JP2016528907A - 慢性腎疾患を有する患者における心血管疾患のリスクマーカー - Google Patents

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Abstract

本発明は、慢性腎疾患に罹患する患者の心血管疾患に罹患するリスクを、異なる多型の存在に基づいて決定する方法、ならびに該方法を実施するためのキットに関する。本発明はまた、CVDの臨床的/生化学的リスク因子を有する対象からのサンプル中の1つまたはそれ以上の多型マーカーの不存在または存在を組み合わせることによる、心血管疾患に罹患するリスクを決定するための方法、ならびに該方法を実施するためのコンピューターにより実行される手段に関する。

Description

発明の分野
本発明は、心血管疾患または障害の分野に関する。より具体的には、慢性腎疾患に罹患している対象、特にヒト対象が、心血管疾患を発症するリスク、心血管疾患を有するリスク、または心血管疾患の合併症を発症するリスクを有するかどうかを決定するためのマーカーおよび方法に関する。本発明はまた、慢性腎疾患に罹患している対象における心血管リスクおよび/または心血管疾患の状態をモニタリングするため、または心血管リスクもしくは心血管疾患を有する慢性腎疾患に罹患している対象における予防および/もしくは治療手段/薬剤の効果をモニタリングするための、かかるマーカーおよび方法の使用にも関する。
背景技術
1.慢性腎疾患
慢性腎疾患は、世界的な公衆衛生問題である。腎不全の罹患率および有病率が上昇し、予後不良ならびに高コストである。慢性腎疾患の初期ステージは、さらに高い有病率である(Am J Kidney Dis 39:S1−S266, 2002 suppl 1)。
数十年間で蓄積された多数の証拠は、腎不全、心血管疾患および早死などの慢性腎臓病の予後不良を、防止するか、または遅らせることができることを示している。慢性腎疾患の初期ステージは、臨床検査によって検出することができる。慢性腎疾患の初期ステージの治療は、腎不全への進行を遅らせるのに有効である。慢性腎疾患の初期ステージでの心血管リスク因子に対する治療の開始は、腎不全の発症前後共に心血管疾患事象を低減させるのに有効である(Am J Kidney Dis 39:S1−S266, 2002 suppl 1)。
残念ながら、慢性腎疾患は、“不十分な診断”および“不十分な処置”のために、心血管疾患の不十分な予防という結果に至る(Am J Kidney Dis 39:S1−S266, 2002 suppl 1, J Am Coll Cardiol 2007; 50: 217)。
慢性腎疾患(CKD)の定義のための基準は、以下の通りである:糸球体濾過量(GFR)の減少の有無に関わらず、GFR低下につながり得る、腎臓の構造的または機能的異常により定義される3ヶ月以上の腎障害、腎障害の有無に関わらず、画像検査における異常または3ヶ月以上のGFR<60mL/分/1.73mを含む、腎障害の病理学的な異常またはマーカーの何れかにより示される状態(Am J Kidney Dis 39:S1−S266, 2002 suppl 1, 引用により本明細書中に包含される)。
CKDの5つのステージが定義されている(Am J Kidney Dis 39:S1−S266, 2002 suppl 1)。
CKDの各ステージの有病率も確立されている(Am J Kidney Dis 32:992−999, 1998, erratum 35:178, 2000, US Renal Data System. USRDS 1998 Annual Data Report, National Institutes of Health, National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases, Bethesda, MD, 1998)。
2.CKDの処置
CKDの処置はまた、一般的に、Harrison’s Principles of Internal Medicine. 18th ed. New York: McGraw−Hill; 2012)に包括的に記載される、いくつかのステージに従う。
CKDの特定の原因に対する処置には、真性糖尿病における血糖制御の最適化、糸球体腎炎に対する免疫調節剤、および多嚢胞性腎疾患における細胞発生を遅延させる最先端の特異的療法が含まれる。特異的および非特異的療法の両方の最適なタイミングは、通常、GFRの測定可能な低減があり、かつCKDが確立される前である。全ての患者におけるGFRの低減率を連続的に測定し、プロットすると分かりやすい。低減率の加速は、可逆的であり得る重複型の急性または亜急性過程の探索が急がれる。これらには、細胞外液量(ECFV)の枯渇、降圧不十分な高血圧、尿路感染、新たな閉塞性尿路疾患、腎毒性薬物[例えば、非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)またはX線撮影色素]への暴露、ならびに原疾患、例えば狼瘡または脈管炎などの再活性化または突然の再発が含まれる。
以下の介入は、腎機能を安定させるか、またはその低下を遅延させるように作用する点で考慮されるべきである。
糸球体高血圧および蛋白尿の低減
糖尿病性腎疾患の進行遅延
血糖の制御
血圧および尿蛋白の制御
タンパク質制限
慢性腎疾患の他の合併症の管理
薬物投与量の調節
腎代替療法のための準備。
切迫性尿毒症の症状および兆候、例えば摂食障害、悪心、嘔吐、倦怠感および掻痒などの一時的な救済は、タンパク質制限によって達成されることもある。しかしながら、これは、タンパク質−エネルギー栄養失調の重大なリスクを有し、従って、より長期間の管理のための計画が立てられるべきである。
維持透析および腎臓移植は、世界中の数十万名のCKDを有する患者の寿命を延ばした。CKDを有する患者の腎代替療法開始の明確な兆候には、例えば、消化性潰瘍性疾患、栄養失調の兆候ならびに体液異常および電解質異常、主に、高カリウム血症またはECF量過負荷などの可逆的な原因によらない、尿毒症性心膜炎、脳症、難治性筋痙攣、摂食障害および悪心が含まれ、それらは、他の治療では効果がない。
腎代替療法の開始のための最適な時期の推奨は、米国腎臓財団のKDOQIガイドラインによって確立されており、それは、患者が栄養不良であるか、または重度の尿毒症合併症を有するまで腎代替療法の開始を遅らせることが、透析または移植の予後の悪化をもたらすことを実証する最近の証拠に基づいている。尿毒症症状の重篤度および腎機能の個体間のばらつきのために、任意の尿素窒素またはクレアチニン量を透析を開始する必要があるとして割り当てるのは賢明でない。さらに、患者は、慢性尿毒症および拒絶症状が当たり前のこととなり、透析で気分がよくなり、透析開始前にどれくらい気分が優れないと感じていたかについて、振り返ってみれば認識するのみである。
これまでの研究は、尿毒症の重篤な症状および兆候の発現前の透析の開始は、生存期間の延長と関連があることを示唆した。これは、“健康”的な開始の概念につながり、透析または移植でより良い健康状態に戻すことを試みる前に、尿毒症に罹るのを受け入れるよりはむしろ、患者の気分をより良好に維持するという理念と一致する。最近の研究では、透析の早期開始と改善された患者生存率の明確な関連は確認されていないが、なお、この方法には利点がある。実用面では、事前準備は、透析法自体の問題(例えば、血液透析のシャント機能不全(poorly functioning fistula)または腹膜透析カテーテルの機能異常)を回避するのに役立ち、それ故に、その結果として付随する敗血症、出血および血栓症のリスクを有する一時的な血液透析アクセス(シャント)を挿入することに関連する罹病率を未然に防ぐ。
ヒト腎臓の移植は、進行した慢性腎不全のために選択される治療法である。世界中で、数万人にこれらの方法が実行されている。1960年代に、アザチオプリンおよびプレドニゾンが最初に免疫抑制剤として用いられた時、適合した血縁ドナーでの結果は、死亡した臓器提供ドナー(deceased donor)からの臓器での結果よりも良好であって、移植後1年時点での生存率は、後者の50〜60%と比較して75〜90%であった。1970年代から1980年代にかけて、死亡した臓器提供ドナーからの移植についての1年時点での成功率は、次第に上昇した。現在、死亡した臓器提供ドナーからの臓器移植は、89%の1年生存率であり、生体移植ドナー(living donor)からの臓器移植は、95%の1年生存率である。長期生存率が改善されたが、短期生存率の改善ほどではなく、現在、生体移植ドナーの“平均”(t1/2)寿命は、約20年であり、死亡した臓器提供ドナーの移植での平均寿命14年とほとんど変わらない。
移植後の死亡率は最初の年に最も高く、年齢と関係している。18−34歳では2%、35−49歳では3%、そして50−60歳では6.8%である。これらの比率は、年齢、糖尿病状態および心血管状態についてリスク調整後の慢性透析患者集団の死亡率と比較しても遜色がない。時には、急性の不可逆的拒絶が、数ヶ月良好に機能した後に生じることがあり、とりわけ、患者が免疫抑制剤を服用するのを怠ったときに発生することが多い。しかしながら、ほとんどの移植は、種々の率で、その病因が完全には理解されていない、間質性線維症、尿細管萎縮、血管障害および糸球体症からなる慢性的な経過をとる。全体として、移植は、ほとんどの患者に、透析中の患者と比較して改善されたライフスタイルおよび改善された平均余命をもたらす。少なくとも100,000名の患者が米国で機能的な腎臓移植を受けている。
慢性透析および腎臓移植の両患者は、全人口の死亡率よりも心筋梗塞および卒中による死亡率が高く、このことは、特に、糖尿病患者に当てはまる。要因は、グルココルチコイドおよびシロリムスの使用、ならびに高血圧である。腎臓移植を受けた患者は、冠動脈疾患および末梢血管疾患の有病率が高い。これらの原因による死亡率は、移植を受けた糖尿病患者数および全てのレシピエントの平均年齢の増加と共に緩やかに上昇している。腎臓移植レシピエントの死亡率の50%以上は、心血管疾患に起因するものである。血圧および血中脂質濃度の厳密な制御に加えて、さらなる医療または外科的介入の適用のための患者の綿密なモニタリングは、マネジメントの重要な部分である。
3.心血管疾患
心血管疾患(CVD)は、とりわけ、虚血性心疾患(先進国におけるCVDの最も一般的なタイプである;この障害は、心筋への血液循環の問題を意味する)、脳血管疾患(脳の血管内の血液循環の問題を意味する)、および末梢血管疾患(主に脚における循環に影響を与える)を含む、心臓および血管の疾患を意味する。CVDを有する対象は、心筋梗塞、卒中、狭心症、一過性脳虚血発作、鬱血性心不全、大動脈瘤および死亡が含まれるが、これに限定されない、多くの合併症(以降、CVD合併症と言う)を発症し得る。
フラミンガム心臓研究(Kamel WB et al. Am J Cardiol 1988;62:1109−1112., Wilson PWF et al., Circulation 1988;97:1837−1847, Grundy S.M. et al. Circulation 1988;97:1876−1887)は、今日広く使用され、許容されている、リスク因子という概念の発展における先駆的な研究であった。いくつかの独立したリスク因子は、冠血管疾患の直接の原因であることが認識され、集団内で頻度の高い因子であり、それらの変更は、冠血管(すなわち、心血管)イベントのリスクを低減させる(Grundy S.C. et al., Circulation 2000;101:e3−e11)。主な変更可能なリスク因子は、喫煙、高血圧、高コレステロール血症(特に、高LDL−コレステロール)および真性糖尿病である(Circulation 2000;101:e3−e11)。
有効性、安全性と治療費との間の好適なバランスを保つのを可能にするために、絶対的リスク(個人が、ある一定期間内に冠血管疾患を発症する確率)に応じて全ての対処における適応策が重要である。絶対的リスクの推定には、各リスク因子の寄与度を追加する必要があり、その結果は、“グローバルリスク報告書”である。上記の通り、フラミンガム心臓研究は、各リスクの寄与度に基づいて、グローバルリスクの定量的評価を行った。
古典的リスク因子はCKDを有する個体における心イベントの重要な予測因子であるが、フラミンガムの計算式は、CKDにおける冠動脈性心疾患イベントの予測においてこれらのリスク因子の正確な重み付けを計り知れない(J Am Coll Dardiol 2007;50:217−224)。この失敗の多くは、死と競合するイベント、ならびにCKD患者における顕著に高い心イベントの発生率が引き金となる。CKDを有する個体、特に女性における冠動脈性心疾患の予測を向上させることが、計算式を再校正し、古典的なフラミンガムリスク因子に対して異なる重要度を割り当てることにより可能であるが、CKDにおける予測モデルの開発および検証のための十分なサンプルサイズを用いる将来の予測式は、有害な結果に共通する変更可能なリスク因子を特定することを目標にして、この高リスク集団における心イベントおよび死亡率の両方を検討する必要がある。
従って、予防および/または治療法が、リスクを可能な限り最低レベルに維持するために実施され得るような方法で、慢性腎疾患に罹患している対象の心血管リスクを成功裏かつ有利に定義し、そして致死性もしくは非致死性の心筋梗塞または狭心症または卒中または一過性脳虚血または末梢動脈疾患のような(これに限定されない)、心血管疾患および/または心血管疾患合併症を発症するリスクが高い対象を予測し得る、新たな遺伝子マーカーおよびそれらの組み合わせを含む新規マーカーが必要とされている。
発明の概要
第一面において、本発明は、慢性腎疾患を有する患者における心血管リスクを算出するのに使用されている今日のスケール/方法の限界を解決するのに適する方法を提供する。
本発明により提供される方法は、慢性腎疾患に罹患している対象から採取されたサンプルにおいて多型の存在を決定する工程を含む、慢性腎疾患に罹患している該対象の心血管リスクを決定することにより上記の限界を解決し、該対象の心血管疾患および/または心血管疾患の合併症を発症するリスクを予測する方法であって、ここで、該多型は、配列番号1〜8の核酸配列内の位置27に存在するか、または配列番号1〜8の何れかの配列と強い連鎖不平衡の関係にある配列内にあり、ここで、該位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、および/または配列番号8においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が、心血管イベントの発症リスクの指標である。
例えば、本明細書中、配列番号48として表されるrs1746048は、rs501120と強い連鎖不平衡の関係にあるか、または例えば、本明細書中、配列番号49として表されるrs2133189は、rs17465637と強い連鎖不平衡の関係にある。これらの配列はまた、本明細書中に記載のrsの何れかと強い連鎖不平衡の関係にあるrsのように、本発明の目的のために使用され得る。
