギ、コムギ、オオムギ、エンバク、キビ、トウモロコシ、他のデンプンを蓄えている植物、例えばジャガイモ、または糖を蓄えている植物、例えばサトウキビもしくはテンサイである。タバコの、または野菜植物、例えばトマト、コショウ、キュウリ、ナス等の使用も、考えられる。別の可能性は、油を蓄えている植物、例えばナタネ、オリーブ等の使用である。樹木、特に早生樹、例えばユーカリ、ポプラまたはゴムノキ(ヘベア・ブラジリエンシス(Hevea brasiliensis))の使用も、考えられる。
本発明に従うプロセスが、インビボで、それぞれの酵素活性を提供する生物/微生物を用いることにより実施される場合、その生物、好ましくは微生物は、酵素反応が起こることを可能にする適切な培養条件下で培養される。具体的な培養条件は、用いられる特定の生物/微生物に依存するが、当業者には周知である。培養条件は、一般に、それらがそれぞれの反応に関する酵素をコードする遺伝子の発現を可能にするような様式で選択される。培養の特定の段階における特定の遺伝子の発現を向上させ、微調整するための様々な方法、例えば化学的誘導物質による、または温度シフトによる遺伝子発現の誘導が、当業者に既知である。
特定の好ましい態様において、本発明に従う方法は、本発明の方法に従って変換されるべき式Iに従う3−ヒドロキシカルボキシレートを産生する生物、好ましくは微生物を利用することにより実施される。3−ヒドロキシアルカノエート類は、3−ヒドロキシカルボン酸類の一部であり、いくつかの生物、特に微生物、例えばバークホルデリア属(Rocha et al., World J. Microbiol. Biotechnol. 24 (2008), 427-431)、クロモバクテリウム属(Chromobacterium)(Steinbuechel et al., Appl. Microbiol. Biotechnol. 39 (1993), 443-449)、およびバチルス属(Singh et al., Microbial Cell Factories 8 (2009), 38)の細菌により天然に産生される。従って、例えば、Steinbuechelら(上記の引用)は、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)における3−ヒドロキシブチレートの産生に関して報告している。さらに、3−ヒドロキシカルボン酸類、例えば3−ヒドロキシ酪酸につながる代謝経路は、十分に確立されている(例えば、Tokiwa and Ugwu (J. Biotechnol. 132 (2007), 264-272)およびJian et al. (Appl. Microbiol. Biotechnol. 82 (2009), 995-1003)を参照)。それに加えて、いくつかの対応する合成経路が、既に他の生物、例えば大腸菌に導入されている(例えば、Zhao et al. (FEMS Microbiol. Lett. 218 (2003), 59-64); Madison and Huisman (Microbiol. Mol. Biol. Rev. 63 (1999), 21-53); Tseng et al. (Appl. Environ. Microbiol. 75 (2009), 3137-3145)を参照)。
本発明に従う方法において用いられる酵素は、天然存在酵素、または例えば、例えば酵素活性、安定性等を変化させる、もしくは向上させる変異もしくは他の変更の導入により天然に存在する酵素から派生した酵素であることができる。
タンパク質の所望の酵素活性を改変する、および/または向上させるための方法は、当業者には周知であり、例えばランダム変異誘発もしくは部位特異的変異誘発およびそれに続く所望の特性を有する酵素の選択、またはいわゆる“指向性進化”のアプローチを含む。
例えば、原核細胞における遺伝子改変のために、対応する酵素をコードする核酸分子が、変異誘発またはDNA配列の組み換えによる配列の改変を可能にするプラスミド中に導入されることができる。標準的な方法(Sambrook and Russell (2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, 米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照)が、塩基交換が実施されること、または天然もしくは合成配列が追加されることを可能にする。DNA断片は、その断片に相補的なアダプターおよびリンカーを用いることにより、ライゲーションされることができる。さらに、適切な制限部位を提供する、または余分なDNAもしくは制限部位を除去する工学的手段が、用いられることができる。挿入、欠失または置換が可能である場合、インビトロ変異誘発、“プライマー修復”、制限またはライゲーションが、用いられることができる。一般に、配列分析、制限分析ならびに生化学および分子生物学の他の方法が、分析法として実施される。次いで、結果として得られた酵素バリアントは、所望の活性、例えば酵素活性に関して、上記のようなアッセイにより、特にそれらの増大した酵素活性に関して、試験される。
上記のように、本発明の方法において用いられる、または本発明の組成物中に含有される微生物は、対応する酵素をコードする核酸分子の導入により遺伝子改変されている微生物であることができる。従って、好ましい態様において、微生物は、本発明に従う方法の変換に関して上記で記載された少なくとも1種類の酵素の増大した活性を有するように遺伝子改変されている組み換え微生物である。これは、例えば、その微生物を、対応する酵素をコードする核酸を用いて形質転換することにより達成されることができる。微生物の遺伝子改変の詳細な記載は、下記でさらに与えられるであろう。好ましくは、微生物中に導入される核酸分子は、その微生物に関して異種性/外因性である核酸分子であり、すなわち、それは前記の生物中に天然には存在しない。
本発明の文脈において、“増大した活性”は、遺伝子改変された微生物における酵素の発現および/または活性が、対応する改変されていない微生物におけるよりも、少なくとも10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%または50%、さらにもっと好ましくは少なくとも70%または80%、特に好ましくは少なくとも90%または100%高いことを意味する。さらにもっと好ましい態様において、発現および/または活性における増大は、少なくとも150%、少なくとも200%または少なくとも500%であることができる。特に好ましい態様において、発現は、対応する改変されていない微生物におけるよりも、少なくとも10倍、より好ましくは少なくとも100倍、さらにもっと好ましくは少なくとも1000倍高い。
用語“増大した”発現/活性は、対応する改変されていない微生物が、対応する酵素を、その改変されていない微生物における対応する発現/活性がゼロであるように発現しない状況も含む。好ましくは、過剰発現された酵素の濃度は、総宿主細胞タンパク質の少なくとも5%、10%、20%、30%、または40%である。
細胞における所与のタンパク質の発現のレベルを測定するための方法は、当業者には周知である。一態様において、発現のレベルの測定は、対応するタンパク質の量を測定することにより行われる。対応する方法は、当業者には周知であり、ウェスタンブロット、ELISA等を含む。別の態様において、発現のレベルの測定は、対応するRNAの量を測定することにより行われる。対応する方法は、当業者には周知であり、例えばノーザンブロットを含む。
本発明の文脈において、用語“組み換え”は、微生物が、野生型または改変されていない微生物と比較した場合に、上記で定義されたような酵素をコードする核酸分子を含有するように遺伝子改変されていることを意味する。上記で定義されたような酵素をコードする核酸分子は、単独で、またはベクターの一部として用いられることができる。
核酸分子は、さらに、核酸分子中に含まれるポリヌクレオチドに作動可能に(operably)連結された発現制御配列を含むことができる。用語“作動的に(operatively)連結された”または“作動可能に連結された”は、本記載全体を通して用いられる際、発現が発現制御配列と適合性の条件下で達成されるような方式での、1個以上の発現制御配列および発現されるべきポリヌクレオチド中のコード領域の間の連結を指す。
発現は、異種性DNA配列の、好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写を含む。真菌における、ならびに細菌における発現を確実にする調節エレメントは、当業者に周知である。それらは、プロモーター、エンハンサー、終結シグナル、標的化シグナル等を包含する。例が、ベクターに関する説明と関連して、下記でさらに与えられている。
核酸分子と関連する使用のためのプロモーターは、その由来に関して、および/または発現されるべき遺伝子に関して、同種であることも異種であることもできる。適切なプロモーターは、例えば構成的発現に適しているプロモーターである。しかし、外的影響により決定される時点においてのみ活性化されるプロモーターが用いられることもできる。人工および/または化学的に誘導可能なプロモーターが、この状況において用いられることができる。
ベクターは、さらにベクター中に含有される前記のポリヌクレオチドに作動可能に連結された発現制御配列を含むことができる。これらの発現制御配列は、細菌または真菌における翻訳可能なRNAの転写および合成を確実にするのに適していることができる。
