JP2016535754A - 高カリウム血症治療用細孔性ケイ酸ジルコニウム - Google Patents

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Abstract

本発明は、望ましくない副作用を引き起こさずに胃腸管からカリウムイオン等の毒素をより多く除去するために処方された新規な細孔性ケイ酸ジルコニウム組成物に関する。この好ましい組成物は少なくとも95%のZS−9を含む。これら組成物は、特に高カリウム血症の治療的処置に有益である。これら組成物はまた、慢性腎臓病、冠状血管病、真性糖尿病、及び移植の拒絶反応の治療にも有益である。【選択図】図1

Description

関連出願の参照
本願は、2013年11月8日に提出された米国特許仮出願第61/901,886号、2013年12月10日に提出された米国特許仮出願第61/914,354号、2014年1月22日に提出された米国特許仮出願第61/930,328号、2014年1月22日に提出された米国特許仮出願第61/930,336号、2014年5月30日に提出された米国特許仮出願第62/005,484号、2014年6月20日に提出された米国特許仮出願第62/015,215号、及び2014年9月22日に提出された米国特許仮出願第62/053,732号の優先権を主張するものであり、その全内容を参照により本明細書に組み込む。
技術分野
本発明は、新規なケイ酸ジルコニウム(「ZS」)組成物、好ましくは他の形態のシクロケイ酸ジルコニウム(すなわち、ZS−7)及びケイ酸ジルコニウム(すなわち、ZS−8、ZS−11)に対してZS−9結晶形態の濃度を高めたシクロケイ酸ナトリウムジルコニウムに関する。これらZS組成物は、その結晶形態が他の結晶形態のケイ酸ジルコニウムに対して少なくとも95%のZS−9を有するシクロケイ酸ナトリウムジルコニウム組成物であることが好ましい。本発明のZS組成物は、予想外に、生体内でカリウムイオン吸収特性を大きく改善し、血清カリウム濃度が上昇した場合に素早く低下させる。
本発明のZS組成物は、具体的には望ましくない副作用を引き起こさずに胃腸管からカリウムイオン、アンモニウムイオン等の選択した毒素をより多く除去するために処方されることが好ましい。この好ましい処方は、患者の血流への粒子の侵入及び/又は患者の尿のpHの増加を回避するように設計されている。この処方は、血中に放出されるナトリウム量を下げるように設計されている。これら組成物は、特に高カリウム血症及び腎臓病の治療的処理に有益である。本発明はまた、薬効成分として細孔性ZSを含む薬剤の顆粒、錠剤、丸薬、及び剤形に関する。特に、これら顆粒、錠剤、丸薬、及び剤形は圧縮されていて、対象内で即時放出、遅延放出、又は特定の放出で供給される。また、高純度で高カリウム交換能(「KEC」)を有する細孔性ZS組成物が開示される。急性、亜急性、及び慢性高カリウム血症の治療法についても研究した。本明細書では、上記細孔性ZS組成物を用いて異なる形態の高カリウム血症を治療するために特に有利な投与計画が開示される。また、本発明は、高カリウム性疾病を誘発、発生、又は悪化させることが知られているその他の医薬品と併用して細孔性ZS組成物を共投与する方法に関する。
急性高カリウム血症は、血清中のカリウム濃度上昇により起こる重篤かつ致死的な症状である。カリウムは、人体の至るところにあるイオンで、多くの過程に関わっている。カリウムは最も豊富な細胞内陽イオンであり、細胞膜電位の維持、細胞体積の恒常性、及び活動電位の伝達を含む多くの生理学的過程で非常に重要である。カリウムは主に、野菜(トマト及びジャガイモ)、果実(オレンジ、バナナ)、及び肉を食物として摂取することにより供給される。腎臓はカリウム濃度の主な調整器管であり、血漿中カリウム濃度を正常に(3.5〜5.0mmol/L)に保っている。カリウムは(糸球体を介して)受動的に腎臓から排出され、近位尿細管及びヘンレ係蹄上行脚で能動的に再吸収される。カリウムは遠位尿細管及び集合管で能動的に排出される。再吸収と排出はどちらもアルドステロンによって制御される。
細胞外カリウム濃度が上昇すると、細胞膜電位の脱分極が生じる。この脱分極により、いくつかの電位依存性ナトリウムチャネルが開くが、活動電位を生成するのには十分ではない。短時間の後、これらの開いたナトリウムチャネルは不活性化されて無反応性になり、閾値を超えると活動電位が発生する。これにより、神経筋系、心臓系、及び胃腸器官系の機能障害が生じ、この機能障害が高カリウム血症と共に観察される症状を引き起こす。最大の関心は、心臓系に及ぼす影響である。心臓伝導の機能障害は心停止、心室性細動等の致命的な心臓不整脈につながる可能性がある。致命的な心臓不整脈の可能性があるため、高カリウム血症は、ただちに是正しなければならない急性代謝緊急事態を表す。
高カリウム血症は、(経口摂取、組織破壊等)血清カリウムが過剰に生成されると発症する場合がある。高カリウム血症の最も一般的な原因であるカリウム排出が起こらなくなるのは、ホルモンによるもの(アルドステロン欠乏等)、薬理的なもの(ACE阻害薬又はアンジオテンシン受容体遮断薬による治療)、又はより一般的には腎機能の低下や進行性心不全による場合である。高カリウム血症の最も一般的な原因は腎不全であり、腎不全の程度と血清カリウム(「S−K」)濃度の間には密接な関係がある。また、一般的に使用される各種薬剤の多くが高カリウム血症を引き起こす。そのような薬剤としては、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、カリウム保持性利尿剤(これに限定されないが、アミロリド等)、NSAID(これらに限定されないが、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ等)、ヘパリン及び特定の細胞毒性薬、免疫抑制剤(これらに限定されないが、シクロスポリン及びタクロリムス等)、及び/又は抗生剤(これらに限定されないが、トリメトプリム等)が挙げられるが、これらに限定されない。最後に、ベータ受容体遮断薬ジゴキシン又はサクシニルコリンは高カリウム血症のその他の原因として知られている。また、進行した鬱血性心臓疾患、大きなけが、火傷、血管内溶血は、代謝性アシドーシス、最もしばしば糖尿病性ケトアシドーシスの一部として高カリウム血症を引き起こす。
高カリウム血症の症状は、幾分非特定的であり、一般に倦怠感、動悸、筋力低下、心臓不整脈の兆候(動悸、徐脈、目まい/失神等)を含む。しかしながら、高カリウム血症は、内科的疾患のための所定のスクリーニング血液検査時や、心臓不整脈や突然死等、重症の合併症が発症した後に検出されることが多い。診断はS−K測定によって明らかに確立される。
治療はS−K濃度に依存する。軽度の場合(S−Kが5〜6.5mmol/l)、カリウム結合樹脂(ケイキサレート(登録商標))による急性治療と食事療法(低カリウム食)と、(高カリウム血症を発症させる薬剤で治療が行われている場合)薬剤治療の変更の可能性を組み合わせるのが標準的な処置である。S−Kが6.5mmol/lを越える、あるいは不整脈がある場合は、緊急にカリウム濃度を低下させ、病院内で緊密に監視することが義務づけられる。一般には以下の治療が用いられる。
・ケイキサレート(登録商標):腸内でカリウムを結合させて、便中排泄を増加させることによりS−K濃度を下げる樹脂。しかしながら、ケイキサレート(登録商標)は腸閉塞や場合によっては腸の破裂を引き起こすことが示されている。さらに、同時に治療によって下痢を誘発する必要がある。これらの要因はケイキサレート(登録商標)による治療の利点を減じるものである。
・インスリンIV(+低血糖症を防止するためのブドウ糖):カリウムを血液から細胞内に移動させる。
・カルシウム補給:カルシウムはS−Kを低下させないが、心筋興奮性を低下させて心筋を安定させ、心臓不整脈の危険性を低減する。
・重炭酸塩:重炭酸塩イオンは、KのNaへの交換を刺激して、アデノシン三リン酸ナトリウム−カリウム分解酵素を刺激する。
・透析(重篤な場合)。
人体からのカリウム排出を実際に増加させる唯一の商業的な薬理療法はケイキサレート(登録商標)であるが、下痢を誘発する必要があり、ケイキサレート(登録商標)を長期的に投与することができない。また、急性期でも下痢を誘発する必要を伴うので、効果は限定的で、また嫌な臭いや味もありその有益さが減ぜられる。
ZS細孔性イオン交換体又はケイ酸チタン細孔性イオン交換体を用いて毒性陽イオン及び毒性陰イオンを血液又は透析液から除去することが、米国特許第6,579,460号、6,099,737号、及び6,332,985号に記載されており、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。細孔性イオン交換体の別の例が米国特許第6,814,871号、5,891,417号、及び5,888,472号に見られ、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
本発明者らは、公知のZS組成物を高カリウム血症の治療においてカリウムを除去するために生体内で用いると望ましくない効果を示す場合があることを見出した。具体的には、ZS分子篩組成物の投与は、混合白血球炎症反応と極少の急性膀胱炎の発生と関連しており、動物実験では腎盂及び尿中に未同定結晶が観察される。また尿pHが増加する。さらに、公知のZS組成物は、結晶性不純物や望ましくないほど低い陽イオン交換能といった問題を有している。
本発明者らは、既存の高カリウム血症治療に関連した問題に対処するための新規なZS分子篩、及びこれら新規な組成物を用いて高カリウム血症の治療するための新規な方法を開示する。米国特許出願第13/371,080号(米国特許出願公開第2012−0213847A1)を参照のこと。また、本発明者らは、ZS結晶を選別する必要がない、及び/又はその必要を低減する方法で調製することができる、改良された粒径分布を有するZS吸収体を製造するための新規なプロセスを開示する。米国特許出願第13/829,415号(米国特許出願公開第2013−0334122号)を参照のこと。
本発明者らは、新規の剤形を用いることにより高カリウム血症治療におけるZSの送達を改良することができることを見出した。具体的には、本発明者らは、カリウム濃度の上昇に苦しむ対象者に投与する場合、特定のZS用量が高カリウム血症患者の血清カリウム濃度を正常濃度まで有意に下げることができることを見出した。本発明者らはまた、これらの特定の用量がより長時間、患者のカリウム濃度を低く保つことができることを見出した。
本発明者らはまた、細孔性ZSの投与及び/又は共投与が、高カリウム血症の原因として知られている医薬品で治療中の患者にとって恩恵があることを見出した。例えば、ACE阻害薬又はARB遮断薬及び/又は免疫抑制剤を与えられている腎臓不全、心血管系疾患、心臓疾患、又は臓器移植の患者は、典型的に高カリウム血症を発症する。これら患者の高カリウム血症の発症に対する1つの可能な解決は、カリウム濃度が正常化するまで薬剤治療を中断することである。本発明者らは、ZSをこれら患者に共投与又は投与すると、高カリウム血症の原因となっている医薬品の投与を継続させられるように過剰なカリウム濃度を正常化させる、又は下げることを見出した。
腎機能におけるアルドステロンの役割が広く研究されている。Remuzziら, "The role of renin-angiotensin-aldosterone system in the progression of chronic kidney disease(慢性腎臓病の進行におけるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の役割)," Kidney Int’l, Vol. 68 Supp. 99, p. S57-S65 (2005); Zhangら, "Aldosterone induces epithelial-mesenchymal transition via ROS of mitochondrial origin(アルドステロンによる、ミトコンドリア由来のROSによる上皮間葉移行の誘発)," Am J Physiol Renal Physiol 293 (2007); Pondaら, "Aldosterone Antagonism in Chronic Kidney Disease(慢性腎臓病におけるアルドステロン拮抗作用)," Clin J Am Soc Nephol 1:668-677 (2006); U. Wenzel, "Aldosterone and Progression of Renal Disease(アルドステロンと腎臓病の進行)," Current Opinion in Nephrology and Hypertension 17:44-50 (2008); Remuzziら, "The Aggravating Mechanisms of Aldosteroneon Kidney Fibrosis(アルドステロンが腎臓線維症を悪化させるメカニズム)," J Am Soc Nephrol 19:1459-1462 (2008); Navaneethanら, "Aldosterone Antagonists for Preventing the Progression of Chronic Kidney Disease: A Systematic Review and Meta-analysis(慢性腎臓病の進行を予防するアルドステロン拮抗薬:系統的考察とメタ分析)," Am Soc Neph (2008); Brietら, "Aldosterone: effects on the kidney and cardiovascular system(アルドステロン:腎臓及び心臓血管系に及ぼす効果)」、Nature Reviews: Nephrology 6:261-273 (2010); R Toto, "Aldosterone blockade in chronic kidney disease: can it improve outcome?(慢性腎臓病のアルドステロン遮断:結果を改良することはできるのか?)," Current Opinion in Nephrology and Hypertension 19:444-449 (2010); Turnerら, "Treatment of chronic kidney disease(慢性腎臓病の治療)," Kidney Int'l 81:351-362 (2012)を参照のこと。Turnerらが述べているように、アルドステロンの有害効果が認識されたことが、鉱質コルチコイド受容体遮断薬を用いて選択的にアルドステロンを阻害する試みにつながった。多数の動物実験がこの手法を裏付けており、ヒトについての研究では、アルドステロン阻害剤をACE阻害剤又はARBに添加した場合、タンパク尿が減少することが示されている。しかしながら、この手法は、しばしば高カリウム血症を発症させた。従って、高カリウム血症を発症させず、糸球体濾過率(GFR)を向上させるような方法でアルドステロン濃度を下げることにより慢性腎臓病(chronic kidney disease、CKD)を治療する必要がある。
心臓血管病(cardiovascular disease、CVD)におけるアルドステロンの役割が広く研究されている。Rochaら, "Selective AldosteroneBlockade Prevents Angiotensin II/Salt-Induced Vascular Inflammation in the Rat Heart(アンジオテンシンIIを阻害する選択的アルドステロン阻害剤/ラットの心臓における塩で誘発された血管炎症)," Endocrinology 143(12):4828-4836 (2002); Rochaら, "Aldosterone Induces a Vascular Inflammatory Phenotype in the Rat Heart(ラットの心臓における血管炎症表現型を誘発するアルドステロン)," Am J Phsiol Heat Circ Physiol 283:H1802-H1810 (2002); Brietら, "Aldosterone: effects on the kidney and cardiovascular system(アルドステロン:腎臓及び心臓血管系に及ぼす影響)," Nature Reviews:Nephrology 6:261-273 (2010); Tomaschitzら, "Plasma aldosterone levels are associated with increased cardiovascular mortality: the Ludwigshafen Risk and CardiocascularHealth (LURIC) study(血漿アルドステロン濃度と心臓血管死亡率増加の関連:ルードヴィッヒハ−フェン・リスクと心血管健康研究)," European Heart Journal 31:1237-1247(2010)。とりわけ、CVDは、CKDの患者に一般的で、しばしば致命的であることが知られている。Tomaschitzらが述べているように、血漿アルドステロン濃度は、心臓血管死亡率の増加と関連している。従って、アルドステロン阻害薬に関連する副作用なくアルドステロン濃度を下げることが、CKD及び/又はCVDと診断された患者の治療において望ましい。
中程度から重度の心不全及び/又は腎不全を患っている患者には、ACE阻害薬又はARBと、利尿剤(例えばカリウム保持性利尿剤)の併用療法が行われることが多い。この組み合わせの投与は、特に真性糖尿病及び腎臓機能障害を持つ患者が高カリウム血症にかかる危険性を増加させることが示されている。Horn and Hansten, "Hyperkalemia Due to Drug Interactions(薬物間相互作用による高カリウム血症)," Pharmacy Times, pp. 66-67, January 2004; Desai, "Hyperkalemia Associated with Inhibitors of the Renin-Angiotensin-Aldosterone System: Balancing Risk and Benefit(レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤と関連する高カリウム血症:危険性と恩恵のバランス)," Circulation, 118:1609-1611 (2008)。従って、現在この併用療法を行っている患者に対して、この治療を停止せずに血清カリウム濃度を下げる手段を提供する必要がある。
臓器交換又は臓器移植を行った患者に対しては、典型的には免疫抑制剤が処方されて、免疫系による臓器への拒絶反応リスクを低下させる補助をする。しかしながら、免疫抑制剤の使用は高カリウム血症の発症リスクを増加させることが知られている。従って、免疫抑制剤による治療を受けている患者に、これら薬剤の使用を停止することなく血清カリウム濃度を下げる手段を提供する必要がある。
高カリウム血症はまた、腎機能障害の有無に関わらず真性糖尿病患者に一般的である。糖尿病患者は高カリウム血症を発症する危険性がある、あるいは高カリウム血症が見られるため、高カリウム血症の危険性の増加とも関連するレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤の使用は、これら患者に対しては限定的である。本発明の本発明者らは、糖尿病患者に細孔性ZSを投与することにより、糖尿病治療に有用なレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤の継続投与又は共投与が可能になることを見出した。
ZSを含む陽イオン交換組成物又は生成物は、特定の薬剤投与量で処方及び投与された場合、カリウム濃度の上昇を示す患者の血清カリウム濃度を大きく下げることができる。一態様では、上記カリウム濃度の上昇を示す患者は慢性又は急性腎臓病の患者である。他の態様では、上記カリウム濃度の上昇を示す患者は急性又は慢性高カリウム血症である。
一態様では、上記組成物の用量は、ZSが約1〜20グラム、好ましくは8〜15グラムの範囲、より好ましくは10グラムであってもよい。他の態様では、上記組成物は、総用量が約1〜60グラム、好ましくは24〜45グラムの範囲、より好ましくは30グラムで投与される。
他の態様では、上記組成物は、ZrO八面体単位と、少なくとも1種のSiO四面体単位と、GeO四面体単位とからなる細孔性構造を有する分子篩を含む。これらの分子篩は以下の実験式で表される。
Zr1−xSiGe
式中、Aはカリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロニウムイオン又はそれらの混合物から選択される交換可能な陽イオンであり、Mはハフニウム(4)、スズ(4)、ニオブ(5)、チタン(4)、セリウム(4)、ゲルマニウム(4)、プラセオジム(4),及びテルビウム(4)からなる群から選択される少なくとも1種の骨格金属であり、「p」は約0から約20の値を有し、「x」は0から1未満の値を有し、「n」は約0から約12の値を有し、「y」は0から約12の値を有し、「m」は約3から約36の値を有し、1≦n+y≦12である。ゲルマニウムは、ケイ素、ジルコニウム、又はこれらの組み合わせで置換することができる。上記組成物は本質的には(pHが中性又は塩基性の)体液には不溶性であるため、胃腸系の毒素を除去するために経口摂取することができる。
別の態様では、上記分子篩は、陽イオン交換能、特にカリウム交換能が高められている。米国特許出願第13/371,080号(米国特許出願公開第2012−0213847A1)に記載されているように、陽イオン交換能は、特別な方法と、反応全体を通じてより完全に結晶を浮遊させておく反応器の構成によって高められる。本発明の一態様では、この改良されたZS−9結晶組成物(すなわち、主たる結晶形態がZS−9である組成物)は、2.5ミリ当量/g超、より好ましくは2.7〜3.7ミリ当量/g、より好ましくは3.05〜3.35ミリ当量/gのカリウム交換能を有していた。カリウム交換能が3.1ミリ当量/gであるZS−9結晶は、商業規模で製造して、望ましい臨床成績を達成した。カリウム交換能が3.2ミリ当量/gであるZS−9結晶もまた、望ましい臨床成績を達成して、改良された剤形を提供することが予測される。3.1ミリ当量/g及び3.2ミリ当量/gの目標値は、許容誤差±15%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%で達成されてもよい。ZS−9形態はより高いイオン交換能を有することが望ましいが、商業規模で製造することはより困難になる。このようなより高いイオン交換能を有するZS−9形態は、3.5ミリ当量/g超、より好ましくは4.0ミリ当量/g超、より好ましくは4.3〜4.8ミリ当量/g、更に好ましくは4.4〜4.7ミリ当量/g、最も好ましくは約4.5ミリ当量/gという高められたイオン交換能を有する。3.7〜3.9ミリ当量/gの範囲のカリウム交換能を有するZS−9結晶は、以下の実施例14に従って製造された。
