[0041]付随する図に関連して、本発明の多様な態様をさらに詳細に以下に記載する。本発明のすべてではないがいくつかの態様を明らかに示す。実際、本発明の多様な態様は、多くの異なる形式で具体化され、そして明らかに記載する態様に限定されると見なされてはならない。同様の番号は、全体で、同様の要素を指す。単数形「a」、「an」、および「the」には、文脈が別に明らかに示さない限り、単数および複数が含まれる。
[0042]A.定義
[0043]「逆流(leak back)」は、本明細書において、薬剤注射中および/または注射後の、注射部位からの薬剤の漏洩を指す。
[0044]「実質的に逆流なし」は、本明細書において、約0.05ml未満または総体積の約6%未満または薬剤重量の約6%未満の量である、注射からの逆流量を指す。1つの態様において、「実質的に逆流なし」は、注射が完了した直後に、注射部位に渡って指でぬぐい取ることによって容易には検出不能である量のまたはそれ未満の逆流量である。1つの態様において、「実質的に逆流なし」は、注射によって投与されたテストステロンの療法効果が実質的に改変されないような逆流量である。限定されない例として、逆流量は、テストステロンの特定の濃度を有する液体組成物の液体体積中で言及されることも可能であるし、あるいは、逆流量は、総逆流体積中に存在するテストステロン量(例えばmgテストステロン)、または集団のうち、逆流を経験する注射患者の数を指すことも可能である。
[0045]「逆流を最小限にする」は、本明細書において、薬剤注射に関連する逆流を阻害するかまたは防止することであり、限定されるわけではないが、注射に関連する逆流を経験する患者の数の減少が含まれる。
[0046]「保存剤」は、本明細書において、薬剤などの薬学的組成物を保存する目的のために用いられることが当該技術分野に知られる化合物を指す。本明細書において、保存剤は、抗微生物安定性を補助し、そしてしたがって抗微生物活性を所持するために意図的に用いられる。典型的には保存剤と見なされない物質、または典型的には他の組成物を保存するために用いられない物質は、この定義には含まれない。
[0047]「AUC」は、患者への化合物の投与後の時間の関数としての、化合物、例えばテストステロン、またはその代謝産物の、患者の血液または血漿または血清中の濃度に相当する曲線の下の面積である。例えば、本明細書に記載するようなテストステロンの投与後、多様な時間間隔で、液体クロマトグラフィー−タンデム質量分析(LC−MS/MS)などの方法を用いて血中のテストステロンまたはその代謝産物の濃度を測定し、そして血液、血漿または血清濃度対時間曲線下面積を計算することによって、テストステロンのAUCを決定してもよい。濃度対時間曲線は、ときに、薬物動態学的プロファイルと称される。薬剤濃度対時間曲線由来のAUCを計算するために適した方法は、当該技術分野において周知である。したがって、患者へのテストステロンの投与後、患者血中のテストステロン濃度を測定することによって、テストステロンに関するAUCを決定することも可能である。
[0048]「生物学的利用能」は、患者への化合物の投与後の、患者の全身循環に達し、そして例えば化合物の血液または血漿濃度を評価することによって決定可能な、テストステロンなどの化合物の量を指す。
[0049]「生物学的に同等」は、本明細書において、(a)注射器での患者への薬剤用量の投与後、患者血漿中の薬剤(例えばテストステロン)の最大濃度(「Cmax」)、(b)注射器での患者への薬剤用量の投与後、患者血漿中の薬剤の最大濃度に到達するまでの時間(「Tmax」)、および(c)注射器注射薬剤での患者への薬剤用量の投与後、患者血漿中の薬剤濃度の曲線下面積(「AUC」)が、別の経路によって送達される同じ薬剤の測定される信頼区間の約80%〜約125%の間にあることを指す。
[0050]「患者」および「被験体」は、どちらも、独立に、哺乳動物、例えばヒトを含む。
[0051]「約」は、言及する値の+および−10%の範囲を意味する。しかし、値に関する「約」の使用は、言及される値のみの可能性を排除しない。例えば「約400」は、「400」ならびに「360〜440」の両方を完全に支持すると理解される。
[0052]B.本発明の組成物、方法、および態様
[0053]本開示は、注射器態様、ならびに単独でまたは注射器態様と組み合わせて使用するために適した組成物および方法を含む。
[0054]I.注射器
[0055]典型的な皮下シリンジは、注射を送達するために、1またはそれより多い、使用者の指での押し込みの力を利用する。いくつかの態様において、本開示の動力注射器は、こうした押し込み力を利用する必要なく、各注射時に、あらかじめ設定された深度まで、被験体が反復して、そして正確に、そして迅速に、テストステロン配合物を投与することを補助するように設定されている。
[0056]いくつかの態様において、動力注射器には、自動注射器、無針ジェット注射器、または針補助ジェット注射器(集合的に「注射器」と称される)が含まれる。
[0057]動力注射器の既知の自動注射器態様は、薬剤チャンバー中に含有される薬剤が、指で駆動するシリンジ由来の圧および速度と類似の緩慢な速度で発射されるように、薬剤チャンバーにおいて、中程度から低い圧を生じるエネルギー供給源を用いる。対照的に、本開示の動力注射器の自動注射器態様は、薬剤チャンバー中に含有される薬剤が、迅速な速度で発射され、そして約10秒未満で被験体内に完全に注射されるように、薬剤チャンバーにおいて、中程度から高い圧を生じるエネルギー供給源を用いる。動力注射器の他の態様は、ジェット注射器であり、針補助または無針ジェット注射器であってもよい。ジェット注射器態様は、薬剤チャンバー中で高圧を生じて、流体ジェットとして、注射器を出るために十分な圧、力、および速度で、薬剤を駆出するよう選択されたエネルギー供給源を有するように設定されることも可能である。以下にさらに詳細に記載するように、自動注射器または皮下シリンジを通じて被験体内に注射される薬剤は、典型的には針先端近くにボーラスで送達され、したがって逆流が起こる可能性がある一方、ジェット注射器から送達される薬剤は、典型的には針先端から遠く離れて、組織内に迅速にスプレーされ、そして典型的には逆流が最小限になるように、針先端近くにボーラスの形で薬剤を沈着させない。無針ジェット注射器は、流体ジェットが皮膚の外部の層を突破するために十分な圧および注射速度を用い、皮膚の下に薬剤を沈着させる。針補助ジェット注射器は、無針ジェット注射器より低い圧を用いることも可能であり、これは、これらが皮膚の外部部分を突破するために針を使用するが、薬剤が流体ジェットとして針先端から出て行くために十分に高い圧および速度を有するためである。
[0058]本明細書に開示する注射器のいくつかの態様は、単回使用または単一用量注射器であり、注射器のチャンバー内または注射器内に含有されるカートリッジ内に含有される剤(単数または複数)の全量が単回ショットで送達されるように設定されている。他の態様において、注射器は、注射器または注射器内のカートリッジの内容物の一部のみを注射するように設定され、そして1回のショットで送達されるように、注射の体積の選択を可能にする投薬量設定機構、または調整可能な投薬量を提供する他の機構を用いることも可能である。前述の態様の各々において、注射器はあらかじめ充填されていてもよいし、または薬剤の投薬量を有するカートリッジを受け入れるように設定されていてもよい。別の態様は、当該技術分野に知られるように充填可能に設定される。
[0059]本開示によって提供される注射器は、テストステロン配合物を自己注射する患者に利用されることも可能である。本開示の多様な側面は、ヘルスケア提供者の補助を伴わない、被験体によるテストステロン配合物の自己注射に関する。特定の態様において、自動注射器または針補助ジェット注射器態様のように、注射器は、被験体のターゲット組織内にテストステロン配合物を注射するために、針を用いる一方、他の態様は無針注射器であり、そしてしたがって被験体のターゲット組織内にテストステロン配合物を注射するために針を必要としない。特定の態様において、注射器は、テストステロン配合物を完全にそして迅速に送達するために十分な圧を利用することも可能である。特定の態様において、注射器は、1またはそれより多いテストステロン配合物を、完全にそして迅速に、流体ジェットで送達するために、十分に高い圧を利用することも可能である。
[0060]いくつかの態様において、本開示に提供する動力注射器は、注射を送達する条件にこれらを置くために、いかなるプライミングまたは準備工程も必要とせず、それによって空気へのテストステロン配合物の曝露、および/または送達ショットより前の、注射器針からのテストステロン配合物の時期尚早な排出を減少させるかまたは排除する。したがって、注射器中に含有されるテストステロン配合物が被験体または注射器の非使用者に接触するリスクが減少するかまたは排除される。
[0061]本発明で使用するために適した注射器には、「減少したトリガー力を有する針補助ジェット注射器デバイス」と題される同時係属出願第61/763,395号および「減少したトリガー力を有する針補助ジェット注射器デバイス」と題される第61/776,283号に示される注射器が含まれ、該出願各々の内容は、その全体が本明細書に援用される。
[0062]図1〜5を参照すると、本開示の態様にしたがった注射器の態様が提示される。これらの図に示す態様は、針注射器であり、そして針および注射出口を含めて、用いたスプリングおよび送達導管に応じて、自動注射器または針補助ジェット注射器として設定可能である。示される注射器12は、使用者が注射器12を取り扱うことを可能にするように設定され、そして図2に示す構成要素の大部分を実質的に収納する、外部筐体部材14を有する。いくつかの態様において、外部筐体14は、スナップまたは圧入によって、あるいは接着剤、溶接等を用いることによって、互いに付着するように設定可能である、2つのはめ合い部分14a、14bから形成される。筐体14には、薬剤チャンバー22が含まれ、これは、1またはそれより多い液体薬剤、例えばテストステロン配合物を保存し、そして分配するために設定される。図2に示す態様において、薬剤チャンバー22は、筐体14内に適合するプレフィルシリンジ18中に形成されるが、薬剤(単数または複数)があらかじめ充填されるか、リフィル可能であるか等が可能である、既知のタイプのカートリッジを含む、他のタイプの流体チャンバーが使用可能である。さらに、薬剤チャンバー22は、筐体14内に一体化して形成されることも可能である。
[0063]1つの態様において、プレフィルシリンジのストッパー部分、またはプレフィルシリンジ内に含有される薬剤を含有するのを補助するように設計されたプレフィルシリンジの他の部分は、プレフィルシリンジに含有される1またはそれより多い構成要素に対して化学的に耐性である材料で作製される。1つの態様において、適切なストッパーは、漏洩しうるまたは抽出可能な材料を最小限にするかまたは減少させており、そして/または酸、塩基、炭化水素、油、脂質、炭水化物、または酸素の1またはそれより多くに対して耐性である。適切なストッパーの限定されない例には、物理的に修飾されたゴム、化学的に修飾されたゴム、テフロン、およびテフロンコーティング材料が含まれる。1つの態様において、ストッパーは、ストッパーの安定性および/または油に基づく組成物の包含に関するその機能を増進させる、そして特に、同じ油に基づく組成物を含有するために用いられる標準的ゴムストッパーの機能に比較した際、増進させる、任意の材料で構成される。
[0064]示す態様において、安全部材80は、外部筐体14の近位端に位置し、そして外部筐体14中に形成されるマッチング開口部を通じて伸長する複数のタブによって、除去可能に添付され、安全部材80および外部筐体14の間の圧入を形成する。安全部材80は、例えば注射器12の輸送または取り扱い中、注射デバイスの意図されない発射の可能性を防止するかまたは減少させるように設定される。安全部材80は、注射器12の使用者によって取り除かれて、注射器12の制限されない使用を可能にすることもできる。注射器の別の態様は、安全部材80を伴わずに構築可能である。
[0065]さらなる態様において、スリーブ16は、筐体14内に収納され、そして筐体14に搭載され、そしてシリンジ補助部材として働く。いくつかの態様において、スリーブ16は、プレフィルシリンジ18、カープルまたは当該技術分野に知られる他の容器タイプ、例えばBD HypakTMプレフィルシリンジ(Becton, Dikinson and Company)を保持し、そして配置するよう設定される。示す態様で使用するために適したプレフィルシリンジの1つの例は、多様なサイズおよび体積で利用可能なものであり、例えばBecton Dickinson HypakTMである。いくつかの態様において、シリンジボディのガラスを針に接着させてもよい。プレフィルシリンジを用いると、注射器を組み立てた際の薬剤の取り扱いが容易になり、そして薬剤がプレフィルシリンジ中でどのように維持されそして振る舞うかに関する知識が広範にある。いくつかの態様において、スリーブ16は、スナップ、接着剤、溶接、または別の既知の付着によるなどで、筐体12に実質的に固定される。プレフィルシリンジ18は、その内部に、注射可能薬剤、例えばテストステロン配合物をあらかじめ充填した薬剤チャンバー22を定義する、容器部分20を有することも可能である。他の態様において、薬剤容器およびチャンバーは、他の構造、例えば筐体と一体化しているかまたは保持されていてもよいチャンバー、針ハブ32、あるいは注射器の他の注射出口部分によって提供される。プレフィルシリンジ18の遠位端に注射補助針24がある。特定の態様において、針24の長さは5mm未満である。1つの態様において、針24の長さは5mmより長い。1つの態様において、針24の長さは10mm未満である。1つの態様において、針24の長さは10mmより長い。1つの態様において、針24の長さは20mm未満である。1つの態様において、針24の長さは20mmより長い。他の態様において、針24の長さは、約1mm、約2mm、約3mm、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約8mm、約9mm、約10mm、または先行する長さから決定可能な任意の範囲であることも可能である(例えば、約4mm〜約6mm、または約8mm〜約10mm)。針24は、患者組織、いくつかの態様において皮膚である、を貫通する、当該技術分野に知られるように設定された注射チップ26を有する。針穴は、当該技術分野に知られるように、針24を通じる。穴は、薬剤チャンバー22中の薬剤と流体連絡があり、そして針先端26で開放されて、薬剤を注射する。
[0066]針24とは反対の薬剤チャンバー22の近位端に、薬剤チャンバー22中に薬剤を密封するプランジャー28がある。いくつかの態様において、シリンジ壁は、管状部分を含み、これはいくつかの態様において、遠位端で閉鎖され、そして近位端で開放されて、薬剤チャンバー22を定義する。プランジャー28は、管状部分にスライド可能に受け入れられる。プレフィルシリンジ18は、プランジャー28が遠位方向に移動されている際には、薬剤チャンバー22の体積が減少し、チャンバー22の外に、そして針24の穴を通じて、薬剤を押し進めるように設定される。薬剤チャンバー22の遠位端に、針が搭載される針ハブ部分32がある。シリンジフランジ35は、シリンジ壁の近位端から放射状に伸長する。薬剤を含有するチャンバーを定義する、カートリッジ、カープルまたは他の容器を用いる注射器態様において、針は、異なる方式で、例えば、カートリッジ、カープル、または他の容器に直接連結することによって、あるいは別個の針ハブにより、注射器の他の部分、例えばその筐体に連結することによって、チャンバーと流体連結されることも可能である。
[0067]図2に示す態様において、プレフィルシリンジ18は、シリンジボディ36を有し、ここで、フランジ35、シリンジ壁、およびハブ部分32は、一体構造である。いくつかの態様において、シリンジボディ36を構成する材料はガラスであるが、他の材料、例えばプラスチックまたは金属が、他の態様において使用可能である。プレフィルシリンジ18の遠位端を放射状に配置するため、いくつかの態様において、スリーブ16は、シリンジ壁の外側に隣接するよう設定可能である、狭められた穴部分51を有する。狭められた穴部分51は、弾性材料、例えばエラストマーで作製可能であるし、または例えば一連の放射性に整列され、弾性的に柔軟であるフィンガーによって、スリーブ16の残りと一体化されて作製されてもよい。さらに、シリンジ18の近位部分は、ショック吸収デバイス33によって適所に保持されることも可能であり、これは、いくつかの態様において、シリンジボディ36の近位側に軸方向に位置し、そして例えば薬剤チャンバー22または容器20において上昇した圧を生じるジェット注射器態様におけるように、ラム60の突然の発射の衝撃によるショックを吸収する。