本明細書に記載のrs配列と強い連鎖不平衡の関係にあるrs配列の何れかにおいて、多型は、例えば、位置27に存在し得る。当業者は、NCBI SNPデータベース(“dbSNP”、http://www.ncbi.nlm.nih.gov/snp)のrs配列にアクセス可能である。
有利な態様において、上記のために、配列番号1−7、または1−8、または1−11の組み合わせを使用可能である。
他の面において、本発明は、対象から採取されたサンプルにおける多型の存在を決定する工程を含む、慢性腎疾患に罹患しており、かつ1またはそれ以上の心血管イベントを有して、心血管疾患および/または心血管疾患の合併症を発症するリスクが予想される該対象の心血管リスクを決定する方法であって、ここで、該多型が、配列番号1〜11のヌクレオチド配列内の位置27に存在するか、または該多型が、配列番号1〜11の何れかの配列と強い連鎖不平衡の関係にある配列内にあり、ここで、該位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、配列番号8においてG、配列番号9においてA、配列番号10においてA、および/または配列番号11においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872、rs10507391、rs9315051、および/またはrs17222842を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が、有害な心血管疾患または障害を有するリスクの指標である、方法に関する。
有利な態様において、上記のために、配列番号1−7、または1−8、または1−11の組み合わせを使用することができる。
本発明はさらに、対象から採取したサンプルにおける、少なくとも一方のアレル中の多型の存在を決定する工程を含む、早期の、および/またはより積極的な心血管治療を必要とする、または予防的心血管治療を必要とする、慢性腎疾患に罹患している対象を特定するための方法を提供し、ここで、該多型は、配列番号1から11のいずれかの核酸配列内の位置27に存在するか、または該多型は、配列番号1から11のいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある配列内であり、ここで、該位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、配列番号8においてG、配列番号9においてA、配列番号10においてA、および/または配列番号11においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872、rs10507391、rs9315051、および/またはrs17222842を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が、早期の、および/またはより積極的な心血管治療を必要とするか、または予防的心血管治療を必要とすることを示唆する。
有利な態様において、上記のために、配列番号1−7、または1−8、または1−11の組み合わせを使用することができる。
“予防的”治療とは、疾患の発症の兆候前に治療を開始することを意味する。
“早期の、またはより積極的な”治療とは、疾患の初期段階で開始されるか、または例えば、本発明を使用するとき、CHDを発症するリスクがより高いために平均より多量または高頻度で開始される治療を意味し、それ故に、治療目標はガイドラインに従って適合されなければならない。これらの新しい目標は、より積極的な治療を必要とし得る。
別の面において、本発明は、心血管治療を受けている慢性腎疾患に罹患している患者および心血管疾患に罹患している患者の処置法に関し、ここで、該患者は、対象から採取したサンプルにおける多型の存在に基づいて該治療のために選択され、ここで、該多型は、配列番号1〜11のヌクレオチド配列内の位置27に存在するか、または該多型は、配列番号1〜11の何れかの配列と強い連鎖不平衡の関係にある配列内にあり、ここで、該位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、配列番号8においてG、配列番号9においてA、配列番号10においてA、および/または配列番号11においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872、rs10507391、rs9315051、および/またはrs17222842を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が、患者が該治療のために選択されることを示す。
有利な態様において、上記のために、配列番号1−7、または1−8、または1−11の組み合わせを使用することができる。
別の面において、本発明は、対象から採取されたサンプルにおける多型の存在を決定する工程を含む、慢性腎疾患のステージ1から5の何れかに罹患している対象の心血管リスク、および/または透析(血液透析または腹膜透析)の補充療法下の対象の心血管リスク、および/または心血管疾患かつ/または心血管疾患合併症を有するリスクが高いと予測される腎移植を受けた対象の心血管リスクを決定する方法、ならびに/または心血管治療に対する応答を決定する方法に関し、ここで、該多型は、配列番号1〜11の核酸配列内の位置27に存在するか、または該多型は、配列番号1〜11の何れかの配列と強い連鎖不平衡の関係にある配列内にあり、ここで、該位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、配列番号8においてG、配列番号9においてA、配列番号10においてA、および/または配列番号11においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872、rs10507391、rs9315051、および/またはrs17222842を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が、有害な心血管疾患または障害を有するリスクの増大または心血管治療に対する低い応答の指標である。
有利な態様において、上記のために、配列番号1−7、または1−8、または1−11の組み合わせを使用することが可能である。
さらなる面において、本発明は、1つまたはそれ以上の臨床的/生化学的リスク因子と組み合わせた、上記の多型の1つまたはそれ以上の存在に基づく、10年間の致死性もしくは非致死性の心筋梗塞または狭心症を示すCKDに罹患している個体の確率を決定するための方法に関し、ここで、該確率に対する各多型またはリスク因子の相対的寄与は、ハザード比を用いて補正される。ハザード比とは、経時的に、多型またはリスク因子のぞれぞれを有しない群で発生する冠血管イベントの頻度と比較した、多型またはリスク因子のそれぞれを有する群で発生する冠血管イベントの頻度の測定値である。
有利な態様において、上記のために、配列番号1−7、または1−8、または1−11の組み合わせを使用することが可能である。
本明細書中、“改善された心血管リスク評価”とは、今日使用されているスケール/方法、例えば、これに限定されないが、フラミンガムリスクスコア、適合されたフラミンガムのリスクスコア(例えば、これに限定されないが、Regicor)、Score、HeartScore、Procam、Reynolds、QRisk、特定の患者が罹患している(遡及研究の意味で)か、または罹患し得るイベント数、ならびにMACEおよび対象の年齢、冠動脈性心疾患の既往歴、喫煙、血清クレアチニン、真性糖尿病、LDL−コレステロール(MACEのみについて)、腎代替療法の延べ時間(MACEのみについて)、および移植回数(死亡率のみについて)の変数として含まれるALERT延長試験データを用いる、全ての原因による死亡率の計算方式(calculator)(http://www.anst.uu.se/insov254/calculator/ (Transplantation 2013;95:142−147)でアクセス可能な計算)によるリスク評価よりも適合する、心血管イベントを発症する確率の予測として理解されるべきである。改善は、Acad Radiol 1997;4:49−58に従って計算されるより高いc統計値として測定される、ROC曲線下面積の増加として測定することができ、Statist Med 2008;27:157−172に従って計算される、正味の再分類の改善度および/または統合判別改善度である。
本発明に包含されるマーカーの検証は、AHAの勧告に従って行われた(Circulation 2009;119:2408−2416)。
上記の全ての言及は、引用によりその内容全体を本明細書中に包含され、特に上記の具体的な計算に関して包含される。
本明細書中、“改善された心血管リスク評価”は、“改良された心血管リスク評価”と互換的に用いられる。
本明細書全体を通して記載の通り、本発明の方法は、好ましい態様において、全て、エクスビボで行われる。
好ましい態様において、多型の以下のアレルの存在が決定される:特定の核酸配列内の位置27における多型、とりわけ位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、配列番号8においてG、配列番号9においてA、配列番号10においてA、および配列番号11においてGの存在(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872、rs10507391、rs9315051、および/またはrs17222842を有する)。多型、または多型のアレルの存在はまた、上記のrsまたは配列番号のいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsにおいて決定される。例えば、多型、または多型のアレルの存在は、本明細書に記載のrsまたは配列番号の何れかと強い連鎖不平衡の関係にある任意のそのような他のrsの位置27に決定され得る。
好ましい態様において、多型の以下のアレルの存在が決定される:特定の核酸配列内の位置27における多型、とりわけ位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、配列番号8においてG、配列番号9においてA、配列番号10においてA、および配列番号11においてGの存在(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872、rs10507391、rs9315051、および/またはrs17222842を有する)。多型、または多型のアレルの存在はまた、上記のrsまたは配列番号の何れかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsにおいて決定され得る(例えば、位置27において)。それぞれ、db SNP受託番号 rs10507391、rs9315051およびrs17222842を有する、配列番号9においてA、配列番号10においてAおよび配列番号11においてG(または、上記のrsの何れかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsにおける多型)は、ハプロタイプB ALOX5APを共に形成しており、他の8配列に加えて、1つの遺伝的リスク要因として考慮される。
これらの態様、すなわち、特定のSNPの組み合わせ、特に配列番号1−7、または配列番号1−8、または配列番号1−11の組み合わせは、以下に記載する本発明の全ての面の好ましい態様である。
別の面において、本発明は、1つまたはそれ以上の臨床的および/または生化学的リスク因子と組み合わせて、上記の多型の1つまたはそれ以上の存在に基づく10年間および/またはより長期間の致死性もしくは非致死性の心筋梗塞、または狭心症、または卒中、または一過性脳虚血発作または末梢動脈障害を示す慢性腎疾患に罹患している個体の確率(心血管リスクとして公知)を推定するための方法に関し、ここで、該多型の相対的寄与は、遺伝的スコアリスクとして供される。
別の面において、本発明は、好ましくは1つまたはそれ以上の臨床的および/または生化学的リスク因子と組み合わせて、上記の多型の1つまたはそれ以上の存在に基づく10年間および/またはより長期間の致死性もしくは非致死性の心筋梗塞、または狭心症、または卒中、または一過性脳虚血発作または末梢動脈障害を示す慢性腎疾患に罹患している個体の確率(心血管リスクとして公知)を推定するための方法に関し、ここで、該多型の相対的寄与は、遺伝的スコアリスクとして供される。本発明の使用は、慢性腎疾患に罹患している患者におけるリスクを推定する古典的方法(例えば、フラミンガム、Regicor、Score、MACEまたは総死亡率リスク計算など)と比較して、心血管リスクの再分類を意味し得て、ここで、該リスクは、本発明において考慮される遺伝的および/または臨床的/生化学的データを考慮することなく推定される。再分類とは、本発明を考慮して、新たなリスクを、古典的手段により算出されるよりも低く、または高くすることができることを意味する。
本明細書中、“心血管イベント”は、“心血管合併症”と互換的に用いられる。
本明細書中、“AHA”は、米国心臓協会(American Heart Association)として理解されるべきである。
本明細書中、“GWAS”は、ゲノムワイド関連解析として理解されるべきである。
用語“疾患”および“障害”は、本明細書中、互換的であると解釈されるべきである。
用語“慢性腎疾患”は、腎障害の有無とは関わりなく、画像検査における異常または3ヶ月以上のGFR<60mL/分/1.73mを含む、病理学的異常または腎障害のマーカーの何れかが現れる、低減したGFRがもたらされ得る、糸球体濾過量(GFR)の低減の有無に関わらず、腎臓の構造的または機能的異常により定義されるような3ヶ月以上の腎障害を定義することを意味する(Am J Kidney Dis 39:S1−S266, 2002 suppl 1、引用により本明細書中に包含される)。
別の面において、本発明は、1つまたはそれ以上の従来のリスク因子と組み合わせて、上記の多型の1つまたはそれ以上の存在に基づいて、今日使用されている方法に従って、10年間および/または長期間の、心血管イベント(致死性もしくは非致死性の心筋梗塞、または狭心症、または卒中、または一過性脳虚血発作または末梢動脈障害)に罹患する中程度のリスクを有するとして分類された慢性腎疾患に罹患している個体の確率(心血管リスクとして知られている)の再分類の方法に関し、ここで、多型の相対的寄与は、遺伝的スコアリスクとして供される。
さらなる面において、本発明は、1つまたはそれ以上の従来のリスク因子と組み合わせて、上記の多型の1つまたはそれ以上の存在に基づいて、10年間および/または長期間の、致死性もしくは非致死性の心筋梗塞または狭心症または卒中または一過性脳虚血発作または末梢動脈障害を呈する慢性腎疾患に罹患している個体の確率を決定する方法に関し、ここで、多型の相対的寄与は、遺伝的スコアリスクとして供される。