加えて、異なる変異をポリヌクレオチド中に、分子生物学において普通の方法(例えば、Sambrook and Russell (2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, 米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照)により挿入することが可能であり、それは改変された生物学的特性を有する可能性のあるポリペプチドの合成をもたらす。点変異の導入が、アミノ酸配列の改変が例えばポリペプチドの生物学的活性または制御に影響を及ぼす位置において考えられる。
さらに、改変された基質または生成物特異性を有する変異体が、調製されることができる。好ましくは、そのような変異体は、増大した活性を示す。あるいは、その触媒活性が基質結合活性を失うことなく消滅している変異体が、調製されることができる。
さらに、上記で定義されたような酵素をコードしているポリヌクレオチド中への変異の導入は、遺伝子発現速度および/または前記のポリヌクレオチドによりコードされている酵素の活性を、低減または増大させる。
細菌または真菌を遺伝子改変するため、上記で定義されたような酵素またはこれらの分子の一部をコードするポリヌクレオチドが、変異誘発またはDNA配列の組み換えによる配列改変を可能にするプラスミド中に導入されることができる。標準的な方法(例えば、Sambrook and Russell (2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, 米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバーを参照)は、塩基交換が実施されることを、または天然もしくは合成配列が追加されることを可能にする。DNA断片は、アダプターおよびリンカーを断片に適用することにより、互いに連結されることができる。さらに、適切な制限部位を提供する、または余分なDNAもしくは制限部位を除去する工学的手段が、用いられることができる。挿入、欠失または置換が可能である場合、インビトロ変異誘発、“プライマー修復”、制限またはライゲーションが、用いられることができる。一般に、配列分析、制限分析ならびに生化学および分子生物学の他の方法が、分析法として実施される。
従って、本発明に従って、上記のポリヌクレオチド、核酸分子またはベクターを真菌または細菌中に導入することを含む、真菌または細菌の遺伝子改変により、組み換え微生物が生成されることができる。
それぞれの酵素をコードするポリヌクレオチドは、上記の活性のいずれかを有するポリペプチドの産生をもたらすように、発現される。異なる発現系の概要が、例えばMethods in Enzymology 153 (1987), 385-516に、Bitter et al. (Methods in Enzymology 153 (1987), 516-544)に、そしてSawers et al. (Applied Microbiology and Biotechnology 46 (1996), 1-9)、Billman-Jacobe (Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 500-4)、Hockney (Trends in Biotechnology 12 (1994), 456-463)、Griffiths et al., (Methods in Molecular Biology 75 (1997), 427-440)に含まれている。酵母発現系の概要が、例えばHensing et al. (Antonie van Leuwenhoek 67 (1995), 261-279)、Bussineau et al. (Developments in Biological Standardization 83 (1994), 13-19)、Gellissen et al. (Antonie van Leuwenhoek 62 (1992), 79-93)、Fleer (Current Opinion in Biotechnology 3 (1992), 486-496)、Vedvick (Current Opinion in Biotechnology 2 (1991), 742-745)およびBuckholz (Bio/Technology 9 (1991), 1067-1072)により与えられている。
発現ベクターは、文献において広く記載されている。一般に、それらは、選択マーカー遺伝子および選択された宿主中での複製を確実にする複製起点だけでなく、細菌またはウイルスプロモーター、およびほとんどの場合において転写に関する終結シグナルも含有する。プロモーターおよび終結シグナルの間に、一般にコードDNA配列の挿入を可能にする少なくとも1個の制限部位またはポリリンカーが存在する。対応する遺伝子の転写を天然に制御しているDNA配列が、それが選択された宿主生物中で活性である場合、プロモーター配列として用いられることができる。しかし、この配列は、他のプロモーター配列と交換されることもできる。遺伝子の構成的発現を確実にするプロモーターおよび遺伝子の発現の計画的な制御を可能にする誘導可能なプロモーターを用いることが、可能である。これらの特性を有する細菌およびウイルスのプロモーター配列は、文献において詳細に記載されている。微生物(例えば大腸菌、出芽酵母)における発現のための制御配列は、文献において十分に記載されている。下流の配列の特に高い発現を可能にするプロモーターは、例えばT7プロモーター(Studier et al., Methods in Enzymology 185 (1990), 60-89)、lacUV5、trp、trp−lacUV5(DeBoer et al., in Rodriguez and Chamberlin (編者), Promoters, Structure and Function; Praeger, ニューヨーク, (1982), 462-481; DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983), 21-25)、lp1、rac(Boros et al., Gene 42 (1986), 97-100)である。誘導可能なプロモーターは、好ましくはポリペプチドの合成のために用いられる。これらのプロモーターは、しばしば構成的プロモーターがもたらすよりも高いポリペプチド収率をもたらす。最適な量のポリペプチドを得るため、2工程プロセスがしばしば用いられる。最初に、宿主細胞が最適条件下で比較的高い細胞密度まで培養される。第2工程において、用いられるプロモーターのタイプに応じて転写が誘導される。この点において、tacプロモーターは特に適切であり、それは、ラクトースまたはIPTG(=イソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド)により誘導されることができる(deBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80 (1983), 21-25)。転写に関する終結シグナルも、文献において記載されている。
宿主細胞の上記のようなポリヌクレオチドまたはベクターによる形質転換は、例えばSambrook and Russell (2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, 米国ニューヨーク州コールドスプリングハーバー;Methods in Yeast Genetics, A Laboratory Course Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1990において記載されているような標準的な方法により実施されることができる。宿主細胞は、特にpH値、温度、塩濃度、通気、抗生物質、ビタミン類、微量元素等に関する用いられる特定の宿主細胞の要求を満たす栄養培地中で培養される。
本発明は、本明細書において上記で記載されたような3−ヒドロキシカルボキシレートの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換に、さらに3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートを対応するアルケンに変換するために必要な酵素を産生する生物、好ましくは微生物にも関する。従って、本発明は、特に、本明細書において上記で定義されたような:
(a)アデニレート形成酵素;および
(b)OleCタンパク質
を発現する(微)生物に関する。
そのような微生物において発現されるべき酵素の好ましい態様に関して、上記で本発明に従う方法と関連して述べられてきたことと同じことが当てはまる。ある好ましい態様において、(a)のアデニレート形成酵素は、OleCタンパク質ではない。好ましい態様において、そのような生物は、それが上記で言及された酵素の少なくとも1つをコードする少なくとも1個の核酸分子の導入により遺伝子改変されているという意味で、組み換え生物である。好ましくは、そのような核酸分子は、その生物に関して異種性であり、それは、それが前記の生物中に天然には存在しないことを意味する。
従って、本発明は、上記の(a)において定義されたような酵素をコードする核酸分子を含み、かつ上記の(b)において定義されたような酵素をコードする核酸分子を含む生物、好ましくは微生物にも関する。好ましい態様において、核酸分子の少なくとも1つは、その生物に関して異種性であり、それは、それが前記の生物中に天然には存在しないことを意味する。微生物は、好ましくは細菌、酵母または真菌である。別の好ましい態様において、生物は、植物または非ヒト動物である。他の好ましい態様に関して、上記で本発明に従う方法と関連して述べられてきたことと同じことが当てはまる。
