図面において、同様の構造は主に同様の参照符号によって識別される。
以下において、「上側」及び「下側」、「右」及び「左」、「水平」及び「垂直」等の用語又は同様の相対表現が用いられるとき、これらは、添付の図面のみを指し、必ずしも実際の使用状況を指すものではない。示す図は概略図であり、このため、様々な構造体の構造及びこれらの相対的な寸法は、単なる例示としての役割を果たすことが意図される。所与のコンポーネントについて、部材又は要素という用語が用いられるとき、これは通常、説明される実施形態において、そのコンポーネントがユニタリーコンポーネントであることを示すが、代替として、同じ部材又は要素が複数のサブコンポーネントを備えてもよく、同様に、説明されるコンポーネントのうちの2つ以上が、ユニタリーコンポーネントとして提供され、例えば、単一の射出成形部として製造されてもよい。部材が互いに対し軸方向に自由に装着されることが規定されているとき、これは通常、これらの部材が、典型的には、規定された停止位置間で互いに対し動かされ得ることを示し、これに対し、部材が互いに対し回転方向に自由に搭載されることが規定されているとき、これは通常、これらの部材が自由に又は規定の停止位置間で互いに対して回転され得ることを示す。「アセンブリ」及び「サブアセンブリ」という用語は、説明されるコンポーネントが、所与の組立て手順中に、ユニタリーアセンブリ若しくはサブアセンブリ又は機能アセンブリ若しくはサブアセンブリを提供するように組み立てられ得ることを必ずしも意味しておらず、単に、複数のコンポーネントを機能的により密に関係するものとしてまとめてグループにしたものを表すのに用いられる。
図1A及び図1Bを参照して、ペン形薬物送達デバイス1を説明する。より詳細には、ペンデバイスは、キャップ部(図示せず)と、主要部とを備え、主要部は、薬物吐出機構が配置又は一体化されるハウジング40を有する近位本体又は駆動アセンブリ部分2と、遠位のニードルにより貫通可能な隔膜92を有する、薬物が充填された透明カートリッジ90が、近位部分に装着されたカートリッジホルダアセンブリ3によって適所に配置され保持される、遠位カートリッジホルダ部分とを有する。カートリッジは例えば、インスリン、GLP−1又は成長ホルモン製剤を収容することができる。デバイスは、カートリッジホルダアセンブリの遠位受容開口を通じて、ユーザによって新たなカートリッジを装填されるように設計され、カートリッジには、吐出機構の一部を形成するピストンロッド80によって駆動されるピストンが設けられている。最も近位の回転可能な投与量設定部材70は、表示窓50に示される薬剤の所望の投与量を手動で設定する役割を果たし、そして、この投与量は解放ボタン81が作動されると吐出され得る。示す薬物送達デバイスでは、吐出機構はばねを備え、このばねは、投与量設定中に伸張され、次に解放ボタンが作動されると、解放されてピストンロッドを駆動する。代替として、吐出機構は完全に手動であってもよく、この場合、投与量設定部材及び解放ボタンが、投与量設定中、設定投与量の大きさに応じて近位方向に移動し、次に、設定投与量を吐出するようにユーザによって遠位方向に動かされる。カートリッジには、ニードルハブマウント95の形態の遠位結合手段が設けられる。このニードルハブマウント95は、示す例では、ニードルアセンブリの対応するハブの内側ねじに係合するように適合された外部ねじを有する。代替的な実施形態では、ねじは、他の接続手段、例えばバヨネット結合と組み合わせるか又はこれと置き換えることができる。示す例示的なハブマウントは、以下でより詳細に説明するように、カートリッジホルダアセンブリのための結合手段としての役割を果たす遠位方向に向いた複数の尖った突起を有する周方向フランジを更に備える。示すタイプのハブマウントは、米国特許第5,693,027号に記載されている。代替として、ニードルハブマウントは、例えば、把持肩部の各々に配置された2つの部品を有する「分割」ハブマウントの形態で、カートリッジホルダの一部として形成することができる。これについては、以下を参照されたい。
示すように、カートリッジホルダアセンブリ3は、従来のカートリッジホルダと同じ全体外観を有する。従来のカートリッジホルダは、例えば、ねじ結合又はバヨネット結合によってハウジングに取り外し可能に結合され、この中に、新たなカートリッジを受けることができ、かつ近位開口を通じて取り外すことができ、すなわち、追加のユーザ操作による解放又はロック手段を備えていない。代わりに、単にカートリッジホルダ自体に見えるものが、実際にはユーザ操作による結合手段であり、この結合手段は、内側カートリッジホルダ部材30(図2Aを参照)の形態のカートリッジ保持手段の動きを制御し、これにより、カートリッジを把持及び保持するように構成された把持肩部35を開閉するようにユーザによって操作される、外側の回転可能な管部材10の形態をとる。より詳細には、把持肩部35には、複数の間隙を設けるために周方向に離間された複数の把持歯38が設けられ、各歯は近位に向けられた尖った端部を有する三角構成を有し、これにより、遠位に向けられた尖った構成を有する複数の間隙が生成され、これは、カートリッジ上の上記で説明した遠位方向を向いた尖った突起が歯38の間に受けられ、これによりカートリッジ保持手段がカートリッジと係合するように動かされたときに把持手段としての役割を果たすことを可能にする。このようにして、従来の背面装填デバイスと同じように見え、また、回転運動によってカートリッジの装着及び取り外しを行うように作動される、使用が容易な前面装填の薬物送達デバイスが提供される。この類似性は、従来タイプの背面装填薬物送達デバイスに慣れたユーザ間での受け入れ及び適応を容易にする。
新たなカートリッジを装着するとき、外側管部材は、例えば90度回転され、このアクションによって、把持肩部35が遠位にかつ僅かに外側に動かされ、これによって、装着されたカートリッジが取り外されることが可能になる。操作を容易にするために、カートリッジは、例えば、把持肩部を形成するアームと係合することによって、かつ/又は追加のばね手段が遠位に方向付けられた付勢力を与えることによって、肩部が動かされるときに遠位方向に、ある距離動かすことができる。図1Bは、カートリッジが取り外され、把持肩部がロックされていない「開」位置にあるデバイスを示している。「開」位置では、カートリッジを取り外し、新たに挿入することができる。ロック及び作動機構の設計に依拠して、把持肩部は開位置のままにすることもできるし、又は戻りばね手段によって外側管部材が逆方向に回転するときに自動的に引き込むこともできる。ばねが設けられているか否かにかかわらず、カートリッジホルダにはロック手段を設けることができ、ロック手段は、外側管部材が、例えば、回転式スナップロックによって、開位置又は閉位置のいずれかにしっかり留まることを可能にする。
新たなカートリッジが挿入されるとき、吐出駆動手段は、ピストンロッドが新たなカートリッジのピストンによって近位に押されることを可能にする状態になくてはならない。この機能を提供する結合機構の例示的な実施形態を以下で説明する。
上記で説明したユーザインターフェースを提供する機械構成、すなわち、外側管状スリーブ部材の回転により把持肩部が内外に動く構成は、多数の形で提供することができる。図2A及び図2Bに示すように、カートリッジホルダ30は、軸方向に誘導されて摺動するように、このため外側管状スリーブ部材と非回転係合するように構成された近位リング部分から延在する、対向する2つの可撓性アーム31を備える。各アームには把持肩部35が設けられる。この構成により、把持肩部は、外側管状スリーブ部材と共に回転することになり、このため、これらが軸方向に動かされるとき、ハウジング40に対して回転することになる。示す実施形態では、対向する2つの窓32が、各アームに1つずつ、把持部材内に形成される。各窓は、外側管状スリーブ部材に形成された対応する窓12に位置合わせされ、2対の窓が回転方向に位置合わせされて共に動く。代替として、把持部材及び/又は外側管状スリーブ部材は、完全に又は部分的に透明材料から製造することができる。各把持肩部は、外側管状スリーブ部材10の対応するように湾曲した遠位作動縁部17と係合するように適合された外側に傾斜した湾曲面37と、作動スリーブの内面に配置された一対の対応するように傾斜した作動面16と係合するように適合された一対の傾斜縁部部分36とを備える。この構成により、傾斜した作動面36は、作動面36が遠位に、スリーブ作動面16と摺動接触するように動かされるとき、把持肩部をその開位置に外側に押し進めることになる。これに対応して、アームが近位方向に動かされるとき、外側湾曲面37は、作動縁部17と係合し、これによってその把持位置に内側に押し進められる。