[0068]トリガー機構はまた、筐体14内に収納されることも可能である。いくつかの態様において、トリガー機構には、外部筐体14に、例えばスナップ、接着剤、溶接、または他の既知の付着によって付着させることも可能な内部筐体54が含まれる。トリガー突出56は、内部筐体54の近位端から内部に伸長し、そして弾性的に外部に向けてバイアスを掛けられる。トリガー突出56は、ブロッキング関連で、ラム60の凹み58に受け入れられ、デバイスの発射前のラム60の遠位運動を防止する。ラム60はエネルギー供給源によって注射器10の遠位端に向かって移動し、エネルギー供給源はいくつかの態様において、圧縮スプリング52であるが、他の態様において、他の適切なエネルギー供給源、例えばエラストマーまたは圧縮ガススプリング、またはガス生成装置を用いてもよい。本開示の注射器とともに使用するために適した圧縮スプリング52の例は、コイルスプリングである。別の態様はまた、当該技術分野に知られるような他の適切なトリガー機構を使用することも可能である。
[0069]1つの態様において、本発明には、その全体が本明細書に援用される、米国特許出願第13,184,229号に記載されるようなカム状ラム組立部品が含まれる。
[0070]ラッチ筐体64は、内部筐体54の外部に提供されて、凹み58において、ブロッキング関連で、トリガー突出56を維持し、発射が実行されるまで、近位位置にラム60を保持する。ラッチ64は、外部筐体14の内部で、内部筐体54に関して、いくつかの態様において軸方向に、スライド可能であり、そしていくつかの態様において、ラッチ64が内部筐体54を取り巻く。いくつかの態様において、ラッチ64は、外部筐体14に関して自由に移動し、そして安全部材80が、トリガー突出56によってもたらされる圧によって除去された後にのみ、適所に固定される。いくつかの側面において、スプリング等を含めて、外部筐体14の近位端からラッチ筐体54を離すようにバイアスを掛けるものは何も存在しない。代替態様は、デバイスが活性化されて、針が皮膚を突き刺す際、順方向にシャトルする薬剤容器を用い、そしていくつかの態様において、注射器の別の部分、例えば近位端または当該技術分野に知られるような筐体の側面上のボタンによって活性化されるトリガー機構を用いる。
[0071]筐体14は、外部筐体14に関して移動可能な針ガード66を有することも可能である。図2に示す針ガード66の態様において、針ガード66は、保護位置にあり、ここで、針24は、ガード66内に配置される。リッジ65(図8)は、針ガード66が保護位置内に完全に伸長した際、筐体14内に針ガード66を維持するように、外部筐体14の内部表面に隣接する。針ガード66は、いくつかの態様において、外部筐体14内に、注射位置に対して近位方向で格納可能であることも可能であり、ここで、針先端26および針24の末端部分は、患者に挿入するため、図6Bおよび6Cに示すように曝露されている。いくつかの態様において、ガード66の近位移動は、注射位置で防止される。
[0072]針ガード66は、ガード66が近位に移動する際、ラッチ64を近位方向にスライドさせて、凹み58からトリガー突出56を解放するように、ラッチ64と関連していることも可能である。いくつかの態様において、ラッチ64は、注射器12の発射前に、ラム60とブロッキング関連して配置されるトリガー突出58にバイアスを掛けて、そして維持するように関連する内部筐体54に隣接する、ラッチ部分68を有する。いくつかの態様において、ラッチ64がガード66を注射位置に格納することによって近位端にスライドされる際、ラッチ部分68は、接触する内部筐体54の部分を超えてスライドし、そしてトリガー突出56は、ラム60の凹み56から屈曲して、トリガー突出56が凹み58から、そしてしたがってブロッキング関連から、放射状に外側に移動することを可能にする。これが起こると、スプリング52は、ラム60にプランジャー28に対してバイアスを掛けて、注射器12において、遠位に移動させる。
[0073]いくつかの態様において、キャップ110は、注射前の輸送中または取り扱い中に、針ガード66をカバーし、そして偶発的な移動を防止するように、注射器12の遠位端上に添付可能であることも可能である。キャップ110は、圧入、ねじ込み等によって、外部筐体14の遠位端に添付可能である。特定の態様において、キャップ110には、遠位対面リッジ114を形成する、内部に伸長する一対の突起112が含まれることも可能である(図9)。こうした態様において、針ガード66は、注射器12にキャップ110を固定する、突起112の遠位リッジ114に隣接するよう設定される、放射状に伸長しているフランジ67の対とともに形成される(図8)。いくつかの態様において、キャップ110の上部エッジ116(図9)は、突起112の遠位リッジ114がフランジ67に対して保持されるように、外部筐体14の遠位端に隣接することも可能である。キャップ110のこの配置は、キャップ110がガード66および筐体の間に並置され、針ガード66を保護位置に固定して、注射機構の偶発的な発射の防止を補助するため、筐体内に近位への針ガード66の圧迫を防止する。
[0074]いくつかの態様において、キャップ110は、突起112がフランジ67との整列から移動して、キャップ110が針ガード66から遠位に移動することを可能にするように、筐体14に対してキャップ110をひねることによって、注射器12から取り除くことも可能である。キャップ110を不注意にひねることによる、注射器12からのキャップ110の偶発的な取り外しを防止するため、いくつかの態様において、キャップ110は、最初に力の上昇を必要とするように、例えばキャップ110を取り外す回転を完了する前に、キャップ110を閉鎖位置からパチンと取り去る(snap away)ことを必要とするように、筐体14および/または針ガード66とかみ合っている。例えば、キャップ110の上部エッジ116は、図9に示すように傾斜していてもよい。この傾斜には、示すように曲線が含まれてもよいが、一般的に、エッジ116は、他のエッジ120よりも高い1つのエッジ118を有してもよい。いくつかの態様において、外部筐体14の遠位端は、キャップ110の上部エッジ118のものにマッチするプロファイルを有することも可能である。この配置は、ひねりを可能にするためにキャップ110の偏向を必要とし、そしてキャップ110が針ガード66に対してねじれを生じるために必要な力を増加させる。別の態様において、キャップ110がフランジ67とのスレッド状またはカム状関連を有することも可能であるし、あるいはキャップ110が回転によって取り外されるような別の配置を有することも可能である。
[0075]キャップ110は、その組み立て中、注射器12に付着させることも可能である。これは、キャップ110を適切に整列させ、そして突起112がフランジ67の後ろで移動するように、近位方向に向かう力を適用しながら、針ガード66に対してキャップをひねることによって、実行可能である。あるいは、針ガード66上に形成される対応するタブ69上にフランジ67を配置することによって、内向きに偏向するように、フランジ67を構築することも可能である。こうした態様において、スプリング72をその中に組み立てる前に、キャップ110を針ガード66上に組み立てることも可能であり、これはスプリング72がフランジ67の内向きの偏向と干渉可能であるためである。あるいは、キャップ110は、弾性的に変形可能であり、突起112がフランジ67上を通過するように、キャップ110が針ガード66上に押しつけられることを可能にすることも可能である。
[0076]いくつかの態様において、針ガード66は、圧迫コイルスプリング72によって、保護位置に向かって、遠位に、弾性的に、バイアスを掛けることも可能である。また、針ガード66は、針24がそこを通過することを可能にし、そして望ましい注射器のタイプにしたがってサイズ設定することが可能な、軸開口部74を有することも可能である。いくつかの態様において、注射器12の構築は、使用者が、注射器12の遠位端を、患者の皮膚に対して押しつけ、注射器12が皮膚内に押し込まれるのと実質的に同じ速度で、針24を挿入部位で皮膚内に押し込むことを可能にする。ひとたび針24が望ましい穿通深度で、挿入ポイント内に完全に挿入されたら、トリガー機構が発射し、注射器12に注射部位内に薬剤を注射させる。
[0077]いくつかの態様において、例えば、針補助ジェット注射器を用いた皮下注射のため、針ガード66は、皮膚において、皮膚表面下、最大約5mmまでの皮膚中の穿通深度まで、針24の挿入を可能にするように設定されることも可能である。いくつかの態様において、穿通深度は、約0.5mm、約1.0mm、約1.5mm、約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5.0mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mmまたは先行する深度から決定可能な任意の範囲(例えば約0.5mm〜約2.0mm、または約3.5mm〜約5.5mm)である。別の態様において、針先端26が、皮膚と接触する針ガード66または針ガード66の遠位表面を超えて伸長する距離は、最大約5mmである。いくつかの態様において、針先端26が、皮膚と接触する針ガード66または針ガード66の遠位表面を超えて伸長する距離は、約0.5mm、約1.0mm、約1.5mm、約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5.0mm、約5.5mm、約6mmまたは先行する深度から決定可能な任意の範囲(例えば約0.5mm〜約2.0mm、または約3.5mm〜約5.5mm)である。
[0078]別の態様において、例えば、針補助ジェット注射器を用いた筋内注射のため、注射器12は、針24が、皮膚において穿通深度まで、あるいは針ガード66の遠位表面を超えて、最大約20mmの距離で、患者内に挿入されることを可能にするように設定されることも可能である。いくつかの態様において、注射器12は、針24が、皮膚中の穿通深度まで、あるいは針ガード66の遠位表面を超えて、約0.5mm、約1.0mm、約1.5mm、約2.0mm、約2.5mm、約3.0mm、約3.5mm、約4.0mm、約4.5mm、約5.0mm、約5.5mm、約6mm、約6.5mm、約7.0mm、約7.5mm、約8.0mm、約8.5mm、約9.0mm、約9.5mm、約10.0mm、約10.5mm、約11.0mm、約11.5mm、約12.0mm、約12.5mm、約13.0mm、約13.5mm、約14.0mm、約14.5mm、約15.0mm、約15.5mm、約16.0mm、約16.5mm、約17.0mm、約17.5mm、約18.0mm、約18.5mm、約19.0mm、約19.5mm、約20.0mm、または先行する深度から決定可能な任意の範囲(例えば約0.5mm〜約20.0mm、または約3.5mm〜約15.5mm)の距離で、患者内に挿入されることを可能にするように設定されることも可能である。他の曝露される針24の長さは、皮膚下の異なる深度へのジェット注射に関して選択され、全体の穿通長さは約0.5mm〜約20mmの間である。これらの態様において、針ガード66は、いくつかの態様において、針全体を覆って、保護位置から注射位置に格納されるように設定されてもよく、ここで、針24の先端26の望ましい長さが曝される。
[0079]1つの態様において、注射デバイスは、針を取り巻き、そしてカラー空洞を定義するカラーを含むことも可能であり、カラーは、針および注射部位を取り巻き、連続せず、そして患者の皮膚が、カラー空洞内で移動することを可能にするために十分に広い面積によって、放射状に空間が空けられている、末梢および順方向皮膚接触表面を有して、皮膚内の、注射部位を通じて物質を押し出す背圧を阻害または防止しながら、注射部位への物質の皮内送達のため、患者に穿通するように針を適切に配置して、皮膚下で注射された物質が広がることを可能にする。こうした態様の例は、本明細書にその全体が援用される、米国特許第8,162,886号に見出されうる。
[0080]安全部材80は、外部筐体14の遠位端に取り外し可能であるように添付され、そしてこれには、ボディ部分84、およびそこから伸長した弾性的に柔軟性であるレッグ82の対が含まれることも可能である(図4Aおよび4B)。レッグ82は、外部筐体14の近位表面に形成される対応する穴またはスロット15内に伸長するように設定され、そして筐体14上に安全部材80を保持するように、スロット15内に圧入を提供するよう形作られることも可能である。レッグ82は、外向きにバイアスを掛けることも可能であり、そしてさらに、スロット15の位置に外部筐体の内部とかみ合うように、外部表面上に配置されるタブ86をさらに含み、安全部材80を外部筐体14上にさらに保持してもよい。いくつかの態様において、注射が望ましい場合、レッグ82は、使用者が、安全部材80を外部筐体14から取り除くことを可能にするように形作られる。しかし、いくつかの態様において、レッグ82は、安全部材80が偶発的にまたは意図せず、外部筐体14への付着から取り外されることを防止する。
[0081]レッグ82は、注射機構の発射を引き起こすであろう、近位方向への、ラッチ部分64の押し合い(jostling)または他の運動を妨害するかまたは防止するように外部筐体14に適切に付着した際、ラッチ部分64の最近位表面に隣接する(図3)。いくつかの態様において、レッグ82をスロット15の外に移動させるために必要な力が、輸送中の振動により、あるいは注射器12の落下によって引き起こされる、輸送または取り扱い中の急性ショックにより、ラッチ部分64が定位置から押しやられるのを防ぐために十分であるように、筐体14および注射器12のトリガー機構に関連して、レッグ82が配置される。別の安全部材を用いて、注射器12の不注意な発射を防止することも可能である。
[0082]注射器12が、針補助ジェット注射器として設定される態様において、スプリング72およびプレフィルシリンジ18は、テストステロン配合物などの薬剤をジェット注射するように設定されることも可能である。したがって、スプリング72は、薬剤チャンバー22内の圧を、流体ジェットとして、針24から薬剤を駆出するために十分に高いレベルまで上昇させるのに十分でありうる力を、プランジャー28に適用する。いくつかの態様において、ジェット注射は、薬剤を針先端26から離れた位置に駆動するために十分な速度および力を伴う、注射器12の針先端26からの薬剤注射である。