好ましい態様において、本発明に従う微生物は、本発明に従う方法に従って変換されるべきである式Iに従う3−ヒドロキシカルボキシレートも産生する。
さらに、本発明は、本発明に従う微生物、適切な培地および式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートまたは微生物により式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートに変換されることができる炭素源を含む組成物にも関する。
本発明は、アデニレート形成酵素および式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートを含む組成物にも関し、ただし、そのアデニレート形成酵素は、3−ヒドロキシプロピオニル−CoAシンテターゼではなく、かつ3−ヒドロキシカルボキシレートは、3−ヒドロキシプロピオネートではない。
本発明は、以下:
(a)OleCタンパク質;および
(b)式IIIの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレート
を含む組成物にも関する。
さらに、本発明は、本明細書において上記で定義されたような:
(a)アデニレート形成酵素;および
(b)OleCタンパク質
を含む組成物にも関する。
好ましい態様において、そのような組成物は、式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートも含む。別の好ましい態様において、(a)のアデニレート形成酵素は、OleCタンパク質ではない。
本発明は、本明細書において上記で記載されたような式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートの式IIIの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換のためのアデニレート形成酵素の使用にも関する。
さらに、本発明は、本明細書において上記で記載されたような式IIIの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの式IVのアルケンへの変換のためのOleCタンパク質の使用に関する。
本発明は、以下:
(a)アデニレート形成酵素;および
(b)OleCタンパク質
を含む組み合わせの、本明細書において上記で記載されたような式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートの式IVのアルケンへの変換のための使用にも関する。ある好ましい態様において、(a)のアデニレート形成酵素は、OleCタンパク質ではない。
列挙された異なる構成要素の好ましい態様に関して、上記で本発明に従う方法と関連して述べられてきたことと同じことが当てはまる。
本発明の他の側面および利点が、以下の実施例において記載されると考えられ、それは、説明の目的のために与えられており、限定としてではない。
この出願において引用されたそれぞれの刊行物、特許、特許出願または他の文書は、参照により本明細書にそのまま援用される。
図1:は、3−ヒドロキシカルボキシレートを3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに変換するための一般的な反応スキームを示す。
図2:は、3−ヒドロキシカルボキシレートおよび補助基質としてのATPまたはADPを3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートに変換するための一般的な反応スキームを示す。
図3:は、3−ヒドロキシカルボキシレートおよび補助基質としてのATPまたはADPを3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートに変換し、さらにそれをアルケンに変換するための一般的な反応スキームを示す。
図4:A:は、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートを対応するアルケンに変換するための一般的な反応スキームを示す。
B:は、3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートを3−ヒドロキシヌクレオチジル−カルボキシレートを経て対応するアルケンに変換するための反応スキームを示す。
図5:は、3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートを対応するアルケンに変換するための一般的な反応スキームを示す。
図6:A:は、本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシ−3−メチルブチレートをイソブテンに変換するための一般的なスキームを示す。
B:は、ATPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシ−3−メチルブチレートをイソブテンに変換するための一般的なスキームを示す。
C:は、ADPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシ−3−メチルブチレートをイソブテンに変換するための一般的なスキームを示す。
図7:A:は、本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシブチレートをプロピレンに変換するための一般的なスキームを示す。
B:は、ATPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシブチレートをプロピレンに変換するための一般的なスキームを示す。
C:は、ADPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシブチレートをプロピレンに変換するための一般的なスキームを示す。
図8:A:は、本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを1,3−ブタジエンに変換するための一般的なスキームを示す。
B:は、ATPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを1,3−ブタジエンに変換するための一般的なスキームを示す。
C:は、ADPを補助基質として用いる本発明に従う方法を用いることにより3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを1,3−ブタジエンに変換するための一般的なスキームを示す。
図9:は、360nmにおける吸光度の増大により2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの形成をモニターする、ジホスフェートまたはモノホスフェート定量化アッセイのスキームを示す。
図10:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、3−ヒドロキシプロピオネートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。
図11:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、R−3−ヒドロキシバレレートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。
図12:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。
図13:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、3−ヒドロキシイソバレレートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。
図14:は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた、(R,S)−3−ヒドロキシブチレートに関するいくつかの研究された酵素のアデニル化活性を示す。
図15:は、M.アルギコラからのアシル−CoAシンターゼにより触媒される(R,S)−3−ヒドロキシブチレートのアデニル化反応に関する補助基質濃度の関数としての速度のプロットを示す。反応は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた。
図16:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される(R,S)−3−ヒドロキシブチレートのアデニル化反応に関する補助基質濃度の関数としての速度のプロットを示す。反応は、360nmにおける2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの吸光度の増大を記録することによりモニターされた。
図17:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される(R,S)−3−ヒドロキシブチレートのアデニル化反応のエレクトロスプレーMSスペクトルを示す。MS分析は、3−ヒドロキシブチリル−アデニレートのモノ−脱プロトン化形態[M−H]に関する432.2のm/z値における特徴的なピークを示した。