さらなる面において、本発明は、好ましくは1つまたはそれ以上の従来のリスク因子と組み合わせて、上記の多型の1つまたはそれ以上の存在に基づいて、10年間または長期間の致死性もしくは非致死性の心筋梗塞または狭心症または卒中または一過性脳虚血発作または末梢動脈障害を呈する、1つまたはそれ以上の非致死性の心筋梗塞または狭心症または卒中または一過性脳虚血発作または末梢動脈障害に罹患している個体の確率を決定する方法に関し、ここで、該多型の相対的寄与は遺伝的スコアリスクとして供される。
さらなる面において、本発明は、本発明のいずれかの方法を実行するための手段を含む、コンピュータープログラムまたはコンピューターが判読可能な記録媒体に関する。
別のさらなる面において、本発明は、配列番号1〜11の群から選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドを同定するための検出試薬を含むキットに関する。
別のさらなる面において、本発明は、ハプロタイプB ALOX5APと考えられる、配列番号1〜8および配列番号9、10、および/または11の群から選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチド、ならびに単一のリスクアレルと考えられる、それらの配列におけるアレルAAG、を同定するための検出試薬を含むキットに関する。
別のさらなる面において、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6、7および/または8の群から選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドを同定するための検出試薬を含むキットに関する。
別のさらなる面において、本発明は、配列番号1、2、3、4、5、6および/または7の群から選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドを同定するための検出試薬を含むキットに関する。
さらなる面において、本発明は、本発明の方法のいずれかを実行するための手段を含む、コンピュータープログラムまたはコンピューターが判読可能な記録媒体に関する。
本発明はまた、さらに図面により定義され、ここで、図1は好ましい遺伝子およびSNPの概要を示し、図2は、CKD集団が、非CKDの一般のスペイン人よりもどの程度高い心血管リスクおよび冠血管リスクを有したかを示す(Rev Esp Cardiol 2003;56(3):253)。
図1は好ましい遺伝子およびSNPの概要を示す。 図2は、CKD集団が、非CKDの一般のスペイン人よりもどの程度高い心血管リスクおよび冠血管リスクを有したかを示す。
発明の詳細な説明
本発明者らは、組み合わせて使用するとき、慢性腎疾患に罹患している患者における、CVDのリスク、ならびに/または心筋梗塞、卒中、狭心症および末梢動脈障害を含むが、それらに限定されないCVD合併症のリスクと関連する、一連の一塩基多型(SNP)マーカーを同定した。これらの多型マーカーは、現在使用されている多型または多型の組合せよりも優れている。
本発明者らは、慢性腎疾患に罹患している対象の、心血管疾患、心血管イベントおよび/または致死性および非致死性の心筋梗塞、卒中、狭心症、一過性脳虚血発作ならびに末梢動脈障害を含むが、これらに限定されない心血管合併症を発症するリスクを計算するために、今日使用されているスケール/方法/計算式において上記の同定された問題を解決した。
従って、本発明はまた、慢性腎疾患に罹患している患者における心血管疾患を正確に予測していない、既存のスケール/方法/計算式の限界を克服するための方法に関する。
従って、本発明はまた、心血管リスクについて今日使用されているツールを用いて計算された中程度のリスクのみを有する慢性腎疾患に罹患している対象において、依然として、かなりの数の心血管イベントが発生し得る、既存のスケール/方法/計算式の限界を克服するための方法に関する。
従って、本発明はまた、慢性腎疾患に罹患している患者、特に1つまたはそれ以上の心血管疾患に既に罹患している患者における心血管疾患を正確に予測しない、スケール/方法/計算式の限界を克服するための方法に関する。
本発明は、慢性腎疾患に罹患している患者における心血管リスクを正確に計算する方法を提供することにより、心血管リスクを計算するために今日使用されるスケール/方法/計算式の上記の限界を克服する。遺伝子マーカーの(上記の)特定の組合せを使用する。特に有利な組合せは、配列番号1−7、または1−8におけるSNPの組合せ、すなわち、rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601およびrs10455872の組合せである。さらにより好ましい、かつ有利なものは、数千の可能性のあるマーカーの複合解析および真正解析(genuine analysis)後に、本発明者らによって選択され、評価された、表1(図1参照)に列記されている組合せである。遺伝的リスクスコア(GRS)を構築するための異なる可能性のうち、本発明者らは、この組合せが提供されることにより最良の結果が得られる、特定のものを同定することに成功した。遺伝的リスクパンクチュエーションを計算するために、各個体に存在する表1に列記されたSNPからのリスクアレルの累積数が考慮される。研究される変異体のそれぞれについて、全ての個体は、0、1または2個のリスクアレルを有し得る。選択された変異体の異なるセットに蓄積されたリスクアレルのsum関数(summatory:数列の和)を計算することにより(n=9、または8)、各個体について、それぞれ、0から18、または16であるスコアが得られた。本発明者らは、心血管リスクの推定のための新しいアルゴリズムを作成した。この革新的な戦略は、正確な心血管リスクの推定を可能にし、さらに優れた正味の再分類の改善値を有する患者の再分類を可能にする。
本発明の好ましい態様を以下に記載する:
1.慢性腎疾患に罹患している対象から採取されたサンプルにおいて、多型の存在を決定する工程を含む、該対象において心血管リスクを評価する方法であって、該多型が、配列番号1〜8の核酸配列内の位置27に存在するか、または該多型が、配列番号1〜8のいずれかの配列と強い連鎖不平衡の関係にある配列中にあり、ここで、該位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、そして/または配列番号8においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が、心血管イベントの発症リスクの指標である、方法。
2.さらに、該位置27における、配列番号9においてA、配列番号10においてA、および/または配列番号11においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs10507391、rs9315051、および/またはrs17222842を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が決定される、項1に記載の方法。
3.フラミンガム、Regicor、Score、Procam.Qリスク、MACE、総死亡率リスク計算などの、これらに限定されない、リスク推定のためのスケール/方法を用いて得られたリスク評価と比較して、改善されたリスク評価で慢性腎疾患に罹患している対象を再分類するための、上記項1および/または2に記載の方法。
4.心血管治療の必要性または心血管イベントに対する予防的心血管治療/管理の必要性または特定の治療目標の必要性において、慢性腎疾患に罹患している対象を同定するための、上記項1−3のいずれかに記載の方法。
5.後者の3つの配列(配列番号9−11)およびrsが、ハプロタイプB ALOX5APを形成し、他の8つの配列に加えて、1つの遺伝的リスク要因と見なされる、上記の項2−4のいずれかに記載の方法。
6.慢性腎疾患に罹患し、かつ1つまたはそれ以上の非致死性の心筋梗塞または狭心症または卒中または一過性脳虚血発作または末梢動脈障害を有する個体の、致死性もしくは非致死性の心筋梗塞または狭心症または卒中または一過性脳虚血発作または末梢動脈障害を呈する確率を決定するための、上記項1−5のいずれかに記載の方法。
7.慢性腎疾患に罹患し、かつ心血管イベントを有するか、または心血管イベントの素因を有する疑いのある患者の予防的および/または治療的処置の治療目標を確立するための方法であって、該患者および/または治療目標は、対象から採取されたサンプル内に上記の多型が存在することに基づく治療のために選択される、上記項1−6のいずれかに記載の方法。
8.慢性腎疾患に罹患している個体の、10年間の致死性もしくは非致死性の心筋梗塞または狭心症を呈する確率を決定するための、上記項1−7のいずれかに記載の方法であって、1からPの臨床的および/または生化学的リスク因子ならびに配列番号1〜11の上記のヌクレオチド配列中の位置27における1からJの多型の存在に基づき、式1aを用いて決定される方法:

式中、
prob(event|CRFp,i,SNPj,i)は、冠血管リスク因子(CRF)および遺伝的特徴(SNPj,i)の組合せによって与えられる冠血管イベントを発症する確率である。
・event:個体“i”についての、10年間の冠血管イベント(致死性および非致死性の心筋梗塞または狭心症)。
・CRFp,i:個体“i”についての計算式に含まれる各冠血管リスク因子“p”の値。モデルに含まれる冠血管リスク因子のリストは表Aに示す。
・SNPj,i:個体“i”についての計算式に含まれる特定の遺伝子変異体“j”のリスクアレルの数(0,1,2)。モデルに含まれる現在の変数を表Bに示す。
は、集団における冠血管イベントなしの平均生存率である。この生存率は、地域または国の率に適合される。
exp;自然指数
は、P古典的リスク因子に伴うsum関数である。
βCRFpは、表Aに示すように、冠血管リスク因子“p”に対応するハザード比の対数である。
CRFp.iは、個体“i”の計算式に含まれる各冠血管リスク因子“p”の値である。
は、J遺伝子変異に伴うsum関数である。
βSNPは、表Bに示されるように、遺伝子変異体“j”に対応するハザード比の対数である。
SNPj,iは、個体“i”についての計算式に含まれる特定の遺伝子変異体“j”についてのリスクアレルの数(0,1,2)である。
は、集団内での臨床的/生化学的リスク因子“p”の平均値である。
は、集団内の遺伝的変異体“j”の平均リスクアレルのコピー数である。
9.慢性腎疾患に罹患している個体の、10年間の致死性もしくは非致死性の心筋梗塞または狭心症を呈する確率を決定するための、上記項1−7のいずれかに記載の方法であって、1からPの異なる臨床的および/または生化学的リスク因子ならびに1からJ個の異なる遺伝子変異体(ここで、該遺伝子変異体は、配列番号1〜11のヌクレオチド配列中の位置27における上記の多型である)に基づき、式1bを用いて決定される方法:

式中、
prob(event|CRFp,i、GRS)は、冠血管リスク因子(CRFp,i)および遺伝的特徴(GRS)の組合せによって与えられる冠血管イベントを発症する確率であり、
・event:個体“i”についての、10年間の冠血管イベント(致死性および非致死性の心筋梗塞または狭心症)。
・CRFp,i:個体“i”についての計算式に含まれる各冠血管リスク因子“p”の値。モデルに含まれる冠血管リスク因子のリストは表Aに示す。
・GRS:個体“i”についての計算式に含まれる遺伝子変異体のリスクアレルの加重数(0,1,2)として定義される遺伝的リスクスコア。遺伝的リスクスコアに含まれる変異体を表Aに示す。加重は、スコアに含まれる各SNPのβ値に比例し(表B参照のこと)、GRSの範囲は、スコアに含まれるSNPの数の0〜2倍である。
は、集団における冠血管イベントなしの平均生存率である。
exp;自然指数

は、式中、
が、“p”臨床的/生化学的リスク因子に伴うsum関数である。
βCRFpが、臨床的/生化学的リスク因子“p”に対応するハザード比の対数である。各冠血管リスク因子“p”についてのβ値を表Aに示す。
CRFp.iが、個体“i”の計算式に含まれる各冠血管リスク因子“p”の値である。
βGRSは、遺伝的リスクスコアの値の1単位増加に対応するハザード比の対数である。βGRSの値は、0.010から0.500の範囲内であり、0.104である。
GRSは、個体“i”の遺伝的リスクスコアの値である。
は、集団における臨床的/生化学的リスク因子“p”の平均値である。この平均値は、地域または国の有病率に適合され得る。
は、集団内の遺伝的リスクスコアの平均値である。
そして、他の変数は、項8に定義の通りである。
10.心血管イベントが、致死性もしくは非致死性の心筋梗塞、卒中、狭心症、一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患またはそれらの組み合わせの群から選択される、項1から9の何れかに記載の方法。
11.年齢、人種、性別、肥満度指数、収縮期血圧、拡張期血圧、喫煙状態および喫煙歴、総コレステロール量、低密度リポタンパク質(LDL)−または高密度リポタンパク質(HDL)−コレステロール量、トリグリセリド、異脂肪血症歴、心不全歴、冠動脈性心疾患の既往歴、真性糖尿病、血糖値、糖化ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、糸球体濾過量、腎疾患状態(CKDステージ1−4、腎代替療法または腎移植における末期腎不全(ESRD))、高血圧、腎不全およびその病期(1〜5)、慢性腎疾患およびその病期(透析前、透析中、移植、移植不全)、腎代替療法の延べ時間、移植回数、左室肥大、飲酒、身体活動実施、心血管疾患または冠血管疾患の食事歴および家族歴、クレアチニン、カルシウム、リン、パラトルモン、アルブミン、および24時間蓄尿検査からなる群より選択される、1つまたはそれ以上の心血管疾患または障害のリスク因子を決定することをさらに含む、項1から10の何れかに記載の方法。
12.サンプルが口腔組織サンプルであり、剥離もしくは洗浄されるか、または生物学的液体サンプル、好ましくは唾液、尿もしくは血液である、項1から11のいずれかに記載の方法。
13.ポリヌクレオチドの存在または不存在を、サンプルからの増幅産物の増幅に成功するか、または失敗するかによって同定する、項1から12のいずれか1つまたはそれ以上に記載の方法であって、ここで、該増副産物は、好ましくは分析前に制限酵素で消化され、および/または該SNPは、核酸サンプルを検出可能な部分で標識されたプライマーと共にハイブリダイズすることにより同定される、方法。
14.複数の古典的リスク因子“p”が用いられ、該複数のリスク因子が以下からなる群より選択される、項1から13のいずれかに記載の方法:
・性別、年齢、総コレステロール、HDL−コレステロール、血圧、糖尿病および喫煙、
・年齢、LDL−コレステロール、HDL−コレステロール、トリグリセリド、収縮期血圧、心筋梗塞および糖尿病の家族歴、