代替的な実施形態では、把持部材は、作動スリーブが、軸方向にのみ又は軸運動及び回転運動の組合せによって動かされるように構成され得るのとちょうど同じように、本体部分2に対して回転しないように構成されてもよい。
図3は、図2A及び図2Bに示すタイプのペン形薬物送達デバイス101の展開図を示す。本発明の態様は、そのようなペンの動作原理に関するため、完全なペン機構及びその機能の例示的な実施形態が説明されるが、これらのほとんどは、本発明の態様と共に機能し、本発明の態様をサポートするように適合された機能及び設計の説明のための例にすぎない。ペンは、3つのアセンブリ、すなわち、投与量設定アセンブリ100、投与量吐出及び結合アセンブリ200、並びにカートリッジホルダ及びハウジングアセンブリ300を含むものとして説明される。図4は図3に対応するが、より詳細な図を提供し、コンポーネントのうちのいくつかは示されておらず、残りのコンポーネントは再構成されている。
より詳細には、投与量設定アセンブリ100は、ラチェット部材110と、ラチェット管120と、リセット管130と、らせん形トルクばね139と、投与量の数字の列(図示せず)が外側にらせん状に配列されたスケールドラム140と、ばねベース部材150と、ボタンモジュール160と、吐出される薬物の投与量を設定するためのユーザ操作式ダイアル部材170と、ボタンリング181、ボタントップ窓182及びボタンばね180を備える解放ボタンサブアセンブリとを備える。ボタンモジュールは、説明された機械設計に組み込まれるように適合された単純な機械部材の形態をとることもできるし、又は電子投与量記録機能を提供するために異なる部材間の相対運動を検出するように適合された電子モジュールの形態をとることもできるが、後者のモジュールバージョンは、単純なバージョンと同じようにして組み込まれる。ボタン窓は、ボタンモジュールが近位方向に向いたディスプレイを有する記録モジュールの形態をとるときに用いられるように適合されている。そうでない場合、ボタンリング及びボタントップは、単一のボタン部材として製造することができる。リセット管部材130の近位端は、ボタンモジュール160の遠位管部分に回転方向及び軸方向にロックされて接続されるように適合されているが、この構成は、主に、ボタン部品が、例えば電子機能付きで又は電子機能なしで別個のモジュールとして提供されることを可能にするためのものである。
機能的に、組み立てられた状態において、ボタンモジュール遠位管部分161は、ラチェット管120の内側に同軸で装着されたリセット管130に軸方向及び回転方向にロックされて装着され、2つの管は遠位端において軸方向及び回転方向にロックされている。この構成は主に、2つのコンポーネントの成形及び後続の組立てのためのものである。一方、分割設計でも、2つの部材が、ラチェット管の開口124内に受けられるリセット管の突起134により自在継ぎ手と同様に接続されることが可能であり(図14Aを参照)、これによって、過剰制約されることがより少ない、改善された運動学的移動性を有する機構が提供される。このため、投与量設定中、ダイアル部材170、ラチェット管120、リセット管130及びボタンモジュール160は回転方向にロックされ、駆動アセンブリを形成する。
ラチェット部材110は、リセット管上に軸方向にロックされて装着されるが、リセット管上の軸方向のスナップ接続手段135によって数度回転することを可能にされる(以下を参照)。この「遊び」が、ラチェット管切欠き123に配置される制御突起113によって制御される。このようにして、回転方向に可撓性の接続がラチェット部材とリセット管との間に、これによってラチェット部材とラチェット管との間にも設けられる。より詳細には、リセット管上に軸方向に延在する可撓性アーム136(図14Aを参照)がラチェット部材に受けられ、可撓性アームは、切欠き123内の制御突起113を位置決めし、投与量設定中にラチェット管とラチェット部材との間の回転方向の遊びがないようにするが、投与量再設定中は、ラチェット部材は、付勢に反して、突起113とラチェット管切欠き123との間に設けられる回転方向の遊びに応じて動くことを可能にされる。
リセット管は、内面上に、内容物終了部材(以下を参照)の径方向の突起286に係合するように適合された2つの対向する長手方向の溝131を備え、これによって内容物終了部材はリセット管によって回転され得るが、軸方向に動くことを可能にされる。ラチェット部材上に軸方向にロックされて、外側スプライン要素を有するクラッチ部材290が装着される。これにより、ラチェット管はラチェット部材により、ハウジングとクラッチ部材により軸方向に回転係合されるように、また回転係合を解放されるように、軸方向に動かされ得る。内側ハウジングの近位端に、軸方向にロックされるが回転方向に自由にダイアル部材170が装着される。投与量設定中、ダイアル部材はボタンモジュールとの歯係合によりリセット管に回転方向にロックされ(以下を参照)、これにより、ダイアル部材の回転の結果として、リセット管の対応する回転が生じ、これによりラチェット管及びラチェット部材の対応する回転が生じる。解放ボタン181は、ボタンモジュールを介してリセット管に軸方向にロックされるが、自由に回転する。戻りばね180が、ボタン及びそこに装着されるリセット管に対し近位方向の力を与える。スケールドラム140は、ラチェット管と内側ハウジングとの間の周方向の空間内に配置される。このドラムは、協働する長手方向のスプライン121、141を介してラチェット管に対し回転方向にロックされ、協働するねじ構造142、202を介して内側ハウジングの内面に回転螺合し、これによって、ラチェット管によってドラムがハウジングに対して回転されるとき、数字の列が内側ハウジングの窓開口203及び外側ハウジングの窓開口343を通過する(以下を参照)。スケールドラムの近位端は、ばねベース部材150において対応する係止面151に係合するように適合された係止面144を備え、これにより、初期(又は最終)回転位置のための回転係止を提供し、スケールドラムの遠位端は、投与量設定中に最大投与量、例えば100インスリン単位(IU)に達したとき、近位ハウジングの内面の対応する係止面205に係合するように適合された更なる係止面143を備える。トルクばね139は、ラチェット管とリセット管との間の周方向の空間内に配置され、その近位端においてばねベース部材150、このためハウジングに固定され、その遠位端においてラチェット部材110に固定され、これによって、ラチェット部材がダイアル部材の回転によってハウジングに対し回転されるとき、ばねが伸張される。可撓性のラチェットアーム111を有するラチェット機構がラチェット管とクラッチ部材との間に設けられる。クラッチ部材には周方向の内側歯構造291(又は歯部)が設けられ、各歯は、ラチェット係止部を提供し、投与量が設定されたときにユーザによってリセット管を介して回転される位置にラチェット管が保持されるようにする。設定投与量を低減することを可能にするために、ラチェット管に解放部材122の形態のラチェット解放機構が設けられ、ラチェット部材に対し、このラチェット部材を内側に動かし、これにより歯構造との係合を解放するように作用する。これによって、ダイアル部材を反対の第2の方向に回すことにより、設定投与量を1つ又は複数のラチェットインクリメント分低減することが可能になる。解放機構は、ラチェット管がラチェット部材に対し上記で説明した数度の遊び分回転されたときに作動される。代替として、解放機構はリセット管上に配置され得る。
投与量吐出及び結合アセンブリ200は、フォーク部材(又は「スライダー」)210と、遠位ハウジング220と、リング部材230と、圧縮ばね235と、ねじ切りされたナットボアを有する中央部分を含むナットハウジング240と、外側駆動部材250、結合部材260及び内側駆動部材270を備える駆動アセンブリと、外部ねじ285及び2つの対向する長手方向に平坦な面283を有するねじ切りされたピストンロッド280と、内容物終了(EOC)部材285と、ピストンロッドワッシャ289と、クラッチ部材290と、近位ハウジング201とを備える。
