JP2016522950A - 参加者のウェルネスのための活力プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】参加者の活力を維持すること、向上させること、または活力の低下を遅らせることを助けるプログラム、システム、方法を提供する。【解決手段】参加者群において活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑える方法であって、非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に基準状態を判定するステップと、参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、参加者に活動を実行させるステップと、進捗をモニタリングするステップと、定期的なフィードバックを与えるステップとを含む方法が提供される。これにより、少なくとも1つの領域における活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑えることになる。【選択図】なし

Description

本願は、米国仮特許出願第61/828,755号(出願日:2013年5月30日)に基づく優先権を主張する。
本発明は、参加者群において活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑える必要性に関する。
日常生活動作支援介護付高齢者集合住宅で生活することを選ぶ人々や、アパートや家で実質的に独立して生活することによって「住み慣れた地域で高齢期を過ごす(age in place)」ことを選ぶ人々に対して、格別な関心が向けられている。このような生き方は、衛生状態及び/またはウェルネスを増進させる方法として予防可能疾患を低減する利点に加えて、痛み及び苦しみを軽減すること、予防可能疾患の治療に対して予防可能な発生の減少を積極的に行って医療費を削減すること、家族、友人及び医療専門家を含む参加者の交流範囲内で、及び/またはこれらの人々の間で、意欲、充足感及び親切心の増加をもたらすことが期待されている。
参加者の活力を維持すること、向上させること、または活力の低下を遅らせることを助けるプログラム、システムまたは方法が必要とされている。
この活力プログラムは、参加者の活力を向上させるためのコーチング、評価、測定、目標設定、活動(アクティビティ)、報奨及びモニタリングを含み得る。これは、新たなウェルネス行動を採用して順守することによって達成され、参加者の関与を推進する意欲啓発・相互作用システム(engagement and interaction system)によって支えられている。
最も広い実施形態では、本プログラムは、参加者群において活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑える方法であって、非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に基準状態を判定するステップと、参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、参加者に活動を実行させるステップと、進捗状況をモニタリングするステップと、定期的なフィードバックを与えるステップとを含む方法である。これにより、少なくとも1つの領域における活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑えることになる。
本明細書において用いられる「含む」及び「含まれる」なる語並びに「含む」を語根とする他の派生語は、標準的な機能、要素、整数、ステップまたは成分を特定する非限定的な語であり、1つ以上の他の機能、要素、整数、ステップ、またはそれらの群の存在や追加を排除することを意図したものではないことに留意されたい。
「活力(バイタリティ)」は、身体的活力、能力、行動力、生気、活気、スタミナなど及び/または知的好奇心、熱心さ、快活さ、頑健さ、または冒険好きな性質を有する状態を説明するものと考えられたい。活力は一般に、生きる、成長する、または発達する能力である。活力の欠如は、身体的活力の低下、無気力、倦怠感及び/または挫折感、フレイル(虚弱)及びサルコペニア(加齢性筋肉減少症)によって特徴付けることができる。最も簡単な言葉で言えば、活力は、フレイルの反対または逆であると考えることができ、フレイルと同様、イエスかノーかで答える問題で定義されるものではなく、高から低までの段階的評価に基づいて定義される。