図18:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒されるR−3−ヒドロキシバレレートのアデニル化反応のエレクトロスプレーMSスペクトルを示す。MS分析は、3−ヒドロキシバレリル−アデニレートのモノ−脱プロトン化形態[M−H]に関する446.3のm/z値における特徴的なピークを示した。
図19:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される3−ヒドロキシイソバレレートのアデニル化反応のエレクトロスプレーMSスペクトルを示す。MS分析は、3−ヒドロキシイソバレリル−アデニレートのモノ−脱プロトン化形態[M−H]に関する446.2のm/z値における特徴的なピークを示した。
図20:は、バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートのアデニル化反応のエレクトロスプレーMSスペクトルを示す。MS分析は、3−ヒドロキシペンタ−4−エノイル−アデニレートのモノ−脱プロトン化形態[M−H]に関する444.3のm/z値における特徴的なピークを示した。
図21:は、(R,S)−3−ヒドロキシブチレートを基質として、ATPを補助基質として用いた酵素反応および酵素を含まない反応に関して得られたGC/FIDクロマトグラムを示す。
図22:は、実施例12において概説されるような、酵素に触媒される(R,S)−3−ヒドロキシブチレートからのプロピレンの生産を示す。
図23:は、(R)−3−ヒドロキシバレレートを基質として、ATPを補助基質として用いた酵素反応および酵素を含まない反応に関して得られたGC/FIDクロマトグラムを示す。
図24:は、実施例16において概説されるような、酵素に触媒される(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエンの生産を示す。
図25:は、(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを基質として、ATPを補助基質として用いた酵素反応および酵素を含まない反応に関して得られたGC/FIDクロマトグラムを示す。
図26:は、3−ヒドロキシイソバレレートを基質として、ATPを補助因子として用いた酵素反応および酵素を含まない反応に関して得られたGC/FIDクロマトグラムを示す。
図27:は、ATP濃度の関数としての3−ヒドロキシイソバレレートからのイソブテンの形成のプロットを示す。反応は、以下の酵素により触媒された:
N°1:バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleC。
N°2:M.アルギコラからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleC。
図28:は、ADP濃度の関数としての3−ヒドロキシイソバレレートからのイソブテンの形成のプロットを示す。反応は、以下の酵素により触媒された:
N°1:M.アルギコラからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleC。
N°2:バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleC。
図29:は、Ole ABCD(Wang and Lu, frontiers in Bioengineering an Biotechnology 1 (2013), 論文10)により触媒される反応のスキームを示す。
本発明は、特に、一般的なおよび/または好ましい特徴/パラメーターのあらゆる組み合わせを含め、本明細書で記載される特徴およびプロセスパラメーターのそれぞれのおよび全ての組み合わせに関することは、理解されるべきである。特に、本発明は、特に本明細書で提供されるプロセスの好ましい特徴(全ての好みの程度を含む)の全ての組み合わせに関する。
本明細書において、特許出願を含むいくつかの文書が引用されている。これらの文書の開示は、本発明の特許性に関連するとは考えられないが、参照により本明細書にそのまま援用される。より具体的には、全ての参照される文書は、それぞれの個々の文書が具体的かつ個々に参照により援用されたことが示された場合と同程度まで、参照により援用される。
本発明は、ここで、以下の実施例への参照により記載されると考えられ、それは、単に説明的なものであり、本発明の範囲の限定として解釈されるべきではない。
実施例1:酵素のクローニング、発現および精製
組み換えタンパク質の遺伝子合成、クローニングおよび発現
原核生物および真核生物のゲノムから推測された研究される酵素の配列を、大腸菌のコドン使用頻度に適合させるように、オリゴヌクレオチド連結(concatenation)により生成した(遺伝子はGeneArt(登録商標)により商業的に合成された)。精製のための親和性タグを提供するため、6個のヒスチジンコドンの一続きを、メチオニン開始コドンの後に挿入した。このように合成された遺伝子を、ノカルジア・イオウェンシスのカルボン酸レダクターゼ遺伝子を除いて、pET−25b(+)発現ベクター(ベクターはGeneArt(登録商標)により構築された)中にクローニングした。
コンピテント大腸菌BL21(DE3)細胞(Novagen)を、標準的な熱ショック手順に従って、これらのベクターで形質転換した。形質転換された細胞を、ZYM−5052自動誘導(auto−induction)培地(Studier FW, Prot. Exp. Pur. 41, (2005), 207-234)を用いて37℃で6時間振盪しながら(160rpm)増殖させ、タンパク質発現を、28℃または18℃で一夜(おおよそ16時間)継続した。細胞を4℃、10,000rpmで20分間の遠心分離により集め、ペレットを−80℃で保管した。
ノカルジア・イオウェンシスからのカルボン酸レダクターゼ(Uniprot Q6RKB1)をコードする遺伝子を、GeneArt(登録商標)(Life Technologies)によりコドン最適化した。GeneArt(登録商標)により提供された遺伝子コンストラクトは、PacIおよびNotI制限部位により隣接されており、マスターベクターpMK内で提供された。次いで、このように合成された遺伝子を、改変されたマルチクローニングサイト(MCS)(国際公開第2013/007786号)を含有するpUC18(New England Biolabs)の改変版中にサブクローニングした。
コンピテントMG1655大腸菌細胞を、標準的な熱ショック手順を用いて、このベクターで形質転換した。形質転換された細胞を、LB−アンピシリン培地中で、30℃、160rpmの振盪において24時間増殖させた。
細胞を4℃、10,000rpmで20分間の遠心分離により集め、ペレットを−80℃で保管した。
タンパク質精製および濃縮
200mlの培養細胞からのペレットを、氷上で融解させ、500mM NaCl、10mM MgCl、10%グリセロール、10mMイミダゾールおよび1mM DTTを含有する5mlの50mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)中で再懸濁した。20マイクロリットルのlysonase(Novagen)を添加した。細胞を室温で10分間インキュベートし、次いで氷に20分間戻した。細胞溶解を、2×30秒間の超音波処理により完了させた。次いで、細菌抽出物を、4℃、10,000rpmで20分間の遠心分離により澄ませた。澄んだ細菌溶解物を、6−Hisタグ化タンパク質の吸着を可能にするPROTINO−2000 Ni−TEDカラム(Macherey−Nagel)上に装填した。カラムを洗浄し、対象の酵素を、300mM NaCl、10%グリセロール、1mM DTT、250mMイミダゾールを含有する6mlの50mMトリス−HCl緩衝液(pH7.5)で溶離した。次いで溶離液を濃縮し、Amicon Ultra−4 10kDaフィルターユニット(Millipore)上で脱塩し、酵素を100mM NaCl、10%グリセロール、1mM DTTを含有する50mMトリス−HCl(pH7.5)を含有する溶液中で再懸濁した。OleC酵素の場合、この再懸濁緩衝液に1mM AMPを補った。
タンパク質濃度を、NanoDrop 1000分光光度計(Thermo Scientific)上での直接的な紫外280nm測定により定量化した。こうして精製されたタンパク質の純度は、SDS−PAGE分析により概算した際に、70%から90%まで異なっていた。
実施例2:3−ヒドロキシプロピオネートを基質として、ATPを補助基質として用いたアデニル化酵素活性に関する連続的分光光度アッセイ
アデニレート形成酵素をコードする遺伝子を合成し、対応する酵素を、実施例1において記載された手順に従ってさらに生成した。3−ヒドロキシプロピオン酸(TCI)ストック溶液を、水中で調製し、pHを1M NaOHで7.5に調節した。3−ヒドロキシプロピオネートからの3−ヒドロキシプロピオニル−アデニレートの形成と関係するジホスフェートの遊離を、EnzCheck(登録商標)ピロホスファターゼアッセイキット(E6645、Life Technologies)を用いて定量化した。
このアッセイにおいて、ジホスフェートは、無機ピロホスファターゼにより加水分解されて無機ホスフェートになり、ホスフェートの生成は、酵素プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)により触媒される2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンリボヌクレオシド(MESG)の加リン酸分解に共役していた。発色団性生成物である2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンを、360nmにおける吸光度によりモニターした(図9)。