機能的に、組み立てられた状態において、2つの対向する平坦な面を有する中央ボアを備える内側駆動部材270は、ナットボアの近位開口を取り囲む周方向フランジ244(図8を参照)及び内側駆動部材の遠位端に配置された一対の対向する把持フランジ274によって、ナットハウジング240の中央部分に、軸方向にロックされているが回転方向に自由に装着される。中央ナット部分は、開口を提供するアーム構造246(図8を参照)によってナットハウジング内に保有され、この開口を通ってフォーク要素の最も近位の部品214が配置される。ピストンロッドは2つの位置合わせされたボアを通して配置され、ねじ切りされたボア245がピストンロッドねじ285を受け、内側駆動部材の2つの対向する平坦な面273がピストンロッド上の対向する平坦な面283と係合し、これによって、内側駆動部材の回転の結果として、回転が生じ、これにより、ピストンロッドとナットボアとの間の螺合に起因した、ピストンロッドの遠位軸運動が生じる。ピストンロッドにおいて、内容物終了(EOC)部材285がねじ込みにより装着され、遠位端において、ワッシャ289が軸方向に装着されるが回転方向に自由である。ワッシャは、カートリッジピストンに直接係合するように適合されたピストンロッドの部品とみなすことができる。内容物終了部材は、リセット管(上記を参照)に係合するための、一対の対向する径方向の突起286を備える。
ナットハウジングにおいて軸方向にロックされるが回転方向に自由に装着されるリング形外側駆動部材250は、協働する結合構造体によってリング形クラッチ部材290と永続的に回転係合し、係合によって外側駆動部材に対するクラッチ部材の軸方向の運動が可能になるようにする。外側駆動部材は、ナットハウジング内面に配置された対応するラチェット歯241(図7Aを参照)に単一方向に係合するように適合された、周方向に延在する一対の対向する可撓性のラチェットアーム251を更に備える。図4の実施形態では、外側駆動部材には、近位の支持リング構造256が設けられる。クラッチ部材には、近位ハウジングの内面上の対応するスプライン要素204と係合するように適合された外側スプライン要素292が設けられ、これによって、クラッチ部材が、スプラインが内側ハウジングと係合している回転方向にロックされた近位位置と、スプラインが内側ハウジングと係合していない回転方向に自由な遠位位置との間で動かされることが可能になる。
外側駆動部材と内側駆動部材との間で、リング結合部材260が配置され、これによって、駆動アセンブリが、内側駆動部材、及びこれによりピストンロッドが、外側駆動部材、及びこれによりナットハウジングに対して回転することができるリセット状態(以下を参照)と、内側駆動部材及び外側駆動部材が互いに回転方向にロックされている動作状態との間で作動され得るようになる。結合部材は、フォーク部材210の近位端部分214に、軸方向にロックされるが、回転方向に自由に装着され、協働するスプライン構造体261、271により内側駆動部材に、回転方向にロックされるが軸方向に自由に装着される。結合部材は、外側駆動部材の内面に周方向に配置された対応する結合歯252と係合及び係合解除するように軸方向に動かされるようになっている、周方向に配置された外側結合歯262を備える。この配置により、結合部材は、結合部材及び外側駆動部材が回転方向の係合から外れており、リセット状態に対応する、近位位置と、結合部材及び外側駆動部材が回転方向に係合しており、動作状態に対応する、遠位位置との間で、フォーク部材の軸運動により作動され得る。以下で説明するように、フォーク部材は、ユーザ操作によるカートリッジ変更中に作動される。
駆動アセンブリに、軸方向に作動される結合コンポーネントとして「内部」結合部材を設けることによって、上記で説明したように、軸方向に固定された外側駆動部材及び内側駆動部材の双方を装着し、これによって、例えば、内側駆動部材が内容物終了部材と協働して安全システムの一部としての役割を果たすことができるようにすることが可能である。これは、国際公開第2007/017053号に記載されているとおりである。
リング部材230は、ナットハウジング240に、回転方向にロックされるが軸方向に自由に装着され、圧縮ばね235によって遠位方向に付勢され、これにより、リングは挿入されたカートリッジに対して遠位方向に方向付けられた力を与える。リング部材及び遠位ハウジング220の機能は、カートリッジホルダ及びハウジングアセンブリのコンポーネントと共に説明される。
カートリッジホルダ及びハウジングアセンブリ300は、キャップ部材360と、ユーザ操作式の通常管状の作動スリーブ310と、リング形スリーブマウント320と、カートリッジホルダ330と、管状ハウジング部材340、拡大レンズ350及び同様にレンズマウントとしての役割を果たすクリップ部材355を含む外側ハウジングアセンブリとを備える。カートリッジホルダは、示す例では、ニードルアセンブリの対応するハブの内側ねじと係合するように適合された外部ねじを有するニードルハブマウント385の形態の遠位結合手段を設けられた、通常円筒形の薬物が充填されたカートリッジ380を受けて保持するように適合される。代替的な実施形態では、ねじを、他の接続手段、例えばバヨネット結合と組み合わせるか又は置き換えることができる。ハブマウントは、以下でより詳細に説明するように、カートリッジホルダアセンブリのための結合手段としての役割を果たす、複数の遠位方向に向いた尖った突起388を有する周方向フランジを更に備える。示すタイプのハブマウントは、米国特許第5,693,027号に記載されている。
機能的に、組み立てられた状態において、カートリッジホルダ330は、作動スリーブ310の内部に、回転方向にロックされているが、軸方向に自由に装着されており、作動スリーブ310は、スリーブマウント320に、軸方向にロックされているが、回転方向に移動可能に装着されており、またスリーブマウント320は、遠位ハウジングに、軸方向及び回転方向にロックされて装着されている。フォーク部材210は、カートリッジホルダ内に形成された対向するスロット339に受けられている2つのフォークレッグ219によって、カートリッジホルダに、回転方向にロックされているが軸方向に自由に装着されている。以下で詳細に説明するように、スリーブマウント及び遠位ハウジングを組み合わせることにより周方向の内側制御トラックが設けられ、この周方向の内側制御トラックにおいて、それぞれカートリッジホルダ及びフォーク部材の対向する横方向の制御突起部333、213が受けられ、トラックは、ユーザが作動スリーブを回転させることによって2つのコンポーネントがトラックに対して回転されるとき、それぞれカートリッジホルダ及びフォーク部材の制御された軸運動をもたらす。スリーブマウントには、作動スリーブの近位端に配置された一対の制御延長部319上に設けられた対応する横方向の係止面に係合するように適合された2対の係止面329(図5Aを参照)が更に設けられる。係止面は、作動スリーブのための回転係止をもたらす。
カートリッジホルダは、近位リング部から延在する一対の対向する可撓性アーム331を備え、各アームには、周方向に離間され、上記で説明したカートリッジ上の遠位方向に向いた尖った突起338と係合する、複数の近位方向に向いた把持歯338を有する遠位把持部分、すなわち「顎」335が設けられる。長手方向に向けられた一対の対向するスロットがアーム間に形成され、スロットはそれぞれ、作動スリーブの内面に形成された、長手方向に向けられたスプライン314を受け、これによって、スリーブとの軸方向に誘導される非回転係合をもたらす。カートリッジホルダ内に、各アームに1つずつ、2つの対向する窓332が形成され、各窓は、外側周方向スリーブ内に形成された対応する窓312と位置合わせされており、2対の窓は回転方向に位置合わせされて共に動く。図2Bの実施形態に対応して、各把持部分335は、スリーブ部材310の、対応して湾曲した遠位の周方向縁部317に係合するように適合された、外側の近位方向に向いた傾斜及び湾曲面337、及び作動スリーブの内面に配置された、対応して傾斜した近位方向に向いた一対の作動面316に係合するように適合された、傾斜した遠位方向に向いた一対の縁部部分336を備える。この配置によって、傾斜した作動面336は、作動面336が遠位方向に、スリーブ作動面316と摺動接触するように動かされるとき、把持肩部を外側に開位置まで押し進めることになる。これに対応して、アームが近位方向に動かされるとき、外側湾曲面337は作動縁部317と係合し、これによって、把持位置まで内側に押し進められる。上記に示されるように、カートリッジホルダの軸運動は、作動スリーブを回転させることによって制御トラックにおいて回転されるカートリッジホルダ制御突出部333によって制御される。