[0083]いくつかのジェット注射器態様は、針補助であってもまたは無針であっても、薬剤チャンバー22において高圧を生じるように選択されたエネルギー供給源を有し、流体ジェットとして、注射器12を出るために十分な力および速度で、薬剤を駆出する。ジェット注射器は、本質的に薬剤を被験体に皮下的に「スプレー」して、それによって被験体ターゲット組織のより広い表面積を薬剤に迅速に曝露することによって、被験体の皮膚下のより広い表面積に渡って、迅速に薬剤を送達すると考えられる。自動注射器によって送達された際、薬剤は、典型的には、自動注射器を離れ、そして局所に沈着し、これは注射出口から遠く離れては発射されず、そしてしたがって典型的には自動注射器の針先端近くに、ボーラスで送達されるためである。これは、空気内への送達とは対照的に、自動注射器が抵抗性媒体、例えば組織内に注射剤を送達するためには、さらなる注射時間を必要とするためである。対照的に、本明細書に開示する動力注射器の態様、そして特に開示するジェット注射器の態様は、空気に対して抵抗性媒体内への注射の際、注射時間の相違をほぼ示さない。ジェット注射器によって送達される薬剤は、本質的に、迅速に被験体組織内へ、典型的には針先端から遠く離れてスプレーされるため、薬剤は、単一の滴またはボーラスとして注射器から離れず、そしてしたがって、典型的には、針先端近くに、ボーラスとして、被験体に送達されることはない。したがって、本明細書に開示するジェット注射器を用いることによって、薬剤は、より効率的に、被験体組織内に分散することが可能である。さらに、ジェット注射器は、高い圧および速度で薬剤を送達するため、送達された薬剤は、針または注射トラック周囲の注射部位の外に逆流する傾向がはるかにより低い。したがって、薬剤が送達された深度から、注射部位に戻る逆流および/または被験体の皮膚表面に戻る逆流は、ジェット注射器の使用によって、有意に減少しうる。したがって、本開示にしたがった1またはそれより多い薬剤、例えばテストステロン配合物を送達するために用いた際、ジェット注射器は、注射部位の外側で薬剤に曝露されるリスクを有意に減少させ、それによって、望ましい深度に用量全体を信頼性を持って送達することに加えて、非使用者および被験体自身を薬剤に曝露するリスクを有意に減少させる。逆流を防止するかまたは減少させることは、注射部位で望ましい深度に薬剤が留まることを確実にすることによって、コンプライアンスを改善する際に有益である。逆流を防止するかまたは減少させることはまた、薬剤が単一の領域に含有され続け、それによって皮膚表面への逆流から、被験体および/または被験体に近い他の個体を不注意な曝露から防ぐためにもまた有益でありうる。こうした曝露には、例えば、被験体皮膚上の薬剤との直接接触、または空気を通じて、または別の媒体を通じて、被験体または近くにいる個体に到達しうる霧化薬剤からの接触が含まれる。さらに、多くの場合で、手動皮下シリンジまたは自動注射器の緩慢な注射を用いる患者は、ショットが完了する前に、手動注射器を時期尚早に取り外し、患者組織外での薬剤曝露を導くリスクがある。いくつかの態様において、実質的に逆流がないかまたは逆流はない。他の態様において、注射の約95%で逆流がない。特定の態様において、逆流量は、薬剤の総注射量の約15%未満であり、そして他の態様において、用いる際、逆流量は、薬剤の総注射体積の約0.05%〜約15%、薬剤の総注射体積の約0.1%〜約12.5%、薬剤の総注射体積の約0.2%〜約10%、薬剤の総注射体積の約0.3%〜約7.5%、薬剤の総注射体積の約0.4%〜約5%、薬剤の総注射体積の約0.5%〜約3%、薬剤の総注射体積の約0.6%〜約2%、または薬剤の総注射体積の約0.7%〜約1%を超えない。特定の態様において、逆流量は、注射した薬剤の総重量の約15%未満である。特定の他の態様において、逆流量は、注射した薬剤の総重量の約0.1%〜約15%、注射した薬剤の総重量の約0.5%〜約12.5%、注射した薬剤の総重量の約1%〜約10%、注射した薬剤の総重量の約2%〜約7.5%であるか、または注射した薬剤の総重量の約3%〜約5%を超えない。
[0084]いくつかの態様において、逆流ならびに空気へのまたは患者皮膚外表面への薬剤の過度の曝露のリスクおよび発生を防止するかまたは有意に減少させる方式で、薬剤を送達するように、注射器12を設定し、そして注射を行う。
[0085]針補助ジェット注射器のいくつかの態様において、短い針を用いて、皮膚の異なる部分へ、いくつかの態様において皮下に、いかなる逆流も伴わずに薬剤を注射することも可能である。針ガード66の遠位表面を超えて約2.5mm伸長する針24、27ゲージ針24、および約300p.s.i.をピークとし、そしてほぼ100p.s.i.で終わる薬剤チャンバー22の圧を用いて、約0.5mL/秒の流速を生じ、1mLの薬剤を、例えば表3に示すような試験注射の約100%で、有意な逆流を伴わずに成功裡に注射が可能であり、ここで、注射部位では、わずかなまたは測定可能であるがなおわずかな湿り気が観察された。したがって、本開示の針補助ジェット注射器は、患者の皮膚の厚み、年齢、体重または他の要因にかかわらず、非常に短い針を信頼可能に用いて、1またはそれより多い薬剤のジェット注射を可能にする。
[0086]いくつかの態様において、力供給源としてのスプリングタイプの選択、スプリングによって送達される力の調整、および/または組み立てられた注射器内にスプリングをパッケージングする様式は、被験体内に完全な注射を送達するために必要な時間量の有意な減少、注射を送達するために必要なスプリング力の有意な減少、およびより長い保存期間を導きうる。例えば、多くの既知の自動注射器に存在するスプリングは、約0.8〜1.5mlの体積範囲で、典型的な注射が10〜15秒間で被験体内に完全に送達されるように設定される。本開示の注射器の態様は、約0.8〜約1.0mlの体積の完全な注射を約1〜約5秒間で、いくつかの態様において、約2〜約4秒間で、そしていくつかの態様において、約3秒間で送達するように設定されたスプリングを有することも可能である。この時間の減少は、本開示の自動注射器の態様を用いる場合、完全な注射を送達するために必要な時間がより短く、そしてしたがって患者がより少ない疼痛しか経験しないため、患者のコンプライアンスを増加させるであろうと考えられる。
[0087]さらに、いくつかの態様において、スプリング材料は、示すような注射のストロークの長さに渡ってのみスプリング力の減少を可能にするように選択することも可能である。多くの既知の自動注射器は、およそ20%未満の、単回注射の経過に渡るスプリング力の減少を示す。対照的に、本開示の注射器の態様は、スプリング力が、単回注射の経過に渡って少なくとも約25%減少するように、いくつかの態様において、単回注射の経過に渡って約25%〜約50%減少するように、いくつかの態様において、単回注射の経過に渡って約30%〜約50%減少するように、そしていくつかの態様において、単回注射の経過に渡って約50%減少するように、設定されることも可能である。
[0088]スプリングのパッケージングおよび最終使用者または患者への輸送中に、スプリングが過剰に圧迫された状態にならないように、スプリング材料を選択し、そして/または注射器中にスプリングを設定することも可能である。これは、長期間過剰に圧迫されたスプリングは、過剰にストレスを受けて、そして長期に渡ると力の喪失を示すために、好適である。例えば、多くの既知の自動注射器は、スプリングが圧迫された状態で、保存期間のほとんどを過ごすようにパッケージングされる。この方式でパッケージングされると、こうした既知の自動注射器は、自動注射器が保管され使用を待つ時間に渡って、スプリング力の減少を経る。対照的に、本開示の注射器の態様は、圧迫された際に、長期に渡る力の喪失がより少ないような十分に弾性である材料で作製されたスプリングを有することも可能であるし、そして/または注射時まで、完全に圧迫された状態でないように、完全に組み立てられた注射器中に設定されたスプリングを有することも可能である。この方式で、本開示の注射器の態様は、典型的な保存期間に渡って、そのスプリング力の約0%〜約15%を失う。いくつかの態様において、本開示の注射器は、3年間の保存期間に渡って、スプリング力の約10%〜約12%を失う。
[0089]単回ショット注射器のいくつかの態様において、注射器12には、注射機構に関連するロック・リング70として提供可能である、ロック要素などの無効化機構が含まれる。図6A〜6Dに示すように、ロック・リング70をスリーブ16および針ガード66の間に配置することも可能であり、そしてロック・リング70は、単回注射サイクルを通じて、針ガード66が、外部筐体14に対して移動することのみを可能にするように、スリーブ16および針ガード66と相互作用可能である。これには、保護位置(図6A)から注射位置(図6B、6C)への移動が含まれ、そして次いで、圧迫スプリング72の力の下での、保護位置への復帰(図6D)が含まれる。針ガード16が、注射サイクル終了時に、保護位置に復帰した際、ロック・リングは、スリーブ16および針ガード66に対して、これらの間のさらなる運動が制限され、したがって注射器がさらに注射を行えないようにし、そして注射器12の筐体14内で、針24を安全に保持するように配置される。
[0090]図6A〜6Dに示すように、1つのロックサイクルを通じた針ガード66の移動は、ロック・リング70を、スリーブ16に対して、注射位置からロック位置に移動させる。注射位置で、ロック・リング70は、ロック・リング70の上部アーム71が、薬剤チャンバー22と関連するデバイスの部分、例えばスリーブ16の外表面に形成される近位ノッチ92とかみ合う。近位ノッチ92内の上部アーム71のかみ合いは、ロック・リング70を注射位置に解放可能に維持する。図7に示すように、ロック・リング70は、一般的に、形状が環状であり、したがって例えばスリーブ16を取り巻くことによって、薬剤チャンバー22を直接または間接的に取り巻くことも可能である。ロック・リング70には、さらに、下部アーム73の対が含まれ、これらは各々、その末端で形成されるタブ74を有する。ロック・リング70が注射位置にある場合、タブ74は、針ガード66が、ロック・リング70上のあらかじめ決定された距離をスライド可能であるように、針ガード66中に形成されるスロット95に受け入れられる。針ガード66が、外部筐体14に関して、注射位置内に移動するにつれて、タブ74がスロット95の末端に到達し、そして内部に押圧されて、針ガード66が注射位置内に動き続けることを可能にするように、針ガード66はロック・リング70上をスライドする。注射位置に到達したら、タブ74は、針ガード66の穴96と整列して、下部アーム73が自然な位置に復帰することを可能にし、ここで、タブ74の上部表面は穴96のエッジとかみ合い、それによって、ロック・リング70を針ガード66とカップリングする。
[0091]針ガード66が保護位置に復帰するにつれて、針ガード66は、ロック・リング70を遠位に引っ張り、上部アーム71を近位ノッチ92から解放する。いくつかの態様において、上部アーム71および近位ノッチ92は、上部アーム71の傾斜表面が、例えば近位ノッチ92内に伸長することによって、薬剤チャンバー22と関連する注射器12の別の部分とかみ合うが、これらに対して遠位に向かう運動によって、外部に押されるように、はめ合い傾斜表面で形成される。この配置は、安定したままであるスリーブ16上を針ガード66が保護位置に向かって遠位に移動するにつれて、針ガード66がロック・リング70をともに、そして注射位置の外に移動させることを可能にする。
[0092]針ガード66が保護位置に到達したら、上部アーム71は、上部アーム71の上部表面が遠位ノッチ93の上部表面94とかみ合うように、スリーブ16中に形成された遠位ノッチ93上を移動する。さらに、こうした位置で、ロック・リング70のフランジ77は、針ガードの表面67と隣接して、針ガード66のロック・リング70に関する遠位運動を遮断する。このかみ合いは、ロック・リング70がスリーブ16に関して近位に移動することを防止する。ロック・リング70は、この配置で、針ガード66とカップリングするため、そしてスリーブ16は、外部筐体14に付着するため、針ガード66は、外部筐体14に関してロックされており、そして注射位置内に戻ることが妨げられる。これは、針24が、注射器12の使用後に偶発的に曝露されることを防ぐ。別の態様は、注射器またはその部分の再使用を防止する他の機構を用いることも可能である。いくつかの態様は、注射器が再使用可能であるように、こうした機構を使用しない。いくつかの態様において、薬剤の注射後、続く注射が自動的に防止され、そして注射後の部分上、例えば針先端またはジェット注射のズル上に残っている可能性がある薬剤の残余物への曝露またはこれらとの接触もまた、注射器12の構築によって防止されるかまたは回避されることも可能である。
[0093]図11を参照すると、無針ジェット注射器の態様の遠位端が示される。示す注射器は、本明細書に開示する系を使用して、針注射器態様に関して上述されるように、注射を発射することも可能であるが、針の代わりにジェットノズル202を用いて、被験体内に薬剤を注射する。ノズル202は、外部皮膚層を突き刺して、そして注射の望ましい深度まで送るために十分に強い流体ジェットとして、薬剤200をノズル202から出すために選択された直径を有するジェット出口204を定義する。
[0094]1つの態様において、注射器は、薬剤の注射が完了した1またはそれより多い指標を有することも可能である。1つの態様において、注射器は、薬剤注射が進行中である1またはそれより多い指標を有することも可能である。1つの態様において、注射が進行中であり、そして注射が完了したことを、独立にそして別個に示す、1またはそれより多い指標があってもよい。1つの態様において、第一の指標は、第二の指標とは異なる。指標には、限定されるわけではないが、聴覚的指標、触覚的指標(例えばクリックまたはバイブレーション)、視覚的指標、物理的指標、電気的指標、または化学的指標が含まれてもよい。
[0095]表1は、注射後、被験体の皮膚表面に到達する薬剤逆流を比較する試験の結果を示す;手動皮下シリンジに比較した際の針補助ジェット注射器に関するデータを提示する。試験中の各群の注射総数は126であり、そしてすべて、訓練を受けたヘルスケア専門家によって投与された。
表1:注射後の被験体の皮膚表面への薬剤逆流。%=投与した総数126の注射のパーセント。
[0096]ジェット注射器は、薬剤を迅速に、いくつかの態様においては約2秒未満で送達するため、患者が組織中に注射器を保持しなければならない時間は、典型的なシリンジまたは自動注射器によって送達される注射に比較した際、劇的に減少する。したがって、本開示にしたがってジェット注射器を利用すると、患者コンプライアンスおよび指示の遵守が増加し、そしてしたがって、正しく投与される用量の増加が生じるであろうと考えられる。さらに、ジェット注射器が薬剤を送達する速度は、薬剤を自己注射する患者によって経験される疼痛の量が最小限であろうため、そして多くの場合存在しない可能性もあるため、通常の注射に伴う患者コンプライアンスをさらに増進させることも可能である。
[0097]1つの態様において、本明細書に含まれるのは、被験体に粘性薬学的配合物を投与するためのデバイスおよび方法である。1つの態様において、粘性薬学的配合物を被験体に投与するための方法は、約25〜2500cpsの間の粘性を有する溶液または懸濁物の形で薬学的配合物を配合し、約10mm未満の挿入長を有する針を含むまたは無針の注射デバイス中の配合物を提供し;そして被験体内へのジェット注射によって、少なくとも約0.2mmの直径を有する開口部を通じて、注射デバイスから配合物を投与する工程を含む。特定の態様において、本明細書に言及する粘性は、Brookfied粘度計によって測定可能な動的粘性であることも可能である。他の態様において、本明細書に言及する粘性は、引力の影響下、制御された温度で、小さい開口部を通じて固定された流体体積が通過する、キャピラリー粘度計を用いることによって決定される運動力学的粘性であることも可能である。特定の態様において、粘性は、20℃で測定される。他の態様において、粘性は25℃で測定される。
[0098]他の態様において、懸濁されるかまたは溶解されるある量のテストステロンを含む注射可能キャリアーは、室温(例えば20〜25℃)で25〜300cpsの粘性を有する。特定の態様において、粘性は90〜120cpsの間であり、他の態様において、粘性は約110cpsである。他の態様において、粘性は約70cpsより大きいかまたはそれに等しい。
[0099]特定の態様において、キャリアーはココナツ油、ダイズ油、ゴマ油、ひまし油である。他の油には:アラキス(ピーナツ)油、ひまし油、綿実油、オレイン酸エチル、ポリオキシエチル化ひまし油(HCO−60、ポリオキシル60水素付加ひまし油、Cremophor(登録商標)EL)、ベニバナ油、およびダイズ油が含まれる。
[00100]1つの態様において、配合物には、薬学的に適切な油が含まれ、そして約50psiより大きい圧で、注射デバイスから投与される。1つの態様において、油はゴマ油である。
[00101]1つの態様において、注射デバイスは、約0.3mmまたは約0.5mmの穴を持つ注射針を有する。他のゲージはまた、適切な穴、例えば22ゲージ、25ゲージまたは27ゲージを有することも可能である。
[00102]図10に示すグラフを参照すると、数字132は、注射器12の態様が発射される際の時点に相当し、そして数字134は、注射の完了時点に相当する。いくつかの態様において、注射は、プランジャー28が薬剤容器20の遠位壁に当たった際に完了する。数字136は注射中の最初の圧およびピーク圧に相当し、そして数字130は注射中の最終圧に相当する。いくつかの態様において、スプリング72は線形ばね定数を有し、そして注射補助針24を用いて、注射を開始する前に皮膚への穿刺を行う。したがって、注射圧は、注射が完了するまで134、注射の開始132から実質的に線形に低下する。注射の終了時134の最終圧130は、ラム60の発射ストローク終了時であってさえ、十分に上昇しており、薬剤はなおジェット注射され、そして非常に少量の薬剤が針先端26周囲にボーラスとして沈着するかまたはまったく沈着されない。