一般的に言えば、活力プログラムは、人々を「フレイル」から遠ざけて良好な健康状態へ向かわせることを目指す。フレイルは、体重減少、緩慢さ、弱さなどの、加齢に伴う状態を語るために用いられる医学用語である。一般的に用いられるフレイルの定義は数多く存在するが、広く受け入れられている普遍的な定義は存在しない。心血管健康調査(Cardiovascular Health Study:CHS)指標によれば、以下の5項目、すなわち、意図的でない体重減少、主観的疲労感(活力低下)、握力の低下、歩行速度の低下、身体の活動性の低下のうち、3項目以上が該当するとフレイルとなることが示されている。CHS指標によって定義されるフレイルは、転倒率、入院率、身体機能障害罹患率及び死亡率の上昇と関連していることが分かっている。別のフレイル基準は、骨粗鬆症性骨折研究(Study of Osteoporotic Fractures:SOF)指標によるものである。SOF指標は、3つの要因、すなわち、体重減少、患者の腕を使わない椅子からの5回立ち上がり能力(椅子から立ち上がり、歩いて、戻ってまた座るテスト:rise and go test)、活力低下のみを用いる。これら2つの指標は予測能力の点で非常によく似た結果をもたらすことが種々の研究で分かっているが、SOF指標による方式の方が簡単で判別し易い。
1つの有用なフレイル評価法(スケール)は、カナダのダルハウジー大学が作成した、健康及び加齢に関する研究(Canadian study on Health and Aging (2008))に基づくものである。このスケールにより、以下に示す段階評価レベルが与えられる。
1.壮健−頑強で活動的であり、精力的で意欲的な人々。一般に定期的に運動し、同世代の中では最も健康状態が良い。
2.健常−疾患の活動的な症状を有してはいないが、上記のカテゴリー1ほど健康状態が良くない人々。運動の習慣を有している場合もあり、頻繁に、または時々、例えば季節によって、非常に活動的である。
3.健康管理しつつ元気な状態を維持−医学的問題は良く管理されているが、運動は習慣的なウォーキング程度で、それ以上の定期的な運動はあまりしない人々。
4.脆弱−日常生活においては支援を要しないが、症状によって活動が制限されることがある。「動作が遅くなった」及び/または日中に疲れやすいと訴えることがよくある。
5.軽度のフレイル−より明らかに動作が緩慢になり、手段的日常生活動作能力(IADL)のうち難易度の高い動作、例えば、金銭管理、移動、負担の重い家事、服薬管理に支援を要する人々。典型的には、軽度のフレイルは、次第に買い物、単独での外出、食事の準備や家事に支障をきたす。
6.中程度のフレイル−屋外での活動全般及び家事において支援を要する人々。屋内では、階段の昇降が困難になり、入浴に介助を要する。更衣に関して最低限の支援(合図、待機)を要する場合もある。
7.重度のフレイル−(身体面であれ認知面であれ)理由の如何を問わず、生活全般において介助を要する。しかし、身体状態は安定していて、(半年以内の)死亡のリスクは高くない。
8.非常に重度のフレイル−全介助であり、死期が近づいている。典型的には、軽度の疾患でも回復しない。
9.疾患の終末期−死期が近づいている。このカテゴリーは、生命予後は平均半年未満であるが、それ以外では明らかにフレイルとは言えない人々に適用される。
サルコペニアは、骨格筋量の減少、筋肉の脂肪蓄積の増加、筋力の低下、及び身体能力の低下によって特徴付けられる。最も一般的に用いられる低コストで利用しやすい骨格筋量評価方法には、二重エネルギーX線吸収法(DEXA)、人体測定及び生体インピーダンス法(BIA)が含まれる。磁気共鳴画像診断(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)及びクレアチニン排出は、筋肉量や筋断面積を評価するための最も明確な基準である。その他の利用可能な測定には、末梢骨用定量的CT(pQCT)、超音波及び中性子活性化が含まれる。骨格筋力は、サルコペニア及び筋肉量に関する別の重要な評価要素である。幾つかの筋力測定方法が利用可能であり、パワー及びトルクの最も複雑な等速性筋力測定と、等尺性収縮力を測定するための簡素なダイナモメータとが含まれる。標準化された身体能力測定は、サルコペニアの評価のための筋肉量の測定を補足して完全なものにする。少なくとも1つの組織であるEWGSOP(The European Working Group on Sarcopenia in Older People:高齢者のサルコペニアに関する欧州ワーキンググループ)が、加齢に伴うサルコペニアについての実際的な臨床定義及び診断基準を開発した。EWGSOPは、筋肉量(中腕筋周囲長)の低下の存在と、筋力(握力)の低下または身体能力(4メートル歩く時間)の低下のいずれか一方の存在を用いることを推奨している。1つの研究において、サルコペニアの参加者は、年齢、性別及び他の交絡因子にかかわらず、非サルコペニアの個人と比較して、2年間の追跡調査期間中に転倒する可能性が3倍以上であることが分かった。別の研究では、中腕筋周囲長の低下が、より高い死亡リスクに関連付けられた。