上記で説明したように、フォーク部材は、フォークレッグ219を介してカートリッジホルダに回転方向に結合され、これに対応して、作動スリーブが回転されるときにカートリッジホルダと共に回転し、軸運動は、制御トラック内に受けられるフォーク制御突出部213によって制御される。ピストンロッドがカートリッジの挿入中に近位方向に自由に押されることを確実にするために、カートリッジホルダの、その受容状態と把持状態との間の作動と、フォーク部材による駆動結合の作動とは連続して行われる。より詳細には、示す実施形態では、カートリッジホルダの完全な作動は、作動スリーブの60度の回転中に行われ、この間、フォーク部材は軸方向に動かされない。このため、カートリッジが適切に適所にロックされており、これに対応して、ピストンロッドが対応する近位位置まで押されたとき、作動スリーブの後続の30度の更なる回転の結果として、フォーク部材が遠位方向に動かされることにより、駆動結合がリセット状態と動作状態との間で作動され、この間、カートリッジホルダは軸方向に動かされない。このようにして、システム内の緊張を高めることなく、またピストンロッドワッシャとカートリッジピストンとの間の空隙を生じさせることもなく、ピストンロッドワッシャがカートリッジピストンと単に接触するように位置決めされることが高い度合いで確実にされる。
リング部材230は、リング部分と、ナットハウジング内の対応する開口242に係合するように適合された一対の対向する径方向のガイド突出部232と、一対の対向する近位突出部231とを備える。後者はそれぞれ、挿入されたカートリッジの近位縁部に係合するようになっている遠位面233、及びフォーク部材上の対応する遠位係止面に係合するようになっている近位係止面を有する。その目的で、フォーク部材は、それぞれ遠位係止面を提供する一対の周方向アーム212を備える。見て取れるように、カートリッジホルダを取り囲むリング部分は、単に様々な突出部を保有する役割を果たす。ユーザがカートリッジをカートリッジホルダ内に過度に深く挿入しないようにするために、リング部材は、受容状態と動作状態との間で作動される。より詳細には、カートリッジホルダが、把持部分335が完全に離された初期受容状態にあるとき、ユーザは、リング部材によって提供された付勢力に反してカートリッジを挿入する。一方、カートリッジがカートリッジホルダ内に過度に深く挿入されないようにするために、フォーク部材は、上記で説明した係止面を介して、リング部材のための近位係止を提供する。係止位置は、完全に挿入された位置の幾分遠位の位置に対応する。次に、ユーザが作動スリーブを回転させ始め、把持部分が近位に動かされると、フォーク部材係止面212は、リング部材との係合を外れて回転され、次に、カートリッジが把持部分によって近位方向に動かされるときに、動作位置に動かされることが可能になる。前面装填の薬物送達デバイスでは、そのような構成は、カートリッジの初期装填中、カートリッジが過度に深く挿入されないことを確実にするのに役立ち、すなわち、カートリッジがカートリッジホルダに装着され、ピストンロッドが動作状態にロックされている動作状態において、カートリッジが挿入され、これによりピストンロッドとカートリッジピストンとの間に空隙が生成されるとき、ユーザがピストンロッドを過度に近位に押さないようにすることができる。見て取れるように、制御トラックの実際の設計に依拠して、ロッキングアームは、係止面がリング部材との係合を外れて回転される前に、近位方向に動き始めることができるが、システムにおける緊張を回避するために、リング部材は、把持アームがカートリッジと係合し、このカートリッジをリング部材からの付勢力の方に近位方向に引っ張り始めるときに、近位方向に自由に動かされるべきである。
ユーザが、作動スリーブが完全に動作位置に回転される前に吐出機構を解放しないようにするために、フォーク部材は、設定及び伸張された吐出機構が解放されないようにする役割も果たす。より詳細には、駆動結合が動作状態に入るまで、フォーク要素に装着された結合部材の最も近位の面は、ラチェットアセンブリのための係止部としての役割を果たし、これによって、クラッチ部材がハウジングとの係合から外れて遠位方向に動かされないようにし、これにより解放されないようにする。ユーザが、カートリッジが装着される前に吐出機構を解放しないようにする更なる機構について、図9A及び図9Bを参照して以下で説明する。
外側ハウジング340は、主に、内部コンポーネントを保護し、剛性を与え、かつ魅力的な外観を与える役割を果たす。特に、外側ハウジングは、異なる内側ハウジング部品の全ての連結部を覆う。
図3及び図4の展開図を参照して、個々のコンポーネント並びに構造的かつ機能的関係を説明してきたが、個々のコンポーネント間の構造的かつ機能的インタラクションを示す図5〜図9を参照して、いくつかのサブシステムの機能を更に詳細に説明する。
より詳細には、図5Aは、1つのカートリッジホルダ制御突出部及び1つのフォーク部材制御突出部の軸運動を担当する制御トラック221の完全な180度の半分の部分を断面図で示す。制御トラックの対向する他方の半分は他の2つの制御吐出部と係合している。制御トラックは、スリーブマウント320と遠位ハウジング220との組合せによって形成される。図5Bは、制御トラックの一部分を斜視図で示す。示されるトラック部分は、スリーブマウント上のカートリッジホルダスロープ部分321と、中間の軸方向に等距離の部分323と、フォーク部材のスロープ部分324とを備える(参照符号はトラックのスリーブ部を指す)。
図6A〜図6Cは、上記で説明したカートリッジホルダ330と、フォーク部材210と、作動スリーブ310と、スリーブマウント320と、結合部材260とを備えるカートリッジホルダアセンブリを異なる動作状態で示す。上記で説明したように、作動スリーブは、遠位ハウジング220に装着されたスリーブマウントに装着されて回転可能であり、これによって制御トラックを形成し、カートリッジホルダは、制御トラック内に配置された制御突出部333を有する作動スリーブ内に軸方向に変位可能に装着され、フォーク部材は、制御トラック内に配置された制御突出部213を有するカートリッジホルダ内に軸方向に変位可能に装着され、結合部材260は、フォーク部材遠位端に回転可能に装着される。作動スリーブが回転されると、カートリッジホルダと、これと共にフォーク部材とは、回転され、かつ制御トラックとの係合により軸方向に動かされる。結合部材は内側駆動部材270に回転方向にロックされているので、ピストンロッドに対して回転しないが、ピストンロッドがカートリッジ装填中に近位方向に押されると、ピストンロッド及びこれにより結合部材がハウジングに対し回転する。
示す実施形態について、カートリッジ装填中に以下の動作が行われる。カートリッジホルダがその受容状態にあり、把持部分335が完全に離れており、その最も遠位の位置にあるとき、使用済みカートリッジを取り外し、新たなカートリッジを挿入することができる。これにより同時に、最初は使用済みカートリッジ内のピストン位置に対応する位置にあったピストンロッドが軸方向に押されることになる。図6Aに示すように、カートリッジホルダ制御突出部333は、カートリッジホルダのスロープ部分の遠位端に位置決めされ、フォーク部材制御吐出部213は、カートリッジホルダスロープ部分のすぐ隣の中間トラック部分内に位置決めされる。
カートリッジホルダの作動は次に、作動スリーブの60度の回転中に行われ、この間、把持部分が内側に動かされ、最も近位の保持位置まで引き込まれる。この中間状態において、カートリッジは適切に適所にロックされており、これに対応して、ピストンロッドは対応する近位位置まで押されている。フォーク部材は、この動作中に軸方向には動かされず、単に回転する。より詳細には、図6Bに示すように、作動スリーブ310の初期の60度の回転中、カートリッジホルダ制御突出部333は、カートリッジホルダスロープ部分321において、カートリッジホルダスロープ部分のすぐ隣の中間トラック部分323内に軸方向に動かされ、フォーク部材制御突出部213は、中間トラック部分において、カートリッジホルダスロープ部分のすぐ隣から、フォーク部材スロープ部分324のすぐ隣まで動かされる。
次に、作動スリーブの更なる30度の回転中に駆動結合の作動が行われ、この間、結合部材が外側駆動部材250と係合した状態でフォーク部材がその最も遠位の位置まで動かされる。カートリッジホルダ330は、この動作中、軸方向には動かされず、単に回転する。より詳細には、図6Cに示すように、作動スリーブの更なる30度の回転中に、フォーク部材260及び制御突出部213は、フォーク部材スロープ部分324において遠位方向に動かされ、カートリッジホルダ制御突出部333は、中間トラック部分324において、カートリッジホルダスロープ部分321のすぐ隣から、中間トラック部分323の中間部分に動かされる。このようにして、システム内の緊張を高めることなく、ピストンロッドワッシャがカートリッジピストンと単に接触するように位置決めされることが高い度合いで確実にされる。