[00103]針補助ジェット注射器のいくつかの態様において、注射中のピーク圧136は、約1,000p.s.i.未満、いくつかの態様において950p.s.i.未満、いくつかの態様において900p.s.i.未満、いくつかの態様において850p.s.i.未満、いくつかの態様において800p.s.i.未満、いくつかの態様において750p.s.i.未満、いくつかの態様において700p.s.i.未満、いくつかの態様において650p.s.i.未満、いくつかの態様において600p.s.i.未満、いくつかの態様において550p.s.i.未満、いくつかの態様において500p.s.i.未満、いくつかの態様において450p.s.i.未満、いくつかの態様において400p.s.i.未満、そしていくつかの態様において約350p.s.i.未満である。いくつかの態様において、注射終了時、薬剤チャンバー22中の薬剤に適用される圧130は、少なくとも約80p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約90p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約100p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約150p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約200p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約250p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約300p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約350p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約400p.s.i.、いくつかの態様において少なくとも約450p.s.i.、そしていくつかの態様において少なくとも約500p.s.i.であることも可能である。いくつかの態様において、最初の圧136は、約330p.s.i.であることも可能であり、そして最後の圧130は約180p.s.i.である。いくつかの態様において、最初の圧136は約300p.s.i.であり、注射終了時134にはほぼ60p.s.i.に低下する。他の注射速度が、本明細書に論じる他の態様に関して用いられる。例えば、無針ジェット注射器は、約4,000p.s.i.またはそれより大きい範囲の注射圧を発揮しうる。ジェット注射器の他の態様は、より低い注射圧、例えば少なくとも約80p.s.i.、または少なくとも約60p.s.i.を利用する。対照的に、既知の自動注射器は、典型的には60p.s.i.より低い圧を用いる。
[00104]自動注射器および針補助ジェット注射器の両方のいくつかの態様で用いられる針は、26〜28ゲージの間であり、そしていくつかの態様において、ほぼ27ゲージである。他の針ゲージもまた使用可能であり、この場合、他の構成要素は、協調して設定されて、例えばミニ針を含む望ましい注射を生じる。いくつかの態様において、注射器12の構成要素は、1またはそれより多い薬剤を皮下注射部位にジェット注射するように設定可能である。
[00105]ほぼ室温で、本明細書に記載するようなゲージ針を有するデバイスにおいて、針補助ジェット注射器の態様において、注射速度は、約0.75mL/秒未満であり、いくつかの態様において、約0.6mL/秒未満であり、いくつかの態様において、少なくとも約0.2mL/秒であり、いくつかの態様において、少なくとも約0.3mL/秒であり、そしていくつかの態様において、少なくとも約0.4mL/秒である。いくつかの態様において、注射速度は、約0.75mL/秒未満、約0.7mL/秒未満、約0.65mL/秒未満、約0.6mL/秒未満、約0.55mL/秒未満、約0.5mL/秒未満、約0.45mL/秒未満、約0.4mL/秒未満、約0.35mL/秒未満、約0.3mL/秒未満、および約0.25mL/秒未満より選択される。いくつかの態様において、注射率は、約0.05mL/秒、0.1mL/秒、約0.15mL/秒、約0.20mL/秒、約0.25mL/秒、約0.30mL/秒、約0.35mL/秒、約0.40mL/秒、約0.45mL/秒、約0.50mL/秒、約0.55mL/秒、約0.60mL/秒、約0.65mL/秒、約0.70mL/秒、約0.75mL/秒、約0.80mL/秒、約0.85mL/秒、約0.90mL/秒、または先行する注射速度から決定可能な任意の範囲(例えば約0.05mL/秒〜約1.5mL/秒または約0.70mL/秒〜約0.75mL/秒)である。針補助ジェット注射器の態様において、注射速度は、少なくとも約0.2ml/秒、少なくとも約0.25ml/秒、少なくとも約0.3ml/秒、少なくとも約0.35ml/秒、少なくとも約0.4ml/秒、少なくとも約0.45ml/秒、少なくとも約0.5ml/秒、少なくとも約0.55ml/秒、少なくとも約0.6ml/秒、少なくとも約0.65ml/秒、および少なくとも約0.7ml/秒より選択される。
[00106]いくつかの態様において、薬剤の全量の注射は、約15秒未満、いくつかの態様において約12秒未満、いくつかの態様において約11.5秒未満、いくつかの態様において約11.0秒未満、いくつかの態様において約10.5秒未満、いくつかの態様において約10.0秒未満、いくつかの態様において約9.5秒未満、いくつかの態様において約9.0秒未満、いくつかの態様において約8.5秒未満、いくつかの態様において約8.0秒未満、いくつかの態様において約7.5秒未満、いくつかの態様において約7.0秒未満、いくつかの態様において約6.5秒未満、いくつかの態様において約6.0秒未満、いくつかの態様において約5.5秒未満、いくつかの態様において約5.0秒未満、いくつかの態様において約4.5秒未満、いくつかの態様において約4秒未満、いくつかの態様において約3.5秒未満、いくつかの態様において約3秒未満、いくつかの態様において約2.5秒未満、いくつかの態様において約2秒未満、そしていくつかの態様において約1.5秒未満で完了する。いくつかの態様において、薬剤注射は、少なくとも約1.0秒、約1.5秒、約2.0秒、約2.5秒、約3.0秒、約3.5秒、約4.0秒、約4.5秒、約5.0秒、約5.5秒、約6.0秒、約6.5秒、約7.0秒、約7.5秒、約8.0秒、約8.5秒、約9.0秒、約9.5秒、約10.0秒、約10.5秒、約11.0秒、約11.5秒、約12.0秒、または先行する時間から決定可能な任意の範囲(例えば約3.0秒〜約8秒または約10秒〜約12秒)を要する。
[00107]いくつかの態様において、薬剤注射は、約0.1ml/秒で起こり、約10秒間で1mlの注射が完了する。しかし、本明細書に開示する注射器12の別の態様に関して、他の注射速度が可能である。例えば、いくつかの態様において、注射器12は、無針ジェット注射に関して典型的な流速を送達するよう設定可能であり、これは、約1.5mL/秒であってもよく、そしていくつかの態様において、注射器12は、自動注射器に関して典型的な流速を送達するよう設定可能であり、これは0.3秒に約0.5mLであることも可能である。
[00108]注射速度は、例えば薬剤を注射するために用いられる針のゲージ、薬剤自体の粘性、シリンジバレル中のプランジャー28の滑り力、注射しようとする薬剤の温度、ならびに温度が粘性に直接の影響を有する可能性があるため、注射を投与しようとする部屋の温度などのいくつかの要因によって影響を受ける可能性もある。多様な態様において、組織耐性は、本開示の注射器の態様が達成可能である注射速度に影響を及ぼさない。多様な側面において、これらのパラメータは、望ましい方式で注射体積を送達するために、選択され、そして最適化されることも可能である。こうした選択および最適化は、過度の実験を伴わずに、当該技術分野の一般的な技術を有する当業者によって、容易に実行可能である。
[00109]1つの態様において、注射器は、含有されるテストステロン組成物を加熱する能力を有して、それによって、含有される組成物の粘度を減少させ、そしてそれによって注射時間を減少させることも可能である。1つの態様において、加熱デバイスは、注射器の一体化部分である。1つの態様において、加熱デバイスは、注射器の外側である。1つの態様において、加熱デバイスは、場合による、温度感知コントローラーを有する。1つの態様において、注射器は1つの加熱デバイスを有する。1つの態様において、注射器は1より多い加熱デバイスを有する。加熱法および/またはデバイスの限定されない例には、電気的、化学的および発熱性供給源が含まれる。
[00110]1つの態様において、加熱機構は、注射器内に含有される薬剤を、室温より高い温度に加熱する。1つの態様において、加熱デバイスは、注射器内に含有される薬剤を、室温より約5℃高い、あるいは室温(例えば20〜25℃)より約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、または約50℃高い温度に加熱する。1つの態様において、加熱機構は、電気的、化学的または機械的加熱機構である。別の態様において、機構または使用法には、加熱供給源に近位にデバイスを配置する工程が含まれる(例えば人の腕の下)。
[00111]1つの態様において、加熱デバイスまたは機構は、加熱デバイスが稼働している、非稼働である、そして/または望ましい温度にある、少なくとも1つの指標をさらに含む。1つの態様において、加熱デバイスは、使用者に、デバイスがデバイスからの薬剤の分配に適した温度に到達したことを示す、1またはそれより多い指標を有する。1つの態様において、指標は視覚的指標である。1つの態様において、指標は聴覚的または触覚的指標である。
[00112]いくつかの態様において、そうでなければより長い注射時間を必要とする粘性薬剤は、針のゲージを変化させることによって、上に示す速度で、被験体に注射することがなお可能である。例えば、いくつかの態様において、粘性物質を注射するために、本開示の針補助注射器とともに26ゲージ針が利用可能であり、いくつかの態様において、粘性物質を注射するために、本開示の針補助注射器とともに27ゲージ針が利用可能であり、そしていくつかの態様において、粘性物質を注射するために、本開示の針補助注射器とともに28ゲージ針が利用可能である。前述の態様各々において、注射速度は、上に開示する速度と同じである。したがって、注射しようとする薬剤の粘性にしたがって、針のゲージを変化させることによって、注射速度を維持することも可能である。いくつかの態様において、27ゲージ針を、本開示の注射器の1またはそれより多い態様とともに利用して、約1.0〜約2.0秒、いくつかの態様において、約1.5〜約2.0秒、そしていくつかの態様において、約1.7秒の期間で、空中に1.0mlの水溶液を送達する。いくつかの態様において、27ゲージ針を、本開示の注射器の1またはそれより多い態様とともに利用して、約1.0〜約2.0秒、いくつかの態様において約1.3〜約2.0秒、いくつかの態様において約1.5秒、そしていくつかの態様において約1.3秒の期間で、組織内に1.0mlの水溶液を送達する。いくつかの態様において、27ゲージ針を、本開示の注射器の1またはそれより多い態様とともに利用して、約1.0〜約5.0秒、いくつかの態様において約2.5〜約5.0秒、いくつかの態様において約4.3秒、そしていくつかの態様において約4.0秒の期間で、空中に、水中の10%w/wポリエチレングリコール20,000と同等の粘性を有する1.0mlの粘性溶液を送達する。いくつかの態様において、27ゲージ針を、本開示の注射器の1またはそれより多い態様とともに利用して、約10〜約15秒、いくつかの態様において、約12〜約15秒、そしていくつかの態様において、約14秒の期間で、空中に、水中の20%w/wポリエチレングリコール20,000に同等の粘性を有する1.0mlの粘性溶液を送達する。
[00113]動的粘性に関するcgs物理単位はポアズ(P)であり、より一般的には、ASTM標準でセンチポアズ(cP)と示される。典型的には、20℃の水溶液は、およそ1cPの粘性を有する。いくつかの態様において、本開示の注射器は、27ゲージの針を通じて、1.0のまたはそれに近いcPを有する水溶液に関して、0.5ml/秒の流速または注射速度を生じるように設定可能である。いくつかの態様において、本開示の注射器は、27ゲージの針を通じて、1.0のまたはそれに近いcPを有する水溶液に関して、0.5ml/秒の皮膚内への流速または注射速度を生じるように設定可能である。
[00114]米国特許第6,391,003号は、26および27ゲージ針を用いて、ガラスカートリッジに薬剤を成功裡に適用可能である圧の実験結果を開示する。表2は、針補助ジェット注射器とともに使用可能な異なるピーク圧での、特にガラス・プレフィルシリンジを用いた際の、例示的な注射を例示する:
表2.針補助ジェット注射器によって送達可能な例示的な注射
[00115]別の態様は、より高いまたはより低い注射圧を用いることも可能である。例えば、針補助注射器は、針なしで皮膚に穿通するため、より高い圧を用いる可能性があり、そして自動注射器は、典型的には、より低い圧を用いて、手動シリンジ注射を模倣するであろう。
[00116]II.他の注射器
[00117]1つまたはそれより多い代替態様において、本開示は、テストステロンを含む薬剤(例えば保存剤不含)のあらかじめ決定された投薬量を分配するための自動注射器、より人間工学的であるように、好ましくは形状が卵形または楕円である筐体を含む自動注射器に関する。これらの代替態様において、米国特許第7,449,012号および第7,794,432号は、その全体が本明細書に援用される。卵形は、自動注射器が、テーブルまたは平坦な表面から転がり落ちることを防ぎ、一方、使用説明書をプリントするため、より大きい表面積を提供する。カートリッジ容器は、筐体内に配置される。カートリッジは、カートリッジ容器内に受け入れられる。カートリッジは、少なくとも1つの開口部を有し、そして薬剤を含有する。薬剤はプランジャーによって後方に制限される。カートリッジには、薬剤をそこから分配する針組立部品が含まれる。カートリッジは、カートリッジ容器内で、保存位置から作動位置に進行し、ここで、薬剤用量が投与可能であるように、針がカートリッジ容器から伸長する。作動組立部品またはパワーパックは、針組立部品を通じて薬剤を使用者に分配するカートリッジ内のプランジャーを駆動するよう解放され、そして活性化に際して針をアクセス可能にする、保存エネルギー供給源を提供する。
[00118]代替態様の自動注射器の別の側面は、筐体内に受け入れられる針カバーの提供である。針カバーは、鋭利物(sharps)保護を提供して、自動注射器の使用後の不注意な針への曝露から使用者を保護する。理論的には、カバーは針が使用者に穿通するまで展開しないであろうため、針カバーの操作はフェイルセーフである。操作中、カートリッジの針は、針カバー中の開口部を通じて伸長し、薬剤用量の分配を可能にする。自動注射器の使用後、針カバーはロック位置に保持され、カバーが格納されて、針が曝露されることを防止する。代替態様の別の側面にしたがって、針カバーは、自動注射器の活性化前には、ロックされた格納位置を有し、したがって、使用前のデバイスのコンパクトな立体配置を維持する。代替態様の別の側面にしたがって、自動注射器に関連する作動力は、針カバーに分与されない。
[00119]別の態様の別の側面にしたがって、自動注射器は第一のロック位に針カバーを保持する第一のロック組立部品を有する。第一のロック組立部品は、カートリッジ容器上に位置してもよい。第一のロック組立部品には、カートリッジ容器または針カバーに枢動可能に連結された、少なくとも1つのロック歯が含まれることも可能である。各ロック歯は、針カバーと解放可能に関連し、そしてこれには、針カバーまたはカートリッジ容器の表面と接触するように構築され、そして配置されたロック表面が含まれる。各ロック歯は、容器またはカバーと連結される別個の構成要素として形成されることも可能である。ロック歯は、針カバーまたはカートリッジの一体化部分として形成されることも可能であることが意図される。ロック歯のスプリング力は、ロック表面が針カバーと接触するようにバイアスを掛ける。スプリング力は、ロック歯のスプリング部分によって提供されることも可能である。スプリング力はまた、ロック表面を針カバーに接触させるようにバイアスを掛ける、別個のスプリング組立部品によって提供されることも可能である。各ロック歯は、好ましくは、カートリッジ容器に枢動可能に連結される。各ロック歯は、カートリッジ容器内のカートリッジの運動に反応して枢動する。ロック歯がコレットまたはパワーパックの運動に反応して枢動可能であることもまた意図される。典型的には、ロック表面は、ロック歯がカートリッジの運動に反応して枢動する際、針カバーとの接触から離れて枢動する。スプリング力およびカートリッジ上のロック歯から発揮される力は、これらが注射操作中にカートリッジの運動を無視可能にまたは最小限に妨害し、カートリッジ内のダイアフラムのいかなる時期尚早な破裂および薬剤の時期尚早な投与も回避するように制御される。