本明細書においては、1次元的ではない全人的ケアのために、身体、知性及び精神の健康に取り組むべく策定された、3つの柱からなるプログラム及び方法を開示する。本プログラムは、知的にも、身体的にも、精神的にも、年齢を重ねつつも健康的な生活を維持するように取り組んでいる状態が継続することの利点に関する多数の科学的研究に基づいている。参加者の健康を増進させてフレイルを減らすための特定の活動を複数組み合わせることが行われる。
本プログラムは、定期的に実施した場合に参加者が各自の活力及び目的意識を維持したり増加させたりするのを助けることになるシンプルな日常活動システムを提供することができる。これは、小さなステップが積み重なってウェルビーイング(良好な状態)がどれだけ向上したかを参加者が確認できるようにする手段を提供し、参加者が楽しんでいる毎日の活動に対して「クレジット(単位)」を与え、かつ、病気予防に役立つようなちょっとした習慣を身に付けたり、健康的な行いを日課にしたりするように、コーチング及び励ましを参加者が受けられるようにする。
本明細書において、定期的な小さなステップの恩恵の積み重ねによって活力を維持し、場合によっては活力を向上させることができるという考えが暗に示されている。出願人の考えでは、参加者は、知識、支援及び励ましを与えられたときに、自身の活力を維持することができる。本プログラム及びシステムは、活力維持行動に対して励ましとともに「クレジット」または「ポイント」を参加者に与える。種々のエビデンスにより、健康を肯定的に捉える活動が次々に始められることになる。参加者の活力を向上させることによって、より多くの参加者が住み慣れた地域で高齢期を過ごせるようになり、入院及び再入院の減少、転倒による怪我の減少、薬剤費の削減が可能になる。
本明細書に開示されているプログラム及びシステムは、日常生活の中に溶け込んだ小さな前向きな行動にフィードバックを与えること及びそれらの行動を好ましい成果に結びつけることによって、参加者の活力を持続しかつ/または向上させる行動修正の場である。これは、参加者と、適切である場合には日常生活動作支援介護コミュニティとを巻き込み、協働して、ポジティブ心理学を活用することによって活力を向上させる意欲を起こさせ、かつ、参加者、その家族及び介助者に受け入れられる。このことは、参加者の疾病に関連するコストを抑制し、サービス及び施設に対する好みを高めることによって、サービス提供者の助けになる。
本プログラムは、参加者に障害がある場合にはその障害の制約の範囲内で、全年齢の参加者に有用であろうと考えられるが、本来は、高齢者を対象とし、及び/または上記のダルハウジー大学によって与えられたフレイル評価法に基づき3〜6または(個々の場合に応じて)7つのフレイル区分に該当する人々を対象とするように意図されている。「高齢者」は通常65歳以上を指すが、これは万国共通の定義でも厳格な定義でもない。高齢者が65歳未満(例えば60歳)の人を指す場合もある。本プログラムは、日常生活動作支援介護付高齢者集合住宅に住み、身の回りの世話をする介助者(personal care assistant:PCA)などの有償介護者から日常生活動作(ADL)支援を受ける半自立参加者も対象となり得る。PCAと一緒になって、参加者自身が行動を起こすことができる。PCAは、少なくとも1つの重要な領域において参加者の活力を維持するかまたは向上させることに賛同して、活力コーチ、モチベータ及びガイドの役割を果たすとともに、目標を設定しかつ目標を達成するよう参加者に働きかける。
本プログラムは、参加者の活力に関する3つの重要な領域、すなわち、身体、知性及び/または精神の活力を向上させること、維持すること、活力の低下を遅らせることに焦点を合わせている。
身体(ボディ):適切な条件下での、定期的な、軽度の身体活動に取り組むことが、参加者の能力維持を助けることになる。参加者は、各人の個人的な「基準」活力状態の維持または向上、低下防止を望んでいると考えられる。健康的な行いと組み合わされた適切な活動は、ウェルネスが続くことを支援することになり、予防可能疾患を最小限に抑えることは、健康の維持に重要な役割を果たす。活力プログラムの「身体」部門の目標は、身体活動及び健康的な行いを見守り、励ますことであって、命じることではない。
知性(マインド):何かに対して意欲的に関わる活発な知性は、健康状態にかかわらず、活力の維持に重要な役割を果たす。クロスワードパズル、数独、頭の体操、音楽を聴くこと、チェスをすること、編み物、ダンス、日記などを書くことは全て、健康及び脳機能を向上させることが証明されている。多くの参加者が既にこのような活動を楽しんでいるが、そのような活動が自身にとって知的にも身体的にもどれだけ良いかということを理解していない可能性があると考えられる。