一態様では、上記組成物は3ミクロン超の中央粒径を有し、この組成物中、直径が3ミクロン未満である粒子は7%未満である。この組成物中、直径が3ミクロン未満である粒子は好ましくは5%未満、より好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満である。この組成物は、直径が3ミクロン未満である粒子をまったく有しないか、あったとしても極く微量であることが最も好ましい。
中央粒径及び平均粒径は3ミクロン超であることが好ましく、約1,000ミクロンまでの粒子を特定の用途に用いることができる。中央粒径は5〜1000ミクロン、より好ましくは10〜600ミクロン、より好ましくは15〜200ミクロン、最も好ましくは20〜100ミクロンの範囲であることが好ましい。
一態様では、上記中央粒径を有し、直径が3ミクロン未満の粒子の組成物中の分率が上記範囲である組成物はまた、ナトリウムを12重量%未満含有する。このナトリウム含有量は、9重量%未満、より好ましくは6重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは0.05〜3重量%の範囲、最も好ましくは0.01重量%以下である、あるいはできる限り少ないことが好ましい。
一態様では、本発明は、カプセル、錠剤、丸薬、又は粉末形態で上記組成物を含む個々の薬剤の用量に関する。本発明の他の態様では、上記医薬品は、血清カリウム濃度を低く維持するのに十分な個々の単位用量でキットとして包装される。上記用量は、1日あたり約1〜60グラムの範囲であってもよく、あるいはこの範囲の任意の整数又は整数区間であってもよい。このような用量としては、ZSが1.25〜20グラム、好ましくは2.5〜15グラム、より好ましくは5〜10グラムである個々のカプセル、錠剤、又は分包粉末剤であることができる。他の態様では、このZSは1回の単位投与量が約1.25〜45グラムのカプセル、錠剤、又は分包粉末剤でであってもよい。他の態様では、上記医薬品は1日1回、1日3回、2日に1回、週に1回摂取されてもよい。
本発明の組成物は、腎臓病(例えば、慢性又は急性)又は高カリウム血症(例えば、慢性又は急性)等の腎臓病の症状の治療に用いてもよく、必要とする患者に上記組成物を投与することを含む。投与量はZSが約1.25〜20グラムの範囲、好ましくは2.5〜15グラムの範囲、より好ましくは10グラムであってもよい。他の態様では、組成物の総投与量は、約1〜60グラム(14〜900mg/Kg/日)の範囲、好ましくは24〜36グラム(350〜520mg/Kg/日)の範囲、より好ましくは30グラム(400mg/Kg/日)であってもよい。
本発明者らは、好ましい形態の細孔性ZSの投与は糸球体濾過量(GFR)の向上と関連しており、利尿剤を含む治療と併せて投与した場合、高カリウム血症の発症の危険性を所望のように低下させたことを見出した。これらデータは、慢性腎臓病(CKD)及び/又は心臓血管病(CVD)を、本発明による、利尿剤を含む標準的な治療と細孔性ケイ酸ジルコニウムの投与の併用により治療してもよいことを示している。
一態様では、本発明は、CKDと診断された患者に好適な投与量の細孔性ケイ酸ジルコニウムを投与することに関する。他の態様では、本発明は、CVD又はと診断された患者、あるいは心筋梗塞後の患者に好適な投与量の細孔性ケイ酸ジルコニウムを投与することに関する。この態様の一側面では、患者はCKD及びCVDの両方と診断される。
一態様では、本発明は、CKD及び/又はCVD患者に、利尿剤を含む治療とケイ酸ジルコニウムの組み合わせを投与することに関する。他の態様では、上記ケイ酸ジルコニウムは本明細書で記載されるZS−9であることができる。さらに他の態様では、上記利尿剤はループ系利尿剤、チアジン利尿剤、及び/又はカリウム保持性利尿剤であり得る。さらに他の態様では、CKD及び/又はCVDを治療する方法は、利尿剤を含む治療と本発明のケイ酸ジルコニウムを投与することを含む。他の態様では、上記利尿剤及びケイ酸ジルコニウムを用いるCKD及び/又はCVDの治療はさらに、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤又はアンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)を含んでいてもよい。
他の態様では、本発明は、移植患者又は臓器交換/移植を受けたばかりの患者に、免疫抑制剤治療及び細孔性ZSを含む組み合わせを投与することに関する。他の態様では、上記ZSは、本明細書で記載されるZS−9である。さらに他の態様では、上記免疫抑制剤は、臓器移植又は臓器交換を受けた患者に用いる、現在知られているいずれの免疫抑制剤薬剤を含んでいてもよい。これらの免疫抑制剤は、誘導剤又は維持剤を含んでいてもよい。
さらに他の態様では、本発明は、糖尿病患者、より好ましい態様では真性糖尿病患者に、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤及び細孔性ZSを含む組み合わせを投与することに関与する。さらに他の態様では、上記レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤は、ACE阻害剤又はARBであってもよい。他の態様では、上記ZSは、本明細書で記載されるZS−9である。
図1は、細孔性ZS、Na2.19ZrSi3.01O9.11.・2.71H2O(MW:420.71)の構造を示す多面体図である。 図2は、実施例8によるZS−9のロット5332−04310−Aの粒子径分布を示す。 図3は、実施例8によるZS−9のロット5332−15410−Aの粒子径分布を示す。 図4は、実施例8によるZS−9の臨床前ロットの粒子径分布を示す。 図5は、実施例9による未選別のロット5332−04310Aの粒径分布を示す。 図6は、実施例9によるロット5332−04310A、635メッシュの粒子径分布を示す。 図7は、実施例9によるロット5332−04310A、450メッシュの粒子径分布を示す。 図8は、実施例9によるロット5332−04310A、325メッシュの粒子径分布を示す。 図9は、実施例9によるロット5332−04310A、230メッシュの粒子径分布を示す。 図10は、実施例12により調製されたZS−9のXRDプロットである。 図11は、実施例12により調製されたZS−9のFTIRプロットである。 図12は、実施例14により調製されたZS−9のXRDプロットである。 図13は、実施例14により調製されたZS−9のFTIRプロットである。 図14は、ブランク液のクロマトグラムの例である。 図15は、試験標準液のクロマトグラムの例である。 図16は、典型的な試料のクロマトグラムである。 図17は、標準撹拌器を備えた反応槽である。 図18は、高い交換能を有するZS−9を生成するためのバッフル付き反応槽である。 図19は、高い交換能を有するZS−9を生成するための200−L反応槽用に設計されたバッフルの詳細を示す。 図20は、摂取後48時間にわたる治療期間でのZS−9とプラセボとの比較を示す。 図21は、血清Kの減少時間を比較したグラフである。 図22は、治療後の血清Kの増加を比較したグラフである。 図23は、尿中へのカリウムの排出量を示す。 図24は、一日の尿中ナトリウム排出量を示す。 図25は、実施例20のバッチ5602−26812により調製したH−ZS−9のXRDプロットである。 図26は、実施例20のバッチ5602−28312により調製したH−ZS−9のXRDプロットである。 図27は、実施例20のバッチ5602−29112により調製したH−ZS−9のXRDプロットである。 図28は、実施例20のバッチ5602−29812により調製したH−ZS−9のXRDプロットである。 図29は、実施例20により生成したZS結晶のXRDデータである。 図30は、ZS−8不純物を示すXRDデータである。 図31は、ZS−9を95%以上含むZSのXRDである。 図32は、ZS−9を95%以上含むZSの粒径分布である。 図33は、血清カリウム値の低下とZS−9%の相関関係を示す図である。 図34は、ZS−9の孔開口部の化学構造の概略図である。 図35は、ZS−9を投与した場合の血清カリウムの低下を示す。 図36は、急性期の統計的有意性を示す。 図37は、亜急性期の統計的有意性を示す。 図38は、48時間に渡ってZS−9を2.5グラム、5グラム、及び10グラムを1日3回投与した場合の、投与量に応じたKの低下を示すグラフである。 図39は、ZS−9とプラセボを用いて48時間測定した血清カリウム濃度(mmol/L)を示す。 図40は、RAASiを投与されている患者にZS−9を用いた場合の血清カリウム濃度の変化を測定したグラフである。 図41は、ZS−9とプラセボを用いた場合の、48時間測定した血清カリウム濃度(mmol/l)を示す。 図42は、ZS−9とプラセボを用いた場合の血清重炭酸塩濃度のベースラインからの平均変化量を示す。 図43は、ZS−9とプラセボを用いた場合の平均尿pH変化量を示す。 図44は、5gのZS−9とプラセボを用いた患者で測定された21日間の血清カリウム濃度(mmol/L)である。 図45は、10gのZS−9とプラセボを用いた患者で測定された21日間の血清カリウム濃度(mmol/L)である。 図46は、第3相臨床試験の概略図である。 図47Aは、真性糖尿病患者及び被検者全体で、48時間の間のZS−9投与量に応じたカリウム濃度の低下について比較したものである。 図47Bは、真性糖尿病患者及び被検者全体で、48時間の間のZS−9投与量に応じたカリウム濃度の低下について比較したものである。 図48Aは、真性糖尿病患者の急性相で(a)プラセボ、(b)投与量5gのZS−9、及び(c)投与量10gのZS−9(プラセボがn=96、5gのZS−9がn=96、及び10gのZS−9がn=81)を比較したものである。 図48Bは、真性糖尿病患者の急性相で(a)プラセボ、(b)投与量5gのZS−9、及び(c)投与量10gのZS−9(プラセボがn=96、5gのZS−9がn=96、及び10gのZS−9がn=81)を比較したものである。 図48Cは、真性糖尿病患者の急性相で(a)プラセボ、(b)投与量5gのZS−9、及び(c)投与量10gのZS−9(プラセボがn=96、5gのZS−9がn=96、及び10gのZS−9がn=81)を比較したものである。 図49は、真性糖尿病被検者と被検者全体で5グラムのZS−9と10グラムのZS−9を投与した場合の48時間の間の平均カリウム濃度の低下を比較したものである。 図50は、ZS−9を投与された真性糖尿病被検者における有害事象を比較したものである。 図51は、真性糖尿病被検者と被検者全体の治療延長期における正常カリウム濃度についてZS−9を1日1回投与(5g及び10g)した場合を比較したものである。 図52は、糖尿病被検者と被検者全体で正常カリウム濃度を維持するためにZS−9を1日1回投与(10g)した場合を比較した結果である。 図53は、カリウム濃度を維持するために治療延長期で10gのZS−9を投与した場合とプラセボを投与した場合の平均カリウム変化量を比較したものである。 図54は、1日1回投与した場合の真性糖尿病被検者における有害事象率を示す。 図55は、5g、10g、及び15gを投与した群とプラセボを投与した群の平均血清カリウム値である。 図56は、10gを急性期に投与した場合の0時間と1時間のカリウム値を比較した図である。 図57は、10gを急性期に投与した場合の0時間と2時間のカリウム値を比較した図である。 図58は、10gを急性期に投与した場合の0時間と4時間のカリウム値を比較した図である。 図59は、10gを急性期に投与した場合の0時間と24時間のカリウム値を比較した図である。 図60は、急性期の対象者で正常カリウム血になった人の割合を示す。 図61は、急性期が正常カリウム血になるまでの時間を示す。 図62は、5g、10g、15gの投与量でZS−9を1日1回投与した場合に正常カリウム血が維持されることを示す図である。 図63は、カリウム濃度が6.0ミリ当量/L以上の患者に10g及び15gの投与量でZS−9を1日1回投与した場合に正常カリウム血が維持されることを示す図である。 図64は、BUNが維持期(MP)15日目に低下したが、MP29日目では変化がなかったことを示す図である。 図65は、検査の終了時にBUNでは変化がなかったことを示す図である。 図66は、重炭酸塩の有意な増加を示す図である。 図67は、GFRに差が見られなかったことを示す図である。 図68は、アルドステロンの有意な減少を示す図である。 図69は、維持期からのレニンの変化を示す図である。 図70は、維持期からのガレクチン−3の変化を示す図である。 図71は、維持期からのBNPの変化を示す図である。 図72は、維持期からのインスリンの変化を示す図である。 図73は、500mgのZS錠剤の概略図である。 図74は、1000mgのZS錠剤の概略図である。
本発明者らは、分子篩吸収体を治療、例えば、高カリウム血症の治療に使用した場合の悪影響の問題に対処する新規のZS分子篩吸収体を見出した。ZSは、ZrO八面体単位及びSiO四面体単位からなる細孔性骨格構造を有する。図1は、細孔性ZS、Na2.19ZrSi3.01O9.11.・2.71H2O(MW:420.71)の構造を示す多面体図である。濃い影で示した多角形は八面体酸化ジルコニウム単位を示し、薄い影で示した多角形は四面体二酸化ケイ素単位を示す。陽イオンは図1では示されていない。
本発明の細孔性交換体は、高い交換能と、カリウム又はアンモニウムに対する強い親和性、すなわち選択性とを有する。ZS−1からZS−11の11種のZSが利用可能であり、イオンとの親和性がそれぞれ異なるものが開発されている。例えば、米国特許第5,891,417号を参照のこと。UZSi−9(あるいはZS−9として公知)は、カリウム及びアンモニウムを吸収するためのZS吸収剤として特に有効である。これらのZSは以下の実験式を有する:
Zr1−xSiGe (I)
式中、Aはカリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロニウムイオン又はそれらの混合物から選択される交換可能な陽イオンであり、Mはハフニウム(4)、スズ(4)、ニオブ(5)、チタン(4)、セリウム(4)、ゲルマニウム(4)、プラセオジム(4),及びテルビウム(4)からなる群から選択される少なくとも1種の骨格金属であり、「p」は約0から約20の値を有し、「x」は0から1未満の値を有し、「n」は約0から約12の値を有し、「y」は0から約12の値を有し、「m」は約3から約36の値を有し、1≦n+y≦12である。上記ゲルマニウムは、ケイ素、ジルコニウム、又はこれらの組み合わせで置換することができる。x及びyはゼロであるか、どちらもゼロに近いことが好ましい。というのは、ゲルマニウムや他の金属がわずかに存在することが多いからである。これら組成物は本質的に(pHが中性又は塩基性の)体液に不溶性であるため、胃腸系の毒素を取り除くために経口摂取することができる。本発明者らは、ZS−8は他の形態のZS(すなわちZS−1からZS−7とZSi−9からZS−11)に比べて高い溶解性を有することに気づいた。ZS−8を含むZSの可溶性形態の存在は望ましくない。なぜなら、ZSの可溶性形態は尿中のジルコニウム及び/又はケイ酸塩濃度の上昇に関与する場合があるからである。ZSの非晶質形態もまた、実質的に可溶性である場合がある。従って、実用的な程度まで非晶性物質の割合を下げることが望ましい。
ジルコニウム金属塩は、ジルコニウム、ケイ素及び/又はゲルマニウムの反応源、必要に応じて1種以上のM金属、少なくとも1種のアルカリ金属と水を混合して調製した反応混合物を水熱結晶化することにより調製される。上記アルカリ金属は鋳型剤として作用する。加水分解して酸化ジルコニウム又は水酸化ジルコニウムにすることができるものであれば、いずれのジルコニウム化合物をも用いることができる。これら化合物の具体例としては、ジルコニウムアルコキシド、例えばジルコニウムn−プロポキシド、水酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、リン酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム等が挙げられる。シリカ源としては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、ナトリウムシリカ等が挙げられる。ゲルマニウム源としては、酸化ゲルマニウム、ゲルマニウムアルコキシド、四塩化ゲルマニウム等が挙げられる。アルカリ源としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、ハロゲン化ナトリウム、ハロゲン化カリウム、ハロゲン化ルビジウム、ハロゲン化セシウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)ナトリウム、EDTAカリウム、EDTAルビジウム、EDTAセシウム等が挙げられる。M金属源としては、M金属酸化物、アルコキシド、ハロゲン化塩、酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩等が挙げられる。M金属源の具体例としては、チタンアルコキシド、四塩化チタン、三塩化チタン、二酸化チタン、四塩化スズ、スズイソプロポキシド、ニオブイソプロポキシド、含水酸化ニオブ、ハフニウムイソプロポキシド、塩化ハフニウム、オキシ塩化ハフニウム、塩化セリウム、酸化セリウム、硫酸セリウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
一般に、本発明のジルコニウム金属塩イオン交換組成物又はチタン金属塩イオン交換組成物を調製するのに用いる水熱工程は、次式で表される酸化物のモル比で反応混合物を形成することを含む:
aAO:bMOq/2:1−bZrO:cSiO:dGeO:eH
式中、「a」は約0.25から約40の値を有し、「b」は約0から約1の値を有し、「q」は原子価Mであり、「c」は約0.5から約30の値を有し、「d」は約0から約30の値を有し、「e」は10から約3000の値を有する。反応混合物は、ジルコニウム、ケイ素、必要に応じてゲルマニウム、アルカリ金属、及び任意のM金属の所望する材料源を任意の順序で混合して調製し、所望の混合物を得る。また、この混合物は塩基性pH、好ましくはpHが少なくとも8であることが必要である。この混合物を塩基性に調整するには、アルカリ水酸化物及び/又はこの混合物の他の構成要素のうちの塩基性化合物を添加する。反応混合物を形成した後、密閉反応槽の自己圧力で約100℃〜約250℃の温度で約1日から約30日の間、反応させる。所定の時間後、混合物を濾過して、固体生成物を分離する。これを脱イオン水、酸、又は希釈した酸で洗浄し、乾燥させる。真空乾燥、トレイ乾燥、流動床乾燥を含む様々な乾燥技術を用いることができる。例えば、濾過した材料を真空下、空気中でオーブン乾燥してもよい。
参照を容易にするため、ZS分子篩及びゲルマニウム酸ジルコニウム分子篩の異なる構造に任意の呼称を与えている。例えばZS−1の「1」は、骨格構造型「1」を表す。すなわち、異なる実験式を持つ1種以上のZS分子篩及び/又はゲルマニウム酸ジルコニウム分子篩が、同じ構造型を有することができる。
以下の例で示すX線パターンは標準的なX線粉末回折技術で得たものであり、米国特許第5,891,417号で報告された。放射線源は、45Kv、35maで動作させた高強度X線管球であった。CuKα線からの回折パターンは、適切なコンピュータ技術によって得られた。平らに圧縮した粉末試料を毎分2°(2θ)で連続走査した。オングストローム単位での面間隔(d)を、2θとして表わされる回折ピークの位置から得た。θは、デジタルデータから得られるブラッグ角である。強度は、バックグラウンドを減じた後の回折ピークの積分面積から求めた。「I」は最も強い線すなわちピークの強度であり、「I」はそれぞれ、他のピークの強度である。
当業者には自明であるが、パラメータ2θの決定には人的及び機械的誤差が含まれており、報告された2θの各値が併せて約±0.4の不確かさを持っていることがある。もちろん、この不確かさもまた、θの値から算出されたd間隔の報告値に表れている。この不正確さは、当該技術全般に一般的なものであり、他の組成物及び従来技術の組成物から本発明の結晶性材料を区別することができないほど大きなものではない。報告されたX線パターンのいくつかでは、d間隔の相対強度はvs、s、m、wの表記で表されているが、それぞれ、非常に強い、強い、中程度、弱い、を表している。100x1/I0では、上記の表記は、w=0−15、m=15−60、s=60−80、vs=80−100として定義される。
特定のいくつかの例では、合成生成物の純度をそのX線粉末回折パターンを参照して評価してもよい。例えば、試料が純粋であるという場合、その試料のX線パターンに結晶性不純物に帰属する線がないということを意図するだけで、非結晶性材料が存在しないということを意図するものではない。
本発明の結晶性組成物は、そのX線粉末回折パターンによって特徴づけられていてもよく、以下の表に示すd間隔と強度を含むX線パターンの1つを有していてもよい。米国特許第5,891,417号で報告されたZS−1、ZS−2、ZS−6、ZS−7、ZS−8、ZS−11のX線パターンは以下の通りである。
本発明の実施例14による高純度、高カリウム交換能(KEC)のZS−9のX線粉末回折パターン(図12に示すXRD)は、以下のような特徴的d間隔範囲及び強度を有していた。
ZSの形成は、水酸化ナトリウムと水の存在下でケイ酸ナトリウムと酢酸ジルコニウムを反応させることを含む。この反応は、典型的には1〜5ガロン単位の小型反応槽で行われた。これら小型反応槽を用いて、ZS−9を含むZSの様々な結晶性形態を製造した。本発明者らは、これらの小型反応器で製造したZS−9は、陽イオン交換能(「CEC」)が不十分又は望ましくない程低いということを認識した。
本発明者らは、結晶化容器内で攪拌器に対してバッフル状構造物を適切な位置で用いると、(XRD及びFTIRスペクトルに示すような)結晶純度と予想外に高いカリウム交換能を有するZS−9結晶生成物が得られることを発見した。小型反応器(5ガロン)では、冷却コイルを反応器に配置してバッフル状構造物を設けた。これら冷却コイルは熱交換には用いなかった。数種の冷却コイルが利用可能であり、それぞれのコイルの設計は本発明で示す結果に何らかの効果を及ぼし得るが、本発明者らは、反応槽の内壁に沿って蛇行する蛇行型コイルを用いた。