・性別、Log(年齢/10)、総コレステロール/HDL−コレステロール、肥満度指数、若年性CVDの家族歴、喫煙、出力領域のTownsendスコア、収縮期血圧、高血圧の処置、および収縮期血圧(SBP)高血圧(HTN)処置の相関、
・腎疾患病期(CKDステージ1−4、腎代替療法または腎移植におけるESDR)、年齢、性別、HDL−コレステロール、糖尿病状態、高血圧状態、ヘモグロビンA1c、
・年齢、冠動脈性心疾患の既往歴、喫煙、血清クレアチニン、真性糖尿病、LDL−コレステロール、腎代替療法の延べ時間、
・年齢、冠動脈性心疾患の既往歴、喫煙、血清クレアチニン、真性糖尿病、LDL−コレステロール、腎代替療法の延べ時間、移植回数。
15.確率が、対象の15歳から85歳までの期間について決定される、項1から14のいずれかに記載の方法。
16.確率が、対象の35歳から75歳までの期間について決定される、項1から14のいずれかに記載の方法。
17.確率が、対象の実際の年齢から75歳までの期間について決定される,項1から14のいずれかに記載の方法。
18.上記の何れかのrsと強い連鎖不平衡を有する該他のrsが、(i)配列番号48で示され、rs501120と強い連鎖不平衡を有する、rs1746048であるか、または(ii)配列番号49で示され、rs17465637と強い連鎖不平衡を有する、rs2133189である、項1から17のいずれかに記載の方法。
19.項1から18のいずれかに記載の方法を実施するため手段を含む、コンピュータープログラムまたはコンピューターが判読可能な記録媒体。
20.配列番号1〜11からなる群より選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドの同一性を検出するための試薬を含むキット。
21.配列番号1〜8からなる群より選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドの同一性を検出するための試薬を含むキット。
22.配列番号1〜7からなる群より選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドの同一性を検出するための試薬を含むキット。
23.配列番号1〜7、または配列番号1〜8、または配列番号1〜11の核酸配列内の少なくとも位置27を含む領域の増幅に特異的な1つまたはそれ以上のプライマー対を含む、項20または22に記載のキット。
24.選択された配列が、それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872、rs10507391、rs9315051、およびrs17222842を有する、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10および配列番号11であるか、または記載されるrsのいずれかと強い連鎖不平衡を有する何れか他のrsである、項20または23に記載のキット。
25.選択された配列が、それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601およびrs10455872を有する、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8であるか、または記載されるrsのいずれかと強い連鎖不平衡を有する何れか他のrsである、項21または23に記載のキット。
26.選択された配列が、それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120およびrs9982601を有する、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号7であるか、または記載されるrsのいずれかと強い連鎖不平衡を有する何れか他のrsである、項22または23に記載のキット。
27.記載されるrsのいずれかと強い連鎖不平衡を有する該他のrsが、(i)配列番号48で示され、rs501120と強い連鎖不平衡を有する、rs1746048であるか、または(ii)配列番号49で示され、rs17465637と強い連鎖不平衡を有する、rs2133189である、項24から26のいずれかに記載のキット。
28.配列番号12および13(rs1333049)、および
配列番号14および15(rs1333049);
配列番号16および17(rs10455872)、および
配列番号18および19(rs10455872);
配列番号20および21(rs6725887)、および
配列番号22および23(rs6725887);
配列番号24および25(rs9818870)、および
配列番号26および27(rs9818870);
配列番号28および29(rs10507391)、および
配列番号30および31(rs10507391);
配列番号32および33(rs9982601)、および
配列番号34および35(rs9982601);
配列番号36および37(rs9315051)、および
配列番号38および39(rs9315051);
配列番号40および41(rs12526453)、および
配列番号42および43(rs12526453);
配列番号44および45(rs17222842)、および
配列番号46および47(rs17222842);
配列番号50および51(rs17465637)、および
配列番号52および53(rs17465637);
配列番号54および55(rs501120)、および
配列番号56および57(rs501120);
配列番号58および59(rs2133189)、および
配列番号60および61(rs2133189);
配列番号62および63(rs1746048)、および
配列番号64および65(rs1746048);ならびに、
配列番号66および67(rs2133189)、および
配列番号68および69(rs2133189)
からなる群より選択される、プローブ/プライマーのセット。
関数(複数可)で得られた全ての値は、必要に応じて、地域または国の有病率に適合させ得る。
従って、本明細書に記載の全ての方法およびキットのためのSNPの最も好ましい組合せは、配列番号1−7のSNPの組合せ、または配列番号1−8のSNPの組合せ、または配列番号1−11のSNPの組合せである。
用語“多型”および“一塩基多型”(すなわち、SNP)は、本明細書中、互換的に用いられ、ゲノムまたは別の共有配列中の単一のヌクレオチドが、種のメンバー間または個体中の染色体対間で異なるときに生じるヌクレオチド配列変異に関する。SNPはまた、定義された集団中の約1%を超える程度の低いアレル頻度を有する変異として表され得る。本発明の一塩基多型は、遺伝子のコーティング配列内、遺伝子の非コーディング配列内または遺伝子間のイントロン領域内にあってよい。
本発明のこの方法で用いられている多型のリストは、本明細書に添付の表1(図1)に示され、好ましくは配列番号1−8のSNP、配列番号1−7のSNP、より好ましくは配列番号1−11のSNPである。
本明細書中、強い連鎖不平衡はr値によって定義され得る。連鎖不平衡は、遺伝子座の対でのハプロタイプ分布の特性である。これは、集団内の染色体遺伝子座の対間の関連を説明する。r値は、連鎖不平衡を記載するために特に適していると考えられる。
連鎖不平衡のrの値は、以下の式で定義される:
式中、
abは、遺伝子座1にアレルaおよび遺伝子座2にアレルbを有するハプロタイプの頻度である(Hill & Robertson, 1968)。相関係数の二乗として、r(Pab、Pb、Pab)は、Pab、PbおよびPabの変化に応じて0から1の範囲である。
“Hill & Robertson, 1968”は、Theor Appl Genetics 1968;38:226−231である。
強い連鎖不平衡は、0.7以上、好ましくは0.8以上、より好ましくは0.9以上、例えば1を含む、r値を有するものである。
本明細書で用いる用語“心血管疾患または障害”には、心臓または血管または両方に影響する疾患、または心肺および循環系に関連する疾患が含まれる。該疾患には以下の疾患が含まれるが、これらに限定されない。虚血、狭心症、浮腫状態、アテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患、LDL酸化、内皮細胞への単球の接着、泡沫細胞形成、脂肪線条発達、血小板の付着および凝集、平滑筋細胞増殖、再灌流障害、高血圧、血栓症、不整脈(心房または心室または両方);心律動障害;心筋虚血;心筋梗塞;心臓または血管の動脈瘤(cardiac or vascular aneurysm);脈管炎、卒中;手足、臓器、または組織の末梢閉塞性動脈疾患;脳、心臓または他の臓器もしくは組織の虚血性ショック、内毒素ショック、外科的ショックまたは外傷性ショック後の再灌流障害;高血圧、心臓弁膜症、心不全、異常血圧;ショック;血管収縮(偏頭痛と関連するものを含む);血管形成異常、炎症および/または単一の臓器もしくは組織に限定される機能不全。
好ましい態様において、リスクが検出される心血管疾患または心血管イベントは、致死性および非致死性心筋梗塞、卒中、狭心症、一過性脳虚血発作、末梢動脈障害またはそれらの組み合わせの群から選択される。
本明細書で用いる用語“サンプル”とは、生物学的供給源由来の任意のサンプルを意味し、細胞培養物もしくはその抽出物、哺乳動物から得られた生検材料もしくはその抽出物、および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙、または他の体液もしくはその抽出物が含まれるが、それらに限定されない。
予測モデルを使用するとき、一例としては、治療決定を行うために、予測リスクが、リスクカットオフ閾値を用いて分類される。本明細書で用いる用語“再分類”は、リスク評価の初期モデルと比較して新しいモデルの下でのリスクの別のカテゴリーへのヒトの層別化を意味する。再分類は、通常、再分類されるヒトの割合を意味する。
本明細書で用いる用語“純再分類改善度(NRI)”は、リスク分類における正味の改善度の評価を意味する。NRIは、症例について個体集団中の上向き移動群の比から該集団の下向き移動群の比を引いた差と、非症例について個体集団の下向き移動群の比から該集団の上向き移動群の比を引いた差との和として計算される。NRIの要素は、症例および非症例における再分類の改善の正味の利点を示す。正および負の値は、それぞれ、改善された、または悪化した分類の個体の正味の割合を表す。全体的に、再分類の改善は、0よりも有意に大きいNRIで示される。
本明細書で用いる用語“心血管治療”は、上記の心血管疾患のいずれかに罹患するリスクを改善する、または低減させる任意の処置法を意味する。本発明で用いるのに好適な治療法には、抗凝血剤、抗血小板薬、血栓溶解剤、抗血栓剤、抗不整脈薬、再分極を延長する薬剤、抗高血圧薬、血管拡張薬、降圧剤、利尿剤、強心薬、抗狭心症薬、低脂肪血症剤または脂質低下剤などが含まれるが、これらに限定されない。
抗凝血剤の非限定的例としては、アセノクマロール、アンクロッド、アニシンジオン、ブロミンジオン、クロリンジオン、クメタロール、シクロクマロール、デキストラン硫酸ナトリウム、ジクマロール、ジフェナジオン、エチルビスクムアセテート、エチリデンジクマロール、フルインジオン、ヘパリン、ヒルジン、リアポレートナトリウム、オキサゾリジノン、ポリ硫酸ペントサン、フェニンジオン、フェンプロクモン、ホスビチン、ピコタミド、チオクロマロールおよびワルファリンが挙げられる。
抗血小板薬の非限定的例としては、アスピリン、デキストラン、ジピリダモール(ペルサンチン)、ヘパリン、スルフィン−ピラノン(anturane)、クロピドグレルおよびチクロピジン(ticlid)が挙げられる。
血栓溶解剤の非限定的例としては、組織プラスミノーゲンアクチベーター(アクチバーゼ)、プラスミン、プロウロキナーゼ、ウロキナーゼ(abbokinase)、ストレプトキナーゼ(streptase)、アニストレプラーゼ/APSAC(eminase)が挙げられる。
抗血栓薬の非限定的例としては、アナグレリド、アルガトロバン、シロスタゾール、ダルトロバン、デフィブロチド、エノキサパリン、フラキシパリン(fraxiparine)、インドブフェン、ラモパラン(lamoparan)、オザグレル、ピコタミド、プラフィブリド、テデルパリン、チクロピジンおよびトリフルサールが挙げられる。
抗不整脈薬の非限定的例としては、クラスI抗不整脈薬(ナトリウムチャネル遮断薬)、クラスII抗不整脈薬(β−アドレナリン遮断薬)、クラスIII抗不整脈薬(再分極遅延薬)、クラスIV抗不整脈薬(カルシウムチャネル遮断薬)および種々の抗不整脈薬が挙げられる。
ナトリウムチャネル遮断薬の非限定的例としては、クラスIA、クラスIBおよびクラスIC不整脈薬が挙げられる。クラスIA不整脈薬の非限定的例としては、ジソピラミド(dispyramide)(norpace)、プロカインアミド(pronestyl)およびキニジン(quinidex)が挙げられる。クラスIB不整脈薬の非限定的例としては、リドカイン(キシロカイン)、トカイニド(tonocard)およびメキシレチン(mexitil)が挙げられる。
クラスIC不整脈薬の非限定的例としては、エンカイニド(enkaid)およびフレカイニド(fiecainide)(tambocor)が挙げられる。
β−アドレナリン遮断薬、β−アドレナリンアンタゴニストまたはクラスII抗不整脈薬としても知られている、β遮断薬の非限定的例としては、アセブトロール(sectral)、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、アテノロール、ベフノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブニトロロール、ブプラノロール、塩酸ブチドリン、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エパノロール、エスモロール(brevibloc)、インデノロール、ラベタロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ナドキソロール、ニフェナロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プラクトロール、プロネタロール、プロプラノロール(インデラル)、ソタロール(betapace)、スルフィナロール、タリノロール、テルタトロール、チモロール、トリプロロールおよびキシビノロールが挙げられる。特定の態様では、β遮断薬はアリールオキシプロパノールアミン誘導体を含む。
アリールオキシプロパノールアミン誘導体の非限定的例としては、アセブトロール、アルプレノロール、アロチノロール、アテノロール、ベタキソロール、ベバントロール、ビソプロロール、ボピンドロール、ブニトロロール、ブトフィロロール、カラゾロール、カルテオロール、カルベジロール、セリプロロール、セタモロール、エパノロール、インデノロール、メピンドロール、メチプラノロール、メトプロロール、モプロロール、ナドロール、ニプラジロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ピンドロール、プロプラノロール、タリノロール、テルタトロール、チモロールおよびトリプロロールが挙げられる。