装填されたカートリッジが交換されるとき、上記で説明した動作は、作動スリーブを逆方向に完全に90度回転させることによって、逆の順序で実行され、これによって、第1の駆動結合が係合解除し、次に、カートリッジホルダが近位の保持位置から遠位の受容位置まで動かされる。
説明の目的で、図6A〜図6Cはリング部材230を示していないが、フォーク部材260の周方向アーム212がどのように初期カートリッジホルダ作動中に回転され、これによりリング部材の係止面を回転方向に引き込み、これによって、付勢されたリング部材がカートリッジによって近位方向に動かされることが可能になるかを見てとることができる。
図6A〜図6Cを参照して、カートリッジホルダ及び駆動結合のための組み合わされた作動機構が説明された。次に図7A〜図7Cを参照して、実際の結合要素自体に焦点を当てて同じ動作状態を説明する。
より詳細には、図7C(コンポーネントの最良のビューを与える)は、上記で説明したフォーク部材210と、ナットハウジング240と、外側駆動部材250を備える駆動アセンブリと、結合部材260及び内側駆動部材270と、ねじ切りされたピストンロッド280と、内容物終了部材285と、ピストンロッドワッシャ289とを備える結合アセンブリを示す。
上記で説明したように、内側駆動部材270は、ナットボアの近位開口を取り囲む周方向フランジ244(図8を参照)及び内側駆動部材の遠位端に配置された一対の対向する把持フランジ274によって、ナットハウジング240の中央部分に、軸方向にロックされているが回転方向に自由に装着される。ピストンロッドは2つの位置合わせされたボアを通して配置され、ねじ切りされたボアがピストンロッドねじを受け、内側駆動部材の2つの対向する平坦な面273(図4を参照)がピストンロッド上の対向する平坦な面283と係合する。ピストンロッド上に、内容物終了部材285及びワッシャ289が装着される。外側駆動部材250は、ナットハウジングにおいて軸方向にロックされるが回転方向に自由に装着され、可撓性のラチェットアーム251は、ナットハウジング内面に配置された対応するラチェット歯241に単一方向に係合する。
結合部材260は、フォーク部材210の近位端部分214に軸方向にロックされるが、回転方向に自由に装着され、協働するスプライン構造体261、271により内側駆動部材270に回転方向にロックされるが軸方向に自由に装着される。結合部材は、外側駆動部材の内面に周方向に配置された対応する結合歯252と係合及び係合解除するように軸方向に動かされるように適合された、周方向に配置された外側結合歯262を備える。この配置により、結合部材は、結合部材及び外側駆動部材が回転方向の係合から外れており(図7Aを参照)、リセット状態に対応する、近位位置から、フォーク部材が回転されているが軸方向に動かされていない中間状態(図7Bを参照)を介して、結合部材及び外側駆動部材が回転方向に係合しており、図7Cに示すような動作状態に対応する、遠位位置まで、(図6A〜図6Cを参照して上記で説明したように)フォーク部材の軸運動により作動され得る。
図8は図7Aに対応するが、上記で説明した軸受け構造244、274を介した中央ナット部分における内側駆動部材260の装着をより良好に説明するために、結合部材が取り外され、フォーク部材210が部分的に切り取られている。
図9A及び図9Bを参照して、図4のリング部材230及び外側駆動部材250の代替的な構成が説明される。部材は、カートリッジ保持アセンブリの状態にかかわらず、カートリッジホルダ内にカートリッジが装填されていない限り、設定及び伸張された吐出機構の解放に対抗するロックを提供するように変更されている。
より詳細には、リング部材430は、上記で説明したリング部材230として、ナットハウジング内の開口に係合するように適合された一対の対向する径方向のガイド突出部432と、一対の対向する近位突出部431とを備える。制御アーム433は、内部制御突出部434を設けられ、横方向のガイド突出部のうちの1つから近位方向に延在する。制御アームは、変更されたナットハウジング(図示せず)内の対応する長手方向のスロットにおいて誘導される。外側駆動部材450は、上記で説明した外側駆動部材250として、一対の対向するラチェットアーム451と、複数の結合歯452及び近位支持リング部分456とを備えるが、これに加えて、複数の歯構造454が外側遠位面に周方向に配置され、等距離に配置された歯が、それぞれ制御突出部434を収容するように構成された複数の間隙455をもたらす。カートリッジホルダ内にカートリッジが挿入されていないとき、リング部材、及びこれにより制御突出部434も、ばね235によってその最も遠位の位置に付勢され、これにより、図9Aに示すように、制御突出部は、2つの歯構造454間に取り付けられ、これにより外側駆動部材が回転しないようにする。カートリッジホルダ内にカートリッジが装填されると、リング部材、及びこれにより制御突出部434も、近位方向に動かされ、外側駆動部材との係合を外れる。カートリッジが取り外されると、ばね235はリング部材をその初期位置に戻し、これによって、図9Bに示すように、制御突出部を動かして外側駆動部材とブロッキング係合させる。歯の間の制御突出部の取り付けを容易にするために、双方の構造には、端面に尖った面が設けられる。
図10A及び図10Bを参照して、図4のナットハウジング240及び外側駆動部材250の代替的な構成が説明される。変更部分は、2つの部材間に配置される更なるブレーキ部材575と併せて、吐出機構のための回転ブレーキを提供する。
より詳細には、変更されたナットハウジング540は、図4の実施形態と同様に、ねじ切りされたボア545を有する中央ナット部分を備え、中央ナット部分は、支持アーム構造546、ナットハウジング内面に周方向に配置されたラチェット歯541、及び遠位ガイド開口542によってナットハウジング内に保有される。変更されたナットハウジングの主要な追加の特徴は、ブレーキ部材575のための近位方向に摺動する面547、及びフランジの近位面に形成され、支持アーム546のロケーションに概ね対応して配置される一対の対向する径方向のガイド溝548を有する周方向フランジである。変更された外側駆動部材550は、図4の実施形態と同様に、一対のラチェットアーム551と、複数の周方向に配置された結合歯552とを含むのに対し、支持リング部分256は取り外されている。変更された外側駆動部材の主な追加の特徴は、遠位方向に向いた周方向の面557に配置された、周方向に配置された不均一な数のブレーキ歯構造558である。各ブレーキ歯は、内側の軸方向に向いた点と、2つの近傍の傾斜面(一方はブレーキ面559としての役割を果たす)と、外側に向いた基部及び遠位方向に向いた面とを有する概ね三角構成を有し、遠位方向に向いた面は、組合せにより、ブレーキ部材575のための遠位摺動面を形成する。組合せにより、ブレーキ歯は、径方向に向けられた、内側に方向付けられたギザギザの面構造を形成する。
ブレーキ部材575は、近位(図10Bの上側)の摺動面と、反対側の遠位の摺動面とを有する、全体的に楕円形の金属リングの形態をとる。遠位面上に、ナットハウジングの径方向の溝547内に配置されるように適合された、一対の径方向に向けられた対向するガイド部分576が配置される。対向するガイド部分に対応するブレーキ部材の幅がナットハウジングの内径よりも小さいので、装着されたブレーキ部材は、ガイド溝に対応して前後に摺動することができるが、回転することはできない。近位面上に、ガイド部分に対応して、一対の対向するブレーキ突出部577が配置される。ブレーキ突出部577はそれぞれ、外側に向いた点と、近傍の第1及び第2の傾斜面(一方はブレーキ面578としての役割を果たす)と、内側に向いた基部とを有する概ね三角構造を有する。ブレーキ突出部は、外側駆動部材上の歯構造の間の空間に受けられるように適合される。ブレーキ部材には、ブレーキ突出部に対して90度オフセットされ、楕円形リングの内側縁部に対応して配置された、第2の1組の近位方向に面した対向する突出部が更に設けられる。これらの突出部は、単にブレーキ部材に剛性及び重量を加えるものである。
組み立てられた状態において、ブレーキ部材575は、軸方向の僅かな遊びを有してナットハウジング540と外側駆動部材550との間に装着され、主に重力により、結果として部材の遠位面と近位面との間の摺動接触が生じるようにする。すなわち、ペン形薬物送達デバイスが垂直に位置決めされることにより、ブレーキ部材の遠位摺動面がフランジ近位面547上に摺動するか、又はブレーキ部材の近位摺動面が遠位摺動面上に摺動するか、又はブレーキ部材の摺動面がフランジ近位面558上に摺動することになる。ブレーキ部材ガイド部分の遠位面はガイド溝と摺動接触せず、ブレーキ突出部の近位面は、外側駆動部材遠位面と摺動接触しない。