精神(スピリット):レジリエントな(逆境から立ち直る)精神は、活力ある身体及び知性の極めて重要な基盤であると考えられ、知性と身体の健全性を高めることは人間の精神に良い影響を与え、逆もまた然りであると考えられる。祈り、瞑想、沈思などのスピリチュアルな活動の好ましい効果が、種々の研究にますます示されている。他者とのつながりを維持することは精神を鼓舞し、交流、つながり及び相互依存を発展させることよって、並びに、身体、知性、精神のバランスを良くする活動に参加し、遊び心、興奮感、教養を生み出すことによって、精神を育むことが望ましい。
最も広い実施形態(A)では、本プログラムは、
1.非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に開始時の活力状態を判定するステップと、
2.参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、
3.参加者に活動を実行(または実施)させるステップと、
4.推奨したことの順守状況をモニタリングするステップと、
5.フィードバックを与えるステップとを含む。
別の実施形態(B)では、本プログラムは、
1.非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に「私の基準(My Normal)」(開始時の活力状態)を判定するステップと、
2.参加者の自己決定による活力目標を設定するステップと、
3.参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、
4.推奨したことの順守状況及び、参加者が設定した目標に向けての進捗状況をモニタリングするステップと、
5.定期的なフィードバックを与え、モニタリングした順守状況と参加者が設定した目標とを結びつけるステップと、
6.必要であれば、測定された進捗状況に基づき参加者に新たな活動を推奨するステップと、
7.必要に応じて、ステップ4、5、6を繰り返すステップとを含み得る。
さらに別の実施形態(C)では、本プログラムは、
1.非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に「私の基準」(開始時の活力状態)を判定するステップと、
2.参加者の自己決定による活力目標を設定するステップと、
3.参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、
4.推奨したことの順守状況及び、参加者が設定した目標に向けての進捗状況をモニタリングするステップと、
5.定期的なフィードバックを与え、参加者が設定した目標に向けての進捗速度を考慮するのみならずモニタリングした順守状況と参加者が設定した目標とを結びつけるステップと、
6.必要であれば、測定された進捗状況に基づき前記参加者に新たな活動を推奨するステップと、
7.必要に応じて、ステップ4、5、6を繰り返すステップとを含み得る。
さらに別の実施形態(D)では、本プログラムは、
1.非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に「私の基準」(開始時の活力状態)を判定するステップと、
2.ヘルスケアまたはフィジカルフィットネスの専門家によって設定されるか、あるいは高齢者の健康の分野で一般的に受け入れられているような、参加者の活力の状態に適した目標を与えるステップと、
3.参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、
4.推奨したことの順守状況及び、目標に向けての進捗状況をモニタリングするステップと、
5.定期的なフィードバックを与え、モニタリングした順守状況と目標とを結びつけるステップと、
6.必要であれば、測定された進捗状況に基づき前記参加者に新たな活動を推奨するステップと、
7.必要に応じて、ステップ4、5、6を繰り返すステップとを含み得る。
さらに別の実施形態(E)では、本プログラムは、
1.非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に「私の基準」(開始時の活力状態)を判定するステップと、
2.参加者の自己決定による活力目標を設定するステップと、
3.参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、
4.サポート、励まし、意欲啓発(engagement)のためにマンツーマン・コーチングをするステップと、
5.参加者の関心度合い及び参加欲求に合わせて、定期的な身体、知性及び精神の非臨床的活動と各参加者の生活への介入とを統合するステップと、
6.励まし及び強化のためのサポートチームを導入するステップと、
7.進捗状況をモニタリングし、定期的なフィードバックを与え、活動を成果に結びつけるステップと、
8.興味及び関与を維持するためにプログラムを定期的に更新するステップとを含み得る。