脂質低下能を有する薬剤の非限定的例としては、第四級アミン類のような胆汁酸捕捉剤(例えば、コレスチラミンおよびコレスチポール);ニコチン酸およびその誘導体;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、例えばメバスタチン、プラバスタチンおよびシンバスタチン; ゲムフィブロジルおよび他のフィブリン酸、例えばクロフィブラート、フェノフィブラート、ベンザフィブラートおよびシプロフィブラート;プロブコール;ラロキシフェンおよびその誘導体が挙げられるが、これに限定されない。
クラスIII抗不整脈薬としても公知の、再分極を延長する薬剤(再分極遅延薬)の非限定的例としては、アミオダロン(cordarone)およびソタロール(betapace)が挙げられる。
クラスIV抗不整脈薬としても公知の、カルシウムチャネル遮断薬の非限定的例としては、アリールアルキルアミン(例えば、ベプリジル、ジルチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、プレニラミン、テロジリン、ベラパミル)、ジヒドロピリジン誘導体(フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニモジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン)、ピペラジン誘導体(例えば、シンナリジン、フルナリジン、リドフラジン)、または種々のカルシウムチャネル遮断薬、例えばベンシクラン、エタフェノン、マグネシウム、ミベフラジルまたはペルヘキシリンが挙げられる。任意の態様において、カルシウムチャネル遮断薬は、長時間作用型ジヒドロピリジン(ニフェジピン型)カルシウムアンタゴニストを含む。
種々の抗不整脈薬の非限定的例としては、アデノシン(adenocard)、ジゴキシン(lanoxin)、アセカイニド、アジマリン、アモプロキサン、アプリンジン、ブレチリウムトシレート、ブナフチン、ブトベンジン、カポベン酸、シフェンリン、ジソピラミド(disopyranide)、ハイドロキニジン、エンカイニド(indecainide)、臭化イプラトロピウム、リドカイン、ロラジミン、ロルカイニド、メオベンチン(meobentine)、モリシジン、ピルメノール、プラジュマリン、プロパフェノン、ピリノリン(pyrinoline)、キニジンポリガラクツロン、硫酸キニジンおよびビキジル(viquidil)が挙げられる。
降圧剤の非限定的例としては、交感神経抑制薬、αI β 遮断薬、α遮断薬、抗アンジオテンシンII薬、β遮断薬、カルシウムチャネル遮断薬、血管拡張薬およびその他の降圧剤が挙げられる。
α−アドレナリン遮断薬またはα−アドレナリンアンタゴニストとしても公知の、α遮断薬の非限定的例としては、アモスラロール、アロチノロール、ダピプラゾール、ドキサゾシン、メシル酸エルゴロイド、フェンスピリド、インドラミン、ラベタロール、ニセルゴリン、プラゾシン、テラゾシン、トラゾリン、トリマゾシンおよびヨヒンビンが挙げられる。任意の態様において、α遮断薬は、キナゾリン誘導体を含んでいてよい。
キナゾリン誘導体の非限定的例としては、アルフゾシン、ブナゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、テラゾシンおよびトリマゾシンが挙げられる。任意の態様において、降圧剤は、αおよびβアドレナリンアンタゴニストの両方である。
α/β遮断薬の非限定的例としては、ラベタロール(normodyne、trandate)が挙げられる。
抗アンジオテンシンII薬の非限定的例としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤およびアンジオテンシンII受容体アンタゴニストが挙げられる。アンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)の非限定的例としては、アラセプリル、エナラプリル(vasotec)、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル(enalaprilat)、フォシノプリル、リシノプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリルおよびラミプリルが挙げられる。アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ANG受容体遮断薬またはANG−II−1型受容体遮断薬(ARBS)としても公知の、アンジオテンシンII受容体遮断薬の非限定的例としては、アンジオカンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタンおよびバルサルタンが挙げられる。交感神経抑制薬の非限定的例としては、中枢性交感神経遮断薬または末梢神経作用性交感神経遮断薬が挙げられる。中枢神経系(CNS)交感神経遮断薬としても公知の、中枢性交感神経遮断薬の非限定的例としては、クロニジン(catapres)、グアナベンズ(wytensin)、グアンファシン(tenex)およびメチルドパ(aldomet)が挙げられる。末梢神経作用性交感神経遮断薬の非限定的例としては、神経節遮断薬、アドレナリン作動性神経遮断薬、β−アドレナリン遮断薬またはアルアドレナリン遮断薬が挙げられる。神経節遮断薬の非限定的例としては、メカミラミン(inversine)およびトリメタファン(arfonad)が挙げられる。アドレナリン作動性神経遮断薬の非限定的例としては、グアネチジン(イスメリン)およびレセルピン(セルパシル)が挙げられる。β−アドレナリン遮断薬の非限定的例としては、アセニトロール(sectral)、アテノロール(テノーミン)、ベタキソロール(kerlone)、カルテオロール(cartrol)、ラベタロール(normodyne、trandate)、メトプロロール(lopressor)、ナドロール(corgard)、ペンブトロール(levatol)、ピンドロール(visken)、プロプラノロール(inderal)およびチモロール(blocadren)が挙げられる。α−アドレナリン遮断薬の非限定的例としては、プラゾシン(minipress)、ドキサゾシン(cardura)およびテラゾシン(hytrin)が挙げられる。
任意の態様において、心血管治療薬には、血管拡張薬(例えば、脳血管拡張薬、冠血管拡張薬または末梢血管拡張薬)が含まれ得る。任意の好ましい態様において、血管拡張薬には、冠血管拡張薬が含まれる。冠血管拡張薬の非限定的例としては、アモトリフェン、ベンダゾール、ベンフロジルヘミスクシネート、ベンズヨーダロン、クロラシジン、クロモナール、クロベンフロール(clobenfurol)、クロニトラート、ジラゼプ、ジピリダモール、ドロプレニルアミン、エフロキサート、エリトリトールテトラニトラート、エタフェノン、フェンジリン、フロリジル(floredil)、ガングレフェン、ヘレストロール ビス(β−ジエチルアミノエチルエーテル)、ヘキソベンジン、イトラミントシレート、ケリン、リドフラジン(lidoflanine)、マンニトールヘキサニトレン、メジバジン、ニトログリセリン(nicorglycerin)、四硝酸ペンタエリスリトール、ペントリニトロール、ペルヘキシリン、ピメフィリン、トラピジル、トリクロミル(tricromyl)、トリメタジジン、リン酸トロールニトラートおよびビスナジンが挙げられる。
任意の態様において、血管拡張薬は、長期治療用血管拡張薬または高血圧緊急症用血管拡張薬を含み得る。長期治療用血管拡張薬の非限定的例としては、ヒドララジン(アプレソリン)およびミノキシジル(ロニテン)が挙げられる。高血圧緊急症用血管拡張薬の非限定的例としては、ニトロプルシド(nipride)、ジアゾキシド(hyper−stat IV)、ヒドララジン(apresoline)、ミノキシジル(loniten)およびベラパミルが挙げられる。
その他の降圧剤の非限定的例としては、アジマリン、γ−アミノ酪酸、ブフェンヨード(bufeniode)、シクレタニン、シクロシドミン、タンニン酸クリプテナミン、フェノルドパム、フロセキナン、ケタンセリン、メブタメート、メカミラミン、メチルドパ、メチル4−ピリジルケトンチオセミカルバゾン、ムゾリミン、パルギリン、ペンピジン、ピナシジル、ピペロキサン、プリマペロン、プロトベラトリン、ラウバシン、レシメトール、リルメニジン、サララシン、ニトロプルシドナトリウム(sodium nitrousside)、チクリナフェン、カンシル酸トリメタファン、チロシナーゼおよびウラピジルが挙げられる。
任意の態様において、降圧剤には、アリールエタノールアミン誘導体、ベンゾチアジアジン誘導体、7N−カルボキシアルキル(ペプチド/ラクタム)誘導体、ジヒドロピリジン誘導体、グアニジン誘導体、ヒドラジン/フタラジン、イミダゾール誘導体、四級アンモニウム化合物、レセルピン誘導体またはスルホンアミド誘導体が含まれ得る。アリールエタノールアミン誘導体の非限定的例としては、アモスラロール、ブフラロール、ジレバロール、ラベタロール、プロネタロール、ソタロールおよびスルフィナロール(sulfinalol)が挙げられる。ベンゾチアジアジン誘導体の非限定的例としては、アルチジド、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロペンチアジド、シクロチアジド、ジアゾキシド、エピチアジド、エチアジド(ethiazide)、フェンキゾン、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、メチクラン、メトラゾン、パラフルチジド、ポリチジド(polythizide)テトラクロルメチアジド、およびトリクロルメチアジドが挙げられる。N−カルボキシアルキル(ペプチド/ラクタム)誘導体の非限定的例としては、アラセプリル、カプトプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モベルチプリル、ペリンドプリル、キナプリルおよびラミプリルが挙げられる。ジヒドロピリジン誘導体の非限定的例としては、アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、ニソルジピンおよびニトレンジピンが挙げられる。グアニジン誘導体の非限定的例としては、ベタニジン、デブリソキン、グアナベンズ、グアナクリン、グアナドレル、グアナゾジン、グアネチジン、グアンファシン、グアノクロル、グアノキサベンズおよびグアノキサンが挙げられる。ヒドラジン/フタラジンの非限定的例としては、ブドララジン、カドララジン、ジヒドララジン、エンドララジン、ヒドラカルバジン、ヒドララジン、フェニプラジン、ピルドララジンおよびトドララジンが挙げられる。イミダゾール誘導体の非限定的例としては、クロニジン、ロフェキシジン、フェントラミン、チアメニジンおよびトロニジンが挙げられる。四級アンモニウム化合物の非限定的例としては、臭化アザメトニウム、塩化クロルイソンダミン、ヘキサメトニウム、ペンタシニウムビス(メチルスルファート)、臭化ペンタメトニウム、酒石酸ペントリニウム、塩化フェナクトロピニウムおよびトリメチジニウムメトスルファートが挙げられる。レセルピン誘導体の非限定的例としては、ビエタセルピン、デセルピジン、レシナミン、レセルピンおよびシロシンゴピンが挙げられる。スルホンアミド誘導体の非限定的例としては、アンブシド、クロパミド、フロセミド、インダパミド、キネタゾン、トリパミドおよびキシパミドが挙げられる。昇圧剤は、一般的に、外科手術中に起こり得るショック中の血圧を上昇させるために用いられる。抗低血圧薬としても公知の、昇圧剤の非限定的例としては、アメジニウムメチル硫酸塩、アンジオテンシンアミド、ジメトフリン、ドーパミン、エチフェルミン、エチレフリン、ゲペフリン、メタラミノール、ミドドリン、ノルエピネフリン、フォレドリンおよびシネフリンが挙げられる。鬱血性心不全の処置のための薬剤の非限定的例としては、抗アンジオテンシンII薬、後負荷−前負荷軽減処置剤、利尿剤および強心剤(inotropic agent)が挙げられる。
任意の態様において、アンジオテンシンアンタゴニストを許容し得ない動物、例えばヒト患者は、併用療法によって治療され得る。そのような療法は、ヒドララジン(apresoline)および硝酸イソソルビド(isordil、sorbitrate)の投与を組み合わせものであってよい。
利尿剤の非限定的例としては、チアジドまたはベンゾチアジアジン誘導体(例えば、アルチアジド、ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、ブチアジド、クロロチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロペンチアジド、エピチアジド、エチアジド、フェンキゾン、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、メチクラン、メトラゾン、パラフルチジド、ポリチジド、テトラクロロメチアジド、トリクロルメチアジド)、有機水銀化合物(例えば、クロルメロドリン、メラルリド、メルカムファミド、メルカプトメリンナトリウム、マーキュマチリン酸、マーキュマチリンナトリウム(mercumatilin dodium)、塩化第一水銀(mercurous chloride)、メルサリル)、プテリジン(例えば、フルテレン、トリアムテレン)、プリン類(例えば、アセフィリン、7−モルホリノメチルテオフィリン、パモブロム(pamobrom)、プロテオブロミン(protheobromine)、テオブロミン)、アルドステロンアンタゴニストを含むステロイド(例えば、カンレノン、オレアンドリン、スピロノラクトン)、スルホンアミド誘導体(例えば、アセタゾラミド、アンブシド(ambuside)、アゾセミド、ブメタニド、ブタゾラミド、クロラミノフェナミド 、クロフェナミド、クロパミド、クロレキソロン、ジフェニルメタン−4,4’−ジスルホンアミド、ジスルファミド、エトキスゾラミド、フロセミド、インダパミド、メフルシド、メタゾラミド、ピレタニド、キネタゾン、トラセミド、トリパミド、キシパミド)、ウラシル(例えば、アミノメトラジン、アミソメトラジン)、カリウム保持性アンタゴニスト(例えば、アミロライド、トリアムテレン)、またはその他の利尿剤、例えばアミノジン、アルブチン、クロラザニル、エタクリン酸、エトゾリン、ヒドラカルバジン、イソソルビド、マンニトール、メトカルコン、ムゾリミン、ペルヘキシリン、チクリナフェンおよび尿素が挙げられる。