[00120]別の態様の側面において、針カバーは、カバーが筐体から外向きにバイアスを掛けられて、第一のロック組立部品が解放された後、曝露された針をカバーするように、スプリングでバイアスを掛けられる。代替態様の別の側面にしたがって、自動注射器は、第二のロック位に針カバーを保持する、第二のロック組立部品を有する。第二のロック組立部品は、カートリッジ容器、外部ボディまたはカバー部材上に位置してもよい。第二のロック組立部品には、好ましくはカートリッジ容器に連結された、少なくとも1つのロックアームまたはウィングが含まれてもよい。各ロックアームは、針カバーが第一のロック位から第二のロック位に移動するにつれて、ロックアームが一時的にカートリッジ容器に対して圧迫されうるように、カートリッジ容器から間隔を置く。各ロックアームは、針カバーがロックされた伸長位にある際、針カバーとかみ合うロック表面を有する。各ロックアームは、厚い支柱部分および薄い支柱部分を有し、ここで厚い支柱部分は、外向きに曲がり、そして薄い支柱部分は内向きに曲がる。この構築は、ロックアームを正常の圧迫されない状態に維持して、カートリッジ容器に対するストレスを減少させる。これはまた、カバー部材の滑らかな展開を可能にする。さらに、この配置は、厚い支柱部分が安定な状態にバックル止めされることを確実にする。これは、カバー部材が後方の格納位に移動することを防ぐ、より強いロックを生じる。薄い支柱部分が内向きに曲がる性質は、厚い部分が安定な状態に制御された方式でバックル止めされることを可能にする。さらに、厚い支柱部分の外向きに曲がった形状によって、カバー部材の伸長位でのフェイルセーフロックが提供される。薄い支柱が破壊される事象において、厚い支柱部分はなお、カバー部材とかみ合って、伸長されたロック位にこれを維持するであろう。
[00121]代替態様のカートリッジ容器には、容器から外向きに伸長する少なくとも1つのレッジがさらに含まれることも可能である。各レッジは、針カバーの開口部のエッジとかみ合うように構築され、そして配置されて、針カバーが伸長位にある場合、カートリッジ容器に関して針カバーの移動を限定する。カートリッジ容器上のレッジが開口部のエッジとかみ合う際、針カバーの外向きの移動は制限される。第二のロック組立部品は針カバーの内向きの移動を制限する。針カバーおよびカートリッジ容器は、中に形成される開口部を含有する。開口部が自動注射器の活性化前に整列される場合、使用者は、筐体および開口部を通じて、カートリッジの内容物を見ることも可能である。筐体は透明であってもまたは不透明であってもよい。不透明である場合、筐体は、針カバーおよびカートリッジ容器の開口部と整列されていてもよい開口部を含有してもよく、したがって、薬剤の色をチェックして、薬剤が注射に適しているかどうかを決定することも可能である。薬剤が変色していた場合、使用者は薬剤を投与すべきでないことを知るであろう。開口部が自動注射器の操作後に整列していない場合、使用者は開口部を通じてカートリッジの内容物を見ることはもはや不可能であり、自動注射器が使用されていることの視覚的指標を使用者に提供する。
[00122]代替態様の別の側面は、開放端に隣接して、筐体内に搭載される、作動組立部品またはパワーパックの構築および配置である。解放ピンまたは安全ピンは、作動組立部品に除去可能に付着されて、解放ピンが適所にある際、自動注射器の不注意な作動を防止する。ピンまたは解放ピン上のステムは、作動組立部品中の開口部内に受け入れられて、自動注射器の作動を防止する。パワーパック中のこの開口部は、薬剤投与前には、開口部が使用者により見えないように、筐体の開放端から間隔を置く。使用者が使用者の注射表面に対して、自動注射器の誤った端を方向付けないように、この配置が提供される。パワーパックは、筐体端から後退するかまたは間隔を置かれ、これは、パワーパックを押しても自動注射器が作動しないことを使用者に示す。パワーパックの後退した性質は、使用者が外部ボディ上の使用説明書を見た際、使用者が薬剤を投与するための針が通過する開口部と解放ピンの穴を混同することがないように、パワーパック中の解放ピンの穴を隠すように働く。解放ピンには、そこから伸長した少なくとも1つのタブが含まれる。該タブは、作動組立部品中に形成された相補的な凹み内に圧迫適合して、解放ピンの不注意な除去を防止する。タブはまた、使用者が、解放ピンが除去されるためには引っ張られなければならないことを容易に認識するように、解放ピンの回転を防止する。
[00123]代替態様の作動組立部品には、解放ピンとかみ合うように設定された外部ボディが含まれる。外部ボディは、筐体に連結されるように構築される。内部ボディは、外部ボディに操作可能であるようにカップリングされる。内部ボディ上の少なくとも1つの保持タブは、内部ボディを外部ボディに固定する。内部ボディは、外部ボディに関して動きが制限されていることが可能である。コレットは内部ボディに機能可能であるようにカップリングされる。エネルギー供給源は、内部ボディおよびコレットに機能可能であるように連結される。慣用的なコレットとは異なり、本発明のコレットは、単一のピースとして鋳造される。カートリッジにおいて、コレットおよびプランジャー間には、スペーサーまたは他の構成要素は提供されない。この配置は、代替態様の構築を単純化する。異なるサイズのカートリッジが用いられるかまたは異なるサイズの薬剤投薬量を投与しようとする際に、コレットだけを改変すればよいように、異なるサイズのコレットが産生され、そして作動組立部品に取り付けられることも可能である。
[00124]III.薬剤組成物
[00125]特定の態様において、本発明の薬剤は、単独で、あるいは本明細書に含まれる他の態様および/またはデバイスと組み合わせて有用でありうる、テストステロンを含む任意の薬剤であってもよい。1つの態様において、薬剤はテストステロンである。
[00126]1つの態様において、本明細書に含まれるテストステロン配合物は、少なくとも1つの保存剤、そして特に薬学的に許容されうる保存剤、そしてより特に、筋内、真皮下、および皮下投与の1またはそれより多くに適した保存剤を含む。適切な保存剤には、限定されるわけではないが、抗菌剤、ハロゲン化アルコール、パラベン、およびフェニル水銀塩が含まれる。保存剤の限定されない例には、フェノール、メタクレゾール、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、および硝酸フェニル水銀が含まれる。
[00127]1つの態様において、本明細書に含まれるテストステロン配合物は、保存剤を含まないかまたは保存剤不含であり、そして特に上記の保存剤を不含である。1つの態様において、本明細書に含まれる保存剤不含テストステロン配合物は、エナント酸テストステロンを含む。1つの態様において、保存剤不含テストステロン配合物は、薬学的に許容されうるキャリアー中の、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の単位用量である。1つの態様において、保存剤不含テストステロン配合物は、薬学的に許容されうるキャリアー中の、複数のテストステロンあるいはその薬学的に許容可能なエステルまたは塩の少なくとも2つの単位用量である。さらに別の態様において、組成物は、沈殿物(例えばエナント酸テストステロンまたはシピオン酸テストステロン沈殿物)を含まないかまたは実質的に含まない。
[00128]1つの態様において、テストステロン配合物(例えば保存剤不含)は、少なくとも1つの粘性キャリアーを含む。さらに別の態様において、テストステロン配合物(例えば保存剤不含)には、油中のテストステロンが含まれる。1つの態様において、テストステロン配合物(例えば保存剤不含)には、ゴマ油中のテストステロンが含まれる。
[00129]1つの態様において、本明細書に含まれる組成物中のテストステロンは:約5mg、約10mg、約15、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約205mg、約210mg、約215mg、約220mg、約225mg、約230mg、約235mg、約240mg、約245mg、約250mg、約255mg、約260mg、約265mg、約270mg、約275mg、約280mg、約285mg、約290mg、約295mg、約300mg、約305mg、約310mg、約315mg、約320mg、約325mg、約330mg、約335mg、約340mg、約345mg、約350mg、約355mg、約360mg、約365mg、約370mg、約375mg、約380mg、約385mg、約390mg、約395mg、約400mgの薬剤、または先行する投薬量から決定可能な任意の範囲(例えば、約75mg〜約150mgまたは約100mg〜約200mg)より選択される量で存在する。別の態様において、テストステロンは、約5mgより多い量で存在する。
[00130]当業者によって理解されるであろうように、本明細書に含まれるテストステロンの量は、とりわけ、投与法および/または投与に用いるデバイス、望ましいテストステロン濃度等に基づいて、適切な体積の流体(例えば適切なキャリアーまたは油)内に含有されてもよい。1つの態様において、薬剤チャンバー22に含有され、そしてそこから注射される薬剤の量は、約0.02mL〜約4mLの間であり、いくつかの態様において、約3mL未満であることも可能である。他の態様において、薬剤チャンバー22に含有され、そしてそこから注射される薬剤の量は、約0.02mL、約0.04mL、約0.06mL、約0.08mL、約1.00mL、約1.02mL、約1.04mL、約1.06mL、約1.08mL、約2.00mL、約2.02mL、約2.04mL、約2.06mL、約2.08mL、約3.00mL、約3.02mL、約3.04mL、約3.06mL、約3.08mL、約4.00mL、約4.02mL、約4.04mL、約4.06mL、約4.08mL、約5.00mL、または先行する体積から決定可能な任意の範囲(例えば、約0.04mL〜約5.00mLまたは約1.04mL〜約3.02mL)であってもよい。利用される特定の薬剤(単数または複数)および必要とされる投薬量に応じて、より多い体積もまた選択可能である。いくつかの態様において、例えば図6Aを参照すると、薬剤の望ましい量を含有するプレフィルシリンジ18は、注射器12の残りの部分に組み立てられる。いくつかの態様において、プレフィルシリンジ18は、薬剤含有流体の約0.02mL〜約4.00mLを含有する。いくつかの態様において、プレフィルシリンジ18は、約0.02mL、約0.04mL、約0.06mL、約0.08mL、約1.00mL、約1.02mL、約1.04mL、約1.06mL、約1.08mL、約2.00mL、約2.02mL、約2.04mL、約2.06mL、約2.08mL、約3.00mL、約3.02mL、約3.04mL、約3.06mL、約3.08mL、約4.00mL、約4.02mL、約4.04mL、約4.06mL、約4.08mL、約5.00mL、または先行する体積から決定可能な任意の範囲(例えば、約0.04mL〜約5.00mLまたは約1.04mL〜約3.02mL)の1またはそれより多い薬剤を含有する。
[00131]1つの態様において、テストステロンのエステル型を用いる。1つの態様において、本明細書に含まれるテストステロン配合物は、エナント酸テストステロンおよび/またはシピオン酸テストステロンを含み、これらは集合的に、本明細書において、「テストステロン」と称される。テストステロンの活性代謝物を含めて、テストステロン部分を含む別の化合物が用語「テストステロン」の範囲内にあることが理解される。
[00132]1つの態様において、本明細書に含まれるテストステロン配合物は、細いゲージの針を通じて、本明細書に含まれそして/または別の箇所に詳細に記載される投与法および投与用デバイスで、投与可能であるようなものである。細いゲージの針の限定されない例は、27ゲージ針である。しかし、細いゲージの針の他の例は、本明細書の別の箇所に詳細に記載される。1つの態様において、本明細書に含まれるテストステロン配合物は、本明細書に含まれるデバイスと組み合わせて投与された際、シリンジボディまたは針を通じて流動する抵抗をスムースに克服するために十分な力を用いて用量を投与可能である。薬剤注射のための流速を決定し、そして最適化する方法もまた、本明細書の別の箇所に記載される。
[00133]IV.治療法
[00134]本開示は、部分的に、性腺機能低下症、不妊症、性欲欠如または勃起機能不全、骨粗鬆症および貧血を治療するための方法、デバイス、および組成物、陰茎拡大および身長増加を促進するための方法、ならびに骨髄および食欲を刺激するための方法を提供する。
[00135]被験体の血流中のテストステロン濃度は、被験体に投与する組成物中のテストステロンの量、ならびに用いる投与経路および特定の配合物に応じるであろう。
[00136]1つの態様において、被験体を、本明細書に含まれるような組成物の単回用量で治療する。1つの態様において、被験体を、本明細書に含まれるような組成物の2またはそれより多い用量で治療する。1つの態様において、被験体を、本明細書に含まれるような組成物の多数回用量で治療する。1つの態様において、多数回用量で治療する被験体を少なくとも1日治療する。1つの態様において、多数回用量で治療する被験体を少なくとも1週間治療する。1つの態様において、多数回用量で治療する被験体を少なくとも1ヶ月治療する。いくつかの態様において、患者に1またはそれより多いテストステロン用量を毎週または週2回注射する。患者は、限定されるわけではないが、好ましくは、腹部または太ももに注射される。
[00137]V.薬物動態
[00138]1つの態様において、本明細書に含まれるような、被験体に投与されるテストステロン(例えば保存剤不含テストステロン組成物)を含む組成物は、同じ用量のテストステロンを、針およびシリンジを用いて、前記被験体に筋内または皮下投与する際の、全身生物学的利用能を含む、テストステロンの実質的に同じ(または類似の)薬物動態を有する、全身生物学的利用能を含む薬物動態を提供する。別の態様において、本明細書に含まれるような性腺機能低下症を治療する方法は、針補助ジェット注射デバイスから、被験体の皮下、皮内、または筋内組織内に、約5mg〜約400mgの範囲の用量のテストステロン(例えば保存剤不含)を含む組成物を導入する工程を含み、前記針補助ジェット注射デバイスによって送達される前記テストステロンの薬物動態学的プロファイルが、前記被験体に、針およびシリンジを通じて、筋内または皮下投与した際の前記テストステロンの同じ用量の薬物動態学的プロファイルと実質的に同じである。
[00139]本明細書において、測定されたテストステロンに関して得られるかまたは計算される値は、総テストステロン、遊離テストステロン、生物学的に利用可能なテストステロンまたは血清テストステロンに関するものであってもよい。
[00140]1つの態様において、本明細書に含まれる開示にしたがって投与されるテストステロンは、テストステロンの同じ用量が、針およびシリンジを通じて、筋内、皮内、または皮下的に送達される場合に比較した際、同じ期間に関して、CmaxおよびTmaxを生じることによって、匹敵する、例えば生物学的に同等の薬物動態学的プロファイルを達成する。1つの態様において、本明細書に含まれる開示にしたがって投与されるテストステロンは、テストステロンの同じ用量が、針およびシリンジを通じて、筋内、皮内、または皮下的に送達される場合に比較した際、同じ期間に関して、CmaxおよびTmaxを生じることによって得られるものより優れた、薬物動態学的プロファイルを達成する。