本発明者らは、ZS−9を製造するのに用いたこの結晶化反応に、特に、攪拌器に対して適切な位置に配置されたバッフルが役立っていることを見出した。本発明者らは、まずZS−9を製造したが、望ましくない不純物としてZS−11が多量に含まれていた。図10及び図11を参照のこと。この不完全な反応は、反応槽の底部付近に残った多量の固体によるものと思われる。反応槽の底部付近の固体は、従来の撹拌を行っても残っている。バッフルと攪拌器を適切な位置に配置すると、反応槽内の結晶を浮遊させる反応器内の力を生み出し、その力が高純度のZS−9形態を生成するのに必要な熱伝達と撹拌を可能にして反応条件が向上した。一態様では、攪拌器と併用されるバッフルは、用いる反応器の寸法にかかわらず、その全容積中に十分な浮遊力をもたらすように構成されていてもよい。例えば、反応器寸法が大きくなり(例えば、200リットルの反応器)その反応容積が増加すると、バッフルもまた、この新たな反応器容積に合わせて寸法を変更する。図12及び図13は、高純度ZS−9結晶のXRD及びFTIRスペクトルを示している。以下の表3に示すように、これら結晶は純度の低いZS−9組成物に比べて非常に高いカリウム交換能(「KEC」)を示す。本発明の一態様では、このZS−9結晶は2.7〜3.7ミリ当量/g、より好ましくは3.05〜3.35ミリ当量/gのカリウム交換能を有していた。カリウム交換能が3.1ミリ当量/gであるZS−9結晶を商業規模で製造し、望ましい臨床成績を得た。カリウム交換能が3.2ミリ当量/gであるZS−9結晶もまた望ましい臨床成績を得て、改良された剤形を提供することが期待される。3.1ミリ当量/g及び3.2ミリ当量/gの目標値は、許容誤差が±15%、より好ましくは±10%、最も好ましくは±5%で達成されてもよい。より高いカリウム交換能を有するZS−9の形態が望ましいが、商業規模での製造がより困難である。そのようなより高いカリウム交換能を有するZS−9の形態は、カリウム交換能が3.5ミリ当量/g超、好ましくは4.0ミリ当量/g超、より好ましくは4.3〜4.8ミリ当量/g、さらにより好ましくは4.4〜4.7ミリ当量/g、最も好ましくは約4.5ミリ当量/gに高められている。3.7〜3.9ミリ当量/gの範囲のカリウム交換能を有するZS−9結晶は、以下の実施例14により製造された。
標準撹拌器とバッフルを併用した反応器を用いることからはこれ以外にも予想外の恩恵を得たが、それは、高結晶純度、高カリウム交換能を有するZS−9結晶を、いかなる種結晶をも使用せずに製造することができたことである。従来、高結晶純度の単結晶形態を有する均一な結晶を作る試みでは、種結晶が用いられてきた。従って、種結晶の使用をなくすことができたのは、従来の工程に対する予想外の改良点であった。
上述のとおり、本発明の細孔性組成物は、八面体ZrO単位と、四面体SiO単位及び四面体GeO単位の少なくとも一方と、任意の八面体MO単位からなる骨格構造を有する。この骨格により、均一な孔径の結晶内孔系を有する細孔性構造が得られる。すなわち、孔径が結晶学的に均一である。孔の直径は、約3オングストローム以上とかなり幅があってもよい。
合成された状態の本発明の細孔性組成物は、孔にある種のアルカリ金属鋳型剤を含有している。これらの金属は、交換可能な陽イオンとして記載されているが、これらの金属が他の(第二の)A’陽イオンと交換することができることを意味する。一般に、これら交換可能なA陽イオンは、他のアルカリ金属陽イオン(K、Na、Rb、Cs)、アルカリ土類金属陽イオン(Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+)、ヒドロニウムイオン、又はそれらの混合物から選択されるA’陽イオンと交換することができる。A’陽イオンは、A陽イオンと異なっていると理解する。ある陽イオンの他の陽イオンへの交換に用いる方法は当該分野で周知であり、交換条件で細孔性組成物を、所望の陽イオン(通常は過剰モルで)を含む溶液と接触させることを含む。典型的な交換条件としては、温度が約25℃から約100℃であり、時間が約20分から約2時間である。ナトリウムイオンをヒドロニウムイオンと交換するイオン交換に水を用いると、8時間から10時間とより時間がかかる場合がある。最終生成物に存在する特定の陽イオン(又はその混合物)は、特定の使用と使用される特定の組成物に依存する。ある特定の組成物は、A’陽イオンがNaイオン、Ca+2イオン、Hイオンの混合物であるイオン交換体である。
ZS−9をこれらの工程に従って形成すると、Na−ZS−9の形態で回収することができる。Na−ZS−9のナトリウム含有量は、pHを9超にして製造工程を行うと、約12重量%から13重量%である。Na−ZS−9は、室温で0.2M超の濃度の塩酸(HCl)中では不安定であり、一晩塩酸にさらすと構造が崩壊する。ZS−9は室温で0.2MのHCl中ではわずかに安定であるが、37℃ではこの材料は急速に結晶性を失う。室温ではNa−ZS−9は、0.1MのHCl溶液及び/又はpHが約6から7の溶液中で安定である。これらの条件では、一晩の処理でNa濃度は13%から2%まで減少する。
水洗工程とイオン交換工程の併用、すなわち、希釈した強酸(例えば、0.1MのHCl)によるイオン交換又は水による洗浄によりNa−ZS−9をH−ZS−9に転換してもよい。水で洗浄すると、pHが低下し、ZSの相当部分をプロトン化する。これにより、ZS中のNaの重量分率が低下する。ZSが分解する程度までpHが低下するのをZSのプロトン化によって有効に防ぐことができる限り、高濃度の強酸中で初期のイオン交換を行うことが望ましい場合がある。水又は希釈した酸の中で洗浄して追加のイオン交換を行い、さらにZS中のナトリウム濃度を低下させてもよい。本発明に従って生成されたZSは、ナトリウム含有量が12重量%未満である。好ましくは、ナトリウム含有量は9重量%未満、より好ましくは6重量%未満、より好ましくは3重量%未満、より好ましくは0.05〜3重量%の範囲、最も好ましくは0.01重量%以下、又はできるだけ少ないことである。プロトン化された(すなわち、低ナトリウムの)ZSをこれらの技術に従って調製すると、非プロトン化結晶に比べてカリウム交換能が低下する。このように調製されたZSは、2.8超のカリウム交換能を有する。好ましい一側面では、カリウム交換能は2.8〜3.5ミリ当量/gの範囲内であり、より好ましくは3.05〜3.35ミリ当量/gの範囲内であり、最も好ましくは約3.2ミリ当量/gである。約3.2ミリ当量/gの目標カリウム交換能は、異なるバッチのZS結晶間で予測される、カリウム交換能の測定値の小さな変動を含む。
最適な結晶化条件で製造したZS結晶をプロトン化すると、陽イオン交換能の損失につながる場合があることが分かった。本発明者らはZS−9の製造工程の規模を拡大する過程で、結晶化条件が最適ではない場合、製造されたZS結晶をプロトン化すると非プロトン化形態に比べて陽イオン交換能が高まることを発見した。そのような準最適結晶化条件は、より大型の反応槽で徹底的な撹拌を維持するという課題から得たものである。例えば、反応槽の寸法を50ガロンから125ガロンに増大させると、結晶性不純物を含むZS−9結晶が製造された。しかしながら、この新しい方法を用いてプロトン化したH−ZS−9結晶のKEC値を評価したところ、予想よりも高く、3.1ミリ当量/g超、より好ましくは3.2〜3.5ミリ当量/gの範囲であった。
ナトリウム形のイオン交換体、例えば、Na−ZS−9は、高カリウム血症の治療で患者の胃腸管から過剰なカリウムイオンを除去するのに有効である。このナトリウム形を患者に投与すると、ヒドロニウムイオンが交換体のナトリウムイオンと置き換わり、患者の胃や胃腸管でpHの望ましくない上昇が起こる。体外試験によると、ナトリウムイオン交換体を安定化させるのに酸中で約20分かかる。
ヒドロニウム形は典型的には、生体内でカリウムイオンを除去するのにナトリウム形と同等の効力があるが、患者の体内のpH変化に関係するナトリウム形の欠点のいくつかを回避する。例えば、水素化形には、投与時に体内にナトリウムが過剰に放出されることを回避するという利点がある。これにより、特に急性疾患の治療に用いる場合、過剰濃度のナトリウムに起因する浮腫を緩和することができる。さらに、慢性疾患の治療にヒドロニウム形が投与された患者、特に鬱血性心不全の危険がある患者には、ナトリウム濃度が低いという効果をもたらす。さらに、ヒドロニウム形は、患者の尿中pHが望ましくない程上昇することを回避する効果を有すると思われる。
本発明者らは、カルシウムが添加されていないZS組成物が、過剰カルシウムを患者から除去する働きをすることができることを見出した。この働きにより、これら組成物は、高カルシウム血症患者の高カリウム血症の治療や、高カルシウム血症の治療に有用である。米国継続出願第61/670,415号(その全内容が参照により組み込まれる)に記載の組成物のカルシウム含有量は、典型的には非常に低く、すなわち1ppm未満である。本発明者らは、これら組成物による高カリウム血症の治療はまた、患者の体内から相当量のカルシウムを除去することにも関連することを見出した。従って、これら組成物は、高カルシウム血症患者や、高カリウム血症を患っている高カルシウム血症患者の治療に特に有用である。
本発明の組成物は、上記ZS組成物にカルシウムイオンを予備取り込みして調製してもよい。上記組成物にカルシウムを予備取り込みすると、患者に投与した際にカルシウムを吸収しない組成物が得られる。別の方法としては、このZS組成物をマグネシウムで予備取り込みしてもよい。
カルシウム(及び/又はマグネシウム)を用いるZSの予備取り込みは、このZSをカルシウムイオン又はマグネシウムイオンの希釈液(好ましくはカルシウム又はマグネシウム濃度が約10〜100ppmの範囲である)と接触させることにより行われる。この予備取り込み工程は、上述したヒドロニウムイオンとナトリウムイオンを交換する工程と同時に行うことができる。あるいは、この予備取り込み工程は、カルシウム又はマグネシウムを含む溶液と、製造の任意の段階にあるZS結晶とを接触させることによって行ってもよい。好ましくは、このZS組成物は、カルシウム又はマグネシウムを1〜100ppmの範囲、好ましくは1〜30ppmの範囲、より好ましくは5〜25ppmの範囲の濃度で含む。
ZSに予備取り込みしてもカリウム吸収能が低下することはなく、従って高カリウム血症の治療でこれら組成物の使用を減じるものではない。カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンは、その大きさのため、ZSの孔を完全に貫通しないと思われる。むしろ、取り込まれたカルシウム又はマグネシウムは、ZSの表面にのみ留まっている。この添加したカルシウム又はマグネシウムにより、患者の体内からカルシウム又はマグネシウムを吸収しない、高カリウム血症の治療において臨床的に用いるのに好ましい組成物が得られる。
他の態様では、プロトン化ZSを酸化ジルコニウム(OH−ZO)等のヒドロキシル取り込み陰イオン交換体と組み合わせてもよい。これにより、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、水素、及びリン酸塩の除去が促進される。理論に束縛されるわけではないが、プロトン化ZSから放出される水素と、OH−ZOから放出される水酸化物イオンが結合して水を形成し、「対イオン」の濃度を低減し、他のイオンの結合を減少させる。陽イオン交換体と陰イオン交換体の結合能は、これらを一緒に投与することにより高められる。この形態のZSは、様々な種類の病気の治療に有用である。一態様では、この組成物は、胃腸管から、また腎不全の患者からナトリウム、カリウム、アンモニウム、水素、及びリン酸塩を除去するのに用いられる。
ZS−9結晶は広い粒径分布を有する。直径3ミクロン未満の小さな粒子は患者の血液に吸収される可能性があり、患者の尿路、特に患者の腎臓に粒子が蓄積するなど、望ましくない影響を及ぼすことがあると理論化されている。市販のZSは、1ミクロン未満の粒子の一部を濾過するような方法で製造されている。しかしながら、小さな粒子が濾過固形物中に保持されており、直径3ミクロン未満の粒子を除去するにはさらなる選別技術の使用が必要であることが分かった。
本発明者らは、選別により直径3ミクロン未満の粒子を除去でき、そのような粒子の除去は本発明のZS組成物を含む治療用生成物にとって利点があることを見いだした。手動選別、エアジェット選別、篩い分け、濾過、浮遊、又はその他の周知の粒子分級方法を含む、粒子選別のための多くの技術を用いて本発明の目的を達成することができる。選別技術を経たZS組成物は、ZSの治療での使用に関与して起こり得る合併症を回避する所望の粒径分布を有する。一般に、過度に小さい粒子が除去されている限り、粒径分布は重要ではない。本発明のZS組成物の中央粒径は3ミクロン超であり、直径が3ミクロン未満の粒子はこの組成物中の粒子の7%未満である。好ましくは、直径が3ミクロン未満の粒子がこの組成物中の粒子の5%未満、より好ましくは4%未満、より好ましくは3%未満、より好ましくは2%未満、より好ましくは1%未満、より好ましくは0.5%未満である。この組成物が、直径が3ミクロン未満である粒子をまったく有しない、あったとしても極微量であることが最も好ましい。中央粒径は好ましくは3ミクロン超であり、1,000ミクロン単位の寸法の粒子を所定の用途に用いることが可能である。好ましくは、中央粒径は5〜1000ミクロン、より好ましくは10〜600ミクロン、より好ましくは15〜200ミクロン、最も好ましくは20〜100ミクロンの範囲である。
上述のイオン交換工程の前、最中、又は後に粒子選別を行うことができる。これによりZS材料のナトリウム含有量は12%未満に低減される。選別と併せていくつかの工程を経てナトリウム含有量を3%未満に低減させることができる。あるいは選別工程の前又は後にナトリウム含有量を3%未満に低減させることができる。ナトリウム含有量が3%未満の粒子は、本明細書で記載した粒径の選別を行うか否かにかかわらず有効である場合がある。
選別すなわち篩い分けに加えて、造粒や、適切な粒径を有する粒子を製造するためのその他の凝集技術を用いて所望の粒径分布を達成してもよい。
他の態様では、このZS組成物は、その表面に付着してグラフト結晶を生成する原子又は分子をさらに含んでいてもよい。グラフト原子又は分子は、好ましくは安定した共有結合によりZSの表面に付着している。一態様では、有機ケイ酸塩部分が、シラノール(≡Si−O−H)等、結晶表面の活性基と反応してZS組成物の表面にグラフトしている。これは、例えば非プロトン性溶媒を用いることにより達成されてもよい。他の態様では、アルコキシシランがグラフトされていてもよく、対応するアルコールを用いてこの反応を行う必要がある。表面の遊離シラノール基は、例えば赤外分光法によって同定することができる。他の態様では、グラフトする材料の表面に活性基がない場合には、酸洗浄を用いて活性基の形成を促進することができる。その後、グラフトを行うが、得られたZS組成物をC又はSi等(これらに限定されない)の放射性同位体で標識化することをさらに含んでいてもよい。別の態様では、ZS組成物はまた、Zr、Si、又はOの同位体等、交換不能な原子を含んでいてもよい。このような同位体は質量バランスを調べるのに有用である場合がある。
これらの細孔性イオン交換組成物を粉末形態で用いることができる、あるいは当該分野で周知の手段で様々な形態にすることができることもまた、本発明の範囲内である。これら様々な形態の例としては、丸薬、成形品、球体、ペレット、不規則形状の粒子などが挙げられる。これら様々な形態を様々な周知の容器で包装することができるも想定されている。そのような容器としては、カプセル、プラスチック袋、パウチ、小包、小袋、1回量包装、小瓶、瓶、あるいは当業者に一般に知られているその他の保持手段等が挙げられる。
本発明の細孔性イオン交換結晶を他の材料と組み合わせて所望の効果を有する組成物を製造してもよい。ZS組成物を、様々な病気の治療に用いられる食品、薬剤、装置、組成物と組み合わせてもよい。例えば、本発明のZS組成物を、木炭等の毒素低減化合物と組み合わせて毒素や毒物を除去してもよい。他の態様では、ZS結晶は、ZS−1からZS−11のうち、2種類以上のZS形態の組み合わせとして存在してもよい。一態様では、ZSのこの組み合わせは、ZS−9とZS−11の組み合わせ、より好ましくはZS−9とZS−7の組み合わせ、さらにより好ましくはZS−9、ZS−11とZS−7の組み合わせを含んでいてもよい。本発明の他の態様では、ZS組成物は、ZS−9のブレンド又は混合物を含んでいてもよく、ZS−9が少なくとも40%超、より好ましくは少なくとも60%超、さらにより好ましくは70%以上存在し、残部は他の形態のZS結晶(すなわち、ZS−1からZS−11)の混合物又は他の非結晶質形態を含んでいてもよい。他の態様では、ZS−9のブレンドは、約50%〜75%のZS−9結晶と、約25%〜約50%のZS−7結晶を含んでいてもよく、残部は他の形態のZS結晶であって、ZS−8結晶を含まない。
上述したように、これら組成物は、体液、透析液、それらの混合物から選択される液状物から各種毒素を吸収するのに特に有用である。本明細書を通して、体液は血液及び胃腸液を含むが、これらに限定されない。また体液の「体」は、任意の哺乳類を意味し、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、サル、ゴリラ、ウマ、イヌなどを含むが、これらに限定されない。本工程は、特に人体から毒素を除去するのに適している。
ジルコニウム金属塩はまた、経口摂取することができる丸薬や錠剤、又はその他の形態に成形することができ、イオン交換体が腸を通過しながら胃腸液中の毒素を捕捉して、最終的に排泄される。一態様では、ZS組成物をウエハース、丸薬、粉末、医療食品、懸濁粉末、又は2種以上のZSを含む層構造にしてもよい。胃の中の多量の酸からイオン交換体を保護するため、成型品を、胃では溶解しないが腸で溶解する各種コーティングで覆ってもよい。一態様では、ZSを成形して腸溶性コーティングで覆うか、あるいは特定の部位に供給するための部位特定錠剤又はカプセルに埋め込んでもよい。
本明細書に記載の丸薬又は錠剤は、高剪断造粒法を用いて製造した後、混合して、丸薬、錠剤、又は任意の他の形状に圧縮する。圧縮錠の例が図34及び図35に見られる。当業者であれば、圧縮された丸薬、錠剤、又は任意の他の形状が、圧縮組成物の形成に必要な一般的な賦形剤を含んでいることがわかっている。このような賦形剤としては、送達制御成分(これらに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、HPMC)、結着剤(これらに限定されないが、微結晶性セルロース、二塩基性リン酸カルシウム、ステアリン酸、デキストリン、グアーガム、ゼラチン)、崩壊剤(これらに限定されないが、澱粉、アルファ澱粉、ヒュームドシリカ、又はクロスポビドン)、潤滑剤又は抗付着剤(これらに限定されないが、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、又はパルミチン酸アスコルビル)、香料(フルクトース、マンニトール、クエン酸、リンゴ酸,又はキシリトール)、コーティング剤(カルナバワックス、マルトデキストリン、又はクエン酸ナトリウム)、安定化剤(これらに限定されないが、イナゴマメ)、ゲル化剤、及び/又は乳化剤(これらに限定されないが、レシチン、蜜ろう)等を含む。当業者であれば、これら賦形剤が、求める特定の機能に応じて他のものに置換されてもよいことがわかる。
また上述したように、本組成物は各種の交換可能な陽イオン(「A」)を用いて合成しているが、この陽イオンを、血液とより相溶性があるか血液に悪影響を及ぼさない第二の陽イオン(A’)と交換することが好ましい。このような理由から、好ましい陽イオンはナトリウムイオン、カルシウムイオン、ヒドロニウムイオン、及びマグネシウムイオンである。好ましいのはナトリウムイオンとカルシウムイオンを含む組成物、ナトリウムイオンとマグネシウムイオンを含む組成物、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、及びヒドロニウムイオンを含む組成物、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、及びヒドロニウムイオンを含む組成物、又はナトリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、及びヒドロニウムイオンを含む組成物である。ナトリウムとカルシウムの相対的な量は、かなり幅がある場合があり、血液中の細孔性組成物及びこれらイオンの濃度に依存する。上述したように、ナトリウムが交換可能な陽イオンである場合、ナトリウムイオンをヒドロニウムイオンで交換して組成物のナトリウム含有量を下げることが望ましい。
米国出願第13/371,080号(その全内容が参照により組み込まれる)に関連して記載したZS結晶は、陽イオン交換能すなわちカリウム交換能が高められている。交換能の高いこれらの結晶もまた本発明に従って用いてもよい。本発明による医薬品組成物の処方に用いる用量は、当業者によって求められた陽イオン交換能に応じて調整される。従って、処方に用いる結晶量は、この求められた陽イオン交換能に基づいて変動する。陽イオン交換能が高いと、同じ効果を達成するのに必要な用量が少なくなることがある。
本発明の組成物は、血清カリウム濃度の上昇に関係する病気又は症状の治療に用いることができる。これらの病気は、例えば慢性又は急性腎臓病、慢性、急性、又は亜急性高カリウム血症を含んでいてもよい。血清カリウム濃度の上昇を伴う病気又は症状を患っている患者に、カリウムを下げる特定の用量で本発明の生成物を投与する。投与量は、ZSが約1.25〜15グラム(約18〜215mg/Kg/日)、好ましくは8〜12グラム(約100〜170mg/Kg/日)の範囲、より好ましくは10グラム(約140mg/Kg/日)で1日3回であってもよい。他の態様では、組成物の総投与量が、約15〜45グラム(約215〜640mg/Kg/日)、好ましくは24〜36グラム(約350〜520mg/Kg/日)の範囲、より好ましくは30グラム(約400mg/Kg/日)であってもよい。対象者に投与する場合、本発明の組成物は血清カリウム濃度を約3.5〜5mmol/Lの正常濃度あるいはその付近まで下げることができる。本生成物の分子篩は、具体的には他の電解質に影響を及ぼすことなく(すなわち、低マグネシウム血症も低カルシウム血症も引き起こさず)カリウムを除去することができる。本生成物あるいは組成物の使用は、下剤やその他の樹脂の補助なしに過剰な血清カリウムを除去する。
急性高カリウム血症は、すぐに血清カリウム濃度を正常濃度あるいはその付近まで下げる必要がある。KECが約1.3〜2.5ミリ当量/gの範囲である本発明の分子篩であれば、上昇したカリウム濃度を投与後約1〜8時間以内に正常範囲内まで下げることができる。一態様では、本発明の生成物は、投与後、少なくとも約1時間以内、2時間以内、4時間以内、6時間以内、8時間以内、10時間以内に上昇したカリウム濃度を下げることができる。上昇したカリウム濃度を下げるのに必要な投与量は約5〜15グラム、好ましくは8〜12グラムの範囲、より好ましくは10グラムであってもよい。約2.5〜4.7ミリ当量/gの範囲の高いKECを有する分子篩は、カリウムを吸収するのにより効果的である。その結果、上昇したカリウム濃度を下げるのに必要な投与量は約1.25〜6グラムの範囲であってもよい。投与計画は少なくとも1日1回、より好ましくは1日3回であってもよい。