強心剤(cardiotonic)としても公知の、正の強心剤(inotropic agent)の非限定的例としては、アセフィリン、アセチルジギトキシン、2−アミノ−4−ピコリン、アムリノン、ベンフロジルヘミスクシナート、ブクラデシン、セルベロシン、カンフォタミド、コンバラトキシン、シマリン、デノパミン、デスラノシド、ジギタリン、ジギタリス、ジギトキシン、ジゴキシン、ドブタミン、ドーパミン、ドペキサミン、エノキシモン、エリトロフレイン、フェナルコミン、ギタリン、ギトキシン、グリコシアミン、ヘプタミノール、ヒドラスチニン、イボパミン、ラナトシドメタミバム、ミルリノン、ネリホリン(nerifolin)、オレアンドリン、ウアバイン、オキシフェドリン、プレナルテロール、プロスシラリジン、レシブホゲニン、シラレニン、シラレニン、ストロファンチン、スルマゾール、テオブロミンおよびキサモテロールが挙げられる。
特定の態様において、強心薬は、強心配糖体、β−アドレナリンアゴニストまたはホスホジエステラーゼ阻害剤である。強心配糖体の非限定的例としては、ジゴキシン(ラノキシン)およびジギトキシン(crystodigin)が挙げられる。β−アドレナリンアゴニストの非限定的例としては、アルブテロール、バンブテロール、ビトルテロール、カルブテロール(carbuterol)、クレンブテロール、クロルプレナリン、デノパミン、ジオキセテドリン、ドブタミン(dobutrex)、ドーパミン(intropin)、ドペキサミン、エフェドリン、エタフェドリン、エチルノルエピネフリン、フェノテロール、フォルモテロール、ヘキソプレナリン、イボパミン、イソエタリン、イソプロテレノール、マブテロール、メタプロテレノール、メトキシフェナミン、オキシフェドリン、ピルブテロール、プロカテロール、プロトキロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、ソテレノール、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロールおよびキサモテロールが挙げられる。ホスホジエステラーゼ阻害剤の非限定的例としては、アムリノン(inocor)が挙げられる。
抗狭心症剤は、有機硝酸薬、カルシウムチャネル遮断薬、β遮断薬およびそれらの組み合わせを含み得る。ニトロ血管拡張薬としても公知の、有機硝酸薬の非限定的例としては、ニトログリセリン(nitro−bid、nitrostat)、硝酸イソソルビド(isordil、sorbitrate)および硝酸アミル(aspirol、vaporole)が挙げられる。エンドセリン(ET)は、心不全の発症に関与すると思われる、強力な生理的作用および病態生理的作用を有する、21−アミノ酸ペプチドである。ETの効果は、細胞表面受容体の2つのクラスとの相互作用を介して媒介される。タイプA受容体(ET−A)は、血管収縮および細胞増殖に関連し、タイプB受容体(ET−8)は、内皮細胞媒介血管拡張および他の神経ホルモン、例えばアルドステロンの放出に関連する。ETの産生またはその関連細胞を刺激する能力のいずれかを阻害し得る薬剤は、当技術分野で公知である。ET産生の阻害は、その前駆体からの活性ペプチドのプロセシングに関与する、エンドセリン変換酵素と称される酵素を阻止する薬剤の使用を伴う。細胞を刺激するETの能力を阻害することは、ETとその受容体との相互作用を阻止する薬剤の使用を伴う。エンドセリン受容体アンタゴニスト(ERA)の非限定的例としては、ボセンタン、エンラセンタン、アンブリセンタン、ダルセンタン、テゾセンタン、アトラセンタン、アボセンタン、クラゾセンタン、エドネンタン、シタクスセンタン、TBC3711、BQ123およびBQ788が挙げられる。
当業者は、個体の核酸における、本発明の方法に従うヌクレオチドの存在分析を、多型部位に存在するヌクレオチドを決定することができる任意の方法または技術によって行うことができることを容易に認識し得る。当技術分野で明らかなように、多型マーカー中に存在するヌクレオチドは、一方の核酸鎖または両方の鎖から決定することができる。
対象由来の生物学的サンプル(例えば、尿、唾液、血漿、血清などの体液、または頬組織サンプルもしくは口腔細胞などの組織サンプル)を得た後、典型的に、配列変化またはアレル変異体SNPの検出が行われる。実際に、当業者に公知の方法が用いられ得る。おそらく、最も直接的な方法は、ゲノムDNAまたはcDNAのいずれかの配列を実際に決定し、これらの配列を遺伝子の既知のアレルSNPと比較することである。これは、かなり高価かつ時間のかかる方法である。それにも関わらず、この技術は非常に一般的であり、よく知られている。
配列変異を検出するために存在する種々の方法のいずれかを、本発明の方法で用いることができる。用いる特定の方法は、心血管リスクの推定または治療選択において重要ではない。
他の可能な商業的に利用可能な方法は、直接配列決定技術を用いていないハイスループットSNP解析のために存在する。例えば、イルミナのVeracodeテクノロジー、Taqman(登録商標)SNPジェノタイピングケミストリーおよびKASPar SNPジェノタイピングケミストリーである。
直接配列決定法の変法は、Affymetrixから入手可能なGene Chip(商標)法である。あるいは、ロバスト性(robust)かつ安価なDNA配列変異決定法もまた市販されている。例えば、Perkin Elmer法は、配列変異を検出するために、そのTAQmanアッセイ(商標)を適合させた。Orchid BioSciencesは、標識されたヌクレオチド類縁体を用いたプライマー伸長を使用して、ヌクレオチドがオリゴヌクレオチドプローブの3’末端直後に生じ、その後、伸長した塩基を、直接蛍光、間接的比色アッセイ、質量分析または蛍光偏光を用いて同定することを決定する、SNP−IT(商標)(SNP同定技術)と呼ばれる方法を有する。Sequenomは、ハイブリダイゼーション捕捉技術に加えて、MALDl−TOF(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化法−飛行時間型質量分析)を用いて、SNP遺伝子型をそれらのMassARRAY(商標)システムを用いて検出する。Promegaは、READIT(商標) SNP/遺伝子タイピングシステム(米国特許第6,159,693号)を提供する。この方法において、DNAまたはRNAプローブを、標的核酸配列にハイブリダイズさせる。各塩基において標的配列に相補的なプローブは、独特の酵素混合物を用いて解重合され、一方、標的とは異なるインテロゲーションポジション(interrogation position)のプローブはそのまま残る。この方法は、高感度かつ適応可能なSNPスコアリングシステムを提供するために、ルシフェラーゼ検出と組み合わせてピロリン酸化反応を用いる。Third Wave Technologies社は、独自の開裂酵素を用いるlnvader OS(商標)法を有し、この酵素は、インベーダー法により形成される特定の構造のみを認識し、切断する。Invader OSは、標的の指数関数的増幅よりむしろ、インベーダー法により生じたシグナルの線形増幅に依存する。lnvader OSアッセイは、アッセイの一部にPCRを利用していない。加えて、制限酵素断片長多型(RFLP)を検出するために、遺伝子特異的PCR、次いで制限エンドヌクレアーゼ消化およびゲル電気泳動(または他のサイズ分離技術)を用いる、多数の法医学DNA検査ラボおよび多くの研究所がある。
上記の面のいずれかの任意の態様において、SNPの存在または不存在は、サンプル由来の増幅産物を増幅させるか、または増幅させないかにより決定される。ポリヌクレオチド増幅は、典型的にテンプレート依存性である。かかる増幅は、一般的に、テンプレートのさらなるコピーを作製するのにテンプレート鎖の存在に依存している。プライマーとは、テンプレート鎖にハイブリダイズするテンプレート依存的プロセスにおいて新生核酸の合成を開始し得る短い核酸である。典型的に、プライマーは、10〜30塩基対の長さであり、より長い配列を使用してもよい。プライマーは二本鎖および/または一本鎖形態で提供されてよいが、一般的に、一本鎖形態が好ましい。多くの場合、プライマー対は、テンプレート核酸の異なる領域に選択的にハイブリダイズするように設計されており、選択的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下でテンプレートDNAと接触させる。所望の用途に応じて、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件を、プライマーと完全に相補的な配列へのハイブリダイゼーションのみを可能にするように選択することができる。他の態様において、ハイブリダイゼーションは、プライマー配列と1つまたはそれ以上のミスマッチを含む核酸の増幅を可能にするために低ストリンジェンシー条件下で起こり得る。一旦ハイブリダイズすると、テンプレート−プライマー複合体は、テンプレート依存的核酸合成を促進する1つまたはそれ以上の酵素と接触する。十分量の増幅産物が産生されるまで、“サイクル”と呼ばれる増幅の複数ラウンドが行われる。
ポリメラーゼ鎖反応
多数のテンプレート依存的プロセスが、所定のテンプレートサンプル中に存在するオリゴヌクレオチド配列を増幅させるのに利用可能である。最もよく知られている増幅法の1つは、ポリメラーゼ連鎖反応である。PCRにおいて、核酸に選択的にハイブリダイズするプライマーの対が、選択的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で用いられる。本明細書で用いる用語“プライマー”は、テンプレート依存的プロセスにおいて新生核酸の合成を開始できる任意の核酸を包含する。プライマーは、二本鎖または一本鎖形態で提供されてよく、一本鎖形態が好ましい。プライマーは、所定のテンプレートサンプル中に存在する標的遺伝子配列を増幅するための多数のテンプレート依存的プロセスのうち何れか1つに用いられる。最もよく知られている増幅法の1つはPCRであり、米国特許第4,683,195号;同第4,683,202号および同第4,800,159号(それぞれ、引用により本明細書中に包含される)に詳細に記載されいている。PCRにおいて、2つのプライマー配列は、標的遺伝子(複数可)配列の反対の相補鎖上の領域に相補的であるように調製される。プライマーは、標的遺伝子(複数可)配列がサンプル中に存在するとき、ハイブリダイズして、核酸:プライマー複合体を形成する。過剰なデオキシリボヌクレオシド三リン酸を、テンプレート依存性核酸合成を促進するDNAポリメラーゼ、例えばTaqポリメラーゼと共に、反応混合物に添加する。標的遺伝子(複数可)配列プライマー複合体が形成されているとき、ポリメラーゼは、標的遺伝子(複数可)配列に沿ってヌクレオチドを付加することによりプライマーの伸長をもたらす。反応混合物の温度を上昇および低下させることにより、伸長したプライマーは、標的遺伝子(複数可)から解離されて反応産物を形成し、過剰のプライマーが標的遺伝子(複数可)および反応産物に結合し、そして上記過程が繰り返される。これらの増幅の複数ラウンドは“サイクル”と呼ばれ、十分量の増幅産物が産生されるまで行われる。
増幅産物は、解析前に制限酵素で消化されてよい。上記の面の何れかの他の態様において、SNPの存在または不存在は、核酸サンプルと検出可能な部分で標識されたプライマーをハイブリダイズすることにより同定される。上記の面の何れかの他の態様において、検出可能な部分は、酵素アッセイ、ラジオアッセイ、イムノアッセイにおいて、または蛍光を検出することにより検出される。上記の面の何れかの他の態様において、プライマーは、検出可能な色素(例えば、SYBR Green 1、YO−PR0−1、チアゾールオレンジ、Hex、ピコグリーン、edans、フルオレセイン、FAMまたはTET)で標識される。非蛍光性発色団、例えばクエンチャー、例えばダーククエンチャー、例えばブラックホールクエンチャー−1(BHQ−1)を使用することもできる。上記の面の何れかの他の態様において、プライマーはチップ上に配置されている。上記の面の何れかの他の態様において、増幅のためのプライマーは該SNPに特異的である。
例えば、いくつかの態様において、本明細書に記載のプローブは、一方の末端(例えば、5’末端)を色素(例えば、蛍光色素;例えば、FAMまたはHex)で、他方の末端(例えば、3’末端)をクエンチャーで、例えばBHQ−1で、上記の蛍光ベースの方法を用いて標識することができる。例えば、それぞれ配列番号:58および59について、かかる方法は、
FAM−AATGGAAGTATcATACACTGCTGATGG−BHQ1、および
HEX−AAATGGAAGTATtATACACTGCTGATGG−BHQ1
として表される分子をもたらし得る。
例えば、それぞれ配列番号:64および65について、かかる方法は、
FAM−AGGATTGAGcGAGTCAGGC−BHQ1、および
HEX−TAGGATTGAGtGAGTCAGGC−BHQ1
と表される分子をもたらし得る。
増幅のための別の方法は、リガーゼ連鎖反応(“LCR”)である。LCRは、ヌクレオチドの重合によりアンプリコンを生成するのではなく、プローブ分子を増幅するため、PCRとは異なる。LCRにおいて、2つの相補的プローブ対が調製され、そして標的配列の存在下で、各対は、標的の反対の相補鎖に隣接するように結合する。リガーゼの存在下では、2つのプローブ対は、連結して単一ユニットを形成する。PCRにおけるような温度サイクルによって、結合し、ライゲートしたユニットが標的から分離し、次いで、過剰のプローブ対のライゲーションのための“標的配列”として作用する。引用により本明細書中に包含される米国特許第4,883,750号は、プローブ対の標的配列への結合についてLCRに類似の方法を記載している。
等温増幅
制限エンドヌクレアーゼおよびリガーゼを使用して、制限部位の一方の鎖にヌクレオチド5’−[[α]−チオ]−三リン酸を含む標的分子の増幅を達成する等温増幅方法もまた、本発明の核酸の増幅にも有用であり得る。一態様では、ループ介在等温増幅(LAMP)法は、一塩基多型(SNP)タイピングのために使用される。
鎖置換増幅
鎖置換増幅(SDA)は、核酸の等温増幅を行う別法であり、それは、複数ラウンドの鎖置換および合成、すなわち、ニックトランスレーションを含む。修復連鎖反応(RCR)と呼ばれる同様の方法は、増幅のための標的領域全体にわたって複数のプローブのアニーリングを伴い、その後、4つの塩基のうち2つのみが存在する修復反応が続く。他の2つの塩基は、検出を容易にするためのビオチニル化誘導体として添加され得る。
転写に基づく増幅