[00141]1つの態様において、本明細書に開示する方法にしたがって、被験体に投与されるテストステロンを含む組成物(例えば保存剤不含組成物)は、テストステロンの同じ用量を、経皮クリーム、ジェルまたはパッチあるいは針およびシリンジの1つを用いて、前記被験体に筋内、皮内、または皮下投与する際のテストステロンの全身生物学的利用能を含む増進された薬物動態を提供する。1つの態様において、本明細書に含まれる開示にしたがって、テストステロンを投与する方法は、被験体の皮下、皮内、または筋内組織内に、約5mg〜約400mgの範囲の用量のテストステロン(例えば保存剤不含)を含む組成物を導入する工程を含み、注射器デバイスによって送達されるテストステロンの薬物動態学的プロファイルが、前記被験体に、経皮クリーム、ジェルまたはパッチあるいは針およびシリンジの1つを通じて、筋内、皮内または皮下投与した際の前記テストステロンの同じ用量の薬物動態学的プロファイルに比較して増進している。1つの態様において、本明細書に含まれる開示にしたがって、テストステロンを投与する方法は、本明細書に含まれ、そして本明細書の別な箇所に記載されるような針補助ジェット注射デバイスから、被験体の皮下、皮内、または筋内組織内に、約5mg〜約400mgの範囲の用量のテストステロン(例えば保存剤不含)を含む組成物を導入する工程を含み、針補助ジェット注射デバイスによって送達されるテストステロンの薬物動態学的プロファイルが、針およびシリンジを通じて、筋内、皮内または皮下投与した際の参考文献に列挙される薬剤と生物学的に同等である。別の態様において、針補助ジェット注射デバイスによって送達されるテストステロンの生物学的に同等の薬物動態学的プロファイルは、針およびシリンジを通じて、筋内、皮内、または皮下投与された際の参考文献に列挙される薬剤に比較した際、増進される。
[00142]本開示の5mg〜400mg用量の態様において、薬物動態学的プロファイルは、投与するテストステロンの用量の増加に伴い、テストステロン曝露の線形増加を提供する。1つの態様において、薬物動態学的プロファイルは、テストステロン曝露の用量比例増加を提供する(AUCおよび/またはCmax)。別の態様において、AUC(ng*h/ml)値をデカルト平面で対応する用量値に対してプロットした際、薬物動態学的プロファイルは、テストステロンのAUC(ng*h/ml)およびテストステロン用量の間の線形または非線形関係を提供する。別の態様において、Cmax値をデカルト平面で対応する用量値に対してプロットした際、薬物動態学的プロファイルは、テストステロンのCmaxおよびテストステロン用量の間の線形または非線形関係を提供する。テストステロンおよび針補助ジェット注射器に関する薬物動態学的情報はまた、同時係属仮出願第61/621298号に見られることも可能であり、該文献の内容は、その全体が本明細書に援用される。
[00143]ヘマトクリット・レベルの調節
[00144]1つの側面において、本発明は、アンドロゲンまたは性ホルモン、例えばテストステロン血中レベルの変化に反応した、ヘマトクリット血中レベルの変化に感受性である被験体の血中ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法を提供する。1つの態様において、ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法は、テストステロン血中レベルの変化に反応した、ヘマトクリット血中レベルの変化に感受性である被験体に、本明細書に提供する説明にしたがって、例えば皮下投与で、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩を投与する工程を含む。いくつかの態様において、本明細書に例示し、そして記載する注射デバイスを用いて、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩を投与する。
[00145]こうした調節は、1またはそれより多い不都合な事象(例えば原発性または続発性赤血球増加症、過粘稠、脳卒中、DVTまたは出血問題)の発生を防止するかまたは減少させるために有用でありうる。
[00146]いくつかの態様において、被験体へのテストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の用量の投与後の、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の、被験体の血液(血清または血漿)中の最大濃度(「Cmax」)は、以下に記載する、および/または本開示の別の箇所に記載する値に、またはそれより下に、あるいはその範囲内に維持される。
[00147]ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体へのテストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の用量の投与後の、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の、被験体の血液(血清または血漿)中の最大濃度(「Cmax」)は、約300ng/dl〜約1800ng/dlの値に維持される。
[00148]ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は、少なくとも約50歳である。ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は、少なくとも約60歳である。ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は、少なくとも約65歳である。ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は、少なくとも約70歳である。ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は、少なくとも約75歳である。ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は、約50歳〜75歳である。ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は、約60歳〜70歳である。ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は約75歳である。
[00149]ヘマトクリットを測定するため、標準的な血液学的技術(例えば血中血球体積測定)が使用可能である。ヘマトクリットの正常またはベースライン範囲は、多様であるが、典型的には以下にしたがう(交換可能な小数およびパーセント値を示す):
[00150]男性−0.40〜0.54/40%〜54%
[00151]女性−0.36〜0.46/36%〜46%
[00152]新生児−0.53〜0.69/53%〜69%
[00153]いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約1ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約2ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約3ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約4ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約5ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約6ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約7ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約8ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約9ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日より長いが約10ヶ月未満である。いくつかの態様において、新生児は、年齢が約1日から最長約1年の範囲である。
[00154]いくつかの態様において、被験体は、ベースライン・ヘマトクリット・レベルを有し、ここで、テストステロン投与後の被験体のヘマトクリット・レベルは、ベースライン・ヘマトクリット・レベルにまたはそれより上に維持されるが、以下の等式によって定義されるヘマトクリット・レベル未満またはほぼそれと同等に維持される:
[00155]ベースライン・ヘマトクリット+X*ベースライン・ヘマトクリット
[00156]特定の態様において、ベースライン・ヘマトクリットは、約0.35、0.36、0.4、0.46、0.5、または0.54の値であることも可能である。
[00157]式中、Xは:約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、または0.6であるかまたはほぼその値である値の群より選択される。
[00158]ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体において生じるヘマトクリットのレベルは、正常(例えばベースライン)値に、またはほぼその値に維持されるが、54%、60%、65%、および70%より選択されるヘマトクリット・レベル未満に維持される。
[00159]ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、男性において、被験体において生じるヘマトクリット・レベルは、54%、60%、65%、および70%より選択される値を超えない。女性において、レベルは46%、50%および60%より選択される値を超えない。
[00160]ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の用量の被験体への皮下投与は、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の同じ用量の筋内投与後に、被験体において生じる、対応するヘマトクリット・レベルよりも、不都合な事象の発生を減少させるヘマトクリット・レベルを、被験体において生じる。
[00161]ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の用量の被験体への皮下投与は、テストステロンあるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の同じ用量の筋内投与後に、被験体において生じる、対応するヘマトクリット・レベルよりも、より安定なレベルのヘマトクリットを、被験体において生じる。
[00162]ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、テストステロンおよび/または薬学的に許容されうるその塩の適切な投薬量には、本明細書において以下に、そして/または本開示の別の箇所に提供する用量レベルが含まれる。
[00163]ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は男性である。ヘマトクリット・レベルを調節するかまたは制御する方法のいくつかの態様において、被験体は女性である。
[00164]別の側面において、本発明は、性腺機能低下症を治療する必要がある被験体において、性腺機能低下症を治療する方法であって、テストステロンを必要とする患者の皮下または筋内組織内に、針補助ジェット注射デバイスから、約5mg〜約400mgの範囲の用量のテストステロン(例えば保存剤不含)を含む組成物を導入する工程を含み、前記方法が、テストステロンの用量強度(またはレベル)の増加に線形に比例して、テストステロン曝露が増加する、前記方法を提供する。1つの態様において、薬物動態学的プロファイルは、投与されるテストステロンの用量強度(またはレベル)の増加に線形に比例して増加するAUCを提供する。別の態様において、薬物動態学的プロファイルは、投与されるテストステロンの用量レベルの増加に線形に比例して増加するCmaxを提供する。
[00165]比較目的のため、Androgel 1%(NDA第021015号)、Androgel 1.62%(NDA第022309号)、Testim(NDA第021454号)およびAxiron(NDA第022504号)の商業的に入手可能なテストステロン、および関連する薬剤ガイドおよびパッケージ挿入ラベルが使用可能であり、そして前述の各々のパッケージ挿入ラベルは、その全体が本明細書に援用される。
[00166]A.テストステロンの有効血漿レベル
[00167]1つの態様において、テストステロンを投与する方法は、薬学的に許容されうるキャリアー中で、テストステロン(例えば保存剤不含)あるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の単位用量を含む組成物を、哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ここで、投与後、テストステロンの血漿レベルは、ある期間、療法的に有効なレベルに維持される。1つの態様において、Z1期間は、テストステロンの血漿レベルが、療法的に有効なレベルに維持される期間である。
[00168]別の態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約1分に始まって、そして投与後約1ヶ月まで、療法的に有効なレベルのテストステロンの血漿レベルを維持する。こうした態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約2分、または約3分、約4分、約5分、約10分、約20分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、または約12時間に始まって、約1ヶ月後まで、療法的に有効なレベルのテストステロンの血漿レベルを維持する。1つの態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約1分に始まって、そして投与後約25日、投与後約20日、投与後約15日、投与後約14日、投与後約13日、投与後約12日、投与後約11日、投与後約10日、投与後約9日、投与後約8日、投与後約7日、投与後約6日、投与後約5日、投与後約4日、投与後約3日、投与後約2日、投与後約1日、または投与後約0.5日まで、療法的に有効なレベルのテストステロンの血漿レベルを維持する。
[00169]1つの態様において、第一の用量は第一のプロファイルを有し、そしてそれに続く用量(第一の用量と同じでもまたは異なってもよい)は異なるプロファイルを与える。患者反応、用量、用量体積および続く投薬のタイミングに応じて、患者の薬物動態学的プロファイルをカスタマイズして、本発明の使用を通じて特定の患者の要求を満たすことも可能である。いくつかの態様において、本発明を用いて、処方された投薬サイクル中および/またはこうしたサイクルに渡って(例えば週1回の投薬を:2週間、3週間、4週間、5週間、2ヶ月、5ヶ月、1年、またはそれより長く)、療法レベルのテストステロンを維持することも可能である。
[00170]1つの態様において、テストステロンを投与する方法は、薬学的に許容されうるキャリアー中で、テストステロン(例えば保存剤不含)あるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の単位用量を含む組成物を、哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ここで、投与後、テストステロンの血漿レベルは、期間「Z1」に渡って、約300ng/dl〜約1100ng/dlの間に維持される。
[00171]1つの態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約1分に始まって、そして投与後約1ヶ月まで、テストステロンの血漿レベルを、例えば約300ng/dl〜約1100ng/dlの間に維持する。さらに別の態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約2分、または約3分、約4分、約5分、約10分、約20分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、または約12時間に始まって、投与後約1ヶ月まで、テストステロンの血漿レベルを、例えば約300ng/dl〜約1100ng/dlの間に維持する。1つの態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約1分に始まって、そして投与後約25日、投与後約20日、投与後約15日、投与後約14日、投与後約13日、投与後約12日、投与後約11日、投与後約10日、投与後約9日、投与後約8日、投与後約7日、投与後約6日、投与後約5日、投与後約4日、投与後約3日、投与後約2日、投与後約1日、または投与後約0.5日まで、テストステロンの血漿レベルを、例えば約300ng/dl〜約1100ng/dlの間に維持する。