上記プログラム構成要素の各々について、以下に詳細に説明する。
非臨床的なベースラインデータを判定するステップは、年齢、婚姻状況、家族構成員(子、孫)に関する極めて重要なデモグラフィック情報、ベースライン健康及び活力データ、参加者が避けるべき特定の身体活動を除外するためのメモ、並びに自己セグメンテーション、すなわち、各参加者に働きかけて報奨するための好適な手法を含み得る。この情報は、参加者、その家族構成員及び友人、並びに参加者の医療介護者とのインタビューを通して得ることができる。開始時の身体能力データを確立するのを助けるために、CHS指標、SOF指標、EWGSOPテストあるいはこれらに代わるものまたはこれらの組合せを用いることができる。
参加者の自己決定による活力目標は、例として、参加者の期待する体力及び柔軟性の目標(身体)、新しい趣味を会得したり言語を学んだりしたいという願望(知性)、フードバンクでボランティア活動をしたいという願望(精神)を含み得る。これらの目標は、極めて個別化されたものであり、目標に到達することを失敗させるおそれがある制限事項を念頭に置いて、参加者の居る場所で利用可能な選択肢についての参加者との話し合い及び検討が必要である。各参加者は、身体、知性及び精神の各カテゴリーにおいて、1〜3つの目標を有することが望ましい。
別法として、医療供給者またはフィジカルフィットネスの専門家が目標を設定してもよい。また、参加者と同様の対象者の健康状態及び能力を明確にする技術分野で高く評価されている文献を調査することによって、目標を設定してもよい。現実的な目標の設定には、例えば参加者と同じような状況にあるメンバーからなるコホートの大規模研究が役立つであろう。参加者の家族、友人及び重要な他者(サポートチーム)の支援も、参加者が目標を設定するのに役立つであろう。
ベースラインデータを収集した後、各参加者への身体、知性及び精神の活動の推奨を策定することができる。以下にその例を挙げる。
身体:
活力ある身体のために、プログラムの一部として、「エクササイズ」を行うこと、(参加者自身を)「保護する」こと、(参加者の身体に)「栄養を与える」ことを参加者に奨励する活動を提供することができる。
「エクササイズ」は、体力及び柔軟性を高める運動・体操、並びにバランス及び姿勢を良くするために行われる活動を含み得る。
「保護する」は、参加者の環境において病原菌を減らすのに役立つ製品の使用やきちんとした手洗いなど、病原菌への暴露を減少させる活動を参加者に教えることを含み得る。
「栄養を与える」は、医学的に必要な食事制限の制約の中で、水分補給や適切な栄養に関する情報を含み得る。
知性:
活力ある知性のために、プログラムの一部として、参加者に「遊ぶ」こと、「楽しむ」こと及び「視野を広げる」ことを奨励する活動を提供することができる。
「遊ぶ」は、ボードゲーム、カードゲーム、クロスワードパズル及び他の言葉さがしゲーム、数独、数字ゲームなどを行うことを含み得る。
「楽しむ」は、参加者が、音楽(鑑賞または演奏)、芸術、料理、工芸(例えば、木工、ペインティング(絵画)、ドローイング(線画)、編み物など)及び他の趣味に関わることを含み得る。
「視野を広げる」は、新聞、本などを読むこと、日記、手紙などを書くこと及び、例えば地元の大学での成人向け教育講座を通じて、新たなスキル、言語または情報を学ぶことを含み得る。「視野を広げる」はまた、既に行われた行動の難しさや頻度の増加を意味し得る。
精神:
活力ある精神のために、プログラムの一部として、参加者に「熟考する」こと、「つながる」こと及び「貢献」することを奨励する活動を提供することができる。
「熟考する」は、祈り、瞑想、感動を与える読書を含み得る。「熟考する」は、沈思黙考、呼吸法やヨガを実践すること及び感動的な演奏会を聴くことも含み得る。
「つながる」は、電話を掛けること、手紙を書くこと、インターネット・インタラクション、または例えばコーヒーを飲みながらの対面会議を通じての、他者との交流及び社会化を促す。
「貢献」は、ボランティア活動、寄付、他者との知恵の共有を含む。これは、例えば、宗教的、文化的、民族的な団体、地域団体、学校、病院などの所属集団を通じて行うことができる。
活動のリストを上記に含めたが、各参加者への実際の推奨は、参加者の活力状態及び目標を理解したうえで策定しなければならない。活力を高めるために各人の活動の拡大も望まれるので、単に参加者が提案した以上の推奨を行うことも望ましい。或る特定の分野、例えば野球に興味を示す参加者には、例えばファンタジーフットボールをやってみるように推奨することができる。参加者の興味を引きそうではあるが試しにやってみてはいない別の活動を見つけるためのガイドとして、参加者の性格を用いることができる。