他の核酸増幅法としては、核酸配列に基づく増幅を含む、転写に基づく増幅システムが挙げられる。核酸配列に基づく増幅において、核酸は、DNAおよびRNAの採取について、標準的なフェノール/クロロホルム抽出、臨床サンプルの熱変性、溶解緩衝液およびミニスピンカラムによる処理、またはRNAの塩化グアニジニウム抽出により、増幅のために調製される。これらの増幅技術は、大きな特異的配列を有するプライマーのアニーリングを伴う。ポリマー化後、DNA/RNAハイブリッドをRNase Hで消化し、一方、二本鎖DNA分子を再び熱変性させる。いずれの場合も、一本鎖DNAは、第二の標的特異的プライマーの添加、その後のポリマー化により完全二本鎖を形成する。その後、二本鎖DNA分子は、T7またはSP6などのポリメラーゼによって転写され、増幅される。等温サイクル反応では、RNAは、二本鎖DNAに逆転写され、そして再びT7またはSP6などのポリメラーゼを用いて転写される。得られた生成物は、短縮型または完全長の何れかの、標的特異的配列を示す。他の増幅法を本発明に従い使用することができる。一態様では、“修飾”プライマーは、PCRのような、テンプレートおよび酵素依存的合成で使用される。プライマーは、捕捉部分(例えば、ビオチン)および/または検出部分(例えば、酵素)で標識することによって修飾され得る。標的配列の存在下では、プローブは結合し、触媒的に切断される。切断後、標的配列はそのまま放出され、過剰のプローブによって結合される。標識プローブの切断は標的配列の存在を示す。別の方法では、核酸増幅法は、一本鎖RNA(“ssRNA”)、ssDNAおよび二本鎖DNA(dsDNA)をサイクル(cyclically)合成することを含み、それは本発明の方法に従い使用され得る。ssRNAは、最初のプライマーオリゴヌクレオチドに対する最初のテンプレートであり、それは、逆転写酵素(RNA依存性DNAポリメラーゼ)によって伸長される。その後、RNAは、リボヌクレアーゼH(RNase H、DNAまたはRNAのいずれかとの二本鎖RNAに特異的なRNase)の作用により、得られたDNA:RNA二本鎖から除去される。得られたssDNAは、第2のプライマーに対する第2のテンプレートであり、それは、テンプレートに対するその相同性に対して5’側に、RNAポリメラーゼプロモーター(T7 RNA ポリメラーゼによって例示される)の配列を含む。その後、このプライマーは、DNAポリメラーゼ(大腸菌DNAポリメラーゼ1の大きな“Klenow”断片により例示される)によって伸長され、プライマー間の元のRNA配列と同一の配列を有し、そして一方の端に、さらにプロモーター配列を有する、二本鎖DNA(“dsDNA”)分子を生じる。このプロモーター配列を適当なRNAポリメラーゼによって使用して、DNAの多くのRNAコピーを作製し得る。その後、これらのコピーをサイクルに再度入れて、非常に迅速な増幅をもたらし得る。酵素の適切な選択によって、この増幅は、各サイクルで酵素を添加することなく等温で行い得る。このプロセスの周期的な性質のため、開始配列は、DNAまたはRNAのいずれかの形態であるように選択され得る。
核酸分離法
核酸生成物を、テンプレートおよび過剰のプライマーなどの他の物質から分離することが望ましい。一態様において、増幅産物は、標準的な方法を用いてアガロース−アクリルアミドまたはアガロース−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離される(Sambrook et al., 1989、下記参照)。採取された増幅産物は、さらなる操作のためにゲルから切り出され、溶出され得る。低融点アガロースゲルを用いて、分離したバンドを、ゲルを加熱することによって取り出し、次いで核酸を抽出することができる。核酸の分離はまた、当技術分野で公知のクロマトグラフィー技術によっても行われ得る。吸着、分配、イオン交換、ヒドロキシルアパタイト、分子篩い、逆相、カラム、ペーパー、薄層、およびガスクロマトグラフィー、ならびにHPLCを含む、本発明の実施において使用され得る多くの種類のクロマトグラフィーがある。特定の態様では、増幅産物を可視化する。典型的な可視化法は、エチジウムブロマイドでのゲルの染色およびUV光の下でのバンドの可視化を伴う。あるいは、増幅産物が、放射標識または蛍光標識したヌクレオチドで一体的に標識されている場合、分離した増幅産物をX線フィルムに曝露するか、適当な励起スペクトルを示す光で可視化することができる。
あるいは、本発明の方法に従う多型位置の存在を、多型核酸に特異的であるが、非変異核酸に特異的ではない、好適な核酸プローブとのハイブリダイゼーションまたはハイブリダイゼーションの欠如により決定することができる。“ハイブリダイズする”とは、種々のストリンジェンシー条件下で、その相補的ポリヌクレオチド配列間、またはその部分間で二本鎖分子を形成する対を意味する。例えば、ストリンジェントな塩濃度は、通常約750mMのNaClおよび75mMのクエン酸三ナトリウム未満、好ましくは約500mMのNaClおよび50mMのクエン酸三ナトリウム未満、およびより好ましくは約250mMのNaClおよび25mMのクエン酸三ナトリウム未満である。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、有機溶媒、例えばホルムアミドの不存在下で得ることができるが、高ストリンジェンシーハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミド、より好ましくは少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得ることができる。ストリンジェントな温度条件は、通常、少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも37℃、最も好ましくは少なくとも42℃の温度を含む。ハイブリダイゼーション時間、界面活性剤の濃度、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびキャリアDNAの包含または排除などの追加のパラメータを変化させることは、当業者に周知である。種々のレベルのストリンジェンシーは、必要に応じてこれらの様々な条件を組み合わせることにより達成される。好ましい態様において、ハイブリダイゼーションは、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、および1%SDS中、30℃で起こる。より好ましい態様において、ハイブリダイゼーションは、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%SDS、35%ホルムアミドおよび100[μ]g/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)中、37℃で起こる。最も好ましい態様において、ハイブリダイゼーションは、250mMの塩化ナトリウム、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%SDS、50%ホルムアミドおよび200[μ]g/ml ssDNA中、42℃で起こる。これらの条件の有用な変形は、当業者には容易に明らかである。ほとんどの適用では、ハイブリダイゼーション後の洗浄工程はまた、ストリンジェンシーによって変化する。洗浄のストリンジェンシー条件は、塩濃度によって、および温度によって定義することができる。上記の通り、洗浄ストリンジェンシーは、塩濃度を低下させることによって、または温度の上昇させることによって増大させることができる。例えば、洗浄工程のストリンジェントな塩濃度は、好ましくは約30mMのNaClおよび3mMのクエン酸三ナトリウム未満、最も好ましくは約15mMのNaClおよび1.5mMのクエン酸三ナトリウム未満である。洗浄工程のストリンジェントな温度条件は、通常少なくとも25℃、より好ましくは少なくとも約42℃、さらにより好ましくは少なくとも約68℃の温度が含まれる。好ましい態様では、洗浄工程は、30mM NaCl、3mMクエン酸三ナトリウムおよび0.1%SDS中、25℃で行われる。より好ましい態様では、洗浄工程は、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウムおよび0.1%SDS中、42℃で行われる。より好ましい態様では、洗浄工程は、15mM NaCl、1.5mMクエン酸三ナトリウムおよび0.1%SDS中、68℃で行われる。これらの条件のさらなる変形は、当業者には容易に明らかであろう。ハイブリダイゼーション技術は当業者によく知られており、例えば、BentonおよびOavis(Science 196: 180, 1977); Grunstein and Hogness (Proc. Natl. Acad. Sci., USA 72:3961, 1975);Ausubelら(Current Protocols in Molecular Biology, Wiley lnterscience, New York, 2001);BergerおよびKimmel(Guide to Molecular Cloning Techniques, 1987, Academic Press, New York);ならびに、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York, 1989に記載されている。
本発明の方法においてハイブリダイゼーションに有用な核酸分子には、標的核酸と特異的にハイブリダイズし得るように、実質的な同一性を示す核酸分子が含まれる。内在性配列に“実質的な同一性”を有するポリヌクレオチドは、典型的に、二本鎖核酸分子の少なくとも1つの鎖にハイブリダイズし得る。“実質的に同一”とは、対照アミノ酸配列または核酸配列に少なくとも50%の同一性を示すポリペプチドまたは核酸分子を意味する。好ましくは、そのような配列は、比較に用いられる配列と、少なくとも60%、より好ましくは80%または85%、より好ましくは90%、95%または99%の同一性のアミノ酸または核酸である。配列同一性は、典型的に、配列解析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group, University of Wisconsin Biotechnology Center, 1710 University Avenue, Madison, Wis. 53705, BLAST, BESTFIT, GAP, or PILEUP/ PRETTYBOX programs)を用いて測定される。そのようなソフトウェアは、種々の置換、欠失、および/または他の修飾に対する相同性の程度を割り当てることにより、同一または類似の配列を合わせる。保存的置換は、典型的に、以下のグループ内での置換を含む:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、スレオニン;リシン、アルギニン;ならびに、フェニルアラニン、チロシン。同一性の程度を決定するための例示的な方法において、BLASTプログラムが用いられ得て、ここで、e<”3>とe<”100>との間の確率スコアは、密接に関連する配列を示す。
検出システムは、同時に異なる配列の全てについて、ハイブリダイゼーションの不在、存在および量を測定するために使用することができる。好ましくは、スキャナは、蛍光レベルと蛍光パターンを決定するために使用される。
より好適なリスク状態に患者を再分類するための方法
本発明の別の目的は、心血管疾患/障害のリスクならびに/または心筋梗塞、卒中、狭心症、一過性脳虚血発作、鬱血性心不全、大動脈瘤および死を含むが、これに限定されない、心血管疾患合併症またはイベントのリスクに関連する、臨床的/生化学的データおよび表1に示されるSNPマーカー(または、表1の配列番号1−7、または配列番号1−8、または配列番号1−11、上記の通り)の特定の組み合わせで今日使用されている、心血管リスク スケール/方法/関数の改善である。今日使用されている心血管リスク因子には、元のフラミンガム関数、適合されたフラミンガム関数(REGICOR関数に限定されない)、PROCAM関数、SCORE関数、Qリスク関数ならびにMACEおよび総死亡率リスク計算が含まれるが、これに限定されない。フラミンガム、PROCAM、REGICOR、QリスクならびにMACEおよび総死亡率リスク計算関数の改善は、表1に示されるSNPマーカーおよび表Cに列記された変数に対応する新しい臨床的/生化学的データが、元の計算式に含まれているとき、得られる。
例えば、式2a
は、式2b
に変換される。
心血管リスクは、SCOREリスク関数を用いて式2bを用いて、以下の数工程で計算される:
第一工程:リスク因子の線形和式(liner combination)をコンピューターで計算する:
式中、
βchol:コレステロールに対応したハザード比の対数(表D)、
cholesterol:個体“i”のコレステロール値(mmol/L)、
βSBP:収縮期血圧に対応したハザード比の対数(表D)、
SBP:個体“i”についての収縮期血圧(mmHg)、
βsmoker:喫煙者に対応したハザード比の対数(表D)、
current:個体“i”の現在の喫煙状態(1:現在、0:以前/過去)、
βni:対象“i”における表Aに示されたデータからの臨床的/生化学的変数“n”に対応したハザード比の対数
:個体“i”の各値、
は、集団内の臨床的/生化学的変数“n”の平均値
βGRS:遺伝的リスクスコアの値の1単位増加に対応したハザード比の対数。このβGRSの値は、0.010から0.500の範囲内であって、0.140である。
GRS:個体“i”についての式に包含される遺伝子変異体のリスクアレル(0,1,2)の加重数として定義される個体“i”についての遺伝リスク。現在、遺伝的リスクスコアに含まれている変数は、表Aに示される。加重は、スコアに含まれる各SNPのβ値に比例し(表B参照のこと)、GRSの範囲は、スコアに含まれるSNPの数の0〜2倍である。
は、集団内の遺伝リスクスコアの平均値。
第二工程:ベースライン生存率の計算:

式中、
α、p:ワイブル分布の形状およびスケールパラメータ。それらの値は表Eに示される(パラメータ)
exp:自然乗数。
第三工程:10年生存率を計算する。
第四工程:10年間のフォローアップ中に事象を有する確率を計算する
Risk10(age)=l−S10(age)
第五工程:10年間のフォローアップ中の心血管イベントを有する確率を、冠血管リスクおよび非冠動脈心血管リスクの和として計算する
表A.本発明のモデルに含まれる冠血管リスク因子のリスト、ハザード比の対数、βCRFpは、各臨床的/生化学的冠血管リスク因子、
は、集団内での臨床的/生化学的冠血管リスク因子“p”の平均値範囲。これらの臨床的/生化学的リスク因子の1つまたはそれ以上は、リスク評価のために選択され得る。

表B.本発明のモデルに含まれる現在の変数、ハザード比の対数(可能な値の範囲)、
βSNPおよび平均リスクアレルコピー数(可能な値の範囲)、
は、各遺伝的変異の値。
表E
驚くべきことに、SNPマーカーの組み合わせは、本発明に包含され、表1(図1)に記載され、これらの組み合わせは、異なる態様に包含され、上記関数式1aから1bに記載の関数を用いて、慢性腎疾患に罹患している患者において、古典的リスク因子のみ、または今日使用されるスケール/関数を用いて得られるよりも高い精度で、心血管疾患および/または心血管イベントおよび/または心血管合併症に罹患するリスクを推定することができることが証明されている。
驚くべきことに、SNPマーカーの組み合わせは、本発明に包含され、表1(図1)に記載され、これらの組み合わせは、異なる態様に含まれ、上記関数式1aから1bに記載の関数を用いて、慢性腎疾患に罹患している患者において、古典的リスク因子のみ、および/または今日使用される関数もしくは遺伝情報を含む公開された関数を用いて得られるよりも、心血管疾患および/または心血管イベントsおよび/または心血管疾患合併症の予測における高い信頼性および優れた検証が得られることが証明されている。