[00172]1つの態様において、テストステロンの血漿レベルは、約300ng/dl〜約1100ng/dl、約350ng/dl〜約1050ng/dl、約400ng/dl〜約1000ng/dl、約450ng/dl〜約950ng/dl、約500ng/dl〜約900ng/dl、約550ng/dl〜約850ng/dl、約600ng/dl〜約800ng/dl、約650ng/dl〜約750ng/dl、および約675ng/dl〜約725ng/dlからなる群より選択される値に維持される。1つの態様において、テストステロンの血漿レベルは、約300ng/dl、約350ng/dl、約400ng/dl、約450ng/dl、約500ng/dl、約550ng/dl、約600ng/dl、約650ng/dl、約700ng/dl、約750ng/dl、約800ng/dl、約850ng/dl、約900ng/dl、約950ng/dl、約1000ng/dl、約1050ng/dl、および約1100ng/dlからなる群より選択される値に維持される。1つの態様において、テストステロンの血漿レベルは、少なくとも約300ng/dl、少なくとも約350ng/dl、少なくとも約400ng/dl、少なくとも約450ng/dl、少なくとも約500ng/dl、少なくとも約550ng/dl、少なくとも約600ng/dl、少なくとも約650ng/dl、少なくとも約700ng/dl、少なくとも約750ng/dl、少なくとも約800ng/dl、少なくとも約850ng/dl、少なくとも約900ng/dl、少なくとも約950ng/dl、少なくとも約1000ng/dl、少なくとも約1050ng/dl、および少なくとも約1100ng/dlからなる群より選択される値に維持される。1つの態様において、テストステロンの血漿レベルは、約300ng/dlまたはそれ未満、約350ng/dlまたはそれ未満、約400ng/dlまたはそれ未満、約450ng/dlまたはそれ未満、約500ng/dlまたはそれ未満、約550ng/dlまたはそれ未満、約600ng/dlまたはそれ未満、約650ng/dlまたはそれ未満、約700ng/dlまたはそれ未満、約750ng/dlまたはそれ未満、約800ng/dlまたはそれ未満、約850ng/dlまたはそれ未満、約900ng/dlまたはそれ未満、約950ng/dlまたはそれ未満、約1000ng/dlまたはそれ未満、約1050ng/dlまたはそれ未満、および約1100ng/dlまたはそれ未満からなる群より選択される値に維持される。
[00173]いくつかの態様において、テストステロンのレベルは、図12に例示されるように維持される。1つの態様において、図12に例示されるように維持されるテストステロンのレベルは、哺乳動物における。1つの態様において、図12に例示されるように維持されるテストステロンのレベルは、哺乳動物の血清中である。1つの態様において、哺乳動物はヒトである。
[00174]B.上昇したレベルまたは有効レベル内での血漿テストステロンの維持
[00175]別の態様において、テストステロンの上昇した血漿レベルの維持を必要とする哺乳動物において、テストステロンの上昇した血漿レベルを維持するための方法を、本明細書に提供する。特定の態様において、これは、皮下用量からの血漿レベルを、療法レベルにまたはそれより高く(例えば約400ng/dl、約500ng/dl、約600ng/dl、約700ng/dl、約800ng/dl、約900ng/dl)、長期間、維持することを含む。いくつかの態様において、レベルは、同じ体積および濃度の筋内用量よりも長い期間維持される。1つの態様において、方法は、薬学的に許容されうるキャリアー中で、テストステロン(例えば保存剤不含)あるいは薬学的に許容されうるそのエステルまたは塩の単位用量を含む組成物を、哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ここで、投与後、テストステロンの血漿レベルは、ある期間、最大約1800ng/dlの上昇したレベルに維持される。1つの態様において、テストステロンの血漿レベルが、上昇したレベルに維持される期間は、「Z2期間」と称される。
[00176]いくつかの態様において、テストステロンの血漿レベルは、約300ng/dl〜約1800ng/dl、約400ng/dl〜約1800ng/dl、約500ng/dl〜約1800ng/dl、約600ng/dl〜約1800ng/dl、約700ng/dl〜約1800ng/dl、約800ng/dl〜約1800ng/dl、約900ng/dl〜約1800ng/dl、約1000ng/dl〜約1800ng/dl、約300ng/dl〜約1100ng/dl、約400ng/dl〜約1100ng/dl、約500ng/dl〜約1100ng/dl、約600ng/dl〜約1100ng/dl、約700ng/dl〜約1100ng/dl、約800ng/dl〜約1100ng/dl、約300ng/dl〜約1800ng/dl、約300ng/dl〜約1700ng/dl、約300ng/dl〜約1600ng/dl、約300ng/dl〜約1500ng/dl、約300ng/dl〜約1400ng/dl、約300ng/dl〜約1300ng/dl、約300ng/dl〜約1200ng/dl、約300ng/dl〜約1100ng/dl、約300ng/dl〜約1000ng/dl、約300ng/dl〜約900ng/dl、約300ng/dl〜約800ng/dl、約300ng/dl〜約700ng/dl、約300ng/dl〜約600ng/dl、約300ng/dl〜約500ng/dl、または約300ng/dl〜約400ng/dlからなる群より選択される上昇した値に維持される。
[00177]特定の態様において、テストステロンの血漿レベルは、治療措置の経過中、主に、400〜1100ng/dlの間、より典型的には400〜900ng/dlの間に維持される。特定の態様において、約400〜約1000ng/dlの間の値の血漿レベルは、「療法的に有効」と見なされ、特に、治療措置中、テストステロンのレベルの安定状態維持に関してそう見なされる。
[00178]1つの態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約1分に始まって、そして投与後約1ヶ月で終わり、テストステロンの血漿レベルを、上昇したレベルに維持する。1つの態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約2分、または約3分、約4分、約5分、約10分、約20分、約30分、約45分、約60分、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、または約12時間に始まって、投与後約1ヶ月まで、テストステロンの血漿レベルを、上昇したレベルに維持する。1つの態様において、本明細書に含まれる組成物は、本明細書に含まれる方法およびデバイスにしたがって投与された際、投与後約1分に始まって、そして投与後約25日、投与後約20日、投与後約15日、投与後約14日、投与後約13日、投与後約12日、投与後約11日、投与後約10日、投与後約9日、投与後約8日、投与後約7日、投与後約6日、投与後約5日、投与後約4日、投与後約3日、投与後約2日、投与後約1日、または投与後約0.5日まで、テストステロンの血漿レベルを、上昇したレベルに維持する。
[00179]C.ピーク血漿濃度
[00180]別の態様において、テストステロンのピーク血漿レベルを得ることが必要な哺乳動物において、テストステロンのピーク血漿レベルを得るための方法を、本明細書に提供する。1つの態様において、本明細書に含まれる組成物およびデバイスを用いて、テストステロンのピーク血漿濃度を得て、その後、テストステロンの血漿濃度が、ある期間、療法的に有効なレベルに減少する方法を提供する。別の態様において、本明細書に含まれる組成物およびデバイスを用いて、テストステロンのピーク血漿濃度を得て、その後、テストステロンの血漿濃度が、ある期間、上昇したレベルに維持される方法を提供する。
[00181]いくつかの態様において、テストステロンのピークレベルは、約400ng/dl〜2400ng/dl、500ng/dl〜2400ng/dl、600ng/dl〜2400ng/dl、700ng/dl〜2400ng/dl、800ng/dl〜2400ng/dl、900ng/dl〜2400ng/dl、1000ng/dl〜2400ng/dl、1100ng/dl〜2400ng/dl、1200ng/dl〜2400ng/dl、1300ng/dl〜2400ng/dl、1400ng/dl〜2400ng/dl、1500ng/dl〜2400ng/dl、1600ng/dl〜2400ng/dl、1700ng/dl〜2400ng/dl、1800ng/dl〜2400ng/dl、1900ng/dl〜2400ng/dl、2000ng/dl〜2400ng/dl、2100ng/dl〜2400ng/dl、2200ng/dl〜2400ng/dl、または約2300ng/dl〜2400ng/dlの範囲である。
[00182]別の態様において、本明細書に含まれる組成物およびデバイスを用いて、テストステロンのピーク血漿濃度を得て、その後、テストステロンの血漿濃度が、ある期間、ピークレベルより低いレベルレベルに減少する方法を提供し、ピークレベルより低いレベルは、約300ng/dl〜約1800ng/dl、約400ng/dl〜約1800ng/dl、約500ng/dl〜約1800ng/dl、約600ng/dl〜約1800ng/dl、約700ng/dl〜約1800ng/dl、約800ng/dl〜約1800ng/dl、約900ng/dl〜約1800ng/dl、約1000ng/dl〜約1800ng/dl、約300ng/dl〜約1100ng/dl、約400ng/dl〜約1100ng/dl、約500ng/dl〜約1100ng/dl、約600ng/dl〜約1100ng/dl、約700ng/dl〜約1100ng/dl、約800ng/dl〜約1100ng/dl、約300ng/dl〜約1800ng/dl、約300ng/dl〜約1700ng/dl、約300ng/dl〜約1600ng/dl、約300ng/dl〜約1500ng/dl、約300ng/dl〜約1400ng/dl、約300ng/dl〜約1300ng/dl、約300ng/dl〜約1200ng/dl、約300ng/dl〜約1100ng/dl、約300ng/dl〜約1000ng/dl、約300ng/dl〜約900ng/dl、約300ng/dl〜約800ng/dl、約300ng/dl〜約700ng/dl、約300ng/dl〜約600ng/dl、約300ng/dl〜約500ng/dl、または約300ng/dl〜約400ng/dlより選択される。
[00183]1つの態様において、本明細書に含まれる組成物およびデバイスを用いて、テストステロンのピーク血漿濃度を得る方法を提供し、ここで、テストステロンのピーク血漿レベルは、約48時間、約36時間、約24時間、約18時間、約12時間、約11時間、約10時間、約9時間、約8時間、約7時間、約6時間、約5時間、約4時間、約3時間、約2時間、約1時間、または約0.5時間で達成される。1つの態様において、テストステロンのピーク血漿濃度は、48時間未満、36時間未満、24時間未満、18時間未満、12時間未満、11時間未満、10時間未満、9時間未満、8時間未満、7時間未満、6時間未満、5時間未満、4時間未満、3時間未満、2時間未満、1時間未満、または0.5時間未満で達成される。
[00184]D.比較用量が有効レベル未満に減少した後のテストステロンの有効レベルの維持
[00185]1つの態様において、驚くべきことに、本明細書に含まれるようなテストステロン組成物の投与が、経皮クリーム、ジェルまたはパッチあるいは針およびシリンジの1つを通じて、同じ被験体に、筋内、皮内、または皮下投与された際の同等の用量のテストステロンよりもより長い期間、療法的に有効なレベルに維持される、テストステロンの血漿レベルを提供することが見出された。1つの態様において、注射後の時点で、本明細書に含まれるような(例えば保存剤不含)テストステロン組成物は、経皮クリーム、ジェルまたはパッチ、あるいは針およびシリンジによる筋内注射の1つを通じて、同じ期間に渡って、同じ被験体に投与された同等のテストステロンよりも、より高いテストステロンの血漿濃度を維持する。
[00186]図を、そして特に図12を参照すると、1つの態様において、テストステロンを投与する方法は、薬学的に許容されうるキャリアー中で、テストステロンの単位用量を含む組成物を、哺乳動物に皮下投与する工程を含み、ここで、投与後、テストステロンの血漿レベルは、期間「Z2」に渡って、約700ng/dl〜約1800ng/dlの間に維持され、ここで、テストステロンの血漿レベルはまた、期間「Z3」に渡って、約300ng/dl〜約1100ng/dlの間に維持され、この期間は、同等の筋内投与された用量の血漿レベルが、投与後の同じ時点の皮下投与された用量の血漿レベルよりも低く低下する期間である。
[00187]1つの態様において、同等の筋内投与された用量の血漿レベルは、投与約1日後に、投与約2日後に、投与約3日後に、投与約4日後に、投与約5日後に、投与約6日後に、投与約7日後に、投与約8日後に、投与約9日後に、投与約10日後に、投与約11日後に、投与約12日後に、投与約13日後に、または投与約14日後に、皮下投与された用量の血漿レベルより低く低下する。
[00188]1つの態様において、図を、そして図12を参照すると、テストステロンの血漿レベルは、Z2の期間に渡って:約700ng/dl〜約1800ng/dl、約750ng/dl〜約1750ng/dl、約800ng/dl〜約1700ng/dl、約850ng/dl〜約1650ng/dl、約900ng/dl〜約1600ng/dl、約950ng/dl〜約1550ng/dl、約1000ng/dl〜約1500ng/dl、約1050ng/dl〜約1450ng/dl、約1100ng/dl〜約1400ng/dl、約1150ng/dl〜約1350ng/dl、および約1200ng/dl〜約1300ng/dlより選択されるレベルにまたはその間に維持される。
[00189]1つの態様において、投与後、テストステロンの血漿レベルは、Z2の期間に渡って、約700ng/dl、約750ng/dl、約800ng/dl、約850ng/dl、約900ng/dl、約950ng/dl、約1000ng/dl、約1050ng/dl、約1100ng/dl、約1150ng/dl、約1200ng/dl、約1250ng/dl、約1300ng/dl、約1350ng/dl、約1400ng/dl、約1450ng/dl、約1500ng/dl、約1550ng/dl、約1600ng/dl、約1650ng/dl、約1700mg/ml、約1750mg/ml、および約1800ng/dlからなる群より選択されるレベルに維持される。
[00190]1つの態様において、Z2の期間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、または少なくとも72時間である。
[00191]1つの態様において、テストステロンの血漿レベルは、同じ時点で筋内投与された同等の用量を通じて投与されたテストステロンの血漿レベルより、Z3の期間、高く維持される。別の態様において、テストステロンの血漿レベルは、Z3の期間、テストステロンの療法レベルより高く維持される。
[00192]さらに別の態様において、そして図12を参照すると、投与後、テストステロンの血漿レベルは、同等の筋内投与された用量の血漿レベルが、投与後の同じ時点で、皮下投与された用量の血漿レベルより低く低下した後、Z3の期間に渡って、約300ng/dl〜約1100ng/dl、約350ng/dl〜約1050ng/dl、約400ng/dl〜約1000ng/dl、約450ng/dl〜約950ng/dl、約500ng/dl〜約900ng/dl、約550ng/dl〜約850ng/dl、約600ng/dl〜約800ng/dl、約650ng/dl〜約750ng/dl、約675ng/dl〜約725ng/dl、および約300ng/dlより高い値からなる群より選択される値に維持される。
[00193]1つの態様において、投与後、テストステロンの血漿レベルは、同等の筋内投与された用量の血漿レベルが、投与後の同じ時点で、皮下投与された用量の血漿レベルより低く低下した後、Z3の期間に渡って、約300ng/dl、約350ng/dl、約400ng/dl、約450ng/dl、約500ng/dl、約550ng/dl、約600ng/dl、約650ng/dl、約700ng/dl、約750ng/dl、約800ng/dl、約850ng/dl、約900ng/dl、約950ng/dl、約1000ng/dl、約1050ng/dl、および約1100ng/dlからなる群より選択される値に維持される。
[00194]1つの態様において、Z3の期間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間、少なくとも36時間、少なくとも48時間、または少なくとも72時間である。