慢性及び亜急性高カリウム血症の治療には、カリウム濃度を正常血清カリウム濃度付近又は以内に保つことが必要である。従って、本発明の生成物の投与は、急性高カリウム血症を患っている患者に処方される投与量よりも少ない。一態様では、約2.5〜4.7ミリ当量/gの範囲のKECを有する分子篩を含む組成物は、投与量が約1〜5グラム、好ましくは1.25〜5グラム、好ましくは2.5〜5グラム、好ましくは2〜4グラムの範囲、より好ましくは2.5グラムで計画を立てる。約2.5〜4.7ミリ当量/gの範囲のKECを有する分子篩を含む組成物はより少なく投与され、投与量は約0.4〜2.5グラム、好ましくは0.8〜1.6グラム、好ましくは1.25〜5グラム、好ましくは2.5〜5グラムの範囲、より好ましくは1.25グラムで計画を立てる。患者のこの下位集団では投与計画を遵守することが正常なカリウム濃度を維持する上での主要な要因である。従って、投与計画を検討するのが重要である。一態様では、この投与量を少なくとも1日3回、より好ましくは1日1回患者に与える。
本発明の好ましい一側面は、慢性腎臓病及び/又は慢性心臓病の治療における細孔性ケイ酸ジルコニウムの使用である。利尿剤を含む治療の使用は、慢性腎臓病及び/又は慢性心臓病の治療では一般的である。従来、利尿剤を含む治療を用いてこれらの症状を治療しようという試みは、高カリウム血症等の望ましくない影響につながっていた。本発明者らは、慢性腎臓病を患っており、利尿剤を含む治療を施されている患者に細孔性ケイ酸ジルコニウムを投与すると、悪影響なくカリウム濃度を大きく下げるということを観察した。これら悪影響は利尿剤を含む治療をACE阻害薬及びARB治療と併用した場合に観察された。予期せぬことに、本発明者らはまた、細孔性ケイ酸ジルコニウムの投与により、アルドステロン阻害薬の悪影響なしに全身系でアルドステロンが低下することを観察した。
これらの観察から、本発明によるケイ酸ジルコニウムが慢性腎臓病を患っている患者の治療に有効であることが分かった。利尿剤を含む治療が行われているこれらの患者に対して細孔性ケイ酸ジルコニウムを投与すると、高カリウム血症を発現させる危険を低下させ、また高カリウム血症を誘発させずにアルドステロンを低減する。このケイ酸ジルコニウムを単独で投与してもよく、利尿剤又は利尿剤とACE阻害薬及び/又はARB治療を含む既存の治療と併用して投与してもよい。ケイ酸ジルコニウムの作用の独立した機構とACE/ARB治療を考慮すると、これら治療と併せた細孔性ケイ酸ジルコニウムの投与は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系(RAAS)に及ぼす効果を改良し、さらにCKD及びCVDに及ぼすアルドステロンの悪影響を緩和することが予測される。細孔性ケイ酸ジルコニウムの異なる機構と独立したアルドステロン低減能は、併用療法間の少なくとも相加作用、ことによると相乗作用をもたらすと予測される。
他の態様では、利尿剤は、一般にチアジン又はチアジン系利尿剤、ループ系利尿剤、又はカリウム保持性利尿剤という3種類から選択される任意の利尿剤を含んでいてもよい。好ましい一態様では、利尿剤はカリウム保持性利尿剤、例えばスピロノラクトン、エプレレノン、カンレノン(例えば、カンレノ酸カリウム)、プロレノン(例えば、プロレノ酸カリウム)、メクスレノン(メクスレノ酸カリウム)、アミロリド、トリアムテレン、又はベンザミルである。本発明による細孔性ケイ酸ジルコニウムと併用することができる利尿剤としては以下のものが挙げられる。フロセミド、ブメタニド、トルセミド、エタクリン酸、エトゾリン、ムゾリミン、ピレタニド、チエニル酸、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、シクロペンチアジド、シクロチアジド、メブチジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロルメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネサゾン、クロパミド、メフルシド、クロフェナミド、メチクラン、キシパミド、クロレキソロン、フェンキゾン。
本発明による細孔性ケイ酸ジルコニウムと併用することができるACE阻害薬としては、例えば以下のものが挙げられる:カプトプリル又はゾフェノプリル等のスルフヒドリル含有剤;エナラプリル、ラミプリル、キナプリル、ペリンドプリル、リジノプリル、ベナゼプリル、イミダプリル、ゾフェノプリル、トランドラプリル等のジカルボン酸塩含有剤;ホシノプリル等のリン酸塩含有剤;及びカソキニンとラクトキニン等の天然由来のACE阻害薬。本発明による細孔性ケイ酸ジルコニウムと併用することができるARBとしては、例えば、バルサルタン、テルミサルタン、ロサルタン、イルベサルタン、アジルサルタン、オルメサルタンが挙げられる。上記の組み合わせは特に望ましい。例えば、CKD及び/又はCVDを治療する好ましい方法は、細孔性ケイ酸ジルコニウム、ラミプリル(ACE阻害薬)、及びテルミサルタン(ARB)の投与を含む。例えば、本発明は、慢性腎臓病と診断された患者に、ラミプリル/テルミサルタンの併用療法と併せて細孔性ケイ酸ジルコニウムを投与することを含んでいてもよい。ACE阻害薬とARBは、CKD治療において標準的な投与量で投与してもよく、場合によっては細孔性ケイ酸ジルコニウムと併用するACE阻害薬/ARBの相乗効果に応じて標準よりも少ない投与量で投与してもよい。
CKD及び/又はCVDを治療する他の手法は、アルドステロン拮抗薬、すなわち抗鉱質コルチコイド薬と共に細孔性ケイ酸ジルコニウムを投与することを含む。これらの薬剤は慢性心不全の治療の補助治療として用いられることが多い。細孔性ケイ酸ジルコニウムのアルドステロンに及ぼす効果に関する本発明者の観察に基づき、細孔性ケイ酸ジルコニウムとアルドステロン拮抗薬の組み合わせは、相加的活性及び/又は相乗的活性をもたらす場合がある。好適なアルドステロン拮抗薬としては、スピロノラクトン、エプレレノン、カンレノン(例えば、カンレノ酸カリウム)、プロレノン(例えば、プロレノ酸カリウム)、及びメクスレノン(メクスレノ酸カリウム)等が挙げられる。
他の好ましい態様は、臓器交換又は移植を受けた患者への細孔性ケイ酸ジルコニウム、好ましくはZS−9の共投与に関する。典型的に、これら患者は、免疫系による臓器の拒絶の危険性を下げるために免疫抑制剤の投与が必要である。しかしながら、これら免疫抑制剤もまた、患者のカリウム濃度を上昇させて、高カリウム血症を発症させる危険性を増加させる。免疫抑制剤は、誘導剤又は維持剤(カルシニューリン阻害剤、抗増殖剤、mTor阻害剤、又はステロイド等)のいずれを含んでいてもよい。本発明の本発明者らは、予期せず、細孔性ZSと免疫抑制剤を併用する治療が、血清カリウム濃度を下げることにより高カリウム血症が発症する危険性を下げることを見出した。典型的な免疫抑制剤は、タクロリムス、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチル、ミコフェノール酸ナトリウム、アザチオプリン、シロリムス,及び/又はプレドニゾン等を含んでいてもよい。
本発明者らは、予期せず、糖尿病患者、具体的には、真性糖尿病患者への細孔性ZSの投与が血清カリウム濃度を下げることができることを見出した。本発明者らはまた、ZSの投与を組み合わせた場合、血清カリウム濃度を上昇させる危険性なしに糖尿病患者へのレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤投与を継続させることができることを見出した。従って、本発明の一態様は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤が投与されている糖尿病患者に対して、細孔性ZSを含む組成物で治療を行う方法である。本発明のさらに他の態様では、患者は、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤と細孔性ZS、好ましくはZS−9の組み合わせを投与されてもよい。
本発明の組成物又は生成物は、投与が簡便なように処方されてもよい。例えば、本発明の組成物は、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、結晶、小包、又は一般に当業者に周知のその他の剤形として処方されてもよい。各種形態を、1日、1週間、又は1ヶ月あたりの複数回投与について個々の投与量として5〜15グラム、好ましくは8〜12グラム、より好ましくは10グラムを含むように処方することができる。あるいは、各種形態を、15〜45グラム、好ましくは24〜36グラム、より好ましくは30グラムの単回投与量として処方してもよい。他の態様では、個々の剤形は少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、又は40グラム超で処方することができる。剤形が錠剤の場合、顆粒、顆粒状、又は徐放性形態として処方されてもよい。カプセルは、1日3回スプリンクル(sprinkle)、徐放性スプリンクル、又は一包として投与されるように処方されてもよい。粉末は、再構成用に処方されてもよく、プラスチック袋又は小包に入れられていてもよい。当業者は、上記の剤形は限定的ではなく、固体の他の剤形を用いて本発明の生成物又は組成物を投与してもよいことを認識している。
驚くべきことに、上述のように本発明の組成物を具体的には1日3回、約10グラム(約140mg/Kg/日)(すなわち、合計30グラム(約400mg/Kg/日))投与すると、血清中のカリウム濃度を下げる期間を長くすることができる。本発明者らは、本発明の組成物又は生成物を1日3回約10グラムの用量で投与すると、血清カリウム濃度を正常濃度以内に下げる効果が、救急治療の2日後に5日間持続することを見出した。しかしながら、本発明の生成物は比較的速く排出されると予測された。
本発明のZSは、対象者に複数の症状や病気がある場合、他の薬剤や治療に合わせて修正及び/又はそれらと組み合わせてもよい。例えば、一態様では、対象者は高カリウム血症と慢性腎臓病の両方が見られ、Na−ZS組成物を用いている場合がある。他の態様では、慢性腎臓病の治療に用いるZS組成物は、ZSのプロトン化形態と組み合わせてさらに重炭酸ナトリウムを含んでいてもよい。他の態様では、高カリウム血症と慢性心不全の対象者は、プロトン化ZS組成物の使用が必要である場合がある。他の態様では、高カリウム血症と慢性心臓病の治療に、ZS中に存在するナトリウムが10%以下、より好ましくは2%未満であることが必要である。
本発明の他の態様では、本明細書で記載したZSは、さらに活性炭と組み合わされていてもよい。活性炭は、対象者の系内を循環する有機分子を引き寄せる効果を有する。例えば、HSGD Haemosorbents for Medical Device Applications, Nikolaev V.G. Presentation, London(医療機器応用のためのHSGD血液吸着剤、ロンドンでの発表)を参照のこと。従って、活性炭とZSの組み合わせは、過剰なカリウムと有機分子の両方を除去する能力を有する組み合わせ生成物として作用する。活性炭は、直径が約8オングストロームから約800オングストローム、好ましくは少なくとも約50オングストロームの範囲の吸着孔を多数含む。本発明による活性炭と組み合わせたZSは、(これらに限定されないが例えば脂質、タンパク質、及び毒素など)過剰な有機材料の除去が必要な多くの病気及び/又は症状の治療に有用である。例えば、本発明のZS組成物を含む炭素は、ピリミジン類、メチルグアニジン類、グアニジン類、o−ヒドロキシ馬尿酸、p−ヒドロキシ馬尿酸、パラトルモン、プリン、フェノール、インドール、農薬、発ガン性複素環アミン、アスコルビン酸の共役、トリハロメタン類、ジメチルアルギニン、メチルアミン類、有機クロロアミン類、ポリアミン類、又はこれらの組み合わせを除去するのに有益である。ZSと組み合わせる活性炭はまた、高濃度になった胆汁酸、アルブミン、アンモニア、クレアチニン、ビリルビンを吸収するのに有用である。コーティングしたZSを用いて活性炭の吸着をさらに向上させるため、この組成物をアルブミン層、脂質層、DNA層、ヘパリン層でさらに覆ってもよい。これにより吸着効果が約12%から約35%の範囲でさらに高まる。
活性炭とZS組成物は、高カリウム血症、急性及び慢性胃カタル、急性及び慢性腸カタル、胃酸過多性胃炎、夏期下痢、カタル性黄疸、食中毒、腎臓病、赤痢、コレラ、腸チフス、腸内細菌キャリア、胸やけ、吐き気、急性ウイルス性肝炎、慢性活動性肝炎及び肝硬変、随伴性肝炎、機械的黄疸、肝腎不全、肝性昏睡、あるいはこれらの組み合わせ等の複数の病気又は症状を持つ対象者の治療に有益である。
他の態様では、本明細書記載の組成物を必要とする対象者に投与して過剰なカリウム濃度を下げることを含む様々な方法に本明細書記載のZS組成物を用いてもよい。本発明の他の態様では、この方法は、本明細書で記載したZSの組み合わせの投与を含んでいてもよく、対象者からのカリウム除去を補助しながら同時に(これらに限定されないが毒素、タンパク質、イオン等)他の物質も除去する追加の組成物をさらに含んでいてもよい。
本発明をより詳しく説明するため、以下の実施例について述べる。なお、これらの例は単に説明のためであって、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲に対する不適当な限定を意図するものではない。
実施例1
2058gのコロイド状シリカ(デュポン社製Ludox(登録商標)AS−40)と2210gのKOHを7655gのHOに混合して溶液を調製した。数分間、激しく撹拌した後、1471gの酢酸ジルコニウム溶液(22.1重量%のZrO)を添加した。この混合物をさらに3分間撹拌し、得られたゲルをステンレス製反応器に移して200℃で36時間水熱反応させた。反応器を室温まで冷却し、この混合物を真空濾過して固体を分離した。この固体を脱イオン水で洗浄し、空気中で乾燥した。
この固体反応生成物を分析したところ、21.2重量%のSi、21.5重量%のZr、20.9重量%のKを含有しており、強熱減量(LOI)が12.8重量%であった。これによりK2.3ZrSi3.29.5・3.7HOの組成が得られた。この生成物を試料Aとした。
実施例2
121.5gのコロイド状シリカ(デュポン社製Ludox(登録商標)AS−40)と83.7gのNaOHを1051gのHOに混合して溶液を調製した。数分間、激しく撹拌した後、66.9gの酢酸ジルコニウム溶液(22.1重量%のZrO)を添加した。この混合物をさらに3分間撹拌し、得られたゲルをステンレス製反応器に移して200℃で72時間撹拌しながら水熱反応させた。反応器を室温まで冷却し、この混合物を真空濾過して固体を分離した。この固体を脱イオン水で洗浄し、空気中で乾燥した。
この固体反応生成物を分析したところ、22.7重量%のSi、24.8重量%のZr、12.8重量%のNaを含有しており、LOIが13.7重量%であった。これによりNa2.0ZrSi3.09.0・3.5HOの組成が得られた。この生成物を試料Bとした。
実施例3
224gの脱イオン化HOに溶解させた64.52gのKOHの攪拌溶液に、コロイド状シリカ(デュポン社製Ludox(登録商標)AS−40)の溶液(60.08g)を15分間かけてゆっくり添加した。この後、45.61gの酢酸ジルコニウム(アルドリッチ社製、15〜16重量%のZrの希酢酸溶液)を添加した。この添加が終わった後、4.75gの含水Nb(LOI:30重量%)を添加し、さらに5分間撹拌した。得られたゲルを、撹拌器付きオートクレーブ反応器に移して、200℃で1日間水熱反応させた。その後、反応器を室温まで冷却し、混合物を真空濾過した。得られた固体を脱イオン水で洗浄し、空気中で乾燥した。
この固体反応生成物を分析したところ、20.3重量%のSi、15.6重量%のZr、20.2重量%のK、6.60重量%のNbを含有しており、LOIは9.32重量%であった。これによりK2.14Zr0.71Nb0.29Si9.2・2.32HOの組成が得られた。試料の一部を走査型電子顕微鏡(SEM)で分析したところ(結晶のEDAXを含む)、ニオブ、ジルコニウム、ケイ素の骨格元素の存在が示された。この生成物を試料Cとした。
実施例4
141.9gのNaOHペレットを774.5gの水と混合して調製した溶液に、303.8gのケイ酸ナトリウムを撹拌しながら添加した。この混合物に、179.9gの酢酸ジルコニウム(15%Zrの10%酢酸溶液)を滴下した。完全に混合した後、この混合物をハステロイ(登録商標)反応器に移して自己圧力で72時間撹拌しながら200℃まで加熱した。反応時間に達したら、混合物を室温まで冷却して、濾過した。得られた固体生成物を0.001MのNaOH溶液で洗浄し、100℃で16時間乾燥させた。X線粉末回折で分析したところ、生成物は純粋なZS−11であることが分かった。
実施例5
848.5gの水に溶解させた37.6gのNaOHペレットを容器に加えた。この溶液に、322.8gのケイ酸ナトリウムを加えて混合した。この混合物に、191.2gの酢酸ジルコニウム(15%Zrの10%酢酸溶液)を滴下した。完全に混合した後、この混合物をハステロイ(登録商標)反応器に移して自己圧力条件で72時間撹拌しながら、反応器を200℃まで加熱した。冷却時に生成物を濾過し、0.001MのNaOH溶液で洗浄し、100℃で16時間乾燥させた。X線粉末回折で分析したところ、生成物はZS−9(すなわち、主にZS−9の結晶形態である組成物)であることが分かった。
実施例6
約57g(揮発成分を除いていない重量、ロット0063−58−30)のNa−ZS−9を約25mLの水に懸濁させた。pH計でpHを監視しつつ0.1NのHClの溶液をゆっくり撹拌しながら徐々に添加した。0.1NのHClを合計約178ミリリットル、撹拌しながら添加し、この混合物を濾過した。さらに1.2リットルの0.1NのHClで洗浄した。この材料を濾過して、乾燥させ、脱イオン水で洗浄した。得られた材料のpHは7.0であった。0.1NのHClを用いて3回のバッチ式イオン交換から得られたこのH−ZS−9粉末は、12%未満のNaであった。
この例に示すように、希釈した強酸を用いたバッチ式イオン交換により、NA−ZS−9組成物のナトリウム含有量を所望の範囲内に低下させることができる。
実施例7
約85グラム(揮発成分を除いていない重量、ロット0063−59−26)のNa−ZS−9を、洗浄液のpHが7になるまで2リットルずつ約31リットルの脱イオン水で3日かけて洗浄した。この材料を濾過して、乾燥させ、脱イオン水で洗浄した。得られた材料のpHは7であった。バッチ式イオン交換から得られたこのH−ZS−9粉末は、12%未満のNaであった。
この例に示すように、水洗によってNA−ZS−9組成物のナトリウム含有量を所望の範囲に低下させることができた。
実施例8
ZS−9結晶の個別のバッチを光散乱回折技術により分析した。粒径分布と、その他の測定パラメータを図2〜図4に示す。d(0.1)値、d(0.5)値、d(0.9)値は、それぞれ10%粒径値、50%粒径値、90%粒径値を表す。累積粒径分布を図4〜図6に示す。以下の図から明らかなように、直径3ミクロン未満の粒子の累積容積は、約0.3%から約6%の範囲である。また、ZS−9のそれぞれのバッチは異なる粒径分布を有しており、直径3ミクロン未満の粒子の量は様々である。
実施例9
ZS−9の結晶を選別して、直径が小さい粒子を除去した。寸法の異なる篩を用いて選別して得られたZS−9結晶の粒径分布を分析した。以下の図に示すように、適切なメッシュの篩を用いて直径が3ミクロン未満の粒子の分率を低下させる、あるいはそのような粒子を除去することができる。選別しない場合の、直径が3ミクロン未満の粒子は約2.5%であった。図5を参照のこと。635メッシュの篩で選別すると、直径が3ミクロン未満の粒子の分率は約2.4%に低下した。図6を参照のこと。450メッシュの篩で選別すると直径が3ミクロン未満の粒子の分率はさらに約2%まで低下した。図7を参照のこと。325メッシュの篩を用いると、直径が3ミクロン未満の粒子の分率はさらに約0.14%に低下した。図8を参照のこと。最後に230メッシュの篩を用いると、直径が3ミクロン未満の粒子の分率は0%まで低下した。図9を参照のこと。
この例で示した選別技術により、直径が3ミクロン未満の粒子がほとんど、あるいは全くないZS−9の粒径分布が得られることが示されている。実施例5によるZS−9又は実施例6及び7によるH−ZS−9をこの例で教示したように選別して所望の粒径分布にしてもよいことがわかる。具体的には、ZS−9及びH−ZS−9の両方において、この例で用いた技術により本明細書で開示した好ましい粒径分布が得られることがある。
実施例10
ビーグル犬で回復性試験を伴う14日間反復投与経口毒性試験を行った。この医薬品安全性試験実施基準(Good Laboratory Practice, GLP)に準拠した経口毒性試験をビーグル犬に対して行い、少なくとも連続14日、1日3回、12時間に渡って6時間間隔で食事として投与した場合のZS−9の起こりうる経口毒性を評価した。本試験で、ZS−9を0(対照)mg/kg/投与、325mg/kg/投与、650mg/kg/投与、又は1300mg/kg/投与の用量で3/匹/性別/投与量に投与した。さらに2/匹/性別/投与量を回復性試験に割り当て、本試験動物と一緒に0mg/kg/投与又は1300mg/kg/投与を与えて、さらに10日間治療を中断した。補正因子1.1274を用いてZS−9の水分を補正した。投与量記録を用いて投与量が正確であることを確認した。
順応期間(−7日目から−1日目)中は6時間間隔で3回ウエットフード(水分を含む餌)を食べるようにイヌを訓練した。治療中、試験品の必要量(記録した最新の体重に基づく)を約100gのウエットフードと混合し、6時間間隔でイヌに与えた。1日の最後の投与量を消費した後に、さらにドライフードを与えた。それぞれのイヌには同じ量のウエットフードを与えた。体重は、到着時と、−2日目、−1日目、6日目、13日目、及び20日目に記録した。順応期間中、治療期間中、及び回復期間中は臨床観察を1日2回行った。ウエットフード及びドライフードの消費量を治療期間中は毎日測定した。血清化学、血液学、凝析、尿検査パラメータ分析用の血液試料及び尿試料を予備試験(−1日目)日及び13日目に集めた。眼科検査を予備試験(−6日目/7)日と7日目(メス)又は8日目(オス)に行った。心電図評価を予備試験(−1日目)日と11日目に行った。試験終了時(14日目:本試験日、及び24日目:回復性試験日)に死体解剖検査を行い、試験規約に指定された臓器重量を計測し、選択した組織を顕微鏡で調べた。