図10A及び図10Bのブレーキ機構は以下のように機能する:駆動機構が、解放されたばねによって駆動されて回転するとき、周方向に配置されたブレーキ歯を有する外側駆動部材も、機構の一部として回転する。ブレーキ歯の隣に位置決めされたブレーキ突出部について、「主」ブレーキ歯の接触面は、ブレーキ部材の接触ブレーキ面に対し接線方向の力を生成し、ナットハウジングは、対向するガイド部分の反対側の面に対し対応する反力を生成する。駆動機構の回転部上のブレーキ面が、回転部の回転軸に向かう径方向の直線に対し傾いているので、ナットハウジング上のガイド溝の接触面は回転部の回転軸に向かう径方向の直線と平行であり、ブレーキ突出部に対する接線方向の力により、結果としてガイド溝に対応する中央軸に向かうブレーキ部材の径方向の運動が生じる。
回転部の歯は限られた長さを有するので、ある時点において、ブレーキ部材上の摺動ブレーキ面が回転部のブレーキ面との接触を失うことになる。一方、ブレーキ部材575と回転部との接触がない短い動きの後、ブレーキ部材上の対向するブレーキ突起は、回転駆動部材550の反対側のブレーキ歯の傾斜面に当たることになる。その後、回転部は、ブレーキ部材が方向を変え、反対方向に戻って摺動するようにブレーキ部材を押し進める。ブレーキ部材のこの前後運動は、駆動部材が停止するまで継続する。
ブレーキ部材は有限の質量を有するので、ブレーキ部材を加速し速度の方向を変えるには一定の力が必要となる。デバイスの通常動作中、駆動機構が低速に回転するとき、すなわち、狭いニードルを通じて吐出される薬物の流れ抵抗に起因して、ブレーキ部材の加速は小さく、僅かな力しか必要としない。しかし、駆動機構が高速に回転するとき、ブレーキ部材の慣性、並びにコンポーネントの摩擦及び衝撃により生成された熱に起因して、ブレーキ効果が高い。
カートリッジピストンとピストンロッドとの間に接触がなく、運動を阻害する要素が他にないとき、駆動機構は、ブレーキ部材を前後に加速させるのに必要な力が、ばねからの力と等しくなるまで回転し続ける。ばねからの運動学的エネルギーは、ブレーキ部材の加速と、ブレーキ部材が回転する外側駆動部材とナットハウジングとの間で摺動するときの摺動摩擦と、ブレーキ部材が対向する摺動面及び運動の停止/変更方向に影響を与えるときの材料における内部摩擦とに起因して、ブレーキにおいて失われる。
ブレーキ部材の線形運動を行うのに用いられるエネルギー量は、ブレーキ部材の速度及び重量に依拠する(運動エネルギー=1/2mv2)。説明される実施形態では、ブレーキ部材575はポリマーから形成されるが、代替として、金属からも形成され得る。ブレーキ部材の速度は、駆動機構の回転速度及び傾斜した摺動面の角度によって定義されるため、ブレーキ部材を動かすのに用いられるエネルギー量は、駆動機構の回転速度が増大すると増大する。
上記で説明したように、ブレーキ部材は、その慣性と、コンポーネントの摩擦及び衝撃により生成された熱とに起因してブレーキ効果を生成する。全てのこれらのブレーキ効果は、駆動機構の速度が高いときに増大する。したがって、ブレーキ要素からのブレーキ効果は、ピストンロッドワッシャとカートリッジピストンとの間に接触がないときに、はるかに高くなる。
図11A及び図11Bを参照して、図10A及び図10Bのブレーキアセンブリの代替的な構成を説明する。主な違いは、単一の相対的に大きなブレーキ部材の代わりに、複数の相対的に小さい金属ブレーキ部材675を組み込むことである。
より詳細には、ナットハウジング640は、図10Aの実施形態と同様に、ねじ切りされたボア645を有する中央ナット部分を備え、中央ナット部分は、支持アーム構造646、ナットハウジング内面に周方向に配置されたラチェット歯641、近位面647を有する周方向フランジ及び遠位ガイド開口642によってナットハウジング内に保有される。一方、図10Aのナットハウジングにおける2つのみのガイド溝の代わりに、複数の径方向のガイド溝648がフランジ近位面に形成され、各ガイド溝は、1つがブレーキ面としての役割を果たす、対向する径方向の面を含む。外側駆動部材650は、図10Aの実施形態と同様に、一対のラチェットアーム651と、複数の周方向に配置された結合歯652と、複数の周辺に配置された外側ブレーキ歯構造658を有する、遠位方向に向いた周方向の摺動面657とを備える。更に、周方向に配置された複数の内側ブレーキ歯構造659が設けられ、各ブレーキ歯は、外側ブレーキ歯に対応するが、外側に向いた点を有する、概ね三角構成を有し、内側歯は、外側歯間の空間に対応して外側歯に対しオフセットされて配置される。組合せにより、外側ブレーキ歯は、径方向に向けられた、内側に方向付けられたギザギザの面構造を形成し、内側ブレーキ歯は、径方向に向けられた、外側に方向付けられたギザギザの面構造を形成する。
各ブレーキ部材675は、4つの側面を有する概ね立方体の形状を有する。4つの面のうちの1つはブレーキ面578、近位(図11Bの上側)の摺動面676、及び対向する遠位摺動面としての役割を果たす。摺動面に対し垂直に配置された4つの「角」は、4つの傾斜した斜角面の形態をとり、これらのうちの2つは、ブレーキ歯のブレーキ面に係合するように適合されたブレーキ斜角面677としての役割を果たす。
組み立てられた状態において、ブレーキ部材675は、ナットハウジング640と外側駆動部材650との間に装着され、各ブレーキ部材は、僅かな軸方向の遊びを有して対応するガイド溝648内に配置され、主に重力により、結果として部材の遠位面と近位面との間の摺動接触が生じるようにする。すなわち、ペン形薬物送達デバイスが垂直に位置決めされることにより、ブレーキ部材の遠位摺動面が近位ガイド溝底面上に摺動するか、又はブレーキ部材の近位摺動面676が外側駆動部材の遠位摺動面657上に摺動することになる。示す実施形態では、対向するフランジ面657、647は回転軸に対し垂直に配置されるが、代替として、これらは傾斜し、すなわち概ね凹構成又は凸構成を有し得る。これに対応して、ガイド溝の向きは、示される厳密な径方向の向きから逸れていてもよい。
図11A及び図11Bのブレーキ機構は以下のように機能する。駆動機構が、解放されたばねによって駆動されて回転するとき、外側駆動部材は、複数のブレーキ部材上のブレーキ斜角面に対し接線方向の力を生成し、ナットハウジングガイド溝は、ブレーキ部材上の対向するブレーキ面に対し対応する反力を生成する。外側駆動部材上の摺動ブレーキ面が、外側駆動部材の回転軸に向かう径方向の直線に対し傾いているので、ナットハウジング上のガイド溝ブレーキ面は外側駆動部材の回転軸に向かう径方向の直線と平行であり、ブレーキ部材に対する接線方向の力により、ブレーキ部材の径方向の運動が生じる(ブレーキ部材のうちのいくつかは中央軸に向かって動き、いくつかは中央軸から離れるように動く)。これによって、ブレーキ部材はブレーキ斜角面677において外側駆動部材に向かって摺動し、ブレーキ面678においてナットハウジングに向かって摺動する。
外側駆動部材の歯のブレーキ面は限られた長さを有するので、ある時点において、所与のブレーキ部材におけるブレーキ斜角面は、(例えば、外側駆動部材の外周上の1組の歯において)摺動面との接触を失うことになる。一方、ブレーキ部材と外側駆動部材との間の接触がない短い動きの後、ブレーキ部材の反対側が、外側駆動部材の反対側の1組の歯(例えば、外側駆動部材の内周上の1組の歯)において、歯の摺動面に当たることになる。その後、外側駆動部材は、ブレーキ部材が方向を変え、反対方向に摺動するようにブレーキ部材を押し進める。ブレーキ部材のこの動きは、駆動機構が停止するまで継続する。
図11A及び図11Bに示すようなブレーキ機構の上記で説明した動作中、図10A及び図10Bに示すようなブレーキ機構に関して上記で説明されたのと本質的に同じブレーキ効果が生じる。主な違いは、単一のより大きなブレーキ要素の代わりに、複数のより小さなブレーキ要素が径方向に前後に動かされることである。
図10A及び図10Bの実施形態では、1つ又は複数のブレーキ要素がハウジングに対し回転しないように配置されているが、代替として、ブレーキ要素は回転コンポーネント共に回転してもよく、ギザギザの面構造がハウジング上に配置され、ガイド構造が回転コンポーネント上に配置される。