[00195]E.多数回の治療に渡る有効レベルの維持
[00196]多数回の治療には、本明細書に含まれる組成物、デバイス、および方法の組み合わせにしたがった、2またはそれより多い用量のテストステロン(例えば保存剤不含)の投与が含まれることも可能である。1つの態様において、Z3の期間におけるテストステロンの血漿レベルは、療法的に有効なレベル(例えば、300ng/dlでのまたはそれより高い、あるいは約400ng/dlでのまたはそれより高い、または上述のような他の潜在的な値の安定状態)に維持される。1つの態様において、Z3の期間におけるテストステロンの血漿レベルは、第二の用量を投与する間、療法的に有効なレベルにまたはそれより高く維持される。1つの態様において、Z3の期間におけるテストステロンの血漿レベルは、第二の用量を投与するまで、療法的に有効なレベルにまたはそれより高く維持される。1つの態様において、Z3の期間におけるテストステロンの血漿レベルは、上昇したレベルに維持される。1つの態様において、Z3の期間におけるテストステロンの血漿レベルは、第二の用量が投与されるまで、300ng/dl〜700ng/dlの間、300ng/dl〜1100ng/dlの間、300ng/dl〜1800ng/dlの間、700ng/dl〜1100ng/dlの間、700ng/dl〜1800ng/dlの間、または1100ng/dl〜1800ng/dlの間、および/または約300ng/dlより高いレベルに維持され、その後、テストステロン血中レベルは、よく理解される薬物動態学にしたがって、再び増加する可能性が高い。
[00197]1つの態様において、本明細書に含まれるようなテストステロン組成物の投与は、テストステロンの血漿レベルが、ある期間に渡って、テストステロンの血漿療法レベルより高いが、被験体に対して毒性であるほどは高くないように、注射直後に刺激効果を提供する。1つの態様において、血漿テストステロンの刺激レベルは、テストステロンの血漿レベルを測定することによって検出可能である。別の態様において、テストステロン刺激レベルは、限定されるわけではないが、テストステロンを投与する被験体の1またはそれより多い内分泌学プロファイルなどの、テストステロンの血漿レベルの代理を測定することによって検出可能である。1つの態様において、内分泌学マーカーには、限定されるわけではないが、赤血球増殖および/またはホルモン機能の指標となる他のマーカーが含まれる。
[00198]F.刺激効果
[00199]別の態様において、本明細書に含まれるようなテストステロン組成物の投与は、注射直後に、テストステロンの血漿レベルが、ある期間に渡って、テストステロンの血漿療法レベルより高いが、被験体に対して毒性であるほどは高くないような刺激効果を提供する。テストステロンの血漿レベルが刺激レベルより低下した後、テストステロンの血漿レベルは、本明細書に論じる療法的有効レベル内である。1つの態様において、本明細書に含まれるようなテストステロン組成物の投与は、注射直後に、テストステロンの血漿レベルが、ある期間に渡って、テストステロンの血漿療法レベルより高いが、被験体に対して毒性であるほどは高くないような、最小限の刺激効果を提供し、その後、テストステロンの血漿レベルは、本明細書に論じるような療法的有効レベル内である。1つの態様において、本明細書に含まれるようなテストステロン組成物の投与は、注射直後には刺激効果をまったく提供せず、そしてテストステロンの血漿レベルは、本明細書に論じるような療法的有効レベルに維持される。
[00200]1つの態様において、本発明の方法にしたがって、被験体に投与されるテストステロンは、同じ用量のテストステロンを、針およびシリンジを用いて、前記被験体に、筋内または皮下投与する際のテストステロンの全身生物学的利用能を含む、減少した薬物動態を有する、全身生物学的利用能を含む薬物動態を提供する。
[00201]
[00202]実施例1:粘性流体組成物の注射
[00203]アラキス油および10%ベンジルアルコールおよびテストステロンに基づく活性薬学的成分を含む配合物を調製した。この配合物は、1000cpsの粘性を有した。Antares Pharmaによって作製されたMJ−7無針注射デバイスを用いて、0.5mlの配合物を投与した。研究は、以下のデバイスパワーおよび無針シリンジ開口部セッティングを用いて、アラキス油−10%ベンジルアルコール溶液の無針注射を達成した。
[00204]筋内注射を達成するため、注射デバイスに、100lbsのスプリング力を有するスプリングで動力を提供し、そして0.36mm(0.014”)直径の開口部を有する無針シリンジを備えた。
[00205]皮下注射を達成するため、注射デバイスに、85lbsのスプリング力を有するスプリングで動力を提供し、そして0.28mm(0.011”)直径の開口部を有する無針シリンジを備えた。
[00206]結果は以下の通りである:
[00207]表3:筋内注射
表4:皮下注射
[00208]1つの態様において、無針注射デバイスの代わりに、ミニ針デバイスを用いた場合、針穴は、無針デバイスの開口部と同じ桁にあるであろうことが理解されるであろう。
[00209]実施例2:多様なテストステロン配合物および送達法に関するCavgおよびCmaxの比較
[00210]Cavg−Cmaxに関して入手可能なデータに関する実験プロトコルおよび参考文献は、Androgel 1%(NDA第021015号)、Androgel 1.62%(NDA第022309号)、Testim(NDA第021454号)およびAxiron(NDA第022504号)のパッケージ挿入ラベルに見られうる。
[00211]表5:多様な濃度のAndrogelおよびTestimに関して計算されたCavgおよびCmaxの比較。
[00212]表6:多様な濃度のAxironおよびエナント酸テストステロンに関して計算されたCavgおよびCmaxの比較。
[00213]実施例3:去勢ミニブタにおける注射によるテストステロンの薬物動態学的研究
[00214]本研究の目的は、第1日および第15日に去勢ミニブタへの注射を通じて投与した際、テストステロンの薬物動態を評価することであった(10mm注射深度を有するAntares QS自動注射器デバイス)。
[00215]試験系には、ユカタン系統のミニブタが含まれた。去勢したオスのミニブタは、Sinclair Research Center, Inc.、メイン州ウィンダムから得た。ミニブタは15〜20週齢であり、そして投薬開始時のターゲット重量は20〜25kgであった。ユカタン・ミニブタは、規制機関による前臨床毒性試験のための好ましい非齧歯類種であるため、ユカタン・ミニブタを本研究のための動物モデルとして選択した。飼育およびケアは、USDA動物福祉法(9CFR、パート1、2および3)に明記され、そしてNational Research CouncilのGuide for the Care and Use of Laboratory Animalsに記載される通りであった。動物は、ブタ小屋/ケージ中で個々に飼育された。
[00216]実験を以下の通りに設計した:
[00217]動物の注射のために用いる試験物品には:試験物品1、プレフィルシリンジ中、100mg/mlのエナント酸テストステロン;試験物品2、プレフィルシリンジ中、200mg/mlのエナント酸テストステロン;試験物品3、バイアル中、100mg/mlのエナント酸テストステロン;および試験物品4、バイアル中、200mg/mlのエナント酸テストステロン。
[00218]第1日、あらかじめ装填したAntares QS自動注射器デバイス(例えば本明細書に援用される同時係属出願第61/763,395号を参照されたい)によって、用量物質を送達した。第15日、針およびシリンジによって用量物質を送達した。試験物品1および2を、第1日、試験部位1に、肩胛骨領域内へのミニ針自動注射器を用いた注射を通じて、適切な動物に投与した。第一の用量前に、そしてその後は試験部位の明白な視覚化を可能にするために必要なだけしばしば、動物の背側表面領域の毛を、小型動物クリッパーで刈り取った。刈り取り処置中にはケアを行って、皮膚の擦過傷を回避した。注射部位(およそ2cmx2cm)に消えないマーカーで輪郭を書き、そしてその後、必要に応じて再度マークした。第15日、27ゲージx1インチ針を含む1mLシリンジを用い、試験部位2に、3/4インチのおよその深度まで、後足の近位部分に、筋内注射を通じて適切な動物に試験物品3および4を投与した。第一の用量前に、そしてその後は試験部位の明白な視覚化を可能にするために必要なだけしばしば、小型動物クリッパーで動物の近位後足の毛を刈り取った。刈り取り処置中にはケアを行って、皮膚の擦過傷を回避した。注射部位(およそ2cmx2cm)に消えないマーカーで輪郭を書き、そしてその後、必要に応じて再度マークした。22日間の研究のすべての観察および生物分析試料収集後、動物(代替オス・ミニブタを含む)をこの研究の診査試験期に割り当てた。第一の用量前に、そしてその後は試験部位の明白な視覚化を可能にするために必要なだけしばしば、動物の背側表面領域の毛を、小型動物クリッパーで刈り取った。QS自動注射器デバイスを用いて、注射によって、未処置(naive)肩胛骨領域内に、色素の0.5mL用量を送達した。後足の未処置近位部分に、27ゲージx1インチ針およびシリンジを用いて、筋内注射を通じて、色素0.5mLを投与した。注射部位(およそ2cmx2cm)に消えないマーカーで輪郭を書いた。用量投与後、動物(代替動物を含む)を安楽死および試験に供した。投薬の最初の日を研究日1と称した。
[00219]注射可能経路は、ヒト曝露の意図される経路であるため、曝露の注射可能経路を選択した。本研究の一部として、10mmの注射深度を調べた。100mgおよび200mgの用量レベルを決定して、毒物動態目的のため、自動注射器ならびに針およびシリンジを通じた投与の筋内経路の比較を提供した。筋内経路は、巨視的観察に基づいて、皮下投与よりも注射後に生じる物質ロスが少ないため、さらなる研究には筋内経路を選択した。100mgより低い用量は、必要な循環濃度を提供していなかった可能性がある一方、200mgを超える用量は必要ではなかった。用量レベルおよび週ごとの用量措置は、以下に提供される参考文書「毎日のテストステロンおよびゴナドトロピンレベルは、毎週テストステロンを投与された無精子症および非無精子症正常男性で同様である:男性避妊薬開発のための暗示」 Journal of Andrology Vol.22, No.6 11月/12月 2001に基づいた。
[00220]各動物の注射部位を、ランダム化の日に、そして第1日〜22日まで毎日(投薬の日の投薬およそ1時間後および4時間後、そして非投薬日に1日1回)観察した。紅斑、浮腫、および任意の他のさらなる不都合な知見に関して、注射部位に特に注意を払った。
[00221]大静脈の静脈穿刺によって血液を収集した。以下の表にしたがって試料を収集した:
ターゲット体積:3.0mL
抗凝血剤:なし
プロセシング:血清に対する
[00222]大静脈の静脈穿刺によって血液を収集した。以下の表にしたがって試料を収集した:遠心分離前に少なくとも30分間、試料を室温で凝血させた。
[00223]試料を、周囲温度、1800xgで遠心分離した。生じた血清を分析のため、およそ各0.5mLの3つのアリコットに分離した。1つのアリコットはテストステロンおよびDHT分析のために設定され、1つのアリコットは性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の分析のために設定され、そして1つのアリコットは総血清アルブミンの測定のために設定された。血清試料をユニークに標識されたポリプロピレン試験管内に移し、そして−70℃を維持するように設定されたフリーザー中に凍結保存した。分析しようとする試料をドライアイス上で一晩、分析のため、生物分析研究室に輸送した。
[00224]検証された分析法を用いて、総テストステロン濃度に関して、血清試料の1セットを分析した。性ホルモン結合グロブリン(SHBG)および血清アルブミンに関して収集された試料は、この時点では分析されないであろう。DHTはこの研究に関しては分析されなかった。Charles River Study 20027106下で検証された方法を用いて、テストステロン分析をLCMSによって行った。MDS SciexのAnalystを用いて、データ収集を行った。Watson Laboratory Information Management System(LIMS)およびMicrosoft Excelを用いて、回帰分析を含む統計分析、ならびに算術的手段および標準偏差、精度および正確さを含む記述的統計を行った。
[00225]Watson Laboratory Information Management System(LIMS)およびMicrosoft Excelを用いて、毒物動態パラメータを評価した。投与の皮下および筋内経路と一致する非区画アプローチをパラメータ評価に用いた。個々のおよび平均PKパラメータを報告し、そしてこれにはCmax、Tmax、およびAUC0−lastが含まれた。データが許可される場合、対数−線形回帰によって時間に対する各濃度の曲線の最終排除期の傾斜を決定し、そして以下のさらなるパラメータもまた概算した:AUC0−inf、最終排除半減期。別に言及しない限り、第1日および第15日の血清中のテストステロン(総)濃度からすべてのパラメータを生じた。各用量投与の開始時に比較した試料採集時間を用いて、パラメータを概算した。
[00226]図13〜19は、部分的に、自動注射器または伝統的な針およびシリンジ法のいずれかによって送達される、多様なエナント酸テストステロン濃度に関して、実施例3に記載する研究の結果を例示する。
[00227]研究経過中に死んだ動物はいなかった。研究中に、試験物品に関連する臨床的徴候はなかった。研究中に、痂皮、発赤領域、または機械的傷害の孤発性発生が見られた。これらは、動物が紐で繋がれながら、投薬処置中に苛立った、ケージまたは領域に対する動物のこすりつけ動作と関連するバックグラウンド知見と見なされた。1頭の動物は、第15日、投薬中にもがき反応を示したが、これは用量投与に影響を及ぼしているようには見られなかった。
[00228]デバイスまたは針を取り除くと、各試験部位に注射された物質の少量が注射部位から漏れ出した。漏れた量は、部位および動物に渡って同等であった。さらに、注射後、試験部位に渡って注射部位で、発赤が見られた。研究間隔中にはさらなる皮膚変化は見られなかった。
[00229]研究中、体重には、試験物品に関連する影響は生じなかった。すべての動物は、研究中に出発体重からの体重増加を示した。ゴマ油中の色素の注射に伴う試験結果は、QS自動注射器デバイスからの用量を投与されるすべての動物において、皮下送達の検証を生じた。針およびシリンジ投与を通じた慣用的投与は、筋肉中の暗い領域を伴う皮下送達を有した1頭の動物を除いて、色素の筋内送達を生じた。
[00230]本明細書の各々のおよびすべての参考文献は、その全体が本明細書に援用される。米国特許第8,021,335号、第7,776,015号、および第6,391,003号、ならびにPCT出願公開WO2010/108116の全開示もまた、本明細書に完全に示されるように、本明細書に援用される。
[00231]当業者には、本発明の広い概念から逸脱することなく、上記の例示的な態様に改変を行うことが可能であることが認識されるであろう。したがって、本発明は記載する例示的な態様に限定されず、請求項によって定義されるような、本発明の精神および範囲内の修飾を含むことが意図されると理解される。例えば、例示的な態様の特定の特徴は、請求される発明の一部であってもまたはなくてもよく、そして開示される態様の特徴を組み合わせてもよい。
[00232]本発明の図面および説明の少なくともいくつかは、本発明の明らかな理解のために適切な要素に集中するために単純化されてきている一方、明確ために排除されている、一般の当業者が認識するであろう他の要素も本発明の部分を構成することができる。しかし、こうした要素は当該技術分野に周知であるため、そしてこれらは必ずしも本発明のよりよい理解を促進しないため、こうした要素の説明は本明細書に提供されない。
[00233]さらに、方法が、本明細書に示す工程の特定の順序に頼らない程度で、工程の特定の順序は請求項に対する限定と見なされてはならない。本発明の方法に関する請求項は、書いてある順の工程の実行に限定されてはならず、そして当業者は、工程は変化させることも可能であり、そしてなお本発明の精神および範囲内に留まることも可能であることを容易に認識するであろう。