14日間、12時間に渡って6時間間隔で1日3回餌と一緒にZS−9を325mg/kg/投与、650mg/kg/投与、及び1300mg/kg/投与を経口投与することには耐容性が見られた。臨床的兆候は、325mg/kg/投与を投与した何匹かのイヌ及び治療第二週の間に650mg/kg/投与以上を投与されたすべての動物の糞に試験品と思われる白い材料が観察されたことに限られた。体重、体重の変化、餌の消費、血液学及び凝析パラメータ、あるいは眼底検査及び心電図評価に及ぼす悪影響はなかった。
ZS−9の投与に関連して肉眼的所見はなかった。顕微鏡により、治療した動物の腎臓には極小から中程度の病巣性炎症及び/又は多巣性炎症が観察されたが、対照動物には見られなかった。これらの病巣は、650mg/kgと1300mg/kgでは同じような発生数で同程度見られたが、325mg/kgでは発生数も少なく程度も小さかった。何匹かのイヌでは、炎症は両方の腎臓ではなく片方であり、いくつかの症例では、膀胱及び尿管起点の炎症と関連づけられた。これらの観察を合わせると、ZS−9で治療したイヌの尿組成物の変化等、直接の腎損傷以外の要因が、これらのイヌの組織に微生物が観察されなくても亜臨床的な尿路感染を増大させる場合があるということを示唆している。回復性試験の動物では、炎症はメスでは完全に消散し、オスでは一部で消散された。これは炎症の原因が何であれ、投与を中止すると炎症が元に戻る性質であることを示唆している。
ZS−9で治療したビーグル犬に観察された混合白血球炎症の増加発生数を以下にまとめる。
また、以下にまとめたように、最少急性膀胱炎及び未同定結晶が、650mg/kg/投与で投与したメスの腎盂及び尿に観察された。
結晶は、群2又は群4のメス、あるいはZS−9で治療したいずれのオスでも同定されなかった。
この両方の試験において、尿のpHは、対照と比較して上昇していることが分かった。尿のpH及び/又は尿組成物の変化が尿の溶質溶解度に影響して結晶が形成され、尿路炎症及び/又は尿路感染(UTI)への感染を増加させると思われる。
尿結晶(細長い、尖った塊)の記述と、粒径の分析結果及び試験品の溶解度とを合わせると、これら結晶はZS−9ではないと思われる。
実施例11
ZS−9の結晶を調製して、「ZS−9(未選別)」として示した。実施例10の手順に従ってZS−9結晶の試料を選別し、選別した試料を「ZS−9(>5μm)」として示す。他のZS−9結晶の試料を上記実施例6の手順に従ってイオン交換し、実施例10の手順に従って選別する。得られたH−ZS−9結晶を「ZS−9+(>5μm)」として示す。
以下の14日間の試験は、粒径及び粒子形状が尿のpHと尿中の結晶の存在に及ぼす効果を示すために設計されている。上記の化合物は、ウエットフードに混ぜてビーグル犬に経口投与される。投薬計画は、12時間に渡って6時間間隔で1日3回、以下のように投与する。
以下の表に、観察、毒物動態学的評価、実験室での検査血液学、尿検査)、及び最終処理についての概略を示す。
この試験中、メスイヌにウエットフードを媒体として試験品ZS−9(未選別)、ZS−9(>5μm)、及びZS−9+(>5μm)を連続14日間、12時間に渡って6時間間隔で1日3回経口消費により投与した。投与量は100mg/kg/投与又は600mg/kg/投与であった。
すべての動物が、14日間の投与期間生存した。死亡率、体重、体重増加、臓器重量、肉眼的所見、又は臨床化学又は血液ガスパラメータにおいて試験品に関連した変化は見られなかった。ZS−9に関連した所見は、6000mg/kg/投与の投与量で選別済みZS−9又は未選別ZS−9を投与された動物のナトリウムの排出分率及び尿のpHが増加したこと、及びZS−9(未選別)し、ZS−9(>5μm)、及びZS−9+(>5μm)を600mg/kg/投与で投与された動物においてカリウムの排出分率と尿中の尿素窒素/クレアチニン比が減少していたことに限られていた。
対象群の動物に比べて、600mg/kg/投与のZS−9(未選別)及びZS−9(>5μm)で治療された動物では、尿のpHが統計学的に大きく増加した。このような増加は、100mg/kg/投与又は600mg/kg/投与のZS−9+(>5μm)で治療した動物では観察されなかった。これら動物の尿の平均pHは、7日目に5.33から7.67に増加し、13日目に5.83から7.733に増加した。600mg/kg/投与のプロトン化ZS−9(ZS−9+(>5μm))で治療した動物の尿のpHには効果を及ぼさなかった。これは、高い投与量のナトリウム装填ZS−9(ZS−9(未選別)及びZS−9(>5μm))で治療された動物で尿のpHが増加したのは、胃腸で水素が吸収された結果であることを示唆している。
尿容量及び比重のすべての差を正常な生物学的変動及び/又は手順に関する変動の許容範囲内とみなした。治療群の間で、生化学(タンパク質、ケトン等)尿成分と微視的(結晶、血液細胞等)尿成分との間にいくらか変動があった。これらもまた、生物学的変動及び/又は手順に関する変動の許容範囲内とみなした。3元リン酸塩結晶(リン酸マグネシウムアンモニウム)は、すべての試験間隔でほとんどの動物に観察された。また、稀にシュウ酸カルシウム二水和物結晶が少数の動物で観察された。これら両方の結晶は、イヌに通常見られるものと考えられる。これらの観察された結晶のいずれかが治療又は試験品に関係していることを示唆するようなパターンは、いずれの動物でも観察されなかった。いずれの動物でも尿沈殿物中に未同定結晶は観察されなかった。
7日目及び13日目に、対照を含むすべての群において予備投与間隔に対してナトリウムの排出分率が増加した。600mg/kg/投与のZS−9(未選別)、ZS−9(>5μm)、及びZS−9+(>5μm)を投与された動物は、他の治療群や対照動物よりもナトリウムの排出分率の増加がわずかに大きくなっていた(対照に対して116%まで)。これら3つの群で観察された増加は、予想範囲を超えたレベルになっている場合があったが、これは試験品に起因するものであった。これら3つの群で観察された変化において識別可能な差は認めることができなかった。600mg/kg/投与のプロトン化ZS−9で治療した動物のナトリウムの排出分率には差がなかった。これらの変化は試験品に起因するものであり、毒物学的に有害であるとは考えられなかった。
7日目と13日目に、対照に比べて、600mg/kg/投与のZS−9(未選別)、ZS−9(>5μm)、及びZS−9+(>5μm)と100mg/kg/投与のZS−9(>5μm)で治療した動物ではカリウムの排出分率が大きく低下したことが観察された。これらの値のほとんどは、7日目と13日目に対照と比較して統計学的に大きな変化であった。これらの低下は、試験品の薬理効果に起因するものであった。
7日目と13日目に、対照を含むすべての群で尿素窒素/クレアチニン比が予備投与間隔に比べて穏やかに上昇した。7日目と13日目に、600mg/kg/投与のZS−9(未選別)、ZS−9(>5μm)、及びZS−9+(>5μm)を投与された動物の尿素窒素/クレアチニン比が対照に比べて(26%まで)穏やかに低下した。これら4つの群で観察された変化のほとんどは、7日目と13日目で対照と比べて統計学的に大きな変化であるが、群の平均値は、それぞれの予備試験値と比べた場合はっきりと異なるものではなかった。これらの所見は、試験品に関連したものと判断した。
他の評価項目間で統計学的に有意な差が時折見られたが、クレアチニン・クリアランス、カルシウム/クレアチニン比、マグネシウム/クレアチニン比、又は尿のモル浸透圧濃度に及ぼす試験品に関連した影響はいずれの治療群でも確認されなかった。
試験品に関連した腎臓における微視的所見は600mg/kg/投与で観察された。最も共通して発見されたのは、極小から中程度の混合白血球浸潤物(リンパ球、血漿細胞、マクロファージ及び/又は好中球)及び極小から中程度の尿細管の再生(弱毒化された上皮細胞に沿ってわずかに拡張した尿細管、膨張した核を持った上皮細胞、及び好塩基性細胞質)であった。極小の腎盂炎(腎盂の粘膜下層での好中球、リンパ球、及び血漿細胞の浸潤)及び極小の尿細管変性/壊死(濃縮した核又は破裂した核のいずれかを有する好酸球増加細胞に沿って並び、内腔にはがれた上皮細胞及び/又は炎症細胞を含む尿細管)が、600mg/kg/投与のZS−9(未選別)を投与したイヌの1/3で、また600mg/kg/投与のZS−9(>5μm)を投与したイヌの1/3で観察された。尿道又は尿管での極小腎盂炎及び混合白血球浸潤はまた、ZS−9(>5μm)を投与した何匹かのイヌにも見られた。
腎臓の変化の大部分は皮質に現れたが、髄質に乱雑な分布、単巣性から多巣性(4病巣まで)分布が見られる場合もあった。これらの病巣は寸法も様々で、ほとんどは不規則な形状であったが、いくつかは(外皮質から髄質まで延びた)規則的な形状であった。また、所定の切片中の腎実質に5%未満含まれていた。これらの病巣のほとんどは、極小から中程度の尿細管の再生を伴う極小から中程度の混合白血球浸潤からなり、いくつかの病巣は混合白血球湿潤を伴わない極小から中程度の尿細管の再生のみを有していた。これらの病巣のいくつか(600mg/kg/投与のZS−9(未選別)を与えた2匹のイヌ及び600mg/kg/投与のZS−9(>5μm)を与えた1匹のイヌ)は、尿細管変性/壊死をわずかに含んでいた。4匹のイヌ(600mg/kg/投与のZS−9(未選別)を与えた1匹のイヌと600mg/kg/投与のZS−9(>5μm)を与えた3匹のイヌ)で腎盂炎が見られた。
混合白血球湿潤はまた、600mg/kg/投与のZS−9(>5μm)を与えたイヌの両尿管の粘膜下層、及び600mg/kg/投与のZS−9(未選別)と600mg/kg/投与のZS−9(>5μm)を与えた動物の尿道の粘膜下層にも見られた。腎実質での混合白血球浸潤物の発生数及び/又は程度は、腎盂炎のないイヌに比べて腎盂炎のあるイヌのほうが高かった。何匹かのイヌでは、尿道及び尿管の腎盂炎及び/又は混合白血球浸潤物と、炎症性浸潤物を伴う腎臓所見の多巣性の乱雑分布は、上行尿路感染を連想させ、600mg/kg/投与の腎臓所見が試験品の間接的影響であろうことを示唆するものである。
600mg/kg/投与でZS−9(未選別)が与えられたイヌでは、3匹のうち2匹の腎臓が上記所見の1つ以上の影響を受けていた。600mg/kg/投与でZS−9(>5μm)が与えられた3匹のイヌすべてが、腎盂炎及び尿道又は尿管の粘膜下層中の混合白血球浸潤物を含む腎臓障害を有していた。600mg/kg/投与でZS−9+(>5μm)を与えたイヌは尿細管再生を伴う極小の混合白血球湿潤を有していたが、そのうちの1匹のイヌでは左腎臓のみに見られた。それ以外のイヌでは、極小の尿細管再生の病巣がいくつか見られた。
試験品に関連した(直接又は間接の)所見は100mg/kg/投与(ZS−9、ZS−9(>5μm)、ZS−9+(>5μm))でZS−9(未選別)を与えたメスイヌには見られなかった。極小の尿細管再生の病巣が1つ又は2つ、これら動物のうちの3匹に見られる場合があったが、混合白血球湿潤又は尿細管変性/壊死の兆候はなかった。又は尿細管再生の同様の病巣が1つ以上、対照のメスイヌにも見られた。これより少ない投与量でZS−9(未選別)を与えたメスイヌで観察された尿細管変性の病巣は、上記の場合よりも幾分小さいものであり、混合白血球浸潤物や尿細管変性/壊死のいずれとも関連づけられなかった。調べた切片のいずれでも結晶の痕跡はなかった。乳頭及び糸球体脂肪代謝異常での尿細管石化がビーグル犬で背景の所見として見られたが、試験品に関連したものであるとは考えなかった。
600mg/kg/投与でZS−9(未選別)、ZS−9(>5μm)、及びZS−9+(>5μm)を投与した場合、腎臓での極小から中程度の混合白血球浸潤物が、ZS−9(未選別)とZS−9(>5μm)を投与したイヌの極小から中程度の尿細管再生、極小の尿細管変性/壊死、尿管及び/又は尿道における極小の混合白血球浸潤物、及び極小腎盂炎と関連づけられる場合があった。
600mg/kg/投与のZS−9+(>5μm)で治療したイヌでは、尿のpHの増加が見られなかった。加えて、これらのイヌと600mg/kg/投与のZS−9(未選別)で治療してカリウムを補充したイヌでは、微視的所見の発生数が低下していた。これらのことは、試験品の薬理作用による尿のpHの増加及び/又はカリウムの除去が尿結晶及び細菌からの自然損傷を受けやすくなっていることを示唆している。
これらの結果に基づき、無影響量(NOEL)はZS−9(未選別)、ZS−9(>5μm)、及びZS−9+(>5μm)で100mg/kg/投与であるとした。無毒性量(NOAEL)はZS−9(未選別)が600mg/kg/投与、選別済みZS−9(ZS−9(>5μm))が600mg/kg/投与、及び選別済みプロトン化ZS−9(ZS−9+(>5μm))が600mg/kg/投与であるとした。
実施例12
ZS−9結晶を標準的な5Gの結晶化容器で調製した。
反応物を以下のように調製した。22Lの三ツ口フラスコに、頭上攪拌器、熱電対、及び側管付き滴下漏斗を取り付けた。このフラスコに脱イオン水(3.25L)を投入した。約100rpmで撹拌を開始し、水酸化ナトリウム(1091gのNaOH)をフラスコに加えた。水酸化ナトリウムが溶解するにつれて、フラスコの内容物が発熱した。この溶液を撹拌して、34℃未満に冷却した。ケイ酸ナトリウム溶液(5672.7g)を添加した。この溶液に、酢酸ジルコニウム溶液(3309.5g)を43分間かけて添加した。得られた懸濁液をさらに22分間撹拌した。ZS−9(223.8g)の種結晶を反応容器に加えて、約17分間撹拌した。
脱イオン水(0.5L)を用いてこの混合物をParr製5Gの圧力容器に移した。この容器は滑らかな壁と標準撹拌器を有していた。この反応器には冷却コイルが付いていなかった。容器を密封して、反応混合物を約275〜325rpmで撹拌し、4時間かけて185±10℃まで加熱した。その後、184〜186℃で保持し、72時間浸した。最後に、反応物を12.6時間かけて80℃まで冷却した。得られた白色固体を、脱イオン水(18L)を用いて濾過した。この固体を、溶出した濾液のpHが11未満(9.73)になるまで脱イオン水(125L)で洗浄した。湿った塊を48時間95〜105℃で真空(25インチHg)乾燥して、白色固体として2577.9g(107.1%)のZS−9を得た。
この実施例で得られたZS−9のXRDプロットを図10に示す。この材料のFTIRプロットを図11に示す。これらXRD及びFTIRスペクトルは、典型的にはZS−11の結晶形態に関連する吸収ピークの存在によって特徴づけられている。また、ZS−9と関連するこれらのピークは、結晶不純物(例えばZS−9組成物に存在するZS−11結晶)により大きな広がりを示している。例えば、FTIRスペクトルは、764cm−1及び955cm−1付近に大きな吸収を示している。この例のXRDプロットは、2θ値が7.5、32、及び42.5に顕著なノイズと不明確なピークを示している。
実施例13
この実施例では、ZS−9結晶をプロトン化した。
100Lの反応容器に脱イオン水(15.1L)を撹拌しながら(60〜100rpm)真空投入した。ZS−9結晶(2.7kg)を、脱イオン水の入った100L容器に加えて、5〜10分間反応させた。初期pHを読み取って記録した。
別の50Lのカーボイ(大型瓶)で塩酸溶液を調製した。これは、カーボイに脱イオン水(48L)を投入し、塩酸(600ml)を加える工程を含んでいる。100Lの反応容器に、この塩酸溶液を1.5〜2時間かけて投入した。pHが約4.45〜4.55の範囲に達するまで塩酸溶液を反応混合物に添加した。この反応混合物をさらに30〜45分間継続して混合した。pHが4.7超である場合は、pHが約4.45〜4.55の範囲になるまでさらに塩酸溶液を添加した。さらに15〜30分間撹拌して反応を行った。
このプロトン化ZS−9結晶を、2ミクロン網目のステンレス製篩(直径約18インチ)を装着したブフナー漏斗で濾過した。形成された濾過固形物を、約6Lの脱イオン水で3回洗浄して過剰な塩酸を除去した。プロトン化結晶を含む濾過固形物を約95〜105℃で12〜24時間、真空オーブンで乾燥させた。純重量減少量の百分率での差が2時間超かけて2%未満になるまで乾燥を継続した。一旦この生成物を適切に乾燥したら、結晶は品質が保証された試料であった。
実施例14
以下の代表例に従って高い交換能を有するZS−9結晶を調製した。
以下のように反応物を調製した。22Lの三ツ口フラスコに、頭上攪拌器、熱電対、及び側管付き滴下漏斗を取り付けた。このフラスコに脱イオン水(8,600g、477.37モル)を投入した。約145〜150rpmで撹拌を開始し、水酸化ナトリウム(661.0g、16.53モルのNaOH、8.26モルのNaO)をこのフラスコに加えた。水酸化ナトリウムが溶解するにつれて、フラスコの内容物は3分間に24℃から40℃まで発熱した。この溶液を初期の発熱が収まるように1時間撹拌した。ケイ酸ナトリウム溶液(5,017g、22.53モルのSO、8.67モルのNaO)を添加した。この溶液に、側管付き滴下漏斗により酢酸ジルコニウム溶液(2,080g、3.76モルのZrO)を30分間かけて添加した。得られた懸濁液をさらに30分間撹拌した。
脱イオン水(500g、27.75モル)を用いてこの混合物をParr製5Gの圧力容器、型番4555に移した。この反応器に蛇管冷却コイルを取り付けて、攪拌器に隣接する反応器内にバッフル状構造物を配置した。この冷却コイルにはこの反応で用いられるような熱交換流体を充填せず、単に攪拌器に隣接してバッフル状構造物を設けるためのみに用いた。
この容器を密封して、反応混合物を約230〜235rpmで撹拌し、7.5時間かけて21℃から140〜145℃まで加熱した。その後、10.5時間140〜145℃で保持し、6.5時間かけて210〜215℃まで加熱して最大圧力295〜300psiを得た。その後、41.5時間210〜215℃で保持した。次いで、反応器を4.5時間かけて45℃まで冷却した。得られた白色固体を、脱イオン水(1.0KG)を用いて濾過した。この固体を、溶出した濾液のpHが11未満(10.54)になるまで脱イオン水(40L)で洗浄した。湿った固形物の代表的な部分を100℃で一晩、真空(25インチHg)乾燥させて白色固体として1,376g(87.1%)のZS−9を得た。
得られたZS−9のXRDプロットを図12に示す。この材料のFTIRプロットを図13に示す。実施例12(図10〜11)と比較して、これらのXRD及びFTIRスペクトルは、広がりのない明確なピークを示しており、ZS−9以外の結晶形態(例えば、ZS−11のピーク)に関連するピークは存在しない。この例は、反応器内のバッフル状構造物の存在によって得られる結晶の品質が予想外に大きく向上することを示す。理論に束縛されるわけではないが、本発明者らは、反応が進行している間、バッフルが固体(すなわち結晶)を浮遊させる乱気流を大きくし、反応容器の結晶の懸濁液をより均一にすると理解している。この懸濁液の改善により、所望の結晶形態へのより完全な反応が可能になり、最終生成物に存在する望ましくないZS結晶形態を低減する。
実施例15
以下の試験規約に従ってZS(ZS−9)のKECを求めた。
この試験方法には、組成勾配をつけた溶媒の導入と陽イオン交換の検出が可能なHPLCを用いた。カラムは、IonPac CS12A Analytical(2×250mm)カラムであった。流量は0.5mL/分で、運転時間は約8分間であった。カラム温度を35℃に設定した。注入容積は10μLであり、針洗浄液は250μLであった。ポンプを定組成モードで運転し、溶媒は脱イオン水であった。
約383mgの塩化カリウム(ACS等級)を正確に計量して記録することにより標準試薬を調製し、100mLのプラスチック製メスフラスコに移した。この材料を溶解させ、希釈剤で規定の体積まで希釈し、混合した。標準試薬のK濃度は2000ppm(2mg/mL)であった。約112mgのZS−9を正確に計量して記録し、20mLのプラスチック製バイアルに移して試料を調製した。2000ppmのカリウム標準試薬溶液を20.0mL、ピペットでバイアルに入れて、容器に蓋をした。この試料バイアルを腕振り型振とう器(wrist action shaker)に取り付け、少なくとも2時間、4時間以下振とうした。この試料調製溶液を0.45pmのPTFE製濾過器で濾過して、プラスチック容器で受けた。750pLの試料溶液を100mLのプラスチック製メスフラスコに移した。試料を脱イオン水で規定の容積まで希釈して、混合した。初期K濃度は15ppm(1SpgImL)であった。
この試料をHPLCに注入した。図14にブランク溶液のクロマトグラムの例を示す。図15に試験標準液のクロマトグラムの例を示す。図16に試料のクロマトグラムの例を示す。次式からカリウム交換能を算出した。
式中「KEC」はカリウム交換能であり、単位はミリ当量/gである。「IC」はカリウムの初期濃度(ppm)である。「FC」はカリウムの最終濃度(ppm)である。「Eqwt」は当量(原子量/価数)である。「V」は試料調製に用いた標準溶液の容積(L)である。「Wtspl」は試料調製に用いたZS−9の重量(mg)である。「%Water」は水分の百分率(LOD)(%)である。
実施例12の手順に従って、すなわち、バッフル(例えば、内部冷却コイル構造)のない反応器で製造したZS−9の3種の試料について、上記の手順に従ってカリウム交換能(KEC)を試験した。同様に、実施例14に従ってバッフルとして作用する冷却コイルを有する反応器で製造したZS−9の3種の試料をこの手順で試験した。以下の表3の結果から、実施例14の手順及び結晶化容器内のバッフルの存在により、カリウム交換能が大きく増加することが分かった。
実施例14に従って調製した交換能の高いZSは、実施例13の技術を用いてプロトン化する際にわずかにカリウム交換能が低下する。この方法で調製したプロトン化ZSは、約3.2ミリ当量/gのカリウム交換能を有していることが分かった。従って、この交換能が高いZSは、この過程を用いて調製したプロトン化形態の交換能を増加させることが分かった。これにより、カリウム交換能が2.8〜3.5ミリ当量/g、より好ましくは3.05〜3.35ミリ当量/gの範囲、最も好ましくは約3.2ミリ当量/gであるプロトン化ZSを調製することができることが分かった。
実施例16
内部冷却コイルを用いて反応器内にバッフル状構造物を設けることは、5ガロン程度の小型反応器でのみ実行可能である。というのは、冷却コイルを大型の反応器に取り付けるのは容易ではなく、典型的には用いられないからである。