上記で説明したように、スケールドラム140は、協働するねじ構造142、202を介して内側近位ハウジング201の内面に回転螺合する。示す実施形態における近位ハウジングは、本質的に完全ならせん形の溝220の形態の雌ねじを備えるのに対し、スケールドラムには、単に、スケールドラムの近位端部分に対応して配置されたねじ構造の形態の雄ねじが設けられる。スケールドラムねじ構造は、例えば、360度に及ぶ単一のフランジ構造の形態で提供することもできるし、らせん形溝に係合する、複数の別個のフランジ部分又は突起、すなわち「溝ガイド」に分割することもできる。ドラムの全体長に沿って周方向にではなく、端部にのみスケールドラムの外側ねじ構造を配置することによって、らせん形に配置された投与量の数字列を互いの近くにプリントし、これによって所与の数の数字に対するドラム長を短くすることが可能である。
吐出機構の様々なコンポーネント及びこれらのコンポーネントの機能的関係、並びにカートリッジホルダ及び結合部の動作について説明してきたが、次に主に図3及び図4を参照してペン吐出機構の動作について説明する。
ペン機構は、2つの相互作用するシステム、すなわち、投与システム及びダイアルシステムとみなすことができる。投与量設定中、ダイアル機構は回転し、トーションばねに荷重がかかる。投与機構はハウジングにロックされ、動くことができない。プッシュボタンが押下されると、投与機構はハウジングから解放され、ダイアルシステムへの係合に起因して、ここでトーションばねはダイアルシステムを開始点に戻すように回転させ、これと共に投与システムを回転させる。
投与機構の中央部分はピストンロッド280であり、ピストンの実際の変位はピストンロッドによって行われる。投与量の送達中、ピストンロッドは内側駆動部材270によって回転され、ハウジングに固定されたねじ切りされたナットボア245とのねじによる相互作用に起因して、ピストンロッドは遠位方向に前方に動く。ゴム製ピストンとピストンロッドとの間に、回転ピストンロッドのためのベアリングとしての役割を果たすピストンワッシャ289が設置され、ゴム製ピストンにかかる圧力を均一にする。ピストンロッドは非円形の断面を有し、この断面においてピストンロッド駆動部材がピストンロッドに係合するので、内側駆動部材はピストンロッドに対し回転方向にロックされるが、ピストンロッド軸に沿って自由に移動する。したがって、内側駆動部材の回転の結果として、ピストンの線形の前方(すなわち、遠位)移動が生じる。外側駆動部材250には、結合部材260を介して、内側駆動部材が(プッシュボタン側から見て)時計回りに回転することを阻止する一対のラチェットアーム251が設けられる。このため、内側駆動部材との係合に起因して、ピストンロッドは前方にしか移動することができない。投与量の送達中、内側駆動部材は反時計回りに回転し、ラチェットアーム251は、ナットハウジング内面において、ラチェット歯との係合に起因して小さなクリック音、例えば吐出されるインスリン1単位あたり1クリック音をユーザに与えることができる。
ダイアルシステムを参照すると、ダイアル部材170を回すことによって投与量が設定及びリセットされる。ダイアル部材を回すとき、リセット管130、内容物終了部材285、ラチェット管120、ラチェット部材110及びスケールドラム140は全てダイアル部材と共に回る。ラチェット管はラチェット部材を介してトルクばね139の遠位端に接続されているので、ばねに荷重がかかる。投与量設定中、ラチェットのアーム111は、クラッチ部材290の内側歯構造291との相互作用に起因して、ダイアルされる単位ごとにダイアルクリックを行う。示す実施形態では、クラッチ部材には、ハウジングに対する360度の全回転について24個のクリック音(インクリメント)を与える24個のラチェット係止部が設けられる。ばねは、組み立て中に予め荷重をかけられ、これによって、機構が受容可能な速度間隔内で小さな投与量及び大きな投与量の双方を送達することが可能になる。スケールドラムはラチェット管と回転方向に係合するが、軸方向に移動可能であり、スケールドラムはハウジングと螺合しているので、スケールドラムは、ダイアルシステムが回されると、らせん状パターンで動き、設定投与量に対応する数がハウジング窓343内に示される。
ラチェット管120とクラッチ部材290との間のラチェット110、291によって、ばねが部品を逆に回すことが防止される。リセット中、リセット管がラチェットアーム111を動かし、これによってラチェットを1クリックずつ解放する。説明される実施形態では、1つのクリックはインスリンの1単位IUに対応する。より詳細には、ダイアル部材が時計回りに回されるとき、リセット管は単にラチェット管を回転させ、ラチェットのアームがクラッチ要素の歯構造291と自由に相互作用することを可能にする。ダイアル部材が反時計回りに回されると、リセット管はラチェットクリックアームと直接相互作用して、クリックアームをクラッチの歯から離れたペンの中央部に向かって押し進め、これによって、ラチェットのクリックアームが、荷重をかけられたばねによって生じるトルクに起因して「1クリック」後方に動くことを可能にする。
設定投与量を送達するために、ユーザによってプッシュボタン181が遠位方向に押し込まれる。ダイアル部材とボタンモジュールとの間の歯係合162、172が軸方向に離れるように動かされるとき(以下を参照)、リセット管130はダイアル部材から分断され、その後、クラッチ部材290がハウジングスプライン204を係合解除し、外側駆動部材270と共に回転を始める。ここで、ダイアル機構はクラッチ部材、駆動部材250、270及び結合部材260と共に「ゼロ」に戻り、これによって薬物の投与量が吐出される。薬物送達中の任意の時点でプッシュボタンを解放するか又は押すことによって、任意の時点で投与を停止及び開始することが可能である。5IU未満の投与は通常、中断することができない。なぜなら、ゴム製ピストンは非常に迅速に圧縮され、ゴム製ピストンの圧縮をもたらし、その後、ピストンが元の寸法に戻るときにインスリンの送達をもたらすためである。
内容物終了機能は、ユーザがカートリッジ内に残っているよりも多くの投与量を設定しないようにする。内容物終了部材285は、リセット管に対し回転方向にロックされている。これによって、投与量の設定、リセット及び投与量の送達中に内容物終了部材が回転し、この間、内容物終了部材をピストンロッドのねじに従って軸方向に前後に動かすことができる。内容物終了部材がピストンロッドの近位端に到達すると、係止が与えられ、これによって、ダイアル部材を含む全ての連結された部品がばねによって投与量設定方向にこれ以上回転しないようにされる。すなわち、ここでの設定投与量はカートリッジ内の残りの薬物内容量に対応する。
スケールドラム140には、ハウジング内面の対応する係止面に係合するように適合された遠位係止面が設けられる。これによって、スケールドラムが、ダイアル部材を含む全ての連結された部品が投与量設定方向にこれ以上回転しないようにするための、最大投与量係止を提供する。示す実施形態では、最大投与量は100IUに設定される。これに応じて、スケールドラムには、ばねベース部材において対応する係止面に係合するように適合された近位係止面が設けられる。これによって、ダイアル部材を含む全ての連結された部品が、投与量吐出方向にこれ以上回転しないようにし、これにより吐出機構全体に「ゼロ」係止を提供する。このため、ダイアル部材には、ダイアル部材が通常の係止位置を超えてダイアルされることを可能にするトルクリミッタを設けることができる。これについては以下を参照されたい。
ダイアル機構において何らかの故障が生じ、スケールドラム又はラチェット管がゼロ位置を超えて動くことが可能になった場合の誤った過剰投薬を防止するために、内容物終了部材は安全システムを提供する役割を果たす。より詳細には、フルカートリッジを有する初期状態において、内容物終了部材は、内側駆動要素とほぼ接触して最も遠位の軸位置に位置決めされる。所与の投与量が吐出された後、内容物終了部材は再び内側駆動要素とほぼ接触して位置決めされる。これに応じて、内容物終了部材は、機構がゼロ位置を超えて投与量を送達しようとする場合に、内側駆動要素に対しロックをかける。機構の様々な部品の耐性及び可撓性に起因して、内容物終了部材は短い距離進み、薬物の僅かな「過剰投与量」、例えば3〜5IUのインスリンが吐出されることを許容する。
吐出機構は、吐出投与量の終了時に、薬物の全量が吐出されたことをユーザに通知する別個のフィードバックを与える投与終了(EOD)クリック音機能を更に備える。より詳細には、投与終了機能は、ばねベースとスケールドラムとの間の相互作用によって成される。スケールドラムがゼロに戻ると、前進するスケールドラムによって、ばねベースの小さなクリックアームが後方に進められる。「ゼロ」の直前でアームは解放され、アームはスケールドラムの表面を打つ。