標準的な反応混合物は、以下:
100mM トリス−HCl pH 7.5
5mM 3−ヒドロキシプロピオネート
2mM MgCl
0.1mM DTT
2mM ATP
0.1mg/mlの研究される酵素
を含有していた。
2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンリボヌクレオシド(MESG)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)および無機ピロホスファターゼを、EnzCheck(登録商標)ピロホスファターゼアッセイキットにおいて記載されている手順に従って反応混合物に添加した。アデニレート形成酵素が添加されていないか、または3−ヒドロキシプロピオネートが添加されていないかの両方の対照反応を実施した。それぞれの反応を、ATPの添加により開始した。反応は、96ウェルプレートにおいて37℃で実施された。それぞれの試料を、2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの増大に関して、SpectraMax Plus 384紫外/可視マルチプレートリーダー(Molecular Devices)上で360nmにおいて連続的にモニターした。
いくつかの酵素は、3−ヒドロキシプロピオネートに関するアデニル化活性を示した(図10)。
実施例3:3−ヒドロキシバレレートを基質として、ATPを補助基質として用いたアデニル化酵素活性に関する連続的分光光度アッセイ
分光光度アッセイを、実施例2において記載された手順に従って実施した。R−3−ヒドロキシ吉草酸を、EMPA(スイス)から購入した。R−3−ヒドロキシ吉草酸ストック溶液を、水中で調製し、pHを1M NaOHで7.5に調節した。反応混合物の組成は、実施例2において記載された組成と同じであり、5mM R−3−ヒドロキシバレレートを3−ヒドロキシプロピオネートの代わりに基質として用いた。アデニレート形成酵素が添加されていないか、または3−ヒドロキシバレレートが添加されていないかの両方の対照反応を実施した。それぞれの反応を、ATPの添加により開始した。反応は、96ウェルプレートにおいて37℃で実施された。それぞれの試料を、2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの増大に関して、SpectraMax Plus 384紫外/可視マルチプレートリーダー(Molecular Devices)上で360nmにおいて連続的にモニターした。いくつかの酵素は、3−ヒドロキシバレレートに関するアデニル化活性を示した(図11)。
実施例4:3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを基質として、ATPを補助基質として用いたアデニル化酵素活性に関する連続的分光光度アッセイ
分光光度アッセイを、実施例2において記載された手順に従って実施した。(R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エン酸(Epsilon Chimie)ストック溶液を水中で調製し、pHを1M NaOHで7.5に調節した。反応混合物の組成は、実施例2において記載された組成と同じであり、5mM (R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを3−ヒドロキシプロピオネートの代わりに基質として用いた。アデニレート形成酵素が添加されていないか、または3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートが添加されていないかの両方の対照反応を実施した。反応は、96ウェルプレートにおいて37℃で実施された。それぞれの試料を、2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの増大に関して、SpectraMax Plus 384紫外/可視マルチプレートリーダー(Molecular Devices)上で360nmにおいて連続的にモニターした。いくつかの酵素は、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートに関するアデニル化活性を示した(図12)。
実施例5:3−ヒドロキシイソバレレートを基質として、ATPを補助基質として用いたアデニル化酵素活性に関する連続的分光光度アッセイ
分光光度アッセイを、実施例2において記載された手順に従って実施した。3−ヒドロキシイソ吉草酸(3−ヒドロキシ−3−メチル酪酸)(TCI)ストック溶液を水中で調製し、pHを1M NaOHで7.5に調節した。反応混合物の組成は、実施例2において記載された組成と同じであり、5mM 3−ヒドロキシイソバレレートを3−ヒドロキシプロピオネートの代わりに基質として用いた。アデニレート形成酵素が添加されていないか、または3−ヒドロキシイソバレレートが添加されていないかの両方の対照反応を実施した。反応は、96ウェルプレートにおいて37℃で実施された。それぞれの試料を、2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの増大に関して、SpectraMax Plus 384紫外/可視マルチプレートリーダー(Molecular Devices)上で360nmにおいて連続的にモニターした。いくつかの酵素は、3−ヒドロキシイソバレレートに関するアデニル化活性を示した(図13)。
実施例6:3−ヒドロキシブチレートを基質として、ATPを補助基質として用いたアデニル化酵素活性に関する連続的分光光度アッセイ
分光光度アッセイを、実施例2において記載された手順に従って実施した。(R,S)−3−ヒドロキシ酪酸(Sigma−Aldrich)ストック溶液を水中で調製し、pHを1M NaOHで7.5に調節した。反応混合物の組成は、実施例2において記載された組成と同じであり、5mM (R,S)−3−ヒドロキシブチレートを3−ヒドロキシプロピオネートの代わりに基質として用いた。アデニレート形成酵素が添加されていないか、または3−ヒドロキシブチレートが添加されていないかの両方の対照反応を実施した。反応は、96ウェルプレートにおいて37℃で実施された。それぞれの試料を、2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの増大に関して、SpectraMax Plus 384紫外/可視マルチプレートリーダー(Molecular Devices)上で360nmにおいて連続的にモニターした。いくつかの酵素は、3−ヒドロキシブチレートに関するアデニル化活性を示した(図14)。
実施例7:ATPまたはADPを補助基質として用いた3−ヒドロキシブチレートのアデニル化の研究
分光光度アッセイを、実施例2において記載された手順に従って実施した。M.アルギコラからのアシル−CoAシンターゼおよびバークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼの補助基質に関する特異性を、分析した。標準的な反応は、以下:
100mM トリス−HCl pH 7.5
5mM (R,S)−3−ヒドロキシブチレート
2mM MgCl
0.1mM DTT
0〜3.2mM ATPまたはADP
0.1mg/mlの精製された酵素
を含有していた。
2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンリボヌクレオシド(MESG)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)および無機ピロホスファターゼを、EnzCheck(登録商標)ピロホスファターゼアッセイキットにおいて記載されている手順に従って反応混合物に添加した。無機ピロホスファターゼを含まない反応混合物を、ADPを補助基質として用いるアッセイに関して用いた。酵素が添加されていないか、または3−ヒドロキシブチレートが添加されていないかの両方の対照アッセイを実施した。それぞれのアッセイを、補助基質(ATPまたはADP)の添加により開始した。それぞれの試料を、2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンの増大に関して、SpectraMax Plus 384紫外/可視マルチプレートリーダー(Molecular Devices)上で360nmにおいて連続的にモニターした。
2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリン形成の速度の、補助基質濃度の関数としてのプロットを、図15および16において示す。M.アルギコラからのアシル−CoAシンターゼおよびバークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼは、ATPまたはADPを補助基質として用いることにより、3−ヒドロキシブチリル−アデニレートの形成を触媒することができた。
実施例8:異なる3−ヒドロキシカルボキシレートの酵素に触媒されるアデニル化反応の質量分析
研究された酵素反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
2mM 3−ヒドロキシカルボキシレート
2mM ATP
20mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたバークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼ
それぞれの反応を、ATPの添加により開始し、37℃で40分間インキュベートした。インキュベーション後、反応混合物を、ネガティブイオンモードを用いた質量分析(MS)により分析した。典型的には、それぞれのアッセイの分割量(aliquot)を、15分ごとに取り出し、遠心分離して清浄なバイアル中に移した。次いで、5μlの分割量を、質量分析計中に直接注入した。検出を、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源にインターフェースで接続されたPE SCIEX API 2000四重極型分光計により実施した。3−ヒドロキシブチレート、3−ヒドロキシバレレート、3−ヒドロキシイソバレレートおよび3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートを基質として用いた酵素反応の質量スペクトルを、それぞれ図17、18、19、20において示す。酵素に触媒される反応の間の3−ヒドロキシカルボキシル−アデニレートの形成が、研究された3−ヒドロキシカルボキシレートのそれぞれに関して実証された。
実施例9:マリノバクター・アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼにより触媒される3−ヒドロキシカルボキシレートのアデニル化の反応の速度論パラメーター
速度論パラメーターを、実施例2において記載されている分光光度アッセイを用いることにより決定した。アデニル化活性のアッセイに関する反応混合物は、以下:
100mM トリス−HCl pH 7.5
0〜10mM 3−ヒドロキシカルボキシレート
2mM ATP
2mM MgCl
0.1mM DTT
0.1mg/mlの精製されたM.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼ
を含有していた。
2−アミノ−6−メルカプト−7−メチルプリンリボヌクレオシド(MESG)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)および無機ピロホスファターゼを、EnzCheck(登録商標)ピロホスファターゼアッセイキットにおいて記載されている手順に従って反応混合物に添加した。異なる3−ヒドロキシカルボキシレートを用いたアデニル化反応に関する速度論パラメーターを、表2において示す。
Figure 2016538871
実施例10:マリノバクター・アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシブチレートからのプロピレン生成の分析
研究された酵素は、実施例1において記載された手順に従って生成および精製された。研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
50mM (R,S)−3−ヒドロキシブチレート
10mM ATP
20mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたM.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼ
2mg/ml 精製されたシュワネラ・アマゾネンシスからの、またはクロロフレクサス・オウランティアカスからのOleCタンパク質
反応体積は、0.3mlであった。
無酵素対照に関して、緩衝液を酵素の代わりに用いた。
ATPを含まない対照反応を並行して実施した。
反応混合物を、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で振盪しながら18時間インキュベートした。プロピレンの生成を、炎イオン化検出器(FID)を備えたBruker 450−GCガスクロマトグラフを用いるガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。窒素をキャリヤーガスとして6ml/分の流速で用いた。揮発性化合物を、GS−Aluminaカラム(30m x 0.53mm ID)(Agilent)上で、130℃の等温モードを用いてクロマトグラフィー分離した。酵素反応生成物を、プロピレンの標準(Sigma−Aldrich)との比較により同定し、これらの条件におけるプロピレンの保持時間は1.57分であった。
プロピレンの3−ヒドロキシブチレートからの著しい生成が、M.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびOleCタンパク質を含有する酵素反応において観察された(表3)。上記の対照反応においてはプロピレンのシグナルは観察されなかった(図21)。
Figure 2016538871
これらのデータは、アッセイ中に存在する2種類の酵素が、3−ヒドロキシブチレートからプロピレンを生成するための反応の2つの段階:ATPのアデニリル基の3−ヒドロキシブチレートのカルボキシル基への転移、続いてその反応中間体のプロピレンへの組み合わせられた脱アデニル化/脱カルボキシル化を相補的に実施していることを示した。
実施例11:ノカルジア・イオウェンシスからのカルボン酸レダクターゼおよびシュワネラ・アマゾネンシスからのOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシブチレートからのプロピレン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
50mM (R,S)−3−ヒドロキシブチレート
2mM ATP
25mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたN.イオウェンシスからのカルボン酸レダクターゼ
2mg/ml 精製されたシュワネラ・アマゾネンシスからのOleCタンパク質
反応体積は、0.3mlであった。
無酵素対照に関して、緩衝液を酵素の代わりに用いた。
反応を、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で3時間インキュベートし、次いで80℃での1分間のインキュベーションにより停止させた。プロピレンの生成を、実施例10において記載されたGC−FID手順に従って分析した。プロピレンの3−ヒドロキシブチレートからの著しい生成が、N.イオウェンシスからのカルボン酸レダクターゼおよびS.アマゾネンシスからのOleCタンパク質を含有する酵素反応において観察された。プロピレンのピーク面積は、16.7任意単位であると測定された。対照反応ではプロピレンのシグナルは観察されなかった。
実施例12:バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびシュワネラ属からのOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシブチレートからのプロピレン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
10mM (R,S)−3−ヒドロキシブチレート
2mM ATP
25mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたバークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼ
2mg/ml 精製されたS.アマゾネンシスまたはS.ロイヒカからのOleCタンパク質
反応体積は、0.3mlであった。
反応を、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で3時間インキュベートし、次いで80℃での1分間のインキュベーションにより停止させた。
プロピレンの生成を、実施例10において記載されたGC−FID手順に従って分析した。著しいプロピレンの生成が、共役した酵素反応において観察された(図22)。
実施例13:マリノバクター・アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびシュワネラ・アマゾネンシスからのOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシバレレートからの1−ブテン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
10mM R−3−ヒドロキシバレレート
4mM ATP
20mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたM.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼおよびリガーゼ
2mg/ml 精製されたS.アマゾネンシスからのOleCタンパク質
反応体積は、0.3mlであった。
無酵素対照に関して、緩衝液を酵素の代わりに用いた。
アッセイを、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で振盪しながら16時間インキュベートした。
次いで、1−ブテンの生成を、炎イオン化検出器(FID)を備えたBruker 450−GCガスクロマトグラフを用いるガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。窒素をキャリヤーガスとして6ml/分の流速で用いた。揮発性化合物を、GS−Aluminaカラム(30m x 0.53mm ID)(Agilent)上で、130℃の等温モードを用いてクロマトグラフィー分離した。酵素反応生成物を、1−ブテンの標準(Sigma−Aldrich)との比較により同定し、これらの条件における1−ブテンの保持時間は2.65分であった。