本発明者らは、高純度高KECのZS−9結晶の大規模生産に適した反応器を設計した。大型反応器は、反応室内にぶら下げたコイルではなく、典型的には反応室に熱を伝達するためのジャケットを用いる。図17に従来の200Lの反応器100を示す。反応器100は、滑らかな壁と、反応室の中心に向かって延設した攪拌器101を有する。反応器100はまた、保護管(thermowell)102と、底部排水弁103を有する。本発明者らは、図18に示す改良された反応器200を設計した。この反応器もまた、攪拌器201と、保護管202と、底部排水弁203を有する。この改良された反応器200は、側壁にバッフル構造204を有し、攪拌器201と組み合わせて反応中に結晶をしっかり浮遊させて懸濁させ、高濃度で高KECのZS−9結晶を製造する。この改良された反応器はまた、バッフル構造204に加えて、結晶化中に反応温度を制御するための冷却ジャケット又は加熱ジャケットを備えることができる。図19に、バッフル設計の非限定的な一例の詳細を示す。好ましくは、この反応器の容積は、少なくとも20L、より好ましくは200L以上、あるいは200Lから30,000Lの範囲内である。別の態様では、バッフル設計は延設されるように構成されていてもよい。
実施例17
高カリウム血症を患っているヒトの対象者の治療におけるZS−9の用量をいくつか調査した。合計90人の対象者をこの調査に登録した。この調査は3つの段階を含み、各段階でZSの投与量を増加させた。これらの調査に用いたZS−9は、実施例12に従って調製された。3ミクロン超の結晶分布が97%以上になるよう、空気分別によって適切な粒径分布のZS−9結晶を得た。ZS結晶の中央粒径が3ミクロン超であり、直径が3ミクロン未満の粒子がこの組成物中の粒子の7%未満になるように選別する。このZS−9結晶のKECを求めたところ、約2.3ミリ当量/gであった。ZS結晶のナトリウム含有量が12重量%未満になるようにプロトン化する。調査にはプラセボとして、ZSと区別できないケイ化微結晶セルロースを3g用いた。
調査に登録した患者のそれぞれに、1日3回食事と共にプラセボ又はZSを3gの投与量で与えた。ZS、プラセボ共に、粉末を水に溶かした懸濁液として投与され、食事中に消費された。この調査の各段階で、ZS集団とプラセボ集団の対象者の数は2:1の比率であった。段階Iでは、18人の患者を無作為に分類して、1日3回食事と共に0.3gの投与量でZS又はプラセボを与えた。段階IIでは、36人の患者を無作為に分類して、1日3回食事と共に3gの投与量でZS又はプラセボを与えた。段階IIIでは、36人の患者を無作為に分類して、1日3回食事と共に10gの投与量でZS又はプラセボを与えた。全部で30人の患者がプラセボを投与され、60人の患者が異なる投与量でZSを投与された。食事は本質的に制限されず、患者は様々な地元のレストランや、病院内の標準食から食べたいものを選ぶことができた。
30分間隔で3回血清Kを測定し、平均(時間:0分、30分、及び60分)を計算することにより、カリウムの選別値(「K」)を0日目に確定した。ベースラインのK濃度をこれらの値と1回目の投与を摂取する直前の1日目の血清Kの平均として算出した。選別K値が5.0ミリ当量/l未満であった場合は、この対象者は調査に含まれなかった。
調査の1日目から2日目に、すべての対象者に、朝食から始まる食事と共に試験薬を1日3回与えた(1日目の1回目の投与後1.5時間後まで1回目の食事は遅らせた)。治療を開始して48時間の間、各投与の4時間後に血清K濃度を評価した。K濃度が正常になった場合、その対象者は、さらに試験薬での治療を行わずに48時間で病院から退院させた。K濃度がまだ上昇していた(K>5.0ミリ当量/l)場合は、対象者に試験薬での治療をさらに24時間受けさせて、72時間目又は96時間目に再評価し、退院させた。すべての対象者が、試験薬での治療を最低48時間受けたが、数人は試験薬での治療を96時間まで受けた。調査の主要有効性評価項目は、プラセボで治療した対象者とZSで治療した対象者との間の、試験薬で治療した最初の48時間のカリウム濃度変化の差であった。表4に、24時間評価項目及び48時間評価項目での各集団のp値を示す。300mgのZSを1日3回投与された患者では、24時間評価項目及び48時間評価項目のいずれでもプラセボに対して統計的な差はなかった。3グラムのZSを投与された患者は、48時間の期間でのみ統計的な差が見られた。これは、この特定の投与が血清カリウム濃度の低下に比較的有効であったことを示唆している。予想外に、10グラムのZSを1日3回投与された患者では、濃度、割合共にカリウム濃度が最も大きく低下した。このカリウムの低下は、投与量3グラムでの約0.5ミリ当量/g減で、投与量10グラムで約0.5〜1ミリ当量/g減であることから、相当大きな低下であった。
その後、毎日対象者のK測定を行いながら、合計7日間(168時間)経過を観察した。調査の前日(0日目)及び患者が試験品を摂取している間は、すべての患者で24時間尿を採取した。表5に、プラセボで治療した対象者と各集団との間の、7日間の調査期間に渡る血清カリウム濃度変化の差を示す。300mgの薬剤を投与された患者では、この7日間でプラセボに比べてカリウム濃度が統計的に大きく低下することはなかった。薬剤を3グラム投与された患者では、初期の24時間の後はカリウム濃度が統計的に大きく低下することはなかった。薬剤を3グラム投与された患者では、この7日間の間に血清カリウム濃度が統計的に最も大きく低下した。これらのデータは、少なくとも10グラムのZSを投与すると、カリウムの低下効果が長続きすること、及び単回(すなわち1日)投与がカリウム濃度を大きく下げるのに好適であることを示唆している。また、1日1回投与する場合は用量が3グラム、4グラム、または5グラムであるとカリウム濃度の低下に有効である場合がある。
治療群を比較したところ、年齢、性別、重量、血清クレアチニン濃度、推定糸球体濾過率(「GFR」)、カリウム濃度、及び慢性腎臓病(「CKD」)の原因を含む、いずれのパラメータでも大きな違いは見られなかった。
図20に、プラセボ、投与量0.3gのZS(集団1)、投与量3gのZS(集団2)、及び投与量10gのZS(集団3)の摂取後最初の48時間における血清Kの変化を示す。患者にZSを投与した時間に対するKの傾きは、プラセボと集団2(0.5ミリ当量/L/48時間、P<0.05)及び集団3(1ミリ当量/L/48時間、P<0.0001)とでは大きく異なっていた。
血清Kが正常になる時間は、プラセボ群に比べて集団3では非常に短くなっていた(P=0.040)。他の集団群の結果は、プラセボと大きく違うところはなかった。図21に、プラセボと10gでZSを投与された対象者の0.5ミリ当量/Lまで血清Kが低下する時間を比較している。血清Kが低下する時間は、プラセボよりもZSを投与された対象者で大きく短縮された(P=0.042)。
また、この調査で試験薬の投与を中断後48時間から144時間の間の血清Kの上昇を調べた。血清Kの上昇率は、図22に示すように薬の摂取期間中の血清Kの低下率に概略比例していた。
24時間の尿中へのK排出を分析したところ、図23に示すように、ZSを10g投与した場合は尿中へのKの排出が約20ミリ当量/日と大きく低下していた(P<0.002)が、他のすべての群では尿中へのKの排出は同じであるか、または上昇したことが分かった。
毎日の尿試料中のK/クレアチニン比率を分析したところ、24時間の尿中K排出と同じような傾向が確認された。集団3では尿中のK/クレアチニン比率は低下する傾向を示したが、他の集団では一定であるか、あるいは上昇した。別の分析では、この調査中、いずれの群でもクレアチニン・クリアランスまたは1日のクレアチニン排出量は変化がなかったことが分かった。
また、24時間の尿試料を分析して、1日の尿中へのナトリウム排出量を計算することができた。図24に示すように、ナトリウムの排出は、一般にすべての群で安定していた。尿中へのナトリウム排出は、集団3に比べて集団1及び対照患者でより増加しているように見えるが、いずれの群でも大きな変化はなかった。
腸内の細菌性ウレアーゼによって生成されるアンモニウムを結合させるZSの効果の尺度として、血中尿素窒素(「BUN」)を検査した。試験2日目から試験7日目に投与量に関連した、統計的に大きなBUNの低下が見られた。これは血清Kの低下を反映するものであった(0.035[試験2日目]と<0.001[試験5日目から7日目]の間のp値)。また、これは尿中への尿素排出の低下を伴っていた。
ZSを1日3回10g投与した場合、血清カルシウムが統計的に大きく(試験2日目から6日目にp値が0.047から0.001へ)低下し、正常範囲(9.5mg/dLから9.05mg/dL)内に留まったが、低カルシウム血症が発症した対象者はいなかった。ZSのいずれの投与量でも、血清マグネシウム、血清ナトリウム、血清重炭酸塩、または任意のその他の電解質で大きな変化は見られなかった。血清クレアチニンは低下傾向を示し、試験6日目に統計的に大きく低下した(p=0.048)。尿沈殿物、推定糸球体濾過率(「GFR」)、または腎臓生体指標NGAL及びKIM−1を含む、評価した他の腎臓パラメータのいずれも投与量に関係した変化はなかった。
臨床試験は無作為に分類して二重盲検法で行ったが、中程度の量のZSを摂取すると、段階3のCKD患者で血清K濃度が大きく低下することが分かった。ZSに下剤は与えなかったので、Kの除去は下痢の効果によるものではなく、ZSによる腸内のKの結合によるものだけであった。
経口ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(「SPS」)治療では、常に患者へのナトリウム負荷が生じる。ナトリウムは、すべての陽イオン(K、水素、カルシウム、マグネシウム等)の結合で1:1の比率で放出される。ZSに部分的にナトリウムと部分的に水素を担持して近生理的pH(7〜8)にする。この開始pHでは、Kの結合中にナトリウムはほとんど放出されず、水素がわずかに吸収される。ZSの摂取中は尿中へのナトリウム排出は増加しないので、ZSの使用により患者のナトリウムが過剰になることはない。
ZSの血清Kに及ぼす作用の速さと、尿中K排出を低減する有効性は、最大投与量約10gを1日3回(1日約30gまたは約0.4g/kg/日)投与した場合に驚くほどである。これにより、2日目までに尿Kがベースライン濃度から約40%低下した。従って、ZSは、少なくとも動物の場合と同様にヒトでも体内K貯蔵量を低減するのに有効であり、またヒトの糞便中のK濃度が高いことから、さらに有効性が高まる可能性がある。
実施例18
実施例14に従って交換能の高いZS(ZS−9)を調製する。この材料を、実施例13で記載した技術に従ってプロトン化する。ZS結晶の中央粒径が3ミクロン超であり、直径3ミクロン未満の粒子がこの組成物中の粒子の7%未満になるようにこの材料を選別した。このZS結晶のナトリウム含有量は、12重量%未満である。毎食5g、10g、及び15gの量で患者に投与するように剤形を調製する。この例でのZSでは、カリウム交換能が2.8超まで高められていた。好ましい一態様では、カリウム交換能は2.8〜3.5ミリ当量/g、より好ましくは3.05及び3.35ミリ当量/gの範囲内、最も好ましくは約3.2ミリ当量/gである。目標カリウム交換能の約3.2ミリ当量/gは、異なるバッチのZS結晶間で予測される、カリウム交換能の測定値の小さな変動を含む。
ZS−9を実施例17で確立した試験規約に従って投与すると、カリウム血清濃度が同様に低下する。ZS−9は向上したKECを有するので、高められた陽イオン交換能を考慮するとそれを必要とする対象者に投与する量は低下する。よって、正常範囲を超えるカリウム濃度の上昇に苦しむ患者に対して、1日3回、約1.25グラム、2.5グラム、5グラム、及び10グラムのZS−9を投与する。
実施例19
ZS(ZS−2)は、上記米国特許第6,814,871号、5,891,417号、及び5,888,472号に記載の周知の技術に従って調製される。ZS−2のX線粉末回折パターンは、以下のような特徴的なd間隔範囲及び強度を有する。
この例の一側面では、実施例14で記載したバッフル付き反応器を用いてZS−2結晶を調製する。この材料を、実施例13で記載した技術に従ってプロトン化する。ZS結晶の中央粒径が3ミクロン超であり、直径3ミクロン未満の粒子がこの組成物中の粒子の7%未満になるようにこの材料を選別した。このZS結晶のナトリウム含有量は12重量%未満である。毎食5g、10g、及び15gの量で患者に投与するように剤形を調製する。この例に従って調製したZS−2結晶は、血清カリウムを下げるのに有用であり、ZS−2を調製する別の技術を用いて製造することもできる。これら別の製造技術は、所定の状況では利点がある場合がある。
実施例20
プロトン化ZS結晶のいくつかのバッチを実施例16に記載した反応器を用いて調製した。
ZS結晶のバッチは、一般に以下の代表例に従って調製した。
反応物を以下のように調製した。図17に示す200Lの反応器に、ケイ酸ナトリウム(56.15kg)を加えて、脱イオン水(101.18kg)を投入した。水酸化ナトリウム(7.36kg)を反応器に加えて、水酸化ナトリウムが完全に溶解するまで10分間超の間高速で撹拌しながら反応器内で溶解させた。撹拌を継続しながら酢酸ジルコニウム(23kg)を反応器に加えて、30分間撹拌した。反応器を210℃±5℃に設定し、反応物を150rpmで60時間以上混合した。
反応期間後、反応器を60℃〜80℃まで冷却し、反応物のスラリーを濾過して洗浄し、約100℃の温度で4時間以上乾燥させた。乾燥した結晶をプロトン化するため、脱イオン水(46L)を投入して結晶を再びスラリー化した。15%HCl溶液(約5〜7kgの15%HCl溶液)を25〜35分間スラリーと混合した。プロトン化反応の後、反応物を再度濾過乾燥させ、約75L以上の脱イオン水で洗浄した。
上記の手順により製造したプロトン化ZS結晶のいくつかのバッチの例示的な詳細を表7に示す。
上記で得たH−ZS−9のXRDプロットを図25〜図28に示す。これらXRDプロットから、H−ZS−9は所望のカリウム交換能を有する、商業的に高いバッチ品質で製造することができることが分かった。ロット5602−26812−Aが最も均一な結晶性分布を有していた。結晶化条件によって非常に均一な粒径分布が得られる場合、続くプロトン化工程によって陽イオン交換能が3.4ミリ当量/gから3.1ミリ当量/gに低下することが分かった。これに対して、ロット5602−28312−A、5602−29112−A、及び5602−29812−Aは粒径分布の均一性が低下していた。粒径分布の均一性が低下したのは、反応器の充填率を上げたことによるものだった。充填率を80〜90%にした場合、粒径分布の均一性が低下した。しかしながら、続いてこれらのロットをプロトン化したところ、カリウム交換能が予想外に大きく増加した。本発明による反応は、プロトン化時にカリウム交換能を高めるような方法で実行することができるので、他の方法で可能と思われるよりも高い交換能を有するZS−9を商業的に高い品質で得ることができると予想される。
また、リガクMiniFlex600でリートベルト法を用いてバッチの異なるプロトン化ZS結晶試料の回折パターンを求めるために相の定量を行った。200Lの反応器を用いる製造手順により、表8に記載する相組成物を製造し、図25〜図29に示すXRDデータを得た。
製造したバッチごとの回折パターンから、一連の非晶質結晶に加えてZS−9結晶とZS−7結晶の混合物であることが分かった。上記工程に従って大型の200Lの反応器で製造したZS結晶では、ZS−8結晶の濃度は検出できるレベルではなく、従来製造されていた結晶に比べて非晶性物質の濃度が低いことが分かった。ZS−8結晶は望ましくない程溶解度が高く、ZS−8結晶を伴うと尿中のジルコニウム濃度が上昇するため、ZS−8結晶が存在しないことは非常に望ましい。具体的には、尿中のジルコニウム濃度は典型的には約1ppbである。ZS−8不純物を含むケイ酸ジルコニウムを投与すると、尿のジルコニウム濃度が5〜50ppbになった。図30で示すように、ZS−8の存在はXRDで確認することができる。本態様によるZS−9結晶は、可溶性ZS−8という不純物をなくし、非晶質含有量を最少にすることによって尿中のジルコニウム濃度が低下していると予測される。
実施例21
ZS−9を乾燥させて、メノウ乳鉢で粉砕し、粉末回折計に入れた。データを、単色化CuKα線(λ=1.5406Å)を用いて室温で得た。リートベルト最小二乗法構造解析を行って、得られた原子の位置から原子間距離を算出した。酸素の原子半径(ファンデルワールス半径(r=1.52Å)を中心から中心までの原子間距離から2回差し引いて、気孔の大きさを算出した。熱力学の安定性モデルで、ZS−9の様々な陽イオン形(すなわち、Na−ZS−9、K−ZS−9、Ca−ZS−9、及びMg−ZS−9)及びアルカリ金属及びアルカリ土類金属の酸化物の、モデルから予測されたエネルギーを用いてZS−9の陽イオン交換エネルギーを見積もった。すべてのエネルギーをZS−9のNa形に対して計算し、参照状態として定義した。
ZS−9構造は、ジルコニウム原子が配位した八面体単位とケイ素原子が配位した四面体単位と、この単位間の橋として作用する酸素原子からなり、規則的な立方体の格子構造を形成している。この骨格は、八面体の[ZrO−2単位により負の電荷を帯びている。ZS−9の気孔は非対称の七員環(図34)からなり、その平均の大きさは約3Åである。熱力学に基づいて算出すると、Kを有するZS−9は、Na、Ca2+、又はMg2+を有するZS−9よりも安定であることが分かった。例えば、ZS−9のK形は、Na形よりも20kcal/モル、より安定であった。
実施例22
実施例20に記載したプロトン化ジルコニウム結晶のバッチを、高カリウム血症を患っているヒトの対象者を治療する研究に用いた。これらZS組成物は、一般にZS−9とZS−7の混合物を含むとされており、ZS−9が約70%、ZS−7が約28%で存在した(以下、ZS−9/ZS−7)。測定されたすべてのZS−9/ZS−7結晶は、検出可能な量のZS−8結晶を含んでいなかった。実施例17に記載した方法に従ってZS−9/ZS−7組成物を対象者に投与した。結果の要約を表9に示す。
驚くべきことに、ZS−9/ZS−7組成物を投与した対象者の糸球体濾過率(GFR)は、患者のベースラインに比べて予想外に高かった。いずれかの特定の理論に束縛されるわけではないが、本発明者らは、GFRが向上し、クレアチニン濃度が低下したのは(上記表9を参照)ZS−9/ZS−7組成物中にZS−8不純物が存在しないことによるものと推測する。従来技術で一般に知られているように、ZS−8結晶はより溶解度が高く、よって系内を循環することができるという特徴を有する。これは、従来技術に記載のジルコニウム結晶を投与するとBUNクレアチニン濃度が上昇する原因である場合があると本発明者らは考えている。
実施例23
95%以上のZS−9形態を含むZS結晶を以下の代表例に従って作製した。
この反応物を以下のように調製した。実施例16に記載したものと同様の設計だが、容量が500Lの反応器に水酸化ナトリウム(98.3kg)を脱イオン水(85.9kg)と共に添加した。反応器を150rpmで撹拌した後、ケイ酸ナトリウム(110.6kg)と追加の水(10.8kg)を添加した。撹拌速度を200rpmに上げて約20分間撹拌し、その後100rpmに下げて撹拌した。さらに脱イオン水(53.7kg)を加えて、撹拌速度を200rpmに上げて5分間撹拌し、その後150rpmに下げて撹拌した。ケイ酸ジルコニウム(81.0kg)と脱イオン水(63.9kg)を反応物に加えて、150rpmで30〜40分間撹拌した。この30〜40分間の撹拌の後、反応物を36時間以上の間、210℃まで加熱した。
この反応の後、反応器を60℃〜80℃まで冷却した。反応物のスラリーを濾過、洗浄し、約100℃の温度で4時間以上かけて乾燥させた。乾燥させた結晶のプロトン化の準備のため、脱イオン水(170kg)を加えて結晶を再度スラリー化した。15%のHCl溶液とスラリーを25〜35分間混合した。このプロトン化反応の後、反応物を再度濾過乾燥して、約170kg以上の脱イオン水で洗浄した。
上述の手順を用いて作製したZS結晶は、以下の特性を有していた。
XRDは、島津製作所製LabX XRD−6000を用いて行い、2θが4〜45°で作動させた。XRDの結果を図31に示す。XRDスペクトルから、カリウム交換能が3.2ミリ当量/g超に高められたZS−9を高純度で製造することができることが分かった。粒度分布分析を行った結果を図32に示す。
本実施例により調製したZSの生体外結合能を、上記の実施例16により調製した材料の生体外結合能と比較した。図33を参照のこと。具体的には、図33の材料1〜4は、上記の表8に記載した材料と同じであった。このデータから、ZS−9材料の百分率が95%となっており、結合能が大きく高められたことがわかる。
ZS−9の百分率は粉末X線回折を用いて評価した。ZS9、ZS8、ZS7及び非晶質すなわち不定形物質は、Ferreiraら, Inor Chim Acta 2003, 356, 19のリートベルト全パターン解析により定量した。ZS9は(NaClでふさがれていない)立方格子の結晶構造モデルを用いて定量した。ZS−7のモデルは、鉱物ペタラサイト(単斜晶格子)の構造であった。層状物質のZS−8には構造的なモデルがないため、非晶質すなわち不定形材料としてモデル化した。MDI社製のソフトウェアJade9.5に含まれるリートベルト・サブルーチンは、全パターン解析に用いた。電気密度及び正確にモデル化できなかった変数についてはパーセント残部として報告している(報告書のR/E)。
実施例24
本臨床試験では、中程度の量のZS−9/ZS−7を摂取すると、驚く程、また予想外に患者のクレアチニン濃度を下げることが分かった。
軽度から中程度の高カリウム血症を有する対象者(i−STATカリウム濃度が5.0〜6.5mmol/l(数値を含める))合計750人を、臨床試験に登録する。この臨床試験は二重盲検法で行い、対象者を1:1:1:1:1で無作為に分類する。初期の48時間(急性期)にZSを4種の投与量(1.25g、2.5g、5g、及び10g)で、又は対照としてプラセボを1日3回(TID)食事と共に与える。続く亜急性期(無作為化治療中止試験)では、急性期に実薬投与で治療された対象者で、正常カリウム血(i−STATカリウム値が3.5〜4.9mmol/l(数値を含める))になった対象者を無作為に分類して、亜急性期の12日間、1日1回(QD)の投薬を行う。急性期治療及び亜急性期治療に割り振る無作為分類は1回のみとする。亜急性期は、実薬投与で正常カリウム血になった対象者及びプラセボで正常カリウム血になった対象者を含む。前者は、1:1の比率で無作為に分類され、急性期に投与されたZSの量と同じ投与量を1日1回のみ投与される群と、1日1回プラセボを投与される群に分けられる。
急性期にプラセボで治療して、試験3日目の朝に正常カリウム血になった対象者を無作為に分類して、亜急性期治療として1.25g又は2.5gのZSを1日1回投与する。独立データモニタリング委員会(iDMC)により試験の進行中に安全性及び許容性が評価される。各実薬投与群は、プラセボ対照群を含む治療群あたり150人の対象者からなり、対象者の総数は750人である。1:1:1:1:1で割り振ることにより、亜急性期で各プラセボ対照群と複数の実薬投与群との最適な条件での比較を補助する。