示す機構には、ダイアル部材を介してユーザによって加えられる過負荷から機構を保護するために、トルクリミッタが更に設けられる。この機能部は、上記で説明したように投与量設定中に互いに対し回転方向にロックされたダイアル部材170とボタンモジュール160との間の境界部によって提供される。より詳細には、示す実施形態では、ダイアル部材には、ボタンモジュールの可撓性の保有部162上に配置された複数の対応する歯に係合する周方向の内側歯構造172が設けられる。ボタンモジュールの歯は、所与の指定の最大サイズ、例えば150Nmm〜300Nmmのトルクを伝達するように設計され、この上方に可撓性の保有部及び歯が内側に屈曲し、ダイアル機構の残り部分を回転させることなくダイアル部材を回す。このため、ペンの内部の機構は、トルクリミッタが歯を通じて伝達するよりも高い負荷で応力がかかり得ない。これは双方の方向における回転の場合に当てはまる。
図4〜図6を参照して、カートリッジホルダ及び駆動結合のための組み合わされた作動機構が説明された。次に、図12及び図3を参照して、代替的なカートリッジホルダ機構を説明する。この機構は、装着されたニードルアセンブリ790を有するカートリッジ780が図12Aに示すように装着位置に保持されているときに、カートリッジホルダが、閉じた状態と開いた状態との間で作動されないようにするように構成されたブロッキング手段を備える。
図4を参照すると、作動スリーブを回転させるユーザによってトラックに対して回転されるとき、カートリッジホルダの制御された軸運動を提供する制御トラックにおいて誘導される一対の対向する横方向制御突出部333を含むユニタリーカートリッジホルダ330が説明された。実際、制御トラックの各突出部及び関連付けられた部分は同じ動きを与える。
対照的に、図12A及び図12Bの実施形態において、カートリッジホルダは、長さ方向に分割され、第1のカートリッジホルダ部材730及び第2のカートリッジホルダ部材731を与え、各部材の軸運動は、組み合わされたスリーブマウント720及び遠位ハウジング721によって形成される制御トラックの関連付けられた部分に配置された制御突出部によって独立して制御される。遠位ハウジング721はナットハウジング740に装着される。
2つのカートリッジホルダ部材における制御突出部は同一である場合があるのに対し、対応する2つの制御トラック部分は異なり、2つのカートリッジホルダ部品が、作動スリーブ710が回転されるときに互いに軸方向に独立して動くことができるようにし、これは図12Bに示すとおりである。図12Bでは、第1のカートリッジホルダ部材の把持顎735のみが遠位方向に動かされる。
図13Aを参照すると、第1のカートリッジホルダ部材を制御する第1の制御トラック部分725が、第1のカートリッジホルダ部材が回転の第1の部分の間に動作状態から装填状態に比較的より遠位方向に動くことを確実にするように構成された第1の傾斜を用いて設計される。
図13Bを参照すると、第2のカートリッジホルダ部材を制御する第2の制御トラック部分726が、第2のカートリッジホルダ部材が作動スリーブの回転の第1の部分の間に動作状態から装填状態に向かって遠位方向に動かないことを確実にするように配置された第2の傾斜を用いて設計される。したがって、把持顎を有するこの第2のカートリッジホルダ部材は回転の第1の部分の間に、装填されたカートリッジを動作位置に保持し、これは上記で説明した実施形態に対応する。図13Bにおいて、ガイドトラック上の第2の傾斜が、(図面における)2つのカートリッジホルダ部材上の制御突出部が左から右に動かされるときに、第1の傾斜と比較して「後に」開始することも見てとることができる。
使用の状況において、装填されたカートリッジがある場合、カートリッジホルダ部材の双方が最も近位の位置にあり、動作状態に対応する。これについては、装填位置に保持されたカートリッジを示す図1Aを参照されたい。ニードルアセンブリがカートリッジのニードルハブマウント95上に装着されているとき、ニードルハブの近位部分は、把持顎の最も遠位の部分と非常に近接して位置決めされる。カートリッジが挿入されていないカートリッジホルダを示す図12Bを参照すると、作動スリーブ710は、ある量回転されており、結果として第2のカートリッジホルダ部材が遠位方向に動かされたのに対し、第1のカートリッジホルダ部材は、本質的に軸方向に動かされていない。次に、更なる回転により、第1のカートリッジホルダ部材も遠位方向に動かされ、すなわち図1Bに対応する。一方、ニードルアセンブリがカートリッジハブマウントに装着されている場合、第2のカートリッジホルダ部材の把持顎がニードルハブの最も近位の縁部と係合し、これによって、更なる回転を阻止する第2の制御トラック部分に配置された第2のカートリッジホルダ部材の制御突出部に起因して、作動スリーブの更なる回転が防止されることになる。この構成により、第2のカートリッジホルダ部材は、カートリッジ保持手段が、閉じた状態と開いた状態との間で作動されないようにするブロッキング部材としての役割を果たす。
代替的な実施形態(図示せず)では、ブロッキング手段は、装着されたカートリッジにニードルアセンブリが装着されるとき、ブロッキング位置まで動かされるように適合されたブロッキング部材、例えば、作動スリーブの軸方向に内側に誘導され、近位方向に押されるときに作動スリーブをブロックする役割を果たすロッド部材を備えることができる。これは、ニードルアセンブリが取り付けられるときに作動するタイプのブロッキング手段であり、図12A及び図12Bに示す実施形態におけるように、装着されたニードルアセンブリに起因してブロッキング手段が動かないようにされる場合の「受動的」と比較して、「能動的」であるとみなされ得る。
図10及び図11を参照して、ブレーキアセンブリの2つのバージョンが説明された。望ましくない高速のコンポーネントの問題が争点となっている、ばね駆動薬物送達デバイスにおけるブレーキ機構に対する代替として、衝撃からのエネルギーを吸収し散逸するように適合された、エネルギーを吸収する投与量終了係止部を提供することができる。
ポリマーで作製された投与量終了係止部は、通常、ある閾値レベルの衝撃力まで弾性がある。衝撃力が閾値レベルよりも低い場合、投与量終了係止部は弾性に変形し、すなわち降伏なしである。一方、衝撃時のエネルギーが、速度が高いことに起因して高い場合、投与量終了係止部は塑性変形し、反力は閾値力レベルに実質的に等しい。投与量終了係止部からの反力は閾値レベルに限定されているので、デバイス内の他のコンポーネント、すなわち、ハウジングの部品及び駆動機構の部品並びに場合によってはセンサシステムの部品に対する力を制限する。一方、投与量終了係止部は、塑性降伏に起因して損傷を受けており、破断する場合がある。
代替として、弾性金属によって作製される投与量終了係止部は、通常、高速で投与量終了係止部に当たる場合であっても、駆動機構からの衝撃時のエネルギーに耐えることができる。一方、駆動機構からのエネルギーは、高い力をもたらすことになり、これは、同一の反力による反作用を受けることになる。この反力は、デバイス内の他のコンポーネント、すなわち、ハウジングの部品及び駆動機構の部品及び場合によってはセンサシステムの部品に伝達されることになる。したがって、弾性金属を有するそのような投与終了係止部により、結果として他のコンポーネントが損傷を受けることになる場合がある。
一方、擬似弾性金属、例えばニッケルチタン等の形状記憶合金によって作製される投与量終了係止部により、上記で説明した2つの解決策からの欠点を有することなく利点を組み合わせることが可能である。擬似弾性金属によって作製されたばねは、一定の閾値力レベルまで通常の弾性挙動を有することが知られている。衝撃力が閾値レベル未満である場合、投与量終了係止部は上記で説明したポリマー投与量終了係止部のように弾性に変形することになる。一方、衝撃時のエネルギーが、速度が高いことに起因して高い場合、投与量終了係止部は、閾値力レベルに実質的に等しい反力で変形することになる。一方、投与量終了係止部は擬似弾性であるため、係止部の大きな変形の後であっても損傷を伴うことなく、すなわち、降伏なしではねかえることができる。
投与量終了係止部からの反力が閾値レベルに制限されているため、デバイス内の他のコンポーネントに対する力が制限される。
例示的な実施形態の上記の説明において、様々なコンポーネントについて説明した機能を提供する様々な構造及び手段を、本発明の構想が当業者である読み手に明らかになる程度まで説明してきた。様々なコンポーネントの詳細な構造及び仕様は、当業者によって、本明細書に記載の文言に沿って行われる通常の設計手順の対象とみなされる。