特に「身体」活動の場合は、怪我や過度の使用や摩耗を回避するための適切な手法が望まれるので、定期的なマンツーマン・コーチングが重要である。「知性」及び「精神」活動は、過度のストレスの恐れが少ないと考えられるが、そうは言うものの、コーチングは、参加者が活動、プログラム、または自身の進捗状況に不満を持たないことを保証することが望まれる。
コーチングは、毎日スケジュールに入れてもよいし、それ以下の頻度でもよい。また、コーチングは、面と向かって行ってもよいし、スマートフォン、タブレット型デバイス(例えばiPad(登録商標))などのテクノロジーを使って行ってもよいし、コンピュータ端末を介して参加者をモニタリングして励ましながら行ってもよい。
コーチ同士が守秘義務を適切に守ったうえで情報交換のために話をすることも望ましい。コーチは、参加者の進捗状況について、参加者のサポートチーム、医療供給者、フィジカルフィットネス及びトレーニングの専門家、並びにそれ以外の、支援を提供することができる人々と話し合うべきである。
参加者の関心度合い及び参加欲求に合わせて、定期的な身体、知性及び精神の非臨床的活動と各参加者の生活への介入とを統合することが、プログラムの鍵を握る部分である。推奨された活動を参加者が行わなければ、活力を向上させることや活力の低下を遅らせることはない。参加者がプログラムとの接点を持ち続けるように、かつプログラムの恩恵を受けるために、少なくともいくつかの活動を毎日行うことが望ましい。
励まし及び強化のためのサポートチームを利用することが望ましい。これをコーチングと組み合わせることで、コーチが参加者に肯定的なフィードバックを与えて推奨された活動を続けるように参加者を励ましたり、参加者が好みそうな活動に代えたりすることができる。あるいは、サポート及び励ましを、医療介護者から、あるいは家族または友人から受けるようにしてもよい。
進捗状況をモニタリングすること及び、参加者の心の中で活動が成果に結びつけられるように定期的なフィードバックを与えることが重要である。自分で決めた目標に向けての進捗状況が分かるように、各参加者が参加する活動を、望ましくは毎日、記録することが望ましい。このことは、参加者または介助者(例えばコーチ)が行うことができ、毎日のデータの入力を、デジタルインタフェース(例えば、コンピュータ、スマートフォンまたはタブレットデバイス)を介して行うか、または最適とは言えないがハードコピー形式で行うことができる。記録するという行為だけでも強化を与えるが、入力された情報を、コーチ及びサポートチームが、参加者にフィードバックを与えたり進捗状況を参加者に知らせたりするために利用することが望ましい。参加者の心の中で活動と活力の向上との間に明らかなつながりが作られることが望ましい。
参加者へのフィードバックは、参加者に自身の目標に向けての進捗状況を理解させるので重要である。フィードバックは、質的なものでも量的なものでもよい。質的フィードバックは、それまでに参加者が自身の目標に向けて進捗させた量に関する励ましを含み得る。量的フィードバックは、或る活動を実施している間の参加者の体調、繰り返しの回数または負荷としてかける重量(身体活動の場合)に関する、当該活動を実施している間の参加者の前向きな姿勢の段階評価(例えば0〜5)に基づいて行うことができる。参加者へのフィードバックに報奨制度を含めることもできる。
報奨制度は、推奨したことの順守及び/または活動の実行に基づいて参加者に与えられるクレジットまたはポイントの利用を含み得る。これらのクレジットは、活動の実施、実施の頻度、所望に応じて実施の質及び量に基づいて与えることができる。所望に応じて様々な賞品との引き換えを目的としてクレジットを貯めることもできる。
本プログラムステップのリストから、本発明の趣旨から過度に逸脱することなく、ステップを組み合わせたり削除したりしてもよいことは明らかである。例えば、ベースライン活力レベルの確立及び目標の設定を、例えば参加者とのインタビューに組み込むことができる。同様に、コーチング、活動を推奨すること、サポートチームを導入すること、及び順守状況をモニタリングすること(またはそれらのサブグループ)を、参加者とのやりとりがより効率的になるように組み合わせることができる。最も広い実施形態では、本プログラムは、参加者群において活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑える方法であって、非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に基準状態を判定するステップと、参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、参加者に活動を実行させるステップと、進捗状況をモニタリングするステップと、定期的なフィードバックを与えるステップとを含む方法である。これにより、少なくとも1つの領域における活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑えることになる。
本発明について様々な実施形態を参照して説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく形態及び詳細に変更を加えることができることは、当業者の認めるところであろう。したがって、先述の詳細な説明は限定的なものではなく例示的なものと見なされ、本発明の範囲を画定するのは、添付の特許請求の範囲(それと同等のものを全て含む)であると考えられたい。

Claims (13)

  1. 参加者群において活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑える方法であって、
    a.非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に開始時の活力状態を判定するステップと、
    b.前記参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、
    c.前記参加者に前記活動を実行させるステップと、
    d.前記推奨したことの順守状況をモニタリングするステップと、
    e.フィードバックを与えるステップとを含み、
    それによって、少なくとも1つの領域における活力を維持するか、向上させるか、または前記活力の低下を抑えることを特徴とする方法。
  2. 参加者の自己決定によるか、ヘルスケアまたはフィットネスの専門家により提供されるか、あるいは文献を情報源として設定されるような、活力目標を設定するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 必要であれば、測定された進捗状況に基づき前記参加者に新たな活動を推奨するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. サポート、励まし、意欲啓発のためにコーチングをするステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 励まし及び強化のためのサポートチームを導入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 興味及び関与を維持するためにプログラムを更新するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記参加者の身体の活力を維持するか、向上させるか、または低下を抑えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記参加者の知性の活力を維持するか、向上させるか、または低下を抑えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記参加者の精神の活力を維持するか、向上させるか、または低下を抑えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 前記フィードバックが、前記推奨したことの順守及び/または前記活動の実行に基づいて前記参加者に与えられるクレジットまたはポイントを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 前記クレジットまたはポイントが、前記活動の実行、前記実行の頻度、前記活動の実行の質及び量に基づいて与えられることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記クレジットまたはポイントを、賞品との引き換えを目的として貯めることができることを特徴とする請求項10に記載の方法。
  13. 参加者群において活力を維持するか、向上させるか、または活力の低下を抑える方法であって、
    非臨床的なベースライン能力を測定することにより参加者毎に基準状態を判定するステップと、
    活力目標を設定するステップと、
    前記参加者に非臨床的な身体、知性及び精神の活動を推奨するステップと、
    サポート、励まし、意欲啓発のためにマンツーマン・コーチングをするステップと、
    a.前記参加者の関心度合い及び参加欲求に合わせて、定期的な身体、知性及び精神の非臨床的活動と各参加者の生活への介入とを統合するステップと、
    b.励まし及び強化のためのサポートチームを導入するステップと、
    c.進捗状況をモニタリングし、定期的なフィードバックを与え、活動を成果に結びつけるステップと、
    d.興味及び関与を維持するためにプログラムを定期的に更新するステップとを含み、
    それによって、少なくとも1つの領域における活力を維持するか、向上させるか、または前記活力の低下を抑えることを特徴とする方法。
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