評価項目(endpoints):
急性期:主要有効性評価項目は、プラセボで治療した対象者とZSで治療した対象者の間の、試験薬による治療の初期48時間における血清カリウム(S−K)濃度の指数関数的変化率の差である。副次的評価項目は、全時点でのS−K、S−Kが正常になる時間(S−K濃度が3.5〜5.0mmol/lとして定義される)、S−K濃度が0.5mmol/l低下する時間、ZS又は対照のプラセボで48時間治療を行った後にS−K濃度が正常になった対象者の割合、治療中に発生したすべての有害事象の種類、罹患率、時期、重症度、関係、及び解消を含む。
亜急性期(無作為化治療中止試験):亜急性期の主要有効性評価項目は、12日間の治療期間でのS−K濃度の指数関数的変化率の差である。また、対象者が正常カリウム血(3.5〜5.0mmol/l)を保つ時間、再発する(高カリウム血症に戻る)時間、及び試験3日〜14日の間の対象者が正常カリウム血を保つ累積日数も求められる。その他の副次的有効性評価項目としては、亜急性期12日目の終わりに正常カリウム血(S−Kが3.5〜5.0mmol/lとして定義される)である対象者の割合がある。別の副次的有効性評価項目としては、安全性及び耐容性に加えて、その他の電解質、入院発生率、及びS−K濃度を制御する追加治療の必要性等が含まれる。
急性期の測定:試験1日目及び2日目の1回目の投与前、試験1日目の1回目の投与の1時間後、2時間後及び4時間、試験2日目の1回目の投与の1時間後及び4時間後、及び試験3日目の朝食前と治療の48時間後にカリウム濃度を評価する。この主要有効性の比較は、評価の初期48時間のすべてのS−K成績を含む。
試験1日目投与1の4時間後の時点で(i−STATにより求めた)カリウム濃度が6.5mmol/l超である対象者は、調査を中止して標準治療を受ける。投与1の4時間後の採血で(i−STATにより求めた)カリウムが6.1〜6.5mmol/lである場合、対象者をさらに投与2の後90分間診療所に留めておき、再度採血して、心電図検査(ECG)を行った。
i−STATカリウム濃度がこの時点で6.2mmol/l以上であれば、対象者の試験を中断して標準治療を開始する。i−STATカリウム濃度が6.2mmol/l未満であり、ECGがECG中止基準(以下を参照)のいずれも示していない場合、対象者の試験を継続する。試験3日目の朝、(i−STATにより求めた)カリウム濃度が3.5〜4.9mmol/l(数値を含める)になった対象者は亜急性期に入り、無作為分類計画に定められたように、亜急性治療の12日間の間ZSの4投与量(1.25g、2.5g、5.0g、10.0g)のいずれか又はプラセボを1日1回投与される。試験3日目の朝、高カリウム性(i−STATカリウムが5.0mmol/l以上)又は低カリウム性(i−STATカリウムが3.5mmol/l未満)の対象者(プラセボ対象者を含む)については、治療が不成功であったと見なされ、試験を中止して、主治医の判断と指示の元で標準治療を受ける。このような対象者は、試験9日目(ZSの最後の投与後7日)に診療所に戻って最終の安全性追跡調査を受ける。
亜急性期の測定:亜急性期に試験を継続する対象者については、試験4日目〜6日目、9日目、及び15日目にカリウム濃度を評価する。亜急性期の終わりにカリウム濃度がまだ上昇(5.0mmol/l以上、i−STATにより求めた)している場合は、対象者は主治医に付託されて標準治療が行われる。
対象者数及び調査機関数
スクリーニングで軽度から中程度の(i−STATカリウム値が5.0〜6.5mmol/l(数値を含む))高カリウム血症と診断された合計750人の対象者が、北米、ヨーロッパ、及びオーストラリアの最大100の調査機関での調査に登録される。
組み入れ基準
1.書面によるインフォームドコンセントを提示する。
2.18歳以上である。
3.スクリーニング時(試験0日目)の平均i−STATカリウム値が5.0〜6.5mmol/l(数値を含む)である。
4.採血が繰り返し行える、又は静脈カテーテルが有効である。
5.出産可能な女性は、医学的に容認された避妊法(少なくとも1種の障壁方法)のうち2種類の形態を用いなければならない。またスクリーニング時に陰性妊娠検査を受けなければならない。外科的に不妊である女性、又は閉経後少なくとも2年が経過した女性は出産可能とは見なさない。
除外基準
1.偽性高カリウム血症の兆候及び症状(拳を強く握りしめたために溶血した試料、重症の白血球増多症又は血小板増加等)。
2.7日間以内にラクツロース、キシファクサン、又はその他の非吸収性抗生物質で高アンモニア血症の治療をした対象者。
3.7日間以内に樹脂(セベラマー酢酸塩又はポリスチレンスルホン酸ナトリウム[SPS;例えばケイキサレート(登録商標)])、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、又は炭酸ランタンで治療した対象者。
4.平均余命が3ヶ月未満の対象者。
5.HIV陽性の対象者。
6.身体的又は精神的な活動能力を失った対象者、及び調査者によって試験規約に関連する対象者の任務を果たせないと判定された対象者。
7.妊娠中、授乳中、又は妊娠の計画がある女性。
8.糖尿病性ケトアシドーシスを有する対象者。
9.調査者によって対象者を過度の危険にさらす、又は得られるデータの質を損なう可能性があると判定された場合。
10.ZS又はその成分に対して過敏症であることがわかっている、又は過去にアナフィラキシーを起こしたことがある場合。
11.過去にZSで治療したことがある場合。
12.調査の登録時で認可されていない薬剤又は装置で30日以内に治療を受けている場合。
13.即時の治療を要する心臓不整脈が見られる対象者。
14.インスリンの投与量が確定していない対象者
15.透析を受けている対象者。
*確定した投与量でインスリン又はインスリン類似物を投与されている対象者は登録することができる。可能な場合は常に、食事前の採血はすべて、インスリン/インスリン類似物での治療の前に採取するべきである。
薬剤、投与量、及び投与方式
細孔性分画プロトン化ケイ酸ジルコニウム(ZS、粒径≧3μm)を、精製水を用いたスラリー/懸濁液として経口投与した。急性期:試験1日目及び2日目の48時間に食事と共にZSを1日3回(TID)(1.25g、2.5g、5g、及び10gを1日3回)又は対応するプラセボを合計6回投与する。
亜急性期:試験3日目〜14日目の合計12日間の投与期間中に、朝食と共にZS(1.25g、2.5g、5g、及び10gを1日3回)又は対応するプラセボを1日1回(QD)投与する(以下の試験設計を参照のこと)。
試験期間
試験期間は、対象者につき、無作為に分類された後14日間である。すべての対象者は最後の試験治療投与の7日後に調査機関を訪れて最終追跡調査を受ける。試験は外来患者に対して行われる。亜急性期に入らなかった対象者の場合は、試験3日目に調査機関を訪れて最後の調査が行われる。最後の試験治療の7日後(試験9日目)に最終追跡調査を行う。
参照治療及び投与方式
ZSと全く同じ外見、味、匂い、及び投与方式の経口プラセボ粉剤(PROSOLV SMCC(登録商標)90、ケイ化された微結晶性セルロース)。
評価基準
有効性:規則的間隔でのS−K
薬力学的/安全性パラメータ
−規則的間隔での血清クレアチニン(S−Cr)
−その他の電解質(血清ナトリウム(S−Na)、血清マグネシウム(S−Mg)、血清カルシウム(S−Ca))
−有害事象(AE)、重篤な有害事象(SAE)、副作用が疑われる事象(SAR)、及び重篤な予期しない副作用が疑われる事象(SUSAR)
−臨床的に重要な心臓不整脈の発生
−規則的間隔でのラボ安全性データ、生命兆候、温度
中止基準
対象者のi−STATカリウム値が7.0mmol/l超または3.0mmol/l未満になった場合、又は臨床的に重大な心臓不整脈(以下を参照のこと)が見られる場合、その対象者はすぐに適切な医学的治療を受けて、治験薬の投与を中止しなければならない。
急性期:対象者のi−STATカリウム値が3.0〜3.4mmol/lになった場合、次の投与分の治験薬を投与しない。試験3日目の朝、対象者のi−STATカリウム濃度が正常範囲内(3.5〜4.9mmol/l(数値を含む))であったら、その対象者は亜急性期に登録する資格がある。
亜急性期:対象者のi−STATカリウム値が3.4mmol/l未満になったら、その対象者の試験を中止するが、試験21日目には調査機関を戻って調査を受けなければならない。以下の心臓事象のうち、いずれかが生じた場合は(急性又は亜急性期に関わらず)直ちに調査を中止する。
・重篤な心臓不整脈(心室性頻脈又は心室性細動、新規の心房細動又は心房粗動、発作性上室性頻脈、[洞頻脈以外、2度又は3度房室ブロック又は有意な徐脈[HR<40bpm])
・急性鬱血性心不全
・PR間隔の大きな増加(事前の房室ブロックの非存在下で0.25秒超まで)、幅の広いQRS複合波(事前の脚ブロックの非存在下で0.14秒超まで)、又はピークのあるT波
調査仮説
急性期:S−Kが5.1〜6.5mmol/lである対象者のS−K濃度を下げるのにZSはプラセボ対照よりも有効である(対立仮説)に対して、ZSとプラセボ対照の間には差がない(帰無仮説)という仮説を立てる。
亜急性期(無作為化中止試験):急性期の治療を終了した対象者が正常カリウム血濃度(3.5〜5.0mmol/l)を維持するのに1日1回のZSの投与はプラセボ対照よりも有効である(対立仮説)に対して、ZSの投与とプラセボ対照の間には差がない(帰無仮説)という仮説を立てる。
調査結果
治験の結果から、図35に示すように、急性期の投与では血清カリウムの大きな低下が見られる。これら結果の統計的有意性を図36に示す。急性高カリウム血症を2.5g、5g、及び10gの投与量を1日3回(TID)投与して治療した場合に血清カリウムの統計的に有意な低下が観察された。急性高カリウム血症の治療には1.25g超の投与量を1日3回が好ましく、2.5g〜10gの投与量を1日3回がより好ましい。
亜急性期の統計的有意性が図37に示すように観察された。亜急性又は慢性高カリウム血症を1日1回(QD)5g及び10gの投与量で治療した場合、血清カリウムの統計的に有意な低下が観察された。亜急性高カリウム血症の治療には2.5g超の投与量が好ましく、5g〜10gの投与量がより好ましい。
血清カリウム依存投与計画
血清カリウム濃度が5.0ミリ当量/l超であると、高カリウム性と見なされる。患者の血清カリウム濃度が3.5ミリ当量/l以下であると、低カリウム性と見なされる。この投与計画の目標は3.5〜4.9ミリ当量/lの正常血清カリウム範囲内に患者の血清カリウム濃度を維持することである。
この投与計画の初期導入期に血清カリウム濃度が5.3ミリ当量/g(iStatで求めた血漿濃度5.4ミリ当量/lに相当する)まで上昇した患者に2日間、10gを1日3回投与することが好ましい。この投与量は、血清カリウムが5.0未満に低下するまで1日の総投与量あたり2.5グラムから30グラムの範囲であってもよい。
血清カリウムが4.0〜4.9ミリ当量/lの亜急性にある場合は、血清カリウムが4.0ミリ当量/g未満になるまで1日あたりの総投与量5グラムから20グラムを、好ましくは5.0グラム、7.5グラム、及び10.0グラムを1日2回投与する。血清カリウムが4.0ミリ当量/g未満になった時点で、1日1回の投与とする。
血清カリウムが4.0未満の慢性範囲である場合、5.0グラム、7.5グラム、及び10.0グラムを1日1回用いる。1.25g〜10gを1日3回投与してもよい。
実施例25
高カリウム血症は、心疾患及び慢性腎臓病(CKD)の患者にとっては死亡の危険因子であり(Goyal, 2012; Torlen, 2012)、これら患者に対するレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤(RAASi)の使用を限定するものである。ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(又はカルシウム)(SPS/CPS)の有効性は不確かであり、実質的な有害事象や、胃腸での低い耐容性と関連づけられている。急性の患者への使用には次善の策であるものの、慢性の患者への使用には適さない(Harel, 2013; Sterns, 2010)。従って、これらの患者において急激に血清カリウム(K)を低下させ、かつ安全で耐容性の良好な高カリウム血症治療が必要である。具体的には過剰なカリウム(K)を捕捉するために設計された非吸収性陽イオン交換体であるZS−9の優れた耐容性により、プラセボに比べて慢性腎臓病(CKD)及び高カリウム血症を有する患者の血清Kが48時間にわたり大きく低下した(Ash, 2013)。本明細書で、高カリウム血症患者に対するZS−9の第3相臨床試験での急性期でのZS−9の有効性を報告する。
血清Kが5〜6.5mmol/Lである患者(N=753)を(1:1:1:1:1で)無作為に分類して、48時間(急性期)の間ZS−9(1.25g、2.5g、5g、または10g)またはプラセボを1日3回(TID)食事と共に投与した。その後、Kが4.9mmol/L以下になった患者(n=542)をZS−9又はプラセボに再度無作為に分類し、試験3日目〜15日目にZS−9又はプラセボを1日1回投与した。ベースライン、及び1回目の投与の後から所定の間隔(1時間後、4時間後、24時間後、及び48時間後を含む)で血清Kを測定した。急性期の主要有効性評価項目は、ベースライン後のすべてのデータを説明するために動的共分散構造モデリングを用いた1回目の投与から48時間後のKの変化率であった。
ベースラインでの平均Kは5.3mmol/Lであった。患者の実質的な割合は、CKD(60%)、心不全の履歴(40%)、糖尿病(60%)、RAASiによる治療(67%)であった。ZS−9では、投与量に依存してKの大きな低下が見られた。ZS−9を2.5g(p=0.0009)、5g(p<0.0001)、及び10g(p<0.0001;図38)を、1日3回投与した場合に急性期の主要有効性評価項目が満たされた。
1回目の投与の1時間後に、ZS−9を10g投与した場合はKが大きく低下(−0.11mmol/L)したが、プラセボを与えた場合は+0.01mmol/Lと増加した(p=0.009)(図39)。2.5g及び10gの投与後4時間と、2.5g、5g、及び10gを投与後24時間後及び48時間後では、プラセボに比べてKが大きく低下した。
すべての有害事象(AE)及び胃腸のAEの割合はZS−9群とプラセボ群では大きな違いは見られなかった。
48時間の間にZS−9を1日3回投与した場合、投与量に依存してKが大きく低下したが、AE履歴はプラセボと類似していた。10gのZS−9の1回目の投与から1時間後に血清Kが大きく低下したが、これはさらに、血液濃度と平衡状態にあるKを小腸液から除去するのにZS−9が有効であることを示唆している。ZS−9は、非常に危険な状態の患者(その多くは末端器官保護のためにRAASiが必要である)の高カリウム血症を急速に是正することにより、これまで満たされなかった重要な臨床的な要求に応え得る。
実施例26
RAAS阻害剤(RAASi)の使用は高カリウム血症(HK、血清Kが5.0ミリ当量/L超)により制限され、心不全(HF)及び慢性腎臓病(CKD)の患者では死亡危険因子である。ZS−9の使用は、第3相臨床試験において耐容性が良好で、高カリウム血症患者のKを急性に低下させ、かつ維持することができた(実施例22を参照のこと)。本実施例では、患者のベースライン(BL)K、GFR、心不全、CKD、真性糖尿病(DM)、及びRAASiの使用の履歴によって予め割り付けた下位群について、急性期のZS−9の有効性とプラセボ(PBO)を比較した。
血清カリウム濃度が5.0〜6.5ミリ当量/Lである患者(n=753)を(1:1:1:1:1で)無作為に分類して、48時間の間1日3回ZS−9(1.25g、2.5g、5g、又は10g)又はプラセボを経口投与した。その後、カリウムが4.9ミリ当量/L未満になった患者(n=542)を3日目〜14日目にZS−9又はプラセボを1日1回の投与に切り替えた。RAASiは継続した。平均血清K(95%の信頼区間)をベースラインと、48時間後に算出した。独立t検定により各群の差を比較した。
患者の下位群の有病率は、CKD(60%)、心不全(41%)、及び真性糖尿病(58%)であった。患者の2/3がRAASiで治療されていた。ZS−9を10g投与した群(n=158)とプラセボを投与した群(n=143)を示す。ZS−9群、プラセボ群共に、ベースラインでの平均カリウム濃度は5.3ミリ当量/Lであった。48時間後のカリウムの平均変化量は、ZS−9を10g投与した群では−0.73ミリ当量/L、プラセボ群では−0.25ミリ当量/Lであった(p<0.001)。ZS−9を10g投与した群及びすべての下位群で、48時間後に正常カリウム濃度になった。(図40)
当初、Kが5.5ミリ当量/L超であった患者に10gのZS−9を与えた場合、最もKが低下した(−1.1ミリ当量/L、これに対してプラセボ(PBO)では−0.4ミリ当量/L、p<0.001)。これらの群の急性期での有害事象にはほとんど違いが見られなかった(ZS−9群で12%、プラセボ群で11%、p=0.86)。
これは、ZS−9は耐容性が良好であり、CKD、心不全、真性糖尿病を有する高カリウム血症患者、及びRAASiで治療されているすべての事前割り付け群で正常カリウム血になったことを示している。また、ZS−9が、生命を救うRAASiによる最適な心腎臓保護ができるようになり得ることを示している。
実施例27
高カリウム血症(カリウム[K]>5.0mmol/L)は、慢性腎臓病(CKD)、糖尿病の患者及びレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤で治療されている患者において共通の障害である。ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(又はカルシウム)の有効性は限定的であり、実質的な有害事象(AE)や、胃腸(GI)での低い耐容性と関連づけられている。重症度とは無関係に高カリウム血症患者の血清Kを持続的に下げる、安全で、作用が速く、有効な治療が求められている。具体的には胃腸管で過剰なカリウム(K)を捕捉するために設計された非吸収性陽イオン交換体であるZS−9は、優れた耐容性により、CKD患者及びKが5〜6mmol/Lである患者で48時間でのKを(プラセボと比べて)大きく下げることが分かった。本実施例では、比較的重度の無症状性高カリウム血症患者に対して大がかりなZS−9の第3相臨床検査を行い、ベースラインKにより層別化した急性期の有効性について報告する。
が5.0〜6.5mmol/Lである患者(N=753)を(1:1:1:1:1で)無作為に分類して48時間(急性期)の間にZS−9(1.25g、2.5g、5g又は10g)又はプラセボを1日3回(TID)食事と共に投与した。その後、Kが4.9mmol/L以下になった患者(n=542)を再度無作為に分類して3日目〜15日目の間ZS−9又はプラセボを1日1回投与した。ZS−9を5g及び10g投与した群とプラセボ群で、開始K(5.3mmol/L以下、5.4〜5.5mmol/L、及び5.5mmol/L超)により層別化した、48時間の血清Kの変化を独立t検定により比較した。
ベースラインKは427人(56.7%)で5.3mmol/L以下、152人(20.2%)で5.4〜5.5mmol/L、174人(23.1%)で5.5mmol/L超であった。各下位群の中では、平均K濃度は、ベースラインでは各治療群で類似していた(表)。48時間後、5g又は10gのZS−9を1日3回投与された患者は、ベースラインKに関わらず、プラセボで治療された群に比べて非常に大きくKが低下していた(表、図41)。開始Kが5.5mmol/L超であった患者では、ZS−9を10g投与した群は、平均Kが48時間後(ZS−9を最後に投与して14時間後)に1.1mmol/L低下した。5g及び10gのZS−9を1日3回投与した場合の平均K濃度は急性期の終わりで正常範囲内(3.5〜4.9mmol/L)であった(表10)。また、この試験中、重度の低カリウム血症(<3.0mmol/L)は見られなかった。集団全体では、AE率はZS−9を5g及び10g投与した群とプラセボ群では大きな差は見られなかった。
この下位群の分析結果から、ベースラインK濃度に関わらず、ZS−9を1日3回投与することが48時間の間でKを下げるのに有効であることが分かった。重要な点は、ベースラインK濃度が最も高い患者でKが最も低下したことである。これはZS−9の1日3回投与が、開始Kに関わらず正常カリウムに戻すことを促進することを示唆している。また、軽度の低カリウム血症(3.0〜3.5mmol/L)の危険性は低い(0.3%)。ZS−9は、具体的には過剰なKを捕捉するために設計された新規の治療であり、高カリウム血症の異なる濃度を急速に是正することによってこれまで満たされなかった重要な医学的要求に応え得る。
実施例28
代謝性アシドーシスは、慢性腎臓病(CKD)及び高カリウム血症の患者に共通して見られる。ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(又はカルシウム)による高カリウム血症の治療は、その有効性が不確かであり、耐容性が低く、また稀に腸管壊死を起こす。ZS−9は、過剰なカリウム(K)をナトリウム及び水素と交換して捕捉するために設計された選択的陽イオン交換体である。ZS−9は、アンモニウムとKを吸収する。多施設での無作為分類した対象群の二重盲検制御検査では、5g及び10gのZS−9は、その優れた耐容性により、48時間の間、プラセボに比べてCKDの患者のKを大きく下げることが分かった。本実施例では、第2相臨床試験での適切な酸・塩基に関連したラボ値について10gのZS−9とプラセボの比較を報告する。
患者(糸球体濾過率が30〜60mL/分/1.73m;Kが5〜6mmol/L)を2:1でZS−9(n=60;0.3g[n=12]、3g[n=24]、又は10g[n=24])又はプラセボ(n=30)に無作為に分類して、入院患者として2日間(Kが5.0mmol/L以上の場合はさらに最大2日間、10gのZS−9の場合に要した期間は2日間のみであった)通常の食事と共に1日3回経口投与した。血清及び尿試料7日目まで採取した。この調査中、RAAS阻害剤は継続して与えた。各群の差を独立t検定により比較した。
ベースラインの平均重炭酸塩(28.1mg/dL及び27.4mg/dL)及び尿のpH(5.8及び5.7)は10gのZS−9とプラセボでは類似していた。10gのZS−9を投与した群では、プラセボを投与した群に比べて重炭酸塩が2日目〜7日目により増加した。3日目(10gのZS−9を最後に投与してから14時間後)までに、10gのZS−9を投与した群では重炭酸塩が+3.4mg/dL増加したが、プラセボを投与した群では+0.4mg/dL増加したのみであった。6日目には、これら群の差は大きくなった(p<0.05、図42)。