1−ブテンの3−ヒドロキシバレレートからの著しい生成が、M.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびS.アマゾネンシスからのOleCタンパク質を含有する酵素反応において観察された。1−ブテンのピーク面積は、32任意単位であることが測定された。酵素を含まない対照反応においては1−ブテンのシグナルは観察されなかった。
これらのデータは、アッセイ中に存在する2種類の酵素が、3−ヒドロキシバレレートから1−ブテンを生成するための反応の2つの段階:ATPのアデニリル基の3−ヒドロキシバレレートのカルボキシル基への転移、続いてその反応中間体の1−ブテンへの組み合わせられた脱アデニル化/脱カルボキシル化を相補的に実施していることを示した。
実施例14:ノカルジア・イオウェンシスからのカルボン酸レダクターゼおよびシュワネラ・アマゾネンシスからのOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシバレレートからの1−ブテン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
10mM R−3−ヒドロキシバレレート
2mM ATP
25mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたN.イオウェンシスからのカルボン酸レダクターゼ
2mg/ml 精製されたS.アマゾネンシスからのOleCタンパク質
反応体積は、0.3mlであった。
無酵素対照に関して、緩衝液を酵素の代わりに用いた。
反応を、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で3時間インキュベートし、次いで80℃での1分間のインキュベーションにより停止させた。
次いで、1−ブテンの生成を、実施例13において記載されたGC−FID手順に従って分析した。酵素に触媒される反応および対照反応のクロマトグラムを、図23において示す。
実施例15:バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびシュワネラ門からのOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシバレレートからの1−ブテン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
10mM R−3−ヒドロキシバレレート
2mM ATP
25mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたバークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼ
2mg/ml 精製されたS.アマゾネンシスまたはS.ロイヒカからのOleCタンパク質
反応体積は、0.3mlであった。アッセイを、実施例14において記載されたようにインキュベートし、実施例13において記載されたGC−FID手順に従って分析した。
Figure 2016538871
実施例16:マリノバクター・アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
50mM (R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエート
10mM ATP
20mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
反応体積は、0.3mlであった。
0.6mgのM.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよび0.6mgのOleCタンパク質を、0.3mlの反応混合物に添加した。0.6mgのM.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼのみを含有する反応混合物を、参照として用いた。
反応を、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で振盪しながら18時間インキュベートした。1,3−ブタジエンの生成を、炎イオン化検出器(FID)を備えたBruker 450−GCガスクロマトグラフを用いるガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。窒素をキャリヤーガスとして6ml/分の流速で用いた。揮発性化合物を、GS−Aluminaカラム(30m x 0.53mm ID)(Agilent)上で、130℃の等温モードを用いてクロマトグラフィー分離した。酵素反応生成物を、1,3−ブタジエンの標準(Sigma−Aldrich)との比較により同定し、これらの条件における1,3−ブタジエンの保持時間は3.22分であった。
1,3−ブタジエンの著しい生成が、M.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびOleCタンパク質を含有する酵素反応において観察された。3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートの自然分解に対応する1,3−ブタジエンの無視できるほどのシグナルが、対照反応において観察された(図24)。
これらのデータは、アッセイ中に存在する2種類の酵素が、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートから1,3−ブタジエンを生成するための反応の2つの段階:ATPのアデニリル基の3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートのカルボキシル基への転移、続いてその反応中間体のブタジエンへの組み合わせられた脱アデニル化/脱カルボキシル化を相補的に実施していることを示した。
実施例17:ノカルジア・イオウェンシスからのカルボン酸レダクターゼおよびシュワネラ・アマゾネンシスからのOleCタンパク質を組み合わせることによる3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
10mM (R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエート
2mM ATP
25mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたN.イオウェンシスからのカルボン酸レダクターゼ
2mg/ml 精製されたS.アマゾネンシスからのOleCタンパク質
反応体積は、0.3mlであった。
無酵素対照に関して、緩衝液を酵素の代わりに用いた。反応を、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で3時間インキュベートし、80℃での1分間のインキュベーションにより反応を停止させた。1,3−ブタジエン生成を、実施例16において記載されたGC−FID手順に従って分析した。著しい量のブタジエンが、酵素反応において生成された。バックグラウンドレベルのブタジエンが、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートの自然分解により、酵素を含まない対照反応において観察された(図25)。
実施例18:バークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびシュワネラ門からのOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートからの1,3−ブタジエン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
10mM (R,S)−3−ヒドロキシペンタ−4−エノエート
2mM ATP
25mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたバークホルデリア属の種からのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼ
2mg/ml 精製されたS.アマゾネンシスまたはS.ロイヒカからのOleCタンパク質
反応体積は、0.3mlであった。アッセイを、実施例16において記載された手順に従ってインキュベートおよび分析した。1,3−ブタジエンの著しい生成が、共役した酵素反応において観察され、3−ヒドロキシペンタ−4−エノエートの自然分解によるブタジエンの無視できるほどのシグナルが、酵素を含まない対照反応において観察された(表5)。
Figure 2016538871
実施例19:マリノバクター・アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびOleCタンパク質の組み合わせられた作用による3−ヒドロキシイソバレレートからのイソブテン生成の分析
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
50mM 3−ヒドロキシイソバレレート
10mM ATP
20mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
反応体積は、0.3mlであった。