記載される関数を使用することにより、個別のリスクは、冠動脈性心疾患および/または心血管イベントおよび/または心血管疾患、特に致死性および非致死性の心筋梗塞、狭心症、卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈障害またはそれらの組み合わせの発症について、慢性腎疾患に罹患している患者で得られる。提供される方法は、心血管リスクを計算するために今日使用される方法で間違って分類された対象を、より正確なリスク層へ振り分ける(再分類する)。処置(予防的および/または治療的)としては、リスクレベルに適合され、再分類は、それらに限定されないが、致死性および非致死性の心筋梗塞、狭心症、卒中、一過性脳虚血発作、末梢動脈障害またはそれらの組み合わせなどの心血管疾患および心血管疾患合併症の発症および/または再発を低減させる、予防的および/または治療的手段をより効果的に使用することを意味し得る。
実施例1
慢性腎疾患(CKD)は、増加した罹病率および死亡率と関連する、ますます指摘されている世界規模の公衆衛生問題であり、心血管疾患は、pre−ESRD CKD 患者でさえも主な原因である(N Eng J Med 2004; 351: 1296)。
この高い心血管リスクは、CKD患者間の伝統的なリスク因子の高い有病率および他の非伝統的なリスク因子の存在の両方に起因し得る(Kidney Int 2006; 70: 26)。
フラミンガムリスクスコアのような古典的な冠動脈性心疾患(CHD)リスク計算式は、CKD患者における限定された臨床的有用性を示している(J Am Coll Cardiol 2007; 50: 217)。
CHDと関連する遺伝子変異対を含むが、古典的心血管リスク因子を含まない遺伝的リスクスコア(GRS)の付加が、CKD患者におけるCHDリスク予測を改善し得るかどうかは、不明なままである。
本実験の目的は、
1.臨床的変数に基づいてCHDリスク関数の予測能力を展開および評価すること。
2.遺伝的変異を含むことが、腎移植レシピエントを含むCKD患者におけるCHDリスクの推定を向上させるかどうかを評価すること。
方法:
・本発明者らのコホート研究では、9.13年の平均フォローアップ期間で632名のKD患者(200名の腎移植レシピエントを含む)を含んだ。平均年齢は、53.4(±10.6)歳であり、32.4%の患者が男性であった。
・73件の冠血管イベント(致死性または非致死性の急性心筋梗塞または急性狭心症)が、フォローアップ中に同定された。
・臨床的CHDリスクスコアには、以下を含んだ:
KD状態(CKDステージ1−4、腎代替療法または腎移植におけるESDR)
年齢
性別
HDL
糖尿病状態
高血圧状態
ヘモグロビンA1c。
・第2のモデルにおいて、本発明者らは、CHDと関連しているが、古典的心血管リスク因子と関係していないことが以前に同定された変異を有する加重遺伝的リスクスコア(GRS)も含めた(rs10455872、rs12526453、rs1333049、rs17465637、rs501120、rs6725887、rs9818870、rs9982601、rs10507391、rs17222842およびrs9315051)。
・GRSは、CARDIoGRAM研究(Nat Genet. 2011; 43:333)では、各個体のために、そのエフェクトサイズの推定値によってそれぞれ加重を付加した後、11の変異全体でリスクアレル数の和として計算した。
・本発明者らは、Cox比例ハザードモデルを用いて、冠血管イベントの発生率と、臨床データおよび個々の遺伝子変異およびGRSとの関連性について試験した。
・AHA基準によるリスク予測においてGRSを含めて潜在的値を評価するために用いられる統計情報は、以下の通りであった。
a.相対リスク、GRSのハザード比。
b.モデルの識別能は、一致指標(c−統計値)を用いて評価した。
c.モデルの精度:
−モデルの適合度は、Hosmer−Lemeshow検定によって評価し、再分類の改善を、正味の再分類改善度(NRI)を用いて計算した。
結果:
図2は、CKD集団が、非CKDの一般スペイン人よりもどの程度高い心血管リスクおよび冠血管リスクを有したか示している(Rev Esp Cardiol 2003; 56(3):253)。
以下の表に示す通り、他のリスク因子のうち、GRSは、冠血管イベントとは独立して関連していた。
a.相対リスク、GRSのハザード比。GRSのハザード比は、1,29である[1.02;1.64、95%CI]、p=0.035。
b.モデルの識別能は、一致指標(c−統計値)を用いて評価した。以下の表3に示す通り、CHDリスクモデルの識別は、GRSで改善された。
c.モデルの精度:
−モデルの適合度は、Hosmer−Lemeshow検定によって評価した。表3に示す通り、適合度は、予測されたイベントと観測されたイベントとに統計的な差異はなく非常に良好であった。
−正味の再分類は、表3に示す、再分類改善度(NRI)を用いて計算されるように、改善された。
結論:
CHDと関連するが、古典的心血管リスク因子と関連しない遺伝子変異を含む遺伝子リスクスコアは、慢性腎疾患を有する患者集団において、冠動脈性心疾患に関連する。
GRSの包含は、CKDを有する、特にKTを有する患者では、CHDのリスク予測を改善する。
遺伝子スクリーニングは、この患者群ではCHDイベントを防止するのに役立ち得た。

Claims (17)

  1. 慢性腎疾患に罹患している対象から採取されたサンプルにおいて、多型の存在を決定する工程を含む、該対象における心血管リスク評価の方法であって、該多型が、配列番号1〜8の核酸配列内の位置27に存在するか、または該多型が、配列番号1〜8のいずれかの配列と強い連鎖不平衡の関係にある配列中にあり、ここで、該位置27における、配列番号1においてC、配列番号2においてC、配列番号3においてT、配列番号4においてC、配列番号5においてC、配列番号6においてA、配列番号7においてT、そして/または配列番号8においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が、心血管イベントの発症リスクの指標である、方法。
  2. さらに、該位置27における、配列番号9においてA、配列番号10においてA、および/または配列番号11においてG(それぞれ、db SNP受託番号 rs10507391、rs9315051、および/またはrs17222842を有する)の存在、または上記rsのいずれかと強い連鎖不平衡の関係にある他のrsの配列内の多型の存在が決定される、請求項1に記載の方法。
  3. 後者の3つの配列(配列番号9−11)およびrsが、ハプロタイプB ALOX5APを形成し、他の8つの配列に加えて、1つの遺伝的リスク要因と見なされる、請求項2に記載の方法。
  4. 心血管イベントが、致死性もしくは非致死性の心筋梗塞、卒中、狭心症、一過性脳虚血発作、末梢動脈疾患またはそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 年齢、人種、性別、肥満度指数、収縮期血圧、拡張期血圧、喫煙状態および喫煙歴、総コレステロール量、低密度リポタンパク質(LDL)−または高密度リポタンパク質(HDL)−コレステロール量、トリグリセリド、異脂肪血症歴、心不全歴、冠動脈性心疾患の既往歴、真性糖尿病、血糖値、糖化ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c、糸球体濾過量、腎疾患状態(CKDステージ1−4、腎代替療法または腎移植における末期腎不全(ESRD))、高血圧、腎不全およびその病期(1〜5)、慢性腎疾患およびその病期(透析前、透析中、移植、移植不全)、腎代替療法に掛かった延べ時間、移植回数、左室肥大、飲酒、身体活動実施、心血管疾患または冠血管疾患の食事歴および家族歴、クレアチニン、カルシウム、リン、パラトルモン、アルブミン、および24時間蓄尿検査からなる群より選択される、1つまたはそれ以上の心血管疾患または障害のリスク因子を決定することをさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 複数の古典的リスク因子“p”が用いられ、該複数のリスク因子が以下からなる群より選択される、請求項1から5のいずれかに記載の方法:
    ・性別、年齢、総コレステロール、HDL−コレステロール、血圧、糖尿病および喫煙、
    ・年齢、LDL−コレステロール、HDL−コレステロール、トリグリセリド、収縮期血圧、心筋梗塞および糖尿病の家族歴、
    ・性別、Log(年齢/10)、総コレステロール/HDL−コレステロール、肥満度指数、若年性CVDの家族歴、喫煙、出力領域のTownsendスコア、収縮期血圧、高血圧の処置、および収縮期血圧(SBP)高血圧(HTN)処置の相関、
    ・腎疾患病期(CKDステージ1−4、腎代替療法または腎移植におけるESDR)、年齢、性別、HDL−コレステロール、糖尿病状態、高血圧状態、ヘモグロビンA1c、
    ・年齢、冠動脈性心疾患の既往歴、喫煙、血清クレアチニン、真性糖尿病、LDL−コレステロール、腎代替療法に掛かった延べ時間、
    ・年齢、冠動脈性心疾患の既往歴、喫煙、血清クレアチニン、真性糖尿病、LDL−コレステロール、腎代替療法に掛かった延べ時間、移植回数、
    ・HDL−コレステロール、真性糖尿病、高血圧、異脂肪血症、ヘモグロビンA1c、糸球体濾過量、カルシウム、リン、パラトルモン、アルブミン。
  7. 上記の何れかのrsと強い連鎖不平衡を有する該他のrsが、(i)配列番号48で示され、rs501120と強い連鎖不平衡を有する、rs1746048であるか、または(ii)配列番号49で示され、rs17465637と強い連鎖不平衡を有する、rs2133189である、請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載の方法を実施するための手段を含む、コンピュータープログラムまたはコンピューターが判読可能な記録媒体。
  9. 配列番号1から11からなる群より選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドの同一性を検出するための試薬を含むキット。
  10. 配列番号1から8からなる群より選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドの同一性を検出するための試薬を含むキット。
  11. 配列番号1から7からなる群より選択される核酸配列内の位置27のヌクレオチドの同一性を検出するための試薬を含むキット。
  12. 配列番号1から7、または配列番号1から8、または配列番号1から11の核酸配列内の少なくとも位置27を含む領域の増幅に特異的な1つまたはそれ以上のプライマー対を含む、請求項9から11のいずれかに記載のキット。
  13. 選択された配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10および配列番号11(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601、rs10455872、rs10507391、rs9315051、およびrs17222842を有する)であるか、または記載されるrsのいずれかと強い連鎖不平衡を有する何れか他のrsである、請求項9から12のいずれかに記載のキット。
  14. 選択された配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7および配列番号8(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120、rs9982601およびrs10455872を有する)であるか、または記載されるrsのいずれかと強い連鎖不平衡を有する何れか他のrsである、請求項10から12のいずれかに記載のキット。
  15. 選択された配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6および配列番号7(それぞれ、db SNP受託番号 rs17465637、rs6725887、rs9818870、rs12526453、rs1333049、rs501120およびrs9982601を有する)であるか、または記載されるrsのいずれかと強い連鎖不平衡を有する何れか他のrsである、請求項11または12に記載のキット。
  16. 記載されるrsのいずれかと強い連鎖不平衡を有する該他のrsが、(i)配列番号48で示され、rs501120と強い連鎖不平衡を有する、rs1746048であるか、または(ii)配列番号49で示され、rs17465637と強い連鎖不平衡を有する、rs2133189である、請求項13から15のいずれかに記載のキット。
  17. 配列番号12および13(rs1333049)、および
    配列番号14および15(rs1333049);
    配列番号16および17(rs10455872)、および
    配列番号18および19(rs10455872);
    配列番号20および21(rs6725887)、および
    配列番号22および23(rs6725887);
    配列番号24および25(rs9818870)、および
    配列番号26および27(rs9818870);
    配列番号28および29(rs10507391)、および
    配列番号30および31(rs10507391);
    配列番号32および33(rs9982601)、および
    配列番号34および35(rs9982601);
    配列番号36および37(rs9315051)、および
    配列番号38および39(rs9315051);
    配列番号40および41(rs12526453)、および
    配列番号42および43(rs12526453);
    配列番号44および45(rs17222842)、および
    配列番号46および47(rs17222842);
    配列番号50および51(rs17465637)、および
    配列番号52および53(rs17465637);
    配列番号54および55(rs501120)、および
    配列番号56および57(rs501120);
    配列番号58および59(rs2133189)、および
    配列番号60および61(rs2133189);
    配列番号62および63(rs1746048)、および
    配列番号64および65(rs1746048);ならびに、
    配列番号66および67(rs2133189)、および
    配列番号68および69(rs2133189)
    からなる群より選択される、プローブ/プライマーのセット。
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