10gのZS−9を投与した群では、尿の平均pHが2日目に6.2、3日目に6.4まで増加し、7日目までプラセボよりも高いままであった(図43)。これに対して、プラセボ群では、尿pHは2日目に5.6まで、3日目に5.5まで低下した。その結果、これらの時点でこれらの群の間には尿pHに大きな差が見られた(p<0.01)。プラセボ群に比べて、10gのZS−9を投与した群では平均血中尿素窒素(BUN)がベースラインから低下した(2日目〜7日目ですべての評価についてp<0.05)。有意な低カルシウム血症(≦8mg/dL)、低マグネシウム血症(≦1.2mmol/L)、又は低カリウム血症(≦3.0mmol/L)は見られなかった。
10gのZS−9の投与により、48時間後に血清重炭酸塩がベースラインから約12%増加した。また尿のpHの増加も観察された。これはZS−9が、高カリウム血症が見られるCKD患者において酸と塩基のバランスを改善していることを示唆している。BUNの大きな低下により示されるように、代謝性アシドーシスの改善はZS−9によるアンモニウムの除去により説明することができる。終了したばかりの2段階の第3相臨床試験(N=753)から、高カリウム血症の患者に及ぼすZS−9の効果、及び酸・塩基バランスに及ぼす影響を評価するためのより大きなデータ集合が提供される。
実施例29
高カリウム血症は、心疾患及び慢性腎臓病(CKD)患者の死亡率予測因子である。また、生命を救うレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系阻害剤(RAASi)の使用を限定する。ポリスチレンスルホン酸ナトリウム(又はカルシウム)(SPS、CPS)の有効性は信頼性がなく、重篤な有害事象と関連づけられる場合があった。胃腸での低い耐容性のため、SPS又はCPSは慢性治療での使用には不適切である。過剰なカリウム(K)を捕捉するために設計された非吸収性陽イオン交換体であるZS−9は、プラセボに比べて、その優れた耐容性により、48時間に渡って高カリウム血症及びCKDの患者の血清Kを大きく低下させた。本実施例では、高カリウム血症患者の第3相臨床試験における延長維持治療期間中のZS−9の有効性について報告する。
血清Kが5.0〜6.5mmol/Lである患者(N=753)を(1:1:1:1:1で)無作為に分類して、ZS−9(1.25g、2.5g、5g又は10g)又はプラセボを48時間(急性期)の間1日3回投与した。その後、Kが4.9mmol/L以下になった患者を1:1で再度無作為に分類して、3日目〜15日目(治療延長期)に急性期に与えたのと同じ投与量のZS−9又はプラセボを1日1回(QD)投与した。血清Kは、ベースライン及び所定の間隔(4日目〜6日目、9日目、15日目、及び21日目(治験薬を最後に投与してから7日間)を含む)で測定した。この治療延長期に関する主要有効性評価項目は、ベースライン後のすべてのデータを説明するための動的共分散構造モデリングを用いた3日目〜15日目の間のKの変化率であった。
ベースラインでの平均Kは5.3mmol/Lであった。CKD、心不全、又は糖尿病の有病率はそれぞれ60%、40%、及び60%であった。患者の3分の2が同時にRAASiによる治療を受けていた。全体として542人(72%)の患者が治療延長期に登録された。主要有効性評価項目は、5gのZS−9を1日1回(p<0.008)及び10gのZS−9を1日1回(p<0.0001)投与した場合に満たされた。3日目〜15日目では、平均Kは、ZS−9を5g投与した群では4.6〜4.8mmol/Lに維持された(図44)。またZS−9を10g投与した群では4.5〜4.6mmol/Lに維持された(図45)。これらは正常カリウム濃度が維持されていたことを示している。プラセボ群では5日目から平均Kが上昇し始めて、15日目までに5.0mmol/Lになった。5日目〜15日目の各評価時点で、平均Kは、プラセボに比べて、1日1回5gを投与した群及び10gを投与した群の方が低かった(p<0.05)。15日目に最後にZS−9を投与した後、平均Kは、21日目までにプラセボ群の平均Kと同程度まで増加した。
延長治療期の有害事象率は、ZS−9投与群とプラセボ投与群では大きな差は見られなかった。
この第3相臨床試験では、プラセボと比較して、5gのZS−9及び10gのZS−9を1日1回投与した場合、12日間正常カリウム値が維持された。この効果は、平均血清Kの範囲が比較的低く狭い10gのZS−9でより顕著であった。1日1回のZS−9の投与は、RAASiによる治療が必要な患者を含む危険性の高い患者において安全かつ有効に正常カリウム値を維持することにより、これまで満たされなかった重要な要求を満たす可能性がある。
実施例30
実施例22に記載した検査基準及びデータを用いて、プラセボ又はZS−9による治療に関連した成績について糖尿病患者の下位群を調査した。図39のように、ZS−9の急性期(1日3回(TID))及び延長期(1日1回(QD))の複数の治療用量で糖尿病患者の下位群を調査した。急性期を主要有効性評価項目として、48時間の間のベースラインからのカリウム濃度の変化率として測定した。延長期を副次的有効性評価項目として、3日目〜15日目の間のカリウム濃度の変化率として測定した。ZS−9を投与された患者のうち、急性期に正常カリウム血(Kが3.5〜5.0ミリ当量/L)になった患者を無作為に分類して、治療延長期では同じ投与量のZS−9又はプラセボを(1日1回)投与した。調査の終わりに有害事象(AE)及び重篤なAEを記録した。
高カリウム血症の治療のためにZS−9(5g及び10g)及びプラセボを1日3回投与した第3相臨床試験の急性治療期から、真性糖尿病の患者の下位群を分析したところ、以下のことが分かった。
・ZS−9を1日3回投与したところ、血清カリウムは、最初の48時間以内に投与量に依存して低下した(図47)。
・2.5g、5g、及び10gのZS−9を投与した群では、カリウム濃度の平均変化率がプラセボ群と比べてかなり大きかった(図47)。
・10gのZS−9を投与した群では、4時間までの間に平均カリウム濃度が大きく低下した(図48)。
・Kの変化は血糖値の変化との関連性が見られなかった。
・糖尿病下位群と集団全体でK低下の度合いにはっきりした差は見られなかった(図49)。
・有害事象率はZS−9で治療した患者とプラセボで治療した患者とで類似していた(図50)。
この試験から、5g及び10gのZS−9で治療した患者は、正常カリウム血を回復したこと、また糖尿病を有する高カリウム性患者における有害事象の発生が少なかったことが分かった。これらの結果は、高カリウム血症の影響をより受けやすく、集団全体よりも治療が困難である可能性がある真性糖尿病患者にとって期待できるものであった。このことは、ZS−9が真性糖尿病を有する高カリウム血症患者を治療するための治療機会であることを示している。
高カリウム血症の治療のためにZS−9(10g)及びプラセボを1日1回投与した第3相臨床試験の延長治療期間から、糖尿病患者の下位群について分析したところ、以下のことが分かった。
・5g及び10gのZS−9を1日3回投与して正常カリウム血になった後、同じ量のZS−9を1日1回投与すると正常カリウム血が保たれた(図51及び図52)。
・正常カリウム血を回復した患者をプラセボに切り替えたところ、血清Kがベースラインの高カリウム濃度に戻った(図51及び図52)。
・カリウム濃度の変化は、血糖値の変化との関連性が見られなかった。
・AE率及び胃腸有害事象率は、急性期及び治療延長期ともにZS−9で治療した群とプラセボで治療した群で類似していた(図53)。
これらの発見は、高カリウム血症の影響をより受けやすく、有効な治療を受けるのにより大きな課題に直面する真性糖尿病患者の下位群にとって期待できるものであった。このことは、特に真性糖尿病患者においてRAAS治療及びその他の薬物の最適化を容易にすることにより、ZS−9が正常カリウム血を回復及び維持するのに重要な治療であることを示している。
実施例31
他の第3相試験では、急性相及び維持期で1日に5g、10g、及び15gの異なる3種の投与量を用いた場合の約95%超のZS−9を含むZS組成物の効果を測定した。このZS組成物を投与したところ、8日目〜29日目の維持期に以下の平均血清カリウム濃度(ミリ当量/L)を達成した。
これらのデータは、このZS組成物の投与後の生体内での血清カリウム濃度は投与量に依存しており、必要に応じて漸減漸増することができることを示している。図55に示すように、それぞれの投与量に近い範囲内に平均血清カリウム濃度は調整される。
以下の表に示すように、ZSを投与すると治療の8日目〜29日目以内に13日目〜17日目の正常血清カリウム濃度が維持された。
実施例23により調製した95%超のZSを10g投与したところ、血清カリウム濃度が大きく、急速に低下した。図56に、1時間後の血清カリウム濃度の低下を示す。図57に、2時間後の血清カリウム濃度の低下を示す。図58に、4時間後の血清カリウム濃度の低下を示す。図59に、24時間後の血清カリウム濃度の低下を示す。図60に、84%超の患者が24時間以内に正常血清カリウム濃度になり、98%の患者が48時間以内に正常血清カリウム濃度になったことを示す。図61に示す正常カリウム血になるまでの中心時間は2.17時間である。
図62に、5g、10g、及び15gの投与量で1日1回ZSを投与した場合に正常カリウム血が維持されることが示されている。図63に、血清カリウムが6mmol/g超の患者に10g及び15gの投与量でZSを投与した場合に正常カリウム血になることが示されている。図64及び図65に示すように、29日目の患者のBUNは変化が見られなかった。図66に示すように、15日目及び29日目に重炭酸塩濃度が大きく増加した。図67に示すように、GFRに差は見られなかった。図68に示すように、患者のアルドステロンが大きく低下した。図69に、維持期からのレニンの変化を示す。図70に、維持期からのガレクチン−3の変化を示す。図71に、維持期からのBNPの変化を示す。図72に、維持期におけるインスリンの変化を示す。
実施例32
以下の実施例は、本明細書に記載の各種ZS組成物を錠剤製剤に製造することに関する。
最終錠剤製剤の成分を以下に示す(表11)。
ZS錠剤は、高剪断造粒法を用いて500mg又は1000mgの錠剤として製造され、混合及び圧縮して所望の錠剤形状にする。この製法では、まず選別済みZS及びヒドロキシプロピルセルロース(NF/EP)を20メッシュの篩にかけて、必要に応じて重量を計測する。篩いにかけられた成分を高剪断造粒機に投入して、約150rpmに設定した羽根で約3分乾燥混合する。乾燥混合の後、チョッパーを2000rpmに設定して、USP精製水を5分間かけて造粒機に入れる。造粒混合物を取り出して、粉砕する。生成物の温度が52℃になるまで導入口の空気の温度を約60℃にしてこの造粒混合物を流動層乾燥器に入れる。水分量が約2.5%以下になるまで、この材料の乾燥を継続する。一旦所望の水分量になったら、生成物を約30℃未満の温度まで冷却する。
冷却した材料を流動層乾燥器から取り出して、粉砕し、分散混合機に入れる。そこで、ケイ化微結晶性セルロース(NF)とクロスポビドン(NF/EP)の混合物と約10分間混合する。ステアリン酸マグネシウム(NF/EP、ウシ由来成分を含まない)を混合機に加えて、内容物をさらに3分間混合する。得られた混合物を、0.3300インチ×0.6600インチの変形楕円bツーリングを用いた打錠機で500mgの錠剤に、あるいは0.4600インチ×0.8560インチの変形楕円Dツーリングを用いた打錠機で1000mgの錠剤に圧縮する。
最終錠剤を分析して得た品質特性は以下のパラメータを含む:外観、XRDによる同定、平均錠剤重量、錠剤の破断荷重、錠剤のもろさ、KEC、投与量の均一性、及び崩壊性。適切な品質保証のためには以下の基準に適合することが必要である(表12)。
本明細書及び本明細書に記載の本発明の実行を考慮すれば本発明のその他の態様及び使用は、当業者には明らかである。米国の特許及び外国の特許及び特許出願を含む本明細書で記載のすべての参照は、具体的にはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書及び実施例は、以下の特許請求の範囲に示される本発明の真の範囲と思想を伴った例示としてのみ見なされることを意図している。

Claims (53)

  1. 式(I):
    Zr1−xSiGe (I)
    [式中、
    Aはカリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロニウムイオン、又はそれらの混合物であり、
    Mは少なくとも1種の骨格金属であり、該骨格金属はハフニウム(4)、スズ(4)、ニオブ(5)、チタン(4)、セリウム(4)、ゲルマニウム(4)、プラセオジム(4)、テルビウム(4)、又はそれらの混合物であり、
    「p」は約1から約20の値を有し、
    「x」は0から1未満の値を有し、
    「n」は約1から約12の値を有し、
    「y」は0から約12の値を有し、
    「m」は約3から約36の値を有し、1≦n+y≦12である]
    で表されるケイ酸ジルコニウムを含むケイ酸ジルコニウム組成物であって、少なくとも約95%のZS−9を含む、組成物。
  2. 該ZS−9が以下:
    のX線回折パターンを有する、請求項1に記載の組成物。
  3. 以下:
    のX線回折パターンを有するZS−7を含む、請求項1に記載の組成物。
  4. 以下:
    のX線回折パターンを有するZS−8を含まない、請求項1に記載の組成物。
  5. ZS−9を約95%〜100%の範囲の重量パーセントで含む、請求項1に記載の組成物。
  6. ZS−7を約0%〜約5%の範囲の重量パーセントで含む、請求項1に記載の組成物。
  7. 該ZS−9が、3ミクロン超の中央粒径を有し、該組成物中に直径が3ミクロン未満の粒子が7%未満であり、該組成物中のナトリウム含有量が12重量%未満である、請求項1に記載の組成物。
  8. 該ZS−9が部分的にプロトン化されている、請求項1に記載の組成物。
  9. 該プロトン化されたZS−9が3.1ミリ当量/g超のカリウム交換率を有する、請求項1に記載の組成物。
  10. 該プロトン化されたZS−9が3.2ミリ当量/g〜3.5ミリ当量/gの範囲のカリウム交換率を有する、請求項1に記載の組成物。
  11. 該プロトン化されたZS−9が2.46ミリ当量/g超のカリウム交換率を有する、請求項1に記載の組成物。
  12. 該プロトン化されたZS−9のナトリウム含有量が、12%未満である、請求項1に記載の組成物。
  13. CuKα線源を用いて得られた以下:
    のX線回折パターンを有するZS−9を含む、粉末医薬品陽イオン交換組成物であって、少なくとも95%のZS−9を含む、組成物。
  14. 式(I):
    Zr1−xSiGe (I)
    [式中、
    Aはカリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロニウムイオン、又はそれらの混合物であり、
    Mは少なくとも1種の骨格金属であり、該骨格金属はハフニウム(4)、スズ(4)、ニオブ(5)、チタン(4)、セリウム(4)、ゲルマニウム(4)、プラセオジム(4)、テルビウム(4)、又はそれらの混合物であり
    「p」は約1から約20の値を有し、
    「x」は0から1未満の値を有し、
    「n」は約1から約12の値を有し、
    「y」は0から約12の値を有し、
    「m」は約3から約36の値を有し、1≦n+y≦12である]
    で表されるケイ酸ジルコニウムを含むケイ酸ジルコニウム組成物であって、該ケイ酸ジルコニウムが、少なくとも約95%のZS−9を含む、組成物。
  15. 該ZS−9が以下:
    のX線回折パターンを有する、請求項14に記載の組成物。
  16. 該ケイ酸ジルコニウムが以下:
    のX線回折パターンを有するZS−7を含む、請求項14に記載の組成物。
  17. 該ケイ酸ジルコニウムが、以下:
    のX線回折パターンを有するZS−8を含まない、請求項14に記載の組成物。
  18. ZS−9を約95重量%から約100重量%の範囲で含む、請求項14に記載の組成物。
  19. ZS−7を0重量%から約5重量%の範囲で含む、請求項14に記載の組成物。
  20. 該ZS−9が3ミクロン超の中央粒径を有し、該組成物中に直径が3ミクロン未満の粒子が7%未満であり、該組成物中のナトリウム含有量が12重量%未満である、請求項14に記載の組成物。
  21. 該ZS−9が部分的にプロトン化されている、請求項14に記載の組成物。
  22. 該プロトン化されたZS−9が3.1ミリ当量/g超のカリウム交換率を有する、請求項14に記載の組成物。
  23. 該プロトン化されたZS−9が3.2ミリ当量/g〜3.5ミリ当量/gの範囲のカリウム交換率を有する、請求項14に記載の組成物。
  24. 該プロトン化されたZS−9が2.46ミリ当量/g超のカリウム交換率を有する、請求項14に記載の組成物。
  25. 該プロトン化されたZS−9のナトリウム含有量が12%未満である、請求項14に記載の組成物。
  26. 次式(I):
    Zr1−xSiGe (I)
    [式中、
    Aはカリウムイオン、ナトリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、ヒドロニウムイオン、又はそれらの混合物であり、
    Mは少なくとも1種の骨格金属であり、該骨格金属はハフニウム(4)、スズ(4)、ニオブ(5)、チタン(4)、セリウム(4)、ゲルマニウム(4)、プラセオジム(4)、テルビウム(4)、又はそれらの混合物であり、
    「p」は約1から約20の値を有し、
    「x」は0から1未満の値を有し、
    「n」は1から約12の値を有し、
    「y」は0から約12の値を有し、
    「m」は約3から約36の値を有し、1≦n+y≦12である]
    で表されるケイ酸ジルコニウムを含む医薬品粒子組成物を投与することを含む、高カリウム血症治療方法であって、
    該粒子が均一な細孔性構造を有し、3ミクロン超の中央粒径を有し、該組成物中に直径が3ミクロン未満の粒子が7%未満であり、該組成物中のナトリウム含有量が12重量%未満であり、該組成物中のケイ酸ジルコニウムの少なくとも95%がZS−9である、方法。
  27. 該ナトリウム含有量が6重量%未満である、請求項26に記載の方法。
  28. 該ナトリウム含有量が0.05重量%から3重量%である、請求項26に記載の方法。
  29. 該ナトリウム含有量が0.01重量%未満である、請求項26に記載の方法。
  30. 該組成物中に直径が3ミクロン未満の粒子が3%未満である、請求項26に記載の方法。
  31. 該組成物中に直径が3ミクロン未満の粒子が2.5%未満である、請求項26に記載の方法。
  32. 該中央粒径が5ミクロンから1000ミクロンの範囲である、請求項26に記載の方法。
  33. 該中央粒径が20ミクロンから100ミクロンの範囲である、請求項26に記載の方法。
  34. 該組成物が、2.7〜3.5オングストロームの範囲内にある第1のd間隔に対応する2θの第1のピーク、及び5.3〜6.1オングストロームの範囲内にある第2のd間隔対応する2θの第2のピークを含む、CuKα線源を用いて得られたX線粉末回折パターンを有する、請求項26に記載の方法、
  35. 該患者が急性高カリウム血症を患っている、請求項26に記載の方法。
  36. 該患者が約0.7mg/Kg/日から1,500mg/Kg/日の投与量で投与される、請求項35に記載の方法。
  37. 該患者が約500mg/Kg/日から1,000mg/Kg/日の投与量で投与される、請求項35に記載の方法。
  38. 該患者が約700mg/Kg/日の投与量で投与される、請求項35に記載の方法。
  39. 該患者が慢性高カリウム血症を患っている、請求項26に記載の方法。
  40. 該患者が約0.25mg/Kg/日から100mg/Kg/日の投与量で投与される、請求項39に記載の方法。
  41. 該患者が約50mg/Kg/日の投与量で投与される、請求項39に記載の方法。
  42. 該患者が、鬱血性心不全の危険性がある、請求項26に記載の方法。
  43. 該患者が、ナトリウム濃度の上昇に起因する浮腫を有する、請求項26に記載の方法。
  44. 該組成物のFTIRスペクトルが約764cmに吸収ピークを含まない、請求項26に記載の方法。
  45. CuKα線源を用いて該X線回折スペクトルが得られた際に、該組成物が7.5オングストローム、32オングストローム、又は42.5オングストロームの2θ値にピークを含まない、請求項26に記載の方法。
  46. 該組成物が3ミクロン超の中央粒径を有し、該組成物中の直径が3ミクロン未満の粒子が2%未満である、請求項26に記載の方法。
  47. 該組成物の粒径が約5ミクロンから約200ミクロンの範囲である、請求項26に記載の方法。
  48. 該投与される組成物が粉末状組成物である、請求項26に記載の方法。
  49. 該組成物が成型品に形成される、請求項26に記載の方法。
  50. 該成型品が錠剤である、請求項49に記載の方法。
  51. 該X線粉末回折パターンがさらに5.9〜6.7オングストロームの範囲内である第3のd間隔に対応する2θの第3のピーク、
    2.0〜2.8オングストロームの範囲である第4のd間隔に対応する2θの第4のピーク、
    及び1.6〜2.4オングストロームの範囲内である第5のd間隔に対応する2θの第5のピークを含み、
    該第3、第4、及び第5のピークがそれぞれ第1及び第2の強度値よりも低い強度値を有する、請求項26に記載の方法。
  52. 必要とする対象者に、以下:
    のX線回折パターンを有するZS−9を含む粉末状組成物を有効量投与する、高カリウム血症を治療する方法であって、
    該ZS−9が均一な細孔性構造を有し、該組成物が3ミクロン超の中央粒径を有し、該組成物中の直径が3ミクロン未満の粒子が3%未満であり、該組成物のナトリウム含有量が12重量%未満であり、該組成物中のケイ酸ジルコニウムの少なくとも95%がZS−9である、方法。
  53. 該組成物がさらにCuKα線源を用いて得られたX線粉末回折パターンを有し、該X線粉末回折パターンが少なくとも5.9〜6.7オングストロームの範囲内にある第3のd間隔に対応する2θの第3のピーク、及び2.0〜2.8オングストロームの範囲内にある第4のd間隔に対応する2θの第4のピークを含み、該第3のピークが該回折パターン中三番目に高い相対強度を有し、該第4のピークが該回折パターン中四番目に高い相対強度を有する、請求項52に記載の方法。
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