0.6mgのM.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよび0.6mgのOleCタンパク質を、0.3mlの反応混合物に添加した。0.6mgのM.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼのみを含有する反応混合物を、参照として用いた。アッセイを、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で振盪しながら18時間インキュベートした。イソブテンの生成を、炎イオン化検出器(FID)を備えたBruker 450−GCガスクロマトグラフを用いるガスクロマトグラフィー(GC)により分析した。窒素をキャリヤーガスとして6ml/分の流速で用いた。揮発性化合物を、GS−Aluminaカラム(30m x 0.53mm ID)(Agilent)上で、130℃の等温モードを用いてクロマトグラフィー分離した。酵素反応生成物を、イソブテンの標準(Sigma−Aldrich)との比較により同定し、これらの条件におけるイソブテンの保持時間は2.40分であった。
イソブテンの著しい生成が、M.アクアエオレイからのAMP−依存性シンテターゼ/リガーゼおよびOleCタンパク質を含有する組み合わせられた酵素反応において観察された(表6)。3−ヒドロキシイソバレレートの自然分解に対応するイソブテンの無視できるほどのシグナルが、酵素を含まない対照アッセイにおいて観察された。
Figure 2016538871
M.アクアエオレイからの酵素およびS.アマゾネンシスからのOleCタンパク質を用いた共役反応に関して得られたクロマトグラムの例を、図26において示す。
これらのデータは、アッセイ中に存在する2種類の酵素が、3−ヒドロキシイソバレレートからイソブテンを生成するための反応の2つの段階:ATPのアデニリル基の3−ヒドロキシイソバレレートのカルボキシル基への転移、続いてその反応中間体のイソブテンへの組み合わせられた脱アデニル化/脱カルボキシル化を相補的に実施していることを示した。
実施例20:ATP濃度の関数としてのイソブテン生成の研究
研究された反応は、以下の条件下で実施された:
50mM トリス−HCl pH7.5
40mM −3−ヒドロキシイソバレレート
0〜32mM ATP
25mM MgCl
100mM NaCl
1mM DTT
2mg/ml 精製されたアデニレート形成酵素
2mg/ml 精製されたS.アマゾネンシスからのOleCタンパク質
反応混合物を、2mlの密封されたバイアル(Interchim)中で37℃で3時間インキュベートし、80℃での1分間のインキュベーションにより反応を停止させた。ATPの関数としてのイソブテン生成を、図27において示す。
実施例21:ADP濃度の関数としてのイソブテン生成の研究
研究された反応は、実施例20において記載されたプロトコルに従って、ATPの代わりにADPを補助基質として用いて実施された。ADPの関数としてのイソブテン生成を、図28において示す。

Claims (13)

  1. 次の一般式I:
    Figure 2016538871
    [式中、RおよびRは、独立して水素(−H)、メチル(−CH)、エチル(−CH−CH)、イソプロピル(−CH(CH)、ビニル(−CH=CH)およびイソプロペニル(−C(CH)=CH)から選択され、式中、RおよびRは、独立して水素(−H)およびメチル(−CH)から選択される]
    の3−ヒドロキシカルボキシレートが、第1段階において、次の一般式II:
    Figure 2016538871
    [式中、Xは、以下:
    O−PO モノホスフェート、
    O−POH−O−PO ジホスフェート、および
    O−SOH サルフェート
    からなる群から選択され、式中、Yは、以下:
    OH ヒドロキシルおよび
    O−PO モノホスフェート
    からなる群から選択され、そして式中、Zは、アデニン、グアニン、チミン、シトシン、ウラシルおよびヒポキサンチンからなる群から選択され、
    そして式中、Wは、水素(−H)、ヒドロキシル(OH)からなる群から選択される]
    の補助基質と一緒に、次の一般式III:
    Figure 2016538871
    [式中、R、R、RおよびRは、上記で式Iと関連して指定された意味と同じ意味を有し、そして式中、W、YおよびZは、上記で式IIと関連して指定された意味と同じ意味を有する]
    の3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートに酵素的に変換されること、およびそうして生産された3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートが、続いて次の一般式IV:
    Figure 2016538871
    [式中、R、R、RおよびRは、上記で式Iと関連して指定された意味と同じ意味を有する]
    のアルケンに酵素的に変換されることを特徴とする、3−ヒドロキシカルボキシレートからアルケンを生産するための方法。
  2. 該3−ヒドロキシカルボン酸の該3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの酵素的変換が、アデニレート形成酵素の使用により達成される、請求項1に記載の方法。
  3. 該アデニレート形成酵素が、以下:
    −AMP依存性シンテターゼおよびリガーゼ
    −非リボソームペプチドシンテターゼ(NRPS)のアデニル化ドメイン;
    −アシル−またはアリール−CoAシンテターゼ;
    −(ルシフェラーゼ)オキシドレダクターゼ;
    −ポリケチドシンターゼ(PKS)のアデニル化ドメイン
    −アミノアシル−tRNAシンテターゼ;ならびに
    −NIS酵素
    からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 該アデニレート形成酵素が、以下:
    アセテート:CoAリガーゼ(AMP形成)(EC6.2.1.1);
    ブタノエート:CoAリガーゼ(AMP形成)(EC6.2.1.2);
    長鎖脂肪酸:CoAリガーゼ(AMP形成)(EC6.2.1.3);
    4−クマレート−CoAリガーゼ(EC6.2.1.12);
    長鎖脂肪酸:[アシルキャリヤータンパク質]リガーゼ(AMP形成)(EC6.2.1.20);
    4−クロロベンゾエート:CoAリガーゼ(EC6.2.1.33);および
    3−ヒドロキシプロピオネート:CoAリガーゼ(AMP形成)(EC6.2.1.36)
    からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  5. 該アデニレート形成酵素がカルボン酸レダクターゼ(CAR)である、請求項1または2に記載の方法。
  6. 該3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの脱ヌクレオチジル化/脱カルボキシル化による該対応するアルケンへの酵素的変換が、OleCタンパク質を用いることにより達成される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 該方法がインビトロで実施される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 該方法が、該3−ヒドロキシカルボキシレートの該3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートへの変換を触媒する酵素を産生し、かつ該3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレートの該アルケンへの変換を触媒する酵素を産生する微生物の存在下で実施される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 該反応から脱気して出るガス状アルケンを収集する工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 以下:
    (a)アデニレート形成酵素;および
    (b)OleCタンパク質
    を発現する、生物または微生物。
  11. 以下:
    (i)アデニレート形成酵素および式Iの3−ヒドロキシカルボキシレート;
    または
    (ii)(a)OleCタンパク質;および
    (b)式IIIの3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジレート;または
    (iii)(a)アデニレート形成酵素;および
    (b)OleCタンパク質
    を含む、組成物。
  12. 請求項10に記載の生物もしくは微生物の、または請求項11に記載の組成物の、式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートから式IVのアルケンを生産するための使用。
  13. 請求項10に記載の微生物、適切な培地、および式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートまたは該微生物により式Iの3−ヒドロキシカルボキシレートに変換されることができる炭素源を含む、組成物。
JP2016536750A 2013-12-03 2014-12-02 3−ヒドロキシカルボキシル−ヌクレオチジル酸類を経由した3−ヒドロキシカルボン酸類からのアルケン類の生産 Pending JP2016538871A (ja)

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